(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093347
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】医療器具に供給するための発電機
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194591
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】21217016
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン・ドルンホフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK22
4C160MM32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】出力電圧の制御が改善された発電機を提供する。
【解決手段】医療器具10への供給のために設けられたプッシュプル発電機12は、好ましくは切り替え可能な構成で、2つのトランジスタのうちの少なくとも一方に並列に接地に接続された少なくとも1つの容量性分岐を備える。容量性切り替え可能分岐は、コンデンサとスイッチとの直列接続からなる。発電機の出力電圧の2つの半波のうちの一方は、特に影響を受けることができ、2つの半波のうちの他方は、ほとんど影響を受けないままにすることができる。コンデンサを備える切り替え可能な分岐がトランジスタに並列に接続されている場合、発電機の出力電圧の両方の半波は互いに独立して影響を受け得る。したがって、本発明による概念は、そこ以外は対称的である、プッシュプル発電機の半発振の特定の影響を可能にし、治療電流を医療器具に供給するための適用スペクトルが拡大される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具(10)に電流を供給するための発電機(12)であって、
第1の入力電極(G1)および第1の出力電極(D1)を備える第1の増幅器(V1)を有し、
第2の入力電極(G2)および第2の出力電極(D2)を備える第2の増幅器(V2)を有し、
前記第1と第2の出力電極(D1、D2)の間に配置されたインダクタ(19)を有し、
前記インダクタ(19)と接続されて発振回路を形成する第1のコンデンサ(C1)を有し、
前記インダクタ(19)に接続された端部(22)と、スイッチ(SW1)に接続された端部(23)とを備える第2のコンデンサ(C2)を有する、発電機。
【請求項2】
前記第1の増幅器(V1)が、そのドレイン電極が前記第1の出力電極(D1)である第1の電界効果トランジスタ(T1)であり、前記第2の増幅器(V2)が、そのドレイン電極が前記第2の出力電極(D2)である第2の電界効果トランジスタ(T2)であることを特徴とする、請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記第1の制御電極(G1)が前記電界効果トランジスタ(T1)のゲート電極であり、前記第2の制御電極(G2)が第2の電界効果トランジスタ(T2)のゲート電極であることを特徴とする、請求項2に記載の発電機。
【請求項4】
前記第1の増幅器(V1)が、そのドレイン電極が前記第1の出力電極(D4)である第1の電界効果トランジスタ(T4)であり、前記第2の増幅器(V2)が、そのドレイン電極が前記第2の出力電極(D5)である第2の電界効果トランジスタ(T5)であり、前記第1の制御電極(S4)が、前記第1の電界効果トランジスタ(T4)のソース電極であり、前記第2の制御電極(S5)が、前記第2の電界効果トランジスタ(T5)のソース電極であることを特徴とする、請求項2に記載の発電機。
【請求項5】
前記2つの増幅器(V1、V2)が、プッシュプル制御回路(18)に接続されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項6】
前記インダクタ(19)が、動作電圧源(Ub)に接続された中央タップ(20)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記インダクタ(19)が、その2つの端部の一方に動作電圧源(Ub)が接続されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記スイッチ(SW1)が、第2のコンデンサ(C2)の前記端部(23)を高オーミック方式で終端させるか、またはそれを接地に接続するかのいずれかを選択的に行うように構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項9】
前記インダクタ(19)に接続された端部と、スイッチ(SW2)に接続された端部とを備える少なくとも1つの追加のコンデンサ(C3)が設けられ、前記スイッチ(SW2)は、これに接続された前記追加のコンデンサ(C3)の前記端部を高オーミック方式で終端させるか、または接地に接続するかのいずれかを選択的に行うように構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項10】
