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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093305
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20230627BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20230627BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20230627BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230627BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20230627BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230627BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230627BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H01L21/52 A
H01L21/78 Q
H01L29/91 Z
H01L29/06 301M
H01L29/06 301V
H01L29/91 A
H01L21/02 C
H01L29/78 652L
H01L29/78 653C
H01L21/60 311Q
H01L21/60 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129700
(22)【出願日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2021207807
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】隠塚 信次
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
5F063
【Fターム(参考)】
5F044EE13
5F047AA17
5F047BA01
5F047CB03
5F063BA45
5F063CB03
5F063CB06
5F063CB12
5F063CB16
5F063CB22
5F063CB27
5F063CC22
5F063DD26
5F063DD46
(57)【要約】
【課題】実装基板に対するボンディング強度を向上させた半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、半導体部と、第1電極と、第2電極と、を備える。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、を含む。前記第1電極は、前記半導体部の表面上に設けられる。前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられる。前記第2電極は、前記半導体部の前記表面とは反対側の裏面上に設けられ、前記裏面の外縁から外側に延びた延出部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、を含む半導体部と、
前記半導体部の表面上に設けられた第1電極であって、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられる、第1電極と、
前記半導体部の前記表面とは反対側の裏面上に設けられ、前記裏面の外縁から外側に延びた延出部を含む第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記第2電極の前記延出部は、前記半導体部の前記裏面の外縁に沿って延在し、前記第2電極における前記半導体部の前記裏面に接する領域を囲む請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記半導体部の前記裏面全体に接する請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2電極は、前記半導体部の前記裏面の外縁に接する請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2電極の前記延出部は、前記半導体部の前記裏面に平行な方向に延びる請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記半導体部中に位置する制御電極をさらに備え、
前記制御電極は、前記第1半導体層および前記第2半導体層に第1絶縁膜を介して向き合い、前記第1電極に第2絶縁膜を介して向き合い、
前記半導体層は、前記第1導電形の第3半導体層をさらに含み、前記第3半導体層は、前記第1電極と前記第2半導体層との間に部分的に設けられ、前記第1絶縁膜に接する請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体ウェーハの裏面上に設けられた金属膜を分断し、前記裏面上に複数の電極を形成する工程と、
