(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093464
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】スクリーンコンテンツ符号化のためのイントラブロックコピーモード
(51)【国際特許分類】
H04N 19/70 20140101AFI20230627BHJP
H04N 19/593 20140101ALI20230627BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/593
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049778
(22)【出願日】2023-03-27
(62)【分割の表示】P 2020106916の分割
【原出願日】2016-06-08
(31)【優先権主張番号】62/297,736
(32)【優先日】2016-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/172,645
(32)【優先日】2015-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/241,708
(32)【優先日】2015-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
(71)【出願人】
【識別番号】514041959
【氏名又は名称】ヴィド スケール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオユ・シウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・イエ
(72)【発明者】
【氏名】ユーウェン・ヘ
(57)【要約】
【課題】ビデオを符号化するためのシステム、方法および手段が述べられる。
【解決手段】現在画像のビデオブロックは、IBCモードで符号化される。重み付き予測は、IBC符号化されたスクリーンコンテンツビデオブロックに対して無効にされる。IBC符号化されたビデオブロックの色度成分に対して小数ブロックベクトルが用いられる。ビデオブロックに対する色度予測サンプルを生成するために、補間フィルタが利用される。IBC符号化されたビデオブロックに関連付けられた基準画像リストL0および基準画像リストL1の両方に、現在の基準画像の復号されたバージョンが追加される。制約されたイントラ予測が適用されるとき、イントラ符号化されたビデオブロックを予測するために用いられ得る基準サンプルは、イントラ符号化された隣接ブロック内のものに限定される。IBC探索の範囲は、ブロックベクトルに対する最大絶対値を課すことによって制限される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ復号方法であって、
イントラブロックコピー(IBC)モードが現在画像の現在の符号化単位(CU)について有効であるかどうかを判定することと、
IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、
前記現在画像の復号されたバージョンを表す基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第1の基準画像リストに追加することと、
双方向予測も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第2の基準画像リストに追加することと、
制約されたイントラ予測(CIP)も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記現在のCUに対してTMVP(temporal motion vector prediction)を有効にすることと、
前記現在のCUを復号することと
を備える方法。
【請求項2】
前記現在のCUは、前記IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、重み付け予測なしで復号される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記現在のCUに対する予測モードがイントラモードであり、およびCIPが前記現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記ビデオ復号方法は、隣接基準サンプルが前記現在のCUを予測するのに利用できるかどうかを、前記現在のCUの隣接基準サンプルの符号化モードに基づいて判定することをさらに含み、前記隣接基準サンプルは、前記隣接基準サンプルがIBCモードで符号化されているという条件で、前記現在のCUを予測するのに利用できないと判定される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記ビデオ復号方法は、
前記現在のCUについての色度ブロックベクトルを導出することと、
前記色度ブロックベクトルが小数画素解像度を有していることを判定することと、
前記色度ブロックベクトルが小数画素解像度を有していると判定することに応じて、それぞれの整数サンプル位置にある前記現在のCUに関連付けられる1つまたは複数の色度基準サンプルに補間フィルタを適用することによって前記現在のCUについての色度基準サンプルを導出することと
をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項5】
前記整数サンプル位置にある前記1つまたは複数の色度基準サンプルに前記補間フィルタを適用することは、1つまたは複数の色度基準サンプルが前記現在画像の復号された領域にあり、かつ前記現在のCUと同じスライスまたはタイルにあると判定することをさらに備える、請求項4の方法。
【請求項6】
イントラブロックコピー(IBC)モードが現在画像の現在の符号化単位(CU)について有効であるかどうかを判定することと、
IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、
前記現在画像の復号されたバージョンを表す基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第1の基準画像リストに追加することと、
双方向予測も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第2の基準画像リストに追加することと、
制約されたイントラ予測(CIP)も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記現在のCUに対してTMVP(temporal motion vector prediction)を有効にすることと、
前記現在のCUを復号することと
を行うように構成されたプロセッサを備えた、ビデオ復号デバイス。
【請求項7】
前記IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記プロセッサは、前記現在のCUを重み付け予測なしで復号するように構成される、請求項6のビデオ復号デバイス。
【請求項8】
前記現在のCUに対する予測モードがイントラモードであり、およびCIPが前記現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記プロセッサは、隣接基準サンプルが前記現在のCUを予測するのに利用できるかどうかを、前記現在のCUの隣接基準サンプルの符号化モードに基づいて判定するようにさらに構成され、前記隣接基準サンプルは、前記隣接基準サンプルがIBCモードで符号化されているという条件で、前記現在のCUを予測するのに利用できないと判定される、請求項6のビデオ復号デバイス。
【請求項9】
前記IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記プロセッサは、
前記現在のCUについての色度ブロックベクトルを導出することと、
前記色度ブロックベクトルが小数画素解像度を有していることを判定することと、
前記色度ブロックベクトルが小数画素解像度を有していると判定することに基づいて、それぞれの整数サンプル位置にある前記現在のCUに関連付けられる1つまたは複数の色度基準サンプルに補間フィルタを適用することによって前記現在のCUについての色度基準サンプルを導出することと
を行うようにさらに構成される、請求項6のビデオ復号デバイス。
【請求項10】
前記整数サンプル位置にある前記1つまたは複数の色度基準サンプルに前記補間フィルタを適用するように構成された前記プロセッサは、1つまたは複数の色度基準サンプルが前記現在画像の復号された領域にあり、かつ前記現在のCUと同じスライスまたはタイルにあると判定するように構成される、請求項9のビデオ復号デバイス。
【請求項11】
ビデオ符号化方法であって、
イントラブロックコピー(IBC)モードが現在画像の現在の符号化単位(CU)について有効であるかどうかを判定することと、
IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、
前記現在画像の復号されたバージョンを表す基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第1の基準画像リストに追加することと、
双方向予測も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第2の基準画像リストに追加することと、
制約されたイントラ予測(CIP)も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記現在のCUに対してTMVP(temporal motion vector prediction)を有効にすることと、
前記現在のCUを符号化することと
を備える方法。
【請求項12】
前記現在のCUに対する予測モードがイントラモードであり、およびCIPが前記現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記ビデオ符号化方法は、隣接基準サンプルが前記現在のCUを予測するのに利用できるかどうかを、前記現在のCUの隣接基準サンプルの符号化モードに基づいて判定することをさらに含み、前記隣接基準サンプルは、前記隣接基準サンプルがIBCモードで符号化されているという条件で、前記現在のCUを予測するのに利用できないと判定される、請求項11の方法。
【請求項13】
イントラブロックコピー(IBC)モードが現在画像の現在の符号化単位(CU)について有効であるかどうかを判定することと、
IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、
前記現在画像の復号されたバージョンを表す基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第1の基準画像リストに追加することと、
双方向予測も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記基準画像を、前記現在画像に関連付けられる第2の基準画像リストに追加することと、
制約されたイントラ予測(CIP)も前記現在のCUについて有効であるという条件で、前記現在のCUに対してTMVP(temporal motion vector prediction)を有効にすることと、
前記現在のCUを復号することと
を行うように構成されたプロセッサを備えた、ビデオ符号化デバイス。
【請求項14】
前記現在のCUに対する予測モードがイントラモードであり、およびCIPが前記現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記プロセッサは、隣接基準サンプルが前記現在のCUを予測するのに利用できるかどうかを、前記現在のCUの隣接基準サンプルの符号化モードに基づいて判定するようにさらに構成され、前記隣接基準サンプルは、前記隣接基準サンプルがIBCモードで符号化されているという条件で、前記現在のCUを予測するのに利用できないと判定される、請求項13のビデオ符号化デバイス。
【請求項15】
前記IBCモードが現在のCUについて有効であるという判定に基づいて、前記プロセッサは、
前記現在のCUについての色度ブロックベクトルを導出することと、
前記色度ブロックベクトルが小数画素解像度を有していることを判定することと、
前記現在画像の復号された領域のそれぞれの整数サンプル位置にあり、かつ前記現在のCUと同じスライスまたはタイルにある前記現在のCUに関連付けられる1つまたは複数の色度基準サンプルに補間フィルタを適用することによって前記現在のCUについての色度基準サンプルを導出することと
を行うようにさらに構成される、請求項13のビデオ符号化デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンコンテンツ符号化のためのイントラブロックコピーモードに関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、2015年6月8日に出願された米国特許仮出願第62/172,645号明細書、2015年10月14日に出願された米国特許仮出願第62/241,708号明細書、および2016年2月19日に出願された米国特許仮出願第62/297,736号明細書の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレスディスプレイおよびクラウドコンピューティングなどのビデオアプリケーションの使用が急速に増大していることにより、スクリーンコンテンツ符号化(SCC)はますます重要になってきている。スクリーンコンテンツビデオは、通常テキストおよびグラフィックスなどのコンピュータによって生成されるコンテンツを備え、従って自然コンテンツ(例えばカメラによって捕捉されたビデオ)とは異なる特性を有することができる。効率的に符号化されることができるように、スクリーンコンテンツの特有の特性を利用するようにシステム、方法、および手段が設計されることができる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、ビデオ(例えばスクリーンコンテンツビデオ)を符号化するためのシステム、方法、および手段が述べられる。現在画像のビデオブロックの符号化時に、重み付き予測が有効(enable)または無効(disable)にされることができる。例えばビデオブロックがイントラブロックコピー(IBC)モードで符号化される場合、重み付き予測は無効にされることができる。ビデオブロックに対してIBCモードが有効にされたかどうかは、現在画像に関連付けられた画像順序カウントを、現在画像の基準画像に関連付けられた画像順序カウントと比較することによって決定されることができる。2つの画像順序カウントが互いに異なる場合、IBCモードは有効にされることができないこと、および重み付き予測が適用されることができるとの決定がなされることができる。重み付き予測が適用されるとき、ビデオブロックに関連付けられたビデオビットストリームは、ビデオビットストリームにおいてシグナリングされた1つまたは複数の重み付き予測パラメータを用いて生成されることができる。いくつかの実施形態において、IBCモードおよび重み付き予測に関する決定がなされることができる前に、さらに現在画像に関連付けられたレイヤIDと、基準画像に関連付けられたレイヤIDとの比較が行われることができる。より具体的には、現在画像および基準画像のそれぞれのレイヤIDが異なる場合、または現在画像および基準画像のそれぞれの画像順序カウントが異なる場合、IBCモードは有効にされることができないこと、および重み付き予測は適用されることができる(例えば1つまたは複数の重み付き予測パラメータがシグナリングされることができる)との決定がなされることができる。
