(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093458
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ポリアミンおよびそれらの組成物から誘導される多重荷電イオン性化合物、および石油およびガス操作における逆エマルジョン破壊剤としての使用
(51)【国際特許分類】
C07C 237/10 20060101AFI20230627BHJP
C10G 33/04 20060101ALI20230627BHJP
B01D 17/05 20060101ALI20230627BHJP
C07C 233/12 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C07C237/10
C10G33/04
B01D17/05 501L
B01D17/05 501K
C07C233/12
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048212
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2021509816の分割
【原出願日】2019-08-29
(31)【優先権主張番号】62/724,398
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ ダワン
(72)【発明者】
【氏名】キース エー.モンク
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】石油およびガス操作において生産流体中の油/炭化水素と水との分離をより効率的かつ効果的にするための方法および対応する逆エマルジョン破壊組成物を提供する。
【解決手段】逆エマルジョン破壊組成物(REB)として、ポリアミン(マイケル供与体)と活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される、新規分類の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を使用する。このREBは、油/固形物と水との分離に効果的である。活性化オレフィン(マイケル受容体)は、以下の式(I)、(II)、(III)のうちの1つによるイオン基を有しており、式中、Xは、NHまたはOである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミン(マイケル供与体)と、以下の式のうちの1つによるイオン性基を有する活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される化合物であって、
【化1】
式中、
Xが、NHまたはOであり、
R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mが、2~4の整数であり、
R3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、
Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、式中、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、
Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、
前記化合物が、2つ以上の正電荷を有する多重荷電カチオン性化合物、または2つ以上の負電荷を有する多重荷電アニオン性化合物である、化合物。
【請求項2】
前記ポリアミンが、NH2-[R10’]n-NH2、(RNH)n-RNH2、H2N-(RNH)n-RNH2、またはH2N-(RN(R’))n-RNH2の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C2~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキル基、RNH2、RNHRNH2、またはRN(RNH2)2であり、nが、2~1,000,000である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ポリアミンが、(i)未修飾ポリアミン、(ii)修飾ポリアミン、(iii)エトキシル化ポリアミン、プロピル化ポリアミン、ポリクアットを有するポリアミン、ポリグリセロールを有するポリアミン、もしくはそれらの組み合わせ、または(iv)直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリエチレンイミンである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記ポリアミンが、(i)一級および二級アミン基のみ、(ii)一級、二級、および三級アミン基のみ、または(iii)一級および三級アミン基のみを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記ポリアミンが、(i)NH2-[R10’]n-NH2(式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C2~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせである)、(ii)(RNH)n-RNH2またはH2N-(RNH)n-RNH2(式中、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせである)、または(iii)H2N-(RN(R’))n-RNH2(式中、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキル基、RNH2、RNHRNH2、またはRN(RNH2)2である)の一般式を有するポリアミンである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
前記活性化オレフィンが、(i)(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)もしくは[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、(ii)(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、もしくは2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MSQ)、または(iii)アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、イタコン酸、マレイン酸、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
前記ポリアミンが、約60~約2,000,000Da、または約60~約5,000Daの平均分子量(Mw)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、(i)単一分子、(ii)少なくとも2つの多重荷電カチオン性化合物もしくは少なくとも2つの多重荷電アニオン性化合物の混合物、(iii)同じポリアミンおよび前記活性化オレフィンから誘導された少なくとも2つの多重荷電カチオン性化合物もしくは少なくとも2つの多重荷電アニオン性化合物の混合物、または(iv)異なるポリアミンおよび同じ活性化オレフィンから誘導された少なくとも2つの多重荷電カチオン性化合物もしくは少なくとも2つの多重荷電アニオン性化合物の混合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、約100~約2,000,000Da、または約100~約5,500Daの平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、(i)少なくとも10、15、20、もしくは30個の正電荷、(ii)少なくとも4、5、6、7、もしくは8個の正電荷、(iii)少なくとも10、15、20、もしくは30個の負電荷、または(iv)少なくとも4、5、6、7、もしくは8個の負電荷を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、
【化2】
のうちの1つまたは複数であり、式中、n=0~1000である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、
【化3】
のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が、ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導され、前記ポリエチレンイミンが、直鎖PEIであり、約5,000の平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導され、前記ポリエチレンイミンが、直鎖PEIであり、約750,000の平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が、ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導され、前記ポリエチレンイミンが、分岐鎖PEIであり、約25,000の平均分子量(Mw)を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が、水溶性である、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
化合物を合成するための方法であって、
化合物を生成するために、カチオン性基を有する活性化オレフィンとポリアミンを接触させることを含み、
前記活性化オレフィンが、以下の式のうちの1つによるものであり、
【化4】
式中、
Xが、NHまたはOであり、
R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mが、2~4の整数であり、
R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、
Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、
Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、
R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、
前記ポリアミンおよび活性化オレフィンが、アザ-マイケル付加反応を受け、前記化合物が、請求項1~16のいずれか一項に記載のものである、方法。
【請求項18】
前記接触ステップが、反応溶媒、反応溶媒およびアルカリ源、反応溶媒および酸、または反応溶媒および触媒の存在下で行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接触ステップが、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記接触ステップが、酸、塩基、アルカリ源、または触媒を含まずに行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む物品、製品、または組成物。
【請求項23】
前記物品、製品、または組成物が、担体をさらに含む、請求項22に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項24】
前記物品、製品、または組成物が、水性の物品、製品、または組成物である、請求項22または23に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項25】
前記担体が、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである、請求項22または23に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項26】
追加の界面活性剤をさらに含み、前記追加の界面活性剤が、非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、界面活性剤、またはそれらの混合物である、請求項22~25のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
【請求項27】
石油およびガス生産システムからの生産流体中の逆エマルジョンを分解する方法であって、
処理された生産流体を生成するために、石油生産システムの生産流体を逆エマルジョン破壊(REB)組成物と接触させることを含み、
前記逆エマルジョン破壊組成物が、請求項1~16のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物またはそれらの塩と、
1つまたは複数の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤と、を含む、方法。
【請求項28】
前記逆エマルジョン破壊組成物が、前記生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記生産流体が、水中油型エマルジョン、水中油中水型エマルジョン、またはその両方を含む、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記生産流体が、(i)原油、精製油、ビチューメン、凝縮物、廃油、留出物、燃料、またはそれらの混合物を含む、(ii)蒸気支援重力排水(SAGD)プロセスからであり、前記生産流体が、ビチューメンおよび水を含む、または(iii)随伴水であり、前記随伴水が、油および汚れが除去された後の前記生産流体の水部分である、請求項27または28に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、3~100個、または3~15個の平均正味電荷を有する、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記REB組成物が、担体をさらに含み、前記担体が、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記担体が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記REB組成物が、追加の逆エマルジョン破壊組成物剤のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記REB組成物が、約30重量%~約70重量%の前記化合物またはその塩を含む、請求項27~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が、前記REB組成物が前記生産流体に適用された後、前記処理された生産流体中に約0.5ppm~約100ppmまたは約5ppm~約60ppmの濃度を有する、請求項27~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が、前記生産流体をエマルジョン破壊剤または追加の逆エマルジョン破壊(REB)剤と接触させることをさらに含み、前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、独立して、同時に、または逐次的に前記生産流体と接触する、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、前記REB組成物中の化合物によって、または別の組成物を介して、前記生産流体と接触する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記追加のREB剤が、
【化5】
モノマーを含む、約20,000~約20,000,000Daの平均分子量を有するターポリマーであり、式中、R
31、R
32、およびR
33が独立して、水素またはアルキルであり、R
34、R
35、R
36、R
37、およびR
38が独立して、アルキルであり、pが、1~6の整数であり、m、n、およびoが、整数である、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、別の高分子カチオン性、アニオン性、非イオン性、無機凝固剤/凝集剤、またはオキシアルキル化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、樹脂エステル、オキシアルキル化ポリアルキルアミン、ポリオール、二官能性もしくは多官能性架橋剤を有する架橋ポリオール、イソシアネート、酸、またはそれらの組み合わせである、請求項37または38に記載の方法。
【請求項41】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、樹枝状ポリアミン、樹枝状ポリアミドアミン、超分岐鎖ポリエチレンイミン、それらとグルコノラクトン、アルキレンオキシド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、および硫酸ジアルキルとの反応生成物、またはそれらの混合物を含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項42】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、ポリエピハロヒドリン、その高分子電解質、トリジチオカルバミン酸、ジチオカルバミン酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、塩化ベンジル四級塩、高分子四級アンモニウムベタイン、金属塩、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、高分子四級アンモニウム塩、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体、またはそれらの混合物を含む、請求項37または38に記載の方法。
【請求項43】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000Daの平均分子量(Mw)を有し、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10~1,000個の平均正味電荷を有する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項44】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000Daの平均分子量を有し、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、3~10個の正味電荷を有する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項45】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000の分子量を有し、前記高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤が、10~1,000個の正味電荷を有する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項46】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000の分子量を有し、前記低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤が、3~10個の正味電荷を有する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項47】
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000の分子量、または低分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤を有し、前記低分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000の分子量を有する、請求項37または38に記載の方法。
【請求項48】
前記逆エマルジョン破壊組成物が、希釈剤をさらに含む、請求項27~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記方法が、濾過、沈降、脱塩、電気化学的技法、遠心分離、浮選、またはそれらの組み合わせを介して、前記処理された生産流体中の水から油および固形物を分離することをさらに含む、請求項27~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩と、1つまたは複数の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤と、を含む、逆エマルジョン破壊組成物。
【請求項51】
前記逆エマルジョン破壊組成物が、前記生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する、請求項50に記載の逆エマルジョン破壊組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2018年8月29日に出願された仮出願第62/724,398号に基づく優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物の分野、それらを作製する方法、およびそれらの使用に関する。本開示はまた、一般に、石油およびガス操作における逆エマルジョン破壊組成物の使用の分野に関する。特に、本開示は、ポリアミン(マイケル供与体)と活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される、新規分類の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物、それらを作製する方法、およびそれらの使用に関する。開示された多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物またはそれらの塩は、各分子内に少なくとも2個または3個の正または負の電荷を有する。本開示はまた、本明細書に開示される1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を含む逆エマルジョン破壊組成物を使用して、石油およびガス操作における生産流体中の水中油型エマルジョンまたは複合エマルジョンを破壊することに関する。本明細書に開示される方法、逆エマルジョン破壊組成物、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、石油およびガス操作において現在使用されている方法、組成物、または化合物よりも水から油を分離するのに効果的である。
【背景技術】
【0003】
水中油型および水中油中水型エマルジョンは、多くの産業システムにおいて生じる場合がある。例えば、乳化油を含有する生産流体、例えば、逆エマルジョンまたは水中油型エマルジョン、および分散固形物を含有する複合エマルジョンは、石油およびガス操作において一般的である。
【0004】
特に、蒸気支援重力排水(SAGD)操作では、蒸気を地層に注入して、ビチューメンまたは重質炭化水素の生産を刺激し、水中油型および水中油型エマルジョンを生成する。これらのエマルジョンは、ビチューメンおよび水を含有し、破壊される必要があり、ビチューメンは、等級を上げる/精製するために送られるが、随伴水(エマルジョンから分離された)は処理され、蒸気発生器用の給水として再利用される。
【0005】
単純な実用的観点から、処理後の生産流体、処理された生産流体がより多くの石油およびガス生産のために再利用されるか、または環境の中に放出される前に、石油およびガス操作において生産流体から油または他の炭化水素化合物を可能な限り多く分離することが非常に望ましい。
【0006】
実際に、水が廃棄または再利用され得る前に、油の販売仕様に準拠し、許容可能な仕様を提供するために、水から油および固形物を分離する必要がある。
【0007】
しかしながら、水中油型エマルジョンまたは複合エマルジョンのための望ましい油/炭化水素と水との分離は、エマルジョンの性質により、物理的プロセス単独では困難な場合がある。そのような状況では、解乳化凝固剤および凝集剤、例えば、逆エマルジョン破壊剤を使用して、エマルジョンを破壊し、油粒子の集塊を早めることができる。無機凝固剤は、単独で、または有機高分子電解質と組み合わせて、石油およびガス操作における生産流体の解乳化に使用されてきた。
【0008】
典型的には、分離システムは、水からの油滴のさらなる分離を促進するために、生産流体を処理するための機器を有するであろう。この機器は、液体サイクロン、浮選タンク、濾過ユニット、および遠心分離機を含む。これらのデバイスの性能は、化学的逆エマルジョン破壊剤を使用して大幅に改善することができる。逆エマルジョン破壊剤は、交換可能に、脱油剤(油の除去による)または水浄化剤(水質の改善による)と呼ばれる。
【0009】
さらに、一次分離システムによって除去されなかったエマルジョン液滴は、2つのメカニズムにより、さらなる合体から大幅に安定化されるであろう。1つ目は、エマルジョン液滴の相互電荷反発である。流体が加工される場合、圧力低下により水のpHが上昇し、その結果、原油中に存在する自然に生じる脂肪酸およびナフテン酸が脱プロトン化される。これらの塩は、エマルジョン表面に負電荷を提供し、相互作用時に合体する他の油滴をはじく。
【0010】
2つ目は、エマルジョン油/水界面に吸着された有機および/または無機固形物であり、他のエマルジョン液滴への暴露から界面を効果的に密閉し、合体メカニズムを妨害する。エマルジョン液滴が十分に小さいと、ブラウン運動は、エマルジョンを無期限に安定に保つ。例えば、高い全溶解固形物(TDS)ブラインでは、脂肪酸/ナフテン酸のカルシウム石鹸が形成され、水界面に固相を作成し、合体をさらに遅くする。
【0011】
効果的な脱油は、より大きな集合体へのエマルジョン液滴の凝集を促進する高分子電解質を使用して達成することができ、これは、次いで、水処理プロセスにおいて物理的分離機器によってより容易に作用される。高分子電解質は、エマルジョン液滴上に発現する反発電荷を中和し、十分なサイズのものであれば、液滴間を橋渡しし、近接により合体が生じ得る凝集群の中にそれらを一緒に集合させることもできる。逆エマルジョン破壊剤は、生産流体中で一般的な高塩分ブライン中で機能するように設計されている。
【0012】
より効果的かつ効率的な油/炭化水素分離プロセスについては、逆エマルジョン破壊剤としての様々な化学物質が発明または調査された。試行された化学物質は、様々なカチオン性ポリマーまたは分子を含む。しかしながら、既存のものでは不十分であるため、より良好な逆エマルジョン破壊剤が依然として必要である。
【0013】
四級アンモニウム化合物は、逆エマルジョン破壊剤(REB)として長年使用されてきた。四級アンモニウム化合物は、独特の特性を含有するため、界面活性剤の重要なサブカテゴリーに属する。四級アンモニウム化合物と他の界面活性剤との間の主な違いは、それらの独特の構造である。四級アンモニウム化合物は、主に2つの部分、疎水基、例えば長アルキル基、および四級アンモニウム塩基からなる。アンモニウムの独特の正電荷は、重要な役割、例えば、界面活性剤と表面との間またはエマルジョン液滴の表面上の静電相互作用を担う。しかしながら、そのような目的に使用される四級アンモニウム化合物は、ビス四級種またはベンジルクロリドで四級化された種である場合が多く、非常に有害であることが知られている。加えて、単一の四級化合物を含有する任意の水を環境に放出するために政府の規制が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、より良好な、かつより安全な逆エマルジョン破壊剤である、異なる四級アンモニウム化合物が引き続き必要である。
【0015】
したがって、改善された油/炭化水素と水との分離特性を有する改善された特性を有する新規の逆エマルジョン破壊剤を開発することが目的である。
【0016】
本開示のさらなる目的は、新規化合物を効率的かつ効果的に作製するための方法を開発することである。
【0017】