前記半導体ウェーハの前記裏面とは反対側の表面から前記裏面に至る溝を形成し、前記半導体ウェーハを前記複数の電極のそれぞれを有する半導体チップに分割する工程と、を備え、
前記半導体ウェーハの前記裏面上において、前記複数の電極は、前記裏面に平行な第1方向に並び、
前記溝は、前記半導体ウェーハの前記表面から前記複数の電極間のスペースに連通し、
前記溝の前記第1方向における幅は、前記第1方向において隣り合う2つの電極間の幅よりも広い半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記溝は、前記半導体ウェーハをエッチングし、前記電極をエッチングしないか、または、前記電極のエッチング速度が前記半導体ウェーハのエッチング速度よりも遅い条件下のドライエッチングにより形成される請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記半導体ウェーハの前記表面に設けられるダイシングラインに沿って走査されるレーザ光を照射することにより、前記金属膜を分断する請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装基板上にマウントされる半導体装置のボンディング強度は、ボンディング面における、電極とはんだ材等の接続部材との間の接続強度に左右される。電極と接続部材との間の接続強度を向上させるためには、電極と接続部材の間の接続面積を広げることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-15851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、実装基板に対するボンディング強度を向上させた半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体部と、第1電極と、第2電極と、を備える。前記半導体部は、第1導電型の第1半導体層と、第2導電型の第2半導体層と、を含む。前記第1電極は、前記半導体部の表面上に設けられる。前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられる。前記第2電極は、前記半導体部の前記表面とは反対側の裏面上に設けられ、前記裏面の外縁から外側に延びた延出部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置のボンディング面を示す模式平面図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の製造に用いられる半導体ウェーハを示す模式平面図である。
図4】実施形態に係る半導体装置の製造過程を示す模式断面図である。
図5図4に続く製造過程を示す模式断面図である。
図6】比較例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
図7】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。半導体装置1は、例えば、ダイオードである。なお、実施形態は、ダイオードに限定される訳ではなく、MOSFET等であっても良い。
【0010】
図1に示すように、半導体装置1は、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、を備える。半導体部10は、例えば、シリコンである。第1電極20は、半導体部10の表面10F上に設けられる。第1電極20は、例えば、アノード電極である。第2電極30は、表面10Fの反対側の裏面10B上に設けられる。第2電極30は、例えば、カソード電極である。
【0011】
半導体部10は、例えば、第1導電形の第1半導体層13と、第2導電形の第2半導体層15と、を含む。第1導電形は、例えば、n形である。第2導電形は、例えば、p形である。
【0012】
第1半導体層13は、第1電極20と第2電極30との間に延在する。第2半導体層15は、第1半導体層13と第1電極20との間に設けられ、第1電極20に電気的に接続される。第2半導体層15は、例えば、p形アノード層である。
【0013】
半導体装置1は、絶縁膜21をさらに備える。絶縁膜21は、半導体部10の表面10Fを部分的に覆う。絶縁膜21は、例えば、第2半導体層15の外縁を覆う。第1電極20は、絶縁膜21に設けられたコンタクトホールを介して、第2半導体層15に電気的に接続される。
【0014】
第2電極30は、半導体部10の裏面10Bを覆い、第1半導体層13に電気的に接続される。第2電極30は、半導体部10の裏面10Bの外縁から外側に延びる延出部30eを含む。延出部30eは、裏面10Bの外縁から裏面10Bに平行な方向、例えば、X向および-X方向に延出する。また、延出部30eは、例えば、第2電極30の半導体部10に接する領域と同じ厚さを有する。
【0015】
図2は、実施形態に係る半導体装置1のボンディング面を示す模式平面図である。図2は、第2電極30の半導体部10に接する表面とは反対側の裏面を表している。
【0016】
