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特開2023-93545PSMA標的化ガンイメージングまたは放射線療法中の健康組織保護のための2-PMPAのプロドラッグ
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  • 特開-PSMA標的化ガンイメージングまたは放射線療法中の健康組織保護のための2-PMPAのプロドラッグ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093545
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】PSMA標的化ガンイメージングまたは放射線療法中の健康組織保護のための2-PMPAのプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/662 20060101AFI20230627BHJP
   A61P 39/00 20060101ALI20230627BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61K31/662
A61P39/00
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061616
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2020506300の分割
【原出願日】2018-04-11
(31)【優先権主張番号】62/484,219
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】519368046
【氏名又は名称】アダルガ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ スラッシャー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ネデルコヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ラナ ライズ
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス クラトチウィル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】PSMA標的化療法中の健康な組織への標的化療法剤の曝露を軽減する方法を提供する。
【解決手段】オフターゲットの非ガン組織における前立腺特異的膜抗原(PSMA)標的化イメージングまたは治療上薬剤の曝露を防止または低減するための方法であって、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(2-PMPA)のプロドラッグをPSMA標的化薬剤により処置される対象に対しオフターゲットの非ガン組織へのPSMA標的化薬剤の結合が防止または低減されるのに有効な量において施すことを含む、方法とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフターゲットの非ガン組織における前立腺特異的膜抗原(PSMA)標的化イメージング
または治療上薬剤の曝露を防止または低減するための方法であって、2-(ホスホノメチル)
ペンタン二酸(2-PMPA)のプロドラッグをPSMA標的化薬剤により処置される対象に対しオ
フターゲットの非ガン組織へのPSMA標的化薬剤の結合が防止または低減されるのに有効な
量において施すことを含む、方法。
【請求項2】
2-PMPAのプロドラッグには、式(I)または式(II)の化合物:
【化1】
式中:
各R1、R2、R3、およびR4は、H、アルキル、Ar、-(CR5R6)n-Ar、-(CR5R6)n-O-C(=O)-R7
、-(CR5R6)n-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-R7、-(CR5R6)n-O-[(CR
5R6)n-O]m-R7、-(CR5R6)n-Ar-O-C(=O)-R7、-Ar-C(=O)-O-(CR5R6)n-R7、-(CR5R6)n-NR8R9
、および-(CR5R6)n-C(=O)-NR8R9からなる群より無関係に選ばれ;
式中:
nは1から20までの整数であり;
mは1から20までの整数であり;
各R3'およびR4'は無関係にHまたはアルキルであり;
各R5およびR6は、H、アルキル、およびアルキルアリールからなる群より無関係に選ば
れ;
各R7は無関係に直鎖または分枝アルキルであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;お
よび
R8およびR9はそれぞれ無関係にHまたはアルキルであり;ならびに
それらの薬学的に許容可能な塩
が含まれる、請求項1の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物は、次の:
【化2】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項4】
式(I)の化合物は、次の:
【化3】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項5】
式(I)の化合物は、次の:
【化4】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物は、次の:
【化5】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物は
【化6】
である、請求項2の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物は
【化7】
である、請求項2の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物は
【化8】
である、請求項2の方法。
【請求項10】
式(I)の化合物は
【化9】
である、請求項2の方法。
【請求項11】
式(I)の化合物は
【化10】
である、請求項2の方法。
【請求項12】
式(I)の化合物は
【化11】
である、請求項2の方法。
【請求項13】
式(I)の化合物は、次の:
【化12】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項14】
式(I)の化合物は
【化13】
である、請求項2の方法。
【請求項15】
式(I)の化合物は
【化14】
である、請求項2の方法。
【請求項16】
式(I)の化合物は
【化15】
である、請求項2の方法。
【請求項17】
式(I)の化合物は、次の:
【化16】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項18】
式(I)の化合物は
【化17】
である、請求項2の方法。
【請求項19】
式(I)の化合物は
【化18】
である、請求項2の方法。
【請求項20】
式(I)の化合物は
【化19】
である、請求項2の方法。
【請求項21】
式(I)の化合物は
【化20】

である、請求項2の方法。
【請求項22】
式(I)の化合物は、次の:
【化21】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項23】
式(I)の化合物は、次の:
【化22】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項24】
式(I)の化合物は、次の:
【化23】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項25】
式(I)の化合物は
【化24】
である、請求項2の方法。
【請求項26】
式(I)の化合物は、次の:
【化25】
からなる群より選ばれる、請求項2の方法。
【請求項27】
式(II)の化合物は
【化26】
である、請求項2の方法。
【請求項28】
式(II)の化合物は
【化27】
である、請求項2の方法。
【請求項29】
2-PMPAのプロドラッグは、PSMA標的化イメージングまたは治療上薬剤と組み合わせて施
される、請求項1の方法。
【請求項30】
2-PMPAのプロドラッグは、PSMA標的化イメージングまたは治療上薬剤が施される前に対
象に対して施される、請求項29の方法。
【請求項31】
2-PMPAのプロドラッグは、PSMA標的化イメージングまたは治療上薬剤と同時に対象に対
して施される、請求項29の方法。
【請求項32】
オフターゲット組織は、腎臓、涙腺、および唾液腺からなる群より選ばれる器官にある
、請求項1の方法。
【請求項33】
PSMA標的化イメージングまたは治療上薬剤は、PSMA-11、PSMA-617、およびPSMA I&Tか
らなる群より選ばれる、請求項1の方法。
【請求項34】
ガンについてPSMA標的化療法を受けるペイシェントにおいて唾液腺損傷を軽減するにあ
たり、2-PMPAのプロドラッグの治療上有効な量をペイシェントに施すことを含む、方法。
【請求項35】
唾液腺損傷は、口内乾燥、濃密化唾液、唾液減少、口内炎、嗄声、嚥下困難、味覚喪失
、およびそれらの組合せからなる群より選ばれる副作用を起こさせる、請求項34の方法。
【請求項36】
ガンについてPSMA標的化療法を受けるペイシェントにおいて腎損傷を軽減するにあたり
、2-PMPAのプロドラッグの治療上有効な量をペイシェントに施すことを含む、方法。
【請求項37】
2-PMPAのプロドラッグには、式(I)または式(II)の化合物:
【化28】
式中:
各R1、R2、R3、およびR4は、H、アルキル、Ar、-(CR5R6)n-Ar、-(CR5R6)n-O-C(=O)-R7
、-(CR5R6)n-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-R7、-(CR5R6)n-O-[(CR
5R6)n-O]m-R7、-(CR5R6)n-Ar-O-C(=O)-R7、-Ar-C(=O)-O-(CR5R6)n-R7、-(CR5R6)n-NR8R9
、および-(CR5R6)n-C(=O)-NR8R9からなる群より無関係に選ばれ;
式中:
nは1から20までの整数であり;
mは1から20までの整数であり;
各R3'およびR4'は無関係にHまたはアルキルであり;
各R5およびR6は、H、アルキル、およびアルキルアリールからなる群より無関係に選ば
れ;
各R7は無関係に直鎖または分枝アルキルであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;お
よび
R8およびR9はそれぞれ無関係にHまたはアルキルであり;ならびに
それらの薬学的に許容可能な塩
が含まれる、請求項34-36のいずれか一項の方法。
【請求項38】
2-PMPAのプロドラッグは、次の:
【化29】
からなる群より選ばれる、請求項34-37のいずれか一項の方法。
【請求項39】
PSMA標的化イメージングまたは治療上薬剤は、117Lu-PSMA-617、131I-MIP-1095、177Lu
-PSMA-I&T、177Lu-PSMA-R2、225Ac-PSMA-617、227Th-PSMA-ADC、CTT1403、CTT1700、68Ga
-PSMA-11、18F-DCFPyL、CTT1057、68Ga-PSMA-R2、および68Ga-PSMA-617からなる群より選
ばれる、請求項34-38のいずれか一項の方法。
【請求項40】
PSMA標的化治療用物質は約3GBqから約100GBqまでの累積量において施される放射線治療
用物質である、請求項34-39のいずれか一項の方法。
【請求項41】
PSMA標的化放射線治療用物質は約52GBqから約100GBqまでの累積量において施される、
請求項40の方法。
【請求項42】
PSMA標的化治療用物質および2-PMPAプロドラッグは約1ないし約15の処置サイクルにつ
いて施される、請求項34-41のいずれか一項の方法。
【請求項43】
PSMA標的化治療用物質および2-PMPAプロドラッグは約6ないし約15の処置サイクルにつ
いて施される、請求項42の方法。
【請求項44】
ペイシェントはガンについて以前に処置を受けたことがない、請求項34-43のいずれか
一項の方法。
【請求項45】
ガンは前立腺ガンである、請求項34-44のいずれか一項の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
この出願は、2017年4月11日付け出願の米国仮出願第62/484,219号の利益を主張し、そ
れはその全体において参照によってここに組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発
この発明は、National Institutes of Health(米国国立衛生研究所)(NIH)のNation
al Cancer Institute(米国国立ガン研究所)(NCI)によって認められたR01 CA161056-0
1の下で政府の支援によりなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
バックグラウンド
前立腺ガン細胞、ならびに他の複数の固形腫瘍の血管新生における内皮細胞は、前立腺
特異的膜抗原(PSMA)、膜テザー(膜繋止め、膜係留などとも言う)ペプチダーゼを著し
く過剰発現する(Kasperzyk(キャスパージク)ら、2013)。PSMAの過剰発現は、前立腺
ガンペイシェントにおいて浸潤性腫瘍(aggressive tumors)、転移性疾患、および予後
不良と相関することが示された(Perner(ペルネル)ら、2007)。前立腺ガン腫瘍のイメ
ージングを目的として、放射性標識または細胞傷害性薬物コンジュゲート生物製剤(biol
ogic)および小分子リガンドによりPSMAを標的とすることに好首尾な取組が進められた(
Bouchelouche(ブーシュルーシュ)ら、2016;Ceci(セシ)ら、2017;Haberkorn(ハー
バーコーン)ら、2016;Kratochwil(クラトチウィル、クラトフビルなどとも言う)ら、
2016;Maurer(マウラー)ら、2016)または標的化学療法もしくは放射線療法(Bouchelo
ucheら、2016;Ceciら、2017;Haberkornら、2016;Kratochwilら、2016;Maurerら、201
6;およびPillai(ピッライ)ら、2016)と共にいくつかの臨床試験も進んでいる。しか
しながら、前立腺ガンおよび増殖性内皮細胞に加えて、正常組織はまた、腎臓、涙腺、お
よび唾液腺において非CNS発現のPSMAも最も高い密度により発現する。それゆえ、これら
の組織は、干渉のエリア(PSMA発現ガンイメージングについて)または用量制限毒性部位
(dose-limiting sites of toxicity)(PSMA標的ガン治療について)を表わす(Kratoch
wilら、2015)。
【0004】
PSMA標的化療法中の健康な組織の曝露を軽減する試みにおいて、高度に選択的な、およ
び耐容性良好なPSMAインヒビター(PSMA抑制物質とも言う)2-(ホスホノメチル)ペンタン
二酸(2-PMPA)は、唾液腺および腎臓において共有PSMA結合部位での直接的な競合的置き
換え(direct competitive displacement)を通して放射性リガンドの取込みをブロック
する能力について評価された(Kratochwilら、2015;Chatalic(チャタリク)ら、2016)
。ある研究では、177Lu-PSMA I&T(100MBq)との2-PMPA(0.01mg)の同時注入は、腎臓
への吸収線量を83%だけ減少させ、PSMAを発現するヒトガン異種移植片を伴うマウスにお
いて3か月後に腎毒性が弱められた(Chatalicら、2016)。有望ではあるものの、これら
の結果は、2-PMPAがまた放射線治療用物質(radiotherapeutic)の腫瘍取込みを50%より
も多く抑制したため、臨床試験を促さず、放射線治療用物質を単独で受けたマウスと比較
して腫瘍の増殖が加速し、および全生存が著しく低下した(Chatalicら、2016)。2-PMPA
125I-MIP-1095とペアにしたときにも同様の結果が得られた(Kratochwilら、2015)。
以前に試みた唾液腺についての緩和戦略も失敗し(Taieb(タイエ)ら、2018)、これに
は、PSMA特異的取込みを抑制するための2-PMPAとの同時処置が含まれた(Kratochwilら、
2015)。これらの知見は、2-PMPAを親として施す場合、おそらくその極性が高く、および
大抵が組織への浸透が悪いため、唾液腺への浸透がほとんど、もしくはまったくないこと
を示す前臨床薬物動態データと一致する(Majer(マイヤー)ら、2016)。それゆえ、2-P
MPAはシールディングアプローチの重要な概念実証を提供したが、この分子との同時処置
は、PSMA標的化療法の治療指数を有意に改善したであろう唾液腺/腎臓置換および腫瘍取
込み間のバランスをとることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概略
いくらかの態様において、本開示の主題は、オフターゲットの非ガン組織における前立
腺特異的膜抗原(PSMA)イメージングまたは治療上薬剤の蓄積を防止または低減するため
の方法を提供し、本方法には、PSMA標的化イメージングまたは治療上薬剤により処置され
る対象に対し、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(2-PMPA)のプロドラッグをオフターゲ
ットの非ガン組織へのその薬剤の結合が防止または低減されるのに有効な量において施す
ことが含まれる。2-PMPAとは対照的に、本開示の2-PMPAプロドラッグは、健康な非ガン組
織に、腎臓および唾液腺を含め、予想外の優先分布を見せ、それらは、PSMA標的化薬剤に
ついて干渉部位または用量制限毒性を表わす。そうすることで、本開示の方法は、PSMA標
的療法の治療域を広げ、唾液腺および腎臓毒性のリスクを減らし、およびおそらく病気の
経過の初期に開始されるより一層多くの処置サイクルを可能にする。
【0006】
