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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093407
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵タンクの搬入出タワー
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20230627BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
F17C13/00 302Z
F17C9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022204801
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】2114275
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】エルバン、コルビノー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン、バルダン
(72)【発明者】
【氏名】アーメド、スリディ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172CA01
3E172CA02
3E172CA08
3E172EA03
3E172EA44
3E172EB03
3E172EB10
3E172EB14
3E172KA02
3E172KA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】貨物の貯蔵および液化ガスの充填冷却する際のタンク壁の変形特性によるタンク劣化を制限する液化ガス貯蔵タンクの搬入出用のアセンブリを提供する。
【解決手段】液化ガス貯蔵タンクの搬入出アセンブリ(10)であって、前記搬入出アセンブリは、少なくとも1つの搬入タワー(12)と、搬出デバイス(14)と、少なくとも1つのカバー(16)と、を備え、前記搬入タワーは、少なくとも3つのポール(20)と搬入パイプとを備えた構造体(18)を備え、前記搬出デバイスは、少なくとも1つの搬出パイプ(36)と、吸引部材と、駆動アセンブリ(42)と、を備え、前記カバーは、前記吸引部材と前記駆動アセンブリとの間に配置され、前記搬出デバイスの前記搬出パイプは、前記搬入タワーの前記構造体の前記ポール(20)から離間するとともに、前記搬入タワーの前記構造体により画定された外周部の外側に配置される搬入出アセンブリ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス貯蔵タンク(2)の搬入出アセンブリ(10)であって、
前記搬入出アセンブリ(10)は、少なくとも1つの搬入タワー(12)と、搬出デバイス(14)と、前記タンク(2)の貯蔵容積部(6)を閉鎖することが意図された少なくとも1つのカバー(16)と、を備え、
前記カバー(16)は、前記搬入タワー(12)によって少なくとも部分的に、および前記搬出デバイス(14)によって、横切られ、
前記搬入タワー(12)は、少なくとも3つのポール(20)と搬入パイプ(22)とを備えた構造体(18)を備え、
前記搬出デバイス(14)は、少なくとも1つの搬出パイプ(36)と、前記搬出パイプ(36)の第1端部(40)に配置された吸引部材(38)と、前記搬出パイプ(36)の第2端部(44)に配置された駆動アセンブリ(42)と、を備え、
前記カバー(16)は、前記吸引部材(38)と前記駆動アセンブリ(42)との間に配置され、
前記搬入出アセンブリ(10)は、前記搬出パイプ(36)が前記吸引部材(38)と前記駆動アセンブリ(42)との間に配置されることを特徴とし、
前記搬入出アセンブリ(10)は、前記搬出デバイス(14)の前記搬出パイプ(36)が、前記搬入タワー(12)の前記構造体(18)の前記ポール(20)から離間するとともに、前記搬入タワー(12)の前記構造体(18)により画定された外周部(S)の外側に配置されることを特徴とする、
