(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093580
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】ロボット外科用器具のための閉ループ速度制御技術
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20230627BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20230627BHJP
【FI】
A61B17/072
A61B34/30
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023064845
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2019571713の分割
【原出願日】2018-06-13
(31)【優先権主張番号】15/636,829
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワージントン・サラ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】バクスター・ザ・サード・チェスター・オー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御するロボット外科用システムの作動方法を提供する。
【解決手段】制御回路が、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材及び前記制御回路に連結された力センサから受信することと、前記制御回路が、前記実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、前記制御回路が、前記比較に基づいて、前記閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、前記制御回路が、前記設定点速度に基づいて、前記閉鎖部材の前記実際の速度を制御することと、を含む。
【選択図】
図33
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御するロボット外科用システムの作動方法であって、
制御回路が、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材及び前記制御回路に連結された力センサから受信することと、
前記制御回路が、前記実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、
前記制御回路が、前記比較に基づいて、前記閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、
前記制御回路が、前記設定点速度に基づいて、前記閉鎖部材の前記実際の速度を制御することと、を含む、ロボット外科用システムの作動方法。
【請求項2】
前記制御回路が、比例、積分、及び微分(PID)フィードバック制御システムを含み、前記PIDフィードバック制御システムが、一次PIDフィードバックループ及び二次PIDフィードバックループを含み、前記ロボット外科用システムの作動方法は、
前記一次フィードバックループが、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力と閾値閉鎖力との間の第1の誤差を決定し、前記第1の誤差に基づいて、前記設定点速度を設定することと、
前記二次フィードバックループが、前記閉鎖部材の前記実際の速度と前記設定点速度との間の第2の誤差を決定し、前記第2の誤差に基づいて、前記閉鎖部材の前記実際の速度を制御することと、を更に含む、請求項1に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項3】
前記閾値閉鎖力が、上側閾値及び下側閾値を含み、前記ロボット外科用システムの作動方法は、
前記実際の閉鎖力が前記下側閾値未満であるときに、前記制御回路が前記閉鎖部材を遠位に前進させることと、
前記実際の閉鎖力が前記下側閾値よりも大きいときに、前記制御回路が前記閉鎖部材を近位に後退させることと、を更に含む、請求項1に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項4】
前記実際の閉鎖力が前記上側閾値と前記下側閾値との間にあるときに、前記制御回路が前記閉鎖部材を定位置に保持することを更に含む、請求項3に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項5】
前記制御回路が、閉鎖力を前記制御回路に連結された力センサから受信することが、前記制御回路が、閉鎖力を前記閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサから受信することを含み、前記トルクセンサが、前記閉鎖力を測定するように構成されている、請求項1に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項6】
前記制御回路が、閉鎖力を前記制御回路に連結された力センサから受信することが、前記制御回路が、閉鎖力を前記閉鎖部材に連結された歪みゲージから受信することを含み、前記歪みゲージが、前記閉鎖力を測定するように構成されている、請求項1に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項7】
前記制御回路が、閉鎖力を前記制御回路に連結された力センサから受信することが、前記制御回路が、閉鎖力を前記閉鎖部材に連結されたロードセルから受信することを含み、前記ロードセルが、前記閉鎖力を測定するように構成されている、請求項1に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項8】
前記閉鎖部材及び前記制御回路に連結された位置センサを更に備え、前記ロボット外科用システムの作動方法が、前記制御回路が、前記閉鎖部材の位置を前記位置センサから受信することを更に含む、請求項1に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項9】
前記制御回路が、発射ストロークの少なくとも一部分の間に前記閉鎖部材を前進させることを更に含む、請求項1に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項10】
ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御するロボット外科用システムの作動方法であって、
制御回路が、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材及び前記制御回路に連結された力センサから受信することと、
前記制御回路が、発射部材の実際の位置を、前記発射部材及び前記制御回路に連結された位置センサから受信することと、
前記制御回路が、前記閉鎖部材に加えられた前記実際の閉鎖力及び前記発射部材の前記実際の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を含む、ロボット外科用システムの作動方法。
【請求項11】
制御回路が、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を前記力センサから受信することが、前記制御回路が、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサから受信することを含み、前記トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、請求項10に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項12】
制御回路が、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を前記力センサから受信することが、前記制御回路が、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材に連結された歪みゲージから受信することを含み、前記歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、請求項10に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項13】
制御回路が、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を前記力センサから受信することが、前記制御回路が、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材に連結されたロードセルから受信することを含み、前記ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、請求項10に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【請求項14】
前記制御回路が、前記発射ストロークの少なくとも一部分の間に前記閉鎖部材を前進させることを更に含む、請求項10に記載のロボット外科用システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット外科用器具に関し、また様々な状況において、組織をステープル留め及び切断するために設計された、ロボット外科用ステープル留め及び切断器具並びにそれらのステープルカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ロボット外科用ステープル留め及び切断器具では、初期の所定時間又は変位における切断部材の位置及び速度を測定して、速度を制御するために有用であり得る。初期の所定時間又は変位にわたる位置又は速度の測定は、閾値に対するこの比較に基づいて、組織厚さを評価し、残りのストロークの速度を調節するために有用であり得る。
【0003】
電動ロボット外科用ステープル留め及び切断器具では、初期の所定時間又は変位における切断部材の位置及び速度を測定して、速度を制御するために有用であり得る。初期の所定時間又は変位にわたる位置又は速度の測定は、閾値に対するこの比較に基づいて、組織厚さを評価し、残りのストロークの速度を調節するために有用であり得る。
【0004】
電動ロボット外科用ステープル留め及び切断器具では、初期の所定時間又は変位における切断部材の位置及び速度を測定して、速度を制御するために有用であり得る。初期の所定時間又は変位にわたる位置又は速度の測定は、閾値に対するこの比較に基づいて、組織厚さを評価し、残りのストロークの速度を調節するために有用であり得る。
【0005】
ロボット外科用ツールは、外科的処置のための安定かつ信頼性の高い用途を提供する際に有用であり得る。様々な構成要素は、単一の支持装置が異なるモジュール式ロボット外科用アームに取設されるように使用され得るように、交換式であってもよい。これらのロボットシステムのいくつかは、独立して動き得るが、ある程度の相互関係も伴う、個々の構成要素を制御するために複数のモータを用いる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法が提供される。方法は、制御回路によって、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、制御回路によって、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、エンドエフェクタに連結された変位部材に連結されたモータのコマンド速度を設定することと、制御回路によって、設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、制御回路によって、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、制御回路によって、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、モータのコマンド速度を設定することと、を含む。
【0007】
別の態様では、ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法は、制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、閉鎖部材及び制御回路に連結された力センサから受信することと、制御回路によって、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、制御回路によって、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、制御回路によって、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を含む。
【0008】
別の態様では、ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法は、制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、閉鎖部材及び制御回路に連結された力センサから受信することと、制御回路によって、発射部材の実際の位置を、発射部材及び制御回路に連結された位置センサから受信することと、制御回路によって、閉鎖部材に加えられた実際の閉鎖力及び発射部材の実際の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を含む。
【0009】
別の態様では、ロボット外科用システムが提供される。ロボット外科用システムは、制御回路を備え、制御回路は、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、エンドエフェクタに連結された変位部材に連結されたモータのコマンド速度を設定することと、設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、モータのコマンド速度を設定することと、を行うように構成されている。
【0010】
別の態様では、ロボット外科用システムは、モータに連結され、閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中のモータのコマンド速度を設定するように構成された制御回路を備え、モータは、コマンド速度で遠位部材を駆動するように構成され、制御回路は、エンドエフェクタでの第1の状態を検出することと、エンドエフェクタでの第2の状態を検出することと、エンドエフェクタでの検出された第1及び第2の状態に基づいて、コマンド速度を設定することと、設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、を行うように構成されている。
【0011】
別の態様では、ロボット外科用システムは、切断部材に連結された変位部材を駆動するための第1のモータと、エンドエフェクタのアンビル部分に連結された閉鎖管を駆動するための第2のモータであって、閉鎖管が、アンビルを開閉させるように構成されている、第2のモータと、第1及び第2のモータに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の第1のモータのコマンド速度を設定し、第2のモータのコマンド速度を設定して、アンビルに連結された閉鎖管に閉鎖力を加えるように構成され、制御回路は、エンドエフェクタでの第1の状態を検出することと、エンドエフェクタでの第2の状態を検出することと、エンドエフェクタでの検出された第1及び第2の状態に基づいて、第1のコマンド速度を設定することと、第1の設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、を行うように構成されている。
【0012】
別の態様では、ロボット外科用システムのための制御システムが提供される。制御システムは、制御回路を備え、制御回路は、閉鎖部材の実際の閉鎖力を決定することと、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を行うように構成されている。
【0013】
別の態様では、制御システムは、閉鎖部材に連結するように構成された第1のモータと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を測定するように構成された力センサと、第1のモータ及び力センサに連結された制御回路を含む閉ループフィードバック制御システムと、を備え、制御回路は、閉鎖部材の実際の閉鎖力を力センサから受信することと、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための第1のモータの設定点速度を決定することと、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を行うように構成されている。
【0014】
別の態様では、制御システムは、比例、積分、及び微分(proportional, integral, and derivative、PID)フィードバック制御システムと、制御回路であって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を決定することと、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を行うように構成された、制御回路と、制御回路に連結され、閉鎖力を測定するように構成された力センサと、制御回路及び閉鎖部材に連結されたモータと、を備え、制御回路が、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させるように構成され、閾値閉鎖力が、上側閾値及び下側閾値を含み、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値未満であるときに、閉鎖部材を遠位に前進させるように構成され、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値よりも大きいときに、閉鎖部材を近位に後退させるように構成されている。
【0015】
別の態様では、ロボット外科用システムのための制御システムが提供される。ロボット外科用システムのための制御システムは、制御回路を備え、制御回路は、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を決定することと、発射部材の位置を決定することと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力及び発射部材の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を行うように構成されている。
【0016】
別の態様では、ロボット外科用システムのための制御システムは、閉鎖部材に連結するように構成された第1のモータと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を測定するように構成された力センサと、第1のモータ及び力センサに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、閉鎖部材に加えられた実際の閉鎖力を力センサから受信することと、発射部材の位置を位置センサから受信することと、閉鎖部材に加えられた実際の閉鎖力及び発射部材の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を行うように構成されている。
【0017】
別の態様では、ロボット外科用システムのための制御システムは、制御回路を備え、制御回路は、閉鎖区間中に閉鎖部材に閉鎖力を加えることと、閉鎖区間後の待機区間中に閉鎖力を増加させることと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を決定することと、発射ストローク中に発射部材の位置を決定することと、閉鎖力及び発射部材の位置に基づいて、閉鎖部材の新たな閉鎖力を設定することと、を行うように構成されている。
【0018】
別の態様では、ロボット外科用器具のためのシステムが提示される。システムは、制御回路と、両方が制御回路に通信可能に連結された、第1のモータ及び第2のモータと、第1のモータに通信可能に連結された第1の関節運動アームと、第2のモータに通信可能に連結された第2の関節運動アームと、第1のヒンジを介して第1の関節運動アーム及び第2のヒンジを介して第2の関節運動アームに連結されたエンドエフェクタと、を含み得る。制御回路は、第1のモータに、第1の力を第1の関節運動アームに加えさせるように構成され得る。制御回路は、第2のモータに、第2の力を第2の関節運動アームに加えさせるように構成され得、第2の力は、第1及び第2の力がエンドエフェクタで反作用力を加えるように、第1の力に対して拮抗的である。第1及び第2の力は、第1及び第2のヒンジを介してエンドエフェクタを関節運動させ得る。
【0019】
別の態様では、エンドエフェクタは、第1の力と第2の力との間の大きさの比率に基づいて、規定の角度に関節運動するように構成されている。いくつかの態様では、システムは、エンドエフェクタに連結された関節運動枢軸を更に含み、エンドエフェクタが、関節運動枢軸を中心に関節運動するように更に構成されている。いくつかの態様では、関節運動枢軸は、第1及び第2の関節運動アームの少なくとも一部分の間で、そこから等距離に長手方向に延びる中心軸から離れて位置付けられる。
【0020】
別の態様では、制御回路、第1のモータ、第2のモータ、第1の関節運動アーム、第2の関節運動アーム、及びエンドエフェクタを備えるロボット外科用器具の方法が提示される。方法は、制御回路によって、第1の力を第1の関節運動アームに加えるように第1のモータに命令することと、制御回路によって、第2の力を第2の関節運動アームに加えるように第2のモータに命令することであって、第2の力は、第1及び第2の力がエンドエフェクタで反作用力を加えるように第1の力に対して拮抗的である、命令することと、第1及び第2の関節運動アームにそれぞれ加えられた第1及び第2の力に基づいて、第1及び第2のヒンジを介してエンドエフェクタを関節運動させることと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に記載される態様の新規特徴は、添付の「特許請求の範囲」に具体的に記載される。しかし、これらの態様は、構成及び操作の方法のいずれに関しても、以下の説明文を添付の図面と共に参照することによってより深い理解を得ることができる。
【
図1】本開示の一態様による、1つのロボットコントローラの斜視図である。
【
図2】本開示の一態様による、複数の外科用ツールを動作可能に支持するロボット外科用システムの1つのロボット外科用アームカート/マニピュレータの斜視図である。
【
図3】本開示の一態様による、
図2に図示されたロボット外科用アームカート/マニピュレータの側面図である。
【
図4】本開示の一態様による、外科用ツールの斜視図である。
【
図5】本開示の一態様による、様々な外科用ツールを取設するためのアダプタ及びツールホルダ構成を示す分解組立図である。
【
図6】本開示の一態様による、
図4の外科用ツール態様の部分底面斜視図である。
【
図7】本開示の一態様による、関節運動式外科用エンドエフェクタの一部分の部分分解図である。
【
図8】本開示の一態様による、ツール取り付けハウジングが取り外された
図105の外科用ツールの背面斜視図である。
【
図9】本開示の一態様による、ツール取り付けハウジングが取り外された
図6の外科用ツールの前面斜視図である。
【
図10】本開示の一態様による、
図6の外科用ツールの部分分解斜視図である。
【
図11A】本開示の一態様による、
図6の外科用ツールの部分断面側面図である。
【
図11B】本開示の一態様による、
図11Aに図示された外科用ツールの一部分の拡大断面図である。
【
図12】本開示の一態様による、第1のセンサ及び第2を備えるエンドエフェクタの一態様を例示する。
【
図13A】本開示の一態様による、組織コンペンセータがエンドエフェクタのアンビル部分に取り外し可能に取設されている態様を例示する。
【
図13B】本開示の一態様による、
図13Aに示される組織コンペンセータの一部分の詳細図を例示する。
【
図13C】本開示の一態様による、ステープルカートリッジ内の導電性素子の層及び導電性素子を使用して、アンビルとステープルカートリッジの上面との間の距離を検出する、様々な例示的態様を例示する。
【
図14A】本開示の一態様による、内部に埋め込まれた導体を備えるエンドエフェクタを例示する。
【
図14B】本開示の一態様による、内部に埋め込まれた導体を備えるエンドエフェクタを例示する。
【
図15A】本開示の一態様による、ステープルカートリッジの切欠図を例示する。
【
図15B】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に埋め込まれた導体を例示する、
図15Aに示されるステープルカートリッジの切欠図を例示する。
【
図16】本開示の一態様による、エンドエフェクタ用の左から右にセグメント化されたフレキシブル回路の一態様を例示する。
【
図17】本開示の一態様による、エンドエフェクタのジョー部材に固定的に取設されるように構成された、セグメント化フレキシブル回路の一態様を例示する。
【
図18】本開示の一態様による、エンドエフェクタのジョー部材に取り付けられるように構成されたセグメント化フレキシブル回路の一態様を例示する。
【
図19】本開示の一態様による、組織間隙G
Tを測定するように構成されたエンドエフェクタの一態様を例示する。
【
図20】本開示の一態様による、セグメント化フレキシブル回路を備えるエンドエフェクタの一態様を例示する。
【
図21】本開示の一態様による、ジョー部材がジョー部材とステープルカートリッジとの間に組織を把持している、
図20に示されるエンドエフェクタを例示する。
【
図22】本開示の一態様による、フィードバックシステムの一態様の論理図を例示する。
【
図23】本開示の一態様による、ロボット外科用システムの態様を制御するように構成された制御回路を例示する。
【
図24】本開示の一態様による、ロボット外科用システムの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を例示する。
【
図25】本開示の一態様による、ロボット外科用システムの態様を制御するように構成された順序論理回路を例示する。
【
図26】本開示の一態様による、ロボット外科用器具の複数のモータと共に使用するための共通制御モジュールの論理図を例示する。
【
図27】
図1の外科用器具の絶対位置決めシステムの図であり、絶対位置決めシステムが、本開示の一態様による、センサ構成を備える制御モータ駆動回路構成を備える。
【
図28】本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える位置センサの図である。
【
図29】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内に把持された組織に対する発射部材ストロークを示す、
図1の外科用器具のエンドエフェクタの断面図である。
【
図30】本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを動作させるように構成されたロボット外科用器具の模式図である。
【
図31】本開示の一態様による、ロボット外科用器具の変位部材の前進又は後退速度を制御するための技術を例示するチャートである。
【
図32】本開示の一態様による、閉ループ速度制御プロセスのグラフィック図である。
【
図33】本開示の一態様による、エンドエフェクタ内の組織状態を決定し、それに応じてコマンド速度を調節するための制御プログラム又は論理構成のプロセスを図示する論理フロー図である。
【
図34】閉鎖フェーズ中の厚い組織及び薄い組織に対して閉鎖するように閉鎖部材に加えられる力を図示する2つの閉鎖力(closure force、FTC)プロットの第1のグラフ、並びに発射フェーズ中の厚い組織及び薄い組織を通して発射するように発射部材に加えられる力を図示する2つの発射力(firing force、FTF)プロットの第2のグラフである。
【
図35】本開示の一態様による、同時の閉鎖及び発射フェーズ中の、厚い組織及び薄い組織に対して閉鎖するように閉鎖部材に加えられる力を図示する2つの閉鎖力プロットの第1のグラフ、並びに厚い組織及び薄い組織を通して発射するように発射部材に加えられる力を図示する2つの発射力プロットの第2のグラフである。
【
図36】本開示の一態様による、閉鎖部材に対する閉鎖力負荷及び閉鎖部材の実際の速度に基づいて、閉鎖部材速度を制御する、厚い組織に対する制御プロセスのグラフである。
【
図37】本開示の一態様による、発射ストローク中の閉鎖力、変位、及び閉ループフィードバック制御閉鎖管速度の詳細図である。
【
図38】本開示の一態様による、閉鎖部材に対する閉鎖力負荷及び閉鎖部材の実際の速度に基づいて、閉鎖部材速度を制御する、薄い組織に対する制御プロセスのグラフを例示する。
【
図39】本開示の一態様による、発射部材が遠位に前進し、把持アーム内に連結したときに、閉鎖部材の漸進的閉鎖を提供して、閉鎖部材に対する閉鎖力負荷を所望の速度で低下させ、発射部材に対する発射力負荷を減少させるように構成された、制御システムのグラフである。
【
図40】本開示の一態様による、比例積分微分(PID)コントローラフィードバック制御システムを例示する。
【
図41】本開示の一態様による、閉鎖部材の速度を決定するための制御プログラム又は論理構成のプロセスを図示する論理フロー図である。
【
図42】本開示の一態様による、時間の関数としての閉鎖部材変位のプロットを図示する変位グラフ、時間の関数としての閉鎖力(FTC)のプロットを図示する閉鎖部材閉鎖力グラフ、及び時間の関数としてのプロット発射力(FTF)を図示する発射部材発射力グラフの図である。
【
図43】本開示の一態様による、閉鎖部材の速度を決定するための制御プログラム又は論理構成のプロセスを図示する論理フロー図である。
【
図44】本開示のいくつかの態様による、エンドエフェクタに接続された2つの関節運動アームを含むロボット外科用アームの例示的な構造部分を示す。
【
図45】関節運動アームに対して中立又は直線位置にあるアンビルを示す。
【
図46】第1の方向に沿って上に移動した左関節運動アームを示し、一方で同時に右関節運動アームが、反対方向に沿って下に移動されている。
【
図47】アンビルを逆、即ち、時計回りの方向に移動させる関節運動アームによる逆動を示す。
【
図48】いくつかの態様による、エンドエフェクタの枢動運動がシャフト構造体の中心線から実際に外れていることを示す。
【
図49】いくつかの態様による、水平中心線からのヘッドの関節運動の程度の関数として、関節運動アームの両方によって加えられる力の量を表す例示的なグラフを示す。
【
図50】いくつかの態様による、ヘッド/エンドエフェクタを中心線から60°関節運動させるために、どのように力が2つの関節運動アームに加えられ得るかの例を示す。
【
図51】いくつかの態様による、ヘッド/エンドエフェクタを中心線から30°関節運動させるために、どのように力が2つの関節運動アームに加えられ得るかの別の例を示す。
【
図52】いくつかの態様による、ヘッド/エンドエフェクタを中心又は中立位置に戻すように関節運動させるために、どのように力が2つの関節運動アームに加えられ得るかの第3の例を示す。
【
図53】いくつかの態様による、2つの独立した関節運動アームを制御することに基づいて、ロボット外科用システムのエンドエフェクタの関節運動を引き起こすための制御プログラム又は論理構成のプロセスを図示する論理フロー図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本出願の出願人は、本出願と同時に出願された以下の特許出願を所有しており、これらの各々は、参照によりそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
代理人整理番号END8288USNP/170197、2017年6月29日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、表題CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL。
【0023】
代理人整理番号END8294USNP/170198、2017年6月29日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、表題CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL OF CLOSURE MEMBER FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT。
【0024】
代理人整理番号END8289USNP/170199、2017年6月29日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、表題ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT WITH CLOSED LOOP FEEDBACK TECHNIQUES FOR ADVANCEMENT OF CLOSURE MEMBER DURING FIRING。
【0025】
代理人整理番号END8295USNP/170200、2017年6月29日出願の発明者Frederick E.Shelton,IVらによる、表題SYSTEM FOR CONTROLLING ARTICULATION FORCES。
【0026】
図1は、
図2に図示されるタイプのロボットアームスレーブカート100と共に使用され得るマスターロボットコントローラ11の一態様を図示する。マスターコントローラ11及びロボットアームスレーブカート100、並びにそれら個々の構成要素及び制御システムを、本明細書ではまとめてロボット外科用システム10と呼ぶ。そのようなシステム及びデバイスの例が、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,524,320号に開示されている。マスターコントローラ11は、概して、外科医が立体ディスプレイ12を介して処置を観察する間、外科医によって把持され空間を介して操作される、マスターコントローラ(
図1では全体的に13として表される)を含む。マスターコントローラ11は、概して、手動入力デバイスを備え、その手動入力デバイスは、好ましくは、多自由度で移動するものであり、また多くの場合、ツールを作動させるための(例えば、握持のこぎりの閉鎖、電極への電位の印加などのための)作動式ハンドルを更に有している。他の構成において、ディスプレイ12を通じて観察され得るフィードバックメータ15が外科医に提供されてもよく、また、切断器具又は動的把持部材に加えられている力の大きさの視覚的指示が外科医に提供されてもよい。追加の例が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,237,891号に開示される。
【0027】
図2に見られるように、一形態では、ロボットアームカート100は、概して200として示される複数の外科用ツールを作動させるように構成されている。マスターコントローラ及びロボットアームカート構成を用いる様々なロボット外科用システム及び方法が、その開示内容の全体が本明細書に参照により組み込まれる、米国特許第6,132,368号、表題「Multi-Component Telepresence System and Method」に開示されている。様々な形態では、ロボットアームカート100は、ベース102を含み、例示された態様では、そこから3つの外科用ツール200が支持される。様々な形態では、外科用ツール200は、セットアップ継手104及びロボットマニピュレータ106と概して呼ばれる、一連の手動関節運動式リンク機構によって各々支持される。
【0028】
ここで
図3を参照すると、少なくとも1つの形態では、ロボットマニピュレータ106は、外科用ツール200の運動を制約するリンク機構108を含み得る。様々な態様では、リンク機構108は、外科用ツール200が空間110内の点を中心として回転するように、平行四辺形構成で回転継手によって一緒に連結された硬質連結部を含み、これは、その開示内容の全体が本明細書に参照により組み込まれる発行済みの米国特許第5,817,084号により十分に説明される。平行四辺形構成は、ピッチ軸とも呼ばれる軸112aを中心とした枢動に回転を制約する。平行四辺形のリンク機構を支持する連結部は、セットアップ継手104(
図2)に枢動可能に取り付けられるため、外科用ツール200は、ヨー軸とも呼ばれる軸112bを中心として更に回転する。ピッチ軸112a及びヨー軸112bは、外科用ツール200のシャフト208に沿って整合された遠隔中心114で交差する。外科用ツール200は、長手方向ツール軸「LT-LT」に沿った外科用ツール200の摺動運動を含む、マニピュレータ106によって支持される更なる被駆動自由度を有し得る。外科用ツール200は、マニピュレータ106に対してツール軸LT-LTに沿って摺動し(矢印112c)、遠隔中心114は、マニピュレータ106のベース116に対して固定されたままである。したがって、マニピュレータ全体は、概して、遠隔中心114を再位置決めするように移動される。マニピュレータ106のリンク機構108は、一連のモータ120によって駆動される。これらのモータは、制御システムのプロセッサからのコマンドに応答してリンク機構108を能動的に移動させる。以下に更に詳細に論じられるように、モータ120は、外科用ツール200を操作するためにも用いられる。
【0029】
図4は、
図4に図示されるオペレータ(即ち、外科医)からの入力によって動作可能であるマスターコントローラ11に動作可能に連結されたツール駆動組立体を有するロボットシステム10との使用のために適合されている外科用ツール200の斜視図である。その図に見られるように、外科用ツール200は、エンドカッターを備える外科用エンドエフェクタ1012を含む。少なくとも1つの形態において、外科用器具200は、概して、関節運動継手1011によって一緒に連結された近位側閉鎖管1040及び遠位側閉鎖管1042を有する細長いシャフト組立体1008を含む。外科用ツール200は、概して300として示される、ツール取り付け部分によってマニピュレータに動作可能に連結されている。外科用ツール200は、ツール取り付け部分300をマニピュレータに機械的及び電気的に連結するインターフェース230を更に含む。様々な態様では、ツール取り付け部分300は、各々が被駆動要素304の表面から延在する1対のピン306を含む、複数の(
図6には4つが示されている)回転可能な本体部分、被駆動ディスク又は要素304を動作可能に支持するツール取り付けプレート302を含む。一方のピン306は、同じ被駆動要素304上の他方のピン306よりも各被駆動要素304の回転軸に近く、これは、被駆動要素304の正の角度整合を確実に行うことを助ける。インターフェース230は、以下に更に述べられるように、取り付けプレート302と取り付け可能に係合するように構成されているアダプタ部分240を含む。アダプタ部分240は、ツール取り付け部分300内の回路基板によってメモリ構造に連結され得る電気接続ピンのアレイを含み得る。インターフェース230は、本明細書では、機械的、電気的、及び磁気的連結要素と関連して説明されているが、赤外線、誘導結合などを含む、広範なテレメトリ様式が使用され得ることが理解されるべきである。
【0030】
