IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アイヨンテックの特許一覧

特開2023-93274コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造及び取付方法
<>
  • 特開-コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造及び取付方法 図1
  • 特開-コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造及び取付方法 図2
  • 特開-コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造及び取付方法 図3
  • 特開-コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造及び取付方法 図4
  • 特開-コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造及び取付方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093274
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造及び取付方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 1/02 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
B02C1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208808
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】502145276
【氏名又は名称】株式会社アイヨンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100098279
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 聖
(72)【発明者】
【氏名】町井 哲也
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063AA06
4D063AA13
4D063AA19
4D063GA06
4D063GA07
4D063GB07
4D063GD04
(57)【要約】
【課題】コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機(いわゆる大割機)の先端爪を溶接作業を必要とすること無く簡単に着脱可能とする。
【解決手段】油圧式圧砕機の一対の本体アームの先端側にはそれぞれ一対の先端爪が対向して着脱可能に設けられ、油圧シリンダで前記一対の本体アームの先端側を開閉させて圧砕対象物を圧砕するコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機において、前記先端爪が一体的に形成・配設された先端爪一体型ツースを設け、所定の形状に成形された前記本体アームの対応箇所に、内側を対応する形状に成形した前記先端爪一体型ツースを被せるようにはめ込み、固定手段を用いて着脱可能に固定する。
【選択図】 図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧式圧砕機の一対の本体アームの先端側には少なくともそれぞれ一対の先端爪が対向して着脱可能に設けられ、油圧シリンダで前記一対の本体アームの先端側を開閉させて圧砕対象物を圧砕するコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機において、
前記先端爪が一体的に形成・配設された先端爪一体型ツースを設け、所定の形状に成形された前記本体アームの対応箇所に、内側を対応する形状に成形した前記先端爪一体型ツースを被せるようにはめ込み、固定手段を用いて着脱可能に固定することを特徴とするコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の先端爪の取付構造において、前記先端爪一体型ツースには、更に、前記先端爪に加えてウエッジも一体的に形成・配設されていることを特徴とするコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の先端爪の取付構造において、前記先端爪一体型ツースには、更に、前記先端爪との間に所定の間隔又は前記ウエッジを挟んで中爪も一体的に形成・配設されていることを特徴とするコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の先端爪の取付構造において、前記固定手段には、2本のピンを用い、各ピンは脱落しないように反対側からエンドプレートとボルトによって固定することを特徴とするコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の先端爪の取付構造において、前記本体アームの対応箇所は、段差を有するように成形され、前記先端爪一体型ツースの内側も、前記段差に対応する形状に成形されていることを特徴とするコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造。
【請求項6】
