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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000935
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】シラン系コート液組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 183/12 20060101AFI20221222BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20221222BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20221222BHJP
   D21H 21/16 20060101ALI20221222BHJP
   D21H 19/32 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
C09D183/12
C09D7/63
C09D7/61
D21H21/16
D21H19/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102039
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】513248016
【氏名又は名称】岩宮 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(72)【発明者】
【氏名】岩宮 陽子
(72)【発明者】
【氏名】里村 一人
(72)【発明者】
【氏名】堤 千明
(72)【発明者】
【氏名】広井 善二
(72)【発明者】
【氏名】柴山 充弘
(72)【発明者】
【氏名】岩宮 竜吾
【テーマコード(参考)】
4J038
4L055
【Fターム(参考)】
4J038DL051
4J038HA156
4J038JA37
4J038JC32
4J038JC38
4J038JC43
4J038KA04
4J038MA06
4J038NA09
4J038NA11
4J038NA14
4J038PB01
4J038PB05
4J038PB06
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC10
4L055AG34
4L055AG43
4L055AG86
4L055AH23
4L055AH50
4L055BE08
4L055FA19
4L055GA47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】種々の機能性を付与可能なシラン系コート液組成物を提供する。
【解決手段】主成分として、下記化学式:

(R~Rは、独立に、水素、又は炭素数が1~4のアルキル基。nは、2~10。)で示される化合物を含有するシラン系コート液組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主成分として、下記化学式[化1]:
【化1】
(但し、[化1]において、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なっても良い、水素、又は炭素数が1~4のアルキル基である。また、nは、2~10である。)で示される化合物と、触媒と、溶媒と、調整剤と、機能剤とを含有することを特徴とするシラン系コート液組成物。
【請求項2】
前記機能剤は、薬剤、又は抽出精油であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記抽出精油は、木酢油であることを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記調整剤は、過酸化水素、及び/又は酢酸であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記触媒は、有機金属化合物であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記主成分に加え、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する、下記化学式[化2]で示される化合物:
【化2】
(但し、[化2]において、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO、RO及びROとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、Rは、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルケニル基又はフェニル基である。)を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記主成分に加え、2個の加水分解可能な置換基と2個の加水分解不可能な置換基を有する、下記化学式[化3]で示される化合物:
【化3】
(但し、[化3]において、R及びR11は、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO及びR11OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、R10及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基又はフェニル基である。)を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のシラン系コート液組成物を基材に塗布する工程と、前記コート組成物が塗布された基材を乾燥する工程と、からなることを特徴とする機能性材料の製造方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載のシラン系コート液組成物を基材に塗布してなるコート素材。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載のシラン系コート液組成物を固化させてなる固化体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン系コート液組成物、特に、機能剤の機能を保持したコーティング剤として使用可能なシラン系コート液組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な機能性を付与するために、種々のコート液が開発されている。例えば、紙素材の性質を改善するためのコート液や、放射線遮断を目的としたコート液等が開発されている。紙素材は、パラフィン紙、セロファン紙等を除き、紙であるが故に、水に対しては弱いものである。すなわち、既に知られている紙は一般に撥水性に乏しい。紙に限らなければ光透過性、撥水性を有する材質はあるが、これは、例えば、プラスチック材、ビニル材をシート状に引き延ばして作製されたものである。また、紙素材は、住宅建物用としても多く使用されており、例えば和室の開閉用間仕切りとしての障子戸には、障子用和紙、その他パルプにレーヨンやポリプロピレン等を所定の割合で配合して抄造したレーヨン障子紙、またこのレーヨン障子紙にプラスチックフィルムをラミネート加工した障子紙や、和紙の表面にアクリル素材や塩化ビニル素材をラミネート加工した障子紙が使用されている。
【0003】
