(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093309
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】折割治具及び折割加工方法
(51)【国際特許分類】
C03B 33/027 20060101AFI20230627BHJP
C03B 33/03 20060101ALI20230627BHJP
C03B 33/033 20060101ALI20230627BHJP
C03B 33/037 20060101ALI20230627BHJP
C03B 33/04 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C03B33/027
C03B33/03
C03B33/033
C03B33/037
C03B33/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132172
(22)【出願日】2022-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2021207866
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015FA03
4G015FA04
4G015FB01
4G015FC02
4G015FC04
4G015FC05
4G015FC07
4G015FC11
4G015FC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】θ軸サーボモータや伝達部材を利用することなく、折割加工において折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ容易に変えることができる折割治具を提供する。
【解決手段】第1及び第2折割治具83a,83bでは、折割カッターホイール92の上下方向へ延びるカッターホイール軸線O3が折割カッターホルダー91の上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイールが折割カッターホルダーに対してカッターホイール軸線O3の周り方向へ360°回転可能である。第1及び第2折割治具は、それがガラス板の縁部の上面に平行して上面を所定の方向へわずかに走行することで、ガラス板の縁部の上面に当接する折割カッターホイールがカッターホイール軸線O3の周り方向へ回転し、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になる。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象のガラス板の縁部を折割る折割装置に設置される折割治具において、
前記折割治具が、前記ガラス板の縁部に端切線(スクライブ)を形成する折割カッターホイールと、前記折割カッターホイールの上方に位置して該折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとから形成され、
前記折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線が、前記折割カッターホルダーの上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯し、前記折割カッターホイールが、前記折割カッターホルダーに対して前記カッターホイール軸線の周り方向へ360°回転可能であり、
前記折割治具は、それが前記ガラス板の縁部の上面に平行して該上面を所定の方向へ走行することで、前記ガラス板の縁部の上面に当接する前記折割カッターホイールが前記カッターホイール軸線の周り方向へ回転し、該折割カッターホイールの転動方向が前記折割治具の走行方向と同一になることを特徴とする折割治具。
【請求項2】
前記折割治具が、前記折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、前記折割治具では、前記ガラス板の縁部に対する端切線の形成時に、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーが前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降するとともに前記折割カッターホイールが該ガラス板の縁部の上面に当接し、前記折割治具が所定の方向へ向かって走行して前記折割カッターホイールの転動方向が該折割治具の走行方向と同一になった後、前記折割治具が所定の方向へ走行することで該折割カッターホイールが該折割治具の走行方向に沿って前記ガラス板の縁部に端切線を形成する請求項1に記載の折割治具。
【請求項3】
前記折割治具は、前記ガラス板の縁部の所定のエリアに初回の前記端切線を形成した後、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーが前記ガラス板の縁部の上面から上昇する上昇動作と、前記折割カッターホルダーが上昇した後、前記折割治具が前記ガラス板の縁部の次回の端切線形成エリアに移動する移動動作と、前記折割治具が前記次回の端切線形成エリアに移動した後、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーが前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降する下降動作と、前記折割カッターホルダーが下降した後、前記折割治具が所定の方向へ向かって走行して前記折割カッターホイールの転動方向が該折割治具の走行方向へ変わる転動方向変更動作と、前記折割カッターホイールの転動方向が該折割治具の走行方向と同一になった後、前記折割治具が所定の方向へ走行して前記折割カッターホイールが該折割治具の走行方向に沿って前記ガラス板の縁部に端切線を形成する端切線形成動作とを繰り返す請求項2に記載の折割治具。
【請求項4】
前記転動方向変更動作が、前記ガラス板の縁部のうちの該ガラス板本体の外形切出線を含むその近傍の転動方向変更位置又は該ガラス板の縁を含むその近傍の転動方向変更位置において前記折割治具を前記端切線の始点の方向に向かって走行させることで、前記折割カッターホイールの転動方向を前記ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える請求項3に記載の折割治具。
【請求項5】
前記転動方向変更動作が、前記転動方向変更位置において転動方向変更始点から前記端切線の始点に向かって前記折割治具に円軌跡を画かせることで、前記折割カッターホイールの転動方向を前記ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える請求項4に記載の折割治具。
【請求項6】
前記転動方向変更動作が、前記ガラス板の縁部の端切線の延びる方向と前記端切線の始点に向かう前記折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、前記転動方向変更位置において前記折割治具を転動方向変更始点から前記端切線の始点に向かって直線状に走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記仮想端切線の延びる方向へ変えた後、前記端切線の始点において前記折割治具の走行方向を前記90°以下の角度で該端切線の延びる方向へ方向転換させ、前記折割治具を該端切線の延びる方向へ走行させる請求項4に記載の折割治具。
【請求項7】
前記転動方向変更動作が、前記転動方向変更位置において前記ガラス板の縁部の端切線に沿って前記折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、前記転動方向変更位置において前記折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって前記端切線上を走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記仮想端切線の延びる方向へ変えた後、前記端切線の始点において前記折割治具を反転させて該端切線の延びる方向へ該折割治具の走行方向を方向転換させ、前記折割治具を前記端切線の延びる方向へ走行させる請求項4に記載の折割治具。
【請求項8】
前記折割治具が、前記端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧する押圧部材と、前記押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、前記折割治具では、前記折割カッターホイールによって前記ガラス板の縁部に端切線が形成された後、前記押圧部材が前記第2昇降機構によって前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降するとともに該押圧部材が該ガラス板の縁部を下方に向かって押圧し、前記ガラス板の本体から該ガラス板の縁部を折割る請求項1ないし請求項7いずれかに記載の折割治具。
【請求項9】
前記押圧部材が、その中央に開口する貫通部を有し、前記折割カッターホイールが、前記押圧部材の貫通部に位置し、前記折割治具では、前記第2昇降機構によって前記折割カッターホルダーが前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降したときに前記折割カッターホイールが前記押圧部材の貫通部から下方へ露出する請求項8に記載の折割治具。
【請求項10】
前記押圧部材が、前記ガラス板の上面と平行するプレートと、底面に平行な面で頭部が切り取られた截頭半球体状に成形されて前記プレートの下面に固定された押圧ゴムとから形成され、前記貫通部が、前記プレートの中央と前記押圧ゴムの中央とに形成されている請求項9に記載の折割治具。
【請求項11】
折割治具を設置した折割装置を利用し、加工対象のガラス板の縁部を折割る折割加工方法において、
前記折割治具が、前記ガラス板の縁部に端切線(スクライブ)を形成する折割カッターホイールと、前記折割カッターホイールの上方に位置して該折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとを有し、前記折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線が、前記折割カッターホルダーの上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯し、前記折割カッターホイールが、前記折割カッターホルダーに対して前記カッターホイール軸線の周り方向へ360°回転可能であり、
前記折割加工方法が、前記折割治具を前記ガラス板の縁部の上面に平行して該上面を所定の方向へ走行させ、前記ガラス板の縁部の上面に当接する前記折割カッターホイールを前記カッターホイール軸線の周り方向へ回転させ、該折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更する転動方向変更工程と、前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更した後、該折割カッターホイールが該折割治具の走行方向に沿って前記ガラス板の縁部に端切線を形成する端切線形成工程とを有することを特徴とする折割加工方法。
【請求項12】
前記折割治具が、前記折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、前記折割加工方法が、前記転動方向変更工程の前に、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーを前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降させるとともに前記折割カッターホイールを該ガラス板の縁部の上面に当接させるホルダー下降工程を含み、前記転動方向変更工程が、前記ホルダー下降工程によって前記折割カッターホイールを前記ガラス板の縁部の上面に当接させた後、前記折割治具を前記ガラス板の縁部の上面に平行して該上面を所定の方向へ走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記折割治具の走行方向へ変更する請求項11に記載の折割加工方法。
【請求項13】
前記折割加工方法が、前記端切線形成工程によって前記ガラス板の縁部の所定のエリアに初回の前記端切線を形成した後、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーを前記ガラス板の上面から上昇させるホルダー上昇工程と、前記ホルダー上昇工程によって前記折割カッターホルダーを上昇させた後、前記折割治具を前記ガラス板の縁部の次回の端切線形成エリアに移動させる治具移動工程とを含み、前記ホルダー下降工程が、前記治具移動工程によって前記折割治具を前記次回の端切線形成エリアに移動させた後、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーを前記次回の端切線形成エリアに延びる前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降させ、前記転動方向変更工程が、前記ホルダー下降工程によって前記折割カッターホルダーを下降させた後、前記折割治具を前記次回の端切線形成エリアにおける前記ガラス板の縁部の上面において所定の方向へ向かって走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を該折割治具の走行方向へ変更し、前記端切線形成工程が、前記転動方向変更工程によって前記折割カッターホイールの転動方向を該折割治具の走行方向へ変更した後、前記次回の端切線形成エリアにおいて前記折割治具を所定の方向へ走行させて該折割カッターホイールによって該次回の端切線形成エリアにおける前記ガラス板の縁部に端切線を形成する請求項12に記載の折割加工方法。
【請求項14】
前記転動方向変更工程が、前記ガラス板の縁部のうちの該ガラス板本体の外形切出線を含むその近傍の転動方向変更エリア又は該ガラス板の縁を含むその近傍の転動方向変更位置において前記折割治具を前記端切線の始点の方向に向かって走行させることで、前記折割カッターホイールの転動方向を前記ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える請求項13に記載の折割加工方法。
【請求項15】
前記転動方向変更工程が、前記転動方向変更位置において転動方向変更始点から前記端切線の始点に向かって前記折割治具に円軌跡を画かせることで、前記折割カッターホイールの転動方向を前記ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える請求項14に記載の折割加工方法。
【請求項16】
前記転動方向変更工程が、前記ガラス板の縁部の端切線の延びる方向と前記端切線の始点に向かう前記折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、前記転動方向変更位置において前記折割治具を転動方向変更始点から前記端切線の始点に向かって直線状に走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記仮想端切線の延びる方向へ変えた後、前記端切線の始点において前記折割治具の走行方向を前記90°以下の角度で該端切線の延びる方向へ方向転換させ、前記折割治具を該端切線の延びる方向へ走行させる請求項14に記載の折割加工方法。
【請求項17】
前記転動方向変更工程が、前記転動方向変更位置において前記ガラス板の縁部の端切線に沿って前記折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、前記転動方向変更位置において前記折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって前記端切線上を走行させ、前記折割カッターホイールの転動方向を前記仮想端切線の延びる方向へ変えた後、前記端切線の始点において前記折割治具を反転させて該端切線の延びる方向へ該折割治具の走行方向を方向転換させ、前記折割治具を前記端切線の延びる方向へ走行させる請求項14に記載の折割加工方法。
【請求項18】
前記折割治具が、前記端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧する押圧部材と、前記押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、前記折割加工方法が、前記折割カッターホイールによって前記ガラス板の縁部に端切線を形成した後、前記第2昇降機構によって前記押圧部材を前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降させるとともに該押圧部材によって該ガラス板の縁部を下方に向かって押圧させ、前記ガラス板の本体から該ガラス板の縁部を折割る折割加工工程を含む請求項11ないし請求項17いずれかに記載の折割加工方法。
【請求項19】
前記押圧部材が、その中央に開口する貫通部を有し、前記折割カッターホイールが、前記押圧部材の貫通部に位置し、前記ホルダー下降工程では、前記第1昇降機構によって前記折割カッターホルダーを前記ガラス板の縁部の上面に向かって下降させたときに該折割カッターホイールが前記押圧部材の貫通部から下方へ露出する請求項18に記載の折割加工方法。
【請求項20】
前記押圧部材が、前記ガラス板の上面と平行するプレートと、底面に平行な面で頭部が切り取られた截頭半球体状に成形されて前記プレートの下面に固定された押圧ゴムとから形成され、前記貫通部が、前記プレートの中央と前記押圧ゴムの中央とに形成されている請求項19に記載の折割加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓用ガラス板、液晶用ガラス板等の加工対象のガラス板の縁部を折割る折割装置に設置される折割治具に関するとともに、折割治具を設置した折割装置を利用し、加工対象のガラス板の縁部を折割る折割加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板を搬入する搬入コンベアと、搬入コンベアの前方に位置する切込加工エリアと、切込加工エリアの前方に位置する折割加工エリアと、折割加工エリアの前方に位置する研削加工エリアと、研削加工エリアの前方に位置する搬出コンベアと、ガラス板を搬入コンベアから各加工エリアに搬送する搬送機構と形成されたガラス板加工システムが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
このガラス板加工システムの切込加工エリアは、位置決めされたガラス板を載置した状態で幅方向へ移動する第1移動機構を有する切込加工テーブルと、前後方向へ移動可能な切込装置とを有する。切込加工エリアでは、切込装置が切込加工テーブルに載置されたガラス板の縁部の幅方向外方へ向かって前後方向後方へ移動した後、第1移動機構によって切込加工テーブルが切込装置に向かって幅方向へ移動し、切込装置を利用して切込加工テーブルに載置されたガラス板に外形切出線を形成する。折割加工エリアは、切込加工後の位置決めされたガラス板を載置する折割加工テーブルと、前後方向へ移動可能な折割装置とを有する。折割加工エリアでは、折割装置が折割加工テーブルに向かって前後方向後方へ移動した後、折割装置を利用して折割加工テーブルに載置されたガラス板の縁部に端切線(スクライブ)を形成するとともにガラス板の縁部を折割る。
【0004】
研削加工エリアは、折割加工後の位置決めされたガラス板本体を載置した状態で幅方向へ移動する第2移動機構を有する研削加工テーブルと、前後方向へ移動可能な研削装置とを有する。研削加工エリアでは、研削装置が研削加工テーブルに載置されたガラス板本体の縁部の幅方向外方へ向かって前後方向後方へ移動した後、第2移動機構によって研削加工テーブルが研削装置に向かって幅方向へ移動し、研削装置を利用して研削加工テーブルに載置されたガラス板本体の縁部を研削する。尚、切込加工と研削加工とは同期して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1に開示のガラス板加工システムの折割装置125は、
図31に示すように、折割治具126と、第1昇降機構127(エアーシリンダー)と、押圧ローラー128と、第2昇降機構129(エアーシリンダー)とから形成されている。折割治具126は、ガラス板の縁部に端切線を形成する折割カッターホイール130と、折割カッターホイール130の上方に位置して折割カッターホイール130を支持する折割カッターホルダー131とから形成されている。折割カッターホルダー131は、連結部を備えたホルダー本体と、ホルダー本体の先端に取り付けられたホルダーヘッドとを有する。折割カッターホルダー131は、θ軸サーボモータ132の回転により、上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して周り方向(軸回り)へ回転する。
【0007】
ホルダーヘッドは、ベアリングを介してホルダー本体に連結され、折割カッターホルダー131のカッターホルダー中心軸線に対して周り方向(θ方向)へ回転可能である。ホルダー本体には、カッターホルダー中心軸線の周り方向へのホルダーヘッドの回転を規制する回転角度規制ピンが挿入されている。回転角度規制ピンによってカッターホルダー中心軸線の周り方向へのホルダーヘッドの回転が5~10°に規制されている。折割カッターホイール130は、転動軸を介してホルダーヘッドの先端に回転可能に取り付けられている。折割カッターホイール130の上下方向へ延びるカッターホイール軸線は、ホルダー本体のカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯している。
【0008】
特許文献1に開示のガラス板加工システムにおける折割加工は、以下のとおりである。折割装置125の折割治具126と押圧ローラー128とがX軸アクチュエーター及びY軸アクチュエーターによって前後方向(X方向)及び幅方向(Y方向)へ移動し、折割治具126の折割カッターホイール130がガラス板の外形切出線の外側近傍に位置し、押圧ローラー128がガラス板の外形切出線の外側の縁部に位置する。次に、θ軸サーボモータ132が回転することで、折割カッターホルダー131がカッターホルダー中心軸線の周り方向(θ方向)へ回転し、折割カッターホイール130の転動方向がガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向(折割治具126の移動方向)へ変わる。
【0009】
折割カッターホイール130の転動方向が仮想端切線の延びる方向(折割治具126の移動方向)と同一になった後、第1昇降機構127によって折割治具126がガラス板の上面に向かって下降し、折割カッターホイール130がガラス板の上面に当接する。次に、折割装置125がガラス板の縁部の縁に向かって移動し、折割カッターホイール130によってガラス板の縁部に端切線を形成する。ガラス板の縁部に端切線を形成した後、折割装置125の折割治具126がガラス板の縁部の所定の位置に移動する。次に、第2昇降機構129によって押圧ローラー128がガラス板の上面に向かって下降し、ガラス板の上面に当接した押圧ローラー128がガラス板の縁部を下方に押圧することで、ガラス板の本体からガラス板の縁部を折割る。
【0010】
特許文献1に開示のガラス板加工システムにおける折割加工では、θ軸サーボモータ132の回転により、折割カッターホイール130の転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ変えるが、ガラス板加工システムにθ軸サーボモータ132やその回転力を折割カッターホルダー131に伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置しなければならず、システムの小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができない。更に、折割加工においてθ軸サーボモータ132を回転させて折割カッターホイール130の転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)と同一にしなければならず、端切線の形成の度毎にθ軸サーボモータ132を用いて折割カッターホイール130の転動方向を変える必要があり、折割加工の短時間化及び効率化を図ることができない。
【0011】
本発明の目的は、θ軸サーボモータや伝達部材(プーリやベルト等)を利用することなく、折割加工において折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向(折割治具の移動方向)へ容易に変えることができ、小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる折割治具及び折割加工方法を提供することにある。本発明の他の目的は、折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる折割治具及び折割加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、加工対象のガラス板の縁部を折割る折割装置に設置される折割治具である。
【0013】
前記第1の前提における本発明の折割治具の特徴は、折割治具が、ガラス板の縁部に端切線(スクライブ)を形成する折割カッターホイールと、折割カッターホイールの上方に位置して折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとから形成され、折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線が、折割カッターホルダーの上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイールが、折割カッターホルダーに対してカッターホイール軸線の周り方向へ360°回転可能であり、折割治具は、それがガラス板の縁部の上面に平行して上面を所定の方向へ走行することで、ガラス板の縁部の上面に当接する折割カッターホイールがカッターホイール軸線の周り方向へ回転し、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になることにある。
【0014】
本発明の折割治具の一例としては、折割治具が、折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、折割治具では、ガラス板の縁部に対する端切線の形成時に、第1昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面に向かって下降するとともに折割カッターホイールがガラス板の縁部の上面に当接し、折割治具が所定の方向へ向かって走行して折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になった後、折割治具が所定の方向へ走行することで折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の縁部に端切線を形成する。
【0015】
本発明の折割治具の他の一例として、折割治具は、ガラス板の縁部の所定のエリアに初回の端切線を形成した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面から上昇する上昇動作と、折割カッターホルダーが上昇した後、折割治具がガラス板の縁部の次回の端切線形成エリアに移動する移動動作と、折割治具が次回の端切線形成エリアに移動した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面に向かって下降する下降動作と、折割カッターホルダーが下降した後、折割治具が所定の方向へ向かって走行して折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向へ変わる転動方向変更動作と、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になった後、折割治具が所定の方向へ走行して折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の縁部に端切線を形成する端切線形成動作とを繰り返す。
【0016】
本発明の折割治具の他の一例としては、転動方向変更動作が、ガラス板の縁部のうちのガラス板本体の外形切出線を含むその近傍の転動方向変更位置又はガラス板の縁を含むその近傍の転動方向変更位置において折割治具を端切線の始点の方向に向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える。
【0017】
本発明の折割治具の他の一例としては、転動方向変更動作が、転動方向変更位置において転動方向変更始点から端切線の始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える。
【0018】