油圧式圧砕機の一対の本体アームの先端側には少なくともそれぞれ一対の先端爪が対向して着脱可能に設けられ、油圧シリンダで前記一対の本体アームの先端側を開閉させて圧砕対象物を圧砕するコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における前記先端爪の取付方法において、
前記本体アームの対応箇所を所定の形状に成形する工程と、
前記先端爪が一体的に形成・配設された先端爪一体型ツースを設け、該先端爪一体型ツースの内側を対応する形状に成形する工程と、
前記先端爪一体型ツースを前記本体アームの対応箇所に被せるように嵌め込む工程と、
嵌め込んだ前記先端爪一体型ツースを固定手段を用いて着脱可能に前記本体アームに固定する工程と、を有することを特徴とするコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機に用いて好適な着脱式先端爪の取付構造及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機(いわゆる大割機)の先端爪の取付方法(新品時・修理時)としては、圧砕機本体の各アーム(左右両側)にそれぞれ先端爪、中爪を溶接作業により取り付けていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-059340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の取付方法では、溶接時には熱影響による割れ等を防止するため、施工前及び施工後に圧砕機本体のアームや爪材を適正な温度に温める必要があり、また、施工後には急冷を避けるための徐冷等、厳密な温度管理や浸透深傷試験(PT検査)を行う必要があり、相応な時間と設備を要する上に作業者にも高度な熟練を要する。しかしながら、近年では、溶接作業に熟練した職人が著しい減少傾向にあり、上記作業を実施することが困難となっており、この職人不足の傾向は特に海外で顕著に表れており、海外での爪材溶接作業を実施する困難性が増加しているのが否めない実情である。
【0005】
また、従来、一般的にはアタッチメントとしていわゆる大割機を用いて建物を解体し(1次破砕)、その後いわゆる小割機を用いて解体後のコンクリート塊等を更に細かく破砕し、処理業者へ搬送する(2次破砕)。ここで、片側の固定アームともう一方の可動アームを有する破砕機(いわゆる小割機)では、破砕対象物から受ける反力等も比較的小さいので、アーム先端に固定した爪の摩耗や損傷も少なく、爪の交換の頻度もそれ程では無いので、問題は小さい。しかしながら、ビル等の地上から立設するコンクリート構築物を壊していくための油圧式圧砕機であって一対のアームの先端側に先端爪が対向して設けられ、油圧シリンダで一対のアームの先端側を開閉させて圧砕対象物を圧砕するコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機(いわゆる大割機)では、鉄筋コンクリート柱等を空中で圧砕していくためアーム先端の爪の摩耗や損傷も大きく、爪の交換頻度も高くなるため、上述した溶接に熟練した職人の不足は、切実な問題である。
【0006】
また、溶接作業はガスバーナーを用いて行われるので、溶接を頻繁に行わねばならない爪の取付・交換方法は、いわゆる脱酸素社会の要請に叶う方法とは言えない。
【0007】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機(いわゆる大割機)の爪材、特にその先端爪を溶接作業を必要とすること無く簡単に着脱可能な取付構造及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、鋭意に研究・開発を続けた結果、本発明者は、溶接作業を必要とせずに簡単に着脱可能な先端爪一体型ツースを設けることを想到し、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機において、所定の形状に成形された本体のアームに、同様の形状に成形した先端爪一体型ツースを被せるようにはめ込み、着脱可能に固定することで、溶接作業を必要とすること無く簡単に着脱可能に取り付け得ることを見出した。
【0009】
即ち、上記目的達成のため、本発明のコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造では、油圧式圧砕機の一対の本体アームの先端側には少なくともそれぞれ一対の先端爪が対向して着脱可能に設けられ、油圧シリンダで前記一対の本体アームの先端側を開閉させて圧砕対象物を圧砕するコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機において、前記先端爪が一体的に形成・配設された先端爪一体型ツースを設け、所定の形状に成形された前記本体アームの対応箇所に、内側を対応する形状に成形した前記先端爪一体型ツースを被せるようにはめ込み、固定手段を用いて着脱可能に固定することを特徴とする。
【0010】
かかる本発明の取付構造によれば、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機(いわゆる大割機)に用いた場合でも、鉄筋コンクリート等による強大な反力等を受けても先端爪が容易にもげたりすることが無い。
【0011】
また、ガスバーナーを用いた爪材の溶接作業が不要になるので、二酸化炭素排出の作業を減らすことができ、脱酸素社会という時代の要請に答えることも可能となる。
【0012】
