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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093573
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】照射硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/12 20060101AFI20230627BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20230627BHJP
   C09D 11/00 20140101ALI20230627BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C08F290/12
C09D133/00
C09D11/00
C09J133/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023064415
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2020528238の分割
【原出願日】2018-11-22
(31)【優先権主張番号】17203388.8
(32)【優先日】2017-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】505365965
【氏名又は名称】オルネクス ベルギー エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シバン、エロディー
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】カペル、スティーブン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマーを含む照射硬化性組成物、照射硬化性組成物の作製方法、及びその使用を提供する。
【解決手段】ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む、少なくとも1つの照射硬化性組成物(X)、及び少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)、を含む照射硬化性組成物(Y)であって、照射硬化性組成物(X)のNCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:10であり、アクリル化後の照射硬化性組成物(X)のガラス転移温度(Tg)が少なくとも10℃であり、照射硬化性組成物(Y)のNCO基対OH基の当量比が0.7:1~1.15:1である、照射硬化性組成物(Y)である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)であって、(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)が、
a)ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)であって、
a1)少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)、及び
a2)(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)、
の反応生成物である、水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)、
並びに、
b)少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート基含有モノ付加体(MA)であって、ウレタン結合により、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)に結合し、
b1)少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)、及び
b2)少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)
の反応生成物である、イソシアナート基含有モノ付加体(MA)、
の反応生成物であり、
照射硬化性組成物(X)のNCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:10であり、アクリル化後の照射硬化性組成物(X)のガラス転移温度(Tg)が少なくとも10℃であり、ガラス転移温度(Tg)は標準ASTM E1356-08に従い動的走査熱量計(DSC)により測定されるものである、
照射硬化性組成物(X)。
【請求項2】
照射硬化性組成物(X)のヒドロキシル価IOHが20~350mgKOH/gに入っており、ヒドロキシル価IOHが、以下の方法:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基が、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液により加水分解される;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成された酸官能基が、KOH0.5N溶液で滴定される、
により測定されるものである、請求項1に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項3】
照射硬化性組成物(X)の重量平均分子量(Mw)が5,000ダルトン~200,000ダルトンであり、標準DIN55672-1に従い測定されるものである、請求項1又は請求項2に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項4】
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)及び/又はヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項5】
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、少なくとも1つの第2級ヒドロキシル基を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項6】
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、アルキル鎖に1~12個の炭素原子を有するヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和カルボン酸と1つのエポキシ官能性を有する別の化合物との反応生成物、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項7】
少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)が、スチレン誘導体モノマー(AP21)、(メタ)アクリル及びクロトン酸と飽和直鎖又は環状アルコール類とのエステルであるモノマー(AP22)、官能化モノマー(AP23)、酸性モノマー(AP24)、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項8】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)が、少なくとも20℃のガラス転移温度(Tg)を有し、ガラス転移温度(Tg)が、標準ASTM E1356-08に従い動的走査熱量計(DSC)により測定されるものである、請求項1から7までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項9】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)のヒドロキシル価が50mgKOH/g~500mgKOH/gであり、ヒドロキシル価IOHが、以下の方法:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基が、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液により加水分解される;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成される酸官能基が、KOH0.5N溶液で滴定される、
により測定されるものである、請求項1から8までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項10】
少なくとも1つのヒドロキシ(メタ)アクリラートモノマー(MA2)がモノヒドロキシポリ(メタ)アクリラート化合物である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項11】
少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の、NCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:1である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項12】
水不溶性である請求項1から11までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)の調製方法であって、以下のステップ:
・ステップ1:ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を得るために、少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)を、(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)と反応するステップ;
・ステップ2:得られる、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を
・少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート基含有モノ付加体(MA)と、
・又は、少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)及び少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)と、すなわち、系中で形成される少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)と、
混合することによりウレタン化ステップを実施するステップ
を含む、方法。
【請求項14】
・請求項1から12までのいずれか一項に記載の、又は、請求項13に記載の方法により得られる、少なくとも1つの照射硬化性組成物(X)、及び
・少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)、
を含む照射硬化性組成物(Y)であって、
照射硬化性組成物(Y)のNCO基対OH基の当量比が0.7:1~1.15:1である、照射硬化性組成物(Y)。
【請求項15】
デュアル硬化用途用、コンフォーマルコーティング用、複合材用、3次元(3D)用途用、濃厚顔料系用、又は接着促進剤としての、請求項1から12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)又は請求項14に記載の照射硬化性組成物(Y)の使用。
【請求項16】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)又は請求項14に記載の照射硬化性組成物(Y)から調製される、コーティング、接着剤、インク、プラスチック箔又はオーバープリントニス。
【請求項17】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(X)又は請求項14に記載の照射硬化性組成物(Y)で基板をコーティングする方法であって、
・ステップ1:照射硬化性組成物(X)又は(Y)を基板の少なくとも1つの表面に塗布するステップ、及び
・ステップ2:コーティングされた基板を照射及び/又は熱に曝すことにより、照射硬化性コーティング組成物を硬化するステップ、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマーを含む照射硬化性組成物、その照射硬化性組成物の製造方法、及びその使用の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリルポリマーは、特定の特性を有する照射硬化性ポリマー組成物の開発のための主骨格として用いられてきた。良好な光学特性、良好な接着又は優れた屋外耐性を有するコーティングを製造する必要がある場合、アクリルポリマーが、しばしば好ましい。
【0003】
しかし、ポリマーは、エチレン性不飽和官能性を含有せず、したがって、照射硬化後の架橋網状構造に関与せず、化学的及び機械的抵抗特性の著しい減少並びにさらなる安全、健康及び環境への懸念を生じる。
【0004】
最良の性能を実現するためにエチレン性不飽和官能性を直接アクリルポリマーに共有結合することがより望ましい。
【0005】
(メタ)アクリル化アクリルポリマーのアクリル化は、例えば、カルボン酸とエポキシ間の、ヒドロキシルとN-メチロール間の、無水物とヒドロキシル間の、又はカルボン酸とヒドロキシル間の反応を含めて、様々なグラフト化学により実施することができる。
【0006】
ペンダントヒドロキシル基をさらに含む(メタ)アクリル化アクリルポリマーは、二次成形フィルム又はコンフォーマルコーティングも調製するためにしばしば用いられるデュアル硬化系において興味深い場合がある。
【0007】
一般に、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマーは、グリシジルメタクリラート(GMA)などのエポキシ化合物をアクリル酸と反応することにより得られる。この反応により、アクリルポリマーに直接共有結合したエチレン性不飽和官能性を得ることが可能になる。
【0008】
しかし、GMAは、有害な化合物であり、CMR(発がん性、変異原性、生殖毒性)物質として分類されている。このことは、GMAが、人の健康及び環境に影響を及ぼす可能性があることを意味する。さらに、アクリル化は、モノ(メタ)アクリラート化合物のみで行われるので、ペンダントヒドロキシル基を含む広範囲の様々な(メタ)アクリル化アクリルポリマーを調製することは可能ではない。アクリルポリマー骨格に(メタ)アクリラート基及びヒドロキシル基を導入するためにGMAを用いる場合、(メタ)アクリラート基の数は、導入されるOH基の数に比例することが強調されなければならない。さらに、(メタ)アクリラート基及びヒドロキシル基は、同じ(メタ)アクリラート化合物に結合しており、したがって、どちらの基も、得られるポリマー中で互いに接近している。これはポリマーの反応性に影響を及ぼす可能性があり、なぜならば、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリラート基に立体障害があり、したがって、どちらも反応できないからである。その結果、所望の使用に依存して得られるポリマーの反応性を微調整することも困難である。
【0009】
US20130122310は、照射下でラジカル重合することができ、ウレタン結合により(メタ)アクリルポリマーに結合する、少なくとも1つのエチレン性不飽和ポリマー、水分散性(メタ)アクリルポリマー及び少なくとも1つのエチレン性不飽和化合物を含む水性照射硬化性組成物を開示している。しかし、この種の水性照射硬化性組成物は、すべての照射硬化性の用途に適しているわけではない。
【0010】
EP2231796は、1つ又は複数の化学的に架橋性の官能基Xを有する1つ又は複数のアクリルポリマーを含む成分A、官能基Xと反応して架橋及び1つ又は複数の照射架橋性官能基Dを形成する1つ又は複数の官能基Yを有する1つ又は複数のモノマー又はオリゴマーを含む成分Bを含むコーティング組成物に言及している。官能基X及びYは、ペアで、ヒドロキシル及びイソシアナート基、チオール及びイソシアナート基、エポキシ及び酸基、エポキシ及びイソシアナート基、イソシアナート及びアミン基、又はイソシアナート及びウレタン基から選択される。しかし、このコーティング組成物は、硬化する前はタックフリーではない。
【0011】
したがって、多くの照射硬化性用途に適した種々の特性を得るために、GMAを含まず、広範囲の様々なヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマーを用い製造することができるペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマーを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、GMAを含まず、目的とするコーティング特性に依存して微調整することができるペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマーを含む照射硬化性組成物を提供することを目的とする。さらに、照射硬化性の用途、特にデュアル硬化の用途のために求められる他の特性、例えば低いタック性は、影響を受けない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の技術的問題を克服するために、本発明は以下を提供する:
【0014】
ペンダントヒドロキシル(OH)基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)であって、(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)が、
a.ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)であって、
a1)少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)、及び
a2)(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)、
の反応生成物である、水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)、
並びに
