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特開2023-93572遺伝学的にコード化可能なバイオセンサーのための頑強な小分子結合アプタマーを生成するためのインビトロ選択を用いた生物学的RNA足場の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093572
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】遺伝学的にコード化可能なバイオセンサーのための頑強な小分子結合アプタマーを生成するためのインビトロ選択を用いた生物学的RNA足場の使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/115 20100101AFI20230627BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20230627BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20230627BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230627BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20230627BHJP
【FI】
C12N15/115 Z ZNA
C40B40/06
C12N15/31
C12N15/12
C12Q1/68
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023064371
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2019531196の分割
【原出願日】2017-12-11
(31)【優先権主張番号】62/432,879
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】509001010
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ コロラド,ア ボディ コーポレイト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ティー・ベイティ
(72)【発明者】
【氏名】イーリー・ビー・ポーター
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リボスイッチ及び小リボザイム由来の足場のライブラリならびにそれらの使用方法が本明細書に提供される。
【解決手段】本発明の足場は、構造的足場により容易に特定及び特徴付けされるアプタマーをもたらす。足場の性質は、読み取りドメインに結合するためのこれらのRNAが、インビトロ及びインビボで機能するバイオセンサーを操作しやすくなることである。バイオセンサー、合成RNA剤、及び合成DNA剤、ならびにそれらの使用方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同一でないオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのライブラリであって、個々のオリゴヌクレオチドが、
a)ヘリックスドメインを含む第1の配列と、
b)第1のヘアピンドメインを含む第2の配列と、
c)第2のヘアピンドメインを含む第3の配列と、を含み、
前記ヘリックスドメイン、第1のヘアピンドメイン、及び第2のヘアピンドメインが、リガンド結合ドメインを含むオリゴヌクレオチド接合部を形成し、
前記ライブラリが、複数の同一でないリガンド結合ドメインを含む、前記オリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項2】
各ヘリックスドメインが独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを任意選択で含む、完全に相補的なヘリックスである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項3】
各ヘリックスドメインが、完全に相補的なヘリックスである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項4】
各第1のヘアピンドメインが独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項5】
各第2のヘアピンドメインが独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項6】
前記ヘリックスドメインが、少なくとも4~10塩基対の長さである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項7】
前記ヘリックスドメインが、少なくとも10塩基対の長さである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項8】
前記オリゴヌクレオチドが、オリゴリボヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドが個々に、式Iに従う一連の連結配列を有する配列を含み、
P1-J1/2-P2-L2-P2’-J2/3-P3-L3-P3’-J3/1-P1’
(I)
式中、
-が、結合を表し、
P1及びP1’が、前記ヘリックスを形成し、
P2、L2、及びP2’が、前記第1のヘアピンを形成し、
P3、L3、及びP3’が、前記第2のヘアピンを形成し、
J1/2、J2/3、及びJ3/1が一緒に、前記オリゴヌクレオチド接合部を形成する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項10】
J2/3が、Tループモチーフを含む、請求項9に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項11】
前記Tループモチーフが、配列UUGAAを含む、請求項10に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項12】
前記Tループのグアノシンが、J3/1においてシチジンとワトソン・クリック塩基対を形成する、請求項11に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項13】
前記ヘリックスドメインが、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が、前記オリゴヌクレオチド接合部の近位にあり、前記第2の端部が、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールに連結されている、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールが、蛍光発生またはスイッチに基づく読み取りモジュールである、請求項13に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項15】
前記蛍光発生モジュールが、ブロッコリーフルオロフォア結合アプタマーである、請求項14に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項16】
前記スイッチに基づくモジュールが、pbuEスイッチである、請求項14に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項17】
前記オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールが、オリゴリボヌクレオチドに基づく読み取りモジュールである、請求項13に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項18】
個々のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチド接合部内に約23の可変ヌクレオチド残基を含む、Bacillus subtilis xpt-pbuXグアニンリボスイッチ配列に対する配列対応を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項19】
個々のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Vibrio cholera Vc2環状ジ-GMPリボスイッチ配列に対する配列対応を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項20】
個々のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Schistosoma mansoniハンマーヘッド型リボザイム配列に対する配列対応を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項21】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが、2、3、4、または5である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが2である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが3である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項24】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが4である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項25】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが5である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項26】
前記ライブラリが、約421~約423の同一でないメンバーを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項27】
複数の同一でないオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのライブラリであって、個々のオリゴヌクレオチドが、
a)ヘリックスドメインを含む第1の配列と、
b)第1のヘアピンドメインを含む第2の配列と、
c)第2のヘアピンドメインを含む第3の配列と、を含み、
前記ヘリックスドメイン、前記第1のヘアピンドメイン、及び前記第2のヘアピンドメインが、事前選択されたリガンド結合ドメインを含むオリゴヌクレオチド接合部を形成し、
前記ライブラリが、複数の同一でないリガンド結合ドメインを含む、前記オリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項28】
各ヘリックスドメインが独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを任意選択で含む、完全に相補的なヘリックスである、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項29】
各ヘリックスドメインが、完全に相補的なヘリックスである、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項30】
各第1のヘアピンドメインが独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含む、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項31】
各第2のヘアピンドメインが独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含む、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項32】
前記ヘリックスドメインが、少なくとも4~10塩基対の長さである、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項33】
前記ヘリックスドメインが、少なくとも10塩基対の長さである、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項34】
前記オリゴヌクレオチドが、オリゴリボヌクレオチドである、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項35】
個々のオリゴヌクレオチドが、式Iに従う一連の連結配列を有する配列を含み、
P1-J1/2-P2-L2-P2’-J2/3-P3-L3-P3’-J3/1-P1’
(I)
式中、
-が、結合を表し、
P1及びP1’が、前記ヘリックスを形成し、
P2、L2、及びP2’が、前記第1のヘアピンを形成し、
P3、L3、及びP3’が、前記第2のヘアピンを形成し、
J1/2、J2/3、及びJ3/1が一緒に、前記オリゴヌクレオチド接合部を形成する、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項36】
J2/3が、Tループモチーフを含む、請求項35に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項37】
前記Tループモチーフが、配列UUGAAを含む、請求項36に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項38】
前記Tループのグアノシンが、J3/1においてシチジンとワトソン・クリック塩基対を形成する、請求項37に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項39】
前記ヘリックスドメインが、第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が、前記オリゴヌクレオチド接合部の近位にあり、前記第2の端部が、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールに連結されている、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項40】
前記オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールが、蛍光発生またはスイッチに基づく読み取りモジュールである、請求項39に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項41】
前記蛍光発生モジュールが、ブロッコリーフルオロフォア結合アプタマーである、請求項40に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項42】
前記スイッチに基づくモジュールが、pbuEスイッチである、請求項40に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項43】
前記オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールが、オリゴリボヌクレオチドに基づく読み取りモジュールである、請求項39に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項44】
個々のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチド接合部内に約23の可変ヌクレオチド残基を含む、Bacillus subtilis xpt-pbuXグアニンリボスイッチ配列に対する配列対応を有する配列を含む、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項45】
個々のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Vibrio cholera Vc2環状ジ-GMPリボスイッチ配列に対する配列対応を有する配列を含む、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項46】
個々のオリゴヌクレオチドが、前記オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Schistosoma mansoniハンマーヘッド型リボザイム配列に対する配列対応を有する配列を含む、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項47】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが、2、3、4、または5である、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項48】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが2である、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項49】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが3である、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項50】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが4である、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項51】
前記オリゴヌクレオチド接合部が、N方向接合部であり、Nが5である、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項52】
前記事前選択されたリガンド結合部位が、アミノ酸、ペプチド、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、金属イオン、神経伝達物質、ホルモン、原薬、及びそれらの誘導体からなる群から選択される化合物の結合部位を含む、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項53】
前記事前選択されたリガンド結合部位が、アミノ酸、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、神経伝達物質、ホルモン、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるリガンドの結合部位を含む、請求項52に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項54】
前記事前選択されたリガンド結合部位が、ヌクレオチド、神経伝達物質、ホルモン、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるリガンドの結合部位を含む、請求項53に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項55】
前記事前選択されたリガンド結合部位が、5-ヒドロキシ-L-トリプトファン、L-トリプトファン、セロトニン、及び5-ヒドロキシ-L-トリプトファン-メチルアミドからなる群から選択される少なくとも1つのリガンドの結合部位を含む、請求項27に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項56】
前記リガンドが、5-ヒドロキシ-L-トリプトファンまたはセロトニンのうちの少なくとも1つである、請求項55に記載のオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【請求項57】
複数の同一でないリガンド結合オリゴヌクレオチドの選択方法であって、
1)複数のオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのライブラリを、リガンド結合に適した条件下でリガンドと接触させるステップであって、個々のオリゴヌクレオチドが、
a)ヘリックスドメインを含む第1の配列と、
b)第1のヘアピンドメインを含む第2の配列と、
c)第2のヘアピンドメインを含む第3の配列と、を含み、
前記ヘリックスドメイン、第1のヘアピンドメイン、及び第2のヘアピンドメインが、オリゴヌクレオチド接合部を形成する、前記接触させるステップと、
2)前記複数の同一でないリガンド結合オリゴヌクレオチドが選択されるように空間的にアドレス可能に前記オリゴヌクレオチドのライブラリを分配するステップであって、前記オリゴヌクレオチド接合部を有する前記オリゴヌクレオチドが、リガンド結合ドメインを更に含み、前記オリゴヌクレオチドのライブラリの前記リガンド結合ドメインが、可変ヌクレオチド残基を含む、が選択される、前記分配するステップと、を含む、前記方法。
【請求項58】
前記方法が、ステップ1)とステップ2)との間にステップ1a)を更に含み、ステップ1a)が、前記オリゴヌクレオチドのライブラリを遊離リガンドの溶液で競合的に分配することを含む、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年12月12日に出願された米国仮特許出願第62/432,879号の優先権の利益を主張し、その内容は、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦支援研究または開発に関する陳述
本発明は、国立科学財団により付与された助成金番号CMMI CHE1150834の下、政府の支援を受けて行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