いくらかの態様では、2-PMPAのプロドラッグには、式(I)または式(II)の化合物:
【化1】
式中:
各R1、R2、R3、およびR4は、H、アルキル、Ar、-(CR5R6)n-Ar、-(CR5R6)n-O-C(=O)-R7
、-(CR5R6)n-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-R7、-(CR5R6)n-O-[(CR
5R6)n-O]m-R7、-(CR5R6)n-Ar-O-C(=O)-R7、-Ar-C(=O)-O-(CR5R6)n-R7、-(CR5R6)n-NR8R9
、および-(CR5R6)n-C(=O)-NR8R9からなる群より無関係に選ばれ;式中:nは1から20まで
の整数であり;mは1から20までの整数であり;各R3'およびR4'は無関係にHまたはアルキ
ルであり;各R5およびR6は、H、アルキル、およびアルキルアリールからなる群より無関
係に選ばれ;各R7は無関係に直鎖または分枝アルキルであり;Arは、アリール、置換アリ
ール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;およびR8およびR9はそれぞれ無
関係にHまたはアルキルであり;ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩が含まれる。
【0007】
特定の態様において、式(I)の化合物は、次の:
【化2】
である。
【0008】
他の態様では、本開示の主題は、ガンについてPSMA標的化療法を受けるペイシェントに
おいて唾液腺損傷を低減するための方法を提供し、治療上有効な量の2-PMPAのプロドラッ
グをペイシェントに対して施すことを含む。
【0009】
特定の態様において、唾液腺損傷は、口内乾燥、濃密化唾液、唾液減少、口内炎、嗄声
、嚥下困難、味覚喪失、およびそれらの組合せからなる群より選ばれる副作用を起こさせ
る。
【0010】
さらに他の態様では、本開示の主題は、ガンについてPSMA標的化療法を受けるペイシェ
ントにおいて腎臓損傷を低減するための方法を提供し、治療上有効な量の2-PMPAのプロド
ラッグをペイシェントに対して施すことを含む。
【0011】
上記に述べた本開示の主題の一定の態様は、本開示の主題によって全体的に、または部
分的に対処され、他の態様は、付随の例および図に関連して、以下でここに最も良好に説
明するように採用されるとき、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
このように本開示の主題を一般的な用語で説明したので、次に添付図面を参照するが、
それらは必ずしも縮尺通りに描かれておらず、および次のものである。
図1】Tris(トリス)-POC-2-PMPAプロドラッグがヌードマウスの腎臓に対して著しく高い2-PMPA濃度をデリバリーされたことを示す。等モル用量の2-PMPAと比較して、Tris-POC-2-PMPA(5mg/kg、i.p.)は、腎臓において2-PMPAの濃度を20倍よりも高く増加させた。
図2図2Aおよび図2Bは、本開示の2-PMPAのプロドラッグとは対照的に、代替尿素ベースのPSMAリガンド、ZJ-43の類似のプロドラッグが、親としてのZJ-43の施与に比べ(図2A)、マウス腎臓または唾液腺に対して増加した分布を見せないこと(図2B)を示す。
図3図3Aおよび図3Bは、前立腺ガン腫瘍保有(prostate cancer tumor-bearing)マウスにおいて、等モルの2-PMPAの施与と比較して(図3A)、Tris-POC-2-PMPA施与(図3B)が2-PMPAの著しく増加した腎臓および唾液腺デリバリーを、および改善された腎臓:腫瘍および唾液:腫瘍の比をもたらすことを示す。2-PMPAまたはTris-POC-2-PMPA(3mg/kgまたはモル当量、i.v.)のいずれかを、ヒトC4-2前立腺ガン細胞の皮下異種移植片を伴う(harboring)NSGマウスに対して尾静脈施与した後、複数の時点にて、血しょう、腫瘍、唾液腺、および腎臓における2-PMPAの濃度を測定した。
図4図4A図4B図4C、および図4Dは、20MBqの68Ga-PSMA-617の注射の1時間後の非腫瘍保有マウスのベースラインPETイメージング(最大値投影法(maximum intensity projections)として提示)(図4A)およびmSUVによる腎取込みの定量化(図4C)を示す。同じ動物を、Tris-POC-2-PMPA(0.5mg/kgBW)のその後の注射からさらに1時間後に再イメージングした(図4B)。次いで、腎臓においてトレーサー濃度をmSUVによって定量した(図4D)。
図5図5A図5B図5C、および図5Dは、68Ga-PSMA-617の注射の1時間後のLNCaP腫瘍異種移植片(左肩)保有マウスのベースラインPET(図5A)およびmSUVによる腎臓および腫瘍取込みの定量化(図5C)を示す。同じ動物を、異なる用量のTris-POC-2-PMPA(またはコントロールとしてサリン(塩類溶液))のその後の注射のさらに1時間後に再イメージングし(図5B)、次いで腫瘍および腎臓の取込みを定量した(図5D)。
図6図6A図6B図6C、および図6Dは、68Ga-PSMA-617 1h p.i.の体内分布を示し、健康な対象における最大値投影法として提示したTris-POC-2-PMPAの事前投薬(pre-dosing)を伴わないもの(図6A、左)またはそのTris-POC-2-PMPAの後のもの(図6A、右)である。事前投薬なしでは、腎臓の取込みは経時的に増加するが、対照的に、時間活性曲線は、PET-トレーサーの10分前に0.05mg/kgBW Tris-POC-2-PMPAによる事前投薬によって腎結合の飽和を意味する(図6C)。同様の効果を耳下腺の時間活性曲線について観察した(図6D)。事前投薬を伴わない(図6B、上)またはそれを伴う(図6B、下)対象の腎臓を通した冠状の薄いスライスは、PSMA結合部位の飽和が近位尿細管において生理学的に発現したことを意味し、それは逆に腎皮質において位置する。特定の理論に縛られることは望まないが、この観察結果は本開示の方法について提案する作用メカニズムを示すと考えられる。
図768Ga-PSMA-617体内分布1h p.i.の個体間比較を示し、Tris-POC-2-PMPAの前立腺ガンペイシェントにおいて最大値投影法として提示する事前投薬の有無にかかわらない。Tris-POC-2-PMPAにより前処理するとき、ペイシェントは腫瘍において同様のトレーサー取込みを見せたが、腎臓および唾液腺の取込みは著しく減少した。および
図8】Tris-POC-2-PMPAを伴わない放射線治療を受けた歴史的コントロールと比較した前立腺ガンペイシェントにおける177Lu-PSMA-617の施与後の生体分布および各器官または転移への吸収放射線量に対するTris-POC-2-PMPA前処理の効果を示す。診断上のPETスキャンにおける陽性結果に基づいて、二体のペイシェントは177Lu-PSMA-617での注入の15分前にTris-POC-2-PMPA(10mg、i.v.)を受けた。同じ施設からの歴史的コントロール(Kratochwilら、2016)と比べ、Tris-POC-2-PMPAの前処理により、耳下腺、顎下腺、および腎臓での放射線治療用物質の取込みが45%および75%間だけ減少した。対照的に、Tris-POC-2-PMPAの前処理は、転移に対する線量にほとんどまたはまったく影響を与えず、すべての値が歴史的コントロールの標準偏差内に入り、および決定的に、治療有効性をもたらすことが報告されている吸収線量値(Kratochwilら、2016)を超えるものであった。
【0013】
特許または出願ファイルは、カラーにおいて作成された少なくとも一つの図面を含む。
カラー図面を有するこの特許または特許出願公開のコピーは、要求および必要な料金の支
払いに応じて、その機関によって提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な記載
本開示の主題は次に、添付の図面で、本発明のすべてではないがいくらかの実施形態を
示すものを参照して、以下においてより一層十分に説明する。同様の番号は全体を通して
同様の要素に言及する。本開示の主題は、多くの異なる形態で具体化してよく、およびこ
こに説明する実施形態に制限されると解釈すべきでなく;むしろ、これらの実施形態を、
この開示が適用される法的要件を満たすように提供する。実際、ここに説明する本開示の
主題の多くの修飾および他の実施形態は、本開示の主題が関連する技術において熟練する
者(当業者とも言う)には、前述の説明および関連する図に示される教示の利益を受ける
ことが思い浮かぶであろう。したがって、本開示の主題は開示した特定の実施形態に制限
されることがなく、および修飾および他の実施形態が添付の請求の範囲の射程内に含まれ
ることが意図されていることを理解すべきである。
I.PSMA標的化ガンイメージングまたは放射線療法中の健康な組織保護のための2-PMPA
のプロドラッグ
【0015】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、GCPII(グルタミン酸カルボキシペプチダーゼII)お
よびFOLH1とも称され、N-アセチル化アスパラギン酸-グルタミン酸(NAAG)を、N-アセチ
ルアスパラギン酸(NAA)およびグルタミン酸に加水分解するのを触媒し、および葉酸ポ
リグルタマートから末端グルタマートモイエティーを順次切断するメタロペプチダーゼで
ある。最も強力で、選択的、および効果的なPSMAインヒビターの一つは2-(ホスホノメチ
ル)ペンタン二酸(2-PMPA)である。しかしながら、2-PMPAは、複数のカルボキシラート
および亜鉛結合基を有する極性の高い化合物であり、およびそれは無視できるほどの経口
的可用性、および不十分な組織への浸透性しか有していない。したがって、ほとんどのケ
ースにおいて、それは目的の効果を達成するために、静脈内、腹腔内、または局所的に投
薬しなければならない。この事実は治療薬としてのその潜在的な使用を制限する。
【0016】
本開示の主題は、部分的には、2-PMPAの一定のプロドラッグ(例は、Majerら、2016参
照)が、動物に施したとき、腎臓および唾液腺において予想外に蓄積したことを実証する
。重要なことに、これらのプロドラッグのあるものは、前立腺ガン異種移植片を保有する
マウスに施すとき、齧歯動物の唾液腺および腎臓へ、それぞれ、腫瘍と対照して、3およ
び57倍の2-PMPAの優先的デリバリーを見せた。何らの特定の一つの理論に縛られることは
望まないが、このプロファイルを考慮すると、2-PMPAのプロドラッグの施与が、標的腫瘍
組織における放射性リガンドの取込みを妨げることなく、これらの「オフターゲット」非
ガン組織への以後のPSMA放射性リガンド結合を防ぐことができたと考えられた。2-PMPAの
特定のプロドラッグをここに開示するが、当技術において通常の技量の者(当業者とも言
う)は、腎臓および唾液腺において差動的蓄積(differential accumulation)を見せる2
-PMPAの他のプロドラッグ、および任意のGCPIIインヒビターが、本開示の方法による使用
に適切であろうことができたことを理解するであろう。
【0017】
本開示の主題はこのアプローチの有効性を実証する。例えば、前立腺腫瘍を保有するマ
ウス、健常なヒトボランティア、および前立腺ガンペイシェントでは、PSMA放射性リガン
ドの施与前に2-PMPAプロドラッグを施与することは、腎臓および唾液腺の放射性リガンド
の結合を好首尾に置き換えたが、腫瘍取込みは温存された。それゆえ、本開示の2-PMPAプ
ロドラッグは、PSMA標的化のイメージング(画像化とも言う)薬剤および放射線療法の特
異性を改善し、およびそれらの毒性を低減するために、前処理薬剤として臨床的に使用す
ることができる、潜在的可能性を秘める。
【0018】
より一層詳細には、本開示の主題は、非ガン組織への2-PMPAの組織分布を変え、健康な
器官への2-PMPAデリバリーを改善する2-PMPAのプロドラッグのクラスについて新しい使用
を提供する。本開示のプロドラッグは、腎臓、涙腺、および唾液腺に優先的に分布し、こ
れらは、PSMA標的化前立腺ガンイメージング剤および放射線療法のオフターゲット結合お
よび毒性の部位を代表する。
【0019】
したがって、本開示の主題は非ガン組織(例は、腎臓、涙腺、および唾液腺)における
蓄積の増強を伴うPSMA小分子インヒビターの予想外の知見を提供する。動物データ、それ
はヒトにおいて確認され、それは本開示の2-PMPAプロドラッグがPSMA標的化イメージング
(PSMA-targeted imaging)または放射線療法と併用して、それぞれ、非選択性および潜
在的な用量制限毒性を低減できることを指し示す。
【0020】
したがって、いくらかの実施形態では、本開示の主題は、オフターゲット(標的外とも
言う)の非ガン組織における前立腺特異的膜抗原(PSMA)セラノスティック剤(theranos
tic agent)の蓄積を防止または低減するための方法を提供し、本方法には、PSMAセラノ
スティック剤により処置される対象に対して、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(2-PMPA
)のプロドラッグを、オフターゲットの非ガン組織へのPSMAセラノスティック剤の結合を
防止または低減するのに有効な量において施すことが含まれる。そのような実施形態にお
いて、オフターゲット組織は放射線治療薬からシールドされる。
【0021】
いくらかの実施形態では、2-PMPAのプロドラッグは、PSMAセロノスティック(theronos
tic)剤と組み合わせて施される。「と組み合わせて」によって、一またはそれよりも多
く(一以上とも言う)の本開示の化合物を一以上の治療薬剤と共に、その前、同時、逐次
、またはそれらの組合せのいずれかで施すことを意味する。したがって、細胞または対象
は、本開示の一以上の化合物および一以上の治療薬剤を、同じ時に(いわゆる、同時に)
または異なる時に(いわゆる、連続的に、いずれかの順において、いわゆる、前または後
に、同じ日に、または異なる日に)、両方の薬剤の組合せの効果が細胞または対象におい
て達成される限りで、受けることができる。順次施されるとき、薬剤は、互いに1、5、10
、30、60、120、180、240分またはそれらよりも長い時間内に施すことができる。他の実
施形態では、連続的に施される薬剤は、互いに1、5、10、15、20またはそれよりも長い日
数内に施すことができる。本開示の一以上の化合物および一以上の治療薬を同時に施す場
合、それらは、それぞれ一以上の本開示の化合物または一以上の治療薬のいずれかを含む
別々の薬剤組成物として細胞に施し、または対象に施すことができ、またはそれらは単一
の組成物として細胞に接触させ、または両方の薬剤を含む単一の薬剤組成物として対象に
施すことができる。特定の実施形態では、2-PMPAのプロドラッグは、PSMAセロノスティッ
ク剤またはイメージング剤(造影剤とも言う)を施す前に対象に施される。そのような実
施形態では、対象は2-PMPAのプロドラッグで「前処置」される。他の実施形態では、2-PM
PAのプロドラッグは、PSMAセロノスティック剤またはイメージング剤と同時に対象に施さ
れる。
【0022】
一定の実施形態において、オフターゲット組織は、腎臓、涙腺、および唾液腺からなる
群より選ばれる器官にある。
【0023】
特定の実施形態では、PSMAセロノスティック剤は、CTT1403、MIP-1095、PSMA-11、PSMA
-617、PSMA-R2、およびPSMA I&Tからなる群より選ばれる。本技術において通常の技量の
者は、他の放射標識PSMAセロノスティック剤、実際、任意のPSMA標的化薬剤が、結合部位
またはそれが、本技術において既知の生物学的または小分子であるかどうかに関係なく本
開示の方法での使用に適するであろうことを認識するであろう。
【0024】
本開示の方法と共に使用するのに適する2-PMPAの代表的なプロドラッグには、Slusher
(スラッシャー)らへの、PRODRUGS OF PROSTATE SPECIFIC MEMBRANE ANTIGEN (PSMA) IN
HIBITOR(前立腺特異的膜抗原(PSMA)インヒビターのプロドラッグ)について、国際的P
CTの特許出願公開番号WO2016022827A1において開示され、2016年二月11日付けで公開され
たものが含まれ、それは参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0025】
代表的な2-PMPAプロドラッグの構造を表1に提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【0026】
さらに他の実施形態では、加水分解速度の微調整は、以下の化合物によって例示するよ
うに、POCおよびメチル置換POCの組合せによって評価することができる:
【化3】
【0027】
2-PMPAプロドラッグのさらなる方向には、以下のアプローチが含まれ、より一層難なく
加水分解可能なフェニルエステル;無水物、および生物変換用にパラオキソナーゼを採用
するジオキソロンエステルが含められる:
【化4】
【0028】
さらに、以下のジオキソロンエステルおよび2-PMPAの無水物プロドラッグが考えられる

【化5】
【0029】
2-PMPAの代替のカルボキシエステルプロドラッグのさらなる例には、以下も含まれる:
【化6】
【0030】
より一層詳細には、いくらかの実施形態では、2-PMPAのプロドラッグには、式(I)ま
たは式(II)の化合物:
【化7】
式中:
各R1、R2、R3、およびR4は、H、アルキル、Ar、-(CR5R6)n-Ar、-(CR5R6)nO-C(=O)-R7
-(CR5R6)n-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-R7、-(CR5R6)n-O-[(CR5R
6)n-O]m-R7、-(CR5R6)n-Ar-O-C(=O)-R7、-Ar-C(=O)-O-(CR5R6)n-R7、-(CR5R6)n-NR8R9
および-(CR5R6)n-C(=O)-NR8R9からなる群より無関係に選ばれ;