b.少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート(NCO)基含有モノ付加体(MA)であって、ウレタン結合により、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)に結合し、
b1)少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)、及び
b2)少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)
の反応生成物である、イソシアナート(NCO)基含有モノ付加体(MA)
の反応生成物であり、
照射硬化性組成物(X)のNCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:10であり、アクリル化後の照射硬化性組成物(X)のガラス転移温度(Tg)は、少なくとも10℃である、
上記照射硬化性組成物(X)。
一実施形態によれば、ガラス転移温度(Tg)は、標準ASTM E1356-08に従い、動的走査熱量計(dynamic scanning calorimetry)(DSC)により測定される。
【0015】
実際、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)は、GMAを含まない。さらに、広範囲の様々なヒドロキシ(メタ)アクリラートモノマーは、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)のアクリル骨格に(メタ)アクリラート基を導入するために使用できる。その結果、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマーと他のモノマーとの多数の様々な組み合わせが使用できる。得られる、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)の諸特性を、それにより微調整することが可能である。
【0016】
本発明によれば、「アクリル化」という用語は、ウレタン化ステップにより起こる(メタ)アクリラート基のグラフト化を指す。これは、ウレタン結合を形成するために、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の少なくとも1つのNCO基が、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の少なくとも1つのヒドロキシル基と反応することを意味する。したがって、(メタ)アクリラート基は、GMAを用いることなく、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)の骨格に共有結合している。
【0017】
得られる照射硬化性組成物(X)は水不溶性であり、熱成形などの特定のデュアル硬化の用途に適した量の遊離のペンダントヒドロキシル基を含む。照射硬化性組成物(X)は、硬化前に、室温で低いタック性又は好ましくはタック性なしなどの満足な特性も示し、これは、熱成形などのいくつかの特定のデュアル硬化用途で特に望ましい。一実施形態によれば、照射硬化性組成物(X)は、室温で硬化する前に粘着性でない、又はタックフリーである。硬化後に、得られるコーティングも、タックフリーである。
【0018】
本発明の文脈では、「粘着性(tacky)」は、乾燥フィルムの表面が物体に接触した場合、目に見える印が表面上に現れることを意味する。「タックフリー」又は「指触乾燥(dry-to-touch)」又は「ドライコーティング」は、これが物体、例えば、指に接触した場合、目に見える印が表面上に何も現れないことを意味する。
【0019】
本発明の別の態様は、
・少なくとも1つの照射硬化性組成物(X)、及び
・少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)、
を含む照射硬化性組成物(Y)であって、照射硬化性組成物(Y)のNCO基対OH基との比が0.7:1~1.15:1である、上記照射硬化性組成物(Y)である。
【0020】
本発明の別の態様は照射硬化性組成物(X)の調製方法であって、当該方法は、
ステップ1:ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を得るために、少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)を、(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)と反応するステップ、及び
ステップ2:得られる、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を
・少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのNCO基含有モノ付加体(MA)と、
・又は、少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)及び少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)、すなわち、系中で形成される少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むNCO基含有モノ付加体(MA)と、
混合することによりウレタン化ステップを実施するステップ
を含む。
【0021】
本発明の別の態様は、照射硬化性組成物(X)又は(Y)でコーティングした物品である。
【0022】
本発明の別の態様は、
・ステップ1:照射硬化性組成物(X)又は(Y)を少なくとも1つの基板の表面に塗布するステップ、及び
・ステップ2:コーティング基板を照射及び/又は熱に曝すことにより、照射硬化性組成物(X)又は(Y)を硬化するステップ
を含むコーティング方法である。照射と熱の両方を硬化のために使用する場合、任意の順番で実施することができる。
【0023】
本発明の別の態様は、デュアル硬化用途、例えば、二次成形フィルムを調製用、コンフォーマルのコーティング用、複合材用、3次元(3D)用途用、光が十分深く入り込めない濃厚顔料系用(深部硬化)、又は接着促進剤としての、照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)の使用である。特に、照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)は、自動車、化粧品包装、家具などの様々な領域で使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)を提案し、(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)が、
a)ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)であって、
a1)少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)、及び
a2)(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)、
の反応生成物である、水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)
並びに
b)少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート基含有モノ付加体(MA)であって、ウレタン結合により、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)に結合し、
b1)少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)、及び
b2)少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)、
の反応生成物である、イソシアナート基含有モノ付加体(MA)
の反応生成物であり、
照射硬化性組成物(X)のNCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:10であり、アクリル化後の照射硬化性組成物(X)のTgが少なくとも10℃である。
【0025】
「照射硬化性組成物」という用語は、照射下で硬化することができる組成物を表す。
【0026】
「OH」という用語は、ヒドロキシルを意味する。どちらの用語も、明細書全体を通して同じ意味で使用することができる。
【0027】
「NCO」という用語は、イソシアナートを意味する。どちらの用語も、明細書全体を通して同じ意味で使用することができる。
【0028】
「アクリルポリマー」という用語は、(メタ)アクリラート及びビニル性モノマーを含めた(メタ)アクリラートモノマー又はコポリマーのラジカル重合から得られるすべてのポリマーを指す。「アクリルポリマー」という用語は、「メタクリルポリマー」も含む。本明細書で使用する場合「(メタ)アクリラート」という用語は、少なくとも1つのアクリラート(CH=CHCOO-)及び/又はメタクリラート(CH=CCHCOO-)基を含む化合物である、アクリラートとメタクリラート化合物の両方を含むことを意味する。「ビニル(vinylic)」という用語は、少なくとも1つのビニル(CH=CH-)基を含む化合物を指す。
【0029】
「(メタ)アクリル化アクリルポリマー」という用語は、照射下で硬化することができる少なくとも1つの(メタ)アクリラート官能基を含むアクリルポリマーを指す。
【0030】
「モノ付加体」(MA)という用語は、少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)と、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)との反応生成物を指す。モノ付加体は、系中で調製することができ、これは、モノ付加体(MA)を調製するために必要とされる反応物質が、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)と、反応器内で同時に混合されることを意味する。
【0031】
「エチレン性不飽和化合物」は、ラジカル重合を受けることができる少なくとも1つのエチレン性不飽和官能性を有する化合物を意味する。「エチレン性不飽和官能性」は、照射及び/又は(光)開始剤の影響下でラジカル重合を受け得る1つ又は複数の炭素-炭素二重結合を有する基を指すことを意味する。二重結合は、不飽和酸、不飽和脂肪酸、アクリルアミドなどからも生じ得るが、重合可能なエチレン性不飽和官能性は、一般にアリル基、ビニル基から、及び/又は(メタ)アクリロイル基から選択される。1つ又は複数の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する「(メタ)アクリル化化合物」が、しばしば好ましい。本発明では、「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル*」と「メタクリル*」の両方の化合物又は誘導体並びにそれらの混合物を含むと理解するべきである。「アクリル*」基が一般に好ましい。
【0032】
照射硬化性組成物(X)は、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)から本質的になる、又は、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)からなる。
【0033】
照射硬化性組成物(X)は、非水性組成物である。照射硬化性組成物(X)、特にペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)は、GMAを含まない。照射硬化性組成物(X)は、低いタック性を示し、又は好ましくは硬化する前は室温でタックフリーである。照射硬化性組成物(X)は水不溶性である。
【0034】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)は、少なくとも10℃のアクリル化後のTgを示す。ガラス転移温度(Tg)は、ガラス転移、すなわち硬質状態から粘稠状態への転移が生じる温度範囲を表す。ポリマーのTgは、このポリマーのタック性の良好な指標となり得る。照射硬化性組成物(X)は、低いタック性を示し、又は好ましくは硬化する前はタックフリーである。一実施形態によれば、照射硬化性組成物(X)のTgは、少なくとも10℃、好ましくは少なくとも12℃、より好ましくは少なくとも15℃、最も好ましくは少なくとも17℃である。本発明の一実施形態によれば、照射硬化性組成物(X)のTgは90℃を越えず、好ましくは高くて80℃であり、より好ましくは高くて70℃であり、最も好ましくは高くて50℃である。特定の実施形態によれば、Tg値の範囲は、10℃~90℃、好ましくは12℃~60℃、より好ましくは15℃~50℃、最も好ましくは17℃~45℃である。
【0035】
本発明の文脈では、当量比は、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)を得るためのNCO基対OH基の比を指す。これは、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)及び少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の量が、1:0.5~1:10、好ましくは1:1~1:7、より好ましくは1:1.5~1:4に入っているNCO基対OH基の当量比を与えるように選択されることを意味する。通常、NCO基対OH基の当量比は、当量でのNCO基の物質量と当量でのOH基の物質量とを、NCO基を1として正規化した比を表す。
【0036】
ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)は、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)と少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)との間のウレタン化ステップにより得られる。ウレタン化ステップは、実際には、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を得るための条件下で行われる。「ペンダントヒドロキシル基」という用語は、得られるペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)中に残る、ウレタン結合を形成するためにNCO基と反応しなかったヒドロキシル基を指す。したがって、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)は、NCO基を実質的に含まない。したがって、照射硬化性組成物(X)も、NCO基を実質的に含まない。一実施形態によれば、組成物(X)中のNCO基の量は、多くて0.015meq/gである。
【0037】
ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)は、少なくとも1つの遊離のペンダントヒドロキシル基を有する。好ましくは、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)は、いくつかの遊離のペンダントヒドロキシル基を示す。ペンダントヒドロキシル基は、照射硬化性組成物(X)の硬化中に、例えば、ポリイソシアナート又はNCO基含有ウレタン(メタ)アクリラート等のさらなるNCO基含有化合物と反応してもよい。このことは、照射硬化性組成物(Y)などの2成分(2K)組成物中で照射硬化性組成物(X)を用いる場合は、特に当てはまる。通常、2成分(2K)組成物は、照射硬化性基、例えばアクリラート二重結合、及び化学的架橋性基、例えばヒドロキシルの両方を有する第1の成分を第1の容器に含む。第2の成分は、架橋基、例えばイソシアナート基を有する対応する架橋剤を含み、第2の容器に貯蔵される。使用の直前に、第1の成分及び第2の成分を混合して、ポットミックスを形成する。本発明の文脈では、照射硬化性組成物(X)は、2成分組成物中で用いる場合、少なくとも1つのポリイソシアナート化合物である第2の成分に混合されることになる。
【0038】
一実施形態によれば、照射硬化性組成物(X)のヒドロキシル価IOHは、20~350mgKOH/g、好ましくは40~250mgKOH/g、より好ましくは80~200mgKOH/gであってもよい。ヒドロキシル価(IOH)は、グラム当たりのmgKOHで表す。これは、通常、ヒドロキシル官能基の反応物質との誘導体化により測定する。特に、これは、試料と同じ数のヒドロキシル基を有する水酸化カリウムの質量mKOHと、その試料の質量mの比に対応する。示されるすべてのヒドロキシル価の値は、乾燥分を基準にしている。照射硬化性組成物(X)のヒドロキシル価IOHは、好ましくは少なくとも20mgKOH/g、より好ましくは少なくとも40mgKOH/g、最も好ましくは少なくとも80mgKOH/gであってもよい。一実施形態によれば、照射硬化性組成物(X)のヒドロキシル価IOHは、好ましくは多くて350mgKOH/g、より好ましくは多くて250mgKOH/g、最も好ましくは多くて200mgKOH/gであってもよい。一実施形態によれば、ヒドロキシル価IOHを以下の方法により測定する:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基を75℃で塩化アセチルによりアセチル化する;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液で加水分解する;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成される酸官能基をKOH0.5N溶液で滴定する。
【0039】
照射硬化性組成物(X)は、5,000ダルトン~200,000ダルトン、好ましくは8,000ダルトン~100,000ダルトン、より好ましくは10,000ダルトン~60,000ダルトンである重量平均分子量(Mw)を好ましくは示し得る。一実施形態によれば、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)の重量平均分子量(Mw)は、多くて200,000ダルトン、より好ましくは多くて100,000ダルトン、最も好ましくは多くて60,000ダルトンである。ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)の重量平均分子量(Mw)は、少なくとも5,000ダルトン、より好ましくは少なくとも8,000ダルトン、より好ましくは少なくとも10,000ダルトンであってもよい。一実施形態によれば、重量平均分子量(Mw)は、標準DIN55672-1に従い測定する。