アロステリックRNAデバイスは、酵素進化を監視する、操作された代謝経路を最適化する、新規遺伝子及び核酸に基づく治療薬の調節因子の発見を容易にすることができる重要なツールとますますみなされている。しかしながら、これらのプラットホームの開発における1つの障害は、細胞環境において頑強に機能する小分子結合RNAアプタマーの利用可能性である。アプタマーはインビトロ選択によりほぼ全ての所望の標的に対して生じさせることができるが、これらのRNAに基づくアプタマーの多くは、デバイスに容易に組み込むことができないか、または細胞状況において確実に機能しない。したがって、アプタマー及びアプタマーを開発する方法の必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮特許出願第62/432,879号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
リボスイッチ及び小リボザイム由来の足場を使用する新規アプローチが本明細書において記載される。例示的な態様において、ここで5-ヒドロキシトリプトファンに適用されたこのアプローチは、構造的足場により容易に特定及び特徴付けされるアプタマーをもたらす。足場の性質は、読み取りドメインに結合するためのこれらのRNAが、インビトロ及び細胞状況で機能する核酸デバイスを操作しやすくなることである。
【0006】
一態様では、複数の同一でないオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのライブラリが提供される提供される。ライブラリの個々のオリゴヌクレオチドは、ヘリックスドメインを含む第1の配列、第1のヘアピンドメインを含む第2の配列、及び第2のヘアピンドメインを含む第3の配列を含み、ヘリックスドメイン、第1のヘアピンドメイン、及び第2のヘアピンドメインは、リガンド結合ドメインを含むオリゴヌクレオチド接合部を形成し、ライブラリは、複数の同一でないリガンド結合ドメインを含む。
【0007】
一実施形態では、各ヘリックスドメインは独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを任意選択で含む、完全に相補的なヘリックスである。一実施形態では、各ヘリックスドメインは、完全に相補的なヘリックスである。
【0008】
一実施形態では、各第1のヘアピンドメインは独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含み、及び/または各第2のヘアピンドメインは独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含む。
【0009】
一実施形態では、ヘリックスドメインは、少なくとも4~10塩基対の長さ、または少なくとも10塩基対の長さである。
【0010】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴリボヌクレオチドである。
【0011】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは個々に、式I:P1-J1/2-P2-L2-P2’-J2/3-P3-L3-P3’-J3/1-P1’(I)に従う一連の連結配列を有する配列を含み、式中、「-」は、結合を表し、P1及びP1’は、ヘリックスを形成し、P2、L2、及びP2’は、第1のヘアピンを形成し、P3、L3、及びP3’は、第2のヘアピンを形成し、J1/2、J2/3、及びJ3/1は一緒に、オリゴヌクレオチド接合部を形成する。一実施形態では、J2/3は、Tループモチーフを含む。一実施形態では、Tループモチーフは、配列UUGAAを含み、任意選択で、Tループのグアノシンは、J3/1においてシチジンとワトソン・クリック塩基対を形成する。
【0012】
一実施形態では、ヘリックスドメインは、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部は、オリゴヌクレオチド接合部の近位にあり、第2の端部は、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールに連結されている。一実施形態では、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールは、蛍光発生の、例えば、ブロッコリーフルオロフォア結合アプタマー、またはスイッチに基づく読み取りモジュール、例えば、pbuEスイッチである。一実施形態では、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールは、オリゴリボヌクレオチドに基づく読み取りモジュールである。
【0013】
一実施形態では、個々のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド接合部内に約23の可変ヌクレオチド残基を含む、Bacillus subtilis xpt-pbuXグアニンリボスイッチ配列に対応する配列を有するか、または個々のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Vibrio cholera Vc2環状ジ-GMPリボスイッチ配列に対応する配列を有するか、または個々のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Schistosoma mansoniハンマーヘッド型リボザイム配列に対応する配列を有する。
【0014】
一実施形態では、オリゴヌクレオチド接合部は、N方向接合部であり、Nは、2、3、4、または5であるか、またはNは2であるか、またはNは3であるか、またはNは4であるか、またはNは5である。
【0015】
一実施形態では、ライブラリは、約421~約423の同一でないメンバーを含む。
【0016】
別の態様では、複数の同一でないオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのライブラリが提供される。ライブラリの個々のオリゴヌクレオチドは、ヘリックスドメインを含む第1の配列、第1のヘアピンドメインを含む第2の配列、及び第2のヘアピンドメインを含む第3の配列を含み、ヘリックスドメイン、第1のヘアピンドメイン、及び第2のヘアピンドメインは、事前選択されたリガンド結合ドメインを含むオリゴヌクレオチド接合部を形成し、ライブラリは、複数の同一でないリガンド結合ドメインを含む。
【0017】
一実施形態では、各ヘリックスドメインは独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを任意選択で含む、完全に相補的なヘリックスである。一実施形態では、各ヘリックスドメインは、完全に相補的なヘリックスである。
【0018】
一実施形態では、各第1のヘアピンドメインは独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含み、及び/または各第2のヘアピンドメインは独立して、不適正塩基対、G・Uゆらぎ塩基対、及びバルジからなる群から選択される1つ以上の不安定化ヌクレオチドを含む。
【0019】
一実施形態では、ヘリックスドメインは、少なくとも4~10塩基対の長さ、または少なくとも10塩基対の長さである。
【0020】
一実施形態では、オリゴヌクレオチドは、オリゴリボヌクレオチドである。
【0021】
一実施形態では、個々のオリゴヌクレオチドは、式I:P1-J1/2-P2-L2-P2’-J2/3-P3-L3-P3’-J3/1-P1’(I)に従う一連の連結配列を有する配列を含み、式中、「-」は、結合を表し、P1及びP1’は、ヘリックスを形成し、P2、L2、及びP2’は、第1のヘアピンを形成し、P3、L3、及びP3’は、第2のヘアピンを形成し、J1/2、J2/3、及びJ3/1は一緒に、オリゴヌクレオチド接合部を形成する。一実施形態では、J2/3は、Tループモチーフを含む。一実施形態では、Tループモチーフは、配列UUGAAを含み、任意選択で、Tループのグアノシンは、J3/1においてシチジンとワトソン・クリック塩基対を形成する。
【0022】
一実施形態では、ヘリックスドメインは、第1の端部及び第2の端部を有し、第1の端部は、オリゴヌクレオチド接合部の近位にあり、第2の端部は、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールに連結されている。一実施形態では、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールは、蛍光発生であり、例えば、ブロッコリーフルオロフォア結合アプタマー、またはスイッチに基づく読み取りモジュール、例えば、pbuEスイッチである。一実施形態では、オリゴヌクレオチドに基づく読み取りモジュールは、オリゴリボヌクレオチドに基づく読み取りモジュールである。
【0023】
一実施形態では、個々のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド接合部内に約23の可変ヌクレオチド残基を含む、Bacillus subtilis xpt-pbuXグアニンリボスイッチ配列に対する配列対応を有する配列を含むか、または個々のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Vibrio cholera Vc2環状ジ-GMPリボスイッチ配列に対する配列対応を有する配列を含むか、または個々のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド接合部内に約21の可変ヌクレオチド残基を含む、Schistosoma mansoniハンマーヘッド型リボザイム配列に対応する配列を有する配列を含む。
【0024】
一実施形態では、オリゴヌクレオチド接合部は、N方向接合部であり、Nは、2、3、4、もしくは5であるか、またはNは2であるか、またはNは3であるか、またはNは4であるか、またはNは5である。
【0025】
一実施形態では、事前選択されたリガンド結合部位は、アミノ酸、ペプチド、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、金属イオン、神経伝達物質、ホルモン、原薬、及びそれらの誘導体からなる群から選択される化合物の結合部位を含む。一実施形態では、事前選択されたリガンド結合部位は、アミノ酸、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、神経伝達物質、ホルモン、及びそれらの誘導体からなる群から選択されるリガンドの結合部位を含む。一実施形態では、事前選択されたリガンド結合部位は、5-ヒドロキシ-L-トリプトファン、L-トリプトファン、セロトニン、及び5-ヒドロキシ-L-トリプトファン-メチルアミドからなる群から選択される少なくとも1つのリガンドの結合部位を含む。一実施形態では、リガンドは、5-ヒドロキシ-L-トリプトファンまたはセロトニンのうちの少なくとも1つである。
【0026】
また別の態様では、複数の同一でないリガンド結合オリゴヌクレオチドの選択方法が提供される。本方法は、複数のオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドのライブラリを、リガンド結合に適した条件下でリガンドと接触させるステップであって、個々のオリゴヌクレオチドが、ヘリックスドメインを含む第1の配列、第1のヘアピンドメインを含む第2の配列、及び第2のヘアピンドメインを含む第3の配列を含み、ヘリックスドメイン、第1のヘアピンドメイン、及び第2のヘアピンドメインがオリゴヌクレオチド接合部を形成する、接触させるステップと、複数の同一でないリガンド結合オリゴヌクレオチドが選択されるように空間的にアドレス可能にオリゴヌクレオチドのライブラリを分配するステップであって、オリゴヌクレオチド接合部を有するオリゴヌクレオチドが、リガンド結合ドメインを更に含み、オリゴヌクレオチドのライブラリのリガンド結合ドメインが、可変ヌクレオチド残基を含む、が選択される、分配するステップと、を含む。
【0027】
一実施形態では、本方法は、接触ステップと分配ステップとの間に、オリゴヌクレオチドのライブラリを遊離リガンドの溶液で競合的に分配することを含むステップを更に含む。
【0028】
本発明の前述の及び他の特長ならびに利点は、添付の図面と併せて、以下の例示的な実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。本特許または出願書類は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面(複数可)を含むこの特許または特許出願公開のコピーは、要求及び必要な料金の支払いにより、官庁により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】GR足場を示す。GR足場は、B.subtilis xpt-pbuXグアニンリボスイッチのアプタマードメインに由来する。アプタマーは、グアニン(Gua、赤紫色)結合部位を含む3方向接合部の接合(J)領域によって接続された3対(P)の領域からなる(破線は、直接的なRNA-リガンド相互作用を表す)。囲まれた青緑色のヌクレオチドは、選択のためにランダム化されたものである。P2及びP3の末端ループ(L2及びL3、緑色のボックス)は、ドメインを編成する三次相互作用に関与する。下はRNA(PDB ID 4FE5)の三次元構造であり、同じ色のスキームは、リガンド結合部位とランダム化ヌクレオチドとの間の空間的関係を強調する。
図1B】CDG足場を示す。アプタマードメインV.cholera Vc2環状ジ-GMPリボスイッチ(PDB ID 3IWN)由来のCDG足場の二次(上)及び三次(下)構造。標識及び色付けスキームは、図1Aに記載される通りである。
図1C】HH足場を示す。S.mansoniハンマーヘッド型リボザイム(PDB ID 3ZP8)由来のHH足場の二次(上)及び三次(下)構造。標識及び色付けスキームは、図1Aに記載される通りである。
図2-1】図2図2Aは、5-ヒドロキシ-L-トリプトファンの化学構造を示す。図2Bは、7回目のGR-SSIII選択から導かれた配列の距離行列の無根系統樹表示を示す。配列は、独自に色付けされる3つの主なクラスターに群分けされる。距離は、樹の2つのノード間の部位ごとにいくつの置換が生じたかの最尤推定値(MLE)として表される(棒は尺度のために示される)。図2Cは、7回目のGR-GsI選択から導かれた配列の距離行列の無根系統樹表示を示す。代表的な配列が分析された4つのクラスターは、独自の色で示される(説明文は右側に示される);黒色の領域は、樹の分析されないクラスター及び領域を表す。図2Dは、GR選択から導かれた6つの観察されたクラスターの共変動モデルを示す;色は図2B及び2Cと一致する。破線は、ランダム化された足場の領域と対応し、L2及びL3を結ぶ線は、三次相互作用を支持するであろう配列が維持されたクラスターを示す。
図2-2】図2の続き。
図3-1】図3図3Aは、天然xptグアニンリボスイッチと比較した、3つの配列(5HTP-I、-II、及び-III)のSelective 2’-Hydroxyl Acylation analyzed by Primer Extension(「SHAPE」)の化学プロービングの結果を示す。明確にするために、J2/3鎖及びL3に対応するゲルの領域が示される(ゲル全体は補足図4aに示される)。3つ全てのRNAは、J2/3内またはそれに隣接するRNA骨格の化学反応性におけるリガンド依存的な減少を明らかにしたが、5HTP-IIのみが、xptグアニンリボスイッチにおいてL2とのその相互作用の形成を示すL3における反応性の特徴的なホットスポットを保持する。図3Bは、5HTPの存在下及び不在下での5HTP-IIのSHAPEプロービングのリガンド依存的な差次的強度の定量化であり、大部分の反応性の変化は接合部に局在することを明らかにする。L3シグナルの増強は、接合部のリガンド結合と三次構造形成との間の結合を示唆する。図3Cは、5’-及び3’-増幅カセットを有する(左)または有しない(右)5HTP-IIへの5HTPの結合の等温滴定熱量測定(ITC)分析を示し、これらの領域がリガンド結合に影響を及ぼさないことを示す。図3Dは、5-ヒドロキシトリプトファン(赤紫色)と複合した5HTP-IIアプタマーの結晶構造を示す。緑色は、親足場(図1A)のL2-L3相互作用を強調し、青緑色は、開始RNAライブラリにおいてランダム化されたヌクレオチドを示す。図3Eは、パネル(B)の定量化されたSHAPE反応性データの、RNA骨格及び構造の動力学におけるリガンド依存的変化間の関係を強調する結晶構造上へのオーバーレイを示す。
図3-2】図3の続き。
図3-3】図3の続き。
図4図4Aは、5HTP-IIアプタマーにおける5HTPの結合ポケットを示す。3方向接合部内の5HTP結合ポケットは、化合物を固定化するためにアミドとなるカルボキシレート基の1個の酸素原子を除き、5-ヒドロキシトリプトファンの全ての極性官能基を係合する一組の水素結合相互作用を形成する。加えて、複合体は、5HTPのヒドロキシインドール環とJ2/3のアデニン塩基(A48及びA49)との間の相互作用を積み重ねることによって安定化される。図4Bは、5HTP-IIアプタマーにおける5HTPの結合ポケットを示す。5HTP-IIアプタマーにおける結合ポケットのコア(緑色)は、tRNAPhe(橙色)及びチアミンピロリン酸(TPP)リボスイッチ(青緑色)からのTループとほぼ完全に重なるTループである。3つの例の各々において、T4位及びT5位(T1~5の番号付けはTループモチーフ内のヌクレオチド位置を示す)の2つのプリン間の空間は、芳香族環の相互作用を可能にする。
図5-1】図5図5Aは、5HTPアプタマーに基づくバイオセンサーがE.coliにおいて機能することを示す。野生型5HTP-IIアプタマーは、5HTPの存在下でブロッコリーレポーターの蛍光を特異的に活性化する。t=0分で、2mMの5HTPが培地に添加された。図5Bは、野生型5HTP-IIアプタマーがL-トリプトファンの存在下でブロッコリーレポーターの蛍光を特異的に活性化しないことを示す。t=0分で、5mMのL-トリプトファンが培地に添加された。図5Cは、5HTP-IIアプタマー(A48U)の5HTP結合ポケットにおける単一点変異もフルオロフォアの存在下で蛍光を消失させることを示す。t=0分で、2mMの5HTPが培地に添加された。図5Dは、5HTPの存在下での野生型5HTP-II-ブロッコリーセンサーの蛍光誘導の単一細胞の痕跡を示す。t=0分で、2mMの5HTPが培地に添加された。図5Eは、L-トリプトファンの存在下での野生型5HTP-II-ブロッコリーセンサーの蛍光誘導の単一細胞の痕跡を示す。t=0分で、5mMのL-トリプトファンが培地に添加された。図5Fは、5HTPの存在下での結合不能5HTP-II A48U構築物の蛍光誘導の単一細胞の痕跡を示す。t=0分で、2mMの5HTPが培地に添加された。
図5-2】図5の続き。
図6A】5HTP-IVアプタマーに基づく人工5HTP/セロトニン「ON」リボスイッチの二次構造を示す。5HTP-IVアプタマーは破線で囲まれており、実線で囲まれたヌクレオチドは、代替えの構造形成に直接関与するヌクレオチドに対応する。
図6B】5HTP、セロトニン、または5HTP-NHmeの添加時に頑強な抗転写終結を示すリボスイッチの定量化された単一ターンオーバー転写反応を示す。転写反応のゲル画像は右側に示され、終結(T)からリードスルー(RT)産物のリガンド依存的な移行を表す。L-トリプトファンでの同様の滴定は、リードスルー転写をもたらすことができなかった。
図7-1】図7図7Aは、GsI逆転写酵素を使用して7回目のCDG選択から導かれた配列の距離行列の無根系統樹表示を示す。5HTPアプタマーの由来元のクラスターは、赤色で強調される。距離は、樹の2つのノード間の部位ごとにいくつの置換が生じたかの最尤推定値(MLE)として表される(棒は尺度のために示される)。図7Bは、5HTP-VIIアプタマーの共変動モデルを示す;赤色の実線は、ランダム化された生体足場(bioscaffold)の領域に対応し、L2及びP3を結ぶ線は三次相互作用を示す。図7Cは、GsI逆転写酵素を使用して7回目のHH選択から導かれた配列の距離行列の無根系統樹表示を示す。5HTP-VIIIアプタマーの由来元のクラスターは、紫色で強調される;黒色の領域は、樹の分析されないクラスター及び領域を表す。図7Dは、5HTP-VIIIアプタマーの共変動モデルを示す;紫色の実線は、ランダム化された生体足場の領域に対応し、P2及びL3を結ぶ線は三次相互作用を示す。
図7-2】図7の続き。
図8図8Aは、7回目の選択による生体足場における変異の顕著な蓄積を示し、3’端のいくつかの位置ではSuperScript III(Life Technologies)を使用した初期選択において90%を超える変異頻度を達成する。二次及び三次構造(P2及びP3)に重要な配列要素において変異が蓄積する傾向も強い。図8Bは、開発されたグループIIイントロンRT(GsI-IIC)を使用した修正された選択プロトコルを示し、GR生体足場、特にP2及びP3領域における変異の蓄積量を緩和することを示す。これは、配列内に設計された構造要素の保持を可能にする。図8Cは、7回目のCDG/GsI選択におけるヌクレオチド位置の関数としての観察された誤差頻度を示す。図8Dは、7回目のHH/GsI選択におけるヌクレオチド位置の関数としての観察された誤差頻度を示す。
図9-1】図9図9Aは、5HTPの不在下及び存在下での5HTP-IV、-V、及び-VIアプタマーのSHAPE分析を示す。横の棒は、3方向接合部における様々なリガンド依存的保護及びL2-L3相互作用のL3診断における特徴的な反応性ホットスポットの存在を示すJ2/3及びL3領域を強調する。図9Bは、CDG足場付き5HTP結合アプタマーのSHAPE分析を示す。未加工のゲルは、J1/2及びJ2/3において明らかなリガンド依存的修飾を示す。親Vc2 RNAは、テトラループドッキング部位のP3においてリガンド依存的保護を示す一方で、5HTP-VIIアプタマーは、ヘリックスの反対側にリガンド依存的修飾を示す。加えて、いずれのRNAも無関係なリガンドの存在下でいずれの修飾も示さない。図9Cは、HH足場付き5HTP結合アプタマーのSHAPE分析を示す。未加工のゲルは、J1/2及びJ2/3において明らかなリガンド依存的修飾を示す。J2/3における変化は、予測されたTループモチーフの3位及び4位に主に局在する。加えて、構造が維持される場合、親RNAのP2にドッキングするP3の末端ループ(L3)はリガンド依存的保護を示す。ゲルからの距離の関数としてのバンドの統合は左側に示される。
図9-2】図9の続き。
