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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093361
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】正弦波信号を増幅する増幅回路
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/68 20060101AFI20230627BHJP
   H03F 3/19 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H03F3/68
H03F3/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199077
(22)【出願日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】21216735
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519024245
【氏名又は名称】シバース ワイヤレス アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ホーカン バーリ
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AC26
5J500AF17
5J500AH02
5J500AK05
(57)【要約】
【課題】 相対位相差を有する複数の正弦波信号を増幅する増幅回路(1)を提供する。
【解決手段】 増幅回路は、少なくとも三つのトランジスタ増幅器(11~14)の第1の列(10)を備え、第1の列の各トランジスタ増幅器の第1の端子(11a~14a)は、複数の正弦波信号の一つの信号をそれぞれ受信するように構成される。増幅器は、少なくとも三つのトランジスタ増幅器(21~24)の第2の列(20)を更に備える。第2の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子(21b~24b)は、第1の列の一つのトランジスタ増幅器の第3の端子(11c~14c)にそれぞれ接続される。第2の列の各トランジスタ増幅器の第1の端子(21a~23a)は、第2の列の次のトランジスタ増幅器(22~24)の第3の端子(22c~24c)に接続される。最後のトランジスタ増幅器(24)の第1の端子(24a)は、第1のトランジスタ増幅器(21)の第3の端子(21c)に接続される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対位相差を有する複数の正弦波信号を増幅する増幅回路(1)であって、
少なくとも三つのトランジスタ増幅器(11~14)の第1の列(10)であって、
前記第1の列の各トランジスタ増幅器の第1の端子(11a~14a)は、前記複数の正弦波信号のうちの一つの信号をそれぞれ受信するように構成され、
前記第1の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子(11b-14b)は、電流源(2)に接続された、第1の列と、
最初のトランジスタ増幅器(21)及び最後のトランジスタ増幅器(24)を備える少なくとも三つのトランジスタ増幅器(21~24)の第2の列(20)であって、
前記第2の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子(21b~24b)は、前記第1の列の各トランジスタ増幅器の第3の端子(11c~14c)にそれぞれ接続され、
前記第2の列の各トランジスタ増幅器の第3の端子(21c-24c)は、電源電圧(3)に接続され、
前記第2の列の各トランジスタ増幅器の第1の端子(21a~23a)は、前記第2の列の次のトランジスタ増幅器(22~24)の第3の端子(22c~24c)に接続され、
前記最後のトランジスタ増幅器(24)の第1の端子(24a)は、前記最初のトランジスタ増幅器(21)の第3の端子(21c)に接続され、
前記第1の端子(11a~14a,21a~24a)はベース又はゲートであり、前記第2の端子(11b~14b,21b~24b)はエミッタ又はソースであり、前記第3の端子(11c~14c,21c~24c)はコレクタ又はドレインである、第2の列と、を備える増幅回路。