本開示のさらなる目的は、物品、製品、および/または組成物において新規化合物を使用することである。
【0018】
本開示の目的はまた、改善された油/炭化水素と水との分離特性を有する新しい逆エマルジョン破壊剤を開発することである。
【0019】
本開示のさらなる目的は、石油およびガス操作において生産流体中の油/炭化水素と水との分離をより効率的かつ効果的にするための方法および対応する逆エマルジョン破壊組成物を開発することである。
【0020】
本開示のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、本明細書に記載の特許請求の範囲と共に、以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本明細書には、新規化合物、開示される化合物を作製する方法、および開示される化合物を含む物品、製品、または組成物が開示される。より具体的には、本明細書には、様々な分子サイズの単一分子内に多数の正または負の電荷を含み、水溶性ポリアミンから誘導される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物が開示される。
【0022】
本明細書には、石油およびガス操作における生産流体中の逆エマルジョン破壊剤として1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を使用する方法も開示される。より具体的には、生産流体中の水中油型または複合エマルジョンを破壊するための開示された方法および組成物は、ポリアミンから誘導される1つ以上の多重荷電カチオン性アニオン性化合物を使用する。
【0023】
本明細書に開示される例示的な多重荷電カチオン性化合物は、石油およびガス操作における生産流体中の逆エマルジョンを破壊するための、従来の単一四級アンモニウム化合物よりも優れた性能を示す。本明細書に開示される例示的な多重荷電カチオン性化合物はまた、それらが水系または他の用途において凝固剤、水浄化剤、腐食抑制剤、粘土安定剤、抗菌剤として使用されるときに改善された性能を示す。したがって、開示された逆エマルジョン破壊組成物または方法は、逆エマルジョンを破壊するだけでなく、他の目的にも役立つという利点を有しており、化学物質の使用、コスト、および操作の複雑さにおける全体的な削減につながる。
【0024】
一態様では、本明細書には、ポリアミン(マイケル供与体)と、以下の式のうちの1つによるイオン性基を有する活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される化合物であって、
【化1】
式中、Xが、NHまたはOであり、R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mは、2~4の整数であり、R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、化合物は、2つ以上の正電荷を有する多重荷電カチオン性化合物、または2つ以上の負電荷を有する多重荷電アニオン性化合物である、化合物が開示される。
【0025】
別の態様では、本明細書には、化合物またはその塩を作製する方法であって、この方法が、ポリアミンを以下の式のうちの1つによるイオン性基を有する活性化オレフィン(マイケル受容体)と接触させることを含み、
【化2】
式中、Xが、NHまたはOであり、R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mは、2~4の整数であり、R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、ポリアミンおよび活性化オレフィンは、アザ-マイケル付加反応を受け、化合物は、2つ以上の正電荷を有する多荷電カチオン性化合物、または2つ以上の負電荷を有する多荷電アニオン性化合物である、方法が開示される。
【0026】
さらに別の態様では、本明細書に開示される1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物が、本明細書に提供される。
【0027】
さらに別の態様では、本明細書には、石油およびガス生産システムからの生産流体中の逆エマルジョンを分解するための組成物であって、逆エマルジョン破壊組成物が、本明細書に開示される化合物および1つ以上の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤のうちの1つ以上を含む、組成物が開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン組成物は、生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する。
【0028】
別の態様では、本明細書には、石油およびガス生産システムからの生産流体中の逆エマルジョンを分解する方法であって、この方法が、石油およびガス生産システムの生産流体を逆エマルジョン破壊剤(REB)組成物と接触させて、処理された生産流体を生成することを含み、逆エマルジョン破壊組成物が、化合物またはそれらの塩および1つ以上の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤のうちの1つ以上を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン組成物は、生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する。
【0029】
上記の概要は、例示的なものにすぎず、決して限定することを意図していない。上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、本技術のさらなる態様、実施形態、および特徴は、本技術の例示的な実施形態を示し、かつ記載する以下の図面および詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および詳細な説明も、決して限定するものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】直鎖ポリアミンと、カチオン性基を含有する活性化オレフィン(α、β-不飽和カルボニル化合物)との間のアザ-マイケル付加反応により、多重荷電カチオン性化合物を生産するための例示的な一般反応スキームを示す。
【
図2】分岐鎖ポリアミンと、カチオン性基を含有する活性化オレフィン(α、β-不飽和カルボニル化合物)との間のアザ-マイケル付加反応により、多重荷電カチオン性化合物を生産するための例示的な一般反応スキームを示す。
【0031】
本開示の様々な実施形態が図面を参照して詳細に説明されることになり、同様の参照番号は、いくつかの図を通して、同様の構成要素を表わしている。様々な実施形態への言及は、本開示の範囲を限定しない。本明細書において提示される図は、本開示による様々な実施形態に対する限定ではなく、本開示の例示的な説明のために提示される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の発明を実施するための形態では、本明細書の一部を形成する添付図面、スキーム、および構造を参照することができる。図面では、文脈上別段の指示がない限り、典型的には、同様の記号は、同様の構成要素と認識する。発明を実施するための形態、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定することを意味するものではない。本明細書に提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。
【0033】
様々な実施形態が以下に記載される。特定の実施形態は、網羅的な記載として、または本明細書で論じられるより広い態様への限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態と併せて記載される1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、任意の他の実施形態(複数可)で実践することができる。
【0034】
本明細書には、石油およびガス操作からの生産流体中の逆エマルジョンを分解するための方法および組成物が開示される。より具体的には、1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、石油およびガス操作における生産流体中の逆エマルジョンまたは複合エマルジョンを分解するための逆エマルジョン破壊組成物に使用される。これらの多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、ポリアミンと活性化オレフィンとの間のアザ-マイケル付加反応を介してポリアミンから誘導される。
【0035】
本開示の実施形態は、任意の特定の組成物および方法に限定されず、これは変えることができ、当業者によって理解される。本明細書に使用される全ての専門用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その内容が別途明確に示さない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、そのSI認証形態で表示され得る。
【0036】
本明細書内に列挙された数値範囲は、定義された範囲内の数を含む。本開示全体を通して、本開示の様々な態様が、範囲形式で提示されている。範囲形式での記載は、単に便宜および簡潔さのためであり、本開示の範囲への変更できない制限として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内のすべての可能性のある部分範囲ならびに個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0037】
本開示をより容易に理解し得るように、ある特定の用語をまず定義する。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示の実施形態に関連する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、必要以上の実験を伴うことなく本開示の実施形態の実践に使用されることができ、好ましい材料および方法が、本明細書に記載されている。本開示の実施形態についての記載および特許請求において、以下に記載の定義に従って、以下の専門用語が使用されるであろう。
【0038】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液の作製に使用される典型的な測定および液体取扱い手順、これらの手順における誤差、組成物の作製または方法の実行に使用される成分の製造、供給源、または純度の違いなどによって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に対する新規の平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「置換された」とは、その中に含有される水素原子への1つ以上の結合が非水素原子または非炭素原子への結合によって置き換えられている以下に定義される有機基(例えばアルキル基)を指す。置換基としてはまた、ヘテロ原子への二重結合または三重結合を含む1つ以上の結合によって、1つ以上の炭素原子(複数可)または水素原子(複数可)が置き換えられている基が挙げられる。したがって、置換基は、別段特定されない限り、1つ以上の置換基で置換されている。置換基は、1、2、3、4、5、または6個の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
置換環の基としては、水素原子への結合が炭素原子への結合で置き換えられている環および環系が挙げられる。したがって、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、およびヘテロアリール基もまた、置換または非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基で置換されてもよく、本明細書で定義されている。
【0041】
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」または「アルキル基」は、1個以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指し、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなど)、シクロアルキル基(または「シクロアルキル」もしくは「脂環式」もしくは「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなど)、ならびにアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む。
【0042】
別段に特定されない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用されるとき、「置換アルキル」という用語は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素の1つ以上の水素を置換する置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基としては、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホネート(phosphonato)、ホスフィネート(phosphinato)、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基が挙げられ得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、置換アルキルには、複素環式基が含まれ得る。本明細書で使用される場合、「複素環式基」という用語は、環中の1個以上の炭素原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似の閉環構造を含む。複素環式基は、飽和でも不飽和でもよい。例示的な複素環式基としては、これらに限定されるものではないが、アジリジン、エチレンオキシド(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられる。
【0044】
アルケニル基またはアルケンは、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの二重結合を含む直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルケニル基は、置換または非置換であり得る。アルケニル基の二重結合の場合、二重結合の配置は、トランスまたはシス配置であり得る。アルケニル基はアルキル基と同様に置換されていてもよい。
【0045】
アルケニル基は、2~約30個の炭素原子を有し、さらに少なくとも1つの三重結合を含む、直鎖、分岐鎖、または環状アルキル基である。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2~約30個の炭素原子、または典型的には2~10個の炭素原子を有する。アルキニル基は、置換または非置換であり得る。アルキニル基は、アルキルまたはアルケニル基と同様に置換されていてもよい。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」、「シクロアルキレン」、「アルキニリド」、および「アルケニレン」は、単独でまたは別の置換基の一部として、それぞれ-CH2CH2CH2-によって例示されるような、アルキル、シクロアルキル、またはアルケニル基から誘導される二価ラジカルを指す。アルキレン、シクロアルキレン、アルキニレン、およびアルケニレン基については、連結基の配向は暗示されない。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「エステル」は、-R30COOR31基を指す。R30は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R31は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「アミン」(または「アミノ」)は、-R32NR33R34基を指す。R32は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R33およびR34は独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「アミン」はまた、独立した化合物を指す。アミンが化合物であるとき、R32’NR33’R34’基の式によって表すことができ、式中、R32’、R33’およびR34は独立して、水素、または本明細書に定義されているように、置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、もしくはヘテロシクリル基である。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「アルコール」は、-R35OH基を指す。R35は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「カルボン酸」は、-R36COOH基を指す。R36は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。
【0052】
本明細書で使用される場合、用語「エーテル」は、-R37OR38基を指す。R37は、存在しないか、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アラルキレン、ヘテロシクリルアルキレン、またはヘテロシクリレン基である。R38は、本明細書に定義されているように、置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロシクリル基である。
【0053】
本明細書で使用される「溶媒」という用語は、任意の無機または有機溶媒を指す。溶媒は、反応溶媒または担体溶媒として、開示される方法または組成物に有用である。好適な溶媒としては、低級アルカノール、低級アルキルエーテル、グリコール、アリールグリコールエーテル、および低級アルキルグリコールエーテルなどの酸素化溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。他の溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールならびにブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリコールエーテル、混合エチレン-プロピレングリコールエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、およびプロピレングリコールフェニルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。水も溶媒である。本明細書で使用される溶媒は、単一の溶媒、または多くの異なる溶媒の混合物であり得る。
【0054】
グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert-ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルなど、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
酸
本明細書に開示される組成物は、酸を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、酸を含まない。
【0056】
一般に、酸は、本開示で使用される場合、有機酸および無機酸の両方を含む。有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などのジカルボン酸も挙げられる。これらの有機酸の組み合わせも使用され得る。無機酸としては、リン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸などの鉱酸が挙げられるが、これらに限定されない。無機酸は、単独で、他の無機酸(複数可)と組み合わせて、または1つ以上の有機酸と組み合わせて使用され得る。酸発生剤は、例えばフッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、ケイフッ化ナトリウムなどの発生剤を含み、好適な酸を形成するために使用され得る。
【0057】
本明細書に開示されるこの方法または組成物において特に好適な酸の例にとしては、無機酸および有機酸が挙げられる。例示的な無機酸としては、リン酸、ホスホン酸、硫酸、スルファミン酸、メチルスルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、および硝酸が挙げられる。例示的な有機酸としては、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、クエン酸、乳酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、グルコン酸、イタコン酸、トリクロロ酢酸、尿素塩酸塩、および安息香酸が挙げられる。シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、およびテレフタル酸などの有機ジカルボン酸を使用することもできる。
【0058】
過カルボン酸およびペルオキシカルボン酸組成物
ペルオキシカルボン酸(すなわち、過酸)またはペルオキシカルボン酸組成物は、本明細書に開示される物品、製品、または組成物に含まれ得る。本明細書において使用される場合、「過酸」という用語は、「過カルボン酸」、「ペルオキシカルボン酸」、または「ペルオキシ酸」とも称され得る。スルホペルオキシカルボン酸、スルホン化過酸、およびスルホン化ペルオキシカルボン酸も、本明細書において使用される「ペルオキシカルボン酸」および「過酸」という用語内に含まれる。当業者が理解するように、過酸とは、カルボン酸中のヒドロキシル基の水素がヒドロキシ基で置き換えられた酸を指す。酸化過酸は、本明細書ではペルオキシカルボン酸と呼ばれる場合もある。
【0059】
過酸は、式R--(COOOH)nの任意の化合物を含み、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキン、アシル、脂環式基、アリール、ヘテロアリール、または複素環式基であり、nは、1、2、または3であり、親酸の前にペルオキシを付けることによって名付けられている。好ましくは、Rは、水素、アルキル、またはアルケニルを含む。「アルキル」、「アルケニル」、「アルキン」、「アシル」、「脂環式基」、「アリール」、「ヘテロアリール」、および「複素環式基」という用語は、本明細書で定義されるとおりである。
【0060】
ペルオキシカルボン酸組成物は、本明細書で使用される場合、1つ以上の過酸、それらの対応する酸、および過酸化水素または他の酸化剤を含む任意の組成物を指す。ペルオキシカルボン酸組成物はまた、当業者が既知のように、安定剤、蛍光活性トレーサーもしくは化合物、または他の成分も含むことができる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「混合された」または「混合物」という用語は、「過カルボン酸組成物」、「過カルボン酸」、「ペルオキシカルボン酸組成物」、または「ペルオキシカルボン酸」に関して使用される場合、2つ以上の過カルボン酸またはペルオキシカルボン酸を含む組成物または混合物を指す。過酢酸および過オクタン酸などの過酸が使用されてもよい。これらの酸の任意の組み合わせも使用され得る。
【0062】
しかしながら、いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、ペルオキシカルボン酸またはペルオキシカルボン酸組成物を含まない。
【0063】
アルカリ源または塩基
本明細書に開示される組成物は、塩基またはアルカリ源としてアルカリ源を含み得る。本明細書に開示される作製方法は、アルカリ源または塩基を触媒として使用することを含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物または方法は、塩基またはアルカリ源を含まない。
【0064】
次に、アルカリ源は、1つ以上の塩基またはアルカリ化合物を含む。一般に、有効量のアルカリ源は、組成物または少なくとも約8のpHを有する組成物の使用溶液を提供する量として見なされるべきである。使用溶液が約8~約10のpHを有するとき、それは弱アルカリ性と見なされ、pHが約12よりも大きいとき、溶液は苛性と見なすことができる。
【0065】
アルカリ源は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、またはそれらの混合物を含むことができる。使用可能な好適な金属炭酸塩は、例えば、炭酸、重炭酸、セスキ炭酸のナトリウムもしくはカリウム、またはそれらの混合物を含む。使用できる好適なアルカリ金属水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、または水酸化カリウムを含む。有用なアルカリ金属ケイ酸塩の例には、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム(2.4~5:1のM2O:SiO2比を有し、Mはアルカリ金属を表す)またはメタケイ酸塩が含まれる。メタケイ酸塩は、水酸化物およびケイ酸塩を混合することによって作製され得る。アルカリ源はまた、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムなどの金属ホウ酸塩も含み得る。
【0066】
アルカリ源はまた、エタノールアミン、尿素硫酸塩、アミン、アミン塩、および四級アンモニウムも含み得る。最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および第四級アンモニウム化合物は、以下のように概略的に描かれ、
【化3】
式中、Rは、長アルキル鎖を表し、R’、R’’、およびR’’’は、長アルキル鎖、またはより小さいアルキル基もしくはアリール基、あるいは水素のいずれかであってもよく、Xは、アニオンを表す。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物は、アルカリ源または塩基を含まない。
【0068】
ポリアミン
ポリアミンは、NH2-[R10’]n-NH2、(RNH)n-RNH2、H2N-(RNH)n-RNH2、またはH2N-(RN(R’))n-RNH2の一般式を有することができるが、これらに限定され(but is limited to)、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C2~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキル基、RNH2、RNHRNH2、またはRN(RNH2)2であり、nは、2~1,000,000であり得る。ポリアミン中のモノマー、例えば、RまたはR’基は、同じであるか、または異なっていてもよい。本開示では、ポリアミンは、nが1~9であるときの小分子ポリアミン、およびnが10~1,000,000であるときの高分子ポリアミンの両方を指す。
【0069】
小分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、およびトリス(2-アミノエチル)アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
他の可能なポリアミンとしては、HuntsmanによるJEFFAMINE(登録商標)モノアミン、ジアミン、およびトリアミンが挙げられる。これらの非常に多機能な生成物は、通常、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、または両方のオキシドの混合物に基づくポリエーテル骨格の末端に結合した一級アミノ基を含有する。JEFFAMINE(登録商標)アミンは、コアポリエーテル骨格構造に基づくモノアミン、ジアミン、およびトリアミンからなるポリエーテルアミン族を含む。JEFFAMINE(登録商標)アミンはまた、高転化率およびポリテトラメチレングリコール(PTMEG)系のポリエーテルアミンを含む。これらのJEFFAMINE(登録商標)アミンは、約130~約4,000の平均分子量(Mw)を有する。