図10図10Aは、2σで成形されたモデルの周りの5HTP-II/5HTP複合体の2F-F電子密度図を示す。RNAの全ての領域は、電子密度によって良好に画定され、残基及び骨格の配置を明白にする。青緑色のヌクレオチドは元のRNAライブラリにおいてランダム化され、5HTPは橙色で示される。図10Bは、リガンド(5HTP)及び隣接するイリジウムヘキサアンミン(IrHex)の配置を支持する明らかな密度を示す、1σで成形された5HTP-II/5HTP複合体のリガンド結合ポケットを省いた複合物を示す。図10Cは、1σで成形された5HTP-II/5HTP複合体の5HTP結合ポケットの最終2F-F電位密度図を示す。
図11図11Aは、HH/GsI選択の最も密度が高いクラスターの5HTP-VIIIアプタマーのJ2/3の差異分析から導かれたR2Rダイアグラムを示す。図11Bは、生物学的RNAsにみられるTループ(上)及び5HTP-VIIIアプタマーを含むクラスターの変動パターンを比較する5HTP-VIIIアプタマーのJ2/3の差異分析を示す。
図12】5HTP-ブロッコリーバイオセンサーの構築スキームを示す。ブロッコリー二次構造の赤色のヌクレオチドは、DFHBIのプラットホームを形成するG四重鎖を示し、緑色のヌクレオチドは、ホウレン草とブロッコリーとの間の相違を示す。
図13】本発明の新規足場アプタマーの設計を示す図解した抄録(graphical abstract)である。
図14-1】図14図14Aは、GR-足場付きアプタマー(青緑色)が通信モジュール(橙色、CM;配列は下)を介して蛍光発生アプタマー(ブロッコリー、緑色)に結合され、tRNA足場(黄色)によりインビボで安定化される、5HTP及びL-DOPAの遺伝学的にコード化可能なバイオセンサーの二次構造の概略図である。図14B及び図14Cは、2~5塩基対のCMでブロッコリーに結合された一連のGR-足場付きアプタマーの、観察されたリガンド誘導蛍光(上)のヒートマップ及びtRNA/ブロッコリー対照(下)に対するリガンド結合センサーの輝度を示す。図14D及び図14Eは、E.coliにおける同じセンサーの性能のヒートマップを示す。
図14-2】図14の続き。
図15-1】図15図15A及び図15Bは、野生型5GR-IIアプタマーは5HTPの存在下でブロッコリーレポーターの蛍光を特異的に活性化するが、L-トリプトファンの存在下では活性化しないことを示す。図15Cは、5GR-IIアプタマー(A48U)の5HTP結合ポケットにおける単一点変異もフルオロフォアの存在下で蛍光を消失させることを示す。図15D図15E及び図15Fは、5HTP、L-トリプトファンの存在下での野生型5GR-II-ブロッコリーセンサー、及び5HTPの存在下での結合不能5GR-II A48U構築物の蛍光誘導の単一細胞の痕跡を示す。t=0分で、2mMの5HTPまたは5mMのL-トリプトファンのいずれかが培地に添加された。
図15-2】図15の続き。
図16図16Aは、全ての骨格原子への親B.subtillis xptグアニンリボスイッチ及び5GR-11 RNAの重ね合わせを示す。グアニンリボスイッチ(PDB 4FE5)は赤色で示され、そのリガンドのヒポキサンチンは赤紫色で示される。5GR-IIアプタマーは青色で示され、そのリガンドの5HTPは緑色で示される。図16Bは、P2及びP3のみの骨格原子を使用した2つのRNAの重ね合わせを示す。図16Cは、この三次相互作用を確立する個々の塩基相互作用の完全な保持を示す、L2-L3相互作用のコアを含む2つの塩基四重鎖の重ね合わせの図を示す。
図17-1】図17図17A図17Dは、初期のRNAライブラリの配列及び二次構造を示す。緑色のボックスはプライミングに使用される定常領域を強調し、黄色のボックスは各足場に特異的なバーコードを強調する。開始ライブラリにおいてランダム化されたヌクレオチドの位置は、青緑色で強調される。図17Aは、SuperScript III RTを使用した、選択のためのグアニンリボスイッチアプタマー(GR)RNAライブラリの配列を示す。図17Bは、GsI-IIC RTを使用した、選択のために使用されたGR RNAライブラリの配列を示す。図17Cは、二環状GMPリボスイッチアプタマー(CG)ライブラリの配列を示す。図17Dは、ハンマーヘッド型リボザイム(HR)ライブラリの配列を示す。
図17-2】図17の続き。
図18-1】図18図18A図18Cは、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)に選択的に結合する足場付きアプタマーの配列を示す。図18Aは、ドーパミン(1)及びL-DOPA(2)の化学構造を示す。図18Bは、L-DOPAに対する7回目のGR-GsI-IIC選択から導かれた配列の距離行列の無根系統樹表示を示す。代表的な配列が蛍光発生バイオセンサーに組み込まれた4つのクラスターは、独自の色で示される。黒色の領域は、樹の分析されないクラスター及び領域を表す。図18Cは、色はパネル(B)のものと一致する、4つのクラスターの共変動モデルを示す。DGR-III MFE構造は、正しい場合、三次ループ-ループ相互作用を切断する、代替的な二次構造を有することに留意する。
図18-2】図18の続き。
図19】GR足場付き5HTP結合アプタマーのSHAPE分析を示す。この図は、図4Aを生成するために使用されたゲルの完全な配列決定領域を示す。
図20】GR-足場付き5HTP結合アプタマーのSHAPE分析を示す。図4Aに示される配列決定ゲルの完全かつ未変更の画像(J2/3に対応する領域及びL3は図4Aを作成するために切り取られた)。5GR-IV、-V、及び-VIアプタマーのSHAPE分析は、5HTPの不在及び存在下で示される。横の棒は、3WJにおける様々なリガンド依存的保護及びL2-L3相互作用のL3診断における特徴的な反応性ホットスポットの存在を示すJ2/3及びL3領域を強調する。
図21】CG-足場付き5HTP結合アプタマーのSHAPE分析を示す。未加工のゲル(挿入物)は、J1/2及びJ2/3において明らかなリガンド依存的修飾を示す。親Vc2 RNAは、テトラループドッキング部位のP3においてリガンド依存的保護を示すが、5CG-Iアプタマーは、ヘリックスの反対側にリガンド依存的修飾を示す。加えて、いずれのRNAも無関係なリガンドの存在下での修飾を示さない。ゲルからの距離の関数としてのバンドの統合は下に示される。正規化及び割り当て後、リガンド依存的な変化は、特にJ1/2において、依然として明らかである(色付きの星印)。
図22】HR-足場付き5HTP結合アプタマーのSHAPE分析を示す。未加工のゲル(右)は、J1/2及びJ2/3において明らかなリガンド依存的修飾を示す。J2/3における変化は、予測されたTループモチーフの3位及び4位に主に局在する。加えて、構造が維持される場合、親RNAのP2にドッキングするP3の末端ループ(L3)はリガンド依存的保護を示す。ゲルからの距離の関数としてのバンドの統合は左側に示される。正規化及び割り当て後、リガンド依存的な変化は、依然として明らかである(色付きの星印)。親ハンマーヘッド型RNA(上の緑色の星印)における相当部位での背景切断はないことに留意する。
図23-1】図23。G-ブロックとして合成された本発明の操作されたセンサーを示す。「N」は、A、C、G、及びTの組成が各々およそ25%である位置を表す。RNAアプタマー及びセンサー配列は、それらの同等のDNA配列として示される。ブロッコリーセンサーの別個のドメインは、tRNA足場(灰色)、DFHBI-1T結合ブロッコリーアプタマー(黄色)、通信モジュール(青緑色)、及びGR足場付きアプタマー(赤色)を示すために色分けされている。
図23-2】図23の続き。
図23-3】図23の続き。
図23-4】図23の続き。
図23-5】図23の続き。
【発明を実施するための形態】
【0030】
新規の調節及び感知能力を有する合成RNA及び/またはDNA要素を生成する手段は、インビトロ選択によって大いに可能となり、利用可能な合成アプタマーのプールは現在大きい。しかしながら、いくつかの小分子結合RNAアプタマーしか、それらの同族リガンドまたは他のRNAデバイスの有効かつ広く使用される細胞内バイオセンサーに移行されない。インビトロ結合と細胞内活性との間のこの不一致は問題であり、現在の選択戦略が細胞環境において頑強に機能することができる小分子結合RNAアプタマーに容易にアクセスできないことを示唆する。小分子結合RNAのインビボ選択戦略は、細胞可能アプタマーの生成により多く成功しているかもしれないが、これらのアプローチは現在広く実用的ではない。したがって、現在の戦略は、機能強化のためのタンデムの用途特異的選択を用いた従来のインビトロ選択を組み込む長期ワークフローに依存し続ける。
【0031】
合成アプタマーと違い、天然のリボスイッチの小分子結合ドメインは、細胞との関連で進化し、高忠実度の折り畳み及び下流調節スイッチとの通信能力を含むリガンド結合部位を超えて拡張する追加の特長を組み込んで、検出可能な出力をもたらす。これらのアプタマーは高度にモジュール式であり、頑強であり、細菌種の広域スペクトルにおいて観察され、転写、翻訳、選択的スプライシング、及びmRNA安定性に作用する多様な調節ドメインと結合する。したがって、それらは、出力を誘発する(例えば、遺伝子調節)隣接するドメインまたは配列との通信機構に関して高度に可動性である。これらのアプタマーは、合成用途において良好であり、合成RNAツールを検証するために使用されている。天然のアプタマーを特定し特徴付けするための相当な努力がなされてきたが、調節するのが困難なエフェクターリガンドの内因性プールにより、それらの多様性及び用途において本質的に制限される。
【0032】
これらの問題に応えて、親の頑強な折り畳み及び高度に安定したアーキテクチャ特性を保持しながら、天然のRNAアプタマーにみられる反復性のアーキテクチャ折り畳み体及び小分子結合部位の広域スペクトルを提供するインビトロ選択を使用して再プログラム化され得る小さい核酸分解リボザイム、ならびにそれらの使用方法を本明細書に提供する。小分子結合アプタマーの選択における、部分的に構造化されたRNAライブラリの使用は、以前に用いられたが、これらの単純なヘアピン及びヘリックスは、天然のアプタマーに似た高次構造を形成する能力がない。TetrahymenaリボザイムP456ドメインの末端ループをランダム化することによる非常に適度な活性のRNAリガーゼリボザイムの選択は、足場付きライブラリのリボザイムを得ることが可能であることを示した。しかしながら、P456アーキテクチャは、大きく(160ヌクレオチド)、グループIの自己スプライシングイントロンのIC1及びIC2サブクラスに制限される。したがって、細胞環境の広域スペクトルにおいて活性である多様な小分子結合アプタマーを生じさせるための一般的なプラットホームとしてはあまり適していない。
【0033】
2つの異なるリボスイッチアプタマードメイン及びリボザイム由来の足場を使用して、5-ヒドロキシトリプトファン(5HTP)及び/またはセロトニン(5HT)に選択的に結合する一組の多様なアプタマーが得られた。足場の各々は認識のための独自の解決策を提供するが、それらは全て、同様の結合親和性に集まり、化学的に関連するL-トリプトファンを区別する。これらのアプタマーは、構造的足場により蛍光発生及びスイッチに基づく読み取りモジュールに結合しやすくなる。スクリーニング戦略では、様々な程度の成功が得られるが、このアプローチを使用して簡単に達成されるアプタマーの多様性は、実践的なRNAデバイスを実装するために必要とされるインビトロ特徴付けがより少ない、より可動性の戦略を可能にする。
【0034】
RNAに基づくデバイスは、合成生物学において潜在的にますます頑強かつ予測可能なツールとみなされている。RNAは、シスで調節する能力、予測可能な二次構造、及び小さな遺伝的足跡を含む、タンパク質に基づく代替物と比較した場合、独自の特長集合を有する。中でもより求められているRNAデバイスの能力は、追加のタンパク質因子の不在下で外部刺激を感知し、遺伝的または表現型応答を調節する能力である。合成リボスイッチ、アプタザイム、及び蛍光発生RNAセンサーの創出に努力が注がれてきたが、それらの能力は、一部RNA感知ドメインの限られた利用可能性により、まだ完全には理解されていない。本明細書に提供される組成物及び方法は、驚くべきことに、選択のための足場として自然に進化したリボスイッチまたはリボザイムを使用することにより、現時点で最良の人工及び天然のアプタマーと同等に、インビトロ及び細胞状況の両方で機能することができる頑強な感知ドメインを産生することができることを示す。
【0035】
本明細書に記載の組成物及び方法の主な長所は、一連のアプタマーを得るために、平行選択で複数の足場を使用することである。異なる足場由来のアプタマーは、同様の5HTPに対する親和性及びL-トリプトファンに対する選択性を有するが、それらは、足場の全てに共通の特長であるP1ヘリックスを介した読み取りドメインと通信するそれらの能力に関して明確に異なる特徴を有する。理論に拘束されることなく、これは、選択において完全に制御することができない特長であるリガンドとドメイン間(P1)ヘリックスとの間の空間的関係における差異によるものであると仮定される。生物学的リボスイッチにおいて、リガンドは、直接接触しているか、またはアプタマーを下流調節スイッチに連結するP1ヘリックスを伴うRNAにおける立体構造変化を誘導するかのいずれかである。
【0036】
一連のアプタマーでは、コンビナトリアルアプローチを用いて、広範なアプタマーの特徴付けまたはデバイスの最適化を行うことなく、所望の特性を有するセンサーを迅速にスクリーニングすることができる。典型的には、従来のインビトロ選択では単一の小分子結合アプタマーしか得られず、RNAデバイスの開発には、感覚アプタマーを固定ノードとして残しながら、多くの通信モジュール及びアダプター配列をスクリーニングすることが必要である。足場付き選択アプローチでは、一組の異なるアプタマーが組み合わせにより一組の通信モジュールに結合され、所望の活性を有する変異型を迅速にスクリーニングし得る。この方法により、このアプローチは、RNAデバイス及びセンサーの開発における主な障害を排除するはずである。特に、この研究では、特徴付け及びセンサー設計のための各選択において、最も密度が高いクラスターのみに焦点を置くが、各選択内で、下流用途を開発するためのアプタマーの初期プールを更に濃縮することができた代替配列を含む多くのクラスターが存在した。
【0037】
この選択戦略の第2の強力な利点は、オリゴヌクレオチド接合部アーキテクチャの三次相互作用(例えば、3方向接合部)により提供される細胞状況における頑強な折り畳みである。これらのアプタマーの各々は、広範な生物進化を受けた折り畳み体を有し、特に3方向接合部のコアを編成する遠位三次相互作用は高度に安定である。プリンリボスイッチのL2-L3相互作用及び環状ジ-GMPリボスイッチ足場のテトラループ-テトラループ受容体の両方は、他のRNA構造の状況の外側で安定して形成することができる。これは、大部分の集団が規定の二次及び三次構造を含むように、これらの要素が初期ライブラリの全てのメンバーの折り畳みを潜在的に先導することを可能にする。誤った折り畳みは、しばしば、従来の合成アプタマーにとって重大な問題であり、これは、RNA要素が別のRNA要素に結合されるか、またはより大きなRNAの状況に配置される場合、非常に悪化し得る。典型的な選択プロトコルにおいて高忠実度の折り畳みに対する顕著な選択圧がないため、開始ライブラリにおいてこの情報を提供することは、頑強な折り畳みRNAへの道筋であり得る。
【0038】
3方向接合部の足場が本明細書において例示されるが、天然のリボスイッチ及びリボザイムの多様性は、このアプローチに更なる供給材料を提供し得る。3方向接合部ファミリー内で、特定のリガンドまたはセンサーに優れた足場を提供し得る3つのヘリックスの配向、接合部領域のサイズ、及び遠位三次相互作用の性質を変える広範囲にわたる配列が存在する。更に、他の折り畳み体は、同族リガンドの性質に基づいて標的小分子に結合しやすくなり得る。例えば、5HTPに結合する足場の別の選択は、リガンド結合部位を収容し、それをP1ヘリックスに隣接して位置付ける5方向接合部を含むリジンリボスイッチアプタマードメインである。より大きなリガンドは、フラビンモノヌクレオチドまたはコバラミンリボスイッチ由来の足場によってより容易に対処され得る一方で、NADHなどのジヌクレオチドは、他の二環状ヌクレオチドアプタマーのうちの1つにより簡単に対処され得る。したがって、本明細書に記載の足場付き選択アプローチは、RNAデバイスを使用して広範囲な用途にわたる細胞環境において小分子を監視し、それに応答するための強力な新しいツールの開発を容易にする可能性がある。
【0039】
一般に、本明細書に記載の細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質及び核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される名称は、周知であり、当該技術分野において一般に使用されるものである。本明細書に提供される方法及び技法は、別途指示されない限り、当該技術分野において周知の従来の方法に従って、また本明細書の全体を通して引用され、論じられる様々な一般的な及びより具体的な参考文献に記載されるように、一般的に行われる。
【0040】
酵素反応及び精製技法は、当該技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように、製造業者の仕様書に従って行われる。本明細書に記載の分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品及び製薬化学に関連して使用される名称、ならびにそれらの検査手順及び技法は、周知であり、当技術分野で一般に使用されるものである。標準的な技法が、化学合成、化学分析、薬学的調製物、製剤、及び送達、ならびに患者の治療に使用される。
【0041】
本明細書において別途定義されない限り、本明細書で使用される科学及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。いずれの潜在的な曖昧性がある場合には、本明細書に提供される定義がいずれの辞書または付帯的な定義に優先するものとする。別段文脈によって要求されない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。「または」の使用は、別途記述されない限り、「及び/または」を意味する。「including(~を含む)」という用語、ならびに「includes(~を含む)」及び「included(含まれる)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。
【0042】
本発明がより容易に理解されるために、ある特定の用語を最初に定義する。
【0043】
「アプタマー」及び「アプタマードメイン」という用語は、高い特異性及び親和性で小分子、タンパク質、核酸、細胞、組織などの様々な分子標的に特異的に結合する短い一本鎖DNA、RNA、またはペプチド配列を指す。アプタマーは、一般的に、高度に特異的であり、比較的サイズが小さく、非免疫原性である。抗体と同様に、アプタマーは、特異的な3次元構造を認識することによってそれらの標的と相互作用し、したがって、「化学抗体」としても知られる。タンパク質抗体とは対照的に、DNAまたはRNAアプタマーは、それらのオリゴヌクレオチド特性に基づいて独自の化学的及び生物学的特徴を提示する。
【0044】
「リボスイッチ」という用語は、小分子リガンドに直接結合することによりシス様式の転写物に対してその調節制御を及ぼすmRNAの5’-非翻訳領域に通常みられる要素を指す。典型的なリボスイッチは、2つの異なる機能性ドメイン:リガンド結合ポケットに足場を設けるために、コンパクトな3次元折り畳み体を採用するアプタマードメインと、転写または翻訳機構と結合する二次構造スイッチを含む発現プラットホームとを含む。調節は、その対合が、mRNAのオン及びオフ状態を表す発現プラットホームにおける2つの相互に排他的な構造のうちの1つへのRNAの折り畳みを指向する、スイッチ配列として知られるこれらの2つのドメイン間の重複領域によって達成される。ある特定の例示的な実施形態では、好ましいリボスイッチは、B.subtilis xpt-pbuXグアニンリボスイッチ(本明細書において「GR」と称される)またはVibrio cholerae Vc2環状ジ-GMPリボスイッチ(本明細書において「CDG」と称される)である。
【0045】
「リボザイム」という用語は、酵素として作用するRNA分子を指し、タンパク質酵素の作用と同様の特異的な生化学反応を触媒することができる。リボザイムのクラスには、GIR1分枝リボザイム、glmSリボザイム、グループI自己スプライシングイントロン、グループII自己スプライシングイントロン、ヘアピンリボザイム、ハンマーヘッド型リボザイム、及びHDVリボザイムが含まれる。ある特定の例示的な実施形態では、好ましいリボザイムは、Schistosoma mansoniハンマーヘッド型リボザイム(本明細書において「HH」と称される)である。
【0046】
「合成RNA剤」、「合成DNA剤」、「バイオセンサー」、及び「足場」という用語は、天然に存在するアプタマー、例えば、リボスイッチ及びリボザイム由来の二次及び三次構造的足場を含む、本明細書に記載の核酸感覚デバイスを指す。本発明の「合成RNA剤」、「合成DNA剤」、「バイオセンサー」、または「構造的足場」には、ヘリックスドメイン、第1及び第2のヘアピンドメイン、ならびにリガンド結合ドメインを含むオリゴヌクレオチド接合部が含まれる。本発明のバイオセンサーは、N方向接合部を含み得、Nは、2、3、4、または5である。
【0047】
ある特定の実施形態では、本発明のバイオセンサーは、式I:(I)P1-J1/2-P2-L2-P2’-J2/3-P3-L3-P3’-J3/1-に従う一連の連結された構成要素を有する配列を含み、式中、「-」は、結合を表し、「P1」及び「P1’」は、ヘリックスを形成し、「P2」、「L2」、及び「P2’」は、第1のヘアピンを形成し、「P3」、「L3」、及び「P3’」は、第2のヘアピンを形成し、「J1/2」、「J2/3」、及び「J3/1」は一緒に、オリゴヌクレオチド接合部を形成する。(例えば、図1を参照されたい。)
【0048】
ある特定の実施形態では、本発明のバイオセンサーは、リガンドのモジュールの特異性及び/または親和性が決定され得る「読み取り」モジュールを含む。「読み取り」は、視覚的に検出可能な、例えば、蛍光発生の読み取り、例えば、ブロッコリーであり得るか、または本明細書において更に記載されるリボスイッチに基づく読み取り、もしくはオリゴヌクレオチドに基づく読み取りであり得る。