【請求項2】
前記複数の正弦波信号は、n個の正弦波信号の列を有し、
各正弦波信号は、前記n個の正弦波信号の列の前の正弦波信号に対して、360度をnで割った値に略等しい位相差を有し、
前記n個の正弦波信号の列の最初の正弦波信号は、前記n個の正弦波信号の列の最後の正弦波信号に対して、360度をnで割った値に略等しい位相差を有する、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
前記列の各トランジスタ増幅器(21~24)は、複数の接続されたトランジスタ(31~33)を備える、請求項1又は2に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第2の列(20)の各トランジスタ増幅器(21~24)は、第1のトランジスタ(31)と、第2のトランジスタ(32)と、第3のトランジスタ(33)と、を備え、各トランジスタは、ベース又はゲートである第1の端子(31a~33a)と、エミッタ又はソースである第2の端子(31b~33b)と、コレクタ又はドレインである第3の端子(31c~33c)とを備え、
前記第1のトランジスタ(31)の前記第1の端子(31a)は、前記第2の列の前記トランジスタ増幅器の前記第2の端子(21b)を形成し、
前記第1のトランジスタ(31)の前記第2の端子(31b)は、前記第1の列の各トランジスタ増幅器(11~14)の前記第3の端子(11c~14c)に接続され、
前記第2のトランジスタ(32)の前記第2の端子(32b)は、前記第1のトランジスタ(31)の前記第1の端子(31a)に接続され、
前記第3のトランジスタ(33)の前記第2の端子(33b)は、前記第1のトランジスタ(31)の前記第3の端子(31c)に接続され、
前記第2のトランジスタ(32)の前記第1の端子(32a)及び前記第3のトランジスタ(33)の前記第1の端子(33a)が接続され、それによって、前記第2の列の前記トランジスタ増幅器の第1の端子(21a)が形成され、
前記第2のトランジスタ(32)の前記第3の端子(32c)及び前記第3のトランジスタ(33)の前記第3の端子(33c)が接続され、それによって、前記第2の列の前記トランジスタ増幅器の第3の端子(21c)が形成された、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記第1の列及び前記第2の列の少なくとも一方について、前記第1の端子は、ベースであり、前記第2の端子は、エミッタであり、前記第3の端子は、コレクタである、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項6】
各トランジスタ増幅器は、バイポーラ接合トランジスタBJTを備える、請求項5に記載の増幅回路。
【請求項7】
前記第1の列及び前記第2の列の少なくとも一方について、前記第1の端子は、ゲートであり、前記第2の端子は、ソースであり、前記第3の端子は、ドレインである、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項8】
各トランジスタ増幅器は、電界効果トランジスタFETを備える、請求項7に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記第2の列の各トランジスタ増幅器の前記第3の端子は、インピーダンス(7)を介して前記電源電圧に接続された、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記第2の列の各トランジスタ増幅器の前記第3の端子は、トランスインピーダンス(8)を介して前記電源電圧に接続され、
前記第2の列の各トランジスタ増幅器の第1の端子は、前記第2の列の次のトランジスタ増幅器の前記第3の端子が接続されたトランスインピーダンスを介して、前記第2の列の次のトランジスタ増幅器の前記第3の端子に接続された、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項11】
前記複数の正弦波信号は、複数の多相信号又は複数の直交信号である、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項12】