前記第1のコンデンサ(C1)が、前記インダクタ(19)と並列に接続されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項11】
前記第1のコンデンサが、前記インダクタ(19)に接続された一端と接地に接続された一端とをそれぞれ備える2つのサブコンデンサ(C1a、C1b)を備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項12】
接地に接続された前記サブコンデンサ(C1a、C1b)の前記端部が、それぞれ接地に分離不能に接続されることを特徴とする、請求項11に記載の発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気手術器具への供給のための発電機、特に発電機によって提供される出力電圧の制御が改善された発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
電気メス、電気手術鉗子または凝固器具などの多くの電気手術器具には、通常、高周波交流が供給される。神経筋刺激を回避するために、この交流電圧の周波数は、通常、100kHzを超える。そのような発電機の電力は、通常、1Wをかなり超え、数100Wに達し得る。
【0003】
そのような電圧を生成するための発電機が、特許文献1から明らかである。この発電機は、少なくとも1つの発振回路を備え、この発振回路は、アクティブトランジスタ回路によって発振するように励起され、この発振回路から、接続された器具への供給のために変換器型方でエネルギーが結合解除される。
【0004】
複数の器具への同時供給のための発電機は、例えば、特許文献2から明らかである。この発電機は、フルブリッジ回路に接続された複数の発振回路を備える。
【0005】
特許文献3は、プッシュプル方式で動作する2つのトランジスタを有するプッシュプル発振器を開示しており、そのコレクタ間に、並列発振回路が配置されている。変圧器型方式に発振回路コイルとコイル結合することによって、手術器具の電圧および電流が結合解除される。
【0006】
発電機から器具に供給される電流の波形は、達成される生理学的効果に顕著な影響を及ぼすことが判明した。このため、器具への供給のための発電機の出力電圧および出力電流の波形に影響を及ぼす可能性が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008039884号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第602004009293号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2910196号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこから、本発明の目的は、電流および電圧形態に影響を及ぼすための拡張された可能性を有する発電機を提供するように導かれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の発電機によって解決される。
【0010】
本発明による発電機は、共振回路のインダクタが出力間に配置された2つの増幅器を有する概念に基づいている。インダクタに割り当てられるのは、発振回路をそれによって形成する少なくとも1つの第1のコンデンサ、ならびに発振回路の共振周波数のさらなる影響のための第2のコンデンサである。好ましくは、それによって、少なくとも第2のコンデンサは、分離不能にまたはスイッチ、好ましくは電子スイッチを介して接地に接続される。増幅器がバイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタなどの電子増幅構成要素によって実現される場合、このコンデンサの一方の電極はそれぞれのトランジスタの出力電極(コレクタまたはドレイン)に接続され、コンデンサの他方の電極は接地に接続される。これまでは、それぞれの周波数影響コンデンサは、出力側の増幅成分と並列に切り替えられていた。特に、増幅構成要素がスイッチング動作中に動作する場合、それはそれぞれのコンデンサの一時的な短絡を生成し、したがって一時的に無効になる。コンデンサは、並列に接続されている増幅構成要素が非導電性(高オーミック)である間に発振回路において開始される発振の半波のみに影響を及ぼす。
【0011】
発電機は、プッシュプル発振器として構成される。2つの増幅器は、プッシュプルモードで増幅器を制御するように構成された制御回路に接続されている。好ましくは、制御回路は、スイッチング動作において増幅器を制御するように構成される。これは、それぞれの増幅構成要素(トランジスタ)が電流に対して導電性、すなわち低オーミック導電性であるか、または遮断されているかのいずれかであることを意味する。
【0012】
