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特開2023-93484NK細胞の骨髄ホーミングを改善するPM21粒子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093484
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】NK細胞の骨髄ホーミングを改善するPM21粒子
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20230627BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230627BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20230627BHJP
【FI】
C12N5/071
A61P35/00
A61K35/17
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023053063
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2019547104の分割
【原出願日】2018-02-28
(31)【優先権主張番号】62/464,747
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510170730
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ セントラル フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515041446
【氏名又は名称】リサーチ インスティテュート アット ネイションワイド チルドレンズ ホスピタル
【氏名又は名称原語表記】RESEARCH INSTITUTE AT NATIONWIDE CHILDREN’S HOSPITAL
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100131990
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 玲恵
(72)【発明者】
【氏名】コピク,アリシャ
(72)【発明者】
【氏名】オイヤー,ジェレミア
(72)【発明者】
【氏名】チャクラヴァルティ,ニッティン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ディーン アンソニー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】PM21粒子の使用を通してNK細胞を骨髄に指向するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】ナチュラルキラー(NK)細胞を骨髄にトラフィッキングする方法に用いるためのPM21粒子又はFC21フィーダー細胞であって、NK細胞を骨髄にトラフィッキングすることは、対象にNK細胞を移入する前に6日間から40日間、NK細胞をPM21粒子又はFC21フィーダー細胞とex vivo又はin vitroで接触させることを含み、接触させることは、前記NK細胞の表面のPSGL-1のフコシル化を誘導する、PM21粒子又はFC21フィーダー細胞を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NK細胞をPM21粒子およびFC21フィーダー細胞の1つまたは複数と接触させる
ことを含む、NK細胞を骨髄にトラフィッキングする方法。
【請求項2】
前記NK細胞をIL-2、IL-12および/またはIL-18で刺激することをさら
に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との前記接触
が、患者への前記NK細胞の移入の前に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との前記接触
が、患者への前記NK細胞の移入に続いて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
NK細胞内の細胞内メカニズムを誘導して、前記NK細胞表面のPSGL-1のフコシ
ル化を誘導する、請求項1、3または4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記NK細胞表面のPSGL-1のフコシル化に相関させて、NK細胞内のFUT7の
発現を誘導する、請求項1、3または4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
対象における骨髄悪性腫瘍または骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法であって、NK細
胞をPM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と接触させること、ならびに前
記NK細胞を前記対象に養子移入すること、を含む、方法。
【請求項8】
対象における骨髄に関連するウイルス感染を処置する方法であって、NK細胞をPM2
1粒子およびFC21フィーダー細胞の1種または複数と接触させること、ならびに前記
NK細胞を前記対象に養子移入すること、を含む、方法。
【請求項9】
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との接触が、
患者への前記NK細胞の移入の前に行われる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との接触が、
患者への前記NK細胞の移入に続いて行われる、請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体として参照により本明細書に組み入れられる、2017年2月28日出
願の米国仮特許出願第62/464,747号の利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
I.背景
養子ナチュラルキラー(NK)細胞療法は、骨髄悪性腫瘍を含む腫瘍学のための有望な
新規介入法である。それゆえ、養子として用いられるNK細胞のトラフィッキングの効率
は、非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
必要とされるのは、NK細胞を骨髄に効率的にトラフィッキングし得る方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
II.概要
1.開示されるのは、NK細胞をPM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞
と接触させることを含む、NK細胞を骨髄にトラフィッキングすることに関係する方法お
よび組成物である。一態様において、該方法は、NK細胞をIL-2、IL-12、IL
-18および/またはIL-18で刺激することをさらに含み得る。
【0005】
2.同じく開示されるのは、NK細胞をPM21粒子および/またはFC21フィーダ
ー細胞と接触させること、ならびにNK細胞を該対象に養子移入すること、を含む、骨髄
悪性腫瘍もしくは骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法、および/またはウイルス感染(骨
髄向性(bone marrow tropic)ウイルス感染または骨髄に有害作用を
及ぼすウイルス感染をはじめとする骨髄関連ウイルス感染など)を処置する方法である。
幾つかの態様において、PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞とNK細胞
との接触は、患者へのNK細胞の移入の前に行うことができる。別の態様において、PM
21粒子および/またはFC21フィーダー細胞とNK細胞との接触は、患者の体内で行
うことができる。
【0006】
III.図の簡単な説明
3.本明細書に組み入れられ、その一部を構成する添付の図面は、複数の実施形態を例
示しており、記載と一緒になって、開示された組成物および方法を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】4.PM21粒子が細胞傷害性NK細胞を効率的かつ選択的に増幅する(expand)ことを示す。末梢血単核細胞(PBMC)を、白血球供給源から単離し、10%FBS、2mM Glutamaxおよび50U/mL IL-2を補充されたSCGM中で0.1×10NK細胞/mLに播種した。PBMCを、200μg/mLのPM15(□、黒色)またはPM21(〇、青色)粒子で27日間刺激し、細胞含量を2~3日ごとにテストして、NK細胞増幅の相対的倍率(A)および懸濁細胞のパーセンテージ(B)を示す。NK細胞増幅についての14日目のデータの累積分析に基づくと、PM21粒子(825±188倍、N=13、ドナー4名)(青色)は、PM15粒子(425±71、N=35、ドナー9名)(黒色)に比較してNK細胞増幅がより効率的である(C)。寛解中のAML患者3名から単離されたPBMCを、PM21粒子(200μg/mL)と共に14日間培養し、10%FBS、2mM Glutamax、50U/mL IL-2を含むSCGM中で0.5×10NK細胞/mLに播種した。原発性PBMC(D)およびリンパ球含量(E)(CD56CD3NK細胞(●、赤色)、CD56CD3T細胞(■、青色)およびCD56CD3NKT細胞(▲、黒色))からのNK細胞増幅の倍率が示されている。患者F021からのPBMCを、先に通り16日間培養して、同患者からのAML腫瘍への自家細胞傷害性を分析した(F)。増幅されたPM21-NK細胞をTFL4で標識し、活動性疾患の際の同患者からのAML細胞と共に示されたE:T比でコインキュベートして(2時間)、フローサイトメトリーにより分析した。自然死標的細胞の量を、「標的のみ」対照を用いて計測した。各データは、二重測定で計測された。
図2】5.PM21粒子での非選択PBMCの予備活性化が、インビボNK細胞増幅を誘導することを示す。NSGマウスに、非活性化PBMC(AおよびB)、またはPM21粒子および100U/mL IL-2によりエクスビボで2日間予備活性化されたPBMC(PM21-PBMC)(CおよびD)のいずれかを2×10細胞で腹腔内注射した。全群のマウスが、1000UのIL-2を腹腔内に週3回受けた。マウスの群は、PM21粒子 400μgも腹腔内に週2回注射された(BおよびD)。末梢血を、連続での頬からの出血により採取し、hCD45ヒトリンパ球について、6日目から開始して週2回、フローサイトメトリーにより分析した。NK、TおよびB細胞の量を、hCD3、hCD56、hCD19についての染色に基づいて計測した。各実験群における左のプロットは、PB 1μLあたりのhNK細胞の濃度を示す。右のプロットは、総hCD45細胞の割合としてのhNK細胞(〇、赤色)およびT細胞(▽、黒色)のパーセンテージを示す。
図3】6.増殖分析がPM21-PBMCからのインビボNK細胞増幅を証明することを示す。解凍されたばかりのPBMC、またはPM21粒子および100U/mL IL-2で2日間予備活性化されたPBMC(PM21-PBMC)を、Cell Trace(CT) Violetで標識した。2×10の非活性化PBMC(AおよびB)またはPM21-PBMC(CおよびD)を、NSGマウスに腹腔内注射した。全群のマウスが、1000U IL-2を腹腔内に週3回受けた。2つのマウス群はまた、PM21粒子400μgを腹腔内に週2回注射された(BおよびD)。各群のマウス2匹を6日目に安楽死させて、腹膜洗浄液をhCD45、hCD3、hCD56NK細胞のCT Violet蛍光について、フローサイトメトリーにより分析した。CT Violet蛍光のヒストグラムを、FlowLogic内の増殖分析スイートを利用したカーブフィッティングを通して分析した。
図4】7.PM21のインビボ適用が末梢血中のNK細胞の増加を可能にすることを示す。PBMCは、PM21粒子および100U/mL IL-2によりエクスビボで2日間、予備活性化させた。生存可能なNK細胞0.2×10個を含有する量のPM21-PBMCを、NSGマウスに腹腔内注射した。全群のマウスが、1000UのIL-2を腹腔内に週3回受けた。マウスはまた、PM21粒子0(A)、400(B)、800(C)、1,600μg(D)を週2回、腹腔内に注射された。末梢血を、hCD45リンパ球について、5日目から開始して週2回、フローサイトメトリーにより分析し、hNK、hTおよびhB細胞量を、hCD3、hCD56、hCD19の染色に基づいて計測した。各実験群における左のプロットは、PB 1μLあたりのhNK細胞の濃度を示す。右のプロットは、総hCD45細胞の割合としてのhNK細胞(〇、赤色)およびT細胞(▽、黒色)のパーセンテージを示す。PM21-PBMCの初回腹腔内注射の後12日目からのPB試料の分析から、インビボPM21粒子投与に応答したPB hNK細胞の用量依存的増加が示されるが(E左)、総CD3T細胞の有意な用量依存的増加は、観察されなかった(E右)。
図5】8.重要な生理学的部位に生体内分布するインビボ増幅されたNK細胞、および該NK細胞の生体内分布が、PM21粒子のインビボ適用により増加することを示す。PM21-PBMCの一部として、PM21粒子および100U/mL IL-2によりエクスビボで2日間、予備活性化されたNK細胞(0.2×10細胞)を、NSGマウスに腹腔内注射した。全群のマウスが、1000UのIL-2を腹腔内に週3回受けた。マウスはまた、PM21粒子0または800μgを週2回、腹腔内に注射された。マウスは、PM21-PBMCの初回腹腔内注射の後16日目に殺処分された。安楽死当日に、骨髄(大腿部)、脾臓、肺、脳および肝臓を採取して、臓器を灌流し、大腿部は洗浄して細胞を回収した。細胞を、フローサイトメトリー分析のためにhCD3、hCD45、hCD56、hCD19に対する抗体で染色した。骨髄、脾臓、脳、肺および肝臓(左から右)のデータを、hCD45hCD56hCD3NK細胞の量(各臓器の上のプロット)と共に示し、hCD45hCD56hCD3NK細胞(〇、赤色)、hCD45hCD3T細胞(□、青色)およびhCD45、hCD56hCD3のその他のリンパ球(△、黒色)のパーセンテージ(各臓器の下のプロット)を示す。それぞれの太いバーは、平均を表す。