本発明の折割治具の他の一例としては、転動方向変更動作が、ガラス板の縁部の端切線の延びる方向と端切線の始点に向かう折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具の走行方向を90°以下の角度で端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる。
【0019】
本発明の折割治具の他の一例としては、転動方向変更動作が、転動方向変更位置においてガラス板の縁部の端切線に沿って折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって端切線上を走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具を反転(360°Uターン)させて端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる。
【0020】
本発明の折割治具の他の一例としては、折割治具が、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧する押圧部材と、押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、折割治具では、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線が形成された後、押圧部材が第2昇降機構によってガラス板の縁部の上面に向かって下降するとともに押圧部材がガラス板の縁部を下方に向かって押圧し、ガラス板の本体からガラス板の縁部を折割る。
【0021】
本発明の折割治具の他の一例としては、押圧部材が、その中央に開口する貫通部を有し、折割カッターホイールが、押圧部材の貫通部に位置し、折割治具では、第2昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面に向かって下降したときに折割カッターホイールが押圧部材の貫通部から下方へ露出する。
【0022】
本発明の折割治具の他の一例としては、押圧部材が、ガラス板の上面と平行するプレートと、底面に平行な面で頭部が切り取られた截頭半球体状に成形されてプレートの下面に固定された押圧ゴムとから形成され、貫通部が、プレートの中央と押圧ゴムの中央とに形成されている。
【0023】
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、折割治具を設置した折割装置を利用し、加工対象のガラス板の縁部を折割る折割加工方法である。
【0024】
前記第2の前提における本発明の折割加工方法の特徴は、折割治具が、ガラス板の縁部に端切線(スクライブ)を形成する折割カッターホイールと、折割カッターホイールの上方に位置して折割カッターホイールを支持する折割カッターホルダーとを有し、折割カッターホイールの上下方向へ延びるカッターホイール軸線が、折割カッターホルダーの上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイールが、折割カッターホルダーに対してカッターホイール軸線の周り方向へ360°回転可能であり、折割加工方法が、折割治具をガラス板の縁部の上面に平行して上面を所定の方向へ走行させ、ガラス板の縁部の上面に当接する折割カッターホイールをカッターホイール軸線の周り方向へ回転させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更する転動方向変更工程と、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更した後、折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の縁部に端切線を形成する端切線形成工程とを有することにある。
【0025】
本発明の折割加工方法の一例としては、折割治具が、折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、折割加工方法が、転動方向変更工程の前に、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に向かって下降させるとともに折割カッターホイールをガラス板の縁部の上面に当接させるホルダー下降工程を含み、転動方向変更工程が、ホルダー下降工程によって折割カッターホイールをガラス板の縁部の上面に当接させた後、折割治具をガラス板の縁部の上面に平行して上面を所定の方向へ走行させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更する。
【0026】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、折割加工方法が、端切線形成工程によってガラス板の縁部の所定のエリアに初回の端切線を形成した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の上面から上昇させるホルダー上昇工程と、ホルダー上昇工程によって折割カッターホルダーを上昇させた後、折割治具をガラス板の縁部の次回の端切線形成エリアに移動させる治具移動工程とを含み、ホルダー下降工程が、治具移動工程によって折割治具を次回の端切線形成エリアに移動させた後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーを次回の端切線形成エリアに延びるガラス板の縁部の上面に向かって下降させ、転動方向変更工程が、ホルダー下降工程によって折割カッターホルダーを下降させた後、折割治具を次回の端切線形成エリアにおけるガラス板の縁部の上面において所定の方向へ向かって走行させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更し、端切線形成工程が、転動方向変更工程によって折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更した後、次回の端切線形成エリアにおいて折割治具を所定の方向へ走行させて折割カッターホイールによって次回の端切線形成エリアにおけるガラス板の縁部に端切線を形成する。
【0027】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、転動方向変更工程が、ガラス板の縁部のうちのガラス板本体の外形切出線を含むその近傍の転動方向変更エリア又はガラス板の縁を含むその近傍の転動方向変更位置において折割治具を端切線の始点の方向に向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える。
【0028】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、転動方向変更工程が、転動方向変更位置において転動方向変更始点から端切線の始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える。
【0029】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、転動方向変更工程が、ガラス板の縁部の端切線の延びる方向と端切線の始点に向かう折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具の走行方向を90°以下の角度で端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる。
【0030】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、転動方向変更工程が、転動方向変更位置においてガラス板の縁部の端切線に沿って折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって端切線上を走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具を反転(360°Uターン)させて端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる。
【0031】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、折割治具が、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧する押圧部材と、押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、折割加工方法が、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線を形成した後、第2昇降機構によって押圧部材をガラス板の縁部の上面に向かって下降させるとともに押圧部材によってガラス板の縁部を下方に向かって押圧させ、ガラス板の本体からガラス板の縁部を折割る折割加工工程を含む。
【0032】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、押圧部材が、その中央に開口する貫通部を有し、折割カッターホイールが、押圧部材の貫通部に位置し、ホルダー下降工程では、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に向かって下降させたときに折割カッターホイールが押圧部材の貫通部から下方へ露出する。
【0033】
本発明の折割加工方法の他の一例としては、押圧部材が、ガラス板の上面と平行するプレートと、底面に平行な面で頭部が切り取られた截頭半球体状に成形されてプレートの下面に固定された押圧ゴムとから形成され、貫通部が、プレートの中央と押圧ゴムの中央とに形成されている。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る折割治具によれば、折割カッターホイールのカッターホイール軸線が折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線に対して径方向外方へ偏芯しているから、折割治具が所定の方向へ走行(移動)するだけで、折割カッターホイールがカッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイールの転動方向を迅速かつ容易に変えることができる。折割治具は、折割治具がガラス板の縁部の上面に平行して上面を所定の方向へ走行することで、ガラス板の縁部の上面に当接する折割カッターホイールがカッターホイール軸線の周り方向へ回転し、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行(移動)方向と同一になるから、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させることができ、ガラス板の縁部における端切線形成の一連の動きのうちの初動において折割カッターホイールの転動方向と折割治具の走行方向とを同一にすることができる。折割治具は、それが前記特許文献1に開示のガラス板加工システムに使用された場合、システムにθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、システムの小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向(折割治具の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイールの転動方向を変える必要もないから、ガラス板加工システムにおける折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。
【0035】
折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、ガラス板の縁部に対する端切線の形成時に、第1昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面に向かって下降するとともに折割カッターホイールがガラス板の縁部の上面に当接し、折割治具が所定の方向へ向かって走行(移動)して折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行(移動)方向と同一になった後、折割治具が所定の方向へ走行(移動)することで折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の縁部に端切線を形成する折割治具は、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に当接させた後、折割治具を所定の方向へ向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向と同一にすることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に確実に一致させることができる。
【0036】
ガラス板の縁部の所定のエリアに初回の端切線を形成した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面から上昇する上昇動作と、折割カッターホルダーが上昇した後、折割治具がガラス板の縁部の次回の端切線形成エリアに移動する移動動作と、折割治具が次回の端切線形成エリアに移動した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面に向かって下降する下降動作と、折割カッターホルダーが下降した後、折割治具が所定の方向へ向かって走行(移動)して折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行(移動)方向へ変わる転動方向変更動作と、折割カッターホイールの転動方向が折割治具の走行方向と同一になった後、折割治具が所定の方向へ走行して折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の縁部に端切線を形成する端切線形成動作とを繰り返す折割治具は、加工対象のガラス板の縁部における各端切線形成エリアにおいて、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成エリアに端切線を入れることができ、短時間に複数の端切線をガラス板の縁部に効率よく形成することができる。
【0037】
ガラス板の縁部のうちのガラス板本体の外形切出線を含むその近傍の転動方向変更位置又はガラス板の縁を含むその近傍の転動方向変更位置において折割治具を端切線の始点の方向に向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える折割治具は、加工対象のガラス板の縁部における各端切線形成エリアの転動方向変更位置において、折割治具を端切線の始点の方向に向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させることができるから、それら端切線形成エリアに端切線を容易に入れることができ、短時間に複数の端切線をガラス板の縁部に効率よく形成することができる。
【0038】
転動方向変更位置において転動方向変更始点から端切線の始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える折割治具は、加工対象のガラス板の縁部における各端切線形成エリアの転動方向変更位置において、端切線の始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割治具は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0039】
ガラス板の縁部の端切線の延びる方向と端切線の始点に向かう折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具の走行方向を90°以下の角度で端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる折割治具は、ガラス板の縁部の端切線の延びる方向に対して90°以下の角度で折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具の走行方向を90°以下の角度で端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させることで、折割治具の走行方向を90°以下の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を仮想端切線の延びる方向へ走行させることで、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割治具は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0040】
転動方向変更位置においてガラス板の縁部の端切線に沿って折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって端切線上を走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具を反転させて端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる折割治具は、仮想端切線に沿って折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって仮想端切線上を走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具を反転させて端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させることで、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割治具は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0041】
端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧する押圧部材と、押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線が形成された後、押圧部材が第2昇降機構によってガラス板の縁部の上面に向かって下降するとともに押圧部材がガラス板の縁部を下方に向かって押圧し、ガラス板の本体からガラス板の縁部を折割る折割治具は、第2昇降機構によってガラス板の縁部の上面に当接した押圧部材がガラス板の縁部を下方に向かって押圧することで、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧部材によって確実に折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【0042】
押圧部材がその中央に開口する貫通部を有し、折割カッターホイールが押圧部材の貫通部に位置し、第2昇降機構によって折割カッターホルダーがガラス板の縁部の上面に向かって下降したときに折割カッターホイールが押圧部材の貫通部から下方へ露出する折割治具は、押圧部材が折割カッターホルダーの周り方向近傍に配置され、押圧部材が折割カッターホルダーの周り方向近傍からガラス板の縁部の上面に向かって下降することで、ガラス板の縁部を押圧部材によって確実に押圧することができ、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧部材によって確実に折割ることができる。折割治具は、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線を形成した後、折割治具を大きく走行(移動)させることなく押圧部材を下降させることで、端切線が形成されたガラス板の縁部を折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【0043】
押圧部材がガラス板の上面と平行するプレートと底面に平行な面で頭部が切り取られた截頭半球体状に成形されてプレートの下面に固定された押圧ゴムとから形成され、貫通部がプレートの中央と押圧ゴムの中央とに形成されている折割治具は、押圧部材の押圧ゴムが折割カッターホルダーの周り方向近傍に配置され、押圧ゴムが折割カッターホルダーの周り方向近傍からガラス板の縁部の上面に向かって下降することで、ガラス板の縁部を押圧ゴムによって確実に押圧することができ、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧ゴムによって確実に折割ることができる。折割治具は、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線を形成した後、折割治具を大きく走行(移動)させることなく押圧部材の押圧ゴムを下降させることで、端切線が形成されたガラス板の縁部を折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【0044】
本発明に係る折割加工方法によれば、折割治具をガラス板の縁部の上面に平行して上面を所定の方向へ走行(移動)させ、ガラス板の縁部の上面に当接する折割カッターホイールをカッターホイール軸線の周り方向へ回転させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行(移動)方向へ変更する転動方向変更工程と、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更した後、折割カッターホイールが折割治具の走行方向に沿ってガラス板の縁部に端切線を形成する端切線形成工程とを有するから、折割治具を所定の方向へ走行させ、折割カッターホイールをカッターホイール軸線の周り方向へ回転させることで、折割カッターホイールの転動方向を迅速かつ容易に変えることができる。折割加工方法は、折割治具をガラス板の縁部の上面に平行して所定の方向へ走行させることで、ガラス板の縁部の上面に当接する折割カッターホイールをカッターホイール軸線の周り方向へ回転させることができるから、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させることができ、ガラス板の縁部における端切線形成の一連の動きのうちの初動において折割カッターホイールの転動方向と折割治具の走行方向とを同一にすることができる。折割加工方法は、それが前記特許文献1に開示のガラス板加工システムに利用された場合、システムにθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、システムの小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向(折割治具の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイールの転動方向を変える必要もないから、ガラス板加工システムにおける折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。
【0045】
折割治具が折割カッターホルダーを上下方向へ昇降させる第1昇降機構を含み、転動方向変更工程の前に、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に向かって下降させるとともに折割カッターホイールをガラス板の縁部の上面に当接させるホルダー下降工程を含み、転動方向変更工程がホルダー下降工程によって折割カッターホイールをガラス板の縁部の上面に当接させた後、折割治具をガラス板の縁部の上面に平行して上面を所定の方向へ走行(移動)させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更する折割加工方法は、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に当接させた後、折割治具を所定の方向へ向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向と同一にすることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に確実に一致させることができる。
【0046】
端切線形成工程によってガラス板の縁部の所定のエリアに初回の端切線を形成した後、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の上面から上昇させるホルダー上昇工程と、ホルダー上昇工程によって折割カッターホルダーを上昇させた後、折割治具をガラス板の縁部の次回の端切線形成エリアに移動させる治具移動工程とを含み、治具移動工程によって折割治具を次回の端切線形成エリアに移動させた後、ホルダー下降工程が第1昇降機構によって折割カッターホルダーを次回の端切線形成エリアに延びるガラス板の縁部の上面に向かって下降させ、ホルダー下降工程によって折割カッターホルダーを下降させた後、転動方向変更工程が折割治具を次回の端切線形成エリアにおけるガラス板の縁部の上面において所定の方向へ向かって走行(移動)させ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行(移動)方向へ変更し、転動方向変更工程によって折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向へ変更した後、端切線形成工程が次回の端切線形成エリアにおいて折割治具を所定の方向へ走行させて折割カッターホイールによって次回の端切線形成エリアにおけるガラス板の縁部に端切線を形成する折割加工方法は、加工対象のガラス板の縁部における各端切線形成エリアにおいて、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成エリアに端切線を入れることができ、短時間に複数の端切線をガラス板の縁部に効率よく形成することができる。
【0047】
転動方向変更工程がガラス板の縁部のうちのガラス板本体の外形切出線を含むその近傍の転動方向変更エリア又はガラス板の縁を含むその近傍の転動方向変更位置において折割治具を端切線の始点の方向に向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える折割加工方法は、加工対象のガラス板の縁部における各端切線形成エリアの転動方向変更位置において、折割治具を端切線の始点の方向に向かって走行させることで、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に一致させることができるから、それら端切線形成エリアに端切線を容易に入れることができ、短時間に複数の端切線をガラス板の縁部に効率よく形成することができる。
【0048】
転動方向変更工程が転動方向変更位置において転動方向変更始点から端切線の始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、折割カッターホイールの転動方向をガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向へ変える折割加工方法は、加工対象のガラス板の縁部における各端切線形成エリアの転動方向変更位置において、端切線の始点に向かって折割治具に円軌跡を画かせることで、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の仮想端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割加工方法は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0049】
ガラス板の縁部の端切線の延びる方向と端切線の始点に向かう折割治具の走行方向とのなす角度が90°以下になるように、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具の走行方向を前記90°以下の角度で端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる折割加工方法は、ガラス板の縁部の端切線の延びる方向に対して90°以下の角度で折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって直線状に走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具の走行方向を90°以下の角度で端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させることで、折割治具の走行方向を90°以下の角度で仮想端切線の延びる方向へ方向転換させ、折割治具を仮想端切線の延びる方向へ走行させることで、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割加工方法は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0050】