これら本来の素材の持ち味を生かしつつ、さらに改善しようする試みとして、例えば、加工時の液安定が高く、安価な含侵紙として、シランカップリング剤またはシランカップリング剤を含む組成物と、紙を改質する薬剤の1種もしくは2種以上の薬剤が、紙中に分散され、熱水煮沸時にも耐水性を失わない含浸紙が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-315494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献も含めて、従来技術においては、基材に液安定性や耐水性等を付与しているものの、より機能性を持たせた液剤の開発が望まれている。安定な液剤であれば、所望の使用時に、硬化、固化させて所望の用途を基材等に付与することも可能である。また、例えば、剛性を有するものから柔軟性を有するものまで、用途に応じて、種々の機能を基材へ付与することができれば、産業上利用価値が高い素材を提供することも可能である。しかし、このようなコート液組成物はこれまで知られていない。また、機能性を有する材料の有する機能を持続させることは通常容易なことではない。従って、機能性を有する材料の機能について、徐放性、持続性等を付与できる基剤が望まれている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、種々の機能性を付与することが可能なシラン系コート液組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明者は、シラン系コート液組成物について鋭意検討を行った結果、本発明を見出すに至った。
【0008】
すなわち、本発明のシラン系コート液組成物は、主成分として、下記化学式[化1]:
【化1】
(但し、[化1]において、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なっても良い、水素、又は炭素数が1~4のアルキル基である。また、nは、2~10である。)で示される化合物と、触媒と、溶媒と、調整剤と、機能剤とを含有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記機能剤は、薬剤、又は抽出精油であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記抽出精油は、木酢油であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記調整剤は、過酸化水素、及び/又は酢酸であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記触媒は、有機金属化合物であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記主成分に加え、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する、下記化学式[化2]で示される化合物:
【化2】
(但し、[化2]において、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO、RO及びROとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、Rは、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルケニル基又はフェニル基である。)を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記主成分に加え、2個の加水分解可能な置換基と2個の加水分解不可能な置換基を有する、下記化学式[化3]で示される化合物:
【化3】
(但し、[化3]において、R及びR11は、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO及びR11OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、R10及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基又はフェニル基である。)を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の機能性材料の製造方法は、本発明のシラン系コート液組成物を基材に塗布する工程と、前記コート組成物が塗布された基材を乾燥する工程と、からなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のコート素材は、本発明のシラン系コート液組成物を基材に塗布してなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の固化体は、本発明のシラン系コート液組成物を固化させてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明において、ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個は加水分解が不可能で、化合物同士の重縮合に関与しない置換基R4で置換されたものの縮合体を用いた場合の態様によれば、繊維素材にコートして、適度な強度と良好な光透過性、良好な撥水性と柔軟性、更には耐摩耗性と難燃性(耐熱性)等を付与することが可能であるという有利な効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、後述する実施例の記載からも明らかなように、身近に存在する和紙、洋紙、布等の繊維素材の、柔軟性を有するという性質を生かして、更に前記のような種々の特性が付与されたコート素材を提供できるという有利な効果を奏する。しかも、これらコート素材に付与される種々の特性は、例えば、触媒として使用する有機金属触媒の選択と使用量、[化2]及び/又は[化3]の化合物の選択と使用量、コート液組成物の塗布量等を任意に選択・調整することにより、実施者が比較的自由に調整可能であるという有利な効果も奏する。
【0020】
また、本発明では、工場生産によらなければ製造できなかった素材とは異なり、通常の紙素材等の身近に存在し、簡単に入手できる基材について、その柔軟性を生かしたまま、強度、光透過性、撥水性、難燃性そして耐摩耗性を付与できるという有利な効果を奏する。また、本発明によれば、主剤、触媒、調整剤の割合を調合することで目的の機能発揮を最適ならしめることが可能であるという有利な効果を奏する。
【0021】
また、本発明の機能性材料の製造方法によれば、コート膜によって与えられる種々の性質の度合いはもとより、そのコート膜の厚みをも任意に調整できるから、例えば、戸外の風雨に曝される場所で使用する製品に使用する場合や壁紙等の室内装飾用に使用する場合等、必要に応じて各化合物の種類や量を調整し、最適なコート素材を製造・提供することができるという有利な効果を奏する。さらに、本発明によれば、耐紫外線特性のコート液も製造可能であり、屋外使用のベンチや杭などに使用することで耐久性を保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の表面粗さを示す顕微鏡写真を示す図である。
図2図2は、本発明の一実施態様における本発明の一例について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の表面粗さを示す図である。