図6】9.異なるドナー供給源からのインビボNK細胞の増幅が、一貫していることを示す。インビボNK細胞増幅で刺激されたPM21粒子の一貫性を、健常ドナーから得られた3種の異なるPBMCを用いてテストした。PBMCを、PM21粒子および100U/mL IL-2によりエクスビボで2日間、予備活性化して(PM21-PBMC)、NSGマウスに腹腔内注射した。全群のマウスが、1000UのIL-2を腹腔内に週3回受けた。末梢血を、hCD45リンパ球について、5日目から開始して週2回、フローサイトメトリーにより分析し、hNK、hTおよびhB細胞量を、hCD3、hCD56、hCD19の染色に基づいて計測した。腹腔内PBMC注射後12日目の血中のhNK細胞の濃度(A)および腹腔内PBMC注射後14日目の腹膜洗浄液中に回収されたNK細胞の量(C)は、異なるNK細胞供給源を注射された異なる群の間で類似していた(PBのp=0.84、およびp=0.69)。hNK細胞(〇、赤色)、hT細胞(□、青色)および他のhCD45細胞(△、黒色)の対応する細胞含量もまた、末梢血(B)および腹腔内(D)の異なるPBMC供給源を注射された群の間で一致していた。それぞれの太いバーは、平均を表す。
図7】10.0、1、7、および10日の刺激にて、可溶性サイトカインで処置されたNK細胞のHECA-452染色を示す。
図8】11.10、12、および14日の刺激に続いてK562フィーダー細胞と共に培養されたNK細胞のHECA-452染色を示す。
図9】12.10日の刺激に続いて様々な条件下で刺激されたNK細胞のHECA-452染色の比較を示す。
図10】13.10日の刺激に続いて様々な条件下で培養されたNK細胞のHECA-452染色を示す。
図11】14.10日の刺激に続く休止(rest)の3日後のNK細胞のHECA-452染色を示す。
図12】15.PM21粒子の14日増幅に続く解凍前および解凍後のHECA-452染色を示す。
図13】16.STAT3がヒトNK細胞中のFUT7遺伝子発現のIL-21介在性モジュレーションに関与することを示す。(A)ChIP-seqを、STAT3に対する抗体を用いてIL-21刺激されたナイーブおよび増幅ヒトNK細胞で実施した。矢印は、転写の方向性を示す。スケールは、遺伝子およびアイランドについて一致している;(B)RNA-seqから、IL-21刺激に応答したFUT7遺伝子発現の差別的調節が明らかである;(C)IL-21は、増幅NK細胞におけるFUT7遺伝子へのSTAT3結合を増進する;そして(D)IL-21は、増幅NK細胞におけるFUT7遺伝子発現を上方制御する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
IV.詳細な記載
17.本発明の化合物、組成物、物品、装置、および/または方法を開示および記載す
る前に、それらが、他に断りがない限り特定の合成法もしくは特定の組換え生体工学法に
限定されず、または他に断りがない限り特別な試薬に限定されず、もちろん変動し得るこ
とが、理解されなければならない。本明細書で用いられる用語法が、特別な実施形態を記
載する目的のものであり、限定される意図がないこともまた、理解されなければならない
【0009】
A.定義
18.本明細書および添付の特許請求の範囲で用いられる通り、単数の形態「a」、「
an」および「the」は、文脈で他に明確に示されない限り複数の対象物を包含する。
つまり例えば「医薬担体」の対象物は、2つ以上のそのような担体の混合物などを包含す
る。
【0010】
19.範囲は、本明細書において、「約」1つの特別な値から、そして/または「約」
別の特別な値まで、として表すことができる。そのような範囲を表す場合、別の実施形態
は、その1つの特別な値から、そして/または別の特別な値までを包含する。同様に、値
が、先行する「約」の使用により近似値として表される場合、特別な値が別の実施形態を
形成することは、理解されよう。範囲それぞれのエンドポイントが、他のエンドポイント
に関係して、そして他のエンドポイントと独立して意義があることが、さらに理解されよ
う。本明細書に開示された複数の値が存在し、各値が、その値そのものに加えた「約」特
定の値として開示されることも、理解されよう。例えば、値「10」が、開示される場合
、「約10」もまた、開示される。値が、その値「以下」であると開示される場合、当業
者に適宜、理解される通り、「その値以上」、および値の間の可能な範囲もまた、開示さ
れることも理解されよう。例えば、値「10」が、開示される場合、「10以下」および
「10以上」もまた、開示される。本出願全体を通して、データが異なる形式で提供され
ること、およびこのデータがエンドポイントおよびスターティングポイントと、これらの
データポイントの任意の組み合わせの範囲内であることも、理解されよう。例えば、特別
なデータポイント「10」および特別なデータポイント15が、開示される場合、10お
よび15より大きな、10および15以上、10および15未満、10および15以下、
および10および15と等しい、が10~15の間と同様に開示されると見なされること
が、理解されよう。2つの特別な単位の間の各単位もまた開示されることも、理解されよ
う。例えば10および15が開示される場合、11、12、13、および14もまた、開
示される。
【0011】
20.本明細書および以下の特許請求の範囲において、以下の意味を有すると定義され
る複数の用語が参照されよう。
【0012】
21.「任意選択による」または「場合により」は、続いて記載される事象または状況
が起こっても、または起こらなくてもよく、その記載が、前記事象または状況が起こる例
と起こらない例を含むことを意味する。
【0013】
B.組成物を使用する方法
22.養子ナチュラルキラー(NK)細胞療法は、骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性
腫瘍など、そしてそれの獣医学的適用をはじめとする腫瘍学のための有望な新規介入法で
ある。別の態様において、養子NK細胞は、例えば再生不良性貧血を誘発するパルボウイ
ルスなど、骨髄常在ウイルスの処置に治療的に用いられ得る。それゆえ、養子的に用いら
れるNK細胞のトラフィッキングの効率は、非常に重要である。特に、移入された細胞を
処置として効果的になり得る骨髄にどのようにして誘導するかが、極めて重要である。
【0014】
23.骨髄ホーミングの決定因子の1つが、セレクチン結合のためのリガンドである。
L-セレクチンの結合の場合、重大な決定因子は、P-セレクチン糖タンパク質リガンド
-1(PSGL-1)に付着したシアリルルイスx(sLex)炭水化物鎖のフコシル化
状態である。一態様において、IL-21および/または41bblの操作された膜結合
形態を発現するように形質転換されたK562細胞(K562.mb21.41bbl)
から調製されたPM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞によるNK細胞の刺
激は、NK細胞の効率的な特異的増幅を誘導し、sLexの全フコシル化を誘導すること
が、開示され、本明細書で企図される。
【0015】
24.したがって一態様において、本明細書に開示されるのは、NK細胞をPM21粒
子および/またはFC21フィーダー細胞と接触させること、ならびにNK細胞を必要と
する患者に養子移入すること、を含む、骨髄へのNK細胞のトラフィッキングに関する方
法、および骨髄悪性腫瘍または骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法である。一態様におい
て、該方法は、NK細胞をIL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21
によりエクスビボまたはインビボ(患者の体内)のいずれかで刺激することをさらに含み
得る。
【0016】
25.幾つかの態様において、PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と
NK細胞との接触は、患者へのNK細胞の移入の前に行うことができる。別の態様におい
て、PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞とNK細胞との接触は、患者の
体内で行うことができる。
【0017】
26.一態様において、NK細胞免疫療法の有効性が、患者に投与されるNK細胞、ま
たはインビボ増幅を通して輸液後に到達されるNK細胞の用量に依存的であることが、理
解され、本明細書で企図される。現在利用可能な技術は、患者において治療効果を実現す
るのに必要となるNK細胞増幅のレベルを実現することが不能であることにより限定され
る。より簡潔な臨床増幅プロトコルを欠くことが、NK細胞を基にした免疫療法の進行お
よび広範の普及にとって大きな障壁である。現行のエクスビボ増幅プロトコルは、白血病
由来フィーダー/刺激細胞株で発現される、高用量のサイトカインとリガンドの活性化と
の組み合わせを利用し、ほとんどの施設にある臨床環境に移設するための少なからぬ欠点
を提起し、直接的なインビボ増幅に修正可能でない。本明細書に記載されたエキソソーム
をはじめとする粒子技術の利用が、刺激細胞の要件を排除し、こうして方法論が簡潔化し
て、養子療法のためのエクスビボ増幅が可能になる、または選択的インビボ増幅のために
インビボで適用される。したがって一態様において、本明細書で開示されるのは、NK細
胞を、NK細胞エフェクター剤を含む1種または複数の小胞と接触させることを含む、N
K細胞の養子移入を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性腫瘍を処置するための方法
ならびに/または骨髄にNK細胞をトラフィッキングする方法である。一態様において、
同じく開示されるのは、少なくとも1種のNK細胞を少なくとも1種または複数の刺激性
サイトカインと接触させることにより、インビボNK細胞を予備活性化または活性化させ
ることをさらに含む、骨髄悪性腫瘍、骨髄由来の悪性腫瘍、および/またはウイルス感染
(骨髄向性のウイルスを含む)を処置する方法である。したがって一態様において、PM
21粒子および/もしくはFC21フィーダー細胞によりエクスビボで増幅されたNK細
胞、またはPM21もしくはFC21フィーダー細胞により直接インビボ刺激されたNK
細胞を使用して、再生不良性貧血を誘発する骨髄常在ウイルスの疾病または症候群(例え
ば、パルボウイルス)を処置することができる。
【0018】
27.開示された方法は、少なくともNK細胞上で少なくとも1種または複数の刺激性
サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、IL-15、IL-21および/または
IL-18)と接触させることにより、NK細胞の予備活性化または活性化を完遂する。
したがって一態様において、本明細書で開示されるのは、1種または複数のNK細胞を、
2または3種の刺激性サイトカインと接触させることなど、1種または複数のNK細胞を
、IL-2、IL-12、IL-21、IL-15および/もしくはIL-18、または
それらの任意の組み合わせを含む群から選択される1種または複数の刺激性サイトカイン
と接触させることによりNK細胞を予備活性化させることを含む、 NK細胞の養子移入
を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法ならびに/または骨髄に
NK細胞をトラフィッキングする方法である。例えば具体的に本明細書に開示されるのは
、該予備活性化または活性化ステップが、NK細胞とIL-2;IL-12;IL-15
、IL-18、IL-12およびIL-15;IL-12およびIL-18;IL-15
およびIL-18;またはIL-12、IL-15、およびIL-18との接触を含む、
方法である。一態様において、開示された、NK細胞の養子移入を通して骨髄悪性腫瘍お
よび骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法、ならびに/または骨髄にNK細胞をトラフィッ
キングする方法は、NK細胞を、可溶性形態の、またはPM21粒子もしくはFC21フ
ィーダー細胞の形態の、4-1BBL、IL-2、IL-21、MICA/B、ULBP
2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD155、CD112、CCR
7、DAP12、Notchリガンドおよび/またはDAP10からなる群から選択され
る1種または複数のサイトカインと接触させることをさらに含み得る。
【0019】
28.可溶性形態の、またはPM21粒子もしくはFC21フィーダー細胞の形態の予
備活性化または活性化の持続期間(即ち、NK細胞と刺激性サイトカイン(例えば、IL
-2、IL-12、IL-15、IL-21および/またはIL-18)との接触の持続
期間)が、NK細胞の所望の予備活性化または活性化を実現するのに必要となる時間の任
意の長さであり得ることが、理解され、本明細書で企図される。例えば該接触は、1分と
いう短時間、または7日もの長時間であり得る(例えば、IL-2、IL-12、IL-
15、IL-21および/またはIL-18の存在下でNK細胞を7日間培養すること)
。一態様において、本明細書で開示されるのは、1種または複数のNK細胞をIL-2、
