(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093339
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】抗菌活性成分の測定のための測定ユニットを含む処理ユニット及び処理水中の抗菌剤の含有量を測定する方法
(51)【国際特許分類】
A61C 17/00 20060101AFI20230627BHJP
G01N 21/359 20140101ALI20230627BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20230627BHJP
A61L 2/28 20060101ALI20230627BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20230627BHJP
G01N 21/33 20060101ALI20230627BHJP
G01N 21/3577 20140101ALI20230627BHJP
A61L 101/22 20060101ALN20230627BHJP
A61L 101/10 20060101ALN20230627BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20230627BHJP
【FI】
A61C17/00 E
G01N21/359
G01N21/59 Z
A61C17/00 A
A61L2/28
A61L2/24
G01N21/33
G01N21/3577
A61L101:22
A61L101:10
A61L101:06
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186102
(22)【出願日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】A51039/2021
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(71)【出願人】
【識別番号】522456361
【氏名又は名称】ルーカス プレゲンツァー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス プレゲンツァー
【テーマコード(参考)】
2G059
4C058
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059CC01
2G059CC12
2G059CC20
2G059DD03
2G059DD16
2G059EE01
2G059FF13
2G059FF20
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ01
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM14
2G059PP01
4C058AA20
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD07
4C058DD12
4C058DD14
4C058JJ07
4C058JJ08
(57)【要約】
【課題】処理水の抗菌汚染に関して、患者の安全性及び操作者の法的確実性を改善する処理ユニットを提供する。
【解決手段】医療用処理ユニットは、導水システムと、制御ユニットと、導水システムに含まれる処理水に抗菌剤を追加するための水処理ユニット30と、を備える。医療処理ユニットが、導水システム内に収容された水中の抗菌剤の含有量を定量的に測定するための測定ユニット50をさらに備え、測定ユニット50が、導水システム内の水処理ユニット30の下流に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導水システムと、
制御ユニットと、
前記導水システムに含まれる処理水に抗菌剤を追加するための水処理ユニットと、
前記導水システム内に収容された水中の抗菌剤の含有量を定量的に測定するための測定ユニットとを備え、
前記測定ユニットが、前記導水システム内の前記水処理ユニットの下流に配置される、医療用の処理ユニット。
【請求項2】
前記抗菌剤が、オゾン若しくは過酸化水素の水溶液、硝酸銀、2-フェノキシエタノール、塩素、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、アミン、第四級アンモニウム化合物、ヨウ素、又はこれらの組合せである、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項3】
前記抗菌剤が、過酸化水素、銀塩、2-フェノキシエタノール、又はそれらの組合せである、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項4】
前記水処理ユニット内の水にマーカ物質が添加され、
前記マーカ物質が、抗菌活性自体を有さず、前記抗菌剤の添加量に比例する量で前記水に添加され、