図5は、本開示の一態様による、様々な外科用ツールを取設するためのアダプタ及びツールホルダ構成を示す分解組立図である。着脱式ラッチ構成239が、アダプタ240をツールホルダ270に解除可能に固定するために用いられ得る。本明細書で使用されるとき、「ツール駆動組立体」という用語は、ロボットシステム10との関連で使用されるとき、アダプタ240及びツールホルダ270の様々な態様を少なくとも包含し、
図5に101として概して示されている。例えば、
図5に見られるように、ツールホルダ270は、アダプタ240に設けられた対応するクレバススロット241内に受容されるようにサイズ決めされる第1のラッチピン構成274を含み得る。加えて、ツールホルダ270は、アダプタ240内の対応するラッチ考案内に保持されるようにサイズ決めされる第2のラッチピン276を更に有し得る。少なくとも1つの形態では、ラッチ組立体245は、アダプタ240上に移動可能に支持され、ラッチピン276がそれぞれのラッチクレバス内に保持される第1のラッチ位置と、第2のラッチピン276がラッチ考案内に入るか又はそこから取り外され得るラッチ解除位置との間で付勢可能である。ラッチ組立体は、1つ又は複数のばね(図に示されていない)を用いてラッチ位置に付勢される。アダプタ240のツール側面244上のリップが、ツール取り付けハウジング301の横方向に延在するタブを摺動可能に受容し得る。アダプタ部分240は、ツール取り付け部分300内の回路基板によってメモリ構造と連結され得る電気接続ピン242のアレイを含み得る。インターフェース230は、本明細書では、機械的、電気的、及び磁気的連結要素と関連して説明されているが、赤外線、誘導結合などを含む、広範なテレメトリ様式が使用され得ることが理解されるべきである。
【0031】
図4~
図6に示されるように、アダプタ部分240は、概して、ツール側面244及びホルダ側面246を含む。様々な形態では、複数の回転可能な本体250が、アダプタ240の主面に対して垂直な周囲のアダプタ構造に対して制限された運動範囲を有する、浮動プレート248に取り付けられる。浮動プレート248の軸方向運動は、ツール取り付け部分ハウジング301の側面に沿ってレバー303が作動されるときに、ツール取り付け部分300から回転可能な本体250を分離することを助ける。ツール取り付け部分300を解除可能にアダプタ240に連結するために他の機構/構成を用いることもできる。少なくとも1つの形態では、各回転可能な本体250は、回転可能な本体250の周囲の外周陥凹部内に延在する弾性径方向部材によって浮動プレート248に弾性的に取り付けられる。各回転可能な本体250は、これらの弾性構造の撓みによってプレート248に対して軸方向に移動し得る。第1の軸方向位置(ツール側面244に向かう)に配設されると、回転可能な本体250は、角度の制限なく自由に回転することができる。しかしながら、回転可能な本体250がツール側面244に向かって軸方向に移動するにつれて、タブ252(回転可能な本体250から径方向に延在する)が浮動プレート上の戻り止めを横方向に係合することによって、回転可能な本体250のそれらの軸を中心とした角度回転を制限する。この制限された回転を使用は、ピン11234が開口部256’と整合される(かつその中に摺動する)まで駆動ピン272が回転可能な本体250を制限された回転位置へと押し込むようになるので、回転可能な本体250をロボットシステム10の対応するツールホルダ部分270の駆動ピン272と駆動可能に係合することを助けるために使用され得る。回転可能な本体250のツール側面244上にある開口部256及びホルダ側面246上にある開口部256’は、ツール取り付け部分300の被駆動要素304をツールホルダ270の駆動要素271と正確に整合するように構成されている。被駆動要素304の内側及び外側ピン306に関して上述したように、開口部256、256’は、それら個々の回転可能な本体250上の回転軸から異なる距離にあるので、整合がその意図する位置から180度にならないことが担保される。更に、開口部256のそれぞれは、ピン306を外周方向に緊密に受容するようにわずかに円周方向に細長くなっている。これにより、ピン306は、開口部256、256’内で径方向に摺動可能となっており、ツール200とツールホルダ270との間の一定の軸方向の不整合が調整される一方で、駆動要素と被駆動要素との間の角度の不整合及びバックラッシュが最小限に抑えられる。ツール側面244上の開口部256は、ホルダ側面246上の開口部256’(破線で示される)から約90°オフセットされている。
【0032】
図6は、
図4の外科用ツール態様の部分底面斜視図である。
図6~
図10に示されるように、外科用エンドエフェクタ1012は、様々な態様による、細長いシャフト組立体1008によってツール取り付け部分300に取設される。例示された態様に示されるように、シャフト組立体1008は、外科用エンドエフェクタ1012を、長手方向のツール軸LT-LTをほぼ横切る関節運動軸AA-AAを中心として選択的に関節運動させることを可能とする、1011として概して示された関節運動継手を含む。
図7を参照されたい。他の態様では、関節運動継手は、省略される。様々な態様では、シャフト組立体1008は、枢動連結部1044によって枢動可能に連結されると共に1049として概して示される脊柱組立体上に動作可能に支持された近位側閉鎖管1040及び遠位側閉鎖管1042を備える閉鎖管組立体1009を含み得る。例示された態様では、脊柱組立体1049は、細長い溝1022に取設され、かつ近位側脊柱部分1052と枢動可能に連結された、遠位側脊柱部分1050を備える。閉鎖管組立体1009は、そこに適用される関節運動に応答して、脊柱組立体1049上で軸方向に摺動するように構成されている。遠位側閉鎖管1042は、遠位側閉鎖管1042が近位方向「PD」に軸方向に動かされる際に、アンビル1024の開放を容易にするために、アンビル1024上のタブ1027が挿入される開口部1045を含む。閉鎖管1040、1042は、導電性材料(金属など)で形成することによって、上記のように、アンテナの一部として機能し得る。主駆動シャフト組立体の部品(例えば、駆動シャフト1048,1050)は、非導電性の材料(例えば、プラスチック)で形成することができる。アンビル1024は、細長い溝1022の近位端に位置する枢動点1025において枢動により開閉することができる。
【0033】
使用時には、外科用エンドエフェクタ1012を長手方向ツール軸LT-LTを中心として回転させることが望ましい場合がある。少なくとも1つの態様では、ツール取り付け部分300は、ロボット外科用システム10のツール駆動組立体101からの対応する回転出力運動を受けて、この回転出力運動を、長手方向ツール軸LT-LTを中心として細長いシャフト組立体1008(及び外科用エンドエフェクタ1012)を回転させるための回転制御運動に変換するように構成された回転伝達機構組立体1069を含む。様々な態様では、例えば、近位側閉鎖管1040の近位端1060は、前方支持クレードル309によりツール取り付け部分300のツール取り付けプレート302上に回転可能に支持され、閉鎖橇状部材1100がツール取り付けプレート302上にやはり運動可能に支持される。少なくとも1つの形態では、回転伝達機構組立体1069は、ツール取り付けプレート302上に動作可能に支持された回転ギヤ組立体1070により動作可能に係合されるように近位側閉鎖管1040の近位端1060に形成された(又は取設された)管状ギヤセグメント1062を有する。
図8に示されるように、少なくとも1つの態様では、回転ギヤ組立体1070は、ツール取り付け部分300がツール駆動組立体101と連結される際にツール取り付けプレート302のアダプタ側面307上の被駆動ディスク又は要素304のうちの対応する第1のものと連結される回転駆動ギヤ1072を有している。
図6を参照されたい。回転ギヤ組立体1070は、管状ギヤセグメント1062及び回転駆動ギヤ1072と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持された回転被駆動ギヤ1074を更に含む。ロボット外科用システム10のツール駆動組立体101から、対応する被駆動要素304に対して第1の回転出力運動が加えられることにより、回転駆動ギヤ1072の回転が引き起こされる。回転駆動ギヤ1072の回転は、最終的に、長手方向ツール軸LT-LTを中心とした細長いシャフト組立体1008(及び外科用エンドエフェクタ1012)の回転につながる(
図8に矢印「R」により示される)。ツール駆動組立体101からの回転出力運動が一方向に加えられると、細長いシャフト組立体1008及び外科用エンドエフェクタ1012の第1の方向への回転が生じ、回転出力運動が反対方向に加えられると、細長いシャフト組立体1008及び外科用エンドエフェクタ1012の、第1の方向とは反対の第2の方向への回転が生じる点が認識されるであろう。
【0034】
少なくとも1つの態様では、ステープルカートリッジ1034に対するアンビル1024の閉鎖は、閉鎖管組立体1009を脊柱組立体1049上で遠位方向「DD」に軸方向に移動させることによって行われる。上記に示したように、様々な態様では、近位側閉鎖管1040の近位端1060は、1099として概して示される閉鎖伝達機構の一部を構成する閉鎖橇状部材1100によって支持される。少なくとも1つの形態では、閉鎖橇状部材1100は、閉鎖管1009をツール取り付けプレート320上で支持するように構成されており、これにより、近位側閉鎖管1040は、閉鎖橇状部材1100に対して回転することができる一方で閉鎖橇状部材1100と共に軸方向に運動することができる。詳細には、閉鎖橇状部材1100は、近位側閉鎖管1040の近位端部の径方向溝1063内に延在する直立タブ1101を有している。更に、
図10に見られるように、閉鎖橇状部材1100は、ツール取り付けプレート302内のスロット305を通って延在するタブ部分1102を有している。タブ部分1102は、ツール取り付けプレート302と摺動係合状態に閉鎖橇状部材1100を保持するように構成されている。様々な態様では、閉鎖橇状部材1100は、閉鎖ラックギヤ1106が形成された直立部分1104を有する。閉鎖ラックギヤ1106は、閉鎖ギヤ組立体1110と駆動係合するように構成されている。ナイフラックギヤ1106は、ツール取り付けプレート302に取設されたラックハウジング1210内に摺動可能に支持されており、それにより、ナイフラックギヤ1106は、ナイフギヤ組立体1220と噛合係合状態に保持されている。
【0035】
様々な形態では、閉鎖ギヤ組立体1110は、ツール取り付けプレート302のアダプタ側面307上の被駆動ディスク又は要素304のうちの対応する第2のものと連結される閉鎖スパーギヤ1112を含む。
図6を参照されたい。したがって、ロボットシステム10のツール駆動組立体101からの第2の回転出力運動が、対応する第2の被駆動要素304に加えられると、ツール取り付け部分300がツール駆動組立体101と連結される際に閉鎖スパーギヤ1112の回転が生じる。閉鎖ギヤ組立体1110は、閉鎖スパーギヤ1112と噛合係合状態で支持される閉鎖減速ギヤセット1114を更に含む。
図9及び
図10に見られるように、閉鎖減速ギヤセット1114は、閉鎖スパーギヤ1112と噛合係合状態で回転可能に支持される被駆動ギヤ1116を含む。閉鎖減速ギヤセット1114は、閉鎖ラックギヤ1106と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持された第2の閉鎖駆動ギヤ1120と噛合係合状態にある第1の閉鎖駆動ギヤ1118を更に含む。したがって、ロボット外科用システム10のツール駆動組立体101からの第2の回転出力運動が、対応する第2の被駆動要素11304に加えられると、閉鎖スパーギヤ1112及び閉鎖伝達機構1110の回転が生じ、最終的に閉鎖橇状部材1100及び閉鎖管組立体1009が軸方向に駆動される。閉鎖管組立体1009が動く軸方向は、第2の被駆動要素304が回転される方向によって最終的に決まる。例えば、ロボット外科用システム10のツール駆動組立体101から受ける1つの回転出力運動に応じて、閉鎖橇状部材1100は、遠位方向「DD」に駆動され、最終的に閉鎖管組立体101が遠位方向に駆動される。遠位側閉鎖管1042が遠位方向に駆動されると、閉鎖管セグメント1042の端部がアンビル1024の一部と係合し、アンビル1024を閉位置へと枢動させる。ロボット外科用システム10のツール駆動組立体101からの「開放」出力運動が加えられると、閉鎖橇状部材1100及び細長いシャフト組立体1008が近位方向「PD」に駆動されることになる。遠位側閉鎖管1042が近位方向に駆動されると、その中の開口部1045がアンビル1024のタブ1027と相互作用してその開放を容易にする。様々な態様では、ばね(図示せず)を用いて、遠位側閉鎖管1042がその始点位置に動かされた際にアンビルを開放位置に付勢することができる。様々な態様では、閉鎖ギヤ組立体1110の様々なギヤは、外科用エンドエフェクタ1012によって切開及びステープル留めされる組織に対してアンビル1024を充分に閉じるために必要な閉鎖力を発生するようにサイズ決めされている。例えば、閉鎖伝達機構1110の各ギヤは、約70~120ポンドの力を発生するようにサイズ決めされ得る。
【0036】
図11Aは、
図6の外科用ツール200の部分断面側面図であり、
図11Bは、本開示の一態様による、
図11Aに図示される外科用ツールの一部分の拡大断面図である。
図11A及び
図11Bを参照すると、ナイフバー1200の遠位端1202は、切断器具1032に取設されている。ナイフバー1200の近位端1204は、ナイフバー1200がナイフラックギヤ1206に対して自由に回転することができるようにナイフラックギヤ1206に回転可能に取り付けられている。ナイフラックギヤ1206は、ツール取り付けプレート302に取設されたラックハウジング1210内に摺動可能に支持されており、それにより、ナイフラックギヤ1206は、ナイフギヤ組立体1220と噛合係合状態に保持されている。より詳細には、
図10を参照すると、少なくとも1つの態様では、ナイフギヤ組立体1220は、ツール取り付けプレート302のアダプタ側面307上の被駆動ディスク又は要素304のうちの対応する第3のものと連結されるナイフスパーギヤ1222を含む。
図6を参照されたい。したがって、ロボットシステム10からの別の回転出力運動が、ツール駆動組立体101を介して、対応する第3の被駆動要素304に加えられると、ナイフスパーギヤ1222の回転が生じる。ナイフギヤ組立体1220は、第1のナイフ駆動ギヤ1226及び第2のナイフ駆動ギヤ1228を含むナイフギヤ減速セット1224を更に含む。ナイフギヤ減速セット1224は、第1のナイフ駆動ギヤ1226がナイフスパーギヤ1222と噛合係合状態にあるようにツール取り付けプレート302に回転可能に取り付けられる。同様に、第2のナイフ駆動ギヤ1228は、ナイフラックギヤ1206と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持された第3のナイフ駆動ギヤ1230と噛合係合状態にある。様々な態様では、ナイフギヤ組立体1220の各ギヤは、外科用エンドエフェクタ1012に把持された組織を貫通して切断要素1032を推し進め、ステープルを組織の中に駆動するために必要な力を発生させるようにサイズ決めされている。例えば、ナイフ駆動組立体1230のギヤは、約40~100ポンドを発生させるようにサイズ決めされ得る。ツール駆動組立体101からの一方向の回転出力運動が加えられることによって切断器具1032の遠位方向への軸方向運動が生じ、反対方向の回転出力運動が加えられることによって切断器具1032の近位方向への軸方向運動が生じる点は認識されるであろう。
【0037】
様々な態様では、外科用ツール200は、外科用エンドエフェクタ1012が、長手方向ツール軸LT-LTに対して実質的に横断する関節運動軸AA-AAを中心に関節運動されることを可能にする、関節運動継手12011を含む関節運動システムを用いる。少なくとも1つの態様では、外科用ツール200は、近位脊柱部分1052を通して提供される、対応する通路内で摺動可能に支持される第1の関節運動バー1250a及び第2の関節運動バー1250bを含む。少なくとも1つの形態では、第1の関節運動バー1250a及び第2の関節運動バー1250bは、ツール取り付けプレート302上で動作可能に支持される関節運動伝達機構によって作動される。関節運動バー1250a、1250bの各々は、近位端から突出するガイドロッドを有する近位端を有し、ガイドロッドは、近位側脊柱部分の近位端部分内の対応するスロットを通って、関節運動伝達機構の一部分を含む関節運動ナット1260内の対応する弓状スロット内に、横方向に延在する。関節運動バー1250aは、遠位側脊柱部分1050の近位端部分内の対応するスロットを通って、関節運動ナット1260の対応する弓状スロット内に、横方向に延在するガイドロッド1254を有する。加えて、関節運動バー1250aは、例えば、ピンによって遠位側脊柱部分1050に枢動可能に連結される遠位端を有し、関節運動バー1250bは、ピンによって遠位側脊柱部分1050に枢動可能に連結される遠位端を有する。具体的には、関節運動バー1250aは、長手方向ツール軸LT-LTから第1の横方向に横方向にオフセットされ、関節運動バー1250bは、長手方向ツール軸LT-LTから第2の横方向に横方向にオフセットされる。したがって、反対方向の関節運動バー1250a、1250bの軸方向運動は、以下に更に詳細に論じられるように、遠位側脊柱部分1050、並びにそれに取設された外科用エンドエフェクタ1012の関節運動軸AA-AAを中心とした関節運動を結果的にもたらすことになる。
【0038】
外科用エンドエフェクタ1012の関節運動は、関節運動ナット1260を、長手方向ツール軸LTーLTを中心に回転させることによって制御される。関節運動ナット1260は、遠位側脊柱部分1050の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位側脊柱部分の近位端部分上で関節運動ギヤ組立体1270によって回転可能に駆動される。より詳細には、
図8を参照すると、少なくとも1つの態様では、関節運動ギヤ組立体1270は、ツール取り付けプレート302のアダプタ側面307上の被駆動ディスク又は要素304のうちの対応する第4のものと連結される関節運動スパーギヤ1272を含む。したがって、ロボットシステム10からツール駆動組立体101を介した対応する第4の駆動要素304への別の回転出力運動の適用は、インターフェース230がツールホルダ270に連結されたときに、関節運動スパーギヤ1272の回転を引き起こすことになる。関節運動駆動ギヤ1274は、示されるように、関節運動スパーギヤ1272及び関節運動ナット1260のギヤ部分1264と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持される。関節運動ナット1260は、その上に形成された肩部1266を有し、肩部1266は、その中に保持ポスト1268を受容するための環状溝1267を画定する。保持ポスト1268は、ツール取り付けプレート302に取設され、関節運動ナット1260が近位側脊柱部分1052上で軸方向に移動することを防止しつつ、それに対して回転する能力を維持するように機能する。したがって、関節運動ナット1260の第1の方向の回転は、関節運動ギヤ1260内の螺旋スロットとのガイドロッド1254の相互作用により、関節運動バー1250aの遠位方向「DD」の軸方向運動、及び関節運動バー1250bの近位方向「PD」の軸方向運動を結果的にもたらす。同様に、第1の方向とは反対の第2の方向の関節運動ナット1260の回転は、関節運動バー1250aの近位方向「PD」の軸方向運動を結果的にもたらし、関節運動バー1250bを遠位方向「DD」に軸方向に移動させる。したがって、外科用エンドエフェクタ1012は、関節運動バー1250aを遠位方向「DD」に、かつ関節運動バー1250bを近位方向「PD」に同時に移動させることによって、関節運動軸「AA-AA」を中心に第1の方向「FD」に選択的に関節運動され得る。同様に、外科用エンドエフェクタ1012は、関節運動バー1250aを近位方向「PD」に、かつ関節運動バー1250bを遠位方向「DD」に同時に移動させることによって、関節運動軸「AA-AA」を中心に第2の方向「SD」に選択的に関節運動され得る。
【0039】
上記のツール態様は、ロボット制御可能な医療ツールを、少なくとも4つの異なる回転制御運動を生成するロボットアーム構成の少なくとも1つの形態上に取り付けるために特に好適であるインターフェース構成を用いる。当業者であれば、そのような回転出力運動が、ロボットシステム/コントローラによって用いられるプログラマブル制御システムを介して選択的に制御され得ることを理解するであろう。例えば、上記のツール構成は、Intuitive Surgical(Sunnyvale,Calif.,U.S.A.)によって製造されたロボットシステムとの使用に好適であり得、その多くは、参照により本明細書に組み込まれる様々な特許に詳細に説明され得る。本発明の様々な態様の固有かつ新規な態様は、ロボットシステムによって供給される回転出力運動を利用して、エンドエフェクタが組織を切断及びステープル留めすることを可能にする十分な大きさを有する特定の制御運動を生成する役割を果たす。したがって、本開示の様々な態様の固有の構成及び原理は、本明細書に開示及び特許請求されるツールシステムの様々な異なる形態が、プログラムされた回転又は他の出力運動を供給する他のタイプ及び形態のロボットシステムと併せて効果的に用いられることを可能にし得る。加えて、この詳細な説明が進むにつれて更に明らかになるように、他の形態の作動運動を必要とする本発明の様々なエンドエフェクタ態様もまた、ロボットシステムによって生成される制御運動のうちの1つ又は2つ以上を利用して効果的に作動され得る。
【0040】
図12は、第1のセンサ3008a及び第2のセンサ3008bを備えるエンドエフェクタ3000の一態様を例示する。第1のセンサ3008a及び第2のセンサ3008bは、セグメント化された電極を使用して組織の位置を決定するためにカートリッジデッキ上に提供される。したがって、第1のセンサ3008a及び第2のセンサ3008bは、閉鎖管上の負荷、閉鎖管の位置、ラックにおける発射部材及びIビーム3005に連結された発射部材の位置、組織を収容するカートリッジの部分、関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することを可能にする。エンドエフェクタ3000は、第2のジョー部材3004に枢動可能に結合された、第1のジョー部材、即ちアンビル3002を備える。第2のジョー部材3004は、その中にステープルカートリッジ3006を受容するように構成されている。ステープルカートリッジ3006は、複数のステープルを備える。複数のステープルは、外科的動作の間、ステープルカートリッジ3006から配備可能である。エンドエフェクタ3000は、第1のセンサ3008aを備える。第1のセンサ3008aは、エンドエフェクタ3000の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成されている。例えば、一態様では、第1のセンサ3008aは、アンビル3002と第2のジョー部材3004との間の間隙3010を測定するように構成されている。第1のセンサ3008aは、例えば、第2のジョー部材3004及び/又はステープルカートリッジ3006に埋め込まれた磁石3012によって生成される磁界を検出するように構成された、ホール効果センサを備えてもよい。別の例として、一態様では、第1のセンサ3008aは、第2のジョー部材3004によって、かつ/又はアンビル3002と第2のジョー部材3004との間に掴持された組織によって、アンビル3002に対して及ぼされる1つ又は2つ以上の力を測定するように構成されている。センサ3008a、3008bは、エンドエフェクタ3000内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0041】
エンドエフェクタ3000は、第2のセンサ3008bを備える。第2のセンサ3008bは、エンドエフェクタ3000の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成されている。例えば、様々な態様では、第2のセンサ3008bは、掴持された状態の間のアンビル3002の歪みの大きさを測定するように構成された、歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。様々な態様では、例えば、第1のセンサ3008a及び/又は第2のセンサ3008bは、例えば、ホール効果センサなどの磁気センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、例えば、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光センサ、及び/又はエンドエフェクタ3000の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。第1のセンサ3008a及び第2のセンサ3008bは、直列構成及び/又は並列構成で配置されてもよい。直列構成では、第2のセンサ3008bは、第1のセンサ3008aの出力に直接影響するように構成されてもよい。並列構成では、第2のセンサ3008bは、第1のセンサ3008aの出力に間接的に影響するように構成されてもよい。
【0042】
一態様では、第1のセンサ3008aは、アンビル3002と第2のジョー部材3004との間の間隙3010を測定するように構成されてもよい。間隙3010は、アンビル3002とステープルカートリッジ3006との間に掴持された組織部分の厚さ及び/又は圧縮性を表す。第1のセンサ3008aは、例えば、第2のジョー部材3004及び/又はステープルカートリッジ3006に結合された磁石3012によって生成される磁界を検出するように構成された、ホール効果センサを含んでもよい。単一箇所での測定により、組織の較正されたフルビットに対して圧縮された組織厚さが正確に説明されるが、組織の部分食込みがアンビル3002と第2のジョー部材3004との間に位置する場合、不正確な結果がもたらされることがある。組織の部分食込みは、近位側部分食込み又は遠位側部分食込みのどちらでも、アンビル3002の掴持の幾何学形状を変化させる。
【0043】
いくつかの態様では、第2のセンサ3008bは、組織食込みのタイプ、例えば、完全食込み、部分的な近位側食込み、及び/又は部分的な遠位側食込みを示す、1つ又は2つ以上のパラメータを検出するように構成されてもよい。いくつかの態様では、第1のセンサ3008aの厚さ測定値が、エンドエフェクタ3000に連結された外科用器具10の出力デバイスに提供されてもよい。例えば、一態様では、エンドエフェクタ3000は、ディスプレイを備える外科用器具10に連結されている。第1のセンサ3008aの測定値は、プロセッサに提供される。
【0044】
別の態様では、エンドエフェクタ3000は、把持処置中にアンビル3002に及ぼされる歪みの振幅を測定するように構成された複数の第2のセンサを備えてもよい。一態様では、複数のセンサは、堅牢な組織厚さ感知プロセスが実装されることを可能にする。アンビル3202の長さに沿って様々なパラメータを検出することによって、複数のセンサにより、食込み、例えば部分食込み又は完全食込みに関わらず、例えば、外科用器具10などの外科用器具が、ジョー内における組織厚さを計算することが可能になる。いくつかの態様では、複数のセンサは、複数の歪みゲージを備える。複数の歪みゲージは、アンビル3002の様々な地点において歪みを測定するように構成されている。アンビル3002の様々な地点それぞれにおける歪みの大きさ及び/又は勾配は、アンビル3002とステープルカートリッジ3006との間の組織の厚さを判断するために使用することができる。複数のひずみゲージは、組織の厚さ、組織配置、及び/又は物質の特性を判断するため、掴持の力学に基づいて、大きさ及び/又は勾配の最大差を最適化するように構成されてもよい。掴持の間における複数のセンサの時間ベースの監視によって、例えば、一次プロセッサなどのプロセッサが、アルゴリズム及びルックアップテーブルを利用して、組織特徴及び掴持位置を認識し、エンドエフェクタ3000、及び/又はアンビル3002とステープルカートリッジ3006との間に掴持された組織を動的に調節することが可能になる。
【0045】
図13Aは、導電性素子の層5512を備えるエンドエフェクタ5500の態様を例示する。エンドエフェクタ5500は、上述したエンドエフェクタ3000に類似している。エンドエフェクタ5500は、第2のジョー部材5504に枢動可能に連結された、第1のジョー部材、即ちアンビル5502を備える。第2のジョー部材5504は、中にステープルカートリッジ5506を受け入れるように構成されている。
図13Bは、
図13Aに示される組織コンペンセータの一部分の詳細図を例示する。導電性素子5512は、例えば、ワイヤコイル、ワイヤのメッシュ若しくはグリッド、導電性ストリップ、導電性プレート、電気回路、マイクロプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせなど、任意の数の構成の導電性材料の任意の組み合わせを含むことができる。導電性素子5512を含む層は、組織コンペンセータ5510のアンビルに面する面5514上に配置することができる。代替的に、又はそれに加えて、導電性素子5512の層は、組織コンペンセータ5510のステープルカートリッジに面する面5516上に配置することができる。導電性素子5512は、エンドエフェクタ5500内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。追加の例が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2016/0066912号に開示されている。
【0046】
図13Cは、ステープルカートリッジ5506内の導電性素子5512の層、並びに導電性素子5524、5526、及び5528を使用して、アンビル5502とステープルカートリッジ5506の上面との間の距離を検出する、様々な例示的態様を例示する。アンビル5502とステープルカートリッジ5506との間の距離は、それらの間に圧縮された組織5518の量及び/又は密度を示す。この距離は、それに加えて、又は代替的に、エンドエフェクタ5500のどの領域が組織を含むかを示す。組織5518の厚さ、密度、及び/又は位置を、外科用器具10の操作者に通信することができる。
【0047】
例示される例示的態様では、導電性素子5512の層は、組織コンペンセータ5510のアンビルに面する表面5514上に位置し、マイクロプロセッサ5520と連通している1つ又は2つ以上のワイヤコイル5522を備える。マイクロプロセッサ5500は、エンドエフェクタ5500若しくはその任意の構成要素内に配置することができ、又は器具のツール取り付けハウジング301内に配置することができ、又は上述の任意のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含むことができる。例示される例示的態様では、ステープルカートリッジ5506はまた、導電性素子を含み、それらは、1つ若しくは2つ以上のワイヤコイル5524、1つ若しくは2つ以上の導電性プレート5526、ワイヤメッシュ5528、又は他の任意の便利な構成、又はそれらの任意の組み合わせのいずれか1つであり得る。ステープルカートリッジ5506の導電性素子は、ロボット外科用器具内の同じマイクロプロセッサ5520又はいくつかの他のマイクロプロセッサと連通してもよい。導電性素子5512は、エンドエフェクタ5500内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0048】
アンビル5502が閉位置にあり、したがって組織5518をステープルカートリッジ5506に対して圧縮しているとき、組織コンペンセータ5510の導電性素子5512の層は、ステープルカートリッジ5506内の導体と容量結合することができる。導電性素子5512の層とステープルカートリッジ5506の導電性素子との間の容量場の強度を使用して、圧縮されている組織5518の量を判断することができる。代替的に、ステープルカートリッジ5506は、マイクロプロセッサ5520と連通している渦電流センサを備えることができ、渦電流センサは、アンビル5502とステープルカートリッジ5506の上面との間の距離を、渦電流を使用して感知するように動作可能である。
【0049】
導電性素子の他の構成が可能であり、
図13Cの態様は、単なる例であって、限定ではないことが理解される。例えば、いくつかの態様では、導電性素子5512の層を、組織コンペンセータ5510のステープルカートリッジに面する表面5516上に配置することができる。また、いくつかの態様では、導電性素子5524、5526、及び/又は5528を、アンビル5502の上又は中に配置することができる。したがって、いくつかの態様では、導電性素子5512の層を、アンビル5502内の導電性素子と容量結合し、それによってエンドエフェクタ内に囲まれた組織5518の特性を感知することができる。
【0050】
導電性素子5512の層が、アンビルに面する表面5514及びカートリッジに面する表面5516の両方に配設されてもよいことも認識され得る。アンビル5502によってステープルカートリッジ5506に対して圧縮された組織5518の量、密度、及び/又は位置を検出するシステムは、アンビル5502、ステープルカートリッジ5506、又は両方に導体若しくはセンサを備えることができる。アンビル5502及びステープルカートリッジ5506の両方に導体又はセンサを含む態様は、任意に、この構成によって達成することができる信号の微分解析を可能にすることにより、向上された結果を達成することができる。
【0051】
次に
図14Aに移ると、アンビル5602が閉位置にあるエンドエフェクタ5600の拡大切欠図が例示されている。
図14Bは、本開示の一態様による、内部に埋め込まれた電気導体5620を備えるエンドエフェクタ5600を例示する。閉位置では、アンビル5602は、組織コンペンセータ5610とステープルカートリッジ5606の間で組織5618を圧縮することができる。いくつかの例では、エンドエフェクタ5600の一部のみが組織5618を囲んでいてもよい。組織5618を閉鎖しているエンドエフェクタ5600の領域では、より多い圧縮の領域5624では、導体アレイ5620も圧縮され、圧縮されない領域5626では、導体アレイ5620は更に離間する。したがって、導体アレイ5620間の導電性、抵抗、容量、及び/又は他の何らかの電気的特性は、エンドエフェクタ5600のどの領域が組織を含んでいるかを示すことができる。導体アレイ5620は、エンドエフェクタ5600内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0052】
図14A及び
図14Bを参照すると、組織コンペンセータ5610を備えるエンドエフェクタ5600は、内部に埋め込まれた導体5620を更に備える。エンドエフェクタ5600は、第2のジョー部材5604に枢動可能に連結された、第1のジョー部材、即ちアンビル5602を備える。第2のジョー部材5604は、中にステープルカートリッジ5606を受容するように構成されている。いくつかの態様では、エンドエフェクタ5600は、アンビル5602又はステープルカートリッジ5606上に取り外し可能に位置付けられる組織コンペンセータ5610を更に備える。
【0053】
導体アレイ5620は、組織コンペンセータ5610を備える材料内に埋め込まれている。導体アレイ5620は、対向する構成で配置することができ、対向する要素は、絶縁材料によって分離することができる。導体アレイ5620はそれぞれ、1つ又は2つ以上の導電ワイヤ5622に結合されている。導電ワイヤ5622は、導体アレイ5620がマイクロプロセッサ又は制御回路961(
図22)、800(
図23)、810(
図24)、820(
図25)、4420(
図26)、2510(
図30)と連通することを可能にする。導体アレイ5620は、切断部材又はナイフバー280の経路内にあるように、組織コンペンセータ5610の幅に及んでもよい。ナイフバー280が前進するにつれて、導体5620を切断、破壊、又は別様に使用不能にし、それによってエンドエフェクタ5600内におけるその位置を示す。導体アレイ5610は、導電性素子、電気回路、マイクロプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせを備えることができる。
【0054】
図15A及び
図15Bは、中に埋め込まれた導体5662を更に備えるエンドエフェクタ5650の態様を例示する。エンドエフェクタ5650は、第2のジョー部材5654に枢動可能に連結された、第1のジョー部材、即ちアンビル5652を備える。第2のジョー部材5654は、中にステープルカートリッジ5656を受容するように構成されている。
図15Aは、ステープルカートリッジ5656の切欠図を例示する。切欠図は、エンドエフェクタ内に埋め込まれた導体5670を例示する。導体5672は、それぞれ導電ワイヤ5672に結合されている。導電ワイヤ5672は、導体アレイ5672がマイクロプロセッサと連通することを可能にする。導体5672は、導電性素子、電気回路、マイクロプロセッサ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
図15Bは、アンビル5652が閉位置にあるエンドエフェクタ5650の拡大側面図を例示する。閉位置では、アンビル5652は、組織5658をステープルカートリッジ5656に対して圧縮することができる。組織コンペンセータ5660内に埋め込まれた導体5672は、電流のパルス5674を既定の周波数で組織5658に印加するように動作可能であり得る。同じ又は追加の導体5672は、組織5658の反応を検出し、この反応を、器具内に配置されたマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラに伝達することができる。電気パルス5674に対する組織5658の反応を使用して、組織5658の特性を判断することができる。例えば、組織5658のガルバニック反応は、組織5658の含水量を示す。別の例として、組織5658を通る電気インピーダンスの測定値を使用して、組織タイプの指標である、組織5648の導電性を判断することができる。決定され得る他の特性としては、例として、非限定的に、酸素含量、塩分、密度、及び/又は特定の化学物質の存在が挙げられる。いくつかのセンサからのデータを組み合わせることによって、血流、血液型、抗体の存在などの他の特性が決定され得る。導体5662は、エンドエフェクタ5650内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0055】
図16は、左から右にセグメント化されたフレキシブル回路4600の一態様を例示する。左から右にセグメント化されたフレキシブル回路4600は、左から右にセグメント化されたフレキシブル回路4600の左側の複数のセグメントL1~L5及び左から右にセグメント化されたフレキシブル回路4600の右側の複数のセグメントR1~R5を含む。セグメントL1~L5及びR1~R5は各々、各セグメントL1~L5及びR1~R5内の組織パラメータを局所的に感知するために、温度センサ及び/又は力センサを含む。左から右にセグメント化されたフレキシブル回路4600は、セグメントL1~L5及びR1~R5の各々の内部で局所的に組織パラメータを感知するように構成されている。フレキシブル回路4600は、エンドエフェクタ内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0056】