【0071】
本開示で使用されるポリアミンは、ポリアミン誘導体または修飾ポリアミンであり得、ポリアミン中のNHプロトンのうちの1つ以上が、すべてではないが、非置換または置換基によって置換される。例えば、窒素原子に接続された1つ以上のアルキル基を含有するアルキルポリアミンを使用して、本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を生産することができる。これらのPEI誘導体では、一級NH2または二級NHプロトンのうちのいくつかのみが他の非プロトン基に置き換えられ、残りのNH2またはNHプロトンは、アザ-マイケル付加反応によって、親水性(イオン性)基を含有する活性化オレフィンなどのマイケル受容体と依然として反応することができる。
【0072】
高分子ポリアミンの1つの分類は、ポリエチレンイミン(PEI)およびその誘導体を含む。ポリエチレンイミン(PEI)またはポリアジリジンは、CH2CH2NHの繰り返し単位を有するポリマーであり、NH2(CH2CH2NH)n-CH2CH2NH2の一般の配合物を有し、式中、nは、2~105であり得る。PEI中の繰り返しモノマーは、43.07の分子量および1:2の窒素と炭素との比を有する。
【0073】
PEIおよびそれらの誘導体は、直鎖、分岐鎖、または樹枝状であり得る。直鎖ポリエチレンイミンは、一級、二級、および三級アミノ基を含有する分岐鎖PEIとは対照的に、すべての二級アミンを含有する。完全に分岐した樹枝状の形態も存在し、一級および三級アミノ基を含有する。未修飾の直鎖、分岐鎖、および樹枝状のPEIについての図を下記に示す。
【化4】
【0074】
PEI誘導体は通常、窒素原子上のプロトン(複数可)を異なる基で置換することによって得られる。1つのそのようなPEI誘導体は、エトキシル化およびプロポキシル化PEIであり、ポリエチレンイミンは、エチレンオキシド(EO)および/またはプロピレンオキシド(PO)側鎖で誘導体化される。PEIのエトキシル化は、PEIの溶解度を高めることができる。
【0075】
PEIは、工業規模で生産される。様々な市販のポリエチレンイミンは、例えば、Lupasol(登録商標)(BASF)の商品名で販売されている、例えばLupasol(登録商標)FG、Lupasol(登録商標)G、Lupasol(登録商標)PR8515、Lupasol(登録商標)WF、Lupasol(登録商標)G20/35/100、Lupasol(登録商標)HF、Lupasol(登録商標)P、Lupasol(登録商標)PS、Lupasol(登録商標)PO100、Lupasol(登録商標)PN50/60、およびLupasol(登録商標)SKが挙げられるものを含んで入手可能である。これらのPEIはそれぞれ、約800、約1,300、約2,000、約5,000、約25,000、約1,300/2,000/5,000、約25,000、約750,000、約750,000、約1,000,000、および約2,000,000の平均分子量(Mw)を有する。
【0076】
ポリマーの分子量について一般的に使用される2つの平均は、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)である。多分散指数(D)は、ポリマーの分子量分布を表す。Mn=(ΣniMi)/Σni、Mw=(ΣniMi
2)/ΣniMi、およびD=Mw/Mn、式中、指数番号iは、試料中に存在する異なる分子量の数を表し、niは、モル数とMiのモル質量との合計である。ポリマーについては、MnおよびMwは通常異なる。例えば、PEI化合物は、GPCで約10,000のMnおよびLSで約25,000のMwを有することができる。
【0077】
光散乱(LS)は、ポリマー試料のMwを測定するために使用することができる。試料または生成物の分子量を測定する別の簡単な方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)である。GPCは、ポリマー内の分子をサイズによって分離し、材料の分子量分布を提供する分析技法である。時にはGPCはまた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られている。この技法は、それらのMnおよびMwの両方についてのポリマーの分析のために使用されることが多い。
【0078】
これらの市販および例示的なポリエチレンイミンは水溶性であり、水溶液またはメトキシプロパノール中に提供される無水ポリエチレンイミンおよび/または修飾ポリエチレンイミンとして入手可能である(Lupasol(登録商標)PO100については)。
【0079】
本開示において有用な好適なポリエチレンイミンは、一級、二級、および三級アミン置換基の混合物、または異なる平均分子量の混合物を含有し得る。一級、二級、および三級アミン置換基の混合物は、例えば、鎖セグメントに沿って3~3.5の窒素原子ごとに分岐する約1:1:1~約1:2:1の比率で含む任意の比率であり得る。代替的に、好適なポリエチレンイミン化合物は、主に、一級、二級、または三級アミン置換基のうちの1つであり得る。
【0080】
本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を作製するために使用することができるポリアミンは、様々なその平均分子量を有することができる。それらの特徴的な平均分子量を有する異なる多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、異なる出発小分子ポリアミン、高分子PEI、またはそれらの混合物を選択することによって生産することができる。ポリアミンまたはPEIのサイズ、ならびにイオン性基を含有する活性化オレフィンによる修飾の程度を制御することにより、同様の平均分子量および多数のカチオン性電荷または多数のアニオン性電荷を有する多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物を生産することができる。この特徴のために、未修飾のポリアミンまたはPEIを使用するより幅広い用途向けに、異なる多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を生産および使用することができる。
【0081】
具体的には、本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物を作製するために使用することができるポリアミンは、約60~200、約100~400、約100~600、約600~5,000、約600~800、約800~2,000、約800~5,000、約100~2,000,000、約100~25,000、約600~25,000、約800~25,000、約600~750,000、約800~750,000、約25,000~750,000、約750,000~2,000,000、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約3,000、約5,000、約8,000、約10,000、約15,000、約20,000、約50,000、約100,000、約250,000、約500,000、約1,000,000、約2,000,000、またはそれらの間の任意の値の平均分子量(Mw)を有する。
【0082】
ポリアミンと活性化オレフィンとの間のアザ-マイケル付加反応
本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、ポリアミンと、親水性イオン性基を含有する活性化オレフィンとの間のアザ-マイケル付加反応から誘導される。
【0083】
脂肪族アミン基は、カルボニル、シアノ、またはニトロ基などの電子求引基の近くにある不飽和炭化水素部分(例えば、炭素-炭素二重結合)と接触すると、アザ-マイケル付加反応を起こし得る。具体的には、マイケル付加は、求核剤と活性化オレフィンおよびアルキン官能性との間の反応であり、求核剤は、カルボニル基などの電子求引基および共鳴安定化活性化基に隣接している炭素-炭素多重結合にわたって付加する。マイケル付加求核剤は、「マイケル供与体」として知られ、活性化求電子オレフィンは、「マイケル受容体」として知られ、2つの構成成分の反応生成物は、「マイケル付加体」として知られている。マイケル供与体の例としては、アミン、チオール、ホスフィン、カルバニオン、およびアルコキシドが挙げられるが、これらに限定されない。マイケル受容体の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸アルキル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、シアノアクリレートおよびビニルスルホン、ビニルケトン、ニトロエチレン、α,β-不飽和アルデヒド、ホスホン酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アゾ化合物、ベータ-ケトアセチレン、およびアセチレンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書で使用される場合、「活性化オレフィン」は、二重結合炭素のうちの少なくとも1つが共役電子求引基を有する置換アルケンを指す。活性化オレフィンの例としては、α、β-不飽和カルボニル化合物(CH2=CHCO-NH-CH3、アルキル-CH=CH-CO-アルキル、CH2=CH2C(O)-O-CH3)、CH2=CH-COOH、CH2=CH(CH3)-COOH、CH2=CH-SO3Hなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
アザ-マイケル付加反応を使用して、200℃を超える高温および標準の大気圧よりも高い高圧を使用することなく、時には約24時間以内に、高収率で(98%を超える)開示された化合物を合成することができることが見出された。
【0086】
アザ-マイケル付加反応は、強酸または強塩基によって触媒され得る。場合によっては、一部のイオン液体は、反応媒体および触媒の両方として機能することができる。開示される化合物を合成するためのアザ-マイケル付加反応に好ましい触媒は、塩基である。例示的な塩基触媒は、水酸化物およびアミンであり得る。開示される化合物を合成するための反応は、ポリアミン基を通常含むポリアミンを使用するため、一級ポリアミン基自体が、反応のための触媒として機能することができる。かかる実施形態では、追加の触媒は必要ではないか、または追加の触媒は任意である。他の好ましい触媒としては、アミジンおよびグアニジン塩基が挙げられる。
【0087】
反応のために溶媒および/または希釈剤の使用は任意である。用いられる場合、例えば、水、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF))、芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン)、アルコール(例えば、n-ブタノール)、エステル(例えば、3-エトキシプロピオン酸エチル)などの様々な非酸性溶媒が好適である。合成プロセスが溶媒に比較的反応しにくいため、様々な溶媒が反応に使用され得る。溶媒(または希釈剤)が用いられるとき、充填レベルは、約10重量%~最大約80重量%以上の範囲であり得る。溶媒充填レベルは、約0重量%、約1重量%~約10重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約50重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約80重量%、約1重量%~約20重量%、約20重量%~約40重量%、約40重量%~約60重量%、約60重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、少なくとも約5重量%、約15重量%、約25重量%、約35重量%、約45重量%、約55重量%、約65重量%、約75重量%、またはそれらの間の任意の値の最終反応混合物であり得る。
【0088】
一般に、反応は、様々な温度にわたる温度で実施され得る。反応温度は、約0℃~約150℃、より好ましくは約50℃~約80℃の範囲であり得る。ポリアミンと活性化オレフィンとを接触させるための温度は、約10℃~約140℃、約20℃~約130℃、約30℃~約120℃、約40℃~約110℃、約50℃~約100℃、約60℃~約90℃、約70℃~約80℃、約0℃~約20℃、約20℃~約40℃、約40℃~約60℃、約60℃~約80℃、約80℃~約100℃、約100℃~約120℃、約120℃~約150℃、約5℃、約25℃、約45℃、約65℃、約85℃、約105℃、約125℃、約145℃、またはそれらの間の任意の値であり得る。反応温度は、反応の開始から反応の終了までとほぼ同じであり得るか、または反応が続いている間に、ある温度から別の温度に変更され得る。
【0089】
本明細書に開示される化合物の合成のための反応時間は、反応温度、触媒の有効性および量、希釈剤(溶媒)の有無などのかかる要因に応じて大きく異なり得る。好ましい反応時間は、約0.5時間~約48時間、約1時間~約40時間、約2時間~約38時間、約4時間~約36時間、6時間~約34時間、約8時間~約32時間、約10時間~約30時間、約12時間~約28時間、約14時間~26時間、約16時間~24時間、約18時間~20時間、約1時間~8時間、8時間~16時間、8時間~約24時間、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約14時間、約16時間、約18時間、約24時間、約30時間、約36時間、またはそれらの間の任意の値であり得る。
【0090】
本明細書に開示される化合物の合成のための反応は、1モルのポリアミンおよび2モル以上の活性化オレフィンが上記の温度で十分な時間一緒に混合されるときに完了することができる。
【0091】
この反応の進行は、典型的には、ESI-MSおよび/またはNMR分光法によってモノマーの消費について監視され得る。反応生成物は、HPLCまたは当業者に既知の他の方法によって純化または分離することができる。完了まで進行した反応については、形成された生成物は、溶媒の除去によって、または反応媒体の反対であった無極性溶媒中での沈殿によって分離することができる。水中での反応については、形成された生成物は、水性反応混合物から沈殿する。より高い圧力により、反応を加速させることができる。いくつかの実施形態では、反応が室温で実施されると、約16時間以内のいくつかの実施形態では、反応は、98%を超える生成収率を有することができる。
【0092】
逆エマルジョン破壊組成物中の他の逆エマルジョン破壊組成物剤
本明細書に記載のポリアミンから誘導される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物に加えて、本開示における逆エマルジョン破壊組成物は、1つ以上の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤を含む。
【0093】
開示された逆エマルジョン破壊組成物中の追加の逆エマルジョン破壊組成物としては、酸、担体、分散剤、殺生物剤、無機塩、有機塩、乳化剤、追加の逆エマルジョン破壊剤、腐食抑制剤、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調節剤、発泡剤、消泡剤、破砕用プロパント、ガラス微粒子、砂、破砕プロパント/砂制御剤、H2S、CO2、および/もしくはO2のための捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、ならびに摩擦低減剤、塩、またはそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0094】
開示されるREB組成物中の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤としてはまた、有機硫黄化合物、抗乳化剤、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、水浄化剤、エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0095】
さらに、追加の逆エマルジョン破壊組成物剤は、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、潤滑剤、緩衝剤、洗浄剤、すすぎ助剤、防腐剤、結合剤、増粘剤または他の粘度調整剤、加工助剤、担体、水調整剤、または泡発生剤、閾値剤もしくは系、美観改良剤(例えば、染料、着臭剤、香料)、もしくは逆エマルジョン破壊剤との配合に好適な他の添加剤、またはそれらの混合物であり得る。
【0096】
REB組成物中の追加の逆エマルジョン破壊組成物は、製造されている特定の逆エマルジョン破壊組成物によって変わり、当業者としてその意図された使用が理解されるであろう。
【0097】
代替的に、逆エマルジョン破壊組成物は、追加の逆エマルジョン破壊組成物剤のうちの1つ以上を含有しないか、または含まない。
【0098】
1つ以上の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤が逆エマルジョンまたは複合エマルジョンを分解するために使用されるとき、それらは、同じ逆エマルジョン破壊組成物中で本明細書に記載されるように、ポリアミンから誘導される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物と一緒に配合することができる。代替的に、いくつかまたは全ての追加の逆エマルジョン破壊組成物剤は、1つ以上の異なる配合物に配合され、生産流体に供給され得る。言い換えれば、追加の逆エマルジョン破壊組成物剤は、独立して、同時に、または逐次的に、生産流体の中に提供することができる。
【0099】
殺生物剤および担体
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、殺生物剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、殺生物剤および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法または逆エマルジョン破壊組成物は、本明細書に開示される1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物および担体からなり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、本明細書に開示される1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物、担体、および殺生物剤からなる。
【0100】
使用に好適な殺生物剤は、酸化または非酸化殺生物剤であり得る。酸化殺生物剤としては、漂白剤、塩素、臭素、二酸化塩素、ペルオキシカルボン酸、ペルオキシカルボン酸、および塩素、臭素、またはペルオキシドを放出することができる材料が挙げられるが、これらに限定されない。非酸化殺生物剤としては、グルタルアルデヒド、イソチアゾリン、2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3ジオール、1-ブロモ-1-(ブロモメチル)-1,3-プロパンジカルボニトリル、テトラクロロイソフタロニトリル、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジメチルジアルキルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ポリ(オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド、メチレンビスチオシアネート、2-デシルチオエタンアミン、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、ジチオカルバメート、シアノジチオイミドカルボネート、2-メチル-5-ニトロイミダゾール-1-エタノール、2-(2-ブロモ-2-ニトロエテニル)フラン、β-ブロモ-β-ニトロスチレン、β-ニトロスチレン、β-ニトロビニルフラン、2-ブロモ-2-ブロモメチルグルタロニトリル、ビス(トリクロロメチル)スルホン、S-(2-ヒドロキシプロピル)チオメタンスルホネート、テトラヒドロ-3,5-ジメチル-2H-1,3,5-ヒドラジン-2-チオン、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、2-ブロモ-4′-ヒドロキシアセトフェノン、1,4-ビス(ブロモアセトキシ)-2-ブテン、ビス(トリブチルスズ)オキシド、2-(tert-ブチルアミノ)-4-クロロ-6-(エチルアミノ)-s-トリアジン、ドデシルグアニジンアセテート、ドデシルグアニジンヒドロクロリド、ココアルキルジメチルアミンオキシド、n-ココアルキルトリメチレンジアミン、テトラ-アルキルホスホニウムクロリド、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4,5-ジクロロ-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、および2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
好適な非酸化殺生物剤としてはまた、例えば、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、およびアクロレイン)、アミン型化合物(例えば、四級アミン化合物およびココジアミン)、ハロゲン化化合物(例えば、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-3-ジオール(Bronopol)および2-2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド(DBNPA))、硫黄化合物(例えば、イソチアゾロン、カルバメート、およびメトロニダゾール)、ならびに四級ホスホニウム塩(例えば、テトラキス(ヒドロキシメチル)-ホスホニウムサルフェート(THPS))が挙げられる。
【0102】
好適な酸化殺生物剤としては、例えば、次亜塩素酸ナトリウム、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸リチウム、塩素化ヒダントイン、安定化次亜臭素酸ナトリウム、活性化臭化ナトリウム、臭素化ヒダントイン、二酸化塩素、オゾン、ペルオキシカルボン、ペルオキシカルボン組成物、および過酸化物が挙げられる。
【0103】
組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の殺生物剤を含むことができる。
【0104】
開示される逆エマルジョン破壊組成物中の担体は、水、有機溶媒、または水と有機溶媒との組み合わせであり得る。有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの組み合わせであり得る。好適な有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
組成物は、組成物の総重量に基づいて約重1量%~約80重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約45重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約25重量%、または約10重量%~約35重量%の1つ以上の担体を含むことができる。
【0106】
腐食抑制剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、腐食抑制剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、腐食抑制剤および担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、腐食抑制剤、殺生物剤、および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、本明細書に開示される1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物、1つ以上の腐食抑制剤、および担体からなり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、本明細書に開示される1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物、担体、腐食抑制剤、および殺生物剤からなる。
【0107】
逆エマルジョン破壊組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、または0.1~約5重量%の1つ以上の腐食抑制剤を含むことができる。本開示の組成物は、組成物の総重量に基づいて約0重量%~約10重量%の1つ以上の腐食抑制剤を含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%、約5.0重量%、約5.5重量%、約6.0重量%、約6.5重量%、約7.0重量%、約7.5重量%、約8.0重量%、約8.5重量%、約9.0重量%、約9.5重量%、約10.0重量%、約10.5重量%、約11.0重量%、約11.5重量%、約12.0重量%、約12.5重量%、約13.0重量%、約13.5重量%、約14.0重量%、約14.5重量%、または約15.0重量%の1つ以上の腐食抑制剤を含むことができる。各生産流体はそれ自体の腐食抑制剤を使用するための要件を有することができ、組成物中の1つ以上の腐食抑制剤の重量パーセントはそれが使用される生産流体によって変えることができる。
【0108】
生産流体と接触する金属の腐食を低減するためには、腐食抑制剤が必要である。多金属保護のための腐食抑制剤は、典型的には、限定されないが、ベンゾトリアゾール、ハロゲン化トリアゾール、およびニトロ置換アゾールなどのトリアゾールである。
【0109】
1つ以上の腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物、四級アンモニウム化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0110】
1つ以上の腐食抑制剤構成成分は、イミダゾリンであり得る。イミダゾリンは、例えば、エチレンジアミン(EDA)などのジアミン、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)およびトール油脂肪酸(TOFA)などの長鎖脂肪酸から誘導されるイミダゾリンであり得る。イミダゾリンは、式(1A)のイミダゾリンまたはイミダゾリン誘導体であり得る。代表的なイミダゾリン誘導体としては、式(2A)のイミダゾリニウム化合物または式(3A)のビス四級化化合物が挙げられる。
【0111】
1つ以上の腐食抑制剤は、式(1A)のイミダゾリンを含むことができ、
【化5】
式中、R
10aは、C
1~C
20アルキル基またはC
1~C
20アルコキシアルキル基であり、R
11aは、水素、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ヒドロキシアルキル、またはC
1~C
6アリールアルキルであり、R
12aおよびR
13aは、独立して、水素またはC
1~C
6アルキル基である。好ましくは、イミダゾリンは、トール油脂肪酸(TOFA)に典型的なアルキル混合物であるR
10aを含み、R
11a、R
12a、およびR
13aは、各々水素である。
【0112】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(2A)のイミダゾリニウム化合物であり得、
【化6】
式中、R
10aは、C
1~C
20アルキル基またはC
1~C
20アルコキシアルキル基であり、R
11aおよびR
14aは、独立して、水素、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ヒドロキシアルキル、またはC
1~C
6アリールアルキルであり、R
12aおよびR
13aは、独立して、水素またはC