【0049】
「ヘリックスドメイン」という用語は、例えば、水素、フーグスティーン、または逆フーグスティーン結合により一緒に保持され、そのため二重ヘリックスまたは三重ヘリックス構造を形成する2つ以上のポリヌクレオチドを指す。
【0050】
「ヘアピンドメイン」という用語は、ポリヌクレオチドの5’端及び3’端が互いに近接し、ループ構造を形成するポリヌクレオチドの非ハイブリダイズ部分によって連結されるように、ポリヌクレオチドが自身と塩基対合する能力を指す。
【0051】
「オリゴヌクレオチド接合部」という用語は、リガンド結合部位、例えば、Gua結合部位を形成する足場の2、3、4、または5つの領域を指す。(例えば、図1を参照されたい。)
【0052】
「オリゴヌクレオチドライブラリ」という用語は、合成オリゴヌクレオチド配列の集合を指し、各配列は、本発明の構造的足場を含み、各構造的足場は、少なくともヘリックスドメイン、第1及び第2のヘアピンドメイン、ならびにリガンド結合ドメインを含むオリゴヌクレオチド接合部を含む。
【0053】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明のバイオセンサーに結合するリガンドまたは試験化合物をスクリーニングするためのアッセイが提供される。本発明の試験化合物は、生物学的ライブラリ、空間的にアドレス可能な平行固相もしくは液相ライブラリ、デコンボリューションを必要とする合成ライブラリ方法、「1つのビーズに1つの化合物(one-bead one-compound)」ライブラリ方法、及び親和性クロマトグラフィー選択を使用した合成ライブラリ方法を含む、当該技術分野において既知のコンビナトリアルライブラリ方法における多くのアプローチのうちのいずれかを使用して得ることができる。生物学的ライブラリアプローチはペプチドライブラリに限定される一方で、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の小分子ライブラリに適用可能である(Lam,K.S.(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
【0054】
「ヌクレオシド」という用語は、リボーズまたはデオキシリボーズ糖に共有結合により連結されたプリンまたはピリミジン塩基を有する分子を指す。例示的なヌクレオシドとしては、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン、及びチミジンが挙げられる。追加の例示的なヌクレオシドとしては、イノシン、1-メチルイノシン、プソイドウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、リボチミジン、2N-メチルグアノシン、及び2,2N,N-ジメチルグアノシン(「稀」なヌクレオシドとも称される)が挙げられる。「ヌクレオチド」という用語は、エステル連結において糖部分に接合された1つ以上のリン酸基を有するヌクレオシドを指す。例示的なヌクレオチドとしては、ヌクレオシド一リン酸、二リン酸、及び三リン酸が挙げられる。「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」という用語は、本明細書において互換的に使用され、5’と3’の炭素原子との間のホスホジエステル連結により一緒に接合されたヌクレオチドのポリマーを指す。
【0055】
「RNA」、または「RNA分子」、または「リボ核酸分子」という用語は、リボヌクレオチド(例えば、2、3、4、5、10、15、20、25、30以上のリボヌクレオチド)のポリマーを指す。「DNA」、または「DNA分子」、または「デオキシリボ核酸分子」という用語は、デオキシリボヌクレオチドのポリマーを指す。DNA及びRNAは、(例えば、それぞれ、DNA複製またはDNAの転写により)天然に合成され得る。RNAは、転写後に修飾され得る。DNA及びRNAはまた、化学合成され得る。DNA及びRNAは、一本鎖(すなわち、それぞれ、ssRNA及びssDNA)または多鎖(例えば、二本鎖、すなわち、それぞれ、dsRNA及びdsDNA)であり得る。「mRNA」または「メッセンジャーRNA」は、1つ以上のポリペプチド鎖のアミノ酸配列を特定する一本鎖RNAである。この情報は、リボソームがmRNAに結合するタンパク質合成中に翻訳される。
【0056】
「ヌクレオチド類似体」、または「変更されたヌクレオチド」、または「修飾されたヌクレオチド」は、天然発生ではないリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含む、非標準のヌクレオチドを指す。例示的なヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドのある特定の化学特性を変更するために任意の位置で修飾されるが、ヌクレオチド類似体がその意図される機能を行う能力を保持する。誘導体化され得るヌクレオチドの位置の例としては、5位、例えば、5-(2-アミノ)プロピルウリジン、5-ブロモウリジン、5-プロピンウリジン、5-プロペニルウリジンなど、6位、例えば、6-(2-アミノ)プロピルウリジン、アデノシン及び/またはグアノシンの8位、例えば、8-ブロモグアノシン、8-クロログアノシン、8-フルオログアノシンなどが挙げられる。ヌクレオチド類似体には、デアザヌクレオチド、例えば、7-デアザ-アデノシン、O-及びN修飾された(例えば、アルキル化、例えば、N6-メチルアデノシン、または当該技術分野で別様に知られる)ヌクレオチド、及びHerdewijn,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.,2000 Aug.10(4):297-310に記載されるものなどの他の複素環的に修飾されたヌクレオチド類似体も含まれる。
【0057】
ヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドの糖部分にも修飾を含み得る。例えば、2’OH-基は、H、OR、R、F、Cl、Br、I、SH、SR、NH、NHR、NR、COOR、またはORから選択される基によって置き換えられ得、ここで、Rは、置換または非置換C-Cアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールなどである。他の可能な修飾には、米国特許第5,858,988号及び同第6,291,438号に記載されるものが含まれる。
【0058】
ヌクレオチドのリン酸基は、例えば、リン酸基の酸素のうちの1つ以上を硫黄(例えば、ホスホロチオエート)で置換することによって、または例えば、Eckstein,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.2000 Apr.10(2):117-21、Rusckowski et al.Antisense Nucleic Acid Drug Dev.2000 Oct.10(5):333-45、Stein,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.2001 Oct.11(5):317-25、Vorobjev et al.Antisense Nucleic Acid Drug Dev.2001 Apr.11(2):77-85、及び米国特許第5,684,143号などに記載される、ヌクレオチドがその意図される機能を行うことを可能にする他の置換を行うことによっても修飾され得る。上記に参照される修飾のいくつか(例えば、リン酸基修飾)は、好ましくは、例えば、インビボまたはインビトロでの該類似体を含むポリヌクレオチドの加水分解率を減少させる。
【0059】
ある特定の例示的な実施形態では、検出可能な標識が本明細書に記載の1つ以上のオリゴヌクレオチド及び/またはポリヌクレオチドを検出するために使用され得る。検出可能なマーカーの例としては、様々な放射性活性部分、酵素、補欠分子族、蛍光マーカー、発光マーカー、生物発光マーカー、金属粒子、タンパク質-タンパク質結合対、タンパク質-抗体結合対などが挙げられる。蛍光タンパク質の例としては、黄色蛍光タンパク質(YFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青緑色蛍光タンパク質(CFP)、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリトリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。生物発光マーカーの例としては、ルシフェラーゼ(例えば、細菌、ホタル、コメツキムシなど)、ルシフェリン、エクオリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。視覚的に検出可能なシグナルを有する酵素系の例としては、ガラクトシダーゼ、グルコリニダーゼ、ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、コリンエステラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定可能なマーカーは、125I、35S、14C、またはHなどの放射活性化合物も含む。特定可能なマーカーは、様々な供給源から市販されている。
【0060】
[0045]蛍光標識ならびにそれらのヌクレオチド及び/またはオリゴヌクレオチドへの結合は、Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Ninth Edition(Molecular Probes,Inc.,Eugene,2002)、Keller and Manak,DNA Probes,2nd Edition(Stockton Press,New York,1993)、Eckstein,editor,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1991)、及びWetmur,Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology,26:227-259(1991)を含む、多くの概説に記載されている。本発明に適用可能な特定の方法論は、以下の参考文献の実例に開示されている:米国特許第4,757,141号、同第5,151,507号、及び同第5,091,519号。一態様では、例えば、米国特許第5,188,934号(4,7-ジクロロフルオレセイン色素)、米国特許第5,366,860号(スペクトル的に分解可能なローダミン色素)、米国特許第5,847,162号(4,7-ジクロロローダミン色素)、米国特許第4,318,846号(エーテル置換フルオレセイン色素)、米国特許第5,800,996号(エネルギー移動色素)、Lee et al.;米国特許第5,066,580号(キサンチン色素)、米国特許第5,688,648号(エネルギー移動色素)などによって開示される、1つ以上の蛍光色素が標識化された標的配列の標識として使用される。標識化は、以下の特許及び特許公開に開示される、量子ドットを用いて行うこともできる:米国特許第6,322,901号、同第6,576,291号、同第6,423,551号、同第6,251,303号、同第6,319,426号、同第6,426,513号、同第6,444,143号、同第5,990,479号、同第6,207,392号、第2002/0045045号、及び第2003/0017264号。本明細書で使用される場合、「蛍光標識」という用語は、1つ以上の分子の蛍光吸光及び/または発光特性を通して情報を伝達するシグナル伝達部分を含む。そのような蛍光特性は、蛍光強度、蛍光寿命、発光スペクトル特徴、エネルギー移動などを含む。
【0061】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド及び/またはヌクレオチド類似体の短いポリマーを指す。「RNA類似体」または「DNA類似体」という用語は、対応する未変更または未修飾のDNAまたはRNAと比較して、少なくとも1つの変更または修飾されたヌクレオチドを有するが、対応する未変更または未修飾のDNAまたはRNAと同じまたは類似の性質または機能を保持するポリヌクレオチド(例えば、化学合成されたポリヌクレオチド)を指す。上記で論じられるように、オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル連結を有するRNAまたはDNA分子と比較して、RNAまたはDNA類似体の加水分解率が低くなる連結で連結され得る。例えば、類似体のヌクレオチドは、メチレンジオール、エチレンジオール、オキシメチルチオ、オキシエチルチオ、オキシカルボニルオキシ、ホスホロジアミデート、ホスホロアミデート、及び/またはホスホロチオエート連結を含み得る。好ましいRNAまたはDNA類似体は、糖及び/または骨格修飾されたリボヌクレオチド及び/またはデオキシリボヌクレオチドを含む。そのような変更または修飾は、RNAもしくはDNAの端部(複数可)などへの、または内部的に(RNAまたはDNAの1つ以上のヌクレオチドにおいて)非ヌクレオチド材料の付加を更に含み得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「単離されたRNA」または「単離されたDNA」という用語は、組換え技法により産生された場合、他の細胞材料もしくは培養培地を実質的に含まないか、または化学合成された場合、化学的な前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないRNAまたはDNA分子を指す。
【0063】
「インビトロ」という用語は、その当該技術分野で認識される意味を有し、例えば、精製された試薬または抽出物、例えば細胞抽出物を伴う。「インビボ」という用語も、その当該技術分野で認識される意味を有し、例えば、生細胞、例えば、不死化された細胞、一次細胞、細胞株、及び/または生物の細胞を伴う。
【0064】
本明細書で使用される場合、「導入遺伝子」という用語は、技術により細胞内に挿入され、細胞から発達する生物のゲノムの一部となる任意の核酸分子を指す。そのような導入遺伝子は、トランスジェニック生物に対して部分的にもしくは完全に異種(すなわち、外来)である遺伝子を含み得るか、または生物の内因性遺伝子に対して相同の遺伝子を表し得る。「導入遺伝子」という用語は、トランスジェニック生物(例えば、動物)において発現される1つ以上の操作されたRNA前駆体をコードする1つ以上の選択された核酸配列(例えば、DNA)を含む核酸分子も意味し、これは、トランスジェニック動物に部分的にもしくは完全に異種(すなわち、外来)であるか、またはトランスジェニック動物の内因性遺伝子に相同であるが、天然の遺伝子とは異なる位置で動物のゲノム内に挿入されるように設計されている。導入遺伝子は、選択された核酸配列の発現に必要な1つ以上のプロモーター及びイントロンなどの任意の他のDNA(全て、選択された配列に作動可能に連結されている)を含み、エンハンサー配列を含み得る。
【0065】
疾患または障害に「関与する」遺伝子は、その正常または異常な発現または機能が疾患もしくは障害、または該疾患もしくは障害の少なくとも1つの症状をもたらすか、または引き起こす遺伝子を含む。
【0066】
本明細書で使用される場合、「試料集団」という用語は、統計学的に有意な数の個体を含む、個体集団を指す。例えば、試料集団は、50、75、100、200、500、1000以上の個体を含み得る。特定の実施形態では、試料集団は、少なくとも共通の疾患表現型(例えば、機能獲得障害)または変異(例えば、機能獲得変異)で共有する個体を含み得る。
【0067】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ接合性」という用語は、特定の遺伝子座で(例えば、SNPで)ヘテロ接合である(例えば、2つ以上の異なる対立遺伝子を含む)集団内の個体率を指す。ヘテロ接合性は、当業者に周知である方法を使用して試料集団について計算され得る。
【0068】
「細胞または生物における遺伝子の機能を検査する」という語句は、それから生じる発現、活性、機能、または表現型を検査または研究することを指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「稀なヌクレオチド」という用語は、稀に生じる天然発生のヌクレオチドを指し、稀に生じる天然発生のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、例えば、グアノシン、アデノシン、シトシン、もしくはウリジンではない天然発生のリボヌクレオチドを含む。稀なヌクレオチドの例としては、イノシン、1-メチルイノシン、プソイドウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、リボチミジン、N-メチルグアノシン、及び2,2N,N-ジメチルグアノシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
操作されたRNA前駆体または操作された核酸分子にあるような「操作された」という用語は、前駆体または分子の核酸配列の全てまたは一部がヒトによって創出または選択されるという点で、前駆体または分子が自然界において見出されないことを示す。創出または選択されたら、配列は、細胞内の機構によって複製、翻訳、転写、またはさもなければ処理され得る。したがって、操作された核酸分子を含む導入遺伝子からの細胞内で産生されたRNA前駆体は、操作されたRNA前駆体である。
【0071】
本明細書で使用される場合、「結合強度」または「塩基対強度」という用語は、オリゴヌクレオチド二本鎖の対向する鎖上のヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)対間の、主に該ヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)間のH結合、ファンデルワールス相互作用などによる相互作用の強度を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「不安定化ヌクレオチド」という用語は、塩基対が従来の塩基対(すなわち、ワトソン・クリック塩基対)よりも弱い結合強度のものであるように、第2のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と塩基対を形成することができる第1のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を指す。ある特定の実施形態では、不安定化ヌクレオチドは、第2のヌクレオチドと不適正塩基対を形成することができる。別の実施形態では、不安定化ヌクレオチドは、第2のヌクレオチドとゆらぎ塩基対を形成することができる。また別の実施形態では、不安定化ヌクレオチドは、第2のヌクレオチドと曖昧な塩基対を形成することができる。また別の実施形態では、不安定化ヌクレオチドはバルジを形成することができ、不安定化ヌクレオチドは第2のヌクレオチドと対合しない。
【0073】
本明細書で使用される場合、「塩基対」という用語は、オリゴヌクレオチド二本鎖の対向する鎖上のヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)対間の、主に該ヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)間のH結合、ファンデルワールス相互作用などによる相互作用を指す。本明細書で使用される場合、「結合強度」または「塩基対強度」という用語は、塩基対の強度を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「不適正塩基対」という用語は、非相補性または非ワトソン・クリック塩基対からなる塩基対、例えば、通常ではない相補性のG:C、A:T、またはA:U塩基対を指す。本明細書で使用される場合、「曖昧な塩基対」(非差別的な塩基対としても知られる)は、普遍的ヌクレオチドにより形成される塩基対を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、「普遍的ヌクレオチド」(「中性ヌクレオチド」としても知られる)は、塩基対を形成するとき、相補性ポリヌクレオチド上の塩基を顕著に区別をしない塩基(「普遍的ヌクレオチド」または「中性塩基」)を有するこれらのヌクレオチド(例えば、ある特定の不安定化ヌクレオチド)を含む。普遍的ヌクレオチドは、大部分は、スタッキング相互作用により、逆平行二本鎖核酸(例えば、二本鎖DNAまたはRNA)に効率的に詰め込むことができる疎水性分子である。普遍的ヌクレオチドの塩基部分は、典型的には、窒素含有芳香族複素環部分を含む。
【0076】
本明細書で使用される場合、「十分な相補性」または「十分な相補性の程度」という用語は、オリゴヌクレオチド配列が所望の標的オリゴヌクレオチドを結合するのに十分に相補性であることを意味する。
【0077】
本発明の様々な方法論は、値、レベル、特長、特徴、特性などを「好適な対照」(本明細書において、互換的に「適切な対照」とも称される)と比較することを伴うステップを含む。「好適な対照」または「適切な対照」は、比較目的に有用な、当業者によく知られる任意の対照または標準である。一実施形態では、「好適な対照」または「適切な対照」は、本明細書に記載の方法論を行う前に決定された値、レベル、特長、特徴、特性などである。例えば、転写速度、mRNAレベル、翻訳速度、タンパク質レベル、生物学的活性、細胞特徴または特性、遺伝子型、表現型などは、本発明の合成RNAまたはDNA剤を細胞または生物に導入する前に決定され得る。別の実施形態では、「好適な対照」または「適切な対照」は、例えば、正常な形質を示す細胞または生物(例えば、対照または正常な細胞もしくは生物)において決定された値、レベル、特長、特徴、特性などである。また別の実施形態では、「好適な対照」または「適切な対照」は、所定の値、レベル、特長、特徴、特性などである。
【0078】
本発明の合成RNAまたはDNA剤は、細胞に直接導入される(すなわち、細胞内に)か、または空洞内、間質腔、生物の循環内の細胞外に導入されるか、経口導入され得るか、または細胞もしくは生物を、核酸を含む溶液に浸すことによって導入され得る。血管または血管外循環、血液またはリンパ系、及び脳脊髄液は、合成RNAまたはDNA剤が導入され得る部位である。
【0079】