前記測定ユニットが、前記マーカ物質の量を測定するように構成され、
前記制御ユニットが、比例計算によって前記水中の前記抗菌剤の含有量を決定するように構成される、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項5】
前記測定ユニットが、透過又は吸光測定のために構成されたUV-vis分光計、又はNIR分光計を備える、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項6】
測定経路が、0.5mm以上20mm以下である、
請求項5に記載の処理ユニット。
【請求項7】
前記測定経路が、2mm以上10mm以下である、
請求項6に記載の処理ユニット。
【請求項8】
前記測定ユニットが、水温を検知するための温度センサ、前記水温に影響を及ぼすための加熱又は冷却ユニット、pHセンサ、及び電気化学センサのうちの1つ又は複数を備える、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項9】
前記制御ユニットが、前記測定ユニットから受信されたデータに基づいて、前記水中の抗菌剤の自動識別及び定量化のために構成される、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項10】
前記処理ユニットが、前記導水システムのセクションにおける抗菌剤濃度の可能な減少を検出するために、2つの連続的に配置された測定ユニットを備える、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項11】
前記処理ユニットが、前記制御ユニットに接続された信号である測定ユニットを備え、
前記測定ユニットが、抗菌剤又はマーカ物質容器上に含まれ得るコードで読み取るように構成され、
前記制御ユニットが、前記コードで読み取られたコードに基づいて抗菌剤又はマーカ物質及び濃度を識別し、それに基づいてセンサの自動較正又は測定信号の自動評価を開始するように構成される、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項12】
前記処理ユニットが歯科用の処理ユニットである、
請求項1に記載の処理ユニット。
【請求項13】
医療用、好ましくは歯科用の処理ユニットの処理水中の抗菌剤の含有量を測定する方法であって、
前記処理ユニットが、
導水システムと、
前記導水システムに含まれる処理水に前記抗菌剤を添加するための水処理ユニットとを備え、
前記抗菌剤の含有量が、前記水処理ユニットの下流に配置された測定ユニットにおいて測定される、
方法。
【請求項14】
前記水処理ユニットが、請求項1に記載の処理ユニットである、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記測定ユニットが、前記処理ユニットとは独立した別個のユニットである、
請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導水システムと、導水システムを通って流れる水中の抗菌剤の含有量を定量的に測定するための測定ユニットとを備える、医療処理ユニット、特に歯科処理ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、水処理装置は、そのような処理ユニットで使用するための飲用水道水を処理するために、医療用、特に歯科用処理ユニットの前又は中に設置される。装置は、水の抗菌汚染を低減するために標準的な手順を使用する。標準的な手順は、例えば、過酸化水素、硝酸銀のような銀塩、フェノキシエタノール、次亜塩素酸若しくは次亜塩素酸塩、例えばオゾン若しくは塩素ガスのようなガス、又は次亜塩素酸若しくは次亜塩素酸塩の現場生成のための塩化ナトリウムのような水道水物質の電気分解のような抗菌剤の添加を含む。抗菌剤に水を曝露するためのこれらの手順は、水への抗菌剤の正確な投薬を想定するように設計される。水中の抗菌剤の想定される服用量が正確であることを確認するために、処理ユニットの製造業者は、典型的には、例えば、試験ストライプ(例えば、過酸化水素、塩素、次亜塩素酸又は次亜塩素酸塩に適用可能)を使用して、水の毎週の探測を推奨する。さらなる監視ルーチンには、認定された実験室を通じた定期的な細菌検査が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの試験方法は、断片像であり、サンプリング中及び測定中に同様に、処理ユニットのユーザによって実行されると、誤差を起こしやすい。したがって、それらは、厳密には、連続的で信頼できる監視方法とは考えられない。また、それらは、抗菌剤の添加量の任意の連続的適応のためのデータ基礎として不適切である。
【0004】