図17は、エンドエフェクタのジョー部材6434に固定的に取設されるように構成された、セグメント化フレキシブル回路6430の一態様を例示する。セグメント化フレキシブル回路6430は、局所的な組織存在検出を提供するために、個々のアドレス可能なセンサを含む、遠位セグメント6432a及び外側セグメント6432b、6432cを備える。セグメント6432a、6432b、6432cは、セグメント6432a、6432b、6432cの各々の内部に位置する個々のセンサに基づいて、組織を検出するために、また組織パラメータを測定するために個々にアドレス可能である。セグメント化フレキシブル回路6430のセグメント6432a、6432b、6432cは、ジョー部材6434に取り付けられ、また電気回路などのエネルギー源に、導電性素子6436を介して電気的に連結される。ホール効果センサ6438又は任意の好適な磁気センサが、ジョー部材6434の遠位端に位置する。ホール効果センサ6438は、別途、
図19に詳細に示される、組織間隙と称され得る、ジョー部材6434によって画定された開口の測定値を提供するために、磁石と共に動作する。セグメント化フレキシブル回路6430は、エンドエフェクタ内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0057】
図18は、エンドエフェクタのジョー部材6444に取り付けられるように構成されたセグメント化フレキシブル回路6440の一態様を例示する。セグメント化フレキシブル回路6580は、組織制御のために、個々のアドレス可能なセンサを含む遠位セグメント6442aと、外側セグメント6442b、6442cとを備える。セグメント6442a、6442b、6442cは、組織を処置するために、またセグメント6442a、6442b、6442cの各々の内部に位置する個々のセンサを読み取るために、個々にアドレス可能である。セグメント化フレキシブル回路6440のセグメント6442a、6442b、6442cは、ジョー部材6444に取り付けられ、またエネルギー源に、導電性素子6446を介して電気的に連結される。ホール効果センサ6448又は他の好適な磁気センサが、ジョー部材6444の遠位端に設けられている。ホール効果センサ6448は、
図19に詳細に示されるエンドエフェクタのジョー部材6444によって画定された開口又は組織間隙の測定値を提供するために、磁石と共に動作する。加えて、複数の外側非対称型温度センサ6450a、6450bが、セグメント化フレキシブル回路6440上に取り付けられるか、又は形式上、それと一体化され、組織温度フィードバックを制御回路に提供する。セグメント化フレキシブル回路6440は、エンドエフェクタ内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0058】
図19は、組織間隙G
Tを測定するように構成されたエンドエフェクタ6460の一態様を例示する。エンドエフェクタ6460は、ジョー部材6462とジョー部材6444とを備える。
図18に説明されるフレキシブル回路6440は、ジョー部材6444に取り付けられている。フレキシブル回路6440は、組織間隙G
Tを測定するために、ジョー部材6462に取り付けられた磁石6464と動作するホール効果センサ6448を備える。この技術は、ジョー部材6444とジョー部材6462との間に定義された開口を測定するために用いられ得る。ジョー部材6462は、ステープルカートリッジであってもよい。
【0059】
図20は、
図16に示されるセグメント化フレキシブル回路6468を含むエンドエフェクタ6470の一態様を例示する。エンドエフェクタ6470は、ジョー部材6472及びステープルカートリッジ6474を備える。セグメント化フレキシブル回路6468は、ジョー部材6472に取り付けられている。セグメント1~5の内部に配設されたセンサの各々は、ジョー部材6472とステープルカートリッジ6474との間に位置決めされた組織の存在を検出し、組織ゾーン1~5を表すように構成されている。
図20に示された構成では、エンドエフェクタ6470は、ジョー部材6472とステープルカートリッジ6474との間に組織を受容するか、又は把持する準備ができている開放位置で示されている。セグメント化フレキシブル回路6468は、エンドエフェクタ6470内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0060】
図21は、ジョー部材6472がジョー部材6472とステープルカートリッジとの間に組織6476を把持している、
図20に示されるエンドエフェクタ6470を例示する。
図21に示されるように、組織6476は、セグメント1~3の間に位置決めされ、組織ゾーン1~3を表す。したがって、組織6476は、セグメント1~3内のセンサによって検出され、組織の不在(空の場合)は、セグメント4~5によって部分6478で検出される。特定のセグメント1~3及び4~5内に位置付けられた組織6476の存在及び不在に関する情報は、それぞれ、例えば、インターフェース回路を介して本明細書に説明されるような制御回路に伝達される。制御回路は、セグメント1~3内に位置する組織を検出するように構成されている。セグメント1~5は、ある特定のセグメント1~5内に位置する組織の組織パラメータを測定するための任意の好適な温度、力/圧力、及び/又はホール効果磁気センサと、ある特定のセグメント1~5内に位置する組織にエネルギーを送達するための電極とを収容してもよいことが理解されよう。セグメント化フレキシブル回路6468は、エンドエフェクタ6470内の組織厚さ、力、変位、圧縮、組織インピーダンス、及び組織の場所を測定するために用いられ得る。
【0061】
図22は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、
図1のロボット外科用システム10のフィードバックシステム970の論理図を例示する。システム970は、回路を備える。制御回路は、プロセッサ962及びメモリ968を備えるコントローラ961を含む。センサ972、974、976のうちの1つ又は2つ以上は、例えば、プロセッサ962にリアルタイムフィードバックを提供する。モータドライバ992によって駆動されるモータ982は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ部材を駆動する。追跡システム980は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を決定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を決定するようにプログラム又は構成され得るプロセッサ962に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。
【0062】
一形態では、歪みゲージを使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。ここで
図22を参照すると、エンドエフェクタによって把持された組織に加えられる力を測定するためのシステム970は、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成される、微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ972を備える。一態様では、歪みゲージセンサ972は、把持動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定することができ、これは組織の圧縮を示すことができる。測定された歪みは、デジタル信号に変換され、マイクロコントローラ961のプロセッサ962に提供される。負荷センサ974は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を動作させるための力を測定することができる。磁界センサ976は、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサ976の測定値もまた、デジタル信号に変換され、プロセッサ962に提供される。
【0063】
センサ972、974、976によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するために必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ961によって使用することができる。一例では、メモリ968は、評価においてマイクロコントローラ961によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0064】
図22に例示された態様では、例えば、歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ972は、例えば、アンビル914に加えられる閉鎖力を示すことができる、把持動作中にアンビル914に及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタ912の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成されている。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ962に提供される。センサ972の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ974が、閉鎖駆動システムによってアンビル914に加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ976は、ロボット外科用システム10(
図1)の発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含む。あるいは、モータ982による電流引き込みを測定するために、電流センサ978を用いることができる。発射部材220を前進させるために要する力は、例えば、電気モータ982によって引き出される電流に対応することができる。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ962に提供される。
【0065】
図23は、本開示の一態様による、ロボット外科用システム10の態様を制御するように構成された制御回路を例示する。
図23は、本開示の一態様による、ロボット外科用システム10の態様を制御するように構成された制御回路800を例示する。制御回路800は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路800は、少なくとも1つのメモリ回路804に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ802(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるコントローラを備えることができる。メモリ回路804は、プロセッサ802によって実行されると、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ802に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ802は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってよい。メモリ回路804は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含むことができる。プロセッサ802は、命令処理ユニット806及び演算ユニット808を含んでもよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路804から命令を受信するように構成されてもよい。
【0066】
図24は、本開示の一態様による、ロボット外科用システム10の態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路810を例示する。組み合わせ論理回路810は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路810は、入力814でロボット外科用システム10と関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理回路812によってデータを処理し、出力816を提供するように構成された組み合わせ論理812を含む有限状態マシンを含み得る。
【0067】
図25は、本開示の一態様による、ロボット外科用システム10の態様を制御するように構成された順序論理回路820を例示する。順序論理回路820又は組み合わせ論理回路822は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。回路820は、有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路820は、例えば、組み合わせ論理回路822、少なくとも1つのメモリ回路824、及びクロック829を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路820は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路820は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理回路822は、ロボット外科用システム10の入力826と関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理回路822によってデータを処理し、出力828を提供するように構成されている。他の態様では、回路は、プロセッサ802と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路810及び順序論理回路820の組み合わせを含むことができる。
【0068】
態様は、製造物品として実装されてもよい。製造物品は、1つ又は2つ以上の態様の様々な動作を行うための論理、命令、及び/又はデータを格納するように構成されたコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。例えば、製造物品は、汎用プロセッサ又は特定用途向けプロセッサによって実行するために好適なコンピュータプログラム命令を含む磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリ、又はファームウェアを含んでもよい。
【0069】
主に
図26を参照すると、ロボット外科用システム10は、様々な機能を実施するように起動され得る複数のモータを含み得る。特定の例では、第1のモータは、第1の機能を行わせるために起動させることができ、第2のモータは、第2の機能を行わせるために起動させることができ、第3のモータは、第3の機能を行わせるために起動させることができ、第4のモータは、第4の機能を行わせるために起動させることができ、以下同様である。特定の例では、ロボット外科用器具4400の複数のモータは個々に起動されて、エンドエフェクタ1012において発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射、閉鎖、及び/又は関節運動は、例えば、シャフト組立体200を通して、エンドエフェクタ1012に伝達することができる。
【0070】
特定の例では、ロボット外科用システム10は、発射モータ4402を含んでもよい。発射モータ4402は、具体的にはIビーム要素を変位させるために、モータ4402によって生成された発射運動をエンドエフェクタ1012に伝達するように構成することができる、発射駆動組立体4404に動作可能に連結されてもよい。特定の例では、モータ4402によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、モータ4402の方向を逆転させることによって後退させられ得る。
【0071】
特定の例では、ロボット外科用システム10は、閉鎖モータ4403を含んでもよい。閉鎖モータ4403は、具体的には閉鎖管1040、1042を変位させてアンビル1024を閉鎖し、アンビル1024とステープルカートリッジ1034との間で組織を圧縮するために、モータ4403によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタ1012に伝達するように構成され得る、閉鎖駆動組立体4405と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタ1012が開放構成から接近構成へと遷移して組織を捕捉することができる。エンドエフェクタ102は、モータ4403の方向を逆転させることによって開放位置に遷移され得る。
【0072】
特定の例では、ロボット外科用器具10は、例えば、1つ又は2つ以上の関節運動モータ4406a、4406bを含んでもよい。モータ4406a、4406bは、モータ4406a、4406bによって生成された関節運動をエンドエフェクタ1012に伝達するように構成され得る、対応する関節運動駆動組立体4408a、4408bに動作可能に連結され得る。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0073】
上述したように、ロボット外科用器具10は、様々な独立機能を行うように構成されてもよい、複数のモータを含んでもよい。特定の例では、ロボット外科用器具10の複数のモータは、他のモータが停止したままで、個々に又は別個に起動して、1つ又は2つ以上の機能を行わせることができる。例えば、関節運動モータ4406a、4406bを起動させて、発射モータ4402が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。あるいは、発射モータ4402を起動させて、関節運動モータ4406が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ4403は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管1040、1042及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ4402と同時に起動されてもよい。
【0074】
特定の例では、ロボット外科用システム10は、外科用器具10の複数のモータと共に用いることができる、共通制御モジュール4410を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール4410は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通制御モジュール4410は、個々にロボット外科用器具10の複数のモータに、別個に結合可能であり得る。特定の例では、ロボット外科用器具10の複数のモータは、モジュール4410など、1つ又は2つ以上の共通制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、ロボット外科用器具10の複数のモータは、共通制御モジュール4410に個々にかつ選択的に係合することができる。特定の例では、モジュール4410は、ロボット外科用器具10の複数のモータのうち1つとの連係から、ロボット外科用器具10の複数のモータのうち別の1つとの連係へと選択的に切り替えることができる。
【0075】
少なくとも1つの例では、モジュール4410は、関節運動モータ4406a、4406bとの動作可能な係合と、発射モータ4402又は閉鎖モータ4403のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、
図26に示すように、スイッチ4414は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置4416では、スイッチ4414は、モジュール4410を発射モータ4402と電気的に連結してもよく、第2の位置4417では、スイッチ4414は、モジュール4410を閉鎖モータ4403と電気的に連結してもよく、第3の位置4418aでは、スイッチ4414は、モジュール4410を第1の関節運動モータ4406aと電気的に連結してもよく、第4の位置4418bでは、スイッチ4414は、モジュール4410を第2の関節運動モータ4406bと電気的に連結してもよい。特定の例では、例えば、
図30に示されるように、同時に、別個のモジュール4410を、発射モータ4402、閉鎖モータ4403、及び関節運動モータ4406a、4406bと電気的に連結してもよい。特定の例では、スイッチ4414は、機械スイッチ、電磁スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替えメカニズムであってもよい。
【0076】
モータ4402、4403、4406a、4406bのそれぞれは、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の方法で感知されてもよい。
【0077】
様々な例では、
図26に示されるように、共通制御モジュール4410は、1つ又は2つ以上のHブリッジ電界効果トランジスタ(field-effect transistor、FET)を含み得る、モータドライバ4426を備えてもよい。モータドライバ4426は、例えば、マイクロコントローラ4420(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源4428からモジュール4410に結合されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、コントローラ4420を用いて、上述したように、モータがモジュール4410に結合された状態で、例えばモータによって引き出される電流を判断することができる。
【0078】
特定の例では、コントローラ4420は、マイクロプロセッサ4422(「プロセッサ」)と、1つ又は2つ以上のコンピュータ可読媒体又はメモリユニット4424(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ4424は、様々なプログラム命令を記憶することができ、それが実行されると、プロセッサ4422に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させることができる。特定の例では、メモリユニット4424の1つ又は2つ以上が、例えば、プロセッサ4422に連結されてもよい。
【0079】
特定の例では、電源4428を用いて、例えばコントローラ4420に電力を供給することができる。特定の例では、電源4428は、例えば、Liイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具4400に電力を供給するため、ハンドル14に解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源4428として使用してもよい。特定の例では、電源4428は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0080】
様々な例では、プロセッサ4422は、モータドライバ4426を制御して、モジュール4410に結合されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御してもよい。特定の例では、プロセッサ4422は、モジュール4410に結合されたモータを停止及び/又は使用不能にするように、モータドライバ4426に信号伝達することができる。プロセッサという用語は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路に組み込んだ、他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブルデバイスである。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0081】
一例では、プロセッサ4422は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ4420は、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートに関して容易に利用可能な他の特性の中でも特に、最大40MHz、256KBの単一サイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリと、40MHz超の性能を改善するプリフェッチバッファと、32KBの単一サイクルSRAMと、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROMと、2KBのEEPROMと、1つ又は2つ以上のPWMモジュールと、1つ又は2つ以上のQEIアナログと、12のアナログ入力チャネルを備えた1つ又は2つ以上の12ビットADCとを備える、ARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0082】
特定の例では、メモリ4424は、モジュール4410に結合可能な外科用器具4400のモータそれぞれを制御する、プログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ4424は、発射モータ4402、閉鎖モータ4403、及び関節運動モータ4406a、4406bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ4422に、ロボット外科用システム10のアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。
【0083】
特定の例では、例えば、センサ4430などの1つ又は2つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ4422に警告することができる。例えば、センサ4430は、エンドエフェクタ1012の発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ4422に警告することができる。特定の例では、センサ4430は、例えば、スイッチ4414の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ4422は、例えば、センサ4430を介してスイッチ4414が第1の位置4416にあることを検出すると、エンドエフェクタ1012のIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ4422は、例えば、センサ4430を介してスイッチ4414が第2の位置4417にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用することができ、プロセッサ4422は、例えば、センサ4430を介してスイッチ4418a、4418bが第3の位置4418a又は第4の位置4418bにあることを検出すると、エンドエフェクタ1012の関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用することができる。
【0084】
図27は、ロボット外科用器具10の絶対位置決めシステム11100の図であり、絶対位置決めシステム11100が、本開示の一態様による、センサ構成11102を備える制御モータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム11100用のセンサ構成11102は、変位部材11111の場所に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材11111は、ナイフスパーギヤ1222と噛合係合状態の第1のナイフ駆動ギヤ1226、ナイフラックギヤ1206と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持される第3のナイフ駆動ギヤ1230と噛合係合状態の第2のナイフ駆動ギヤ1228を備える、切断器具又はナイフ(例えば、
図11Aの切断器具1032、
図12のIビーム3005、並びに/又は
図29及び
図30のIビーム2514)に連結された長手方向可動駆動部材を表す。他の態様では、変位部材11111は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る、切断器具又はナイフに連結された発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材11111は、発射バー又はIビーム3005、2514(
図12、
図30)を表し、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る。したがって、本明細書で使用されるとき、変位部材という用語は、概して、駆動部材、発射部材、発射バー、切断器具、ナイフ、及び/若しくはIビーム、又は変位され得る任意の要素などの、ロボット外科用器具10の任意の可動部材を指すために使用される。
【0085】
したがって、絶対位置決めシステム11100は、実際には、長手方向可動駆動部材の変位を追跡することによって、Iビーム3005、2514(
図12、
図29及び
図30)の変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材11111は、変位を測定するために好適な任意のセンサに連結されてもよい。したがって、長手方向可動駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な変位センサに連結され得る。変位センサは、接触式又は非接触式変位センサを含んでよい。変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformers、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducers、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又は固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、あるいはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0086】
電気モータ11120は、変位部材11111上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合状態で装着されるギヤ組立体11114と動作可能にインターフェースする回転可能なシャフト11116を含んでもよい。センサ素子11126は、センサ11126素子の1回転が、変位部材11111のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギヤ組立体11114に動作可能に連結されてもよい。ギヤリング及びセンサ11118の構成は、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギヤ若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続され得る。電源11129は、絶対位置決めシステム11100に電力を供給し、出力指示器11128は、絶対位置決めシステム11100の出力を表示することができる。モータ11120に適合するためのインターフェースが
図4~
図6、
図8~
図10、及び
図11A、
図11Bに示されている。
【0087】
位置センサ11112と関連付けられたセンサ素子11126の1回転は、変位部材11111の長手方向変位d1に相当し、d1は、変位部材11111に連結されたセンサ素子11126の1回転後に、変位部材11111が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の距離である。センサ構成11102は、位置センサ11112が変位部材11111のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギヤの減速を介して接続されてもよい。位置センサ11112は、変位部材11111のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0088】
位置センサ11112の1回を超える回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ11122a~11122nは、nが1より大きい整数であるが、単独で用いられてもよく、又はギヤの減速と共に用いられてもよい。スイッチ11122a~11122nの状態は、論理を適用して、変位部材11111の長手方向変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を決定するコントローラ11104にフィードバックされる。位置センサ11112の出力11124は、コントローラ11104に提供される。センサ構成11102の位置センサ11112は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、アナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。コントローラ11104は、マスターコントローラ11内に収容されてもよく、又はツール取り付け部分ハウジング301内に収容されてもよい。
【0089】
絶対位置決めシステム11100は、モータ11120が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となり得るような、変位部材11111をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、ロボット外科用器具10の電源投入時に変位部材11111の絶対位置を提供する。
【0090】
コントローラ11104は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御などの、様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。一態様では、コントローラ11104は、プロセッサ11108及びメモリ11106を含む。電気モータ11120は、関節運動又はナイフシステムへのギヤボックス及び機械的連結部を有するブラシ付きDCモータであってもよい。一態様では、モータドライバ11110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバが、絶対位置決めシステム11100における使用のために容易に置き換えられ得る。
【0091】
コントローラ11104は、変位部材11111及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密な制御を提供するようにプログラムされてもよい。コントローラ11104は、コントローラ11104のソフトウェア内での応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質を、測定による応答と釣り合わせる好適な同調された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0092】
絶対位置決めシステム11100は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源11129が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は、電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)が挙げられる。位置センサ11112で測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ11118が提供されてもよい。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステム1100は、デジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステム11100の出力は、有限の解像度及びサンプリング周波数を有することになる。絶対位置決めシステム11100は、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0093】
モータドライバ11110は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941ドライバ11110は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として具体的に設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal oxide semiconductor field effect transistor、MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。ドライバ11110は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、これは、全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。ブートストラップコンデンサは、NチャネルのMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を提供するために用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。絶対位置調整システム11100で使用するために、他のモータドライバが容易に代用されることができる。
【0094】
図28は、本開示の一態様による、磁気回転絶対位置決めシステムを備える、絶対位置決めシステム11100用の位置センサ11200の図である。位置センサ11200は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ11200は、コントローラ11104とインターフェースされて、絶対位置決めシステム11100を提供する。位置センサ11200は、低電圧及び低出力構成要素であり、例えば、ナイフ駆動ギヤ1228、1230及び/又は閉鎖駆動ギヤ1118、1120などの変位部材と関連付けられた回転要素上に位置決めされた磁石11202の上に位置する位置センサ11200の領域11230内に4つのホール効果素子11228A、11228B、11228C、11228Dを含み、それにより、発射部材及び/又は閉鎖部材の変位が精密に追跡され得る。高解像度ADC11232及びスマート電力管理コントローラ11238もまた、チップ上に提供されている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、1桁毎の方法とボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)でも知られる、CORDIC(座標回転デジタルコンピュータの略)プロセッサ11236が提供されている。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、SPIインターフェース11234などの標準的なシリアル通信インターフェースを介してコントローラ11104に伝送される。位置センサ11200は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ11200は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmのパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0095】