転動方向変更位置においてガラス板の縁部の端切線に沿って折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、転動方向変更位置において折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって端切線上を走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具を反転させて端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させる折割加工方法は、仮想端切線に沿って折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって走行させ、又は、折割治具を転動方向変更始点から端切線の始点に向かって仮想端切線上を走行させ、折割カッターホイールの転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点において折割治具を反転させて端切線の延びる方向へ折割治具の走行方向を方向転換させ、折割治具を端切線の延びる方向へ走行させることで、カッターホイール軸線の周り方向(軸回り)へ折割カッターホイールを確実に回転させることができ、折割カッターホイールの転動方向を折割治具の走行方向(ガラス板の縁部の端切線の延びる方向)に正確に一致させることができる。折割加工方法は、折割カッターホルダーの回転中心周りに折割カッターホイール自体を回転運動させ、折割カッターホイール自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダーのカッターホルダー中心軸線とし、折割カッターホイールの転動方向(折割治具の移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0051】
折割治具が端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧する押圧部材と押圧部材を昇降させる第2昇降機構とを含み、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線を形成した後、第2昇降機構によって押圧部材をガラス板の縁部の上面に向かって下降させるとともに押圧部材によってガラス板の縁部を下方に向かって押圧させ、ガラス板の本体からガラス板の縁部を折割る折割加工工程を含む折割加工方法は、第2昇降機構によってガラス板の縁部の上面に当接した押圧部材がガラス板の縁部を下方に向かって押圧することで、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧部材によって確実に折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【0052】
押圧部材がその中央に開口する貫通部を有し、折割カッターホイールが押圧部材の貫通部に位置し、記ホルダー下降工程において、第1昇降機構によって折割カッターホルダーをガラス板の縁部の上面に向かって下降させたときに折割カッターホイールが押圧部材の貫通部から下方へ露出する折割加工方法は、押圧部材が折割カッターホルダーの周り方向近傍に配置され、押圧部材が折割カッターホルダーの周り方向近傍からガラス板の縁部の上面に向かって下降することで、ガラス板の縁部を押圧部材によって確実に押圧することができ、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧部材によって確実に折割ることができる。折割加工方法は、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線を形成した後、折割治具を大きく走行(移動)させることなく押圧部材を下降させることで、端切線が形成されたガラス板の縁部を折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【0053】
押圧部材がガラス板の上面と平行するプレートと底面に平行な面で頭部が切り取られた截頭半球体状に成形されてプレートの下面に固定された押圧ゴムとから形成され、貫通部がプレートの中央と押圧ゴムの中央とに形成されている折割加工方法は、押圧部材の押圧ゴムが折割カッターホルダーの周り方向近傍に配置され、押圧ゴムが折割カッターホルダーの周り方向近傍からガラス板の縁部の上面に向かって下降することで、ガラス板の縁部を押圧ゴムによって確実に押圧することができ、端切線が形成されたガラス板の縁部を押圧ゴムによって確実に折割ることができる。折割加工方法は、折割カッターホイールによってガラス板の縁部に端切線を形成した後、折割治具を大きく走行(移動)させることなく押圧部材の押圧ゴムを下降させることで、端切線が形成されたガラス板の縁部を折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】折割治具を使用したガラス板加工システムの側面図。
【
図2】折割治具を使用したガラス板加工システムの上面図。
【
図3】ガラス板加工システムによって加工される加工対象のガラス板の一例を示す上面図。
【
図7】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの上面図。
【
図8】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの側面図。
【
図9】切込加工テーブル及び研削加工テーブルの移動を説明する図。
【
図10】切込加工エリアに設置された一例として示す切込装置の側面図。
【
図22】研削加工エリアに設置された一例として示す研削装置の正面図。
【
図25】折割加工における折割手順の一例を示す図。
【
図26】折割カッターホイールの転動方向変更の一例を示す図。
【
図27】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図28】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図29】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【
図30】折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
折割治具83a,83bを使用したガラス板加工システム10の側面図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る折割治具及び折割治具を利用した折割加工方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、
図2は、折割治具83a,83bを使用したガラス板加工システム10の上面図であり、
図3は、ガラス板加工システム10によって加工される加工対象のガラス板11a,11bの一例を示す上面図である。
図3では、ガラス板11a,11bを搬入エリア19において位置決めされた状態で示す。
図1,2では、前後方向(X軸方向)を矢印X、幅方向(Y軸方向)を矢印Yで示し、上下方向(Z軸方向)を矢印Zで示す。
【0056】
ガラス板加工システム10において加工される加工対象のガラス板11a,11b(加工前のガラス板11a,11b)は、
図3に示すように、所定面積の上面12及び所定面積の下面13を有するとともに、所定の厚みを有し、その平面形状が幅方向へ長い矩形(四角形)に成形されている。加工対象のガラス板11a,11bは、幅方向へ離間対向して前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)及び第2側縁15(他方の側縁)と、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる前端縁16及び後端縁17と、第1~第4角部18a~18dとを有する。尚、加工対象のガラス板の平面形状が矩形(四角形)以外の他の多角形に成形される場合があるとともに、ガラス板の各縁が湾曲したカーブを描くように成形される場合があり、ガラス板の形状としてはあらゆる形状が含まれる。
【0057】
ガラス板加工システム10は、上面12及び下面13の面積が大きい大サイズ(大面積)のガラス板11aから上面12及び下面13の面積が小さい小サイズ(小面積)のガラス板11bまでの上下面12,13の面積が異なる大きさ違いの加工対象のガラス板11a,11b(板状ガラス)に対し、切込加工、折割加工、研削加工を行う。ガラス板加工システム10は、その制御がコントローラ(制御装置)(図示せず)によって行われる。
【0058】
コントローラは、中央処理部(CPU又はMPU)とメモリ(メインメモリ及びキャッシュメモリ)とを備え、独立したオペレーティングシステム(仮想OS)によって動作するコンピュータであり、大容量ハードディスク(大容量記憶領域)を内蔵している。コントローラには、キーボードやテンキーユニット等の入力装置(図示せず)、モニターやディスプレイ、タッチパネル等の出力装置(図示せず)が接続されている。
【0059】
コントローラの大容量ハードディスク(大容量記憶領域)には、加工対象の各ガラス板11a,11bの名称や品番、加工対象の各ガラス板11a,11bの大きさ(面積)や形状によって異なるガラス板11a,11bの複数の座標データ(ガラス板11a,11bの側縁座標や前後端縁の座標、第1~第4角部18a~18dの座標、ガラス板11a,11bの中心の座標等)、加工対象のガラス板11a,11bの画像データ(平面画像(6面画像)や立体画像(3D画像))がガラス板11a,11bを特定するガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けられた状態で記憶(格納)されている。ガラス板特定情報は、ガラス板11a,11bの製造番号やシリアル番号等が使用される他、コントローラがガラス板11a,11bを特定するユニークな識別子を生成し、生成した識別子をガラス板特定情報にすることもできる。
【0060】
コントローラは、後記する切込(切断)加工エリア20における切込(切断)加工、折割加工エリア21における折割加工、研削加工エリア22における研削加工において、大容量ハードディスクに記憶したガラス板11a,11bの座標データを利用して後記する切込装置55、折割装置75、研削装置107をNC制御する。NC制御においてコントローラは、座標加工(XY平面座標)を開始する位置、加工方向の変更位置を座標によって数値化し、X軸(前後方向)及びY軸(幅方向)の2軸の動作方向、距離、速度を数値化する。命令座標及び軸を数値化した信号を切込装置55、折割装置75、研削装置107に送信(入力)する。NC制御では、「座標→軸→命令」を繰り返すことにより、加工したい形状を正確に表現する。
【0061】
ガラス板加工システム10は、加工対象(加工前)のガラス板11a,11bを投入する搬入エリア19(加工開始エリア)と、加工後のガラス板11a,11bを搬出する搬出エリア23(加工終了エリア)と、搬入エリア19及び搬出エリア23の間に配置(施設)されてガラス板11a,11bを加工する各加工エリア20~22と、前後方向後方(上流)から前方(下流)に向かってガラス板11a,11bを搬入エリア19やそれら加工エリア20~22、搬出エリア23に順に搬送するとともに、切込装置55及び研削装置107を前後方向へ移動させる搬送機構24とを有する。各加工エリア20~22は、搬入エリア19と搬出エリア23との間において前後方向へ離間対向しつつ前後方向へ並んでいる。
【0062】
それら加工エリア20~22は、搬入エリア19の前後方向前方(下流)に位置して搬入エリア19から前方へ所定寸法離間する切込加工エリア20と、切込加工エリア20の前後方向前方(下流)に位置して切込加工エリア20から前方へ所定寸法離間する折割加工エリア21と、折割加工エリア21の前後方向前方(下流)に位置して折割加工エリア21から前方へ所定寸法離間する研削加工エリア22とから形成されている。切込加工エリア20や折割加工エリア21、研削加工エリア22は、前後方向へ長い四角形に成形されたシステム台25(機械台)の上に作られている。
【0063】
搬送機構24は、システム台25の後部に位置して上下方向へ延びる一対の第1ピラー26aと、システム台25の前部に位置して上下方向へ延びる一対の第2ピラー26bと、第1及び第2ピラー26a,26bの間に位置して前後方向へ延びる固定フレーム27と、固定フレーム27の一方の側部に設置された第1移動ユニット28(第1移動手段)と、固定フレーム27の下部に設置された第2移動ユニット29(第2移動手段)とを有する。
【0064】
第1移動ユニット28は、切込装置55及び研削装置107を前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)させる。第1移動ユニット28は、第1ガイドフレーム30と、一対の第1ガイドレール31と、第1送りネジ(ボールネジ)(図示せず)と、第1走行フレーム32と、第1スライドブロック(ハウジングナット)(図示せず)と、一対の第1ガイドシュー33と、第1サーボモータ34とから形成されている(
図11参照)。
【0065】
第1ガイドフレーム30は、固定フレーム27に設置されて前後方向へ延びている。それら第1ガイドレール31は、上下方向へ離間対向し、所定の固定手段によって第1ガイドフレーム30の一方の側部に固定されて前後方向へ延びている。第1送りネジ(ボールネジ)は、それら第1ガイドレール31の間に位置し、第1ガイドフレーム30の一方の側部に固定された複数の軸受け(図示せず)に回転可能に支持されて前後方向へ延びている。
【0066】
第1走行フレーム32は、第1ガイドフレーム30の一方の側部に位置して前後方向へ延びている。第1スライドブロック(ハウジングナット)は、前後方向へ所定間隔離間して並び、第1走行フレーム32の第1ガイドフレーム30に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されている。それら第1ガイドシュー33は、上下方向へ離間対向し、第1走行フレーム32の第1ガイドフレーム30に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されて前後方向へ延びている。
【0067】
第1サーボモータ34は、第1ガイドフレーム30の前端部に位置し、ブラケットを介して第2ピラー26bに連結されている。第1サーボモータ34は、その軸が第1送りネジの他方の端部に連結・固定されている。第1サーボモータ34の回転によって第1送りネジが回転し、第1送りネジの回転によって切込装置55及び研削装置107が前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)する。
【0068】
第1サーボモータ34の軸が反時計回り方向へ回転すると、第1送りネジが反時計回り方向へ回転し、第1送りネジの反時計回り方向への回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、第1スライドブロックの移動によって第1走行フレーム32が第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動する。逆に、第1サーボモータ34の軸が時計回り方向へ回転すると、第1送りネジが時計回り方向へ回転し、第1送りネジの時計回り方向への回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、第1スライドブロックの移動によって第1走行フレーム32が第1ガイドフレーム30の後方から前方へ向かって前後方向へ移動する。
【0069】
第2移動ユニット29は、後記するガラス板第1~第4ホルダー40a~40dを前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)させる。第2移動ユニット29は、第2ガイドフレーム35と、一対の第2ガイドレール36と、第2送りネジ(ボールネジ)(図示せず)と、第2走行フレーム37と、第2スライドブロック(ハウジングナット)(図示せず)と、一対の第2ガイドシュー38と、第2サーボモータ39と、ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d(ガラス板第1~第4リフター)とから形成されている。
【0070】
第2ガイドフレーム35は、固定フレーム27に設置されて前後方向へ延びている。それら第2ガイドレール36は、幅方向へ離間対向し、所定の固定手段によって第2ガイドフレーム35の下部に固定されて前後方向へ延びている。第2送りネジ(ボールネジ)は、それら第2ガイドレール36の間に位置し、第2ガイドフレーム35の下部に固定された複数の軸受け(図示せず)に回転可能に支持されて前後方向へ延びている。
【0071】
第2走行フレーム37は、第2ガイドフレーム35の下部に位置して前後方向へ延びている。第2スライドブロック(ハウジングナット)は、幅方向へ所定間隔離間して並び、第2走行フレーム37の第2ガイドフレーム35に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されている。それら第2ガイドシュー38は、幅方向へ離間対向し、第2走行フレーム37の第2ガイドフレーム35に対向する対向面に所定の固定手段によって固定されて前後方向へ延びている。
【0072】
第2サーボモータ39は、第2ガイドフレーム35の後端部に位置し、固定フレーム27に固定されている。第2サーボモータ39は、その軸がタイミングベルト(及び/又はギア)を介して第2送りネジの一方の端部に連結・固定されている。第2サーボモータ39の回転によって第2送りネジが回転し、第2送りネジの回転によってガラス板第1~第4ホルダー40a~40dが前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)する。
【0073】
第2サーボモータ39の軸が時計回り方向へ回転すると、第2送りネジが時計回り方向へ回転し、第2送りネジの時計回り方向への回転によって第2スライドブロックが第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、第2スライドブロックの移動によって第2走行フレーム37(ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d)が第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ移動する。逆に、第2サーボモータ39の軸が反時計回り方向へ回転すると、第2送りネジが反時計回り方向へ回転し、第2送りネジの反時計回り方向への回転によって第2スライドブロックが第2ガイドフレーム35の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、第2スライドブロックの移動によって第2走行フレーム37(ガラス板第1~第4ホルダー40a~40d)が第2ガイドフレーム35の前方から後方へ向かって前後方向へ移動する。
【0074】
第1及び第2サーボモータ34,39の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。第1サーボモータ34の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第1サーボモータ34を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第1サーボモータ34の駆動を停止させる。第2サーボモータ39の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第2サーボモータ39を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第2サーボモータ39の駆動を停止させる。
【0075】
ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dは、第2走行フレーム37の下部に取り付けられて走行フレーム37から下方へ延在し、前後方向へ等間隔離間して並んでいる。ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dは、前後方向へ延びるパッド設置プレート41と、パッド設置プレート41に設置されてガラス板11a,11bを吸着保持する吸着パッド42と、バキューム機構(エアー吸引装置)(エアーバキュームポンプ)(図示せず)及びパッド昇降機構(図示せず)とを有する。パッド昇降機構には、エアシリンダーが使用されている。バキューム機構及びパッド昇降機構(エアシリンダー)の発停を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。
【0076】
ガラス板第1ホルダー40aは、搬入エリア19と切込加工エリア20との間を前後方向へ往復し、搬入エリア19から切込加工エリア20に向かって前進するとともに、切込加工エリア20から搬入エリア19に向かって後退する。ガラス板第2ホルダー40bは、切込加工エリア20と折割加工エリア21との間を前後方向へ往復し、切込加工エリア20から折割加工エリア21に向かって前進するとともに、折割加工エリア21から切込加工エリア20に向かって後退する。ガラス板第3ホルダー40cは、折割加工エリア21と研削加工エリア22との間を前後方向へ往復し、折割加工エリア21から研削加工エリア22に向かって前進するとともに、研削加工エリア22から折割加工エリア21に向かって後退する。ガラス板第4ホルダー40dは、研削加工エリア22と搬出エリア23との間を前後方向へ往復し、研削加工エリア22から搬出エリア23に向かって前進するとともに、搬出エリア23から研削加工エリア22に向かって後退する。
【0077】
図4は、搬入エリア19の側面図であり、
図5は、搬入エリア19の上面図である。
図6は、搬入エリア19の正面図である。搬入エリア19は、搬入コンベア43と、ストッパー44及びローラー45と、一対のローラー昇降機構46と、移動機構47とを有する。搬入エリア19は、システム台25の床面から上方へ延びる脚部によって支持されている。搬入エリア19では、第1位置決め手段(第1位置決め工程)と第2位置決め手段(第2位置決め工程)とが実施され、各加工エリア20~22に向かうガラス板11a,11bの位置決めが行われる。
【0078】
搬入エリア19の一方の側縁部48aには、前後方向へ延びる位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)が設定され、幅方向へ延びる位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)が設定されている。位置決め第1基準L1は、大サイズ(大面積)のガラス板11a(先に加工するガラス板11a)の幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を基準に仮想された前後方向へ直状に延びる仮想線となる。最外側縁は、例えば、ガラス板11a,11bの第1側縁14(一方の側縁)が湾曲したカーブを描く場合、最も幅方向外方に位置する曲線の頂点となる。又、ガラス板11a,11bの第1側縁14(一方の側縁)が前後方向へ直状に延びている場合、その側縁14が最外側縁となる。
【0079】
位置決め第1基準L1には、ガラス板11a,11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を位置させる。ここで、最外側縁を位置決め第1基準L1に位置させるとは、最外側縁が位置決め第1基準L1に完全に一致する場合の他、最外側縁が位置決め第1基準L1の幅方向内方近傍(直近)に位置する場合、又は、最外側縁が位置決め第1基準L1の幅方向外方近傍(直近)に位置する場合を含む。
【0080】
位置決め第2基準L2には、ガラス板11a,11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)の前後方向中心O1(ガラス板11a,11bの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)を位置させる。ここで、前後方向中心O1(中心線L2)を位置決め第2基準L2に位置させるとは、前後方向中心O1(中心線L2)が位置決め第2基準L2に完全に一致する場合の他、前後方向中心O1(中心線L2)が位置決め第2基準L2の前後方向前方近傍(直近)に位置する場合、又は、前後方向中心O1(中心線L2)が位置決め第2基準L2の前後方向後方近傍(直近)に位置する場合を含む。
【0081】
コントローラ(ガラス板加工システム10)は、大容量ハードディスクに記憶した各ガラス板11a,11bの座標データを利用し、各ガラス板11a,11bの幅方向の寸法を算出し、算出したガラス板11a,11bの幅方向(Y軸方向)の寸法の相違に応じてそれらガラス板11a,11bの第1側縁14(一方の側縁)を位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置させるための幅方向への第1移動寸法(第1移動距離)を決定するとともに、決定した第1移動寸法に基づいて後記する第3サーボモータ51の軸の回転数(ガラス板11a,11bを幅方向へ第1移動寸法(第1移動距離)だけ移動させるための軸の回転数)を決定する。コントローラ(ガラス板加工システム10)は、決定した第1移動寸法及び決定した第3サーボモータ51の軸の回転数を各ガラス板11a,11bのガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0082】
コントローラ(ガラス板加工システム10)は、大容量ハードディスクに記憶した各ガラス板11a,11bの座標データを利用し、各ガラス板11a,11bの前後方向(X軸方向)の寸法を算出し、算出した各ガラス板11a,11bの前後方向の寸法の相違に応じてそれらガラス板11a,11bの一方の側縁14の前後方向中心O1を位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置させるための搬入コンベア43の前後方向後方への第2移動寸法を決定する。コントローラ(ガラス板加工システム10)は、決定した第2移動寸法を各ガラス板11a,11bのガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。
【0083】
コントローラ(ガラス板加工システム10)は、算出した各ガラス板11a,11bの前後方向の寸法に基づいて切込装置55及び研削装置107の前後方向への移動寸法(移動距離)を算出し、算出した移動寸法に基づいて第1サーボモータ34の軸の回転数(切込装置55及び研削装置107を前後方向へ移動寸法(移動距離)だけ移動させる軸の回転数)を決定する。コントローラ(ガラス板加工システム10)は、決定した移動寸法及び決定した第1サーボモータ34の軸の回転数を各ガラス板11a,11bのガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)する。尚、ガラス板第1~第4ホルダー40a~40dの前後方向への移動寸法(移動距離)が各ガラス板11a,11bのガラス板特定情報(ガラス板特定識別子)に関連付けられた状態で大容量ハードディスクに記憶(格納)されている。
【0084】
搬入コンベア43は、
図4~6示すように、前後方向(X方向)へ延びる複数の無限軌道であり、幅方向(Y方向)へ所定間隔離間して並んでいる。それら搬入コンベア43の発停や搬送距離を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。それら搬入コンベア43は、ガラス板11a,11bを搬入エリア19の後端部(搬入口)から前端部(搬出口)に向かって前後方向後方から前方へ搬送する。ストッパー44は、搬入エリア19の前端部に設置されて幅方向へ離間して並んでいる。ストッパー44には、それら搬入コンベア43によって搬入エリア19の後端部から前端部に向かって前方へ移動するガラス板11a,11bの前端縁16が当接する。ストッパー44には、接触センサー(図示せず)が設置されている。接触センサーは、コントローラに接続され、ガラス板11a,11bの前端縁16のストッパー44への当接(接触)を検出し、前端縁16がストッパー44に当接すると、その当接信号をコントローラに送信する。
【0085】
ローラー45は、複数のそれらが前後方向へ延びる軸49に回転可能に取り付けられ、それら軸49とともにそれら搬入コンベア43の間に設置されている。それらローラー45は、前後方向へ所定寸法離間して並ぶとともに幅方向へ所定寸法離間して並んでいる。それらローラー45は、幅方向へ向かって時計回り方向と反時計回り方向とへ回転し、ガラス板11a11bの下面13に当接してガラス板11a,11bを幅方向へ移動可能に保持する。それら軸49は、軸受けを介してその下方に位置する台座に取り付けられている。
【0086】
それらローラー45のうちのローラー45aと軸49との間には、ローラー45aの回転抵抗を増加させる抵抗板(ゴムリング)(図示せず)が取り付けられている。ローラー45aは、抵抗板(ゴムリング)によって軸49との抵抗が増加し、ローラー45aに回転抵抗を超える回転力を与えなければローラー45aが回転することはなく、ローラー45aの自由な回転が抵抗板によって阻止されている。それらローラー45の上にガラス板11a,11bが載置された場合、回転抵抗の大きいローラー45aによってガラス板11a,11bの幅方向への自由な移動が阻止される。尚、それらローラー45のうちの少なくとも1つのローラー45と軸49との間に抵抗板(ゴムリング)が取り付けられていればよい。
【0087】