【0040】
照射硬化性組成物(X)は、固体材料1グラム当たり1~6、好ましくは1.5~5、より好ましくは2.5~4ミリ当量のエチレン性不飽和基の量を有する。
【0041】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)を調製するための反応物質として用いられる。好ましい実施形態では、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、好ましくは少なくとも1つの(メタ)アクリラート基又は官能基を含み得る。
【0042】
「水不溶性化合物」は、本発明では自己分散性でなく、自己乳化性でなく、1つ又は複数の外部乳化剤の存在下で、水中で分散体やエマルションを形成しない化合物を指すことを意味する。より具体的には、化合物(AP)は、自己分散性でなく、自己乳化性でなく、水に希釈可能でない化合物である。「自己分散性化合物」は、本発明では、水と混合する際に、さらなる乳化剤の助けなしに水に分散した小さな粒子の安定な2相系を形成する化合物を指すことを意味する。「自己乳化性化合物」は、本発明では、水と混合する際に、さらなる乳化剤の助けなしに水に分散した小さな液滴の安定な2相系を形成する化合物を指すことを意味する。「安定」は、本明細書では、60℃で1日後に、好ましくは2日以上、通常、4日以上後でも、最も好ましくは10日後でも、相分離、クリーミング又は不均質系の沈降を生じるコアレッセンス(液滴)や凝集(粒子)が実質的にないことを指すと意味する。「水で希釈可能な化合物」は、本発明では、化合物が水と広い濃度範囲で、例えば、水及び化合物の総質量に対し水5~75重量%で、且つ外部乳化剤なしで混合したときに、均一な単一相混合物を形成可能な化合物を指すことを意味する。
【0043】
ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、
・a1)少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)、及び
・a2)(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)
の反応から特に得られる。
【0044】
ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する。ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)は、第1級ヒドロキシル基又は/及び第2級ヒドロキシル基を含み得る。好ましくは、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)は、少なくとも1つの第2級ヒドロキシル基を有する。一実施形態によれば、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)は、モノヒドロキシ官能性化合物であってもよく、このことは、ただ1つのヒドロキシル基を含むことを意味する。
【0045】
一実施形態によれば、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)のエチレン性不飽和官能性は、アリル基、ビニル基、(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリロイル基及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。ただ1つのエチレン性不飽和官能性を含む化合物が好ましい。
【0046】
好ましい実施形態によれば、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)は、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)である。本明細書で使用する場合「(メタ)アクリラート」という用語は、アクリラート及びメタクリラート化合物の両方を含むことを意味し、これは、少なくとも1つのアクリラート(CH=CHCOO-)及び/又はメタクリラート(CH=CCHCOO-)基を含む化合物である。ただ1つの(メタ)アクリラート官能性を含む化合物が好ましい。
【0047】
アルキル鎖に1~12個の炭素原子を有するヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラートが好ましい。ポリアルコキシル化鎖中に2~300個の炭素原子、より典型的にはポリアルコキシル化鎖中に2~60個の炭素原子を有するポリアルコキシル化(メタ)アクリラートが等しく適切である。その例は、ポリオールのアルキル(メタ)アクリラートエステルである。アルキル鎖は、直鎖でも分岐鎖でもよい。ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有するアルコールを指すことを意味する。1~12個、好ましくは1~6個、最も好ましくは1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル鎖を有するポリオール、及び/又は2~300個の炭素原子、より詳細には2~60個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖ポリオキシアルキル化部分を有するポリオールが好ましい。ヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラートの適切な例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシルブチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシノニル(メタ)アクリラート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシウンデシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシドデシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシトリデシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシテトラデシル(メタ)アクリラート、グリセロールモノアクリラート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリラート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリラート、及びポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド、モノ(メタ)アクリラートのブロックコポリマーを含む。ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリラート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリラート、及びポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド、モノ(メタ)アクリラートのブロックコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含む場合、この少なくとも1つのモノマーの量は、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性エチレン性不飽和ポリマー(AP)の総重量と比較して5重量%を超えるべきではない。その結果、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性エチレン性不飽和ポリマー(AP)の水不溶性の特性は、影響を受けないことになる。
【0048】
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、特にヒドロキシプロピルメタクリラートが好ましい。
【0049】
これらのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)のいずれかは、さらにラクトンと反応することができ、これは、開環反応でこれらのヒドロキシルに加わる。適切なラクトンの例は、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、及び特にε-カプロラクトンである。グリコリド及びラクチドは、同じ目的で使用することができる。
【0050】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)の他の例は、脂肪族、環状脂肪族又は芳香族カルボン酸と1つのエポキシ官能性及び1つのエチレン性不飽和官能性を有する別の化合物との反応から得られる化合物である。他の好ましい化合物は、エチレン性不飽和カルボン酸と1つのエポキシ官能性を有する別の化合物との反応から得られる。C~C11バーサティック酸のグリシジルエステル(例えば、Cardura(登録商標)E10P)と(メタ)アクリル酸との反応が特に適切である。C~C11バーサティック酸(例えば、Cardura(登録商標)E10P)と(メタ)アクリル酸との反応は、特に(メタ)アクリラート共重合反応の前、同時に、又は後に起こり得る。
【0051】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)の上述の例の任意の混合物を使用することができる。
【0052】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)は、好ましくは、アルキル鎖に1~12個の炭素原子を有するヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和カルボン酸と1つのエポキシ官能性を有する別の化合物との反応生成物、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0053】
一実施形態によれば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)は、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、C~C11バーサティック酸のグリシジルエステル(例えば、Cardura(登録商標)E10P)と(メタ)アクリル酸との反応生成物、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される。
【0054】
ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)は、ヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)であってもよい。適切なヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)は、これに限定されるものではないが、アリルアルコール、メタアリルアルコール、2-エチル-2-プロペン-1-オール、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル及びエトキシ化又はプロポキシル化誘導体及び/又はそれらの混合物を含めた、アリル系アルコール類である。好ましくは、ヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)は、アリルアルコールである。ヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)は、そのまま、又は他のヒドロキシ官能性エチレン性不飽和化合物との組み合わせで使用することができる。
【0055】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)とヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)の任意の混合物を使用することができる。
【0056】
ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)の量は、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の総重量と比較して、15重量%~95重量%、好ましくは30重量%~90重量%、より好ましくは50重量%~85重量%、最も好ましくは60重量%~80重量%であってもよい。
【0057】
エチレン性不飽和モノマー(AP2)は、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能性を含む。
【0058】
エチレン性不飽和モノマー(AP2)は、ヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)と異なる。一実施形態によれば、エチレン性不飽和モノマー(AP2)は、いかなるヒドロキシル基も含まない。
【0059】
エチレン性不飽和モノマー(AP2)は、例えば、スチレン誘導体モノマー(AP21)、(メタ)アクリル及びクロトン酸と飽和直鎖又は環状アルコール類とのエステルであるモノマー(AP22)、官能化モノマー(AP23)、酸性モノマー(AP24)、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0060】
スチレン誘導体モノマー(AP21)の例は、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、ジエチルスチレン、o-メチルイソプロピルスチレン、クロロスチレン、フルオロスチレン、ヨードスチレン、ブロモスチレン、2,4-シアノスチレン、ヒドロキシスチレン、ニトロスチレン、フェニルスチレン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択することができる。
【0061】
(メタ)アクリル及びクロトン酸と飽和直鎖又は環状アルコール類とのエステルであるモノマー(AP22)は、好ましくはアルキル又は環状基に1~20個、より好ましくは1~14個の炭素を含有する飽和直鎖又は環状アルコール類を有する。例には、これに限定されるものではないが、アルキル(メタ)アクリラート、例えば、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、ペンチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート、ヘプチル(メタ)アクリラート、オクチル(メタ)アクリラート、ノニル(メタ)アクリラート、デシル(メタ)アクリラート、ウンデシル(メタ)アクリラート、ドデシル(メタ)アクリラート、トリデシル(メタ)アクリラート、テトラデシル(メタ)アクリラート及びイソボルニル(メタ)アクリラートが含まれる。モノマー(AP22)は、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリラートなどのヘテロ環(メタ)アクリラート、及び任意のそれらの混合物から選択することもできる。
【0062】
官能化モノマー(AP23)は、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルピロリドン、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びさらに重合性基を含むモノマー、例えば、ビニル、(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリル基、またケト基、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド;アセトアセトキシ基、例えば、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリラート、又はウレイド基(2-オキソ-1-イミダゾリジニル基とも称される)、例えば、N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)-エチレンウレア(2-(2-オキソ-1-イミダゾリジニル)エチル(メタ)アクリラート)、ウレイド(メタ)アクリラートとも称される)及び任意のそれらの混合物を含む。
【0063】
酸性モノマー(AP24)も使用することができる。しかし、これらの酸性モノマーは、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を水に可溶性にさせないような量で添加しなければならない。一実施形態によれば、酸性モノマー(AP24)の量は、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の総重量と比較して、5重量%を超えるべきでなく、好ましくは3重量%を超えるべきでなく、より好ましくは2重量%を超えるべきではない。
【0064】
酸性モノマー(AP24)は、少なくとも1つの酸基、又は水と接触した場合に酸基を形成できる基、及び少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含む。「酸基を形成できる基」は、適切な条件で水と接触した場合に酸基の形成を生じ得る無水物及びエステルなどの任意の基を意味する。水と接触した場合に酸基の形成を生じ得るエステルは、通常、-C(=O)-O-Rなどの活性化エステルであり、この場合Rは、電子求引活性化基、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドなどである。それらの基は、当業者に公知の従来法によって酸基に変換することができる。適切なモノマー(AP24)は、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリラート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸、シトラコン酸及びそれらの無水物、4-メタクリロイルオキシエチルトリメリテート無水物、(メタ)アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、及びそれらの混合物を含む。モノマー(AP24)は、好ましくは(メタ)アクリル酸、クロトン酸又はそれらの混合物、より好ましくは(メタ)アクリル酸、最も好ましくはアクリル酸である。
【0065】
