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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093280
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ローター式コンクリート吹付機
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/00 20060101AFI20230627BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
E02D29/00
E04G21/02 101
E04G21/02 103B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021215566
(22)【出願日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】311004393
【氏名又は名称】ニシオティーアンドエム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西尾 英一
【テーマコード(参考)】
2D147
2E172
【Fターム(参考)】
2D147DA06
2E172AA05
2E172BA03
2E172BA09
2E172BA11
2E172BA13
2E172BA17
2E172BA22
2E172DB13
2E172DC02
2E172DC03
2E172DC06
(57)【要約】
【課題】トンネル工事のコンクリート吹付で使われるローター式コンクリート吹付機は、ホッパーから投入した材料がチャンバー内に容易に落ち込まないことで、充填率が悪く吐出量が安定せず、また大幅に減少するため大容量の吹付ができなかった。
【解決手段】複数のチャンバーを有するローターと、上記ローターの上部に設置されたホッパーと、上記ローターの下部に設けられたエアーチャンバーを備えたコンクリート吹付機であって、上記ホッパーの上部に設置されたモーターにより減速機を介して回転駆動されるとともに垂直方向に延びる回転軸を備え、先端部が上記ホッパーの下部まで連続して伸びる先細りの螺旋翼を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンバーを有するローターと、上記ローターの上部に設置され、下端部の落し口が上記ローターの回転に伴い上記複数のチャンバーの上端の開口部に順次対向するように構成されたホッパーと、上記ローターの下部に設けられ、上記チャンバーの下端から吐出されたコンクリート部材を吐出口から吐出させるエアーチャンバーを備えたコンクリート吹付機であって、上記ホッパーの上部に設置されたモーターにより減速機を介して回転駆動されるとともに垂直方向に延びる回転軸を備え、先端部が上記ホッパーの下部まで連続して伸びる先細りの螺旋翼を備えたことを特徴とするローター式コンクリート吹付機
【請求項2】
螺旋翼の上部に板状の攪拌翼を備えた請求項1記載のローター式コンクリート吹付機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローター式コンクリート吹付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、山岳トンネルのNATM工法において、周知の通り掘削工程後の1次覆工工程は鋼製のアーチ型支保工建込、金網設置等付帯作業、コンクリート吹付の各作業により形成されている。
【0003】
またこの内コンクリート吹付作業は、地山崩落防止のため掘削直後と支保工建込及び金網設置後の2回実施される。
【0004】
そしてこのコンクリート吹付作業の際に用いられる各種装置があるが、ホッパーを有し、当該ホッパーに投入された乾式吹付用または湿式吹付用のコンクリート材料を、ローターのチャンバーに自重で落ち込むようにしたエアー圧送方式のローター式コンクリート吹付機がある。
【0005】
このローター式コンクリート吹付機は、乾式吹付と湿式吹付と両工法で使用できることや、エアー圧送方式なので残存コンクリートが無く、また圧送管内で閉塞による危険度も少なく特に厚吹きができる。
【0006】
また乾式吹付の場合水セメント比が40~45%に抑えることができる為、コンクリート吹付後の初期強度の発現が高く、湧水の多い地山での吹付けが可能であるという優れた特徴がある。また使用面においても取扱いが簡単で故障が少なく、メンテナンスや掃除も容易である。
【0007】