本発明の合成RNAまたはDNA剤は、核酸を含む溶液の注入、RNA剤で被覆された粒子による衝撃、細胞もしくは生物のRNA剤溶液への浸漬、またはRNA剤の存在下での細胞膜の電気穿孔を含む、当該技術分野で既知の核酸送達方法を使用して導入され得る。液体媒介担体輸送、化学媒介輸送、及びリン酸カルシウムなどのカチオン性リポソームトランスフェクションなどの、核酸を細胞に導入するための当該技術分野で既知の他の方法が使用されてもよい。合成RNAまたはDNA剤は、細胞による核酸取り込みを強化するか、またはさもなければ標的遺伝子の阻害を増加させる活性のうちの1つ以上を果たす他の構成要素とともに導入され得る。
【0080】
核酸を導入する物理的方法は、バイオセンサーを含む溶液の注入、バイオセンサーで被覆された粒子による衝撃、細胞もしくは生物のバイオセンサー溶液への浸漬、またはバイオセンサーの存在下での細胞膜の電気穿孔を含む。ウイルス粒子にパッケージされたウイルス構築物は、発現構築物の細胞への効率的な導入、及び発現構築物によってコードされるRNAの転写の両方を達成するであろう。液体媒介担体輸送、化学媒介輸送、例えば、リン酸カルシウムなどの、核酸を細胞に導入するための当該技術分野で既知の他の方法が使用されてもよい。したがって、RNAは、細胞によるRNA取り込みを強化する、一本鎖のアニーリングを阻害する、一本鎖を安定化させる、またはさもなければ標的遺伝子の阻害を増加させる活性のうちの1つ以上を果たす構成要素とともに導入され得る。
【0081】
合成RNAまたはDNA剤は、細胞に直接導入される(すなわち、細胞内に)か、または空洞内、間質腔、生物の循環内の細胞外に導入されるか、経口導入され得るか、または細胞もしくは生物を、RNAもしくはDNAを含む溶液に浸すことによって導入され得る。血管または血管外循環、血液またはリンパ系、及び脳脊髄液は、RNAまたはDNAが導入され得る部位である。
【0082】
標的細胞は、生殖系列もしくは体細胞、全能性もしくは多能性、分裂もしくは非分裂、実質もしくは上皮、不死化もしくは形質転換、または同等のものからであってよい。細胞は、幹細胞または分化細胞であり得る。分化される細胞型は、脂肪細胞、線維芽細胞、筋細胞、心筋細胞、内皮、神経細胞、膠細胞、血液細胞、巨核球、リンパ球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、白血球、顆粒球、角化細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、肝細胞、及び内分泌または外分泌腺の細胞を含む。
【0083】
合成RNAまたはDNA剤は、細胞当たり少なくとも1つのコピーの送達を可能にする量で導入され得る。材料のより高い用量(例えば、細胞当たり少なくとも5、10、100、500、または1000のコピー)は、より効果的な阻害をもたらす可能性があり、より低い用量も特定の用途に有用であり得る。
【0084】
例示的な態様では、本発明のバイオセンサーの有効性は、細胞において標的の転写、翻訳、選択的スプライシング、及び/またはmRNA安定性を特異的に調節するその能力について試験される。細胞は、本明細書に記載の1つ以上のバイオセンサーでトランスフェクトすることができる。標的DNA、標的RNA(例えば、mRNA)、及び/または標的タンパク質における選択的低減が測定される。標的DNA、RNA、またはタンパク質の低減は、バイオセンサーの不在下、またはDNA、RNA、もしくはタンパク質を標的としないバイオセンサーの存在下の標的DNA、RNA、またはタンパク質のレベルと比較され得る。外因的に導入されるDNA、RNA、またはタンパク質は、比較目的のためにアッセイされ得る。標準のトランスフェクション技法にいくぶん耐性であることが知られる神経細胞を利用する場合、受動的取り込みによりバイオセンサーを導入することが望ましい場合がある。
【0085】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」は、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患に対する素因を治癒する、癒す、緩和する、軽減する、変更する、治す、寛解させる、改善する、またはそれに影響を及ぼす目的で、患者に治療薬(例えば、合成RNAまたはDNA剤)を適用または投与する、あるいは疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害に対する素因を有する患者からの単離された組織または細胞株に治療薬を適用または投与することとして定義される。
【0086】
一態様では、本発明は、対象に治療薬(例えば、合成RNAもしくはDNA剤、またはそれらをコードするベクターもしくは導入遺伝子)を投与することにより、対象において、疾患または障害を予防するための方法を提供する。疾患のリスクにある対象は、例えば、任意の診断もしくは予後またはそれらの組み合わせにより特定することができる。予防薬の投与は、疾患もしくは障害が予防されるか、または代替的にその進行を遅延するように、疾患または障害の特徴である症状の兆候前に生じ得る。
【0087】
本発明の別の態様は、治療的に対象を処置する、すなわち、疾患または障害の症状の発症を変更する方法に関連する。例示的な実施形態では、本発明の調節方法は、標的配列との配列特異的相互作用が達成されるように、障害を発現する細胞を、1つ以上の標的配列に特異的である治療薬(例えば、合成RNAもしくはDNA剤、またはそれらをコードするベクターもしくは導入遺伝子)と接触させることを伴う。これらの方法は、インビトロ(例えば、細胞を薬剤とともに培養することにより)、または代替的にインビボ(例えば、対象に薬剤を投与することにより)で行うことができる。
【0088】
治療の予防及び治療方法の両方に関して、そのような治療は、薬理ゲノミクスの分野から得られた知識に基づいて具体的に調整または修正され得る。本明細書で使用される場合、「薬理ゲノミクス」は、遺伝子配列決定、統計遺伝学、及び遺伝子発現分析などのゲノム技術を臨床開発中及び市場の薬物に適用することを指す。より具体的には、本用語は、患者の遺伝子が薬物に対する患者の応答(例えば、患者の「薬物応答表現型」または「薬物応答遺伝子型」)をどのように決定するかの研究を指す。したがって、本発明の別の態様は、個体の予防または治療上の処置を、その個体の薬物応答遺伝子型により本発明の標的遺伝子分子または標的遺伝子調節剤のいずれかで調整するための方法を提供する。薬理ゲノミクスは、臨床医または医師が、処置から最も利益を受けるであろう患者への予防または治療上の処置を目的とし、毒性の薬物関連副作用を受けるであろう患者の治療を回避することを可能にする。
【0089】
治療薬は、適切な動物モデルにおいて試験され得る。例えば、本明細書に記載の合成RNAまたはDNA剤(またはそれらをコードする発現ベクターもしくは導入遺伝子)は、該薬剤を用いた治療の有効性、毒性、または副作用を決定するために、動物モデルにおいて使用され得る。代替的に、治療薬は、そのような薬剤の作用機序を決定するために動物モデルにおいて使用され得る。例えば、薬剤は、そのような薬剤を用いた治療の有効性、毒性、または副作用を決定するために動物モデルにおいて使用され得る。代替的に、薬剤は、そのような薬剤の作用機序を決定するために動物モデルにおいて使用され得る。
【0090】
本発明の合成RNAまたはDNA剤を含む医薬組成物は、障害を有する、またはそれを発症させるリスクにあると診断された任意の患者に投与され得る。一実施形態では、患者は障害を有すると診断され、患者はさもなければ良好な一般健康状態にある。例えば、患者は末期病状ではなく、患者は診断後少なくとも2、3、5年以上生存する可能性がある。患者は診断後すぐに治療され得るか、または治療は、患者がより衰弱症状を経験するまで遅延され得る。別の実施形態では、患者は疾患の進行期に達していない。
【0091】
合成RNAまたはDNA剤は、約1.4mg/体重kg未満、または10、5、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0001、0.00005、もしくは0.00001mg/体重kg未満、及び200nmole未満のRNA剤(例えば、約4.4x1016コピー)/体重kg、または1500、750、300、150、75、15、7.5、1.5、0.75、0.15、0.075、0.015、0.0075、0.0015、0.00075、0.00015nmole未満の合成RNAもしくはDNA剤/体重kgの単位用量で投与され得る。単位用量は、例えば、注射(例えば、静脈内もしくは筋肉内、髄腔内、または脳内に直接)、吸引用量、または局部適用により投与され得る。特定の好ましい投薬量は、2、1、または0.1mg/体重kg未満である。
【0092】
合成RNAまたはDNA剤の直接臓器への送達は、約0.00001mg~約3mg/臓器、または好ましくは約0.0001~0.001mg/臓器、約0.03~3.0mg/臓器、約0.1~3.0mg/眼、または約0.3~3.0mg/臓器の投薬量であり得る。投薬量は、障害を治療または予防するのに十分な量であり得る。一実施形態では、単位用量は、1日1回よりも少ない頻度、例えば、2、4、8、または30日未満ごとに投与される。別の実施形態では、単位用量は、頻度で投与されない(例えば、規則的な頻度ではない)。例えば、単位用量は、1回投与され得る。一実施形態では、有効量は、他の従来の治療様式で投与される。
【0093】
一実施形態では、対象は、初期用量、及び1回以上の維持用量の合成RNAまたはDNA剤を投与される。維持用量(複数可)は、一般的に、初期用量よりも低く、例えば、初期用量の半分である。維持レジメンは、0.01μg~1.4mg/体重kg/日の範囲、例えば、10、1、0.1、0.01、0.001、または0.00001mg/体重kg/日の用量(複数可)で対象を治療することを含み得る。維持用量は、好ましくは、5、10、または30日に1回以下で投与される。更に、特定の疾患の性質、その重症度、及び患者の全体的な状態により変動する治療レジメンはある一定期間続く場合がある。好ましい実施形態では、投薬量は、1日1回以下、例えば、24、36、48時間以上に1回以下、例えば、5または8日に1回以下送達され得る。治療後、患者は、患者の状態の変化、及び疾患状態の症状の緩和について監視され得る。化合物の投薬量は、患者が現在の投薬量レベルに有意に応答しない事象において増加され得るか、または疾患状態の症状の緩和が観察される場合、疾患状態が取り除かれた場合、もしくは望ましくない副作用が観察される場合に用量が減少されるかのいずれかであり得る。
【0094】
有効量は、特定の状況下で、所望される、または適切と考えられるとき、単回用量で、または2回以上の用量で投与され得る。反復または頻繁な注入を容易にすることが所望される場合、送達デバイス、例えば、ポンプ、半永久的ステント(例えば、静脈内、腹腔内、大槽内、または関節内)、またはリザーバの埋め込みが望ましい場合がある。一実施形態では、薬学的組成物は、複数の合成RNAまたはDNA剤種を含む。別の実施形態では、合成RNAまたはDNA剤種は、天然発生の標的配列に関して、別の種と重複せず、隣接しない配列を有する。別の実施形態では、複数の合成RNAまたはDNA剤種は、異なる天然発生の標的に特異的である。別の実施形態では、複数の合成RNAまたはDNA剤種は、2つ以上の標的配列(例えば、2、3、4、5、6以上の標的配列)を標的とする。
【0095】
治療成功後、疾患状態の再発を防止するために、患者に維持療法を受けさせることが望ましい場合があり、この場合、本発明の化合物は、0.01μg~100g/体重kgの範囲の維持用量で投与される(米国特許第6,107,094号を参照されたい)。
【0096】
合成RNAまたはDNA剤組成物の濃度は、障害を治療もしくは予防するのに有効であるか、またはヒトの生理学的条件を調節するのに十分な量である。投与される合成RNAまたはDNA剤の濃度または量は、薬剤について決定されるパラメータ、及び投与方法、例えば、鼻、口腔、または肺に依存する。例えば、鼻用製剤は、鼻腔の刺激または灼熱感を回避するために、いくつかの成分の濃度を非常に低くすることを必要とする傾向がある。好適な鼻用製剤を提供するために、経口用製剤を最大10~100倍希釈することが望ましい場合がある。
【0097】
疾患もしくは障害の重症度、以前の治療、対象の一般的な健康及び/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されないある特定の因子は、対象を効果的に治療するために必要とされる投薬量に影響を及ぼし得る。更に、治療有効量の合成RNAまたはDNA剤での対象の治療は、単回治療を含み得るか、または好ましくは一連の治療を含み得る。治療のための合成RNAまたはDNA剤の有効投薬量は、特定の治療過程にわたって増加または減少され得ることも理解する。投薬量の変更は、本明細書に記載の診断アッセイの結果に起因し、それから明らかとなってもよい。例えば、対象は、合成RNAまたはDNA剤組成物を投与された後、監視され得る。監視からの情報に基づいて、追加量の合成RNAまたはDNA剤組成物が投与され得る。
【0098】
投薬は、治療される疾患状態の重症度及び応答性に依存し、治療過程は数日~数ヵ月間、または治癒が達成されるまで、もしくは疾患状態の減少が達成されるまで続く。最適な投薬スケジュールは、患者の体内に蓄積した薬物の測定から計算され得る。当業者は、最適な投薬量、投薬方法論、及び反復速度を容易に決定することができる。最適な投薬量は、個々の化合物の相対効力により変動してもよく、一般的に、インビトロ及びインビボ動物モデルにおいて有効であると見出されたEC50に基づいて推定され得る。
【0099】
本発明は、以下に記載の予防及び/または治療上の処置のための上述の薬剤の使用に関連する。したがって、本発明の調節剤(例えば、合成RNAまたはDNA剤)は、投与に好適な薬学的組成物に組み込むことができる。そのような組成物は、典型的には、核酸分子、タンパク質、抗体、または調節化合物、及び薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、医薬品の投与と適合する、任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬理学的活性物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と相溶性でない場合を除き、組成物におけるその使用は企図される。補足的活性化合物も組成物に組み込むことができる。
【0100】
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内(IV)、皮内、皮下(SCまたはSQ)、腹腔内、筋肉内、経口(例えば、吸入)、経皮(局部)、及び経粘膜投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の構成成分を含み得る:注射用蒸留水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤、アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液、ならびに塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性調節のための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整され得る。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラスもしくはプラスチックから作製された複数用量バイアルに封入され得る。
【0101】
注射用途に好適な薬学的組成物には、滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液及び滅菌粉末が含まれる。静脈内投与に関して、好適な担体としては、生理学的生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、滅菌でなければならず、容易に注射できる程度の流動性を有する必要がある。これは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保持されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)を含む溶媒または分散媒、及びそれらの好適な混合物であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散の場合には必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成され得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール(マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムなど)を組成物中に含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含むことによって、もたらすことができる。
【0102】
滅菌注射用溶液は、上に列挙される成分のうちの1つまたはその組み合わせとともに、活性化合物を必要な量で適切な溶媒に組み込み、必要に応じて、その後濾過滅菌することにより調製することができる。一般的に、分散液は、活性化合物を、基本的な分散媒及び上で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって、調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、その予め滅菌濾過した溶液から活性成分と任意の所望の追加成分とを合わせた粉末が得られる、真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0103】
経口用組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入されるか、または錠剤に圧縮され得る。経口治療投与の目的に関して、活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ、錠剤、トローチ、またはカプセルの形態で使用され得る。経口用組成物は、洗口剤として使用するための液体担体を使用して調製することもでき、液体担体中の化合物は、経口適用され、口に含んで喀出されるか、嚥下される。薬学的に相溶性の結合剤及び/またはアジュバント材料は、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、ピル、カプセル、トローチなどは、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含み得る:微結晶セルロース、トラガカントガム、もしくはゼラチンなどの結合剤、デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、もしくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムもしくはステロートなどの滑沢剤、コロイド状二酸化ケイ素などのグリダント、スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤、またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料などの香味剤。
【0104】
吸入による投与に関して、化合物は、好適な推進剤、例えば、二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくは分注装置、または噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0105】
全身投与も、経粘膜または経皮手段によるものであってよい。経粘膜または経皮投与に関して、浸透すべき障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は、当該技術分野において一般的に知られており、例えば、経粘膜投与に関しては、洗剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体を含む。経粘膜投与は、鼻用スプレーまたは坐剤の使用を通して達成され得る。経皮投与に関して、活性化合物は、当技術分野において一般的に知られているように、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化される。
【0106】
化合物は、坐剤(例えば、ココアバター及び他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を用いて)または直腸送達のための停留浣腸の形態にも調製され得る。
【0107】
合成RNAまたはDNA剤はまた、McCaffrey et al.(2002),Nature,418(6893),38-9(流体力学トランスフェクション)、Xia et al.(2002),Nature Biotechnol.,20(10),1006-10(ウイルス媒介送達)、またはPutnam(1996),Am.J.Health Syst.Pharm.53(2),151-160,erratum at Am.J.Health Syst.Pharm.53(3),325(1996)に記載される方法を含むが、これらに限定されない当該技術分野で既知の方法を使用して、トランスフェクションまたは感染によって投与されてもよい。
【0108】
合成RNAまたはDNA剤は、DNAワクチンなどの核酸剤の投与に好適な任意の方法によっても投与され得る。これらの方法には、遺伝子銃、バイオ注射器、及び皮膚パッチ、ならびに米国特許第6,194,389号に開示されるマイクロ粒子DNAワクチン技術、及び米国特許第6,168,587号に開示される粉末形態ワクチンを用いた哺乳類経皮無針ワクチン接種などの無針方法が含まれる。加えて、とりわけ、Hamajima et al.(1998),Clin.Immunol.Immunopathol.,88(2),205-10に記載される鼻腔内送達が可能である。リポソーム(例えば、米国特許第6,472,375号に記載される)及びマイクロカプセル封入も使用され得る。生分解性標的性微粒子送達系も使用され得る(例えば、米国特許第6,471,996号に記載される)。
【0109】