本発明は、上記の課題に対する解決策を提供すること、及び、処理水の抗菌汚染に関して、患者の安全性及び操作者の法的確実性を改善する処理ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この背景に対して、本発明は、導水システムと、制御ユニットと、導水システムに含まれる処理水に抗菌剤を追加するための水処理ユニットとを含む、医療用、特に歯科用処理ユニットに関する。本発明によれば、医療処理ユニットは、導水システムに収容され、好ましくは導水システムを通って流れる水中の抗菌剤の含有量を定量的に測定するための測定ユニットをさらに備え、測定ユニットは、導水システム内の水処理ユニットの下流に配置される。
【0006】
制御ユニットは、水処理ユニットに信号接続される。
【0007】
測定ユニットは、水処理ユニットによって水に添加された抗菌剤の濃度の連続的又は少なくとも頻繁な定量的測定を実行するように構成される。そのような制御は、患者の安全のために、最も重要なこととして、また、法律的な側面の下で、例えば、医師又は歯科医の責任ではなく、レジオネラ汚染の場合のような、水道水質に関連する事象の場合に医師又は歯科医の負担を軽減させるために、満たされる必要があるすべての要件を満たすことができる。
【0008】
好適な抗菌剤としては、過酸化水素、硝酸銀塩、フェノキシエタノール、塩素、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、第四級アンモニウム化合物、オゾン、ヨウ素、又はこれらの組合せが挙げられる。好ましい抗菌剤としては、過酸化水素と銀塩、又はフェノキシエタノール、又はその両方との組合せが挙げられる。
【0009】
抗菌剤(複数可)は、水処理ユニットにおいて、例えば、水に固体又は液体化学物質を追加することによって、水をガス状化学物質でガス化することによって、又は、例えば、水道水に含まれる物質の電気分解による現場生成によって追加することができる。
【0010】
本発明はまた、それ自体が検出することが困難であり得る抗菌剤の量の間接的測定を包含する。この点に関して、マーカ物質は、水処理ユニット内の水に添加される。抗菌活性自体を有する必要のないマーカ物質は、抗菌剤の添加量に比例する量で水に添加される。測定ユニットは、比例計算によって水中の抗菌剤の内容の決定を可能にするように、マーカ物質の量を測定するように構成される。
【0011】
一実施形態では、測定ユニットは、例えば透過又は吸光測定のために構成されたUV-vis分光計を備える。そのような測定ユニットは、容易かつ低コストで提供することができ、測定窓(波長窓)の適切な選択において、UV検出可能な抗菌剤(例えば、2-フェノキシエタノール、HOClなど)又は着色マーカ物質の定量的測定を可能にする。
【0012】
UV-vis分光計が測定ユニットに含まれる場合、測定経路は、0.5mm及び20mmであり得る。好ましい測定経路長は、2mm以上10mm以下であり得る。短い測定経路は、場合によっては、例えば低い光強度で、測定精度に積極的に影響を及ぼすことがあるが、処理ユニット設計において実現することは時に困難であり得る。
【0013】
一実施形態では、測定ユニットは、(N)IR分光計を含む。そのような測定は、例えば過酸化水素のような抗菌剤を決定することができる。
【0014】
一実施形態では、測定ユニットは、電気化学センサを備える。このようなセンサは、例えば、オゾンの測定に適している。
【0015】
測定ユニットはまた、上述のセンサの組合せを含むことができる。
【0016】
IR分光計の定量的測定結果は、例えば、定量的決定の基礎を形成する強度ピークが水温によって影響されるので、水温によって変化する。したがって、測定ユニットはまた、水温を検知するための温度センサ、及び/又は水温に影響を与えるための加熱又は冷却ユニットを備えることができる。例えば、電気化学的定量測定結果は、水のpH値によって変化し得る。したがって、測定ユニットは、pHセンサを備えることができる。
【0017】
一実施形態では、処理ユニットは、制御ユニットに信号接続された測定ユニットを備える。測定ユニットは、RFIDコード又はQRコード(登録商標)のようなコードを読み取るように構成され、これらは、内容物を識別するために抗菌剤又はマーカ物質容器上に含まれ得る。
【0018】
処理ユニットは、制御ユニット又は測定ユニットに信号接続される、有線又は無線通信に適したインタフェースをさらに備えることができる。そのようなインタフェースは、例えば、CAN又はI2Cを介して測定信号又は値を送信すること、例えば、WiFi又はBTを介してネットワークを介して一方向又は双方向のデータ送信すること、及び/又は、例えば、使用された抗菌剤又はマーカ物質を、それらを含む容器のコード読取りを介して識別するために、RFID又はQR測定ユニットと通信することを可能にする。
【0019】
制御ユニットは、測定ユニットによって自動的に認識され得るコードに基づいて、抗菌剤又はマーカ物質及び濃度を識別するように構成され得る。このような識別に必要な情報は、例えばインターネットを介したインタフェースを介して取得することができる。以下では、そのような制御ユニットは、例えば、センサの自動較正又は測定信号の自動評価を開始することができる。
【0020】