図2に示すように、第2電極30は、半導体部10の裏面10Bの全体を覆う。第2電極30の延出部30eは、裏面10Bの外縁に沿って広がり、裏面10Bに接する領域を囲むように設けられる。言い換えれば、延出部30eは、裏面10Bに平行な平面視において、半導体部10を囲むように設けられる。このような延出部30eを設けることにより、第2電極30のボンディング面が拡大され、半導体装置1のボンディング強度を高くすることができる。
【0017】
図3は、実施形態に係る半導体ウェーハ50を示す模式平面図である。半導体ウェーハ50は、半導体装置1の製造に用いられる。半導体ウェーハ50は、例えば、n形シリコンウェーハである。図2は、半導体ウェーハ50の表面50Fを示している。
【0018】
半導体ウェーハ50の表面50F上には、複数の第1電極20および複数の絶縁膜21が設けられる。第1電極20および絶縁膜21は、それぞれ、X方向およびY方向に並ぶ。隣り合う絶縁膜21の間には、ダイシングラインDLが設けられる。ダイシングラインDLは、例えば、X方向およびY方向に延在する。
【0019】
次に、図4(a)~図5(c)を参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。図4(a)~図5(c)は、実施形態に係る半導体装置1の製造過程を示す模式断面図である。
【0020】
図4(a)は、図3中に示すA-A線に沿った、半導体ウェーハ50の断面図である。半導体ウェーハ50の表面50F側には、複数の第2半導体層15が設けられる。また、絶縁膜21は、第2半導体層15を覆うように設けられる。第1電極20は、絶縁膜21上に設けられ、絶縁膜21に設けられたコンタクトホールを介して、第2半導体層15に電気的に接続される。第1電極20は、例えば、チタニウム(Ti)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、アルミニウムシリコン(AlSi)、金(Au)、パラジウム(Pd)のうちの少なくとも1つを含む。絶縁膜21には、例えば、シリコン酸化膜、ポリイミド等を用いることができる。
【0021】
半導体ウェーハ50は、裏面50B側を、例えば、研削もしくはエッチングすることにより薄層化される。半導体ウェーハ50は、例えば、150マイクロメートル(μm)以下の厚さに薄層化される。
【0022】
続いて、半導体ウェーハ50の裏面上に、金属膜33が形成される。金属膜33は、例えば、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、AlSi、金(Au)、銀(Ag)、AuAg、銅(Cu)のうちの少なくとも1つを含む。金属膜33は、例えば、スパッタ法、めっき法を用いて形成される。
【0023】
図4(b)に示すように、樹脂シート53の上に、薄層化された半導体ウェーハ50が貼り付けられる。樹脂シート53は、半導体ウェーハ50の表面50F側に貼り付けられる。樹脂シート53は、ポリオレフィン、PET、塩化ビニル等を含む。樹脂シート53は、例えば、アクリル系粘着材を介して、半導体ウェーハ50に貼り付けられる。
【0024】
続いて、金属膜33上に保護膜35が形成される。保護膜35は、例えば、樹脂部材を塗布し、硬化させることにより形成される。保護膜35は、例えば、ポリビニルアルコール、ホリエチレングリコール、ポリグリセリン等を含む。また、保護膜35は、フォトレジスト膜でも良い。
【0025】
図4(c)に示すように、半導体ウェーハ50の裏面50B上において、金属膜33および保護膜35を分断する。例えば、レーザ光LL1を照射することにより、溝Gr1を形成し、金属膜33および保護膜35を分断する。レーザ光LL1は、例えば、ダイシングラインDL(図3参照)に沿って走査され、溝Gr1は、表面50F側のダイシングラインDLに沿って延在する。これにより、金属膜33は、複数の第2電極30に分離される。
【0026】
また、保護膜35は、フォトリソグラフィを用いてパターニングされても良い。その後、保護膜35をマスクとして金属膜33をエッチングすることにより、複数の第2電極30を半導体ウェーハ50の裏面50B上に形成しても良い。その場合、金属膜33は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)またはウェットエッチングを用いて選択的に除去される。
【0027】
続いて、第2電極30(金属膜33)上の保護膜35を除去する。保護膜35が水溶性の樹脂である場合、保護膜35は、水洗により除去される。また、保護膜35がフォトレジストの場合、保護膜35は、例えば、酸素アッシングにより除去される。
【0028】
図5(a)に示すように、半導体ウェーハ50の裏面50B上に樹脂シート55を貼り付けた後、表面50F側の樹脂シート53を剥離する。樹脂シート55は、例えば、樹脂シート53と同じ材料を含む。
【0029】
さらに、半導体ウェーハ50の表面50F上に保護膜25を形成する。保護膜25は、表面50F上において、第1電極20および絶縁膜21を覆う。保護膜25は、例えば、樹脂部材を塗布し、硬化させることにより形成される。保護膜25は、例えば、ポリビニルアルコール、ホリエチレングリコール、ポリグリセリン等を含む。また、保護膜25は、フォトレジスト膜でも良い。
【0030】