前記第2の列の各トランジスタ増幅器の前記第3の端子は、前記増幅回路の出力部を提供するように構成された、請求項1に記載の増幅回路。
【請求項13】
請求項1に記載の増幅回路と、
多相フィルタ回路(2)であって、前記多相フィルタ回路の複数の出力部を介して相対位相差を有する複数の正弦波信号を出力するように構成された多相フィルタ回路と、
を備えるシステム(6)であって、
前記第1の列(10)の前記トランジスタ増幅器(11~14)の各第1の端子(11a~14a)は、前記フィルタ回路の複数の出力部のうちの対応する出力部に接続された、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムを備えるイメージ除去ミキサ(5)。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムを備えるI/Q変調器(5)又はI/Q復調器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、増幅回路に関し、更に具体的には、正弦波信号を増幅する増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波(RF)応用及びマイクロ波応用では、ミキサ又は周波数ミキサがよく使用される。ミキサ又は周波数ミキサは、供給される信号から新しい周波数を生成する回路である。最も一般的な応用では、二つの信号をミキサに供給し、元の周波数の和及び差で新しい信号を生成する。他の応用は、はイメージ除去ミキサであり、これは、RF応用及びマイクロ波応用でよく使用される。イメージ除去ミキサは、直交信号又は多相信号のような互いに位相シフトした信号を受信し、不要な混合生成を打ち消すために位相整合技術を利用する。他の応用は、I/Q変調器及びI/Q復調器である。
【0003】
イメージ除去ミキサ又はI/Q変調器(復調器)のようなミキサの性能は、ミキサが受信する信号間の振幅及び位相のバランスに依存する。信号間の振幅及び位相のバランスは、周波数に依存し、したがって、ミキサの性能も周波数に依存する。
【0004】
位相シフトされた信号の品質を向上させることに関心が集まっており、それを、多相フィルタをカスケード接続することによって行ってもよい。しかしながら、このようなカスケード接続は減衰を引き起こし、その結果、追加の増幅段を適用する必要性を追加する。しかしながら、増幅段の各々は、ミキサの消費電力及び/又は回路面積を増加させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
損失及び/又は回路規模を増大ことなくミキサの性能を向上させることができる正弦波信号を増幅する増幅回路を提供することに関心がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの関心は、独立請求項における特徴を有する配置を提供することによって満たされる。好適な実施形態は、従属請求項に定義される。
【0007】
したがって、本開示の第1の態様によれば、相対位相差を有する複数の正弦波信号を増幅する増幅回路を提供する。増幅回路は、少なくとも三つのトランジスタ増幅器の第1の列を備える。第1の列の各トランジスタ増幅器の第1の端子は、複数の正弦波信号のうちの一つの信号をそれぞれ受信するように構成される。第1の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子は、電流源に接続される。増幅回路は、最初のトランジスタ増幅器及び最後のトランジスタ増幅器を備える少なくとも三つのトランジスタ増幅器の第2の列を更に備える。第2の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子は、第1の列の各トランジスタ増幅器の第3の端子にそれぞれ接続される。第2の列の各トランジスタ増幅器の第3の端子は、電源電圧に接続される。第2の列の各トランジスタ増幅器の第1の端子は、第2の列の次のトランジスタ増幅器の第3の端子に接続される。最後のトランジスタ増幅器の第1の端子は、第1のトランジスタ増幅器の第3の端子に接続される。第2の端子は、ベース又はゲートであり、第2の端子は、エミッタ又はソースであり、第3の端子は、コレクタ又はドレインである。
【0008】