更に、前記先端爪一体型ツースには、前記先端爪に加えてウエッジも一体的に形成・配設されているようにしても良い。また、前記先端爪一体型ツースには、更に、前記先端爪との間に所定の間隔又は前記ウエッジを挟んで中爪も一体的に形成・配設されているのが好適である。
【0013】
尚、前記先端爪一体型ツースと本体アームとの固定手段としては、2本のピンを用い、各ピンは脱落しないように反対側からエンドプレートとボルトによって固定するのが好適である。但し、ピンは2本より多くても少なくても良い。
【0014】
また、本発明の変形例としては、前記本体アームの対応箇所は段差を有するように成形され、前記先端爪一体型ツースの内側も、前記段差に対応する形状に成形されているようにしても良い。
【0015】
また、本発明のコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付方法では、油圧式圧砕機の一対の本体アームの先端側には少なくともそれぞれ一対の先端爪が対向して着脱可能に設けられ、油圧シリンダで前記一対の本体アームの先端側を開閉させて圧砕対象物を圧砕するコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における前記先端爪の取付方法において、
前記本体アームの対応箇所を所定の形状に成形する工程と、
前記先端爪が一体的に形成・配設された先端爪一体型ツースを設け、該先端爪一体型ツースの内側を対応する形状に成形する工程と、
前記先端爪一体型ツースを前記本体アームの対応箇所に被せるように嵌め込む工程と、
嵌め込んだ前記先端爪一体型ツースを固定手段を用いて着脱可能に前記本体アームに固定する工程と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の先端爪の取付構造が適用されるコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機の斜視図である。
図2】本発明の実施形態の先端爪の取付構造を従来の先端爪の取付構造と比較して示す斜視図であり、(A)は、本発明の実施形態の先端爪の取付構造を示す斜視図、(B)は、従来の先端爪の取付構造を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態における先端爪・中爪一体型ツースを示す図であり、(A)その斜視図、(B)は、その各断面図である。
図4】コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機において、本発明の実施形態の先端爪・中爪一体型ツースを取り付ける前の本体アーム(片側)を示す側面図である。
図5】本発明の実施形態における先端爪・中爪一体型ツースをコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機の本体アーム(片側)に取り付けた状態の要部を示す一部切り欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1乃至図5を参照して本発明の実施形態に係るコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付構造について説明する。図1は、本発明の実施形態の先端爪の取付構造が適用されるコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機の斜視図である。図1に示すように、本発明の実施形態の先端爪の取付構造が適用されるのは、いわゆる大割機としての油圧式圧砕機10であり、この油圧式圧砕機10は、概略において、一対の本体アーム12、2つの油圧シリンダ14、作業用ブラケット16,アーム支持体18を備えている。一対の本体アーム12は、略三角形状に形成されて線対称に配設されており、それぞれの後端内側がアーム支持体18に枢着支持され、更に後端外側がアーム支持体18に取り付けられた2つの油圧シリンダ14のシリンダ外筒に枢着支持されている。また、油圧式圧砕機10の各本体アーム12は、最先端部にコンクリート構築物等の圧砕対象物(図示せず)を圧砕する先端爪22aが対向して配設され、アーム支持体18の枢着支持部近傍には鉄筋・鉄骨等を切断する剪断刃26aが対向して配設され、更に、先端爪22aと剪断刃26aとの略中間には圧砕対象物を圧砕する中爪22cが対向して配設されている。また、先端爪22aと中爪22cの間には圧砕対象物に食い込んで圧砕する圧砕刃(ウエッジ)22bが対向して配設さている。このように構成された油圧式圧砕機10は、2つの油圧シリンダ14で一対の本体アーム12の先端側を開閉させて圧砕対象物を圧砕するようにしてコンクリート構築物等を解体する。
【0018】
ここで、本発明の実施形態では、図1に示すように、少なくとも先端爪22aがそれぞれ一体的に形成・配設された一対の先端爪一体型ツース22を設け、所定の形状に成形された各本体アーム12の対応箇所に、内側を対応する形状に成形した各先端爪一体型ツース22をそれぞれ被せるようにはめ込み、固定手段を用いて着脱可能に固定するように構成した。また、先端爪一体型ツース22には、後述する図2(A)や図3(A)(B)に示すように、それぞれ先端爪22aに加えてウエッジ22bも先端爪22aに連続して一体的に形成・配設され、更に、先端爪22aとの間にウエッジ22bを挟んで中爪22cもウエッジ22bに連続して一体的に形成・配設されている。従って、本実施形態の取付構造では、先端爪一体型ツース22は、先端爪・中爪(及びウエッジ)一体型ツースとして構成されており、以後、先端爪・中爪一体型ツース22と言う。尚、本体アーム12や先端爪一体型ツース22を所定形状に成形するためには、機械加工を施しても良いし、精密鋳造等を用い、機械加工によらず成形することも考えられる。また、先端爪一体型ツース22は、少なくとも先端爪22aが一体的に形成・配設されていれば良く、例えば、中爪の無いツースとして構成しても良い。