図3図3は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の菌体初期付着に与える影響を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の菌体増殖に与える影響を示す図である。
図5図5は、試料上の菌を生菌と死菌に染め分け投影した画像を示す図である。
図6図6は、試料上の菌の動態をSEM画像で観察した画像を示す図である。
図7図7は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の菌体増殖に与える影響を示す図である。
図8図8は、本発明の一実施態様について、本発明の組成物の徐放性を示すクロマトグラフを示す。
図9図9は、本発明の一実施態様について、本発明の固化体の徐放性を示すクロマトグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のシラン系コート液組成物は、主成分として、下記化学式[化1]:
【化1】
(但し、[化1]において、R、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なっても良い、水素、又は炭素数が1~4のアルキル基である。また、nは、2~10である。)で示される化合物と、触媒と、溶媒と、調整剤と、機能剤とを含有することを特徴とする。本発明では、[化1]に示した通り、ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解不可能な置換基で置換されたものを繰り返し単位として含む化合物を形成することができる。これを、繊維素材等の基材にコートすることにより、基材に対して柔軟性を付与することができる。すなわち、隣接するケイ素原子との間で、強固なシロキサン結合の数が1つ足りないが、その分未反応な結合が、いわば「宙ぶらりん」の形で残るため、コート膜の柔軟性を維持でき、そして結果的にはコート素材の柔軟性を維持することができるものである。本発明において、詳細なメカニズムは不明ではあるが、後述の実施例から、例えば、機能剤として、木酢油の場合、木酢油由来のヒノキチオール、ナノ化したヒバ油等による機能が高く、コート液組成物と機能剤との混合塗工で高い抗菌性能が達成可能であることが判明した。本発明のコート液組成物は、基材との結合と同時に抗菌機能を持つ機能剤を化学的・物理的に捕捉し、安定的、持続的な抗菌機能発現をすると推測される。また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記機能剤は、薬剤、又は抽出精油であることを特徴とする。また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記抽出精油は、好ましくは木酢油、ヒノキチオールであることを特徴とする。本発明においては、機能剤を有する。機能剤としては、ウイルスや菌類の殺消・抗菌に使用される薬剤、例えば、化学薬剤、自然草木等の抽出精油等、具体的には、ヘキサデラルピリジウムクロリド水和物、シトラバスターコンク、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、ポピドンヨード等を挙げることができる。例えば、本発明のシラン系コート液組成物を用いることにより、木酢油などの抽出精油以外に、酢酸銀はもとより、酸化亜鉛、popiyonヨード、他いくつもの有機・無機抗菌薬剤等の機能剤との複合剤調整も可能となる。
【0024】
本発明のシラン系コート液剤は、これらの機能剤も含有、溶融、混和することが出来るため、本発明のシラン系コート液剤と相まって、抗菌性、徐放性等の機能性を持続することが可能である。すなわち、本発明は、これらの機能剤を担持することが可能であり、さらに本発明のシラン系コート液組成物を硬化させた、固化体にあっては、これらの機能剤を担持可能な固化体を提供することが可能となる。
【0025】
なお、シラン系コート液組成物は、機能剤を有することから、機能性コーティング剤ともいうことができ、基材に塗布することで機能性を付与することが可能である。
【0026】
また、本発明において、機能剤の含有量についても、特に限定されない。組成物の全量に対して、機能剤の含有量は、好ましくは0.1~30重量%とすることができる。なお、機能剤の含有量については、機能剤とシラン系コート液剤の種類により、適宜調整することができる。なお、機能剤は基液剤に後で追加してもよく、ともに混合してもよい。
【0027】
[化1]の主剤となる3官能シランの例えば、アルコキシシシランを例にとれば、以下のようである。3官能シランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プチトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プチルトリエトキシシラン、メチルトリポロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、y-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、y-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、β―(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、y-(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、y-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等、及びこれらの2~10分子程度の重合体を挙げることができる。なお、これらの重合体は、単量体の1種類のみを重合しても良く、または、単量体の2種類以上を重合した物であっても良い。
【0028】
また、4官能シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラポロボキシシラン、テトラブトキシシラン等の重合体を挙げることができる。なお、これらの重合体は、単量体の1種類のみを重合しても、2種類以上を重合したものでも良い。4官能シランは、単独での、2種類以上の混合物でも良い。
【0029】
また、[化1]におけるR、R、R及びRは、3官能シランと、加水分解可能な有機金属化合物とが有機溶剤下で反応するという観点から、それぞれ同一又は異なっても良い、水素、又は炭素数が1~4のアルキル基である。また、nは、2~10である。[化1]において、主鎖の繰り返しがn=2~10であるのは、n=1、即ち単量体を用いると、ポリマー化に時間が掛かかり、短時間で十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難となるためである。しかしながら、nが11以上となると、逆に、繊維素材に塗布した時に、繊維素材上でのポリマー化のためのアルコキシ基等の数が不足して、十分な強度を持ったコート膜を製造することが困難になる。したがって、本発明においては好ましいのは、n=2~10、中でもn=2~8の縮合体である。
【0030】
なお、一般に単量体から[化1]のような縮合体を合成する場合、その重合度を正確に制御することは、技術的にいって、事実上不可能である。したがって、本発明でn=2~10、好ましくはn=2~8のものを使用するとの意味は、重合度の分布から見て、主としてnが2~10、好ましくは主として2~8のものが含まれているようなコート液を使用することに他ならず、例えばnが11以上である化合物が含まれていたとしても、差し支えない。なお、かかる化合物は、単量体(例えば、メチルトリメトキシシラン)を縮合することにより得ることが出来る。