図5(b)に示すように、例えば、レーザ光LL2を照射することにより、保護膜25を分断する。レーザ光LL2は、ダイシングラインDL(図3参照)に沿って走査され、溝Gr2を形成し、保護膜25を分断する。レーザ光LL2のスポット径は、レーザ光LL1(図4(c)参照)のスポット径よりも大きい。このため、溝Gr2の幅は、溝Gr1の幅よりも広くなる。また、レーザ光LL2は、半導体ウェーハ50の一部を除去するように照射される。これにより、ダイシングラインDL上の位置合わせマークやモニタパターン等が除去され、溝Gr2の底面に半導体ウェーハ50の表面50Fが露出される。また、保護膜25は、フォトリソグラフィを用いてパターニングされても良い。
【0031】
図5(c)に示すように、保護膜25をマスクとして半導体ウェーハ50をエッチングし、溝Gr3を形成する。半導体ウェーハ50は、例えば、ドライエッチングを用いて、選択的に除去される。また、半導体ウェーハ50は、ウェットエッチングにより選択的に除去されても良い。溝Gr3は、ダイシングラインDL(図3参照)に沿って、例えば、X方向、Y方向に延在するように形成される。半導体ウェーハ50は、溝Gr3により複数の半導体部10に分断され、複数の半導体装置1にチップ化される。
【0032】
溝Gr3は、半導体ウェーハ50の表面50Fから裏面50Bに至る深さを有する。溝Gr3は、裏面50B上において隣り合う第2電極30の間のスペース(溝Gr1)に連通するように設けられる。溝Gr3の幅は、溝Gr1の幅よりも広い。このため、半導体部10の裏面10Bの外縁に沿って第2電極30の延出部30eが形成される。延出部30eは、裏面10B(図1参照)に平行な方向に延出するように形成される。
【0033】
半導体ウェーハ50は、例えば、第2電極30をエッチングしないか、第2電極30のエッチング速度が半導体ウェーハ50のエッチング速度よりも遅い条件下においてエッチングされる。
【0034】
さらに、実施形態に係る製造方法では、溝Gr3を形成することにより、レーザ光LL1(図4(c)参照)により溝Gr1の底面に形成されるダメージ層が除去される。また、レーザ光LL2(図5(b)参照)の照射により溝Gr2の底面に形成されるダメージ層も、溝Gr3の形成過程において除去される。すなわち、レーザ光LL1およびLL2の照射により生じる半導体部10ダメージ層を除去することができる。
【0035】
続いて、第1電極20および絶縁膜21を覆う保護膜25を除去する。保護膜25が水溶性の樹脂である場合、保護膜25は、水洗により除去される。また、保護膜25がフォトレジストの場合、保護膜25は、例えば、酸素アッシングにより除去される。
【0036】
図6は、比較例に係る半導体装置2を示す模式断面図である。半導体装置2は、例えば、ダイシングブレードを用いて半導体ウェーハ50をチップ化することにより形成される。このため、半導体ウェーハ50の裏面50B上に形成される金属膜33(図4(b)参照)もダイシングブレードを用いて切断される。
【0037】
半導体装置2では、第2電極30の外縁において、例えば、半導体部10の裏面10Bに垂直な方向に延びるバリ30fが生じる場合がある。バリ30fは、第2電極30を構成する金属の延性により、第2電極30の一部がダイシングブレードの回転方向に延ばされることにより生じる。このようなバリ30fは、例えば、半導体装置2を実装基板上にボンディングする際に、第2電極30と実装基板との間に隙間を生じさせ、接合部材中のボイドなどの要因となる。結果として、半導体装置2のボンディング強度を低下させる。
【0038】
これに対し、実施形態に係る半導体装置1では、第2電極30の延出部30eは、半導体部10の裏面10Bに平行な方向に延出する。このため、延出部30eが半導体装置1を実装基板上にボンディングする際の障害になることはない。また、延出部30eは、半導体装置1のボンディング面を拡張し、ボンディング強度を向上させる。
【0039】
図7は、実施形態の変形例に係る半導体装置3を示す模式断面図である。半導体装置3は、例えば、MOSFETである。
【0040】
図7に示すように、半導体装置3は、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、制御電極40を備える。第1電極20は、半導体部10の表面10F上に設けられる。第1電極20は、例えば、ソース電極である。第2電極30は、半導体部10の裏面10B上に設けられる。第2電極30は、例えば、ドレイン電極である。
【0041】
半導体部10は、例えば、第1導電形の第1半導体層13と、第2導電形の第2半導体層15と、第1導電形の第3半導体層16と、第1導電形の第4半導体層17と、を含む。
【0042】
この例では、第1半導体層13は、例えば、n形ドリフト層である。第1半導体層13は、第1電極20と第2電極30との間に延在する。第2半導体層15は、例えば、p形ボディ層である。第2半導体層15は、第1半導体層13と第1電極20との間に設けられる。第3半導体層16は、例えば、n形ソース層である。第3半導体層16は、第2半導体層13と第1電極20との間において、第2半導体層15上に部分的に設けられる。第4半導体層17は、例えば、n形ドレイン層である。第4半導体層17は、第1半導体層13と第2電極30との間に設けられる。
【0043】