本発明による回路概念は、そのような発電機の個々の半波の振幅および持続時間に特定の影響を与える。そうする際、具体的には、例えば、発電機発振の正(または負の)半波は、それらの振幅が拡大または縮小されると共に、時間が延長または短縮され得る。複数のそのような追加のコンデンサがそれぞれのスイッチによって発振回路および関連する増幅器出力に接続されている場合、発生する発電機の発振は、発電機によって提供される電圧または発電機によって供給される電流の出力波形も作りだすことができ、そうでなければ生成することはできない。例えば、器具に提供される発振は、例えば器具電極でのスパーク形成を支持または妨害するために、特に非対称に作りだすことができる。
【0013】
上述したように、2つの増幅器は、好ましくは制御回路によってプッシュプルモードで制御される電子スイッチによって実現することができる。インダクタは、動作電流が発電機、したがって増幅器に供給される中央タップを有することができる。この概念によれば、発電機は、コンデンサを接続および接続解除することによって非対称状態にすることができる対称プッシュプル発振器である。非対称供給、特に高周波高オーミック非対称供給も可能である。
【0014】
本発明による回路変形例の詳細は、従属請求項ならびに図面およびその図面のそれぞれの説明の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】発電機および接続された器具の概略図である。
【
図2】器具への供給のための発電機の概略回路図である。
【
図3】
図2による発電機の出力電圧の概略図である。
【
図4】原理回路図における発電機の改変された実施形態を示す図である。
【
図5】原理回路図における発電機の改変された実施形態を示す別の図である。
【
図6】原理回路図における発電機の改変された実施形態を示す別の図である。
【
図7】原理回路図における発電機の改変された実施形態を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、生体組織11を治療するための器具10と、器具10への供給のための発電機12とが示されている。この例では、スパーク14によって生体組織11に影響を及ぼす、単一の電極13を有する単極器具10が示されている。器具10または電極13から生じる電流を発電機12に戻すように案内するために、組織11が一部であるヒトまたは動物の患者に取り付けられる中性電極15が設けられる。ライン16、17は、器具10および好ましくは大きなサイズの中性電極15を発電機12に接続する。この配置は一例に過ぎない。発電機12はまた、バイポーラ器具への供給、例えば、2つ以上の電極を有する凝固ツールへの供給にも適している。これは、発電機12が、異なる生理学的条件ならびに手術要件およびタスクに適合させることができる波形を有する出力電圧Uaを供給するのに特に適しているため、特に当てはまる。
【0017】
図2は、発電機12の原理回路を示す。発電機は、トランジスタT1、T2によって実現することができる第1の増幅器V1および第2の増幅器V2を備える。トランジスタT1、T2は、好ましくは、エンハンスメント型またはデプレッション型のn-MOSトランジスタなどの電界効果トランジスタである。他のトランジスタ、特にバイポーラトランジスタ、IGBT(絶縁ゲートを有するバイポーラトランジスタ)などを使用することもできる。トランジスタT1およびT2が電界効果トランジスタである場合、それらはそれぞれゲートG1、G2、ソース電極S1、S2、ならびにドレイン電極D1、D2を備える。2つのトランジスタT1、T2は、ゲートG1、G2が増幅器V1、V2の入力電極となるように共通のソース回路で動作する。ドレイン電極D1、D2は、そのため、増幅器V1、V2の出力電極となる。
【0018】
ゲートG1、G2は、作りだされる交流電圧の周波数を有するクロックに従って、トランジスタT1、T2を逆方式に開閉するように、すなわちそれらを導電性および非導電性にするように構成された制御回路18に接続されている。したがって、トランジスタT1、T2はプッシュプルモードで制御され、スイッチング動作で動作する。発電機12のすべての実施形態において、制御回路18は、
図4に例示的に示されているように、一方のトランジスタの一方のゲートがそれぞれ他方のトランジスタのドレインに接続される2つの結合コンデンサによって実現することができる。この種の結合は、トランジスタT1、T2の一方が常に導電性であり、その間2つのトランジスタT1、T2のそれぞれの他方が遮断するという効果を有する。遮断位相および伝動位相は、発振回路によって予め規定された周波数で変化する。2つの結合コンデンサは、好ましくは等しく寸法決めされる。
【0019】
2つの増幅器V1、V2(トランジスタT1、T2)のソース電極S1、S2は、直接または少なくとも交流に関して接地に接続される。2つの増幅器V1、V2の出力電極、すなわちトランジスタT1、T2のドレインD1、D2は、少なくとも好ましくは中央タップ20を備えるインダクタ19によって互いに接続され、中央タップを介してインダクタ19、したがって増幅器V1、V2には、動作電圧Ub、したがってそれぞれの動作電流も供給される。中央タップ20への供給ライン内には、チョーク21、およびオプションとして追加のフィルタ手段を設けることができる。チョーク21は、動作電圧源への高周波電流の流れを遮断し、このようにしてインダクタの発振の望ましくない減衰を回避する。