【0031】
以上のように、安価であるがしかし無機性が強いテトラアルコキシシランと比較しても、化1の化合物を得るための原料(単量体)は同程度の安さで購入できる。したがって、化1の化合物を用いることにより、あえて高価ないわゆるシランカップリングを併用しなくとも、十分に有機性を持ち、かつ十分な強度を持った膜を有するコート素材を製造することができる。
【0032】
化1で示される化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン等の縮合体を例示できる。なお、化1の化合物は、かかる単量体の1種類のみを縮合したものであっても、また上記例示した単量体の2種類以上を縮合したものであっても良い。
【0033】
なお、化1の化合物における加水分解不可能な置換基(R4)の第一義的な役割は、コート膜に柔軟性を与えることにあるが、同時にコート膜に撥水性を付与するのであれば、R4はアルキル基とする。一般に有機性置換基は、炭素数が増える程、有機性すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因となる。したがって、アルキル基の炭素数や化1の化合物(縮合体)を構成する各単量体の種類・量は、本明細書の実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行う等して決定することが好ましい。もっとも、コート膜への撥水性の付与は、後述する化2又は化3の化合物を添加することによっても達成可能であるため、化1の化合物におけるR4をアルキル基とすることが必須というわけではない。
【0034】
また、本発明において、化1に示す化合物の含有量は特に限定されないが、化1に示す化合物の含有量は、オルガノアルコキシシラン換算で、好ましくは20~70重量%、より好ましくは、30~50重量%とすることができる。10重量%以下であると、バインダーとしての効果が低減する虞がある。なお、他に添加物を考慮しない場合には、50重量%以上であってもよい。
【0035】
また、本発明において触媒としては、特に限定されない。主剤の元素と触媒の元素がともにゾル-ゲル反応を起こす事で、ひいては、主剤の元素(Si(ケイ素))が触媒の元素をうまく担持することができ、触媒元素が塗装した基材に直接影響を与えることなく、触媒の持つ機能を発揮させるという観点から、例えば、触媒としては、有機金属化合物を挙げることができる。
【0036】
有機金属化合物を化1の化合物と混合してコート液組成物とし、これを紙等の繊維素材に塗布すると、紙の水分又は空気中の水分(湿気)を吸い、有機金属化合物が自ら加水分解するが、この時、化1の化合物とネットワークを形成し、化1の化合物を硬化・固化させることができる。本発明において好ましく用いられる有機金属化合物としては、例えばチタン、ジルコン、アルミ又はスズを含むものを例示できる。より具体的には、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラプロポキシジルコネート、テトラブトキシジルコネート、トリプロポキシアルミネート、アルミニウムアセチルアセトナート、ジブチルスズジアセテート又はジブチルスズジラウレート等を例示できる。
【0037】
また、本発明において、触媒の含有量についても特に限定されないが、主剤であるシラン系コート液を硬化・固化する為に加水分解及び重縮合反応生起を可能にするという観点から、組成物の全量に対して、触媒の含有量は、好ましくは1~10重量%、より好ましくは、3~7重量%とすることができる。
【0038】
なお、化1で示される化合物を硬化・固化させる触媒としては、一般に用いられている触媒が特別の制限なしに使用可能である。例えば酸触媒であれば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸又は酢酸等を例示できる。塩基触媒であれば、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化2―ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン等が例示できる。これら通常の触媒を用いる場合は、式1の化合物を硬化・固化させるため、反応水を共存させる。
【0039】
本発明が提供するコート液組成物は、このように、化1の化合物、触媒及び反応水を含むことができる。通常使用する場合には特に問題は生じないが、これを長期保存する場合、反応水によってコート液がゲル化し易い、という課題を生じる。これを解決するためには、上記したような通常の触媒ではなく、触媒として加水分解可能な有機金属化合物を用いると良い。加水分解可能な有機金属化合物を使用すれば、反応水を共存させる必要はなくなり、長期保存安定性となり好ましくなる。
【0040】
また本発明のコート液組成物には、化1の化合物、触媒、そして場合により必要となる反応水を均一に混合させるため、溶媒を添加することが出来る。この目的で使用される溶媒、例えば、有機溶剤としては、アルコール類を例示できる。より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール又はヘキサノール等を例示できる。また、その添加量を制御することによって、コート液の粘度や乾燥速度の調整も可能である。
【0041】
このような調整の目的では、特に、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類、メトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール又はブトキシプロパノール等のセルソルブ類等の粘度や沸点の高い有機溶剤を単独又は二種以上混合して使用することが好ましい。むろん、上記粘度や沸点の高い有機溶媒の1種以上と共に、上記アルコール類を同時に添加しても良い。なおコート液の粘度や乾燥速度の調整を目的とする場合は、前記有機溶媒のみならず、界面活性剤によっても同様の効果を達成することができる。
【0042】
特に、前記したグリコール類やセルソルブ類は、その分子内に水酸基を有しているため、式1の化合物の縮合反応によって形成されるシロキサン結合のネットワーク内に導入される事がある。グリコール類やセルソルブ類は有機性を有しているため、これが導入される事により、得られるコート膜の有機性が増す、即ちコート素材の有機性が増すことになる。
【0043】
また、本発明において、溶媒の含有量についても特に限定されないが、基材・機能・適性濃度という観点から、組成物の全量に対して、溶媒の含有量は、好ましくは2~95重量%、より好ましくは、25~50重量%とすることができる。
【0044】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、主剤や触媒を構成する化合物が本来有する機能を効果的には付与し得るという観点から、前記調整剤は、過酸化水素、及び/又は酢酸であることを特徴とする。前記調整剤は、弱酸性、又は塩基性触媒を用いることができ、例えば、酢酸、過酸化水素、アンモニアの少なくとも1種とすることができる。当該調整剤は、第二触媒ともいえるものであるが、これを添加することで、新たな元素配列が生じたような、新しい機能を生み出すことができることを本発明者らは見出したものである。この調整剤は、従来工法のゾルゲル法に用いられる、強酸類、及び大量の水(H2O)による作用、機能と全く異にするものである。
【0045】