それらローラー昇降機構46は、軸49を取り付けた台座の下方に設置され、幅方向へ所定寸法離間して並んでいる。それらローラー昇降機構46にはエアシリンダーが使用され、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によって台座とともにそれら軸49及びそれらローラー45が上下方向へ昇降する。ローラー昇降機構46(エアシリンダー)の上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。ローラー昇降機構46(エアシリンダー)の発停を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。ローラー昇降機構46(エアシリンダー)の制御部は、コントローラから昇降信号を受信すると、ローラー昇降機構46を利用してローラー45(台座及び軸49)を昇降させる。
【0088】
尚、搬入コンベア43がガラス板11a,11bを搬送中では、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によってそれらローラー45(台座及び軸49)がそれら搬入コンベア43の下方へ下降し、それらローラー45がガラス板11a,11bの下面13に当接しない。ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によってそれらローラー45(台座及び軸49)が上昇すると、ローラー45の周縁部の一部がそれら搬入コンベア43の上方へ露出し、それらローラー45によってガラス板11a,11bが搬入コンベア43の上方へ持ち上げられる。
【0089】
移動機構47は、それら搬入コンベア43及びそれらローラー45の上方に位置するロッド50と、ロッド50に設置(内蔵)された第3サーボモータ51と、ロッド50に設置(内蔵)されて第3サーボモータ51の軸に連結された送りネジ(送りネジ機構)(図示せず)と、ロッド50から下方へ延びる移動アーム52と、移動アーム52の下端部に設置された当接部材53とを備えている。
【0090】
ロッド50は、第1ピラー26aの後面に取り付けられて幅方向へ延びている。移動アーム52は、送りネジに移動可能に設置され、第3サーボモータ51の軸の回転による送りネジの回転によって、ロッド50に沿って幅方向の一方と他方とへ直線移動する。当接部材53は、移動アーム52の幅方向への移動に伴って移動アーム52とともに幅方向の一方と他方とへ直線移動する。当接部材53は、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によって上昇したローラー45がガラス板11a,11bの下面13に当接した状態で、ガラス板11a,11bの他方の側縁15に当接し、ガラス板11a,11bが幅方向へ移動するようにガラス板11a,11bを幅方向へ押圧する。
【0091】
第3サーボモータ51の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。第3サーボモータ51の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第3サーボモータ51を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第3サーボモータ51の駆動を停止させる。
【0092】
図7は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル106の上面図であり、
図8は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル106の側面図である。
図9は、切込加工テーブル54及び研削加工テーブル106の移動を説明する図であり、
図10は、切込加工エリア20に設置された一例として示す切込装置55の側面図である。
図11は、切込装置55の正面図であり、
図12は、切込装置55の上面図である。
【0093】
切込加工エリア20は、搬入エリア19において位置決めされたガラス板11a,11bを載置する切込加工テーブル54(切込加工台)と、切込加工テーブル54に載置されたガラス板11a,11bの縁部56(周縁部)に外形切出線K1(切込線)を入れる切込装置55(切断装置)とを備えている。
図7,8では、前後方向(X軸方向)を矢印X、幅方向(Y軸方向)を矢印Yで示し、上下方向(Z軸方向)を矢印Zで示す。
【0094】
切込加工テーブル54は、システム台25の床面に固定された幅方向へ長いベースレーン57aの上に設置されている。切込加工テーブル54は、第1移動機構58aを利用し、位置決めされたガラス板11a,11bを載置した状態で幅方向へ移動する。第1移動機構58aは、走行ガイドレール59aと、送りネジ60a(ボールネジ)と、第4サーボモータ61と、ガイドシュー62aと、スライドブロック63a(ハウジングナット)とから形成されている。
【0095】
それら走行ガイドレール59aは、ベースレーン57aの上面に設置されて幅方向へ延びている。送りネジ60a(ボールネジ)は、ベースレーン57aの上面であって走行ガイドレール59aの側方に設置されて幅方向へ延びている。第4サーボモータ61は、ベースレーン57aに設置され、切込加工テーブル54を幅方向へ往復動させる。第4サーボモータ61の軸には、送りネジ60aの他方の端部が連結されている。
【0096】
送りネジ60aは、ベースレーン57aに固定された軸受け(図示せず)に回転可能に支持されている。ガイドシュー62aは、切込加工テーブル54の下面に取り付けられて幅方向へ延びている。ガイドシュー62aは、走行ガイドレール59aに摺動可能に嵌合している。スライドブロック63a(ハウジングナット)は、切込加工テーブル54の下面であってガイドシュー62aの間に取り付けられている。スライドブロック63aは、送りネジ60aに回転可能に螺着されている。
【0097】
第4サーボモータ61の軸が時計回り方向へ回転すると、送りネジ60aが時計回り方向へ回転し、送りネジ60aの時計回り方向への回転によってスライドブロック63aが切込加工エリア20の第2側縁部48b(他方の側縁部)から第1側縁部48a(一方の側縁部)に向かって送りネジ60aを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63aの移動によって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の第2側縁部48bから第1側縁部48aに向かって幅方向へ移動する。逆に、第4サーボモータ61の軸が反時計回り方向へ回転すると、送りネジ60aが反時計回り方向へ回転し、送りネジ60aの反時計回り方向への回転によってスライドブロック63aが切込加工エリア20の第1側縁部48a(一方の側縁部)から第2側縁部48b(他方の側縁部)に向かって送りネジ60aを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63aの移動によって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の第1側縁部48aから第2側縁部48bに向かって幅方向へ移動する。
【0098】
切込装置55は、切込治具64と、エアシリンダー65及び第5サーボモータ66とを備えている。切込治具64は、切込カッターホイール67と、切込カッターホルダー68(切込ホルダー)と、カッター昇降軸69と、カッター昇降ガイド70とから形成されている。切込カッターホイール67は、ベアリング(図示せず)を介して切込カッターホルダー68に連結され、介在するベアリングの軸心に沿って自在に回転する。切込カッターホイール67は、ガラス板11a,11bの縁部56(周縁部)に外形切出線K1を形成する。
【0099】
切込カッターホルダー68は、切込カッターホイール67の直上に位置してカッターホイール67に連結され、カッターホイール67を支持する。カッター昇降軸69は、切込カッターホルダー68の直上に位置してカッターホルダー68に連結され、カッターホルダー68を支持する。カッター昇降ガイド70は、カッター昇降軸69の直上に位置してカッター昇降軸69に連結され、カッター昇降軸69を支持する。切込治具64(エアシリンダー65を含む)は、エアシリンダー65の直上に位置して切込治具64を回転可能に支持する支持軸71に連結されている。支持軸71は、その直上に位置するブラケット72に取り付けられている。ブラケット72(切込装置55)は、前後方向(X軸方向)へ前進後退(直線移動)する既述の搬送機構24の第1移動ユニット28に連結されている。
【0100】
エアシリンダー65は、カッター昇降軸69の直上に設置されている。エアシリンダー65は、切込カッターホイール67(切込カッターホルダー68)を上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させ、ガラス板11a,11bの縁部56への外形切出線K1(切込線)の形成時にカッターホイール67をガラス板11a,11bの上面12に向かって下降させてカッターホイール67に切込圧(下方への押圧力)を加える(付与する)。第5サーボモータ66は、その軸がタイミングベルト73を介して支持軸71に連結されている。第5サーボモータ66は、切込治具64(切込カッターホイール67)の切込方向の向きを(XY平面に直交する軸まわりの角度)を調整する。
【0101】
切込装置55では、コントローラから送信されたNC制御信号に基づいて第5サーボモータ66の制御部がモータ66の軸を回転させ、切込治具64(切込カッターホイール67)をNC制御し、NC制御に従って切込治具64(切込カッターホイール67)がガラス板11a,11bの縁部56(周縁部)に加工したい形状どおりの外形切出線K1を形成する(入れる)。
【0102】
第4及び第5サーボモータ61,66の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。第4サーボモータ61の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第4サーボモータ61を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第4サーボモータ61の駆動を停止させる。第5サーボモータ66の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第5サーボモータ66を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第5サーボモータ66の駆動を停止させる。
【0103】
図13は、折割加工テーブル74の上面図であり、
図14は、折割加工テーブル74の側面図である。折割加工エリア21は、搬入エリア19において位置決めされるとともに切込加工エリア20において切込加工が行われた後のガラス板11a,11bを載置する折割加工テーブル74(折割加工台)と、折割加工テーブル74に載置されたガラス板11a,11bの外形切出線K1(切込線)の外側に位置する縁部56(周縁部)を折割る折割装置75とを備えている。
【0104】
折割加工テーブル74は、幅方向(Y軸方向)へ走行するベルトコンベア76と、ベルトコンベア76を走行させるコンベア駆動モータ77とから形成され、システム台25の床面に固定されたベース盤の上に設置されている。ベルトコンベア76は、幅方向へ延びるベルト78と、ベルト78を支持する複数のプーリ79及びキャリアローラ80と、ベルト78やプーリ79、キャリアローラ80を支持するコンベアフレーム81とから形成されている。ベルトコンベア76には、切込加工後のガラス板11a,11bが載置される。ベルトコンベア76は、折割装置75によって折り割られたガラス板11a,11bの縁部56を幅方向の他方(第1側縁部48aから第2側縁部48b)へ搬送し、ガラス板11a,11bの折割りされた縁部56をダストボックス(図示せず)に廃棄する。
【0105】
コンベア駆動モータ77は、その軸がタイミングベルトによってプーリ79に連結されている。コンベア駆動モータ77の発停を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。コンベア駆動モータ77の軸の回転速度(ベルトの走行速度)は、事前に設定され、回転速度(ベルトの走行速度)がコンベア駆動モータ77の特定情報に関連付けられた状態でコントローラの大容量ハードディスクに記憶(格納)されている。コンベア駆動モータ77の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数で駆動モータ77を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、駆動モータ77の駆動を停止させる。コンベア駆動モータ77の軸が時計回り方向へ回転すると、その回転がタイミングベルトを介してプーリ79に伝達され、プーリ79が時計回り方向へ回転し、プーリ79の回転によってベルト78が幅方向の他方に向かって走行する。
【0106】
図15は、折割装置75の側面図であり、
図16は、折割装置75の正面図である。
図17は、折割装置75の上面図であり、
図18は、折割装置75の拡大正面図である。
図19は、折割装置75の拡大側面図であり、
図20は、第1及び第2折割治具83a,83bの部分破断側面図である。
図21は、第1及び第2折割治具83a,83bの正面図である。
【0107】
折割装置75は、幅方向へ離間する2台の第1折割装置75a及び第2折割装置75bから形成されている。第1折割装置75aは、第1ガイドフレーム30に連結され、第2折割装置75bは、懸垂フレーム82に連結されている。懸垂フレーム82は、第2ガイドフレーム35の側部に連結されている。第1折割装置75aは、第1折割治具83a(折割治具)と、第6サーボモータ84(X軸サーボモータ)及びX軸第1アクチュエーター85aと、第7サーボモータ86(Y軸サーボモータ)及びY軸第1アクチュエーター87aと、第1アクチュエーターフレーム88aとを有する。
【0108】
第2折割装置75bは、第2折割治具83b(折割治具)と、第8サーボモータ89(X軸サーボモータ)及びX軸第2アクチュエーター85bと、第9サーボモータ90(Y軸サーボモータ)及びY軸第2アクチュエーター87bと、第2アクチュエーターフレーム88bとを有する。第1アクチュエーターフレーム88aと第2アクチュエーターフレーム88bとは、それらの前端部において一連に繋がっている。
【0109】
第1及び第2折割装置75a,75bの第1及び第2折割治具83a,83bは、
図18,19に示すように、折割カッターホルダー91と、折割カッターホイール92と、ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)と、端切線K2が形成されたガラス板11a,11bの縁部56を押圧する押圧部材94と、押圧部材94を昇降させる押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)とから形成されている。折割カッターホルダー91は、折割カッターホイール92の上方に位置して折割カッターホイール92を支持する。折割カッターホルダー91は、
図20,21に示すように、連結部を備えたホルダー本体96と、ホルダー本体96の先端に取り付けられたホルダーヘッド97とを有する。ホルダーヘッド97は、ベアリング99を介してホルダー本体96に連結されている。
【0110】
折割カッターホイール92は、加工対象のガラス板11a,11bの縁部56(外形切出線K1の外側に延びるガラス板11a,11bの縁部56)に端切線K2(スクライブ)を形成する(入れる)。折割カッターホイール92は、転動軸100を介してホルダーヘッド97の先端に回転(転動)可能に取り付けられ、転動軸100を中心にその周縁101が転動する。折割カッターホイール92の上下方向へ延びるカッターホイール軸線O3は、折割カッターホルダー91(ホルダー本体96)の上下方向へ延びるカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯している(ズレている)。カッターホルダー中心軸線O2に対するカッターホイール軸線O3の幅方向への離間寸法S(偏芯寸法)は、0.5~2mmの範囲にある。
【0111】
ホルダーヘッド97は、ベアリング99を介してホルダー本体96に連結され、介在するベアリング99の軸心に沿って自在に回転し、折割カッターホルダー91のカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(θ方向)へ360°回転可能である。ホルダーヘッド97は、カッターホルダー中心軸線O2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向へ回転する。ホルダーヘッド97が回転することで、折割カッターホルダー91に対して折割カッターホイール92(カッターホルダー中心軸線O2に対して偏芯するカッターホイール軸線O3を有する折割カッターホイール92)がカッターホイール軸線O3の周り方向へ360°回転可能である。折割カッターホイール92は、カッターホルダー中心軸線O2を中心に時計回り方向及び反時計回り方向へ回転する。
【0112】
折割カッターホイール92は、そのカッターホイール軸線O3がカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯しているから、第1及び第2折割治具83a,83b(折割カッターホルダー91)がガラス板11a,11bの上面12を所定の方向へ走行(移動)したときに、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具83a,83b(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向くキャスター効果を発揮する。
【0113】
ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)は、ホルダー本体96の直上に設置され、折割カッターホルダー91(ホルダー本体96)の連結部102に連結されている。ホルダー昇降機構93は、固定部材によってブラケット103に固定されている。ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)には、エアシリンダーが使用されている。ホルダー昇降機構93(エアシリンダー)は、第1及び第2折割治具83a,83bの折割カッターホルダー91(折割カッターホイール92)を上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。ホルダー昇降機構93(エアシリンダー)は、ガラス板11a,11bの縁部56に対する折割加工時にカッターホイール92をガラス板11a,11bの上面12に向かって下降させ、カッターホイール92に端切圧(下方への押圧力)を加える(付与する)。ホルダー昇降機構の上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。
【0114】
押圧部材94は、プレート94aと押圧ゴム94bとから形成されている。尚、押圧部材94がプレート94a(押圧プレート)であってもよい。プレート94aは、所定の厚みを有する金属製の板又は合成樹脂製の板から作られている。押圧ゴム94bは、ゴム弾性を有するゴムから作られ、底面に平行な面で頭部が切り取られた截頭半球体状に成形されている。押圧ゴム94bは、上下逆さになった状態で、その底面がプレート94aの下面に固定され、その頭部が下方に向かっている。押圧ゴム94b(押圧部材94)は、その頭部が端切線K2を形成したガラス板11a,11bの縁部56(外形切出線K1の外側に延びるガラス板11a,11bの縁部56)を下方へ押圧する。プレート94a及び押圧ゴム94b(押圧部材94)には、その中央に開口する貫通部104(貫通孔)が穿孔(形成)されている。プレート94a及び押圧ゴム94b(押圧部材94)の貫通部104には、折割カッターホイール92(ホルダーヘッド97)が位置している。プレート94aは、連結部材105を介して押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)に連結されている。
【0115】
押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)は、プレート94a及び押圧ゴム94b(押圧部材94)の幅方向側方に位置し、固定部材によってブラケット103に固定されている。押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)には、エアシリンダーが使用されている。押圧部材昇降機構95(エアシリンダー)は、第1及び第2折割治具83a,83bのプレート94a及び押圧ゴム94b(押圧部材94)を上下方向(Z軸方向)へ昇降(上下動)させる。
【0116】
押圧部材昇降機構95(エアシリンダー)は、ガラス板11a,11bの縁部56に対する折割加工時に押圧ゴム94b(押圧部材94)をガラス板11a,11bの上面12に向かって下降させ、押圧ゴム94b(押圧部材94)に下方への押圧力を加える(付与する)。押圧ゴム94b(押圧部材94)の上昇寸法や下降寸法は、事前に設定されている。ブラケット103は、第1アクチュエーターフレーム88aに摺動可能に取り付けられているとともに、第2アクチュエーターフレーム88bに摺動可能に取り付けられている。
【0117】
ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)の発停を制御する制御部及び押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)の発停を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。ホルダー昇降機構93の制御部は、コントローラから昇降信号を受信すると、ホルダー昇降機構93(エアシリンダー)を利用して折割カッターホルダー91(折割カッターホイール92)を昇降させる。押圧部材昇降機構95の制御部は、コントローラから昇降信号を受信すると、押圧部材昇降機構95(エアシリンダー)を利用してプレート94a及び押圧ゴム94b(押圧部材94)を昇降させる。
【0118】
第6サーボモータ84(X軸サーボモータ)は、X軸第1アクチュエーターフレーム88aに設置され、その軸がX軸第1アクチュエーター85aに連結されている。X軸第1アクチュエーター85aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第6サーボモータ84の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第1アクチュエーター85aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの折割治具83aがX軸第1アクチュエーターフレーム88aに沿って前後方向前方に向かって移動し、第6サーボモータ84の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第1アクチュエーター85aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの折割治具83aがX軸第1アクチュエーターフレーム88aに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0119】
第7サーボモータ86(Y軸サーボモータ)は、Y軸第1アクチュエーターフレーム88aに設置され、その軸がY軸第1アクチュエーター87aに連結されている。Y軸第1アクチュエーター87aは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第7サーボモータ86の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第1アクチュエーター87aのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの折割治具83aがY軸第1アクチュエーターフレーム88aに沿って幅方向の一方へ向かって移動し、第7サーボモータ86の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第1アクチュエーター87aのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第1折割装置75aの折割治具83aがY軸第1アクチュエーターフレーム88aに沿って幅方向の他方へ向かって移動する。
【0120】
第6及び第7サーボモータ84,86の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。第6サーボモータ84の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第6サーボモータ84を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第6サーボモータ84の駆動を停止させる。第7サーボモータ86の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第7サーボモータ86を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第7サーボモータ86の駆動を停止させる。
【0121】
第8サーボモータ89(X軸サーボモータ)は、X軸第2アクチュエーターフレーム88bに設置され、その軸がX軸第2アクチュエーター85bに連結されている。X軸第2アクチュエーター85bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第8サーボモータ89の軸が時計回り方向へ回転すると、X軸第2アクチュエーター85bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの折割治具83bがX軸第2アクチュエーターフレーム88bに沿って前後方向前方に向かって移動し、第8サーボモータ89の軸が反時計回り方向へ回転すると、X軸第2アクチュエーター85bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの折割治具83bがX軸第2アクチュエーターフレーム88bに沿って前後方向後方に向かって移動する。
【0122】
第9サーボモータ90(Y軸サーボモータ)は、Y軸第2アクチュエーターフレーム88bに設置され、その軸がY軸第2アクチュエーター87bに連結されている。Y軸第2アクチュエーター87bは、ネジ部とガイド部とを有する(図示せず)。第9サーボモータ90の軸が時計回り方向へ回転すると、Y軸第2アクチュエーター87bのネジ部が時計回り方向へ回転し、ネジ部が時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの折割治具83bが第2アクチュエーターフレーム88bに沿って幅方向の一方に向かって移動し、第9サーボモータ90の軸が反時計回り方向へ回転すると、Y軸第2アクチュエーター87bのネジ部が反時計回り方向へ回転し、ネジ部が反時計回り方向へ回転すると、ブラケット103とともに第2折割装置75bの折割治具83bが第2アクチュエーターフレーム88bに沿って幅方向の他方に向かって移動する。
【0123】
第8及び第9サーボモータ89,90の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。第8サーボモータ89の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第8サーボモータ89を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第8サーボモータ89の駆動を停止させる。第9サーボモータ90の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第9サーボモータ90を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第9サーボモータ90の駆動を停止させる。
【0124】
図22は、研削加工エリア22に設置された一例として示す研削装置107の正面図であり、
図23は、研削装置107の側面図である。
図24は、研削装置107の上面図である。研削加工エリア22は、搬入エリア19において位置決めされ、切込加工エリア20において切込加工が行われるとともに折割加工エリア21において折割加工が行われた後のガラス板11a,11bを載置する研削加工テーブル106(研削加工台)と、研削加工テーブル106に載置されたガラス板11a,11bの縁部56(周縁部)を研削する研削装置107とを備えている。
【0125】
研削加工テーブル106は、システム台25の床面に固定された幅方向へ長いベースレーン57bの上に設置されている(
図7参照)。研削加工テーブル106は、ガラス板11a,11bを吸着保持する複数の吸着パッド108と、それら吸着パッド108を負圧にして吸着パッド108に吸着力を付与するバキューム機構(エアー吸引装置)(エアーバキュームポンプ)(図示せず)とを備えている。バキューム機構の発停を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。