【0005】
IBC符号化されたビデオブロックに対して色度基準サンプルを識別するために、小数ブロックベクトルが用いられることができる。色度基準サンプルに基づいてビデオブロックに対する色度予測サンプルを生成するために、補間フィルタリング処理が利用されることができる。さらにIBCモードが有効にされたとき、現在画像の基準画像リストL0および基準画像リストL1の両方に、擬似基準画像(例えば現在画像の復号されたバージョン)が追加されることができる。制約されたイントラ予測(CIP)が適用されることができる。CIPの適用は、例えばイントラ符号化された隣接ブロックからのサンプルのみを用いて、イントラ符号化されたビデオブロックを予測することを含む、いくつかの制限に準拠することができる。
【0006】
本明細書で述べられるビデオ符号化デバイスは、ビデオエンコーダおよび/またはビデオデコーダを含むことができる。本明細書で述べられるシステム、方法、および手段は、スクリーンコンテンツビデオを符号化することに限定されず、他のビデオコンテンツを符号化するためにも適用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
より詳細な理解は、添付の図面と共に例として示される以下の説明から得られることができる。
【0008】
【
図1】本明細書で述べられる1つまたは複数の例による例示のビデオエンコーダの図である。
【
図2】本明細書で述べられる1つまたは複数の例による例示のビデオデコーダの図である。
【
図3】フルフレームイントラブロックコピー探索の例を示す図である。
【
図4】局所的イントラブロックコピー探索の例を示す図である。
【
図5A】色度成分に対する例示のBVクリッピング動作を示す図である。
【
図5B】隣接したスライスの基準サンプルは、小数色度サンプル補間のために使用可能となることができないことを示す図である。
【
図5C】小数色度サンプル補間のためのスライス境界交差サンプルパディングの例を示す図である。
【
図5D】色度成分の例示のBVクリッピング動作を示す図である。
【
図6】どのようにエラーが、インター符号化された基準ブロックから、制約されたイントラ予測(CIP)を用いて符号化されている現在のブロックに伝搬することができるかを示す図である。
【
図7】CIPが有効にされたときにイントラ予測を行う例示の方法を示す図である。
【
図8A】1つまたは複数の開示される実施形態が実施されることができる、例示の通信システムの図である。
【
図8B】
図8Aに示される通信システム内で用いられることができる、例示のワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)のシステム図である。
【
図8C】
図8Aに示される通信システム内で用いられることができる、例示の無線アクセスネットワークおよび例示のコアネットワークのシステム図である。
【
図8D】
図8Aに示される通信システム内で用いられることができる、他の例示の無線アクセスネットワークおよび例示のコアネットワークのシステム図である。
【
図8E】
図8Aに示される通信システム内で用いられることができる、他の例示の無線アクセスネットワークおよび例示のコアネットワークのシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に例示的実施形態の詳細な説明が、様々な図に関連して述べられる。この説明は可能な実装形態の例をもたらすが、例は本出願の範囲を限定するものではないことが留意されるべきである。さらに本明細書で述べられるようなビデオ符号化デバイスは、ビデオエンコーダおよび/またはビデオデコーダを含むことができる。
【0010】
図1は、1つまたは複数の開示される実施形態が実施されることができる、例示のビデオエンコーダ100の図である。ビデオエンコーダ100は、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、H.264/MPEG-4 Advanced Video Coding(AVC)、および/または高効率ビデオ符号化(HEVC)などの国際的ビデオ符号化標準に適合することができる。ビデオエンコーダ100は、スタンドアロンユニット、またはビデオブロードキャストシステム、ケーブルシステム、ネットワークベースのビデオストリーミングサービス、ゲームアプリケーションおよび/またはサービス、マルチメディア通信システム、および/または多様な他のアプリケーションおよびサービスの一部とすることができる。ビデオエンコーダ100は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにおいて実施されることができる。例えばビデオエンコーダ100は、1つまたは複数の専用プロセッサ、汎用プロセッサ、グラフィックス処理装置(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、状態機械などを利用することができる。ビデオエンコーダ100の1つまたは複数の構成要素は、コンピュータまたはプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に組み込まれた、ソフトウェアまたはファームウェアを用いて実施されることができる。コンピュータ可読媒体の例は、電子信号(有線または無線接続を通して送信される)、および読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体(例えば内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスク)、光磁気媒体、光媒体(例えばCD-ROMディスク)、およびデジタル多用途ディスク(DVD)などのコンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0011】
図1に示されるようにビデオエンコーダ100は、空間的予測ユニット104、時間的(または動き)予測ユニット106、基準画像記憶部108、動き決定および制御論理ユニット110、変換ユニット112、逆変換ユニット113、量子化ユニット114、逆量子化ユニット115、走査ユニット(図示せず)、エントロピー符号化ユニット116、および/またはループフィルタ124を含むことができる。
図1はビデオエンコーダ100が、本明細書で述べられる構成要素のそれぞれの1つのユニットのみを有するように示すが、当業者は本明細書で述べられる機能を実施するために構成要素の1つまたは複数の、複数のユニットが用いられることができることを理解するであろう。
【0012】
ビデオエンコーダ100は、入力ビデオ信号102を受信するように構成されることができる。入力ビデオ信号102は、標準の解像度(例えば640×880)または高解像度(例えば1920×1080以上)を有することができる。ビデオエンコーダ100は、入力ビデオ信号102をブロックごとに処理することができる。各ビデオブロックは、本明細書ではMACブロック(「MB」)または「符号化ツリー単位」(CTU)と呼ばれることができ、4×4画素、8×8画素、16×16画素、32×32画素、または64×64画素を含む複数のサイズを有することができる。拡張されたブロックサイズ(例えば64×64、32×32、および16×16画素のCTU)は、高解像度ビデオ信号(例えば1080以上)を圧縮するために用いられることができる。拡張されたブロックサイズは、シーケンスレベルで選択され、シーケンスパラメータセット(SPS)においてシグナリングされることができる。拡張されたブロックサイズ(例えばCTU)は、例えば4分木分割によって1つまたは複数の符号化単位(CU)に分割されることができる。CU(例えば64×64画素のCU)は、予測単位に分割されることができる。ビデオエンコーダ100は、例えばビデオブロック内に固有の冗長性および無関係性を活用して、圧縮および/または配信されるために必要な情報の量を低減するように、各ビデオブロックに対して予測(例えばイントラまたはインター予測)を行うことができる。例においてビデオエンコーダ100は、予測をCUレベルで適用することができる。CUが予測単位に分割されたとき、個別の予測が予測単位に適用されることができる。
【0013】
ビデオエンコーダ100は、空間的予測ユニット104において、現在のビデオブロックに対して空間的予測を行うように構成されることができる。このような予測方法は、ビデオエンコーダ100が、例えば同じビデオフレームの1つまたは複数の前に符号化された隣接ブロックからの画素を用いて、現在のビデオブロックの画素を予測することを可能にすることができる(予測のために用いられるブロックは、本明細書では「予測ブロック」と呼ばれることができる)。隣接ブロックの画素は、例えば関連のあるビデオフレームは滑らかに変化する強度の、多くの領域を含むことができるので、現在のビデオブロックの画素に対して高度に相関性を有することができる。従って空間的予測を用いることによってビデオエンコーダ100は、現在のビデオブロックから一定の空間的冗長性を除去し、空間的に予測されることができない残差画素のみを符号化すること可能になることができる。例示の空間的予測方法は、イントラ予測、イントラブロックコピー予測(IBC)などを含むことができる。イントラ予測は、現在のフレーム(例えばいずれの他のフレームにも関係しない)から、隣接した前に符号化された画素サンプル(例えばサンプルの列または行)を用いて、特定のサンプル値を予測することができる。IBC予測は、現在のフレームから、前に符号化されたサンプルのブロックを用いて、ブロック全体に対してサンプル値を予測することができる。
【0014】
空間的予測に加えてまたはその代わりにビデオエンコーダ100は、時間的予測ユニット106を用いてビデオブロックに、時間的予測(例えば「インター予測」または「動き補償された予測」)を適用することができる。時間的予測は、通常のビデオシーケンスは1つのフレームから次のフレームには急速に変化しないので、2つの隣接するビデオフレームは高い時間的冗長性を有することができるという現象をうまく利用することができる。それに従ってビデオエンコーダ100は、前に符号化されたビデオフレームから1つまたは複数の予測ブロックを用いて、現在のビデオブロックを予測することができ、その結果ビデオ信号102に固有の時間的冗長性が除去されることができる。例においてビデオエンコーダ100は、例えば1つまたは複数の動きベクトルを用いて、現在のビデオブロックとその予測ブロックとの間の動きの量および方向を計算および/またはシグナリングし、計算された動き情報を利用してさらに予測の効率を改善するように構成されることができる。1つまたは複数の例においてビデオエンコーダ100は、複数の基準画像をサポートし、各符号化されたビデオブロックに基準画像インデックスを割り当てることができる。ビデオエンコーダ100は、ビデオブロックの基準画像インデックスに基づいて、基準画像記憶部108のどの基準画像および/または基準ビデオブロックから、時間的予測信号が生じることができるかを決定することができる。基準画像インデックスはシグナリングされることができる。
【0015】
ビデオエンコーダ100は、モード決定および制御論理ユニット110に記憶された論理に基づいて、予測モードを選択することができる。選択処理において、例えばレート-歪み最適化(RDO)基準および/またはビットレート要件を含む複数の要因が考慮されることができる。1つまたは複数の例においてビデオエンコーダ100は、その絶対変換差(SATD)の和が最小となる予測モードを選ぶことができる。1つまたは複数の例においてビデオエンコーダ100は、最も小さなレート歪みコストを有する予測モードを選択することができる。様々な他の技法も可能となることができ、そのすべては本開示の範囲内である。
【0016】
本明細書で述べられる様々な予測方法は、予測残差を発生することができる(例えば現在のビデオブロックから予測ブロックを減算することによって)。予測残差は、高度に相関性がある画素の大きなセットを備えることができる。ビデオエンコーダ100は、予測残差を相関性が少ない(例えば相関性がない)係数(本明細書では「変換係数」と呼ばれる)のより小さなセットに変換(例えば変換ユニット112によって)および量子化(例えば量子化ユニット114によって)した後、これらの変換係数を走査して(例えば本明細書で述べられる走査ユニットによって)係数の一次元シーケンスとし、シーケンスをエントロピー符号化ユニット116に供給する。1つまたは複数の例においてビデオエンコーダ100は、符号化モード、予測モード、動き情報、残差差分パルス符号変調(RDPCM)モード、および/または他の符号化パラメータなどの追加の情報を、エントロピー符号化ユニット116に渡すことができる。追加の情報は、変換係数と共に圧縮およびパックされ、ビデオビットストリーム120に送られることができる。変換係数は、逆量子化され(例えば逆量子化ユニット115において)、逆変換され(例えば逆変換ユニット112において)、およびビデオブロックを復元する(reconstruct)ように予測ブロックに足し戻されることができる。非ブロック化フィルタリングおよび適応ループフィルタリングなどのインループフィルタリング124は、復元されたビデオブロックに、それが将来のビデオブロックを符号化するために基準画像記憶部108に置かれる前に、適用されることができる。
【0017】
図2は、1つまたは複数の開示される実施形態が実施されることができる例示のビデオデコーダ200の図である。例示のビデオデコーダ200は、ビットストリーム202の受信端に位置することができ、例えばパブリックネットワーク(例えばインターネット)、内部ネットワーク(例えば企業イントラネット)、仮想プライベートネットワーク(「VPN」)、セルラネットワーク、ケーブルネットワーク、シリアル通信リンク、RS-485通信リンク、RS-232通信リンク、内部データバスなどを含む多様な輸送媒体を通して、ビットストリーム202を受信することができる。ビデオデコーダ200は、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、H.264/MPEG-4 Advanced Video Coding(AVC)、および/または高効率ビデオ符号化(HEVC)などの国際的ビデオ標準に適合する、ブロックベースの復号方法を利用することができる。ビデオデコーダ200は、スタンドアロンユニット、またはコンピュータデバイス、モバイルデバイス、テレビジョンシステム、ゲーム機およびアプリケーション、マルチメディア通信システム、および/または多様な他のデバイスおよびアプリケーションの一部とすることができる。ビデオデコーダ200は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにおいて実施されることができる。例えばビデオデコーダ200は、1つまたは複数の専用プロセッサ、汎用プロセッサ、グラフィックス処理装置(GPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、状態機械などを利用することができる。ビデオデコーダ200の1つまたは複数の構成要素は、コンピュータまたはプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に組み込まれた、ソフトウェアまたはファームウェアを用いて実施されることができる。コンピュータ可読媒体の例は、電子信号(有線または無線接続を通して送信される)、および読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体(例えば内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスク)、光磁気媒体、光媒体(例えばCD-ROMディスク)、およびデジタル多用途ディスク(DVD)などのコンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0018】