式中:
nは1から20までの整数であり;
mは1から20までの整数であり;
各R3'およびR4'は無関係にHまたはアルキルであり;
各R5およびR6は、H、アルキル、およびアルキルアリールからなる群より無関係に選ば
れ;
各R7は無関係に直鎖または分枝アルキルであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;お
よび
R8およびR9はそれぞれ無関係にHまたはアルキルであり;ならびに
それらの薬学的に許容可能な塩
が含まれる。
【0031】
ここに以下でさらに規定するように、式(I)および式(II)のR1-R9ならびにR3'およ
びR4'によって代表される「アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、またはC8の線
状または分枝アルキルで、いくらかの実施形態ではC1-4置換または非置換アルキル、いく
らかの実施形態ではC1-6置換または非置換アルキル、いくらかの実施形態ではC1-8アルキ
ル置換または非置換アルキルであることができ、以下のものに制限されないが、メチル、
エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル
、n-ペンチル、sec-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル
、n-ヘプチル、n-オクチル、およびその他同種類のものなどが含まれ、それらのそれぞれ
が一以上の置換成分(substitutents)を含むことができる。代表的な置換基(substitue
nt groups)には、制限されないが、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、アリール、置
換アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキ
ルアミノ、スルファート(硫酸塩)、シアノ、メルカプト、およびアルキルチオが含まれ
る。
【0032】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化8】
からなる群より選ばれる。
【0033】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化9】
からなる群より選ばれる。
【0034】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化10】
からなる群より選ばれる。
【0035】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化11】
からなる群より選ばれる。
【0036】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化12】
である。
【0037】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化13】
である。
【0038】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化14】
である。
【0039】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化15】
である。
【0040】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化16】
である。
【0041】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化17】
である。
【0042】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化18】
からなる群より選ばれる。
【0043】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化19】
である。
【0044】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化20】
である。
【0045】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化21】
からなる群より選ばれる。
【0046】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化22】
である。
【0047】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化23】
である。
【0048】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化24】
である。
【0049】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化25】
である。
【0050】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化26】
からなる群より選ばれる。
【0051】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化27】
からなる群より選ばれる。
【0052】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化28】
からなる群より選ばれる。
【0053】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は
【化29】
である。
【0054】
特定の実施形態では、式(I)の化合物は、以下:
【化30】
からなる群より選ばれる。
【0055】
特定の実施形態では、式(II)の化合物は
【化31】
である。
【0056】
特定の実施形態では、式(II)の化合物は
【化32】
である。
【0057】
他の実施形態では、本開示の主題は、ガンについてPSMA標的化療法を受けるペイシェン
トにおいて唾液腺損傷を低減するための方法を提供し、それには、2-PMPAのプロドラッグ
の治療上有効な量をペイシェントに施すことが含まれる。
【0058】
特定の実施形態では、唾液腺損傷は、口内乾燥、濃密化唾液(thickened saliva、唾液
の肥厚などとも言う)、唾液減少、口内炎、嗄声、嚥下困難(trouble swallowing、嚥下
障害などとも言う)、味覚喪失、およびそれらの組合せからなる群より選ばれる副作用を
引き起こさせる。
【0059】
さらに他の実施形態では、本開示の主題は、ガンについてPSMA標的化療法を受けるペイ
シェントにおいて腎臓損傷を低減するための方法を提供し、それには、2-PMPAのプロドラ
ッグの治療上有効な量をペイシェントに施すことが含まれる。
【0060】
特定の実施形態では、唾液腺損傷および/または腎臓損傷を低減する方法の2-PMPAのプ
ロドラッグには、式(I)または式(II)の化合物:
【化33】
式中:
各R1、R2、R3、およびR4は、H、アルキル、Ar、-(CR5R6)n-Ar、-(CR5R6)n-O-C(=O)-R7
、-(CR5R6)n-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-C(=O)-O-R7、-(CR5R6)n-O-R7、-(CR5R6)n-O-[(CR
5R6)n-O]m-R7、-(CR5R6)n-Ar-O-C(=O)-R7、-Ar-C(=O)-O-(CR5R6)n-R7、-(CR5R6)n-NR8R9
、および-(CR5R6)n-C(=O)-NR8R9からなる群より無関係に選ばれ;
式中:
nは1から20までの整数であり;
mは1から20までの整数であり;
各R3'およびR4'は無関係にHまたはアルキルであり;
各R5およびR6は、H、アルキル、およびアルキルアリールからなる群より無関係に選ば
れ;
各R7は無関係に直鎖または分枝アルキルであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり;お
よび
R8およびR9はそれぞれ無関係にHまたはアルキルであり;ならびに
それらの薬学的に許容可能な塩
が含まれる。
【0061】
またさらに特定の実施形態では、2-PMPAのプロドラッグは、以下:
【化34】
からなる群より選ばれる。
【0062】
一定の実施形態では、PSMA標的化イメージングまたは治療の薬剤は、117Lu-PSMA-617、
131I-MIP-1095、177Lu-PSMA-I&T、177Lu-PSMA-R2、225Ac-PSMA-617、227Th-PSMA-ADC、CT
T1403、CTT1700、68Ga-PSMA-11、18F-DCFPyL、CTT1057、68Ga-PSMA-R2、および68Ga-PSMA
-617からなる群より選ばれる。
【0063】
いくらかの実施形態では、PSMA標的化治療用物質(PSMA-targeted therapeutic)は約3
GBqから約100GBqまでの累積量において施される放射線治療用物質(radiotherapeutic)
である。特定の実施形態では、PSMA標的化放射線治療用物質は約52GBqから約100GBqまで
の累積量において施される。
【0064】
いくらかの実施形態では、PSMA標的化治療用物質および2-PMPAプロドラッグは約1ない
し約15の処置サイクルについて施される。特定の実施形態では、PSMA標的化治療用物質お
よび2-PMPAプロドラッグは、約6ないし約15の処置サイクルについて施される。
【0065】
一定の実施形態では、ペイシェントはガンについて以前に処置を受けたことがない。さ
らにより一層確かな実施形態では、ガンは前立腺ガンである。
II.薬剤組成物および管理
【0066】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物、または式(II)の化合物を単独で、また
は薬学的に許容可能な賦形剤との混合せにおいて一以上の追加の治療薬と組み合わせて含
む薬剤組成物を提供する。本技術において熟練の者は、薬剤組成物には、上記化合物の薬
学的に許容可能な塩が含まれることを認識するであろう。
【0067】
治療および/または診断用途において、本開示の化合物は、多種多様な管理のモードの
ために、全身および局所施与または限局性(localized)施与を含め、調剤することがで
きる。技術および調剤化は概して、Remington: The Science and Practice of Pharmacy
(20th ed.) Lippincott, Williams & Wilkins (2000)(レミントン:薬学の科学と実践(
第20版)リッピンコット、ウィリアムズ&ウィルキンス(2000))において見出し得る。
【0068】
本開示による化合物は広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、成人の処置にお
いて、0.01から1000mgまで、0.5から100mgまで、1日あたり1から50mgまで、および1日あ
たり5から40mgまでの投薬量が、使用し得る投薬量の例である。非制限的な投薬量は1日あ
たり10ないし30mgである。正確な投薬量は、施与経路、化合物が施される形態、処置され
る対象、処置される対象の体重、および主治医の優先度および経験に依存するだろう。
【0069】
薬学的に許容可能な塩は大抵、本技術において通常の技量の者によく知られ、および例
として、制限されないが、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベシラート、安息香酸塩、炭
酸水素塩(重炭酸塩)、酒石酸水素塩(重酒石酸塩)、臭化物、エデト酸カルシウム、カ
ルンシラート(carnsylate)、炭酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシラート、エスト
ラート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グ
リコリルアルサニラート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバ
ミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトアート、ヨウ化物、イセチオナート、乳
酸塩、ラクトビオナート、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、ムカ
ート(mucate)、ナプシラート、硝酸塩、パモアート(エンボナート)、パントテン酸塩
、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基
性酢酸塩、こはく酸塩、サルファート、タンニン酸塩、酒石酸塩、またはテオクラートが
含まれ得る。他の薬学的に許容可能な塩は、例えば、Remington:The Science and Pract
ice of Pharmacy(20th ed.)Lippincott、Williams & Wilkins(2000)に見出し得る。
薬学的に許容可能な塩には、例えば、酢酸塩、安息香酸塩、臭化物、炭酸塩、クエン酸塩
、グルコン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、マレイン酸塩、メシラート、ナプシラート、パ
モアート(エンボナート)、リン酸塩、サリチル酸塩、こはく酸塩、硫酸塩、または酒石
酸塩が含まれる。
【0070】
処置される特定の状態に応じて、そのような薬剤は、液状または固形の剤形に調剤され
、および全身的または局所的に施され得る。薬剤は、例えば、本技術において熟練する者
に既知であるように、持続放出型または徐放性低放出形態(timed- or sustained-low re
lease form)においてデリバリーされてもよい。調剤および管理の技術は、Remington:T
he Science and Practice of Pharmacy(20th ed.)Lippincott、Williams & Wilkins(2
000)において見出し得る。適切な経路には、経口、口腔、唾液内(intra-salivary)、
吸入スプレーによる、舌下、直腸、経皮、膣、経粘膜、鼻または腸管の施与が;非経口デ
リバリーが、筋肉内、皮下、髄内注射、ならびに髄腔内、直接脳室内(direct intravent
ricular、直接心室内などとも言う)、静脈内、関節内、胸骨内(intra-sternal)、滑液
内(intra-synovial)、肝内、病巣内、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射または
他のデリバリーモードを含め、含まれ得る。
【0071】
注射について、本開示の薬剤は、水溶液において、例えば、ハンクス液、リンゲル液、
または生理学的塩類溶液緩衝剤などのような生理学的に適合性の緩衝剤においてなどのよ
うなもので調剤および希釈し得る。そのような経粘膜施与について、浸透されるバリアに
適切な浸透剤が調剤物において使用される。そのような浸透剤は概して本技術において既
知である。
【0072】
本開示の実践のためにここに開示する化合物を全体的施与に適する投薬量に調剤するた
めの薬学的に許容可能な不活性担体の使用は、本開示の範囲内である。担体の適切な選定
および適切な製造慣行により、本開示の組成物、特に溶液として調剤されるものは、非経
口で、例えば、静脈内注射などのようなものによって投与し得る。本化合物は、本技術に
おいてよく知られる薬学的に許容可能な担体を使用して難なく経口投与のために適切な投
薬量中に調剤することができる。そのような担体は、本開示の化合物が、処置される対象
(例は、ペイシェント)によって経口摂取されるために、錠剤、丸薬、カプセル、液体、
ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物およびその他同種類のものなどとして調剤されるのを
可能にする。
【0073】
鼻または吸入デリバリーについて、本開示の薬剤はまた、本技術において熟練の者に既
知の方法によって調剤してよく、および例えば、制限されないが、物質の可溶化、希釈、
または分散の例、例えば、塩類溶液、保存料で、例えば、ベンジルアルコールなどのよう
なもの、吸収促進剤、およびフルオロカーボンなどのようなものが含まれ得る。
【0074】
本開示において使用に適する薬剤組成物には、活性原料をその意図された目的達成のた
めに有効な量で含む組成物が含まれる。有効量の決定は、特に、ここに提供する詳細な開
示に照らして、本技術において熟練する者の能力の十分な範囲内である。
【0075】
これらの薬剤組成物は、活性原料に加えて、賦形剤および助剤を含む適切な薬学的に許
容可能な担体が含まれてよく、それらは活性化合物の、薬学的に使用することができる調
製物への加工を促進する。経口投与用に調剤される調製物は、錠剤、ドラジェ(糖衣錠な
どとも言う)、カプセル、または溶液の形態であり得る。
【0076】
経口使用のための薬剤調製物は、活性化合物を固形賦形剤と組み合わせること、随意に
、得られる混合物をグラインド(粉砕とも言う)すること、必要があれば、錠剤またはド
ラジェコアを得るために、適切な助剤を加えた後、顆粒の混合物を加工することによって
取得することができる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、糖などのようなもので
、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールが含まれ;セルロース調
製物、例えば、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、ジャガイモ澱粉、ゼラチン、
トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム(CMC)、および/またはポリビニルピロリドン(PVP:ポ
ビドン)である。必要に応じて、崩壊剤を添加してもよく、例えば、架橋ポリビニルピロ
リドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩などのようなもの、例えば、アルギン酸ナ