【0126】
研削加工テーブル106は、第2移動機構58bを利用し、位置決めされたガラス板11a,11bを載置した状態で幅方向へ移動する。第2移動機構58bは、走行ガイドレール59bと、送りネジ60b(ボールネジ)と、第10サーボモータ109と、ガイドシュー62bと、スライドブロック63b(ハウジングナット)とから形成されている。それら走行ガイドレール59bは、ベースレーン57bの上面に設置されて幅方向へ延びている。送りネジ60b(ボールネジ)は、ベースレーン57bの上面であって走行ガイドレール59bの側方に設置されて幅方向へ延びている。第10サーボモータ109は、ベースレーン57bに設置され、研削加工テーブル106を幅方向へ往復動させる。第10サーボモータ109の軸には、送りネジ60bの他方の端部が連結されている。
【0127】
第10サーボモータ109の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。第10サーボモータ109の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第10サーボモータ109を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第10サーボモータ109の駆動を停止させる。
【0128】
送りネジ60bは、ベースレーン57bに固定された軸受け(図示せず)に回転可能に支持されている。ガイドシュー62bは、研削加工テーブル106の下面に取り付けられて幅方向へ延びている。ガイドシュー62bは、走行ガイドレール59bに摺動可能に嵌合している。スライドブロック63b(ハウジングナット)は、研削加工テーブル106の下面であってガイドシュー62bの間に取り付けられている。スライドブロック63bは、送りネジ60bに回転可能に螺着されている。
【0129】
第10サーボモータ109の軸が時計回り方向へ回転すると、送りネジ60bが時計回り方向へ回転し、送りネジ60bの時計回り方向への回転によってスライドブロック63bが研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60bを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63bの移動によって研削加工テーブル106が研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって幅方向へ移動する。第10サーボモータ109の軸が反時計回り方向へ回転すると、送りネジ60bが反時計回り方向へ回転し、送りネジ60bの反時計回り方向への回転によってスライドブロック63bが研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって送りネジ60bを幅方向へ移動するとともに、スライドブロック63bの移動によって研削加工テーブル106が研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって幅方向へ移動する。
【0130】
尚、第10サーボモータ109は、切込加工エリア20の第4サーボモータ61と同期して駆動し、切込加工テーブル54の切込加工エリア20の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aへの移動に同期して研削加工テーブル106が研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって移動し、又は、切込加工テーブル54の切込加工エリア20の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bへの移動に同期して研削加工テーブル106が研削加工エリア22の一方の側縁部48aから他方の側縁部48bに向かって移動する。
【0131】
研削装置107は、研削治具110と、第11サーボモータ111(研削Z軸サーボモータ)と、第12サーボモータ112(昇降サーボモータ)と、第13サーボモータ113(切込サーボモータ)と、研削ホイール昇降ネジ114と、研削ホイール切込ネジ115とを備えている。研削治具110は、研削ホイール116と、研削ホルダー117と、カバー118と、スピンドルモータ119とから形成されている。研削ホイール116は、所定の直径を有する円盤状に成形され、その外周面によってガラス板11a,1bの縁部56(周縁部)を研削する。
【0132】
研削ホルダー117は、研削ホイール116の直上に位置して研削ホイール116を回転可能に支持する。カバー118は、研削ホイール116の直下に位置して研削ホイール116全体を包被する。カバー118は、研削ホルダー117に着脱可能に取り付けられている。カバー118には、ガラス板11a,11bの縁部56を挿入するスリット120が形成されている。スピンドルモータ119は、研削ホイール116(研削ホルダー117)の直上に位置し、モータハウジング121に設置・収容されている。スピンドルモータ119は、その軸が研削ホイール116の中心に連結されている。
【0133】
スピンドルモータ119の軸の回転によって研削ホイール116が回転する。モータハウジング121は、ブラケット122を介して走行フレーム32に固定されている。スピンドルモータ119の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。スピンドルモータ119の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度でスピンドルモータ119を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、スピンドルモータ119の駆動を停止させる。
【0134】
第11サーボモータ111(研削Z軸サーボモータ)は、研削治具110の後方近傍に位置し、ブラケット122を介して走行フレーム32に連結・固定されている。第11サーボモータ111は、その軸がモータハウジング121の支持軸に連結されている。第11サーボモータ111は、研削ホイール116の外周面がガラス板11a,11bの縁部に平行に当接するように、研削ホイール116の軸方向の姿勢(軸まわりの角度)を微調整する。
【0135】
第12サーボモータ112(昇降サーボモータ)は、モータハウジング121(スピンドルモータ119)の幅方向外方近傍に位置し、モータハウジング121に連結・固定されている。第12サーボモータ112は、その軸が研削ホイール昇降ネジ114に連結され、研削ホイール昇降ネジ114を回転させる。第12サーボモータ112は、ガラス板11a,11bの厚み寸法に応じて研削ホイール116(モータハウジング121)を上下動させ、研削ホイール116の高さがガラス板11a,11bの縁部56の高さに一致して研削ホイール116の外周面がガラス板11a,11bの縁部56に当接するように、研削ホイール116の高さを微調整する。
【0136】
尚、ガラス板11a,11bの加工を開始する初期設定において、研削ホイール116の取付基準面から溝の中心までの距離がコントローラに入力される。コントローラは、入力された距離に基づいて第12サーボモータ112の軸の回転数を算出し、算出した回転数を第12サーボモータ112の制御部に送信する。第12サーボモータ112の制御部は、コントローラから受信した回転数で第12サーボモータ112の軸を回転させる。第12サーボモータ112の軸が時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール昇降ネジ114が時計回り方向へ回転しつつネジ114が下降し、それによって研削ホイール116(モータハウジング121)が下降する。第12サーボモータ112の軸が反時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール昇降ネジ114が反時計回り方向へ回転しつつネジ114が上昇し、それによって研削ホイール116(モータハウジング121)が上昇する。加工するガラス板11a,11bの厚み寸法が同一である限り、研削ホイール116の高さの微調整を一度設定すれば、それ以降の調整は行われない。
【0137】
第13サーボモータ113(切込サーボモータ)は、第12サーボモータ112(昇降サーボモータ)の直下であってモータハウジング121(スピンドルモータ119)の幅方向外方近傍に位置し、モータハウジング121に連結・固定されている。第13サーボモータ113は、その軸が研削ホイール切込ネジ115に連結され、研削ホイール切込ネジ115を回転させる。第13サーボモータ113は、ガラス板11a,11bの幅寸法(大きさ)に応じて研削ホイール116(モータハウジング121)を幅方向へ移動させ、研削ホイール116の外周面がガラス板11a,11bの縁部56に当接するように、研削ホイール116の前後方向の位置を微調整する。
【0138】
第11~第13サーボモータ111~113の発停や回転数、回転速度を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。第11サーボモータ111の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第11サーボモータ111を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第11サーボモータ111の駆動を停止させる。第12サーボモータ112の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第12サーボモータ112を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第12サーボモータ112の駆動を停止させる。第13サーボモータ113の制御部は、コントローラから駆動信号を受信すると、所定の回転数及び回転速度で第13サーボモータ113を駆動させ、コントローラから停止信号を受信すると、第13サーボモータ113の駆動を停止させる。
【0139】
尚、ガラス板11a,11bの加工を開始する初期設定において、研削ホイール116の径(直径)がコントローラに入力される。コントローラは、入力された研削ホイール116の径(直径)に基づいて第13サーボモータ113の軸の回転数を算出し、算出した回転数を第13サーボモータ113の制御部に送信する。第13サーボモータ113の制御部は、コントローラから受信した回転数で第13サーボモータ113の軸を回転させる。第13サーボモータ113の軸が時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール切込ネジ115が時計回り方向へ回転しつつネジ115が前後方向後方へ移動し、それによって研削ホイール116(モータハウジング121)が前後方向後方へ移動する。第13サーボモータ113の軸が反時計回り方向へ所定の回転数で回転すると研削ホイール切込ネジ115が反時計回り方向へ回転しつつネジ115が前後方向前方へ移動し、それによって研削ホイール116(モータハウジング121)が前後方向前方へ移動する。研削ホイール116の径(直径)が同一である限り、研削ホイール116の前後方向の位置の微調整を一度設定すれば、それ以降の調整は行われない。
【0140】
搬出エリア23には、搬出コンベア123が設置されている。搬出エリア23は、システム台25の床面から上方へ延びる脚部によって支持されている。搬出コンベア123は、前後方向(X方向)へ延びる複数の無限軌道であり、幅方向(Y方向)へ所定間隔離間して並んでいる。それら搬出コンベア123の発停や搬送距離を制御する制御部は、インターフェイス(有線又は無線)(図示せず)を介してコントローラに接続されている。それら搬出コンベア123は、ガラス板11a,11bを搬出エリア23の後端部(搬入口)から前端部(搬出口)に向かって前後方向後方から前方へ搬送する。
【0141】
以下、ガラス板11a,11bの加工(切込加工、折割加工、研削加工)の一例を説明する。加工開始時では、ガラス板第1ホルダー40aが搬入エリア19の上方に待機し、ガラス板第2ホルダー40bが切込加工エリア20の上方に待機しているとともに、ガラス板第3ホルダー40cが折割加工エリア21の上方に待機し、ガラス板第4ホルダー40dが研削加工エリア22の上方に待機している。
【0142】
コントローラに接続されたモニターやディスプレイ、タッチパネル(出力装置)には、各種複数のガラス板画像が出力(表示)される。出力装置に出力(表示)された各種複数のガラス板画像から加工対象の特定のガラス板11a,11bをクリック(タップ)(選択)する。特定のガラス板11a,11bを選択すると、コントローラは、そのガラス板11a,11bに施す加工に対するNC制御プログラムを選択する。コントローラは、研削ホイール116の取付基準面から溝の中心までの距離の入力エリア、ガラス板11a,11bの前後方向の寸法入力エリア、研削ホイール116の径(直径)入力エリアを出力装置に出力(表示)する。
【0143】
研削ホイール116の取付基準面から溝の中心までの距離の入力エリアに距離を入力し、研削ホイール116の径(直径)入力エリアに径を入力した後、出力装置に出力(表示)された入力ボタンをクリック(タップ)する。距離、径が入力されると、コントローラは、第12サーボモータ112を駆動して研削ホイール116(モータハウジング121)を上下動させ、研削ホイール116の高さを微調整するとともに、第13サーボモータ113を駆動して研削ホイール116(モータハウジング121)を幅方向へ移動させ、研削ホイール116の前後方向の位置を微調整する。それら微調整が終了した後、コントローラは、加工開始ボタンを出力装置に出力(表示)する。加工開始ボタンをクリック(タップ)すると、ガラス板11a,11bの加工が開始される。
【0144】
選択された加工対象(加工前)のガラス板11a,11bが搬入エリア19に搬入される。尚、搬入エリア19では、第1位置決め手段(第1位置決め工程)と第2位置決め手段(第2位置決め工程)とが実施される。加工対象のガラス板11a,11bは、自動供給装置(図示せず)によって搬入エリア19の搬入コンベア43に自動的に供給される。自動供給装置には上面12及び下面13の面積が同一(大きさが同一)の加工対象の複数枚のガラス板11a,11bが上下方向へ積重ねられ、ガラス板11a,11bが1枚毎に自動供給装置から搬入コンベア43へ供給される。
【0145】
搬入エリア19におけるガラス板11a,11bの位置決め手順の一例は、以下のとおりである。コントローラは、搬入コンベア43の制御部に前進信号(ON信号)を送信し、前進信号(ON信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させる。搬入エリア19に搬入されたガラス板11a,11bは、その下面13が搬入コンベア43に当接した状態で搬入コンベア43の上に載置される。ガラス板11a,11bは、その第1側縁14(一方の側縁14)(側縁14が湾曲する(カーブを描く)場合を含む)が搬入エリア19の一方の側縁部48aに並行し、その他方の側縁15が搬入エリア19の他方の側縁部48bに並行する。
【0146】
搬入コンベア43の上に載置されたガラス板11a,11bは、搬入コンベア43によって搬入エリア19の後方から前方へ向かって前後方向前方へ次第に移動する。ガラス板11a,11bが搬入エリア19の後方から前方へ向かって移動し、ガラス板11a,11bの前端縁16がストッパー44に当接すると、ストッパー44に設置された接触センサーがガラス板11a,11bの前端縁16のストッパー44への当接を検出し、接触(当接)信号をコントローラに送信する。
【0147】
接触信号を受信したコントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号(OFF信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43の駆動を停止させる。次に、コントローラは、ガラス板11a,11bの第1側縁14の前後方向中心O(ガラス板11a,11bの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)を搬入エリア19の位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置させるための搬入コンベア43の前後方向後方への第2移動寸法を搬入コンベア43の制御部に送信するとともに、搬入コンベア43の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。
【0148】
第2移動寸法及び後退信号(ON信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させ、搬入コンベア43によってガラス板11a,11bを前後方向後方へ第2移動寸法移動させる。搬入コンベア43がガラス板11a,11bを前後方向後方へ第2移動寸法移動させると、ガラス板11a,11bの幅方向の一方の側縁の前後方向中心O1(ガラス板11a,11bの中心線L2)が搬入エリア19における位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置する(第2位置決め手段)。
【0149】
ガラス板11a,11bを前後方向後方へ第2移動寸法移動させた後、コントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号(OFF信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43の駆動を停止させる。次に、コントローラは、それらローラー昇降機構46(エアシリンダー)の制御部に上昇信号(ON信号)を送信する。上昇信号(ON信号)を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46(エアシリンダー)を上昇させる。ローラー昇降機構46の上昇によってそれらローラー45が上昇し、ローラー45の周縁部の一部がそれら搬入コンベア43の上方へ露出し、上昇したそれらローラー45がガラス板11a,11bの下面13に当接した状態でそれらローラー45がガラス板11a,11bを搬入コンベア43の上方へ持ち上げる。
【0150】
ローラー昇降機構46(エアシリンダー)の上昇が完了した後、コントローラは、ガラス板11a,11bの第1側縁14を位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置させるための移動機構47の幅方向への第1移動寸法(第1移動距離)から算出した第3サーボモータ51の回転数を第3サーボモータ51の制御部に送信するとともに、第3サーボモータ51の制御部に正回転信号(ON信号)を送信する。第3サーボモータ51の回転数及び正回転信号(ON信号)を受信した制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、第3サーボモータ51の軸を所定の回転数だけ時計回り方向へ回転させる。
【0151】
第3サーボモータ51の軸の時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53がその移動開始点から幅方向の一方へ次第に移動する。幅方向の一方へ移動する当接部材53がガラス板11a,11bの第2側縁15(他方の側縁)に当接し、当接部材53がガラス板11a,11bを幅方向の他方から一方へ移動させるようにガラス板11a,11bの第2側部15を幅方向へ押圧する。当接部材53に押圧されたガラス板11a,11bがローラ45上を幅方向の他方から一方へ向かって幅方向へ移動し、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁が搬入エリア19における位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置する(第1位置決め手段(第1位置決め工程))。
【0152】
当接部材53の幅方向の一方への移動が終了し、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁が搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置すると、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号(OFF信号)を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させる。第3サーボモータ51の駆動が停止した後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に逆回転信号(ON信号)を送信する。逆回転信号(ON信号)を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、第3サーボモータ51の軸を所定の回転数だけ反時計回り方向へ回転させる。
【0153】
第3サーボモータ51の軸の反時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53が幅方向の他方へ次第に移動し、当接部材53が移動開始点に戻る。当接部材53が移動開始点に戻った後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。停止信号(OFF信号)を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させ、下降信号(ON信号)を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46(エアシリンダー)を下降させる。それらローラー昇降機構46が下降すると、第1位置決め手段(第1位置決め工程)及び第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって位置決めされたガラス板11a,11bの下面13が搬送コンベア43に当接する。
【0154】
ガラス板加工システム10は、搬入コンベア43によってガラス板11a,11bが搬入エリア19をその後方から前方へ移動してガラス板11a,11bの前端縁16がストッパー44に当接した後、搬入コンベア43によってガラス板11a,11bを前後方向後方へ移動させることで、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11a,11bの中心線L2)を搬入エリア19における位置決め第2基準L2に位置させ、第2位置決め手段(第2位置決め工程)によってガラス板11a,11bの幅方向の一方の側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11a,11bの中心線L2)を位置決め第2基準L2に位置させた後、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によってローラー45とともにガラス板11a,11bを上昇させ、上昇したガラス板11a,11bの第2側縁15を移動機構47によって幅方向へ押圧移動させることで、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置させるから、先に加工するガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11aの中心線L2)の位置に、後に加工する上下面12,13の面積が異なるガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11bの中心線L2)を正確に位置(一致)させることができ、先に加工するガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最外側縁の位置に、後に加工する上面12及び下面13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最外側縁を正確に位置(一致)させることができる。
【0155】
搬入エリア19におけるガラス板11a,11bの位置決め手順の他の一例は、以下のとおりである。コントローラは、搬入コンベア43の制御部に前進信号(ON信号)を送信し、前進信号(ON信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させる。搬入エリア19に搬入されたガラス板11a,11bは、その下面13が搬入コンベア43に当接した状態で搬入コンベア43の上に載置される。搬入コンベア43の上に載置されたガラス板11a,11bは、搬入コンベア43によって搬入エリア19の後方(スタート位置)から前方へ向かって前後方向前方へ次第に移動する。ガラス板11a,11bが搬入エリア19の後方から前方へ向かって移動し、ガラス板11a,11bの前端縁16がストッパー44に当接すると、ストッパー44に設置された接触センサーがガラス板11a,11bの前端縁16のストッパー44への当接を検出し、接触信号をコントローラに送信する。
【0156】
接触信号を受信したコントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号(OFF信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43の駆動を停止させる。次に、コントローラは、それらローラー昇降機構46(エアシリンダー)の制御部に上昇信号(ON信号)を送信する。上昇信号(ON信号)を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46(エアシリンダー)を上昇させる。ローラー昇降機構46の上昇によってそれらローラー45が上昇し、ローラー45の周縁部の一部がそれら搬入コンベア43の上方へ露出し、上昇したそれらローラー45がガラス板11a,11bの下面13に当接した状態でそれらローラー45がガラス板11a,11bを搬入コンベア43の上方へ持ち上げる。
【0157】
ローラー昇降機構46(エアシリンダー)の上昇が完了した後、コントローラは、ガラス板11a,11bの第1側縁14を位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置させるための移動機構47の幅方向への第1移動寸法(第1移動距離)から算出した第3サーボモータ51の回転数を第3サーボモータ51の制御部に送信するとともに、第3サーボモータ51の制御部に正回転信号(ON信号)を送信する。回転数及び正回転信号(ON信号)を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、第3サーボモータ51の軸を所定の回転数だけ時計回り方向へ回転させる。
【0158】
第3サーボモータ51の軸の時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53がその移動開始点から幅方向の一方(搬入エリア19の側部48a)へ次第に移動する。幅方向の一方へ移動する当接部材53がガラス板11a,11bの第2側縁15に当接し、当接部材53がガラス板11a,11bを幅方向の他方から一方へ移動させるようにガラス板11a,11bの第2側縁15を幅方向へ押圧する。当接部材53に押圧されたガラス板11a,11bがローラ45上を幅方向の他方から一方へ向かって幅方向へ移動し、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁が搬入エリア19における位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置する(第1位置決め手段(第1位置決め工程))。
【0159】
当接部材53の幅方向の一方への移動が終了し、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14が搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置すると、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号(OFF信号)を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させる。第3サーボモータ51の駆動が停止した後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に逆回転信号(ON信号)を送信する。逆回転信号(ON信号)を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51を駆動させ、第3サーボモータ51の軸を所定の回転数だけ反時計回り方向へ回転させる。
【0160】
第3サーボモータ51の軸の反時計回り方向への回転による送りネジの回転によって移動アーム52とともに当接部材53が幅方向の他方(搬入エリア19の側部48b)へ次第に移動し、当接部材53が移動開始点に戻る。当接部材53が移動開始点に戻った後、コントローラは、第3サーボモータ51の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。停止信号(OFF信号)を受信した第3サーボモータ51の制御部は、第3サーボモータ51の駆動を停止させ、下降信号(ON信号)を受信したローラー昇降機構46の制御部は、それらローラー昇降機構46(エアシリンダー)を下降させる。それらローラー昇降機構46が下降すると、ガラス板11a,11bの下面13が搬送コンベア43に当接する。