【0019】
本発明の実施形態の先端爪の取付構造について、上記図1に加え、図2乃至図5も参照して更に詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態の先端爪の取付構造を従来の先端爪の取付構造と比較して示す斜視図であり、(A)は、本発明実施形態の先端爪の取付構造を示す斜視図、(B)は、従来の先端爪の取付構造を示す斜視図である。即ち、従来の先端爪の取付構造では、図2(B)に示すように、一対の本体アーム32[図2(B)では一方の本体アーム32のみ示す]の先端部、中央部にそれぞれ溶接面32fを設け、これら溶接面32fにそれぞれ略角錐形状の先端爪32a,中爪32cの底面側を溶接することで、先端爪32a,中爪32cをそれぞれ本体アーム32に固定していた。尚、圧砕刃(ウエッジ)を設ける場合でも、圧砕刃(ウエッジ)は、溶接ではなく、本体アーム32の対応する部分を成形し本体アーム32と一体的に設ける場合が多かった。このような従来の先端爪32aや中爪32cの取付構造では、上記の溶接時には熱影響による割れ等を防止するため、施工前及び施工後に本体アーム32や先端爪32a、中爪32cに用いる爪材を適正な温度に温める必要があり、また、施工後には急冷を避けるための徐冷等、厳密な温度管理や浸透深傷試験(PT検査)を行う必要があり、相応な時間と設備を要する上に作業者にも高度な熟練を要するという問題があったのは前述した通りである。これに対して、本実施形態の先端爪の取付構造では、図2(A)に示すように、先端爪22a、(ウエッジ22b)及び中爪22cが一体的に形成・配設された先端爪・中爪一体型ツース22[図2(A)では一方の本体アーム12側の先端爪・中爪一体型ツース22のみ示す]を設け、所定の形状に成形された本体アーム12の対応箇所に、内側を対応する形状に成形した上記先端爪・中爪一体型ツース22をそれぞれ被せるようにはめ込み、固定手段を用いて着脱可能に固定するように構成した。尚、本実施形態の取付構造では、上記の固定手段としては、図2(A)及び図3(A)(B)に示すように、先端爪・中爪一体型ツース22のツース本体22Z、本体アーム12の対応箇所12Zにそれぞれ2つの貫通穴を設け、これら貫通穴に2本のピン22dを挿通し、各ピン22dは脱落しないようにそれぞれ反対側からエンドプレート22fとボルト22hによって固定するようにした。但し、貫通穴の数及びピンの本数は2つより多くても少なくても良いのは勿論である。
【0020】
図3は、本発明の実施形態における先端爪・中爪一体型ツースを示す図であり、(A)は、その斜視図、(B)は、その各断面図である。図4は、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機において、本発明の実施形態の先端爪・中爪一体型ツースを取り付ける前の本体アーム(片側)を示す側面図、図5は、本発明の実施形態における先端爪・中爪一体型ツースをコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機の本体アーム(片側)に取り付けた状態の要部を示す一部切り欠き断面図である。図3(A)(B)に示すように、本実施形態の先端爪・中爪一体型ツース22[図3(A)(B)では一方の本体アーム12側の先端爪・中爪一体型ツース22のみ示す]は、ツース本体22Z上の先端側に先端爪22aが、その反対側(アーム本体の中央側)に先端爪22aよりはやや高さが低い中爪22cが間にウエッジ22bを介して連続して同一材料により一体的に形成・配設されている。ツース本体22Zの先端爪22aの下部、中爪22cの下部には、それぞれ本体アーム12への固定用の貫通穴22m,22nが形成されている。尚、先端爪22aの爪上端にはツース本体22Zの長さ方向に直交する稜線部22arが形成されており、中爪22cの爪上端にはツース本体22Zの長さ方向に沿った稜線部22crが形成されている。尚、ウエッジ22bは、先端爪22aと中爪22cの間に湾曲上に凹んだ形状に形成されており、このウエッジ22bの上端にはツース本体22Zの長さ方向に沿った稜線部22brが中爪22cの稜線部22crに連続するように形成されている。この稜線部22brにより、ウエッジ22bは、一対の本体アーム12が閉じられる際に圧砕対象物に食い込んで圧砕する圧砕刃としての機能を奏する。ここで、先端爪・中爪一体型ツース22における略ツース本体22Zに対応する内側部22Uは、図3(B)に示すように、本体アーム12の対応箇所12Z(図4及び図5参照)に被せてはめ込めるように、対応する形状(空洞)に成形されている。一方、本体アーム12の対応箇所12Zは、図4に示すように、先端爪・中爪一体型ツース22の内側部22Uに対応した所定の形状に成形されている。また、本体アーム12の対応箇所12Zには、図4に示すように、ツース本体22Zの貫通穴22m,22nに対応する位置に貫通穴12m,12nが形成されている。本体アーム12の対応箇所12Z、先端爪・中爪一体型ツース22が以上のように成形されていることで、図2(A)及び図5に示すように、先端爪・中爪一体型ツース22を本体アーム12の対応箇所12Zに被せてはめ込めんだ上で、2本のピン22dを貫通穴22m及び12m,貫通穴22n及び12nにそれぞれ挿通させ、各ピン22dを脱落しないように反対側からエンドプレート22fとボルト22hによって固定する。これにより、図5に示すように、先端爪・中爪一体型ツース22を本体アーム12の対応箇所12Zにしっかりと固定することができる。