IL-12、IL-15、および/またはIL-18と、5、6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24
、36、または48時間接触させることによりNK細胞を予備活性化または活性化させる
ことを含む、NK細胞の養子移入を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性腫瘍を処置
する方法ならびに/または骨髄にNK細胞をトラフィッキングする方法である。培養での
サイトカインの半減期が、所望の接触時間より短くなり得ることが、理解され、本明細書
で企図される。したがって本明細書で開示されるのは、1種または複数のNK細胞をIL
-2、IL-12、IL-15および/またはIL-18と、接触期間内で1、2、3、
4、5、6、7、8、9、10、11、または12時間ごとに(例えば、24時間の接触
時間内で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12時間ごとに)接
触させる方法である。
【0020】
29.接触してNK細胞を活性化および/または増幅させる1種または複数のNK細胞
のエフェクター剤(即ち、刺激性ペプチド、サイトカイン、および/または接着分子)を
含む形質膜(PM)粒子、エキソソーム(EX)またはフィーダー細胞(FC)の使用を
通して、サイトカイン毒性に関連する多くのハードルが乗り越えられる。NK細胞活性化
剤および刺激性ペプチドの例としては、41BBL、IL-2、IL-12、IL-21
、IL-18、MICA、LFA-1、2B4、BCM/SLAMF2、CCR7、No
tchリガンドおよび/または他のホーミング誘導シグナル伝達分子が挙げられるが、こ
れらに限定されない。サイトカインの例としては、IL-2、IL-12、IL-21、
およびIL-18が挙げられるが、これらに限定されない。接着分子の例としては、LF
A-1、MICA、BCM/SLAMF2が挙げられるが、これらに限定されない。例え
ば形質膜(PM)粒子、フィーダー細胞(FC)、またはエキソソーム(EX)は、膜結
合IL-21を発現するフィーダー細胞(それぞれ、FC21細胞、PM21粒子、およ
びEX21エキソソーム)から調製される。膜結合IL-21を発現するFC21細胞、
PM21粒子、およびEX21エキソソームは、非限定的に41BBL、IL-2、IL-
12、IL-15、IL-18、MICA、LFA-1、2B4、BCM/SLAMF2、
CCR7をはじめとする追加の1種または複数の活性化剤、刺激性ペプチド、サイトカイ
ン、および/または接着分子(例えば、41BBLおよび膜結合インターロイキン-21
を発現するPM21粒子、EX21エキソソーム、またはFC細胞)をさらに含み得る。
したがって一態様において、本明細書で開示されるのは、NK細胞を、NK細胞エフェク
ター剤を含む少なくとも1種の小胞と接触させることを含み、該小胞を含むNK細胞エフ
ェクター剤が、PM21粒子、EX21粒子、および/またはFCフィーダー細胞のうち
の1つまたは複数の任意の組み合わせである、NK細胞の養子移入を通して骨髄悪性腫瘍
および骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法ならびに/または骨髄にNK細胞をトラフィッ
キングする方法である。例えば本明細書で開示されるのは、他のステップと共に、NK細
胞を、NK細胞エフェクター剤を含む少なくとも1種の小胞と接触させることを含み、該
小胞を含むNK細胞エフェクター剤が、PM21粒子;EX21エキソソーム;FC21
フィーダー細胞;PM21粒子およびEX21エキソソーム;PM21粒子およびFC2
1フィーダー細胞;EX21エキソソームおよびFC21フィーダー細胞;またはPM2
1粒子、EX21エキソソーム、およびFC21フィーダー細胞を含む、NK細胞の養子
移入を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性腫瘍を処置するための方法ならびに/ま
たは骨髄にNK細胞をトラフィッキングする方法である。
【0021】
30.幾つかの態様において、PM21粒子、EX21エキソソーム、またはFCフィ
ーダー細胞のエフェクター剤は、膜挿入ペプチド(例えば、Fc、GPI、膜貫通T細胞
受容体、またはpHLIP)にカップリングされた1種または複数の刺激性ペプチドを含
む。膜挿入ペプチドは、膜への挿入を促進する分子であってもよい。膜挿入ペプチドは、
脂質二重層への親和性を有するCD4またはIgGのセグメントを含んでいてもよい。加
えて、代わりの膜挿入ペプチドは、ヒトFc、GPI、膜貫通T細胞受容体、またはpH
LIPを含んでいてもよい。膜自己挿入ペプチド(membrane self-ins
erting peptide)は、細胞膜に挿入することが知られる任意のペプチドで
あってもよい。膜自己挿入ペプチドコンジュゲートの使用に応じて、特定の膜自己挿入ペ
プチドは、他よりも良好な選択になり得る。当業者は、どの膜自己挿入ペプチドが異なる
状況下で理想的であるかを理解するであろう。例えばインビボ使用の場合、pHLIP膜
自己挿入ペプチドが、適切になり得る。pHLIP膜自己挿入ペプチドは、低pH条件下
のみで膜に挿入する。それゆえpHLIPコンジュゲートは、正常な生理学的条件下では
細胞膜に挿入しない。しかし、腫瘍環境に注入すると、腫瘍環境は、正常な生理学的条件
よりも酸性であるため、pHLIPコンジュゲートが、腫瘍細胞の細胞膜に挿入すること
ができる。腫瘍環境へのこの挿入は、腫瘍エリアにおけるNK細胞の活性化を可能にする
。したがってpHLIPの使用は、ランダムな細胞膜への望ましくない挿入を予防する。
【0022】
31.膜挿入ペプチドは、種々の方法で1種または複数の刺激性ペプチドにカップリン
グされてもよく、ペプチドをカップリングさせる技術は、当該技術分野で周知である。刺
激性ペプチドにカップリングされた膜挿入ペプチドは、膜挿入ペプチドコンジュゲートと
も称することができる。幾つかの態様において、膜挿入ペプチドにカップリングされた該
1種または複数の刺激性ペプチドは、組換えDNAによりコードされた融合タンパク質を
含んでいてもよく、そのような融合タンパク質は、細菌細胞内で産生されてもよい。特定
の実施形態において、融合タンパク質は、リポソームまたは細胞膜中への固定のために疎
水性ペプチド、GPI、またはヒトFcなどの親油性分子にコンジュゲートまたはカップ
リングされた1種または複数の刺激性ペプチドからなってもよい。これらの融合タンパク
質のためのcDNAベクターが、細菌(大腸菌)、昆虫、または哺乳動物細胞における発
現を可能にする発現プラスミド中にライゲートされていてもよい。特定の実施形態におい
て、cDNAベクターは、FLAG-またはHIS-タグされていてもよい。細菌細胞が
、Sambrook et al., Molecular Cloning: A L
aboratory Manual.2nd ed. Cold Spring Harb
or Laboratory Press (1989)に記載されるような標準的なC
aClトランスフェクション法を利用してトランスフェクトされてもよい。細菌細胞はま
た、LB培地で培養されてもよく、細胞を回収し、フレンチプレスを用いて溶解すること
ができる。該当するタンパク質を、アフィニティークロマトグラフィーにより溶解物から
精製することができる。パルミチン酸コンジュゲートプロテインAおよび精製されたFc
融合タンパク質を、4℃で1:2(w/w)で混合することにより、文献に記載された通
りコンジュゲートすることができる。コンジュゲートは、その後、腫瘍内に直接注入して
もよく、またはリポソームに取り込まれてもよい。
【0023】
32.カップリングのタイプおよびカップリングのための方法は、当業者に公知である
。本明細書で用いられる用語「カップリングする」は、膜自己挿入ペプチドがコンジュゲ
ート、連結、または他の方法でペプチドもしくはタンパク質などの別の分子につながるこ
とを指す。例えば刺激性ペプチドにカップリングされた膜挿入ペプチドは、膜挿入ペプチ
ドがジスルフィド結合を介して別のタンパク質にカップリングされた誘導タンパク質であ
り得る。カップリングまたはコンジュゲーティングは、膜自己挿入ペプチドとNK細胞エ
フェクター剤との間に化学的なつながりが存在することを意味し得る。
【0024】
33.幾つかの態様において、1つまたは複数の刺激性ペプチドが、膜自己挿入ペプチ
ドまたは本来の場所での自己組立て(in situ self-assembly)のた
めのGPIアンカーにカップリングされていてもよい。例えば41-BBLおよびIL-
21が、酸性条件下で細胞膜に単独で挿入するpHLIPペプチドにカップリングされて
いて、それにより腫瘍近辺の細胞への刺激性リガンドの固定を可能にしてもよい。刺激性
ペプチド:41BBL、IL-2、IL-12、IL-21、BCM/SLAMF2、CC
R7 および/または他のホーミング受容体が、細菌細胞内で産生されてもよく、または
市販の供給元から購入されてもよく、これらのタンパク質のcDNAベクターは、場合に
より細菌(大腸菌)、昆虫、または哺乳動物細胞における発現を可能にするpTriEX
発現プラスミド中にライゲートされていてもよい。cDNAベクターが、FLAG-また
はHIS-タグの発現をコードしてもよい。細菌細胞は、標準的なCaClトランスフェ
クション法を利用してトランスフェクトすることができ、LB培地で培養されてもよい。
細胞を回収して、フレンチプレスを用いて溶解することができ、該当するタンパク質を、
その後、アフィニティークロマトグラフィーにより溶解物から精製してもよい。
【0025】
34.幾つかの実施形態において、pHLIPは、9-フルオレニルメチルオキシカル
ボニルの化学作用を利用した固相ペプチド合成により調製されてもよく、該生成物が、逆
相クロマトグラフィーによりC18カラムで精製されてもよい。pHLIPはその後、ベ
ンゾフェノン-4-ヨードアセトアミドなどの架橋剤と共にインキュベートすることによ
り刺激性ヒトタンパク質リガンドにコンジュゲートされてもよい。複数回洗浄した後、コ
ンジュゲートされたpHLIPタンパク質を培地(例えば、生理食塩水)で再懸濁させて
、腫瘍内または静脈内に注入してもよい。前述の文献からの、そして実験結果に表された
証拠に基づいて、そのような修飾された腫瘍細胞表面でのNK細胞とIL-21および4
1-BBLなどの刺激性リガンドとの相互作用で、本来の場所でのNK細胞増幅を刺激し
、腫瘍への細胞傷害性応答を惹起してもよい。このタイプの刺激性アプローチを、卵巣癌
などの固形腫瘍の処置に用いることができ、そこで酸性pH条件下で本来の位置の腫瘍細
胞内に挿入するNK刺激性リガンドを、低用量のIL-2のみと、またはNK細胞と共に
、患者の腹腔に注射することができる。NK細胞などの高レベルのFCγlIIR(CD
16)を発現する細胞傷害性リンパ球が治療性抗体を用いた癌治療の有効性に不可欠であ
るという強力な証拠がある。したがってこのアプローチは、治療性抗体と組み合わせて用
いることもできる。
【0026】
35.NK細胞と小胞を含むNK細胞エフェクター剤(即ち、PM21粒子、EX21
エキソソーム、および/またはFCフィーダー細胞)との接触期間が、メモリーNK細胞
の所望の増幅を実現するのに必要となる時間の任意の長さであり得ることが、理解され、
本明細書で企図される。例えば該接触は、1分という短時間、または60日もの長時間で
あり得る(例えば、PM21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFCフィーダ
ー細胞の存在下でNK細胞を7日間培養すること)。一態様において、NK細胞と小胞を
含むNK細胞エフェクター剤との接触は、約6日~約60日の間であり得、より好ましく
は該接触は、約6日~約40日の間であり得る。同じく本明細書で開示されるのは、NK
細胞をPM21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFCフィーダー細胞と、5
、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33
、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、
47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、6
0、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、または72
日間接触させることを含む、NK細胞の養子移入を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の
悪性腫瘍を処置する方法ならびに/または骨髄にNK細胞をトラフィッキングする方法で
ある。幾つかの例において、該NK細胞とPM21粒子、EX21エキソソーム、および
/またはFCフィーダー細胞との複数回の接触が望ましくなり得、用いられ得ることが、
理解され、本明細書で企図される。例えば該NK細胞を、PM21粒子、EX21エキソ
ソーム、および/またはFCフィーダー細胞と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、18、24時間、2、3、4、5、6、7、8、9、0、10、11
、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日ごとに1回接
触させることができる。したがって一態様において、本明細書に開示されるのは、該NK
細胞をPM21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFCフィーダー細胞と1回
より多く接触させ、該接触が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12
、18、24時間、2、3、4、5、6、7、8、9、0、10、11、12、13、1