本開示の第2の態様によれば、第1の態様による増幅回路を備えるシステムを提供する。システムは、多相フィルタ回路であって、多相フィルタ回路の複数の出力部を介して相対位相差を有する複数の正弦波信号を出力するように構成された多相フィルタ回路を備える。第1の列のトランジスタ増幅器の各第1の端子は、多相フィルタ回路の複数の出力部のうちの対応する出力部に接続される。
【0009】
本開示の第3の態様によれば、第3の態様によるシステムを構成するイメージ除去ミキサを提供する。
【0010】
本開示の第4の態様によれば、第3の態様によるシステムを構成するI/Q変調器又はI/Q復調器を提供する。
【0011】
本開示は、正弦波信号の位相及び/又は振幅誤差を低減するために、相対位相差を有する正弦波信号のフィードバックを使用するという概念に基づく。増幅回路は、修正カスケード増幅器として理解することができる。増幅回路は、ミキサを駆動するためにしばしば必要とされる。低減された位相及び/又は振幅誤差を提供するために本開示の増幅回路を使用することによって、ミキサの性能を、それによって、追加の多相フィルタ及び増幅器ステージを使用することなく向上させることができる。
【0012】
複数の正弦波信号は、同一の又は略同一の周波数を有してもよい。
【0013】
少なくとも三つのトランジスタ増幅器の第1の列を、エミッタ共通構成の各トランジスタの列として又はエミッタ共通段として理解することができる。第1の列は、正弦波信号の(一つ以上の)位相誤差を正弦波信号の(一つ以上の)振幅誤差に変換する原因となる場合がある。しかしながら、第1の列は、正弦波信号間の相対位相差に関して、正弦波信号の全体的な品質を上げることができる。正弦波信号が振幅整合されている場合、増幅回路の性能を更に向上させることができる。
【0014】
少なくとも三つのトランジスタ増幅器の第2の列を、電流フォロワ構成の各トランジスタの列又はフォロワ共通段として理解することができる。
【0015】
第1の列のトランジスタ増幅器及び第2の列のトランジスタ増幅器は、単一のトランジスタ又は複数の接続されたトランジスタを備えてもよい。複数の接続されたトランジスタを備える第1の列又は第2の列のトランジスタ増幅器の端子を、単一のトランジスタの端子として動作可能であるものと理解することができる。したがって、複数の接続されたトランジスタを備えるトランジスタ増幅器の端子は、その端子に対して、単一のトランジスタとして動作させることができる。
【0016】
第1の列のトランジスタ増幅器の数及び第2の列のトランジスタ増幅器の数は、等しくてもよい。さらに、第1の列のトランジスタ増幅器の数及び第2の列のトランジスタ増幅器の数は、複数の正弦波信号の正弦波信号の数と等しくてもよい。第1の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子を、共通の電流源に接続してもよい。
【0017】
「第2の列の次のトランジスタ増幅器」という用語は、例えば、第2の列の他のトランジスタ増幅器に続く又は後続する第2の列のトランジスタ増幅器を意味する。例えば、第2の列は、第1のトランジスタ増幅器、第2のトランジスタ増幅器及び第3のトランジスタ増幅器を備え、したがって、第2のトランジスタ増幅器は、第1のトランジスタ増幅器に関して次のトランジスタ増幅器となり、その結果、第3のトランジスタ増幅器は、第2のトランジスタ増幅器に関して次のトランジスタ増幅器となる。さらに、この例では、第3のトランジスタ増幅器は、第2の列の最後のトランジスタ増幅器となる。しかしながら、本開示は、三つのトランジスタ増幅器を備える第2の列を備えることに限定されず、3,4,5,6,7,8又はそれ以上のような任意の数のトランジスタ増幅器を備えてもよいことが理解される。
【0018】
第2の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子と列の次のトランジスタ増幅器の第3の端子との接続を、第2の列のトランジスタ増幅器の各第2の端子が第2の列の次のトランジスタ増幅器の第3の端子からフィードバックを受けるものとして理解することができる。第2の列のトランジスタ増幅器のフィードバック接続は、追加の増幅器段及び/又は増大した回路サイズを必要とせずに正弦波信号の増幅を提供することができる。
【0019】
