(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093584
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】肌にスタンプすることにより化粧用製品を塗布するための塗布部材
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20230627BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A45D34/04 510Z
A61Q1/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023065083
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2021525633の分割
【原出願日】2019-10-28
(31)【優先権主張番号】16/192,123
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】1860556
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】クロエ・カボン
(72)【発明者】
【氏名】キョ・ジン・パク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】瞼にアイライナーの鋭く連続的で厳密なラインを描くことのできる塗布部材を提供する。
【解決手段】本発明は、肌にスタンプすることにより化粧用製品を塗布する塗布部材3であって長手方向軸X、長手方向軸に垂直な横断軸、長手方向軸X及び横断軸に垂直な前後方向軸を画定し、前塗布面30を化粧用製品と接触するように置くことにより化粧用製品を装填するのに、並びに、化粧用製品のラインであって形状及び輪郭が前塗布面30の肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に対応する化粧用製品のラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために肌と接触するように置かれるのに好適な前塗布面30を有し、塗布部材3が長手方向軸X及び横断軸により画定された平面において見られた時に前塗布面30が外向き凸状である塗布部材3に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌への化粧用製品(P)のスタンプ塗布のため、特に瞼へのアイライナーの塗布のための塗布部材(3、3’)であって、長手方向軸(X)、前記長手方向軸(X)に垂直な横断軸(Y)、並びに前記長手方向軸(X)及び前記横断軸(Y)に垂直な前後方向軸(Z)を画定し、前塗布面(30、30’)であって、前記前塗布面(30、30’)を前記化粧用製品(P)と接触するように置くことにより前記化粧用製品(P)を装填するのに、並びに、化粧用製品(P)のライン(t、t’)であって、その形状及び輪郭が、前記前塗布面(30、30’)の、前記肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する前記化粧用製品(P)のライン(t、t’)をスタンプすることにより前記肌に堆積させるために、少なくとも部分的に前記肌と接触するように置かれるのに好適な前塗布面(30、30’)を有する塗布部材(3、3’)において、
前記前塗布面(30、30’)が、前記横断軸(Y)に沿って長尺形状を有し、前記塗布部材(3、3’)が前記長手方向軸(X)及び前記横断軸(Y)により画定された平面において見られたときに、前記前塗布面(30、30’)が外向きに凸状であることを特徴とする、塗布部材(3、3’)。
【請求項2】
前記塗布部材(3’)が前記横断軸(Y)及び前記前後方向軸(Z)により画定された平面において見られたときに、前記前塗布面(30’)が凹面(C)を画定する湾曲した輪郭を有する、請求項1に記載の塗布部材(3’)。
【請求項3】
前記塗布部材(3、3’)が前記長手方向軸(X)及び前記前後方向軸(Z)により画定された前記平面において見られたときに、前記前塗布面(30、30’)が実質的に平らである、請求項1又は2に記載の塗布部材(3)。
【請求項4】
前記前塗布面(30’)が前記長手方向軸(X)に沿った高さ(h)にわたって延在し、第1側末端(31’)と反対側の第2側末端(32’)との間で前記横断軸(Y)に沿って測定された幅(l)と、第1エッジ(33’)と反対側の第2エッジ(34’)との間で前記前後方向軸(Z)に沿って測定された厚さ(e)とを有し、
前記前塗布面(30’)の前記厚さ(e)が前記横断軸(Y)に沿って移動する際に実質的に一定である、請求項1~3のいずれか一項に記載の塗布部材(3’)。
【請求項5】
前記前塗布面(30’)の前記厚さ(e)が、前記第1側末端(31’)及び/又は前記第2側末端(32’)で最小、特にゼロであり、前記前塗布面(30’)の前記第1及び第2エッジ(33’、34’)が前記第1側末端(31’)及び/又は前記第2側末端(32’)で合流する、請求項4に記載の塗布部材(3’)。