4、15、16、17、18、19、20、または21日ごとに行われる、NK細胞の養
子移入を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法ならびに/または
骨髄にNK細胞をトラフィッキングする方法である。
【0027】
36.一態様において、該形質膜粒子、フィーダー細胞、またはエキソソームは、NK
細胞を刺激するフィーダー細胞から精製され得る。本明細書で開示される、形質膜粒子ま
たはエキソソームを作製する際の使用のための、請求された本発明における使用のための
NK細胞刺激フィーダー細胞は、放射線照射された自家もしくは同種末梢血単核細胞(P
BMC)、または自家もしくは同種末梢血単核細胞(PBMC)を含む非放射線照射自家
もしくはPBMC、RPMI8866、HFWT、K562、SKOV3、もしくはEB
V-LCL、または膜結合IL-21および41BBLをトランスフェクトされた非放射
線照射自家もしくはPBMC、RPMI8866、HFWT、K562、SKOV3、も
しくはEBV-LCL細胞のいずれかであり得る。幾つかの態様において、該NK細胞フ
ィーダー細胞は、膜結合IL-21および41BBLをトランスフェクトされたK562
細胞であり得る。
【0028】
37.開示された組成物を用いて、癌、特に骨髄に影響をおぼすまたは骨髄に局在化す
る悪性腫瘍など、非制御型細胞増殖を起こす任意の疾患を処置することができる。異なる
型の癌の非限定的列挙は、以下の通りである:リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、
白血病、癌腫、固形組織の癌腫、扁平細胞の癌腫、腺癌、サルコーマ、グリオーマ、高異
型度グリオーマ、ブラストーマ、神経芽腫、形質細胞腫、細胞球腫、メラノーマ、アデノ
ーマ、低酸素性腫瘍、骨髄腫、AIDS関連リンパ腫もしくはサルコーマ、転移性癌、ま
たは一般的な癌。
【0029】
38.開示された組成物を用いて処置することが可能な癌の代表的で非限定的な列挙は
、以下の通りである:リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、ホジキ
ン病、骨髄性白血病、膀胱癌、脳癌、神経系の癌、頭頸部癌、頭頸部の扁平細胞癌、腎臓
癌(kidney cancer)、小細胞肺癌および非小細胞肺癌などの肺癌(lun
g cancer)、神経芽腫/膠芽腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、皮膚癌、肝臓癌、
メラノーマ、口、喉、喉頭および肺の扁平細胞癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮頸癌腫、乳癌
、および上皮癌、腎臓癌(renal cancer)、尿生殖器癌、肺癌(pulmo
nary cancer)、食道癌腫、頭頸部癌腫、大腸癌、造血系癌;精巣癌;結腸お
よび直腸癌、前立腺癌、または膵臓癌。
【0030】
39.開示された組成物を用いて、骨髄に関連するウイルス疾患を処置することもでき
る。本明細書で用いられる骨髄に関連するウイルス疾患は、骨髄がウイルスを宿す(即ち
、ウイルス感染(慢性、急性、潜伏性、および持続性感染など)、さもなければ骨髄への
向性を有する)、または骨髄が再生不良性貧血を誘発するウイルス、例えばパルボウイル
スなどのウイルスにより有害な影響を受けたウイルス疾患を指す(幾つかの例において、
骨髄に有害な影響を及ぼす疾患または疾病は、骨髄のウイルス感染である)。したがって
一態様において、本明細書で開示されるのは、NK細胞をPM21粒子および/またはF
C21フィーダー細胞と接触させることを含む、対象における骨髄に関連する(例えば、
骨髄に悪影響を及ぼす)ウイルス感染を処置する方法、およびNK細胞を、ウイルス感染
を有する対象に養子移入する方法である。一態様において、該ウイルスは、再生不良性貧
血を誘発する可能性があり、そして/または骨髄における潜伏性もしくは慢性感染を成立
させる骨髄向性感染もしくはウイルス感染であり得る。例えば該ウイルスとしては、デン
グ、肝炎ウイルス(非限定的に、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイル
ス、D型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、およびG型肝炎ウイルスなど)、エプスタイ
ン-バーウイルス(ヒトヘルペスウイルス4としても知られる)、サイトメガロウイルス
(ヒトヘルペスウイルス5としても知られる)、パルボウイルス(非限定的にパルボウイ
ルスB19など)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、ヒト免疫不全ウイルス
(HIV)、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を挙げることができるが、これらに
限定されない。
【0031】
C.組成物
40.開示されるのは、開示された組成物を調製するために用いられる成分、および本
明細書で開示された方法の中で用いられる該組成物そのものである。これらおよび他の材
料は、本明細書で開示されており、これらの材料の組み合わせ、部分集合、相互作用、群
などが開示され、これらの化合物の各様々な個体および集合的組み合わせおよび順列の具
体的参照が明確に開示されなくてもよいが、それぞれが本明細書に具体的に企図および記
載されることが、理解されよう。例えば、特別なPM21粒子またはFC21フィーダー
細胞が開示および議論され、複数の修飾が、複数の分子に施され得る場合、具体的に企図
されるのは、反することが具体的に示されない限り、可能な修飾のあらゆる組み合わせお
よび順列である。したがって、分子A、B、およびCのクラスが開示され、分子D、E、
およびFのクラス、ならびに組み合わせた分子の例A-Dが開示される場合、それぞれが
個別に列挙されていないとしても、それぞれは個別に、そして集合的に企図され、組み合
わせ:A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-EおよびC-Fが開示を
見込まれることを意味する。同様に、これらの任意の部分集合または組み合わせもまた、
開示される。したがって例えば、A-E、B-F、およびC-Eの亜群が、開示を見込ま
れるであろう。この概念は、非限定的に、開示された組成物を作製および使用する方法に
おけるステップなど、本出願の全ての態様に適用される。したがって、実施され得る種々
の追加のステップが存在すれば、これらの追加のステップのそれぞれを、開示される方法
の任意の具体的実施形態または実施形態の組み合わせで実施し得ることが理解されよう。
【0032】
41.開示された、NK細胞の養子移入を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性腫
瘍を処置する方法、ならびに/または骨髄にNK細胞をトラフィッキングする方法は、1
種または複数のサイトカイン(例えば、IL-12、IL-15および/またはIL-1
8)を、例えばPM21粒子、FCフィーダー細胞、および/またはEX21エキソソー
ムなどのNK細胞エフェクター剤を含む小胞と組み合わせて利用する。開示された方法で
使用される成分を、開示された方法を人に即座に実施させるパッケージ内で提供すること
が有利になることが、理解され、本明細書で企図される。
【0033】
したがって一態様において、本明細書で開示されるのは、1種または複数のサイトカイ
ン(例えば、IL-2、IL-12、IL-15および/またはIL-18)と、NK細
胞エフェクター剤を含む1種または複数の小胞と、を含む、骨髄悪性腫瘍および骨髄由来
の悪性腫瘍をNK細胞で処置するためのキットである。一態様において、該小胞は、PM
21粒子、EX21エキソソーム、および/またはFCフィーダー細胞であり得る。例え
ば、開示されたキットは、IL-12およびPM21粒子;IL-15およびPM21粒
子;IL-18およびPM21粒子;IL-12およびEX21エキソソーム、IL-1
5およびEX21エキソソーム;IL-18およびEX21エキソソーム;IL-12お
よびFC21フィーダー細胞;IL-15およびFC21フィーダー細胞;IL-18お
よびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL15、およびPM21粒子;IL-12
、IL-18、およびPM21粒子;IL-15、IL-18、およびPM21粒子;I
L-12、IL-15、IL-18、およびPM21粒子;IL-12、IL15、およ
びEX21エキソソーム;IL-12、IL-18、およびEX21エキソソーム;IL
-15、IL-18、およびEX21エキソソーム;IL-12、IL-15、IL-1
8、およびEX21エキソソーム;IL-12、IL15、およびFC21フィーダー細
胞;IL-12、IL-18、およびFC21フィーダー細胞;IL-15、IL-18
、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL-15、IL-18、およびFC2
1フィーダー細胞;IL-12、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-1
5、EX21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-18、EX21エキソソーム、
およびPM21粒子;IL-12、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL
-15、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-18、FC21フィーダ
ー細胞、およびPM21粒子;IL-12、FC21フィーダー細胞、およびEX21エ
キソソーム;IL-15、FC21フィーダー細胞、およびEX21エキソソーム;IL
-18、FC21フィーダー細胞、およびEX21エキソソーム;IL-12、FC21
フィーダー細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム;IL-15、FC21フ
ィーダー細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム;IL-18、FC21フィ
ーダー細胞、PM21粒子、およびEX21エキソソーム;IL-12、IL15、EX
21エキソソーム、およびPM21粒子;IL-12、IL-18、EX21エキソソー
ム、およびPM21粒子;IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、およびPM
21粒子;IL-12、IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、およびPM2
1粒子;IL-12、IL15、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-
12、IL-18、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15、IL-
18、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL-15、IL-
18、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL15、EX21
エキソソーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL-18、EX21エキ
ソソーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-15、IL-18、EX21エキソソ
ーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、IL-15、IL-18、EX21
エキソソーム、およびFC21フィーダー細胞;IL-12、EX21エキソソーム、F
C21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15、EX21エキソソーム、FC
21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-18、EX21エキソソーム、FC2
1フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL15、EX21エキソソーム
、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-12、IL-18、EX21エ
キソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;IL-15、IL-18、
EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、およびPM21粒子;またはIL-1
2、IL-15、IL-18、EX21エキソソーム、FC21フィーダー細胞、および
PM21粒子を含み得る。
【0034】
42.小胞に含まれるNK細胞エフェクター剤(例えば、PM21粒子、EX21エキ
ソソーム、および/またはFCフィーダー細胞)が、4-1BBL、IL-2、IL-2
1、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD
155、CD112、CCR7、DAP12、NotchリガンドおよびDAP10から
なるNK細胞エフェクター剤の群から選択され得ることが、理解され、本明細書で企図さ
れる。
【0035】
43.開示されたキットまたは装置が、IL-12、IL-15、および/またはIL
-18に加えてサイトカインを含み得ることが、理解され、本明細書で企図される。した
がって一態様において、4-1BBL、IL-2、IL-12、IL-18、IL-21