複数の正弦波信号は、n個の正弦波信号の列を有してもよい。各正弦波信号は、n個の正弦波信号の列の前の正弦波信号に対して、360度をnで割った値に略等しい位相差を有してもよい。n個の正弦波信号の列の最初の正弦波信号は、n個の正弦波信号の列の最後の正弦波信号に対して、360度をnで割った値に略等しい位相差を有してもよい。n個の正弦波信号の列の各正弦波信号は、n個の正弦波信号の列の一つ前の正弦波信号に対して、360度をnで割った値に略等しい位相差を有してもよい。換言すれば、複数の正弦波信号は、位相差に関して、360の期間に亘って均等に広がっていてもよい。それにより、正弦波信号の位相誤差及び/又は振幅誤差を低減するためのフィードバックを改善してもよい。
【0020】
例えば、複数の正弦波信号が四つの正弦波信号を備える場合、第1の正弦波信号を、位相差がないとみなしてもよく、第2の正弦波信号は、第1の正弦波信号に対して90度の位相差があってもよい。その理由は、360度を4で割ると90度になり、2マイナス1により1になる1を掛けるためである。その結果、第3の正弦波信号は、第1の正弦波信号に対して180度の位相差を有してもよく、第4の正弦波信号は、第1の正弦波信号に対して270度の位相差を有していてもよい。
【0021】
第1の列の各トランジスタ増幅器及び/又は第2の列の各トランジスタ増幅器は、複数の接続されたトランジスタを備えてもよく、単一のトランジスタを備えるトランジスタ増幅器を使用する場合と比較して、正弦波信号の増幅率を上げることができる。
【0022】
しかしながら、本開示が複数の接続されたトランジスタを備えるトランジスタ増幅器に限定されないことを理解すべきである。単一のトランジスタを備えるトランジスタ増幅器は、正弦波信号の十分な増幅を提供し、複数の接続されたトランジスタを備えるトランジスタ増幅器と比較して、更に少ない回路面積すなわちサイズを使用することができる。
【0023】
第2の列の各トランジスタ増幅器は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、を備えてもよい。前記第1のトランジスタ、第2のトランジスタ及び第3のトランジスタの各トランジスタは、ベース又はゲートである第1の端子と、エミッタ又はソースである第2の端子と、コレクタ又はドレインである第3の端子と、を備えてもよい。第1のトランジスタの第1の端子は、第2の列のトランジスタ増幅器の第2の端子を形成してもよい。第1のトランジスタの第2の端子は、第1の列の各トランジスタ増幅器の第3の端子に接続されてもよい。第2のトランジスタの第2の端子は、第1のトランジスタの第1の端子に接続されてもよい。第3のトランジスタの第2の端子は、第1のトランジスタの第3の端子に接続されてもよい。第2のトランジスタの第1の端子及び第3のトランジスタの第1の端子は接続され、それによって、第2の列のトランジスタ増幅器の第1の端子が形成されてもよい。第2のトランジスタの第3の端子及び第3のトランジスタの第3の端子は接続され、それによって、第2の列のトランジスタ増幅器の第3の端子が形成されてもよい。上記の構成により、単一のトランジスタを備えるトランジスタ増幅器を使用する場合に比べて、正弦波信号の増幅率を上げることができる。
【0024】
第1の列及び第2の列の少なくとも一方について、第1の端子は、ベースであってもよく、第2の端子は、エミッタであってもよく、第3の端子は、コレクタであってもよい。したがって、第1の列及び/又は第2の列のトランジスタ増幅器を、バイポーラ接合トランジスタBJTとして構成してもよい。少なくとも一つのトランジスタ増幅器又は各トランジスタ増幅器は、BJTを備えてもよい。BJTを、ヘテロ接合バイポーラトランジスタHBTとして構成してもよい。
【0025】
第1の列及び第2の列の少なくとも一方について、第1の端子は、ゲートであってもよく、第2の端子は、ソースであってもよく、第3の端子は、ドレインであってもよい。したがって、第1の列及び/又は第2の列のトランジスタ増幅器を、電界効果トランジスタFETとして構成してもよい。少なくとも一つの各トランジスタ増幅器は、FETを備える。FETを、金属-酸化膜-半導体FETすなわちMOSFETとして構成してもよい。
【0026】
第1の列及び第2の列は、FET又はBJTを備えてもよい。代替的には、第1の列は、FETを備えてもよく、第2の列は、BJTを備えてもよい。更に別の代替において、第1の列は、BJTを備えてもよく、第2の列は、FETを備えてもよい。
【0027】