一実施形態によれば、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)は、スチレン、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、(メタ)アクリル酸及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0066】
エチレン性不飽和モノマー(AP2)の量は、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の総重量と比較して、好ましくは5重量%~85重量%、より好ましくは10~70重量%、最も好ましくは20重量%~50重量%であってもよい。
【0067】
1つの特定の実施形態によれば、少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)及び/又は少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)は、少なくとも1つの(メタ)アクリラート官能性を含む。
【0068】
本発明で用いられるペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、2,000~100,000ダルトン、好ましくは5,000ダルトン~50,000ダルトン、より好ましくは8,000ダルトン~40,000ダルトン、最も好ましくは10,000~30,000ダルトンである重量平均分子量(Mw)を好ましくは有する。好ましくはペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)のMwは、少なくとも2,500ダルトン、通常、少なくとも5,000ダルトン、好ましくは少なくとも8,000ダルトン、より好ましくは少なくとも10,000ダルトンである。好ましくはペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)のMwは、多くて100,000ダルトン、好ましくは多くて50,000ダルトン、より好ましくは多くて40,000ダルトン、最も好ましくは多くて30,000ダルトンである。
【0069】
本発明で使用するペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも40℃、最も好ましくは少なくとも50℃のガラス転移温度(Tg)を示す。本発明で使用するペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、高くて90℃、好ましくは高くて80℃、より好ましくは高くて75℃、最も好ましくは高くて70℃のガラス転移温度(Tg)を示す。一実施形態によれば、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、20℃~90℃、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは40℃~75℃、最も好ましくは50℃~70℃を含むガラス転移温度(Tg)を有する。一実施形態によれば、ガラス転移(Tg)は、標準ASTM E1356-08に従い、動的走査熱量計(DSC)により測定する。
【0070】
ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、少なくとも50mgKOH/g、好ましくは少なくとも75mgKOH/g、より好ましくは少なくとも150mgKOH/g、より好ましくは少なくとも200mgKOH/gのヒドロキシル価(IOH)を示す。ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)は、多くて500mgKOH/g、好ましくは多くて400mgKOH/g、より好ましくは多くて350mgKOH/g、最も好ましくは多くて300mgKOH/gのヒドロキシル価(IOH)を示す。一実施形態によれば、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)のヒドロキシル価は、50mgKOH/g~500mgKOH/g、好ましくは75mgKOH/g~400mgKOH/g、より好ましくは150mgKOH/g~350mgKOH/g、最も好ましくは200mgKOH/g~300mgKOH/gに入っている。一実施形態によれば、ヒドロキシル価IOHを、以下の方法により測定する:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基は、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルは、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液で加水分解される;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成される酸官能基は、KOH0.5N溶液で滴定する。
【0071】
ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして、20重量%~85重量%であってもよい。好ましくは、この量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして、少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%である。一実施形態によれば、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして、多くて80重量%、より好ましくは多くて60重量%である。ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして、30重量%~80重量%、より好ましくは40~60重量%であってもよい。
【0072】
ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)はコポリマーであり、ランダム、交互又はブロックコポリマーのいずれであってもよい。好ましくは、ランダムコポリマーである。
【0073】
共重合は、ラジカル共重合により起こる。これは、当業者に公知のように、従来法、特に熱ラジカル開始剤を用いるラジカル重合により起こり得る。適切な熱ラジカル開始剤の例は、過酸化物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド又はtert-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノアート、tert-ブチルパーベンゾアート、tert-ブチルパーオクトアート、ジ-tert-アミルパーオキサイド、アゾ化合物、例えば、アゾビスイソブチロニトリルなどを含む。開始剤は、例えば、出発モノマーの0.01~5.0重量%、好ましくは1.0~5.0重量%の量で使用することができる。
【0074】
分子量及びその分布を良好に制御するために、連鎖移動剤、好ましくは、n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデカンチオール、イソオクチルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、n-ブチル-3-メルカプトプロピオナートなどのメルカプタン種の連鎖移動剤、又は四臭化炭素、ブロモトリクロロメタンなどのハロゲン化炭素種の連鎖移動剤も、任意選択で反応の過程で添加することができる。連鎖移動剤は、一般に、共重合で用いられるモノマーの最大で5重量%の量で使用される。
【0075】
共重合は、一般に60~180℃の温度で、好ましくは不活性ガス雰囲気下で行われる。重合は、大気圧下又は加圧条件下で実施することができる。
【0076】
共重合は一般に、DIN EN ISO3251に従い反応生成物の固形分含量により定量化して、モノマーの転換が少なくとも96%になるまで行われる。
【0077】
少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含み、ウレタン結合によりペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリルポリマー(AP)に結合する、イソシアナート基含有モノ付加体(MA)は、
・b1)少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)、及び
・b2)少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)
の反応生成物である。
【0078】
特に、ポリイソシアナート(MA1)の少なくとも1つのNCO基は、ウレタン結合を形成するために、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)の少なくとも1つのヒドロキシル基と反応する。ポリイソシアナート(MA1)とヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)との反応後、少なくとも1つのNCO基は、遊離のままでいなければならず、好ましくは約1つのNCO基は、遊離であってもよい。このことは、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)は、少なくとも1つの遊離のNCO基及び好ましくは約1つの遊離のNCO基を含むことを意味する。実際、この残っている未反応のNCO基は、得られる少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)とペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)との反応を可能にするために必要である。したがって、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)と比較して過剰の当量のポリイソシアナート(MA1)が存在する。
【0079】
少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)は、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)との反応の前に、別のステップで調製することができる。或いは、ポリイソシアナート(MA1)及びヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)を、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)と混合する際に、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の形成を同時に行うこともできる。この場合、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)、ポリイソシアナート(MA1)及びヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)が、一緒に混合される。その結果、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)が系中で調製され、ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を形成するためにペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)と反応する。
【0080】
本発明によれば、少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)は、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)を調製するために使用される。「ポリイソシアナート」(MA1)は、少なくとも2個、通常、最大で6個のイソシアナート基を含む有機化合物を指すことを意味する。ポリイソシアナート化合物は、通常、6個以下のイソシアナート基、好ましくは3個以下のイソシアナート基を含む。ポリイソシアナート(MA1)は、最も好ましくはジイソシアナートである。ポリイソシアナート(MA1)は、一般に、脂肪族、環状脂肪族、芳香族及び/又はヘテロ環ポリイソシアナート又はそれらの組み合わせから選択される。ことによるとポリイソシアナート(MA1)は、アロファナート基、ビウレット及び/又はイソシアヌラート基を含む。
【0081】
使用することができる芳香族ポリイソシアナートの例は、1,4-ジイソシアナトベンゼン(BDI)、2,4-ジイソシアナトトルエン(トルエンジイソシアナート(TDI))、1,1’-メチレンビス[4-イソシアナトベンゼン](MDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアナート(NDI)、トリジンジイソシアナート(TODI)、テトラメチルキシリレンジイソシアナート(TMXDI)及びp-フェニレンジイソシアナート(PPDI)である。本発明の文脈において使用することができるポリイソシアナートの他の例は、トリメチル1,6ヘキサメチレンジイソシアナート、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4-ジイソシアナトジフェニルメタンとの技術的混合物、また、上述のジイソシアナートの高次同族体、2,4-ジイソシアナトトルエン、及びそれと2,6-ジイソシアナトトルエンとの技術的混合物、並びに3-イソプロペニル-a,a’-ジメチルベンジルイソシアナート(TMI)の共重合生成物である。脂肪族及び環状脂肪族ポリイソシアナートの例は、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,1’-メチレンビス[4-イソシアナトシクロヘキサン](H12MDI)、5-イソシアナト-1-イソシアナトメチル-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアナート、IPDI)である。2個を超えるイソシアナート基を含むポリイソシアナートは、例えば、1,6-ジイソシアナトヘキサンビウレット及びイソシアヌラートなどの上述のジイソシアナートの誘導体である。
【0082】
本発明の文脈では、脂肪族及び/又は環状脂肪族ポリイソシアナートが好ましく、ジイソシアナートがより好ましい。脂肪族又は環状脂肪族ジイソシアナートが特に好ましく、環状脂肪族ジイソシアナートがさらに好ましい。1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)及び/又はイソホロンジイソシアナート(IPDI)が特に好ましい。
【0083】
本発明で使用する少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)は、好ましくはモノヒドロキシポリ(メタ)アクリラート化合物、より好ましくはモノヒドロキシポリアクリラート化合物であってもよい。いくつかのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)の混合物を使用することができる。
【0084】
有用なヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)は、例えば、約1の残留平均ヒドロキシル官能性を有する、脂肪族及び/又は芳香族ポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化生成物を含む。(メタ)アクリル酸と3価、4価、5価及び/又は6価ポリオールとの部分エステル化生成物が好ましい。そのようなポリオールとエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応生成物、又はそのようなポリオールと、開環反応でこれらのポリオールに付加するラクトンとの反応生成物を使用することも可能である。適切なラクトンの例は、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、及び特にδε-カプロラクトンである。グリコリド及びラクチドは、同じ目的のために使用することができる。これらの変性又は非変性ポリオールは、所望のヒドロキシル官能性に達するまで、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を用い部分的にエステル化される。ポリオールの(メタ)アクリル化によって(メタ)アクリラート成分の混合物が生じること、及び適切な方法(例えば、滴定方法)を用いるヒドロキシル価(mgKOH/g)の測定が、混合物の特性を決定する簡便で適切な方法であることは、実際、当業者に公知である。
【0085】
適切なヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)は、例えば、少なくとも2個の(メタ)アクリラート官能基、例えば、グリセロールジアクリラート、トリメチロールプロパンジアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート、ジトリメチロールプロパントリアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート、及びその(ポリ)エトキシ化及び/又は(ポリ)プロポキシル化等価物を含む化合物である。ポリアクリル化ペンタエリスリトール、例えば、ペンタエリスリトールジアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリラート及びペンタエリスリトールテトラアクリラート;及び/又はポリアクリル化ジペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトールテトラアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリラート及びそれらの任意の混合物が特に好ましい。
【0086】
他の適切なヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)は、アルキル基に1~20個の炭素原子を有するヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラートである。この種類での好ましい分子は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート及び任意のそれらの混合物である。
【0087】
一実施形態によれば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)は、ペンタエリスリトールトリアクリラート、ジペンタエリスリトールペンタアクリラート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリラート、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0088】