搬入出アセンブリ(10)。
【請求項2】
前記搬入タワー(22)の前記構造体(18)の前記ポール(20)の2つは、2つの後方ポール(20b)を形成し、前記構造体(18)の第3ポール(20)は、前方ポール(20a)を形成し、
前記搬出パイプ(36)は、前記構造体(18)の前記前方ポール(20a)に対して、前記2つの後方ポール(20b)のいずれかの反対側で延びる、
請求項1に記載の搬入出アセンブリ(10)。
【請求項3】
少なくとも1つの保持デバイス(54)が、前記搬出パイプ(36)と前記構造体(18)の前記ポール(20)の1つとの間を延びる、
請求項1または2に記載の搬入出アセンブリ(10)。
【請求項4】
前記構造体(18)は、前記2つの後方ポール(20b)を結ぶ直線により定められる少なくとも1つのベース(48)と、前記前方ポール(20a)により定められる前方頂点(50)と、を備える実質的に三角形の外周部(S)を画定し、
前記保持デバイス(54)は、前記搬出パイプ(36)と、前記構造体(18)の前記外周部(S)の前記前方頂点(50)を形成する前記構造体(18)の前記前方ポール(20a)と、の間を延びる、
請求項2および3の組み合わせによる搬入出アセンブリ(10)。
【請求項5】
前記構造体(18)の前記外周部(S)の前記前方頂点(50)と前記搬出パイプ(36)とは、前記構造体(18)の実質的に三角形の前記外周部(S)の高さ(I)方向に並んでいる、
請求項4に記載の搬入出アセンブリ(10)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの搬入出アセンブリ(10)を備える液化ガスを貯蔵および/または輸送するためのタンク(2)であって、
前記タンク(2)は、底壁(28)と、頂壁と、前記底壁(28)を前記頂壁に接続する側壁(4)と、を備え、
前記壁(4、28)は、前記液化ガスの前記貯蔵容積部(6)を画定する、
貯蔵および/または輸送タンク(2)。
【請求項7】
前記搬出デバイス(14)の前記駆動アセンブリ(42)は、前記タンク(2)の前記貯蔵容積部(6)の外側に配置され、
前記搬出デバイス(14)の前記吸引部材(38)は、前記タンク(2)の前記貯蔵容積部(6)内に配置される、
請求項6に記載の貯蔵および/または輸送タンク(2)。
【請求項8】
前記搬出パイプ(36)は、前記構造体(18)に対して、前記構造体(18)に最も近接した前記側壁(4)の反対側に配置される、
請求項6または7に記載の貯蔵および/または輸送タンク(2)。
【請求項9】
前記貯蔵および/または輸送タンク(2)は、前記タンク(2)の前記底壁(28)に形成された少なくとも1つのサンプ(56)を備え、
前記吸引部材(38)は、少なくとも部分的に前記サンプ(56)内に延びる、
請求項6~8のいずれか一項に記載の貯蔵および/または輸送タンク(2)。
【請求項10】
前記貯蔵および/または輸送タンク(2)は、前記底壁(28)を貫通する、前記搬入タワー(12)の支持体(26)を備え、
前記サンプ(56)は、前記ポンプの中心(X)が前記搬入タワー(12)の前記支持体(26)の中心(F)から少なくとも2.04mを超える距離(D)を置くように、形成される、
請求項9に記載の貯蔵および/または輸送タンク(2)。
【請求項11】
前記搬出パイプ(36)の中心(C)が、前記支持体(26)の前記中心(F)を中心とする半円(52)の任意の点上に配置される、
請求項10に記載の貯蔵および/または輸送タンク(2)。
【請求項12】
前記頂壁は、前記タンク(2)の前記貯蔵容積部(6)を閉鎖するための前記カバー(16)が配置される開口を備える、
請求項6~11のいずれか一項に記載の貯蔵および/または輸送タンク(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス、液体アンモニア、ならびに液化石油ガス等の液化ガスの貯蔵および/または貨物輸送の分野に関する。より具体的には、本発明は、液化ガス貯蔵タンクの搬入出用のアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