一実施形態では、制御ユニットは、測定ユニットの測定結果に基づいて、水処理ユニット内の抗菌剤の添加量を自動的に変更するように構成される。この種のフィードバック制御は、水中の抗菌剤濃度を最適化することを可能にし、したがって、患者の安全性及び抗菌剤の消費を最適化することを可能にする。
【0021】
一実施形態では、処理ユニットは、2つの直列に配置された測定ユニットを備える。これは、導水システムのセクションにおける抗菌剤濃度の可能な減少を検出することを可能にし、したがって、そのセクションにおける抗菌剤を「消費する」細菌の存在の[可能性を検出することを可能にする。例えば、過酸化水素の濃度低下が検出された場合、これは、測定点間で有機物(バイオフィルム、細菌)の酸化反応が起こっていることを示す指標である。2つの測定点間の濃度差を使用して、細菌汚染の程度を定量化することができる。
【0022】
このような2点測定のための測定ユニット配置は、例えば、第1の測定ユニットが水処理ユニットの直ぐ下流に配置され、第2の測定ユニットが導水システムの出口の近くに配置され、これは歯科処理ユニットの場合、手持ち式歯科用器具に近いか、又は導水システムの下流の部分であり、これは、処理ユニットの他の構成要素(例えば、パワーエレクトロニクス、サーボ制御モータなど)によって放出される熱に曝され、したがって、潜在的に、より細菌増殖を起こしやすい。
【0023】
一実施形態では、測定結果は、処理ユニットにおける温度依存性細菌増殖条件の予後のための入力値として使用することができる。1点測定及び2点測定の両方において、測定値の複合評価を、測定ユニット又は導水システムの他の場所に配置された追加の温度センサの測定値と組み合わせて、特定の温度が細菌成長を促進するかどうかを評価するために使用することができる。次いで、このような情報を使用して、周囲条件への抗菌剤の添加量を調整することができ、例えば、水温の上昇に伴って添加量を増加させることができる。
【0024】
各測定ユニットは、導水システムの主管路又はバイパス路に配置することができる。バイパス路に配置される場合、切換弁を使用して、定期的な測定でバッチ動作を制御することができる。主管路に配置すると、直列で定期的又は連続的に測定することができる。
【0025】
測定ユニットは、処理ユニット内に別個のユニットを形成することができ、又は水処理ユニット内に含めることができる。
【0026】
本発明はさらに、医療用、好ましくは歯科用処理ユニットの処理水中の抗菌剤の含有量を測定する方法に関し、処理ユニットは、導水システムと、導水システムに含まれる処理水に抗菌剤を添加するための水処理ユニットとを備え、抗菌剤の含有量は、水処理ユニットの下流に配置された測定ユニットにおいて測定される。
【0027】
処理ユニット、抗菌剤、測定ユニット等の様々な実施形態が、本発明による処理ユニットの上述の考察中に記載されている。
【0028】
測定ユニットが本発明の処理ユニットの一部を形成する構成の代わりに、本発明の方法は、処理ユニットとは独立した別個の実体である測定ユニット、例えば携帯機器又は卓上機器を使用して実行することもできる。
【0029】
本発明のさらなる詳細及び利点は、図面を参照して、特定の実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態による処理ユニットの導水システムである。
【
図2】本発明の第2の実施形態による処理ユニットの導水システムである。
【
図3】本発明の第3の実施形態による処理ユニットの導水システムである。
【
図4】2-フェノキシエタノールの紫外線吸光度測定スペクトルである。
【
図5】216nmの波長における2-フェノキシエタノールのUV吸光測定の一連の測定値の線形フィッティングである。
【
図6】269nmの波長における2-フェノキシエタノールのUV吸光測定の一連の測定値の線形フィッティングである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態による処理ユニットの導水システムの概略図を示す。
【0032】
このシステムは、その上流端部に、例えば建物の水道管、主管路20、主管路20に配置された水処理ユニット30、及び導水システムの下流端部に、例えば手持ち式歯科用器具のためのインタフェース様式の消費部40などの水供給部10を備える。
【0033】
測定ユニット50は、水処理ユニット30と消費部40との間の主管路20に配置される。測定ユニット50は、以下でより詳細に説明される。
【0034】
図2は、本発明の別の実施形態による処理ユニットの導水システムの概略図を示す。
【0035】
この実施形態では、測定ユニット50は、主管路20に配置されるのではなく、水処理ユニット30と消費部40との間の主管路20と平行に延びるバイパス路70に配置される。切換弁、流量制御のためにバイパス路70の分岐点に配置されている。
【0036】
ここで、水処理ユニット30、測定ユニット50、及び
図2の実施形態の場合には弁71,72にも信号接続される制御ユニットが、図に示される。
【0037】
図1及び