ホール効果素子11228A、11228B、11228C、11228Dは、直接回転磁石11202の上方に設置されている。ホール効果は、周知の効果であり、便宜上、本明細書では詳細に説明されないが、一般に、ホール効果は、導体内の電流を横断する電気導体と、電流に直交する磁場との間の電圧差(ホール電圧)を生成する。ホール係数は、誘導電場と、電流密度に印加磁場を掛けたものとの比として定義される。その値は、電流を構成する電荷キャリアの種類、個数、及び特性に依存するので、ホール係数は、導体を作る材料の特徴を示す。AS5055位置センサ11200では、ホール効果素子11228A、11228B、11228C、11228Dは、磁石11202の絶対位置を磁石11202の1回転にわたって角度で示す電圧信号を発生させることが可能である。この角度値は、固有の位置信号であり、CORDICプロセッサ11236によって算出され、AS5055位置センサ11200にオンボードでレジスタ又はメモリ内に格納される。1回転にわたる磁石11202の位置を示す角度値は、様々な技術で、例えば、電源投入時に、又はコントローラ11104によって要求されたときに、コントローラ11104に提供される。
【0096】
AS5055位置センサ11200は、コントローラ11104に接続されているとき、動作するために少数の外部構成要素のみを必要とする。単一電源を使用する単純な用途には6本のワイヤが必要とされ、電力用に2本のワイヤ、ホストのコントローラ11104とのSPIインターフェース11234用に4本のワイヤ11240を必要とする。割り込みをコントローラ11104に送信して、新たな有効な角度が読み込まれ得ることを知らせるために、7番目の接続が加えられてもよい。電源投入時に、AS5055位置センサ11200は、1回の角度測定を含む全ての電源投入シーケンスを実施する。このサイクルの完了は、INT出力ピン11242として示され、角度値は、内部レジスタに記憶される。この出力が設定されると、AS5055位置センサ11200は、一時停止してスリープモードに移る。コントローラ11104は、SPIインターフェース11234を介してAS5055位置センサ11200から角度値を読み取ることによって、INT出力11242におけるINT要求に応答することができる。角度値がコントローラ11104によって読み取られると、INT出力11242が再びクリアされる。また、コントローラ11104によってSPIインターフェース11234で「角度読取り」コマンドを位置センサ11200に送信すると、自動的にチップに給電され、別の角度測定が開始される。コントローラ11104が角度値の読み取りを完了すると、直ちに、INT出力11242がクリアされ、新たな結果が角度レジスタに記憶される。角度測定の完了は、再び、INT出力11242及びステータスレジスタの対応するフラグを設定することによって示される。
【0097】
AS5055位置センサ11200の測定原理に基づいて、単一の角度測定のみが、各電源投入シーケンス後のごく短い時間で(約600μs)実施される。1つの角度の測定が完了すると、直ちに、AS5055位置センサ11200は、一時停止して電源オフ状態に移る。デジタル平均化による角度値のオンチップフィルタリングは、複数回の角度測定を必要とし、その結果、電源投入時間がより長くなり、低電力用途には望ましくないので、このオンチップフィルタリングは実施されない。角度のジッターは、コントローラ11104で複数の角度サンプルを平均化することによって低減され得る。例えば、4つのサンプルを平均化すると、ジッターは、6dB(50%)低減する。
【0098】
図29は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ2502内に把持された組織2526に対するIビーム2514の発射ストロークを示す、ロボット外科用器具10のエンドエフェクタ2502の断面図である。エンドエフェクタ2502は、外科用器具10と共に動作するように構成されている。エンドエフェクタ2502は、アンビル2516及び細長い溝2503を備え、ステープルカートリッジ2518が、細長い溝2503内に位置決めされている。発射バー2520は、エンドエフェクタ2502の長手方向軸2515に沿って遠位及び近位に並進可能である。エンドエフェクタ2502が関節運動していないとき、エンドエフェクタ2502は、器具のシャフトと一直線になっている。切刃2509を含むIビーム2514は、発射バー2520の遠位側部分に例示されている。楔形スレッド2513は、ステープルカートリッジ2518内に位置決めされている。Iビーム2514が遠位に並進すると、切刃2509は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置決めされた組織2526に接触し、それを切断し得る。また、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に押し、楔形スレッド2513をステープルドライバ2511に接触させる。ステープルドライバ2511は、ステープル2505内に上昇させられて、ステープル2505を、組織を通って、ステープル2505を形状決めするアンビル2516内に画定されたポケット2507内へ前進させ得る。
【0099】
例示的なIビーム2514の発射ストロークは、エンドエフェクタ2502と並べられてチャート2529によって例示されている。例示的な組織2526もまた、エンドエフェクタ2502と並べられて示されている。発射部材ストロークは、ストローク開始位置2527及びストローク終了位置2528を含み得る。Iビーム2514の発射ストロークの間、Iビーム2514は、ストローク開始位置2527からストローク終了位置2528まで遠位に前進し得る。Iビーム2514は、ストローク開始位置2527の1つの例示的な場所で示されている。Iビーム2514の発射部材ストロークチャート2529は、5つの発射部材ストローク領域2517、2519、2521、2523、2525を例示する。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、遠位に前進し始め得る。第1の発射ストローク領域2517では、Iビーム2514は、楔形スレッド2513に接触し、それを遠位に移動させ始め得る。しかしながら、第1の領域にある間、切刃2509は、組織に接触しない場合があり、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に接触しない場合がある。静止摩擦が克服された後、第1の領域2517内のIビーム2514を駆動する力は、実質的に一定であり得る。
【0100】
第2の発射部材ストローク領域2519では、切刃2509は、組織2526に接触して切断し始め得る。また、楔形スレッド2513は、ステープル2505を駆動するためにステープルドライバ2511に接触し始め得る。Iビーム2514を駆動する力は、上昇し始め得る。図示のように、最初に遭遇する組織は、アンビル2516がステープルカートリッジ2518に対して枢動する方式のため、圧縮され得る、及び/又はより薄くなり得る。第3の発射部材ストローク領域2521では、切刃2509は、組織2526と連続的に接触及び切断し得、楔形スレッド2513は、ステープルドライバ2511に繰り返し接触し得る。Iビーム2514を駆動する力は、第3の領域2521内で一定であり得る。第4の発射ストローク領域2523によって、Iビーム2514を駆動する力は、低下し始め得る。例えば、第4の発射領域2523に対応するエンドエフェクタ2502の部分の組織は、アンビル2516の枢動点により近い組織よりも圧縮されない場合があり、切断するために少ない力を必要とする。また、切刃2509及び楔形スレッド2513は、第4の領域2523にある間、組織2526の端に到達し得る。Iビーム2514が第5の領域2525に到達すると、組織2526は、完全に切断され得る。楔形スレッド2513は、組織の端又はその近くで1つ又は2つ以上のステープルドライバ2511に接触し得る。Iビーム2514を第5の領域2525を通して前進させる力は、低減され得、いくつかの例では、第1の領域2517内のIビーム2514を駆動する力と同様であり得る。発射部材のストロークの終わりに、Iビーム2514は、ストローク終了位置2528に到達し得る。
図29の発射部材のストローク領域2517、2519、2521、2523、2525の位置決めは、単なる一例である。いくつかの例では、異なる領域は、例えば、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間の組織の位置決めに基づいて、エンドエフェクタの長手方向軸2515に沿った異なる位置で開始してもよい。
【0101】
上で議論したように、かつここで
図27~
図29を参照すると、エンドエフェクタ2502内に捕捉された組織をステープル留め及び/又は切開するために、外科用器具10のマスターコントローラ13内に位置決めされた電気モータ11122を利用することで、Iビーム2514を含めて、シャフト組立体の発射システムを、シャフト組立体のエンドエフェクタ2502に対して前進及び/又は後退させることができる。Iビーム2514は、所望の速度で、又は所望の速度の範囲内で前進又は後退させられ得る。制御回路1104は、Iビーム2514の速度を制御するように構成され得る。コントローラ11104は、例えば、電圧及び/若しくは電流などの、電気モータ11122に供給される電源の様々なパラメータ、並びに/又は電気モータ11122の他の動作パラメータ若しくは外部影響に基づいて、Iビーム2514の速度を予測するように構成され得る。コントローラ11104はまた、電気モータ11122に供給される電流及び/若しくは電圧の以前の値、並びに/又は、速度、加速度、及び/若しくは位置など、システムの以前の状態に基づいて、Iビーム2514の現在の速度を予測するように構成され得る。コントローラ11104は、本明細書に説明される絶対位置決めセンサシステムを利用して、Iビーム2514の速度を感知するように構成され得る。コントローラは、Iビーム2514の予測速度と、Iビーム2514の感知速度とを比較して、電気モータ11122への電力が、Iビーム2514の速度を増加させるために増加させるべきか否か、かつ/又はIビーム2514の速度を低下させるために減少させるべきか否かを決定するように構成され得る。
【0102】
Iビーム2514に作用する力は、様々な技術を使用して決定され得る。Iビーム2514の力は、モータ2504の電流を測定することによって決定され得、モータ2504の電流は、遠位に前進するときのIビーム2514が受ける負荷に基づく。Iビーム2514の力は、駆動部材、発射部材、Iビーム2514、発射バー上、及び/又は切刃2509の近位端上に歪みゲージを位置決めすることによって決定され得る。Iビーム2514の力は、所定の経過区間T1の後にモータ11122の現在の設定速度に基づいて予期される速度で移動するIビーム2514の実際の位置を監視し、経過区間T1の終了時のモータ11122の現在の設定速度に基づいてIビーム2514の予期される位置に対してIビーム2514の実際の位置を比較することによって、決定され得る。したがって、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置未満である場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも大きい。逆に、Iビーム2514の実際の位置が、Iビーム2514の予期される位置を超過する場合、Iビーム2514上の力は、公称力よりも小さい。Iビーム2514の実際の位置と予期される位置との間の差は、公称力からのIビーム2514上の力の偏差に比例する。
【0103】
図30は、本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具2500の模式図である。ロボット外科用器具2500は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具2500は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を個別に制御するようにプログラム又は構成されてもよい。外科用器具2500は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ若しくは2つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路2510を備える。
【0104】
一態様では、ロボット外科用器具2500は、複数のモータ2504a~2504eを介して、エンドエフェクタ2502のアンビル2516及びIビーム2514(鋭い切刃を含む)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ2518、シャフト2540、並びに1つ又は2つ以上の関節運動部材2542a、2542bを制御するように構成された制御回路2510を備える。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置フィードバックを制御回路2510に提供するように構成されてもよい。他のセンサ2538は、制御回路2510にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ2531は、制御回路2510にタイミング及びカウント情報を提供する。モータ2504a~2504eを動作させるためにエネルギー源2512が設けられてもよく、電流センサ2536は、モータ電流フィードバックを制御回路2510に提供する。モータ2504a~2504eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御で制御回路2510によって個別に動作され得る。
【0105】
一態様では、制御回路2510は、1つ又は2つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。制御回路2510は、制御回路961(
図22)、800(
図23)、810(
図24)、820(
図25)、4420(
図26)として実装されてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路2510に提供して位置センサ2534によって決定されたIビーム2514の位置をタイマー/カウンタ回路2531の出力と相関させ、その結果、制御回路2510は、Iビーム2514が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるIビーム2514の位置を決定することができる。タイマー/カウンタ回路2531は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてよい。
【0106】
一態様では、制御回路2510は、1つ又は2つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ2502の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路2510は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路2510は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル2516によって組織に加えられる閉鎖力を制御し得る。その他の制御プログラムは、シャフト2540及び関節運動部材2542a、2542bの回転を制御する。
【0107】
一態様では、制御回路2510は、モータ設定点信号を生成することができる。モータ設定点信号は、様々なモータコントローラ2508a~2508eに提供されてもよい。モータコントローラ2508a~2508eは、本明細書で説明するように、モータ2504a~2504eにモータ駆動信号を提供してモータ2504a~2504eを駆動するように構成された1つ又は2つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ2504a~2504eは、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ2504a~2504eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの例では、モータ2504a~2540eは、ブラシレス直流(direct current、DC)電気モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号2524a~2524eは、モータ2504a~2504eの1つ又は2つ以上の固定子巻線に提供されるパルス幅変調(PWM)信号を含んでもよい。また、いくつかの例では、モータコントローラ2508a~2508eは、省略されてもよく、制御回路2510がモータ駆動信号2524a~2524eを直接生成してもよい。
【0108】
一態様では、制御回路2510は、最初に、モータ2504a~2504eのそれぞれを、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具2500の応答に基づいて、制御回路2510は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ2504に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられ得る。開ループ部分の後、制御回路2510は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路2510は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ2504を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0109】
一態様では、モータ2504a~2504eは、エネルギー源2512から電力を受け取ることができる。エネルギー源2512は、主AC電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源2512によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ2504a~2504eは、それぞれの伝達機構2506a~2506eを介して、Iビーム2514、アンビル2516、シャフト2540、関節運動2542a、及び関節運動2542bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達機構2506a~2506eは、モータ2504a~2504eを可動機械的要素に連結するための1つ若しくは2つ以上のギヤ又は他のリンク機構構成要素を含んでもよい。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を感知し得る。位置センサ2534は、Iビーム2514の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよく、又はそれを含んでもよい。いくつかの例では、位置センサ2534は、Iビーム2514が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路2510に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路2510は、パルスを追跡してIビーム2514の位置を決定してもよい。例えば、近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム2514の運動を示す他の信号を提供することができる。また、いくつかの例では、位置センサ2534は、省略されてもよい。モータ2504a~2504eのいずれかがステップモータである場合、制御回路2510は、モータ2504が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム2514の位置を追跡することができる。位置センサ2534は、エンドエフェクタ2502内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。モータ2504a~2504eのそれぞれの出力は、力を感知するためのトルクセンサ2544a~2544eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0110】
一態様では、制御回路2510は、エンドエフェクタ2502のIビーム2514部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路2510は、モータ2504aに駆動信号を提供するモータ制御部2508aにモータ設定点を提供する。モータ2504aの出力シャフトは、トルクセンサ2544a、及びIビーム2514に連結された伝達機構2506aに連結されている。伝達機構2506aは、エンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向へのIビーム2514の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ2504aは、第1のナイフ駆動ギヤ1226及び第2のナイフ駆動ギヤ1228を含むナイフギヤ減速セット1224を含むナイフギヤ組立体1220に連結されてもよい。
図9及び
図10に見られるように、ナイフギヤ減速セット1224は、第1のナイフ被駆動ギヤ1226がナイフスパーギヤ1222と噛合係合状態となるようにツール取り付けプレート302に回転可能に取り付けられる。同様に、第2のナイフ駆動ギヤ1228は、ナイフラックギヤ1206と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持された第3のナイフ駆動ギヤ1230と噛合係合状態にある。トルクセンサ2544aは、制御回路2510に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、Iビーム2514を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ2534は、発射ストロークに沿ったIビーム2514の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路2510に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ2502は、制御回路2510にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ2538を含んでもよい。使用準備が整うと、制御回路2510は、モータ制御部2508aに発射信号を提供することができる。発射信号に応答して、モータ2504aは、発射部材をエンドエフェクタ2502の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位に駆動することができる。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるIビーム2514は、遠位に前進して、ステープルカートリッジ2518とアンビル2516との間に位置する組織を切断する。
【0111】
一態様では、制御回路2510は、エンドエフェクタ2502のアンビル2516などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路2510は、モータ2504bに駆動信号を提供するモータ制御部2508bにモータ設定点を提供する。モータ2504bの出力シャフトは、トルクセンサ2544b、及びアンビル2516に連結された伝達機構2506bに連結されている。伝達機構2506bは、開放位置及び閉位置からのアンビル2516の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ2504bは、閉鎖スパーギヤ1112と噛合係合状態で支持される閉鎖減速ギヤセット1114を含む閉鎖ギヤ組立体1110に連結される。
図9及び
図10に見られるように、閉鎖減速ギヤセット1114は、閉鎖スパーギヤ1112と噛合係合状態で回転可能に支持される被駆動ギヤ1116を含む。閉鎖減速ギヤセット1114は、閉鎖ラックギヤ1106と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持された第2の閉鎖駆動ギヤ1120と噛合係合状態にある第1の閉鎖駆動ギヤ1118を更に含む。トルクセンサ2544bは、制御回路2510に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル2516に適用される閉鎖力を表す。位置センサ2534は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路2510に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ2502内の追加のセンサ2538は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路2510に提供することができる。枢動可能なアンビル2516は、ステープルカートリッジ2518の反対側に位置決めされる。使用準備が整うと、制御回路2510は、モータ制御部2508bに閉鎖信号を提供することができる。閉鎖信号に応答して、モータ2504bは、閉鎖部材を前進させて、クランプアーム2516とステープルカートリッジ2518との間で組織を把持する。
【0112】
一態様では、制御回路2510は、エンドエフェクタ2502を回転させるためにシャフト2540などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路2510は、モータ2504cに駆動信号を提供するモータ制御部2508cにモータ設定点を提供する。モータ2504cの出力シャフトは、トルクセンサ2544c及びシャフト2540に連結される伝達機構2506cに連結される。伝達機構2506cは、シャフト2540の時計回り又は反時計回りの回転を360度まで及びそれを超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ2504cは、ツール取り付けプレート302上に動作可能に支持された回転ギヤ組立体1070によって動作可能に係合されるように、近位側閉鎖管1040の近位端1060上に形成された(又はこれに取設された)管状ギヤセグメント1062を含む回転伝達機構組立体1069に連結される。
図8に示されるように、少なくとも1つの態様では、回転ギヤ組立体1070は、ツール取り付け部分300がツール駆動組立体101と連結される際にツール取り付けプレート302のアダプタ側面307上の被駆動ディスク又は要素304のうちの対応する第1のものと連結される回転駆動ギヤ1072を有している。
図6を参照されたい。回転ギヤ組立体1070は、管状ギヤセグメント1062及び回転駆動ギヤ1072と噛合係合状態でツール取り付けプレート302上に回転可能に支持された回転被駆動ギヤ1074を更に含む。トルクセンサ2544cは、制御回路2510に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト2540に加えられる回転力を表す。位置センサ2534は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路2510に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ2538が、シャフト2540の回転位置を制御回路2510に提供してもよい。
【0113】
一態様では、制御回路2510は、エンドエフェクタ2502を関節運動させるように構成されている。制御回路2510は、モータ2504dに駆動信号を提供するモータ制御部2508dにモータ設定点を提供する。モータ2504dの出力シャフトは、トルクセンサ2544d、及び関節運動部材2542aに連結される伝達機構2506dに連結される。伝達機構2506dは、エンドエフェクタ2502の±65°の関節運動を制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ2504dは、関節運動ナット1260に連結され、関節運動ナットは、遠位側脊柱部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位側脊柱部分1050の近位端部分上で関節運動ギヤ組立体1270によって回転可能に駆動される。より詳細には、
図8を参照すると、少なくとも1つの態様では、関節運動ギヤ組立体1270は、ツール取り付けプレート302のアダプタ側面307上の被駆動ディスク又は要素304のうちの対応する第4のものと連結される関節運動スパーギヤ1272を含む。トルクセンサ2544dは、制御回路2510に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ2502に適用される関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ2538は、エンドエフェクタ2502の関節運動位置を制御回路2510に提供してもよい。
【0114】
別の態様では、ロボット外科用システム10の関節運動機能は、2つの駆動部材2542a、2542b、又は連結部を含んでもよい。これらの駆動部材2542a、2542bは、2つのモータ2508d、2508eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ2504aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、各関節運動連結部2542a、2542bは、他の連結部に対して拮抗的に駆動され得る。駆動部材2542a、2542b又は連結部は、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取設される。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であり得る。
【0115】
一態様では、エンドエフェクタ2502は、
図4、
図6、
図8~
図12、
図15A、
図15B、
図19、
図20、及び
図21に関連して示され説明される外科用エンドエフェクタ1012、3000、5650、6460、6470として実装されてもよい。一態様では、エンドエフェクタ2502のIビーム2514部分は、
図11A、
図12、
図29に関連して示され説明されるナイフ部材1032、3005、2514として実装されてもよい。Iビーム2514は、上に組織切断刃2509(
図29)を動作可能に支持するナイフ本体を備える。一態様では、エンドエフェクタ2502のアンビル2516部分は、
図4、
図6~
図14、
図20、
図21に関連して示され説明されるアンビル1024、3002、5502、5602、6472として実装されてもよい。
【0116】
一態様では、1つ又は2つ以上のモータ2504a~2504eは、ギヤボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ2504a~2504eがある。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ2504a~2504eに反して作用する障害(drag)と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0117】
一態様では、位置センサ2534は、
図27及び
図28に関連して示され説明されるような絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ2534は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ2534は、制御回路2510と連携して絶対位置決めシステムを提供することができる。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサ(Coordinate Rotation Digital Computer用)に連結された、複数のホール効果素子を含み得る。
【0118】
一態様では、制御回路2510は、1つ又は2つ以上のセンサ2538と通信してもよい。センサ2538は、エンドエフェクタ2502上に位置付けられ、外科用器具2500と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ2538は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ2502の1つ又は2つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ2538は、1つ又は2つ以上のセンサを含んでもよい。センサ2538は、分割された電極を使用して組織の位置を決定するために、ステープルカートリッジ2518のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ2544a~2544eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路26510は、(1)遠位側閉鎖管及びその位置によって受けた閉鎖負荷と、(2)ラック及びその位置にある発射部材と、(3)ステープルカートリッジ2518のどの部分がその上に組織を有しているかと、(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置と、を感知し得る。
【0119】
一態様では、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、把持状態の間のアンビル2516における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ2538は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0120】
一態様では、センサ2538は、とりわけ、1つ又は2つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(magneto-resistive、MR)装置、巨大磁気抵抗(giant magneto-resistive、GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ2538は、とりわけ光センサ、赤外線センサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、金属酸化膜半導体-FET(MOSFET)、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ2538は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、慣性センサを含んでもよい。
【0121】
一態様では、センサ2538は、閉鎖駆動システムによってアンビル2516に及ぼされる力を測定するように構成され得る。例えば、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖管によってアンビル2516に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル2516との間の相互作用点に位置してもよい。アンビル2516に対して及ぼされる力は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すものであり得る。1つ又は2つ以上のセンサ2538は、閉鎖駆動システムに沿った様々な相互作用点に配置されて、閉鎖駆動システムによってアンビル2516に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ又は2つ以上のセンサ2538は、制御回路2510のプロセッサによる把持動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路2510は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、分析時間ベースの情報を提供し、アンビル2516に適用される閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0122】
一態様では、電流センサ2536を用いて、モータ2504a~2504eのそれぞれによって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム2514などの可動機械的要素のいずれかを前進させるために必要な力は、モータ2504a~2504eによって引き込まれる電流に対応する。力は、デジタル信号に変換されて、制御回路2510に提供される。制御回路2510は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成され得る。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ2502内のIビーム2514を目標速度又はその付近で移動させることができる。ロボット外科用器具2500は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるが、これらに限定されない、任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであってもよい。ロボット外科用器具2500は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、パルス幅変調(PWM)電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0123】
ロボット外科用器具のための感知された組織パラメータに基づく閉ループ速度制御技術
使用中、ロボット外科用器具は、ステープル形成及び組織切断プロセスの性能に影響を及ぼし得るエンドエフェクタ内の特定の組織状態を感知及び識別し得る。したがって、そのような状況では、発射部材の速度を制御するための変位プロセス、例えば、前進又は後退プロセスは、組織間隙、結合部材負荷、ナイフ前進速度、及び組織圧縮の感知及び識別されたパラメータに基づき得る。一態様では、本開示は、他のパラメータの中でも、エンドエフェクタ間隙(例えば、組織厚さを示す)、閉鎖力(FTC)又は発射力(FTF)などの連結部材負荷、ナイフ前進速度、組織インピーダンス、組織圧縮、カートリッジ上の組織被覆度の感知及び識別されたパラメータに基づいて、ロボット外科用器具の変位部材の前進又は後退速度を制御するための様々な技術を提供する。
【0124】
図31は、本開示の一態様による、ロボット外科用器具の変位部材の前進又は後退速度を制御するための技術を例示するチャート12000である。チャート12000は、予想されるよりも薄い、又は予想されるよりも厚い組織について、アンビル閉鎖状態から、又は発射状態からの変位部材の発射を図示する。第1の列12002は、速度制御が、アンビルとステープルカートリッジとの間のエンドエフェクタ間隙、閉鎖力又は発射力、ナイフの速度、組織インピーダンス、及びカートリッジ上の組織被覆度などに基づく、変数又はパラメータを表にする。第2の列12004は、低速又は高速のいずれかの、そうでなければ、第1の列12002で表にされた、感知及び識別されたパラメータに基づく設定速度又はコマンド速度として既知の、アンビルの閉鎖からの初期速度選択を表にする。第3の列12006は、第1の列12002に表にされた、感知及び識別されたパラメータに基づいて、カートリッジの長さ(例えば、異なる区分の主要なXmmであり、Xは、10mm~60mm以上などのカートリッジの長さである)にわたる、発射速度の減少又は増加の更新を表にする。
【0125】
したがって、ここで、組織間隙パラメータに基づいて第2の列12004で表にされたアンビル閉鎖フェーズ中の閉鎖からの発射プロセスを参照すると、エンドエフェクタ内の測定された組織間隙が公称組織間隙未満であり、かつ変位部材の初期設定速度が低速である場合、変位部材の速度は、++記号によって示されるように増加させられ、表中、「+」又は「-」の数は、それぞれ、設定速度を比例的に増加又は減少させることを指す。対照的に、測定された組織間隙が公称組織間隙より大きく、かつ変位部材の初期設定速度が高速である場合、変位部材の速度は、--記号によって示されるように減少させられる。