【0161】
ガラス板11a,11bの下面13が搬送コンベア43に当接した後、コントローラは、ガラス板11a,11bの第1側縁14の前後方向中心O1を搬入エリア19の位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置させるための搬入コンベア43の前後方向後方への第2移動寸法を搬入コンベア43の制御部に送信するとともに、搬入コンベア43の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。
【0162】
第2移動寸法及び後退信号(ON信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43を駆動させ、搬入コンベア43によってガラス板11a,11bを前後方向後方へ第2移動寸法移動させる。搬入コンベア43がガラス板11a,11bを前後方向後方へ第2移動寸法移動させると、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11a,11bの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)が搬入エリア19における位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置する(第2位置決め手段(第2位置決め工程))。ガラス板11a,11bを前後方向後方へ第2移動寸法移動させた後、コントローラは、搬入コンベア43の制御部に停止信号(OFF信号)を送信し、停止信号(OFF信号)を受信した搬入コンベア43の制御部は、それら搬入コンベア43の駆動を停止させる。ガラス板11a,11bは、第1位置決め手段(第1位置決め工程)及び第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって位置決めされる。
【0163】
ガラス板加工システムは、搬入コンベア43によってガラス板11a,11bが搬入エリア19をその後方から前方へ移動してガラス板11a,11bの前端縁16がストッパー44に当接した後、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によってローラー45とともにガラス板11a,11bを上昇させ、上昇したガラス板11a,11bの第2側縁15を移動機構47によって幅方向へ押圧移動させることで、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を搬入エリア19における位置決め第1基準L1に位置させ、第1位置決め手段(第1位置決め工程)によってガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁を位置決め第1基準L1に位置させた後、ローラー昇降機構46(エアシリンダー)によってローラー45とともにガラス板11a,11bを下降させ、搬入コンベア43によってガラス板11a,11bが搬入エリア19をその後方から前方へ移動してガラス板11a,11bの前端縁16がストッパー44に当接した後、搬入コンベア43によってガラス板11a,11bを前後方向後方へ移動させることで、ガラス板11a,11bの幅方向の第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11a,11bの中心線L2)を搬入エリア19における位置決め第2基準L2に位置させるから、先に加工するガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最外側縁の位置に、後に加工する上面12及び下面13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最外側縁を正確に位置(一致)させることができ、先に加工するガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11aの中心線L2)の位置に、後に加工する上下面12,13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11bの中心線L2)を正確に(位置)一致させることができる。
【0164】
ガラス板加工システム10では、上下面12,13の面積が大きい大サイズのガラス板11aと、大サイズのガラス板11aよりも上下面12,13の面積が小さい小サイズのガラス板11bとを第1位置決め手段(第1位置決め工程)及び第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって位置決めした場合、
図3に示すように、大サイズのガラス板11aの前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)と小サイズのガラス板11bの前後方向へ延びる第1側縁14(一方の側縁)とが搬入エリア19の位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)に位置し、大サイズのガラス板11aの前後方向へ延びる第1側縁14の前後方向中心O1と小サイズのガラス板11bの前後方向へ延びる第1側縁14の前後方向中心O1とが搬入エリア19の位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)に位置している。
【0165】
第1位置決め手段(第1位置決め工程)及び第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって位置決めされた大サイズのガラス板11aと小サイズのガラス板11bとは、それらガラス板11a,11bの第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11a,11bでは、第1側縁14)が位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線)において一致し、それらガラス板11a,11bの第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11a,11bの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)が位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線)において一致している。
【0166】
第1位置決め手段(第1位置決め工程)及び第2位置決め手段(第2位置決め工程)によってガラス板11a,11bの位置決めが完了した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aの昇降機構(エアシリンダー)の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。下降信号(ON信号)を受信した昇降機構(エアシリンダー)の制御部は、昇降機構によって吸着パッド42をガラス板11a,11bの上面12に向かって下降させる。ガラス板第1ホルダー40aの吸着パッド42がガラス板11a,11bの上面12に当接した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのバキューム機構の制御部に吸引信号(ON信号)を送信する。吸引信号(ON信号)を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構を起動させる。
【0167】
バキューム機構を起動によって、搬入エリア19に位置するガラス板11a,11bが吸着パッド42に吸引される。バキューム機構を起動した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構(エアシリンダー)の制御部に上昇信号(ON信号)を送信する。上昇信号(ON信号)を受信したパッド昇降機構(エアシリンダー)の制御部は、パッド昇降機構によって吸着パッド42を上昇させる。搬入エリア19における第1位置決め手段(第1位置決め工程)及び第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって位置決めされたガラス板11a,11bは、吸着パッド42に吸着された状態で吸着パッド42とともに上昇する。
【0168】
吸着パッド42(ガラス板11a,11b)が上昇した後、コントローラは、第2サーボモータ39の制御部に前進信号(ON信号)を送信する。前進信号(ON信号)を受信した第2サーボモータ39の制御部は、第2サーボモータ39を駆動させる。第2サーボモータ39の軸の回転によってスライドブロックが第2ガイドフレーム35の後方から前方へ向かって前後方向へ移動し、それによってガラス板第1ホルダー40a(吸着パッド42に吸着されたガラス板11a,11b)が搬入エリア19から切込加工エリア20に移動する(ガラス板移動手段(ガラス板移動工程))。尚、スライドブロックの移動により、ガラス板第1ホルダー40aとともにガラス板第2~第4ホルダー40b~40dが前後方向前方へ移動する。
【0169】
ガラス板第1ホルダー40aが切込加工エリア20に移動した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構(エアシリンダー)の制御部に下降信号(ON信号)を送信する。下降信号(ON信号)を受信したパッド昇降機構(エアシリンダー)の制御部は、パッド昇降機構によって吸着パッド42(ガラス板11a,11b)を切込加工エリア20の切込加工テーブル54の上に下降させる。ガラス板第1ホルダー40aの吸着パッド42に吸着されたガラス板11a,11bが切込加工テーブル54に当接した後、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのバキューム機構の制御部に停止信号(OFF信号)を送信する。停止信号(OFF信号)を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構の起動を停止させる。バキューム機構が停止することで、ガラス板11a,11bに対する吸着パッド42の吸着が解除され、位置決めされたガラス板11a,11bが切込加工テーブル54に載置される。尚、ガラス板11a,11bが切込加工テーブル54に載置されると、切込加工テーブル54に設置された吸着パッド(図示せず)にガラス板11a,11bの下面13が吸着保持される。
【0170】
次に、コントローラは、ガラス板第1ホルダー40aのパッド昇降機構(エアシリンダー)の制御部に上昇信号(ON信号)を送信し、上昇信号によってガラス板第1ホルダー40a(パッド昇降機構)が切込加工テーブル54の上方へ上昇する。ガラス板第1ホルダー40aが上昇した後、コントローラから第2サーボモータ39の制御部に後退信号(ON信号)が送信され、第2サーボモータ39の軸の回転によってガラス板第1ホルダー40aが切込加工エリア20から搬入エリア19に移動し、ガラス板第1ホルダー40aが搬入エリア19の上方で待機する。尚、ガラス板第1ホルダー40aとともにガラス板第2~第4ホルダー40b~40dも前後方向後方へ移動し、ガラス板第2ホルダー40bが切込加工エリア20の上方で待機し、ガラス板第3ホルダー40cが折割加工エリア21の上方で待機するとともに、ガラス板第4ホルダー40dが研削加工エリア22の上方で待機する。
【0171】
切込加工後のガラス板11a,11bのガラス板第2ホルダー40bによる切込加工エリア20から折割加工エリア21への搬送手順(ガラス板移動手段(ガラス板移動工程))、折割加工後のガラス板11a,11bのガラス板第3ホルダー40cによる折割加工エリア21から研削加工エリア22への搬送手順(ガラス板移動手段(ガラス板移動工程))、研削加工後のガラス板11a,11bのガラス板第4ホルダー40dによる研削加工エリア22から搬出エリア23への搬送手順(ガラス板移動手段(ガラス板移動工程))は、ガラス板第1ホルダー40aによるガラス板11a,11bの搬入エリア19から切込加工エリア20へのそれと同一であるから、ガラス板第2~第4ホルダー40b~40dによる搬送手順の説明は省略する。
【0172】
ガラス板11a,11bが切込加工テーブル54に載置された後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。後退信号(ON信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を駆動させる。第1サーボモータ34の軸の回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、それによって第1走行フレーム32とともに切込装置55が切込加工エリア20において前後方向後方へ移動し、切込装置55がガラス板11a,11bの第1角部18a(前側縁16)の幅方向外方(切込加工開始位置)に位置する。
【0173】
切込装置55がガラス板11a,11bの第1角部18aの幅方向外方(切込加工開始位置)に位置した後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、第4サーボモータ61の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。停止信号(OFF信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を停止させ、駆動信号(ON信号)を受信した第4サーボモータ61の制御部は、第4サーボモータ61を駆動させる。第4サーボモータ61の軸の回転によってスライドブロック63aが切込加工エリア20の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60aを幅方向へ移動し、それによって切込加工テーブル54が切込加工エリア20の他方の側縁部48bの側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、切込装置55の切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの第1角部18aに位置する。
【0174】
切込装置55の切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの第1角部18aに位置した後、コントローラは、切込装置55のエアシリンダー65及び第5サーボモータ66の制御部に駆動信号(ON信号)及びNC制御信号を送信し、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)及びNC制御信号を送信するとともに、第4サーボモータ61の制御部にNC制御信号を送信する。駆動信号(ON信号)やNC制御信号を受信した切込装置55のエアシリンダー65の制御部、第5サーボモータ66の制御部、第1サーボモータ34の制御部、第4サーボモータ61の制御部は、エアシリンダー65及び第5サーボモータ66、第1サーボモータ34、第4サーボモータ61を駆動し、ガラス板11a,11bの第1側縁14近傍(第1側縁部)に対してNC制御による輪郭制御運動を実施し、切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの第1側縁14近傍(第1側縁部)を切込加工する(切込加工手段(切込加工工程))。
【0175】
後退信号(ON信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、切込加工中に第1サーボモータ34を駆動させて切込装置55を切込加工エリア20において前後方向後方へ移動させ、第4サーボモータ61の制御部は、切込加工中に第4サーボモータ61を駆動させて切込装置55を切込加工エリア20において幅方向へ往復動させる。切込装置55の切込カッターホイール67は、ガラス板11a,11bの第1側縁14近傍(第1側縁部)に外形切出線K1を形成しつつ、ガラス板11a,11bの第1角部18aから第2角部18bに向かって移動する。
【0176】
切込装置55の切込カッターホイール67によってガラス板11a,11bの第1側縁14近傍(第1側縁部)の切込加工が終了し、切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの第2角部18bに位置した後、切込加工テーブル54が切込加工エリア20の一方の側縁部48aの側から他方の側縁部48bの側に向かって幅方向へ移動し、切込加工テーブル54の幅方向への移動に伴って切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの後端縁17近傍(後端縁部)を切込加工する(切込加工手段(切込加工工程))。
【0177】
第4サーボモータ61の制御部は、切込加工中に第4サーボモータ61を駆動させて切込加工テーブル54を切込加工エリア20において幅方向へ移動させ、第1サーボモータ34の制御部は、切込加工中に第1サーボモータ34を駆動させて切込装置55を切込加工エリア20において前後方向へ往復動させる。切込装置55の切込カッターホイール67は、ガラス板11a,11bの後端縁17近傍(後端縁部)に外形切出線K1を形成しつつ、ガラス板11a,11bの第2角部18bから第3角部18cに向かって移動する。
【0178】
切込装置55の切込カッターホイール67によってガラス板11a,11bの後端縁17近傍(後端縁部)の切込加工が終了し、切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの第3角部18cに位置した後、切込装置55が前後方向前方へ移動し、切込装置55の前後方向前方への移動に伴って切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの第2側縁15近傍(第2側縁部)を切込加工する(切込加工手段(切込加工工程))。
【0179】
第1サーボモータ34の制御部は、切込加工中に第1サーボモータ34を駆動させて切込装置55を切込加工エリア20において前後方向前方へ移動させ、第4サーボモータ61の制御部は、切込加工中に第4サーボモータ61を駆動させて切込加工テーブル54を切込加工エリア20において幅方向へ往復動させる。切込装置55の切込カッターホイール67は、ガラス板11a,11bの第2側縁15近傍(第2側縁部)に外形切出線K1を形成しつつ、ガラス板11a,11bの第3角部18cから第4角部18dに向かって移動する。
【0180】
切込装置55の切込カッターホイール67によってガラス板11a,11bの第2側縁近傍(第2側縁部)の切込加工が終了し、切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの第4角部18dに位置した後、切込加工テーブル54が切込加工エリア20の他方の側縁部48bの側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、切込加工テーブル54の幅方向への移動に伴って切込カッターホイール67がガラス板11a,11bの前端縁16近傍(前端縁部)を切込加工する(切込加工手段(切込加工工程))。
【0181】
第4サーボモータ61の制御部は、切込加工中に第4サーボモータ61を駆動させて切込加工テーブル54を切込加工エリア20において幅方向へ移動させ、第1サーボモータ34の制御部は、切込加工中に第1サーボモータ34を駆動させて切込装置55を切込加工エリア20において前後方向へ往復動させる。切込装置55の切込カッターホイール67は、ガラス板11a,11bの前端縁16近傍(前端縁部)に外形切出線K1を形成しつつ、ガラス板11a,11bの第4角部18dから第1角部18aに向かって移動する。切込装置55の切込カッターホイール67によってガラス板11a,11bの前端縁16近傍(前端縁部)の切込加工が終了すると、切込装置55がガラス板11a,11bの第1角部18a(前端縁16)の幅方向外方(切込加工開始位置)に移動し、待機する。
【0182】
切込加工エリア20では、例えば、第1位置決め手段(第1位置決め工程)によって先に加工する上面12及び下面13の面積の大きい大サイズ(大面積)のガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11aでは、第1側縁14)の位置(位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線))に、後に加工する上面12及び下面13の面積が小さい小サイズ(小面積)のガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11bでは、第1側縁14)を位置(一致)させ、上面12及び下面13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11a,11bの位置決めをするとともに、第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって先に加工する大サイズのガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11aの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)の位置(位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準
線))に、後に加工する小サイズのガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる第1側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11bの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)を位置(一致)させ、上面12及び下面の面積が異なるガラス板11a,11bの位置決めをした後、後に加工する面積が異なるガラス板11bの切込加工を行う場合、大サイズのガラス板11aの側縁14に到達するまでの切込装置55の移動距離(切込加工テーブル54の幅方向への移動距離)と小サイズのガラス板11bの側縁14に到達するまでの切込装置55の移動距離(切込加工テーブル54の幅方向への移動距離)とが等しくなるとともに、切込装置55が大サイズのガラス板11aの最外側縁(第1側縁14)からそのガラス板11aの幅方向外方へ戻るまでの移動距離と小サイズのガラス板11bの最外側縁(第1側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの移動距離とが等しくなる。小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの切込装置55の移動距離が短くなるとともに、小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラスの幅方向外方へ戻るまでの切込装置55の移動距離が短くなり、切込装置55が小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの到達時間(非加工時間)が短縮するとともに、切込装置55が小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの戻り時間を短縮する。
【0183】
図25は、折割加工における折割手順の一例を示す図であり、
図26は、折割カッターホイール92の転動方向変更の一例を示す図である。
図27は、折割カッターホイール92の転動方向変更の他の一例を示す図であり、
図28は、折割カッターホイール92の転動方向変更の他の一例を示す図である。
図29は、折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図であり、図30は、折割カッターホイールの転動方向変更の他の一例を示す図である。ガラス板11a,11bの縁部56(周縁部)に対して切込加工が終了した後、ガラス板第2ホルダー40bによって切込加工後のガラス板11a,11bが切込加工エリア20から折割加工エリア21へ搬送される。
【0184】
切込加工後のガラス板11a,11bが折割加工テーブル74に載置された後、コントローラは、第1折割装置75a及び第2折割装置75bのホルダー昇降機構93(第1昇降機構)、押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)、第6サーボモータ84(X軸サーボモータ)、第7サーボモータ86(Y軸サーボモータ)、第8サーボモータ89(X軸サーボモータ)、第9サーボモータ90(Y軸サーボモータ)の各制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。駆動信号(ON信号)を受信したホルダー昇降機構93の制御部や押圧部材昇降機構95の制御部、第6~第9サーボモータ84,86,89,90の制御部は、ホルダー昇降機構93、押圧部材昇降機構95、第6~第9サーボモータ84,86,89,90を駆動する。尚、あらかじめ設定された走行軌跡(折割軌跡)に沿って第1及び第2折割装置75a,75bがガラス板11a,11bの上面12を走行(移動)するように、コントローラからホルダー昇降機構93や押圧部材昇降機構95、第6~第9サーボモータ84,86,89,90に指令(信号)が送信される。
【0185】
ホルダー昇降機構93や押圧部材昇降機構95、第6及び第7サーボモータ84,86が駆動した第1折割装置75aは、その第1折割治具83a(折割治具)がX軸第1アクチュエーター85a及びY軸第1アクチュエーター87aによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、第1折割治具83aがガラス板11a,11bの第1角部18aの幅方向外方の折割開始位置に位置する。ホルダー昇降機構93や押圧部材昇降機構95、第8及び第9サーボモータ89,90が駆動した第2折割装置75bは、その第2折割治具83b(折割治具)がX軸第2アクチュエーター85b及びY軸第2アクチュエーター87bによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、第2折割治具83bがガラス板11a,11bの第4角部18dの幅方向外方の折割開始位置に位置する。
【0186】
第1折割装置75aの第1折割治具83aがガラス板11a,11bの第1角部18aの折割開始位置(幅方向外方)に位置した後、
図25の矢印で示すように、X軸第1アクチュエーター85a及びY軸第1アクチュエーター87aによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、外形切出線K1の外側に延びるガラス板11a,11bの縁部56のうちの外形切出線K1の近傍(直近)の転動方向変更位置に移動する。第1折割治具83aが外形切出線K1の近傍の転動方向変更位置に移動した後、ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー91がガラス板11a,11bの縁部56の上面12に向かって下降する(ホルダー下降手段(ホルダー下降工程))。
【0187】
第2折割装置75bの第2折割治具83bがガラス板11a,11bの第4角部18dの折割開始位置(幅方向外方)に位置した後、
図25の矢印で示すように、X軸第2アクチュエーター85b及びY軸第2アクチュエーター87bによって前後方向及び幅方向(斜め方向)へ移動し、外形切出線K1の外側に延びるガラス板11a,11bの縁部56のうちの外形切出線K1の近傍(直近)の転動方向変更エリアに移動する。第2折割治具83bが外形切出線K1の近傍の転動方向変更エリアに移動した後、ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー91がガラス板11a,11bの縁部56の上面12に向かって下降する(ホルダー下降手段(ホルダー下降工程))。尚、転動方向変更エリアが外形切出線K1の近傍ではなく、ガラス板11a,11bの周縁近傍であってもよい。
【0188】
折割カッターホルダー91が下降すると、折割カッターホイール92がプレート94aの中央及び押圧ゴム94b(押圧部材94)の中央に形成された貫通部104(貫通孔)から下方へ露出する。折割カッターホイール92が貫通部104の下方へ露出すると、折割カッターホイール92が転動方向変更エリアにおけるガラス板11a,11bの上面12に所定の押圧力で当接する。このとき折割カッターホイール92の転動方向が決まっておらず、折割カッターホイール92の周縁101が四方のいずれかに向かい、折割カッターホイール92の転動方向がガラス板11a,11bの縁部56における仮想端切線の延びる方向に一致していない。
【0189】