第2の列の各トランジスタ増幅器の第3の端子は、インピーダンスを介して電源電圧に接続されてもよい。インピーダンスは、抵抗器及び/又はインダクタンスを備えてもよい。しかしながら、インピーダンスを、能動的な電気部品若しくは回路又は電流依存電源によって置き換えてもよい。
【0028】
第2の列の各トランジスタ増幅器の第3の端子は、トランスインピーダンスを介して電源電圧に接続されてもよい。また、第2の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子は、第2の列の次のトランジスタ増幅器の第3の端子が接続されたトランスインピーダンスを介して、第2の列の次のトランジスタ増幅器の第3の端子に接続されてもよい。すなわち、第2の列のトランジスタ増幅器の第2の端子と次のトランジスタ増幅器の第3の端子の両方は、電源電圧に接続されるトランスインピーダンスに接続されてもよい。トランスインピーダンスを、例えば、第2の列のトランジスタ増幅器の第3の端子からの出力電流を第2の列のトランジスタ増幅器の第1の端子における制御電圧に変換することができる回路の一般化として理解することができる。簡単なインピーダンスを使用することの欠点は、第2の列のトランジスタ増幅器の第1の端子における電流が第2の列のトランジスタ増幅器を効率的に制御するために低すぎる場合があることである。簡単なインピーダンスではなく、トランスインピーダンスを使用することによって、上記欠点が克服される場合がある。
【0029】
複数の正弦波信号は、複数の多相信号又は複数の直交信号であってもよい。
【0030】
本開示の(一つ以上の)実施形態を示す添付図面を参照しながら、本開示を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本開示の例示的な実施形態による増幅回路を模式的に示す。
図2】本開示の例示的な実施形態による増幅回路を模式的に示す。
図3】本開示の例示的な実施形態による増幅回路のトランジスタ増幅器を模式的に示す。
図4】本開示の例示的な実施形態によるミキサを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本開示の例示的な実施形態による正弦波信号を増幅する増幅回路1を模式的に示す図である。
【0033】
増幅回路1は、四つのトランジスタ増幅器11~14の第1の列10を備える。第1の列10の各トランジスタ増幅器11~14の第1の端子11a~14aは、複数の正弦波信号のうちの一つの信号をそれぞれ受信するように構成される。第1の列10の各トランジスタ増幅器11~14の第2の端子11b~14bは、第2の端子11b~14bの全てに共通する電流源2に接続される。しかしながら、各第2の端子11b~14bは、代替的に、それぞれの電流源2に接続されてもよい。
【0034】
増幅回路1は、四つのトランジスタ増幅器21~24の第2の列20を更に備える。第2の列のトランジスタ増幅器21のうちの一つを、第1のトランジスタ増幅器21として理解してもよく、第2の列のトランジスタ増幅器24のうちの別のものを、最後のトランジスタ増幅器24として理解することができる。第2の列20の各トランジスタ増幅器21~24の第2の端子21b~24bは、第1の列10の各トランジスタ増幅器11~14の第3の端子11c~14cに接続される。第2の列20の各トランジスタ増幅器21~24の第3の端子21c~24cは、電源電圧3に接続され、第2の列20の各トランジスタ増幅器21~24の第3の端子21c~24cは、インピーダンス7を介して電源電圧3に接続される。最後尾を除く第2の列20の各トランジスタ増幅器21~23の第1の端子21a~23aは、第2の列20の次のトランジスタ増幅器22~24の第3の端子22c~24cに接続される。最後のトランジスタ増幅器24の第1の端子24aは、第1のトランジスタ増幅器21の第3の端子21cに接続される。
【0035】
増幅回路1の出力は、第2の列20のトランジスタ増幅器21~24の第3の端子21c~24cから取り出されてもよい。
【0036】
第2の端子11a~14a,21a~24aは、ベース又はゲートであり、第2の端子11b~14b,21b~24bは、エミッタ又はソースであり、第3の端子11c~14c,21c~24cは、コレクタ又はドレインである。
【0037】