【0126】
次に、閉鎖力(FTC)パラメータに基づいて第2の列12004に表にされたアンビル閉鎖フェーズ中の閉鎖からの発射プロセスを参照すると、測定されたFTCが閾値力未満であり、かつ変位部材の初期設定速度が低速である場合、変位部材の速度は++記号によって示されるように増加させられ得る。対照的に、測定されたFTCが閾値力よりも大きく、かつ変位部材の初期設定速度が高速である場合、変位部材の速度は、--記号で示されるように減少させられる。
【0127】
次の変数、ナイフ速度パラメータ(例えば、変位部材の速度)は、ナイフの初期速度が常にゼロであるため、スキップされる。したがって、次に、組織インピーダンスパラメータに基づいて第2の列12004に表にされたアンビル閉鎖フェーズ中の閉鎖からの発射プロセスを参照すると、測定された組織インピーダンスが予期されるよりも低く、組織が予期されるよりも薄いことを示し、かつ変位部材の初期設定速度が低速である場合、変位部材の速度は、++記号によって示されるように増加させられ得る。対照的に、測定された組織インピーダンスが閾値組織インピーダンスよりも大きく、組織が予期されるよりも厚いことを示し、かつ変位部材の初期設定速度が高速である場合、変位部材の速度は、--記号によって示されるように減少させられる。
【0128】
次に、カートリッジ被覆度パラメータに基づいて、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間の空間を部分的に又は全体的に被覆する組織に基づいて、第2の列12004に表にされたアンビル閉鎖フェーズ中の閉鎖からの発射プロセスを参照すると、測定された組織がカートリッジ全体を被覆せず、かつ変位部材の初期設定速度が低速である場合、変位部材の速度は、+記号によって示されるように増加させられ得る。対照的に、測定された組織がカートリッジ全体を被覆し、かつ変位部材の初期設定速度が高速である場合、変位部材の速度は、-記号によって示されるように減少させられる。
【0129】
次に、説明は、第3の列12006に表にされた発射フェーズに移る。したがって、組織間隙パラメータを参照すると、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、エンドエフェクタ内で測定された組織間隙が減少する場合、変位部材の速度は、+記号によって示されるように増加させられる。対照的に、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、エンドエフェクタ内の測定された組織間隙が増加する場合、変位部材の速度は、-記号によって示されるように減少させられる。
【0130】
FTFパラメータを参照すると、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、測定されたFTFが減少する場合、変位部材の設定速度は、++記号によって示されるように増加させられる。対照的に、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、測定されたFTFが増加する場合、変位部材の設定速度は、--記号によって示されるように減少させられる。
【0131】
第3の列12006に示されるナイフ速度パラメータ(例えば、変位速度)を参照すると、-記号は、設定速度の減少を示し、+記号は、設定速度の増加を示す。したがって、次に、組織インピーダンスパラメータを参照すると、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、測定された組織インピーダンスが減少する(組織厚さの減少を示す)場合、変位部材の設定速度は、+記号によって示されるように増加させられる。対照的に、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、測定された組織インピーダンスが増加する(組織厚さの増加を示す)場合、変位部材の設定速度は、-記号によって示されるように減少させられる。
【0132】
最後に、ここで、カートリッジ被覆度パラメータを参照すると、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、測定されたカートリッジ被覆度が減少する場合、変位部材の設定速度は、+記号によって示されるように増加させられる。対照的に、現在の設定発射速度での発射フェーズ中に、測定されたカートリッジ被覆度が増加する場合、変位部材の設定速度は、-記号によって示されるように減少させられる。
【0133】
上記の背景と共に、次に、本開示の一態様による、閉ループ速度制御プロセス12100のグラフィカル図である、
図32を説明する。最上位のグラフ12102は、ステープルカートリッジに沿った位置の関数としての組織厚さの変動を図示する。横軸12142は、例えば、ステープルカートリッジの長さ、Xmmを表すようにスケーリングされ、Xは、例えば、10~60mmである。したがって、60mmのステープルカートリッジに関して、X=60mmである。縦軸12144は、組織厚さT(mm)を表す。横軸242はまた、等しい長さの4つのゾーン(ゾーン1~ゾーン4)に分割される。示されるように、組織12110の厚さは、0.25倍~0.74倍(60mmのカートリッジに対して15~45mm)で変化する。制御回路は、カートリッジの長さに沿って組織厚さを監視し、組織12110の厚さを閾値厚さ12115と比較する。組織12110の厚さのプロットは、組織が、ゾーン1及びゾーン4内ではなく、カートリッジのゾーン2及びゾーン3内のみに位置することを示す。また、組織12110の厚さは、組織セグメント12112、12116が、閾値厚さ12115未満であり、組織12114の一部分の厚さが、閾値厚さ12115を上回って位置するように、δ
1とδ
2との間で閾値厚さ12115を上回る。したがって、
図31のチャート12000に記載されるように、閉ループ速度制御プロセスは、閉鎖フェーズ及び発射フェーズで遭遇する組織状態パラメータに基づいて調節されることになる。
【0134】
上から2番目のグラフ12104は、ステープルカートリッジに沿った位置の関数としての組織12110の被覆度を図示し、横軸12142は、ステープルカートリッジの長さ、Xmmを表し、縦軸12148は、特定のゾーン(ゾーン1~ゾーン4)内の組織12110の存在を表す。カートリッジ被覆度は、組織12110が存在する場合、カートリッジ被覆度が1であり、組織12110が存在しない場合、カートリッジ被覆度が0であるように、2値変数として表される。示されるように、カートリッジ被覆度は、ゾーン1及びゾーン4内で0であり、ゾーン2及びゾーン3内で1である。
【0135】
上から3番目のグラフ12106は、低速及び高速の横断速度並びに制御された速度について、ステープルカートリッジに沿った位置の関数としての発射力(N)を図示する。横軸12150は、ステープルカートリッジの長さ、Xmmを表し、縦軸12148は、発射力(N)を表す。示されるように、低速FTF曲線12126は、高速曲線12130よりも低い力プロファイルを有する。制御された曲線12128は、
図33を参照して論じられたプロセス12200が制御回路2510(
図30)によって実行されるときの力プロファイルを表す。概して、ナイフ又は変位部材が、閾値厚さ12115よりも厚い組織12110に遭遇すると、制御回路は、最下位のグラフ12108を参照してより詳細に論じられるように、変位部材の設定速度を減少させる。
【0136】
最下位のグラフ12108は、ステープルカートリッジに沿った位置の関数としてのコマンド速度12118(破線)及び実際の速度12120(実線)を表し、横軸12154は、ステープルカートリッジの長さ、Xmmを表し、縦軸12156は、コマンド速度(mm/秒)を表す。コマンド速度12118は、制御回路によって設定されたモータ速度であり、実際の速度12120は、位置センサ及びタイマー/カウンタ回路からのフィードバックを介して制御回路によって測定される実際の速度である。コマンド速度12118は、初期閉鎖フェーズ及び発射フェーズ中に経験される組織状態に基づいて決定される。制御回路は、例えば、組織厚さ及びカートリッジ被覆度を補償するために、
図33を参照して説明される閉ループ制御プロセス12200に基づいてコマンド速度12118を調節する。それでも、コマンド速度12118は、
図31に示されるチャート12000の第1の列12002に説明されたパラメータ又は変数のいずれかに基づいて、閉ループ制御プロセス12200によって調節されてもよい。
【0137】
図32の例では、ゾーン1内に組織が存在しないことを検出すると、制御回路は、組織12110が、ゾーン2(0.25Xmm)の開始時にIビームナイフに遭遇するまで、ゾーン1の区間中にコマンド速度を0mm/秒からV
HIGH 12122まで増加させ、その時点で、コマンド速度12118が速度V
LOW 12124に減少させられる。速度V
LOW 12124は、Iビームナイフがゾーン3(0.75X)を出るまで維持され、その時点で、制御回路は、ゾーン4内でコマンド速度12118をV
HIGH 12125に戻るように調整する。実際の速度12120のプロファイルは、コマンド速度12118を実質的に追跡するが、変位部材がコマンド速度12118に到達するまでコマンド速度12118が制御回路によって設定される時間の間の応答時間遅延を含む。例えば、実際の速度セグメント12132は、V
HIGH 12122に達し、組織12110に加えられた圧縮力に起因して、ゾーン1内でわずかに低下する。ゾーン2では、実際の速度12120は、変位部材がコマンド速度12118を追跡する際にセグメント12134によって示されるように低下する。ゾーン2では、δ
1~δ
2の間で組織セグメント12114の組織厚さが組織厚さ閾値12115を上回る。したがって、ゾーン2では、実際の速度12120のセグメント12136は、Iビームナイフが遭遇した、より厚い組織セグメント12114に起因して、コマンド速度12118よりもわずかに低い。ゾーン3では、組織セグメント12116が、組織厚さ閾値12115を下回るが、ゼロを上回ったままであるため、実際の速度12120のセグメント12138は、コマンド速度12118 V
LOW 12124をより厳密に追跡する。最後に、ゾーン4の組織が存在しないゾーンでは、実際の速度12120は、コマンド速度12125まで上昇する。実際の速度セグメント12140は、V
HIGHよりもわずかに上に上昇し、次いで、ストローク終了時にゼロに低下する。制御された曲線12128を参照すると、発射力プロファイルは、コマンド速度12118、したがって、実際の速度12120、即ちIビームナイフの前進速度を減少させることによって著しく低下する。
【0138】
図33は、本開示の一態様による、エンドエフェクタ内の組織状態を決定し、それに応じてコマンド速度を調節するための制御プログラム又は論理構成のプロセス12200を図示する論理フロー図である。プロセス12200は、本開示の一態様による、単一又は2つのいずれかの関節運動駆動連結部を用いて、変位部材の遠位並進、閉鎖管の移動、シャフト回転、及び関節運動を制御するようにプログラムされた、
図30に示されるロボット外科用器具2500を参照して説明される。ロボット外科用器具2500の1つ又は2つ以上のセンサ2538が、例えば、アンビル2516がステープルカートリッジ2518上で閉鎖している、アンビル2516の閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタ2502内の組織状態を検出する(12202)。1つ又は2つ以上のセンサ2538の出力が、制御回路2510に提供される。制御回路2510は、モータ設定点をモータ制御部2508aに適用することによってモータ2504aのコマンド速度を設定し(12204)、次いで、モータ駆動信号をモータ2504aに適用して、モータ2504aのコマンド速度を設定して、Iビーム2514に連結された変位部材を、閉鎖フェーズ中のコマンド速度で駆動又は発射する(12206)。モータ2504aの出力シャフトのトルクセンサ2544aは、エンドエフェクタ2502内での移動中にIビーム2514が受ける力を検出するために、追加の制御回路2510にトルク信号を提供してもよい。位置センサ2534は、ロボット外科用システム2500のIビーム2514又は他の変位部材の位置を検出するように構成されている。
【0139】
プロセス12200は、発射フェーズ中に継続する。したがって、1つ又は2つ以上のセンサ2538は、Iビーム2514の発射フェーズ中にエンドエフェクタ2502内の組織状態を検出する(12208)。制御回路2510は、1つ又は2つ以上のセンサ2538、加えて、トルクセンサ2544a、位置センサ2534、及び任意選択的に電流センサ2536から入力を受信して、検出された(12208)組織状態に基づいて、Iビーム2514に連結された変位部材のコマンド速度を設定する(12210)。変位部材は、組織状態の変化が検出される(12212)まで、設定速度で前進する。コマンド速度は、次いで、検出された(12212)組織状態に基づいて、新たなコマンド速度に調節される(12210)。エンドエフェクタ2502内で遭遇した組織状態に基づいて、アンビル2516の閉鎖状態から、又は組織に対する発射状態から、変位部材を発射することに関して、
図31のチャート12000及び添付の説明を参照する。プロセス12200は、変位部材、例えば、Iビーム2514がストローク終了12216に到達するまで継続する(12214)。
【0140】
プロセス12200によると、ロボット外科用システム2500の制御回路2510は、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタ2502での状態を検出する(12202)ように構成されている。制御回路2510は、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタ2502での検出された(12202)状態に基づいて、エンドエフェクタ2502に連結された変位部材、例えば、Iビーム2514に連結された、モータ2504aのコマンド速度を設定する(12204)。制御回路2510は、設定コマンド速度で変位部材を発射する(12206)。制御回路2510は、発射フェーズ中のエンドエフェクタ2502の状態を検出する(12208)。制御回路は、発射フェーズ中のエンドエフェクタ2502での検出された状態(12208)に基づいて、モータ2504aのコマンド速度を設定する(1210)。
【0141】
閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中、ロボット外科用システム2500の制御回路2510は、センサ2538に基づいて、組織厚さを検出するように構成されると共に、センサ2538に基づいて、エンドエフェクタ2502のアンビル2516とステープルカートリッジ2518部分との間に画定された間隙を検出し、間隙、及び間隙が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節するように構成されている。組織厚さは、
図13~
図21及び添付の説明に示されるものなどの様々なセンサ2538によって検出され得る。
【0142】
制御回路2510は、エンドエフェクタ2502のアンビル2516及びステープルカートリッジ2518部分が、それらの間に位置する組織上で閉鎖したときに受ける力として定義される閉鎖力を検出するように構成され得、閉鎖力、及び力が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節する。力は、
図13~
図21及び添付の説明に示されるものなどの、アンビル2516若しくはステープルカートリッジ2518、又はエンドエフェクタ2502内の別の場所に位置する、歪みゲージなどの力センサによって検出され得る。加えて、閉鎖力は、第2のモータ2508bに連結されたトルクセンサ2544bによって提供されてもよい。
【0143】
制御回路2510は、変位部材を変位させるための発射力を検出し、発射力、及び力が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節するように構成されてもよい。発射力は、モータ2508aの出力シャフトに連結されたセンサ2538又はトルクセンサ2544aによって制御回路2510に提供されてもよい。
【0144】
制御回路2510は、エンドエフェクタ2502のアンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置する組織の電気インピーダンスを検出し、電気インピーダンス、及びインピーダンスが検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節するように構成されてもよい。電気インピーダンスは、
図13~
図21及び添付の説明に示されるものなどの、様々なセンサ2538を使用して感知され得る。電極セグメント間に位置する組織を通って駆動される電流が、組織インピーダンスを測定するために制御回路2510によって使用され得る。
【0145】
制御回路2510は、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に位置する組織の被覆度を検出し、被覆度、及び被覆度が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節するように構成されてもよい。組織被覆度は、
図13~
図21及び添付の説明に示されるものなどの、様々なセンサを使用して検出され得る。
【0146】
本明細書に説明される機能又はプロセス12000は、制御回路961(
図22)、800(
図23)、810(
図24)、820(
図25)、4420(
図26)、及び/又は制御回路2510(
図30)などの、本明細書に説明される処理回路のいずれかによって実行され得る。電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。
【0147】
本明細書に説明される主題の様々な態様は、以下の実施例において説明される。
実施例1.ロボット外科用システムであって、制御回路を備え、制御回路は、
閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、エンドエフェクタに連結された変位部材に連結されたモータのコマンド速度を設定することと、設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、モータのコマンド速度を設定することと、を行うように構成されている、ロボット外科用システム。
【0148】
実施例2.閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の状態が、組織厚さであり、制御回路は、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に画定された間隙を検出することと、間隙、及び間隙が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を行うように構成されている、実施例1に記載のロボット外科用システム。
【0149】
実施例3.閉鎖フェーズ中の状態が、ステープルカートリッジに向かってアンビルに加えられる閉鎖力であり、制御回路は、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に位置する組織上で閉鎖したエンドエフェクタのアンビル及びステープルカートリッジ部分が受ける力として定義される閉鎖力を検出することと、閉鎖力、及び力が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を行うように構成されている、実施例1又は実施例2のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0150】
実施例4.発射フェーズ中の状態が、変位部材を変位させるための発射力であり、制御回路は、変位部材を変位させるための発射力を検出することと、発射力、及び力が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を行うように構成されている、実施例1~実施例3のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0151】
実施例5.閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の状態が、エンドエフェクタ内のアンビルとカートリッジとの間に位置する組織の電気インピーダンスであり、制御回路は、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジとの間に位置する組織の電気インピーダンスを検出することと、電気インピーダンス、及びインピーダンスが検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を行うように構成されている、実施例1~実施例4のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0152】
実施例6.閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の状態が、エンドエフェクタ内の組織の被覆度であり、制御回路は、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に位置する組織の被覆度を検出することと、被覆度、及び被覆度が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を行うように構成されている、実施例1~実施例5のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0153】
実施例7.制御回路が、発射フェーズ中のコマンド速度を調節して、発射中の変位部材の速度を調節するように構成されている、実施例1~実施例6のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0154】
実施例8.ロボット外科用システムであって、モータに連結され、かつ閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中のモータのコマンド速度を設定するように構成された制御回路を備え、モータが、コマンド速度で遠位部材を駆動するように構成され、制御回路は、エンドエフェクタでの第1の状態を検出することと、エンドエフェクタでの第2の状態を検出することと、エンドエフェクタでの検出された第1及び第2の状態に基づいて、コマンド速度を設定することと、設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、を行うように構成されている、ロボット外科用システム。
【0155】
実施例9.第1の状態が、エンドエフェクタのセグメント化区分内の組織被覆度であり、制御回路は、エンドエフェクタのセクション内のセクション内に位置するセンサから組織の存在を受信することと、組織が存在しないエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第1の速度に設定することと、組織がエンドエフェクタ内に位置するエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第2の速度に設定することと、を行うように構成され、第2の速度が、第1の速度未満である、実施例8のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0156】
実施例10.第1の状態が、エンドエフェクタに位置する組織厚さであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置する間隙センサから組織厚さを受信することと、組織厚さが閾値厚さを超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8又は実施例9のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0157】
実施例11.第1の状態が、エンドエフェクタに加えられる閉鎖力であり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置するセンサから閉鎖力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8~実施例10のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0158】
実施例12.第1の状態が、変位部材を変位させるための発射力であり、制御回路は、モータの出力に連結されたセンサから発射力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8~実施例11のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0159】
実施例13.第1の状態が、エンドエフェクタでの組織インピーダンスであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置するセンサから組織インピーダンスを受信することと、インピーダンスが閾値インピーダンスを超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8~実施例12のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0160】
実施例14.第2の状態が、エンドエフェクタのセグメント化区分内の組織被覆度であり、制御回路は、エンドエフェクタのセクション内のセクション内に位置するセンサから組織の存在を受信することと、組織が存在しないエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第1の速度に設定することと、組織がエンドエフェクタ内に位置するエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第2の速度に設定することと、を行うように構成され、第2の速度が、第1の速度未満である、実施例8~実施例13のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0161】
実施例15.第2の状態が、エンドエフェクタに位置する組織厚さであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置する間隙センサから組織厚さを受信することと、組織厚さが閾値厚さを超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8~実施例14のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0162】
実施例16.第2の状態が、エンドエフェクタに加えられる閉鎖力であり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置するセンサから閉鎖力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8~実施例15のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0163】
実施例17.第2の状態が、変位部材を変位させるための発射力であり、制御回路は、モータの出力に連結されたセンサから発射力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8~実施例16のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0164】
実施例18.第2の状態が、エンドエフェクタでの組織インピーダンスであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置するセンサから組織インピーダンスを受信することと、インピーダンスが閾値インピーダンスを超えるエンドエフェクタのセクションでは、モータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例8~実施例17のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0165】
実施例19.ロボット外科用システムであって、切断部材に連結された変位部材を駆動するための第1のモータと、エンドエフェクタのアンビル部分に連結された閉鎖管を駆動するための第2のモータであって、閉鎖管が、アンビルを開閉させるように構成されている、第2のモータと、第1及び第2のモータに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の第1のモータのコマンド速度を設定し、第2のモータのコマンド速度を設定して、アンビルに連結された閉鎖管に閉鎖力を加えるように構成され、制御回路は、エンドエフェクタでの第1の状態を検出することと、エンドエフェクタでの第2の状態を検出することと、エンドエフェクタでの検出された第1及び第2の状態に基づいて、第1のコマンド速度を設定することと、第1の設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、を行うように構成されている、ロボット外科用システム。
【0166】
実施例20.第1の状態が、エンドエフェクタのセグメント化区分内の組織被覆度であり、制御回路は、エンドエフェクタのセクション内のセクション内に位置するセンサから組織の存在を受信することと、組織が存在しないエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第1の速度に設定することと、組織がエンドエフェクタ内に位置するエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンドを第2の速度に設定することと、を行うように構成され、第2の速度が、第1の速度未満である、実施例19に記載のロボット外科用システム。
【0167】
実施例21.第1の状態が、エンドエフェクタに位置する組織厚さであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置する間隙センサから組織厚さを受信することと、組織厚さが閾値厚さを超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19又は実施例20のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0168】
実施例22.第1の状態が、エンドエフェクタに加えられる閉鎖力であり、制御回路は、第2のモータの出力シャフトに連結されたセンサから閉鎖力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19~実施例21のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0169】
実施例23.第1の状態が、変位部材を変位させるための発射力であり、制御回路は、第1のモータの出力シャフトに連結されたセンサから発射力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19~実施例22のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0170】
実施例24.第1の状態が、エンドエフェクタでの組織インピーダンスであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置するセンサから組織インピーダンスを受信することと、インピーダンスが閾値インピーダンスを超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19~実施例23のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0171】
実施例25.第1の状態が、エンドエフェクタのセグメント化区分内の組織被覆度であり、制御回路は、エンドエフェクタのセクション内のセクション内に位置するセンサから組織の存在を受信することと、組織が存在しないエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第1の速度に設定することと、組織がエンドエフェクタ内に位置するエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンドを第2の速度に設定することと、を行うように構成され、第2の速度が、第1の速度未満である、実施例19~実施例24のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0172】
実施例26.第1の状態が、エンドエフェクタに位置する組織厚さであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置する間隙センサから組織厚さを受信することと、組織厚さが閾値厚さを超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19~実施例25のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0173】
実施例27.第1の状態が、エンドエフェクタに加えられる閉鎖力であり、制御回路は、第2のモータの出力シャフトに連結されたセンサから閉鎖力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19~実施例26のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0174】
実施例28.第1の状態が、変位部材を変位させるための発射力であり、制御回路は、第1のモータの出力シャフトに連結されたセンサから発射力を受信することと、閉鎖力が閾値力を超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19~実施例27のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0175】
実施例29.第1の状態が、エンドエフェクタでの組織インピーダンスであり、制御回路は、エンドエフェクタ内に位置するセンサから組織インピーダンスを受信することと、インピーダンスが閾値インピーダンスを超えるエンドエフェクタのセクションでは、第1のモータのコマンド速度を第3の速度に設定することと、を行うように構成され、第3の速度が、第2の速度未満である、実施例19~実施例28のいずれか1つに記載のロボット外科用システム。
【0176】
ロボット外科用器具のための閉鎖部材の閉ループ速度制御
電動ロボット外科用ステープル留めシステムの使用では、閉鎖部材上の力は、発射部材が把持アームに連結し、閉鎖力が閉鎖部材から発射部材に伝達される瞬間から、急激に低下する。それゆえに、本開示は、発射部材が遠位に前進している間の発射ストローク中に閉鎖部材を前進させるように構成された閉ループフィードバック制御システムを提供する。本開示はまた、ロボット外科用器具インターフェースに連結するように構成された、個別に制御可能な閉鎖及び発射部材を提供する。
【0177】
一態様では、本開示は、閉鎖部材速度の適応制御のための様々な技術を提供する。一態様では、本開示は、ロボットシャフトの少なくとも2つのパラメータを測定する閉鎖部材速度の適応制御のための技術を提供する。ロボットシャフトと関連付けられたパラメータとしては、限定せずに、とりわけ、発射部材ストローク場所、発射部材負荷、ナイフ前進速度、閉鎖管ストローク場所、閉鎖管負荷が挙げられ、これらは、ロボットインターフェース及びカートリッジ内に配設された回路と共に着脱式ロボットインターフェースユニット及び取り外し可能なカートリッジを介し、ロボットインターフェース及びカートリッジ内に配設された回路は、それら自体及びそれらのステータスを識別するか、又はデバイス若しくはエンドエフェクタを作動させ、その使用を記録するためのパラメータ又は制御プログラムを提供することができる。
【0178】
一態様では、閉鎖管力に対する力は、Iビームがアンビルに連結して負荷を受け始める瞬間から、急激に低下する。これは、発射部材を遠位に前進させながら閉鎖管を前進させることによって克服され得る。一態様では、ロボットインターフェースは、個々に閉ループ制御可能な閉鎖管及び発射部材を提供する。これらの閉ループ制御技術は、以下に説明される。
【0179】
閉鎖管及び発射部材の閉ループ制御技術の説明を参照する前に、説明は、
図34を簡単に参照する。
図34は、閉鎖フェーズ中の厚い組織及び薄い組織に対して閉鎖するように閉鎖部材に加えられる力を図示する2つの閉鎖力(FTC)プロット12506、12508のグラフ12500、並びに発射フェーズ中の厚い組織及び薄い組織を通して発射するように発射部材に加えられる力を図示する2つの発射力(FTF)プロット12522、12524のグラフ12501である。
図30及び
図34を参照すると、グラフ12500は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に把持された組織に対してエンドエフェクタ2502を閉鎖するために、閉鎖ストローク中に厚い組織及び薄い組織に加えられた力の例を図示し、閉鎖力は、時間の関数としてプロットされている。閉鎖力プロット12506、12508は、2つの軸上にプロットされている。縦軸12502は、ニュートン(N)単位のエンドエフェクタ2502の閉鎖力(FTC)を示す。横軸12504は、秒単位で時間を示し、説明を明確にするために、t
0~t
13でラベル付けされている。第1の閉鎖力プロット12506は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に把持された組織に対してエンドエフェクタ2502を閉鎖するために、閉鎖ストローク中に厚い組織に加えられる力の例であり、第2のプロット12508は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に把持された組織に対してエンドエフェクタ2502を閉鎖するために、閉鎖ストローク中に薄い組織に加えられる力の例である。第1の閉鎖力プロット12506及び第2の閉鎖力プロット12508は、3つのフェーズ、閉鎖ストローク(閉鎖)、待機区間(待機)、及び発射ストローク(発射)に分割される。閉鎖ストローク中、閉鎖管1040、1042(
図4及び
図6~
図10)は、閉鎖モータ2504bによる閉鎖ストロークの作動に応答して、例えば、ステープルカートリッジ2518に対してアンビル2516を移動させるために遠位(方向「DD」)に並進される。他の例では、閉鎖ストロークは、閉鎖モータ2504bの作動に応答して、アンビル2516に対してステープルカートリッジ2518を移動させることを伴い、他の例では、閉鎖ストロークは、閉鎖モータ2504bの作動に応答して、ステープルカートリッジ2518及びアンビル2516を移動させることを伴う。第1の閉鎖力プロット12506を参照すると、閉鎖ストローク中の閉鎖力12510は、0から最大力F
1まで、時間t
0~t
1で増加する。第2の閉鎖力グラフ12508を参照すると、閉鎖ストローク中の閉鎖力12516は、0から最大力F
3まで、時間t
0~t
1で増加する。最大力F
1とF
3との間の相対差は、薄い組織に対する厚い組織に必要な閉鎖力の差に起因するものであり、薄い組織に対して、厚い組織上でアンビルを閉鎖するためにより大きな力が必要とされる。
【0180】