1~C
6アルキル基であり、X
-は、ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物など)、炭酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、または有機カルボン酸(酢酸塩など)のアニオンである。好ましくは、イミダゾリニウム化合物は、1-ベンジル-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-トール油-2-イミダゾリニウムクロリドを含む。
【0113】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化化合物であり得、
【化7】
式中、R
1aおよびR
2aは、各々独立して、1~約29個の炭素原子を有する、非置換の分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキルもしくはアルケニル;1~約29個の炭素原子を有する、部分的もしくは完全に酸素化、硫化、および/もしくはリン酸化された分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキルもしくはアルケニル;またはそれらの組み合わせであり、R
3aおよびR
4aはそれぞれ独立して、1~約29個の炭素原子を有する、非置換の分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキレンもしくはアルケニレン;1~約29個の炭素原子を有する、部分的もしくは完全に酸素化、硫化、および/もしくはリン酸化された分岐鎖、鎖状、もしくは環式アルキレンもしくはアルケニレン;またはそれらの組み合わせであり、L
1およびL
2はそれぞれ独立して、存在しないか、H、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-COOR
5a、-CONH
2、-CONHR
5a、または--CON(R
5a)
2であり、R
5aはそれぞれ独立して、1~約10個の炭素原子を有する分岐鎖または非分岐鎖アルキル、アリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロアリール基であり、nは、0または1であり、nが0のとき、L
2は、存在しないか、またはHであり、xは、1~約10であり、yは、1~約5である。好ましくは、R
1aおよびR
2aは、各々独立して、C
6~C
22アルキル、C
8~C
20アルキル、C
12~C
18アルキル、C
16~C
18アルキル、もしくはそれらの組み合わせであり、R
3aおよびR
4aは、C
1~C
10アルキレン、C
2~C
8アルキレン、C
2~C
6アルキレン、またはC
2~C
3アルキレンであり、nは、0もしくは1であり、xは、2であり、yは、1であり、R
3およびR
4は、-C
2H
2-であり、L
1は、-COOH、-SO
3H、または-PO
3Hであり、L
2は存在しないか、H、-COOH、-SO
3H、または-PO
3Hである。例えば、R
1aおよびR
2aは、トール油脂肪酸の混合物から誘導することができ、主としてC
17H
33およびC
17H
31の混合物であるか、またはC
16~C
18アルキルであり得、R
3aおよびR
4aは、-C
2H
2-などのC
2~C
3アルキレンであり得、nは、1であり、かつL
2は、-COOHであるか、またはnは、0であり、かつL
2は、存在しないかもしくはHであり、xは、2であり、yは、1であり、R
3aおよびR
4aは、-C
2H
2-であり、L
1は、-COOHである。
【0114】
式(3A)の各基について特定される炭素原子の数は、炭素原子の主鎖を指し、置換基によって寄与され得る炭素原子を含まないことを理解されたい。
【0115】
1つ以上の腐食抑制剤は、式(3A)を有するビス四級化イミダゾリン化合物であり得、式中、R1aおよびR2aは、各々独立して、C6~C22アルキル、C8~C20アルキル、C12~C18アルキル、もしくはC16~C18アルキル、またはそれらの組み合わせであり、R4aは、C1~C10アルキレン、C2~C8アルキレン、C2~C6アルキレン、またはC2~C3アルキレンであり、xは、2であり、yは、1であり、nは、0であり、L1は、-COOH、-SO3H、または-PO3Hであり、L2は、存在しないか、またはHである。好ましくは、ビス四級化化合物は、式(3A)を有し、式中、R1aおよびR2aは、各々独立して、C16~C18アルキルであり、R4aは、-C2H2-であり、xは、2であり、yは、1であり、nは、0であり、L1は、-COOH、-SO3H、または-PO3Hであり、L2は、存在しないか、またはHである。
【0116】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、式(4A)の四級アンモニウム化合物であり得、
【化8】
式中、R
1a、R
2a、およびR
3aは、独立して、C
1~C
20アルキルであり、R
4aは、メチルまたはベンジルであり、X
-は、ハロゲン化物またはメトサルフェートである。
【0117】
好適なアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、アリールアルキル、またはアリールアミン四級塩としては、式[N+R5aR6aR7aR8a][X-]のアルキルアリール、アリールアルキル、およびアリールアミン四級塩が挙げられ、式中、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、1~18個の炭素原子を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。四級塩に関して、R5a、R6a、R7a、およびR8aはそれぞれ独立して、アルキル(例えば、C1~C18アルキル)、ヒドロキシアルキル(例えば、C1~C18ヒドロキシアルキル)、およびアリールアルキル(例えば、ベンジル)であり得る。アルキルまたはアルキルアリールハロゲン化物との単環式または多環式芳香族アミン塩は、式[N+R5aR6aR7aR8a][X-]の塩を含み、式中、R5a、R6a、R7a、およびR8aは、1~18個の炭素原子および少なくとも1つのアリール基を含有し、Xは、Cl、Br、またはIである。
【0118】
好適な四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラオクチルアンモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、フェニルトリメチルアンモニウム塩、フェニルトリエチルアンモニウム塩、セチルベンジルジメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ジメチルアルキルベンジル四級アンモニウム塩、モノメチルジアルキルベンジル四級アンモニウム塩、またはトリアルキルベンジル四級アンモニウム塩(上記のアルキル基は、約6~約24個の炭素原子、約10~約18個の炭素原子、または約12~約16個の炭素原子を有する)を挙げることができるが、これらに限定されない。四級アンモニウム塩は、ベンジルトリアルキル四級アンモニウム塩、ベンジルトリエタノールアミン四級アンモニウム塩、またはベンジルジメチルアミノエタノールアミン四級アンモニウム塩であり得る。
【0119】
1つ以上の腐食抑制剤は、式(5A)によって表されるものなどのピリジニウム塩であり得、
【化9】
式中、R
9aは、アルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基であり、当該アルキル基は、1~約18個の炭素原子を有し、X
-は、塩化物、臭化物、またはヨウ化物などのハロゲン化物である。これらの化合物の中には、アルキルピリジニウム塩およびアルキルピリジニウムベンジル四級物がある。例示的な化合物としては、メチルピリジニウムクロリド、エチルピリジニウムクロリド、プロピルピリジニウムクロリド、ブチルピリジニウムクロリド、オクチルピリジニウムクロリド、デシルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルピリジニウムクロリド、およびアルキルベンジルピリジニウムクロリドが挙げられ、好ましくは、アルキルは、C
1~C
6ヒドロカルビル基である。好ましくは、ピリジニウム化合物は、ベンジルピリジニウムクロリドを含む。
【0120】
1つ以上の追加の腐食抑制剤は、リン酸エステル、モノマーまたはオリゴマー脂肪酸、アルコキシル化アミン、またはそれらの混合物であり得る。
【0121】
1つ以上の腐食抑制剤は、リン酸エステルであり得る。好適なモノ-、ジ-、およびトリ-アルキル、ならびにモノ-、ジ-および、トリエタノールアミンのアルキルアリールリン酸エステル、およびリン酸エステルは、典型的には1~約18個の炭素原子を含有する。好ましいモノ-、ジ-、およびトリアルキルリン酸エステル、アルキルアリール、またはアリールアルキルリン酸エステルは、C3~C18脂肪族アルコールを五酸化リンと反応させることによって調製されるものである。リン酸エステル中間体は、そのエステル基をリン酸トリエチルと交換して、より広い分布のアルキルリン酸エステルを生成する。
【0122】
代替的に、リン酸エステルは、アルキルジエステルを、低分子量アルキルアルコールまたはジオールの混合物と混和することによって作製され得る。低分子量アルキルアルコールまたはジオールは、好ましくはC6~C10アルコールまたはジオールを含む。さらに、1つ以上の2-ヒドロキシエチル基を含有するポリオールのリン酸エステルおよびそれらの塩、ならびにポリリン酸または五酸化リンをジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンなどのヒドロキシルアミンと反応させることによって得られるヒドロキシルアミンリン酸エステルが好ましい。
【0123】
1つ以上の腐食抑制剤は、モノマーまたはオリゴマーの脂肪酸であり得る。好ましいモノマーまたはオリゴマー脂肪酸は、C14~C22飽和および不飽和脂肪酸、ならびにそのような脂肪酸のうちの1つ以上を重合することによって得られるダイマー、トリマー、およびオリゴマー生成物である。
【0124】
1つ以上の腐食抑制剤は、アルコキシル化アミンであり得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化アルキルアミンであり得る。アルコキシル化アミンは、エトキシル化獣脂アミンであり得る。
【0125】
開示された多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、腐食抑制剤として効果的であることが見出された。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるREB組成物は、腐食抑制剤を含まない。開示された多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、REB剤および腐食抑制剤であり得るため、開示されたREB組成物は、石油およびガス操作のために使用する化学物質が少ないという利点を有する。
【0126】
分散剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、分散剤をさらに含むことができる。分散剤は、生産流体中に存在する粒子状物質を分散させたままにするため、凝集しない。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の分散剤を含むことができる。
【0127】
分散剤は、アクリル酸ポリマー、マレイン酸ポリマー、アクリル酸とスルホン化モノマーとのコポリマー、それらのアルキルエステル、またはそれらの組み合わせであり得る。これらのポリマーは、アクリル酸、アクリルアミド、およびスルホン化モノマーのターポリマーを含み得る。これらのポリマーはまた、アクリル酸および他の3つのモノマーからなる四級物ポリマーを含み得る。
【0128】
好適な分散剤としては、2~50個の炭素を有する脂肪族ホスホン酸、例えば、ヒドロキシエチルジホスホン酸、およびアミノアルキルホスホン酸、例えば、2~10個のN原子を有するポリアミノメチレンホスホネート(例えば、各々は、少なくとも1つのメチレンホスホン酸基を有する)が挙げられるが、これらに限定されず、後者の例は、各N原子間に2~4個のメチレン基を有し、各ホスホネートにおけるメチレン基の数のうちの少なくとも2つが異なる、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、ならびにトリアミン-およびテトラアミン-ポリメチレンホスホネートである。他の好適な分散剤としては、リグニン、またはリグノスルホネートなどのリグニンの誘導体、ならびにナフタレンスルホン酸および誘導体が挙げられる。
【0129】
本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、メルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせなどの有機硫黄化合物をさらに含むことができる。好ましくは、メルカプトアルキルアルコールは、2-メルカプトエタノールを含む。かかる化合物は、組成物中で相乗剤として使用される。有機硫黄化合物は、組成物の総重量に基づいて組成物の約0.5重量%~約15重量%、好ましくは約1重量%~約10重量%、より好ましくは約1重量%~約5重量%を構成することができる。有機硫黄化合物は、組成物の約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、または約15重量%を構成することができる。
【0130】
逆エマルジョン破壊組成物は、抗乳化剤をさらに含むことができる。好ましくは、抗乳化剤は、ポリアルキレングリコールなどのオキシアルキレートポリマーを含む。抗乳化剤は、組成物の総重量に基づいて組成物の約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%を構成することができる。抗乳化剤は、組成物の約0.5重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、または約5重量%を構成することができる。
【0131】
逆エマルジョン破壊組成物は、アスファルテン抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のアスファルテン抑制剤を含むことができる。好適なアスファルテン抑制剤としては、脂肪族スルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アリールスルホネート、リグノスルホネート、アルキルフェノール/アルデヒド樹脂および類似のスルホン化樹脂、ポリオレフィンエステル、ポリオレフィンイミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンエステル、ポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンアミド、アルキル、アルキレンフェニルまたはアルキレンピリジル官能基を有するポリオレフィンイミド、アルケニル/ビニルピロリドンコポリマー、ポリオレフィンと無水マレイン酸またはビニルイミダゾールとのグラフトポリマー、超分岐ポリエステルアミド、ポリアルコキシル化アスファルテン、両性脂肪酸、コハク酸アルキルの塩、モノオレイン酸ソルビタン、およびポリイソブチレン無水コハク酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0132】
逆エマルジョン破壊組成物は、パラフィン抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のパラフィン抑制剤を含むことができる。好適なパラフィン抑制剤としては、パラフィン結晶改質剤、および分散剤/結晶改質剤の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好適なパラフィン結晶改質剤としては、アルキルアクリレートコポリマー、アルキルアクリレートビニルピリジンコポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、分岐ポリエチレン、ナフタレン、アントラセン、マイクロクリスタリンワックス、および/またはアスファルテンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なパラフィン分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホネート、オキシアルキル化アルキルフェノール、およびオキシアルキル化アルキルフェノール樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
逆エマルジョン破壊組成物は、スケール抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、または約1重量%~約5重量%のスケール抑制剤を含むことができる。好適なスケール抑制剤としては、リン酸塩、リン酸エステル、リン酸、ホスホン酸塩、ホスホン酸、ポリアクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホネート/アクリル酸コポリマー(AMPS/AA)の塩、リン酸化マレイン酸コポリマー(PHOS/MA)、モノー、ビスー、およびオリゴマーホスフィノコハク酸(PSO)誘導体、ポリカルボン酸、疎水性修飾ポリカルボン酸、ならびにポリマレイン酸/アクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホネートターポリマー(PMA/AA/AMPS)の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
逆エマルジョン破壊組成物は、乳化剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の乳化剤を含むことができる。好適な乳化剤としては、カルボン酸の塩、カルボン酸またはカルボン酸無水物とアミンとの間のアシル化反応の生成物、ならびに糖のアルキル、アシル、およびアミド誘導体(アルキル-糖乳化剤)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
逆エマルジョン破壊組成物は、水浄化剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の水浄化剤を含むことができる。好適な水浄化剤としては、ミョウバン、塩化アルミニウム、およびアルミニウムクロロハイドレートなどの無機金属塩、またはアクリル酸系ポリマー、アクリルアミド系ポリマー、重合アミン、アルカノールアミン、チオカルバメート、およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)ポリマーおよび/またはメチルアクリルアミド[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)ポリマーなどのカチオン性ポリマーなどの有機ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
逆エマルジョン破壊組成物は、エマルジョン破壊剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のエマルジョン破壊剤を含むことができる。好適なエマルジョン破壊剤としては、ドデシルベンジルスルホン酸(DDBSA)、キシレンスルホン酸のナトリウム塩(NAXSA)、エポキシ化およびプロポキシル化化合物、アニオン性、カチオン性、および非イオン性界面活性剤、ならびにフェノールおよびエポキシ樹脂などの樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤(解乳化剤)は、非イオン性エマルジョン破壊剤である。好適な非イオン性エマルジョン破壊剤としては、ジオール、トリオール、およびポリオールから誘導されるポリエーテルまたはオキシアルキレート;ポリエーテルおよび二酸またはアジピン酸、フマル酸、無水マレイン酸、もしくはアクリルなどのポリ酸から誘導されるポリエステル;t-ブチルフェノール、t-アミルフェノール、ノニルフェノール、またはブチルノニルフェノールから誘導されるパラ置換アルキルフェノール樹脂オキシアルキレート;トルエンジ-イソシアネート、ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテル、またはアクリル酸から誘導される重合ポリエーテル;ならびに樹脂オキシアルキレートと、アクリル酸と共重合され、次いでさらにエステル化されたマレイン酸などの重合ポリオールとの組み合わせ、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
逆エマルジョン破壊組成物は、硫化水素捕捉剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約1重量%~約50重量%、約1重量%~約40重量%、約1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の硫化水素捕捉剤を含むことができる。好適な追加の硫化水素捕捉剤としては、酸化剤(例えば、過酸化ナトリウムまたは二酸化塩素などの無機過酸化物)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレイン、またはメタクロレインなどの炭素数1~10のもの)、トリアジン(例えば、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、および複数のアミンからのトリアジン、またはこれらの混合物)、二級または三級アミンとアルデヒドとの縮合生成物、ならびにアルキルアルコールとアルデヒドとの縮合生成物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
逆エマルジョン破壊組成物は、ガスハイドレート抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約20重量%、約1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%のガスハイドレート抑制剤を含むことができる。好適なガスハイドレート抑制剤としては、熱力学的ハイドレート抑制剤(THI)、動的ハイドレート抑制剤(KHI)、および凝集抑制剤(AA)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な熱力学的ハイドレート抑制剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、ギ酸塩ブライン(例えばギ酸カリウム)、ポリオール(グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、グルコン酸塩、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、モノブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、および糖アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール)など)、メタノール、プロパノール、エタノール、グリコールエーテル(ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなど)、およびアルコールのアルキルエステルまたは環状エステル(乳酸エチル、乳酸ブチル、安息香酸メチルエチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
逆エマルジョン破壊組成物は、動的ハイドレート抑制剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約25重量%、約0.5重量%~約20重量%、約1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の動的ハイドレート抑制剤を含むことができる。好適な動的ハイドレート抑制剤および凝集抑制剤としては、ポリマーおよびコポリマー、多糖類(ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、デンプン誘導体、およびキサンタンなど)、ラクタム(ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルラクタムなど)、ピロリドン(種々の分子量のポリビニルピロリドンなど)、界面活性剤(脂肪酸塩、エトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、脂肪酸のポリグリセリンエステル、アルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルエステルスルホネート、アルキル芳香族スルホネート、アルキルベタイン、アルキルアミドベタインなど)、炭化水素系分散剤(リグノスルホネート、イミノジサクシネート、ポリアスパルテートなど)、アミノ酸、ならびにタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
逆エマルジョン破壊組成物は、pH調整剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約20重量%、約0.5重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%のpH調整剤を含むことができる。好適なpH調整剤は、アルカリ水酸化物、アルカリ炭酸塩、アルカリ重炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、およびこれらの混合物または組み合わせを含むが、これらに限定されない。例示的なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酸化マグネシウム、および水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0142】
逆エマルジョン破壊組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%の界面活性剤を含むことができる。好適な界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルコールサルフェート、アルコールエーテルサルフェート、アルキルカルボキシレートおよびアルキルエーテルカルボキシレート、ならびにアルキルおよびエトキシル化アルキルリン酸エステル、ならびにモノおよびジアルキルスルホサクシネートおよびスルホサクシネートが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコキシレート、エチレン、プロピレン、およびブチレンオキシドのブロックコポリマー、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシド、アルキルポリグルコシド、ポリアルコキシル化グリセリド、ソルビタンエステル、およびポリアルコキシル化ソルビタンエステル、ならびにアルコイルポリエチレングリコールエステルおよびジエステルが挙げられる。ベタインおよびスルタン(sultane)、両性界面活性剤、例えばアルキルアンホアセテートおよびアンホジアセテート、アルキルアンホプロピオネートおよびアンホジプロピオネート、ならびにアルキルイミノジプロピオネートなども含まれる。
【0143】
逆エマルジョン破壊組成物は、有益な特性を提供する1つ以上の追加のREB組成物剤をさらに含むことができる。例えば、追加の薬剤は、金属イオン封鎖剤、可溶化剤、潤滑剤、緩衝剤、洗浄剤、リンス助剤、保存剤、結合剤、増粘剤もしくは他の粘度調整剤、加工助剤、担体、水質調整剤、発泡防止剤もしくは泡発生剤、閾値剤もしくは系、美観改良剤(すなわち、染料、着臭剤、香料)、または腐食抑制剤組成物による配合に好適な他の添加剤、およびこれらの混合物であり得る。追加の薬剤または添加剤は、製造されている特定の逆エマルジョン破壊組成物によって変わり、当業者としてのその意図された使用が理解されるであろう。
【0144】