一実施形態では、活性化合物は、化合物を、埋め込み物及びマイクロカプセル封入送達系を含む放出制御製剤などの、身体からの急速な排出から保護する担体とともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。材料は、Alza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を用いた感染細胞を標的とするリポソームを含む)も薬学的に許容される担体として使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載される、当業者に既知の方法に従い調製することができる。
【0110】
投与の容易性及び投薬量の均一性のために、投薬量単位形態の経口または非経口組成物を配合することが特に有益である。本明細書で使用される投薬量単位形態は、治療される対象の単位投薬量として適した、物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体に関連して所望の治療効果をもたらすように計算された、既定量の活性化合物を含む。本発明の投薬量単位形態の仕様は、活性化合物の独自の特徴及び達成される特定の治療効果、ならびに個体の治療のためのそのような活性化合物を調合する技術分野の本質的な制限によって決定付けられ、またそれに直接依存する。
【0111】
そのような化合物の毒性及び治療有効性は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するために、細胞培養物または実験動物において標準の薬学的手順により決定され得る。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50/ED50の比率として表され得る。より大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物が使用され得るが、非感染細胞への潜在的損傷を最小限に抑え、それにより、副作用を低減するために、そのような化合物を罹患組織の部位に標的化する送達系を設計する際には注意を払う必要がある。
【0112】
細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための投薬量の範囲を公式化する際に使用され得る。そのような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む、循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与経路により、この範囲内で変動する。本発明の方法に使用される任意の化合物に関して、治療有効量は、初めに細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養において決定される、EC50(すなわち、最大応答の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために、用量は動物モデルにおいて公式化され得る。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0113】
薬学的組成物は、投与のための任意の説明書とともに、容器、パック、またはディスペンサーに含まれ得る。
【0114】
本明細書で定義されるように、合成RNAまたはDNA剤の治療有効量(すなわち、有効投薬量)は、選択される合成RNAまたはDNA剤に依存する。例えば、およそ1μg~1000mgの範囲の単回投与量が投与され得、いくつかの実施形態では、10、30、100、または1000μgが投与され得る。いくつかの実施形態では、1~5gの組成物が投与され得る。組成物は、2日に1回を含む、1~1回以上/日~1回以上/週で投与され得る。当業者は、疾患もしくは障害の重症度、以前の治療、対象の一般的な健康及び/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されないある特定の因子が、対象を効果的に治療するために必要とされる投薬量及びタイミングに影響を及ぼし得ることを理解するだろう。更に、治療有効量の合成RNAまたはDNA剤での対象の治療は、単回治療を含み得るか、または好ましくは一連の治療を含み得る。
【0115】
本発明の核酸分子は、例えば、Xia et al.,(2002)(上掲)に記載されるものを含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の方法を使用して、発現構築物、例えば、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、発現カセット、またはプラスミドウイルスベクターに挿入され得る。発現構築物は、例えば、吸入、経口、静脈内注射、局部投与(米国特許第5,328,470号を参照されたい)により、または定位注射(例えば、Chen et al.(1994),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91,3054-3057を参照されたい)により対象に送達され得る。送達ベクターの薬学的調製物は、許容される希釈剤にベクターを含み得るか、または送達ビヒクルが埋め込まれる徐放マトリックスを含み得る。代替的に、完全な送達ベクターが組換え細胞、例えば、レトロウイルスベクターから未変化で産生され得る場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。
【0116】
送達経路は、患者の障害に依存し得る。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、IVまたはSC投与により本発明の合成RNAまたはDNA剤を投与され得る。本発明の合成RNAまたはDNA剤に加えて、患者は、第2の療法、例えば、対症療法及び/または疾患特異的療法を施され得る。二次療法は、例えば、症候性(例えば、症状を緩和するため)、保護性(例えば、疾患の進行を緩徐または停止させるため)、または回復性(例えば、疾患の進行を反転させるため)であり得る。
【0117】
一般に、本発明の合成RNAまたはDNA剤は、任意の好適な方法により投与することができる。本明細書で使用される場合、局部送達は、眼、粘膜、体腔の表面、または任意の内表面を含む、身体の任意の表面への合成RNAまたはDNA剤の直接適用を指し得る。局部投与用の製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、スプレー、及び液体を含み得る。従来の薬学的担体、水性、粉末、または油性基剤、増粘剤などは、必須であるか、または望ましい場合がある。局部投与は、合成RNAまたはDNA剤を対象の表皮もしくは真皮、またはその特定の層、または下層組織に選択的に送達する手段としても使用され得る。
【0118】
髄腔内または脳室内投与用の組成物は、緩衝剤、希釈剤、及び他の好適な添加剤も含み得る滅菌水溶液を含み得る。髄腔内または脳室内投与用の組成物は、好ましくは、トランスフェクション試薬または更に追加の親油性部分、例えば、合成RNAまたはDNA剤に結合された親油性部分を含まない。
【0119】
非経口投与用の組成物は、緩衝剤、希釈剤、及び他の好適な添加剤も含み得る滅菌水溶液を含み得る。脳室内注射は、例えば、リザーバに結合された脳室内カテーテルによって容易にすることができる。静脈内使用に関して、溶質の総濃度は、調製物を等張性を付与するために制御されるべきである。
【0120】
本発明の合成RNAまたはDNA剤は、肺送達によって対象に投与することができる。肺送達用組成物は、分散液内の組成物が肺胞領域を通して直接血液循環中に容易に吸収され得る肺に達することができるように、分散液の吸入により送達され得る。肺送達は、肺の疾患を治療するための全身送達及び局在送達の両方に有効であり得る。
【0121】
肺送達は、噴霧状、エアロゾル化、ミセル、及び乾燥粉末系製剤の使用を含む異なるアプローチによって達成することができる。液体噴霧器、エアロゾル系吸入器、及び乾燥粉末分散デバイスを用いて送達を達成することができる。定量デバイスが好ましい。霧化器または吸入器を使用する利益の1つは、デバイスが内蔵型であるため、汚染の可能性が最小限に抑えられることである。例えば、乾燥粉末分散デバイスは、乾燥粉末として容易に製剤化することができる薬物を送達する。合成RNAまたはDNA剤組成物は、それ自体凍結乾燥もしくはスプレー乾燥粉末として、または好適な粉末担体と組み合わせて、安定して貯蔵することができる。吸入用組成物の送達は、デバイスに組み込まれる場合、エアロゾル医薬品の投与中の用量追跡、コンプライアンス監視、及び/または患者に対する用量トリガーを可能にするタイマー、用量計、時間測定デバイス、または時間表示部を含み得る、投薬のタイミング素子によって媒介され得る。
【0122】
担体として有用な薬学的賦形剤の種類としては、ヒト血清アルブミン(HSA)などの安定化剤、炭水化物、アミノ酸、及びポリペプチドなどの増量剤、pH調整剤または緩衝剤、塩化ナトリウムなどの塩などが挙げられる。これらの担体は、結晶もしくは非晶質形態であり得るか、またはこの2つの混合物であり得る。
【0123】
特に有用な増量剤としては、相溶性炭水化物、ポリペプチド、アミノ酸、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好適な炭水化物としては、ガラクトース、D-マンノース、ソルボーズなどの単糖、ラクトース、トレハロースなどの二糖、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、及びラフィノース、マルトデキストリン、デキストランなどの多糖、マンニトール、キシリトールなどのアルジトールが挙げられる。好ましい炭水化物群としては、ラクトース、トレハロース、ラフィノースマルトデキストリン、及びマンニトールが挙げられる。好適なポリペプチドとしてはアスパルテームが挙げられる。アミノ酸としてはアラニン及びグリシンが挙げられるが、グリシンが好ましい。
【0124】
好適なpH調整剤または緩衝剤としては、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸及び塩基から調製された有機塩が挙げられるが、クエン酸ナトリウムが好ましい。
【0125】
本発明の合成RNAまたはDNA剤は、経口及び鼻送達により投与され得る。例えば、これらの膜を通して投与された薬物は、作用の開始が迅速であり、血漿レベルの治療を提供し、肝代謝の初回通過効果を回避し、過酷な消化管(GI)環境に薬物を曝すのを回避する。更なる利点としては、薬物が容易に適用、局在、及び除去され得るような、膜部位への容易なアクセスが挙げられる。一実施形態では、経口または鼻送達により投与された合成RNAまたはDNA剤は、血液脳関門を横断することができるように修飾されている。
【0126】
一実施形態では、合成RNAまたはDNA剤を含む組成物の単位用量または測定用量は、埋め込まれたデバイスによって分配される。デバイスは、対象内のパラメータを監視するセンサーを含み得る。例えば、デバイスは、浸透圧ポンプなどのポンプ、及び任意選択で関連電子機器を含む。
【0127】
合成RNAまたはDNA剤は、天然のウイルスカプシドに、あるいは化学的もしくは酵素的に産生された人工カプシド、またはそれらに由来する構造にパッケージングされ得る。
【0128】
ある特定の他の態様では、本発明は、合成RNAまたはDNA剤の医薬製剤を含む好適な容器を含むキットを提供する。ある特定の実施形態では、医薬製剤の個々の構成成分は、1つの容器で提供され得る。代替的に、医薬製剤の構成成分を、2つ以上の容器、例えば、合成RNAまたはDNA剤調製物用に1つの容器、そして担体化合物用に少なくとも別の容器で別個に提供することが望ましい場合がある。キットは、単一ボックスに1つ以上の容器などのいくつかの異なる構成でパッケージングすることができる。例えば、キットとともに提供される説明書に従って、異なる構成成分を組み合わせることができる。例えば、薬学的組成物を調製及び投与するために、本明細書に記載の方法により構成成分を組み合わせることができる。キットは送達デバイスも含み得る。
【0129】
本明細書に開示される実施形態の範囲から逸脱することなく、好適な等価物を使用して、本明細書に記載の方法の他の好適な修正及び変形がなされることは、当業者には容易に明らかであろう。今まである特定の実施形態を詳細に記載してきたが、これらは、単に例示の目的のために含まれるものであり、限定的であることを意図するものではない、以下の実施例を参照することによって更に明確に理解されるだろう。
【0130】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料が本発明の実施または試験で使用され得るが、好適な方法及び材料が以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によってそれらの全体が組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び実施例は単に例示であり、限定的であることを意図するものではない。
【実施例0131】
実施例1:生物学的RNAからの情報を用いた足場選択ライブラリ
多ヘリックス詰め込み(すなわち、三次折り畳み)を有する小さな生物学的RNAの検査により、有利な足場と考えられ得る2つの反復アーキテクチャが示された。1つ目は、H型シュードノットであり、これは、ウイルスmRNAに小さなリボザイムのリボソームフレームシフト要素を含む生物学的RNA、ならびに天然及び合成のアプタマーに広くみられる。しかしながら、設計の観点から、この折り畳み体は操作するのが困難であり得る。もう1つは、接合部の周りにヘリックス配列を編成する遠隔三次相互作用によって支持される3方向接合部(3WJ)である。この折り畳み体は、典型的には接合部に収容されるリガンド結合部位の近位に明示できるヘリックス要素(P1ヘリックスと呼ばれる)を位置付けるため、アプタマーを組み込むRNAデバイスの設計により適している。
【0132】
3方向接合部折り畳み群内に、インビトロ選択のための配列の初期ライブラリに足場を設けるために使用することができる潜在的候補の選択が多数存在する。B.subtilis xpt-pbuXグアニンリボスイッチ(本明細書において「GR」と称される)のアプタマードメイン、Vibrio cholerae Vc2環状ジ-GMPリボスイッチ(本明細書において「CDG」と称される)のアプタマードメイン、及びSchistosoma mansoniハンマーヘッド型リボザイム(本明細書において「HH」と称される)の3つが本明細書において例示される(図1)。これらの親RNA足場の各々において、接合部は、読み取りドメインへの二次構造架橋として機能することができるP1ヘリックスの近位に主な生物学的活性を提供する。
【0133】
開始ライブラリは、獲得物が出現するような適切なプール多様性を確実にするために、接合部の十分な数のヌクレオチドをランダム化しながら、足場の全体的な二次及び三次構造を保持するように設計された。接合部の接合鎖の全てのヌクレオチド(各位置の4つのヌクレオチドの等しい集団)ならびに接合部の近位にある各ヘリックスの少なくとも1つの塩基対をランダム化した(図1)。GR足場に関して、これにより、約7x1013配列(423配列)のライブラリサイズに等しい23のランダム化されたヌクレオチド位置の初期ライブラリを得た。CDG及びHHは、同等のレベルの多様性を含んだ(約4x1012配列のライブラリサイズに等しい21のランダム化されたヌクレオチド位置;421配列)。この配列数は、理論的上、少なくとも5倍の冗長性を有するRNAの初期プールにおいて完全に表される。これは、典型的な選択に推奨されるものよりも実質的に低い多様性であるが、新規アプタマーは、更により限られた配列空間のサンプリングで開始プールから得られた。
【0134】
3つの足場が、特定の設計特長を有するライブラリカセットに組み込まれた。足場配列の初期及び末端塩基を含む各足場のP1ヘリックスは、RNA構造のSelective 2’-Hydroxyl Acylation analyzed by Primer Extension(「SHAPE」)化学プロービングのために開発されたものに基づいて、全てのライブラリにおいて、設計されたヘリックス含有構造化増幅カセットに置き換えられた(図17)。これは、複製に必要な定常領域が構造化され、選択されたアプタマーに組み込まれる可能性が低いことを確実にする。リガンド結合部位の形成に定常領域が関与する可能性を更に最小限に抑えるために、P1ヘリックスを少なくとも10塩基対に伸長した。初期開始ライブラリをコードするDNAテンプレートの完全な配列を表1及び図23に示す。
【0135】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0136】
足場選択の更なる複雑な問題は、ウイルス逆転写酵素(RT)の忠実度が低いことであった。熱安定性及び処理能力を改善して、この酵素の最も一般的に使用されるバージョンを創出するためのMMLV RTの操作では、その既に低い忠実度を減少させた。足場の保存配列におけるヌクレオチドの誤取り込みまたは欠失は、全体的な折り畳み体を安定化させる三次相互作用を容易に破壊する。構造を欠くRNAは、一部、選択において観察される「小さなモチーフの専制」をもたらす可能性がある各選択回の複製ステップ中に顕著な偏りを導入し得るRTによってより効率的に増幅される。これに取り組むために、近年、最大70℃(SSIIIの55℃に対して)で活性を保持し、MMLV由来RTよりも本質的に高い忠実度を有する、好熱性Geobacillus stearothermophilus(GsI-IIC-MRFまたは「GsI」)からの可動性グループIIイントロン由来の特徴付けされたRTが採用された。比較のために、GR足場選択がGsIとともにMMLV(SuperScript IIIまたは「SSIII」)由来のRTで行われた。
【0137】
実施例2:5HTPに対する足場付き選択は多くの潜在的なアプタマーをもたらす
選択の標的は、セロトニンの直接の生合成前駆体である5-ヒドロキシ-L-トリプトファン(5HTP;図2A)であり、これは、そのカルボキシレート基を介して固体マトリックス上に固定化された。各ライブラリでの7回の選択が行われ、L-トリプトファンに対する対抗選択及びますます厳密な洗浄手順が後の回で行われた。SSIII選択において、親和性カラムが未結合RNAを除去するための競合溶出前に初期の回で大規模に洗浄された、従来のSELEXプロトコルが採用された。競合溶出は最初に4回目で観察され、6回目の全入力RNAの>50%でピークであった。GsI選択には、洗浄厳密性を増大する前に、プールの配列多様性を保持するために、競合溶出下のカラム上に残存する全RNAのおよそ最後の10%が最初の4回において増幅のために収集された、一般的に推奨されるよりもあまり厳密でないプロトコルを使用した。選択の詳細は、実施例6~8及び表2に示される。
【0138】
【表2】
【0139】
配列多様性の保持及び初期の確率事象を最小限に抑える際に、次世代シーケンシング(NGS)及び下流バイオインフォマティクス分析の組み合わせに依存して、潜在的なアプタマーを明らかにし、選択の主な特長を解明した。各選択に関して、>200,000の読み取りを最終回からのRNAについて得、得られた配列をクラスター化し、最尤系統樹を生成した。GR足場を使用したSSIIIとGsI選択との比較は、いくつかの重要な特長を明らかにした。
【0140】
GR/SSIII選択の距離行列は、いくつかの単離されたクラスターのみを明確に示し、各クラスター内で、配列は高い内部関連の程度を有する(図2B)。配列の大部分(>80%)が、5HTP-I、-II、及び-IIIと称される3つの異なる配列関連ファミリーにクラスター化され(図2D)、残りは解釈が困難な小さい集団にクラスター化された。これは、単一の単離体が特定されることが多く、共変動情報を得るために更なる変異誘発及び選択が必要である従来のSELEXに特有である。対照的に、GR/GsI選択は、主要なクラスター間の領域に密集した配列のサンプリングがより高い、より多様なクラスターをもたらした(図2C及び2D)。GsIでのCDG及びHH選択は、多くの潜在的なアプタマーを有するそれらの配列空間において同様に多様である(図7)。従来の選択アプローチは、限られた配列情報でアプタマーを見出すのを容易にするために過剰選択に依存することが多いが、獲得物の多様性の保持及びNGSによる配列分析は、保存及び共変動パターンのより徹底的な分析を可能にし、コンセンサスアプタマー配列の決定に役立つ。同様の結果がGR-足場付きL-DOPA選択において観察された(図18)。有効な5HTPアプタマーをもたらしたクラスターの各々からの250の配列のサブセットは、本明細書において更に記載される。
【0141】
予想外に、SSIII選択の限られた配列多様性に加えて、足場の定常領域の完全な同一性を保持する配列が最終回で回収されないような欠失及び点変異の大量の蓄積が観察された。クラスターのうちの2つである5HTP-I及び5HTP-III(図2D)は、プリンリボスイッチのループ-ループ相互作用の形成に必須である足場のL2またはL3に欠失を有する。加えて、5HTP-IIIメンバーは、極端に別の二次構造の可能性をもたらす選択中に獲得したいくつかの点欠失を含む。この配列の最小自由エネルギー(MFE)及び共変動分析は、L-トリプトファンアプタマー(2方向接合部を含むアプタマー;Majerfeld & Yarus,Nucleic Acids Research,2005,33,5482-5493)のコンセンサス配列と一致する二次構造を示唆し、足場が5HTP-IIIファミリーにおいて維持されなかったことを更に示唆する。5HTP-IIは、ライブラリに設計された三次構造に必要な配列要件を維持する唯一の主なクラスターであり、またSSIIIとGsI選択との間で共有される唯一豊富な配列である。SSIIIを使用した選択とは対照的に、GsI選択は、足場の定常領域に生じる変異の量が低いことを示し、足場の頑強な維持を示す(図8)。
【0142】
高いアプタマーの可能性を有する配列を特定するために、各プールから10の最も密度が高いクラスターを個々に整列させ、MFE構造を予測し、共変動モデルを生成した。これは、選択によって提示された主なコンセンサス配列の情報豊富な表示を可能にする。GR/SSIII実験は、非常に過剰選択されたため、3つの主なクラスターの各々からの最も豊富な配列を更なる検証のために選んだ。GsI選択に関して、コンセンサスMFE構造が親足場と一致した1つ以上のクラスターからの優性配列が選択された。
【0143】