、MICA/B、ULBP2、ICAM-1、2B4、BCM1/SLAMF2、CD1
55、CD112、CCR7、DAP12、およびDAP10をさらに含む、NK細胞の
養子移入を通して骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法、ならびに/ま
たは骨髄にNK細胞をトラフィッキングする方法のためのキットがある。
【0036】
44.一態様において、該開示されたキットまたは装置が、末梢血単核細胞の非選択集
団から得られたNK細胞など、ドナー供給物から得られたNK細胞と共に用いられ得るこ
とが、本明細書で企図される。幾つかの例において、骨髄悪性腫瘍および骨髄由来の悪性
腫瘍を処置するための開示されたキットにおいて用いられるNK細胞のためのドナー供給
源はまた、NK細胞のレシピエントであり得る。したがって該NK細胞は、自家供給源の
ものであり得る。他の例において、該NK細胞のドナー供給源は、ハプロタイプ一致の、
または同種のドナー供給源であり得る。
【0037】
45.NK細胞をキットまたは装置中で提供することが有益である例があることが、本
明細書でさらに企図される。したがって一態様において、本明細書で開示されるのは、N
K細胞またはNK細胞株をさらに含む骨髄悪性腫瘍を処置するためのキットである。
【0038】
1.医薬担体/医薬製品の送達
46.先に記載された通り、該組成物はまた、医薬的に許容できる担体中でインビボで
投与され得る。「医薬的に許容できる」は、生物学的または他の点で望ましからぬもので
ない材料を意味し、即ち該材料は、任意の望ましくない生物学的影響を誘発することなく
、または含有される医薬組成物の他の成分のいずれかと有害な手法で相互作用することな
く、核酸またはベクターと共に対象に投与され得る。該担体は、当業者に周知の通り、当
然、有効成分の任意の分解を最小限にするように、そして対象における任意の有害副作用
を最小限にするように選択されるであろう。
【0039】
47.該組成物は、外用(topical)での鼻内投与または吸入により投与など、
経口的に、非経口的に(例えば、静脈内で)、筋肉内注射により、腹腔内注射により、経
皮的に、体外で、外用などで投与されてもよい。本明細書で用いられる「外用での鼻内投
与」は、鼻孔の一方または両方からの鼻および鼻腔への該組成物の送達を意味し、噴霧機
構もしくは液滴機構による、または核酸もしくはベクターのエアロゾル化を通した、送達
を含み得る。吸入による該組成物の投与は、噴霧または液滴機構による送達を介する鼻ま
たは口を通したものであり得る。送達は、挿管を介した呼吸器系(例えば、肺)の任意の
エリアに直接であり得る。必要となる組成物の厳密な量は、対象の種、年齢、体重および
全般的状態、処置されるアレルギー障害の重症度、用いられる個々の核酸またはベクター
、投与様式などに応じて、対象ごとに変動するであろう。したがって、各組成物の厳密な
量を特定することは、可能でない。しかし、適当な量を、当業者が本明細書の教示を条件
に日常的実験のみを利用して決定することができる。
【0040】
48.該組成物の非経口投与は、用いられる場合には、一般に注射を特徴とする。注射
液は、液体溶液または懸濁液、注射前の液体への懸濁の溶液に適した固体形態、またはエ
マルジョンのいずれかとして、従来の形態で調製され得る。非経口投与のためのより近年
になり修正されたアプローチは、一定の投与量が維持されるように遅延放出または持続放
出系の利用を含む。例えば、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第3,610
,795号を参照されたい。
【0041】
49.該材料は、溶液、懸濁液中にあり得る(例えば、微粒子、リポソーム、または細
胞中に取り込まれる)。これらは、抗体、受容体、または受容体リガンドを介して特別な
細胞型に標的化されてもよい。以下の参考資料は、特異的タンパク質を腫瘍組織に標的化
させるこの技術の利用の例である(Senter, et al., Bioconjuga
te Chem., 2:447-451, (1991);Bagshawe, K.D.,
Br. J. Cancer, 60:275-281, (1989);Bagshawe,
et al., Br. J. Cancer, 58:700-703, (1988);Se
nter, et al., Bioconjugate Chem., 4:3-9, (199
3);Battelli, et al., Cancer Immunol. Immuno
ther., 35:421-425, (1992);Pietersz and McKe
nzie, Immunolog. Reviews,129:57-80, (1992);
およびRoffler, et al., Biochem. Pharmacol, 42:
2062-2065, (1991))。「ステルス」などのビヒクルおよび他の抗体コン
ジュゲート化リポソーム(結腸癌種を標的とする脂質介在性薬物など)、細胞特異性リガ
ンドを通したDNAの受容体介在性標的化、リンパ球指向性腫瘍標的化、およびインビボ
でのネズミグリオーマ細胞の高特異的治療性レトロウイルス標的化。以下の参考資料は、
特異的タンパク質を腫瘍組織に標的化させるこの技術の利用の例である(Hughes
et al., Cancer Research,49:6214-6220,(1989)
;およびLitzinger and Huang, Biochimica et Bi
ophysica Acta, 1104:179-187,(1992))。一般に受容
体は、構成的またはリガンド誘導性のいずれかのエンドサイトーシスの経路に関与する。
これらの受容体は、クラスリンがコーティングされたピットの中に密集し、クラスリンが
コーティングされた小胞を介して細胞に進入し、酸性化されたエンドソームを通過し、そ
こで受容体が選別され、その後、細胞表面にリサイクルして、細胞内に貯蔵されるように
なるか、またはリソゾーム内で分解される。内在化経路は、栄養素の取り込み、活性化タ
ンパク質の除去、巨大分子のクリアランス、ウイルスおよび毒素の日和見的進入、リガン
ドの解離および分解、ならびに受容体レベルの調節など、種々の機能の働きがある。多く
の受容体は、細胞型、受容体濃度、リガンドの型、リガンドの価数、およびリガンドの濃
度に応じて、1つより多くの細胞内経路に従う。受容体介在性エンドサイトーシスの分子
および細胞機構は、再考されている(Brown and Greene, DNA an
d Cell Biology 10:6, 399-409 (1991))。
【0042】
a)医薬的に許容できる担体
50.抗体を含む組成物は、医学的に許容できる担体と併せて治療に使用することがで
きる。
【0043】
51.適切な担体およびそれらの配合物は、Remington: The Scien
ce and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A
.R. Gennaro, Mack Publishing Company, East
on, PA 1995に記載されている。典型的には医薬的に許容できる塩の適当な量
が、配合物を等張にさせるのに配合物中で用いられる。医薬的に許容できる担体の例とし
ては、生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限
定されない。該溶液のpHは、好ましくは約5~約8、より好ましくは約7~約7.5で
ある。さらなる担体としては、マトリクスが成形体の形態である抗体を含有する固形疎水
性ポリマーの半透性マトリックスなどの持続放出性調製物、例えばフィルム、リポソーム
または微粒子が挙げられる。例えば投与経路および投与される組成物の濃度に応じて、特
定の担体がより好ましくなり得ることは、当業者に明白であろう。
【0044】
52.医薬担体は、当業者に公知である。これらのほとんどは、典型的には滅菌水、生
理食塩水、および生理学的pHの緩衝溶液などの溶液をはじめとする、ヒトへの薬物等投
与のための標準的担体であろう。該組成物は、筋肉内または皮下に投与され得る。他の化
合物は、当業者により用いられる標準的手順に従って投与されよう。
【0045】
53.医薬組成物は、選択された分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐
剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。医薬組成物は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬など
の1種または複数の有効成分も含んでいてよい。
【0046】
54.該医薬組成物は、局所または全身処置が望ましいか否か、そして処置されるエリ
アに応じて複数の方法で投与されてもよい。投与は、外用(眼科的、膣内、経直腸、鼻内
)、経口、吸入による、または非経口、例えば静脈内ドリップ、皮下、腹腔内、または筋
肉内注射によるものであってもよい。開示された抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下
、体腔または経皮的に投与され得る。
【0047】
55.非経口投与用の調製物としては、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液、およびエ
マルジョンが挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリ
コール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルで
ある。水性担体としては、生理食塩水および緩衝媒体をはじめとする、水、アルコール性
/水性溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナ
トリウム溶液、ブドウ糖加リンゲル液、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リ
ンゲル液、または不揮発油が挙げられる。静脈内ビヒクルとしては、流体および栄養素の
補液、電解質補液(ブドウ糖加リンゲル液を基にしたものなど)などが挙げられる。例え
ば抗微生物薬、抗酸化剤、キレート化剤、および不活性ガスなどの防腐剤および他の添加
剤もまた、存在してよい。
【0048】
56.外用投与用の配合物としては、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴薬、坐
剤、スプレー、液体および粉末を挙げることができる。従来の医薬担体、水性、粉末また
は油性基剤、増粘剤などが、必須である場合または望ましい場合がある。
【0049】
57.経口投与用の組成物としては、粉末もしくは顆粒、水もしくは非水性媒体中の懸
濁液もしくは溶液、カプセル、サシェ剤、または錠剤が挙げられる。増粘剤、香味剤、希
釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が望ましい場合がある。
【0050】
58.該組成物の幾つかは、潜在的には、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシ
アン酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコ
ール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、およびフマル
酸などの有機酸との反応により、または水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化
カリウムなどの無機塩基、ならびにモノ-、ジ-、トリアルキルおよびアリールアミン、
および置換されたエタノールアミンなどの有機塩基との反応により、形成された医薬的に
許容できる酸または塩基付加塩として投与されてもよい。
【0051】
b)治療的使用
59.該組成物を投与するための効果的な投与量および投与計画は、経験的に決定され
てもよく、そのような決定は、当該技術分野の技能の範囲内である。該組成物の投与のた
めの投与量範囲は、該障害の症状に影響を及ぼす所望の効果を生じるのに充分大きな範囲
である。該投与量は、望まない交差反応、アナフィラキシー反応など、有害な副作用を誘
発するほど大きくすべきではない。一般に該投与量は、患者の年齢、状態、性別および疾
患の程度、投与経路、または他の薬物がレジメンに含まれるか否かにより変動し、当業者
により決定され得る。該投与量は、任意の禁忌(counterindications
)の事象の際に各医師により調整され得る。投与量は、変動させることができ、1日また
は数日間に1日1回または複数回、投与され得る。所与のクラスの医薬製品に向けた適当
な投与量について、ガイダンスを文献に見出すことができる。例えば抗体の適当な用量を
選択するためのガイダンスは、抗体の治療的使用についての文献、例えばHandboo
k of Monoclonal Antibodies, Ferrone et al.,
eds., Noges Publications, Park Ridge, N.J.,
(1985)ch. 22 and pp. 303-357;Smith et al., A
ntibodies in Human Diagnosis and Therapy,
Haber et al., eds., Raven Press, New York (19
77)pp. 365-389に見出すことができる。単独で用いられる抗体の典型的な日
用量は、上述の因子に応じて、1日あたり約1μg/kg体重から100mg/kg体重
まで、またはより多い範囲内であってもよい。
【0052】
D.実施例
60.以下の実施例は、本明細書で請求された化合物、組成物、物品、装置、および/
または方法がどのようにして作製および評価されたかの完全な開示および記載を当業者に