ところでこのローター式コンクリート吹付機は、コンクリート材料を下部が偏芯した漏斗型のホッパーに流し込むとホッパーの形状を利用して当該材料が回転するローターのチャンバーにその自重で落ち込み、ホッパー底部の落し口とは別の位置で圧縮空気を送り込むことにより、チャンバー内に流入したコンクリート材料をエアーチャンバーより吐出させて吹付ける仕組みとなっている。
【0008】
しかしながら、このホッパーの形状と材料の自重により落し込むという従来の仕組みでは、材料がローターのチャンバー内に容易に落ち込まないことで、ローターのチャンバー内への材料の充填率が悪い。
【0009】
特に乾式吹付に使われるドライコンクリート材料においては、骨材の含水率が5%以上ではホッパー、ローターのチャンバー内壁へのコンクリート材料の付着により、ローターのチャンバー内へドライコンクリート材料が落ちない、あるいは充填率が50~60%と充填効率が悪く、吐出量が減少するため、正規の吹付量よりも大幅に少ない状況である。
【0010】
またコンクリート材料のスランプ値の大きさ等によっては、当該材料を通してチャンバー内部の空気が逃げにくくなることで、ホッパー内でコンクリート材料が一つの層となってホッパーの開口部を塞ぐといういわゆるブリッジ現象が起こることがあり、これもコンクリート材料のチャンバー内への供給が減少する原因ともなっている。
【0011】
このような理由で、ローター式コンクリート吹付機は、ローターのチャンバー内に供給されるコンクリート材料の量にばらつきが生じ、コンクリート吹付時に先端ノズルでの脈動や粉塵が多くなるという課題があった。
【0012】
また大容量の吹付で使用しようとすると、この場合ローターの回転数を上げる必要があるが、回転速度にコンクリート材料の落し込みが追い付かず、チャンバー内への材料の充填率が更に低下し、吐出量の減少や変動が起きることで、目的の吹付量にはならないこと、常に定量で添加されるコンクリート材料の急結剤のロスが発生するなど効率性低下やランニングコスト高等の問題が顕著に現れた。
【0013】
このため、ローター式コンクリート吹付機は、定量、大容量圧送には向かないということで、特に山岳トンネルのNATM工法におけるコンクリート吹付では、現状、ポンプ式コンクリート吹付機が用いられることが多くなっている。
【0014】
このような課題を解決するため、特許文献1ではローターのチャンバー内の気密空気を逃がすためにホッパー内に設けたコンクリート材料供給部と空気逃げ部を形成する仕切り部材の考案がなされている。またコンクリート材料の自重による落し込みを助けるために、特許文献2では振動発生装置の考案が、特許文献3ではホッパー内の材料に対し下方向に向けて推力が働く撹拌翼(羽根)装置の考案がなされている。
【0015】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2はローターの材料充填率を上げるために材料の落し込みを促す装置であるが、根本的に自然落下による落し込みであることや、特許文献3ではホッパー内の材料を傾斜した撹拌翼により下部に押す力はあるものの、隙間のある羽根の構造やエアーモーターによる装置構成のためコンクリート材料を下方向に押す機能が十分働かないため、いずれも大容量吹付する際のローター高速回転に落し込みが追い付かず、依然大容量吹付に必要な材料充填量が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開昭62-282661号公報
【特許文献2】特開昭62-253875号公報
【特許文献3】特開昭62-72863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、コンクリートの充填率を向上させ、ポンプ式コンクリート吹付機と同等の安定した大容量の吹付ができるローター式コンクリート吹付機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、複数のチャンバーを有するローターと、上記ローターの上部に設置され、下端部の落し口が上記ローターの回転に伴い上記複数のチャンバーの上端の開口部に順次対向するように構成されたホッパーと、上記ローターの下部に設けられ、上記チャンバーの下端から吐出されたコンクリート部材を吐出口から吐出させるエアーチャンバーを備えたコンクリート吹付機において、上記ホッパーの上部に設置されたモーターにより減速機を介して回転駆動されるとともに垂直方向に延びる回転軸を備え、先端部が上記ホッパーの下部まで連続して伸びる先細りの螺旋翼を備えた。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、螺旋翼の1枚羽根の上部から下部まで螺旋を巻いている形状により、回転すると、螺旋羽根上部真下にあるコンクリート材料が羽根に押え続けられながら隙間を通って羽根の下部へ降りていく形で落し口にまで移動することにより(運ばれることにより)、従来のコンクリート材料の自然落下による、或いは撹拌翼を備えた補助装置併用による方法に比較して材料をより効率良く落し込むことが可能となり、チャンバーへの充填率も高まることによりコンクリート吹付に必要な安定した吐出量が得られる。特にローター回転速度が速い大容量のコンクリート吹付の時にはこの効果が顕著に現れる。