ビデオデコーダ200は、ビデオ信号のエンコードされたバージョン(例えばビデオエンコーダ100によって発生されたものなど)に基づいて、ビデオ信号を復元するように動作可能となることができる。復元処理は、エンコードされたビデオ(例えばSCCビデオ)のブロックを受信すること、ビデオブロックをエンコードするために用いられる予測ブロックを取得すること、ビデオブロックの予測残差を回復すること、およびもとのビデオブロックを復元することを含むことができる。従ってビデオデコーダ200は、ビデオエンコーダ100のものと逆の機能を行う構成要素を備えることができる。例えば
図2に示されるようにビデオデコーダ200は、エントロピー復号ユニット204、空間的予測ユニット206、時間的予測ユニット208、逆量子化ユニット210、逆変換ユニット212、ループフィルタ214、および/または基準画像記憶部216を備えることができる。ビデオデコーダ200は、エントロピー復号ユニット204においてビデオビットストリーム202を受信することができる。エントロピー復号ユニット204は、ビットストリーム202をアンパックし、エントロピー復号することができ、それからエントロピー復号ユニット204は、ビデオエンコーダ100の変換ユニット112、量子化ユニット114、および/または走査ユニットによって発生された、変換係数などの情報を抽出することができる。ビデオブロックをエンコードするために用いられた符号化モード、予測モード、RDPCMモード、および/または他のパラメータを含む追加の情報も抽出されることができる。抽出された情報のいくつかは、予測ブロックを取得するために、空間的予測ユニット206(例えばビデオ信号がイントラ符号化またはIBC符号化された場合)、および/または時間的予測ユニット208(例えばビデオ信号がインター符号化された場合)に送られることができる。変換係数ブロックは、ビデオブロックの予測残差を導出するために再構築され、逆量子化(例えば逆量子化ユニット210において)され、および逆変換(例えば逆変換ユニット212において)されることができる。ビデオデコーダ200は、残差ビデオブロックおよび予測ブロックを組み合わせて、ビデオブロックをそのもとの形に復元することができる。
【0019】
ビデオデコーダ200は、復元されたビデオブロックに、例えばループフィルタ214において、インループフィルタリングを適用することができる。例えば非ブロック化フィルタリングおよび適応ループフィルタリングを含む、様々なインループフィルタリング技法が用いられることができる。復元およびフィルタリングの後にビデオデコーダ200は、復元されたビデオ218を基準画像記憶部216に置くことができ、その後、基準画像記憶部216のビデオブロックを用いて、他のイメージを符号化し、および/またはディスプレイデバイスを駆動することができる。本明細書で述べられるように、同様な復元およびインループフィルタリングはまたビデオエンコーダ100において、例えば逆量子化ユニット115、逆変換ユニット113、ループフィルタ124、および/または基準画像記憶部108によって生じることができる。
【0020】
ビデオを符号化するために、様々な技法および/またはツールが用いられることができる。これらの技法および/またはツールは、例えばIBC、パレット符号化、適応色変換(ACT)、および適応動きベクトル精度を含むことができる。IBCはブロックマッチング技法である。IBCの例示の実装形態において現在のビデオブロックは、同じ画像の隣接した領域/エリアにおける、前に復元されたブロック(例えば基準ブロック)からの変位として予測されることができる。変位は、例えばブロックベクトル(BV)によって測定されおよび/または表されることができる。符号化システム(例えばエンコーダ100)は、様々な探索技法を使用して、BVおよび/または対応する基準ブロックを識別することができる。例えば符号化性能とメモリ帯域幅複雑さとの間のトレードオフを達成するために、符号化システムは、基準ブロックを識別するためにフルフレームIBC探索または局所的IBC探索を行うように構成されることができる。
【0021】
図3は、フルフレームIBC探索の例を示す。ブロック302は、符号化される現在のブロックを表すことができる。空白および網掛けエリアは、それぞれ符号化されたおよび符号化されていないエリアを表すことができる。フルフレームIBC探索オプションは、符号化システム(例えばエンコーダ100)の構成時に指定されることができる。フルフレームIBC探索オプションのもとでは基準ブロック304は、現在画像内の前に復元された画素の中から識別されることができる(例えば復元された現在画像内の画素のすべてから)。基準ブロック304の位置を特定するようにBV306を決定するために、および/またはエンコーディング複雑さを制御するために、ハッシュをベースとするIBC探索技法が使用されることができる。前に復元されたエリアのサンプルは、インループフィルタリングの前に、エンコーディングおよび/または復号処理時に保持されることができる(例えば非ブロック化および/またはサンプル適応オフセット(SAO))。
【0022】
図4は、局所的IBC探索の例を示す。局所的IBC探索オプションは、エンコーディングシステム(例えばエンコーダ100)の構成時に指定されることができる。局所的IBC探索を用いて、現在の符号化単位402のIBC予測は、限られた数の隣接した符号化ツリー単位の、前に復元されたサンプルを用いて(例えばインループフィルタリングの起動の前に)行われることができる。例えば現在のCU402のIBC予測のために用いられることができる画素は、現在のCU402の左側に位置する符号化ツリー単位の画素(例えばCTU404)、および/または現在のCTUの、前に符号化された画素(例えばエリア403、405、および406など)を備えることができる。局所的IBC探索時にサンプルのより小さなセットが用いられることができるので、IBC関係の書き込み/読み出しに関連付けられたメモリ帯域幅要求(例えばスクリーンコンテンツ符号化ソフトウェアによる)は低減されることができる。現在のCU402に対して、基準ブロック410の位置を特定するために、BV407が決定されることができる。
【0023】
ブロックベクトルは、IBCに対する動き補償時に基準ブロックからの直接サンプルコピーが用いられることができるように(例えば画素補間なしに)、整数画素解像度/精度を有するように制約されることができる。このような制約により、小数画素精度を有するブロックベクトルは、ブロックベクトルが画素間位置における色度成分を指し示すことができるように、クリップされることができる(例えば動き補償時に)。クリッピング動作は、所与のスライスに対して、基準画像リストLX(ただしXは0または1とすることができる)からのインデックスrefIdxを有する画像が、現在画像と同じでない場合、式1および2に従って行われることができる。そうでない場合クリッピング動作は、式3および4に従って行われることができ、ただしmvLX[0]およびmvLX[1]は水平および垂直輝度動きベクトルを表すことができ、mvCLX[0]およびmvCLX[1]は水平および垂直色度動きベクトルを表すことができ、SubWidthCは輝度および色度の水平解像度の比を表すことができ、およびSubHeightCは輝度および色度の垂直解像度の比を表すことができる。4:2:0ビデオに対してSubWidthCおよびSubHeightCは、2に等しくすることができる。
【0024】
【0025】
本明細書で述べられるクリッピング動作は、例えばクリッピングはIBC符号化されたCUの符号化複雑さを低減するおよび/または品質(例えば主観的品質および/または客観的品質)を改善することができるので(例えばIBC符号化されたCUが、補間フィルタリングによって不明瞭となったまたは歪まされたエッジを有するとき)、4:4:4色度フォーマット(それを用いて色度および輝度成分は同じ解像度を有することができる)に適することができる。いくつかの非4:4:4色度フォーマット(例えば4:2:0および4:2:2)に対して、色度成分は輝度成分と異なるサンプリングレートを有することができるので(例えば水平および垂直方向のいずれかまたは両方において)、クリッピングは色度および輝度成分の不整合を引き起こす場合がある。これは
図5Aに示されることができる。
【0026】
図5は、例示のクリッピング方法を用いたBVクリッピング(例えば動き補償処理において行われる)の影響を示す。例において現在の符号化単位502は、4×4のブロックサイズを有することができ、ビデオシーケンスは4:2:0色度フォーマットにおいて捕捉されることができる。ビデオの輝度および色度サンプルは、それぞれ円形および三角形によって表されることができる。もとのBV504は第1の基準ブロック506を指し示すことができ、クリップされたBV508は第2の基準ブロック510を指し示すことができる。クリップされたBV508が色度基準サンプルをフェッチするために用いられ、もとのBV504が輝度基準サンプルをフェッチするために用いられた場合、輝度および色度基準サンプル(例えば基準ブロック506、510の)は不整合となり得る。現在のCUがIBC符号化されつつあり、不整合となった輝度および色度サンプルを有する予測信号が現在のCUを予測するために用いられた場合、符号化効率は影響を受け得る。不整合は、復元された信号内に(例えば隣接したオブジェクトの間の境界に沿って)、望ましくないアーチファクト(例えばゴーストおよび/または色にじみアーチファクト)を発生する場合があり、これは復元されたビデオの主観的品質を損なう場合がある。
【0027】
IBC符号化されたCUの色度成分に対して、小数ブロックベクトルが可能にされ、用いられることができる。小数ブロックベクトルは、1つまたは複数の色度基準サンプルを識別するために導出されることができる(例えば本明細書で述べられるように)。小数ブロックベクトルは、小数画素位置を指し示すことができる。IBC符号化されたCUに対する色度予測サンプルを生成するために、補間フィルタリング処理が利用されることができる(例えばブロックベクトルが小数画素位置を指し示すとき)。例えば戻って
図5Aを参照すると、色度サンプル(例えばエリア506内のもの)は、小数BV、および適用可能な補間フィルタの長さに基づいて識別されることができる。次いでIBC符号化されたCUに対する色度予測サンプルを導出するために、補間フィルタが色度サンプルに適用されることができる。色度予測サンプルを導出するために、様々な補間フィルタが用いられることができる。例えば4タップ色度フィルタ(例えばHEVC標準で定義されるような)が用いられることができる。
【0028】
色度成分に対する小数サンプルフィルタリングが、IBCモードに対して有効にされた場合、および現在画像が複数のスライスおよび/またはタイルを含む場合、隣接したスライス/タイル間の境界の近くに位置する色度基準サンプルは、補間フィルタリングのために使用可能となることができない。これは
図5Bに示されることができ、これはスライス境界540の外側に位置する基準サンプルP
0は、小数色度サンプル補間のために使用可能となることができないことを示す。
図5B内の円形は整数位置での色度サンプルを表すことができ、三角形は小数画素精度を有する補間された色度サンプルを表すことができる。基準サンプルP
0が色度補間処理に使用可能となることができない1つの例示の理由は、基準サンプルが現在のIBC符号化されたCUと同じスライス/タイル内にないためとすることができる(例えば基準サンプルは隣接したスライス/タイル内にあることができる)。別の例示の理由は、現在画像内のスライス/タイルが独立に復号可能となることができるためとすることができる。別の例示の理由は、前に符号化されたエリア(例えば現在画像のすでに復号されたエリア)からの基準サンプルを用いて、現在のIBC符号化されたCUを予測することが設計目標となり得るためにとすることができる。それに従って予測のために使用可能となることができない色度基準サンプルは、IBC符号化されたCUの小数色度サンプル補間のために用いられることができない。本明細書で述べられるように色度サンプルは、例えばそれがすでに復号された現在画像のエリアからである場合、およびそれが現在のCUと同じスライスまたはタイルに属する場合、使用可能と見なされることができる。
【0029】
本明細書で述べられる補間処理を用いた例示の色度サンプル導出処理は、以下の1つまたは複数に適合することによって行われることができる。例えば輝度動きベクトルmvLXは、基準画像が現在画像であるとき、いくつかのビットストリーム適合性制約に準拠することができる。例示の制約は、変数xRefおよびyRefが式5および6に基づいて導出されることができることである。z走査順序ブロック使用可能性に対する導出処理が、(xCurr,yCurr)(例えばこれは(xCb,yCb)に等しく設定されることができる)、および隣接した輝度位置(xNbY,yNbY)(例えばこれは(xRef,yRef)に等しく設定されることができる)を入力として起動されたとき、出力はTRUEに等しくなることができる。
【0030】
【0031】
例示のビットストリーム適合性制約は、変数xRefおよびyRefが式7および8に従って変更されることができることである。z走査順序ブロック使用可能性に対する導出処理が、(xCurr,yCurr)(例えばこれは(xCb,yCb)に等しく設定されることができる)、および隣接した輝度位置(xNbY,yNbY)(例えばこれは(xRef,yRef)に等しく設定されることができる)を入力として起動されたとき、出力はTRUEに等しくなることができる。
【0032】
【0033】
例示のビットストリーム適合性制約は、以下の条件の1つまたは複数が成り立つことができることとすることができる。第1に、(mvLX[0]≫2)+nPbW+((mvLX[0]%(1≪(1+SubWidthC))==0)?0:2)+xB1の値は、0以下となることができる。第2に、(mvLX[1]≫2)+nPbH+((mvLX[1]%(1≪(1+SubHeightC))==0)?0:2)+yB1の値は、0以下となることができる。第3に、xRef/CtbSizeY-xCurr/CtbSizeYの値は、yCurr/CtbSizeY-yRef/CtbSizeYの値以下となることができる。
【0034】
本明細書で述べられるビットストリーム適合性制約の1つまたは複数は、エンコーダ(例えばエンコーダ100)および/またはデコーダ(例えばデコーダ200)によって実施されることができる。エンコーダは、制約の1つまたは複数に準拠して、ビデオをビットストリームにエンコードすることができる。デコーダは、ビットストリームの復号の前および/またはその間に、制約が満たされているかどうかをチェックすることができ、制約が準拠されていない場合、エラーが生成されることができる。
【0035】
本明細書で述べられるように基準サンプルは、例えば基準サンプルが他のスライス/タイル(例えば現在のスライス/タイル以外の)に属する、または復号されていない場合、小数色度補間処理のために使用可能となることができない。これらの状況において、小数色度補間処理のために、現在のスライス/タイルまたは復号された領域からのパディングされたサンプルが用いられることができる。これは
図5Cに示され、これはスライス境界交差サンプルパディングの例を示す。
図5C内の円形は整数位置での色度サンプルを表すことができ、三角形は小数位置での色度サンプルを表すことができる。示されるように整数サンプルP