代替的に、逆エマルジョン破壊組成物は、追加の薬剤または添加剤のいずれも含有しない。
【0145】
追加的に、逆エマルジョン破壊組成物は、表1に示すように、以下の構成成分を含む組成物に配合することができる。これらの配合物は、列挙された成分の範囲を含み、任意に追加の薬剤を含み得る。下記の表の値は、重量パーセントである。
【表1】
【表2】
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性化合物は、生産流体に添加することができるため、処理された生産流体中の逆破壊組成物は、約1ppm~約1000ppmの範囲の量である。他の実施形態では、処理された生産流体中の逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物の量は、約5ppm~約200ppm、約10ppm~約150ppm、約10ppm~約75ppm、約5ppm~約50ppm、約5ppm~約40ppm、約5ppm~約30ppm、約10ppm~約60ppm、約10ppm~約50ppm、約10ppm~約40ppm、約10ppm~約75ppm、約20ppm~約60ppm、約20ppm~約50ppm、約20ppm~約40ppm、または約20ppm~約30ppmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、生産流体に添加することができるため、逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、処理された生産流体中で約10ppm~約200ppm、約10ppm~約150ppm、約10ppm~約100ppm、または約10ppm~約75ppmの濃度を有する。
【0147】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、石油およびガス用途における生産流体中の逆エマルジョンまたは複合エマルジョンを破壊するために使用することができる。
【0148】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物を導入することができる生産流体は、水性媒体であり得る。水性媒体は、水、ガス、油、および任意選択的に液体炭化水素を含み得る。
【0149】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物を導入することができる生産流体は、炭化水素を含む液体であり得る。液体炭化水素は、原油、重油、加工残油、瀝青油、コーカー油、コーカー軽油、流動接触分解供給原料、軽油、ナフサ、流動触媒分解スラリー、ディーゼル燃料、燃料油、ジェット燃料、ガソリン、および灯油が挙げられるが、これらに限定されない任意のタイプの液体炭化水素であり得る。生産流体は、精製された炭化水素生成物であり得る。
【0150】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物で処理された生産流体またはガスは、周囲温度または高温などの任意の選択された温度であり得る。流体(例えば、液体炭化水素)またはガスは、約40℃~約250℃の温度であり得る。流体またはガスは、約-50℃~約300℃、約0℃~約200℃、約10℃~約100℃、または約20℃~約90℃の温度であり得る。流体またはガスは、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、または約40℃の温度であり得る。流体またはガスは、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、約99℃、または約100℃の温度であり得る。
【0151】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、様々なレベルの含水率で生産流体に添加することができる。例えば、含水率は、0%~100%体積/体積(v/v)、1%~80%v/v、または1%~60%v/vであり得る。生産流体は、様々なレベルの塩分を含有する水性媒体であり得る。流体は、0%~25%、約1%~24%、または約10%~25%重量/重量(w/w)の全溶解固形物(TDS)の塩分を有し得る。
【0152】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物が導入される生産流体またはガスは、多くの異なるタイプの装置に収容および/または曝露され得る。例えば、流体またはガスは、石油および/またはガスパイプラインなどの、ある点から別の点へ流体またはガスを輸送する装置に収容することができる。装置は、パイプライン、分離容器、脱水装置、またはガスラインなどの石油および/またはガス精製所の一部であり得る。流体は、坑口などの、石油の抽出および/または生成に使用される装置に収容されおよび/またはそれに曝露され得る。装置は、貨物船、貯蔵船、貯蔵タンク、またはタンク、船、もしくは処理ユニットを接続するパイプラインであり得る。
【0153】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、流体を通した分散を確実にするための任意の適切な方法によって、生産流体またはガスに導入することができる。
【0154】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、生産流体が加工される地点から上流のフローラインにおける地点で添加することができる。例えば、逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、化学注入ポンプ、パイプティー、注入フィッティング、アトマイザー、クイルなどの機械装置を使用して注入され得る。
【0155】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、アンビリカルラインを使用して石油および/またはガスパイプラインに送り込まれ得る。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物を選択された流体に送達するために、毛管注入システムが使用され得る。
【0156】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、液体ならびにいくつかの液体、液体ならびにガス、液体、固形物、およびガスの混合物に導入され得る。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、水溶液もしくは非水溶液、混合物、またはスラリーとしてガス流に注入され得る。
【0157】
生産流体またはガスは、逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物を含む吸収塔を通過することができる。
【0158】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、生産流体またはガスに適用されて、任意の選択された濃度を提供することができる。実際には、逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、典型的には、フローラインに添加されて、約0.01~約5,000ppmの逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物の有効処理投入量を提供する。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、生産流体またはガスに適用されて、約1百万分率(ppm)~約1,000,000ppm、約1百万分率(ppm)~約100,000ppm、または約10ppm~約75,000ppmの活性濃度を提供することができる。多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物またはそれらの塩/組成物を流体に適用して、約25ppm~約10,000ppm、約25ppm~約100ppm、約50ppm~約100ppm、約100ppm~約10,000ppm、約200ppm~約8,000ppm、または約500ppm~約6,000ppmの活性濃度を提供することができる。活性濃度は、逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物の濃度を意味する。
【0159】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、生産流体またはガスに適用されて、処理された生産流体中、約0.1ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約5ppm、約10ppm、約20ppm、約100ppm、約200ppm、約500ppm、または約1,000ppmの活性濃度を提供することができる。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、生産流体に適用されて、処理された生産流体中、約0.125ppm、約0.25ppm、約0.625ppm、約1ppm、約1.25ppm、約2.5ppm、約5ppm、約10ppm、または約20ppmの活性濃度を提供することができる。各生産流体は、それ自体の用量レベル要件を有することができ、逆エマルジョンまたは複合エマルジョンを十分に破壊するための逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性ならびにアニオン性化合物の有効用量レベルは、それが使用される生産流体によって変わり得る。
【0160】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、連続的に、バッチで、またはそれらの組み合わせで適用され得る。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物の投与は、連続的であり得る。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物の投与は、断続的(例えば、バッチ処理)であり得るか、または連続的/維持かつ/もしくは断続的であり得る。
【0161】
連続処理のための投入速度は典型的には、約10~約500ppm、または約10ppm~約200ppmの範囲である。連続処理のための投入速度は典型的には、約10ppm~約400,000ppm、または約10ppm~約20,000ppmの範囲である。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、パイプラインへの錠剤として適用され、高投入量(例えば、20,000ppm)の組成物を提供することができる。
【0162】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物が使用されるフローラインの流速は、毎秒0.1~100フィート、または毎秒0.1~50フィートであり得る。逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物はまた、フローラインへの添加を促すために水と配合され得る。
【0163】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、当業者に一般に知られている任意の好適な方法で分注され得る。例えば、噴霧型ディスペンサーが使用され得る。噴霧型ディスペンサーは、組成物の一部分を溶解させるために組成物の露出面に水噴霧を衝突させ、次いで直ちに組成物を含む濃縮物溶液をディスペンサーから貯蔵リザーバへ、または使用点に直接向けることによって機能する。
【0164】
逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、水または生産流体中に断続的または連続的に浸漬することによって分注され得る。次いで、逆エマルジョン破壊組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、例えば、制御された速度または所定の速度で溶解することができる。この速度は、本明細書に開示されている方法に従って使用するのに有効である、溶解した化合物または組成物の濃度を維持するのに有効であり得る。
【0165】
本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、約10重量%~約90重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加のREB剤、それらの組み合わせ、および約10重量%~約90重量%の1つ以上の多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物、約20重量%~約80重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加のREB剤、もしくはそれらの組み合わせ、および約20重量%~約80重量%の1つ以上の多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物、約30重量%~約70重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加のREB剤、もしくはそれらの組み合わせ、および約30重量%~約70重量%の1つ以上の多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物、または約40重量%~約60重量%の担体、殺生物剤、腐食抑制剤、追加のREB剤、それらの組み合わせ、および約40~約60重量%の1つ以上の多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物を含むことができる。
【0166】
追加的に、逆エマルジョン破壊剤を使用して、石油およびガス操作における生産流体に対するエマルジョンを破壊するとき、任意選択のエマルジョン破壊剤および逆エマルジョン破壊組成物は、生産流体に添加することができる。
【0167】
エマルジョン破壊剤は、オキシアルキル化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、樹脂エステル、オキシアルキル化ポリアルキルアミン、ポリオール、二官能性もしくは多官能性架橋剤を有する架橋ポリオール、イソシアネート、酸、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0168】
逆エマルジョン破壊組成物は、生産流体の特性に依存して、逆エマルジョン破壊剤と1つ以上のエマルジョン破壊剤との混合物を含むことができる。
【0169】
場合によっては、エマルジョン破壊剤および逆エマルジョン破壊剤は、石油生産システムの生産流体中の水中油中水型エマルジョンを分解するための相乗効果を有する。エマルジョン破壊剤は、生産流体中で約100ppm~約400ppmの濃度を有することができる。
【0170】
希釈剤は、生産流体に添加することができ、希釈剤は、凝縮物、ナフサ、灯油、軽質原油、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるREB組成物は、希釈剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、本明細書に開示されるREB組成物は、希釈剤および1つ以上のエマルジョン破壊剤をさらに含む。
【0171】
本明細書に開示されるREB組成物に好適な、または本明細書に開示されるREB組成物と一緒に使用するのに好適な好適な希釈剤としては、ナフサ系希釈剤および合成原油(SCO)が含まれるが、これらに限定されない。ナフサ系希釈剤は、650~750kg/m3の典型的な密度を有しており、通常、ビチューメンの含有量が高い(例えば、70重量%)生産流体に使用される。SCOは、650~750kg/m3の典型的な密度を有しており、ビチューメンの含有量が少ない(例えば、50重量%)生産流体で使用される。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるREB組成物に好適な希釈剤は、C4~C5炭化水素といくつかの芳香族炭化水素との組み合わせである。芳香族炭化水素は、処理される生産流体のコストおよび性質によって変わる。
【0173】
いくつかの実施形態では、希釈剤は、REB組成物の約5重量%~約35重量%である。いくつかの他の実施形態では、希釈剤は、約5重量%~約15重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約30重量%、約15重量%~約20重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約35重量%、約20重量%~約25重量%、約25重量%~約35重量%、約30重量%~約35重量%、または約10重量%~約30重量%のREB組成物である。
【0174】
本明細書に開示される逆エマルジョン破壊組成物は、好ましくは、水および油分離システムへの流入エマルジョンに添加される。エマルジョン破壊剤、逆エマルジョン破壊剤、またはそれらの組み合わせは、生産流体を1つ以上の分離容器に入れる前に、生産流体の流入パイプラインにある注入点に添加することができる。逆エマルジョン破壊剤が任意選択のエマルジョン破壊剤と組み合わされるとき、それらは独立して、同時に、または逐次的に注入することができる。さらに、希釈剤は、異なる注入点で注入することができる。分離容器は、フリーウォーターノックアウト(FWKO)容器、熱処理機、または相分離器であり得る。
【0175】
逆エマルジョン破壊組成物の有効性は、水滴(WD)、水質、界面品質、油の乾燥などのような多数の要因に依存する。
【0176】
一態様では、本明細書には、ポリアミン(マイケル供与体)と、以下の式のうちの1つによるイオン性基を有する活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される化合物であって、
【化10】
式中、Xが、NHまたはOであり、R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mは、2~4の整数であり、R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、化合物は、2つ以上の正電荷を有する多重荷電カチオン性化合物、または2つ以上の負電荷を有する多重荷電アニオン性化合物である、化合物が開示される。
【0177】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH2-[R10’]n-NH2、(RNH)n-RNH2、H2N-(RNH)n-RNH2、またはH2N-(RN(R’))n-RNH2であり、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C2~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキル基、RNH2、RNHRNH2、またはRN(RNH2)2であり、nは、2~1,000,000であり得る。
【0178】
直鎖ポリエチレンイミンを使用する例示的な多重荷電カチオン性化合物(I)の構造およびそれを導く反応を、
図1に示す。分岐鎖ポリエチレンイミンを使用する例示的なカチオン性ポリマー組成物(II)を調製するためのスキームを、
図2に示す。
【0179】
図1および
図2では、k、l、m、n、o、またはpは、1~100の整数であり、Xが、NHまたはOであり、R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル基であり、R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yが、-NR
4R
5R
6(+)、またはその塩であり、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基またはベンジル基である。
【0180】
図1および
図2の構造IおよびIIは、一般化されて例示的な反応生成物の描写である。構造IおよびIIでは、ポリエチレンイミンのすべての二級および一級アミンが活性化オレフィンと反応するため、二級アミンは残らない。開示された多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物において、いくつかの二級または一級アミン基は、活性化オレフィンと完全には反応せず、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物中またはその塩中に一級または二級アミン基として残る可能性がある。
【0181】
言い換えれば、いくつかの実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、NA
2-[R
10’]
n-NA
2、(RNA)
n-RNA
2、A
2N-(RNA)
n-RNA
2、またはA
2N-(RN(R’))
n-RNA
2の一般式のうちの1つを有し、式中、R
10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
2~C
10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)CH
2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
4~C
10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)CH
2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
4~C
10アルキル基、RNA
2、RNARNA
2、またはRN(RNA
2)
2であり、nは、2~1,000,000であり得、Aが、Hもしくは
【化11】
もしくはそれらの組み合わせのうちの1つであり、各化合物が、少なくとも2つの非プロトンおよびカチオン性もしくはアニオン性A基、少なくとも3つの非プロトンおよびカチオン性もしくはアニオン性A基、少なくとも4つの非プロトンおよびカチオン性もしくはアニオン性A基、少なくとも5つの非プロトンおよびカチオン性もしくはアニオン性A基、または6つ以上のカチオン性またはアニオン性A基を含有する。いくつかの実施形態では、Aは、Hまたは正に帯電した
【化12】
である。他のいくつかの実施形態では、Aは、Hまたは負に帯電した
【化13】
である。
【0182】
いくつかの実施形態では、一級NH
2プロトンのうちの少なくとも2つは、
【化14】
であり、一級NH
2プロトンの残部は残る。いくつかの実施形態では、一級NH
2プロトンのうちの少なくとも2つは、
【化15】
であり、一級NH
2プロトンの残部は残る。いくつかの他の実施形態では、すべての一級NH
2プロトンは、
【化16】
によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、一級NH
2および二級NHプロトンのうちのいくつかは、
【化17】
によって置き換えられる。いくつかの実施形態では、すべての一級NH
2および二級NHプロトンうちのいくつかは、
【化18】
によって置き換えられる。
【0183】
本明細書に開示される化合物のいくつかの実施形態では、Xは、NHである。いくつかの他の実施形態では、Xは、Oである。
【0184】
いくつかの実施形態では、R2は、Hである。いくつかの実施形態では、R2は、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、R2は、CH3CH3、CH2CH2CH3、またはCH(CH3)2である。
【0185】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR4R5R6
(+)である。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR4R5R6
(+)であり、R4、R5、およびR6は独立して、CH3である。さらにいくつかの他の実施形態では、Yは、-NR4R5R6
(+)であり、R4およびR5は独立して、CH3であり、R6は、C2~C12芳香族アルキルである。いくつかの他の実施形態では、Yは、-NR4R5R6
(+)であり、R4およびR5は独立して、CH3であり、R6は、-CH2-C6H6である。
【0186】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR4R5R6
(+)であり、Yの対イオンは、負に帯電したイオンまたは種である。いくつかの他の実施形態では、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである。
【0187】
いくつかの実施形態では、Y’は、-COOHまたはその塩である。いくつかの他の実施形態では、Y’は、-SO3H、-OSO3H、またはそれらの塩である。さらにいくつかの他の実施形態では、Y’は、-OPO3H、-PO3H、またはそれらの塩である。いくつかの他の実施形態では、Y’は、酸の種またはその塩である。
【0188】
いくつかの実施形態では、R3は、CH2である。いくつかの他の実施形態では、R3は、CH2CH2である。他の実施形態では、R3は、C(CH3)2である。さらにいくつかの他の実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および飽和C1~C10アルキレン基である。いくつかの実施形態では、R3は、非置換、直鎖、および不飽和C1~C10アルキレン基である。
【0189】
いくつかの実施形態では、R3は、直鎖C8~C18アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。いくつかの他の実施形態では、R3は、分岐鎖C8~C20アルキル、アルケニル、またはアルキニル基である。
【0190】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、-[RNH]n-の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、3、4、5、6、7~9、または10~1,000,000の整数である。
【0191】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、(RNH)n-RNH2の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、各モノマー中で同じである。いくつかの他の実施形態では、Rは、あるモノマーから別のモノマーへと変化し得る。
【0192】
いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、H2N-(RNH)n-RNH2の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖、非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、各モノマー中で同じである。いくつかの他の実施形態では、Rは、あるモノマーから別のモノマーへと変化し得る。
【0193】
さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンはH2N-(RN(R’))n-RNH2の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキル基、RNH2、RNHRNH2、またはRN(RNH2)2であり、nは、2~1,000,000であり得る。いくつかの実施形態では、RまたはR’は、各モノマー中で同じである。いくつかの他の実施形態では、RまたはR’は、あるモノマーから別のモノマーへと変化し得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH2-[R10’]n-NH2の一般式を有するものであり、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、nは、3、4、5、6、7~9、または10~1,000,000の整数である。いくつかの他の実施形態では、R10’は、あるモノマーから別のモノマーへと変化し得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、HuntsmanによるJEFFAMINE(登録商標)に基づく1つ以上のポリアミンである。