Liquefied Natural Gasの頭文字「LNG」により一般に知られる液化天然ガスは、重要なエネルギー源であり、およそ95%がメタンで構成されている。より具体的には、LNGは、液体状態で断熱タンク内に-160°C付近で貯蔵される。この温度では、LNGは気体状態において占め得る体積の1/600を占めるため、ある場所から別の場所への輸送が容易にできる。
【0003】
従来的に、タンクは、タンクを閉鎖し得るカバーから吊り下げられた搬入出タワーを備えている。搬入出タワーは、三脚構造、すなわち、格子構造を形成するクロス部材により互いに接続した3つの鉛直ポールを備える三脚構造を備え得る。前記タワーは、底壁から出現するタンクの支持体によりガイドされる。搬入出タワーは、少なくとも1つの搬出パイプと、貨物をタンクから搬出する機能を有する吸引部材と、を備えている。前記吸引部材は、タンクの外部に配置された駆動装置に接続している。さらに、貨物の最適な吸引を可能にするように、通常、吸引部材は、タンクの底壁に形成されたサンプ(槽、排液槽)内に少なくとも部分的に配置されている。これにより、吸引部材が前記貨物内に浸漬されることを確保しつつ、搬出パイプにより引き出される貨物の量を増大させることができ、したがってその完全性を保証する。
【0004】
搬出パイプを搬入出タワーの構造体のポールの1つに配置することが知られている。搬入出タワーのこのような配置の欠点の1つは、タワーの構造体をガイドする支持部と搬出パイプの反対側に形成されたサンプとが近接していることである。このような近接により、貨物の貯蔵の際、および液化ガスの充填に先立ってタンクを冷却する際のタンク壁の変形特性が非常に制限される。この変形特性は、タンクの劣化を制限するために必要である。さらに、このように搬出パイプをタワーの構造体のポールの1つに配置することにより、オペレータの搬出パイプへのアクセス性が複雑になる。したがって、タンクのこのような構造、より具体的には搬入出タワーのこのような構造により、液化ガスの貯蔵に必要な前記タンクの強度が減少する一方で、搬出パイプのアクセス性が制限されることが理解される。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明は、液化ガス貯蔵タンクの搬入出アセンブリであって、前記搬入出アセンブリは、少なくとも1つの搬入タワーと、搬出デバイスと、前記タンクの貯蔵容積部を閉鎖することが意図された少なくとも1つのカバーと、を備え、前記カバーは、前記搬入タワーおよび前記搬出デバイスによって少なくとも部分的に横切られ、前記搬入タワーは、少なくとも3つのポールと搬入パイプとを備えた構造体を備え、前記搬出デバイスは、少なくとも1つの搬出パイプと、前記搬出パイプの第1端部に配置された吸引部材と、前記搬出パイプの第2端部に配置された駆動アセンブリと、を備え、前記カバーは、前記吸引部材と前記駆動アセンブリとの間に配置され、前記搬入出アセンブリは、前記搬出デバイスの前記搬出パイプが、前記搬入タワーの前記構造体の前記ポールから離間するとともに、前記搬入タワーの前記構造体により画定された外周部の外側に配置されることを特徴とする搬入出アセンブリに関する。
【0006】
貯蔵タンクは、浮遊構造体上に配置されてもよく、側壁により互いに接続した少なくとも頂壁と底壁とを備える。タンクの壁は、特に、タンクの熱変動に応じて変形可能な波状シール膜により覆われた少なくとも1つの断熱層を備える。搬入出アセンブリを収容するように、頂壁に開口が形成されている。特に、搬入出アセンブリのカバーは、頂壁の開口をシールした態様で閉鎖することが理解される。さらに、搬入タワーは、支持体によりガイドされ、支持体の少なくとも一部は、前記搬入タワーをタンク内に固定するように底壁を貫通する。
【0007】
搬入タワーの構造体により画定された外周部は、タンクの底壁上への搬入タワーの構造体の軸方向投影に対応する。また、外周部は、ポールの各々の外縁部により、すなわち、構造体の最も外側に位置するポールの円形部分により画定される。
【0008】