コントローラは、折割カッターホイール92が所定の方向へ走行(移動)するように第6及び第7サーボモータ84,86の制御部に走行信号(ON信号)を送信する。走行信号(ON信号)を受信した第6及び第7サーボモータ84,86の制御部は、第6及び第7サーボモータ84,86を駆動する。第6及び第7サーボモータ84,86の駆動によってX軸第1アクチュエーター85a及びY軸第1アクチュエーター87aが作動し、折割カッターホイール92が所定の方向へわずかに走行(移動)することで、折割カッターホイール92にキャスター効果が発現し、折割カッターホイール92がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転し、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第1折割治具83a(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向く(転動方向変更手段(転動方向変更工程))。
【0190】
コントローラは、折割カッターホイール92が所定の方向へ走行(移動)するように第8及び第9サーボモータ89,90の制御部に走行信号を送信する。走行信号を受信した第8及び第9サーボモータ89,90の制御部は、第8及び第9サーボモータ89,90を駆動する。第8及び第9サーボモータ89,90の駆動によってX軸第2アクチュエーター85b及びY軸第2アクチュエーター87bが作動し、折割カッターホイール92が所定の方向へわずかに走行(移動)することで、折割カッターホイール92にキャスター効果が発現し、折割カッターホイール92がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)(時計回り方向又は反時計回り方向)へ回転し、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第2折割治具83b(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向く(転動方向変更手段(転動方向変更工程))。尚、折割カッターホイール92(第1及び第2折割治具83a,83b)の所定の方向への走行寸法(移動寸法)は、0.8~8mm、好ましくは、0.8~4mmである。
【0191】
折割カッターホイール92の転動方向変更動作(転動方向変更工程)の一例は、
図26に示すように、仮想端切線の側方における転動方向変更始点98aから転動方向変更終点98bに向かって第1折割治具83a(折割治具)と第2折割治具83b(折割治具)とが円形状(半円形状)に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、0.8~4mm)、折割カッターホイール92の周縁101が180°旋回して円軌跡(半円軌跡)を画き、カッターホイール92の周縁101が仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b)に位置したときに、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具83a,83bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向かう。
【0192】
折割カッターホイール92の転動方向変更動作(転動方向変更工程)の他の一例は、
図27,28に示すように、仮想端切線の始点(転動方向変更始点98a)から仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b)に向かって第1折割治具83a(折割治具)と第2折割治具83b(折割治具)とが円形状(真円状)に走行(移動)し(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、0.8~4mm)、折割カッターホイール92の周縁101が360°旋回して円軌跡(真円)を画き、カッターホイール92の周縁101が仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b)に位置したときに、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具83a,83bの走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向かう。
図27では、仮想端切線の始点(転動方向変更始点98a及び転動方向変更終点98b)が第1折割治具83aと第2折割治具83bとが画く円軌跡(真円)の接点に位置し、端切線K2が円軌跡(真円)の接線方向へ延びている。
図28では、仮想端切線の始点(転動方向変更始点98a及び転動方向変更終点98b)が第1折割治具83aと第2折割治具83bとが画く円軌跡(真円)の上に位置し、端切線K2が円軌跡(真円)の径方向へ延びている。
【0193】
折割カッターホイール92の転動方向変更動作(転動方向変更工程)の他の一例は、
図29に示すように、ガラス板11a,11bの縁部56の転動方向変更位置において、ガラス板11a,11bの縁部56における端切線K2の延びる方向と端切線K2の始点(仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b))に向かう第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)の走行方向とのなす角度が90°(又は90°以下)になるように、転動方向変更位置において第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)を転動方向変更始点98a(仮想端切線の始点)から端切線K2の始点(仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b))に向かって直線状(直線軌道)にわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、0.8~4mm)させ、折割カッターホイール92の転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点(仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b))において第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)の走行方向を90°(又は90°以下)の角度で端切線K2の延びる方向へ方向転換させ、第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)を端切線K2の延びる方向へ走行させる。
【0194】
尚、
図29では、ガラス板11a,11bの縁部56における端切線K2の延びる方向と端切線K2の始点(仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b))に向かう第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)の走行方向とのなす角度が90°の場合を説明したが、端切線K2の延びる方向と第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)の走行方向とのなす角度が45°や30°、15°等の90°以下であればよい。
【0195】
折割カッターホイール92の転動方向変更動作(転動方向変更工程)の他の一例は、
図30に示すように、ガラス板11a,11bの縁部56の転動方向変更位置において、ガラス板11a,11bの縁部56の端切線K2に沿って第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)を転動方向変更始点98a(仮想端切線の始点)から端切線の始点(仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b))に向かって直線状(直線軌道)わずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、0.8~4mm)させ、又は、第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)を転動方向変更始点98a(仮想端切線の始点)から端切線の始点(仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b))に向かってわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、0.8~4mm)させ、折割カッターホイール92の転動方向を仮想端切線の延びる方向へ変えた後、端切線の始点(仮想端切線の終点(転動方向変更終点98b))において第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)を反転(360°Uターン)させて端切線K2の延びる方向へ第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)の走行方向を方向転換させ、第1折割治具83a(折割治具)及び第2折割治具83b(折割治具)を端切線K2の延びる方向へ走行させる。
【0196】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、第1及び第2折割治具83a,83bを転動方向変更エリアにおけるガラス板11a,11bの縁部56の上面12に平行してガラス板11a,11bの上面12を所定の方向へ向かってわずかに走行(走行寸法:0.8~8mm、好ましくは、0.8~4mm)させる(円軌跡を画く、又は、直線状(直線軌道)に延びる)ことで、折割カッターホイール92がキャスター効果を発揮し、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第1折割治具83a(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に変更されるとともに、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第2折割治具83b(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に変更される。
【0197】
転動方向変更手段(転動方向変更工程)によって折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具83a,83bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更した後(折割カッターホイール92の転動方向が第1及び第2折割治具83a,83bの走行方向と同一になった後)、第1折割治具83aがガラス板11a,11bの外形切出線K1の近傍からガラス板11a,11bの縁に向かって直線状に走行し、折割カッターホイール92が第1折割治具83aの走行方向に沿ってガラス板11a,11bの縁部56の所定のエリアに第1(初回)の端切線K2(スクライブ)を形成する(端切線形成手段(端切線形成工程))。更に、第2折割治具83bがガラス板11a,11bの外形切出線K1の近傍からガラス板11a,11bの縁に向かって直線状に走行し、折割カッターホイール92が第2折割治具83bの走行方向に沿ってガラス板11a,11bの縁部56の所定のエリアに第1(初回)の端切線K2(スクライブ)を形成する(端切線形成手段(端切線形成工程))。尚、第1折割治具83aと第2折割治具83bとは同一の速度で走行する。端切線形成手段(端切線形成工程)では、ガラス板11a,11bの縁から第1及び第2折割治具83a,83bがガラス板11a,11bの外形切出線K1の近傍に向かって直線状に走行し、折割カッターホイール92がガラス板11a,11bの縁部56に端切線K2(スクライブ)を形成してもよい。
【0198】
ガラス板11a,11bの縁部56に第1の端切線K2を形成した後、ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー91がガラス板11a,11bの縁部56の縁から上昇する(ホルダー上昇手段(ホルダー上昇工程))。ホルダー上昇手段(ホルダー上昇工程)によって折割カッターホルダー91を上昇させた後、X軸第1及び第2アクチュエーター85a,85b及びY軸第1及び第2アクチュエーター87a,87bの作動によって第1及び第2折割治具83a,83bを次回のガラス板11a,11bの縁部56の端切線形成エリアに移動させる(治具移動工手段(治具移動工程))。
【0199】
治具移動手段(治具移動工程)によって第1及び第2折割治具83a,83bを次回の端切線形成エリアに移動させた後、ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)が稼働して折割カッターホルダー91がガラス板11a,11bの縁部56の上面12に向かって下降し(ホルダー下降手段(ホルダー下降工程))、折割カッターホイール92がプレート94aの中央及び押圧ゴム94b(押圧部材94)の中央に形成された貫通部104(貫通孔)から下方へ露出して折割カッターホイール92が転動方向変更エリアにおけるガラス板11a,11bの上面12に所定の押圧力で当接する。
【0200】
ホルダー下降手段(ホルダー下降工程)によって折割カッターホルダー91が次回の転動方向変更エリアにおけるガラス板11a,11bの縁部56の上面12に下降(当接)した後、既述のように、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)が円形状に走行(移動)をして円軌跡を画き、折割カッターホイール92にキャスター効果が発現して折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具83a,83b(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)に向き(転動方向変更手段(転動方向変更工程))、折割カッターホイール92の周縁101の転動(移動)方向が第1及び第2折割治具83a,83b(折割カッターホルダー91)の走行方向(仮想端切線の延びる方向)に変更される。
【0201】
折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具83a,83bの走行方向(仮想端切線の延びる方向)へ変更した後(折割カッターホイール92の転動方向が第1及び第2折割治具83a,83bの走行方向と同一になった後)、第1及び第2折割治具83a,83bがガラス板11a,11bの外形切出線K1の近傍からガラス板11a,11bの縁に向かって直線状に走行し、折割カッターホイール92が第1及び第2折割治具83a,83bの走行方向に沿ってガラス板11a,11bの縁部56の端切線形成エリア(所定のエリア)に第2(次回)の端切線K2を形成する(端切線形成手段(端切線形成工程))。
【0202】
第1(初回)及び第2(次回)の端切線K2を形成した後、押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)によってプレート94a及び押圧ゴム94b(押圧部材94)がガラス板11a,11bの縁部56(第1及び第2の端切線K2が形成された間の縁部56)の上面12に向かって下降し、押圧ゴム94b(押圧部材94)がガラス板11a,11bの縁部56を下方に向かって押圧する。押圧ゴム94bが縁部56を押圧することで、ガラス板11a,11bの本体(外形切出線K1の内側に延びるガラス板11a,11b)から第1及び第2の端切線K2の間に延びるガラス板11a,11bの縁部56が折割られる(切り離される)(折割加工手段(折割加工工程))。
【0203】
尚、押圧ゴム94bによって縁部56を押圧する場合、図示はしていないが、ガラス板11a,11bの下面13であって外形切出線K1の上に支持台が当接し、その支持台の径方向外方にガラス板11a,11bの縁部56が位置し、支持台の一部が下降して支持台と縁部56との間に段差が形成される。折割られた(切り離された)ガラス板11a,11bの縁部(周縁部)は、ベルトコンベア76の上に残存する。
【0204】
既述の手順を繰り返し、端切線K2が形成されたガラス板11a,11bのすべての縁部56が折割られる。尚、
図25に示すガラス板11a,11bには、第1折割治具83aによって第1~第3の端切線K2が形成され、第2折割治具83bによって第1~第3の端切線K2が形成されているが、端切線K2の数に特に限定はなく、ガラス板11a,11bの大きさ(面積)や厚み寸法、外形切出線K1によって作られるガラス板11a,11bの本体の形状によって端切線K2の数が決定される。
【0205】
折割加工が終了し、折割加工後のガラス板11a,11bがガラス板第3ホルダー40cによって上方へ持ち上げられた後、コントローラは、コンベア駆動モータ77の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。駆動信号(ON信号)を受信したコンベア駆動モータ77の制御部は、ベルトコンベア76を駆動させる。ベルトコンベア76は、幅方向の一方から他方へ向かって移動する。ベルトコンベア76の幅方向の移動によってベルトコンベア76に残存するガラス板11a,11bの折割られた縁部56(周縁部)が幅方向の一方から他方へ向かって次第に移動し、縁部56がベルトコンベア76から落下してダストボックス(図示せず)に収容される(廃棄される)。
【0206】
ガラス板11a,11bの折割加工が終了した後、ガラス板第3ホルダー40cによって折割加工後のガラス板11a,11bの本体が折割加工エリア21から研削加工エリア22へ搬送され、ガラス板11a,11bの本体が研削加工テーブル106に載置される。ガラス板11a,11bの本体が研削加工テーブル106に載置された後、コントローラは、研削加工テーブル106のバキューム機構の制御部に駆動信号を送信するとともに、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)を送信する。駆動信号を受信したバキューム機構の制御部は、バキューム機構を駆動させる。バキューム機構の駆動によってガラス板11a,11bの本体が吸着パッド108(研削加工テーブル106)に吸着保持される。
【0207】
後退信号(ON信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を駆動させる。第1サーボモータ34の軸の回転によって第1スライドブロックが第1ガイドフレーム30の前方から後方へ向かって前後方向へ移動し、それによって第1走行フレーム32とともに研削装置107が研削加工エリア22において前後方向後方へ移動し、研削装置107がガラス板11a,11bの本体の第1角部18a(前側縁)の幅方向外方(研削加工開始位置)に位置する。尚、研削装置107は、切込装置55と同期してガラス板11a,11bの本体の周縁部(側縁、前後端縁)を移動する。
【0208】
研削装置107がガラス板11a,11bの本体の第1角部18aの幅方向外方(研削加工開始位置)に位置した後、コントローラは、第1サーボモータ34の制御部に停止信号(OFF信号)を送信するとともに、第10サーボモータ109の制御部に駆動信号(ON信号)を送信する。停止信号(OFF信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、第1サーボモータ34を停止させ、駆動信号(ON信号)を受信した第10サーボモータ109の制御部は、第10サーボモータ109を駆動させる。第10サーボモータ109の軸の回転によってスライドブロック63bが研削加工エリア22の他方の側縁部48bから一方の側縁部48aに向かって送りネジ60bを幅方向へ移動し、それによって研削加工テーブル106が研削加工エリア22の他方の側縁48b部の側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、研削装置107の研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の第1角部18aに位置する。ガラス板11a,11bの本体の第1角部18aは、研削治具110のカバー118のスリット120に進入する。
【0209】
研削装置107の研削ホイール116がガラス板11a,11bの第1角部18aに位置した後、コントローラは、研削装置107の第11~第13サーボモータ111~113の制御部及びスピンドルモータ119の制御部に駆動信号(ON信号)及びNC制御信号を送信し、第1サーボモータ34の制御部に後退信号(ON信号)及びNC制御信号を送信するとともに、第10サーボモータ109の制御部にNC制御信号を送信する。駆動信号(ON信号)やNC制御信号を受信した第11~第13サーボモータ111~113の制御部及びスピンドルモータ119の制御部、第1サーボモータ34の制御部、第10サーボモータ109の制御部は、第11~第13サーボモータ111~113、スピンドルモータ119、第1サーボモータ34、第10サーボモータ109を駆動し、ガラス板11a,11bの本体の一方の側縁近傍(一方の側縁部)に対してNC制御による輪郭制御運動を実施し、研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の一方の側縁近傍(一方の側縁部)を研削加工する(研削加工手段(研削加工工程))。
【0210】
後退信号(ON信号)を受信した第1サーボモータ34の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第1サーボモータ34を駆動させて研削装置107を研削加工エリア22において前後方向後方へ移動させ、第10サーボモータ109の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第10サーボモータ109を駆動させて研削装置107を研削加工エリア22において幅方向へ往復動させる。研削装置107の研削ホイール116は、ガラス板11a,11bの本体の縁部(外形切出線K1)に沿ってガラス板11a,11bの本体の一方の側縁近傍(一方の側縁部)を研削しつつ、ガラス板11a,11bの第1角部18aから第2角部18bに向かって移動する。
【0211】
研削装置107の研削ホイール116によってガラス板11a,11bの本体の一方の側縁近傍(一方の側縁部)の研削加工が終了し、研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の第2角部18bに位置した後、研削加工テーブル106が研削加工エリア22の一方の側縁部48aの側から他方の側縁部48bの側に向かって幅方向へ移動し、研削加工テーブル106の幅方向への移動に伴って研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の後端縁近傍(後端縁部)を研削加工する(研削加工手段(研削加工工程))。
【0212】
第10サーボモータ109の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第10サーボモータ109を駆動させて研削加工テーブル106を研削加工エリア22において幅方向へ移動させ、第1サーボモータ34の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第1サーボモータ34を駆動させて研削装置107を研削加工エリア22において前後方向へ往復動させる。研削装置107の研削ホイール116は、ガラス板11a,11bの本体の縁部(外形切出線K1)に沿ってガラス板11a,11bの本体の後端縁近傍(後端縁部)を研削しつつ、ガラス板11a,11bの本体の第2角部18bから第3角部18cに向かって移動する。
【0213】
研削装置107の研削ホイール116によってガラス板11a,11bの本体の後端縁近傍(後端縁部)の研削加工が終了し、研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の第3角部18cに位置した後、研削装置107が前後方向前方へ移動し、研削装置107の前後方向前方への移動に伴って研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の第2側縁近傍(第2側縁部)を研削加工する(研削加工手段(研削加工工程))。
【0214】
第1サーボモータ34の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第1サーボモータ34を駆動させて研削装置107を研削加工エリア22において前後方向前方へ移動させ、第10サーボモータ109の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第10サーボモータ109を駆動させて研削加工テーブル106を研削加工エリア22において幅方向へ往復動させる。研削装置107の研削ホイール116は、ガラス板11a,11bの本体の縁部(外形切出線K1)に沿ってガラス板11a,11bの本体の第2側縁近傍(第2側縁部)を研削しつつ、ガラス板11a,11bの本体の第3角部18cから第4角部18dに向かって移動する。
【0215】
研削装置107の研削ホイール116によってガラス板11a,11bの本体の第2側縁近傍(第2側縁部)の研削加工が終了し、研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の第4角部18dに位置した後、研削加工テーブル106が研削加工エリア22の他方の側縁部48bの側から一方の側縁部48aの側に向かって幅方向へ移動し、研削加工テーブル106の幅方向への移動に伴って研削ホイール116がガラス板11a,11bの本体の前端縁近傍(前端縁部)研削加工する(研削加工手段(研削加工工程))。
【0216】
第10サーボモータ109の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第10サーボモータ109を駆動させて研削加工テーブル106を研削加工エリア22において幅方向へ移動させ、第1サーボモータ34の制御部は、研削加工中(切込加工中)に第1サーボモータ34を駆動させて研削装置107を研削加工エリア22において前後方向へ往復動させる。研削装置107の研削ホイール116は、ガラス板11a,11bの本体の縁部(外形切出線K1)に沿ってガラス板11a,11bの本体の前端縁近傍(前端縁部)を研削しつつ、ガラス板11a,11bの本体の第4角部18dから第1角部18aに向かって移動する。研削装置107の研削ホイール116によってガラス板11a,11bの本体の前端縁近傍(前端縁部)の研削加工が終了すると、研削装置107がガラス板11a,11bの本体の第1角部18a(前端縁)の幅方向外方(研削加工開始位置)に移動し、待機する。
【0217】
研削加工エリア22では、例えば、第1位置決め手段(第1位置決め工程)によって先に加工する上面12及び下面13の面積の大きい大サイズ(大面積)のガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる一方の側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11aでは、一方の側縁14)の位置(位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線))に、後に加工する上面12及び下面13の面積が小さい小サイズ(小面積)のガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる一方の側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11bでは、一方の側縁14)を位置(一致)させ、上面12及び下面13の面積が異なるガラス板11a,11bの位置決めをするとともに、第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって先に加工する大サイズのガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11aの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)の位置(位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線))に、後に加工する小サイズのガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11bの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)を位置(一致)させ、上面12及び下面13の面積が異なるガラス板11a,11bの位置決めをした後、後に加工する面積が異なるガラス板11bの研削加工を行う場合、大サイズのガラス板11aの側縁14に到達するまでの研削装置107の移動距離(研削加工テーブル106の幅方向への移動距離)と小サイズのガラス板11bの側縁14に到達するまでの研削装置107の移動距離(研削加工テーブル106の幅方向への移動距離)とが等しくなるとともに、研削装置107が大サイズのガラス板11aの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11aの幅方向外方へ戻るまでの移動距離と小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの移動距離とが等しくなる。小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの研削装置107の移動距離が短くなるとともに、小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラスの幅方向外方へ戻るまでの研削装置107の移動距離が短くなり、研削装置107が小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの到達時間(非加工時間)が短縮するとともに、研削装置107が小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラの幅方向外方へ戻るまでの戻り時間を短縮する。