制御電極40は、第1電極20と第2電極30との間に設けられる。制御電極40は、半導体部10中において、第1絶縁膜43を介して、第1半導体層13および第2半導体層15に向き合うように設けられる。また、制御電極40は、第2絶縁膜45を介して、第1電極20に向き合うように設けられる。制御電極40は、例えば、ゲート電極である。第1絶縁膜43は、例えば、ゲート絶縁膜である。第2絶縁膜45は、例えば、層間絶縁膜である。
【0044】
第3半導体層16は、第1絶縁膜43に接し、第2半導体層15は、第1半導体層13と第3半導体層16との間において、第1絶縁膜を介して、制御電極40に向き合う。第1電極20は、第2半導体層15および第3半導体層16に電気的に接続される。
【0045】
第2電極30は、半導体部10の裏面10Bを覆い、第4半導体層17に電気的に接続される。この例でも、第2電極30は、半導体部10の裏面10Bの外縁から外側に延びる延出部30eを含む。延出部30eは、裏面10Bの外縁から裏面10Bに平行な方向、例えば、X向および-X方向に延出する。また、延出部30eは、例えば、第2電極30の半導体部10に接する領域と同じ厚さを有する。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
(付記1)
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、を含む半導体部と、
前記半導体部の表面上に設けられた第1電極であって、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられる、第1電極と、
前記半導体部の前記表面とは反対側の裏面上に設けられ、前記裏面の外縁から外側に延びた延出部を含む第2電極と、
を備えた半導体装置。
(付記2)
前記第2電極の前記延出部は、前記半導体部の前記裏面の外縁に沿って延在し、前記第2電極における前記半導体部の前記裏面に接する領域を囲む付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記第2電極は、前記半導体部の前記裏面全体に接する付記1または2に記載の半導体装置。
(付記4)
前記第2電極は、前記半導体部の前記裏面の外縁に接する付記1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記5)
前記第2電極の前記延出部は、前記半導体部の前記裏面に平行な方向に延びる付記1乃至4のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記6)
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記半導体部中に位置する制御電極をさらに備え、
前記制御電極は、前記第1半導体層および前記第2半導体層に第1絶縁膜を介して向き合い、前記第1電極に第2絶縁膜を介して向き合い、
前記半導体層は、前記第1導電形の第3半導体層をさらに含み、前記第3半導体層は、前記第1電極と前記第2半導体層との間に部分的に設けられ、前記第1絶縁膜に接する付記1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記7)
半導体ウェーハの裏面上に設けられた金属膜を分断し、前記裏面上に複数の電極を形成する工程と、
前記半導体ウェーハの前記裏面とは反対側の表面から前記裏面に至る溝を形成し、前記半導体ウェーハを前記複数の電極のそれぞれを有する半導体チップに分割する工程と、を備え、
前記半導体ウェーハの前記裏面上において、前記複数の電極は、前記裏面に平行な第1方向に並び、
前記溝は、前記半導体ウェーハの前記表面から前記複数の電極間のスペースに連通し、
前記溝の前記第1方向における幅は、前記第1方向において隣り合う2つの電極間の幅よりも広い半導体装置の製造方法。
(付記8)
前記溝は、前記半導体ウェーハをエッチングし、前記電極をエッチングしないか、または、前記電極のエッチング速度が前記半導体ウェーハのエッチング速度よりも遅い条件下のドライエッチングにより形成される付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)
前記半導体ウェーハの前記表面に設けられるダイシングラインに沿って走査されるレーザ光を照射することにより、前記金属膜を分断する付記7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0048】
1、2…半導体装置、 10…半導体部、 10B、50B…裏面、 10F、50F…表面、 13…第1半導体層、 15…第2半導体層、 16…第3半導体層、 17…第4半導体層、 20…第1電極、 21…絶縁膜、 25、35…保護膜、 30…第2電極、 30e…延出部、 30f…バリ、 33…金属膜、 40…制御電極、 43…第1絶縁膜、 45…第2絶縁膜、 50…半導体ウェーハ、 53、55…樹脂シート、 DL…ダイシングライン、 Gr1、Gr2、Gr3…溝、 LL1、LL2…レーザ光
図1
図2
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図5
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図7