提供するために述べられており、純粋に模範であり、本開示を限定するものではない。数
(例えば、量、温度など)に関する正確さを確保するよう努めたが、若干に誤差および偏
差が、考慮されなければならない。他に示されない限り、部は、重量部であり、温度は、
℃であるか、または周囲温度であり、圧力は、大気圧またはほぼ大気圧である。
【0053】
1.実施例1:PM21粒子はインビボでNK細胞増幅を刺激する
61.ナチュラルキラー(NK)細胞は、CD56CD3であることにより同定さ
れた自然免疫系の成分であり、ウイルス汚染された、または悪性である細胞を自然に認識
して溶解することができる。NK細胞での細胞療法は、癌処置として有望であり、複数の
臨床試験が、実施を終え、様々な癌(AML、リンパ腫、乳癌、卵巣癌、神経芽腫、非小
細胞肺癌)の処置のために現在進行中である。NK細胞での効果的抗癌治療のために、3
つの一般的態様が考慮されなければならない:1)NK細胞の充分に大きな用量が送達さ
れなければならないこと;2)NK細胞が高度に細胞傷害性でなければならないこと;お
よび3)NK細胞が疾患部位に到達して、ことによると局在化し、残留して、腫瘍細胞を
特異的に標的化しなければならないこと。
【0054】
62.AML環境における臨床有効性のために、Millerと共同研究者らは、輸液
投与後2週間目に末梢血(PB)1μLあたり少なくとも100のNK細胞を提供する用
量の到達を推奨した。養子NK細胞療法での処置が有効となる幾つかの例において、PB
1μLあたり1,000を超えるNK細胞が観察された。これらの観察から、全処置有効
性に充分な用量の送達のための熟達したNK細胞増幅法の重要性が強調される。
【0055】
63.現在、養子細胞療法のためのNK細胞増幅には、大きく3種の異なる臨床使用さ
れる方策が存在する。第一に、宿主リンパ球枯渇/放射線照射と組み合わせた、IL-1
5およびIL-2などのサイトカインでのインビボ増幅が、相対的に少量の注射されたド
ナーNK細胞からのインビボ増幅を刺激することができる。第二に、サイトカイン、主に
IL-2およびIL-15を用いたエクスビボ法は、NK細胞を活性化することができる
が、増幅は相対的に低く、変動性がある。同じく、サイトカインによりエクスビボで活性
化されたNK細胞は、輸液後にサイトカインの排出(withdrawal)を受け、N
K細胞は、アポトーシスを受ける。第三に、エクスビボNK細胞増幅のためのフィーダー
細胞法は、刺激性の他の細胞との共培養を利用する。NK細胞刺激のためのフィーダー細
胞法は、エプスタイン・バーウイルスーLCL、または操作された腫瘍細胞を含む。膜結
合IL-15(mb15)および4-1BBリガンド(41BBL)を発現するK562
CML細胞(K562-mb15-41BBL)との共培養は、NK細胞を約2週間以内
に数百倍に増幅することが可能であるが、この方法により増幅されたNK細胞は、老化に
見舞われる。加えて、IL-15で活性化されたNK細胞は、ADAM17のタンパク質
分解活性により表面CD16を損失する。むしろ、mb15の代わりにmb21を発現す
るK562細胞は、テロメア短縮と、その結果のNK細胞老化を回避しながら、NK細胞
増幅を有意に改善する。K562-mb21-41BBLでのNK細胞増幅は、非常に効
率的であり、平均48,000倍の増幅と、85%を超える濃縮率が、典型的には3週間
以内に実現される。これらの方法の全てが、臨床試験で積極的に検討されている。
【0056】
64.NK細胞増幅法は、改善されたが、依然として欠点および難題がある。IL-2
の高い毒性用量は、増幅法に関わらず、輸液投与されたNK細胞の生存に必要であるが、
NK細胞の持続性が限定された。フィーダー細胞でのエクスビボ法は、多量のNK細胞を
生成するための増幅に効果的であったが、NK細胞の長期エクスビボ培養が骨髄などの疾
患部位へのホーミング能力の喪失を引き起こす、という問題が生じた。こうして、インビ
ボ増幅vsエクスビボ増幅で全利益についての討論がなされた。最適なNK細胞増幅手順
は、エクスビボフィーダー細胞に基づく方法の増殖能力を有する方法であるが、エクスビ
ボまたはインビボのいずれかで実施することができる。
【0057】
65.PB単核細胞(PBMC)で出発する細胞傷害性NK細胞の急速かつ選択的な増
幅のための新規なPM21粒子に基づく方法。閉鎖した形質膜小胞に対応する粒子を、K
562-mb15-41BBL細胞の形質膜から調製し(PM15粒子)、14日以内の
250倍の、そして17日後に1,265倍の選択的NK細胞増幅を可能にし、それは共
培養されたK562-mb15-41BBLフィーダー細胞を用いた増幅効率と同等であ
る。フィーダー細胞で増幅されたNK細胞と類似のPM15粒子活性化NK細胞は、エク
スビボでCMLおよびAML細胞に対して高い細胞傷害性があった。重要なこととして、
これらの粒子は、フィーダー細胞法を上回る多くの利点を提供する。第一にそれらは、予
め調製され、テストして1年より長く貯蔵することができ、単一のGMP施設に拘束する
ことなく「オフザシェルフ試薬」として用いることができ、養子NK細胞療法の臨床物流
を大幅に簡素化する。第二に、NK細胞を刺激するのにフィーダー細胞の代わりにPM粒
子を使用すると、フィーダー細胞の放射線照射など腫瘍由来フィーダー細胞を用いる場合
、および最終生成物中の存在および増殖をテストする場合、安全性測定に必要となるステ
ップが排除される。第三に、腫瘍由来フィーダー細胞は、アジュバント療法として注射す
ることができないが、PM粒子は、NK細胞のインビボ増幅を刺激するために注射可能に
なり得る。NK細胞増幅のためのPM粒子に基づく方法により提供される利点は、顕著な
臨床上の利益を可能にする。
【0058】
66.この研究のこの時点で、K562-mb21-41BBLから調製されたPM粒
子の有効性を、養子移入されたNK細胞のインビボ増幅についてテストし、臨床環境で容
易に実行され得る相対的に短く簡単な手順で予備活性化した。該方法は、非常に少ないイ
ンビボNK細胞増幅および限定された持続性のみを可能にする養子NK細胞の静脈内輸液
により、これまでの試験の欠点を克服する。この試験では、有効性は、インキュベーショ
ンおよびPM21粒子による刺激のための本来の部位として働く予定の腹腔に注射された
非選択PBMCからのNK細胞のPM21粒子刺激エクスビボおよびインビボ増幅につい
て示す。この方法は、治療に関連する量のNK細胞のインビボ増幅に有用であることが予
測され、NK細胞介在性免疫療法を、患者により広く利用し易くするという意味を表す。
【0059】
a)材料と方法
(1)ヒト試料
67.原発性白血病芽細胞を、IRB認可のインフォームドコンセントに署名した活動
疾患時の患者から得て、同等のPBを、寛解時のこれらの患者から回収した。白血球供給
源(One Blood、フロリダ州オーランド所在)、またはIRB認可のインフォー
ムドコンセントに署名した健常志願者から回収された新鮮な血液を、健常試料として用い
た。PBMCを、Ficoll-Paque(GE Healthcare、ペンシルベ
ニア州ピッツバーグ所在)を用いて単離した。試料は全て、再同定して、生存できる状態
で凍結保存した。
【0060】
(2)試薬および細胞株
68.K562細胞株を、ATCC(バージア州マナサス所在)から得た。細胞傷害性
アッセイのためのAnnexin-V FITCキットおよびEnumeration F
low-Countビーズは、Beckman Coulter(フロリダ州マイアミ所
在)から購入した。以下の色素コンジュゲート抗体を、表現型決定に用いた:CD16-
FITC、NKG2A-PE、NKp46-PE、CD3-APC(Beckman Co
ulter);CD4-APC-Cy7、CD8-PE、CD56-BV421、CD9
4-APC(BD Biosciences);CD3-Alexa488、NKG2D
-APC、CD62L-PE-Cy7、CD45-eFluor450、CD45-AP
C(eBiosciences);CD56-PE、KIR2D-APC(Milteny
i);NKG2C-PE NKp44-APC、TRAIL-PE(R&D Syste
ms)。
【0061】
(3)形質膜粒子の調製および特徴づけ
69.PM粒子を、K562-mb21-41BBL細胞から調製した。細胞は、5%
ウシ胎児血清を補充されたRPMI-1640培地で生育させた。細胞を遠心分離(1,
000×g、10分間)により回収し、2mM EDTAを含有するDPBSで洗浄した
。細胞を、50mM HEPES(pH7.4)、150mM NaCl、2mM Mg
ClおよびAEBSF、アプロチニン、ロイペプチンおよびペプスタチンAを含有する
溶解緩衝液に再懸濁させた。細胞を、300psiおよび4℃で30分間での窒素キャビ
テーションにより破壊した(Parr Instruments、イリノイ州モリーン所
在)。細胞溶解物を遠心分離し(1,000×g、10分間)、その後、上清を遠心分離
して(100,000×g)、粗細胞膜をペレット化した。粗膜を、ショ糖勾配遠心分離
によりさらに精製して、閉鎖した形質膜小胞に対応する画分を回収した。全ての手順を、
無菌技術を利用して実施し、生成物の滅菌性を、培養でテストした。PM粒子調製物を、
BCAアッセイによるタンパク質濃度により定量し、膜タンパク質μg/mLとして明示
した。PM粒子上のIL-21および41BBLの存在を、ELISAおよびウェスタン
ブロットにより確証した。
【0062】
(4)PBMCからのエクスビボNK細胞増幅
70.PBMCからのNK細胞を、PM21粒子を用いて増幅させた。手短に述べると
、PBMCを、10%FBS、2mM Glutamax、100 U/mL IL-2(
Peprotech、ニュージャージー州ロッキーヒル所在)および200μg/mL
PM21粒子を補充されたSCGM(CellGenix、ニューハンプシャー州ポーツ
マス所在)中で0.1×10NK細胞/mLで播種した。補充された培地は、日常的に
、5日目の後に2~3日ごとに交換した。
【0063】
(5)患者の自家NK細胞の細胞傷害性アッセイ
71.自家AML腫瘍細胞に対する患者由来NK細胞の細胞傷害性アッセイを、Ann
exin V(BD Bioscience)でアッセイした。16日間増幅されたNK細
胞(NK細胞含量>90%)を、TFL4色素で染色した。標的腫瘍細胞を、E:T比
1:1、2:1、5:1、および10:1のNK細胞と共に0.5×10CD34
胞/mLで、37℃、5%COの大気圧で2時間共培養した。その後、細胞を遠心分離
し、Annexin V-FITC、抗CD34-PE、および抗-CD56-PC7を
含有するAnnexin V標識緩衝液に再懸濁させ、4℃で15分間インキュベートし
た。標識された細胞を250μLで希釈し、Accuri機器(BD Bioscienc
e)でのフローサイトメトリーにより分析した。
【0064】
(6)NSGマウスにおけるNK細胞のインビボ増幅
72.解凍されたばかりのPBMC、または200μg/ml PM21および100
U/mL IL-2で2日間予備活性化されたPBMCを、2回洗浄し、フェノールレッ
ド不含RPMI培地に再懸濁させた。全PBMC細胞懸濁液中の1×10NK細胞を、
NSG(NOD-scid IL-2Rgammanull)マウスに腹腔内注射した。
PM21粒子(図の凡例に指定された量、週2回)およびIL-2(1,000U、週3
回)もまた、腹腔内注射し、PBを、頬からの出血または心穿刺により採取した。臓器を
剖検で回収し、分析のために灌流して単一細胞懸濁液を得た。
【0065】
b)結果
(1)健常ドナーおよび白血病患者から得られたNK細胞のエクスビボおよびインビボ増

73.mbIL21を発現するよう操作されたK562細胞が、老化のないNK細胞増
幅により良好な効率を有することが報告されたため、PM粒子をK562-mb21-4
1BBL細胞から調製し、PM21粒子と表した。PM21粒子は、サイズ分布およびm
bIL21量の一貫性について特徴づけ(図S1)、NK細胞増幅能力についてテストし
た。
【0066】
74.PBMCを、PM21粒子(200μg/ml)と共に28日間培養した。PM
21粒子で刺激されたNK細胞は増幅して、NK細胞量が、PM21粒子刺激のNK細胞
培養物cにおいて14日目までに90%を超える程に達した(図1AB)。培養の14±
1日目のNK細胞増幅の累積分析から、PM21粒子(平均825倍増幅、範囲163~
2,216、n=13)がPM15粒子(平均424倍、範囲290~570、n=30
)に比較して有意に(p=0.021)より効果的であることが示された(図1C)。さ
らに、PM21粒子で刺激されたNK細胞が、28日の期間に指数関数的に増幅し、老化
により培養22日目までに停止したPM15粒子でのNK細胞増幅と対照的に、100,
000倍を超える増幅に達した。したがってPM21粒子は、PM15粒子よりも改善さ
れたNK細胞増幅の熟達を有し、PM21粒子でのNK細胞増幅は、PM21粒子が誘導
されたK562-mb21-41BBLフィーダー細胞で報告されたものと同等であった
。PM21増幅NK細胞はまた、白血病細胞株に対して細胞傷害性があった(図S2)。
【0067】
75.PM21粒子のNK細胞増幅能力を、寛解時の白血病患者からのPBMCでさら
にテストした。PM21粒子は、培養14日間に患者3名に由来する試料全てからNK細
胞増幅を相対的に効率的に誘導した(F021では113±7倍、M038では810±
81倍、およびM050では352±86倍、図1D)。増幅は、NK細胞に特異的であ
り、総hCD45細胞に対するNK細胞のパーセンテージが、優先的に上昇した(図1
E)。試料F021の場合、増幅されたNK細胞の細胞傷害性を、活動疾患時の同じ患者
から得られた腫瘍芽細胞に対して自家環境でテストした(図1F)。相対的に低いエフェ
クター対標的比(E:T)1:1では、78±3%の腫瘍細胞が、アポトーシス性であっ
た。したがってこの方法は、自家移植設定で用いることができる。
【0068】