【請求項6】
前記前塗布面(30’)の前記第1及び第2エッジ(33’、34’)が前記第1側末端(31’)及び/又は前記第2側末端(32’)で合流し、丸い形を形成し、前記前塗布面(30’)が、前記長手方向軸(X)に垂直な平面に突出して、湾曲した実質的に長楕円の形を有する、請求項5に記載の塗布部材(3’)。
【請求項7】
前記前塗布面(30’)の前記第1及び/又は第2エッジ(33’、34’)が、特に前記第1及び/又は第2側末端(31’、32’)に、前記長手方向軸(X)に沿って前記前塗布面(30’)から突出するリムを有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の塗布部材(3’)。
【請求項8】
塗布部材(3、3’)がまた、塗布側面(35、36;35’、36’)であって、前記前塗布面(30、30’)に隣接するとともにそれに実質的に垂直である塗布側面(35、36;35’、36’)を有し、前記塗布部材(3、3’)が前記長手方向軸(X)及び前記横断軸(Y)により画定された前記平面において見られたときに前記塗布側面(35、36;35’、36’)が好ましくは外向きに凹形である、請求項1~7のいずれか一項に記載の塗布部材(3、3’)。
【請求項9】
前記塗布側面(35’、36’)が、前記長手方向軸(X)及び前記横断軸(Y)により画定された前記平面において刻み目(350’、360’)を有する、請求項8に記載の塗布部材(3’)。
【請求項10】
肌にスタンプすることにより化粧用製品(P)を塗布するための、特に瞼にアイライナーを塗布するためのアプリケータ(1、1’)であって、
- 第1端(21、21’)と反対側の第2端(22、22’)との間で長手方向軸(X’)に沿って延在するハンドル(2、2’)と、
- 前記ハンドル(2、2’)の前記第1端(21、21’)に取り付けられた請求項1~9のいずれか一項に記載の塗布部材(3、3’)であって、前記ハンドル(2、2’)の前記長手方向軸(X’)が、好ましくは前記塗布部材(3、3’)の長手方向軸(X)と一致する塗布部材(3、3’)と
を含むアプリケータ(1、1’)。
【請求項11】
横断軸(Y)及び前後方向軸(Z)により画定された平面における前記ハンドル(2’)の断面が、凹面(C’)を画定する湾曲した輪郭を有し、前記凹面(C’)が好ましくは、前記横断軸(Y)及び前記前後方向軸(Z)により画定された前記平面における前記前塗布面(30’)の湾曲した輪郭により画定された凹面(C)と同じ向きを有する、請求項10に記載のアプリケータ(1’)。
【請求項12】
前記ハンドル(2、2’)の前記第2端(22、22’)が、補助塗布面(40、40’)であって、前記補助塗布面(40、40’)を前記化粧用製品(P)と接触するように置くことにより前記化粧用製品(P)を装填するのに、並びに、化粧用製品(P)のライン(ts)であって、その形状及び輪郭が前記補助塗布面(40、40’)の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品(P)のライン(ts)をスタンプすることにより前記肌に堆積させるために、前記肌と接触するように置かれるのに好適な補助塗布面(40、40’)を担持する補助塗布部材(4、4’)を備え、
前記補助塗布面(40、40’)が、特に、前記ハンドル(2、2’)の前記長手方向軸(X’)とある角度を形成する平面において延在し、好ましくは三角形又は滴形の外輪郭を有する、請求項10又は11に記載のアプリケータ(1、1’)。
【請求項13】
前記塗布部材(3、3’)及び/又は前記補助塗布部材(4、4’)が、前記ハンドル(2、2’)の前記第1端(21、21’)及び/又は前記第2端(22、22’)にオーバーモールドにより取り付けられる、請求項10~12のいずれか一項に記載のアプリケータ(1、1’)。
【請求項14】
前記ハンドル(2、2’)が比較的剛性のプラスチック、特に熱可塑性材料、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)若しくはポリアミド(PA)でできており、並びに/又は前記塗布部材(3、3’)及び/若しくは前記補助塗布部材(4、4’)が比較的可撓性のあるプラスチック、例えばシリコーン、ゴム若しくは熱可塑性エラストマー(TPE)でできている、請求項10~13のいずれか一項に記載のアプリケータ(1、1’)。
【請求項15】
化粧用製品の、特にアイライナーの、梱包及びスタンプ塗布のための組立体であって、
- 塗布されることになる前記化粧用製品(P)を含む容器(5)と、
- 請求項10~14のいずれか一項に記載のアプリケータ(1、1’)と
を含む組立体。
【請求項16】
肌に化粧用製品(P)を塗布するための、特に瞼にアイライナーを塗布するための方法であって、
- 請求項15に記載の化粧用製品を梱包及び塗布するための組立体を提供するステップと、
- 塗布されることになる前記化粧用製品(P)を前塗布面(30、30’)の少なくとも一部に、前記前塗布面(30)の前記一部を容器(5)に含まれる前記化粧用製品(P)と接触するように置くことにより装填するステップと、