したがって、搬出パイプを構造体により画定された外周部の外側に配置する構成には、搬出パイプ、ひいてはこの搬出パイプに関連するサンプを、搬入タワーの支持体から離間させ得るという利点が存在する。これにより、搬入出アセンブリに配置された波状シール膜は、その変形特性を保持することができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、吸引部材と駆動アセンブリとの間を延びる搬出パイプが、構造体のポールから、これら2つの部品の間において離間する。換言すれば、搬出パイプは、その一端部から他端部まで、ポールの外側にある。
【0010】
本発明の特徴によれば、前記搬入タワーの前記構造体の前記ポールの2つは、2つの後方ポールを形成し、前記構造体の第3ポールは、前方ポールを形成し、前記搬出パイプは、前記構造体の前記前方ポールに対して、前記2つの後方ポールのいずれかの反対側で延びる。ここで、搬出パイプは、構造体の前方ポールの前方にあることが理解される。
【0011】
本発明の特徴によれば、少なくとも1つの保持デバイスが、前記搬出パイプと前記構造体の前記ポールの1つとの間を延びる。
【0012】
本発明の特徴によれば、前記構造体は、前記2つの後方ポールを結ぶ直線により定められる少なくとも1つのベースと、前記前方ポールによって定められる前方頂点と、を備える実質的に三角形の外周部を画定し、前記保持デバイスは、前記搬出パイプと、前記構造体の前記外周部の前記前方頂点を形成する前記構造体の前記前方ポールと、の間を延びる。
【0013】
より詳細には、搬入タワーの構造体により画定される実質的に三角形の外周部は、前記構造体のポールの1つに各々対応する3つの頂点を備える。2つの頂点は、2つの後方ポールに対応してベースを定めることに関与する。前方ポールに対応する頂点は、前方頂点を定めることに関与する。
【0014】
本発明の特徴によれば、前記構造体の前記外周部の前記頂点と前記搬出パイプとは、前記構造体の実質的に三角形の前記外周部の高さ方向に並んでいる。このような高さ方向は、ベースに対して垂直であり、前方頂点を通る直線である。
【0015】
また、本発明は、上述の特徴のいずれか1つによる少なくとも1つの搬入出アセンブリを備える液化ガスを貯蔵および/または輸送するためのタンクであって、前記タンクは、底壁と、頂壁と、前記底壁を前記頂壁に接続する側壁と、を備え、前記壁は、前記液化ガスの前記貯蔵容積部を画定する貯蔵および/または輸送タンクに関する。
【0016】
本発明の特徴によれば、搬入パイプは、タンクの側壁の1つと搬出パイプとの間を延びる。
【0017】
本発明の特徴によれば、前記搬出デバイスの前記駆動アセンブリは、前記タンクの前記貯蔵容積部の外側に配置され、前記搬出デバイスの前記吸引部材は、前記タンクの前記貯蔵容積部の内側に配置される。
【0018】
より詳細には、駆動シャフトが、吸引部材を駆動アセンブリに接続する。特に、駆動アセンブリは、駆動シャフトにより吸引部材を作動可能であることが理解される。
【0019】
本発明の特徴によれば、前記搬出パイプは、前記構造体に対して、前記構造体に最も近接した前記側壁の反対側に配置される。最も近接した側壁は、例えば、タンクの前方側壁および後方側壁であり得る。
【0020】
より具体的には、タンクを支持する浮遊構造体の前部および後部が定められる。前部および後部は、前記浮遊構造体の標準的な進行方向に対して定められる。したがって、タンクにおいて、搬出パイプは、構造体および搬入パイプに対して、最も前方のパイプに対応する。
【0021】
同様に、タンクの少なくとも1つの前方側壁および後方側壁が、前記浮遊構造体の標準的な進行方向に応じて定められる。搬出パイプは、構造体に対して、タンクの後方側壁の反対側に配置される。これは、特に構造体が後方壁に近い場合である。
【0022】
代替的に、搬出パイプは、構造体に対して、タンクの前方側壁の反対側に配置される。これは、特に構造体が前方壁に近い場合である。
【0023】
本発明の特徴によれば、前記タンクは、前記タンクの前記底壁に形成された少なくとも1つのサンプを備え、前記吸引部材は、少なくとも部分的に前記サンプ内に延びる。
【0024】