トリウムなどのようなものである。
【0077】
ドラジェコアには、適切なコーティングが施される。この目的のために、濃縮糖液を使
用してよく、それには、随意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボ
ポール(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール(PEG)、および/または二酸化チタン
、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物が含まれ得る。染料または色素
は、識別用に、または活性化合物の用量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤または
ドラジェコーティングに添加してもよい。
【0078】
経口的に使用することができる薬剤調製物には、ゼラチン製の押し込み型カプセル(pu
sh-fit capsules)、ならびにゼラチン製の柔らかい、密封カプセル、および可塑剤、例
えば、グリセロールまたはソルビトールなどのようなものが含まれる。押し込み型カプセ
ルは、活性成分を、充填剤、例えば、ラクトースなどのようなもの、結合剤、例えば、で
んぷんなどのようなもの、および/または潤滑剤、例えば、タルクまたはステアリン酸マ
グネシウムなどのようなもの、および随意に、安定剤と共に混ぜものにおいて含むことが
できる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、適切な液体、例えば、脂肪油、流動パラフ
ィン、または液状ポリエチレングリコール(PEGs)などのようなものに溶解または懸濁さ
せてよい。さらに、安定剤を加えてもよい。
III.定義
【0079】
ここでは特定の用語を採用するが、それらは一般的および説明的な意味でだけ使用し、
および制限の目的のためではない。別なふうに規定しない限り、ここで使用するすべての
技術および科学用語は、この現在説明する主題が属する技術において通常の技量の者によ
って普通に理解されるのと同じ意味を有する。
【0080】
式(I)の化合物に関連する以下の用語は、本技術において通常の技量の者によって十
分に理解されると考えるが、本開示の主題の説明を容易にするために、以下の規定を示す
。これらの規定は、本開示を再検討すれば本技術において通常の技量の者に明らかであろ
う規定を排除するのではなく、補足および例示することを意図する。
【0081】
用語置換されるは、用語「随意に」によって先行されるかどうかにかかわらず、および
ここで使用するように、置換可能であり(substituent)、この技術において熟練する者
によって認められるように、すべての原子の原子価が維持される条件で、ある官能基を別
の官能基に変える能力に言及する。任意の与えられる構造において一よりも多くの位置が
特定の群から選ばれる一よりも多くの置換成分(substitutents)で置き換えられ得ると
き、置換成分はあらゆる位置にて同じか、または異なるかのいずれでもよい。置換成分は
またさらに置換され得る(例は、アリール基置換成分は、別の置換成分を自由に(off it
)、例えば、別のアリール基などのようなものを有してよく、それは更に、例えば、一以
上の位置にてフッ素により置換される)。
【0082】
置換基または連結基がそれらの慣習的な化学式によって特定され、左から右に書かれる
場合、それらは、右から左に構造を書くことから生じるであろう化学的に同一の置換成分
を等しく包含し、例は、-CH2O-は-OCH2-と同等であり;-C(=O)O-は-OC(=O)-と同等であり
;-OC(=O)NR-は-NRC(=O)O-と同等であり、およびその他同種類のものである。
【0083】
「無関係に選ばれる」という用語が使用されるとき、参照される置換成分(例は、R基
、例えば、R1、R2、およびその他同種類のものなどのようなもの、または変数、例えば、
「m」および「n」などのようなもの)は、同一または異なることができる。例えば、R1
よびR2の両方は置換アルキルであることができ、またはR1は水素であることができ、およ
びR2は置換アルキルであることができ、およびその他同種類のものなどである。
【0084】
用語「a」、「an」、または「a(n)」は、ここで置換成分の群に関して使用されるとき
、少なくとも一つを意味する。例えば、化合物が「an」アルキルまたはアリールにより置
換される場合、その化合物は、随意に、少なくとも一つのアルキルおよび/または少なく
とも一つのアリールにより置換される。さらに、モイエティー(分けられた一部分とも言
う)がR置換成分により置換される場合、その基は「R置換」と称され得る。モイエティー
がR置換される場合、そのモイエティーは少なくとも一のR置換成分により置換され、およ
び各R置換成分は随意に異なる。
【0085】
指名された「R」または基は大抵、ここで別なふうに特定しない限り、その名称を有す
る基に対応するものとして本技術において認識される構造を有するであろう。例示の目的
のために、上記の一定の代表的な「R」基を以下に規定する。
【0086】
本開示の化合物の説明は、本技術において熟練する者に既知の化学結合の原理によって
制限される。したがって、基が一以上の複数の置換成分によって置換される場合、そのよ
うな置換は、化学結合の原理に適合し、および本質的に不安定でなく、および/または周
囲条件の下で、例えば、水性、中性、およびいくつかの既知の生理学的条件などのような
もので不安定である可能性が本技術において通常の技量の者に既知であろう化合物を与え
るように選ばれる。例えば、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、本技術にお
いて熟練する者に知られる化学結合の原理に応じて、環ヘテロ原子を介して分子の残部に
付着し、それによって本質的に不安定な化合物が回避される。
【0087】
ここで使用する炭化水素という用語は、水素および炭素を含む任意の化学基に言及する
。炭化水素は置換または非置換であり得る。この技術において熟練する者に既知であろう
ように、任意の置換が行われる際にはすべての価数を満たさなければならない。炭化水素
は、不飽和、飽和、分枝、非分枝、環状、多環式、または複素環式であり得る。例示的な
炭化水素は更に、ここにおいて以下に規定し、および例えば、メチル、エチル、n-プロピ
ル、イソプロピル、シクロプロピル、アリル、ビニル、n-ブチル、tert-ブチル、エチニ
ル、シクロヘキシル、メトキシ、ジエチルアミノ、およびその他同種類のものなどが含ま
れる。
【0088】
用語「アルキル」は、それ自体によって、または別の置換成分の一部分として、別なふ
うに述べない限り、直鎖(いわゆる、非分枝)または分枝鎖、非環式または環式炭化水素
基、またはそれらの組合せを意味し、それは十分に飽和し、一または多不飽和であり得、
および二価および多価基を含み、指定された数の炭素原子を有することができる(いわゆ
る、C1-C10は一ないし十個の炭素を意味する)。特定の実施形態では、「アルキル」とい
う用語は、C1-20を含め、線状(いわゆる、「直鎖」)、分枝、または環状、飽和または
少なくとも部分的におよびいくらかの場合には十分に不飽和な(いわゆる、アルケニルお
よびアルキニル)炭化水素ラジカルに言及し、単一の水素原子の除去によって、一および
二十個間の炭素原子を含む炭化水素モイエティーから導き出される。
【0089】
代表的な飽和炭化水素基には、制限されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプ
ロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル
、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、
n-デシル、n-ウンデシル、ドデシル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロ
プロピルメチル、ならびにそれらの同族体および異性体が含まれる。
【0090】
「分枝」は、低級アルキル基、例えば、メチル、エチルまたはプロピルなどのようなも
のが線状アルキル鎖に付着するアルキル基に言及する。「低級アルキル」は、1ないし約8
個の炭素原子(いわゆる、C1-8アルキル)、例は、1、2、3、4、5、6、7、または8個の炭
素原子を有するアルキル基に言及する。「高級アルキル」は、約10ないし約20個の炭素原
子、例は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個の炭素原子を有するア
ルキル基に言及する。一定の実施形態では、「アルキル」は、特に、C1-8直鎖アルキルに
言及する。他の実施形態では、「アルキル」は、特に、C1-8分枝鎖アルキルに言及する。
【0091】
アルキル基は、随意に、一以上のアルキル基置換成分により置換することができ(「置
換アルキル」)、それらは同じまたは異なることができる。「アルキル基置換成分」とい
う用語には、制限されないが、アルキル、置換アルキル、ハロ、アリールアミノ、アシル
、ヒドロキシル、アリールオキシル、アルコキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アラ
ルキルオキシル、アラルキルチオ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、オキソ、およ
びシクロアルキルが含まれる。随意に、アルキル鎖に沿って一以上の酸素、硫黄または置
換もしくは非置換窒素原子を挿入することができ、そこでは窒素置換成分は水素、低級ア
ルキル(ここではまた「アルキルアミノアルキル」とも称する)、またはアリールである
【0092】
そのように、ここで使用する「置換アルキル」という用語には、ここで規定するように
、アルキル基が含まれ、そこでは、アルキル基の一以上の原子または官能基は、別の原子
または官能基により、例えば、アルキル、置換アルキル、ハロゲン、アリール、置換アリ
ール、アルコキシル、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミ
ノ、サルファート、およびメルカプトを含め、置き換えられる。
【0093】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体によって、または別の用語と組み合わせて
、別なふうに述べない限り、安定な直鎖または分枝鎖、または環状炭化水素基、またはそ
れらの組合せを意味し、少なくとも一の炭素原子およびO、N、P、Si、およびSからなる群
から選ばれる少なくとも一のヘテロ原子からなり、およびそこでは窒素、リン、および硫
黄原子は随意に酸化され、および窒素へテロ原子は随意に四級化され得る。ヘテロ原子(
群)(heteroatom(s)、「(群)」は複数もあり得ることを示すのに用いる)O、N、Pおよ
びS、およびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残部
に付着する位置に配置され得る。例には、制限されないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-N
H-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH25-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-C
H3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、O-CH3、-O-CH2-CH
3、および-CNが含まれる。二または三個までのヘテロ原子は、例えば、-CH2-NH-OCH3およ
び-CH2-O-Si(CH3)3などのように、連続していてもよい。
【0094】
上記のように、ここで使用するヘテロアルキル基には、ヘテロ原子を通して分子の残部
に付着するそれらの基、例えば、-C(O)R'、-C(O)NR'、-NR'R''、-OR'、-SR、および/また
は-SO2R'などのようなものが含まれる。「ヘテロアルキル」が規定され、その後に特定の
ヘテロアルキル基、例えば、-NR'Rまたはその種の他のものなどのようなものの列挙が続
く場合、ヘテロアルキルおよび-NR'R''という用語は冗長または相互に排他的ではないこ
とが理解されるであろう。むしろ、明確さを追加するために特定のヘテロアルキル基が列
挙される。そのように、用語「ヘテロアルキル」は、ここでは、特定のヘテロアルキル基
、例えば、-NR'R''またはその種の他のものなどのようなものを除外するものとして解釈
すべきでない。
【0095】
「環状」および「シクロアルキル」は、約3ないし約10個の炭素原子、例は、3、4、5、
6、7、8、9、または10個の炭素原子の非芳香族単環式または多環式環系に言及する。シク
ロアルキル基は随意に、部分的に不飽和であることができる。シクロアルキル基はまた、
随意に、ここで規定するように、アルキル基置換成分、オキソ、および/またはアルキレ
ンにより置換することができる。随意に、環状アルキル鎖に沿って一以上の酸素、硫黄ま
たは置換もしくは非置換窒素原子を挿入することができ、そこでは窒素置換成分は水素、
アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールであり、それゆえ複素環基が提
供される。代表的な単環式シクロアルキル環には、シクロペンチル、シクロヘキシル、お
よびシクロヘプチルが含まれる。多環式シクロアルキル環には、アダマンチル、オクタヒ
ドロナフチル、デカリン、カンファー、カンファン、およびノルアダマンチル、および縮
合環系、例えば、ジヒドロおよびテトラヒドロナフタレン、およびその他同種類のものな
どのようなものが含まれる。
【0096】
ここで使用する「シクロアルキルアルキル」という用語はここに上記で規定するシクロ
アルキル基に言及し、それはまた上記に規定するアルキル基を通して親分子モイエティー
に付着する。シクロアルキルアルキル基の例には、シクロプロピルメチルおよびシクロペ
ンチルエチルが含まれる。
【0097】
用語「シクロヘテロアルキル」または「ヘテロシクロアルキル」は、非芳香族環系、不
飽和または部分不飽和環系、例えば、3-ないし10-員の置換または非置換シクロアルキル
環系などのようなものに言及し、一以上のヘテロ原子が含まれ、それらは同じか、または
異なることができ、および窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、リン(P)、およびケイ素
(Si)からなる群より選ばれ、および随意に一以上の二重結合を含むことができる。
【0098】
シクロヘテロアルキル環は、随意に、他のシクロヘテロアルキル環および/または非芳
香族炭化水素環に縮合するか、または別なふうに付着することができる。複素環には、酸
素、硫黄、および窒素から無関係に選ばれる一から三個までのヘテロ原子を有するものが
含まれ、そこで、窒素および硫黄ヘテロ原子は随意に酸化されてよく、および窒素ヘテロ
原子は随意に四級化され得る。一定の実施形態において、複素環という用語は、非芳香族
5-、6-、または7-員環または多環式基に言及し、そこでは少なくとも一の環原子はO、S、
およびNから選ばれるヘテロ原子であり(そこでは窒素および硫黄ヘテロ原子は随意に酸
化されてよく)、制限されないが、二または三環式基が含まれ、酸素、硫黄、および窒素
から無関係に選ばれる一および三個間のヘテロ原子を有する縮合六員環を含み、そこでは
(i)各5員環は0ないし2個の二重結合を有し、各6員環は0ないし2個の二重結合を有し、
および各7員環は0ないし3個の二重結合を有し、(ii)窒素および硫黄のヘテロ原子は随
意に酸化されてよく、(iii)窒素ヘテロ原子は随意に四級化されてよく、および(iv)
任意の上記複素環はアリールまたはヘテロアリール環に縮合されてもよい。代表的なシク
ロヘテロアルキル環系には、制限されないが、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジ
ニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、イ
ンドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアジアジナニル、テ
トラヒドロフラニル、およびその他同種類のものなどが含まれる。
【0099】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、それら自体によって、ま
たは他の用語と組み合わせて、別なふうに述べない限り、「アルキル」および「ヘテロア
ルキル」の環状バージョンをそれぞれ代表する。さらに、ヘテロシクロアルキルについて
、ヘテロ原子は、複素環が分子の残部に付着する位置を占めることができる。シクロアル
キルの例には、制限されるものでないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘ
キセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびその他同種類のものが含まれる
。ヘテロシクロアルキルの例には、制限されないが、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)
、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル
、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イ
ル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、およびその他同種
類のものなどが含まれる。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」とい
う用語は、それぞれシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルの二価誘導体に言及する
【0100】
