(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093322
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】時計用の温度制御
(51)【国際特許分類】
G04B 39/00 20060101AFI20230627BHJP
G04B 43/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
G04B39/00 Z
G04B43/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022175303
(22)【出願日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】21217076.5
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーネ・ギンキーヴィッチ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】時計内に、特に腕時計ケースによって構成された小さな容積内に、この時計の中の温度のより良好な調節を可能にするデバイスを組み込むことを提案する。
【解決手段】時計用の温度制御デバイスに関し、これは第1の光透過部分1を含み、第1の光透過部分は、隣り合った第2の部分2と共に、第1の部分の温度に応じて寸法が可変である中間チャンバ9を画定し、第1の部分は第1の空間分布に従った第1のマイクロルーバー10を含み、第2の部分は、第1の部分における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させるために、第1の部分と第2の部分との間の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように、第1のマイクロルーバーと略対面する、第2の空間分布に従った第2のマイクロルーバー20を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光透過部分(1)と、前記第1の部分(1)の温度に応じて軸方向(A)及び/又は半径方向(R)の寸法が可変である中間チャンバ(9)を前記第1の部分(1)と共に画定する第2の部分(2)とを含む、時計(1000)用の温度制御デバイス(100)であって、前記第1の部分(1)は、第1の空間分布に従った複数の第1のマイクロルーバー(10)を含むこと、前記第2の部分(2)は、第2の空間分布に従った複数の第2のマイクロルーバー(20)を含み、これら第1及び第2のマイクロルーバー(10、20)を備えた前記第1及び第2の部分は、互いに対して移動することによって、前記第1の部分(1)における前記光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させるよう、構成されることを特徴とする、温度制御デバイス(100)。
【請求項2】
前記第1のマイクロルーバー(10)及び前記第2のマイクロルーバー(20)は、前記第1の部分(1)における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させるために、前記第2の部分(2)に対する前記第1の部分(1)の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように配設されることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項3】
前記第1の部分(1)は、この第1の部分(1)の温度に応じて、前記第2の部分に対して軸方向(A)及び/又は半径方向(R)に移動できることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項4】
前記第1の部分(1)は、前記第2の部分(2)の第2の熱膨張係数とは異なる第1の熱膨張係数を有することを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項5】
前記第1の部分(1)又は前記第2の部分(2)は、前記第1の部分(1)の第1の熱膨張係数及び/又は前記第2の部分(2)の第2の熱膨張係数とは異なる第3の熱膨張係数を有する、第3の部分上に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項6】
前記第1の空間分布及び前記第2の空間分布は相同又は同一であることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項7】
前記第1のマイクロルーバー(10)は、前記中間チャンバ(9)において、前記第1の部分(1)の下面(19)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項8】
前記第2のマイクロルーバー(20)は、前記中間チャンバ(9)において、前記第2の部分(2)の上面(29)に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項9】
前記第1のマイクロルーバー(10)及び/又は前記第2のマイクロルーバー(20)は、反射性コーティングを含む、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項10】