【0196】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、アルキレンアミンを含み、アルキレンアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ポリエチレンイミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、またはそれらの混合物を含む。
【0197】
いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、ポリエーテル骨格を有するか、またはプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、もしくは両方の酸化物の混合物に基づくポリエーテル骨格を有するモノアミン、ジアミン、およびトリアミンの混合物である。
【0198】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、未修飾ポリアミンである。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、修飾ポリアミンである。本明細書で使用される場合、「修飾ポリアミン」は、1つ以上のNHプロトンが、アルキルなどの非プロトン基によって置換されているポリアミンを指す。
【0199】
さらにいくつかの実施形態では、ポリアミンは、エトキシル化ポリアミン、プロピル化ポリアミン、ポリクワットを有するポリアミン、ポリグリセロールを有するポリアミン、またはそれらの組み合わせである。
【0200】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約130~約4,000の平均分子量(Mw)を有するジアミンまたはトリアミンである。
【0201】
さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリエチレンイミンである。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、一級および二級アミン基のみを含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンは、一級、二級、および三級アミン基のみを含む。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、一級および三級アミン基のみを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、単一の化合物である。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、2つ以上の異なるポリアミンの混合物であり、異なるポリアミンは、異なる分子量、異なる構造、またはその両方を有する。
【0203】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約130~約2,000,000Daの平均分子量(Mw)を有する。いくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、約130~約5,000Daの平均分子量(Mw)を有する。さらにいくつかの他の実施形態では、ポリアミンは、約130~約25,000Daの平均分子量(Mw)を有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約60~200、約100~400、約100~600、約600~5,000、約600~800、約800~2,000、約800~5,000、約100~2,000,000、約100~25,000、約600~25,000、約800~25,000、約600~750,000、約800~750,000、約25,000~750,000、約750,000~2,000,000、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約3,000、約5,000、約8,000、約10,000、約15,000、約20,000、約50,000、約100,000、約250,000、約500,000、約1,000,000、約2,000,000、またはそれらの間の任意の値の平均分子量(Mw)を有する。
【0205】
いくつかの実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0206】
いくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、分岐鎖ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導された混合物である。いくつかの他の実施形態では、化合物は、直鎖ポリエチレンイミンおよび[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)から誘導された混合物である。
【0207】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、または2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)である。
【0208】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、またはそれらの混合物である。
【0209】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、またはそれらの混合物である。
【0210】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である。
【0211】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、またはそれらの混合物である。
【0212】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である。
【0213】
さらにいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンがアルカリ性pHで負電荷を帯びることができるアニオン基を含有する場合、負電荷の対陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、NH4
+、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
いくつかの実施形態では、化合物は、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)と、それぞれ、テトラエチレンペンタミン、E-100(テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、およびヘキサエチレンヘプタミン(HEHA)の混合物)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、またはジエチレントリアミン(DETA)とのアザ-マイケル付加反応生成物である。
【0215】
いくつかの実施形態では、化合物は、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)と、それぞれ約1,300の平均分子量(Mw)を有するポリエチレンイミン、約5,000の平均分子量(Mw)を有するポリエチレンイミン、約25,000の平均分子量(Mw)を有するポリエチレンイミン、または約750,000の平均分子量(Mw)を有するポリエチレンイミンとのアザ-マイケル付加反応生成物である。
【0216】
いくつかの実施形態では、化合物は、
【化19】
のうちの1つ以上であり、式中、n=0~1000である。nが2よりも大きいとき、化合物は3つ以上のカチオン性化合物の混合物であり得、これは、NH置き換えの正確な位置が互いに異なることを理解すべきである。
【0217】
いくつかの他の実施形態では、化合物は、
【化20】
である。
【0218】
いくつかの他の実施形態では、化合物は、
【化21】
である。
【0219】
いくつかの他の実施形態では、化合物は、
【化22】
である。
【0220】
いくつかの実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、約100~約2,000,000Daの平均分子量(Mw)を有する。いくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、約100~約50,000Daの平均分子量(Mw)を有する。さらにいくつかの他の実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、約100Da~約600Da、約100Da~約1,000Da、約100Da~約1,400Da、約100Da~約3,000Da、約100Da~約5,500Da、または約100Da~約10,000Da、約100Da~約20,000Da、約100Da~約30,000Da、または約100Da~約40,000Daの平均分子量(Mw)を有する。
【0221】
いくつかの実施形態では、多重荷電カチオン性化合物は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の正電荷を有する。いくつかの他の実施形態では、化合物は、10~1000個の正電荷、または正電荷間の任意の値を有する。
【0222】
いくつかの実施形態では、多重荷電カチオン性化合物は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の負電荷を有する。いくつかの他の実施形態では、化合物は、10~1000個の正電荷、または負電荷間の任意の値を有する。
【0223】
いくつかの実施形態では、化合物は、水溶性または水分散性である。
【0224】
作製方法
別の態様では、本明細書には、化合物またはその塩を作製する方法であって、この方法が、ポリアミンを以下の式のうちの1つによるイオン性基を有する活性化オレフィン(マイケル受容体)と接触させることを含み、
【化23】
式中、Xが、NHまたはOであり、R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mは、2~4の整数であり、R
3が、存在しないか、非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、ポリアミンおよび活性化オレフィンは、アザ-マイケル付加反応を受け、化合物は、2つ以上の正電荷を有する多荷電カチオン性化合物、または2つ以上の負電荷を有する多荷電アニオン性化合物である、方法が開示される。
【0225】
開示された方法のいくつかの実施形態では、ポリアミンは、NH2-[R10’]n-NH2、(RNH)n-RNH2、H2N-(RNH)n-RNH2、H2N-(RN(R’))n-RNH2、またはそれらの混合物であり、式中、R10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C2~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C4~C10アルキル基、RNH2、RNHRNH2、またはRN(RNH2)2であり、nは、2~1,000,000であり得る。
【0226】
他の実施形態では、活性化オレフィンは、
【化24】
であり、式中、Xが、NHまたはOであり、R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基である。
【0227】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、またはそれらの混合物である。
【0228】
いくつかの実施形態では、Yは、-NR4R5R6
(+)であり、Yの対イオンは、負に帯電したイオンまたは種である。いくつかの他の実施形態では、Yの対イオンは、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、酢酸塩、アルミン酸塩、シアン酸塩、シアン化物、ニ水素リン酸塩、亜リン酸二水素、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素、シュウ酸水素、硫酸水素、水酸化物、硝酸塩、亜硝酸塩、チオシアン酸塩、またはそれらの組み合わせである。
【0229】
開示された方法のいくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、
【化25】
であり、式中、Xが、NHまたはOであり、R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり、R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mは、2~4の整数であり、R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、R
4、R
5、R
6が独立して、C
1~C
10アルキル基である。
【0230】
いくつかの実施形態では、活性化オレフィンは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である。
【0231】
いくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、またはそれらの混合物である。
【0232】
さらにいくつかの他の実施形態では、活性化オレフィンがアルカリ性pHで負電荷を帯びることができるアニオン基を含有する場合、負電荷の対陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、Li+、Na+、K+、NH4
+、四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0233】
開示される方法のいくつかの実施形態では、接触ステップは、反応溶媒の存在下で行われる。反応溶媒は、化学合成で一般的に使用される任意の無機または有機溶媒であり得る。開示される方法で使用される反応溶媒は、当業者に既知の任意の方法により、ポリアミンと、カチオン基またはアニオン基を含む活性化オレフィンとの間の反応に導入することができる。例えば、溶媒は、ポリアミン、活性化オレフィン、もしくは両方が添加される前に、一方もしくは両方の反応物質と同時に、またはその後に、反応用の容器または槽に添加され得る。
【0234】
いくつかの実施形態では、反応溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、反応溶媒は、水である。
【0235】
開示される方法のいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒、塩基、または酸の存在下で行われる。触媒、塩基、または酸は、当業者に既知の任意の方法によって、ポリアミンと活性化オレフィンとの間の反応に導入され得る。
【0236】
いくつかの実施形態では、接触ステップは、追加の塩基またはアルカリ源の存在なしに行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ源の存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカノールアミンなどの有機塩基の存在下で行われる。さらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、イミダゾール/ピリジン塩基、またはそれらの組み合わせ、例えば、NaOH、Na2CO3、アミノエチルピリジン、アミノプロピルイミダゾール、またはそれらの組み合わせの存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる。いくつかの実施形態では、触媒塩基は、アミジンもしくはグアニジン塩基、またはそれらの混合物である。いくつかの他の実施形態では、触媒は、室温で無溶媒条件下で反応するための、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデカ-7-エン-8-イウムアセテートなどのイオン液体である。
【0237】
開示される方法のさらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、酸の存在下で行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒の存在下で行われる。触媒は、マイケル付加反応について当業者に既知の触媒のうちのいずれか1つ以上であり得る。
【0238】
開示される方法のさらにいくつかの他の実施形態では、接触ステップは、触媒、塩基、または酸を含まずに行われる。いくつかの他の実施形態では、接触ステップは、アルカリ金属水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、イミダゾール/ピリジン系塩基、またはそれらの全てを含まずに行われる。いくつかの実施形態では、接触ステップは、塩基を含まずに行われる。
【0239】
さらに別の態様では、本明細書に開示されるか、または本明細書に開示される方法によって製造される1つ以上の化合物を含む物品、製品、または組成物が、本明細書に開示される。
【0240】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、担体溶媒または担体をさらに含む。本明細書で使用される場合、「担体溶媒」または担体は、開示される化合物が均一に分布し、かつ安定し得る溶媒または溶媒系である。
【0241】
本明細書で使用される場合、「安定」とは、本明細書に開示される化合物が、本明細書に開示される化合物および担体溶媒または任意の他の成分が均質に混合された後、約1時間、約1時間~約12時間、約12時間、約1日、約5日、約10日、約20日、約1ヶ月、約1ヶ月~約1年、または約1年~約2年、組成物中の担体溶媒または他の成分から沈殿または分離しないことを意味する。
【0242】
いくつかの他の実施形態では、担体は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、有機溶媒をさらに含む。いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、有機溶媒および水をさらに含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、担体溶媒は、工業または実験室で一般的に使用される任意の無機または有機溶媒であり得る。物品、製品、または組成物の他のいくつかの実施形態では、担体溶媒は、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである。いくつかの他の実施形態では、担体溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである。
【0244】
いくつかの実施形態では、物品、製品、または組成物は、固体である。いくつかの他の実施形態では、物品、製品、または組成物は、液体である。
【0245】
一態様では、本明細書には、石油およびガス生産システムからの生産流体中の逆エマルジョンを分解するための組成物であって、逆エマルジョン破壊組成物が、本明細書に開示される1つ以上の化合物またはそれらの塩と、1つ以上の逆エマルジョン破壊組成物剤と、を含む、組成物が開示される。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン組成物は、生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する。
【0246】
別の態様では、本明細書には、石油およびガス生産システムからの生産流体中の逆エマルジョンを分解する方法であって、この方法が、石油およびガス生産システムの生産流体を逆エマルジョン破壊剤(REB)組成物と接触させて、処理された生産流体を生成することを含み、逆エマルジョン破壊組成物が、本明細書に開示される1つ以上の化合物と、1つ以上の逆エマルジョン破壊組成物剤と、を含む、方法が開示される。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン組成物は、生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する。
【0247】
いくつかの実施形態では、生産流体は、水中油型エマルジョン、水中油中水型エマルジョン、またはその両方を含む。いくつかの他の実施形態では、生産流体は、原油、精製油、ビチューメン、凝縮物、廃油(slop oil)、留出物、燃料、またはそれらの混合物を含む。
【0248】
いくつかの実施形態では、生産流体は、淡水、リサイクル水、塩水、地表水、随伴水、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、生産流体は、石油井、ダウンホール層、または地熱井から出るものである。
【0249】
いくつかの実施形態では、生産流体は、蒸気支援重力排水(SAGD)プロセスからであり、生産流体は、ビチューメンおよび水を含む。いくつかの他の実施形態では、生産流体は随伴水であり、随伴水は、油および汚れが除去された後の生産流体の水部分である。
【0250】
いくつかの実施形態では、化合物または修飾化合物は、水または逆エマルジョン破壊組成物中で可溶性または分散性である。
【0251】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、1つ以上の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤をさらに含む。
【0252】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、担体を含み、担体は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物である。
【0253】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、有機溶媒をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、有機溶媒および水をさらに含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アルコール、炭化水素、ケトン、エーテル、アルキレングリコール、グリコールエーテル、アミド、ニトリル、スルホキシド、エステル、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの他の実施形態では、有機溶媒は、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである。さらにいくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである。
【0255】
いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、2-ブトキシエタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、ディーゼル、トルエン、キシレン、重芳香族ナフサ、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、ジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルホルムアミド、それらと水との混合物、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0256】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、腐食抑制剤のうちの1つ以上をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、腐食抑制剤のうちの1つ以上および担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、腐食抑制剤は、イミダゾリン化合物、ピリジニウム化合物、またはそれらの組み合わせである。
【0257】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、腐食抑制剤を含まない。
【0258】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、殺生物剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、殺生物剤および担体をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、殺生物剤、腐食抑制剤、および担体をさらに含む。
【0259】
いくつかの他の実施形態では、殺生物剤は、塩素、次亜塩素酸塩、ClO2、臭素、オゾン、過酸化水素、過酢酸、ペルオキシ硫酸塩、グルタルアルデヒド、ジブロモニトリロプロピオンアミド、イソチアゾロン、テルブチラジン、高分子ビグアニド、メチレンビスチオシアネート、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムサルフェート、およびそれらの任意の組み合わせである。
【0260】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、殺生物剤を含まない。
【0261】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、有機硫黄化合物をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、有機硫黄化合物は、メルカプトアルキルアルコール、メルカプト酢酸、チオグリコール酸、3,3′-ジチオジプロピオン酸、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素、L-システイン、tert-ブチルメルカプタン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。
【0262】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、無機酸、鉱酸、有機酸、またはそれらの混合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%の酸を含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、酸は、塩酸、フッ化水素酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、またはそれらの混合物である。
【0264】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、硫化水素捕捉剤をさらに含む。いくつかの他の実施形態では、硫化水素捕捉剤は、酸化剤、無機過酸化物、過酸化ナトリウム、二酸化塩素;C1~C10アルデヒド、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アクロレインもしくはメタクロレイン、トリアジン、モノエタノールアミントリアジン、モノメチルアミントリアジン、またはそれらの混合物である。
【0265】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、界面活性剤、殺生物剤、および担体をさらに含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、ジカチオン性、ジアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物である。
【0267】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、アルキルフェノール、脂肪酸、またはそれらの混合物である。