すなわち、大部分の事項が未解決であるものの、これら酸基等の調整剤を添加することにより、加えた金属触媒を構成する化合物が本来有する機能を効率的に発現させることが可能である。
【0046】
本発明において、調整剤の含有量についても特に限定されないが、2次的機能発現という観点から、組成物の全量に対して、調整剤の含有量は、好ましくは0.5~5重量%、より好ましくは、1~2重量%とすることができる。
【0047】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記主成分に加え、3個の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換基を有する、下記化学式[化2]で示される化合物:
【化2】
(但し、[化2]において、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO、RO及びROとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、Rは、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルケニル基又はフェニル基である。)を含むことを特徴とする。
【0048】
本発明では、化1の化合物に加え、化2の化合物を含むコート液を使用することにより、これを使用せずに製造したコート素材に比べて、化2の化合物が有する有機性等の性質を新たに付与したり、又は、有機性等の性質を増加することが可能である。かかる目的で加えられる化2の化合物は、4個の置換基のうち、3個が加水分解可能な置換基であり、残り1個が加水分解不可能な置換基から成り立つ化合物である。
【0049】
化2において、R5、R6及びR7は、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素若しくは炭素数1~10のアルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO、RO及びROとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、R8は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、炭素数が1~10のアルキル基、アルケニル基又はフェニル基である。
【0050】
本発明において、化2で示される化合物としては、具体的に、例えば、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、-(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等や、これらの2~10分子程度の縮合体を例示できる。
【0051】
なお、化2の化合物は、かかる単量体の2種以上であっても良い。式2の化合物として、2分子以上の縮合体を使用する場合には、かかる単量体の2種以上を縮合したものであっても良い。
【0052】
また、本発明のシラン系コート液組成物の好ましい実施態様において、前記主成分に加え、2個の加水分解可能な置換基と2個の加水分解不可能な置換基を有する、下記化学式[化3]で示される化合物:
【化3】
(但し、[化3]において、R及びR11は、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素、アルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO及びR11OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、R10及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基又はフェニル基である。)を含むことを特徴とする。
【0053】
また本発明では、化1の化合物を含むコート液組成物に加え、又は、化1の化合物及び化2の化合物の両方を含むコート液組成物に加え、更に化3の化合物を添加したコート液組成物を使用することによって、これを使用せずに製造したコート素材に比べて、化3の化合物が有する有機性等の性質を新たに付与したり、又は、有機性等の性質を増加することが可能である。
【0054】
化3の化合物は、4個の置換基のうち、2個が加水分解可能な置換基であり、他の2個が加水分解不可能な置換基から成り立つ化合物である。化3において、R9及びR11は、それぞれ同一又は異なっていても良く、水素若しくは炭素数1~10のアルキル基又はアルケニル基からなるモノマーであり、RO及びR11OとSiとの結合はシロキサン結合からなるオリゴマーであり、R10及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、炭素数が1~10のアルキル基、アルケニル基又はフェニル基である。
【0055】
化3で示される化合物としては、具体的に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等や、これらの2~10分子程度の縮合体を例示できる。なお、式3の化合物は、かかる単量体の2種以上であっても良く、また更に2分子以上の縮合体を使用する場合にも、かかる単量体の2種以上の縮合体であっても良い。
【0056】
上記したような、化2の化合物又は化3の化合物のいずれかをコート液組成物に添加することで、コート膜の有機性を増加できるが、化2及び化3の化合物の両者をコート液組成物に添加すれば、コート膜の有機性を更に向上させ、結果的にコート素材の撥水性等を更に向上できる。
【0057】
化2の化合物及び/又は化3の化合物は、コート液組成物の主成分である、前記化1で示される化合物に対し、一般的には総量が50%を超えない範囲にてコート液組成物に添加することが好ましい。両者の合計添加量がこの範囲を越えると、コート液組成物を繊維素材に塗布した時に、主成分である化1の化合物との間でうまく結合せず、コート膜の強度が不十分となる可能性があるからである。したがって、実際に化2の化合物及び/又は化3の化合物を添加する場合には、添加量に依存してコート膜の強度が低下することを想定し、本明細書の実施例を参照しつつ、予備的な製造試験を行う等し、目的を達成し得る添加量の範囲を明らかにしたうえで、添加を最小限に抑えるようにすることが好ましい。
【0058】
なお、化2の化合物及び化3の化合物における加水分解不可能な置換基(R8、R10、R12)の第一義的な役割は、コート膜に柔軟性を与えることにあるが、これらはアルキル基等の有機性置換であるため、同時にコート膜に撥水性を付与する役割をも果たす。一般に有機性置換基は、炭素数が増える程、有機性すなわち撥水性が増加するが、炭素数があまり大きくなると、立体障害によりコート膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因となる。したがって、有機性置換基の炭素数や化2及び/又は化3の化合物(縮合体)を構成する各単量体の種類・量は、本明細書の実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行う等して決定することが好ましい。
【0059】
耐熱性・耐摩耗性の強いシロキサン結合は、一方でいわゆる「硬い」結合でもある。この「硬さ」のため、紙等の繊維素材に塗布すると、該素材に耐摩耗性を付与できるわけである。しかし、紙等の繊維素材は柔軟性を有することが特徴であり、コート素材には、時としてその素材である紙等と同様な柔軟性が求められる。
【0060】