不飽和アルキル基は一以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アル
キル基の例には、制限されないが、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル
、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-およ
び3-プロピニル、3-ブチニル、ならびにより一層高次の同族体および異性体が含まれる。
炭化水素基に制限されるアルキル基は、「ホモアルキル」と称される。
【0101】
より一層具体的には、ここで使用される「アルケニル」という用語は、単一の水素原子
の除去によって少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を有するC1-20を含めて直鎖または分
枝炭化水素モイエティーから導き出される一価基に言及する。アルケニル基には、例えば
、エテニル(いわゆる、ビニル)、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、
ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、およびブタジエニルが含まれる。
【0102】
ここで使用する「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも一つの炭素-炭素二重
結合を含む環状炭化水素に言及する。シクロアルケニル基の例には、シクロプロペニル、
シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエン、シクロヘキセニル、1,3-シク
ロヘキサジエン、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル、およびシクロオクテニル
が含まれる。
【0103】
ここで使用する「アルキニル」という用語は、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合を
含む設計数の炭素原子の直鎖または分枝C1-20炭化水素から導き出される一価の基に言及
する。「アルキニル」の例には、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、1-プロピニ
ル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、およびアレニル基、およびその他同種類のも
のなどが含まれる。
【0104】
用語「アルキレン」は、それ自体または別の置換成分の一部によって、1から約20個ま
での炭素原子、例は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、1
8、19、または20個の炭素原子を有するアルキル基から導き出される直鎖または分枝の二
価脂肪族炭化水素基に言及する。アルキレン基は、直鎖、分枝または環状であることがで
きる。アルキレン基はまた、随意に、不飽和であるか、および/または一以上の「アルキ
ル基置換成分」により置換することもできる。随意に、アルキレン基に沿って、一以上の
酸素、硫黄または置換もしくは非置換窒素原子(ここではまた「アルキルアミノアルキル
」とも称される)を挿入することができ、そこでは窒素置換成分は前述のアルキルである
。模範的なアルキレン基には、メチレン(-CH2-);エチレン(-CH2-CH2-);プロピレン
(-(CH2)3-);シクロヘキシレン(-C6H10-);-CH=CH-CH=CH-;-CH=CH-CH2-;-CH2CH2CH
2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH2CsCCH2-、-CH2CH2CH(CH2CH2CH3)CH2-、-(CH2)q-N(R)-(CH2)r
-が含まれ、式中、各々のqおよびrは無関係に0から約20まで、例は、0、1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20であり、およびRは水
素または低級アルキル;メチレンジオキシル(-O-CH2-O-);およびエチレンジオキシル
(-O-(CH2)2-O-)である。アルキレン基は、約2ないし約3個の炭素原子を有することがで
き、およびさらに6-20個の炭素を有することができる。典型的には、アルキル(またはア
ルキレン)基は1から24個までの炭素原子を有し、それらの基は本開示のいくらかの実施
形態で10個以下の炭素原子を有する。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、よ
り一層短い鎖のアルキルまたはアルキレン基であり、大抵は八個以下の炭素原子を有する
【0105】
用語「ヘテロアルキレン」は、それ自体によってか、または別の置換成分の一部分とし
て、ヘテロアルキルから導き出される二価の基を意味し、制限されないが、-CH2-CH2-S-C
H2-CH2-および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-によって例示される。ヘテロアルキレン基につい
て、ヘテロ原子はまた鎖末端のいずれかまたは両方を占めることもできる(例は、アルキ
レンオキソ、アルキレンジオキソ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、およびその
他同種類のものなど)。またさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基について
、連結基の式が書かれる方向によって連結基の方向が暗示されることはない。例えば、式
-C(O)OR'-は、-C(O)OR'-および-R'OC(O)-の両方を代表する。
【0106】
用語「アリール」は、別なふうに述べない限り、一緒に縮合または共有結合により連結
する単環または複数環(例えば、1から3環などのようなもの)であることができる芳香族
炭化水素置換成分を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選
ばれる一から四個までのヘテロ原子を(複数の環の場合には各別個の環において)含むア
リール基(または環)に言及し、そこでは窒素および硫黄原子は随意に酸化され、および
窒素原子は随意に四級化される。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を通して分
子の残部に付着することができる。アリールおよびヘテロアリール基の非制限的な例には
、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロ
リル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、
4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4
-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル
、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル
、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル
、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニ
ル、3-キノリル、および6-キノリルが含まれる。上で述べたアリールおよびヘテロアリー
ル環系の各々の置換成分は、以下に記載する許容可能な置換成分の群から選ばれる。用語
「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、それぞれアリールおよびヘテロアリール
の二価形態に言及する。
【0107】
簡潔にするために、用語「アリール」には、他の用語と組み合わせて使用するとき(例
は、アリールオキソ、アリールチオキソ、アリールアルキル)、上記で規定するアリール
およびヘテロアリール環の両方が含まれる。それゆえ、「アリールアルキル」および「ヘ
テロアリールアルキル」という用語は、アリールまたはヘテロアリール基がアルキル基に
付着するそれらの基(例は、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル、フリルメチル、お
よびその他同種類のものなど)が、炭素原子(例は、メチレン基)が、例えば、酸素原子
によって置き換えられているそれらのアルキル基(例は、フェノキシメチル、2-ピリジル
オキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピル、およびその他同種類のものなど)を含め
、含まれることを意味する。しかしながら、ここで使用される「ハロアリール」という用
語は、一以上のハロゲンにより置換されるアリールだけをカバーすることを意味する。
【0108】
ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールが特定の数のメンバー
(例は、「3ないし7員」)を含む場合、「メンバー」という用語は炭素またはヘテロ原子
に言及する。
【0109】
さらに、概して式:
【化35】
によって代表される構造は、ここで使用するように、環構造、例えば、制限されないが、
3-炭素、4-炭素、5-炭素、6-炭素、7-炭素、およびその他同種類のものなど、脂肪族およ
び/または芳香族環状化合物に言及し、飽和環構造、部分飽和環構造、および不飽和環構
造が含まれ、置換成分R基が含まれ、そこではR基は存在または不存在であり得、および存
在するとき、一以上のR基はそれぞれ環構造の一以上の利用可能な炭素原子にて置換され
ることができる。R基の有無およびR基の数は、変数「n」の値によって定められ、それは
大抵、0から置換に利用可能な環での炭素原子の数までに及ぶ値を有する整数である。各R
基は、一よりも多い場合、別のR基にてではなく、環構造の利用可能な炭素にて置換され
る。例えば、nが0ないし2である上記の構造には、化合物のグループが、制限されないが
、次の:
【化36】
およびその他同種類のものなどを含め、含まれる。
【0110】
環状環構造(cyclic ring structure)において結合を代表する破線は、環においてそ
の結合が存在するか、または不存在かのいずれも可能なことを指し示す。つまり、環状環
構造において結合を代表する破線は、環構造が、飽和環構造、部分飽和環構造、および不
飽和環構造からなる群より選ばれることを指し示す。
【0111】
は、分子の残部へのモイエティーの付着点を表示する。
【0112】
芳香族環または複素環式芳香族環の指名された原子が「不存在」として規定されるとき
、指名された原子は直接結合によって置き換えられる。
【0113】
上記の各々の用語(例は、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル、お
よび「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「ホスホナート」
、および「スルホナート」ならびにそれらの二価誘導体)は指示された基の置換および非
置換形態の両方を含むことを意味する。各タイプの基について随意の置換成分を以下に提
供する。
【0114】
アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル一価および二価誘
導体基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、
シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケ
ニルと称されることが多い基を含む)についての置換成分は、制限されないが、次の:-O
R'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'
、-CO2R'、-C(O)NR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)OR
'、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2
の中から、ゼロから(2m'+1)までに及ぶ数において選ばれる様々な基の一以上であるこ
とができ、そこで、m'は、そのような基において炭素原子の合計数である。R'、R''、R''
'およびR''''はそれぞれ無関係に、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または
非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリ
ール(例は、1-3個のハロゲンにより置換されるアリール)、置換または非置換アルキル
、アルコキシまたはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基に言及し得る。ここで
使用するように、「アルコキシ」基は、二価酸素を通して分子の残部に付着するアルキル
である。本開示の化合物が一よりも多くのR基を含むとき、例えば、各々のR基は、各R'、
R''、R'''およびR''''基と同様に、これらの基が一よりも多く存在するとき、無関係に選
ばれる。R'およびR''が同じ窒素原子に付着するとき、それらは4-、5-、6-、または7-員
環を形成するために、窒素原子と組み合わせることができる。たとえば、-NR'R''は、制
限されないが、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことを意味する。置換成分の
上記の議論から、本技術において熟練の者は、用語「アルキル」が、水素基以外の基に結
合する炭素原子を含む基、例えば、ハロアルキル(例は、-CF3および-CH2CF3)およびア
シル(例は、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3、およびその他同種類のものなど)など
のようなものを含むことを意味すると理解するであろう。
【0115】
上記のアルキル基について記載した置換成分と同様に、アリールおよびヘテロアリール
基(ならびにそれらの二価誘導体)についての模範的な置換成分は、様々であり、および
例えば、次の:ハロゲン、-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、
-C(O)R'、-CO2R'、-C(O)NR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR'
'C(O)OR'、-NR-C(NR'R''R''')=NR''''、-NR-C(NR'R'')=NR'''-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2
NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2、-R'、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキソ、
およびフルオロ(C1-C4)アルキルの中から、ゼロから芳香族環系でのオープン原子価(ope
n valences)の合計数までに及ぶ数において選ばれ;およびそこで、R'、R''、R'''およ
びR''''は、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換
または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置
換アリールおよび置換または非置換ヘテロアリールから無関係に選ばれ得る。本開示の化
合物が一よりも多くのR基を含むとき、例えば、各々のR基は、各R'、R''、R'''およびR''
''基と同様に、これらの基の一よりも多くが存在するとき、無関係に選ばれる。
【0116】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子での二つの置換成分は随意に、式-TC(O)-(
CRR')q-U-の環を形成してもよく、そこではTおよびUは無関係に、-NR-、-O-、-CRR'-また
は単結合であり、およびqは0から3までの整数である。あるいはまた、アリールまたはヘ
テロアリール環の隣接原子での二つの置換成分は随意に、式-A-(CH2)r-B-の置換成分によ
り置換されてもよく、そこではAおよびBは無関係に-CRR'-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S
(O)2-、-S(O)2NR'-または単結合であり、およびrは1から4までの整数である。
【0117】
そのように形成する新しい環の単結合の一つは、随意に、二重結合により置き換えられ
得る。あるいはまた、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子での二つの置換成分は
随意に、式(CRR')s-X'-(C''R''')d-の置換成分により置換されてよく、そこでsおよびdは
無関係に0から3までの整数であり、およびX'は-O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、また
は-S(O)2NR'-である。置換成分R、R'、R''およびR'''は無関係に、水素、置換または非置
換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル
、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選ばれ得る。
【0118】
ここで使用する「アシル」という用語は、カルボキシル基の-OHが別の置換成分により
置換され、および一般式RC(=O)-を有する有機酸基に言及し、式中、Rは、ここで規定する
ように、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、炭素環、複素環、または芳香族
複素環基である)。そのようなものとして、用語「アシル」には具体的に、アリールアシ