前記第1の空間分布及び第2の空間分布、並びに前記第1の部分(1)及び前記第2の部分(2)の寸法は、最高温度において最大の反射、最低温度において最大の透過となるように調整されることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項11】
前記第1の部分(1)は、前記時計(1000)の軸方向に対して斜め方向の光線を反射し、かつ光線をこの軸方向に通過させるように配設された、少なくとも1つの第1のコーティング済み及び/又は構造形成済み反射性部分(11)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項12】
前記第1の部分(1)は、前記時計(1000)の軸方向に対して斜め方向の光線を反射し、かつ光線をこの軸方向に通過させるように配設された、少なくとも1つの第1のコーティング済み及び/又は構造形成済み反射性部分(11)を含み、前記少なくとも1つの前記第1の反射性部分(11)は、前記第1の部分(1)上に突出し、前記第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティング(41)をそれぞれ含む、プリズム構造体(4)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項13】
前記第1の部分(1)は、前記時計(1000)の軸方向に対して斜め方向の光線を反射し、かつ光線をこの軸方向に通過させるように配設された、少なくとも1つの第1のコーティング済み及び/又は構造形成済み反射性部分(11)を含み、少なくとも1つの前記第1の反射性部分(11)は、耐摩耗性をより良好にするために前記第1の部分(1)の厚さ内に埋め込まれ、前記第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティング(51)をそれぞれ含む、反射構造体(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項14】
前記第1の部分(1)は保護カバーであること、及び前記第2の部分(2)は腕時計の風防であることを特徴とする、請求項1に記載の温度制御デバイス(100)。
【請求項15】
請求項1に記載の少なくとも1つの温度制御デバイス(100)を含む、時計(1000)。
【請求項16】
腕時計であることを特徴とする、請求項15に記載の時計(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の光透過部分と、上記第1の部分の隣にあるが上記第1の部分から離間しており、上記第1の部分の温度に応じて軸方向及び/又は半径方向の寸法が可変である中間チャンバを上記第1の部分と共に画定する第2の部分とを含む、時計用の温度制御デバイスに関する。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの上述の温度制御デバイスを含む時計、特に腕時計にも関する。
【0003】
本発明は、特に科学的用途、航空用途、又は宇宙飛行用途において遭遇し得るような、相当な温度振幅又は超高温若しくは超低温にさらされる環境において、速度の顕著な変化のない時計の動作を可能にするための、時計、特に腕時計における温度制御の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
時計、特に腕時計の中の温度は、その動作に直接影響する。動作クリアランスは、使用温度範囲内での膨張現象との適合性を維持しなければならない。発振子の速度は、特に機械式発振子に関する場合に、大きな温度差によって特に影響され、これは正確で安定した時間の推定に依存する用途又は実験には適していない。
【0005】
外部断熱デバイスはかさばり、ユーザにとって不快なものとなる場合がある。
【0006】
反射性風防等の、腕時計に組み込まれるデバイスは、ディスプレイの読み取りを困難にするか、不可能にする場合さえあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、時計内に、特に腕時計ケースによって構成された小さな容積内に、この時計の中の温度のより良好な調節を可能にするデバイスを組み込むことを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、第1の光透過部分と、上記第1の部分の温度に応じて軸方向及び/又は半径方向の寸法が可変である中間チャンバを上記第1の部分と共に画定する第2の部分とを含む、時計用の温度制御デバイスに関し、上記第1の部分は、第1の空間分布に従った複数の第1のマイクロルーバーを含み、上記第2の部分は、第2の空間分布に従った複数の第2のマイクロルーバーを含み、これら第1及び第2のマイクロルーバーを備えた上記第1及び第2の部分は、互いに対して移動することによって、上記第1の部分における上記光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させるよう、構成される。
【0009】
換言すれば、時計用の上記温度制御デバイスは、第1の光透過部分であって、隣の第2の部分と共に、上記第1の部分の上記温度に応じて寸法が可変である中間チャンバ(9)を画定する、第1の光透過部分を含み、上記第1の部分は、第1の空間分布に従った複数の第1のマイクロルーバーを含み、上記第2の部分は、上記第1の部分における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させるために、上記第1の部分と上記第2の部分との間の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように、上記第1のマイクロルーバーに略対面する、第2の空間分布に従った複数の第2のマイクロルーバーを含む。