サンプは、特に、タンクの底壁の容積部に形成されるとともにサンプ壁により画定された凹部に対応し、サンプにより液体貨物の搬出が最適化され得る。より具体的には、サンプにより、吸引部材による液体貨物の吸引が容易化され得る。これは、タンクの貯蔵容積部に比較して小さい容積部に液体貨物をまとめる、および、集めることによる。
【0025】
本発明の特徴によれば、前記タンクは、前記底壁を貫通する、前記搬入タワー用の支持体を備え、前記サンプは、その中心が前記搬入タワーの前記支持体の中心から少なくとも2.04mを超える距離を置くように、形成される。
【0026】
この距離は、搬入タワーの主延在方向に対して垂直な直線であって、搬入タワー支持体の中心とサンプの中心とを接続する直線に沿ったものである。
【0027】
本発明の特徴によれば、前記搬出パイプの中心が、前記支持体の前記中心を中心とする半円の任意の点上に配置される。
【0028】
支持体の中心は、搬入パイプの構造体の3つのポールの中心から実質的に等距離に配置された点に対応することが理解される。
【0029】
本発明の特徴によれば、前記頂壁は、前記タンクの前記貯蔵容積部を閉鎖するための前記カバーが配置される開口を備える。
【0030】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、図面に関連して、情報の提供のみを目的として以下に与えられる説明を読むことで、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明による搬入および/または搬出タワーを収容するタンクを備えた船舶の概略図である。
図2図2は、図1の搬入出アセンブリの全体斜視図である。
図3図3は、図1の搬入出アセンブリの一部の拡大上面図である。
図4図4は、図1の搬入出アセンブリの一部の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に、本発明をその実施のために図面に詳細に示しているが、これらの図面は、当然ながら必要に応じて本発明をより良好に定義するために使用され得ることに留意されたい。また、これらの図面は、本発明の例示的な実施形態を示しているに過ぎないことに留意されたい。
【0033】
図1は、ここでは液化ガス輸送船1に相当する浮遊構造体1を示す。液化ガスを輸送するために、船1は、液化ガスを貯蔵および/または輸送するための少なくとも1つのタンク2を備えている。タンク2は、本例において見ることができないタンク2の鉛直方向において互いに対向する、少なくとも1つの底壁と頂壁とを備えている。これらの前記壁は、側壁4により互いに接続している。底壁、頂壁、および側壁4は、とりわけ液化ガスの貯蔵容積部6の画定に関与している。
【0034】
タンク2における液化ガスの最適な輸送および保存を保証するように、前記タンクの壁4は、図示しない少なくとも1つの断熱層を備えている。断熱層は、図3および図4で見ることができる波状シール膜8により覆われるとともに、液化ガスに接触することが意図されている。波状シール膜8は、特に、複数の起伏部8aを備えていることにより、例えばタンク2が液化ガスの充填に先立って冷却されるときにタンク2内の熱変動により生じる変形に耐えることができる。
【0035】
貯蔵および/または輸送タンク2は、本発明による少なくとも1つの搬入出アセンブリ10を備えている。これにより、タンク2に液化ガスを導入する、またはそこから取り除くことができる。図1および図2において見ることができる搬入出アセンブリ10は、少なくとも1つの搬入タワー12と、搬出デバイス14と、貯蔵容積部6を閉鎖することが意図された少なくとも1つのカバー16と、を備えている。より具体的には、頂壁がカバー16の配置される開口を備えることにより、タンク2の貯蔵容積部6がシールした態様で閉鎖される。図2から理解されるように、カバー16は、搬入タワー12および搬出デバイス14によって少なくとも部分的に横切られている。
【0036】
特に図2において見ることができる搬入タワー12は、鉛直方向延長Vの主方向Pに延びる構造体18であって、別途三脚と称される少なくとも3つのポール20と、搬入パイプ22と、を備える構造体18を備えている。より詳細には、搬入タワー12の構造体18は、格子構造体24により互いに固定された少なくとも3つのポール20を備えている。3つのポール20の各々は、タンク2のカバー16を貫通している。構造体18の前方ポール20aおよび構造体18の2つの後方ポール20bは、図1で見ることができる船1の進行方向Aに応じて定めると、通常の航行状態下において、前方ポール20aがタンク2における最も前方の構造体18のポール20であるように定められている。