【0268】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤、スケール抑制剤、ガスハイドレート抑制剤、pH調整剤、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、凝固剤/凝集剤、水浄化剤、またはそれらの混合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、追加の逆エマルジョン破壊剤、担体、腐食抑制剤、凝固剤/凝集剤、水浄化剤、またはそれらの混合物をさらに含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、追加の逆エマルジョン破壊剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、追加の逆エマルジョン破壊剤、担体、および腐食抑制剤をさらに含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、追加の逆エマルジョン破壊剤、エマルジョン破壊剤、またはそれらの混合物をさらに含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤または追加のREBは、独立して、同時に、または逐次的に、生産流体と接触する。いくつかの他の実施形態では、エマルジョン破壊剤または追加のREBは、REB組成物中の多重荷電化合物によって、または別の組成物を介して、生産流体と接触する。
【0273】
いくつかの実施形態では、追加の逆エマルジョン破壊剤は、アクリル酸系ポリマー、アクリルアミド系ポリマー、重合アミン、アルカノールアミン、チオカルバメートなどの有機ポリマー、ならびにアクリルアミドジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)ポリマーおよび/またはメチルアクリルアミド[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)ポリマー、エピクロロヒドリンとジメチルアミンまたはトリメチルアミンとのコポリマー、アクリルアミドとジメチルアミノエチルアクリレートとのコポリマー(四級化されたメチルクロリド、アルミニウムクロロハイドレート(ACH)およびポリ塩化アルミニウム(PAC)、アクリルアミド)、DMAEA.MCQコポリマーなどのカチオン性ポリマーである。
【0274】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、分散剤をさらに含む。
【0275】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、酸化防止剤、ポリマー分解防止剤、浸透性調節剤、発泡剤、消泡剤、乳化剤、CO2および/またはO2用の捕捉剤、ゲル化剤、潤滑剤、摩擦低減剤、塩、アルカリ源、またはそれらの混合物をさらに含む。
【0276】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物(REB)は、液体、ゲル、または液体/ゲルおよび固形物を含む混合物である。いくつかの実施形態では、REB組成物は、固体または液体である。
【0277】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物またはその使用溶液は、約2~約11のpHを有する。
【0278】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、約10重量%~約80重量%の本明細書に開示される多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物またはその塩を含む。いくつかの他の実施形態では、REB組成物は、約30重量%~約70重量%、約20重量%~約40重量%、約25重量%~約30重量%、約10重量%~約70重量%、約30重量%~約60重量%、約40重量%~約50重量%、約10重量%~約30重量%、約20重量%~約40重量%、30重量%~約50重量%、約40重量%~約60重量%、約50重量%~70重量%、約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、またはそれらの間の任意の値の本明細書に開示される多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物またはその塩を含む。
【0279】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物またはその塩は、処理された生産流体において約1ppm~約200ppmの濃度を有する。他の実施形態では、多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物は、REB組成物が生産流体に適用された後、処理された生産流体中で約10ppm~約150ppmの濃度を有する。さらにいくつかの他の実施形態では、化合物は、REB組成物が生産流体に適用された後、処理された生産流体中で約10ppm~約75ppmの濃度を有する。
【0280】
開示される方法または組成物の使用
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法については、生産流体の中にREB組成物を提供することは、REB組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物、またはその使用溶液が生産流体の中に添加されることを意味する。いくつかの他の実施形態では、生産流体の中にREB組成物を提供することは、生産流体を接触させるか、または作製する流体にREB組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物を添加することを意味する。REB組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物、またはその使用溶液は、より多くの化合物または組成物が必要とされ得るとき、連続的または断続的に添加され得る。
【0281】
本明細書で使用される場合、REB組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物の使用溶液は、希釈剤による組成物または化合物のための希釈溶液を指す。本明細書で使用される場合、希釈剤は、本明細書で定義される水、生産流体、または担体もしくは溶媒のうちの1つを指す。REB組成物または化合物は、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11~1,000,000倍、またはそれらの間の任意の値で希釈されて、使用溶液を生成し、次いで使用溶液を生産流体に提供することができる。本開示では、REB組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物が適用されるとき、組成物/化合物またはその使用溶液のいずれかが適用される。
【0282】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、REB組成物中の1つ以上の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤とともに、独立して、同時に、または逐次的に水系に提供される。
【0283】
いくつかの実施形態では、REB組成物は、水で希釈されて、REB組成物の使用溶液を作成し、次いで、使用溶液は、生産流体の中に提供される。いくつかの実施形態では、REB組成物を希釈するための水は、淡水、リサイクル水、塩水、地表水、随伴水、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、REB組成物を希釈するための水は、生産流体である。
【0284】
通常、REB組成物またはその使用溶液は、生産流体に注入される。この場面では、生産流体は、REB組成物の使用溶液である。いくつかの実施形態では、REB組成物の濃度は、約1ppm~約1,000ppmである。
【0285】
いくつかの実施形態では、追加のREB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、
【化26】
モノマーを含み、約20,000~約20,000,000Daの平均分子量(M
w)を有するターポリマーであり、式中、R
31、R
32、およびR
33が独立して、水素またはアルキルであり、R
34、R
35、R
36、R
37、およびR
38が独立して、アルキルであり、pは、1~6の整数であり、m、n、およびは、整数である。
【0286】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、別の高分子カチオン性、アニオン性、非イオン性、無機凝固剤/凝集剤である。
【0287】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、オキシアルキル化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、樹脂エステル、オキシアルキル化ポリアルキルアミン、ポリオール、二官能性もしくは多官能性架橋剤を有する架橋ポリオール、イソシアネート、酸、またはそれらの組み合わせである。
【0288】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、またはそれらの混合物である。
【0289】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、樹枝状ポリアミン、樹枝状ポリアミドアミン、超分岐鎖ポリエチレンイミン、それらとグルコノラクトンとの反応生成物、アルキレンオキシド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、および硫酸ジアルキル、またはそれらの混合物である。
【0290】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、ポリエピハロヒドリン、その高分子電解質、またはそれらの混合物である。
【0291】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、トリジチオカルバミン酸、ジチオカルバミン酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、塩化ベンジル四級塩、高分子四級アンモニウムベタイン、金属塩、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、高分子四級アンモニウム塩、アクリル酸とアクリルアミドとの共重合体、またはそれらの混合物である。
【0292】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤は、100,000~2,000,000Daの平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態では、高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤は、10~1,000個の平均正味電荷を有する。
【0293】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤は、10,000~100,000Daの平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態では、低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤は、3~10個の正味電荷を有する。
【0294】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤は、100,000~2,000,000の分子量を有する。いくつかの他の実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝固剤、または水浄化剤は、低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤は、10,000~100,000の分子量を有する。
【0295】
いくつかの実施形態では、高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤は、10~1,000個の正味電荷を有する。いくつかの他の実施形態では、低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤は、3~10個の正味電荷を有する。
【0296】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝集剤、または水浄化剤は、高分子量の高分子凝固剤/凝集剤であり、高分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤は、100,000~2,000,000の分子量を有する。
【0297】
いくつかの実施形態では、エマルジョン破壊剤、REB、凝集剤、凝集剤、または水浄化剤は、低分子量の高分子凝固剤/凝集剤であり、低分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤は、10,000~100,000の分子量を有する。
【0298】
いくつかの実施形態では、逆エマルジョン破壊組成物は、1つ以上の多重荷電カチオン性またはアニオン性化合物、1つ以上のエマルジョン破壊剤、および1つ以上の希釈剤を含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、この方法は、濾過、沈降、脱塩、電気化学的技法、遠心分離、浮選、またはそれらの組み合わせを介して、処理された生産流体中の水から油および固形物を分離することをさらに含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるREB組成物または多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物は、多重荷電カチオン性もしくはアニオン性化合物またはそれらの混合物、またはREB組成物を投与した後に、生産流体が約1ppm~約200ppm、約10~約200ppm、約10ppm~約150ppm、約10ppm~約75ppm、約10ppm~約100ppm、約10ppm~約120ppm、約200ppm、約180ppm、約160ppm、約140ppm、約120ppm、約100ppm、約80、約60ppm、約50ppm、約40ppm、またはそれらの間の任意の値の濃度の電荷カチオン性またはアニオン性化合物またはそれらの混合物(a charge cationic or anionic compound or mixture)を有するとき、本開示の実施例の項に記載するような従来のボトル試験で示すように、生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊することができる。
【0301】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」または「含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、または組成物の性能に影響しない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、約0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は、約0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は、約0.01重量%未満である。
【0302】
「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されると理解される。
【0303】
本開示の方法および組成物は、開示される組成物または方法の構成要素および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、方法および組成物が、追加の工程、構成要素、または成分が、特許請求の範囲に記載の方法および組成物の基本的かつ新規な特徴を著しく変更しない場合にのみ、その追加の工程、構成要素、または成分を含んでもよいことを意味する。
【実施例0304】
本開示の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本開示のある特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として与えられている。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本開示の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用法および条件にそれを適合するために本開示の実施形態の様々な変更および修正を行うことができる。したがって、本開示の実施形態の様々な修正は、本明細書に示され記載されているものに加えて、前述の記載から当業者には明らかとなるであろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0305】
実施例1
多重荷電カチオン性化合物1の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、96グラム)および水(20グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、テトラエチレンペンタミン(TEPA、12グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。この反応の進行を、ESI-MSおよび/またはNMR分光法によってモノマーの消費について監視した。REBとしてのその適用試験のために、得られた化合物1の水溶液をそのまま使用した。
【0306】
実施例2
多重荷電カチオン性化合物2の合成
この反応には、HuntsmanからのエチレンアミンE-100を使用した。E-100は、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ヘキサエチレンヘプタミン(HEHA)、および他の高分子量アミンの混合物である。E-100は、250~300g/モルの数平均分子量(Mn)を有する様々な直鎖、環状、および分岐鎖アミンの複合混合物である。
【0307】
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、60グラム)および水(20グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、エチレンアミンE-100(12グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物2の水溶液をそのまま使用した。
【0308】
実施例3
多重荷電カチオン性化合物3の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、70グラム)および水(20グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA、10グラム、99%)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物3の水溶液をそのまま使用した。
【0309】
実施例4
多重荷電カチオン性化合物4の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、130グラム)および水(20グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、ジエチレントリアミン(DETA、10グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物4の水溶液をそのまま使用した。
【0310】
実施例5
多重荷電カチオン性化合物5の合成
BASF Lupasol G20(重量平均分子量(Mw)およそ1,300g/モルを有するポリエチレンイミンの50%水溶液)を、この反応に使用した。
【0311】
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、78.55グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、Lupasol G20(50%、50グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物5の水溶液をそのまま使用した。
【0312】
実施例6
多重荷電カチオン性化合物6の合成
BASF Lupasol G100(重量平均分子量(Mw)およそ5000g/モルを有するポリエチレンイミンの50%水溶液)を、この反応に使用した。
【0313】
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、72.4グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、Lupasol G100(50%、50グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物6の水溶液をそのまま使用した。
【0314】
実施例7
生産流体中のエマルジョンを破壊するためのいくつかの例示的な多重荷電カチオン性ポリアミンの効果
いくつかの例示的な多重荷電カチオン性化合物の有効性を、3つの異なる現場からの生産流体を使用して試験した。例示的な多重荷電カチオン性化合物の試料IDおよび構造を表2に列挙する。
【表3】
【0315】
REBの有効性は、通常、特定の濃度のREBが添加された生産流体のエマルジョン安定性によって、生産現場に厳密に一致するシミュレーション条件で測定する。
【0316】
エマルジョン安定性は、従来のボトル試験を使用して最大90℃の相分離を測定することによって監視する。生産流体、例えばエマルジョン溶液(100mL)を、6オンスの処方用ガラスボトルに注ぎ、水浴内で目標のシステム温度まで加熱する。希釈剤を、通常、方法におけるある時点でエマルジョンに添加し、メカニカルシェーカを使用して低速で5分間混合するか、またはボトルを手で振って混合する。
【0317】
ボトル試験は、高温ボトル試験機器を使用して行った。このボトル試験機器は、任意の特定の生産現場での油/水分離のための従来の方法に適合する高温および高圧条件を達成することができる。ボトル試験機器は非常に単純な処理システムであり、石油生産施設で分離器、洗浄タンク、ヒータ処理機などを使用する複合処理システム内で起こることを正確に再現してはいないが、試験結果を施設にあるものと比較するためのものを可能にする。例えば、処理システムから出る油が0.5%のBS&W(ビチューメン、固形物、および水エマルジョン)しか含有していないと、REBのためのボトル試験からの油分析もこの結果に近いはずである。
【0318】
各顧客の機器、その配置、距離、温度、および化学物質の注入ポイントが異なるため、標準的なボトル試験条件はない。しかしながら、この例で使用されたボトル試験機器は、化学比、かき混ぜ、温度、および沈降時間を、生産施設の条件に適合するように調整することができる。
【0319】
生産流体は、この例で使用するために顧客のプロセスから収集した。試料の経年劣化がいくらか生じるが、この作業では、結果のばらつきを低減するために、ボトルに移して試験を開始する時間を最小限に抑えた。希釈剤試料を収集し、複数日にわたって使用した。
【0320】
ボトル試験については、約100mlの試料をボトルに添加した。次いで、EBをボトルに注入し(オイルカットに基づく速度)、ボトルを密封してボトル試験機器の中に置いた。次いで、試料を140℃などの温度まで加熱し、メカニカルシェーカを使用してボトルをかき混ぜた。REBおよび希釈剤をボトルに注入し、様々なかき混ぜ段階を完了した。水滴の読み取り値を所定の時間にわたって取得し、mLで記録し、次いで、シリンジを使用して試験温度および圧力で上部油の試料を採取した。この油試料を、キシレン、トルエン、または軽油(例えば、Varsol(商標))を含有する遠心分離管に添加した。混合物をよく振って混合し、次いで遠心分離した。次いで、BS&Wを測定した。水質を、外観検査および濁度を含む様々な技法を使用して検査した。通常、複合材料試料は、遊離水を除去し、穏やかに混合し、次いでキシレン、トルエン、または軽油(例えば、Varsol(商標))を有する遠心分離管に移すことにより、エマルジョンを測定した。試料をよく振ってよく混合し、次いで、遠心分離し、BS&Wを記録した。
【0321】
水の透明度は、11(部分的に逆破壊された)~1(約50NTU)の比較外観スケールでランク付けした。評点9は、1500NTUに相当すると考えることができ、評点4または5は、約500NTUに等しい。
【0322】
例示的な多重荷電ポリアミンおよびいくつかの既存のREBについての試験結果を、それぞれ3つの異なる現場での試験について表4、表5、および表6A~6Bに示す。表4、表5、および表6A~6Bでは、G=良好、F=普通、P=不良、VP=非常に不良である。「+」または「-」は、「G」、「P」、および「VP」の追加の修飾語句である。
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0323】
実施例8
多重荷電カチオン性化合物7の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、100グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、トリエチレンテトラミン(TETA、60%、15グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物7の水溶液をそのまま使用した。
【0324】
実施例9
多重荷電カチオン性化合物8の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、216グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、トリス(2-アミノエチル)アミン(95%、216グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物8の水溶液をそのまま使用した。
【0325】
実施例10
多重荷電カチオン性化合物9の合成
(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC、75%、199グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、エチレンジアミン(EDA、99%、11グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはAPTACの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物9の水溶液をそのまま使用した。
【0326】
実施例11
多重荷電カチオン性化合物10の合成
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(NaAMPS、58%、94グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、ジエチレンジアミン(DETA、99%、5グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはNaAMPSの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物10の水溶液をそのまま使用した。
【0327】
実施例12
多重荷電カチオン性化合物11の合成
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(NaAMPS、58%、70グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、トリエチレンペンタアミン(TEPA、99%、5グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはNaAMPSの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物11の水溶液をそのまま使用した。
【0328】
実施例13
多重荷電カチオン性化合物12の合成