【0010】
他の実施形態では:
‐上記第1のマイクロルーバー及び上記第2のマイクロルーバーは、上記第1の部分における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させるために、上記第2の部分に対する上記第1の部分の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように配設され;
‐上記第1の部分は、この第1の部分の温度に応じて、上記第2の部分に対して軸方向及び/又は半径方向に移動でき;
‐上記第1の部分は、上記第2の部分の第2の熱膨張係数とは異なる第1の熱膨張係数を有し;
‐上記第1の部分又は上記第2の部分は、上記第1の部分の第1の熱膨張係数及び/又は上記第2の部分の第2の熱膨張係数とは異なる第3の熱膨張係数を有する、第3の部分上に設置され;
‐上記第1の空間分布及び上記第2の空間分布は相同又は同一であり;
‐上記第1のマイクロルーバーは、上記中間チャンバにおいて、上記第1の部分の下面に配置され;
‐上記第2のマイクロルーバーは、上記中間チャンバにおいて、上記第2の部分の上面に配置され;
‐上記第1のマイクロルーバー及び/又は上記第2のマイクロルーバーは、反射性コーティングを含み;
‐上記第1の空間分布及び第2の空間分布、並びに上記第1の部分及び上記第2の部分の寸法は、最高温度において最大の反射、最低温度において最大の透過となるように調整され;
‐上記第1の部分は、上記時計の軸方向に対して斜め方向の光線を反射し、かつ光線をこの軸方向に通過させるように配設された、少なくとも1つの第1のコーティング済み及び/又は構造形成済み反射性部分を含み;
‐少なくとも1つの上記第1の反射性部分はプリズム構造体を含み、これは上記第1の部分上に突出し、上記第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティングをそれぞれ含み;
‐少なくとも1つの上記第1の反射性部分は反射構造体を含み、これは、耐摩耗性をより良好にするために上記第1の部分の厚さ内に埋め込まれ、上記第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティングをそれぞれ含み;
‐上記第1の部分は保護カバーであり、上記第2の部分は腕時計の風防である。
【0011】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような温度制御デバイスを含む時計、特に腕時計にも関する。
【0012】
本発明の目的、利点、及び特徴は、添付の図面を参照して以下の「発明を実施するための形態」を読むと、更に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、腕時計を構成する時計の概略断面図において、腕時計の風防である第2の部分の上にある、保護カバーである第1の部分を示し;矢印Aは軸方向の膨張による作動を示し、矢印Rは半径方向の膨張による作動に対応し;図示されていない腕時計の動作部分は第2の部分の下方、即ち第1の部分と反対側にある。
【
図2】
図2は、第1の部分及び第2の部分をそれぞれ含むマイクロルーバー、即ちそれぞれ第1の空間分布に従った第1のマイクロルーバーと、第2の空間分布に従った第2のマイクロルーバーとの、相対的な位置決めの局所的詳細を、
図1と同様の様式で示し、これらは本発明による温度制御デバイスを構成し、またこれらは、上記第1の部分における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させることによって、時計内の温度を変化させるか又は安定させるために、上記第2の部分に対する上記第1の部分の間の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように、配設される。
【
図3】
図3は、第1の部分及び第2の部分をそれぞれ含むマイクロルーバー、即ちそれぞれ第1の空間分布に従った第1のマイクロルーバーと、第2の空間分布に従った第2のマイクロルーバーとの、相対的な位置決めの局所的詳細を、
図1と同様の様式で示し、これらは本発明による温度制御デバイスを構成し、またこれらは、上記第1の部分における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させることによって、時計内の温度を変化させるか又は安定させるために、上記第2の部分に対する上記第1の部分の間の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように、配設される。
【
図4】
図4は、第1の部分及び第2の部分をそれぞれ含むマイクロルーバー、即ちそれぞれ第1の空間分布に従った第1のマイクロルーバーと、第2の空間分布に従った第2のマイクロルーバーとの、相対的な位置決めの局所的詳細を、
図1と同様の様式で示し、これらは本発明による温度制御デバイスを構成し、またこれらは、上記第1の部分における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させることによって、時計内の温度を変化させるか又は安定させるために、上記第2の部分に対する上記第1の部分の間の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように、配設される。