0は、スライス境界550をまたいでおり、従って色度補間のために使用できなくなり得る。色度補間処理を有効にするために、整数サンプルP
1の値が、整数サンプルP
0に複製されることができる。
【0036】
補間をベースとする色度導出のために用いられる基準サンプル(例えばIBC符号化されたCUに対する)は、無効な領域(例えば復号されていない領域、異なるスライスまたはタイルなど)からのものである場合がある。従って、例えばBVが使用可能ではない色度基準サンプルを用いるかどうかをチェックするための検証が行われることができる。検証は、エンコーダおよび/またはデコーダに複雑さをもたらし得る(例えば色度補間処理そのものから結果として生じ得る複雑さに加えて)。本明細書で述べられるように、小数画素精度を有するBV(例えば色度サンプルに対する)は、等しいまたはより小さな水平および垂直座標を有する近くの(例えば最も近い)整数色度サンプルにクリップされることができる。戻って
図5Aを参照すると色度サンプル516a、516b、516c、516dは、BVクリッピングによって取得される整数色度サンプルとすることができる。しかしこれらのサンプルは、必ずしも現在の符号化単位502の色度サンプルを予測するための最良の基準ではない場合がある。例えば対応する輝度成分と同じブロックからの、および/または現在の符号化単位502により近い、他の整数色度サンプルが存在し得る。
【0037】
図5Dは、例示のクリッピング方法を用いたBVクリッピング(例えば動き補償処理における)の効果を示す。現在の符号化単位562は4×4のブロックサイズを有することができ、ビデオシーケンスは4:2:0色度フォーマットにおいて捕捉されることができる。輝度および色度サンプルは、それぞれ円形および三角形によって表されることができる。もとのBV564は第1の基準ブロック566を指し示すことができ、一方、クリップされたBV568は第2の基準ブロック570を指し示すことができる。例示のクリッピング方法を用いて、整数色度サンプルのセットが導出されることができる(例えば
図5Dの566a、566b、566c、566d)。例示のクリッピング方法から導出された整数色度サンプルは、対応する輝度サンプルと同じブロックからの、1つまたは複数の色度サンプル(例えば
図5Dに示される566a、566b)を含むことができる。さらに
図5Dの整数色度サンプル566a、566b、566c、566dは、現在の符号化単位に近くなることができる。例示のBVクリッピング方法によって発生された整数色度サンプルは、現在の符号化単位を予測するために用いられることができる。
【0038】
IBC符号化された符号化単位に対する色度基準サンプルの取り出し時に、IBC予測効率と複雑さとの間のトレードオフが達成されることができる。より具体的には所与のスライスに対して、基準画像リストLX(例えばXは0または1とすることができる)からのインデックスrefIdxを有する画像が現在画像ではない場合、式9および10が用いられることができ、基準画像リストLXからのインデックスrefIdxを有する画像が現在画像である場合、式11および12が用いられることができる。
【0039】
【0040】
IBCモードに対するシグナリングは、インターモードに対するものと統一されることができる。例えば現在画像内のIBC符号化されたCUは、擬似基準画像を、現在画像の基準画像リストに追加することによって、インター符号化されたCUとしてシグナリングされることができる。擬似基準画像は、現在画像の復号されたバージョンとすることができる。擬似基準画像は、例えば現在画像の前に復元されたサンプル(例えば復元されたサンプルにインループフィルタリングが適用される前の)を備えることができる。IBCモードが有効にされたとき(例えばフラグcurr_pic_as_ref_enabled_flagを真に設定することによって)、現在画像の基準画像リスト(例えば基準画像リストL0)は、特定の順序で構築されることができる(例えば現在画像の前の1つまたは複数の時間的基準画像、現在画像の後の1つまたは複数の時間的基準画像、および擬似基準画像(本明細書では「currPic」と呼ばれる))。擬似基準画像は、基準画像リスト変更動作を通じて基準画像リストに挿入されることができる。擬似基準画像は、IBCモードが有効にされるかどうかを決定するために用いられることができる。より具体的には、基準画像リストL0内に(例えば基準画像リスト変更の後)、現在画像の復号されたバージョンが含まれる(例えば擬似基準画像として)場合、IBCモードは有効にされると決定されることができる。
【0041】
インループフィルタリング(例えば非ブロック化および/またはサンプル適応オフセット(SAO))の前に、現在画像の前に復元されたサンプルを記憶するための追加の基準画像バッファが作成されることができる(例えば復号された画像バッファ(DPB)内に)。サンプルを基準画像バッファに書き込むまたはそれから読み出すために、メモリアクセス動作が行われることができる。現在の基準画像リストに対する変更は、スライスセグメントヘッダにおいてシグナリングされることができる。所与の画像内の異なるスライスが、異なる基準画像を用いることができる。例えばいくつかのスライスは擬似基準画像を用いることができ(例えばIBCモードが有効にされたとき)、他のスライスは擬似基準画像を用いることができない(例えばIBCモードが無効にされたとき)。現在のスライスの復号時に、同じ画像の将来のスライスに対する基準画像リストについての情報は未知となり得る。従って、メモリがアクセスされて(例えばエンコーディングおよび復号の両方の間に)、インループフィルタリングの前に、サンプル(例えばフィルタリングされていないサンプル)をバッファメモリに書き込むことができる(例えば現在画像のいずれのスライスに対してもIBCモードが有効にされていない場合でも)。上記の動作の結果として符号化効率は、現在画像の記憶されたサンプルはIBCモードでの基準として用いられない場合がある(例えば決して用いられない場合がある)ので、影響を受け得る。
【0042】
所与のシーケンスパラメータセット(SPS)を参照するスライスは擬似基準画像を用いることが許されることをシグナリングするために、フラグ(例えば本明細書で述べられるcurr_pic_as_ref_enabled_flag)が設定されることができる(例えばTRUEに)。擬似基準画像は、現在画像の前に復号されたサンプル(例えばインループフィルタリングを起動する前の)を含むことができる。擬似基準画像は、予測のための基準画像として用いられることができる(例えばIBCモードにおいて)。フラグ(例えばcurr_pic_as_ref_enabled_flag)が真に設定されたとき、現在画像の非ブロック化およびサンプル適応オフセットの前の画素値を記憶するために、記憶バッファが割り振られることができる。
【0043】
擬似基準画像が現在画像の最終的な基準画像リストに含まれるかどうかは、現在のスライスに対する基準画像リスト変更処理が完了された後に決定されることができる。擬似基準画像が含まれない場合、IBCモードはスライスレベルで無効にされることができる(例えば完全に無効にされる)。デコーダ側では、現在画像の1つまたは複数のスライス(例えばスライスのすべて)が擬似基準画像を基準として用いることができない旨の画像レベル表示(indication)をデコーダが受信した場合、IBCモードに関連付けられたメモリアクセス動作はスキップされることができる。このような表示は、デコーダが、擬似基準画像を記憶するためのバッファを割り振るかどうかに関しての初期決定をすることを可能にすることができる。
【0044】
現在画像が現在のスライスのいずれかの基準画像リストに含まれるかどうかを示すために、スライスセグメントヘッダにおいてフラグ(例えばuse_curr_pic_as_ref_flag)が用いられることができる。この追加のフラグの値が所与の画像の1つまたは複数のスライス(例えばすべてのスライス)に対して同じままとなることを確実にするために、ビットストリーム適合性制約が追加されることができる。表1は、追加のフラグを用いる例示のスライスセグメントヘッダ構文を示す。
【0045】
【0046】
フラグ(例えばuse_curr_pic_as_ref_flag)が1に等しく設定されたとき、これは現在画像の復号されたバージョンが、現在のスライスの基準画像リストL0に含まれることを示すことができる。追加のフラグが0に等しく設定されたとき、これは現在画像の復号されたバージョンが、現在のスライスのいずれの基準画像リストにも含まれないことを示すことができる。追加のフラグが存在しないとき、これはフラグが0に等しく設定された場合と同様に扱われることができる。
【0047】
ビットストリーム適合性の目的のためにフラグの値は、所与の画像に関連付けられた1つまたは複数のスライス(例えばすべてのスライス)に対して同じ値に設定されることができる。本明細書で述べられる手法に従った例示の基準画像リスト構築処理は、表2に示されることができる。基準画像リストL0(例えばRefPicList0)に対する例示の構築処理は、表3に示されることができる。
【0048】
【0049】
【0050】
IBCモードがSPSにおいて有効にされたとき、基準画像リスト構築に対してビットストリーム適合性制約が課されることができる(例えば表2および3に記述された構文を用いずに)。制約のもとで、所与の画像内の1つまたは複数のスライス(例えばすべてのスライス)の基準画像リストは、擬似基準画像が基準画像リストに含められることになるかどうかの観点から、一貫性を有して振る舞うことができる。デコーダ(例えばデコーダ200)は、所与の画像内のスライスのビットストリームを受信した後、擬似画像が基準画像リストに含まれるかどうかをチェックすることによって、IBCモードが同じ画像の他のスライスに適用される可能性を評価することができる。例えばスライスヘッダが、擬似画像は基準画像リストに含まれないことを示す場合、デコーダは、現在画像のサンプルの書き込み/読み出しに関連付けられた1つまたは複数のメモリアクセス動作(例えばすべてのメモリアクセス動作)をスキップすることを決定ことができる。
【0051】
本明細書で述べられるようにIBCモードは、擬似基準画像(例えばインループフィルタリングの前の現在画像の復号されたバージョン)を、現在画像の基準画像リストL0に追加することによって、現在画像に対して有効にされることができる。擬似基準画像はまた、現在画像の基準画像リストL1に含められることができる(例えばいくつかの双方向予測使用のケースにおいて)。双方向予測は、例えば一方は基準画像リストL0から、および他方は基準画像リストL1からの、2つの基準画像の予測信号を組み合わせることによって有効にされることができる。双方向予測が有効にされた場合、および擬似基準画像が基準画像リストL0のみに含まれる場合、擬似基準画像からの基準ブロックは、L1内の時間的基準画像のものと組み合わされることができるが、L0内の他の基準画像(例えば非擬似基準画像)のものとは組み合わされることはできない。その結果、IBC符号化されたCUに対する符号化の恩恵は影響され得る。
【0052】
IBCモードが有効にされたとき、現在画像の初期基準画像リストは、擬似基準画像を基準画像リストL0および基準画像リストL1の両方に追加することによって生成されることができる(例えばBスライスに対して)。基準画像リスト構築処理は、以下のように示されることができる。表4および表5は、基準画像リストL0を構築するための例示の構文を示す。
【0053】
【0054】
【0055】
表6は、スライスがBスライスであるときに、リストRefPicListTemp1を構築するための例示の構文を示す。例示の構文において変数NumRpsCurrTempList1は、Max(num_ref_idx_l1_active_minus1+1, NumPicTotalCurr)に等しく設定されることができる。
【0056】
【0057】
リストRefPicList1は、表7の例示の構文を用いて構築されることができる。
【0058】
【0059】
基準画像リストL0およびL1の両方に擬似基準画像が含まれる場合、擬似基準画像からの2つの予測ブロックが、双方向予測モードを用いて符号化されるCUに対して組み合わされることができる。しかし共に擬似基準画像からの、2つの基準ブロックの間の双方向予測が生じ得る(ブロックベクトルは異なり得るが)。このような双方向予測は、符号化効率に影響を及ぼし得る。擬似基準画像からの2つの基準ブロックを組み合わせることを防止するために、ビットストリーム適合性制約が用いられることができる。
【0060】
現在画像内のIBC符号化されたCUは、符号化のために用いられた現在画像の画像順序カウント(POC)および基準画像の画像順序カウントに少なくとも基づいて、インター符号化されたCUと区別されることができる。より具体的には、基準画像が現在画像と同じPOCを有する場合、現在のCUはIBCモードで符号化されたとの決定がなされることができ、そうでない場合、現在のCUはインターモードで符号化されたとの決定がなされることができる。
【0061】
いくつかの実施形態においてIBCモードが有効にされたかどうかは、追加の基準に基づいて決定されることができる。例えば現在画像および基準画像に関連付けられたそれぞれのレイヤ識別子(ID)が比較されて(例えばPOCを比較することに加えて)、IBCモードが有効にされたかどうかを決定することができる。例としてHEVCのスケーラブル拡張(SHVC)のもとでは、現在画像を予測するために、隣接したレイヤからのレイヤ間基準画像が用いられることができる。同様にHEVCの3D/マルチビュー拡張のもとでは、現在画像を予測するために、同じ時点での隣接したビューからのビュー間基準画像が用いられることができる。これらの例示のシナリオのいずれにおいても、インター予測のために用いられる基準画像は、現在画像と同じPOCを有することができるが、レイヤIDは異なる。それに従って、IBC符号化されたCUをインター符号化されたCUと区別するために、IBCモードが有効にされたかどうかを決定するために、基準画像に関連付けられたレイヤIDは、現在画像に関連付けられたレイヤIDと比較されることができる(例えば画像のPOCを比較することに加えて)。より具体的には、基準画像および現在画像が同じPOCおよび同じレイヤIDを有する場合、現在のCUはIBCモードで符号化されたとの決定がなされることができる。
【0062】
擬似基準画像は、一般に時間的基準画像のように扱われることができる。しかし2つのタイプの基準画像の扱いには、いくつかの違いが存在する。例示の違いは、擬似基準画像は、現在画像の符号化(例えばエンコーディングおよび/または復号)が完了する前に、長期基準画像としてマークされることができることである。現在画像の符号化が完了した後、符号化された画像(例えばインループフィルタリングの後)は、復号された画像バッファに記憶されることができ(例えば画像が、将来の画像を符号化するための基準画像としてマークされた場合)、擬似基準画像は、符号化された現在画像によって置き換えられ(例えばインループフィルタリングが適用された後)、短期間基準画像として復号された画像バッファ内でマークされることができる。例示の違いは、擬似基準画像は、いくつかのケースにおいて時間的動きベクトル予測(TMVP)のための一緒に置かれた基準画像として用いられることができないこととすることができる。例示の違いはランダムアクセスポイント(RAP)において、1つまたは複数の時間的基準画像(例えばすべての時間的基準画像)は復号された画像バッファから除去されることができるが、現在画像に対する擬似基準画像は依然として保持されることができることとすることができる。
【0063】