ル基、例えば、アセチルフランおよびフェナシル基などのようなものが含まれる。アシル
基の特定の例には、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。
【0119】
用語「アルコキシル」または「アルコキシ」は、ここで互換的に使用し、および親分子
モイエティーに酸素原子を通して付着する飽和(いわゆる、アルキル-O-)または不飽和
(いわゆる、アルケニル-O-およびアルキニル-O-)基に言及し、そこでは「アルキル」、
「アルケニル」、および「アルキニル」という用語は前述の通りであり、およびC1-20
含め、線状、分枝、または環状、飽和または不飽和オキソ炭化水素鎖を含むことができ、
例えば、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、イソプロポキシル、n-ブトキシル、se
c-ブトキシル、t-ブトキシル、およびn-ペントキシル、ネオペントキシル、n-ヘキソキシ
ル、およびその他同種類のものなどが含まれる。
【0120】
ここで使用する「アルコキシアルキル」という用語は、アルキル-O-アルキルエーテル
、例えば、メトキシエチルまたはエトキシメチル基に言及する。
【0121】
「アリールオキシル」は、アリール基が前述のとおりであるアリール-O-基に言及し、
置換アリールが含まれる。ここで使用する「アリールオキシル」という用語は、フェニル
オキシルまたはヘキシルオキシル、およびアルキル、置換アルキル、ハロ、またはアルコ
キシル置換フェニルオキシルまたはヘキシルオキシルに言及することができる。
【0122】
「アラルキル」はアリール-アルキル-基に言及し、そこではアリールおよびアルキルは
前述のとおりであり、および置換アリールおよび置換アルキルが含まれる。模範的なアラ
ルキル基には、ベンジル、フェニルエチル、およびナフチルメチルが含まれる。
【0123】
「アラルキルオキシル」はアラルキル-O-基に言及し、そこではアラルキル基は前述の
とおりである。模範的なアラルキルオキシル基はベンジルオキシルである。
【0124】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル-O-CO-基に言及する。模範的なアルコキシカル
ボニル基には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、お
よびt-ブチルオキシカルボニルが含まれる。
【0125】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール-O-CO-基に言及する。模範的なアリールオ
キシカルボニル基には、フェノキシ-およびナフトキシ-カルボニルが含まれる。
【0126】
「アラルコキシカルボニル(Aralkoxycarbonyl)」はアラルキル-O-CO-基に言及する。
模範的なアラルコキシカルボニル基はベンジルオキシカルボニルである。
【0127】
「カルバモイル」は式-CONH2のアミド基に言及する。「アルキルカルバモイル」は、R'
RN-CO-基に言及し、そこではRおよびR'の一方が水素であり、ならびにRおよびR'の他方が
前述のようにアルキルおよび/または置換アルキルである。「ジアルキルカルバモイル」
は、R'RN-CO-基に言及し、そこでは各々のRおよびR'は無関係に、前述のようなアルキル
および/または置換アルキルである。
【0128】
ここで使用する用語カルボニルジオキシルは、式-O-CO-ORのカルボナート基に言及する
【0129】
「アシルオキシル」はアシルが前述の通りであるアシル-O-基に言及する。
【0130】
「アミノ」という用語は、-NH2基に言及し、およびまた一以上の水素ラジカルを有機ラ
ジカルによって置き換えることによりアンモニアから導き出される本技術において既知で
ある窒素含有基にも言及する。例えば、用語「アシルアミノ」および「アルキルアミノ」
は、それぞれアシルおよびアルキル置換基を有する特定のN-置換有機ラジカルに言及する
【0131】
ここで使用する「アミノアルキル」は、アルキレンリンカーに共有結合するアミノ基に
言及する。より一層具体的には、ここで使用する用語アルキルアミノ、ジアルキルアミノ
、およびトリアルキルアミノは、窒素原子を通して親分子モイエティーに付着し、先に規
定する一、二、または三個の、それぞれのアルキル基に言及する。用語アルキルアミノは
、構造-NHR'を有する基に言及し、そこではR'は前に規定するアルキル基であり;その一
方、ジアルキルアミノという用語は構造-NR'R''を有する基に言及し、そこではR'およびR
''はそれぞれ無関係にアルキル基からなる群より選ばれる。用語トリアルキルアミノは、
構造-NR'R''R'''を有する基に言及し、そこではR'、R''、およびR'''はそれぞれ無関係に
アルキル基からなる群より選ばれる。追加的に、R'、R''、および/またはR'''は、まとめ
ると、随意に-(CH2)k-であり得、そこでkは2から6までの整数である。例には、制限され
ないが、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジエチルアミ
ノカルボニル、メチルエチルアミノ、iso-プロピルアミノ、ピペリジノ、トリメチルアミ
ノ、およびプロピルアミノが含まれる。
【0132】
アミノ基は-NR'R''であり、そこではR'およびR''は典型的に、水素、置換または非置換
アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換ま
たは非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、または置換または非置換
ヘテロアリールから選ばれる。
【0133】
用語アルキルチオエーテルおよびチオアルコキシルは、硫黄原子を通して親分子モイエ
ティーに付着する飽和(いわゆる、アルキル-S-)または不飽和(いわゆる、アルケニル-
S-およびアルキニル-S-)基に言及する。チオアルコキシルモイエティーの例には、制限
されないが、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ
、およびその他同種類のものなどが含まれる。
【0134】
「アシルアミノ」はアシル-NH-基に言及し、そこではアシルは前述のとおりである。「
アロイルアミノ」はアロイル-NH-基に言及し、そこではアロイルは前述のとおりである。
【0135】
「カルボニル」という用語は-(C=O)-基に言及する。
【0136】
「カルボキシル」という用語は-COOH基に言及する。そのような基はまた、ここでは「
カルボン酸」モイエティーとも称される。
【0137】
ここで使用する「ハロ」、「ハライド」、または「ハロゲン」という用語は、フルオロ
、クロロ、ブロモ、およびヨード基に言及する。追加的に、用語、例えば、「ハロアルキ
ル」などのようなものは、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味す
る。例えば、用語「ハロ(C1-C4)アルキル」は、制限されないが、トリフルオロメチル
、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピル、およびその他同種類
のものなどを含むことを意味する。
【0138】
「ヒドロキシル」という用語は-OH基に言及する。
【0139】
「ヒドロキシアルキル」という用語は-OH基により置換されたアルキル基に言及する。
【0140】
「メルカプト」という用語は-SH基に言及する。
【0141】
ここで使用する「オキソ」という用語は、炭素原子または別の元素に二重結合する酸素
原子を意味する。
【0142】
「ニトロ」という用語は-NO2基に言及する。
【0143】
「チオ」という用語は、ここで前述した化合物に言及し、そこでは炭素または酸素原子
が硫黄原子によって置き換えられる。
【0144】
「サルファート」という用語は-SO4基に言及する。
【0145】
ここで使用するチオヒドロキシルまたはチオールという用語は-SHに言及する。
【0146】
用語ウレイドは式-NH-CO-NH2の尿素基に言及する。
【0147】
別なふうに明示的に規定しない限り、ここで使用する「置換基」には、ここで規定する
以下のモイエティーの一以上から選ばれる官能基が含まれる:
(A)-OH、-NH2、-SH、-CN、-CF3、-NO2、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル、非置換
ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール
、非置換ヘテロアリール、および
(B)以下から選ばれる少なくとも一つの置換成分により置換された、アルキル、ヘテ
ロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール

(i)オキソ、-OH、-NH2、-SH、-CN、-CF3、-NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換
ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール
、非置換ヘテロアリール、および
(ii)以下から選ばれる少なくとも一つの置換成分により置換された、アルキル、ヘテ
ロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリール
(a)オキソ、-OH、-NH2、-SH、-CN、-CF3、-NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換
ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール
、非置換ヘテロアリール、および
(b)オキソ、-OH、-NH2、-SH、-CN、-CF3、-NO2、ハロゲン、非置換アルキル、非置換
アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル
、非置換アリール、および非置換ヘテロアリールから選ばれる少なくとも一つの置換成分
により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル
、アリール、またはヘテロアリール。
【0148】
ここで使用する「低級置換成分(lower substituent)」または「低級置換基(lower s
ubstituent group)」は「置換基」について上述したすべての置換成分から選ばれる基を
意味し、そこでは各置換または非置換アルキルは置換または非置換C1-C8アルキルであり
、各置換または非置換ヘテロアルキルは置換または非置換2ないし8員ヘテロアルキルであ
り、各置換または非置換シクロアルキルは、置換または非置換C5-C7シクロアルキルであ
り、および各置換または非置換ヘテロシクロアルキルは置換または非置換5ないし7員ヘテ
ロシクロアルキルである。
【0149】
ここで使用する「サイズ制限置換成分」または「サイズ制限置換基」は、「置換基」に
ついて上述したすべての置換成分から選ばれる基を意味し、そこでは各置換または非置換
アルキルは置換または非置換C1-C20アルキルであり、各置換または非置換ヘテロアルキル
は置換または非置換2ないし20員ヘテロアルキルであり、各置換または非置換シクロアル
キルは置換または非置換C4-C8シクロアルキルであり、および各置換または非置換ヘテロ
シクロアルキルは置換または非置換4ないし8員ヘテロシクロアルキルである。
【0150】
本明細および請求の範囲を通して、与えられる化学式または名称は、すべての互変異性
体、同族体、ならびに光学-および立体異性体、ならびにそのような異性体および混合物
が存在するラセミ混合物を包含するべきである。
【0151】
本開示の一定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心またはキラル中心)または二重結合
をもち;エナンチオマー、ラセミ化合物、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体、
絶対立体化学に関して、(R)-もしくは(S)-としてまたは、アミノ酸について(D)-もしくは
(L)-として規定され得る立体異性体形態、および個々の異性体が本開示の範囲内に包含さ
れる。本開示の化合物は、合成および/または分離するには不安定過ぎることが本技術に
おいて知られるものを含まない。本開示は、ラセミおよび光学的に純粋な形態においての
化合物が含まれることを意味する。光学活性な(R)-および(S)-、または(D)-および(L)-異
性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製し、または慣習的な技術を使用
して分解し得る。ここに記載する化合物がオレフィン結合または他の幾何学的非対称の中
心を含むとき、および別なふうに明記しない限り、その化合物はEおよびZ幾何異性体の両
方が含まれることが意図される。
【0152】
別なふうに述べない限り、ここに描く構造はまた、構造のすべての立体化学的形態;い
わゆる、各非対称中心について、RおよびSの立体配置を含むことも意味する。したがって
、本化合物の単一の立体化学的異性体ならびに鏡像異性体およびジアステレオマー混合物
は、本開示の範囲内である。
【0153】
この開示の一定の化合物が互変異性型で存在し得、化合物のすべてのそのような互変異
性型が本開示の範囲内にあることは本技術において熟練する者には明らかであろう。ここ
で使用する用語「互変異性」は、平衡状態で存在し、およびある異性体から別のものに難
なく変換される二以上の構造異性体の一つに言及する。
【0154】
別なふうに述べない限り、ここに描く構造はまた、一以上の同位体豊富化(isotopical
ly enriched)原子の存在においてだけが異なる化合物が含まれることも意味する。例え
ば、重水素またはトリチウムによる水素の置換、または13C-または14C-豊富化炭素による
炭素の置換を除く本構造を有する化合物は本開示の範囲内である。
【0155】
本開示の化合物はまた、そのような化合物を構成する一以上の原子にて不自然な割合の
原子同位体(atomic isotopes)を含んでもよい。例えば、化合物は、放射性同位体、例
えば、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)または炭素-14(14C)などのようなものに
より放射性標識し得る。本開示の化合物のすべての同位体バリエーションは、放射性であ
るかどうかにかかわらず、本開示の範囲内に包含される。
【0156】
ここで使用する「モノマー」という用語は、重合を受けることができる分子に言及し、
それによって高分子またはポリマーの必須構造に構成単位が与えられる。
【0157】
「ポリマー」は高い相対分子質量の分子であり、その構造は、本質的に、低い相対分子
量、いわゆる、モノマーの分子から導き出される単位の複数の繰返しを含む。
【0158】
ここで使用する「オリゴマー」は、例えば、潜在的に無制限の数のモノマーを含むこと
ができるポリマーとは対照的に、少数のモノマー単位を含む。二量体、三量体、および四
量体は、オリゴマーの非制限的な例である。
【0159】
本開示の化合物は塩として存在し得る。本開示には、そのような塩が含まれる。適用可
能な塩形態の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マ
レイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例は、(+)-酒石酸塩、(-)-酒
石酸塩、またはラセミ混合物含むその混合物、こはく酸塩、安息香酸塩およびアミノ酸、
例えば、グルタミン酸などのようなものとの塩が含まれる。これらの塩は、本技術におい
て熟練する者に既知の方法によって調製し得る。また、塩基付加塩、例えば、ナトリウム
、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、またはマグネシウム塩、または同
様の塩などのようなものも含まれる。本開示の化合物が比較的塩基性の官能基を含むとき
、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を、ニートまたは適切な不活性溶媒において
のいずれかで、十分な量の望ましい酸と接触させることによって得ることができる。許容
可能な酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸(monohydrogenca
rbonic acid)、リン酸、一水素リン酸(monohydrogenphosphoric acid)、二水素リン酸
(dihydrogenphosphoric acid)、硫酸、一水素硫酸(monohydrogensulfuric acid)、ヨ
ウ化水素酸、または亜リン酸およびその他同種類のものなどのような無機酸から導き出さ
れるもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、
こはく酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、
p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、およびその他同種類のもの
などのような有機酸から導き出される塩が含まれる。また、アミノ酸の塩、例えば、アル
ギン酸塩およびその他同種類のものなどのようなもの、およびグルクロン酸またはガラク
ツロン酸およびその他同種類のもののような有機酸の塩も含まれる。本開示のある特定の
化合物は、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれにも変換させるのを可能にする塩
基性および酸性の両方の官能基を含む。
【0160】
本化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させること、および慣習的なマナーに
おいて親化合物を分離することによって再生し得る。本化合物の親形態は、一定の物理的
特性、例えば、極性溶媒における溶解性などのようなものにおいて、様々な塩形態と異な