【
図5】
図5は、第1の部分及び第2の部分をそれぞれ含むマイクロルーバー、即ちそれぞれ第1の空間分布に従った第1のマイクロルーバーと、第2の空間分布に従った第2のマイクロルーバーとの、相対的な位置決めの局所的詳細を、
図1と同様の様式で示し、これらは本発明による温度制御デバイスを構成し、またこれらは、上記第1の部分における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させることによって、時計内の温度を変化させるか又は安定させるために、上記第2の部分に対する上記第1の部分の間の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように、配設される。
図2、4は最適温度未満の温度に対応し;
図3、5は最適温度未満の温度に対応し;
図2の位置から
図3の位置への移行は、軸方向における相対的な軸方向移動(
図3から
図2に向かって離間し、逆の場合は近接する)に対応し;
図4の位置から
図5の位置への移行は、方向Rにおける相対的な半径方向移動に対応する。
【
図6】
図6は、ある変形例を
図1と同様の様式で示し、この変形例では、上記第1の部分が、少なくとも1つの第1のコーティング済み及び/又は構造形成済み反射性部分を含み、これは、上記時計の軸方向に対して斜め方向の光線を反射し、この軸方向の光線を通過させるように配設される。
【
図7】
図7は、ある変形例を
図6と同様の様式で示し、この変形例では、上述のような第1の反射性部分がプリズム構造体を含み、これは上記第1の部分上に突出し、第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティングをそれぞれ含み;図の右側部分で確認できる最も傾斜した光線は、ユーザの視野の外へと反射され、ユーザの視野内に位置する光線は、腕時計のディスプレイに向かって伝達され、これによって腕時計が表示する時刻又は他の表示をユーザが読み取れるようになる。
【
図8】
図8は、ある変形例を
図6と同様の様式で示し、この変形例では、上述のような第1の反射性部分が反射構造体を含み、これは、耐摩耗性をより良好にするために上記第1の部分の厚さ内に埋め込まれ、上記第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティングをそれぞれ含む。
【
図9】
図9は、上述のような温度制御デバイスを含む時計、ここでは腕時計を、概略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、第1の光透過部分1と、第1の部分1の隣にあるが第1の部分1から離間しており、中間チャンバ9を第1の部分1と共に画定する、第2の部分2とを含む、時計1000用の温度制御デバイス100に関する。この中間チャンバ9は、第1の部分1の温度に応じて軸方向A及び/又は半径方向Rの寸法が可変である。
【0015】
本発明は、腕時計の温度制御を保証するためのマイクロルーバーを実装することによって、機械式又は電気機械式腕時計の場合の速度の一定性を保証する。「マイクロルーバー構造体」又は「マイクロルーバー構造要素」とも呼ばれる各マイクロルーバーは、第1又は第2の部分に形成される。このマイクロルーバーは、上記第1の部分に対する入射光の入射角、反射角、及び/又は屈折角を変更できる。マイクロルーバーは、耐火性の特徴、又はこのマイクロルーバーを通過する若しくはこのマイクロルーバーで反射される光の方向を変更する特徴を有してよい。
【0016】
本発明によると、第1の部分1は、第1の空間分布に従った複数の第1のマイクロルーバー10を含み、第2の部分2は、第2の空間分布に従った、第1のマイクロルーバー10と略対面する、複数の第2のマイクロルーバー20を含む。第1のマイクロルーバー10及び第2のマイクロルーバー20は、第1の部分1における入射光の透過及び/又は反射を最大量と最小量との間で変化させるために、第2の部分2に対する第1の部分1の特定の相対位置において部分的に又は完全に重なるように、配設される。よって各部分はマイクロルーバーの特定の空間分布を有し、これにより上記マイクロルーバーは、第2の部分2に対する第1の部分1の位置に応じて、最小量及び最大量の透過/反射のために重なる。従ってこのデバイスは、マイクロルーバーの相対位置に応じて時計の中の温度を変化させるか又は安定させることができる。
【0017】
一方の部分が他方の部分とは異なる熱膨張係数を有する場合、又は上記部分のうちの1つが、異なる熱膨張係数を有する第3の部分の上に設置されている場合に、温度の作用下での移動が可能となる。
【0018】
より詳細には、第1の部分1は第1の熱膨張係数を有し、これは第2の部分2の第2の熱膨張係数とは異なる。
【0019】
より詳細には、第1の部分1又は第2の部分2は、第1の部分1の第1の熱膨張係数及び/又は第2の部分2の第2の熱膨張係数とは異なる第3の熱膨張係数を有する、第3の部分上に設置される。更に詳細には、第3の熱膨張係数は第1の熱膨張係数及び第2の熱膨張係数のいずれとも異なる。
【0020】
より詳細には、上記第1の空間分布及び上記第2の空間分布は相同又は同一である。
【0021】
より詳細には、第1のマイクロルーバー10は、中間チャンバ9において、第1の部分1の下面19に配置される。
【0022】
より詳細には、第2のマイクロルーバー20は、中間チャンバ9において、第2の部分2の上面29に配置される。