いくつかのビデオ信号(例えばカメラで捕捉されたビデオ信号)は、フェードイン、フェードアウト、クロスフェード、ディゾルブ、フラッシュなどの照明変化を含む場合がある。これらの照明変化は、局所的(例えば画像の領域内)、または全体的(例えば全体の画像内)に生じることができる。フェードおよびディゾルブなどの(例えば時間的に隣接した画像の間での)照明変動を有するビデオシーケンスを符号化するために、重み付き予測(WP)が用いられることができる。重み付き予測の例示の実装形態においてインター予測されたビデオブロックは、例えば式13に表されるように線形関係に従って、1つまたは複数の時間的基準からの重み付きサンプルを用いて予測されることができる。
WP(x,y)=w・P(x,y)+o (13)
P(x,y)およびWP(x,y)はそれぞれ重み付き予測の前および後の位置(x,y)における予測された画素値とすることができ、wおよびoは重み付き予測において用いられる重みおよびオフセットとすることができる。双方向予測使用のケースにおいて重み付き予測は、式14によって示される2つの時間的予測信号の線形結合から行われることができる。
WP(x,y)=(w0-P0(x,y)+W1P1(x,y)+O0+O1)/2 (14)
P0(x,y)およびP1(x,y)は重み付き予測の前の第1および第2の予測ブロックとすることができ、WP(x,y)は重み付き予測の後の双方向予測信号とすることができ、w0およびw1は各予測ブロックに対する重みとすることができ、およびO0およびO1は各予測ブロックに対するオフセットとすることができる。
【0064】
重み付き予測に関連付けられたパラメータは、スライスヘッダ内でシグナリングされることができる(例えば所与の画像内の異なるスライスは、異なる重みおよびオフセットを用いて、時間的予測のための基準ブロックを生成することができる)。IBC符号化されたCU(例えばインター符号化されたCUとしてシグナリングされる)に対して、同じ画像から取得された予測信号を用いて(例えば本明細書で述べられる擬似基準画像)、重み付き予測が適用されることができる。
【0065】
IBC符号化されたCUに対する重み付き予測は、様々な方法で無効にされることができる。例えばIBC符号化されたCUに対して重み付き予測が適用されていないことを示すために、シグナリング時に(例えばビデオビットストリームにおいて)、重み付き予測に関連付けられたフラグ(例えばluma_weight_lx_flagおよび/またはchroma_weight_lx_flag)が設定(例えば偽またはゼロに)されることができる。例えば重み付き予測関係フラグは、IBC符号化されたCUのシグナリング処理時にスキップされることができる(例えばフラグは、ビデオビットストリームにおいて送られないことができる)。重み付き予測関係フラグがないことは、重み付き予測が無効にされている旨のインジケータとして働くことができる。現在画像の符号化単位に対してIBCモードが有効にされたかどうかは、現在画像および/または現在画像に関連付けられた基準画像の特性に基づいて決定されることができる。例えば本明細書で述べられるように、現在画像および基準画像の画像順序カウントが同じ値を有する場合、現在のCUにIBCモードが適用されたとの決定がなされることができる(例えば本明細書で述べられるように、基準画像は擬似基準画像であると決定されることができるので)。その場合重み付き予測は、IBC符号化されたCUに対して無効にされることができる。現在画像および基準画像の画像順序カウントが異なる値を有する場合、インターモードが現在のCUに適用されたとの決定がなされることができる。その場合重み付き予測は、インター符号化されたCUに対して有効にされることができる。いくつかの実施形態において、現在画像および基準画像に関連付けられたレイヤIDはさらに比較されて、IBCモードが適用されたかどうか、および/または重み付き予測が有効にされるべきかどうかを決定することができる。より具体的には基準画像および現在画像が、同じPOC値および同じレイヤID値を有する場合、IBCモードが適用された、および重み付き予測は無効にされることができるとの決定がなされることができる。POC値またはレイヤIDのいずれかが異なる場合、インターモードが適用された、および重み付き予測が有効にされることができるとの決定がなされることができる。
【0066】
表8は、重み付き予測を取り扱うための第1の例示の構文を示し、それによれば現在画像、および現在画像に関連付けられた基準画像の画像順序カウントが同じ場合、重み付き予測パラメータのシグナリングは無効にされることができる。構文はスライスセグメントヘッダに含まれることができる。示されるようにフラグluma_weight_l0_flag[i]は1に等しく設定されることができ、表示は、RefPicList0[i]を用いた基準画像リストL0の輝度成分を予測するための重み係数は存在できることとすることができる。フラグluma_weight_l0_flag[i]が0に等しく設定された場合、表示は、関連のある重み係数は存在できないこととすることができる。フラグluma_weight_l0_flag[i]が存在しない場合、表示は、処理はフラグが0の値を有する場合と同様に進行するべきであることとすることができる。フラグluma_weight_l1_flag[i]が1に等しく設定された場合、表示は、RefPicList1[i]を用いた基準画像リストL1の輝度成分を予測するための重み係数は存在できることとすることができる。フラグluma_weight_l1_flag[i]が0に等しく設定された場合、表示は、それらの重み係数は存在できないこととすることができる。フラグluma_weight_l1_flag[i]が存在しない場合、表示は、処理はフラグが0の値を有する場合と同様に進行するべきであることとすることができる。
【0067】
【0068】
表9は、重み付き予測を取り扱うための第2の例示の構文を示し、それによれば現在画像、および現在画像に関連付けられた基準画像の画像順序カウントが同じである場合、および現在画像および基準画像のレイヤIDも同じである場合は、重み付き予測パラメータのシグナリングは無効にされることができる。例示の構文において、基準画像refPicのレイヤIDを取得するために、関数LayerIdCnt(refPic)が用いられることができる。変数nuh_layer_idは、現在のレイヤのNALレイヤIDを表すことができる。フラグpps_curr_pic_ref_enabled_flagは、重み付き予測パラメータのシグナリングを条件付けるために用いられることができる。
【0069】
【0070】
表9に示される例示の構文は、さらに簡略化されることができる。例えば画像パラメータセット(PPS)においてIBCモードが有効にされたとき(例えばフラグpps_curr_pic_ref_enabled_flagが1に設定される)、基準画像は、現在画像と同じPOCおよび同じレイヤidを有することができる。それに従ってフラグpps_curr_pic_ref_enabled_flagはシグナリングから除去されることができ、簡略化された構文が表10に表されることができる。
【0071】
【0072】
表9および表10に示されるように、基準画像が現在画像と同じレイヤからであるかどうかを決定するために、現在画像に関連付けられた基準画像のレイヤIDがチェックされることができる。このような決定はまた、基準画像がレイヤ間またはビュー間基準画像であるかどうかについての記憶された情報(例えば2値変数)に基づいてなされることができる。このような情報は、基準画像リスト構築処理時に導出されることができる。より具体的には基準画像リストを生成する間、符号化デバイス(例えばデコーダ200)が基準画像は現在のレイヤとは異なるレイヤからであると決定した場合、符号化デバイスは対応する変数(例えば2値変数)を1(または真)に設定することができ、そうでない(例えば基準画像は現在画像と同じレイヤからである)場合、符号化デバイスは対応する変数を0(または偽)に設定することができる。情報は記憶されることができる(例えばメモリに)。その後、符号化デバイスが重み付き予測パラメータを構文解析するとき(例えば表4における構文テーブルを用いて)、重み付き予測パラメータのシグナリングがスキップされることができるかどうかを決定するために、この2値変数の値に基づいて追加の条件が追加されることができる(例えばPOC値チェックに加えて)。
【0073】
本明細書で述べられるようにビデオブロックがインター予測モードで符号化されるとき、現在の符号化単位を予測するために、前に符号化されたビデオ画像からの画素が用いられることができる。パケットエラー(例えば圧縮されたビデオビットストリームの送信時のパケットロスによる)は、隣接した画像間で伝搬することができる(例えば基準画像から現在画像に)。エラーの伝搬は、例えば時間依存性によるものとすることができる(例えばエラーが発生しやすい環境において)。エラーの伝搬を軽減するために、時間依存性を絶つために、イントラ符号化されたブロックが導入されることができる(例えば周期的に)。この技法は「イントラリフレッシング」と呼ばれることができる。イントラ符号化されたブロックは、隣接ブロックの、前に符号化された画素を予測基準として用いることができる。これらの予測基準がインター予測を用いて符号化されたなら、エラーは基準を通じてイントラ符号化されたブロックに伝搬し得る。
【0074】
制約されたイントラ予測(CIP)は、イントラ予測の正確さを強化するために、それによって基準ブロックとしての隣接ブロックの使用に制約が課される、イントラ予測技法である。CIPが有効にされたとき、現在のCUのイントラ予測は、イントラモードまたはIBCモードのいずれかで符号化された隣接ブロックの画素を用いることができる。しかしイントラまたはIBC符号化された隣接ブロックは、それ自体がインター予測された基準サンプルを用いて予測されている場合がある。従ってインター予測時に導入されたエラーは、現在のCUに伝搬することができる。
【0075】
図6は、インター符号化されたブロックから、CIPを用いて符号化されつつある現在のブロックにエラーが伝搬し得る、例示のシナリオを示す。例において現在画像604の現在のCU602(例えば時間tでの)は、水平イントラ予測モードを用いてイントラ予測される。イントラ予測は、現在のCUの左側の隣接ブロック606内の画素を利用することができる。隣接ブロック606自体は、IBCモードを用いて予測されている場合がある(例えば現在画像604内の前に符号化されたブロック608の画素を用いて)。しかし基準ブロック608は、基準画像612(例えば前の時間t-1における)の画素を用いてインター符号化されている(例えばブロック610から)場合がある。このようなシナリオにおいて(t-1)における基準画像612からのエラーは、現在画像604内の基準ブロック608に伝搬し得る。エラーはブロック606に、次いで現在のCU602にさらに伝搬し得る。エラーの伝搬は、CIP設計目標(これはインター符号化されたブロックからイントラ符号化されたブロックへのエラー伝搬の防止を含むことができる)を損ない得る。
【0076】
CIPは、IBCモードで符号化されつつあるブロックが、イントラまたはIBC符号化された画素を用いて予測されることができるように、予測を制限するように適応されることができる。
図7はCIPが有効にされたとき、どのようにイントラ予測が、提案されたように行われることができるかを示す。図において隣接したインター符号化されたブロックからの画素は空白の四角形として示され、隣接したイントラ符号化されたブロックからの画素は網掛けされた四角形として示される。CIPが有効にされたとき、制限(本明細書では「CIP制限」と呼ばれる)が適用されることができ、そのもとでは現在のブロックのイントラ予測は、イントラ符号化された隣接サンプルを用いることができるが、インター符号化された隣接サンプルを用いることはできない。CIPが有効にされないとき、CIP制限は適用可能となることはできない。
【0077】
CIPが有効にされたとき、以下の手法の1つまたは複数が適用されることができる。例においてCIPが有効にされたとき、IBCモードは無効にされることができる。例えばIBCモードは、画像パラメータセット(PPS)内のフラグをハイレベルから設定する(例えばcurr_pic_as_ref_enabled_flagを0に設定する)ことによって無効にされることができる。例においてイントラ符号化されたCUのサンプルのみが、イントラ予測のための基準サンプルとして用いられることが許されることができる。隣接したインター符号化されたCU(時間的基準画像を参照するおよび/または擬似基準画像を参照する、インター符号化されたCUを含む)のサンプルは、イントラ予測のための基準サンプルとして用いられることはできない。例においてイントラ予測は、IBC符号化されたCU自体が、イントラ符号化されたCUのみを基準として用いている場合、IBC符号化されたCUを基準として用いることができる。この例において時間的動きベクトル予測(TMVP)は、IBCモードに対して無効にされることができる。いくつかの実施形態において、擬似基準画像からのIBC符号化されたサンプルは、イントラ符号化されたCUを予測することは許されることができない。それに従って時間的BV予測によるエラーは、イントラ符号化されたCU内に伝搬することが防止されることができ、これらの実施形態ではIBCモードに対してTMVPは有効にされることができる。
【0078】
イントラ符号化されたCUは、隣接したイントラ符号化されたサンプルを用いることが許されることができる。イントラ符号化されたCUは一定の条件のもとで、隣接したIBC符号化されたサンプルを用いることができる。例えばイントラ符号化されたCUは、それらのサンプルが基準として、現在画像の、前に符号化されたエリア内のイントラ符号化されたサンプルを参照する場合、隣接したIBC符号化されたサンプルを用いることができる。時間的基準画像を直接または間接に参照する、隣接サンプルに基づくCUのイントラ予測は禁じられることができる。TMVPは、IBCモードに対して無効にされることができる。
【0079】
本明細書で述べられる例示の手法は、ビットストリーム適合性制約として適用されることができる。本明細書で述べられる例示の手法は、複数のタイプの画像に適用されることができる。例えば例示の手法は、通常のインター符号化されたCU(例えば時間的基準画像から予測されたインター符号化されたCU)を含んだ画像に適用されることができる。いくつかのIスライスおよびP/Bスライスは、それらの基準画像リスト内に擬似基準画像を含むことができるが、時間的基準画像を含むことはできない。従って時間的基準を参照するインター符号化されたCUは、存在することができない。従って、前に復号された時間的基準画像におけるエラーが現在画像に伝搬することは防止されることができる。前に復元されたブロックからのサンプルは、イントラ予測のための基準サンプルとして用いられることができる。
【0080】
本明細書で述べられる例示の手法は、それらに対するそれぞれの基準画像リストが時間的基準画像を含むことができるIスライスおよびP/Bスライスに、適用される(例えばそれらのみに適用される)ことができる。現在のスライスが、それらに対する基準画像リストが擬似基準画像のみを含む(例えば基準画像リストに時間的基準画像は含まれない)IスライスまたはP/Bスライスである場合、イントラ予測のための基準としてイントラ符号化されたCUおよび/またはインター符号化されたCUが用いられることができる。本明細書で述べられるように、基準画像リストが擬似基準画像のみを含むかどうかは、現在画像に関連付けられた画像順序カウントを、基準画像リスト上の基準画像に関連付けられたそれぞれの画像順序カウントと比較することによって決定されることができる。現在画像に関連付けられた画像順序カウントが、基準画像のそれぞれに関連付けられたそれぞれの画像順序カウントと同じ場合、本明細書で述べられる例示の手法の1つまたは複数は適用されることができないとの決定がなされることができる。現在のスライスが、予測のために時間的基準画像を用いるP/Bスライスである場合、本明細書で述べられる制約の1つまたは複数が適用されることができる。例えばイントラサンプル予測処理、および時間的動きベクトル予測導出処理は、以下のように行われることができる。