図2の実施形態では、抗菌剤が、水処理ユニット30内の導水システムを通って流れる処理水に加えられる。添加される抗菌剤の好ましい選択肢は、過酸化水素と2-フェノキシエタノールとの組合せである。抗菌剤と共に、UV活性マーカ物質を、抗菌剤の添加量に比例する量で水に添加することができる。
【0038】
測定ユニット50は、LED光源と組み合わされたUV-visセンサを備える。光源及びセンサの発光並びに検出範囲は、2-フェノキシエタノール又はマーカ物質の吸収プロファイルに調整することができる。
【0039】
また、抗菌剤として、例えば、HOCl、Cl2、又はClO2を用いると、マーカを用いることなく、UV-vis計測を用いて、抗菌剤を直接検知することができる。光源及びセンサの好適な発光及び検出範囲は、それによって200nm以上380nm以下、好ましくは240nm以上340nm以下の範囲であり得る。
【0040】
本発明の処理ユニットの測定ユニット50で使用するのに適したフォトダイオードは、例えば、220nm以上360nm以下の波長を放射することができるSiCフォトダイオードを含む。
【0041】
あるいは、測定ユニット50は、例えば過酸化水素の濃度を決定するのに適したNIR分光計を備えてもよい。適切な測定窓は、850nm以上1800nm以下の範囲であってもよい。
【0042】
上述の測定装置は、単純かつ費用効率の高い方法で処理ユニットに実装することができる。これにより、
図1のインラインモードと同様に
図2のバッチモードにおいても、処理水中の抗菌剤含有量を厳密に制御することができるので、水処理ユニット30に十分な量の抗菌剤が添加されているかどうかをいつでも監視することができる。これは、患者の安全性を高め、例えばレジオネラを介して外部からの水汚染の場合に医師又は歯科医の負担を軽減させるのにも適している。
【0043】
本発明の一実施形態は、2点測定を含む。より多くのハードウェアを必要とするが、そのような測定は、追加の情報を提供し、測定値に基づいて、添加された量の抗菌剤の自動化された適応のための追加のオプションを提供することができる。
【0044】
図3は、この実施形態を利用する本発明の実施形態の概略図を示す。一般に、この実施形態の設計は、
図1の設計と同様であるが、第2の測定ユニット60が、(第1の)測定ユニット50と消費部40との間の主管路20に追加的に配置される。測定ユニット50,60との間の水処理システムのセクションは、処理ユニットの他の構成要素(例えば、パワーエレクトロニクス、サーボモータ)からの廃熱に曝され、このセクションでは、細菌の成長を高めることができる。
【0045】
測定ユニット50,60は、両方とも、
図1及び
図2の測定ユニット50に関連して上述したように設計されている。また、測定ユニット50,60には、処理水の温度を測定するための温度センサが設けられている。
【0046】
2点測定は、水処理ユニット30内に十分な量の抗菌剤がいつでも添加されたかを監視するのに適しているだけでなく、測定ユニット50,60との間の抗菌剤含有量の変化を測定することをさらに可能にする。過酸化水素含有量の測定を可能にするセンサの場合、例えば、有機化合物の酸化に起因し得る過酸化水素含有量の減少を検出することができる。濃度差は、汚染度の代表値と考えることができる。
【0047】
制御ユニットは、その情報に基づいて、水処理ユニット30内の処理水に添加される抗菌剤の量を調整するように構成することができる。
【0048】
一実施形態では、制御ユニットは、温度依存性の細菌成長の予後を提供するように、測定ユニット50,60で測定された抗菌内容及び水温を評価し、その情報に基づいて水処理ユニット30内の処理水に添加される抗菌剤の量を調整するように構成され得る。
【0049】
-実施例 1-
UV吸光測定に基づく2‐フェノキシエタノールの濃度測定について述べる。
【0050】
UV分光型UV‐16000PCを用いて試験を行った。Hellma 社のAnalytics QS High PrecisionCell 1mmキュベットを使用した。プローブは、過酸化水素及び2-フェノキシエタノールの組合せを含む水性抗菌剤溶液を含み、石灰スケールの形成を阻害するための物質をさらに含む。
【0051】
10ppm以上300ppm以下の間の10種の異なる濃度の希釈系列を溶液から調製した。これらのプローブについて、吸光度を、200nm以上500nm以下の波長にわたって1nmの分解能で分光計において測定した。1mm石英キュベットを脱イオン水及びイソプロパノールで洗浄し、その後の試験の間に乾燥させた。
【0052】
図4は、0.025%(250ppm)の2-フェノキシエタノールを含むプローブの吸光度測定のスペクトルを示す。スペクトルは、216nm及び269nmの波長で2つの特徴的なピークを示す。
【0053】
以下の表1は、これらの波長で測定された吸光度を示す。
【0054】
【0055】
図5と
図6は、2つの測定シリーズの線形フィッティングを示している。波長216nmでは0.9996、波長269nmでは0.9997の決定係数(R2)と直線関係にある。その種の測定の品質規格を満たすためには、測定係数は0.9990を超えるべきである。これは、両方の測定列に当てはまる。