少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)のNCO基対OH基の当量比は、1:0.50~1:0.90、好ましくは1:0.55~1:0.80、より好ましくは1:0.60~1:0.75であってもよい。
【0089】
一実施形態によれば、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)は、ペンタエリスリトールトリアクリラートとIPDIの反応生成物である。
【0090】
少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして、15重量%~80重量%であってもよい。好ましくは、この量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも40重量%である。一実施形態によれば、少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして、多くて70重量%、より好ましくは多くて60重量%である。ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして20重量%~70重量%、より好ましくは40重量%~60重量%であってもよい。
【0091】
照射硬化性組成物(X)は、少なくとも1つの溶媒又は溶媒の混合物を含み得る。これらの溶媒は、工程時に照射硬化性組成物(X)の粘度を下げるための加工剤として使用される。溶媒は、イソシアナートと反応できる化学的官能性をさらに含まない。
【0092】
適切な溶媒システムは、ケトン、酢酸エステル、芳香族炭化水素、脂肪族溶媒及びそれらの任意の混合物を含む。適切な溶媒の例は、ブチルアセタート、エチルアセタート、メチルアセタート、エトキシプロピルアセタート、メトキシプロピルアセタート、プロポキシメチルアセタート、トルエン、キシレン、ヘキサン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート及びそれらの任意の混合物である。いくつかの溶媒の混合物を使用することができる。好ましい実施形態では、溶媒は、ブチルアセタート及び/又はプロピレングリコールメチルエーテルアセタートである。
【0093】
照射硬化性組成物(X)中の溶媒の量は、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして20重量%~80重量%、より好ましくは30重量%~70重量%、最も好ましくは40重量%~60重量%である。
【0094】
照射硬化性組成物(X)は、少なくとも1つの触媒も含み得る。特に、触媒は、イソシアナート基とヒドロキシル基間のウレタン化反応を促進するために用いることができる。例えば、触媒は、ポリイソシアナート(MA1)をヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)と反応する場合、又はペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)と反応する場合に用いることができる。触媒は、照射硬化性組成物(X)が、デュアル硬化用途のために少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)と反応する場合も有用である。
【0095】
触媒は、スズ、ビスマス、亜鉛などの金属塩であってもよい。好ましい触媒は、ジブチルスズジラウラート及びビスマスネオデカノアートである。アミン触媒は、単独で、又は上記の金属触媒と共に用いることもできる。適切なアミン触媒は、例えば、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)を含む。触媒は、例えば、照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして0.005%(50ppm)~0.5%(5000ppm)の量で使用することができる。
【0096】
照射硬化性組成物(X)は、任意選択で(メタ)アクリル化モノマー(C1)又はオリゴマー(C2)を含み得る。室温で液体であるものが好ましい。適切な化合物のいくつかの例を以下に示す。
【0097】
照射硬化性組成物は、低分子量(メタ)アクリル化モノマー(C1)、例えば、(メタ)アクリル酸、β-カルボキシエチルアクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、メチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、n-ヘキシル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、イソオクチル(メタ)アクリラート、n-ラウリル(メタ)アクリラート、オクチル/デシル(メタ)アクリラート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、フェノキシエチル(メタ)アクリラート、ノニルフェノールエトキシラートモノ(メタ)アクリラート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリラート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリラート、Cardura(メタ)アクリラート(Cardura(登録商標)E-10Pとしても知られているネオデカノン酸のグリシジルエステルの(メタ)アクリラート)、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリラート及びそのエトキシ化又は/及びプロポキシル化誘導体、脂肪族グリシジルエーテル-特にアルキル鎖が6~24個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子を含むもの-の、及び/又は、飽和及び不飽和カルボン酸のグリシジルエステル-特に長鎖アルキルカルボン酸(アルキル鎖)のグリシジルエステル-の、(メタ)アクリル酸とのエステル化から得られる(メタ)アクリラート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、3(4),8(9)-ビス-(ヒドロキシメチル)-トリシクロ-[5.2.1.02’6]デカンジ(メタ)アクリラート、ジ又はトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、エトキシ化及び/又はプロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリラート、イソソルビドジ(メタ)アクリラート及びそのエトキシ化及び/又はプロポキシル化誘導体、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート及びそのエトキシ化及び/又はプロポキシル化誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート及びそのエトキシ化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、グリセロールトリ(メタ)アクリラート及びそのエトキシ化及び/又はプロポキシル化誘導体、ペンタエリスリトールトリアクリラート(PETIA)及びそのエトキシ化及び/又はプロポキシル化誘導体、ジペンタエリスリトールペンタ又はヘキサアクリラート及びそのエトキシ化及び/又はプロポキシル化誘導体を含むこともできる。
【0098】
本発明で使用することができる(メタ)アクリル化オリゴマー(C2)の例には、アミノ(メタ)アクリラートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリラート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリラート及びエポキシ(メタ)アクリラートが含まれる。再度、アクリル化の形態が好ましい。オリゴマーは、好ましくは500~5000ダルトンの分子量を有している。オリゴマーは通常、分子当たり少なくとも2個の官能基を含む。
【0099】
ポリエステル(メタ)アクリラートオリゴマーは周知である。これらの(メタ)アクリル化ポリエステルは、ヒドロキシル基含有ポリエステル骨格を(メタ)アクリル酸と反応することにより、又はカルボキシル基含有ポリエステル骨格を、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-又は3-ヒドロキシプロピルアクリラート等のヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラートと、又はグリシジル(メタ)アクリラートと、反応することにより得ることができる。ポリエステル骨格は、少なくとも1つのポリヒドロキシアルコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ビスフェノールA、ペンタエリスリトールなど、又は/及びそのエトキシラート及び/又はプロポキシラートと、少なくとも1つのポリカルボン酸又はその無水物、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸など、との重縮合による通常の方法で得ることができる。ポリエステル合成のために不飽和化合物、例えば、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などを使用することにより、ポリマー鎖に(メタ)アクリル性とエチレン性の両方の不飽和を有するポリエステルを得ることができる。さらにポリラクトン及び/又はポリラクチドをポリエステル骨格として使用することができる。例えば、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリラクチド及び/又はポリ(ラクチド、カプロラクトン)は、任意選択で1つ又は複数のポリヒドロキシアルコールの存在下でε-カプロラクトン及び/又はラクチドの開環重合により得ることができる。EBECRYL(登録商標)450、EBECRYL(登録商標)452、EBECRYL(登録商標)657、EBECRYL(登録商標)837、EBECRYL(登録商標)895、EBECRYL(登録商標)810、EBECRYL(登録商標)830、EBECRYL(登録商標)854及びEBECRYL(登録商標)870として市販されているポリエステル(メタ)アクリラートオリゴマーが好ましく、すべてAllnexから入手可能である。
【0100】
ポリエーテル(メタ)アクリラートオリゴマーは、ヒドロキシ官能性ポリエーテルを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより調製することができる。ヒドロキシ官能性ポリエーテルは、環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの単独又は共重合の開環により得ることができ、又はポリヒドロキシアルコール類をエチレン及び/又はプロピレンオキシドと反応することにより調製することができる。
【0101】
ポリカーボナート(メタ)アクリラートオリゴマーは公知である。それは、ヒドロキシ官能性ポリカーボナートを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより調製することができる。
【0102】
ウレタン(メタ)アクリラートオリゴマーは、ヘキサメチレン-ジイソシアナート、イソホロン-ジイソシアナート、トルエン-ジイソシアナート等のジ-及び/又はポリイソシアナートを、ヒドロキシル官能性(メタ)アクリラートと反応することにより調製することができる。ヒドロキシル官能性(メタ)アクリラート、例えば、上記で挙げるものを独占的に使用できるが、鎖を拡張するために、モノ-又はポリヒドロキシアルコール類、例えば、ヒドロキシル基を含有するポリエステルポリエステル、ポリエーテル又はポリカーボナートの合成のための上記で挙げるものを添加することもできる。EBECRYL(登録商標)220、EBECRYL(登録商標)2220、EBECRYL(登録商標)1290、EBECRYL(登録商標)1290N、EBECRYL(登録商標)1291、EBECRYL(登録商標)220、EBECRYL(登録商標)270、EBECRYL(登録商標)264、EBECRYL(登録商標)294/25HD、EBECRYL(登録商標)8254、EBECRYL(登録商標)4680、EBECRYL(登録商標)4513、EBECRYL(登録商標)8465、EBECRYL(登録商標)4654、EBECRYL(登録商標)4666、EBECRYL(登録商標)4738、EBECRYL(登録商標)4740、EBECRYL(登録商標)4883、EBECRYL(登録商標)5129、EBECRYL(登録商標)8210、EBECRYL(登録商標)8602、EBECRYL(登録商標)8415、EBECRYL(登録商標)225として市販されているウレタンアクリラートが最も好ましく、すべてAllnexから入手可能である。
【0103】
エポキシ(メタ)アクリラートオリゴマーは、エポキシド、好ましくはポリエポキシド、すなわち、少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つのエポキシド官能基を含む化合物の(メタ)アクリル酸エステルを表すことを意味する。エポキシ(メタ)アクリラートオリゴマーは、一般に(メタ)アクリル酸とエポキシドとの反応から得られる。エポキシドは、一般に、エポキシ化オレフィン、飽和又は不飽和カルボン酸のグリシジルエステル、芳香族又は脂肪族アルコール類又はポリオールのグリシジルエーテルから、及び環状脂肪族ポリエポキシドから選択される。好ましいエポキシドは、芳香族及び脂肪族ジオール並びに環状脂肪族ジエポキシドのジグリシジルエーテル、例えば、ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール-Fのジグリシジルエーテル、ポリ(エチレンオキシド-co-プロピレンオキシド)のジグリシジルエーテル、ポリプロピレンオキシドのジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、ブタンジオールのジグリシジルエーテルである。ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが特に好ましい。エポキシ化天然油又はエポキシ化フェノール-ホルムアルデヒドコポリマーも使用することができる。天然油の例は、大豆油、亜麻仁油、エゴマ油、魚油、脱水ヒマシ油、きり油、ココナッツ油、とうもろこし油、綿実油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、落花生油、ひまわり油、サフラワー油、ヒマシ油を含む。適切なエポキシアクリラートの例には、EBECRYL(登録商標)600、EBECRYL(登録商標)860、EBECRYL(登録商標)3420、EBECRYL(登録商標)608、EBECRYL(登録商標)3608、EBECRYL(登録商標)3702、EBECRYL(登録商標)3701、EBECRYL(登録商標)3700が含まれ、すべてAllnexから入手可能である。
【0104】
任意選択でアミノ(メタ)アクリラートは、そのまま、本発明の組成物に添加することができる。適切なアミノ(メタ)アクリラートの例には、EBECRYL(登録商標)7100、EBECRYL(登録商標)80、EBECRYL(登録商標)81、EBECRYL(登録商標)83、EBECRYL(登録商標)85、EBECRYL(登録商標)LEO10551、EBECRYL(登録商標)LEO10552&EBECRYL(登録商標)LEO10553が含まれ、すべてAllnexから入手可能である。
【0105】
照射硬化性組成物(X)は、少なくとも1つのラジカル阻害剤も含み得る。ウレタン化ステップ時の使用のための適切なラジカル阻害剤の例は、ハイドロキノン(HQ)、メチルハイドロキノン(THQ)、tert-ブチルハイドロキノン(TBHQ)、ジ-tert-ブチルハイドロキノン(DTBHQ)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)などを含む。適切な阻害剤の他の例には、トリフェニルホスフィン(TPP)などのホスフィン、及びトリスノニルフェニルホスファイト(TNPP)、フェノチアジン(PTZ)、トリフェニルアンチモン(TPS)、及び任意のそれらの混合物が含まれる。用いられる阻害剤の総量は、一般に照射硬化性組成物(X)の0~1重量%、好ましくは0.01%~0.5重量%、最も好ましくは0.01%~0.1重量%である。
【0106】
照射硬化性組成物(X)は、UV光下で照射硬化性ポリマー組成物の重合を開始できる少なくとも1つの光化学開始剤も含み得る。光化学開始剤(光開始剤とも称される)は、光、通常、UV光の吸収によりラジカルを発生することができる化合物である。
【0107】
照射硬化性組成物(X)中の光開始剤の量は、本発明の照射硬化性組成物(X)の総重量を基準にして好ましくは0.1%~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%を含む。本発明による照射硬化性組成物(X)は、当技術分野において公知の1つ又は複数の光増感剤0~5重量%も含み得る。或いは、開始剤のないときには、特に電子線により組成物を硬化することができる。適切な光開始剤の例は、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、ベンジルジメチル-ケタール、アシルフォスフィン、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン及びこれらの混合種であってもよく、より好ましくは、α-ヒドロキシケトン、ベンゾフェノン、アシルフォスフィン及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される。
【0108】
本発明の組成物は、基板上への処方組成物の塗布を改善するのに適切な不活性又は官能性樹脂、顔料、着色剤、フィラー及び/又は他の添加剤も含むことができ、限定的ではなく、湿潤剤、酸化防止剤、流動性調節剤、スリップ剤、難燃剤、UV保護剤、接着促進剤、レオロジー改良剤、レベリング剤、湿潤剤、滑剤、安定剤、消泡剤、アルコキシシラン、水及びそれらの混合物を含む。本発明の照射硬化性組成物(X)中の顔料、着色剤、不活性樹脂、フィラー及び/又は添加剤の総量は、照射硬化性組成物Xの総重量と比較して、一般に60重量%を越えず、好ましくは40重量%を越えない。