【0020】
またコンクリート材料が1枚の羽根で押え続けられることで、材料が連続してかき混ぜられることとなり撹拌効果が高まって均等に混ぜ合わさり、空気層によるムラの無い気密性が高い品質の良いコンクリートの吹付が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態を示すローター式コンクリート吹付機の平面図である。
図2】同側面図である。
図3】同要部のホッパーの斜視図である。
図4】同ローター装置内のコンクリート材料の流れを説明する図である。
図5】同要部の螺旋翼及び動作させる装置の側面図(A)と同螺旋翼の平面図(B)である。
図6】同要部の撹拌翼付き螺旋翼の側面図(A)と同平面図(B)である。
図7】同要部の逆流防止プレートを取付けたホッパー開口部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るローター式コンクリート吹付機についての実施の形態を、図1図2図3図4を用いて説明する。
【0023】
2は駆動部であって、ベース1上に設置されており、ローター3の動力源となるモーター4とローター装置制御盤5及びローター回転抵抗低減装置6が備えられている。ローター抵抗低減装置6は駆動部2の筐体(図示せず)の開口部7から覗けるようになっている。
【0024】
ローター回転抵抗低減装置6は、定量のグリセリンをローター3にホース(図示せず)で供給することにより、ローター3の回転により発生する摩擦抵抗を軽減するものである。
【0025】
8はギヤーボックスであって、内部に複数のギヤを連結して構成するトランスミッション9が備わっており、トランスミッション9は、モーター回転軸10とローター回転軸11を繋ぎ、モーター4からローター3へ回転速度を遅くさせて伝達する働きをする。
【0026】
84は下部ジョイントプレートであって、ベース1上に設置されており、上側の面にゴムプレート83が貼り付けてあり、ジョイントプレート84およびゴムプレート83の双方に貫通するようにローター回転軸11を通す穴(図示せず)とコンクリート材料をエアーチャンバー17へ落し込む送り口18が設けてある。
【0027】
ゴムプレート83には、上部に位置するローター3との間に、ローター回転抵抗低減装置6からホース(図示せず)を通してグリセリンが注入できるように、グリセリン注入口(図示せず)と注入経路(図示せず)と排出口(図示せず)が設けられ、ローター3の回転時の摩擦を軽減するようになっている。
【0028】
ローター3は、ゴムプレート83上に接するように設置されており、ローター回転軸11を中心にして回転する。ローター3には、上下に貫通し、一時的にコンクリート材料が留まれるよう収納スペースであるチャンバー12が8個設けてある。
【0029】
81は上部ジョイントプレートであって、ホッパー台80下側の面にローター3の上面に対向するように取付けられており、下側の面にゴムプレート82が貼り付けられてあり、ゴムプレート82はローター3の上面に接するように構成されている。またジョイントプレート81と、ゴムプレート82の双方に貫通するように、コンクリート材料が、落し口16からチャンバー12に落ちるときに通過できるように穴(図示せず)が設けてある。
【0030】
ゴムプレート82は、下部に位置するローター3との間に、ローター回転抵抗低減装置6からホース(図示せず)を通してグリセリンが注入できるように、グリセリン注入口(図示せず)と注入経路(図示せず)と排出口(図示せず)が設けられ、下部ゴムプレート83と同様に、ローター3の回転時の摩擦を軽減するようになっている。
【0031】
ホッパー台80は、軸85を支点として回動し、図2の状態では上部ジョイントプレート81の上に重なっている。
【0032】
54、55、56(図示せず)はテンションスピンドルであって、ローター3を取り巻くように、ローター3の中心から120度ずつの間隔で設置されており、それぞれ一部がホッパー台80の上部にかかっている押え板77、78(図示せず)、79(図示せず)と、ナット74、75(図示せず)、76(図示せず)が取付けられている。
【0033】
ナット74、75(図示せず)、76(図示せず)をトルクレンチで均等に締めることにより、押え板77、78(図示せず)、79(図示せず)が下がり、ホッパー台80を介して上部ジョイントプレート81より下の部分を押え、内部から発生するエアーによる内圧を抑える。