従来から一般に用いられているゾル-ゲルコート液は、出発原料にテトラアルコキシシラン(Si(OR)4)やそのオリゴマー体が用いられる。このものを完全に加水分解反応(後述する反応式1における(1)~(3))させてコート膜を形成させると、ケイ素原子の4個の結合全てが硬いシロキサン結合のネットワークを形成し、セラミックと同様に硬いが、しかし、柔軟性に欠けた脆い膜となってしまうため、紙等の柔軟性を生かしたコート素材を製造することは事実上不可能であった。
【0061】
しかしながら、本発明は、ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解されない化1の化合物をコート液組成物の主成分に用いることで、この課題を解決したものである。また本発明では、加水分解されない置換基をそれぞれ1個又は2個有する化2の化合物と化3の化合物をコート液組成物に添加することにより、更に柔軟性等を増すことが可能となる。
【0062】
なお、本発明のシラン系コート液組成物は、密閉状態で、低温保存等により安全に保管することができる。すなわち、前記化1の化合物と、触媒と、調整剤等を含んだ状態であっても、安定した液組成物とすることができる。空気中のOH基(湿気・水分)や、コートする場合は基材のOH基(内在する水分)により反応・重縮合反応を行うことが可能である。安定したコート液組成物であることも本発明の特徴の一つである。
【0063】
従来のゾル-ゲル法でのガラス生成法との大きな違いは、大量な水も、酸触媒の、硫酸、硝酸、リン酸、塩酸などの投入も必要が無い点、必須ではない点である。ゾル-ゲルのガラスは強アルカリであるが、後述するような実施例のコート剤は弱酸~中性なので、人体にも環境にも負荷を与えない安全なガラス類を生成可能である。
【0064】
このように、本発明のコート液組成物は、触媒を入れても、空気中の湿気に触れるか、基材の水分に反応するかでないと硬化・固化しないのが、重要な特徴の一つである。密閉しておけば、いつでも簡単に塗工出来るコート液組成物とすることができ、しかも安価である。すなわち、本発明は、濡れ性が良い液剤であるがゆえに、複雑形状においても細部まで塗工して被膜を形成させて、目的の機能を発揮させることが可能となる。
【0065】
なお、本発明のコート液組成物は、そのまま固化させて使用してもよく、後述するように、基材に塗布して用いてもよい。
【0066】
また、本発明の機能性材料の製造方法は、本発明のシラン系コート液組成物を基材に塗布する工程と、前記コート組成物が塗布された基材を乾燥する工程と、からなることを特徴とする。シラン系コート液組成物に関しては、上述の本発明のシラン系コート液組成物の説明をそのまま機能性材料の製造方法に適用することができる。
【0067】
本発明において、コーティングの対象となる基材としては、特に限定されない。例えば、編物、織物、不織布、紙などの布帛や、フィルム、シートなどが挙げられる。具体的には、ポリアミド繊維やポリエステル繊維、レーヨン繊維、綿、パルプなどからなる布帛類やフィルムのほか、和紙、コピー紙、タイペック(デュポン社製のポリエチレン製不織布)、壁紙、襖紙、障子紙、天井紙、テーブルクロス、カーテン、マット、ゴムシートなどが挙げられる。また、上記紙等以外に、基材として、樹木、木製品、建築物を挙げることができる。さらに、シロキサン結合は、無機物にも可能なので、基材としては、金属、コンクリート、炭素化合物、ガラスやそれらの製品も例示することができる。例えば、マスク、義歯等の最終製品に適用することも可能である。
【0068】
基材への本発明の組成物によるコーティングには、刷毛塗り、スプレー、ディッピング、ロールコート、印刷などの塗装手段を用いることができる。1回塗りで目的とする乾燥膜厚の塗膜を形成することができ、さらに2~5回程度塗り重ねることもできる。また、重ね塗りの場合、1回毎に加熱・乾燥処理を行ってもよい。
【0069】
本発明の組成物は、基材にコーティングされると、常温~60℃の温度で(a)オルガノアルコキシシランの加水分解と同時に重縮合反応を生起してゾルを生成し、さらに反応が進行してゲル、すなわちオルガノポリシロキサンとなることができる。これを常温で1~6日間放置するかもしくは80~150℃で10~60分間加熱することにより、溶媒の揮散とともにオルガノポリシロキサンと、場合によりアクリル樹脂とが共縮合し、さらに機能性を有する成分が含まれる場合には当該成分の複合した硬化塗膜を形成することができる。ただし、前記反応温度および放置または加熱時間は、使用する各成分の種類および配合割合により異なるので、前記に限定されるものではない。
【0070】
本発明による機能性材料の製造方法では、まず、任意の繊維素材を、任意の寸法・形状に切断、加工し、これに前記した本発明のコート液組成物を塗布することができる。具体的な塗布の方法は、特に制限されないが、例えば、コート液に繊維素材を浸漬したり、コート液を繊維素材に塗りつけたり、或いはコート液を繊維素材に吹き付けたりすることにより行い得る。また、塗工方法としては、例えば、布刷り込み、刷毛塗り、ローラー法、噴霧法、浸漬法、グラビア印刷機塗工法、絶乾法などを使用することができる。
【0071】
また、乾燥工程についても、特に限定されない。例えば、後述する実施例の液剤は、基本的に自然乾燥にて(環境温度・環境湿度)にて硬化・固化させることができる。時間的に早く反応を促進させ、硬化・固化膜生成を促すときは加温することは効果が有る。
【0072】
本発明では、例えば樹皮の繊維を漉いて乾燥したもの、手漉きによる高級和紙、機械漉きされた普通和紙、洋紙又は和紙等、不敷布を用いた繊維、通常の布等を繊維素材として、コート素材などの機能性材料を製造することができる。なお、繊維素材に対しては、コート液組成物の塗布に先立ち、所定の前処理を施しておくことで、繊維素材表面とコート膜との間の結合を、当該前処理を施さないものと比べて強化することができる。
【0073】
この前処理の一例として、例えば、繊維素材などの基材を98%程度の高純度のイソプロピルアルコールに30分程度浸漬し、その後、100℃程度の高温下に放置し、完全に乾燥させ、その後に30分間程度紫外線を照射する前処理が例示できる。上記のように、所定の前処理を施した、又は施していない繊維素材などの基材に、コート液組成物を塗布すると、化1の化合物が加水分解し、下記反応式1の(1)~(3)に示した反応を経て、シロキサン結合(Si-O-Si)が生成する。
【0074】
反応式1:
(1)Si-OR+H2O → Si-OH+ROH(2)Si-OH+HO-Si → Si-O-Si+H2O(3)Si-OH+RO-Si → Si-O-Si+ROH
【0075】
このようにして生成したシロキサン結合(Si-O-Si)内のSi-Oの結合エネルギーは106kcal/molである。一方、有機化合物の典型的な結合であるC-C結合の結合エネルギーは82.6kcal/molである。したがって、化1の化合物が加水分解することによって生成する、シロキサン結合を有するガラス質のコート膜は、有機化合物に比べ、はるかに熱的安定な結合を有していることが分かる。この熱的安定な結合により、本発明により形成されるコート膜は耐熱性・耐摩耗性に優れたものとなり、その結果、耐熱性・耐摩耗性に優れたコート素材の製造が可能となる。
【0076】
また、本発明のコート液組成物が、触媒として前記した有機金属化合物(例えばテトラブトキシチタニウム等)を含む場合は、コート液中に反応水が含まれなくとも、上記の反応式1における(1)~(3)の反応が進行するのであるが、この場合の反応は、詳しくは下記反応式2における(4)及び(5)のようになる。