第1の閉鎖力プロット12506及び第2の閉鎖力プロット12508は、エンドエフェクタ2502内の閉鎖力が、時間(t1)で終了する初期把持期間中に増加することを示す。閉鎖力は、時間(t1)で最大力(F1、F3)に到達する。初期把持期間は、例えば、約1秒であり得る。待機区間が、発射ストロークを開始する前に適用され得る。待機区間は、エンドエフェクタ2502によって圧縮された組織からの流体排出を可能にし、これは、圧縮された組織の厚さを減少させ、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間のより小さい間隙をもたらし、待機区間終了時の閉鎖力を低下させる。第1の閉鎖力プロット12506を参照すると、t1~t4の待機区間中にF1からF2への閉鎖力12512のわずかな低下が存在する。同様に、第2の閉鎖力プロット12508を参照すると、閉鎖力12518は、t1~t4の待機区間中にF3からF4にわずかに低下する。いくつかの実施例では、約10秒~約20秒の範囲から選択される待機区間(t1~t4)が典型的に用いられる。第1の閉鎖力プロット12506及び第2の閉鎖力プロット12508の例では、約15秒の期間が用いられる。待機区間の後は、発射ストロークであり、これは、例えば、約3秒から、例えば、約5秒までの範囲から選択される期間で持続する。閉鎖力は、Iビーム2514が発射ストロークを通してエンドエフェクタに対して前進される際に減少する。第1の閉鎖力プロット12506及び第2の閉鎖力プロット12508の閉鎖力12514、12520によって示されるように、閉鎖管1040、1042に及ぼされた閉鎖力12514、12520は、およそ時間t4~およそ時間t5で急激に低下する。時間t4は、Iビーム2514がアンビル2516内に連結し、閉鎖負荷を受け始める瞬間を表す。したがって、閉鎖力は、第1の発射力プロット12522及び第2の発射力プロット12524によって示されるように、発射力が増加する際に減少する。
【0181】
図34はまた、外科用器具2500の発射ストローク中にIビーム2514を前進させるために加えられた力をプロットする第1の発射力プロット12522及び第2の発射力プロット12524のグラフ12501を図示する。発射力プロット12522、12524は、2つの軸上にプロットされる。縦軸12526は、発射ストローク中にIビーム2514を前進させるために加えられる、ニュートン(N)単位の発射力を示す。Iビーム2514は、ナイフ又は切断要素を前進させ、発射ストローク中にステープルを配備するためにドライバを推進するように構成されている。横軸12505は、上のグラフ12500の横軸12504と同じ時間スケールでの秒単位の時間を示す。
【0182】
上記のように、閉鎖管力は、第1の発射力プロット12522及び第2の発射力プロット12524によって示されるように、Iビーム2514がアンビル2516内に連結し、負荷を受け始め、発射力が増加する際に閉鎖力が減少する瞬間を表す、時間t4~およそ時間t5で急激に低下する。Iビーム2514は、時間t4でのストローク開始位置から、薄い組織に対する発射力プロット12524のt8~t9、及び厚い組織に対する発射力プロット12522のt13のストローク終了位置まで前進させられる。Iビーム2514が発射ストローク中に遠位に前進させられると、閉鎖組立体は、発射組立体へのステープルカートリッジ2518及びアンビル2516の制御を放棄し、これは、発射力を増加させ、閉鎖力を減少させる。
【0183】
発射区間(発射)中の厚い組織の発射力プロット12522では、プロット12522は、3つの別個のセグメントに分割される。第1のセグメント12528は、t4での0からt5の直前にピーク力F’1まで増加するときの発射力を示す。第1のセグメント12528は、Iビーム2514が組織に接触するまで、Iビーム2514が閉鎖ランプの頂部から遠位に前進する、発射ストロークの初期フェーズ中の発射力である。第2のセグメント12530は、発射ストロークの第2のフェーズ中の発射力を示し、Iビーム2514は、遠位に前進し、ステープルを配備し、組織を切断する。発射ストロークの第2のフェーズ中、発射力は、およそt12でF’1からF’2まで低下する。第3のセグメント12532は、発射ストロークの第3の及び最終フェーズ中の発射力を示し、Iビーム2514は、組織を離れて、組織が存在しないゾーン内のストローク終了まで前進する。発射ストロークの第3のフェーズ中、発射力は、Iビーム2514がストローク終了に到達する、およそt13でF’2からゼロ(0)まで低下する。要約すると、発射ストローク中、発射力は、Iビーム2514が組織ゾーンに入るときに劇的に上昇し、ステープル留め及び切断動作中に組織ゾーン内で徐々に減少し、Iビーム2514が組織ゾーンを出て、ストローク終了時に組織が存在しないゾーンに入るときに劇的に低下する。
【0184】
薄い組織の発射力プロット12524は、厚い組織の発射力プロット12522と同様のパターンに従う。したがって、発射ストロークの第1のフェーズ中、発射力12534は、およそt5で0からF’3まで劇的に増加する。発射ストロークの第2のフェーズ中、発射力12536は、F’3から、およそt8でのF’4まで徐々に低下する。発射ストロークの最終フェーズ中、発射力12532は、t8~t9でF’4から0まで劇的に低下する。
【0185】
第1の発射力プロット12522及び第2の発射力プロット12524に示される、Iビーム2514がアンビル2516内に連結し、負荷を受け始め、発射力が増加する際に閉鎖力が減少する、時間t
4~およそ時間t
5の閉鎖力の急激な低下を克服するために、閉鎖管1040、1042(
図4及び
図6~
図10)は、Iビーム2514などの発射部材が遠位に前進させられている間に、遠位に前進させられ得る。
図30を参照すると、閉鎖管1040、1042は、アンビル2516に閉鎖力を加える伝達要素2506bとして表される。本明細書に説明されるように、制御回路2510は、モータ設定点をモータ制御部2508bに適用し、モータ制御信号をモータ2504bに印加して伝達要素2506bを駆動し、閉鎖管を遠位に前進させて、アンビル2516に閉鎖力を加える。モータ2504bの出力シャフトに連結されたトルクセンサ2544bは、閉鎖管1040、1042に加えられる力を測定するために使用され得る。他の態様では、閉鎖力は、歪みゲージ、ロードセル、又は他の好適な力センサで測定され得る。
【0186】
図30を引き続き参照すると共に、ここで、
図35を参照すると、本開示の一態様による、同時の閉鎖及び発射フェーズ中の、厚い組織及び薄い組織に対して閉鎖するように閉鎖部材に加えられる力を図示する2つの閉鎖力プロット12606、12608のグラフ12600、並びに厚い組織及び薄い組織を通して発射するように発射部材に加えられる力を図示する2つの発射力プロット12622、12624のグラフ12601が示されている。
図35を参照すると、グラフ12600は、同時の閉鎖及び発射ストローク中に厚い組織及び薄い組織に加えられる力の例を図示する。したがって、アンビル2516は、Iビーム2514が遠位に前進しながら、ステープルカートリッジ2518上で閉鎖する。この作用は、
図34の第1の発射力プロット12522及び第2の発射力プロット12524によって示されるように、Iビーム2514がアンビル2516内に連結し、負荷を受け始め、発射力が増加する際に閉鎖力が減少する瞬間を表す、時間t
4~およそ時間t
5の閉鎖力の急激な低下を克服する。対照的に、
図35は、閉鎖力がより長い区間にわたって減少し、閉鎖力のより緩やかな低下をもたらすことを示す。
【0187】
閉鎖力プロット12606、12608は、2つの軸上にプロットされている。縦軸12602は、ニュートン(N)単位のエンドエフェクタ2502の閉鎖力を示す。横軸12604は、秒単位で時間を示し、説明を明確にするために、t
0~t
9でラベル付けされている。第1の閉鎖力プロット12506は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に把持された組織に対してエンドエフェクタ2502を閉鎖するために、閉鎖ストローク中に厚い組織に加えられる力の例であり、第2のプロット12608は、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に把持された組織に対してエンドエフェクタ2502を閉鎖するために、閉鎖ストローク中に薄い組織に加えられる力の例である。第1の閉鎖力プロット12606及び第2の閉鎖力プロット12608は、3つのフェーズ、閉鎖ストローク(閉鎖)、待機区間(待機)、及び発射ストローク(発射)に分割される。閉鎖ストローク中、閉鎖管1040、1042(
図4及び
図6~
図10)は、閉鎖モータ2504bによる閉鎖ストロークの作動に応答して、例えば、ステープルカートリッジ2518に対してアンビル2516を移動させるために遠位(方向「DD」)に並進される。他の例では、閉鎖ストロークは、閉鎖モータ2504bの作動に応答して、アンビル2516に対してステープルカートリッジ2518を移動させることを伴い、他の例では、閉鎖ストロークは、閉鎖モータ2504bの作動に応答して、ステープルカートリッジ2518及びアンビル2516を移動させることを伴う。第1の閉鎖力プロット12606を参照すると、閉鎖ストローク中、の閉鎖力12610は、0から最大力F
1まで、時間t
0~t
1で増加する。同様に第2の閉鎖力プロット1260を参照すると、閉鎖ストローク中の閉鎖力12616は、0から最大力F
3まで、時間t
0~t
1で増加する。最大力F
1とF
3との間の相対差は、薄い組織に対する厚い組織の閉鎖力の差に起因するものであり、より大きな力は、薄い組織ではなく、厚い組織上でアンビルを閉鎖するために必要とされる。
【0188】
第1の閉鎖力グラフ12606及び第2の閉鎖力グラフ12608は、エンドエフェクタ2502内の閉鎖力が、時間(t1)で終了する初期把持期間中に増加することを示す。閉鎖力は、時間(t1)で最大力(F1、F3)に到達する。初期把持期間は、例えば、約1秒であり得る。待機区間が、発射ストロークを開始する前に適用され得る。待機区間は、エンドエフェクタ2502によって圧縮された組織からの流体排出を可能にし、これは、圧縮された組織の厚さを減少させ、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間のより小さい間隙をもたらし、待機区間終了時の閉鎖力を低下させる。第1の閉鎖力プロット12606を参照すると、t1~t4の待機区間中にF1からF2への閉鎖力12612のわずかな低下が存在する。同様に第2の閉鎖力プロット12608を参照すると、t1~t4の待機区間中にF3からF4への閉鎖力12618のわずかな低下が存在する。いくつかの実施例では、約10秒~約20秒の範囲から選択される待機区間(t1~t4)が典型的に用いられる。第1の閉鎖力プロット12606及び第2の閉鎖力プロット12608の例では、約15秒の期間が用いられる。待機区間の後は、発射ストロークであり、これは、例えば、約3秒から、例えば、約5秒までの範囲から選択される期間で持続する。しかしながら、時間t4では、閉鎖部材(例えば、閉鎖管1040、10402)は、発射部材(例えば、Iビーム2514)と同時に前進させられる。閉鎖管1040、1042及びIビーム2514を同時に前進させることによって、閉鎖力12614、12620は、第1の閉鎖力プロット12606及び第2の閉鎖力プロット12608にそれぞれ示されるように、発射ストロークを通して徐々に減少する。
【0189】
図35はまた、外科用器具2500の発射ストロークの一部分の間に閉鎖部材1040、1042を前進させながら、発射ストローク中にIビーム2514を前進させるために加えられた力をプロットする第1の発射力プロット12622及び第2の発射力プロット12624のグラフ12601を図示する。発射力プロット12622、12624は、2つの軸上にプロットされる。縦軸12626は、発射ストローク中にIビーム2514を前進させるために加えられる、ニュートン(N)単位の発射力を示す。Iビーム2514は、ナイフ又は切断要素を前進させ、発射ストローク中にステープルを配備するためにドライバを推進するように構成されている。横軸12605は、上のグラフ12600の横軸12604と同じ時間スケールでの秒単位の時間を示す。上記のように、閉鎖管に及ぼされる力は、閉鎖力12614によって示されるように、厚い組織に対して時間t
4~およそ時間t
9で、及び薄い組織に対して閉鎖力12620によって示されるように、時間t
4~およそt
7で、徐々に低下する。
【0190】
厚い組織の発射力プロット12622では、発射区間(発射)中のプロット12622の発射力12628は、t
4での0から、
図34に示されるピーク力F’
1よりもわずかに低い、t
5の直前のピーク力F”
1まで増加する。発射力12628は、Iビーム2514が組織に接触するまで、閉鎖管1040、1042が遠位に前進を開始しながら、Iビーム2514が閉鎖ランプの頂部から遠位に前進する、発射ストロークの初期フェーズ中に生じる。発射ストロークの第2のフェーズ中の発射力12630は、Iビーム2514が遠位に前進し、ステープルを配備し、組織を切断している間に生じる。発射ストロークの第2のフェーズ中、発射力12630は、t
5の直前のF”
1の力から、およそt
12でのF’
2の力まで低下する。しかしながら、発射力プロット12622は、発射ストロークの一部分の間で、
図34に示される発射力プロット12522よりもわずかに低い。発射ストロークの第3の及び最終フェーズ中の発射力12632は、Iビーム2514が、組織ゾーンを離れて、組織が存在しないゾーン内のストローク終了まで前進するときに生じる。発射ストロークの第3のフェーズ中、発射力12632は、F’
2から、およそt
13でゼロ(0)まで低下し、Iビーム2514がストローク終了に到達する点を表す。要約すると、発射ストローク中、発射力12628、12634は、Iビーム2514が組織ゾーンに入るときに劇的に上昇し、発射力12630、12636は、ステープル留め及び切断動作中に組織ゾーン内で徐々に減少し、発射力12632、12638は、Iビーム2514が組織ゾーンを出て、ストローク終了時に組織が存在しないゾーンに入るときに劇的に低下する。閉鎖管1040、1042及びIビーム2514が同時に遠位に前進させられるフェーズ中、発射力F”
1及びF”
3は、
図34に示される発射力F’
1及びF’
3に対してわずかに低い。
【0191】
図表12600、12601に示される閉鎖力12614、12620及び発射力12630、12636は、閉鎖管が前進させられたときに、発射ラックに対して及ぼされる発射力負荷(下のグラフ12601)及び閉鎖管に対して及ぼされる閉鎖力負荷(上のグラフ12600)に対する効果を例示し、厚い組織のプロット12606について、上のグラフ12600に関して閾値限界の初期値a、a’、a”によって示され、
図35Aに拡大されるように、発射ストロークの少なくとも一部分の間で制御される負荷は、上限閉鎖力閾値12642、下限閉鎖力閾値12644、及び上限閉鎖力閾値12642と下限閉鎖力閾値12644との間の公称閉鎖力12643によって表される。同様の閾値限界は、上限12646、下限12648、及び公称12647によって示されるように薄い組織プロット12608に適用される。入れ子式PIDフィードバック制御システムは、閉鎖管1040、1042に対して及ぼされる閉鎖力を監視し、閉鎖管1040、1042の速度を制御して、厚い組織に対して閾値12642、12644の間、薄い組織に対して閾値12646、12648の間に閉鎖力を維持する。例えば、閉鎖管1040、1042が時間t
4から区間τ
oにわたって停止した状態では、閉鎖力12614は、下限閉鎖力閾値12644を下回って低下する。このとき、コントローラ2510は、閉鎖管1040、1042を所定の速度で前進させることを開始する。入れ子式PIDフィードバック制御下で、制御回路2510は、閉鎖管1040、1042に対して及ぼされた力を測定し、実際の速度及び閉鎖管1040、1042に対して及ぼされた力に基づいて、閉鎖管1040、1042の設定点速度を調節する。したがって、閉鎖管1040、1042が遠位に前進し始めると、閉鎖力は、次の区間τ
1にわたって、それが下側閾値12644’をオーバーシュートするまで増加し始め、その時点で制御回路2510は、閉鎖管1040、1042を停止させ、次の区間τ
2にわたって、閉鎖力は、それが下限閉鎖力閾値12644を下回って低下してアンダーシュートするまで再び低下し始め、その時点で、制御回路2510は、再び、閉鎖管1040、1042を遠位に前進させ始める。このプロセスは、時間t
8~t
9で閉鎖力がゼロに低下するまで繰り返される。同様のプロセスは、薄い組織閉鎖力12620についての閉鎖力に適用される。PID制御フィードバックシステムは、
図36~
図40に関連してより詳細に本明細書で説明される。
図35に示すように上限閉鎖力閾値12642、12646及び下限閉鎖力閾値12644、12648は、時間の関数として負の傾きでa’、a”、a’’’、a’’’’の初期値から約0に直線的に変化する。上限閉鎖力閾値12642、12646及び下限閉鎖力閾値12644、12648は、ルックアップテーブルの形態である場合、メモリ内に記憶された非線形表現又はカスタム設定限界を使用して構成され得ることが理解されるであろう。上限閉鎖力閾値12642、12646及び下限閉鎖力閾値12644、12648の初期値a’、a”、a’’’、a’’’’は、発射ストロークの開始と一致する時点で与えられるが、初期値a’、a”、a’’’、a’’’’は、発射ストロークに沿った任意の場所で与えられてもよい。
【0192】
図35に示される閉鎖力及び発射力の変動を低下させるために、本開示は、着脱式インターフェース及び取り外し可能なカートリッジを介して、例えば、発射部材ストローク場所、発射部材負荷、ナイフ前進速度、閉鎖管ストローク場所、及び/又は閉鎖管負荷などのロボットシャフトの少なくとも2つのパラメータを測定する、適応的閉鎖管速度制御アルゴリズムを提供する。取り外し可能なカートリッジは、それら自体及びそれらのステータスを識別するか、又はデバイス若しくはエンドエフェクタを作動させ、その使用を記録するためのパラメータ若しくは制御プログラムを提供するかのいずれかを行うように構成されている回路を更に含んでもよい。一態様では、閉鎖管1040、1042の速度は、Iビーム2514(例えば、発射部材)が遠位に前進し、アンビル2516内に連結して、閉鎖管1040、1042に対する閉鎖力負荷を所望の比率で低下させ、Iビーム2514に対する発射力負荷を減少させる、時間t
4からの閉鎖管1040、1042(例えば、閉鎖部材)の漸進的閉鎖を提供するように、入れ子式比例-積分-微分コントローラ(PIDコントローラ)によって制御され得る。
【0193】
図36は、本開示の一態様による、閉鎖管に対する閉鎖力負荷及び閉鎖管の実際の速度に基づいて、閉鎖管速度を制御する、厚い組織に対するPID制御プロセスのグラフ12700を例示する。入れ子式PID制御アルゴリズムは、
図30に示される制御回路2510によって実装され得る。制御回路2510は、例えば、発射部材ストローク場所、発射部材負荷、ナイフ前進速度、閉鎖管ストローク場所、及び/又は閉鎖管負荷などの、ロボットシャフトの少なくとも2つのパラメータを測定するように構成されている。上のグラフ12702は、縦軸12706に沿った閉鎖管の変位δ
CT(mm)、及び横軸12708に沿った時間「t」(秒)を図示するプロットである。下のグラフ12704は、縦軸12710に沿った閉鎖管の速度V
CT(mm/秒)及び横軸12711に沿った時間「t」(秒)を図示するプロットである。上及び下の
図12702、12704は、横軸12708、12711、12604、12605、12504、12505に沿って同一時間スケールで
図34及び
図35に示されるように、閉鎖ストローク(閉鎖)、待機区間(待機)、及び発射ストローク(発射)の3つのフェーズに分割される。閉鎖ストローク(閉鎖)中、閉鎖管1040、1042(
図4及び
図6~
図10)は、閉鎖モータ2504bによる閉鎖ストロークの作動に応答して、例えば、ステープルカートリッジ2518に対してアンビル2516を移動させるために遠位に並進される。正常動作下では、速度曲線12728は、
図34に示される負荷プロットの閉鎖管1040、1042の速度に対応する。入れ子式PID制御下では、閉鎖管速度12730は、標準的な閉鎖管速度12728よりもはるかに低い。
【0194】
下の
図12702、12704を参照すると、t
0~t
1の閉鎖フェーズ(閉鎖)中、閉鎖管1040、1042の速度は、速度曲線12730のプロファイルによって示されるように増加し、閉鎖管1040、1042を、変位12716によって示されるようにδ
oまで遠位に前進させる。一実施例では、t
1での変位δ
oは、約5.08mm(約0.200インチ)である。閉鎖フェーズの終了は、t
1によってマークされ、器具が待機区間(待機)に入ったときであり、閉鎖管1040、1042の速度は、t
1~t
4の区間中にゼロになる。言い換えると、閉鎖管1040、1042は、遠位に前進することを停止する。待機区間中、閉鎖管1040、1042の変位は、変位12718によって示されるようにゼロである。入れ子式PID制御下で、閉鎖管1040、1042の速度は、発射フェーズ(発射)の少なくとも一部分の間に、閉鎖管1040、1042の漸進的前進を提供するように適応制御される。PIDコントローラは、閉鎖管1040、1042の目標速度を設定し、変位区間中に閉鎖管1040、1042に対して及ぼされる力を監視し、入れ子式制御システム構成で目標速度及び閉鎖管1040、1042に対して及ぼされる力に基づいて、閉鎖管1040、1042の速度V
CTを調節する。
【0195】
ここで
図30、
図36、及び
図37を参照すると、入れ子式PIDフィードバックコントローラとして構成された制御回路2510は、閉鎖管1040、1042に作用する閉鎖力12614、及び閉鎖管1040、1042の実際の速度を監視し、測定された閉鎖力12614及び閉鎖管1040、1042の実際の速度に基づいて閉鎖管1040、1042の前進を漸進的に制御する。このプロセスは、閉鎖管1040、1042の速度がゼロであるt
4で開始し、閉鎖力12614が、閾値12642、12644の中点である点12801から、区間τ
oにわたって点12802まで低下する。区間τ
oの間、閉鎖管1040、1042は、静止しており、変位は、δ
oのままである。
【0196】
閉鎖力12614が下側閾値12644を下回って低下すると、フィードバック制御システム(例えば、制御回路2510)は、閉鎖モータ2504b及び発射モータ2508aにコマンド速度を設定して、発射フェーズを開始する。閉鎖管1040、1042の閉鎖力が、閉鎖モータ2504bの出力シャフトに連結されたトルクセンサ2544bから取得され得ることが理解されるであろう。同様に、Iビーム2514の発射力は、発射モータ2504aの出力シャフトに連結されたトルクセンサ2544aから取得され得る。他の態様では、閉鎖力及び発射力は、例えば、歪みゲージ、ロードセル、又は他の好適な力センサで測定されてもよい。したがって、閉鎖管1040、1042及びIビーム2514は、前進を開始する。閉鎖管1040、1042の速度12734は、区間τ1にわたって最大速度12732まで上昇する。閉鎖管1040、1042が遠位に前進すると、変位12720は、区間</3164>τ1にわたってδo12719から上昇し始める。また、閉鎖管1040、1042が遠位に前進すると、閉鎖管1040、1042が受ける閉鎖力12614は、点12804で下側閾値12644と交差するまで増加し始める。この時点で、制御回路2510は、発射モータ2504aがIビーム2514を前進させ続けながら、閉鎖モータ2504b設定点をゼロに設定して、閉鎖管1040、1042の前進を停止させる。区間τ1の間、閉鎖管1040、1042は、δ1の距離だけ前進した。
【0197】
閉鎖管速度がゼロに設定されると、区間τ2にわたって、閉鎖管1040、1042は、遠位に前進せず、変位12721は、(δ0+δ1)のままであり、閉鎖力12614は、点12806で下側閾値12644を下回って減少する。制御回路2510は、次いで、速度12736を上昇させ、閉鎖管1040、1042の変位12722は、区間τ3にわたってδ2だけ前進する。閉鎖力12614が点12808下側閾値12644を上回って増加すると、閉鎖管速度は、再びゼロに設定される。発射力が経時的に連続して減少する際、速度がゼロではない区間では、τ3<τ1となるように減少することに留意されたい。別の言い方をすると、経時的に入れ子式PIDフィードバックコントローラは、閉鎖力12614を閾値12644に収束させる。次の区間τ4にわたって、変位12723は、閉鎖力が点12810で下側閾値12644を下回って減少するまで、(δ0+δ1+δ2)のままであり、制御回路2510は、閉鎖モータ2504bを始動させ、区間τ5にわたって速度12738を増加させて、発射力が点12812で下側閾値12644を上回って綿密に増加して閉鎖モータ2504bがオフになるまで、閉鎖管1040、1042をδ3だけ変位させる(12724)。繰り返しになるが、変位区間τ5<τ3<τ1は、閉鎖力12614が理想的又は所望の閉鎖力値に収束するにつれて、次第に小さくなる。区間τ6にわたって、変位12725は、閉鎖力12614が点12814で下側閾値12644を下回って減少するまで、(δ0+δ1+δ2+δ3)のままである。制御回路2510は、閉鎖モータ2504bを始動させ、区間τ6にわたって速度12740を増加させて、発射力が点12816で下側閾値12644を上回って綿密に増加するまで、閉鎖管1040、1042をδ4だけ変位させる(12726)。繰り返しになるが、区間は、τ6<τ5<τ3<τ1であり、制御回路2510は、閉鎖モータ2504bを停止させる。区間τ7にわたって、変位12727は、(δ0+δ1+δ2+δ3+δ4)のままである。最終的に、プロセスは、閉鎖力12614がゼロに近づくと停止する。
【0198】
図35~
図37と関連したプロセスは、理想的な閉鎖力が入れ子式PIDコントローラによって決定されるまで、下側閾値12644の周辺をリンギングする閉鎖力12614との関連で説明されてきたが、閉鎖力12614が1つの例外を伴って上側閾値12642を上回って増加するときにも同様のプロセスが用いられ得る。
図39~
図40に説明されたプロセスに関して、閉鎖管10410、1042は、閉鎖力12614が下側閾値12644を下回って減少したとき、遠位に前進させられた。しかしながら、閉鎖力12614が上側閾値12642を上回って増加すると、閉鎖管1040、1042は、閉鎖力12614が上側閾値12642を下回って減少するまで、遠位に前進せずに、近位に後退させられる。
【0199】
図38は、本開示の一態様による、閉鎖管に対する閉鎖力負荷及び閉鎖管の実際の速度に基づいて、閉鎖管速度を制御する、薄い組織に対する制御アルゴリズムのグラフ12900を例示する。一態様では、制御アルゴリズムは、
図30に示される制御回路2510による、入れ子式比例積分微分(PID)制御アルゴリズムとして実装され得る。制御回路2510は、例えば、発射部材ストローク場所、発射部材負荷、ナイフ前進速度、閉鎖管ストローク場所、及び/又は閉鎖管負荷などの、ロボットシャフトの少なくとも2つのパラメータを測定するように構成されている。上のグラフ12902は、縦軸12906に沿った閉鎖管の変位δ
CT(mm)、及び横軸12908に沿った時間「t」(秒)を図示するプロットである。下のグラフ12904は、縦軸12910に沿った閉鎖管の速度V
CT(mm/秒)及び横軸12912に沿った時間「t」(秒)を図示するプロットである。上及び下の
図12902、12904は、横軸12908、12708、12711、12604、12605、12504、12505に沿って同一時間スケールで
図34~
図36に示されるように、閉鎖ストローク(閉鎖)、待機区間(待機)、及び発射ストローク(発射)の3つのフェーズに分割される。閉鎖ストローク(閉鎖)中、閉鎖管1040、1042(
図4及び
図6~
図10)は、閉鎖モータ2504bによる閉鎖ストロークの作動に応答して、例えば、ステープルカートリッジ2518に対してアンビル2516を移動させるために遠位に並進される。正常動作下では、速度曲線12914は、
図34に示される負荷プロットの閉鎖管1040、1042の速度に対応する。入れ子式PID制御下では、閉鎖管速度12916は、標準的な閉鎖管速度12914よりもはるかに低い。
【0200】
図30、
図36及び
図38を参照すると、t
4での発射ストロークの開始時に、閉鎖管1040、1042の速度は、第1の区間τ
0中にゼロである。この区間中、閉鎖力12620(
図36)が減少し、それが下側閾値12648を下回って低下すると、閉鎖モータ2504bは、オンにされ、閉鎖管速度12918は、制御回路2510によって上昇させられて、閉鎖管1040、1042を駆動する。以下の区間τ
1の間、閉鎖管1040、1042は、閉鎖力12620が下側閾値12648を上回って増加し、制御回路に閉鎖モータ2504bを停止させるまで、遠位に並進する。区間τ
1の間、閉鎖管1040、1042は、δ
0からδ
1までの距離だけ前進した。制御回路2510は、制御回路2510が閉鎖モータ2504bをオンにし、次の区間τ
3の間に速度12920で閉鎖管1040、1042を駆動する点で、閉鎖力12620が下側閾値12648を下回って低下するまで、区間τ
2の間で閉鎖モータ2504bをオフに維持する。閉鎖管1040、1042は、δ
2だけ並進する。次の区間τ
4の間、閉鎖管1040、1042は、閉鎖力12620が所望のバランスに到達するか、又は下側閾値12648を下回って降下するまで、遠位に移動せず、位置(δ
0+δ
1+δ
2.)のままである。薄い組織閉鎖管1040、1042の速度制御プロセスは、下側閾値12648との関連で論じられたが、同様のプロセスは、1つの例外を伴う上側閾値12646との関連で適用することになる。閉鎖力12620が上側閾値12646を上回って増加すると、閉鎖管1040、1042は、閉鎖力12620が上側閾値12646を下回って減少するまで、遠位に前進せずに、近位に後退させられる。
【0201】
図39は、本開示の一態様による、発射部材(例えば、Iビーム2514)が遠位方向に前進し、把持アーム(例えば、アンビル2516)と連結したときに、閉鎖部材(例えば、閉鎖管1040、1042)の漸進的閉鎖を提供して、閉鎖部材上の閉鎖力負荷を所望の速度で低下させ、発射部材上の発射力負荷を減少させるように構成された、制御システム12950の図である。一態様では、制御システム12950は、ネスト化PIDフィードバックコントローラとして実装されてもよい。PIDコントローラは、所望の設定点と測定されたプロセス変数との間の差として誤差値を連続的に計算するための制御ループフィードバック機構(コントローラ)であり、比例、積分、及び微分項(それぞれP、I、及びDで示される場合がある)に基づいて補正を適用する。ネスト化PIDコントローラフィードバック制御システム12950は、一次(外側)フィードバックループ12954内の一次コントローラ12952と、二次(内側)フィードバックループ12956内の二次コントローラ12955と、を含む。一次コントローラ12952は、
図39に示されるようなPIDコントローラ12972であってもよく、二次コントローラ12955も
図40に示されるようなPIDコントローラ12972であってもよい。一次コントローラ12952は、一次プロセス12958を制御し、二次コントローラ12955は二次プロセス12960を制御する。一次プロセス12958の出力12966(出力)は、第1の加算器12962によって一次設定点SP
1から減算される。第1の加算器12962は、一次コントローラ12952に適用される単一の和出力信号を生成する。一次コントローラ12952の出力は、二次設定点SP
2である。二次プロセス12960の出力12968は、第2の加算器12964によって二次設定点SP
2から減算される。
【0202】
閉鎖管1040、1042の変位を制御する関連では、制御システム12950は、一次設定点SP
1が所望の閉鎖力値であるように構成されてもよく、一次コントローラ12952は、閉鎖モータ2504bの出力に連結されたトルクセンサ2544bから閉鎖力12614を受信して閉鎖モータ2504bの設定点SP
2のモータ速度を決定するように構成されている。他の態様では、閉鎖力12614は、歪みゲージ、ロードセル、又は他の好適な力センサで測定され得る。閉鎖モータ2504bの速度設定点SP
2は、二次コントローラ12954によって決定される閉鎖管1040、1042の実際の速度と比較される。閉鎖管1040、1042の実際の速度は、位置センサ2534を用いた閉鎖管1040、1042の変位の測定と、タイマー/カウンタ2531を用いた経過時間の測定とを比較することによって測定され得る。リニアエンコーダ又は回転エンコーダなどの他の技術を用いて、閉鎖管1040、1042の変位を測定することができる。二次プロセス12960の出力12968は、閉鎖管1040、1042の実際の速度である。この閉鎖管速度出力12968は、閉鎖管1040、1042に作用する力を決定する一次プロセス12958に提供され、測定された閉鎖力12614を一次設定点SP
1から減算する加算器12962にフィードバックされる。上記のように、一次設定点SP
1は、上側閾値12642又は下側閾値12644であってもよい。加算器12962の出力に基づいて、一次コントローラ12952は、
図35~
図37と関連して本明細書に説明されたように閉鎖管モータ2504bの速度及び方向を制御する。二次コントローラ12954は、二次プロセス12960によって測定された閉鎖管1040、1042の実際の速度、並びに実際の発射力12614と発射力の上側閾値12642及び下側閾値12644との比較に基づく二次設定点SP
2に基づいて、閉鎖モータ2504bの速度を制御する。
【0203】
図40は、本開示の一態様による、PIDフィードバック制御システム12970を例示する。一次コントローラ12952若しくは二次コントローラ12954、又はその両方は、PIDコントローラ12972として実装されてもよい。一態様では、PIDコントローラ12972は、比例要素12974(P)、積分要素12976(I)、及び微分要素12978(D)を含んでもよい。P要素12974、I要素12976、D要素12978の出力は、制御変数u(t)をプロセス1250に提供する加算器12986によって加算される。プロセス12950の出力は、プロセス変数y(t)である。加算器12984は、所望の設定点r(t)と測定されたプロセス変数y(t)との間の差を計算する。PIDコントローラ12972は、所望の設定点r(t)(例えば、閉鎖力閾値)と測定されたプロセス変数y(t)(例えば、閉鎖管の速度及び方向)との間の差として誤差値e(t)(例えば、閉鎖力閾値と測定された閉鎖力との差)を連続的に計算し、それぞれ比例要素12974(P)、積分要素12976(I)、及び微分要素12978(D)によって計算された比例、積分、及び微分項に基づいて補正を適用する。PIDコントローラ12972は、制御変数u(t)(例えば、閉鎖管の速度及び方向)を調節することによって、経時的な誤差e(t)を最小限に抑えることを試みる。
【0204】
PIDアルゴリズムによると、「P」要素12974は、誤差の現在値の原因となる。例えば、誤差が大きくかつ正である場合、制御出力も大きくかつ正となる。本開示によれば、誤差項e(t)は、閉鎖管の所望の閉鎖力と測定された閉鎖力との間で異なる。「I」要素12976は、誤差の過去値の原因となる。例えば、電流出力が十分に強くない場合、誤差の積分は経時的に蓄積し、コントローラは、より強い動作を適用することによって応答する。「D」要素12978は、その現在の変化率に基づいて、可能な誤差の将来動向の原因となる。例えば、上記のPの例に戻ると、大きい正の制御出力が誤差をゼロに近付けることに成功すると、それはまた、プロセスを近い将来の大きな負の誤差に至る経路上に置く。この場合、微分は負になり、Dモジュールは、このオーバーシュートを防止するために動作の強さを低下させる。
【0205】
他の変数及び設定点は、フィードバック制御システム12950、12970に従って監視及び制御されてもよいことが理解されよう。例えば、本明細書に記載される適応型閉鎖部材速度制御アルゴリズムは、とりわけ、発射部材ストローク位置、発射部材負荷、切断要素の変位、切断要素の速度、閉鎖管ストローク位置、閉鎖管負荷のパラメータのうちの少なくとも2つを測定することができる。
【0206】
図41は、本開示の一態様による、閉鎖部材の速度を決定するための制御プログラム又は論理構成のプロセス12990を図示する論理フロー図である。また
図30を参照すると、ロボット外科用システムの制御システムは、プロセス12990に従って、制御回路2510が閉鎖部材の実際の閉鎖力を決定する(12992)ように構成された制御回路2510を備える。制御回路2510は、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較し(12994)、この比較に基づいて閉鎖部材を変位させるために、設定点速度を決定する(12996)。制御回路2510は、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御する(12998)。
【0207】
ここで
図39及び
図40も参照すると、一態様では、制御回路2510は、比例、積分、及び微分(PID)フィードバック制御システム12950、12970を備える。PIDフィードバック制御システム12950、12970は、一次PIDフィードバックループ12954及び二次PIDフィードバックループ12956を備える。一次フィードバックループ12954は、閉鎖部材の実際の閉鎖力と閾値閉鎖力SP
1との間の第1の誤差を決定し、第1の誤差に基づいて、閉鎖部材速度設定点SP
2を設定する。二次フィードバックループ12956は、閉鎖部材の実際の速度と設定点速度との間の第2の誤差を決定し、第2の誤差に基づいて、閉鎖部材速度を制御する。
【0208】
一態様では、閾値閉鎖力SP1は、上側閾値及び下側閾値を含む。設定点速度SP2は、実際の閉鎖力が下側閾値未満であるときに、閉鎖部材を遠位に前進させるように構成され、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値よりも大きいときに、閉鎖部材を近位に後退させるように構成されている。一態様では、設定点速度は、実際の閉鎖力が上側閾値と下側閾値との間にあるときに、閉鎖部材を定位置に保持するように構成されている。
【0209】
一態様では、制御システムは、制御回路に連結された力センサを更に備え、力センサ2538は、閉鎖力を測定するように構成されている。一態様では、力センサは、閉鎖部材に連結されたモータ2504bの出力シャフトに連結されたトルクセンサ2544bを含む。一態様では、力センサ2538は、閉鎖部材に連結された歪みゲージを含む。一態様では、力センサは、閉鎖部材に連結されたロードセルを含む。一態様では、制御システムは、閉鎖部材に連結された位置センサを含み、位置センサは、閉鎖部材の位置を測定するように構成されている。
【0210】
一態様では、制御システムは、閉鎖部材に連結するように構成された第1のモータを備え、制御回路は、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させるように構成されている。
【0211】
本明細書に説明される機能又はプロセス12990は、制御回路961(
図22)、800(
図23)、810(
図24)、820(
図25)、4420(
図26)、及び/又は制御回路2510(
図30)などの、本明細書に説明される処理回路のいずれかによって実行され得る。電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。
【0212】