- 化粧用製品(P)のライン(t、t’)であって、その形状及び輪郭が、前記前塗布面(30、30’)の、前記肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する前記化粧用製品(P)のライン(t、t’)を、スタンプすることにより前記肌に堆積させるために、前記前塗布面(30、30’)の前記一部に装填された前記化粧用製品(P)を、前記肌と接触するように置くことにより、前記肌に塗布するステップであって、塗布部材(3、3’)の長手方向軸(X)が、好ましくは前記肌の表面に実質的に垂直に配置され、適切な場合、前記前塗布面(30)の凹面(C)が目の方向に方向付けられるステップと
であるステップを含む方法。
【請求項17】
前記方法が、前記前塗布面(30、30’)に装填された前記化粧用製品(P)を前記肌に塗布する複数の連続的なステップを含み、前記肌に連続的に積層された前記化粧用製品(P)のライン(t1、t2、t3;t1’、t2’、t3’)が、一緒に前記肌に化粧用製品(P)の連続的なライン(T、T’)、特に連続的な湾曲したラインを形成するために、互いに隣接しているとともに好ましくは部分的に重なり合う、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記肌に連続的に積層された化粧用製品(P)の2つの隣接するライン(t1、t2、t3;t1’、t2’、t3’)が、0.5mm~5mm、好ましくは1~3mm、特に約2mmの長さ(Lsp1、Lsp2;Lsp1’、Lsp2’)にわたって重なり合う、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項8又は9に記載の塗布部材(3、3’)を備えたアプリケータ(1、1’)を使用し、また、以下のステップ、すなわち、
- 塗布されることになる前記化粧用製品(P)を前記塗布側面(35、36;35’、36’)に、前記前塗布面(35、36;35’、36’)を前記容器(5)に含まれる前記化粧用製品(P)と接触するように置くことにより装填するステップと、
- 化粧用製品(P)のラインであって、その形状及び輪郭が前記塗布側面(35、36;35’、36’)の形状及び輪郭に実質的に対応する前記化粧用製品(P)のラインをスタンプすることにより前記肌に堆積させるために、前記塗布側面(35、36;35’、36’)に装填された前記化粧用製品(P)を、前記肌と接触するように置くことにより、特に瞼の内側の角で前記肌に塗布するステップであって、前記塗布部材(3、3’)の前記長手方向軸(X)が好ましくは前記肌の表面に実質的に平行に配置され、特に、前記塗布側面(35、36;35’、36’)により積層された前記ラインが、隣接しているとともに、前記前塗布面(30、30’)により積層された前記化粧用製品(P)のライン(t、t’)と部分的に重なり合っているステップと
を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項12~14のいずれか一項に記載のアプリケータ(1、1’)を使用し、また、以下のステップ、すなわち、
- 塗布されることになる前記化粧用製品(P)を前記補助塗布面(40、40’)に、前記補助塗布面(40、40’)を前記容器(5)に含まれる前記化粧用製品(P)と接触するように置くことにより装填するステップと、
- 化粧用製品(P)のライン(ts)であって、その形状及び輪郭が前記補助塗布面(40、40’)の形状及び輪郭に実質的に対応する前記化粧用製品(P)のライン(ts)をスタンプすることにより前記肌に堆積させるために前記肌と接触するように置くことにより、前記補助塗布面(40、40’)に装填された前記化粧用製品(P)を、特に前記瞼の外側の角で、前記肌に塗布するステップであって、前記補助塗布面(40、40’)により積層された前記ライン(ts)が好ましくは、前記前塗布面(30、30’)により積層された前記化粧用製品(P)のライン(t、t’)に好ましくは接続されるステップと
を含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌に化粧用製品を塗布するためのアプリケータ、特にメーキャップ製品を目に塗布するためのアプリケータ、及び特に、瞼にアイライナーを塗布するためのアプリケータの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この分野において、鉛筆であって、その鉛がアイライナーのラインが睫毛の根元で瞼に描かれることを可能にする、及び/又は跳ね上げ(flick)が目尻に描かれることを可能にする塗布部材を形成する鉛筆の形のアプリケータを作ることは既知のプラクティスである。
【0003】
ペンの形であるアプリケータもこの分野において既知であり、このペンはその本体が中空であるとともに、製品リザーブであって、毛細管作用により製品が供給され、アイライナーのラインが睫毛の根元で瞼に描かれることを可能にする、及び/又は跳ね上げが目尻に描かれることを可能にする、多孔質材料、一般にフェルトでできている先端の形の塗布部材と連通している製品リザーブを形成する。