【0077】
反応式2:
(4)Ti-OR+H2O → Ti-OH+ROH(5)Ti-OH+RO-Si → Ti-O-Si
【0078】
上記のように、Ti-O結合がコート膜内に導入されることにより、シロキサン結合のみのコート膜に比べ、更に耐熱性及び耐摩耗性を向上することができる。このように、触媒として有機金属化合物を使用すると、反応水を共存させる必要が無いばかりでなく、コート膜の耐熱性・耐摩耗性を更に向上させ、そして結果的にはコート素材の耐熱性・耐摩耗性をよりいっそう強いものとできるのである。
【0079】
本発明においては、さらに、前記調整剤を含むが、これは、上述したように、本発明は、一般的な大量の水、酸、塩基を添加するゾル-ゲル法でなく、必要に応じて調整剤を添加して主剤と触媒両方のゾル-ゲル反応を利用可能であり、これにより、従来の技術常識に反して、主剤や触媒の元素が有する本来の機能を安定して発揮させ得る新規機能性材料を提供し得ることが、本発明者らに見出されたものである。
【0080】
また、本発明のコート素材は、本発明のシラン系コート液組成物を基材に塗布してなることを特徴とする。また、本発明の固化体は、本発明のシラン系コート液組成物を固化させてなることを特徴とする。本発明のシラン系コート液組成物、基材、塗布、及び固化の方法等については、上述の本発明のシラン系コート液組成物、又は機能性材料の製造方法の説明をそのまま参照することができる。
【実施例0081】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、実施例はあくまで一例であって、本発明は、それら実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
【0082】
実施例1
アルコキシシラン縮合体の製造以下のようにして、メチルトリメトキシシラン縮合体を合成した。
【0083】
500ml三つ口フラスコに、メチルトリメトキシシラン181g、メタノール50g及び純水18gを加え十分に攪拌した。さらに61%硝酸2gを加え攪拌しながら3時間加熱・環流させ、反応終了後、加熱しながら反応容器内を減圧にし、メタノールを除去した。このようにして得られたメチルトリメトキシシランは、ガスクロマトグラフィー分析により3~4量体が中心であった。アルコキシシランの縮合体を製造し、メチルトリメトキシシラン縮合体、エチルトリメトキシシラン縮合体、メチルトリエトキシシラン縮合体を合成した。ケイ素原子の4個の置換基のうち、1個が加水分解されない式1の化合物をコート液の主成分に用いることで、加水分解されない置換基を1個または2個有する式2と式3の化合物をコート液に添加することにより、柔軟性を増すことになった。後述する本発明の一実施例である900液剤について、前記アルコキシシラン縮合体・ポリアルキルアルコキシシランを溶媒(IPA )中に溶融させ有機金属触媒を添加し、攪拌後ポリメチルフェニルシロキサンを添加し、さらに丁寧に攪拌した。組成物の混合比は(wt%)で、38:50:0.15:11.85であった。
【0084】
まず、機能剤として、木酢油由来のヒノキチオールを使用して、本発明の組成物及び固化体の機能性効果の持続性について調べた。上述のように調整したシラン系コート液組成物にヒノキチオール3(10nm(ミセル粒子径))、ヒノキチオール4(200nm(ミセル粒子径))の液剤を混和させて、義歯に塗工し乾燥後測定した。混合液剤の詳細については、以下の通りである。混合比に関しては、シラン系コート液組成物900(機能剤以外の成分):ヒノキチオール=8:1であり、液剤機能剤を入れない基材900液剤の粘度は3.018(cP)、比重は0.9031、乾燥後の固形分率は35.8(wt%)であった。また、シラン系コート液組成物900(機能剤以外の成分)は、原材料として、ポリアルキルアルコキシシラン、IPA、ポリメチルフェニルシロキサン、テトラプロポキシチタンを用いた。用いた液剤の組成内容について、表1に示す。
【0085】
【表1】
表1において、TPT触媒とは、テトラプロポキシチタン触媒の略であり、IPAとは、イソプロピルアルコールの略であり、MTMとは、メチルトリメトキシシランの略である。また、基液剤は組成剤を順次攪拌機に投入し1時間以上攪拌した。液剤は密閉容器に入れ最低1カ月の熟成期間を経て使用した。熟成時間が少ないと機能が安定しない場合が有る。また、ヒノキチオール・ヒバ油組成については、ヒノキチオール3については、ヒバ油:乳化剤:エタノール:精製水とした。また、ヒノキチオール4については、ヒバ油:乳化剤:精製水とした。ヒバ剤から水蒸気蒸留で抽出した。ポリグリセリン脂肪酸エステルを乳化剤として使用し、超音波式攪拌機採用して攪拌した。
【0086】
具体的には、コーティングなしのもの(Control)、シラン系コート液組成物900(機能剤以外の成分を含む)のみ(900coat)、シラン系コート液組成物900+ヒノキチオール 3番(3coat)、及びシラン系コート液組成物900+ヒノキチオール 4(4coat)の4種類を準備した。まず、義歯用レジンディスクを、コーティング溶液に浸漬し、余剰なコーティング溶液を滅菌ガーゼで拭き取り垂直に立て乾燥(37 ℃、24h )した。乾燥させたものを、実験に使用した。図1は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の表面粗さを示す顕微鏡写真を示す図である。また、図2は、本発明の一実施態様における本発明の一例について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の表面粗さを示す図である。図2の結果から、Controlよりコーティング群は有意に粗さが減少していることが分かる。また、コーティング群はヒノキチオール混和により粗さが有意に増加していることが分かる。すなわち、本発明の液組成物をコーティングすることにより機能剤を担持することが可能となり、粗さを無視できるほど、殺菌効果を義歯表面へ付与することが可能で有ることが推測される。
【0087】
また、図3は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の菌体初期付着に与える影響を示す図である。義歯に対して、C. albicans酵母型菌体を37℃、100rpmの条件下で1.5h初期付着させたものである。コーティング膜は水に対し非常に安定であり、C. albicansに対し抗菌効果を持つヒノキチオールが義歯表面に担持されたと示唆される。図4は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯のC. albicans酵母型菌体の増殖に与える影響を示す図である。コーティングのみでもcontrolと比較して増殖が制御できたが、これは、増殖に関しては疎水性よりも表面粗さに依存することが考えられる。また、ヒノキチオールは4よりも3が増殖を制御した。ヒノキチオールの粒径の違いによるものと推測されるが、3の方が液剤へのなじみが良く、均一にヒノキチオールがコートできている可能性がある。
【0088】
図5は、試料上の菌を生菌と死菌に染め分け撮影した画像を示す。緑は生菌、赤は死菌を示す。図では読み取りにくいが、白っぽい部分が緑、濃い灰色部分が赤であり、赤は4coat→3coat→900coatの順に多く、Controlについては、赤はほとんど確認できない様子を示す。緑は、Control→900coat→4coat→3coatの順に多く、3coatは、緑が他と比較して非常に少ない印象である。図1a)のほとんどの部分が緑、b)、c)、d)の白っぽい部分が緑となる。すなわち、Control、コーティングのみは死菌がほぼなく生菌のみであるのに対し、ヒノキチオール群は死菌が認められることから、コーティングンにより義歯表面にヒノキチオールが担持できていることが示されている。特にヒノキチオール3は殺菌だけでなく菌の付着自体を抑制している傾向がある。