る。
【0161】
本開示の一定の化合物は、非溶媒和形態ならびに溶媒和形態において、水和形態を含め
、存在することができる。大抵、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、および本開
示の範囲内に包含される。本開示の一定の化合物は、複数の結晶性または非晶質形態にお
いて存在し得る。大抵は、すべての物理的形態は、本開示によって企図する使用について
等価であり、および本開示の範囲内にあることが意図される。
【0162】
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、ここに記載の化合物にて見出される特定の置
換成分モイエティーに応じて、比較的非毒性の酸または塩基により調製される活性化合物
の塩が含まれることを意味する。本開示の化合物が比較的酸性の官能基を含むとき、その
ような化合物の中性形態を、ニートまたは適切な不活性溶媒においてのいずれかで、十分
な量の望ましい塩基と接触させることによって、塩基付加塩を得ることができる。薬学的
に許容可能な塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、
有機アミノ、またはマグネシウムの塩、または同様の塩が含まれる。本開示の化合物が比
較的塩基性の官能基を含むとき、そのような化合物の中性形態を、ニートまたは適切な不
活性溶媒においてのいずれかで、十分な量の望ましい酸と接触させることによって酸付加
塩を得ることができる。薬学的に許容可能な酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸
、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化
水素酸、亜リン酸およびその他同種類のものなどのような無機酸から導き出されるもの、
ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、こはく酸、
スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルス
ルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、およびその他同種類のものなどのよう
な比較的非毒性の有機酸から導き出される塩が含まれる。また、アミノ酸の塩、例えば、
アルギン酸塩などのようなもの、およびグルクロン酸またはガラクツリン酸およびその他
同種類のものなどのような有機酸の塩も含まれる{例えば、Berge(ベルゲ)ら、「Pharm
aceutical Salts(ファーマスーティカル・ソルト)」、Journal of Pharmaceutical Sci
ence(ジャーナル・オブ・ファーマスーティカル・サイエンス)、1977、66、1-19参照}
。本開示の一定の特定化合物は、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれにも変換す
ることを可能にする塩基性および酸性官能基の両方を含む。
【0163】
塩形態に加え、本開示は、プロドラッグ形態にある化合物を提供する。ここに記載する
化合物のプロドラッグは、本開示の化合物を提供するために生理学的条件下で化学変化を
難なく受けるそれらの化合物である。さらに、プロドラッグは、エクスビボ環境において
化学的または生化学的方法によって本開示の化合物に変換することができる。例えば、プ
ロドラッグは、適切な酵素または化学試薬とともに経皮パッチリザーバーにおいて置くと
き、本開示の化合物に緩徐に変換することができる。
【0164】
「保護基」という用語は、化合物のいくらかの、またはすべての反応性モイエティーを
ブロックし、および保護基が除かれるまでそのようなモイエティーが化学反応に関与する
のを防ぐ化学的モイエティー、例えば、T.W. Greene(グリーン)、P.G.M. Wuts(ウーツ
)、Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成における保護基)、3rd ed.(
第3版)John Wiley & Sons(ジョン・ワイリー&サンズ)(1999)において挙げられ、お
よび説明されるそれらのモイエティーに言及する。異なる保護基が採用される場合、各(
異なる)保護基が異なる手段により除去可能であることは有利であり得る。全体として別
個の反応条件下で開裂される保護基は、そのような保護基の異なる除去を許容する。例え
ば、保護基は、酸、塩基、および水素化分解によって除去可能である。基、例えば、トリ
チル、ジメトキシトリチル、アセタールおよびtert-ブチルジメチルシリルなどのような
ものは、酸に不安定であり、および水素化分解によって除去可能なCbz基、および塩基に
不安定であるFmoc基により保護されたアミノ基の存在下で、カルボキシおよびヒドロキシ
反応性モイエティーを保護するために使用し得る。カルボン酸およびヒドロキシ反応性モ
イエティーは、酸不安定基、例えば、tert-ブチルカルバマートなどのようなものにより
、または酸および塩基の両方に安定であるが、加水分解的に除去可能なカルバマートによ
りブロックされたアミンの存在下において、塩基不安定基、例えば、制限を伴わずに、メ
チル、エチル、およびアセチルなどのようなものによりブロックされ得る。
【0165】
カルボン酸およびヒドロキシ反応性モイエティーはまた、加水分解的に除去可能な保護
基、例えば、ベンジル基などのようなものによりブロックしてよく、その一方、酸と水素
結合することが可能なアミン基は、塩基不安定基、例えば、Fmocなどのようなものにより
ブロックし得る。カルボン酸反応性モイエティーは、酸化的に除去可能な保護基、例えば
、2,4-ジメトキシベンジルなどのようなものによりブロックされてよく、その一方で、共
存するアミノ基はフッ化物に不安定なシリルカルバマートによりブロックされ得る。
【0166】
アリルブロッキング基(アリル保護基とも言う)は酸-および塩基-保護基の存在下で有
用であり、なぜなら、前者は安定であり、および金属またはパイ酸触媒によってその後除
去することができるからである。例えば、アリルブロックされたカルボン酸は、酸に不安
定なカルバミン酸t-ブチルまたは塩基に不安定な酢酸アミン保護基の存在下で、パラジウ
ム(O)-触媒化反応により脱保護することができる。保護基のさらに別の形態は、樹脂であ
り、それに化合物または中間体が付着し得る。残基が樹脂に付着する限り、その官能基は
ブロックされ、および反応することができない。一旦樹脂から放出されると、官能基は反
応可能である。
【0167】
典型的なブロッキング/保護基には、制限されないが、以下のモイエティーが含まれる

【化37】
【0168】
本開示の方法によってそれらの多くの実施形態において処置される対象は、望ましくは
ヒト対象であるが、ここに記載の方法がすべての脊椎動物種に関して有効であり、それら
が用語「対象」において含まれることが意図されると理解される。したがって、「対象」
は、医療目的について、例えば、既存の状態または疾患の処置または状態または疾患の発
症を防止するための予防的処置などのようなものについてのヒト対象、または医療、獣医
目的、または開発目的について動物対象を含むことができる。適切な動物対象には、哺乳
動物、制限されないが、霊長類、例は、ヒト、サル、類人猿、およびその他同種類のもの
など;ウシ属またはそれに近いウシ科の動物(bovines)、例は、畜牛(キャトル)、雄
牛(オクセン)、およびその他同種類のものなど;羊のようなもの(ovines)、例は、ヒ
ツジ(シープ)およびその他同種類のものなど;山羊のようなもの(caprines)、例は、
ヤギ(ゴート)およびその他同種類のものなど;豚のようなもの(porcines)、例は、ブ
タ(ピッグ)、食用豚(ホッグ)、およびその他同種類のものなど;馬のようなもの(eq
uines)、例は、ウマ(horses)、ロバ、シマウマ、およびその他同種類のものなど;猫
のようなもの(felines)、野生および飼いネコ(キャット)を含むもの;犬のようなも
の(canines)、イヌ(ドッグ)を含むもの;ウサギ目の動物(lagomorphs)、ウサギ(
ラビット)、ノウサギ(ヘア)、およびその他同種類のものなどを含むもの;および、げ
っ歯類、マウス、ラット、およびその他同種類のものなどを含むものを含め、含まれる。
動物はトランスジェニック動物であり得る。いくらかの実施形態において、対象は、ヒト
で、制限されないが、胎児、新生児、乳児、若年(juvenile)、および成人の対象である
。さらに、「対象」には、状態または疾患に苦しむ、または苦しむ疑いのあるペイシェン
トを含むことができる。それゆえ、「対象」および「ペイシェント」という用語は、ここ
では互換的に使用する。
【0169】
概して、活性薬剤または薬物デリバリーデバイスの「有効量」は、望ましい生物学的応
答を引き出すのに必要な量に言及する。この技術において通常の技量の者によって認めら
れるであろうように、薬剤またはデバイスの有効な量は、望ましい生物学的エンドポイン
ト、デリバリーされる薬剤、カプセル化マトリクスの組成、標的組織、およびその他同種
類のものなどのような要因に応じて変動し得る。
【0170】
長年にわたる特許の法の慣習に従い、「a(ある)」、「an」、および「the(その)」
という用語は、この出願において、請求の範囲を含めて使用するとき、「一またはそれよ
りも多く(一以上とも言う)」に言及する。それゆえ、例えば、文脈が明らかに反対(例
は、複数の対象)、およびその他などでない限り、「ある対象(a subject)」への言及
には複数の対象が含まれる。
【0171】
この明細および請求の範囲を通して、「comprise(含む、構成要素として持つ、など)
」、「comprises(含む、構成要素として持つ、など)」、および「comprising(含むこ
と、構成要素として持つこと、など)」という用語は、文脈が別なふうに要求する場合を
除き、非排他的な意味において使用される。同様に、「include(含む、全体の一部・成
分として含む、など)」という用語およびその文法上の変形は、リストにおけるアイテム
の列挙が、リストされたアイテムを置換またはそれに追加することができる他の同様のア
イテムを除外しないように、非制限的であることを意図する。
【0172】
この明細および添付の請求の範囲の目的のために、別なふうに指し示さない限り、量、
サイズ、寸法、割合、形状、処方、パラメータ、パーセンテージ、媒介変数、数量(quan
tities)、特性、および本明細および請求の範囲において使用する他の数値を表すすべて
の数字は、「約」という用語が値、量または範囲とともに明示的に現れないかもしれない
としても、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべき
である。したがって、反対に指し示さない限り、以下の明細および添付の請求の範囲にお
いて表される数値パラメータは厳密でなく、および厳密である必要はないが、許容誤差、
変換係数、四捨五入、測定誤差およびその他同種類のものなど、および目下開示する主題
によって得られることが求められる望ましい特性に応じて本技術において熟練の者に既知
の他の要因を反映して、必要に応じて近似および/またはより大きくまたはより小さくて
もよい。例えば、ある値を指すとき、「約」という用語は、特定された量から、いくらか
の実施形態では、±100%、いくらかの実施形態では±50%、いくらかの実施形態では±2
0%、いくらかの実施形態では±10%、いくらかの実施形態では±5%、いくらかの実施形
態では±1%、いくらかの実施形態では±0.5%、およびいくらかの実施形態では±0.1%
である変動を包含することを意味することができ、それはそのような変動が開示する方法
を実行するか、または開示する組成物を採用するのに適切だからである。
【0173】
さらに、「約」という用語は、一以上の数字または数値範囲に関連して使用するとき、
そのようなすべての数字を、範囲においてすべての数字を含めて言及し、および表される
数値の上下の境界を拡張することによってその範囲を修飾すると理解するべきである。エ
ンドポイントによる数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数値、例は、全
体の整数、その端数(例えば、1ないし5の列挙には、1、2、3、4、および5、ならびにそ
れらの端数が含まれ、例は、1.5、2.25、3.75、4.1、およびその他同種類のものなど)を
含め、およびその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【実施例0174】
以下の例は、本開示の主題の代表的な実施形態の実践用に本技術において通常の技量の
者へのガイダンスを提供するために含めた。本開示および本技術において熟練の一般的レ
ベルに照らして、熟練者は、以下の例が例示だけを意図するものであり、および膨大な数
の変形、修飾、および代替を本開示の主題の範囲から離れることなく採用することができ
ることを認めることができる。以下の総合的説明(synthetic descriptions)および特定
の例は、例示の目的だけを意図し、および他の方法によって本開示の化合物を作成するた
めにいかなる方法においても制限するものとして解釈されるべきではない。
【0175】
例1
【0176】
方法
【0177】
ヌードマウスまたはC4-2前立腺ガン腫瘍保有NSGマウスにおける2-PMPAプロドラッグ対
等モルの2-PMPAの比較組織分布。
【0178】
ヌードマウスに、短時間のイソフルラン麻酔、塩類溶液かん流に先立ち、2-PMPAまたは
プロドラッグLTP-144またはTris(トリス)-POC-2-PMPA(表1の化合物10)のいずれかを
施与し(5mg/kgまたはモル当量、i.p.(腹腔内))、および30分後に犠牲にした。腎臓を
取り除き、および液体窒素において瞬間凍結した。前述のLC/MS-MSベースのバイオ分析を
使用し(Majerら、2016)、各組織サンプルを2-PMPA濃度について評価した。さらに、尿
素ベースのPSMAリガンドZJ-43のプロドラッグ(Tris-POC-2-PMPAに似たプロモイエティー
修飾を有する)を、同様の方法を使用してテストした。
【0179】
C4-2インビボモデルを生成するために、3×106個のLNCaP-C4-2細胞を雄性NSGマウスの
脇腹に皮下注射した。腫瘍がおよそ600-800mm3に増殖したとき、腫瘍を切除し、無菌的に
2-mm×2-mmの小片に切り分け、およびもう一度生存可能に凍結した(frozen back viably
)(5%DMSO/95%FBS)。腫瘍はマウスからマウスへ4回より多く継代しなかった。今回の
実験について、生存可能な凍結外植片の二つのバイアルを37℃にて解凍した。腫瘍外植片
を、FCSなしのRPMIにおいて洗浄し、および次いで雄性NSGマウスにおいて皮下ポケットに
外科的に移植した。腫瘍が600-800mm3に達したとき、マウスを安楽死させ、腫瘍を無菌的
に切除し、および40体のマウスに再移植する前に2-mm×2-mmの小片に切断した。腫瘍が50
0-700mm3に達したとき、薬物動態実験を実行した。2-PMPA(3mg/kg、i.v.)またはモル当
量のTris-POC-2-PMPA(7.62mg/kg、i.v.)を、ビヒクル(5%EtOH/10%Tween 80/85%50m
M HEPES(ヘペス))において溶解後に尾静脈を介して注射した。次に、0.25、0.5、1、3
、または6時間の後にイソフルラン麻酔下でマウスを安楽死させた(n=3/グループ)。心
臓穿刺により血液をEDTAで裏打ちしたチューブ中に収集し、および遠心分離により血しょ
うが分離されるまで氷上で貯蔵した。唾液腺、腎臓、および腫瘍を収穫し、およびドライ
アイスにて急速凍結した。すべての組織は、バイオ分析に先立ち-80℃にて貯蔵した。
【0180】
非腫瘍保有NMRIマウスにおける置き換え研究(Displacement study)
【0181】
68Ga-PSMA-617は以前に記載したように合成した(Afshar(アフシャール)-Oromieh(
オロミー)ら、2015)。提示された動物研究において使用した放射性薬剤の比放射能(0.
2-0.8μgの前駆体ペプチドにタグ付けされた20MBqの68Ga)は、臨床応用で使用したもの
に対応する(Afshar-Oromiehら、2015)。腫瘍を保有しない3体のNMRIマウスに、尾静脈
を介し、20MBqの68Ga-PSMA-617を注射した。注射の1時間後、腎臓PSMAへの特定のトレー
サーの結合および腎杯からの非結合トレーサーの除去に十分な時間、マウスを専用の小動
物PETスキャナー(Siemens(シーメンス)、Inveon(インベオン))において撮像し、腎
臓の取込みを定量化した(ベースラインスキャン)。ベースラインスキャンの直後に、10
0μLの塩類溶液において16μgのTris-POC-2-PMPA(0.5mg/kg*32.1g体重(BW)のすべての
マウス)を、尾静脈を介して注射した。別の1時間後、いわゆる、PETトレーサーの注射の
2時間後、動物のPETごとに68Ga-PSMA-617腎臓取込みを再評価した(置き換えスキャン)
【0182】
LNCaP腫瘍異種移植片保有ヌードマウスにおける置き換え研究
【0183】
5*106個のLNCaP細胞(BD Biosciences(BDバイオサイエンシーズ))を、n=3のヌード
マウスの左肩の後ろに移植し;腫瘍は接種後8-12週間におよそ1-cmの直径に達した。腎臓
および腫瘍における放射性薬剤のベースライン取込みは、68Ga-PSMA-617(0.4μgPSMA-61
7前駆体にタグ付けされた10-40 MBq 68Ga)の注射1時間後、動物PETスキャン(Siemens、
Inveon)ごとに定量化した。ベースラインスキャンの直後に、動物に100μgの塩類溶液に
おいて0.5mg/kgBWまたは0.05mg/kgBW Tris-POC-2-PMPAまたはコントロールとして純粋な
塩類溶液を注射した。さらに1時間後、いわゆる、PETトレーサーの注射の2時間後、腎臓
および腫瘍での68Ga-PSMA-617の取込みを、第二の動物PETごとに再評価した(置き換えス