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(NaAMPS、58%、50グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、エチレンジアミン(99%、50グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはNaAMPSの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物12の水溶液をそのまま使用した。
【0329】
実施例14
多重荷電カチオン性化合物13の合成
2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩(NaAMPS、58%、9.5グラム)を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、トリス(2-アミノエチル)アミン(95%、145グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはNaAMPSの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物13の水溶液をそのまま使用した。
【0330】
実施例15
多重荷電カチオン性化合物14の合成
ビニルスルホン酸ナトリウム塩(NaVS、25%、152グラム)溶液を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、ジエチレンジアミン(99%、6グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはNaVSの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物14の水溶液をそのまま使用した。
【0331】
実施例16
多重荷電カチオン性化合物15の合成
ビニルスルホン酸ナトリウム塩(NaVS、25%、113グラム)溶液を、磁気撹拌棒、温度プローブ、およびコンデンサを備えた250mLの3つ口RBFの中に充填した。次いで、エチレンアミンE-100(99%、9グラム)を、よく撹拌した反応混合物に室温で添加した。反応温度を80℃まで上げ、一晩またはNaVSの消費が98%を超えるまで撹拌した。適用試験のために、得られた化合物15の水溶液をそのまま使用した。
【0332】
本開示はこのように記載されているが、同じことが多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。かかる変動は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのかかる修正は、以下の特許請求の範囲の範疇内に含まれることが意図される。以下の項目[1]~[51]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
ポリアミン(マイケル供与体)と、以下の式のうちの1つによるイオン性基を有する活性化オレフィン(マイケル受容体)との間のアザ-マイケル付加反応から誘導される化合物であって、
【化27】
式中、
Xが、NHまたはOであり、
R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mが、2~4の整数であり、
R3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、
Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、式中、R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、
Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、
前記化合物が、2つ以上の正電荷を有する多重荷電カチオン性化合物、または2つ以上の負電荷を有する多重荷電アニオン性化合物である、化合物。
[2]
前記ポリアミンが、NH
2-[R
10’]
n-NH
2、(RNH)
n-RNH
2、H
2N-(RNH)
n-RNH
2、またはH
2N-(RN(R’))
n-RNH
2の一般式を有する直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリアミンであり、式中、R
10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
2~C
10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、Rが、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)CH
2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
4~C
10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)CH
2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
4~C
10アルキル基、RNH
2、RNHRNH
2、またはRN(RNH
2)
2であり、nが、2~1,000,000である、項目1に記載の化合物。
[3]
前記ポリアミンが、(i)未修飾ポリアミン、(ii)修飾ポリアミン、(iii)エトキシル化ポリアミン、プロピル化ポリアミン、ポリクアットを有するポリアミン、ポリグリセロールを有するポリアミン、もしくはそれらの組み合わせ、または(iv)直鎖、分岐鎖、または樹枝状のポリエチレンイミンである、項目1または2に記載の化合物。
[4]
前記ポリアミンが、(i)一級および二級アミン基のみ、(ii)一級、二級、および三級アミン基のみ、または(iii)一級および三級アミン基のみを含む、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物。
[5]
前記ポリアミンが、(i)NH
2-[R
10’]
n-NH
2(式中、R
10’が、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
2~C
10アルキレン基、またはそれらの組み合わせである)、(ii)(RNH)
n-RNH
2またはH
2N-(RNH)
n-RNH
2(式中、Rが、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)CH
2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
4~C
10アルキレン基、またはそれらの組み合わせである)、または(iii)H
2N-(RN(R’))
n-RNH
2(式中、Rが、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)CH
2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
4~C
10アルキレン基、またはそれらの組み合わせであり、R’が、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、-CH(CH
3)CH
2-、直鎖もしくは分岐鎖の非置換もしくは置換C
4~C
10アルキル基、RNH
2、RNHRNH
2、またはRN(RNH
2)
2である)の一般式を有するポリアミンである、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物。
[6]
前記活性化オレフィンが、(i)(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)もしくは[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、(ii)(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、[3-(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MCQ)、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド四級塩(DMAEA-BCQ)、2-(メタクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムメチルサルフェート(DMAEA-MSQ)、もしくは2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(DMAEA-MSQ)、または(iii)アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、イタコン酸、マレイン酸、3-(アリルオキシ)-2-ヒドロキシプロパン-1-スルホネート、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、またはそれらの混合物である、項目1~5のいずれか一項に記載の化合物。
[7]
前記ポリアミンが、約60~約2,000,000Da、または約60~約5,000Daの平均分子量(M
w)を有する、項目1~6のいずれか一項に記載の化合物。
[8]
前記化合物が、(i)単一分子、(ii)少なくとも2つの多重荷電カチオン性化合物もしくは少なくとも2つの多重荷電アニオン性化合物の混合物、(iii)同じポリアミンおよび前記活性化オレフィンから誘導された少なくとも2つの多重荷電カチオン性化合物もしくは少なくとも2つの多重荷電アニオン性化合物の混合物、または(iv)異なるポリアミンおよび同じ活性化オレフィンから誘導された少なくとも2つの多重荷電カチオン性化合物もしくは少なくとも2つの多重荷電アニオン性化合物の混合物である、項目1~7のいずれか一項に記載の化合物。
[9]
前記化合物が、約100~約2,000,000Da、または約100~約5,500Daの平均分子量を有する、項目1~8のいずれか一項に記載の化合物。
[10]
前記化合物が、(i)少なくとも10、15、20、もしくは30個の正電荷、(ii)少なくとも4、5、6、7、もしくは8個の正電荷、(iii)少なくとも10、15、20、もしくは30個の負電荷、または(iv)少なくとも4、5、6、7、もしくは8個の負電荷を有する、項目1~9のいずれか一項に記載の化合物。
[11]
前記化合物が、
【化28】
のうちの1つまたは複数であり、式中、n=0~1000である、項目1に記載の化合物。
[12]
前記化合物が、
【化29】
のうちの1つまたは複数である、項目1に記載の化合物。
[13]
前記化合物が、ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導され、前記ポリエチレンイミンが、直鎖PEIであり、約5,000の平均分子量(M
w)を有する、項目1に記載の化合物。
[14]
前記化合物が、ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導され、前記ポリエチレンイミンが、直鎖PEIであり、約750,000の平均分子量(M
w)を有する、項目1に記載の化合物。
[15]
前記化合物が、ポリエチレンイミンおよび(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)から誘導され、前記ポリエチレンイミンが、分岐鎖PEIであり、約25,000の平均分子量(M
w)を有する、項目1に記載の化合物。
[16]
前記化合物が、水溶性である、項目1~15のいずれか一項に記載の化合物。
[17]
化合物を合成するための方法であって、
化合物を生成するために、カチオン性基を有する活性化オレフィンとポリアミンを接触させることを含み、
前記活性化オレフィンが、以下の式のうちの1つによるものであり、
【化30】
式中、
Xが、NHまたはOであり、
R
2が、H、CH
3、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
2~C
10アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
R
2’が、H、CH
3、または非置換もしくは置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
10アルキル、アルケニル、アルキニル基、-COOH、-CH
2COOH、Y’、または-(CH
2)
m-Y’であり、mが、2~4の整数であり、
R
3が、存在しないか、または非置換の直鎖もしくは分岐鎖C
1~C
30アルキレン基であり、
Yが、-NR
4R
5R
6
(+)であり、
Y’が、-COOH、-SO
3H、-PO
3H、-OSO
3H、-OPO
3H、またはそれらの塩であり、
R
4、R
5、およびR
6が独立して、C
1~C
10アルキル基であり、
前記ポリアミンおよび活性化オレフィンが、アザ-マイケル付加反応を受け、前記化合物が、項目1~16のいずれか一項に記載のものである、方法。
[18]
前記接触ステップが、反応溶媒、反応溶媒およびアルカリ源、反応溶媒および酸、または反応溶媒および触媒の存在下で行われる、項目17に記載の方法。
[19]
前記反応溶媒が、水、メタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、PEG、またはそれらの混合物である、項目18に記載の方法。
[20]
前記接触ステップが、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で行われる、項目18に記載の方法。
[21]
前記接触ステップが、酸、塩基、アルカリ源、または触媒を含まずに行われる、項目18に記載の方法。
[22]
項目1~16のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物を含む物品、製品、または組成物。
[23]
前記物品、製品、または組成物が、担体をさらに含む、項目22に記載の物品、製品、または組成物。
[24]
前記物品、製品、または組成物が、水性の物品、製品、または組成物である、項目22または23に記載の物品、製品、または組成物。
[25]
前記担体が、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである、項目22または23に記載の物品、製品、または組成物。
[26]
追加の界面活性剤をさらに含み、前記追加の界面活性剤が、非イオン性、半非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、ジェミニ、界面活性剤、またはそれらの混合物である、項目22~25のいずれか一項に記載の物品、製品、または組成物。
[27]
石油およびガス生産システムからの生産流体中の逆エマルジョンを分解する方法であって、
処理された生産流体を生成するために、石油生産システムの生産流体を逆エマルジョン破壊(REB)組成物と接触させることを含み、
前記逆エマルジョン破壊組成物が、項目1~16のいずれか一項に記載の1つまたは複数の化合物またはそれらの塩と、
1つまたは複数の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤と、を含む、方法。
[28]
前記逆エマルジョン破壊組成物が、前記生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する、項目27に記載の方法。
[29]
前記生産流体が、水中油型エマルジョン、水中油中水型エマルジョン、またはその両方を含む、項目27または28に記載の方法。
[30]
前記生産流体が、(i)原油、精製油、ビチューメン、凝縮物、廃油、留出物、燃料、またはそれらの混合物を含む、(ii)蒸気支援重力排水(SAGD)プロセスからであり、前記生産流体が、ビチューメンおよび水を含む、または(iii)随伴水であり、前記随伴水が、油および汚れが除去された後の前記生産流体の水部分である、項目27または28に記載の方法。
[31]
前記化合物が、3~100個、または3~15個の平均正味電荷を有する、項目27~30のいずれか一項に記載の方法。
[32]
前記REB組成物が、担体をさらに含み、前記担体が、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである、項目27~31のいずれか一項に記載の方法。
[33]
前記担体が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである、項目32に記載の方法。
[34]
前記REB組成物が、追加の逆エマルジョン破壊組成物剤のうちの1つまたは複数をさらに含む、項目27~33のいずれか一項に記載の方法。
[35]
前記REB組成物が、約30重量%~約70重量%の前記化合物またはその塩を含む、項目27~34のいずれか一項に記載の方法。
[36]
前記化合物が、前記REB組成物が前記生産流体に適用された後、前記処理された生産流体中に約0.5ppm~約100ppmまたは約5ppm~約60ppmの濃度を有する、項目27~35のいずれか一項に記載の方法。
[37]
前記方法が、前記生産流体をエマルジョン破壊剤または追加の逆エマルジョン破壊(REB)剤と接触させることをさらに含み、前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、独立して、同時に、または逐次的に前記生産流体と接触する、項目27~36のいずれか一項に記載の方法。
[38]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、前記REB組成物中の化合物によって、または別の組成物を介して、前記生産流体と接触する、項目37に記載の方法。
[39]
前記追加のREB剤が、
【化31】
モノマーを含む、約20,000~約20,000,000Daの平均分子量を有するターポリマーであり、式中、R
31、R
32、およびR
33が独立して、水素またはアルキルであり、R
34、R
35、R
36、R
37、およびR
38が独立して、アルキルであり、pが、1~6の整数であり、m、n、およびoが、整数である、項目37または38に記載の方法。
[40]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、別の高分子カチオン性、アニオン性、非イオン性、無機凝固剤/凝集剤、またはオキシアルキル化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、樹脂エステル、オキシアルキル化ポリアルキルアミン、ポリオール、二官能性もしくは多官能性架橋剤を有する架橋ポリオール、イソシアネート、酸、またはそれらの組み合わせである、項目37または38に記載の方法。
[41]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、樹枝状ポリアミン、樹枝状ポリアミドアミン、超分岐鎖ポリエチレンイミン、それらとグルコノラクトン、アルキレンオキシド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、および硫酸ジアルキルとの反応生成物、またはそれらの混合物を含む、項目37または38に記載の方法。
[42]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、ポリエピハロヒドリン、その高分子電解質、トリジチオカルバミン酸、ジチオカルバミン酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、塩化ベンジル四級塩、高分子四級アンモニウムベタイン、金属塩、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、高分子四級アンモニウム塩、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体、またはそれらの混合物を含む、項目37または38に記載の方法。
[43]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000Daの平均分子量(M
w)を有し、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10~1,000個の平均正味電荷を有する、項目37または38に記載の方法。
[44]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000Daの平均分子量を有し、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、3~10個の正味電荷を有する、項目37または38に記載の方法。
[45]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000の分子量を有し、前記高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤が、10~1,000個の正味電荷を有する、項目37または38に記載の方法。
[46]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000の分子量を有し、前記低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤が、3~10個の正味電荷を有する、項目37または38に記載の方法。
[47]
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000の分子量、または低分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤を有し、前記低分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000の分子量を有する、項目37または38に記載の方法。
[48]
前記逆エマルジョン破壊組成物が、希釈剤をさらに含む、項目27~47のいずれか一項に記載の方法。
[49]
前記方法が、濾過、沈降、脱塩、電気化学的技法、遠心分離、浮選、またはそれらの組み合わせを介して、前記処理された生産流体中の水から油および固形物を分離することをさらに含む、項目27~47のいずれか一項に記載の方法。
[50]
項目1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩と、1つまたは複数の追加の逆エマルジョン破壊組成物剤と、を含む、逆エマルジョン破壊組成物。
[51]
前記逆エマルジョン破壊組成物が、前記生産流体中の水中油型エマルジョンを破壊する、項目50に記載の逆エマルジョン破壊組成物。
前記生産流体が、(i)原油、精製油、ビチューメン、凝縮物、廃油、留出物、燃料、またはそれらの混合物を含む、(ii)蒸気支援重力排水(SAGD)プロセスからであり、前記生産流体が、ビチューメンおよび水を含む、または(iii)随伴水であり、前記随伴水が、油および汚れが除去された後の前記生産流体の水部分である、請求項1又は2に記載の方法。
前記REB組成物が、担体をさらに含み、前記担体が、水、アルコール、アルキレングリコール、アルキレングリコールアルキルエーテル、またはそれらの組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
前記担体が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、モノエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の方法。
前記化合物が、前記REB組成物が前記生産流体に適用された後、前記処理された生産流体中に約0.5ppm~約100ppmまたは約5ppm~約60ppmの濃度を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
前記方法が、前記生産流体をエマルジョン破壊剤または追加の逆エマルジョン破壊(REB)剤と接触させることをさらに含み、前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、独立して、同時に、または逐次的に前記生産流体と接触する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、別の高分子カチオン性、アニオン性、非イオン性、無機凝固剤/凝集剤、またはオキシアルキル化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、樹脂エステル、オキシアルキル化ポリアルキルアミン、ポリオール、二官能性もしくは多官能性架橋剤を有する架橋ポリオール、イソシアネート、酸、またはそれらの組み合わせである、請求項11又は12に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、樹枝状ポリアミン、樹枝状ポリアミドアミン、超分岐鎖ポリエチレンイミン、それらとグルコノラクトン、アルキレンオキシド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化ベンジル、および硫酸ジアルキルとの反応生成物、またはそれらの混合物を含む、請求項11又は12に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、ポリエピハロヒドリン、その高分子電解質、トリジチオカルバミン酸、ジチオカルバミン酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド、塩化ベンジル四級塩、高分子四級アンモニウムベタイン、金属塩、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、高分子四級アンモニウム塩、アクリル酸とアクリルアミドの共重合体、またはそれらの混合物を含む、請求項11又は12に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000Daの平均分子量(Mw)を有し、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10~1,000個の平均正味電荷を有する、請求項11又は12に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤であり、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000Daの平均分子量を有し、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、3~10個の正味電荷を有する、請求項11又は12に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000の分子量を有し、前記高分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤が、10~1,000個の正味電荷を有する、請求項11又は12に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤であり、前記低分子量の高分子カチオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000の分子量を有し、前記低分子量の高分子アニオン性凝固剤/凝集剤が、3~10個の正味電荷を有する、請求項11又は12に記載の方法。
前記エマルジョン破壊剤または前記追加のREB剤が、高分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤であり、前記高分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤が、100,000~2,000,000の分子量、または低分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤を有し、前記低分子量の高分子非イオン性凝固剤/凝集剤が、10,000~100,000の分子量を有する、請求項11又は12に記載の方法。
前記方法が、濾過、沈降、脱塩、電気化学的技法、遠心分離、浮選、またはそれらの組み合わせを介して、前記処理された生産流体中の水から油および固形物を分離することをさらに含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。