【0020】
発電機12は、インダクタ19と並列発振回路を形成するために、インダクタに並列に接続された第1のコンデンサC1をさらに備える。このように、第1のコンデンサC1は、増幅器V1およびV2の出力電極、すなわちドレインD1およびD2を互いに接続している。
【0021】
これまでに説明した発電機12は、一般に、発振することができ、これまでに説明した構成で動作可能である。しかし、発電機は、その動作に影響を及ぼすための追加の手段を備える。第2のコンデンサC2が、その一部であり、一端がインダクタ16およびコンデンサC1によって形成される並列発振回路に接続され、別の端部23が分離不能に、または
図2に示すように第1のスイッチSW1を介して、接地に接続される。
【0022】
第1のスイッチSW1は、例えば電界効果トランジスタとして構成することができる、例えばトランジスタT3の形態の電子スイッチとすることができる。これは、トランジスタT1、T2と同じタイプのもの、または別のタイプのものとすることができる。そのゲート電極G3は、具体的には少なくとも1つの発振期間にわたって、またはより長い時間間隔にわたってスイッチSW1を開閉する制御回路24に接続されている。
【0023】
これまで説明した発電機12は、以下のように動作する。
【0024】
ライン16、17は、ライン16、17がインダクタ19と誘導接続された結合コイルKにつながるという点で、発電機12によって生成された電圧Uaに接続されている。インダクタ19およびコンデンサC1によって形成される並列発振回路は、2つの増幅器V1、V2がプッシュプルモードで動作されるように発振するように励起される。このため、トランジスタT1、T2は、交互に導電性および非導電性である。これは、制御回路18によって制御される。トランジスタT1、T2の周波数および制御は、好ましくは、並列発振回路(インダクタ19およびコンデンサC1)の共振周波数に対応する。
【0025】
まず、スイッチSW1が非導電性である、すなわちトランジスタT3が遮断されていると想定する。これにより、発電機12の回路の有効部分は、対称的に構成され、コンデンサC2は非有効である。対称発振が、時間期間Aの間に
図3の図に示すように作りだされる。
【0026】
生成された対称出力電圧Uaは、まず無変調出力電圧として提供される。必要に応じて、例えば動作電圧Ubを変調することによって、振幅変調を実施することができる。しかし、その後の考察のために、動作電圧Ubは一定であると想定する。
【0027】
出力電圧Uaは、それが供給される器具10が組織11に影響を及ぼす場合、期間Aの間、特定の生理学的効果、例えば凝固効果をもたらす。ここで、別の生理学的効果が望まれ、したがって、発電機12は、別の波形を有する出力電圧Uaを生成すると仮定される。特に、例えば、正および負の半波の間に異なる発振進行を有するものとする。例えば、半波は、持続時間および高さ(振幅)を区別することができる。この目的のために、制御回路24は、スイッチSW1を閉じる、すなわち、トランジスタT3をそのソース電極S3とそのドレイン電極D3との間で導電性にする。このようにして、コンデンサC2の端部23は、接地に接続される。この電気的接続は、
図3に示す時間期間B全体にわたって維持される。
【0028】
第2のコンデンサC2は、トランジスタT2が導電性である半波の間は無効である。しかし、T1が導電性であり、トランジスタT2が非導電性である半波の間、コンデンサC2は有効であり、第1のコンデンサC1とインダクタ19との間の接続点を接地に接続する。これにより、振幅および周波数が変更された半波、例えばより小さいがより長い半波を作りだすことができる。そのため、発電機12のこの発振は、例えば時間期間Bの間、
図3に示す形態を有することができる。正の半波がライン16を介して電極13に接続されている場合、電極13と生体組織11との間のスパーク生成がそれによって支援され、したがって、期間Aの場合とは異なる生理学的効果が得られる。
【0029】
図4は、増幅器V1、V2がトランジスタT1、T2、T4、T5からのカスコード回路によって実現されるという点でのみ上述の実施形態と区別する発電機12の改変された実施形態を示す。トランジスタT1、T2は、
図2によるトランジスタT1、T2に対応する。トランジスタT4、T5は共通のゲート回路に接続され、したがって、それらのソース電極S4、S5を入力電極として有する電力増幅器を形成し、一方、それらのゲート電極G4、G5は、交流に関してコンデンサCpを介して接地に接続される適切な非変動電位に接続される。
【0030】
コンデンサC1は、ここでは、一端が接地にそれぞれ接続された2つの個別のコンデンサC1a、C1bに分割される。コンデンサC1a、C1bのそれぞれの他端は、インダクタ19の両端に接続されている。ここでも、コンデンサC1a、C1bは、インダクタ19と共に並列発振回路を形成する。スイッチSW1は、