【0034】
13はホッパーであって、ホッパー台80の上部に設けられ、図3に示すように乾式または湿式吹付用のコンクリート材料の上からの投入を容易にするため、上端部のホッパー入口15は円筒形に、下部は偏芯した漏斗型にそれぞれ構成されており、底にはコンクリート材料の落し口16が設けられている。
【0035】
14はメインのエアー配管であって、図示しない外部コンプレッサーから圧縮空気を供給される配管であって、ここから落しのエアー配管19と送りのエアー配管20に分岐し、落しのエアー配管19は、上部から圧縮空気を送り、チャンバー12に一時的に充填されたコンクリート材料を下方に開口部から吐出させる。エアー配管20は、エアーチャンバー17に接続されている。
【0036】
エアーチャンバー17は、ベース1下端部のローター3の下の位置に取付けられており、エアーチャンバー17に落ち込んだコンクリート材料は、送りのエアー配管20から送られた圧縮空気により吐出口から吐出する。
【0037】
ローター3の回転により、8つある内のいずれかのチャンバー12の位置が、ホッパー13の落し口16の真下になったときは、矢印59の通り、コンクリート材料がチャンバー12に落ち込む。
【0038】
次にローター3の回転により、チャンバー12の位置が、エアーチャンバー17への送り口18の真下になるまで、矢印60の通り、チャンバー12の移動とともに内部に留まっているコンクリート材料が移動する。
【0039】
次にチャンバー12の位置がエアーチャンバー17への送り口18の真上になったときは、矢印62の通り、図示しない外部コンプレッサーからメインのエアー配管14より分岐した落しのエアー配管19を通ってきた圧縮空気が送られ、矢印61の通り、コンクリート材料がエアーチャンバー17内に押されて落し込まれる。
【0040】
次にエアーチャンバー17に落し込んだコンクリート材料は、矢印63の通り、外部コンプレッサー(図示せず)からメインのエアー配管14より分岐した送りのエアー配管20を通って送られた圧縮空気により、吐出口21に押し出され、配管(図示せず)を経由して最終的に吹付ノズルから吹き出すようになっている。
【0041】
このようにコンクリート材料の通り道として、ホッパー13の落し口16とエアーチャンバー17への送り口18を直接繋がず、一旦ローター3内のチャンバー12を経由して繋いでいるのは、前記圧縮空気を送ったときにチャンバー12内を密閉しないとコンクリート材料が通り道を逆流するのでこれを防ぐためである。
【0042】
22は架台であって、ベース1上の駆動部2とローター3との間に、足元に支柱ベース23を取付けた支柱24(図示せず)と、支柱ベース25を取付けた支柱26を据付け、支柱24(図示せず)と支柱26は支柱頭繋ぎ30で繋がれており、支柱頭繋ぎ30は、支柱頭繋ぎ27と28及び29とで囲み枠を形成しており、補強としてリブ31(図示せず)及びリブ32が取付けられている。架台22の配置や構成により、装置全体がコンパクトになることで、様々な装置が搭載されているコンクリート吹付機の台車(図示せず)にスペース面で搭載し易くなる。材料はスチール製の角パイプを使用している。
【0043】
33はモーター取付台であって、架台22の上に取付けられている。モーター取付台33には、減速機34に取付けられた回転軸35が貫通し回転するための穴37を開けてある。
【0044】
モーター取付台33はホッパー入口15の上部に位置しており、コンクリート材料投入の妨げにならないように、本実施形態ではホッパー入口15の内径が675mmに対し、モーター取付台33のホッパー上部に突き出ている端部とホッパー入口15の一番遠い縁迄の間隔は400mmに設定されている。
【0045】
またホッパー入口15の上端とモーター取付台33がお互い干渉しないように十分な隙間が設けられており、材料はスチール製のプレートである。
【0046】
36はモーターであって、内部にある入力軸64が水平になるようにモーター取付台33の上に設置されている。インバーター制御専用仕様となっており、本実施形態に必要な高速回転から超低速回転域0.5Hzまで定トルク運転が可能となっている。
【0047】
減速機34は、モーター取付台33の上にモーター36と連結して取付けられており、ギヤードモーター方式となっている。
【0048】
減速機34の内部には、ねじ状の歯車(図示せず)とこれにかみ合う斜歯歯車(図示せず)を組み合わせ、歯車が回転することで斜歯歯車の歯を送って回転させる機構が備わっている。すなわちウォームギア機構を備えたウォーム減速機である。
【0049】
モーター36と減速機34を連結することによって、モーター36の入力軸64の垂直方向の回転を、取付けた回転軸35が水平方向の回転になるように、また減速機34を介在させることによりモーター36の回転数を1/30に減速して高トルクを発生させることができる。また回転速度調整が可能となる。