【0023】
より詳細には、第1のマイクロルーバー10及び/又は第2のマイクロルーバー20は、反射性コーティングを含む。
【0024】
より詳細には、上記第1の空間分布及び第2の空間分布、並びに第1の部分1及び第2の部分2の寸法は、最高温度において最大の反射、最低温度において最大の透過となるように調整される。
【0025】
図1は、概略断面図において、腕時計の風防である第2の部分2の上にある、保護カバーである第1の部分1を示し;矢印Aは軸方向の膨張による作動を示し、矢印Rは半径方向の膨張による作動に対応する。
【0026】
図2~5は、第1の部分1及び第2の部分2をそれぞれ含むマイクロルーバー10、20の相対的な位置決めの局所的詳細を示す。
図2、4は最適温度未満の温度に対応し、
図3、5は最適温度未満の温度に対応する。
図2の位置の、
図3の位置への移行は、軸方向Aにおける相対的な軸方向移動(
図3から
図2に向かって離間し、逆の場合は近接する)に対応し、
図4の位置から
図5の位置への移行は、方向Rにおける相対的な半径方向移動に対応する。例えば、第1の部分1の反射層を形成する第1のマイクロルーバー10は、酸窒化アルミニウムALONで作製され、250~4000ナノメートル(近紫外線スペクトルから赤外線帯域まで)の波長範囲において85%超の光透過率を有し、一方、より高い熱膨張係数を有する第2のマイクロルーバー20は、「ヘキサライト」等で作製される。
【0027】
よって、ここではガラスである様々な構成要素の熱膨張係数を利用して、マイクロルーバーの空間分布を整列させ、腕時計の表面に到達する放射の流れを調整し、これによって腕時計の熱負荷を調整することが有利である。
【0028】
より詳細には、
図6で確認できるように、第1の部分1は、少なくとも1つの第1のコーティング済み及び/又は構造形成済み反射性部分11を含み、これは時計1000の軸方向に対して斜め方向の光線を反射し、この軸方向の光線を通過させるように配設される。
【0029】
空間分布は、少なくとも1つの上述のような第1の反射性部分11がプリズム構造体4を含み、これが第1の部分1上に突出し、第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティング41をそれぞれ含む
図7の腕時計のように、入射角に応じた特定の挙動を利用するためのレリーフを含んでよい。図の右側に確認できる最も傾斜した光線は、ユーザの視野の外へと反射され、ユーザの視野内に位置する光線は、腕時計のディスプレイに向かって伝達され、これによって腕時計が表示する時刻又は他の表示をユーザが読み取れるようになる。
【0030】
より詳細には、
図8で確認できるように、また
図7と同一の原理に従って、少なくとも1つの上述のような第1の反射性部分11は反射構造体5を含み、これは、耐摩耗性をより良好にするために第1の部分1の厚さ内に埋め込まれ、第1の空間分布に従って配置され、反射性コーティング51をそれぞれ含む。
【0031】
図示されていない変形例では、時計1000は、少なくとも1つの内部温度センサと、測定された温度と設定点温度とを比較して、例えば圧電式であるアクチュエータを制御することにより、第1の部分1及び/又は第2の部分2を軸方向A及び/又は半径方向Rに移動させるための、内部制御手段とを含む。
【0032】
より詳細には、第1の部分1は保護カバーであり、第2の部分2は腕時計の風防である。当然のことながら、腕時計の他の部分も、例えばベゼル、フランジ、文字盤、ムーブメントの部分等といった腕時計の2つの隣り合った部分上にマイクロルーバーを設置するのに好適である場合がある。
【0033】
本発明が、光の能力を利用して、特に反射によって熱を伝達することと、腕時計のディスプレイを参照すること、特に時刻を読み取ることとの両方を可能にすることが理解される。これまで、スペクトルの区別は存在しなかった。高温状態で腕時計を光学的に閉鎖すると、腕時計のディスプレイの読み取りは不可能になると考えられ得る。しかしながら、例えば可視光を透過させて赤外線等の別の帯域を反射するコーティングを実装できる。特にホットミラーは、紫外光又は可視スペクトルの特定の周波数を透過させることができる。例えば400~690ナノメートルの帯域の透過率が高く、750~1125ナノメートルの帯域の反射率が高いホットミラー、又は可視光の85%を透過させて近赤外光と赤外光の少なくとも90%とを反射するホットミラー、又は可視光及び紫外光の80%を透過させて赤外光の70%を反射するホットミラーが公知である。
【0034】
これらの構成により、マイクロルーバーを可視スペクトルに対して透過性とすることができ、閉鎖状態でもユーザが時刻を読み取ることができるようにすることができる。
【0035】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のような温度制御デバイス100を含む時計1000に関する。より詳細には、この時計1000は腕時計である。
【符号の説明】
【0036】
1 第1の光透過部分、第1の部分
2 第2の部分
4 プリズム構造体
5 反射構造体
9 中間チャンバ
10 第1のマイクロルーバー
11 第1のコーティング済み及び/又は構造形成済み反射性部分、第1の反射性部分
19 第1の部分1の下面
20 第2のマイクロルーバー
29 第2の部分2の上面
41 反射性コーティング
51 反射性コーティング
100 温度制御デバイス
1000 時計
A 軸方向
R 半径方向
【外国語明細書】