【0109】
照射硬化性組成物(X)は、任意選択で少なくとも1つの顔料及び/又は少なくとも1つの艶消し剤を含み得る。
【0110】
少なくとも1つの顔料は、無機顔料であってもよく、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、フュームドシリカ、酸化アルミニウム及びそれらの任意の混合物からなる群から選択してもよい。一実施形態によれば、少なくとも1つの顔料は、有機顔料であってもよく、酸性及び塩基性染料顔料、ジアゾ顔料、モノアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、金属効果顔料及び任意のそれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0111】
少なくとも1つの艶消し剤は、好ましくは無機艶消し剤、特に無機酸化物艶消し剤であってもよい。好ましい艶消し剤は、SiO、Al、AlPO、MgO、TiO、ZrO、Fe及びそれらの混合物からなる群から選択される。酸化物は、ゲル、沈殿、フューム、コロイドなどを含めた種々の形態であってもよい。無機酸化物は、天然鉱物、加工/活性化鉱物、モンモリロナイト、アタパルジャイト、ベントナイト、珪藻土、ケイ砂、石灰石、カオリン、ボールクレー、タルク、パイロフィライト、パーライト、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シリカヒドロゲル、シリカゲル、フュームドシリカ、沈降シリカ、透析シリカ、アルミナゼオライト、モレキュラーシーブ、珪藻土、逆相シリカ、漂白土、及びそれらの混合物を含むこともできる。
【0112】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)は、好ましくは、以下のステップを含む以下の調製方法によって調製される:
・ステップ1:ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を得るために、少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)を、(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)と反応するステップ;
・ステップ2:得られる、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を
・少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのNCO基含有モノ付加体(MA)と、
・又は、少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)及び少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)、すなわち、系中で形成される少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むNCO基含有モノ付加体(MA)と、
混合することによるウレタン化ステップを行うステップ。
【0113】
本発明の別の態様は、
・少なくとも1つの上述の照射硬化性組成物(X)、及び
・少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)
を含む照射硬化性組成物(Y)であって、照射硬化性組成物(Y)のNCO基対OH基の当量比は、0.7:1~1.15:1である、上記照射硬化性組成物(Y)である。
【0114】
少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)は、遊離のイソシアナート基を有する化合物に関する。遊離のイソシアナート基を有するポリイソシアナートは、例えば、脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族及び/又は芳香族が結合した遊離のイソシアナート基を有する任意の有機ポリイソシアナートである。この種のポリイソシアナートは当業者に公知であり文献に記載されている。
【0115】
ポリイソシアナートは、好ましくは平均NCO官能性1.5~5、好ましくは2~4を有するものである。
【0116】
いわゆる「ペイント(コーティング)ポリイソシアナート」も適しており、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチル-シクロヘキサン(IPDI)及び/又はビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンに基づくもの、及び過剰の出発ジイソシアナートが、その調製後に、好ましくは蒸留により、0.5重量%未満の残留量まで除去されるビウレット、アロファナート、ウレタン及び/又はイソシアヌラート基を含有するこれらのジイソシアナートの公知の誘導体がある。トリイソシアナート、例えば、ノナントリイソシアナートも使用することができる。
【0117】
立体障害のあるポリイソシアナートも、適切である。その例は、1,1,6,6-テトラメチル-ヘキサメチレンジイソシアナート、1,5-ジブチル-ペンタメチルジイソシアナート、p-又はm-テトラメチルキシリレンジイソシアナート及び対応する水素化同族体である。
【0118】
原則として、ジイソシアナートは、例えば、三量化により、或いは水又はポリオール、例えばトリメチロールプロパン若しくはグリセロールとの反応により、従来の方法で反応してより高次の官能性化合物になることができる。
【0119】
イソシアナート変性樹脂、例えばNCO官能性アクリラート、ポリウレタン、ポリエステル及び/又はエポキシ樹脂は、ポリイソシアナート化合物(P1)としての上述のポリイソシアナートに加えて、又はその代わりに使用することができる。適切なイソシアナート変性樹脂は、遊離のイソシアナート基を有し且つフリーラジカル重合ができるオレフィン性二重結合を有する樹脂も含む。その例は、1つ又は複数のイソシアナート基をさらに含むポリ(メタ)アクリラート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルウレタン及び/又はエポキシ樹脂に基づく従来の(メタ)アクリロイル官能性オリゴマー及び/又はポリマー化合物を含む。特に、ポリイソシアナート化合物(P1)は、例えば、Ebecryl(登録商標)4150、Ebecryl(登録商標)4250、Ebecryl(登録商標)Ebecryl(登録商標)4396、Ebecryl(登録商標)4397、Ebecryl(登録商標)4510、Ebecryl(登録商標)4765及びEbecryl(登録商標)4141などのNCO基含有ポリウレタンであってもよく、すべてAllnexから市販されている。
【0120】
少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)は、これに限定されないが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアナートのウレトジオンなどのダイマー、1,6-ヘキサンジイソシアナートのビウレット及びイソシアヌラート(Covestroから市販されているDesmodur(登録商標)N3300)並びにイソホロンジイソシアナートのイソシアヌラートなどのトリマー、並びに高分子オリゴマーを含む、オリゴマーポリイソシアナートを含み得る。これに限定されないが、カルボジイミド及びウレトジオン並びにそれらの混合物を含めて、変性ポリイソシアナートを使用することもできる。好ましいポリイソシアナートの例は、ビウレット、イソシアヌラート及び/又はイミノオキサジアジンジオン構造を含むものである。特に、ポリイソシアナート化合物(P1)は、1,6-ジイソシアナトヘキサン及び/又はイソホロンジイソシアナートに基づく、脂肪族、脂肪族/環状脂肪族及び/又は環状脂肪族の単一種又は混合トリマーとすることができる。
【0121】
少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)は、個々に又は混合物で使用することができる。これらは、コーティング業界で使用されており、文献に包括的に記載され、また、商品として入手可能である。
【0122】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)は、1,6-ヘキサンジイソシアナートのビウレット及びイソシアヌラート(Covestroから市販されているDesmodur(登録商標)N3300)、Ebecryl(登録商標)4397(Allnexから市販されている)及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される。
【0123】
照射硬化性組成物(Y)のNCO基とOH基間の当量比は、好ましくは0.7:1~1.15:1、より好ましくは0.95:1~1.05:1である。この文脈では、当量比は、照射硬化性組成物(Y)を得るために両成分を反応するときの、少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)のNCO基及び少なくとも1つの照射硬化性組成物(X)のOH基を指す。
【0124】
照射硬化性組成物(Y)は、以下の調製方法に従って調製してもよい。
・上述の少なくとも1つの照射硬化性組成物(X)及び少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)を反応するステップであり、両成分の量は、得られる照射硬化性組成物(Y)のNCO基対OH基の当量比0.7:1~1.15:1を得るべく選択される。
【0125】
一実施形態によれば、照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)は、デュアル硬化組成物である。「デュアル硬化」は、2つの硬化メカニズム、例えば、照射及び熱架橋により硬化することができる組成物を指す。所望の性能特性を達成するために必要な架橋の度合いを実現するために、そのような組成物を照射(UV照射など)と熱の両方に曝す必要がある。したがって、一態様では、本発明のコーティング組成物は、照射に曝された直後に少なくとも部分的に硬化性であってもよい。本発明の別の態様では、本発明のコーティング組成物は、熱エネルギーに曝された直後に少なくとも部分的に熱硬化性であってもよい。
【0126】
照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)はエネルギー硬化性であり、照射により、通常、紫外線照射により、一般に光開始剤の存在下で硬化する。電子線照射により硬化することもでき、光開始剤を含まない組成物の使用が可能である。照射硬化性は、好ましくは、高エネルギー照射、すなわち、UV照射若しくは日光、例えば172~750nmの波長の光に曝すことにより、又は高エネルギー電子(電子線、70~300keV)を用いた衝撃により実施される。様々な種類の化学線、例えば、紫外線(UV)照射、ガンマ照射、及び電子線を使用することができる。照射硬化の好ましい手段は、紫外線照射である。一実施形態によれば、UV照射は、UV-A、UV-B、UV-C及び/又はUV-V照射である。
【0127】
光又はUV光用の適切な線源の例には、高圧水銀蒸気ランプが含まれ、水銀蒸気を他の元素、例えば、ガリウム又は鉄でドープして改質されている可能性がある。レーザー、パルスランプ(UV懐中電灯ランプの名称で知られている)、ハロゲンランプ又はエキシマランプ、高圧又は低圧ガリウムランプ、水銀ランプ、冷陰極管、キセノンランプ、ブラックライト、UV低エネルギー紫外線源(LED)、UVレーザー及び懐中電灯も使用することができる。
【0128】
ランプは静止状態で設置されていてもよく、その場合、照射されるべき材料は機械装置によって線源を通過し、又は、ランプは可動性であってもよく、照射用の材料は硬化中にその位置を変えない。UV硬化の場合に架橋に通常十分な照射量は、0.1~2000mJ/cmの範囲にある。
【0129】
照射は、適切ならば、酸素なしで、例えば、不活性ガス雰囲気下で又は低酸素雰囲気下で実施することもできる。適切な不活性ガスは、好ましくは窒素、二酸化炭素、希ガス又は燃焼ガスである。照射は、照射を通す媒体で覆われたコーティングでも起こり得る。その例は、例えば、高分子フィルム、ガラス又は液体である。
【0130】
本発明の照射硬化性組成物(X)及び(Y)は、任意の種類の基板上に満足な特性を有するコーティングを行うことを可能にする。特に、照射硬化性組成物(X)及び(Y)は、低いタック性を示し、好ましくは硬化する前はタックフリーである。本発明の照射硬化性組成物(X)及び(Y)は、通常の技術により、例えば、噴霧、圧延、ナイフコーティング、鋳込み、噴霧、ブラッシング、含浸、ディッピング、印刷又は他の転写法によって非常に多くの種類の基板のいずれにも塗布することができる。好ましくは、本発明の照射硬化性組成物(X)及び(Y)は、噴霧又はローラー塗りにより塗布することができる。適切な基板は、例えば、木材、セラミック、複合材、特にワイヤー、コイル、缶、又はコンテナコーティングとして知られる用途で使われる金属を含めた金属、並びにプラスチック、特にABS、ABS/PC、AMMA、ASA、CA、CAB、EP、UF、CF、MF、MPF、PC、PF、PAN、PA、PE、HDPE、LDPE、LLDPE、UHMWPE、PET、PMMA、PP、PS、SB、PUR、PVC、RF、SAN、PBT、PPE、POM、PUR-RIM、SMC、BMC、PP-EPDM及びUP(略語:DIN7728T1による)、紙、皮革、織物、フェルト、ガラス、コンクリート、無機結合基板、例えば、木質セメント板及びアスベストセメント板、電子部品アセンブリ又は鉱物基板である。記載したものと異なる材料からなる基板、又はすでにコーティングした基板に塗料を塗ることも可能である。さらなる可能性は、例えば、シート、フィルム又は箔、特にプラスチック箔を製造するために、照射硬化性組成物(X)又は(Y)をほんの一時的に基板に塗布し、次いで、それを部分的に又は完全に硬化し、再び剥離することである。照射硬化性組成物(X)又は(Y)は、好ましくはクリアコートの形態で、車両、特に車体、又は付属部品のコーティングに使用することができる。
【0131】
本発明の別の態様は、デュアル硬化の用途用の、例えば、二次成形フィルムを調製するための、照射硬化性組成物(X)の使用又は照射硬化性組成物(Y)の使用である。
【0132】
照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)は、コンフォーマルコーティング用に又は接着促進剤として使用することもできる。
【0133】
本発明の別の態様は、照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)から調製されるコーティング、接着剤、インク、プラスチック箔又はオーバープリントニスである。
【0134】
本発明は、照射硬化性組成物(X)又は(Y)でコーティングした物品に関する。
【0135】
照射硬化性組成物(X)又は(Y)は、要望通り、1成分(1-K)又は2成分(2-K)系であってもよい。
【0136】
本発明は、照射硬化性組成物(X)の硬化方法にも言及し、これは、以下のステップを含む:
・ステップ1:任意選択で添加した溶媒を、好ましくは室温で又は高温、好ましくは最大で80℃で、フラッシュオフさせるステップ。任意選択で、加熱気体(例えば、空気)の流れによる。温度上昇は、公知の方法、例えば、赤外線又は近赤外線放射体により、又は他の方法で加熱したオーブンによりもたらされ得る;及び
・ステップ2:例えば、紫外線(UV)照射、ガンマ照射、又は電子線としての線源を用いて照射硬化するステップ。
【0137】
照射硬化性組成物(Y)の硬化方法は、以下のステップにより行われる:
・ステップ1:任意選択で添加した溶媒を、好ましくは室温で又は高温、好ましくは最大で80℃で、フラッシュオフさせるステップ。任意選択で加熱気体(例えば、空気)の流れによる。温度上昇は、公知の方法、例えば、赤外線又は近赤外線放射体により、又は他の方法で加熱したオーブンによりもたらされ得る;
・ステップ2:例えば、紫外線(UV)照射、ガンマ照射、又は電子線としての線源を用いて照射硬化するステップ;及び
・ステップ3:NCO含有成分をイソシアナート反応性化合物で架橋することにより熱硬化するステップ。
これは、高温で、有利には150℃未満で実施することができる。温度は、公知の方法、例えば、赤外線又は近赤外線放射体により、又は他の方法で加熱したオーブンにより高めることができる。ポストキュアが完了すると、コーティングした物品がさらなる取り扱いを受ける前に、冷却段階が続いてもよい。ステップ2及び3は、どちらの順番で実施してもよい。
【0138】
照射硬化性組成物(Y)は、通常、2つの別の容器に入れる。エンドユーザーは、使用の直前に、通常の混合装置を使用して、最も好ましくは、照射源を最小にする適切な対策を取って、2つの部分を特定の比で混合しなければならない。2つのパックを混合するとすぐに、イソシアナート基は、ヒドロキシル基と反応し始めて、ゆっくりした連続的で不可逆の反応が起こる。照射硬化性組成物を使用することができる期間は、「ポットライフ」と定義される。特定の照射硬化性組成物のポットライフは、通常、実験的に決定される。直ちに使用可能な配合物の初期の粘度が2倍になると、通常、ポットライフは終了する。エンドユーザーは、所望により、取り扱いを促進するためデュアルヘッドスプレーガンを用いることもでき、そのような条件下では、配合物のポットライフは高まり、2成分は噴霧塗布後に混合される。
【0139】
溶媒の添加は、噴霧塗布を促進するために行ってよい。触媒は、OH-NCO架橋を強化するためにしばしば添加される。
【0140】
照射硬化及び熱硬化は、順次又は同時に行うことができる。好ましい実施形態では、本発明の照射硬化性組成物に、硬化の第1段階を行い、次に硬化の第2段階を行うことになる。最初に照射硬化か熱硬化のどちらかを行うことができる。一実施形態では、本発明の照射硬化性組成物は、最初に照射(UV照射など)を行い、次に硬化の第2段階を行うことになり、この場合、予め照射(UV照射など)硬化を行った照射硬化性組成物に熱硬化(通常3D部品に対し)を行うことになる。別の実施形態では、溶媒の取り込みを防ぎ、照射(好ましくは紫外線)が及んでいない影の帯域での硬化を確実にするため、2段階硬化プロセスは、強制乾燥(空気循環又はIR)によるNCO-OH基の反応により実現される。ワークピースの最終表面特性は、下流重合によってもたらされ、これは、線源(UV光など)によって数秒間で起こり、直後のワークピースの処理(コートフィルムの熱成形及び高圧成形)を可能にする。