76.PM粒子の先例にない能力は、インビボ増幅を促す注射液としてである。PM2
1粒子がインビボNK細胞増幅を刺激するか否かをテストし、エクスビボ予備活性化が必
要であるか否かを決定するために、NSGマウスに、未処置PBMCまたはPM21粒子
予備活性化PBMC(PM21-PBMC)の一部として0.1×10NK細胞を腹腔
内注射した。非活性化PBMCを注射されたマウスは、PB中に少量のヒトNK(hNK
)細胞を有し、hT細胞のみが、注射後15日にわたり総hCD45細胞のパーセンテ
ージとして増加した(図2AB)。著しく対照的なこととして、PM21-PBMCを注
射されたマウスのPBが、腹腔内注射後12日目をピークとするhNK細胞量の増加を有
することが見出された(図2CD)。NK細胞量は、hCD45細胞を53±8%に濃
縮した。同じ実験において、有効性を、PM21粒子のインビボ腹腔内適用についてテス
トして、より良好なインビボNK細胞増幅を促進した。正常なPBMCを注射されたマウ
スの場合、さらなるインビボPM21粒子は、hNK細胞増幅を刺激しなかった。しかし
、PM21-PBMCを移植されたマウスへのPM21粒子のインビボ適用は影響を有し
、hNK細胞量が、インビボPM21粒子を受けなかったPM21-PBMC移植マウス
に比較してより高かった(図2D)。
【0069】
77.PM21粒子がインビボNK細胞増殖を誘導するという証拠を提供するために、
腹腔内接種後6日目にインビボで増幅したCTViolet標識hNK細胞を用いて分析
を実施した。非活性化PBMCを注射されたマウスからの細胞から、CTViolet蛍
光が全く、またはほとんど減少しないことが示され、NK細胞の細胞分裂が全く、または
ほとんどないことが示された(図3AB)。PM21-PBMCを注射されたマウスから
のhNK細胞から、CTViolet蛍光強度の有意な減弱が示された(図3CD)。蛍
光強度のフィッティングから、該強度の低下が、6日以内にインビボで7回の細胞分裂を
行った大きな集団(major population)と相関することを示した。PM
21粒子の腹腔内注射を受けたマウスから得られたhNK細胞の場合、1回多い分裂が観
察され得る。インビボPM21粒子の投与によるこのさらなる倍増は、インビボPM21
粒子でのPBで観察されたより高いNK細胞量と相関する。
【0070】
78.インビボPM21粒子がインビボNK細胞増幅を増進するか否かをさらに検証す
るために、インビボPM21粒子の用量依存性を試験した(図4)。PB中のhNK細胞
の用量依存的増加が、注射1回あたりPM21粒子0~800μgで観察された(図4E
)。800μg用量(mbIL21 約100ngに対応)では、PBの1μgあたり4
70±40hNK細胞が、PM21-PBMCの腹腔内注射後12日目に観察された。こ
のPB中のNK細胞濃度は、AML環境における治療有効性があると一般に考えられる濃
度よりも5倍高かった。インビボ増幅についての用量依存的効果は、T細胞量が有意に増
加しなかったhNK細胞に特異的であった(図4E)。注射1回あたり1,600μgと
いうより多量では、PB hNK細胞量が、エクスビボで観察された効果と類似して低減
し、約200~400μg/mLは、PM21粒子またはPM15粒子に最適であり、よ
り多量では、NK細胞増幅が減弱した。
【0071】
79.PB中のhNK細胞の有意な量の観察から、腹腔内注射されたPM21-PBM
C中で増幅されたhNK細胞が、腹腔からPBに遊走し得ることが示される。養子移入さ
れたhNK細胞が潜在的疾患部位に遊走し得ることを検証するために、様々な臓器内のh
NK細胞を定量した(図5)。ヒトNK細胞が、検査された各臓器に見出され、より多量
のhNK細胞が、PM21粒子800μgをインビボ処置されたマウスの臓器に見出され
、肝臓以外の全てで有意であった(p<0.05)。さらに、PM21粒子800μgで
処置されたマウスからの臓器は、総hCD45細胞の割合としてより高いパーセンテー
ジのhNK細胞を有した。
【0072】
80.本明細書に記載されたマウスを基にした試験から、PM21粒子でのエクスビボ
での短い予備活性化と、PM21粒子のインビボ投与と、を組み合わせた手順が、潜在的
に治療に関連する範囲内で、有意なインビボNK細胞増幅を誘導することが示された。臨
床使用に必要となる一貫性を示すために、この手順を、3名の異なるドナーからの白血球
供給源(他の実験で用いられたドナーと異なる)に適用した(図6)。PBおよび腹膜洗
浄液の両方におけるhNK細胞の平均量は、白血球供給源の間で相対的に一致していた。
hNK、hT細胞および他のhCD45細胞のパーセンテージもまた、特別な白血球供
給源(n=3)からのPM21-PBMCを注射された群のマウスで、そして白血球供給
源L8とL10の間でも非常に一致した。
【0073】
(2)P21粒子で増幅されたNK細胞の表現型
81.NK細胞の抗腫瘍性細胞溶解活性を、活性化シグナルと阻害シグナルからの刺激
のバランスにより決定する。ここで、詳細な比較検査を、1)PM21により12日間エ
クスビボで増幅された、2)インビボで増幅されてPBから単離された、3)インビボで
増幅されて腹膜洗浄液(AW)から単離された、PM21粒子刺激NK細胞について実施
した。これらの比較は、この環境の全てにおいて単一ドナーからの細胞を利用して行われ
、平衡して実施される(図S3)。
【0074】
82.NK細胞上の、Fcγ受容体であるCD16の存在が、効果的な抗体依存性細胞
傷害性(ADCC)に必要となる。インビボ増幅からのほぼ全てのNK細胞が、CD16
の発現を示す(PBおよびAWでそれぞれ97%および87%)。CD94は、NKG2
CまたはNKG2Aとヘテロダイマー複合体を形成する表面受容体である。エクスビボで
増幅されたNK細胞の約半分は、CD94発現を有する。インビボで増幅されたNK細胞
の場合、AW(64±9%)からの細胞は、PB(38±13%)からのNK細胞よりも
高い発現を有する。活性化受容体としてのNKG2Cと、阻害性受容体としてのNKG2
Aとを含むNKG2ファミリーの受容体は両者とも、CD94に結合する。エクスビボで
増幅されたNK細胞は、NKG2Cの相対的に低い発現を有したが、AWからのNK細胞
は、より高く(53±8%)、PBからのNK細胞ではより高かった(61±2%)。N
KG2Aを発現するNK細胞の割合は、PB(67±12%)およびエクスビボ増幅から
のもの(74%)よりもAWで高かった(82±8%)。NKG2Dは、NK細胞上に見
出される別の重要な活性化受容体であり、その発現は、AW NK細胞の61±6%、P
Bからは26±3%、エクスビボ増幅されたNK細胞の約75%に見出された。骨髄ホー
ミングに相関することが知られるCD62Lの発現は、PB中のNK細胞ではより高く(
63±10%)、AW中ではより低く(39±14)、発現が動員された細胞上でより高
いことと一致する。NKp44およびNKp46は、天然の細胞傷害性受容体ファミリー
のメンバーであり、NK細胞介在性細胞溶解において役割を担う。NKp46は、PB(
76±9%)およびAW(89±5%)の両方からのNK細胞で発現された。NKp44
は、全ての供給源からのこれらのNK細胞で、相対的に充分には発現されなかった。その
一方でNKp46は、PB(89±5)およびAW(76±9)の両方から充分に発現さ
れた。TRAILは、細胞死受容体経路を介して標的のアポトーシスを誘導するNK細胞
上のリガンドである。TRAILは、AWからのNK細胞の36±6%、PBの20±4
%、エクスビボ増幅された細胞の26%で発現された。KIR2Dは、キラー免疫グロブ
リン様受容体(KIR)2Dサブタイプであり、インビボまたはエクスビボ発現されたK
IR2DからのNK細胞の少数成分(約1/3)である。CD8およびCD4 T細胞の
割合を分析して、CD8 T細胞がインビボ試料からのCD4 T細胞よりも豊富である
ことが見出された。NK抑制性Treg細胞の存在も探査して、非常にわずか(全CD3
細胞の0.1%未満)が、インビボ試料中で観察された。
【0075】
c)考察
(1)PM21粒子は治療に関連する量までのエクスビボおよびインビボNK細胞増幅を
促進する
83.養子NK細胞療法は、様々な腫瘍の初期処置および寛解維持のための癌治療とし
て高い期待を有する。NK細胞の治療的使用の要件は、安全、簡潔かつ全体的な治療有効
性がある急速かつ選択的NK細胞増幅のための方法である。複数のサイトカインおよびフ
ィーダー細胞に基づく方法が、現在、臨床研究され、K562-mb21-41BBL細
胞株を用いた方法論は、中でもエクスビボNK細胞増幅に最も効果的である。フィーダー
細胞法は、高い初回用量を提供するのに効果的であり、反復投与を可能にするが、白血病
処置に重要な骨髄へのホーミングのためのエクスビボ増幅されたNK細胞の能力が影響を
受ける可能性があり、輸液投与されたNK細胞のインビボ持続性が、最適でない場合があ
る。本明細書に記載された、エクスビボとインビボのPM21粒子に基づくNK細胞増幅
法の組み合わせは、NK細胞養子療法の有効性を有意に増進し得る。
【0076】
84.重要なこととして、PM21粒子は、インビボ増幅および持続を促進するインビ
ボ刺激に用いることができる。本明細書で開発された方法論は、短い2日間のエクスビボ
予備活性化と、その後のPM21粒子のインビボ投与を利用した。PM21粒子のインビ
ボ適用は、インビボ適用されたPM21粒子に用量依存的に、より高いインビボNK細胞
増幅を誘導する。この最適化手順を用いると、PB NK細胞の平均360倍のインビボ
増加が、PM21-PBMCの腹腔内注射後5日目~12日目の間に観察され、おそらく
腹腔内ではより高い増幅倍率であっただろう。比較として、1~2×10NK細胞の静
脈内輸液後に、約5~17NK細胞/μL血液のみが、輸液後14日目に観察可能であっ
たことが、近年の試験で示されている。対照的に、PM21粒子刺激を用いたこの試験で
は、2.0×10PM21-PBMCの腹腔内輸液後12日目に400NK細胞/μL
血液を超えることが観察された(11%、即ち、0.2×10NK細胞)。同じく先の
試験は、IL-2またはIL-15のいずれかの注射(週3回)あたり5μg(約50,
000U)を使用したが、この試験では、相対的に低用量のIL-2(1,000U/注
射、週3回)が用いられた。異なる試験では、K562-mb15-41BBLフィーダ
ー細胞で優先的にエクスビボ増幅された30×10NK細胞を静脈内注射し、その後、
抗CD45抗体(抗CD56と抗CD3の組み合わせではない)を用いて注射されたヒト
リンパ球を追跡した。この方法では、高用量の腹腔内注射されたIL-2(25,000
U/日)は、リンパ球の持続性に必要であり、NK細胞濃度は決定されず、どちらかとい
えば示唆であった。これらの過去の方法に比較すると、PM21粒子で刺激されたインビ
ボNK細胞増幅の規模は、先例になく、該PM21粒子の独特の能力である。
【0077】
85.ここでは、NSGマウスへのPM21-PBMCの送達経路は、過去の予備臨床
試験と類似の、腹腔内注射によるものであった。これらの過去の試験に比較して、該PM
21粒子に基づく方法は、複数の態様において有利である。第一に、エクスビボ予備活性
化とPM21粒子でのインビボ刺激との組み合わせは、アフェレーシスによる多量のリン
パ球回収と、その後のNK細胞濃縮のための大規模な検査室処理とを必要とする単離NK
細胞のサイトカイン活性化に比較して、かなり少ない量の非選択PBMCの使用を可能に
する。第二に、該PM21粒子に基づく方法は、2週間培養に基づく増幅の代わりに短い
2日間の予備活性化を必要とするに過ぎず、生理学的に関連する機能性のより良好な保持
を可能にする。第三に、本発明の方法は、増幅ができない過去の方法に比較してかなり大
きなインビボ増殖、または臨床毒性に関連づけられた高用量のIL-2を使用しないイン
ビボ持続性を可能にする。腹膜腫瘍では、本明細書に記載される方法の利点は、全抗腫瘍
効果を有意に増進し得る。CTVioletでの増殖分析により明確に示される通り、腹
膜腫瘍の非存在下では、腹腔は、PM21粒子をこの容積に閉じ込めて良好なインビボ増
幅を助長することにより、快適な環境を提供することができ、その後、NK細胞は、有意
な量がPBおよび臓器に遊走し得る。NK細胞は、PB中で観察されただけでなく、臓器
中にも見出され、PM21粒子のインビボ適用ではより豊富であった。骨髄中で測定され
たNK細胞量は、CD34臍帯血幹細胞から作製されたNK細胞を用いた試験の量と同
等であり、これらのNK細胞が、骨髄ホーミングに適格であることが示される。
【0078】
86.エクスビボまたはインビボで並行して増幅されたNK細胞の表現型決定から(図
S3)、得られた細胞が、アプローチにかかわらず類似していることが示された。インビ
ボで増幅されたNK細胞のほとんどで観察され、エクスビボ環境では観察されなかった、
NKG2AおよびNKG2C亜集団の増幅に関して、興味深い差異が観察された。N
KG2C NK細胞集団が、「メモリー様の」応答に関連してウイルス再活性化の際に
観察されており、IL-12産生については単球に依存することが近年になり示された。
AMLのための幹細胞移植後にCMV再活性化された患者におけるNKG2C NK細
胞の存在が、良好な転帰および低い再燃にも関連した。同じく、HLA-E誘導性阻害に
抵抗性があるNKG2A NK細胞の少なからぬ集団の存在が、多発性骨髄腫患者の処
置に重要になり得、細胞がHLAクラスIを下方制御するがHLA-Eを発現してNK細
胞応答を呼び起こす。NKG2Aの下方制御を目指すアプローチは、NK細胞の細胞障害
性、つまり治療的潜在性を改善する手段として提案された。エクスビボ増幅細胞は、ほと
んどがNKG2Aであったため、エクスビボ培養と、続くインビボ増幅の時間を短縮す
ることで、より大きな表現型多様性と、標的への潜在的に良好な細胞障害性を有するNK
細胞の作製において追加的利益が提供され得る。
【0079】
(2)PM21粒子の潜在的な臨床有用性