キャン)。
【0184】
トリス-POC-2-PMPAの事前投薬(pre-dosing)を伴う、および伴わない68Ga-PSMA-617を
用いて調べた健康なヒト対象における腎臓および唾液腺の取込み
【0185】
予め68Ga-PSMA-617の注射(Afshar-Oromiehら、2015)の0.1時間、1時間、2時間、3時
間および4時間後に撮像した一対のペイシェント(Siemens、mCT)から、関連する腫瘍負
荷(<5mL)を伴わない一体の対象を、検査時の間に腎臓および唾液腺における生理学的な
自発的トレーサーの取込みを定量化するために選んだ。介入実験(intervention experim
ent)について、PETトレーサーを適用する15分前に、一体の健康なボランティアに5mg(0
.05mg/kgBW)のTris-POC-2-PMPA溶液(2.5mLの30%エタノールにおいて)を注射した。再
度、68Ga-PSMA-617の注射後0.1時間、1時間、2時間、3時間および4時間にPETスキャン(S
iemens、mCT)を実行し、ならびに腎臓および唾液腺での経時的なトレーサーの取込みに
ついてSUVmax(最大標準化取込値)ごとに定量化した。
【0186】
Tris-POC-2-PMPAの事前投薬を伴う、および伴わない68Ga-PSMA-617を用いて調べた前立
腺ガンペイシェントにおける腫瘍、腎臓および唾液腺の取込み
【0187】
一体のペイシェントは、68Ga-PSMA-617の注射の1時間後にPET撮像し、腫瘍、腎臓およ
び唾液腺におけるトレーサーの取込みについてSUVmaxごとに定量化した。後日、同じペイ
シェントを同じプロトコルを使用して画像化したが、PET-トレーサーの適用15分前に10mg
(0.1mg/kgBW)Tris-POC-2-PMPA溶液(2.5 mLの30%エタノールにおいて)により前処理
した。
【0188】
Tris-POC-2-PMPA事前投薬を伴う、および伴わない177Lu-PSMA-617を用いて処置および
撮像した前立腺ガンペイシェントにおける腫瘍、腎臓および唾液腺の取込み
【0189】
177Lu-PSMA-617は、更新されたヘルシンキ宣言、パラグラフ37「Unproven Interventio
ns in Clinical Practice(臨床診療における未証明の介入)」に従い、およびすべての
承認された処置(禁忌を伴わない)の優先事項および核医学の医師と泌尿器科または腫瘍
学の外部専門家の両方による適応の確認(confirmation of the indication)を含む「コ
ンパッショネート・ユース(compassionate use)」についてのドイツの規制に従って、
代理療法(surrogate therapy)として提供した。すべてのペイシェントがPSMAイメージ
ングに基づいてPSMA陽性腫瘍表現型を提示しなければならなかった以外は、体系的なペイ
シェント選定は実行しなかった。すべてのペイシェントは、この療法の実験的性質につい
て知らされ、および書面によるインフォームドコンセントを与えられた。施設内審査委員
会はこの後向き研究(retrospective study)を承認した。二体のペイシェントは、177Lu
-PSMA-617の施与前にTris-POC-2-PMPAにより事前処置した。次いで、ガンマ線イメージン
グを数時間にわたって行い、および健康な器官ならびに転移性病変について照射線量測定
の推定値を算出し、およびTris-POC-2-PMPAの事前処置を受けなかった歴史的コントロー
ルと比較した。ここに提示した歴史的コントロールからの線量測定データは、以前に報告
したものと同じプロトコル下に我々のセンターにて処置したペイシェントに由来する(J
Nucl Med.(ジャーナル・オブ・ニュークリアー・メディシン)2016年8月;57(8):117
0-6。)。すべての線量測定法は、その報告書において以前に説明したように行った(J N
ucl Med.、2016 Aug;57(8):1170-6。)。
【0190】
例2
【0191】
結果
【0192】
最初に、プロドラッグTris-POC-2-PMPAは、マウスでの薬物動態/組織分布研究において
腎臓に高レベルの2-PMPAをデリバリーすることが示された。第二に、前立腺ガン腫瘍を保
有するマウスでは、Tris-POC-2-PMPAは、前立腺ガン異種移植片に対して、それぞれげっ
歯動物の唾液腺および腎臓への3-および57-倍の2-PMPAの優先的デリバリーを示した。Tri
s-POC-2-PMPAは、正常マウスにおいてPSMAをターゲットとしたPETトレーサー68Ga-PSMA-6
17の腎臓の取込みを著しく減少させることが示された。前立腺ガン腫瘍保有マウスにおい
てテストしたとき、Tris-POC-2-PMPAは、68Ga-PSMA-617の腎臓の取込みを選択的に減少さ
せたが、腫瘍の取込みは十分に温存された。健康なヒト雄性でのパイロット実験では、Tr
is-POC-2-PMPAによる事前処置をマウスと同様に実行した。Tris-POC-2-PMPAの事前施与に
より、その後の68Ga-PSMA-617の腎臓および唾液腺への結合をおよそ65%だけ置き換えた
。前立腺ガンペイシェントでの個体内比較によって、Tris-POC-2-PMPAの事前施与は、腎
臓への後の68Ga-PSMA-617の結合を、75%超だけ、および唾液腺への結合を35%超だけ置
き換えたが、トレーサーの腫瘍の取込みは十分に免れた。Tris-POC-2-PMPAは、後に放射
線療法について177Lu-PSMA-617を注入する前に、二体の前立腺ガンペイシェントに施され
た。Tris-POC-2-PMPAは、両方の、唾液腺(72%の線量低減)および腎臓(45%の線量低
減)をシールドし、歴史的コントロールと比較して前立腺ガン腫瘍において放射線治療曝
露での有意な影響を伴わない。合わせて、これらのデータは、Tris-POC-2-PMPAまたは同
様のプロドラッグが放射性リガンド結合から健康な器官(例は、腎臓、涙腺、および唾液
腺)を選択的に保護することができた一方、PSMAを標的としたイメージングまたは放射線
療法中の放射性リガンドの腫瘍取込みを妨げないことを示唆する。
【0193】
ヌードマウスにおける2-PMPAプロドラッグ対等モルの2-PMPAの比較組織分布
【0194】
等モル用量の2-PMPAと比較して、LTP144およびTris-POC-2-PMPAは、腎臓において2-PMP
Aの著しく増加した濃度をもたらした。Tris-POC-2-PMPAは最も好ましい分布を示し、腎臓
への2-PMPAのデリバリーが20を超えて増加した(図1)。今回開示する2-PMPAのプロドラ
ッグとは対照的に、代替尿素ベースのPSMAリガンド、ZJ-43の同様のプロドラッグは、ZJ-
43の親としての施与に関して(図2A)マウス腎臓または唾液腺への増加した分布を見せな
かった(図2B)。
【0195】
Tris-POC-2-PMPA(表1の化合物10)は、2-PMPAをマウス唾液腺および腎臓に前立腺ガン
異種移植片と比べて優先的に送る。
【0196】
血しょう、腫瘍、唾液腺、および腎臓における2-PMPAの濃度を、2-PMPAまたはTris-POC
-2-PMPAのいずれか(3mg/kgまたはモル当量、i.v.)の、ヒトC4-2前立腺ガン細胞の皮下
異種移植片を持つNSGマウスへの尾静脈投与後の複数の時点で測定した(図3Aおよび図3B
)。TRIS-POC-2-PMPA施与は、2-PMPA唾液腺および腎臓への曝露の17.5h*nmol/gおよび374
h*nmol/gで、腫瘍において観察されたものの3倍および57倍多くをもたらした(図3B)。2
-PMPAを直接投与したとき(図3A)、唾液腺および腎臓への曝露は1.76h*nmol/gおよび94.
8h*nmol/gで、TRIS-POC-2-PMPAデリバリーにより達するものよりも10および4倍低かった
。それゆえ、TRIS-POC-2-PMPAは、唾液:腫瘍および腎臓:腫瘍2-PMPAの濃度比において
大幅な改善を与えた。
【0197】
非腫瘍保有NMRIマウスにおける置き換え研究
【0198】
ベースラインスキャンにおける平均腎臓取込みは3.4mSUVであった(図4A)。置き換え
スキャン(図4B)では、放射能は、0.3mSUVの残留取込みにより腎臓からほとんど全体的
に置き換えられた(<10%のベースライン取込み)。
【0199】
LNCaP腫瘍異種移植片を有するヌードマウスでの置き換え研究
【0200】
ベースラインスキャンにおいて、平均腫瘍取り込みはmSUV1.02であり、平均腎臓取込み
はmSUV2.36であった(図5A)。置き換えスキャン(図5B)において、腫瘍の取込みはほと
んど変化せず、二体の前投薬動物(premedicated animals)について1.00の平均mSUVを有
し、それは、利尿を刺激するために塩類溶液だけを受けた動物(mSUV0.84)に比べるとま
さに少し高かった。Tris-POC-2-PMPA注射後の腎臓の取込みは、mSUV0.24に置き換えられ
、いわゆる、強制利尿の場合よりも50%低く達成された(コントロール:mSUV0.47)。
【0201】
Tris-POC-2-PMPAの事前投薬を伴う、および伴わない68Ga-PSMA-617を用いて調べた健康
なヒト対象における腎臓および唾液腺の取込み
【0202】
Tris-POC-2-PMPAの事前投薬なしのコントロールペイシェントにおける生理学的68Ga-PS
MA-617の生体分布(図6A、左;最大値投影法1h p.i.)、ならびに腎臓(図6C)および耳
下腺(図6D)におけるその典型的な薬物動態は、以前の出版物(Afshar-Oromiehら、2015
)とよく一致し、および代表的と考えることができる。最も高い生理学的トレーサーの取
込みは腎臓および唾液腺において見出され、および時間とともに増加する。腎臓を通る冠
状の薄いスライス(図6B、上部)は、腎皮質での強いトレーサーの取込みを実証し、いわ
ゆる、組織病理学的検査において報告された近位曲(尿)細管でのPSMA発現に対応する。
【0203】
Tris-POC-2-PMPAを用いて事前投薬したボランティアにおける68Ga-PSMA-617の生体内分
布(図6A、右;最大値投影法1h p.i.)は、経時的なさらなるトレーサーの蓄積なしに著
しい腎臓取込み減少を明らかにした。腎臓を通る冠状の薄いスライス(図6B、下)は、腎
実質全体の均一な対比(contrastation)を実証するが、トレーサーの蓄積は腎杯で観察
されただけであり;ネフロン全体を通過することによるクリアランスが意味される。
【0204】
腎実質において最大取込みは、代表的なコントロールと比較して、Tris-POC-2-PMPAの
事前投薬ボランティアにおいて65%だけ減少した(SUVmax16.5対47.5)。効果は耳下腺に
ついて非常に似ていた(SUVmax13.5対41.2)。Tris-POC-2-PMPA事前投薬ボランティアの
観察されたトレーサーの取込みは、Afshar-Oromiehら、2015によって発表された平均腎臓
/耳下腺の取込みと比較すると一標準偏差よりも多く減少し、それゆえ結果が偶然に観察
された可能性は<5%である。
【0205】
Tris-POC-2-PMPAの事前投薬を伴う、および伴わない68Ga-PSMA-617を用いて調べた前立
腺ガンペイシェントにおける腫瘍、腎臓および唾液腺の取込み
【0206】
PSMA放射性リガンドの熱烈な取込み(Avid uptake)で、転移(SUVmax3.6-12.5)、耳
下腺(SUVmax18.2)、顎下腺(SUVmax23.1)、および腎臓(SUVmax35.4)におけるものは
68Ga-PSMA-617の投与後1時間のPETスキャンにより最初に一体のペイシェントにおいて
確認された(図7、左上)。後日、同じペイシェントにおいて68Ga-PSMA-617を注射する15
分前に投与したとき、Tris-POC-2-PMPA(10mg、i.v.)は、放射性リガンドの取込みの減
少を、耳下腺(SUVmax10.6)、顎下腺(SUVmax14.6)、および腎臓(SUVmax8.5)におい
て生じさせたが、転移に対して明確な効果はなかった(SUVmax3.9-8.8)(図7、右上)。
対象内のパーセント変化としての定量化により、Tris-POC-2-PMPAは、唾液腺および腎臓
の取込みをそれぞれ37%および76%だけ減少させた。TRIS-POC-2-PMPAによる事前処置後
、転移では平均3%の変化しか観察されず、いくらかの病変では68Ga-PSMA-617の取込みの
増加が実際に見られた。
【0207】
TRIS-POC-2-PMPA事前処置は、mCRPCペイシェントの唾液腺および腎臓における177Lu-PS
MA-617の取込みを弱めたが、転移では弱めなかった。
【0208】
診断上のPETスキャンの陽性結果に基づいて、二体のmCRPCペイシェントは、続いて177L
u-PSMA-617の注入の15分前にTRIS-POC-2-PMPA(10mg、i.v.)を受けた(図8上部において
代表的ペイシェント、分離線は左の診断上のスキャン、右の治療上のスキャン;下の表の
要約データを分ける)。同じセンターからの歴史的コントロールと比べて(Kratochwilら
、2016)、TRIS-POC-2-PMPAの事前処置は耳下腺、顎下腺、および腎臓での放射線治療薬
の取込みを減少させ、吸収線量が、ペイシェント1について、それぞれ、0.24、0.5、およ
び0.38のGy/GBq、およびペイシェント2について、それぞれ、0.46、0.44、および0.43のG
y/GBqでもたらされた。これらの値はすべて、歴史的コントロールの標準偏差の範囲外で
あり、および耳下腺、顎下腺、および腎臓についてそれぞれ、76%、67%、および48%の
平均吸収線量減少を表す。対照してみると、TRIS-POC-2-PMPAの事前処置は、転移への線
量にほとんどまたはまったく影響を及ぼさなかった。ペイシェント1は8.03Gy/GBqの平均
線量を見せ、およびペイシェント2は13.15Gy/GBqの平均線量を見せた。これらの値は両方
とも、歴史的コントロールの標準偏差内に入り、および重要なことに、治療上の効力をも
たらすと報告された吸収線量値(Kratochwilら、2016)にあるか、またはそれよりも高い
【0209】
用量制限ではないが、TRIS-POC-2-PMPAは、脾臓線量に明確な影響を与えずに177Lu-PSM
A-617への肝臓曝露を適度に減少させると考えられた。TRIS-POC-2-PMPAはまた、涙腺への
曝露も大幅に減らした。一つの近年の報告は、涙腺が177Lu-PSMA-617療法の後に臨界閾値
に達し、2.82Gy/GBqの平均有効線量を受ける最初の器官であると予測した(Hohberg(ホ
ーバーグ)ら、2016)。この値は、別の最近の研究(Scarpa(スカルパ)ら、2017)で報
告されたもの、ならびにここに提示する歴史的コントロールにおいて取得した値に似てい
る。これらの平均コントロール値と比較して、TRIS-POC-2-PMPAの事前処置により、約82
%の涙腺への線量減少がもたらされた。
【0210】
この研究において直接的コンパレーターとして使用される歴史的コントロールペイシェ
ントについての健常器官線量測定推定値が、治療上、またはサブ治療上(治療量以下)の
濃度の177Lu-PSMA-617を受ける他のmCRPCペイシェントについて以前に報告された中央値
の非常に近くにあることに注目することが重要である(Kratochwilら、2016年;Hohberg
ら、2016年;Scarpaら、2017年;Delker(デルカー)ら、2016年;Fendler(フェンドラ
ー)ら、2017年;Kabasakal(カバサカル)ら、2015年;Kabasakalら、2017;Yadav(ヤ
ーダフ)ら、2017)。本開示の主題においてコントロールは、1.44Gy/GBqの唾液腺への平
均吸収線量(報告範囲:0.72-1.90Gy/GBq)、0.78Gy/GBqの腎臓へのもの(報告範囲:0.5
3-0.99Gy/GBq)、および0.03Gy/GBqの赤色骨髄へのもの(報告範囲:0.01-0.05Gy/GBq)
であり、およびそれゆえ代表的と考えることができる。
参考文献
【0211】
本明細において言及したすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、本
開示の主題が関係する技術において熟練する者のレベルを指し示す。すべての刊行物、特
許出願、特許、およびその他の参考文献は、あたかも各個々の刊行物、特許出願、特許、
およびその他の参考文献が参照によって具体的、および個別に組み込まれることが指し示
されるかのように同じ程度に参照によってここに組み込まれる。複数の特許出願、特許、
および他の参考文献をここに言及するが、そのような参考文献は、これらの文書のいずれ
かが本技術の共通的な一般知識の一部分を形成するとの承認を構成するものでないことが
理解されるであろう。本明細およびいずれかの組み込まれた参考文献の間に矛盾がある場
合、本明細(その何らかの修正を含み、それは組み込まれた参考文献に基づいてもよい)
がコントロールすべきである。標準技術に容認される用語の意味を、別なふうに指し示さ
ない限りここで使用する。さまざまな用語について標準的な略語をここで使用する。
【0212】
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【0213】
前述の事項の主題は、理解を明確にする目的で、例示および例としてある程度詳細に説
明したが、一定の変形および修飾が添付の請求の範囲の射程内で実践することができるこ
とは本技術において熟練する者によって理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフターゲットの非ガン組織における前立腺特異的膜抗原(PSMA)標的化イメージングまたは治療上薬剤の曝露を防止または低減するための方法であって、2-(ホスホノメチル)ペンタン二酸(2-PMPA)のプロドラッグをPSMA標的化薬剤により処置される対象に対しオフターゲットの非ガン組織へのPSMA標的化薬剤の結合が防止または低減されるのに有効な量において施すことを含む、方法。
【外国語明細書】