トランジスタ増幅器11~14,21~24はそれぞれ、トランジスタとして描かれており、第2の端子11a~14a,21a~24aは、ベースであり、第2の端子11b~14b,21b~24bは、エミッタであり、第3の端子11c~14c,21c~24cは、コレクタである。図1に描かれたトランジスタは、バイポーラ接合トランジスタBJTとして描かれている。しかしながら、トランジスタ増幅器11~14,21~24の一部又は全部が電界効果トランジスタFETであってもよく、その結果、FETについては、第1の端子11a~14a,21a~24aがゲートであってもよいこと、第2の端子11b~14b,21b~24bがソースであってもよいこと及び第3の端子11c~14c,21c~24cがドレインであってもよいことが理解される。
【0038】
トランジスタ増幅器11~14、21~24の上記構成が4ポート構成であると理解することができる。しかしながら、本開示は、このような構成に限定されない。例えば、第1の列10及び第2の列120は、追加の接続されたトランジスタ増幅器を備えてもよく、これらのトランジスタ増幅器11~14,21~24と共に、例えば、6ポート又は8ポートの構成を形成してもよい。
【0039】
図2は、本開示の例示的な実施形態による増幅回路1を模式的に示す。図2図1に示されるとともに関連する文章で説明されるような特徴、要素及び/又は機能を備えることに留意されたい。したがって、理解を深めるために、図1及びそれに関連する説明も参照される。
【0040】
図1に示す増幅回路1が図1に示す実施形態と異なる点は、第2の列20の各トランジスタ増幅器21~24が複数の相互に接続されたトランジスタ31~33を備えることである。
【0041】
第2の列のトランジスタ増幅器21~24は、略同一である。見やすくするために、図2の第1のトランジスタ増幅器21のみが参照数字を有する。しかしながら、残りのトランジスタ増幅器22~24が第1のトランジスタ増幅器21と略同一の構成要素及び特徴を備えることを理解すべきである。
【0042】
第1のトランジスタ増幅器21は、第1のトランジスタ31と、第2のトランジスタ32と、第3のトランジスタ33と、を備える。第1のトランジスタ31、第2のトランジスタ32及び第3のトランジスタ33はそれぞれ、ベース又はゲートである第1の端子31a~33aと、エミッタ又はソースである第2の端子31b~33bと、コレクタ又はドレインである第3の端子31c~33cと、を備える。
【0043】
第1のトランジスタ31の第2の端子31bは、第2の列20の第1のトランジスタ増幅器21の第2の端子21bを形成する。第1のトランジスタ31の第2の端子31bは、第1の列10の各トランジスタ増幅器11の第3の端子11cに接続される。第2のトランジスタ32の第2の端子32bは、第1のトランジスタ31の第1の端子31aに接続される。第3のトランジスタ33の第2の端子33bは、第1のトランジスタ31の第3の端子31cに接続される。第2のトランジスタ32の第2の端子32a及び第3のトランジスタ33の第2の端子33aは相互に接続され、それによって、第2の列20の第1のトランジスタ増幅器21の第2の端子21aが形成される。第2のトランジスタ32の第3の端子32c及び第3のトランジスタ33の第3の端子33cは相互接続され、それによって、第2の列20の第1のトランジスタ増幅器21の第3の端子21cが形成される。
【0044】
図3は、本開示の例示的な実施形態による増幅回路のトランジスタ増幅器21~23を模式的に示す。増幅回路全体を図3には示さない。しかしながら、増幅回路は、以下で説明するいくつかの相違点を除いて図1又は図2に示され、関連する文章に記載された増幅回路のいずれか一つと類似してもよい又は略同一であってよい。
【0045】
図3は、増幅回路の第2のトランジスタ増幅器21~23の列の一部を示す図である。この部分は、第1のトランジスタ増幅器21、第2のトランジスタ増幅器22及び第3のトランジスタ増幅器23を示す。しかしながら、本開示は、三つのトランジスタ増幅器21~23を備える第2の列に限定されず、第2の列が三つ以上のトランジスタ増幅器21~23を備えてもよいことを包含することが理解される。
【0046】