【0081】
一般のイントラサンプル予測に関連して、現在の輝度位置(xCurr,yCurr)が(xTbY,yTbY)に等しく設定された状態で、z走査順序におけるブロックに対する使用可能性導出処理が起動されることができる。隣接した輝度位置(xNbY,yNbY)が、入力として用いられることができる。出力は、availableNとして表される変数に割り当てられることができる。サンプルp[x][y]は以下のように導出されることができる。以下の条件の1つまたは両方が成り立つ場合、サンプルp[x][y]はイントラ予測のために使用可能ではないとしてマークされることができる。第1の条件は、変数availableNがFALSE(またはゼロ)に等しいこととすることができる。第2の条件は、pictureCuPredMode[xNbY][yNbY]の値がMODE_INTRAに等しくなく、DiffPicOrderCnt(aPic,CurrPic)の値が現在のスライスのRefPicList0およびRefPicList1内の少なくとも1つの画像aPicに対して0に等しくなく、およびconstrained_intra_pred_flagの値が1(またはTRUE)に等しいこととすることができる。上記の条件のいずれも成り立たない場合、サンプルp[x][y]は「イントラ予測のために使用可能」としてマークされることができ、位置(xNbCmp,yNbCmp)でのサンプルはp[x][y]に割り当てられることができる。
【0082】
時間的輝度動きベクトル予測に対する導出処理に関連して、変数mvLXColおよびavailableFlagLXColは以下のように導出されることができる。slice_temporal_mvp_enabled_flagが0に等しい場合、mvLXColの両方の構成要素は0に等しく設定されることができ、availableFlagLXColは0に等しく設定されることができる。基準画像が現在画像であり、constrained_intra_pred_flagが1に等しい場合、mvLXColの両方の構成要素を0に設定すること、およびavailableFlagLXColを0に設定することは不要とすることができる。
【0083】
第4の例示の手法は、デコーダ(例えばデコーダ200)または復号処理の一部として実施されることができる。デコーダは、基準サンプルがイントラ予測のために使用可能かどうかを決定するとき、第4の例示の手法に関連して述べられた制限を考慮することができる。所与の予測モード(例えばDC、プラナー、および/または33方向性予測モード)を用いたイントラ予測のために、すべての基準サンプルが使用可能ではない場合、イントラ予測モードは適用可能とすることはできない。現在画像のイントラ符号化されたエリアを参照するIBC符号化されたサンプルがイントラ予測のために用いられることができるように、いくつかのビットストリーム適合性が適用されることができる。例えば、隣接した符号化ブロックの残差データおよび復号されたサンプルがイントラ予測のために用いられることができることを示すために、フラグ(例えばconstrained_intra_pred_flag)が0に等しく設定されることができる。フラグがゼロに設定された状態では、復号されたサンプルは現在画像ではない基準画像を用いて符号化された場合があり、または復号されたサンプルはこのような基準画像を用いずに符号化された場合がある。CIPが有効にされることができること、およびイントラ予測処理は、現在画像ではない基準画像を用いずに符号化された、隣接した符号化ブロックからの残差データおよび復号されたサンプルを用いることができることを示すために、フラグは1に設定されることができる。例で説明すると、フラグが1に設定され、基準サンプルAがイントラ予測のために用いられるとき、基準サンプルAは、現在画像ではない基準画像を用いて予測されることはできない。さらに上記の例示のシナリオにおいて、基準サンプルAが現在画像からの基準サンプルBを用いて予測される場合、基準サンプルBもイントラ予測モードを用いて符号化されることができる。
【0084】
本明細書で述べられるようにIBCモードにおいて、少なくとも2つのタイプの探索(例えば
図3に示されるようなフルフレームIBC探索、および
図4に示されるような局所的IBC探索)が行われることができる。IBC探索の範囲は、HEVC SCCコーデックの複雑さに影響を与え得る。例えばフルフレームIBC探索は、オフチップメモリを利用して現在画像のフィルタされていないサンプルを記憶するように実施されることができる。データを記憶するこのような方法は低速となり得る。局所的IBC探索は、オンチップメモリを利用するように実施されることができ、これはオフチップメモリを用いるより高速となることができる。
【0085】
IBC探索の範囲に対する制約が課されることができる。例えば復号されたBVの最大値が制限されることができる。より具体的にはIBCモードに対する水平および垂直BVのそれぞれの最大絶対値を制限するために、2つの個別の値MaxHorizontalBVおよびMaxVerticalBVが指定されることができる。2つの制限には、同じ値または異なる値が与えられることができる。異なる値に設定されたとき、2つの制限は、符号化効率と復号複雑さとの間の異なるトレードオフの達成を有効にすることができる(例えば異なるプロファイルに対する)。ビットストリームを適合させるために、水平BVおよび垂直BVの絶対値は、それぞれMaxHorizontalBVおよびMaxVerticalBV以下とすることができる。探索範囲制約は以下のように適用されることができる。
【0086】
基準画像が現在画像であるとき、輝度動きベクトルmvLXは以下の制約に準拠することができる。(mvLX[0]≫2)の絶対値は、MaxHorizontalBV以下とすることができる。(mvLX[1]≫2)の絶対値は、MaxVerticalBV以下とすることができる。z走査順序ブロック使用可能性に対する導出処理が、入力として(xCurr,yCurr)が(xCb,yCb)に等しく設定され、隣接した輝度位置(xNbY,yNbY)が(xPb+(mvLX[0]≫2)および(yPb+mvLX[1]≫2))に等しく設定された状態で起動されたとき、出力はTRUEに等しくなることができる。z走査順序ブロック使用可能性に対する導出処理が、入力として(xCurr,yCurr)が(xCb,yCb)に等しく設定され、隣接した輝度位置(xNbY,yNbY)が(xPb+(mvLX[0]≫2)+nPbW-1、およびyPb+(mvLX[1]≫2)+nPbH-1)に等しく設定された状態で起動されたとき、出力はTRUEに等しくなることができる。
【0087】
max_hor_block_vector_ibcおよびmax_ver_block_vector_ibcなどの構文要素は、水平および垂直BVの最大絶対値を示すために、ビデオパラメータセット(VPS)、シーケンスパラメータセットまたは画像パラメータセット(PPS)内でシグナリングされることができる。表11は、本明細書で述べられる構文要素がどのようにシグナリングされることができるかの例を示す。
【0088】
【0089】
1の値を有する変数max_block_vector_present_flagは、構文要素max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeおよびmax_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeが存在することを示すことができる。0の値を有する変数max_block_vector_present_flagは、構文要素max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeおよびmax_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeが存在しないことを示すことができる。変数max_block_vector_present_flagが存在しないとき、これは変数が存在し、0の値を有する場合と同様に扱われることができる。
【0090】
変数max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeはMinCbSizeYと共に、それに対する基準画像が擬似基準画像である(例えばcurrPic)水平動きベクトルに対する最大値を指定することができる。変数max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeが存在しないとき、これはpic_width_in_luma_sample-MinCbSizeYであると推論されることができる。max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeの値は、両端を含めて0からpic_width_in_luma_samples-MinCbSizeYの範囲内とすることができる。
【0091】
変数max_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeはMinCbSizeYと共に、それに対する基準画像が擬似基準画像である(例えばcurrPic)垂直動きベクトルに対する最大値を指定することができる。変数max_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeが存在しないとき、これはpic_height_in_luma_samples-MinCbSizeYであると推論される。max_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeの値は、両端を含めて0からpic_height_in_luma_samples-MinCbSizeYの範囲内とすることができる。
【0092】
変数MaxHorizontalBVおよびMaxVerticalBVは、以下のように導出されることができる。MaxHorizontalBV=max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_size+MinCbSizeY。MaxVerticalBV=max_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_size+MinCbSizeY。最大BV絶対値を符号化するために、様々な符号化アルゴリズムが用いられることができる。例えば2つの値は、符号なし指数ゴロム符号(ue)を用いて符号化されることができる。関連のある構文のシグナリングオーバーヘッドを低減するために、それらの対数値(例えば実際の値の代わりに)がシグナリングされることができるように、水平および垂直BVの最大絶対値を2のべき乗に制限するように制約が課されることができる。より具体的には、max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeおよびmax_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeを直接シグナリングする代わりに、MaxHorizontalBVおよびMaxVerticalBVの値が導出されることができるように、2つの構文要素log2_max_abs_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeおよびlog2_max_abs_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_sizeがシグナリングされることができる。例えばこれらの対数値を用いて、MaxHorizontalBVおよびMaxVerticalBVはそれぞれ、(1≪log2_max_abs_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_size)+MinCbSizeY、および(1≪log2_max_abs_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_size)+MinCbSizeYとして導出されることができる。水平および垂直ブロックベクトルの最大絶対値は、2による除算の演算の商がシグナリングされることができるように、2の倍数に制限されることができる。例えば2つの構文要素max_hor_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_size_div2およびmax_ver_block_vector_ibc_minus_min_coding_block_size_div2は、MaxHorizontalBVおよびMaxVerticalBVの値をそれぞれ、(max_hor_block_vector_ibc_minus_min_block_size_div2≪1)+MinCbSizeY、および(maxs_ver_block_vector_ibc_minus_min_block_size_div2≪1)+MinCbSizeYとして導出するようにシグナリングされることができる。
【0093】
図8Aは、本明細書で開示される1つまたは複数の例が実施されることができる、例示の通信システム800の図である。通信システム800は、複数のワイヤレスユーザに音声、データ、ビデオ、メッセージング、ブロードキャストなどのコンテンツをもたらす、多元接続方式とすることができる。通信システム800は、複数のワイヤレスユーザが、ワイヤレス帯域幅を含むシステムリソースの共有を通じて、このようなコンテンツにアクセスすることを有効にすることができる。例えば通信システム800は、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、直交FDMA(OFDMA)、単一キャリアFDMA(SC-FDMA)などの1つまたは複数のチャネルアクセス方法を使用することができる。
【0094】
図8Aに示されるように通信システム800は、ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)802a、802b、802cおよび/または802d(これらは全体としてまたはまとめてWTRU802と呼ばれることができる)、無線アクセスネットワーク(RAN)803/804/805、コアネットワーク806/807/809、公衆交換電話ネットワーク(PSTN)808、インターネット810、および他のネットワーク812を含むことができるが、開示される実施形態は任意の数のWTRU、基地局、ネットワーク、および/またはネットワーク要素を企図することが理解されるであろう。WTRU802a、802b、802c、802dのそれぞれは、ワイヤレス環境において動作および/または通信するように構成された任意のタイプのデバイスとすることができる。例としてWTRU802a、802b、802c、802dは、ワイヤレス信号を送信および/または受信するように構成されることができ、ユーザ機器(UE)、移動局、固定またはモバイル加入者ユニット、ページャ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、ラップトップ、ネットブック、パーソナルコンピュータ、ワイヤレスセンサ、民生用電子機器などを含むことができる。
【0095】