【0141】
溶媒放出及び部分的熱硬化は、通常、60~80℃で7~10分間の強制乾燥(空気循環又はIR)後に行われる。通常、OH/NCO架橋の完成にある、コンディショニングステップは、コーティング組成物を室温で1週間反応することにより行われる。しかし、室温で1週間の硬化と同じ効果を実現するために60℃で2日間の加熱による加速コンディショニングを行ってもよい。
【0142】
第2段階は、第1段階のすぐ後に行う必要はなく、1つ又は複数のその後に塗布されたコーティングの適用後に行うことができる。例えば、1つ又は複数のさらなるコーティング組成物を本発明の照射硬化したコーティングに塗布し、次いで本発明の照射硬化したコーティングと共に、1つ又は複数のさらに塗布したコーティングを同時に熱硬化することは、本発明の範囲内である。これらのステップは、いずれの順番でも実施することができる。
【0143】
本発明は、以下のステップを含む、基板を照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)でコーティングする方法にも言及する:
・ステップ1:照射硬化性組成物(X)又は(Y)を少なくとも1つの基板表面に塗布するステップ;及び
・ステップ2:コーティング基板を照射及び/又は熱に曝すことにより、照射硬化性コーティング組成物(X)又は(Y)を硬化するステップ。硬化のために照射と熱の両方を用いる場合、硬化ステップを任意の順番で、又は同時に実施することができる。
【0144】
前述のすべての実施形態は、個々に実施しても、理にかなった範囲内で組み合わせてもよい。
【0145】
本発明をさらに以下の例でより詳細に説明するが、本発明又はその用途を制限するものでは決してない。
【実施例0146】
材料のリスト
・ABS:アクリロニトリルブタジエンスチレン、Magnum3616、Dow
・PC:ポリカーボナート、Lexan9030、Sabic。
・ABS/PC:Bayblend T65、Bayer
・HPMA:ヒドロキシルプロピルメタクリラート、モノマー、Evonik。
・MMA:メチルメタクリラート、モノマー、Evonik。
・Sty:スチレン、モノマー、Brenntag。
・BuA:ブチルアクリラート、モノマー、BASF。
・BuMA:ブチルメタクリラート、モノマー、Evonik。
・AA:アクリル酸、モノマー、BASF。
・EA:エチルアクリラート、モノマー、Arkema。
・Cardura(登録商標)E10P:バーサティック酸10のグリシジルエステル、モノマー、Hexion。
・TAPEH:t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノアート、開始剤、Arkema。
・BAC:ブチルアセタート、溶媒、Celanese。
・IPDI:イソホロンジイソシアナート、Evonik。
・PETIA:ペンタエリスリトールトリアクリラート、Allnex。
・BHT:ブチル化ヒドロキシトルエン、安定剤、Innochem。
・Valikat Bi2010:ビスマスネオデカノアート、触媒、Umicore。
・Additol(登録商標)CPK:1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニル-ケトン、光開始剤、Allnex。
・Desmodur(登録商標)N3300:脂肪族ポリイソシアナート(HDIトリマー)、Covestro。
・DBTL:ジブチルチンジラウラート、触媒、Vesta Intracon。
・Modaflow(登録商標)9200:アクリル流動性改良剤、シリコーン添加なし、Allnex。
・Neorad(登録商標)A20:アクリル化アクリル/50%BAC、DSMから市販されている。
【0147】
測定は、以下の標準に従い実施した。
【0148】
ヒドロキシル価(IOH、mgKOH/g)は、以下の方法を用いて測定した。この「OH価」法は、電位差滴定によるヒドロキシル基用の自動定量法を含む。ヒドロキシル価は、樹脂1グラムから調製した完全にアセチル化した誘導体の加水分解生成物を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数と定義される。 ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基は、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される。 ステップ2- 加水分解ステップ:過剰の塩化アセチルは、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液により加水分解される。 ステップ3- 滴定ステップ:形成された酸官能基は、KOH0.5N溶液で滴定する。
【0149】
イソシアナート含有量(I NCO、meq/g)は、試験方法ASTM E200-72に従い、残留ジブチルアミン(0.5N)/N-メチルピロリドンを塩化水素酸(0.1N)/2-プロパノールで逆滴定することにより把握することができる。
【0150】
溶液を125℃で2時間乾燥することを含む重量法により固形分を測定した。
【0151】
樹脂の粘度は、DIN EN ISO3219、25 1/s;23℃に従い、コーンプレート型レオメータMCR100(Paar-Physica)を用い、一定の剪断速度で測定する。
【0152】
重量平均分子量(Mw)は、Polymer Laboratories製のポリスチレン標準EasyCal(分子量範囲:200~400.000g/mol)を用い、通常のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定した。流速マーカーとしてトルエン0.5%を含むテトラヒドロフラン(THF)に試料を溶解した(1.0%wt/wt)。3PLGel Mixed-DLSポリスチレンジビニルベンゼンGPCカラム(300X7.5mmX5μm)を備えた液体クロマトグラフィー(Merck-Hitachi L7100)で分析を行った。試料の成分を溶液中の分子サイズを基準にしてGPCカラムにより分離し、屈折率検出器で検出した。データを収集し、Polymer Laboratories Cirrus GPCソフトウェアにより処理した。結果から得られる平均分子量及び微分分子量分布は、当該技術分野で公知の式に従って算出する(DIN55672-1参照)。
【0153】
ガラス転移温度(Tg)は、ASTM E1356-08に従い、毎分10度(摂氏)の傾斜加熱で動的走査熱量計(DSC)により測定する。
【0154】
(例1)
ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)の調製
【0155】
化合物AP~APを調製するために使用する試薬の種類及び量を表1にまとめて示す。
【0156】
ブチルアセタート(最初の添加量)を、2000mLの3ツ口丸底ガラス反応器に入れた。反応器を窒素で置換し、120℃に加熱した。表1に記載のモノマーの混合物及び開始剤(TAPEH)のブチルアセタート溶液を、激しく撹拌しながら140℃で4時間かけて連続的に反応混合物に供給した。モノマーの完全転化を実現するために開始剤をさらに添加して、反応温度で1時間のモノマー追跡ステップを実施する。次いで、反応温度をさらに2時間125℃に保ち、大部分の未反応の熱開始剤を分解した。
【表1】
【0157】
(例2)
ペンダントヒドロキシル基を含む(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)の調製
【0158】
組成物X1~X5を調製するために使用する試薬の種類及び量を表2にまとめて示す。
【0159】
イソホロンジイソシアナートを、エアスパージング下でビスマスネオデカノアート、ブチル化ヒドロキシトルエン及びブチルアセタートを有する1000L反応器に加えた。反応器を60℃に加熱した。PETIAを2時間で滴下し、特定のイソシアナート基含有量が達成されるまで65℃を越えない温度で反応を行った。次いで、希釈したアクリル中間体APをさらなるビスマスネオデカノアート、ブチル化ヒドロキシトルエン及びブチルアセタートと共に反応混合物に添加し、85℃に加熱した。熟成を85℃で行い、0.015meq/g以下の特定のイソシアナート基含有量を得た。
【0160】
【表2】
【0161】
(例3)
ヒドロキシル基を含むアクリルポリマーを含む比較用組成物。
【0162】
組成物Comp1及びComp2を含むヒドロキシル基を含むアクリルポリマーはどちらもアクリル化されていない。実際、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性エチレン性不飽和ポリマーの骨格にメタクリラート官能基をグラフト化できる少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体の形成はない。
【0163】
組成物Comp1及びComp2を調製するために使用する成分の種類及び量を表3にまとめて示す。
【0164】
【表3】
【0165】
(例4)
組成物X1~X5及び比較用組成物Comp1及びComp2の特性評価。
【0166】
純樹脂の評価
【0167】
組成物X1~X5及びComp1~Comp2を、表4に記載されている光開始剤と混合した(組成物X’1~X’5及びComp’1~Comp’2)。さらに、Neorad(登録商標)A20を含む組成物Comp0を調製し、同様に評価した。耐溶剤性、タック性、溶媒蒸発後のフィルム貼付、及び得られるコーティングの黄変は、以下の方法により測定した。
【0168】
耐溶剤性(PC上でのアセトン往復摩擦):25μmのフィルムを白い非吸収紙上に塗布し、溶媒を60℃のオーブン内で10分間蒸発させる。次いで、120ワット/cmのHgランプを用いて、UV光下、10m/分の硬化速度でコーティングを硬化する。耐溶剤性は、アセトンを染み込ませたコットンラグをコーティング表面上で前後に押し動かすアセトン往復摩擦(ADR)を用いて評価する;1回の往復摩擦は、15コーティング表面上での前後の一行程に等しい。報告した数字は、コーティングを突破するのに必要な往復摩擦の数である。コーティング及び基板をいかなる家庭用品又は工業製品の漏出からも確実に十分保護するために、高い耐溶剤性(100回を超えるアセトン往復摩擦)が必要である。
【0169】
溶媒蒸発後及び硬化前のタック性及びフィルム貼付:25μmのフィルムを白い非吸収紙上に塗布する。溶媒を60℃のオーブン内で10分間蒸発させ、フィルム表面の上部を指で押すことによりタック性を評価する。結果を1~5のスケールで記録する:0=濡れている/1=非常に粘着性がある/2=粘着性がある/3=少し粘着性がある/4=無塵-指紋/5=タックフリー。スコア5は、タックフリーのフィルムに対応し、表面上に目に見える印は何もない。4又は5のスコアは、満足できる評価である。さらに、2つのフィルムを接触させ、互いに分離した後に、フィルム粘着性を評価する。結果を0~3のスケールで記録する:0=非常に強い粘着性/1=強い粘着性/2=少しの粘着性/3=粘着性なし。2~3又は3のスコアは満足できる評価である。
【0170】
黄変:25μmのフィルムをレネッタ(Lenetta)紙上に塗布し、硬化させ、UV光に数回曝す。短いUV露光(10m/分で2通過)及びより長いUV露光(10m/分で5通過)の直後に、装置型Supercolorを用いて黄変(デルタb)を測定する。デルタb値が高いほど、UV露光でコーティングの黄色が強い。
【0171】
【表4】
【0172】
本発明による組成物X’1~X’5は、非アクリル化化合物を含む比較用組成物Comp’1及びComp’2と比較して、タック性及び粘着性レベルの改善を可能にする。本発明による組成物X’1~X’5は、非アクリル化化合物を含む比較用組成物Comp’1及びComp’2と比較して、耐溶剤性及び反応性の改善を可能にする。特に、本発明による組成物X’3、X’4及びX’5は、Neorad(登録商標)A20を含む組成物Comp0(GMAルート)と比較して、類似のレベルの性能(タック性、耐溶剤性、反応性)を示す。本発明によるコーティング組成物X’1~X’5は、Neorad(登録商標)A20と比較して、硬化時により少ない黄変を示す。
【0173】
(例5)
照射硬化性組成物(Y)-2K組成物の調製。
【0174】
本発明による照射硬化性組成物Y1~Y3及び比較用の照射硬化性組成物Comp3は、表5にまとめて示す化合物の量及び種類を使用することにより調製した。
【0175】
【表5】
【0176】
(例6)
照射硬化性組成物Y1~Y3及びComp3の特性評価。
【0177】
照射硬化性組成物Y1~Y3及びComp3を用い、フィルムを調製した。25μmの厚さのコーティング層を、バーコータを用いて基板上に塗布した。次いで、120ワット/cmのHgランプを用いUV光下でコーティングを10m/分の硬化速度で2回硬化した。次いで、60℃のオーブン内でフィルムコンディショニングを2日間実施する。用いた基板は、PC、ABS、ABS/PCである。得られたすべてのフィルムは、オーブンの前後、及びUV硬化の後に、欠陥のない良好な澄んだ様相を示す。
【0178】
照射硬化性組成物Y1~Y3及びComp3の諸特性を以下の方法に従い評価した。
【0179】
-フィルム外観(透明性):コーティングの透明性を様相の違いに関して評価する。結果を目視で評価し、1~5のスケールで記録する:5=完全に透明;4=ほんの少し濁りを帯びる;3=少し濁りを帯びる;2=濁りを帯びる;1=不透明。高い値(5)は、コーティングされた物体の最良の外観及び官能性をもたらすと見込まれる。
【0180】
・耐スクラッチ性(PC上のスチールウール):試験は、スチールウールを用いた5回の往復摩擦でコーティングを引っ掻くことにより実施する。結果を目視で評価し、1~5のスケールで記録する:5=スクラッチなし;4=非常に軽いスクラッチ;3=中程度のスクラッチ;2=強いスクラッチ;1=非常に強いスクラッチ。高い値(5)は、コーティングされた物体のいかなる劣化に対しても最良の保護をもたらすと見込まれる。
【0181】
・接着(クロスハッチテープ):ABS、PC及びABS/PC上の接着を、ISO2409によるクロスカット試験を用いて評価する。ナイフを用いコーティングに5本の長さ約1cmのカットを約1mmの間隔で入れ、次に5本の同様のカットを横方向に入れる。粘着テープ(Scotch(登録商標))をクロスカットコーティング上にしっかり押し付け、速やかに除去して、接着を測定した;接着低下によるコーティングのクロスカット表面積への損害は、0~5のスケールで表され、5=最良である。高い接着は、コーティングと基板の間の強く、永続的な結合を確実にするために必要である。
【0182】
・摩耗(テーバーヘイズ):コーティングの摩耗に対する耐性は、ASTM D1044に従い、テーバーヘイズを用いて評価する。PC上の最初のコーティングヘイズを測定する。次いで、試験片を摩耗試験機に取り付ける。摩耗試験機ホイールCS-10Fの上部に500グラムの荷重をかけ、指定された回転数で回転させる。最終ヘイズ値を測定し、初期の値と比較する。研磨損傷を目視で評価し、試験方法D1003による研磨及び非研磨検体間のヘイズ百分率の差により数値的に定量化する。ヘイズ差の百分率が低いほど、コーティングの研磨損傷に対する耐性は大きい。
【0183】
・耐加水分解性:加水分解に対するコーティングの耐性をVW TL226に従い評価する。プラスチック基板上に塗布したコーティングを90℃、相対湿度95%の湿度チャンバーに72時間入れる。湿度試験後の視覚的損傷、光沢及びクロスハッチ接着に関して、コーティングを評価する。コーティングが損傷されず、試験の前後で同じレベルの光沢及び接着が達成されれば、試験は合格である。
【0184】
・ハンドクリーム及びサンローションに対する耐性:コーティングのクリーム及びサンローションに対する耐性をVW PV3964に従い評価する。サンクリーム及びハンドローションを包帯上に塗布し、コーティング上に置く。試料を80℃の換気オーブンに24時間入れ、包帯を除去し、残りのクリーム/ローションをティッシュで拭き取る。評価前に試料を少なくとも4時間室温で放置する。試験後の視覚的損傷、光沢、クロスハッチ接着及びスクラッチ(エリクセンペン10N)に関して、コーティングを評価する。コーティングが損傷されず、試験の前後で同じレベルの光沢及び接着が達成されれば、試験は合格である。
【0185】
・光沢測定:本発明全体を通して及びここでも、光沢測定は、DIN EN ISO2813に従い、BYK Gardner micro TRI-gloss 20-60-85光沢計を用いて行った。
【0186】
・エリクセンペン(スクラッチ/接着):0.75mmの先端部を有するエリクセンペン318を10Nの荷重で使用する。コーティングの破断が記録されなければ、試験は合格である。しかし、圧痕は許容される。
【0187】
照射硬化性組成物Y1~Y3及びComp3の特性評価に関する結果を表6にまとめて示す。
【0188】
【表6】
【0189】
本発明による組成物Y1~Y3は、様々なプラスチック基板への優れた接着性を有する。本発明によるコーティング組成物Y1~Y3では、望ましい最適性能特性(光沢/摩耗)のバランス、及び特にNeorad(登録商標)A20(GMAルート)を含む組成物Comp3と同様のレベルを得ることが可能である。本発明によるコーティング組成物Y1~Y3は、通常、自動車の内装で使用されるすべての困難な耐薬品性試験、すなわち:加水分解、ハンドクリーム及びサンローションに対する耐性に合格している。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む、少なくとも1つの照射硬化性組成物(X)、及び
・少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)、
を含む照射硬化性組成物(Y)であって、
(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)が、
a)ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)であって、
a1)少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)、及び
a2)(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)、
の反応生成物である、水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)、
並びに、