図示の各トランジスタ増幅器21~23は、第1の端子21a,22a,23a、第2の端子21b,22b,23b及び第3の端子21c,22c,23cを備えるトランジスタを備える。第2のトランジスタ増幅器22の第3の端子22c及び第3のトランジスタ増幅器23の第3の端子23cは、トランスインピーダンス8を介して、電源電圧3に接続される。さらに、第1のトランジスタ増幅器21の第1の端子21a及び第2のトランジスタ増幅器22の第1の端子22aは、次のトランジスタ増幅器22,23の第3の端子22c,23c、すなわち、第2のトランジスタ増幅器22及び第3のトランジスタ増幅器22,23が接続されたトランジスタインピーダンス8を介して接続される。すなわち、トランジスタ増幅器21,22の第2の端子21a,22aと次のトランジスタ増幅器22,23の第3の端子22c,23cは、共にトランスインピーダンス8に接続される。その結果、トランジスタ増幅器21,22の第1の端子21a,22aと次のトランジスタ増幅器22,23の第3の端子22c,23cは、共にトランスインピーダンス8を介して電源電圧3に接続される。
【0047】
トランジスタ増幅器21~23は、代替的に、例えば、図2に示すように、複数の接続されたトランジスタを備えてもよい。
【0048】
第1のトランジスタ増幅器21の第3の端子21c及び第3のトランジスタ増幅器23の第1の端子23aがトランスインピーダンス(図示せず)にも接続されることが理解される。増幅回路が図示した三つのトランジスタ増幅器21~23のみを備える場合、第1のトランジスタ増幅器21の第3の端子21c及び第3のトランジスタ増幅器23の第1の端子23aは、同一のトランスインピーダンス(図示せず)に接続されることになる。
【0049】
図4は、本開示の例示的な実施形態によるミキサ5を模式的に示す。ミキサ5は、イメージ除去ミキサ、I/Q変調器又はI/Q復調器として構成されてもよい。ミキサ5は、本発明の例示的な実施形態による増幅回路1及び多相フィルタ回路2を備えるシステム6を具備する。
【0050】
多相フィルタ回路2は、多相フィルタ回路2の複数の出力部を介して相対位相差を有する複数の正弦波信号を出力するように構成される。多相フィルタ回路2は、正弦波信号であってもよい入力信号を受信するように構成された入力部INを有する。多相フィルタ回路2は、入力信号を相対位相差を有する複数の正弦波信号に分割するように構成されてもよい。複数の正弦波信号は、複数の多相信号又は複数の直交信号であってもよい。多相フィルタ回路2は、入力信号を複数の正弦波信号に分割するように構成されてもよく、その数は、偶数であってもよい。しかしながら、多相フィルタ回路2は、一つ以上の追加の入力信号を受信するように構成された一つ以上の追加の入力を有してもよい。図4に示す多相フィルタ回路2は、三つの出力部を備える。しかしながら、多相フィルタ回路2は、実質的に任意の数の出力部を備えてもよく、図4に示すような例示的な実施形態に限定されない。
【0051】
増幅回路1は、多相フィルタ回路2の出力部に接続される。したがって、図4に示す増幅回路1は、第1の列及び第2の列を備え、各列が三つのトランジスタ増幅器を備えるものと理解することができる。さらに、多相フィルタ回路2の三つの出力部が増幅回路1の第1の列の各トランジスタ増幅器の各第1の端子に接続されると理解することができる。さらに、第2の列の各トランジスタ増幅器の第2の端子が第2の列の次のトランジスタ増幅器の第3の端子に接続されるとともに最後のトランジスタ増幅器の第2の端子が第1のトランジスタ増幅器の第3の端子に接続されると理解すべきである。
【0052】
第2の列のトランジスタ増幅器の第3の端子から取り出される増幅回路1からの出力は、周波数ミキサ4にそれぞれ接続される。さらに、各周波数混合器4は、局部発振信号LOが接続される。局部発振信号LOは、相対位相差を有してもよく、相対位相差は、多相フィルタ回路2が出力する正弦波信号間の相対的な位相差と略同一であってもよい。代替的には、局部発振器信号LOは、略同一であってもよい。
【0053】
周波数混合器4からの出力信号OUT_1,OUT_2,OUT_3は、混合器5の出力として理解することができる。しかしながら、ミキサ5は、周波数ミキサ4からの出力信号が接続される追加の構成要素を備えてもよい。そのような追加の構成要素は、例えば、バンドパスフィルタのようなフィルタを備えてもよいが、それに限定されない。
【0054】
当業者は、本開示が上述した好適な実施形態に限定されるものではないことを認識する。それどころか、添付の特許請求の範囲の範囲内で多くの変更及び変形が可能である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】