通信システム800はまた、基地局814aおよび基地局814bを含むことができる。基地局814a、814bのそれぞれは、コアネットワーク806/807/809、インターネット810、および/またはネットワーク812などの、1つまたは複数の通信ネットワークへのアクセスを容易にするように、WTRU802a、802b、802c、802dの少なくとも1つとワイヤレスでインターフェース接続するように構成された任意のタイプのデバイスとすることができる。例として基地局814a、814bは、基地トランシーバ局(BTS)、ノードB、eノードB、ホームノードB、ホームeノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、ワイヤレスルータなどとすることができる。基地局814a、814bはそれぞれ単一の要素として示されるが、基地局814a、814bは、任意の数の相互接続された基地局および/またはネットワーク要素を含むことができることが理解されるであろう。
【0096】
基地局814aはRAN803/804/805の一部とすることができ、これはまた基地局コントローラ(BSC)、無線ネットワークコントローラ(RNC)、中継ノードなど、他の基地局および/またはネットワーク要素(図示せず)を含むことができる。基地局814aおよび/または基地局814bは、セル(図示せず)と呼ばれることができる特定の地理的領域内で、ワイヤレス信号を送信および/または受信するように構成されることができる。セルは、セルセクタにさらに分割されることができる。例えば基地局814aに関連付けられたセルは、3つのセクタに分割されることができる。従って一実施形態では基地局814aは、3つのトランシーバ、すなわちセルの各セクタに対して1つを含むことができる。他の実施形態では基地局814aは、多入力多出力(MIMO)技術を使用することができ、従ってセルの各セクタに対して複数のトランシーバを利用することができる。
【0097】
基地局814a、814bは、任意の適切なワイヤレス通信リンク(例えば無線周波数(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)、紫外線(UV)、可視光など)とすることができるエアインターフェース815/816/817を通して、WTRU802a、802b、802c、802dの1つまたは複数と通信することができる。エアインターフェース815/816/817は、任意の適切な無線アクセス技術(RAT)を用いて確立されることができる。
【0098】
より具体的には上記のように通信システム800は、多元接続方式とすることができ、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC-FDMAなどの1つまたは複数のチャネルアクセス方式を使用することができる。例えばRAN803/804/805内の基地局814a、およびWTRU802a、802b、802cは、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)地上無線アクセス(UTRA)などの無線技術を実施することができ、これは広帯域CDMA(WCDMA)を用いてエアインターフェース815/816/817を確立することができる。WCDMAは、高速パケットアクセス(HSPA)および/またはEvolved HSPA(HSPA+)などの通信プロトコルを含むことができる。HSPAは、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)および/または高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)を含むことができる。
【0099】
他の実施形態では基地局814aおよびWTRU802a、802b、802cは、Evolved UMTS地上無線アクセス(E-UTRA)などの無線技術を実施することができ、これはロングタームエボリューション(LTE)および/またはLTE-Advanced(LTE-A)を用いてエアインターフェース815/816/817を確立することができる。
【0100】
他の実施形態では基地局814aおよびWTRU802a、802b、802cは、IEEE 802.16(すなわちマイクロ波アクセス用世界規模相互運用性(WiMAX))、CDMA2000、CDMA2000 1X、CDMA2000 EV-DO、暫定標準2000(IS-2000)、暫定標準95(IS-95)、暫定標準856(IS-856)、移動体通信用グローバルシステム(GSM)、GSM進化型高速データレート(EDGE)、GSM EDGE(GERAN)などの無線技術を実施することができる。
【0101】
図8Aの基地局814bは、例えばワイヤレスルータ、ホームノードB、ホームeノードB、またはアクセスポイントとすることができ、事業所、ホーム、乗り物、キャンパスなどの局在したエリア内のワイヤレス接続性を容易にするための、任意の適切なRATを利用することができる。一実施形態では基地局814bおよびWTRU802c、802dは、IEEE 802.11などの無線技術を実施して、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)を確立することができる。他の実施形態では基地局814bおよびWTRU802c、802dは、IEEE 802.15などの無線技術を実施して、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)を確立することができる。他の実施形態では基地局814bおよびWTRU802c、802dは、セルラベースのRAT(例えばWCDMA、CDMA2000、GSM、LTE、LTE-Aなど)を利用して、ピコセルまたはフェムトセルを確立することができる。
図8Aに示されるように基地局814bは、インターネット810への直接接続を有することができる。従って基地局814bは、コアネットワーク806/807/809を経由してインターネット810にアクセスすることを不要とすることができる。
【0102】
RAN803/804/805はコアネットワーク806/807/809と通信することができ、これは音声、データ、アプリケーション、および/またはボイスオーバインターネットプロトコル(VoIP)サービスをWTRU802a、802b、802c、802dの1つまたは複数にもたらすように構成された、任意のタイプのネットワークとすることができる。例えばコアネットワーク806/807/809は、呼制御、料金請求サービス、モバイル位置ベースのサービス、プリペイドコール、インターネット接続性、ビデオ配信などをもたらすことができ、および/またはユーザ認証などの高レベルセキュリティ機能を行うことができる。
図8Aに示されないが、RAN803/804/805および/またはコアネットワーク806/807/809は、RAN803/804/805と同じRATまたは異なるRATを使用する他のRANと、直接または間接に通信できることが理解されるであろう。例えば、E-UTRA無線技術を利用し得るRAN803/804/805に接続されることに加えて、コアネットワーク806/807/809はまた、GSM無線技術を使用する他のRAN(図示せず)とも通信することができる。
【0103】
コアネットワーク806/807/809はまた、PSTN808、インターネット810、および/または他のネットワーク812にアクセスするように、WTRU802a、802b、802c、802dのためのゲートウェイとして働くことができる。PSTN808は、従来型電話サービス(plain old telephone service)(POTS)をもたらす回線交換電話ネットワークを含むことができる。インターネット810は、TCP/IPインターネットプロトコル群における伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、およびインターネットプロトコル(IP)などの共通通信プロトコルを用いる、相互接続されたコンピュータネットワークおよびデバイスの地球規模のシステムを含むことができる。ネットワーク812は、他のサービスプロバイダによって所有および/または運用される有線もしくは無線通信ネットワークを含むことができる。例えばネットワーク812は、RAN803/804/805と同じRATまたは異なるRATを使用することができる1つまたは複数のRANに接続された、他のコアネットワークを含むことができる。
【0104】
通信システム800内のWTRU802a、802b、802c、802dのいくつかまたはすべては、マルチモード能力を含むことができ、すなわちWTRU802a、802b、802c、802dは、異なるワイヤレスリンクを通して異なるワイヤレスネットワークと通信するための複数のトランシーバを含むことができる。例えば
図8Aに示されるWTRU802cは、セルラベースの無線技術を使用することができる基地局814aと、およびIEEE 802無線技術を使用することができる基地局814bと、通信するように構成されることができる。
【0105】
図8Bは、例示のWTRU802のシステム図である。
図8Bに示されるようにWTRU802は、プロセッサ818、トランシーバ820、送信/受信要素822、スピーカ/マイクロフォン824、キーパッド826、ディスプレイ/タッチパッド828、非リムーバブルメモリ830、リムーバブルメモリ832、電源834、全地球測位システム(GPS)チップセット836、および他の周辺装置838を含むことができる。WTRU802は、実施形態と一貫性を保ちながら、上記の要素の任意のサブコンビネーションを含むことができることが理解されるであろう。また実施形態は、基地局814aおよび814b、および/または非限定的にその他の中でもトランシーバ局(BTS)、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、ホームノードB、進化型ホームノードB(eノードB)、ホーム進化型ノードB(HeNB)、ホーム進化型ノードBゲートウェイ、およびプロキシノードなど基地局814aおよび814bが表すことができるノードは、
図8Bに示され本明細書で述べられる要素のいくつかまたはすべてを含むことができることを企図する。
【0106】
プロセッサ818は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(IC)、状態機械などとすることができる。プロセッサ818は、信号符号化、データ処理、電力制御、入力/出力処理、および/またはWTRU802がワイヤレス環境において動作することを有効にする任意の他の機能を行うことができる。プロセッサ818はトランシーバ820に結合されることができ、これは送信/受信要素822に結合されることができる。
図8Bはプロセッサ818およびトランシーバ820を個別の構成要素として示すが、プロセッサ818およびトランシーバ820は、電子回路パッケージまたはチップ内に一緒に一体化されることができることが理解されるであろう。
【0107】
送信/受信要素812は、エアインターフェース815/816/817を通して、基地局(例えば基地局814a)に信号を送信し、またはそれから信号を受信するように構成されることができる。例えば一実施形態では送信/受信要素812は、RF信号を送信および/または受信するように構成されたアンテナとすることができる。他の実施形態では送信/受信要素822は、例えばIR、UV、または可視光信号を送信および/または受信するように構成された放射器/検出器とすることができる。他の実施形態では送信/受信要素822は、RFおよび光信号の両方を送信および受信するように構成されることができる。送信/受信要素822は、ワイヤレス信号の任意の組み合わせを送信および/または受信するように構成されることができることが理解されるであろう。
【0108】
さらに
図8Bでは送信/受信要素822は単一の要素として示されるが、WTRU802は任意の数の送信/受信要素822を含むことができる。より具体的にはWTRU802は、MIMO技術を使用することができる。従って一実施形態ではWTRU802は、エアインターフェース815/816/817を通してワイヤレス信号を送信および受信するための、2つ以上の送信/受信要素822(例えば複数のアンテナ)を含むことができる。
【0109】
トランシーバ820は、送信/受信要素822によって送信されることになる信号を変調するように、および送信/受信要素822によって受信された信号を復調するように構成されることができる。上記のようにWTRU802は、マルチモード能力を有することができる。従ってトランシーバ820は、WTRU802が例えばUTRAおよびIEEE 802.11などの複数のRATによって通信することを有効にするための、複数のトランシーバを含むことができる。
【0110】
WTRU802のプロセッサ818は、スピーカ/マイクロフォン824、キーパッド826、および/またはディスプレイ/タッチパッド828(例えば液晶表示(LCD)ディスプレイユニット、または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイユニット)に結合されることができ、それらからユーザ入力データを受け取ることができる。プロセッサ818はまたユーザデータを、スピーカ/マイクロフォン824、キーパッド826、および/またはディスプレイ/タッチパッド828に出力することができる。さらにプロセッサ818は、非リムーバブルメモリ830および/またはリムーバブルメモリ832などの任意のタイプの適切なメモリからの情報にアクセスし、それにデータを記憶することができる。非リムーバブルメモリ830は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク、または任意の他のタイプのメモリ記憶デバイスを含むことができる。リムーバブルメモリ832は、加入者識別ユニット(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含むことができる。他の実施形態ではプロセッサ818は、サーバまたはホームコンピュータ(図示せず)上など、物理的にWTRU802上に位置しないメモリからの情報にアクセスし、それにデータを記憶することができる。
【0111】
プロセッサ818は、電源834から電力を受け取ることができ、WTRU802内の他の構成要素に対する電力を分配および/または制御するように構成されることができる。電源834は、WTRU802に電力供給するための任意の適切なデバイスとすることができる。例えば電源834は、1つまたは複数の乾電池(例えばニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル亜鉛(NiZn)、ニッケル水素(NiMH)、リチウムイオン(Liイオン)など)、太陽電池、燃料電池などを含むことができる。
【0112】
プロセッサ818はまたGPSチップセット836に結合されることができ、これはWTRU802の現在の位置に関する位置情報(例えば経度および緯度)をもたらすように構成されることができる。GPSチップセット836からの情報に加えてまたはその代わりにWTRU802は、エアインターフェース815/816/817を通して基地局(例えば基地局814a、814b)から位置情報を受信することができ、および/または2つ以上の近くの基地局から受信される信号のタイミングに基づいてその位置を決定することができる。WTRU802は、実施形態と一貫性を保ちながら、任意の適切な位置決定方法によって位置情報を取得できることが理解されるであろう。
【0113】