本明細書に説明される主題の様々な態様は、以下の実施例において説明される。
実施例1.ロボット外科用システムのための制御システムであって、制御回路を備え、制御回路は、閉鎖部材の実際の閉鎖力を決定することと、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を行うように構成されている、制御システム。
【0213】
実施例2.制御回路が、比例、積分、及び微分(PID)フィードバック制御システムを含む、実施例1に記載の制御システム。
【0214】
実施例3.PIDフィードバック制御システムが、一次PIDフィードバックループ及び二次PIDフィードバックループを含み、一次フィードバックループは、閉鎖部材の実際の閉鎖力と閾値閉鎖力との間の第1の誤差を決定し、第1の誤差に基づいて、設定点速度を設定するように構成されており、二次フィードバックループは、閉鎖部材の実際の速度と設定点速度との間の第2の誤差を決定し、第2の誤差に基づいて閉鎖部材の実際の速度を制御するように構成されている、実施例2に記載の制御システム。
【0215】
実施例4.閾値閉鎖力が、上側閾値及び下側閾値を含み、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値未満であるときに、閉鎖部材を遠位に前進させるように構成され、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値よりも大きいときに、閉鎖部材を近位に後退させるように構成されている、実施例1~実施例3のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0216】
実施例5.設定点速度は、実際の閉鎖力が上側閾値と下側閾値との間にあるときに、閉鎖部材を定位置に保持するように構成されている、実施例4に記載の制御システム。
【0217】
実施例6.制御回路に連結された力センサを更に備え、力センサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例1~実施例5のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0218】
実施例7.力センサが、閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例6に記載の制御システム。
【0219】
実施例8.力センサが、閉鎖部材に連結された歪みゲージを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例6及び実施例7のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0220】
実施例9.力センサが、閉鎖部材に連結されたロードセルを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例6~実施例8のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0221】
実施例10.閉鎖部材に連結された位置センサを更に備え、位置センサが、閉鎖部材の位置を測定するように構成されている、実施例6~実施例9のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0222】
実施例11.制御回路が、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させるように構成されている、実施例1~実施例10のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0223】
実施例12.ロボット外科用システムのための制御システムであって、閉鎖部材に連結するように構成された第1のモータと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を測定するように構成された力センサと、第1のモータ及び力センサに連結された制御回路を含む閉ループフィードバック制御システムと、を備え、制御回路は、閉鎖部材の実際の閉鎖力を力センサから受信することと、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための第1のモータの設定点速度を決定することと、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を行うように構成されている、制御システム。
【0224】
実施例13.閉ループフィードバック制御システムが、比例、積分、及び微分(PID)フィードバック制御システムを含む、実施例12に記載の制御システム。
【0225】
実施例14.PIDフィードバック制御システムが、一次PIDフィードバックループ及び二次PIDフィードバックループを含み、一次フィードバックループは、閉鎖部材の実際の閉鎖力と閾値閉鎖力との間の第1の誤差を決定し、第1の誤差に基づいて、設定点速度を設定するように構成されており、二次フィードバックループは、閉鎖部材の実際の速度と閉鎖部材の設定点速度との間の第2の誤差を決定し、第2の誤差に基づいて閉鎖部材の実際の速度を制御するように構成されている、実施例13に記載の制御システム。
【0226】
実施例15.閾値閉鎖力が、上側閾値及び下側閾値を含み、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値未満であるときに、閉鎖部材を遠位に前進させるように構成され、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値よりも大きいときに、閉鎖部材を近位に後退させるように構成されている、実施例12~実施例14のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0227】
実施例16.設定点速度は、実際の閉鎖力が上側閾値と下側閾値との間にあるときに、閉鎖部材を定位置に保持するように構成されている、実施例15に記載の制御システム。
【0228】
実施例17.力センサが、第1のモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例12~実施例16のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0229】
実施例18.力センサが、閉鎖部材に連結された歪みゲージを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例12~実施例17のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0230】
実施例19.力センサが、閉鎖部材に連結されたロードセルを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例12~実施例18のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0231】
実施例20.閉鎖部材に連結された位置センサを更に備え、位置センサが、閉鎖部材の位置を測定するように構成されている、実施例12~実施例19のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0232】
実施例21.第1の部材に連結された第2のモータを更に備え、制御回路が、発射部材の発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させるように構成されている、実施例12~実施例20のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0233】
実施例22.ロボット外科用システムのための制御システムであって、比例、積分、及び微分(PID)フィードバック制御システムを含む制御回路であって、制御回路が、閉鎖部材の実際の閉鎖力を決定することと、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を行うように構成された、制御回路と、制御回路に連結され、閉鎖力を測定するように構成された力センサと、制御回路及び閉鎖部材に連結されたモータと、を備え、制御回路が、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させるように構成され、閾値閉鎖力が、上側閾値及び下側閾値を含み、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値未満であるときに、閉鎖部材を遠位に前進させるように構成され、設定点速度は、実際の閉鎖力が下側閾値よりも大きいときに、閉鎖部材を近位に後退させるように構成されている、制御システム。
【0234】
実施例23.PIDフィードバック制御システムが、一次PIDフィードバックループ及び二次PIDフィードバックループを含み、一次フィードバックループは、閉鎖部材の実際の閉鎖力と閾値閉鎖力との間の第1の誤差を決定し、第1の誤差に基づいて、設定点速度を設定し、二次フィードバックループは、閉鎖部材の実際の速度と設定点速度との間の第22の誤差を決定し、第2の誤差に基づいて閉鎖部材の実際の速度を制御する、実施例22に記載の制御システム。
【0235】
実施例24.設定点速度は、実際の閉鎖力が上側閾値と下側閾値との間にあるときに、閉鎖部材を定位置に保持するように構成されている、実施例22及び実施例23のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0236】
実施例25.力センサが、閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例22~実施例24のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0237】
実施例26.力センサが、閉鎖部材に連結された歪みゲージを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例22~実施例25のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0238】
実施例27.力センサが、閉鎖部材に連結されたロードセルを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例22~実施例26のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0239】
実施例28.閉鎖部材に連結された位置センサを更に備え、位置センサが、閉鎖部材の位置を測定するように構成されている、実施例22~実施例27のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0240】
発射中の閉鎖部材の前進のための閉ループフィードバック技術を有するロボット外科用器具
電動ロボット外科用ステープル留めシステムの使用では、閉鎖部材上の力は、組織に対する圧縮及び流体排出に起因して、組織の把持後、待機区間中にわずかに低下する。更に、閉鎖部材上の力は、発射部材が把持アームに連結し、閉鎖力が閉鎖部材から発射部材に伝達される瞬間から、急激に低下する。それゆえに、本開示は、発射部材が遠位に前進している間の待機区間中及び発射ストローク中に閉鎖部材を前進させるように構成された閉ループフィードバック制御システムを提供する。本開示はまた、ロボット外科用器具インターフェースに連結するように構成された、個別に制御可能な閉鎖及び発射部材を提供する。
【0241】
一態様では、本開示は、閉鎖部材速度の適応制御のための様々な技術を提供する。一態様では、本開示は、ロボットシャフトの少なくとも2つのパラメータを測定する閉鎖部材速度の適応制御のための技術を提供する。ロボットシャフトと関連付けられたパラメータとしては、限定せずに、とりわけ、発射部材ストローク場所、発射部材負荷、ナイフ前進速度、閉鎖管ストローク場所、閉鎖管負荷が挙げられ、これらは、ロボットインターフェース及びカートリッジ内に配設された回路と共に着脱式ロボットインターフェースユニット及び取り外し可能なカートリッジを介し、ロボットインターフェース及びカートリッジ内に配設された回路は、それら自体及びそれらのステータスを識別するか、又はデバイス若しくはエンドエフェクタを作動させ、その使用を記録するためのパラメータ又は制御プログラムを提供することができる。
【0242】
一態様では、本開示は、待機区間中及び発射ストローク中の閉鎖部材の前進のための閉ループフィードバック制御技術を提供する。閉ループフィードバック制御システムは、発射部材が前進している閉鎖部材を漸進的に閉鎖するために、発射部材ストローク場所、発射部材負荷、ナイフ前進速度、閉鎖管ストローク場所、又は閉鎖管負荷などの少なくとも2つのパラメータを受信するように構成され得る。
【0243】
閉鎖管の前進は、そのストローク内の発射部材の場所、及び閉鎖管アクチュエータ上で測定された力に基づいて、制御され得る。一態様では、閉鎖管の前進は、そのストローク内の発射部材の場所及び測定された閉鎖力(FTC)の両方に基づいて、前進を継続する閉鎖管に基づいて制御され得る。発射中の閉鎖管の前進は、より低い発射力(FTF)を提供し、より大きい可能な関節角度、より短い継手長さ、及びより良好な組織容量を結果的にもたらす。
【0244】
図42は、3つのグラフの
図13000である。変位グラフ13002は、時間の関数としての閉鎖部材の変位のプロットを図示する。閉鎖力グラフ13004は、時間の関数としての閉鎖部材の閉鎖力(FTC)のプロットを図示する。発射力グラフ13006は、時間の関数としての発射部材の発射力(FTF)のプロットを図示する。3つのグラフ13002、13004、13006は、閉鎖ストローク(閉鎖)、待機区間(待機)、及び発射ストローク(FIRE)と称される3つの別個の区間又はフェーズにわたるプロットを図示する。各グラフ13002、13004、13006は、2つの別個のプロットを含み、第1のプロットは、閉鎖力が閉鎖ストローク中のみに適用される従来の閉鎖部材を表し、第2のプロットは、閉鎖力が閉鎖ストロークを超えて維持又は加えられる閉鎖部材を表す。
図13000は、発射ストロークに沿った発射部材(例えば、Iビーム2514)の場所、発射部材上の負荷、発射部材の前進速度、閉鎖管(例えば、閉鎖管1040、1042)の場所、又は閉鎖管1040、1042上の負荷などの少なくとも2つのパラメータを受信し、発射ストローク中にアンビル2516を漸進的に閉鎖するように構成されたフィードバック制御システムの模式図である、
図30を参照して説明されることになる。制御回路2510は、位置センサ2534、電流センサ2536、器具2500全体に位置付けられた他のセンサ2538、タイマー/カウンタ回路2531、及び/又はモータ2504a~2504eの出力にそれぞれ位置付けられたトルクセンサ2544a~2544eのいずれかからそのようなパラメータを受信するように構成されている。フィードバックパラメータに基づいて、制御回路2510は、Iビーム2514の測定された閉鎖力及び位置並びに閉鎖管1040、1042に対する閉鎖力に基づいて、発射ストローク区間中に所望の閉鎖力及び/又は発射力を維持するように、閉鎖部材1040、1042の変位(前後)を制御する。
【0245】
変位グラフ13002は、時間の関数としての閉鎖部材の変位の第1のプロット13020及び第2のプロット13026を図示し、閉鎖部材の変位δCT(mm)は、縦軸13008に沿ってプロットされ、時間(秒)は、横軸13010に沿ってプロットされている。第1のプロット13020は、閉鎖部材が一定距離にわたって移動及び停止する、時間の関数としての閉鎖部材の従来の変位を図示する。第2のグラフ13026は、閉鎖部材の閉鎖力が本開示の一態様によるフィードバック制御中である、時間の関数としての閉鎖部材の変位を図示する。
【0246】
閉鎖力グラフ13004は、時間の関数としての閉鎖力の第1のプロット13022及び第2のプロット13028を図示し、閉鎖力(FCT)Nは、縦軸13012に沿ってプロットされ、時間は、横軸13014に沿ってプロットされている。第1のプロット13022は、閉鎖部材が一定距離にわたって移動及び停止し、発射ストローク中に一定の閉鎖力を加える、時間の関数としての閉鎖部材に加えられた閉鎖力を図示する。第2のプロット13028は、閉鎖部材の力が本開示の一態様による発射ストローク中のフィードバック制御下にある、時間の関数としての閉鎖部材に加えられた閉鎖力を図示する。
【0247】
発射力グラフ13006は、時間の関数としての発射力の第1のプロット13024及び第2のプロット13030を図示し、発射力(FTF)Nは、縦軸13016に沿ってプロットされ、時間(秒)は、横軸13018に沿ってプロットされている。第1のプロット13024は、閉鎖部材が一定距離にわたって移動及び停止し、発射ストローク中に一定の閉鎖力を加える、時間の関数としての発射部材に加えられた従来の発射力を図示する。第2のプロット13030は、部材が本開示の一態様による発射ストローク中に遠位に前進しながら、閉鎖部材がフィードバック制御下にある、時間の関数としての発射力を図示する。
【0248】
閉鎖ストローク(閉鎖)区間は、時間t
0から始まり、時間t
1で終了する。閉鎖ストローク中、閉鎖力13038、13058は、閉鎖部材、例えば、閉鎖管1040、1042(
図4及び
図6~
図10)に加えられ、閉鎖管1040、10402を遠位に並進させて(13032、13050)、1つ又は2つ以上の伝達構成要素2506bを介した閉鎖モータ2504bの作動に応答して、アンビル2516をステープルカートリッジ2518に対して移動させる。閉鎖ストローク区間の間、発射力13044、13070は、実質的にゼロである。閉鎖力13038、13058がF
TC1の最大力まで指数関数的に増加すると、閉鎖管1040、1042は、固定距離δ
o(mm)まで移動する。閉鎖力は、時間(t
1)で最大力F
TC1に到達する。初期把持期間は、例えば、約1秒であり得る。
【0249】
閉鎖ストローク区間の次は、時間t1で始まり、時間t2で終了する待機(待機)区間である。待機区間が、発射ストロークを開始する前に適用され得る。待機区間は、エンドエフェクタ2502によって圧縮された組織からの流体排出を可能にし、これは、圧縮された組織の厚さを減少させ、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間のより小さい間隙をもたらし、待機区間終了時の閉鎖力を低下させる。閉鎖管1040、1042に追加的な閉鎖力が加えられない場合、閉鎖力13040は、組織厚さの減少及び流体の消失に起因してFTC2に低下し、変位13034は、δoのままである。対照的に、一定の閉鎖力13060が待機区間中に閉鎖管1040、1042に加えられる場合、閉鎖管1040、1042は、追加の変位13052をδ1まで受ける。
【0250】
発射ストローク(発射)区間は、時間t2から始まり、時間t5で終了する。発射ストロークは、待機区間の終了時に開始する。従来の閉鎖力プロセスでは、発射力が発射ストロークの初期段階で指数関数的に増加するため、閉鎖力13041は、Iビーム2514がアンビル2516内に連結し、閉鎖負荷が閉鎖管1040、1042からIビーム2514に伝達されるときに指数関数的に低下する。従来のプロセスでは、発射力13046がFTF1まで急速に増加するため、閉鎖力は、FTC3まで急速に減少し、閉鎖力は、発射ストロークの残りの間に一定のままであり、発射力13048は、ステープル留め区間の終了時にFTF3に向かって徐々に低下し、次いで、発射ストロークの終了時にゼロまで低下する。発射区間が区間である間、閉鎖管の変位13036は、一定のままである。言い換えると、従来のプロセスでは、閉鎖管1040、1042の変位は、閉鎖ストローク中の初期変位後に停止する。
【0251】
一態様では、本開示は、発射ストローク中に閉鎖管1040、1042を前進させるための閉ループフィードバック制御システムを提供する。発射ストローク中のIビーム2510(発射部材)の場所、Iビーム2514(発射部材)上の負荷、(発射部材)の前進速度、閉鎖管1040、1042(閉鎖部材)の場所、及び/又は閉鎖管1040、1042(閉鎖部材)上の負荷などの少なくとも2つのパラメータを受信し、発射ストローク中にアンビル2516を漸進的に閉鎖するように構成された制御回路2510を備える、閉ループフィードバック制御システム。したがって、閉鎖力は、従来の発射力グラフ13024に対して第2の発射力グラフ13030に示されるように全体的な発射力を低下させるために、測定されたフィードバックパラメータに基づいて、閉鎖管1040、1042の変位(前進又は後退)を制御することによって発射ストローク中に変化され得る。
【0252】
例えば、閉鎖力グラフ13004の第2のプロット13028部分及び発射力グラフ13006の第2のプロット13030部分を参照すると、待機区間の後、閉鎖管1040、1042は、発射力13072がFTF2まで急速に増加するまで、待機区間中に加えられた一定の閉鎖力13060を受け、Iビーム2514がアンビル2516内に連結し、閉鎖負荷が閉鎖管1040、1042からIビーム2514に伝達されると、閉鎖力13062が減少し始める。しかしながら、この短時間の間、閉ループフィードバックの制御回路2510は、閉鎖モータ2504bの出力シャフトに連結されたトルクセンサ2544bからの閉鎖力13062、及び発射ストローク中のIビーム2514の位置を受信し、これらの測定されたパラメータに基づいて、閉鎖管1040、1042上の閉鎖力13064を増加させる。閉鎖力13064を増加させるために、制御回路2510は、閉鎖管1040、1042の変位13056をδ2まで前進させ、この例では、発射ストロークの残りについてその位置13054に留める。したがって、閉鎖力13062における短時間の少しの低下の後、閉鎖力13064は、FTC1まで回復し、Iビーム2514が発射ストローク区間のおよそ3分の1(1/3)になるまで一定のままである。このとき、制御回路2510は、Iビーム2514が発射ストローク区間の約3分の2(2/3)にあるときに、閉鎖力13066が、FTC1からFTC3まで減少することを可能にする。この例では、閉鎖力13068は、発射ストローク区間の残りの3分の1(1/3)の間、FTC3で一定のままである。第2のプロット13030によって示されるように、発射力13074は、従来のプロセスのピーク発射力FTF1未満である、ピーク発射力FTF2から、従来のプロセスの発射力と一致するFTF3まで減少し、発射ストロークの終了に到達するまで、発射ストローク区間の残部の間、急速にゼロに低下する。
【0253】
したがって、閉鎖管1040、1042の前進は、発射ストローク区間内のIビーム2514の測定された位置などの発射部材の場所、及び、例えば、閉鎖モータ2504bの出力シャフトに連結されたトルクセンサ2544bによって測定されたときの、閉鎖管1040、1042に加えられた、測定された閉鎖力に基づいて、制御され得る。閉鎖管1040、1042は、これらのフィードバックパラメータに基づいて前進又は後退させられ得る。結果は、より低い発射力(FTF)をもたらし、より大きい可能な関節角度、より短い継手長さ、及びより良好な組織容量を提供する。
【0254】
したがって、ここで主に
図30を参照すると、一態様では、制御回路2510は、本開示の一態様による、待機区間中及び発射ストローク中の閉鎖部材(例えば、閉鎖管1040、1042)の漸進的閉鎖を提供するように構成されている。上記のように、従来の把持及び発射プロセスでは、閉鎖力は、組織圧縮及び組織からの流体排出のために、待機区間中に低下する。したがって、閉鎖区間及び待機区間中、制御回路2510は、閉鎖管1040、1042上の閉鎖力を監視し、モータ駆動信号をモータ2504bに印加するモータ制御部2508bの回路にモータ設定点信号を提供することによって、閉鎖管1040、1042を前進させる。モータ2504bは、モータ2504bの出力を閉鎖管1040、1042に連結するために、1つ若しくは2つ以上のギヤ又は他のリンク機構構成要素を含む、伝達機構2506bを駆動する。したがって、閉鎖管1040、1042は、アンビル2516に閉鎖力を加える。モータ2504bの出力に連結されたトルクセンサ2444bは、制御回路2510に閉鎖力を提供する。
【0255】
更に、閉鎖力が閉鎖管1040、1042からIビーム2514に伝達される発射ストロークの開始時に、制御回路2510は、位置センサ2534からIビーム2514(又は発射システムの他の構成要素)の位置を受信する。Iビーム2514が遠位に前進し、アンビル2516内に連結した後、発射ストローク中に制御回路2510は、トルクセンサ2544bからの閉鎖管1040、1042に加えられた閉鎖力、及び位置センサ2534からのIビーム2514の位置を受信して、閉鎖管1040、1042の変位を調節し、したがって、測定された閉鎖力及びIビーム2514の測定された位置に基づいて、力を制御する。
【0256】
図43は、閉鎖部材に加えられた閉鎖力及び発射部材の位置を決定し、測定された閉鎖力及び位置情報に基づいて、閉鎖力を設定するための制御プログラム又は論理構成のプロセス13100を図示する論理フロー図である。制御回路2510は、閉鎖区間中に閉鎖部材に閉鎖力を加える(13102)ことによって閉鎖ストロークを開始する。閉鎖部材に閉鎖力を加える(13102)ために、制御回路2510は、モータ設定点をモータ制御部2508bに設定し、モータ駆動信号をモータ250bに印加して、伝達機構2506bに、閉鎖管1040、1042を変位させ、アンビル2516を閉鎖させて、アンビル2516とステープルカートリッジ2518との間に位置付けられた組織を圧縮させる。閉鎖区間の終了時に、制御回路2510は、組織圧縮及び流体排出を補償するために、待機区間中に閉鎖部材に加えられる閉鎖力を増加させる(13104)。制御回路2510は、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を決定する(13106)。例えば、制御回路2510は、力を測定するためにエンドエフェクタ2502内に位置する歪みゲージなどのトルクセンサ2544b若しくは他のセンサ2538、又は閉鎖管1040、1042上の負荷を測定するように構成されたロードセルから閉鎖力を受信する。発射ストロークは、待機区間の終了後に始まる。発射ストローク中、制御回路2510は、発射部材の位置を決定する(13108)。例えば、制御回路2510は、位置センサ2534から位置信号を受信する。制御回路2510は、次いで、閉鎖部材に加えられた閉鎖力及び発射ストローク中の発射部材の位置に基づいて、閉鎖部材の閉鎖力を設定する(13110)。
【0257】
本明細書に説明される機能又はプロセス13100は、制御回路961(
図22)、800(
図23)、810(
図24)、820(
図25)、4420(
図26)、及び/又は制御回路2510(
図30)などの、本明細書に説明される処理回路のいずれかによって実行され得る。電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。
【0258】
実施例1.ロボット外科用システムのための制御システムであって、制御回路を備え、制御回路は、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を決定することと、発射部材の位置を決定することと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力及び発射部材の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を行うように構成されている、制御システム。
【0259】
実施例2.制御回路に連結された力センサを更に備え、力センサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例1に記載の制御システム。
【0260】
実施例3.力センサが、閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例2に記載の制御システム。
【0261】
実施例4.力センサが、閉鎖部材に連結された歪みゲージを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例2及び実施例3のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0262】
実施例5.力センサが、閉鎖部材に連結されたロードセルを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例2~実施例4のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0263】
実施例6.発射部材に連結された位置センサを更に備え、位置センサが、発射部材の位置を測定するように構成されている、実施例2~実施例5のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0264】
実施例7.制御回路が、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させるように構成されている、実施例1~実施例6のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0265】
実施例8.ロボット外科用システムのための制御システムであって、閉鎖部材に連結するように構成された第1のモータと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を測定するように構成された力センサと、第1のモータ及び力センサに連結された制御回路と、を備え、制御回路は、閉鎖部材に加えられた実際の閉鎖力を力センサから受信することと、発射部材の位置を位置センサから受信することと、閉鎖部材に加えられた実際の閉鎖力及び発射部材の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を行うように構成されている、制御システム。
【0266】
実施例9.力センサが、第1のモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例8に記載の制御システム。
【0267】
実施例10.力センサが、閉鎖部材に連結された歪みゲージを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例8及び実施例9のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0268】
実施例11.力センサが、閉鎖部材に連結されたロードセルを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例8~実施例10のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0269】
実施例12.閉鎖部材に連結された位置センサを更に備え、位置センサが、閉鎖部材の位置を測定するように構成されている、実施例8~実施例11のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0270】
実施例13.第1の部材に連結された第2のモータを更に備え、制御回路が、発射部材の発射ストロークの少なくとも一部分の間に発射部材を前進させるように構成されている、実施例8~実施例12のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0271】
実施例14.ロボット外科用システムのための制御システムであって、制御回路を備え、制御回路は、閉鎖区間中に閉鎖部材に閉鎖力を加えることと、閉鎖区間後の待機区間中に閉鎖力を増加させることと、閉鎖部材に加えられた閉鎖力を決定することと、発射ストローク中に発射部材の位置を決定することと、閉鎖力及び発射部材の位置に基づいて、閉鎖部材の新たな閉鎖力を設定することと、を行うように構成されている、制御システム。
【0272】
実施例15.制御回路に連結された力センサを更に備え、力センサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例14に記載の制御システム。
【0273】
実施例16.力センサが、閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例15に記載の制御システム。
【0274】
実施例17.力センサが、閉鎖部材に連結された歪みゲージを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例15及び実施例16のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0275】
実施例18.力センサが、閉鎖部材に連結されたロードセルを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例15~実施例17のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0276】
実施例19.閉鎖部材に連結された位置センサを更に備え、位置センサが、閉鎖部材の位置を測定するように構成されている、実施例15~実施例18のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0277】
実施例20.制御回路が、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させるように構成されている、実施例14~実施例19のうちの1つ又は2つ以上に記載の制御システム。
【0278】
関節運動力を制御するためのシステム
いくつかの態様では、ロボット外科用器具のエンドエフェクタの関節運動角度を制御するように構成された一対の関節運動アームを操作するための制御アルゴリズムが提供される。本開示の他の態様は、エンドエフェクタに連結され、独立したモータ、例えば、モータ2504d及び2504eによってガイドされる一対の関節運動アームを含むロボットアームシステムに焦点を当てる。2つの関節運動アームは、互いに競合する拮抗力を及ぼすように設計され、その大きさは、制御アルゴリズムで指定された比率に従って配分される。拮抗力の比率は、ロボット外科用アームのヘッド又はエンドエフェクタの関節運動角度を決定するために使用され得る。一態様では、本開示は、相互関係が存在するときに、これらの構成要素のうちの2つ以上の運動を確実に管理するための制御アルゴリズムを提供する。
【0279】
図44を参照すると、例示13500は、本開示のいくつかの態様による、エンドエフェクタに接続された2つの関節運動アームを含むロボット外科用アームの例示的な構造部分を示す。ここで、エンドエフェクタは、右関節運動アーム13504及び左関節運動アーム13506に接続されたアンビル13502を含む。右関節運動アーム13504は、右関節運動連結部13508及び右関節運動バー13510を含む。これらの2つの構成要素は、示されるようにヒンジを介して接続される。同様に、左関節運動アーム13506は、左関節運動連結部13512及び左関節運動バー13514を含む。示されるように、左及び右の関節運動アームは、交差し、溝13520の隣のヒンジを介してエンドエフェクタに接続される。左及び右の関節運動アームの引張力又は押圧力は、エンドエフェクタに関節運動枢軸13518を中心に関節運動させ得る。偏心枢動連結部13516は、偏心枢動連結部13516が、例示の目的のために本明細書に示されていない関節運動アームが存するシャフト内に安定して位置付けられていることに起因して、エンドエフェクタを、それが関節運動する際に安定化することを助ける。アンビル13502は、アンビル保持器13522を介して関節運動継手に連結される。
【0280】
図45~
図47を参照すると、いくつかの態様による、関節運動アームの運動がどのようにエンドエフェクタを関節運動させるかの例が示されている。
図45では、アンビル13502は、関節運動アーム13504及び13506に対して中立又は直線位置にある。
図46では、左関節運動アーム13506は、方向Bに沿って上に移動され、同時に右関節運動アーム13504は、方向Cに沿って下に移動される。エンドエフェクタに接続する関節運動アームのヒンジが、関節運動枢軸13518の反対側に位置付けられるため、これらの説明される運動は、示されるように、アンビル13502を反時計回りの方向Aに関節運動させる。これは、左関節運動アーム13506のヒンジが枢軸13518の右にあるという事実に注目するときに矛盾せず、それゆえに、方向Bの上向きの運動が反時計回りの運動を引き起こすことと矛盾しない。同様に、右関節運動アーム13504を連結するヒンジが、枢軸13518の左に位置付けられているため、方向Cの下向きの運動は、反時計回りの運動を引き起こすこと矛盾しない。対照的に、
図47に示されるように、関節運動アームによる逆動は、アンビル13502を逆、即ち、時計回りの方向に移動させる。つまり、右関節運動アーム13504による上向き方向Bの運動、及び左関節運動アーム13506による下向き方向Cの同時の運動は、枢軸13518を中心としたアンビル13502の時計回りの方向の運動を生じさせる。
【0281】
図48を参照すると、いくつかの態様による、エンドエフェクタの枢動運動がシャフト構造体の中心線から実際に外れている。ここでは、溝保持器13526の反対側に等距離の点を表す、シャフト13524の中心線13528が示されている。左関節運動バー13514及び右関節運動バー13510は、中心線13528に等距離の間隔で溝保持器13526内に位置付けられる。しかしながら、関節運動枢軸13518は、中心線13528からの距離13530など、わずかに中心から外れて位置付けられる。これは、次いで、溝13520に接続するために、右関節運動連結部13508が溝13520に接続されている場所と比較して、中心線13528から更に離れて位置付けられた左関節運動連結部13512を有する。この設計の非対称性は、いくつかの目的を有し得る。例えば、非対称設計は、関節運動アームが互いに並ぶように90°回転されているシャフトとは対照的に、関節運動アームが重ねて配向されたとき、例えば、右関節運動バー13510が左関節運動バー13514の上にあるときに、より安定した構成を形成し得る。重力の影響は、エンドエフェクタの頂部の上でより大きい安定性の必要性をもたらし、これは、関節運動アームに加えられるために必要な力の不均衡を示唆する。第2に、非対称設計はまた、非対称特性を有する制御アルゴリズムをもたらす。これは、2つの関節運動アーム間の力の比率が常に異なることになるため、全ての点で固有である2つの関節運動アーム間の一組の強制的比率をもたらす。この設計は、力比率プロファイルが全ての点で固有であることが知られているため、2つの関節運動アームの相互作用間の問題及びデバッグ問題点を診断することを助け得る。
【0282】
図49を参照すると、例示13600は、いくつかの態様による、水平中心線からのヘッドの関節運動の程度の関数として、関節運動アームの両方によって加えられる力の量を表す例示的なグラフを示す。示されるように、グラフ13600は、Y軸13602として力を示し、水平中心線からの関節運動の程度がX軸13604を表す。最大値13606は、モータが関節運動アームに加え得る力の最大量を表す。この例では、曲線13608は、X軸13604に従う所望の関節運動角度の関数としての左関節運動アーム13506に加えられるべき力の量を表し、曲線13610は、同じ所望の関節角度の関数としての右関節運動アーム13504に加えられるべき力の量を表す。この例では、関節運動の最大範囲は、中心線から+/-60°である。
【0283】
いくつかの態様では、ヘッド/エンドエフェクタの関節運動を引き起こすことは、関節運動アームの両方に拮抗的な関係で力を加えることを伴う。例えば、関節運動アームに連結された各モータは、関節運動アームの両方に対して同時に引張力を及ぼし得る。2つの関節運動アーム間の引張力の量の比率は、ヘッド/エンドエフェクタが関節運動する角度を決定し得る。この力の比率は、グラフ13600によってマッピング又は表され得る。