87.NK細胞増幅のためのPM21粒子の能力は、癌処置のため、そして潜在的に他
の病弊でも、養子NK細胞療法の広範な使用を可能にする。該PM21粒子は、臨床試験
で現在用いられているフィーダー細胞に容易に置き換えられ、運搬を容易にし、リスクを
軽減する。腫瘍由来のフィーダー細胞の使用が禁じられている、または認可が獲得し難い
という規制の管理区の場合、該PM21粒子は、エクスビボ増幅および活性化のための即
時解決法となる。同種環境でのエクスビボを増幅するためのPM21粒子の使用では、T
細胞枯渇が、エクスビボNK細胞増幅の前に実施され得る。K562-mbIL21で生
育されたNK細胞の現行の臨床試験は、NK細胞増幅前にT細胞枯渇を利用して、GvH
Dを誘発し得る同種T細胞を排除する。その上、PM21粒子のインビボ投与はさらに、
先例にない能力としてNK細胞をインビボで増幅させ、ことによるとT細胞増幅を低減し
てGvHDを軽減することができる。腹膜癌、および持続的卵巣上皮癌または線維形成小
細胞腫瘍などの他の腹膜腫瘍の処置の場合、このNK細胞増幅法は、臨床に転換すること
ができる。腹膜腫瘍の排除のための抗腫瘍有効性実験が、現在進行中である。自家処置の
ためのPM21-PBMCおよびPM21粒子の使用が、可能であり、T細胞枯渇を組み
入れるための方法論は、同種環境での適用が模索されている。
【0080】
88.重要なこととして、この方法により増幅されたNK細胞は、腹腔から末梢血およ
び様々な他の癌の潜在的部位である複数の臓器に生体分布する。注射の腹腔内経路は、血
液悪性腫瘍の処置には非慣例的であるが、この腹腔内経路によるNK細胞の送達は、AM
L処置に関連するNK細胞のPB濃度をもたらす。
【0081】
89.NK細胞特異性シグナル伝達のための該粒子に基づくアプローチは、ホーミング
、抗腫瘍細胞障害性および持続性を増進するNK細胞のさらなる標的化刺激のために、他
のシグナル伝達分子、または薬剤のパッケージ化された送達のためのビヒクルを含むプラ
ットフォームであり得る。該PM21粒子は、開発中の革新的なNK細胞特異的免疫療法
(チェックポイント阻害剤、CAR、二重特異性エンゲージャー(BiKE)、Treg
枯渇のためのDT融合IL-2など)の全て、およびPM21刺激でのNK細胞のインビ
ボ増幅の際に加えられる有益な効果と高い相補性を有し得る。前臨床での有用性としても
、本明細書に記載された方法は、そのような組み合わせ法を試験する先例にない方法を可
能にする。もちろん、ネズミモデルがあるが、インビボで有意な期間存在し得るヒトNK
細胞を試験する他の方法は存在しない。
【0082】
90.要約すると、PM21粒子でのこの手順は、典型的にはフィーダー細胞でのエク
スビボ増幅でしか実現しないレベルで、インビボでの優先的NK細胞増幅を可能にするが
、フィーダー細胞との細胞培養の必要性または毒性がある高いサイトカイン用量を必要と
しない。さらに、PM21粒子のインビボ送達によるPM21-PBMCは、自家環境で
用いられて、NK細胞機能への他の免疫細胞の有益な相乗効果という利点を享受すること
ができ、さらに抗KIR抗体またはBiKEなどの他の方策と組み合わせてNK細胞の細
胞傷害性を最大にすることができる。したがってこの方法は、臨床転換にとって簡単でよ
り修正可能でありながら、潜在的治療有効性のためのNK細胞作製の基準を満たし、癌ま
たは他の病弊の処置に影響力があり得る。
【0083】
2.実施例2:PM21粒子によるフコシル化の刺激を通したNK細胞の骨髄トラフィ
ッキング
91.IL-21および41bblの操作された膜結合形態を発現するように形質転換
されたK562細胞(K562.mb21.41bbl)から調製されたPM21粒子は、
NK細胞の効率的な特異的増幅を誘導する。NK細胞との共培養でフィーダー細胞(FC
21)として用いられたPM21粒子またはK562.mb21.41bblにより提供さ
れた刺激は、フローサイトメトリーによるHECA-452 mAb結合により観察され
たsLexの全フコシル化を誘導する。
【0084】
92.NK細胞をPM21またはFC21により増幅し、HECA452 mAbで染
色して、フローサイトメトリーにより分析した。HECA452は、PSGL-1、CD
44および他のE-セレクチンリガンドのフコシル化形態を特異的に認識する。PM21
またはFC21で刺激されたNK細胞は、非処置NK細胞、可溶性サイトカインで処置さ
れたNK細胞、またはmbIL21のみを有する(41bblを有さない)NK細胞処置
フィーダー細胞に比較してフローサイトメトリー分析により有意に高いMFIを有した。
このことは、PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞での刺激が骨髄へのN
K細胞のトラフィッキングを誘導し得ること、ならびにPM21またはFC21での刺激
により生成された治療性NK細胞の骨髄トラフィッキングが骨髄を改善し得ること、およ
び骨髄由来の悪性腫瘍の処置を改善し得ること、を強く示している。
【0085】
93.図7は、0、1、7、および10日の刺激に続くNK細胞のHECA452染色
に及ぼす可溶性サイトカインの影響を示す。粒子またはフィーダー細胞刺激の影響を図8
に示しているが、ここではNK細胞が、K562細胞、または膜結合IL-21および4
1BBLを有するK562細胞を10、12、または14日間刺激し(FC21細胞また
はPM21粒子)、HECA452で染色している。K562由来のFC21フィーダー
細胞またはPM21粒子で刺激されたNK細胞は、IL-21を含まないK562フィー
ダー細胞で刺激されたNK細胞に比較して著しい活性化を示した。図9および10は、N
K細胞に及ぼす、様々な条件を利用した10日間培養の影響を示す。NK細胞を、示され
た様々な条件で10日間培養した。NK細胞を、Slexのフコシル化形態を検出するF
ITCコンジュゲート化HECA452 mAbで探査した。培養物からの細胞を、HE
CA452-FITCで染色して、CD56+CD3-でのゲーティングによるフローサ
イトメトリーにより分析した(CSTX2 = CytoSenのK562.mb21.4
1bbl;FC=フィーダー細胞;PM21=CSTX2から調製された形質膜粒子)。
【0086】
94.休止期間が刺激されたNK細胞に及ぼす影響を知るために(図11)、NK細胞
をCSTX2-PM21粒子と共に10日間培養し(上)、その後、PM21粒子を除去
した後3日間培養して「休止」させた(下)。NK細胞を、Slexのフコシル化形態を
検出するFITCコンジュゲート化HECA452 mAbで探査した。培養物からの細
胞を、HECA452-FITCで染色して、CD56+CD3-でのゲーティングによ
るフローサイトメトリーにより分析した(CSTX2 = CytoSenのK562.m
b21.41bbl;FC=フィーダー細胞;PM21=CSTX2から調製された形質
膜粒子)。
【0087】
95.PM21粒子で刺激されたNK細胞は安定しており、凍結解凍工程で生き残り、
細胞への認識できる影響はなかった(図12)。NK細胞を、PBMCから単離し(上)
、その後、CSTX2-PM21粒子と共に10日間培養し(中)、その後、凍結保存お
よび解凍した(下)。NK細胞を、Slexのフコシル化形態を検出するFITCコンジ
ュゲート化HECA452 mAbで探査した。培養物からの細胞を、HECA452-
FITCで染色して、CD56+CD3-でのゲーティングによるフローサイトメトリー
により分析した(CSTX2 = CytoSenのK562.mb21.41bbl;F
C=フィーダー細胞;PM21=CSTX2から調製された形質膜粒子)。
【0088】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナチュラルキラー(NK細胞を骨髄にトラフィッキングする方法に用いるためのPM21粒子またはFC21フィーダー細胞であって、
NK細胞を骨髄にトラフィッキングすることは、対象にNK細胞を移入する前に6日間から40日間、NK細胞をPM21粒子またはFC21フィーダー細胞とex vivoまたはin vitroで接触させることを含
接触させることは、前記NK細胞の表面のPSGL-1のフコシル化を誘導する、
PM21粒子またはFC21フィーダー細胞
【請求項2】
前記方法が、前記NK細胞をIL-2、IL-12および/またはIL-18で刺激することをさらに含む、請求項1に記載のPM21粒子またはFC21フィーダー細胞
【請求項3】
対象における骨髄悪性腫瘍または骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法に用いるための、PM21粒子またはFC21フィーダー細胞であって、
前記処置することが、対象にナチュラルキラー(NK)細胞を移入する前に6日間から40日間、NK細胞をPM21粒子またはFC21フィーダー細胞とex vivoまたはin vitroで接触させること、ならびに前記NK細胞を前記対象に養子移入すること、を含
接触させることは、前記NK細胞の表面のPSGL-1のフコシル化を誘導する、
PM21粒子またはFC21フィーダー細胞
【請求項4】
対象における骨髄に関連するウイルス感染を処置する方法に用いるための、PM21粒子またはFC21フィーダー細胞であって、
前記処置することが、対象にナチュラルキラー(NK)細胞を移入する前に6日間から40日間、NK細胞をPM21粒子またはFC21フィーダー細胞とex vivoまたはin vitroで接触させること、ならびに前記NK細胞を前記対象に養子移入すること、を含
接触させることは、前記NK細胞の表面のPSGL-1のフコシル化を誘導する、
PM21粒子またはFC21フィーダー細胞
【請求項5】
前記方法が、前記対象に前記NK細胞を移入した後に、IL-2、IL-12および/またはIL-18の1つまたは複数を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1、3、または4に記載のPM21粒子またはFC21フィーダー細胞。
【請求項6】
接触させることが、対象への前記NK細胞の移入の前に前記NK細胞をPM21粒子と接触させることを含む、請求項1、3、または4に記載のPM21粒子またはFC21フィーダー細胞
【請求項7】
PM21粒子またはFC21フィーダー細胞は、膜結合IL-21および膜結合41BBLを含む、請求項1、3、または4に記載のPM21粒子またはFC21フィーダー細胞。
【請求項8】
PM21粒子またはFC21フィーダー細胞は、膜結合IL-21または膜結合41BBLを含む、請求項1、3、または4に記載のPM21粒子またはFC21フィーダー細胞。
【請求項9】
前記NK細胞表面のPSGL-1のフコシル化に相関させて、NK細胞内のFUT7の発現を誘導する、請求項1、3または4のいずれかに記載のPM21粒子またはFC21フィーダー細胞
【請求項10】
前記方法が、前記NK細胞をIL-2、IL-12および/またはIL-18で刺激することをさらに含む、請求項3または4に記載のPM21粒子またはFC21フィーダー細胞。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
95.PM21粒子で刺激されたNK細胞は安定しており、凍結解凍工程で生き残り、細胞への認識できる影響はなかった(図12)。NK細胞を、PBMCから単離し(上)、その後、CSTX2-PM21粒子と共に10日間培養し(中)、その後、凍結保存および解凍した(下)。NK細胞を、Slexのフコシル化形態を検出するFITCコンジュゲート化HECA452 mAbで探査した。培養物からの細胞を、HECA452-FITCで染色して、CD56+CD3-でのゲーティングによるフローサイトメトリーにより分析した(CSTX2=CytoSenのK562.mb21.41bbl;FC=フィーダー細胞;PM21=CSTX2から調製された形質膜粒子)。

本発明は下記の態様を含む。
<1>
NK細胞をPM21粒子およびFC21フィーダー細胞の1つまたは複数と接触させることを含む、NK細胞を骨髄にトラフィッキングする方法。
<2>
前記NK細胞をIL-2、IL-12および/またはIL-18で刺激することをさらに含む、<1>に記載の方法。
<3>
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との前記接触が、患者への前記NK細胞の移入の前に行われる、<1>に記載の方法。
<4>
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との前記接触が、患者への前記NK細胞の移入に続いて行われる、<1>に記載の方法。
<5>
NK細胞内の細胞内メカニズムを誘導して、前記NK細胞表面のPSGL-1のフコシル化を誘導する、<1>、<3>または<4>のいずれかに記載の方法。
<6>
前記NK細胞表面のPSGL-1のフコシル化に相関させて、NK細胞内のFUT7の発現を誘導する、<1>、<3>または<4>のいずれかに記載の方法。
<7>
対象における骨髄悪性腫瘍または骨髄由来の悪性腫瘍を処置する方法であって、NK細胞をPM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と接触させること、ならびに前記NK細胞を前記対象に養子移入すること、を含む、方法。
<8>
対象における骨髄に関連するウイルス感染を処置する方法であって、NK細胞をPM21粒子およびFC21フィーダー細胞の1種または複数と接触させること、ならびに前記NK細胞を前記対象に養子移入すること、を含む、方法。
<9>
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との接触が、患者への前記NK細胞の移入の前に行われる、<7>または<8>に記載の方法。
<10>
前記PM21粒子および/またはFC21フィーダー細胞と前記NK細胞との接触が、患者への前記NK細胞の移入に続いて行われる、<7>または<8>に記載の方法。
【外国語明細書】