プロセッサ818はさらに他の周辺装置838に結合されることができ、これはさらなる特徴、機能、および/または有線もしくは無線接続性をもたらす、1つまたは複数のソフトウェアおよび/またはハードウェアユニットを含むことができる。例えば周辺装置838は、加速度計、電子コンパス、衛星トランシーバ、デジタルカメラ(写真またはビデオ用)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、振動デバイス、テレビジョン送受信機、ハンズフリーヘッドセット、ブルートゥース(登録商標)ユニット、周波数変調(FM)ラジオユニット、デジタル音楽プレーヤ、メディアプレーヤ、ビデオゲームプレーヤユニット、インターネットブラウザなどを含むことができる。
【0114】
図8Cは、実施形態によるRAN803およびコアネットワーク806のシステム図である。上記のようにRAN803は、UTRA無線技術を使用して、エアインターフェース815を通してWTRU802a、802b、802cと通信することができる。RAN803はまた、コアネットワーク806と通信することができる。
図8Cに示されるようにRAN803は、ノードB840a、840b、840cを含むことができ、これらはそれぞれ、エアインターフェース815を通してWTRU802a、802b、802cと通信するための1つまたは複数のトランシーバを含むことができる。ノードB840a、840b、840cは、それぞれRAN803内の特定のセル(図示せず)に関連付けられることができる。RAN803はまた、RNC842a、842bを含むことができる。RAN803は、実施形態と一貫性を保ちながら、任意の数のノードBおよびRNCを含むことができることが理解されるであろう。
【0115】
図8Cに示されるようにノードB840a、840bは、RNC842aと通信することができる。さらにノードB840cは、RNC842bと通信することができる。ノードB840a、840b、840cは、Iubインターフェースを経由して、それぞれのRNC842a、842bと通信することができる。RNC842a、842bは、Iurインターフェースを経由して互いに通信することができる。RNC842a、842bのそれぞれは、それが接続されるそれぞれのノードB840a、840b、840cを制御するように構成されることができる。さらにRNC842a、842bのそれぞれは、外側ループ電力制御、負荷制御、アドミッション制御、パケットスケジューリング、ハンドオーバ制御、マクロダイバーシティ、セキュリティ機能、データ暗号化などの他の機能を実行またはサポートするように構成されることができる。
【0116】
図8Cに示されるコアネットワーク806は、メディアゲートウェイ(MGW)844、モバイル交換局(MSC)846、サービングGPRSサポートノード(SGSN)848、および/またはゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)850を含むことができる。上記の要素のそれぞれはコアネットワーク806の一部として示されるが、これらの要素のいずれの1つも、コアネットワークオペレータ以外のエンティティによって所有および/または運用されることができることが理解されるであろう。
【0117】
RAN803内のRNC842aは、IuCSインターフェースを経由してコアネットワーク806内のMSC846に接続されることができる。MSC846は、MGW844に接続されることができる。MSC846およびMGW844は、WTRU802a、802b、802cと従来型の陸線通信デバイスとの間の通信を容易にするために、PSTN808などの回線交換ネットワークへのアクセスをWTRU802a、802b、802cにもたらすことができる。
【0118】
RAN803内のRNC842aはまた、IuPSインターフェースを経由してコアネットワーク806内のSGSN848に接続されることができる。SGSN848は、GGSN850に接続されることができる。SGSN848およびGGSN850は、WTRU802a、802b、802cとIP対応デバイスとの間の通信を容易にするために、インターネット810などのパケット交換ネットワークへのアクセスをWTRU802a、802b、802cにもたらすことができる。
【0119】
上記のようにコアネットワーク806はまたネットワーク812に接続されることができ、これは他のサービスプロバイダによって所有および/または運用される他の有線もしくは無線ネットワークを含むことができる。
【0120】
図8Dは、実施形態によるRAN804およびコアネットワーク807のシステム図である。上記のようにRAN804は、E-UTRA無線技術を使用して、エアインターフェース816を通してWTRU802a、802b、802cと通信することができる。RAN804はまた、コアネットワーク807と通信することができる。
【0121】
RAN804はeノードB860a、860b、860cを含むことができるが、RAN804は、実施形態と一貫性を保ちながら、任意の数のeノードBを含むことができることが理解されるであろう。eノードB860a、860b、860cはそれぞれ、エアインターフェース816を通してWTRU802a、802b、802cと通信するための1つまたは複数のトランシーバを含むことができる。一実施形態ではeノードB860a、860b、860cは、MIMO技術を実施することができる。従ってeノードB860aは、例えば複数のアンテナを用いてWTRU802aにワイヤレス信号を送信し、それからワイヤレス信号を受信することができる。
【0122】
eノードB860a、860b、860cのそれぞれは、特定のセル(図示せず)に関連付けられることができ、無線リソース管理決定、ハンドオーバ決定、アップリンクおよび/またはダウンリンクにおけるユーザのスケジューリングなどを取り扱うように構成されることができる。
図8Dに示されるようにeノードB860a、860b、860cは、X2インターフェースを通して互いに通信することができる。
【0123】
図8Dに示されるコアネットワーク807は、モビリティ管理ゲートウェイ(MME)862、サービングゲートウェイ864、およびパケットデータネットワーク(PDN)ゲートウェイ866を含むことができる。上記の要素のそれぞれはコアネットワーク807の一部として示されるが、これらの要素のいずれの1つも、コアネットワークオペレータ以外のエンティティによって所有および/または運用されることができることが理解されるであろう。
【0124】
MME862は、S1インターフェースを経由してRAN804内のeノードB860a、860b、860cのそれぞれに接続されることができ、制御ノードとして働くことができる。例えばMME862は、WTRU802a、802b、802cのユーザを認証すること、ベアラ活動化/非活動化、WTRU802a、802b、802cの初期アタッチ時に特定のサービングゲートウェイを選択することなどに対して責任をもつことができる。MME862はまた、RAN804と、GSMまたはWCDMAなどの他の無線技術を使用する他のRAN(図示せず)との間で切り換えるための、制御プレーン機能をもたらすことができる。
【0125】
サービングゲートウェイ864は、S1インターフェースを経由してRAN804内のeノードB860a、860b、860cのそれぞれに接続されることができる。サービングゲートウェイ864は一般に、WTRU802a、802b、802cへのまたはそれらからのユーザデータパケットを、経路指定および転送することができる。サービングゲートウェイ864はまた、eノードB間ハンドオーバ時にユーザプレーンをアンカリングすること、WTRU802a、802b、802cのためのダウンリンクデータが使用可能であるときにページングをトリガすること、WTRU802a、802b、802cのコンテキストを管理および記憶することなどの他の機能を行うことができる。
【0126】
サービングゲートウェイ864はまたPDNゲートウェイ866に接続されることができ、これはWTRU802a、802b、802cとIP対応デバイスとの間の通信を容易にするために、インターネット810などのパケット交換ネットワークへのアクセスをWTRU802a、802b、802cにもたらすことができる。
【0127】
コアネットワーク807は、他のネットワークとの通信を容易にすることができる。例えばコアネットワーク807は、WTRU802a、802b、802cと従来型の陸線通信デバイスとの間の通信を容易にするために、PSTN808などの回線交換ネットワークへのアクセスをWTRU802a、802b、802cにもたらすことができる。例えばコアネットワーク807は、コアネットワーク807とPSTN808との間のインターフェースとして働くIPゲートウェイ(例えばIPマルチメディアサブシステム(IMS)サーバ)を含むことができ、またはそれと通信することができる。さらにコアネットワーク807は、WTRU802a、802b、802cにネットワーク812へのアクセスをもたらすことができ、これは他のサービスプロバイダによって所有および/または運用される他の有線もしくは無線ネットワークを含むことができる。
【0128】
図8Eは、実施形態によるRAN805およびコアネットワーク809のシステム図である。RAN805は、IEEE 802.16無線技術を使用して、エアインターフェース817を通してWTRU802a、802b、802cと通信する、アクセスサービスネットワーク(ASN)とすることができる。以下でさらに論じられるように、WTRU802a、802b、802c、RAN805、およびコアネットワーク809の異なる機能エンティティの間の通信リンクは、基準点として定義されることができる。
【0129】
図8Eに示されるようにRAN805は、基地局880a、880b、880c、およびASNゲートウェイ882を含むことができるが、RAN805は実施形態と一貫性を保ちながら、任意の数の基地局およびASNゲートウェイを含むことができることが理解されるであろう。基地局880a、880b、880cはそれぞれRAN805内の特定のセル(図示せず)に関連付けられることができ、それぞれエアインターフェース817を通してWTRU802a、802b、802cと通信するための1つまたは複数のトランシーバを含むことができる。一実施形態では基地局880a、880b、880cは、MIMO技術を実施することができる。従って基地局880aは、例えば複数のアンテナを用いてWTRU802aにワイヤレス信号を送信し、それからワイヤレス信号を受信することができる。基地局880a、880b、880cはまた、ハンドオフトリガリング、トンネル確立、無線リソース管理、トラフィック分類、サービス品質(QoS)ポリシー実施などの、モビリティ管理機能をもたらすことができる。ASNゲートウェイ882は、トラフィック集約ポイントとして働くことができ、ページング、加入者プロファイルのキャッシング、コアネットワーク809への経路指定などに対して責任をもつことができる。
【0130】
WTRU802a、802b、802cとRAN805との間のエアインターフェース817は、IEEE 802.16仕様を実施するR1基準点として定義されることができる。さらにWTRU802a、802b、802cのそれぞれは、コアネットワーク809との論理インターフェース(図示せず)を確立することができる。WTRU802a、802b、802cとコアネットワーク809との間の論理インターフェースは、R2基準点として定義されることができ、これは認証、認可、IPホスト構成管理、および/またはモビリティ管理のために用いられることができる。
【0131】
基地局880a、880b、880cのそれぞれの間の通信リンクは、基地局間のWTRUハンドオーバおよびデータの転送を容易にするためのプロトコルを含むR8基準点として定義されることができる。基地局880a、880b、880cとASNゲートウェイ882との間の通信リンクは、R6基準点として定義されることができる。R6基準点は、WTRU802a、802b、802cのそれぞれに関連付けられたモビリティイベントに基づくモビリティ管理を容易にするためのプロトコルを含むことができる。
【0132】
図8Eに示されるようにRAN805は、コアネットワーク809に接続されることができる。RAN805とコアネットワーク809との間の通信リンクは、例えばデータ転送およびモビリティ管理能力を容易にするためのプロトコルを含むR3基準点として定義されることができる。コアネットワーク809は、モバイルIPホームエージェント(MIP-HA)884、認証、認可、アカウンティング(AAA)サーバ886、およびゲートウェイ888を含むことができる。上記の要素のそれぞれはコアネットワーク809の一部として示されるが、これらの要素のいずれの1つも、コアネットワークオペレータ以外のエンティティによって所有および/または運用されることができることが理解されるであろう。
【0133】
MIP-HAは、IPアドレス管理に対して責任をもつことができ、WTRU802a、802b、802cが、異なるASNおよび/または異なるコアネットワークの間でローミングすることを有効にすることができる。MIP-HA884は、WTRU802a、802b、802cとIP対応デバイスとの間の通信を容易にするために、インターネット810などのパケット交換ネットワークへのアクセスをWTRU802a、802b、802cにもたらすことができる。AAAサーバ886は、ユーザ認証に対して、およびユーザサービスをサポートすることに対して責任をもつことができる。ゲートウェイ888は、他のネットワークとの相互動作を容易にすることができる。例えばゲートウェイ888は、WTRU802a、802b、802cと従来型の陸線通信デバイスとの間の通信を容易にするために、PSTN808などの回線交換ネットワークへのアクセスをWTRU802a、802b、802cにもたらすことができる。さらにゲートウェイ888はWTRU802a、802b、802cにネットワーク812へのアクセスをもたらすことができ、これは他のサービスプロバイダによって所有および/または運用される他の有線もしくは無線ネットワークを含むことができる。
【0134】
図8Eに示されないが、RAN805は他のASNに接続されることができ、コアネットワーク809は他のコアネットワークに接続されることができることが理解されるであろう。RAN805と他のASNとの間の通信リンクは、R4基準点として定義されることができ、これはRAN805と他のASNとの間のWTRU802a、802b、802cのモビリティを協調させるためのプロトコルを含むことができる。コアネットワーク809と他のコアネットワークとの間の通信リンクは、R5基準として定義されることができ、これはホームコアネットワークと訪問先のコアネットワークとの間の相互動作を容易にするためのプロトコルを含むことができる。
【0135】
上記では特徴および要素は特定の組み合わせにおいて述べられたが、当業者は、各特徴または要素は単独で、または他の特徴および要素との任意の組み合わせにおいて用いられることができることを理解するであろう。さらに本明細書で述べられる方法は、コンピュータまたはプロセッサによる実行のためにコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアにおいて実施されることができる。コンピュータ可読媒体の例は、電子信号(有線または無線接続を通して送信される)、およびコンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読記憶媒体の例は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、ならびにCD-ROMディスクおよびデジタル多用途ディスク(DVD)などの光媒体を含むが、それらに限定されない。WTRU、UE、端末装置、基地局、RNC、または任意のホストコンピュータにおける使用のための無線周波数トランシーバを実施するように、ソフトウェアに関連してプロセッサが用いられることができる。