【0050】
42はモーター及び減速機装置制御盤であって、連結したモーター36と減速機34の各種設定や操作を行うものである。
【0051】
回転軸35は、モーター取付台33の穴37を貫通し、ホッパー入口15を通り、落し口16に向けて垂直方向に取付けられている。回転軸35に長さはホッパー13の内部まで届くように設定されている。
【0052】
44はベアリングケースであって、回転軸35を覆うバウムクーヘン形状の円筒形の箱であり、モーター取付台33の下側の面に取付けられている。
【0053】
以下回転軸35の下部に取りつけられている部材について、図5を用いて説明する。
このベアリングケース44の内部には、ベアリング(図示せず)が上端部と下端部に計2個と、スペーサー(図示せず)が前記2個のベアリングが動かないように2個のベアリングの間に組み込まれている。底はケースキャップ45で蓋をしていて、回転軸35が振れないように安定した回転が得られるように保持する役割を果たしている。
【0054】
43は回転軸取付ブラケットであって、ケースキャップ45の下の位置で回転軸35に取付けられている。下端部にはフランジ65が一体に形成されている。
【0055】
39は螺旋翼であって、この螺旋翼39は、螺旋軸46と螺旋羽根47で構成されている。螺旋軸46の上端部にフランジ66が一体に形成されており、このフランジ66は回転軸取付ブラケット43のフランジ65に取付けられ、回転軸35の回転が螺旋軸46に伝達される。
【0056】
螺旋翼39は、図5に示すように、下部の先端部はホッパー13の下部に位置するように配置されている。
【0057】
螺旋羽根47は、螺旋軸46を取り巻くように形成されており、最上部の螺旋羽根47の外縁部から螺旋軸46までの距離が、ホッパー5直径に対し1割5分から1割6分の長さとなっており、下部になるにつれて螺旋軸46と螺旋羽根47の外縁部との距離が短くなる先細りの螺旋形状になっている。
【0058】
このような螺旋翼39を設けることにより、螺旋翼の1枚羽根の上部から下部まで螺旋を巻いている形状により、回転すると、螺旋羽根47上部真下にあるコンクリート材料が羽根に押え続けられながら隙間を通って羽根の下部へ降りていく形で落し口16にまで移動することにより(運ばれることにより)、従来のコンクリート材料の自然落下による、或いは、撹拌翼(羽根)を備えた補助装置併用による方法よりも、材料を効率良く落し込むことが可能となり、チャンバー12への充填率も高まることで、結果、コンクリート吹付に必要な安定した吐出量が得られる。特にローター回転速度が速い大容量のコンクリート吹付の時にはこの効果が顕著に現れる。
【0059】
またコンクリート材料が1枚の羽根で押え続けられることで、材料が連続してかき混ぜられることとなり撹拌効果が高まって均等に混ぜ合わさり、空気層によるムラの無い気密性が高い品質の良い材料に仕上がる。
【0060】
図1に示す48は振動発生装置であって、投入されたコンクリート材料が固まるのを振動によりほぐす効果を発揮するものである。振動発生装置48は、ホッパー13の側面に取付けられた振動発生装置取付台49に設置されている。
【0061】
67、68、69(図示せず)はホッパー支柱であって、それぞれ天端に防振ゴム51、52、53(図示せず)を間に挟み、それぞれホッパー13の上部の円筒部とロート状部の間の結合部材73に一体に設けられたブラケット70、71、72に接続されてホッパー13を支持している。間に防振ゴムを挟むのは、振動発生装置48で発生した振動をホッパー13以外に伝わらないようにするためである。
【0062】
次に、本発明のローター式コンクリート吹付機の使用方法について説明する。
【0063】
まず、ローター3を固定するために3箇所あるテンションスピンドル54、55、56(図示せず)を適正トルクにて締付け、圧力計(図示せず)にてエアー元圧が約0.7Mpaになっていることを確認し、ローター式コンクリート吹付機を立ち上げるためローター装置制御盤5にあるインバーター電源スイッチを入れる。
【0064】
次に、モーター及び減速機制御盤42にてインバーター制御電源スイッチを入れる。
【0065】
次に、モーター4を作動させローター3を回転させる。同時に振動発生装置48及びローター回転抵抗低減装置6を作動させ、併せてモーター36を作動させ螺旋翼39を回転させる。そして、この螺旋翼39の回転数をモーター36の回転制御用ボリュームスイッチ(図示せず)にて調整することにより、状況に応じた吐出量に合わせるようにする。
【0066】