【0218】
ガラス板11a,11bの本体の研削加工が終了した後、ガラス板第4ホルダー40dによって研削加工後のガラス板11a,11bの本体が研削加工エリア22から搬出エリア23へ搬送される。搬出エリア23では、切込加工、折割加工、研削加工が終了したガラス板11a,11bの本体が搬出コンベア123によって搬出エリア23の後端部から前端部に向かって前方へ移動し、各加工が終了したガラス板11a,11bの本体が搬出エリア23から搬出される。
【0219】
尚、各加工が終了したガラス板11a,11bの本体が搬出エリア23の搬出コンベア123に位置すると、研削加工が終了したガラス板11a,11bの本体が研削加工エリア22の研削加工テーブル106に位置し、折割加工が終了したガラス板11a,11bの本体が折割加工エリア21の折割加工テーブル74に位置するとともに、切込加工が終了したガラス板11a,11bが切込加工エリア20の切込加工テーブル54に位置し、第1位置決め手段(第1位置決め工程)及び第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって位置決めが行われた加工前のガラス板11a,11bが搬入エリア19の搬入コンベア43に位置する。このように、ガラス板加工システム10では、複数のガラス板が搬入エリア19から搬出エリア23に向かって順に搬送され、複数のガラス板11a,11bの加工が連続して行われる。
【0220】
第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)は、折割カッターホイール92のカッターホイール軸線O3が折割カッターホルダー91(ホルダー本体96)のカッターホルダー中心軸線O2に対して径方向外方へ偏芯し、折割カッターホイール92がキャスター効果を有するから、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)が端切線K2の始点近傍から円形状に走行(移動)して円軌跡を画くだけで(折割治具が端切線K2の始点近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)するだけで)、折割カッターホイール92がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール92の周縁101の転動(回転)方向が第1及び第2折割治具83a,83b(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向き、折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができる。
【0221】
第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)は、それがガラス板11a,11bの縁部56の上面12に平行して端切線K2の始点近傍から円軌跡を画くことで(上面12において端切線K2の始点近傍から所定の方向へわずかに走行することで)、ガラス板11a,11bの縁部56の上面12に当接する折割カッターホイール92がカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転し、折割カッターホイール92の周縁101の転動方向が第1及び第2折割治具83a,83b(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向と同一になるから、折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向(ガラス板11a,11bの縁部56における仮想端切線の延びる方向)に一致させることができ、ガラス板11a,11bの縁部56における端切線K2形成の一連の動きのうちの初動において折割カッターホイール92の周縁101の転動(回転)方向と第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向とを同一にすることができる。
【0222】
第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)は、加工対象のガラス板11a,11bの縁部56における各端切線形成エリアにおいて、折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向(ガラス板11a,11bの縁部56の仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成エリアに端切線K2を入れることができ、短時間に複数の端切線K2をガラス板11a,11bの縁部56の端切線形成エリアに効率よく形成することができる。第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)は、折割カッターホルダー91のカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ(回転中心周りに)折割カッターホイール92自体を回転運動させ、折割カッターホイール92自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダー91のカッターホルダー中心軸線O2とし、折割カッターホイール92の転動方向(折割治具83a,83bの移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0223】
第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)は、前記特許文献1に開示のガラス板加工システムに設置されたθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、ガラス板加工システム10の小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイール92の周縁101の転動方向をガラス板11a,11bの縁部56の仮想端切線の延びる方向(第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線K2の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を変える必要がないから、ガラス板加工システム10における折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。
【0224】
第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)は、押圧部材94の押圧ゴム94bが折割カッターホルダー91の周り方向近傍に配置され、押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)によって押圧ゴム94bが折割カッターホルダー91の周り方向近傍からガラス板11a,11bの縁部56の上面12に向かって下降することで、ガラス板11a,11bの縁部56を押圧ゴム94bによって確実に押圧することができ、端切線K2が形成されたガラス板11a,11bの縁部56を押圧ゴム94bによって確実に折割ることができる。
【0225】
第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)は、折割カッターホイール92の周縁101によってガラス板11a,11bの縁部56に端切線K2を形成した後、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)を大きく走行(移動)させることなく押圧部材94の押圧ゴム94bを下降させることで、端切線K2が形成されたガラス板11a,11bの縁部56を折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【0226】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)をガラス板11a,11bの縁部56の上面12に平行して端切線K2の始点近傍から円軌跡を画かせ(上面12において端切線K2の始点近傍から所定の方向へわずかに走行させ)、ガラス板11a,11bの縁部56の上面12に当接する折割カッターホイール92をカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転させ、折割カッターホイール92の周縁101の転動(回転)方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行(移動)方向へ変更する転動方向変更手段(転動方向変更工程)と、折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向へ変更した後、折割カッターホイール92の周縁101が第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向に沿ってガラス板11a,11bの縁部56に端切線K2を形成する端切線形成手段(端切線形成工程)とを有するから、折割カッターホイール92を端切線K2の始点近傍から円形状に走行(移動)させて円軌跡を画かせ(折割治具を端切線K2の始点近傍から所定の方向へわずかに走行(移動)させ)、折割カッターホイール92をカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転させることで、折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を迅速かつ容易に変えることができ、折割カッターホイール92の周縁101の転動(回転)方向を第1及び第2折割治具83a(折割カッターホルダー91)の走行(移動)方向(仮想端切線の延びる方向)へ向かせることができる。
【0227】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)をガラス板11a,11bの縁部56の上面12に平行して端切線の始点近傍から円軌跡を画かせることで(上面12において端切線K2の始点近傍から所定の方向へわずかに走行させることで)、ガラス板11a,11bの縁部56の上面12に当接する折割カッターホイール92をカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ回転させることができるから、折割カッターホイール92の周縁101の転動(回転)方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向(ガラス板11a,11bの縁部56における仮想端切線の延びる方向)に一致させることができ、ガラス板11a,11bの縁部56における端切線K2形成の一連の動きのうちの初動において折割カッターホイール92の周縁101の転動方向と第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向とを同一にすることができる。ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、折割カッターホルダー91のカッターホルダー中心軸線O2の周り方向(軸回り)へ(回転中心周りに)折割カッターホイール92自体を回転運動させ、折割カッターホイール92自体を回転運動させる回転制御軸を折割カッターホルダー91のカッターホルダー中心軸線O2とし、折割カッターホイール92の転動方向(折割治具83a,83bの移動方向)に回転制御軸の角度を合わせることによって偏芯による誤差を最小限にすることができる。
【0228】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、端切線形成手段(端切線形成工程)によってガラス板11a,11bの縁部56の所定の端切線形成エリアに初回の端切線K2を形成した後、ホルダー昇降機構93(第1昇降機構)によって折割カッターホルダー91をガラス板11a,11bの上面12から上昇させるホルダー上昇手段(ホルダー上昇工程)と、ホルダー上昇手段(ホルダー上昇工程)によって折割カッターホルダー91を上昇させた後、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)をガラス板11a,11bの縁部56の次回の端切線形成エリアに移動させる治具移動手段(治具移動工程)とを含み、治具移動手段(治具移動工程)によって第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)を次回の端切線形成エリアに移動させた後、ホルダー昇降機構93によって折割カッターホルダー91を次回の端切線形成エリアに延びるガラス板11a,11bの縁部56の上面12に向かって下降させ、ホルダー下降手段(ホルダー下降工程)によって折割カッターホルダーを下降させた後、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)をガラス板11a,11bの縁部56の上面12に平行して端切線の始点近傍から円軌跡を画かせ(上面12において端切線K2の始点近傍から所定の方向へわずかに走行させ)、折割カッターホイール92の周縁101の転動(回転)方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行(移動)方向へ変更し、転動方向変更手段(転動方向変更工程)によって折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向へ変更した後、次回の端切線形成エリアにおいて第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)を所定の方向へ走行させて折割カッターホイール92によって次回の端切線形成エリアにおけるガラス板11a,11bの縁部56に端切線K2を形成するから、加工対象のガラス板11a,11bの縁部56における各端切線形成エリアにおいて、折割カッターホイール92の周縁101の転動(回転)方向を第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向(ガラス板11a,11bの縁部56の仮想端切線の延びる方向)に一致させつつ、それら端切線形成エリアに端切線K2を入れることができ、短時間に複数の端切線K2をガラス板11a,11bの縁部56に効率よく形成することができる。
【0229】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、前記特許文献1に開示のガラス板加工システムに設置されたθ軸サーボモータやその回転力を折割カッターホルダーに伝達する伝達部材(プーリやベルト等)を設置する必要はなく、ガラス板加工システム10の小型化や省エネ化、低コスト化を図ることができる。更に、折割加工においてθ軸サーボモータを回転させて折割カッターホイール92の周縁101の転動方向をガラス板11a,11bの縁部56の仮想端切線の延びる方向(第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)の走行方向)と同一にする必要はなく、端切線K2の形成の度毎にθ軸サーボモータを用いて折割カッターホイール92の周縁101の転動方向を変える必要がないから、ガラス板加工システム10における折割加工の短時間化及び効率化を図ることができる。
【0230】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、押圧部材94の押圧ゴム94bが折割カッターホルダー91の周り方向近傍に配置され、押圧部材昇降機構95(第2昇降機構)によって押圧ゴム94bが折割カッターホルダー91の周り方向近傍からガラス板11a,11bの縁部56の上面12に向かって下降することで、ガラス板11a,11bの縁部56を押圧ゴム94bによって確実に押圧することができ、端切線K2が形成されたガラス板11a,11bの縁部56を押圧ゴム94bによって確実に折割ることができる。
【0231】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、折割カッターホイール92の周縁101によってガラス板11a,11bの縁部56に端切線K2を形成した後、第1及び第2折割治具83a,83b(折割治具)を大きく走行(移動)させることなく押圧部材94の押圧ゴム94bを下降させることで、端切線K2が形成されたガラス板11a,11bの縁部56を折割ることができ、折割加工を短時間に効率よく行うことができる。
【0232】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、第1位置決め手段(第1位置決め工程)によって先に加工する上面12及び下面13の面積の大きい大サイズ(大面積)のガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる一方の側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11aでは、一方の側縁14)の位置(位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線))と、後に加工する上面12及び下面13の面積が小さい小サイズ(小面積)のガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる一方の側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11bでは、一方の側縁14)の位置(位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線))とを一致させ、上面12及び下面13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11a,11bの位置決めをするとともに、第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって先に加工する大サイズのガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11aの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)の位置(位置決め第2基準(仮想位置決め第2基準線))と、後に加工する小サイズのガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11bの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)の位置(位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線))とを一致させ、上面12及び下面13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11a,11bの位置決めをした後、後に加工する小サイズのガラス板11b(面積が異なるガラス板11b)の切込加工が行われるから、上面12及び下面13の面積が大きい大サイズ(大面積)のガラス板11aの最外側縁(側縁14)に到達するまでの切込装置55の移動距離(切込加工テーブル54の幅方向への移動距離)と上面12及び下面13の面積が小さい小サイズ(小面積)のガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの切込装置55の移動距離(切込加工テーブル54の幅方向への移動距離)とが等しくなるとともに、切込装置55が大サイズのガラス板11aの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11aの幅方向外方へ戻るまでの移動距離(切込加工テーブル54の幅方向への移動距離)と小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの移動距離(切込加工テーブル54の幅方向への移動距離)とが等しくなり、従来技術のガラス板加工システムと比較し、小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの切込装置55の移動距離を短くすることができるとともに、小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの切込装置55の移動距離を短くすることができ、切込装置55が小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの到達時間(非加工時間)を短縮することができるとともに、切込装置55が小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの戻り時間を短縮することができる。
【0233】
ガラス板加工システム10(折割加工方法)は、第1位置決め手段(第1位置決め工程)によって先に加工する上面12及び下面13の面積の大きい大サイズ(大面積)のガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる一方の側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11aでは、一方の側縁14)の位置(位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線))と、後に加工する上面12及び下面13の面積が小さい小サイズ(小面積)のガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる一方の側縁14のうちの最も幅方向外方に位置する最外側縁(図示のガラス板11bでは、一方の側縁14)の位置(位置決め第1基準L1(仮想位置決め第1基準線))とを一致させ、上面12及び下面13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11a,11bの位置決めをするとともに、第2位置決め手段(第2位置決め工程)によって先に加工する大サイズのガラス板11aの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11aの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)の位置(位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線))と、後に加工する小サイズのガラス板11bの幅方向の一方において前後方向へ延びる側縁14の前後方向中心O1(ガラス板11aの前後方向の寸法を二分して幅方向へ延びる中心線L2)の位置(位置決め第2基準L2(仮想位置決め第2基準線))とを一致させ、上面12及び下面13の面積が異なる大きさ違いのガラス板11a,11bの位置決めをした後、後に加工する小サイズのガラス板11b(面積が異なるガラス板11b)の研削加工が行われるから、上面12及び下面13の面積が大きい大サイズ(大面積)のガラス板11aの最外側縁(側縁14)4に到達するまでの研削装置107の移動距離(研削加工テーブル106の幅方向への移動距離)と上面12及び下面13の面積が小さい小サイズ(小面積)のガラス板11bの最外側縁(側縁14)に到達するまでの研削装置107の移動距離(研削加工テーブル106の幅方向への移動距離)とが等しくなるとともに、研削装置107が大サイズのガラス板11aの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11aの幅方向外方へ戻るまでの移動距離(研削加工テーブル106の幅方向への移動距離)と小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの移動距離(研削加工テーブル106の幅方向への移動距離)とが等しくなり、従来技術のガラス板加工システムと比較し、小サイズのガラス板11bの側縁14に到達するまでの研削装置107の移動距離を短くすることができるとともに、小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの研削装置107の移動距離を短くすることができ、研削装置107が小サイズのガラス板11bの側縁14に到達するまでの到達時間(非加工時間)を短縮することができるとともに、研削装置107が小サイズのガラス板11bの最外側縁(側縁14)からそのガラス板11bの幅方向外方へ戻るまでの戻り時間を短縮することができる。ガラス板加工システム10は、小サイズのガラス板11bに対する切込加工及び研削加工を迅速に行うことができ、切込加工及び研削加工のサイクルタイムを短縮することができる。
【符号の説明】
【0234】
10 ガラス板加工システム
11a 大サイズのガラス板
11b 小サイズのガラス板
12 上面
13 下面
14 一方の側縁
15 他方の側縁
16 前端縁
17 後端縁
18a~18d 第1~第4角部
19 搬入エリア
20 切込加工エリア
21 折割加工エリア
22 研削加工エリア
23 搬出エリア
24 搬送機構
25 システム台
26a,26b 第1及び第2ピラー
27 固定フレーム
28 第1移動ユニット(第1移動手段)
29 第2移動ユニット(第2移動手段)
30 第1ガイドフレーム
31 第1ガイドレール
32 第1走行フレーム
33 第1ガイドシュー
34 第1サーボモータ
35 第2ガイドフレーム
36 第2ガイドレール
37 第2走行フレーム
38 第2ガイドシュー
39 第2サーボモータ
40a~40d ガラス板第1~第4ホルダー
41 パッド設置プレート
42 吸着パッド
43 搬入コンベア
44 ストッパー
45 ローラー
45a ローラー
46 ローラー昇降機構
47 移動機構
48a 一方の側縁部
48b 他方の側縁部
49 軸
50 ロッド
51 第3サーボモータ
52 移動アーム
53 当接部材
54 切込加工テーブル
55 切込装置
56 縁部(周縁部)
57a,57b ベースレーン
58a 第1移動機構
58b 第2移動機構
59a,59b 走行ガイドレール
60a,60b 送りネジ
61 第4サーボモータ
62a,62b ガイドシュー
63a,63b スライドブロック(ハウジングナット)
64 切込治具
65 エアシリンダー
66 第5サーボモータ
67 切込カッターホイール
68 切込カッターホルダー
69 カッター昇降軸
70 カッター昇降ガイド
71 支持軸
72 ブラケット
73 タイミングベルト
74 折割加工テーブル
75 折割装置
75a 第1折割装置
75b 第2折割装置
76 ベルトコンベア
77 コンベア駆動モータ
78 ベルト
79 プーリ
80 キャリアローラ
81 コンベアフレーム
82 懸垂フレーム
83a 第1折割治具
83b 第2折割治具
84 第6サーボモータ(X軸サーボモータ)
85a X軸第1アクチュエーター
85b X軸第2アクチュエーター
86 第7サーボモータ(Y軸サーボモータ)
87a Y軸第1アクチュエーター
87b Y軸第2アクチュエーター
88a X軸第1アクチュエーターフレーム
88b X軸第2アクチュエーターフレーム
89 第8サーボモータ(X軸サーボモータ)
90 第9サーボモータ(Y軸サーボモータ)
91 折割カッターホルダー
92 折割カッターホイール
93 ホルダー昇降機構(第1昇降機構)
94 押圧部材
94a プレート
94b 押圧ゴム
95 押圧部材昇降機構(第2昇降機構)
96 ホルダー本体
97 ホルダーヘッド
98a 転動方向変更始点
98b 転動方向変更終点
99 ベアリング
100 転動軸
101 周縁
102 連結部
103 ブラケット
104 貫通部
105 連結部材
106 研削加工テーブル
107 研削装置
108 吸着パッド
109 第10サーボモータ
110 研削治具
111 第11サーボモータ
112 第12サーボモータ
113 第13サーボモータ
114 研削ホイール昇降ネジ
115 研削ホイール切込ネジ
116 研削ホイール
117 研削ホルダー
118 カバー
119 スピンドルモータ
120 スリット
121 モータハウジング
122 ブラケット
123 搬出コンベア
125 折割装置
126 折割治具
127 第1昇降機構
128 押圧ローラー
129 第2昇降機構
130 折割カッターホイール
131 折割カッターホルダー
132 θ軸サーボモータ
K1 外形切出線(切込線)
K2 端切線
L1 位置決め第1基準(仮想位置決め第1基準線)
L2 位置決め第2基準(仮想位置決め第2基準線)(中心線)
O1 側縁の前後方向中心
O2 カッターホルダー中心軸線
O3 カッターホイール軸線
S 離間寸法(偏芯寸法)