【0037】
さらに、特に図3および図4において見ることができるように、搬入タワー12の構造体18は、タンク2の底壁28を少なくとも部分的に貫通する支持体26により支持されている。より詳細には、支持体26は、搬入タワー12の構造体18のポール20の各々に固定された少なくとも1つのプラットフォーム30と、図示しないタンク2の外部構造体から前記タンク2の底壁28を貫通することによりプラットフォーム30まで延びる脚部32と、を備えている。
【0038】
図1図4において見ることができる搬入タワー12の搬入パイプ22は、構造体18のポール20とは別個であり、カバー16を通って底壁28の付近まで延びている。これにより、前記搬入パイプ22の自由端部34(図4において前方ポール20aの背後にあるため、本図において点線で示す)は、タンク2の鉛直方向Vにおいて前記底壁28から非ゼロの距離を置いている。貯蔵容積部6内に延びる搬入パイプ22の自由端部34と底壁28との間のこのような距離により、液化ガスが前記自由端部34を通って流れ得ることが理解される。
【0039】
本発明による搬出デバイス14は、図3および図4において見ることができる少なくとも1つの搬出パイプ36と、搬出パイプ36の第1端部40に配置された吸引部材38と、図2において見ることができる搬出パイプ36の第2端部44に配置された駆動アセンブリ42と、を備えている。本発明の1つの特徴によれば、カバー16は、吸引部材38と駆動アセンブリ42との間に配置されている。より詳細には、吸引部材38はタンク2の貯蔵容積部6内に配置される一方で、駆動アセンブリ42はタンク2の貯蔵容積部6の外側に配置される。図4において部分的に見ることができる少なくとも1つの駆動シャフト46が、吸引部材38を駆動アセンブリ42に接続している。より具体的には、駆動シャフト46は、搬出パイプ36の内部容積部の中に延びるとともに、吸引部材38が駆動要素42の影響を受けて作動できるようにしている。
【0040】
本発明によれば、特に図2図4において見ることができるように、搬出デバイス14の搬出パイプ36は、搬入タワー12の構造体18のポール20から離間している。より具体的には、図3において見ることができるように、概略的に示す外周部Sが定められている。外周部Sは、搬入タワー12の構造体18により画定され、タンク2の底壁28上への搬入タワー12の構造体18の軸方向投影、すなわち鉛直方向Vの投影に対応する。より具体的には、構造体18の外周部Sは、構造体18のポール20の各々により画定されている。構造体18により画定される外周部Sは、特に、構造体18のポール20の外縁部を、すなわち、前記構造体18の外側に最も遠く位置するポール20の円形部分により通っている。したがって、本発明よれば、搬出パイプ36は、搬入タワー12の構造体18により画定された外周部Sの外側で延びている。
【0041】
図3から理解されるように、構造体18により画定された外周部Sは、実質的に三角形の形状を有している。ポール20の各々が、構造体18の外周部Sの頂点の1つを形成している。したがって、外周部Sは、上述のように定められた構造体18の2つの後方ポール20bを通る直線によって定められた少なくとも1つのベース48と、前記構造体18の前方ポール20aにより定められ別途前方頂点と称される頂点50と、を備えている。
【0042】
タンク2の前方側壁4aおよび後方側壁4bは、図1で見ることができる船1の進行方向Aに応じて定めると、通常の航行状態下において、前方側壁4aがタンク2における最も前方の側壁であり、後方側壁4bがタンク2における最も後方の側壁4として定められている。したがって、本発明の例によれば、底壁28上に投影された外周部Sのベース48であって、構造体18により画定されたベース48は、タンク2の側壁の1つに対して実質的に平行である。この側壁は、前記構造体18に最も近接して延び、ここでは後方側壁4bである。したがって、図1から理解されるように、搬出パイプ36は、構造体18に対して、後方側壁4bの反対側で延びている。