また、モーター及び減速機制御盤42内の連動スイッチで各装置の電源操作スイッチを自動設定にしておくことにより、モーター4を回転させると、振動発生装置48、ローター回転抵抗低減装置6が作動し、併せてモーター36を回転させ、螺旋翼39を回転させることもできる。
【0067】
最大の効果を発揮する各設定値は以下の通りである。モーター4用インバーター表示周波数は80Hzとし、ローター3の回転数は16回転/分とし、吹付能力設定値(ボリューム)は9とし、メイン空気圧は0.4Mpaとし、送り空気圧は0.4Mpaとし、モーターの電圧はAC440Vとし、エアー元圧は0.7Mpaとし、モーター36のインバーター表示周波数は100Hzとし、回転軸35の回転数は100回転/分とし、能力設定値は(ボリューム)9.2とし、螺旋翼39用のモーター電圧はAC440Vとする。
【0068】
以上、各装置のキャリブレーションが完了すると、次にホッパー13内にコンクリート材料を投入する。
【0069】
まず、ホッパー13内にコンクリート材料が吹付に必要な適切な量まで投入すると、螺旋翼39の回転による撹拌作用により材料がかき混ざる。これにより骨材とセメントが均等に混ぜ合わさり、空気層によるムラが無く気密性が高い、より流動性のある材料に仕上がる。
【0070】
次に、仕上がったコンクリート材料は、螺旋翼39の前述の螺旋羽根47の形状が生み出す材料を下へ押え続け移動させる作用により、従来を超える速度と推進力で、ローター3の回転に合わせて8個あるチャンバー12に順次充填される。
【0071】
次に、各チャンバー12にコンクリート材料が充填されたままローター3の回転させている状態で、メインのエアー配管14のバルブを開き、圧送圧力を0.4Mpaを目安に落しのエアー配管19のバルブと送りのエアー配管20のバルブを開く。
【0072】
次に落しのエアー配管19から送られた圧縮空気(エアー)により、コンクリート材料がエアーチャンバー17に落ち込み、次に送りのエアー配管20から送られた圧縮空気(エアー)がエアーチャンバー17内に入ったコンクリート材料を、吐出口21に接続した配管(図示せず)を通って吹付ノズル(図示せず)迄圧送する。
【0073】
以後は、ローター3と螺旋翼39を回転させたまま、且つ、落しのエアー配管19及び送りのエアー配管20により圧縮空気を送り続けた状態で、必要な量までコンクリート材料の投入を続け、このサイクルを連続し材料を圧送して吹付する。
【0074】
本発明により、従来に比べてチャンバー12内への充填率比において16~26%向上し、コンクリート材料の圧送能力が高まることで、大容量のコンクリート吹付でローター3の回転速度が上がってもコンクリート材料の充填が追い付き対応可能となる。
【0075】
また追加の実施形態として、図4に記載の通り、螺旋羽根47より螺旋軸46より上部に攪拌羽根57を備える。
【0076】
撹拌羽根57の形状としては、平面の板状のものとすることでより攪拌性が増す。更にこの板状の上部を回転方向に対して前傾とし、回転方向における前面側の作用面が斜め下方にむけることで、ホッパー13の落し口16に向けての加圧効果が上がる。
【0077】
更に追加の実施の形態として、コンクリート材料加圧時に螺旋翼39とホッパー13の隙間に材料が逃げ加圧不足が生じる場合は、図5に記載の通りホッパー13の内部にホッパー入口15の曲線縁に沿った形状の逆流防止プレート58を設けることもできる。
【符号の説明】
【0078】
1 ベース
2 駆動部
3 ローター
4 モーター
5 ローター装置制御盤
6 ローター回転抵抗低減装置
7 開口部
8 ギヤーボックス
9 トランスミッション
10 モーター回転軸
11 ローター回転軸
12 チャンバー
13 ホッパー
14 メインのエアー配管
15 ホッパー入口
16 落し口
17 エアーチャンバー
18 送り口
19 落しのエアー配管
20 送りのエアー配管
21 吐出口
22 架台
23、25 支柱ベース
26 支柱
27、28、29、30 支柱頭繋ぎ
32 リブ
33 モーター取付台
34 減速機
35 回転軸
36 モーター
37 穴
39 螺旋翼
42 モーター及び減速機装置制御盤
43 回転軸取付ブラケット
44 ベアリングケース
45 ケースキャップ
46 螺旋軸
47 螺旋羽根
48 振動発生装置
49 振動発生装置取付台
51、52 防振ゴム
54、55 テンションスピンドル
57 撹拌羽根
58 逆流防止プレート
59、60、61 矢印
62、63 矢印
64 入力軸
65、66 フランジ
67、68 ホッパー支柱
70、71、72 ブラケット
73 結合部材
74 ナット
77 押え板
80 ホッパー台
81 上部ジョイントプレート
82、83 ゴムプレート
84 下部ジョイントプレート
85 ホッパー台軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7