b)少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート基含有モノ付加体(MA)であって、ウレタン結合により、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)に結合し、
b1)少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)、及び
b2)少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)
の反応生成物である、イソシアナート基含有モノ付加体(MA)、
の反応生成物であり、
照射硬化性組成物(X)のNCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:10であり、アクリル化後の照射硬化性組成物(X)のガラス転移温度(Tg)が少なくとも10℃であり、ガラス転移温度(Tg)は標準ASTM E1356-08に従い動的走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、
照射硬化性組成物(Y)のNCO基対OH基の当量比が0.7:1~1.15:1である、
照射硬化性組成物(Y)。
【請求項2】
照射硬化性組成物(X)のヒドロキシル価IOHが20~350mgKOH/gに入っており、ヒドロキシル価IOHが、以下の方法:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基が、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液により加水分解される;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成された酸官能基が、KOH0.5N溶液で滴定される、
により測定されるものである、請求項1に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項3】
照射硬化性組成物(X)の重量平均分子量(Mw)が5,000ダルトン~200,000ダルトンであり、標準DIN55672-1に従い測定されるものである、請求項1又はに記載の照射硬化性組成物()。
【請求項4】
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)及び/又はヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項5】
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、少なくとも1つの第2級ヒドロキシル基を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項6】
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、アルキル鎖に1~12個の炭素原子を有するヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和カルボン酸と1つのエポキシ官能性を有する別の化合物との反応生成物、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項7】
少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)が、スチレン誘導体モノマー(AP21)、(メタ)アクリル及びクロトン酸と飽和直鎖又は環状アルコール類とのエステルであるモノマー(AP22)、官能化モノマー(AP23)、酸性モノマー(AP24)、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項8】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)が、少なくとも20℃のガラス転移温度(Tg)を有し、ガラス転移温度(Tg)が、標準ASTM E1356-08に従い動的走査熱量計(DSC)により測定されるものである、請求項1から7までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項9】
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)のヒドロキシル価が50mgKOH/g~500mgKOH/gであり、ヒドロキシル価IOHが、以下の方法:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基が、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液により加水分解される;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成される酸官能基が、KOH0.5N溶液で滴定される、
により測定されるものである、請求項1から8までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項10】
少なくとも1つのヒドロキシ(メタ)アクリラートモノマー(MA2)がモノヒドロキシポリ(メタ)アクリラート化合物である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項11】
少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の、NCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:1である、請求項1から10までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項12】
水不溶性である請求項1から11までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物()の調製方法であって、以下のステップ:
・ステップ1:ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を得るために、少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)を、(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)と反応するステップ;
・ステップ2:得られる、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を
・少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート基含有モノ付加体(MA)と、
・又は、少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)及び少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)と、すなわち、系中で形成される少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)と、
混合することによりウレタン化ステップを実施するステップ
を含む、方法。
【請求項14】
デュアル硬化用途用、コンフォーマルコーティング用、複合材用、3次元(3D)用途用、濃厚顔料系用、又は接着促進剤としての請求項1~12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(Y)の使用。
【請求項15】
求項1~12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(Y)から調製される、コーティング、接着剤、インク、プラスチック箔又はオーバープリントニス。
【請求項16】
求項1~12までのいずれか一項に記載の照射硬化性組成物(Y)で基板をコーティングする方法であって、
・ステップ1:照射硬化性組成物(X)又は(Y)を基板の少なくとも1つの表面に塗布するステップ、及び
・ステップ2:コーティングされた基板を照射及び/又は熱に曝すことにより、照射硬化性コーティング組成物を硬化するステップ、
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明の別の態様は、デュアル硬化用途、例えば、二次成形フィルムを調製用、コンフォーマルのコーティング用、複合材用、3次元(3D)用途用、光が十分深く入り込めない濃厚顔料系用(深部硬化)、又は接着促進剤としての、照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)の使用である。特に、照射硬化性組成物(X)又は照射硬化性組成物(Y)は、自動車、化粧品包装、家具などの様々な領域で使用することができる。
本発明の一態様を以下に示すが、本発明はそれに限定されない。
[発明1]
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)を含む照射硬化性組成物(X)であって、(メタ)アクリル化アクリルポリマー(AA)が、
a)ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)であって、
a1)少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)、及び
a2)(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)、
の反応生成物である、水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)、
並びに、
b)少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート基含有モノ付加体(MA)であって、ウレタン結合により、ペンダントヒドロキシル基を含む水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)に結合し、
b1)少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)、及び
b2)少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)
の反応生成物である、イソシアナート基含有モノ付加体(MA)、
の反応生成物であり、
照射硬化性組成物(X)のNCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:10であり、アクリル化後の照射硬化性組成物(X)のガラス転移温度(Tg)が少なくとも10℃であり、ガラス転移温度(Tg)は標準ASTM E1356-08に従い動的走査熱量計(DSC)により測定されるものである、
照射硬化性組成物(X)。
[発明2]
照射硬化性組成物(X)のヒドロキシル価IOHが20~350mgKOH/gに入っており、ヒドロキシル価IOHが、以下の方法:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基が、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液により加水分解される;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成された酸官能基が、KOH0.5N溶液で滴定される、
により測定されるものである、発明1に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明3]
照射硬化性組成物(X)の重量平均分子量(Mw)が5,000ダルトン~200,000ダルトンであり、標準DIN55672-1に従い測定されるものである、発明1又は発明2に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明4]
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(AP11)及び/又はヒドロキシ官能性アリルモノマー(AP12)である、発明1から3までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明5]
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、少なくとも1つの第2級ヒドロキシル基を含む、発明1から4までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明6]
少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)が、アルキル鎖に1~12個の炭素原子を有するヒドロキシ官能性アルキル(メタ)アクリラート、エチレン性不飽和カルボン酸と1つのエポキシ官能性を有する別の化合物との反応生成物、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される、発明1から5までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明7]
少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)が、スチレン誘導体モノマー(AP21)、(メタ)アクリル及びクロトン酸と飽和直鎖又は環状アルコール類とのエステルであるモノマー(AP22)、官能化モノマー(AP23)、酸性モノマー(AP24)、及び任意のそれらの混合物からなる群から選択される、発明1から6までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明8]
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)が、少なくとも20℃のガラス転移温度(Tg)を有し、ガラス転移温度(Tg)が、標準ASTM E1356-08に従い動的走査熱量計(DSC)により測定されるものである、発明1から7までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明9]
ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)のヒドロキシル価が50mgKOH/g~500mgKOH/gであり、ヒドロキシル価IOHが、以下の方法:
・ステップ1- アセチル化ステップ:すべてのヒドロキシル官能基が、75℃で塩化アセチルによりアセチル化される;
・ステップ2- 過剰の塩化アセチルが、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の水溶液により加水分解される;及び
・ステップ3- 滴定ステップ:形成される酸官能基が、KOH0.5N溶液で滴定される、
により測定されるものである、発明1から8までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明10]
少なくとも1つのヒドロキシ(メタ)アクリラートモノマー(MA2)がモノヒドロキシポリ(メタ)アクリラート化合物である、発明1から9までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明11]
少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)の、NCO基対OH基の当量比が1:0.5~1:1である、発明1から10までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明12]
水不溶性である発明1から11までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)。
[発明13]
発明1から12までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)の調製方法であって、以下のステップ:
・ステップ1:ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を得るために、少なくとも1つのヒドロキシ官能性エチレン性不飽和モノマー(AP1)を、(AP1)と異なる少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー(AP2)と反応するステップ;
・ステップ2:得られる、ペンダントヒドロキシル基を含む少なくとも1つの水不溶性(メタ)アクリルポリマー(AP)を
・少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含む少なくとも1つのイソシアナート基含有モノ付加体(MA)と、
・又は、少なくとも1つのポリイソシアナート(MA1)及び少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリラートモノマー(MA2)と、すなわち、系中で形成される少なくとも1つの(メタ)アクリラート基を含むイソシアナート基含有モノ付加体(MA)と、
混合することによりウレタン化ステップを実施するステップ
を含む、方法。
[発明14]
・発明1から12までのいずれか一に記載の、又は、発明13に記載の方法により得られる、少なくとも1つの照射硬化性組成物(X)、及び
・少なくとも1つのポリイソシアナート化合物(P1)、
を含む照射硬化性組成物(Y)であって、
照射硬化性組成物(Y)のNCO基対OH基の当量比が0.7:1~1.15:1である、照射硬化性組成物(Y)。
[発明15]
デュアル硬化用途用、コンフォーマルコーティング用、複合材用、3次元(3D)用途用、濃厚顔料系用、又は接着促進剤としての、発明1から12までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)又は発明14に記載の照射硬化性組成物(Y)の使用。
[発明16]
発明1から12までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)又は発明14に記載の照射硬化性組成物(Y)から調製される、コーティング、接着剤、インク、プラスチック箔又はオーバープリントニス。
[発明17]
発明1から12までのいずれか一に記載の照射硬化性組成物(X)又は発明14に記載の照射硬化性組成物(Y)で基板をコーティングする方法であって、
・ステップ1:照射硬化性組成物(X)又は(Y)を基板の少なくとも1つの表面に塗布するステップ、及び
・ステップ2:コーティングされた基板を照射及び/又は熱に曝すことにより、照射硬化性コーティング組成物を硬化するステップ、
を含む、方法。
【外国語明細書】