【0089】
図6は、試料上の菌の動態をSEM画像で観察した画像を示す。Contorol、コーティングのみに比べてヒノキチオール群は菌の付着が少ないことに加え、Candida albicansのバイオフィルム形成に重要な菌糸の形成がほぼ認められないことが分かる。特にヒノキチオール3は菌の付着が著しく少なく菌糸の発達も認められないことが分かる。
【0090】
図7は、本発明の一実施態様について、義歯へ本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした際の義歯の菌体増殖に与える影響を示す図である。本発明のシラン系コーティング液組成物をコーティングした義歯のC. albicans増殖に与える影響を示したもので、コーティング後1w蒸留水に浸漬したものである。ヒノキチオールは4よりも3が増殖を制御した。
【0091】
これらの結果、ガンジダ真菌が、本発明のシラン系コート液組成物とヒノキチオールの混和液剤が義歯に化学結合し、抗菌性が発現し、塗工義歯を水に1週間漬けておいても抗菌効果が衰えていない事が判明した。
【0092】
実施例2
次に、機能剤を含有する本発明のシラン系コーティング液組成物及び固化体のコロナウィルス使用のBMSAにおける24時間×6日の殺菌判定を行った。結果を表2に示す。表2において、229Eとは、今回の実験で使用したコロナウイルスの株の名称である。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例3
次に、種々の機能剤を含有する本発明のシラン系コーティング液組成物及び固化体をマスク用不織布へ適用して試験を行った。表2は、機能剤として、ヘキサデラルピリジウムクロリド水和物、シトラバスターコンク、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、ポピドンヨード、及びヒノキチオールを用いた場合のマスク用不織布への配合量を示す。なお、機能剤(責任物質)を添加した「基液(6014-3ptとも表示。)の合成は、下記の通りである。(溶剤(IPA)―50 : MTM―27:TI触媒―6 : テトラエトキシシランシロキサンー16.998 : Pt触媒-0.002) × 酢酸1.4(wp%)。
【0095】
また、マスク・不織布の通気性向上のための工夫をし、塗工後生成される固化膜厚を1/4に下げるために基液(6014-3pt)を希釈しIPA72.5gを添加した。
【0096】
これらの結果、今回検証した機能剤のすべてにおいて、効果に若干の差は認められるものの、非常に高い抗ウイルス活性が認められた。各機能剤の抗ウイルス活性について、表2では、3つの観点(表現方法)で示されている。まず表2の最も右上のカラムについて、これはウイルスの99.9994%の感染力をなくしたという意味である。また右から2番目のカラムについて、これは1mlあたりウイルスの感染価(ウイルス量とほぼ同義)であり、数字が小さいほどウイルスが殺菌できている事を示している。また、右から3つめのカラムは、生きている(感染力のある)ウイルスの量を、ウイルス遺伝子の増幅回数(Ct値と呼ばれる)で示したものであり、数値が小さいほど多くのウイルスが存在していることを示す。要するに3種類の数値はほぼ同じことを示していることになることが分かる。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
ヘキサデラルピリジニウムクロリド水和物~ヒノキチオールまでの6種類の物質がすべてそれぞれ機能剤であり、これらの機能剤はこれまでにメカニズムは異なるものの、一定の殺菌効果等が認められており、医療分野においても用いられている。本発明においては、これらさまざまな機能剤(殺菌力や抗ウイルス活性を持つ)が、その機能(効果)を失うことなく、さまざまな表面に安定して担持できたことが重要な点の一つである。このように、本発明のシラン系コーティング液組成物及び固化体によれば、コーティング層には多くのナノ空隙が含まれるため、そこに触媒、化学物質、機能剤を添加することができ、基材の特性を損なわずに用途に応じて様々な機能性を付加し、薬剤などの機能剤が有する機能を、持続させることが可能であることが判明した。なお、抗菌判定が出たマスクの塗工液剤(各責任物質(機能剤)を溶解した6種類)のpHを測定した。ポピヨンヨード10%―配合率10%はpH5.5であったが、他の(薬剤5item、ヒノキチオール)混合液はすべてpH6であった。
【0100】
実施例4
次に、本発明の組成物及び固化体について、機能剤の徐放性について調べた。具体的には、東京都立産業技術研究センターにて、本発明の組成物及び固化体について、機能剤の徐放性について調査した。サンプルとして、上述の実施例の要領にしたがって、A-1(混合原液):Orange +900、A-2(固化体) :Orange+601、B-1(混合原液):Rosemary+900、B-2(固化体) :Rosemary+601を調整し、徐放性データの面積値を調べた(液剤:Orange、 及びRosemaryの量は、1:8重量%)また、液剤について、液剤900は表1に示すものであり、液剤601はポリアルキルアルコキシシラン:Ti触媒:テトラメトキシシランオリゴマー:イソプロピルアルコール=27:6:17:50(wt%)である。図8は、本発明の一実施態様について、本発明の組成物の徐放性を示すクロマトグラフを示す。また、図9は、本発明の一実施態様について、本発明の固化体の徐放性を示すクロマトグラフを示す。液剤900+Orangeのクロマトグラフは、オレンジ精油D-Limoneneの面積値について、液剤は837984154であり(図8)、固化体は942293612であった(図9)。また、図示しないが、液剤900+Rosemaryのクロマトグラフは、D-Limoneneの面積値が液剤は70501169であり、固化体は93877013であった。また、Camphorの面積値は、液剤は61110808であり、固化体は84568292であった。これらの結果、Orange、Rosemaryの精油に601液剤を添加したデータも、同じように面積値は増えていることが判明した。この結果、本発明の液剤2液に依る徐放性の測定では機能剤の効果を担持・増加することが判明した。本発明の液剤+機能剤の選択により、上述のように2種類の揮発性の物質が固化体中に担持され、効果が維持・機能性がこのテストにおける揮発性物質試料においては増量する事が分かった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明のシラン系コート液組成物は、種々の機能性を有する材料を、安価に提供することができるため、広範な分野における産業発展に大きな貢献が期待できる。また、ヒノキチオール等の有機抽出成分精油、薬剤などの機能剤の揮散期間の延長と保持は、合成農薬、合成医薬品の残留毒性や副作用が問題となっている現在、植物からの、抗菌、薬理作用、害虫駆除等の効果を持つ揮散物質への超越技術液剤溶融利用開発は人類にとり有効・安全な、多岐にわたる貢献と成り得る。
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