【0043】
さらに、本発明の一例によれば、搬出パイプ36の中心Cが、構造体18の支持体26の中心Fを中心とする図1において見ることができる半円52の任意の点上に位置している。より詳細には、支持体26の中心Fは、前記構造体18のポール20の各々の中心から等距離、または実質的に等距離に位置する点に対応している。
【0044】
図1において見ることができる本発明の代替例によれば、外周部Sの前方頂点50、すなわち前方ポール20aと搬出パイプ36とは、実質的に三角形の外周部Sの高さ(高さ方向)Iに並んでいる。高さIとは、前方ポール20aにより定められる頂点50を通り、前記外周部Sのベース48を垂直に切断する直線として理解される。
【0045】
本発明によれば、図3において見ることができるように、少なくとも1つの保持デバイス54が、搬出パイプ36と、構造体18のポール20の1つと、の間を延びている。保持デバイス54により、搬出パイプ36を鉛直方向Vにおいて保持することが可能となるとともに、特にタンク2の搬入中ならびに液化ガスの輸送中に搬出パイプ36が保持されることが保証される。本発明の例によれば、複数の保持デバイス54が、構造体18のポール20の1つと搬出パイプ36との間において後者に沿って、すなわち、その第1端部40とカバーとの間を延びている。図示例によれば、少なくとも1つの保持デバイス54が、搬出パイプ36と、構造体18の前方ポール20a、すなわち、構造体18の外周部Sの前方頂点50を形成するポール20と、の間を延びている。
【0046】
液化ガスをタンク2から搬出する際の液化ガスの吸引を向上させるように、タンク2は、その底壁28に形成された、特に図3および図4において見ることができる少なくとも1つのサンプ56を備えている。サンプ56は、タンク2の底壁28において延びる容積部であって、ここでは回転軸Xを中心とした円筒状のサンプ壁56aにより画定された容積部に対応する。特に、サンプ56により、吸引部材38による液化ガスの回収を容易とする小さい容積部を形成することが可能となる。これは、前記液化ガスを、タンク2の貯蔵容積部6に比較して小さいこの容積部に集めることによる。搬出デバイス14の吸引部材38は、サンプ56の容積部内に少なくとも部分的に延びることが理解される。
【0047】
本発明の特徴によれば、特に図4において見ることができるように、タンクの中心X、ここではその回転軸Xに位置する中心Xが、搬入タワー12の前記支持体26の中心Fから、少なくとも2.04mを超える距離Dを置くように、サンプ56は、タンク2の底壁28内に形成されている。この距離は、回転軸Xに対して垂直な直線に沿って、前記回転軸Xと、搬入タワー12の支持体26の中心Fであってその中心軸Fとされる中心Fと、の間であることが理解される。サンプ56と支持体26との間のこのような距離dにより、近傍で延びる波状シール膜8に対する柔軟性が維持されるため、前記波状シール膜8は、少なくともその早期摩耗のリスクを制限する、その変形特性を維持し得ることが理解される。
【0048】
また、上述の搬出パイプの中心Cが、構造体18の支持体26の中心Fを中心とする図1において見ることができる半円52の任意の点上に配置されることにより、半円52は図3において見ることができる距離Dに対応する半径を有し、この半径は2.04m以上であることが理解される。
【0049】
また、搬入出アセンブリ10についてなされた上述の説明から、図1において見ることができる船1の進行方向Aにおいて、通常の航行状態下において、搬出パイプ36は、タンク2において最も前方に離れた前記搬入出アセンブリ10の要素であることが理解される。
【0050】
しかしながら、上述のような本発明は、排他的に説明され図示された手段および構成に限定されるものではなく、すべての同等の手段または構成、およびかかる手段または構成の任意の組合せにも適用される。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】