実施例3:最も密集したクラスターは足場アーキテクチャを保持し、高い選択性で5HTPに結合する
構造的足場は、得られたアプタマーの構造的及び相互作用特長の検証を非常に容易にする。「SHAPE」と称される技法のN-メチルサト酸無水物(「NMIA」)を使用したRNA構造の化学プロービングは、親足場の二次及び三次アーキテクチャが保持されたか、ならびにリガンド依存的構造がアプタマーにおいて変化したかを明らかにする。GR/SSIII選択において、5HTP-I及び5HTP-IIアプタマーは、リガンドの存在下で、3方向接合要素内のNMIA反応性パターンの変化を局在し、リガンド結合部位であるこれと一致する(図3A図19)。しかしながら、5HTP-IIIは、定常領域のJ2/3の外側で変化を示し、予測された構造及び前に記載されたトリプトファンアプタマーのL-Trp結合部位と一致する(Majerfeld & Yarus)。GR足場の保持は、L2と相互作用するときにのみ存在するL3の独自のリガンド非依存的NMIA反応性の特徴を使用して評価された(Stoddard et al.,RNA,2008,14,675-684)。5HTP-IIは、この特長を示すSSIII選択の3つのクラスターからの唯一の配列である。逆に、GR/GsI選択からの全ての試験した配列は、この三次構造の特徴を有する(図9A及び20)。これらのデータは、GR/SSIII選択が3つの異なるアプタマーをもたらし、5HTP-IIのみが構造的足場を保持する一方で、GR/GsI選択が足場を維持する複数の解決策をもたらしたことを強く示す。GR/GsI単離体の5HTP依存的な特徴は、5HTP-II及び親アプタマーのものよりも弱いが、定量化は、それらが類似する様式で接合部に局在することを明らかにする(図3B)。CDG/GsI及びHH/GsI選択のSHAPE特徴付けは、アプタマーの新しいクラスのリガンド依存的変化を示し、全体的な反応性パターンは、親足場に類似する(図9B、9C、21、及び22)。
【0144】
5HTPのこれらのアプタマーの親和性及び選択性、ならびに一組の化学的に同様の化合物を、等温滴定熱量測定(ITC)により評価した。重要なことには、試験したアプタマーの全てに関して、5’-及び3’-カセット配列は5HTP結合に必要ではなく、中性配列の良好な設計を示す(図3C)。いくつかの傾向がこの分析から浮かび上がった。まず、親足場を保持しない両アプタマー(5HTP-I、-III)は、細胞に基づく用途に重要な要件である5HTPとL-トリプトファンとを区別しない(表3)。第2に、3方向接合足場を保持する大部分のアプタマーは、破壊された足場を有するアプタマーよりも5HTPに高い親和性を有し、全てがL-トリプトファンを強く区別する。これは、足場のアーキテクチャが、アミノ酸に結合する他の合成及び天然アプタマーと比較可能な親和性を維持しながら、選択的結合ポケットを創出するのに重要であることを示す。5HTP-I及び5HTP-IIIは、5HTP及びセロトニン間の強い区別を示し、主な鎖原子が直接認識されることを暗示する。対照的に、足場を保持するアプタマーの多くは、5HTPよりも2~4倍高い親和性でN-メチル-5-ヒドロキシ-L-トリプトファノミドに結合する。また、それらは、5HTPの脱炭酸産物であるセロトニンに結合し、結合における主な鎖原子の要件が低いことを示唆する(図3)。したがって、これらのアプタマーのいくつかが優れたセロトニンセンサーであり得る。GsI選択から最も際立ったことは、各選択からの優性アプタマーが、異なる足場アーキテクチャを有するにもかかわらず、非常に類似する結合親和性及び選択性プロファイルに集まり、3方向接合部が5HTP結合ポケットを提供するための頑強な折り畳み体であることを明らかにしたことである。まとめると、これらのデータは、3方向接合部アーキテクチャ変異型などの異なるオリゴヌクレオチド接合部が5HTP認識のための頑強な解決策を見出すことができることを示す。
【0145】
【表3】
【0146】
実施例4:5GR-IIアプタマーの構造分析は反復RNAモチーフが5HTP結合に使用されることを明らかにする
本明細書に記載の足場付き選択戦略が親RNAの折り畳み体を保持したことを更に示し、RNAが5HTPをどのように認識することができるかを解明するために、5HTPと複合体形成した5HTP-IIの構造を2.0Å分解能で決定した(図3D、代表的な電子密度図が図10に示され、結晶学統計値が表4に示される)。この構造は、残基19~77の全ての骨格原子に対して6.5Åのr.m.s.d.の親xptグアニンリボスイッチアプタマーと全体的に重なり、偏差の主な供給源は、結合ポケット及び有効な接合領域に関してP1の異なる角度によりもたらされた(図16A~C)。L2-L3三次相互作用内で、塩基-塩基相互作用のパターン及び骨格配置は2つのRNA間でほぼ同一である(残基31~39、61~67の全ての原子に対してr.m.s.d.0.96Å)。したがって、GR足場は、選択プロセス中、全体的及び局所的の両方で未変化のままであった。
【0147】
【表4】
【0148】
5HTP-IIのリガンド結合ポケットは、親RNAとは根本的に異なる局所構造を有する3方向接合部内に存在する。直接的なリガンド接触は、主に、通常のRNA構造モジュールのTループを使用して、J2/3のヌクレオチドにより媒介される(図4A)。J2/3の最初の5つのヌクレオチドは、tRNAPheTループとほぼ完全に重なる正準Tループ構造を形成する(骨格残基についてr.m.s.d.0.49Å)。Dループと対合する長距離のワトソン・クリックによるtRNA Tループの3位の安定化は活性に重要である。5HTP-IIは、TループのG47とJ3/1のC75との間に同様の相互作用を有する。5HTP-IITループは、tRNA TループがどのようにDループからの挿入プリンを提供し、そのリボスイッチによるチアミンピロリン酸(TPP)認識とも類似するオルソロガスな様式で4位と5位との間に積み重ねられる5HTPを提供する(図4B)。Tループはリガンドの認識に直接関与するが、3つ全てのランダム化された領域からのヌクレオチドは、Tループを安定化するコンパクトな接合部の形成に役立つ局所構造に関与する。そのように複雑な一組の相互作用がTループを支持することを考えると、単離されたTループが5HTPに結合する可能性は低い。
【0149】
5HTP-IIの結晶構造により、他の足場付きアプタマーによる5HTP認識の更なる見識が得られる。GR/GsI選択において最も豊富なクラスターである5HTP-IVもTループのUUGAA特徴を含む。しかしながら、モチーフは、単一のヌクレオチドによって3’シフトされ、5HTP-IIと5HTP-IVとの間のJ1/2及びJ3/1における顕著な配列相違により示唆されるように、3方向接合部内に別の配向をもたらす可能性がある。HH選択において、最も密度が高いクラスター(5HTP-VIII)の最も豊富な配列もJ2/3のTループの保存されたUUGAA配列を含む。5HTP-VIIIアプタマーのこの領域の配列差異分析は、わずかな偏差のみで生物学的Tループのものと一致する保存パターンを明らかにする(図11)。これは、TループモチーフがRNAによる小さな平面化合物の認識のための頑強なモジュールであり得ることを示唆する。CDG選択からのRNAにおける明らかに識別可能なTループは存在しないが、結合パラメータは、他の2つの選択のものとほぼ完全に一致し、同様の認識モードを示唆する。
【0150】
実施例5:足場付きアプタマーは、頑強な小分子感覚デバイスに容易に組み込むことができる
足場付き選択技法が十分に折り畳まれ、高度に構造化された特異的なRNAアプタマーの創出を可能にすると立証するため、機能的合成RNAバイオセンサーを産生するその能力を試験した。これらのデバイスを創出するために、短いヘリックス要素を介して小分子結合アプタマーをフルオロフォア結合モジュールに連結する戦略を使用した。各ライブラリからの主な候補アプタマーをブロッコリーフルオロフォア結合アプタマーに結合し、2つのヘリックス変異型(通信モジュールは「A」及び「U」と称される、図12)は2つのアプタマーを連結する。これにより、様々な出力蛍光ダイナミックレンジで、インビトロで数桁にわたって5HTP及び/またはセロトニンを感知することができる一組のRNAが得られる(表5及び表6)。これらのセンサーの多くは、リガンドが存在する場合、同一の条件下で未コンジュゲートのブロッコリーアプタマー単独以上の蛍光レベルをもたらすことができる。この系に特有なのは、ブロッコリー蛍光によって監視されるとき、単離されたアプタマーのKに対する明らかに低減したF50(最大蛍光応答の半分を誘発するのに必要なリガンド濃度として定義される)である。しかしながら、いくつかの足場付きアプタマーは、それらのKとF50との間に約10倍の差異しか示さない。全体的に、これは、感度またはリガンド毒性がリボスイッチ用途における制限因子である場合に考慮する重要な特色であるKとF50との差異が1000倍に近づき得る、文献の天然のリボスイッチアプタマードメインの例に比べて優る。
【0151】
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【0152】
上記デバイスのうち、5HTP-II(A)は、E.coliにおいて5HTPを特異的に感知することができる。この遺伝学的にコードされたセンサーは、栄養豊富な既知組成培地中で成長する(10分間)E.coliに2mMの5HTPを添加したときに蛍光の迅速な誘導をもたらした(およそ80%の細菌が20分以内に観察可能な応答を示した)(図5)。蛍光シグナルは、5HTPに結合するRNAデバイスに完全に依存した。L-トリプトファンが培地に含まれた場合、またはセンサーが単離されたアプタマーに結合するリガンドを切断したTループモジュールに点変異(A48U)を含んだ場合、シグナル増加は観察されなかった(データ示さず)。更に、5HTPの存在下での相対的な蛍光の増加は、生細胞の天然のリボスイッチアプタマードメインに基づく頑強な環状ジヌクレオチドセンサーと比較可能であった。重要なことには、これらの観察は、天然ではないアプタマーが蛍光センサーとの関連で天然のアプタマーと比較して低減した細胞内性能を有するという主張と対照的である(You,PNAS(2015)112:21,E2756-2765)。
【0153】
選択した足場付き5HTPアプタマーも、遺伝子調節要素を生成するために天然のリボスイッチ発現プラットホーム由来の操作されたモジュール式二次スイッチに結合された。アプタマーのP1ヘリックス及び発現プラットホームが直接結合される結合戦略を使用して、5HTP-IVセンサー及びpbuE「ON」スイッチプラットホームを融合することにより、転写の優れたリガンド依存的調節因子が操作された(図6A)。得られたRNA要素は、単独で、インビトロでアプタマードメインと同一の特異性プロファイルを有する転写リードスルーを活性化することができ、天然のリボスイッチと一致するダイナミックレンジを有する(図6B);驚くべきことに、L-Trpは、リードスルー転写を可能にすることが完全に不可能である。同様に、KとT50との間の不一致はわずかであるが(セロトニンに関しては6倍、5HTPに関しては22倍)、アプタマーの熱力学的特性がアダプター配列と通信するその能力に必ずしも影響しない天然のリボスイッチの観察された傾向を反映した。
【0154】
実施例6:例示的な実施形態による足場付きアプタマー
ブロッコリーアプタマーをtRNA足場に結合して、細胞に基づく用途のバイオセンサーを安定化した。4つの異なるGR-足場付き5HTPアプタマーを異なる長さ(2~5のA-U及びU-A塩基対;図14A)の4つの通信モジュールに結合し、各得られたバイオセンサーをリガンド依存的様式で蛍光を発する能力について試験した。各センサーを、インビトロ(図14B;表7及び8)及びE.coli(図14D;表9及び10)の両方において、蛍光におけるそれらのリガンド依存的変化倍率、及び単離されたブロッコリーアプタマーに対する最大輝度について評価した。インビトロでの候補の迅速なスクリーニングを可能にするために、バイオセンサーを転写し、更に精製することなく蛍光アッセイに直接使用した。これらのデータは、3つのアプタマー(5GR-II、-IV、及び-V)がインビトロ及び細胞状況の両方において5HTP及び/またはセロトニンを検出することができるセンサーをもたらしたことを明らかにし、5GR-IIは蛍光の増加倍率及び最大輝度の組み合わせに関して最良の性能を示す。
【0155】
足場付きアプタマーの能力を更に示すために、生細胞の撮像を使用して、5GR-II/CM-4バイオセンサーを使用するE.coliによる5HTPの取り込みを可視化した。単一細胞の蛍光撮像は、栄養豊富な既知組成培地中で成長するE.coliに2mMの5HTPを添加したときに蛍光の迅速な誘導を明らかにした(およそ80%の細菌が20分以内に観察可能な応答を示した)(図15A、D)。蛍光シグナルは5HTPに結合するRNAデバイスに完全に依存した;L-トリプトファンが培地に含まれた場合(図15B、E)、またはセンサーが単離されたアプタマーに結合するリガンドを切断したTループモジュールに点変異(A48U)を含んだ場合(図15C、F)、検出可能なシグナル増加は観察されなかった。5HTPの存在下での相対的な蛍光の観察された増加は、生細胞の天然のリボスイッチアプタマードメインに基づく頑強な環状ジヌクレオチドセンサーと比較可能であった。これらの結果は、合成アプタマーが天然のアプタマーと比較して低減した細胞内性能を有するという以前の主張と対照的であり、ここでは複数の合成アプタマーがアロステリック蛍光発生RNAとの関連でE.coli内で機能することができることを示す。
【0156】
上記の5HTPバイオセンサーは、選択したアプタマーの生化学及び生物理学的分析からの知識を用いて設計された。しかしながら、バイオセンサーの迅速な開発のための最適なワークフローは、候補RNAを設計するために、選択の計算分析からのみ導かれた情報を使用することができるだろう。足場付きアプタマーが実験上の特徴付けなくバイオセンサーの操作を可能にする設計原理を組み込むことを示すために、L-DOPA選択から導かれた4つのアプタマーに上記バイオセンサー戦略を用いた。これらのアプタマーのいずれも、アロステリック蛍光発生センサーへのそれらの組み込み前にいかなる様式において検証されなかった。インビトロ(図14C;表7及び8)及びE.coli(図14E;表9及び10)での、L-DOPA及びドーパミンを用いた、得られたバイオセンサーのスクリーニングは、両方の状況で機能する2つのアプタマー(DG-I及びDG-II)を明らかにした。
【0157】
【表7】
【0158】
【表8】
【0159】
【表9】
【0160】
【表10】
【0161】
実施例7:考察
RNAに基づくデバイスは、シスで調節する能力、予測可能な二次構造、及び小さな遺伝的足跡を含む、タンパク質に基づく代替物と比較した場合、独自の特長組によって導かれる合成生物学における頑強なツールとなる方向に進歩している。合成リボスイッチ、アプタザイム、及び蛍光発生RNAセンサーの創出に努力が注がれてきたが、それらの能力は、かなりの部分で、そのようなデバイスとの関連で機能する小分子受容体の限られた利用可能性により、まだ完全には理解されていない。本明細書に提示される作業において、インビトロ選択を通して生じた小分子結合ポケットに足場を設けるために、自然に進化したリボスイッチ及びリボザイムの二次及び三次構造アーキテクチャを利用する戦略が設計された。重要なことには、選択の最終回のハイスループット配列決定から得られた情報以外を使用することなく、このアプローチを使用してL-DOPAに選択されたアプタマーを、蛍光発生アプタマーモジュールに結合して、細胞状況において機能する遺伝学的にコード可能なバイオセンサーを産生する。
【0162】
本明細書に記載の方法及び組成物の1つの主な長所は、一連のアプタマーを得るために、平行選択で複数の足場を使用することである。これは、同じサブセットの溶液がセンサーの多様性及び開発を大幅に制約する単純なランダム化されたプールから再現的に生成される当該技術分野で既知の従来の方法とは大幅に異なる。異なる足場由来のアプタマーは、同様の5HTPに対する親和性及びL-トリプトファンに対する選択性を有するが、それらは、足場の全てに共通の特長であるP1ヘリックスを介した読み取りドメインと通信するそれらの能力に関して明確に異なる特徴を有する。生物学的リボスイッチにおいて、リガンドは、直接接触しているか、またはアプタマーを下流調節スイッチに連結するP1ヘリックスを伴うRNAにおける立体構造変化を誘導するかのいずれかである。科学的理論に拘束されることを意図することなく、これは、異なるアプタマーにわたるセンサーの性能の相違が、一部、選択において完全に制御することができない特長であるリガンドとドメイン間(P1)ヘリックスとの間の空間的関係における変動によるものであると仮定される。しかしながら、大規模な選択とは異なり、本明細書に提示される足場付き選択アプローチは、可能なリガンド位置を制約することによって好都合なリガンド/P1配向へと選択を強く偏らせる。
【0163】
一連のアプタマーでは、本明細書におけるドーパミンセンサー開発に代表されるように、コンビナトリアルアプローチを用いて、広範なアプタマーの特徴付けまたはデバイスの最適化を行うことなく、センサーを迅速にスクリーニングすることができる(図19)。大規模な選択から導かれたアプタマーからのRNAデバイスの開発は、多様性の欠如により感覚アプタマーを固定された不変ノードとして残しながら、通信モジュールの広範なスクリーニングとともに徹底的な特徴付けを必要とする。本明細書に記載の足場付き選択方法及び組成物では、L-DOPA選択で示されるように、一組の異なるアプタマーが組み合わせにより一組の通信モジュールに結合され、所望の活性を有する変異型を迅速にスクリーニングし得る。この様式により、本明細書に提供される方法及び組成物は、それらの開発における主な障害を軽減することによって、便宜的なRNAデバイス及びセンサーの開発を容易にするはずである。特に、この研究では、特徴付け及び/またはセンサー設計のための各選択において、最も密度が高いクラスターのみに焦点を置くが、各選択内で、下流用途を開発するためのアプタマーの初期プールを更に濃縮し得る代替配列を含む多くのクラスターが存在する。
【0164】
本明細書に記載の選択方法及び組成物の第2の強力な利点は、3方向接合部アーキテクチャの三次相互作用により提供される細胞状況における頑強な折り畳みの可能性である。これらのアプタマーの各々は、広範な生物進化を受けた折り畳み体を有する。更に、3方向接合部のコアを編成する遠位三次相互作用は高度に安定であり得る。プリンリボスイッチのL2-L3相互作用及び環状ジ-GMPリボスイッチ足場のテトラループ-テトラループ受容体の両方は、他のRNA構造の状況の外側で安定して形成することができる。対照的に、選択された足場に関して多様性の別の態様である、S.mansoniハンマーヘッド型リボザイムを編成する長距離相互作用は動的である。足場における頑強な二次及び三次構造の存在は、これらの要素が初期ライブラリの全てのメンバーの折り畳みを潜在的に先導することを可能にする。対照的に、選択中のRNAの誤った折り畳み及びまたは最終アプタマーにおける複数のMFE構造の存在は、従来の大規模な選択には非常に問題であることが多い。典型的な選択プロトコルにおいて高忠実度の折り畳みに対する顕著な選択圧がないため、開始ライブラリにおいてこの情報を提供することは、頑強な折り畳みRNAへの道筋であり得る。
【0165】
3方向接合足場が本研究の焦点として選択されたが、天然のリボスイッチ及びリボザイムの多様性は、このアプローチに更なる供給材料を提供し得る。3方向接合部ファミリー内で、特定のリガンドまたはセンサーに優れた足場を提供し得る3つのヘリックスの配向、接合部領域のサイズ、及び遠位三次相互作用の性質を変える広範囲にわたる配列が存在する。更に、他の折り畳み体は、同族リガンドの性質に基づいて標的小分子に結合しやすくなり得る。例えば、5HTPに結合する足場の別の理論的な選択は、リジンリボスイッチアプタマードメインである。より大きなリガンドは、フラビンモノヌクレオチドまたはコバラミンリボスイッチ由来足場によってより容易に認識され得る一方で、NADHなどのジヌクレオチドは、二環状ヌクレオチドアプタマーのうちの1つにより簡単に対処され得る。天然のRNAアプタマーは、化学的に多様な小分子を認識することが分かったため、新規アプタマーの選択に向けたそれらのアーキテクチャの利用が、広範囲な用途にわたる細胞環境において小分子を監視し、それに応答するための強力な新しいツールの開発を容易にする可能性がある。
【0166】
実施例8:ライブラリ構築
各足場に関して、親RNAのリガンド結合部位または活性部位を囲む8Åシェル内のヌクレオチドはそれらの結晶構造から特定された(GR、PDB ID 4FE5;CDG、PDB ID 3IWN;HH,PDB ID 3ZD5)。対応する位置は、逆転写及び増幅のための保存隣接配列(Integrated DNA Technologies;この研究に使用された全ての核酸の配列は表1に提供される)を有するアプタマードメイン全体に及ぶDNA ultramerにおいてランダム化された。ssDNAは、約2x10-12mol DNA(約1012の個々の配列に相当する)が各100μLのPCR反応に使用され、T7部位付加及びRT-PCRプライマーを用いて15サイクルの間増幅された標準のTaq PCR条件を使用して、転写のためのdsDNAテンプレートに変換された。およそ1x1014配列を、40mMのTris-HCl、pH8.0、25mMのDTT、2mMのスペルミジン、0.01%Triton X-100、各4mMのrNTP pH8.0、0.08単位無機ホスファターゼ(Sigma-Aldrich、凍結乾燥粉)、及び0.25mg/mLのT7 RNAポリメラーゼを含む12.5mLの転写反応物において転写し、37℃で4時間インキュベートした。次いで、転写試料を、-20℃の75%エタノール中で沈殿させ、ペレット化し、300μLのホルムアミド、3mLの8M尿素、及び300μLの0.5M EDTA pH8.0の溶液に再懸濁した。完全長RNAを変性8%の29:1のアクリルアミド:ビスアクリルアミドゲルで精製した。産物RNAをUVシャドウイングにより可視化した後にゲルから切り出し、0.3MのNaOAc pH5.0において溶出した後に、0.5xTEに交換し、貯蔵した。
【0167】
実施例9:5HTP親和性カラムマトリックスの合成