【0021】
かかる本発明の取付構造によれば、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機(いわゆる大割機)10に用いた場合でも、鉄筋コンクリート等による強大な反力等を受けても先端爪22aや中爪22cが容易にもげたりすることが無い。また、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機10を新品として製作・納品する時(新品時)や解体業者に納品され解体に使用されて摩耗した際に先端爪及び/又は中爪を交換する時(交換時)にも、ガスバーナーを用いた先端爪22aや中爪22cの溶接作業が不要になるので、二酸化炭素を排出してしまう作業を減らすことができ、脱酸素社会という時代の要請に答えることも可能となる。
【0022】
尚、本実施形態の取付構造では、図2乃至図5に示すように、上記の固定手段としては、先端爪・中爪一体型ツース22のツース本体22Z、本体アーム12の対応箇所12Zにそれぞれ貫通穴を設け、これら貫通穴にピン22dを挿通し、各ピン22dは脱落しないようにそれぞれ反対側からエンドプレート22fとボルト22hによって固定するようにしたが、貫通穴とピン以外の他の固定手段を用いても良い。
【0023】
尚、図示はしないが、一対の本体アーム12の対応箇所をそれぞれ段差を有するように成形し、先端爪一体型ツースの内側も、それぞれの段差に対応する形状に成形されているようにしても良い。即ち、図5に示したように、先端爪・中爪一体型ツース22のツース本体22Zの内側が本体アーム12の対応箇所12Zに嵌合するが、変形例として、この対応箇所12Zを上側が狭く下側が幅広となる段差を有するように成形し(図5には、この段差は図示していない)、先端爪・中爪一体型ツース22のツース本体22Zの内側も、この段差に対応する形状に成形して、両者を嵌め込み、固定するようにしても良い。このような段差を設ければ、圧砕による反力等を受ける面(受圧面)が多くなるので、先端爪・中爪一体型ツースの強度を高めることも可能である。
【0024】
次に、本発明の実施形態としてのコンクリート構築物解体用油圧式圧砕機における先端爪の取付方法について述べる。本実施形態の取付方法が適用されるのも、いわゆる大割機であり、図1に示した油圧式圧砕機10の一対の本体アーム12の先端側にはそれぞれ一対の先端爪が対向して着脱可能に設けられ、2つの油圧シリンダ14で一対の本体アーム12の先端側を開閉させてコンクリート構築物等の圧砕対象物(図示せず)を圧砕するようにして解体する油圧式圧砕機である。本実施形態の取付方法は、図1乃至図5にもその詳細が示されるが、概略としては、まず油圧式圧砕機10の各本体アーム12の対応箇所をそれぞれ所定の形状に成形する。また、少なくとも先端爪22aが一体的に形成・配設された先端爪一体型ツース22を設け、先端爪一体型ツース22の内側を対応する形状に成形する。そして、先端爪一体型ツース22をそれぞれ各本体アーム12の対応箇所に被せるように嵌め込み、嵌め込んだ先端爪一体型ツース22を固定手段を用いて着脱可能に本体アーム12に固定する。
【0025】
更に、本実施形態の取付方法では、先端爪一体型ツース22には、更に、それぞれ先端爪22aに加えてウエッジ22bも先端爪22aに連続して一体的に形成・配設する。また、先端爪一体型ツース22には、更に、先端爪22aとの間にウエッジ22bを挟んで中爪22cもウエッジ22bに連続して一体的に形成・配設する。従って、本実施形態の取付方法でも、先端爪一体型ツース22は、先端爪・中爪(及びウエッジ)一体型ツースとして構成する。
【0026】
かかる本発明の取付方法によれば、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機(いわゆる大割機)10に用いた場合でも、鉄筋コンクリート等による強大な反力等を受けても先端爪22aや中爪22cが容易にもげたりすることが無い。また、コンクリート構築物解体用油圧式圧砕機10を新品として製作・納品する時(新品時)や解体業者に納品され解体に使用されて摩耗した際に先端爪及び/又は中爪を交換する時(交換時)にも、ガスバーナーを用いた先端爪22aや中爪22cの溶接作業が不要になるので、二酸化炭素を排出してしまう作業を減らすことができ、脱酸素社会という時代の要請に答えることも可能となる。
【0027】
尚、本実施形態の取付方法では、図2乃至図5に示すように、固定手段としては、先端爪・中爪一体型ツース22のツース本体22Z、本体アーム12の対応箇所12Zにそれぞれ貫通穴を設け、これら貫通穴にピン22dを挿通し、各ピン22dは脱落しないようにそれぞれ反対側からエンドプレート22fとボルト22hによって固定する工程を設けたが、他の固定手段を用いて固定する工程を設けても良い。また、一対の本体アーム12の対応箇所をそれぞれ段差を有するように成形し、先端爪一体型ツースの内側も、それぞれの段差に対応する形状に成形する工程を設けても良い。
【符号の説明】
【0028】
10 油圧式圧砕機、 12 本体アーム、 12Z 対応箇所、 12m,12n 貫通穴、 14 油圧シリンダ、 16 作業用ブラケット、 18 アーム支持体、 22 先端爪・中爪一体型ツース、 22a 先端爪、 22b 圧砕刃(ウエッジ)、 22c 中爪、 22U 内側部、 22m,22n 貫通穴、 22d ピン、 22f エンドプレート、 22h ボルト、 26a、剪断刃

図1
図2
図3
図4
図5