図2に関連して説明した回路による発電機12の動作の改変に役立つ。特に、発電機12の発振を非対称にすることができ、それにより、発電機は、必要に応じて
図3による発振形態の時間期間Aと
図3による時間期間Bとの間で切り替えることができる。
【0031】
発電機12が
図2の概念による単純なプッシュプル発電機であるか、または
図4によるカスコード回路内に増幅器V1、V2を有するプッシュプル発電機であるかに関係なく、出力電圧Uaの発振形態に特に影響を与えるために、スイッチSW1に加えて、コンデンサC3、C4を有する追加のスイッチSW2、SW3を有することができる。そのような例を
図5に示す。回路分岐は、両方のトランジスタT1、T2に並列に接続され、したがって、回路がコンデンサC2、C3、C4を分岐させる両方の増幅器V1、V2は、1つのスイッチSW1、SW2、SW3によって接地それぞれに直列に配置される。制御回路24は、コンデンサの1つまたは複数またはコンデンサC2、C3、C4のより多くを接地に接続し、そうする際にコンデンサC2、C3、C4を有効にするために、SW1、SW2、SW3を制御する。
【0032】
同様に、制御回路24は、コンデンサC2、C3、C4のうちの1つまたは複数を無効にするために、スイッチSW1、SW2、SW3のうちの1つまたは複数を開く(非導電性にする)ことができる。すべてのコンデンサC2、C3、C4が無効である場合、発電機12は、
図3の時間期間Aのサンプルに従って発振する。それぞれの関連するスイッチSW1、SW2、SW3が閉じられている(導電性にされている)という点でコンデンサC2、C3、C4のうちの1つまたは複数が作動される場合、出力電圧Uaの形態は、例えば正または負の半波がその振幅において拡大または縮小され、時間において短縮または延長されるという点で、特徴的に変形される。
【0033】
記載されているすべての実施形態では、コンデンサC2を有する1つの単一のスイッチSW1(
図2、
図6)、2つのコンデンサC2、C3を有する2つのスイッチSW1、SW2、3つのコンデンサC2、C3、C4を有する3つのスイッチSW1、SW2、SW3(
図5、
図7)、またはそのような分岐の複数を設けることができる。
【0034】
上述の
図2~
図5による回路概念では、インダクタ19は、RFに対して高オーミックであるチョーク21を介して動作電流がそれぞれ供給される中央タップ20を備える。そうする際、対称的な電流供給が提供される。しかし、上述のすべての回路において、
図6および
図7から特に明らかなように、インダクタ19の一端においてチョーク21を介して動作電流を非対称に供給することも可能である。好ましくは、チョーク21のインダクタンスは、それによってインダクタ19のインダクタンスよりも高い。
図6および
図7によるこれらの回路の構造および機能の説明のために、既に導入された参照符号に基づいて、
図4および
図5による回路の説明を参照する。さらに、
図6および
図7による発電機12への動作電流の非対称供給により、追加のコンデンサC2、C3、C4が無効である場合、すなわち関連するスイッチSW1、SW2、SW3が遮断されている場合であっても、ここでも完全に対称的ではない発振をもたらし得る開始非対称性が提供される。発電機12の発振の現在の開始非対称性は、スイッチSW1、SW2、SW3の1つまたは複数を特に開閉することによって増幅または減衰することができる。
【0035】
医療器具10への供給のために設けられたプッシュプル発電機12は、好ましくは切り替え可能な構成で、その2つのトランジスタT1、T2の少なくとも一方に並列に接地に接続された少なくとも1つの容量性分岐を備える。そのような容量性切り替え可能分岐は、1つのコンデンサC2と1つのスイッチSW1との直列接続からなることができる。これにより、発電機12の出力電圧の2つの半波のうちの一方は、特に影響を受けることができ、2つの半波のうちの他方は、ほとんど影響を受けないままにすることができる。コンデンサC2、C4を備える切り替え可能な分岐が両方のトランジスタT1、T2に並列に接続されている場合、発電機12の出力電圧Uaの両方の半波は互いに独立して影響を受けることができる。
【0036】
したがって、本発明による概念は、そこ以外は対称的であるプッシュプル発電機12の半発振の特定の影響を可能にし、それにより、治療電流を医療器具10に供給するための適用スペクトルが、拡大される。
【符号の説明】
【0037】
10 器具
11 生体組織
12 RF発電機
13 電極
14 スパーク
15 中性電極
16 器具10のライン
17 中性電極15のライン
Ua 発電機12から器具10への電圧出力
V1,V2 増幅器
T1~T5 トランジスタ
G1~G5 ゲート電極
S1~S5 ソース電極
D1~D5 ドレイン電極
18 制御回路
19 インダクタ
20 中央タップ
C1 第1のコンデンサ
C2 第2のコンデンサ
Cp バッファコンデンサ
21 チョーク
22 コンデンサC2の第1の端部
23 コンデンサC2の第2の端部
SW1 第1のスイッチ
24 スイッチSW1の制御回路(SW2,SW3)
K 結合コイル
A,B
図3の時間期間
C4,C5 追加のコンデンサ
【外国語明細書】