誘導体化カラムに関して、3mLの床容積のEAHセファロース 4B(GE Healthcare)をジメチルホルムアミド(DMF)で脱水した。10μモルのFmoc-5-ヒドロキシ-L-トリプトファン及び10μモルのベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)を1mLのDMFに溶解し、20μモルのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を有する脱水したカラムに添加し、室温で2時間、攪拌しながらインキュベートした。次いで、カラムマトリックスを流し、DMFで十分に洗浄した。未反応セファロースアミンは、およそ1mL DMF中の1mmoleの酢酸無水物及び1mmoleのDIPEAを添加することによりアセチル化され、室温で1時間混合された。アセチル化混合物をカラムから流し、20%v/vピペリジン/DMFを使用して、Fmoc脱保護の前にDMFで洗浄した。カラムのアミノ酸濃度は、脱保護画分におけるFmocの濃度を測定することにより決定された(A301nm=8000M-1cm-1)。この方法は、およそ0.5~1mMの脱保護されたアミノ酸/1mL樹脂を生成した。対抗選択に関して、EAHセファロースは、アセチル化セファロースをもたらすリガンド結合ステップを省くことを除き、まったく同じに調製された。
【0168】
実施例10:インビトロ選択
SuperScript III逆転写酵素(GR/SSIII)を使用するGR足場選択に関して、350μLのアセチル化セファロースを選択緩衝液(10mMのNa-HEPES、pH7.0、250mMのNaCl、50mMのKCl、10mMのMgCl、0.1mg/mLのtRNA)において平衡化し、350μLの選択緩衝液中の1nmolのライブラリRNAを、攪拌しながら室温で30分間インキュベートした。適用した溶液を除去し、350μLの選択緩衝液で1回カラムマトリックスを洗浄した。プールしたフロースルー及び洗浄液(合計750μL)を予め平衡化した5HTP誘導体化セファロース4Bカラムに添加し、45分間インキュベートした。次いで、カラムを空にし、選択緩衝液で3回洗浄した後、選択緩衝液中10mMの5HTPで溶出した(350μL中で、1時間のインキュベーションを2回;合計700μLの溶出容積)。次いで、溶出した画分を0.5mLのUltracel 10kD MWCOフィルタ(Millipore)において50μLに濃縮し、0.3Mの酢酸ナトリウム(pH5.0)、5μgのグリコーゲン中にエタノール沈殿させ、75%エタノールの最終濃度にした後に-70℃で30分間貯蔵した。各サイクルの条件の詳細は表2に提供される。
【0169】
競合的に溶出されたRNAを新しいRNA集団に変換するために、溶出画分をエタノール沈殿させ、4℃で、13000xgでペレット化し、デカントし、真空下で乾燥させた。乾燥させたペレットを各0.7mMのdNTP、7μMのRT-PCRプライマーで再構成し、14μLの総容積にした後、5分間65℃に加熱し、氷上で10分間インキュベートした。次いで、溶液を、20μLの総容積中5mMのDTT及び200単位のSuperScript III(Life Technologies)を用いて1x SuperScript III一本鎖緩衝液(5x:250mMのTris-HCl、pH8.3、375mMのKCL、15mMのMgCl)に提示した後、54℃で15分間伸長した。20μL全ての逆転写溶液を、標準のTaq DNAポリメラーゼ条件を使用して、総容積500μL中でPCR増幅した。次いで、増幅したプールを、40mMのTris-HCl、pH8.0、25mMのDTT、2mMのスペルミジン、0.01%Triton X-100、各4mMのrNTP pH8.0、0.08単位無機ホスファターゼ、及び0.25mg/mLのT7 RNAポリメラーゼを含む1mLの転写反応物に100μLのPCR反応物を添加することによって転写し、37℃で2時間インキュベートした。32P標識RNAのための100μLの転写反応を、rNTPがUTP、CTP、及びGTPについて2mMに低下し、同時にATPが200μM及び約100μCi 32P-ATPに還元された伸長を用いた同様の条件下で行った。適切にスケーリングしたゲル充填条件を用いて、上述のように転写試料をゲル精製した。
【0170】
GsI逆転写酵素を使用した選択は、以下の変更とともに上述のように行われた。選択のための緩衝液は、減少させたマグネシウム濃度及びより生理学的に適切な一価のカチオン:25mMのNa-HEPES、pH7.0、150mMのKCl、50mMのNaCl、3mMのMgCl)を含んだ。GsI-IIC-MRF逆転写酵素がSuperScript IIIの代わりに使用された。GsI-IIC MRF逆転写酵素をE.coliにおいて発現させ、記載のように精製した(Mohr et al.,RNA,2013,19,958-970)。沈殿させたRNAペレットを1.25mMのdNTP及び20μMのRT-PCRプライマーに提示した後、65℃で変性し、4℃でアニーリングし、60℃で平衡化した。次いで、溶液を、20μLの総容積中で1xGsI-IIC-MRF緩衝液条件(10mMのNaCl、1mMのMgCl、20mMのTrisCl、pH7.5、1mMのDTT)に提示し、伸長のために60℃で十分な酵素を添加した。PCRは上述のように行った。
【0171】
実施例11:ハイスループット配列決定及びバイオインフォマティクス分析
フローセルにアニーリングするために必要なIlluminaハイブリダイゼーション配列を付加するために標準のPCRを実施した。各ライブラリを、順方向配列決定プライマー及び特徴のある12のヌクレオチドバーコードを含む独自の逆方向プライマーを用いて増幅した(配列は表1に示される)。カスタムリード及びインデックスプライマーを用いたMiSeq(Illumina)での150サイクル用のv3試薬キットを使用して、試料を配列決定した。
【0172】
得られた配列を、QIIME(Caporaso et al.,Nat.Methods,2010,7,335-336)からのスクリプトを使用して逆多重化し、トリミングし、品質選別した。P1ステムの外側の全ての配列情報をトリミングし、各ヌクレオチドに対してPhredスコア≧20を有する配列のみを分析に使用した。次いで、各ライブラリの得られたfasta形式のファイルを、90%同一性でクラスター化されたシード配列を生成するUSEARCH(Edgar,Bioinformatics,26,2460-2461)によるクラスター化に供した。単一配列を含む全てのクラスターを廃棄した。次いで、密度が高い上位10のクラスターをそれらの元の配列ファイルにマッピングし戻し、250の個々の配列を、更なる分析のための各クラスターの代表的な試料としてランダムに選んだ。各クラスターの配列を、MUSCLE(Edgar,NAR,2004,32,1792-1797)を使用して整列し、得られたアラインメントをCMfinder(Yao et al.,Bioinformatics,2006,22,445-452)を使用して分析した。R2R(Weinberg & Breaker,BMC Bioinformatics,2011,12,3)をそのデフォルト設定で実行して、最小自由エネルギー(MFE)二次構造上にマッピングされた配列保存図を生成した。
【0173】
実施例12:NMIA化学プロービング
前に記載されるように(Edwards et al.,Methods Mol.Biol.,2009,535,135-163)、RNAを調製した。RNAの5’及び3’端に隣接する構造カセットを付加して逆転写を容易にし、確立されたプロトコル(Wilkinson et al.,Nat.Protoc.,2006,1,1610-1616)を使用して、25℃でNMIA修飾を行った。100mMのNa-HEPES、pH8.0、100mMのNaCl、及び6mMのMgCl中100nMでRNAをプローブした。リガンドの濃度は、示される場合、500μMであった。ゲル画像はSAFA(Das et al.,RNA,2005,11,344-354)及びImageJ(NIH)により分析された。
【0174】
実施例13:等温滴定熱量測定(ITC)
試験した全てのRNAは、SSIII選択緩衝液(10mMのNa-HEPES、pH7.0、250mMのNaCl;50mM KCl;10mMのMgCl)に交換され、10kD MWCOフィルタ(EMD Millipore)において3回洗浄された。リガンドは乾燥個体から直接結合緩衝液に提示され、濃度は、5-ヒドロキシインドール部分に関して、275nmで8000mol-1cm-1の吸光係数を使用して、NanoDrop 2000(Thermo Scientific)で確立された。RNAを50~100μMに希釈し、リガンドを、RNAのおよそ10倍の濃度で滴定した。滴定は、確立されたプロトコル(Gilbert and Batey,Methods Mol.Biol.,2009,540,97-114)を使用して、MicroCal iTC200マイクロカロリメーター(GE Healthcare)を使用して25℃で行った。データを分析し、Origin 5.0ソフトウェアスイート(Origin Laboratories)を用いてフィッティングを行った。
【0175】
実施例14:5HTP-II/5HTP複合体の構造決定
前に記載されるように(Edwards et al.,Methods Mol.Biol.,2009,535,135-163)、結晶化のためのRNAを調製した。Amicon Ultra 15 10k MWCOフィルタ(EMD Millipore,Inc.)においてRNAを濃縮し、0.5xT.E.緩衝液に交換した。2μLのRNA:リガンド複合体(1:1)及び3.5μLの母液(8~14% 2-メチル-2,4-ペンタンジオール、40mMのカコジル酸ナトリウム、pH5.5、4mMのMgCl、12mMのNaCl、80mMのKCl、及び4~9mMのヘキサアンミンコバルト)を混合し、マイクロシーディングし、22℃で1~3日間インキュベートすることにより、回折品質の結晶を得た。結晶は更なる低温保護を必要とせず、データ収集前に液体窒素で急速冷凍された。100KでCuKα放射線(1.5418Å)を使用して、Rigaku R-Axis IV画像プレートシステムを用いてデータを収集し、D*TREK(Pflugrath,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,1999,55,1718-1725)を使用してインデックスを付け、スケーリングした。ヘキサアンミンコバルトを1~11mMのヘキサミンイリジウムに置き換えることによって作製された重原子誘導体のデータも社内(home)x線源で収集された。異常散乱(SIRAS)方法を用いた単一同形置換を使用して相を決定した。AutoSol(Adams et al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,2010,66,213-221)を使用して12のイリジウム原子を見つけ、次いで、これを、相を計算するために使用した。得られた実験密度図はRNA骨格の明白な特長を表し、ヘリックスは、モデルを構築するために使用した。
【0176】
初期のモデルは、Coot(Emsley & Cowtan,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,2004,60,2126-2132)においてリガンドなしで、PHENIX(Adams et al.,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,2010,66,213-221)における精密化回間で繰り返し構築された。数回の精密化及び疑似アニーリングを通してRNAモデルを得た後、5HTPをモデルに構築した。この構築時点で、リガンドの確信的な配置及び配向を可能にする結合ポケットにおいて明らかなリガンド密度が存在した。リガンド及び塩基の配置はコンポジットオミットマップにより検証された(図10B)。F-F差異マップにおけるピークサイズに基づいたリガンド配置の後、水の配置は最終精密化回で自動化された。得られたモデルは、MolProbity(Chen et al.,2010,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.,2010,66,213-221)及び最終モデル統計値(Rwork及びRfreeは、それぞれ、21.9%及び26.2%であった)を使用して判断されるように、良好な配置を有した。全ての結晶学データ及びモデル統計値を表4に示す。
【0177】
実施例15:インビトロブロッコリーセンサーアッセイ
上述のようにRNAを調製するが、金属イオンの持ち越しを最小限に抑えるために、10k MWCO Amicon Ultra(Millipore)において、追加の0.5xT.E.緩衝液洗浄を伴った。全てのRNAセンサーを、80mMのTris-HCl、pH7.4、150mMのKCl、及び50mMのNaClを含む緩衝液中0.5μMのRNA及び10μMの(Z)-4-(3,5-ジフルオロ-4-ヒドロキシベンジリデン)-1,2-ジメチル-1H-イミダゾール-5(4H)-オン(DFHBI)の濃度でアッセイした。緩衝液、リガンド、マグネシウム(濃度は表6に示される)、及びDFHBIを混合した後、RNAを添加し、全ての反応物を室温で30分間インキュベートした。DFHBI蛍光を、Greiner 96ウェルの平底黒色蛍光プレート(Thermo Scientific)に200μLの反応容積を入れ、Tecan Infinite M200 PROプレートリーダーで読み取ることにより測定した。試料を460nmで励起し、蛍光発光を506~510nmの平均シグナルとして測定した。最大蛍光応答の半分を誘発するリガンドの濃度を、リガンド濃度の関数として観察された蛍光を二状態モデルにフィッティングすることにより決定した。
【0178】
操作されたセンサーをG-ブロック(図23に示されるセンサーの配列;Integrated DNA Technologies)として合成し、標準の分子クローニング技法を使用して、pET30bのXbaIとBlpI部位との間にクローニングした。全ての得られたプラスミドを配列検証した。T7 RNAポリメラーゼ転写反応に関して、標準のPCR反応を使用して、DNAテンプレートを、1μMのアウタープライマー(5’:GGCCGTAATACGACTCACTATAGGAGCCCGGATAGCTCAGTCGGTAGAGCAG、3’:TGGCGCCCGAACAGGGACTTGAACCCTGGA)を使用してPCRにより生成した。テンプレートをインビトロ転写反応(上記を参照されたい)に直接添加し、RNA合成を37℃で2時間進行させた。上記の転写反応からのRNAを更に精製することなくアッセイに直接使用した。
【0179】
各センサーの活性は、50μLのインビトロ転写反応物、10μLの10xSurvey Buffer(1x:50mM K-HEPES、pH7.5、10mMのMgCl、150mMのKCl、50mMのNaCl)、30μMのDFHBI-1T、及び2mMのリガンド(+リガンド反応に関して)を含む100μLの反応物において監視された。反応物を室温で30分間インキュベートし、DFHBI蛍光を、Greiner 96ウェルの平底黒色蛍光プレート(Thermo Scientific)に90μLの反応容積を入れ、Tecan Infinite M200 PROプレートリーダーで読み取ることにより測定した。試料を460nmで励起し、蛍光発光を506~510nmの平均シグナルとして測定した。全ての実験に関して、tRNA-足場付きブロッコリーアプタマーの陽性対照は、リガンドの存在下及び不在下で行われ、これは相対輝度の参照としても使用された。誘導倍率は、DFHBI-1T+リガンド反応の蛍光値をDFHBI-1T条件単独の蛍光値で除すことにより計算された。全ての実験は、三つ組で行われ、定量化されたデータは平均値の標準誤差(s.e.m.)で報告された。
【0180】
実施例16:インビトロブロッコリーセンサーアッセイ
E.coli One Shot(登録商標)BL21 Star(DE3)細胞(Thermo Fisher)を、誘導制御下で、センサーを含有するpET30b由来プラスミドで形質転換し、50μg/mLのカナマイシンで補足されたLB寒天上で平板培養し、37℃でおよそ16時間インキュベートした。個々のコロニーを選び、50μg/mLのカナマイシンで補足された5mLのLB中で一晩(およそ16時間)成長させて、培養物を飽和に達するようにした。スクリーニング実験に関して、5μLの飽和させた一晩培養物を50μg/mLのカナマイシンで補足された5mLのLBに添加し、37℃で対数中期(OD600はおよそ0.4~0.6)に成長させた。ブロッコリーアプタマー単独またはブロッコリー/リボスイッチアプタマー融合構築物の発現を誘導するために、IPTGを、各培養物の1mMの最終濃度まで添加し、次いで、これを37℃で更に2時間成長させた。次いで、細胞を、遠心分離によりペレット化し、最終濃度5mMのMgSO及び最終濃度50μg/mLのカナマイシンで補足された5mLの1X M9塩で1回洗浄した。洗浄後、細胞を遠心分離によりペレット化し、250μLの上記のM9培地に再懸濁し、2つの100μlアリコートに分けた。アリコートの半分に、DFHBI-1Tを、110μLの最終容積で50μMの最終濃度まで添加した。アリコートのもう一方の半分に、DFHBI-1Tを50μMの最終濃度まで添加し、リガンド(5HTP、5HP、またはドーパミン)を、110μLの最終容積で1mMの最終濃度まで添加した。次いで、細胞を37℃で30分間インキュベートし、各化合物を取り込ませた。30分間のインキュベーション後、100μLの各アリコートを、Greiner 96ウェルの黒色マイクロプレートにピペットで滴下し、氷上で30分間冷却した。蛍光測定に関して、DFHBI-1Tを472nm及び520nmの発光波長の励起波長で監視した。定量化したデータは、pET30b空ベクター対照を使用して背景補正された3つの生物学的複写物からの平均蛍光値±平均値の標準誤差(s.e.m.)を表す。誘導倍率は、リガンドに曝露された細胞の平均蛍光値をリガンドなしの細胞の平均蛍光で除すことにより計算された。
【0181】
実施例17:5HTPの細胞内蛍光撮像
DNA及び培養物を記載のように(Paige et al.,Science,2012,335,1194)調製した。簡潔に、tRNA/ブロッコリー融合配列を、誘導性T7プロモーターの下流のXbaIとBlpI部位との間のpET30bにクローニングした。配列検証されたプラスミドをBL21(DE3)STAR細胞(Invitrogen)に形質転換し、単一のコロニーを50μg/mLのカナマイシンで補足されたルリアブロス(LB)中で一晩成長させた。一晩培養物を使用して、1:1000希釈で新しいLB/カナマイシン培地に播種し、培養物を37℃でOD600=0.4~0.6に成長させた後、1mMのIPTGで誘導し、37℃で2~4時間成長させた。200μLの得られた培養物を遠心分離し、デカントし、50μg/mLのカナマイシン、5mMのMgSO、及び1mMのIPTGで補足された2mLのM9最小塩培地に再懸濁した。200μLの再懸濁した培養物を96ウェルのポリ-D-リジンコーティングしたガラス底プレート(MatTek)に移し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、培地を除去し、M9/カナマイシン/1mMのIPTG培地でウェルを洗浄した後、200μLのM9培地、1mMのIPTG、及び400μMのDFHBI-1T(Lucerna)を添加した。Nikon Ti-E顕微鏡で、60x油対物レンズ、励起フィルタ472/30、ダイクロイックミラー490(ロングパス型)、及び発光フィルタ520/40を使用するAndor iXon3 897 EMCCDを用いて、ライブ蛍光画像を取り、FIJI(Schindelin et al.,Nat.Methods,2012,9,676-682)で分析した。
【0182】
実施例18:単一ターンオーバーインビトロ転写アッセイ
前に記載されるように(Trausch et al.,Structure,2011,19,1413-1423)、dsDNAテンプレートを転写した。簡潔に、50ngのDNAテンプレートを、12.5μLの2x転写緩衝液(140mMのTris-HCl、pH8.0、140mMのNaCl、0.2mMのEDTA、28mMのβ-メルカプトエタノール、及び70mg/mLのBSA)中で、37℃で10分間インキュベートし、2.5μLの50mMのMgCl、100~200μCiの32P-ATP、及び0.25単位のE.coli RNAポリメラーゼσ70ホロ酵素(Epicentre Biotechnologies)/反応を23μLにした。次いで、7.5μLの反応緩衝液(各165μMのrNTP、0.2mg/mLのヘパリン、及び所望のリガンド濃度)の添加により平衡化反応を開始させ、37℃で15分間インキュベートした後、8Mの尿素でクエンチした。次いで、反応物を8%変性PAGEで分離し、乾燥させ、リン光体イメージスクリーン(phosphor imager screen)に曝露した。次いで、ゲルの定量をImageJ(NIH)で実行し、データを二状態モデルにフィッティングさせた。
【0183】
受入コード
配位及び構造因子は、受入コード4ZAQのもとRSCB Protein Data Bankに寄託されている。
【0184】
参照による組み込み
本出願全体を通して引用される全ての参考文献の内容(参考文献、発行済特許、公開特許出願、及び同時係属特許出願を含む)は、本明細書において、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者に一般的に知られる意味に従う。
【0185】
等価物
当業者は、慣用の実験に過ぎないものを使用して、本明細書に提供される特定の実施形態の多くの等価物を認識する、または確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4
図5-1】
図5-2】
図6A
図6B
図7-1】
図7-2】
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14-1】
図14-2】
図15-1】
図15-2】
図16
図17-1】
図17-2】
図18-1】
図18-2】
図19
図20
図21
図22
図23-1】
図23-2】
図23-3】
図23-4】
図23-5】
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書又は図面に記載のRNAオリゴヌクレオチドのライブラリ。
【外国語明細書】