【0284】
例えば、ヘッド/エンドエフェクタを中心線から45°だけ関節運動させるために、長さEの大きさの引張力が、曲線13610に従って、右関節運動アームに加えられるべきである。同時に、長さFの大きさの引張力は、曲線13608に従って、左関節運動アームに加えられるべきである。一般に、大きさEとFとの間の比率は、力自体の絶対的な大きさではなく、どの関節角度が達成されるかを指示し得る。
【0285】
別の例として、関節運動枢軸13518が中心から外れて位置するため、0°でさえ、ヘッド/エンドエフェクタを安定させるために必要とされる釣り合う力又は拮抗力の量は、2つの関節運動アーム間で等しくない。これは、グラフ13600の0°の点で2つの関節運動アームに加えられる異なる力の量である、力E’及びF’によって例証される。
【0286】
図50を参照すると、いくつかの態様による、ヘッド/エンドエフェクタを中心線から60°関節運動させるために、どのように拮抗力が2つの関節運動アームに加えられ得るかの例が示されている。ここで、右関節運動アーム13504に連結されたモータは、第2のモータによって左関節運動アーム13506に加えられる引張力よりも実質的に大きい引張力を加え得る。2つの関節運動アーム間の力の正確な比率は、グラフ内の60°線に例示される力の量に従って、
図49の例示的な制御アルゴリズムグラフ13600によって決定され得る。左関節運動アーム13506と比較して、右関節運動アーム13504に加えられるより大きい量の引張力は、右関節運動アーム13504が
図50の右に引張されることを結果的にもたらす。したがって、この力の比率は、左関節運動アーム13506が左に移動するか、又はヘッド/エンドエフェクタに向かって押されることを結果的にもたらす。しかしながら、左関節運動アーム13506に加えられるある程度の引張力が依然として存在するため、拮抗力は、示されるように、ヘッド/エンドエフェクタが中心線から60°だけ関節運動するように、ある点で効果的に相殺又は平衡化する。
【0287】
図51を参照すると、いくつかの態様による、ヘッド/エンドエフェクタを中心線から30°関節運動させるために、どのように力が2つの関節運動アームに加えられ得るかの別の例が示される。ここで、右関節運動アーム13504に連結されたモータは、第2のモータによって左関節運動アーム13506に加えられる引張力よりも大きい引張力を加え得る。この場合、力の差は、
図50に説明されているものに相当しない。例として、2つの関節運動アーム間の力の正確な比率は、グラフ内の30°の点に例示される力の量に従って、
図49の例示的な制御アルゴリズムグラフ13600によって決定され得る。それゆえに、2つの力の比率がより小さいことが分かり、これは、左関節運動アーム13506に加えられるより小さい相殺力が、右関節運動アーム13504に加えられる優勢な力の大きさに近いことを意味する。
図50の例示の関節運動の位置から開始すると、
図51の2つの関節運動アームに加えられる力の変化は、
図51のヘッド/エンドエフェクタに加えられる有効力F
E 13706を結果的にもたらす。矢印13702及び13704は、前の
図50に例示される力に対する、それらのそれぞれの関節運動アームに加えられる力の変化を表す。
【0288】
図52を参照すると、いくつかの態様による、ヘッド/エンドエフェクタを中心又は中立位置に戻すように関節運動させるために、どのように力が2つの関節運動アームに加えられ得るかの第3の例が示される。ここで、右関節運動アーム13504に連結されたモータは、第2のモータによって左関節運動アーム13506に加えられる引張力未満の引張力を加え得る。
図49のグラフ13600に示されるように、左関節運動アーム13506の拮抗的な引張力は、右関節運動アーム13504に0°の点で加えられる力よりも実際に大きい。これは、関節運動枢軸13518が中心から外れ、左関節運動アーム13506のヒンジにより近いことを考慮すると、理に適っている。これは、力を平衡化するために、左関節運動アーム13506が右関節運動アーム13504に対してより多くのトルクを送達することを必要とする。この例では、
図51と比較して関節運動アームの両方に加えられる力の量の変化は、ヘッド/エンドエフェクタの質量中心に加えられる有効力F
E 13806を結果的にもたらす。
【0289】
図53を参照すると、いくつかの態様による、2つの独立した関節運動アームを制御することに基づいて、ロボット外科用システムのエンドエフェクタの関節運動を引き起こすための制御プログラム又は論理構成のプロセス13900を図示する論理フロー図である。
図30に示されるように、制御回路2510は、モータ制御装置2508d及びモータ制御装置2508eに命令するように構成され得る。これらは、それぞれのモータ2504d及び2504eに連結され得る。これらのモータは、最終的に、関節運動アーム13504及び13506に加えられる引張力又は押圧力をそれぞれ形成し得る。2つのモータの独立した性質は、最終的に単一のエンドエフェクタの関節運動を制御するために使用されるが、精密な様式でのプログラムがより容易である間違いのない設計、また問題及び交換部品の診断も可能である。
【0290】
制御回路、例えば、制御回路2510は、第1の関節運動モータ、例えば、モータ2504dに、第1の関節運動アーム、例えば、関節運動アーム2542a、又は関節運動アーム13504及び13506のいずれかに第1の力を加えさせる(13902)ように構成され得る。いくつかの態様では、第1の力は、第1の関節運動アームをモータに向かって近位に引き込むように構成された引張力であってもよく、一方で他の場合では、力は、エンドエフェクタに対して反対方向の押圧力であってもよい。
【0291】
制御回路は、第2の関節運動モータ、例えば、モータ2504eに、第2の関節運動アーム、例えば、関節運動アーム2542b、又は関節運動アーム13504及び13506の他方に第2の力を加えさせる(13904)ように構成され得る。加えられた第2の力は、第1の力に拮抗的であり、これは、第2の力が、第1の力の反対方向の釣り合う力又は相殺力を結果的にもたらすことを意味する。前の図に示されるように、この拮抗力は、エンドエフェクタの関節運動枢軸を中心に反対方向にトルクを加えさせる引張力であり得る。他の態様では、第1の力が押圧力である場合、第2の力もまた、凹圧力であってもよいが、エンドエフェクタに対して反対方向に加えられる。
【0292】
第1及び第2の関節運動アームに連結されたエンドエフェクタは、枢軸を中心に関節運動し(13906)、関節運動の程度は、第1及び第2の力の比率に基づく。エンドエフェクタが関節運動する枢軸が、エンドエフェクタを2つの関節運動アームにリンクさせるヒンジ間に位置付けられている場合、拮抗的な第2の力は、第1の力と同じタイプの力であるべきであり、例えば、両方が引張力であるか、又は両方が押圧力であるべきである。一方、2つの関節運動アームをエンドエフェクタに接続するヒンジの両方が、関節運動枢軸の同じ側に位置する場合、拮抗的な第2の力は、第1の力とは反対のタイプの力であるべきであり、例えば、一方が引張力であり、他方が押圧力であるべきである。前の例に示されるように、関節運動枢軸は、中心線から中心から外れて位置してもよく、全ての関節運動角度での力の固有の比率を可能にする。
【0293】
本明細書に説明される機能又はプロセス13900は、制御回路961(
図22)、800(
図23)、810(
図24)、820(
図25)、4420(
図26)、及び/又は制御回路2510(
図30)などの、本明細書に説明される処理回路のいずれかによって実行され得る。電動外科用器具の態様は、本明細書に開示される具体的な詳細を伴わずに実施されてもよい。いくつかの態様は、詳細ではなくブロック図として示されている。
【0294】
本明細書に説明される主題の様々な態様は、以下の実施例において説明される。
実施例1.ロボット外科用器具のためのシステムであって、制御回路と、両方が制御回路に通信可能に連結された、第1のモータ及び第2のモータと、第1のモータに通信可能に連結された第1の関節運動アームと、第2のモータに通信可能に連結された第2の関節運動アームと、第1のヒンジを介して第1の関節運動アーム及び第2のヒンジを介して第2の関節運動アームに連結されたエンドエフェクタと、を備え、制御回路が、第1のモータに、第1の力を第1の関節運動アームに加えさせるように構成され、制御回路が、第2のモータに、第2の力を第2の関節運動アームに加えさせるように構成され、第2の力は、第1及び第2の力がエンドエフェクタで反作用力を加えるように、第1の力に対して拮抗的であり、第1及び第2の力が、エンドエフェクタに、第1及び第2のヒンジを介して関節運動させる、システム。
【0295】
実施例2.エンドエフェクタが、第1の力と第2の力との間の大きさの比率に基づいて、規定の角度に関節運動するように構成されている、実施例1に記載のシステム。
【0296】
実施例3.エンドエフェクタに連結された関節運動枢軸を更に備え、エンドエフェクタが、関節運動枢軸を中心に関節運動するように更に構成されている、実施例1及び実施例2のうちの1つ又は2つ以上に記載のシステム。
【0297】
実施例4.関節運動枢軸が、第1及び第2の関節運動アームの少なくとも一部分の間で、そこから等距離に長手方向に延びる中心軸から離れて位置付けられている、実施例3に記載のシステム。
【0298】
実施例5.第1及び第2の関節運動アームを封入するシャフトを更に備える、実施例3及び実施例4のうちの1つ又は2つ以上に記載のシステム。
【0299】
実施例6.関節運動枢軸に連結され、シャフト内に安定して位置付けられた枢動連結部を更に備え、枢動連結部は、エンドエフェクタが関節運動枢軸を中心に関節運動している間、エンドエフェクタを安定化させるように構成されている、実施例5に記載のシステム。
【0300】
実施例7.枢動連結部及び関節運動枢軸が、第1及び第2の関節運動アームの少なくとも一部分の間で、そこから等距離に長手方向に延びる中心軸から離れて位置付けられている、実施例6に記載のシステム。
【0301】
実施例8.第1の力は、エンドエフェクタが中心位置からゼロ度の角度に関節運動されるときに、第2の力よりも大きい、実施例7に記載のシステム。
【0302】
実施例9.制御回路が、第2のモータとは独立して第1のモータを動作させるように構成されている、実施例1~実施例8のうちの1つ又は2つ以上に記載のシステム。
【0303】
実施例10.第1及び第2の力が、それぞれ、第1及び第2の関節運動アームに加えられる引張力である、実施例1~実施例9のうちの1つ又は2つ以上に記載のシステム。
【0304】
実施例11.第1及び第2の力が、それぞれ、第1及び第2の関節運動アームに加えられる押圧力である、実施例1~実施例10のうちの1つ又は2つ以上に記載のシステム。
【0305】
実施例12.制御回路、第1のモータ、第2のモータ、第1の関節運動アーム、第2の関節運動アーム、及びエンドエフェクタを備えるロボット外科用器具の方法であって、制御回路によって、第1の力を第1の関節運動アームに加えるように第1のモータに命令することと、制御回路によって、第2の力を第2の関節運動アームに加えるように第2のモータに命令することであって、第2の力は、第1及び第2の力がエンドエフェクタで反作用力を加えるように第1の力に対して拮抗的である、命令することと、第1及び第2の関節運動アームにそれぞれ加えられた第1及び第2の力に基づいて、第1及び第2のヒンジを介してエンドエフェクタを関節運動させることと、を含む、方法。
【0306】
実施例13.エンドエフェクタに、第1の力と第2の力との間の大きさの比率に基づいて、規定の角度に関節運動させることを更に含む、実施例12に記載の方法。
【0307】
実施例14.ロボット外科用器具が、エンドエフェクタに連結された関節運動枢軸を更に備え、エンドエフェクタが、関節運動枢軸を中心に更に関節運動する、実施例12及び実施例13のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0308】
実施例15.関節運動枢軸が、第1及び第2の関節運動アームの少なくとも一部分の間で、そこから等距離に長手方向に延びる中心軸から離れて位置付けられている、実施例14に記載の方法。
【0309】
実施例16.ロボット外科用器具が、第1及び第2の関節運動アームを封入するシャフトを更に備える、実施例14及び実施例15のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0310】
実施例17.第1の力は、エンドエフェクタが中心位置からゼロ度の角度に関節運動されるときに、第2の力よりも大きい、実施例15及び実施例16のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0311】
実施例18.第1の力を第1のモータに加えることが、第2の力を第2のモータに加えることから独立している、実施例12~実施例17のうちの1つ又は2つ以上の方法。
【0312】
実施例19.第1及び第2の力が、それぞれ、第1及び第2の関節運動アームに加えられる引張力である、実施例1~実施例18のうちの1つ又は2つ以上の方法。
【0313】
実施例20.第12及び第2の力が、それぞれ、第1及び第2の関節運動アームに加えられる押圧力である、実施例1~実施例19のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0314】
本開示の一部は、コンピュータメモリに記憶されたデータに対して動作する命令に関して提示され得る。アルゴリズムとは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、記憶、伝達、結合、比較及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態を採ることができる物理量の操作を指す。これらの信号は、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数字と称され得る。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、またこれらの量に適用される好都合な標識であるに過ぎない。
【0315】
概して、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる、本明細書で説明される態様を、様々な種類の「電気回路」から構成されるものと見なすことができる。結果として、「電気回路」は、少なくとも1つの個々の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムで構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、汎用コンピュータ、又は、本明細書で説明したプロセス及び/若しくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムで構成されたプロセッサ)を形成する電気回路、メモリデバイスを形成する(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)電気回路、及び/又は、通信デバイス(例えばモデム、通信スイッチ、又は光学電気機器)を形成する電気回路を含む。これらの態様は、アナログ若しくはデジタル形態、又はそれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0316】
上記の説明は、1つ又は2つ以上の機能及び/又は動作を含み得る、ブロック図、フローチャート、及び/又は例の使用を介して、デバイス及び/又はプロセスの態様を明らかにしてきた。そのようなブロック図、フローチャート、又は例内の各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの実質的に任意の組み合わせによって、個々に及び/又は集合的に実装され得る。一態様では、本明細書に説明される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device、PLD)、回路、レジスタ及び/若しくはソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理並びに/若しくはハードウェア及びソフトウェア構成要素の組み合わせ、論理ゲート、又は他の統合形式を介して実装され得る。本明細書で開示される形態のいくつかの態様は、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ又2つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、1つ又は2つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして(例えば、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ又は2つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは、それらの実質的に任意の組み合わせとして、集積回路において等価に実装することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれる。
【0317】
開示される主題の機構は、多様な形式でプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に説明される主題の例示的な態様は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。信号搬送媒体の例としては、記録可能型の媒体、例えば、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(Compact Disc、CD)、デジタルビデオディスク(Digital Video Disk、DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなど、並びに伝送型の媒体、例えば、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、送信論理、受信論理など)が挙げられる。
【0318】
これらの態様の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。これらの態様は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、態様を修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され説明されるものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0319】
本明細書に説明される主題の様々な態様は、以下の実施例において説明される。
実施例1.ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法であって、制御回路によって、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、制御回路によって、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、エンドエフェクタに連結された変位部材に連結されたモータのコマンド速度を設定することと、制御回路によって、設定されたコマンド速度で変位部材を発射することと、制御回路によって、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、制御回路によって、発射フェーズ中のエンドエフェクタでの検出された状態に基づいて、モータのコマンド速度を設定することと、を含む、方法。
【0320】
実施例2.閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の状態が、組織厚さであり、方法は、制御回路によって、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に画定された間隙を検出することと、制御回路によって、間隙、及び間隙が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施例1に記載の方法。
【0321】
実施例3.閉鎖フェーズ中の状態が、ステープルカートリッジに向かってアンビルに加えられる閉鎖力であり、方法は、制御回路によって、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に位置する組織上で閉鎖したエンドエフェクタのアンビル及びステープルカートリッジ部分が受ける力として定義される閉鎖力を検出することと、制御回路によって、閉鎖力、及び力が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施例1~実施例2に記載の1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0322】
実施例4.発射フェーズ中の状態が、変位部材を変位させるための発射力であり、方法は、制御回路によって、変位部材を変位させるための発射力を検出することと、制御回路によって、発射力、及び力が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施例1~実施例3のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0323】
実施例5.閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の状態が、エンドエフェクタ内のアンビルとカートリッジとの間に位置する組織の電気インピーダンスであり、方法は、制御回路によって、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジとの間に位置する組織の電気インピーダンスを検出することと、制御回路によって、電気インピーダンス、及びインピーダンスが検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施例1~実施例4のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0324】
実施例6.閉鎖フェーズ又は発射フェーズ中の状態が、エンドエフェクタ内の組織の被覆度であり、方法は、制御回路によって、エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に位置する組織の被覆度を検出することと、制御回路によって、被覆度、及び被覆度が検出されたときのコマンド速度に基づいて、コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施例1~実施例5のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0325】
実施例7.制御回路によって、発射フェーズ中のコマンド速度を調節して、発射中の変位部材の速度を調節することを更に含む、実施例1~実施例6のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0326】
実施例8.ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法であって、制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、閉鎖部材及び制御回路に連結された力センサから受信することと、制御回路によって、実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、制御回路によって、比較に基づいて、閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、制御回路によって、設定点速度に基づいて、閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を含む、方法。
【0327】
実施例9.制御回路が、比例、積分、及び微分(PID)フィードバック制御システムを含み、PIDフィードバック制御システムが、一次PIDフィードバックループ及び二次PIDフィードバックループを含み、方法は、一次PIDフィードバックループによって、閉鎖部材の実際の閉鎖力と閾値閉鎖力との間の第1の誤差を決定し、第1の誤差に基づいて、設定点速度を設定することと、二次フィードバックループによって、閉鎖部材の実際の速度と設定点速度との間の第2の誤差を決定し、第2の誤差に基づいて閉鎖部材の実際の速度を制御することと、を更に含む、実施例8に記載の方法。
【0328】
実施例10.閾値閉鎖力が、上側閾値及び下側閾値を含み、方法は、実際の閉鎖力が下側閾値未満であるときに、制御回路によって閉鎖部材を遠位に前進させることと、実際の閉鎖力が下側閾値よりも大きいときに、制御回路によって閉鎖部材を近位に後退させることと、を更に含む、実施例8及び実施例9のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0329】
実施例11.実際の閉鎖力が上側閾値と下側閾値との間にあるときに、制御回路によって閉鎖部材を定位置に保持することを更に含む、実施例10に記載の方法。
【0330】
実施例12.制御回路によって、閉鎖力を制御回路に連結された力センサから受信することが、制御回路によって、閉鎖力を閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサから受信することを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例8~実施例11のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0331】
実施例13.制御回路によって、閉鎖力を制御回路に連結された力センサから受信することが、制御回路によって、閉鎖力を閉鎖部材に連結された歪みゲージから受信することを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例8~実施例12のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0332】
実施例14.制御回路によって、閉鎖力を制御回路に連結された力センサから受信することが、制御回路によって、閉鎖力を閉鎖部材に連結されたロードセルから受信することを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例8に記載の方法。
【0333】
実施例15.閉鎖部材及び制御回路に連結された位置センサを更に備え、方法は、位置センサから閉鎖部材の位置を制御回路によって受信することを更に含む、実施例8~実施例14のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0334】
実施例16.制御回路によって、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させることを更に含む、実施例8~実施例15のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0335】
実施例17.ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法であって、制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、閉鎖部材及び制御回路に連結された力センサから受信することと、制御回路によって、発射部材の実際の位置を、発射部材及び制御回路に連結された位置センサから受信することと、制御回路によって、閉鎖部材に加えられた実際の閉鎖力及び発射部材の実際の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を含む、方法。
【0336】
実施例18.制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を力センサから受信することが、制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサから受信することを含み、トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例17に記載の方法。
【0337】
実施例19.制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を力センサから受信することが、制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、閉鎖部材に連結された歪みゲージから受信することを含み、歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例17及び実施例18のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0338】
実施例20.制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を力センサから受信することが、制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、閉鎖部材に連結されたロードセルから受信することを含み、ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施例17及び実施例18のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0339】
実施例21.制御回路によって、発射ストロークの少なくとも一部分の間に閉鎖部材を前進させることを更に含む、実施例17及び実施例18のうちの1つ又は2つ以上に記載の方法。
【0340】
〔実施の態様〕
(1) ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法であって、
制御回路によって、閉鎖フェーズ中のエンドエフェクタでの状態を検出することと、
前記制御回路によって、前記閉鎖フェーズ中の前記エンドエフェクタでの前記検出された状態に基づいて、前記エンドエフェクタに連結された変位部材に連結されたモータのコマンド速度を設定することと、
前記制御回路によって、前記設定されたコマンド速度で前記変位部材を発射することと、
前記制御回路によって、発射フェーズ中の前記エンドエフェクタでの状態を検出することと、
前記制御回路によって、前記発射フェーズ中の前記エンドエフェクタでの検出された前記状態に基づいて、前記モータのコマンド速度を設定することと、を含む、方法。
(2) 前記閉鎖フェーズ又は前記発射フェーズ中の前記状態が、組織厚さであり、前記方法は、
前記制御回路によって、前記エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に画定された間隙を検出することと、
前記制御回路によって、前記間隙、及び前記間隙が検出されたときの前記コマンド速度に基づいて、前記コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記閉鎖フェーズ中の前記状態が、ステープルカートリッジに向かってアンビルに加えられる閉鎖力であり、前記方法は、
前記制御回路によって、前記エンドエフェクタの前記アンビルと前記ステープルカートリッジ部分との間に位置する組織上で閉鎖した前記エンドエフェクタの前記アンビル及び前記ステープルカートリッジ部分が受ける力として定義される閉鎖力を検出することと、
前記制御回路によって、前記閉鎖力、及び前記力が検出されたときの前記コマンド速度に基づいて、前記コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記発射フェーズ中の前記状態が、前記変位部材を変位させるための発射力であり、方法は、
前記制御回路によって、前記変位部材を変位させるための発射力を検出することと、
前記制御回路によって、前記発射力、及び前記力が検出されたときの前記コマンド速度に基づいて、前記コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記閉鎖フェーズ又は前記発射フェーズ中の前記状態が、前記エンドエフェクタ内のアンビルとカートリッジとの間に位置する組織の電気インピーダンスであり、前記方法は、
前記制御回路によって、前記エンドエフェクタの前記アンビルと前記ステープルカートリッジとの間に位置する前記組織の前記電気インピーダンスを検出することと、
前記制御回路によって、前記電気インピーダンス、及び前記インピーダンスが検出されたときの前記コマンド速度に基づいて、前記コマンド速度を調節することと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0341】
(6) 前記閉鎖フェーズ又は前記発射フェーズ中の前記状態が、前記エンドエフェクタ内の組織の被覆度であり、前記方法は、
前記制御回路によって、前記エンドエフェクタのアンビルとステープルカートリッジ部分との間に位置する組織の前記被覆度を検出し、前記被覆度、及び前記被覆度が検出されたときの前記コマンド速度に基づいて、前記コマンド速度を調節すること、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記制御回路によって、前記発射フェーズ中の前記コマンド速度を調節して、発射中の前記変位部材の前記速度を調節することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(8) ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法であって、
制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材及び前記制御回路に連結された力センサから受信することと、
前記制御回路によって、前記実際の閉鎖力を閾値閉鎖力と比較することと、
前記制御回路によって、前記比較に基づいて、前記閉鎖部材を変位させるための設定点速度を決定することと、
前記制御回路によって、前記設定点速度に基づいて、前記閉鎖部材の前記実際の速度を制御することと、を含む、方法。
(9) 前記制御回路が、比例、積分、及び微分(PID)フィードバック制御システムを含み、前記PIDフィードバック制御システムが、一次PIDフィードバックループ及び二次PIDフィードバックループを含み、前記方法は、
前記一次フィードバックループによって、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力と閾値閉鎖力との間の第1の誤差を決定し、前記第1の誤差に基づいて、前記設定点速度を設定することと、
前記二次フィードバックループによって、前記閉鎖部材の前記実際の速度と前記設定点速度との間の第2の誤差を決定し、前記第2の誤差に基づいて、前記閉鎖部材の前記実際の速度を制御することと、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記閾値閉鎖力が、上側閾値及び下側閾値を含み、前記方法は、
前記実際の閉鎖力が前記下側閾値未満であるときに、前記制御回路によって前記閉鎖部材を遠位に前進させることと、
前記実際の閉鎖力が前記下側閾値よりも大きいときに、前記制御回路によって前記閉鎖部材を近位に後退させることと、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0342】
(11) 前記実際の閉鎖力が前記上側閾値と前記下側閾値との間にあるときに、前記制御回路によって前記閉鎖部材を定位置に保持することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記制御回路によって、閉鎖力を前記制御回路に連結された力センサから受信することが、前記制御回路によって、閉鎖力を前記閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサから受信することを含み、前記トルクセンサが、前記閉鎖力を測定するように構成されている、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記制御回路によって、閉鎖力を前記制御回路に連結された力センサから受信することが、前記制御回路によって、閉鎖力を前記閉鎖部材に連結された歪みゲージから受信することを含み、前記歪みゲージが、前記閉鎖力を測定するように構成されている、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記制御回路によって、閉鎖力を前記制御回路に連結された力センサから受信することが、前記制御回路によって、閉鎖力を前記閉鎖部材に連結されたロードセルから受信することを含み、前記ロードセルが、前記閉鎖力を測定するように構成されている、実施態様8に記載の方法。
(15) 前記閉鎖部材及び前記制御回路に連結された位置センサを更に備え、前記方法が、前記制御回路によって、前記閉鎖部材の位置を前記位置センサから受信することを更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0343】
(16) 前記制御回路によって、発射ストロークの少なくとも一部分の間に前記閉鎖部材を前進させることを更に含む、実施態様8に記載の方法。
(17) ロボット外科用システム内の発射部材の速度を制御する方法であって、
制御回路によって、閉鎖部材の実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材及び前記制御回路に連結された力センサから受信することと、
前記制御回路によって、発射部材の実際の位置を、前記発射部材及び前記制御回路に連結された位置センサから受信することと、
前記制御回路によって、前記閉鎖部材に加えられた前記実際の閉鎖力及び前記発射部材の前記実際の位置に基づいて、新たな閉鎖力を設定することと、を含む、方法。
(18) 制御回路によって、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を前記力センサから受信することが、前記制御回路によって、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材に連結されたモータの出力シャフトに連結されたトルクセンサから受信することを含み、前記トルクセンサが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施態様17に記載の方法。
(19) 制御回路によって、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を前記力センサから受信することが、前記制御回路によって、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材に連結された歪みゲージから受信することを含み、前記歪みゲージが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施態様17に記載の方法。
(20) 制御回路によって、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を前記力センサから受信することが、前記制御回路によって、前記閉鎖部材の前記実際の閉鎖力を、前記閉鎖部材に連結されたロードセルから受信することを含み、前記ロードセルが、閉鎖力を測定するように構成されている、実施態様17に記載の方法。
【0344】
(21) 前記制御回路によって、前記発射ストロークの少なくとも一部分の間に前記閉鎖部材を前進させることを更に含む、実施態様17に記載の方法。
【外国語明細書】