【0004】
ディップアプリケータの形のアプリケータがさらにこの分野において存在し、このアプリケータは、ハンドリング要素、柄部、及び塗布部材を含み、塗布部材は、柄部の端部に担持されるとともに、製品を装填するため、並びにアイライナーのラインが睫毛の根元で瞼に描かれることを可能にするため、並びに/又は跳ね上げが目尻上に描かれることを可能にするために、塗布されることになる製品を含む容器に浸けられることを意図されている。
【0005】
しかしながら、塗布部材が瞼と接触するように置かれるとともにアイライナーのラインを描くために睫毛のラインに平行に引かれるそのようなアイライナーアプリケータの、描くことによる使用には、瞼にアイライナーの鋭く、連続的で厳密なラインを描くために特定の量の練習及び特定の機敏さが求められる。
【0006】
さらに、特に、より年配のユーザの場合、アイライナーアプリケータと関連する描く行為が、塗布部材が瞼上を通過する際に、瞼の特定の量の変形を引き起こし得、これには、不規則なラインを生じ、瞼の細かいラインを強める傾向がある。
【0007】
したがって、これらの欠点を克服するために、肌にスタンプすることにより化粧用製品を塗布するための部材を備えたアプリケータが開発されてきた。このようなアプリケータにおいて、塗布部材は、塗布面であって、塗布面を化粧用製品と接触するように置くことにより化粧用製品を装填するのに、並びに、化粧用製品のライン又は痕跡であって、その形状及び輪郭が、塗布面の、肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品のライン又は痕跡をスタンプすることにより肌に堆積させるために、少なくとも部分的に肌と接触するように置かれるのに好適な塗布面を有する。
【0008】
スタンプ行為は、アイライナーのラインが瞼に沿って摺動させられる塗布部材を使用して描かれる行動よりも経験の浅いユーザにとってより制御し易いため、このようなアプリケータにより、化粧用製品を、特にアイライナーを瞼に塗布する行動が容易となる。
【0009】
さらに、そのようなスタンプアプリケータにより、瞼はアイライナーの塗布中に変形せず、したがってアイライナーのラインはこのようにして、特に、塗布部材が摺動により瞼の上を移動するときに瞼が容易に変形される又は折り畳まれる傾向のあるより年配のユーザの場合、より鮮明に及びより厳密に形成される。
【0010】
本出願人名義の(特許文献1)は、このようなスタンプアプリケータを説明しており、ここでは、塗布部材は、ハンドルの端部に設けられるとともに、スパチュラであって、その1つの滴形面が目の端に跳ね上げを形成するアイライナーのラインのスタンプ塗布を可能にするように提供されたスパチュラの形である。
【0011】
しかしながら、このようなアプリケータでは、ユーザの瞼上に形成され得るのは目尻における跳ね上げのみであり、当該塗布部材はアイライナーのラインを睫毛の根元で瞼に形成するのには好適ではない。
【0012】
(特許文献2)は同様に、スタンプアプリケータであって、ハンドルの端部で受けられた塗布部材が全体として三角形の形状を有するとともに、目尻での跳ね上げのスタンプ塗布のためのみのものであることが意図され、アイライナーのラインを睫毛の根元で瞼に形成するのに好適ではないスタンプアプリケータを説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許第3026620号公報
【特許文献2】米国特許第9635924号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はこれらの欠点を克服することに向けられ、この目的のために、肌にスタンプすることにより化粧用製品を塗布するための、特に瞼にアイライナーを塗布するための塗布部材であって、長手方向軸、長手方向軸に垂直な横断軸、並びに、長手方向軸及び横断軸に垂直な前後方向軸を画定し、前塗布面であって、前塗布面を化粧用製品と接触するように置くことにより化粧用製品を装填するのに、並びに、化粧用製品のライン又は痕跡であって、その形状及び輪郭が、前塗布面の、肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品のライン又は痕跡をスタンプすることにより肌に堆積させるために、少なくとも部分的に肌と接触するように置かれるのに好適な前塗布面を有し、前塗布面が横断軸に沿って長尺形状を有し、塗布部材が長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見られたときに外向きに凸状である塗布部材を提案する。
【0015】
これらの条件により、瞼へのアイライナーのラインの塗布であって、その形状及び輪郭が前塗布面の、肌と接触するように置かれた部分のものと対応した塗布が、塗布部材の横断軸が睫毛のラインに実質的に平行に延在し、特に、塗布部材の長手方向軸が瞼に実質的に垂直に延在する状態で、前塗布面の少なくとも一部を睫毛の根元で瞼と接触するように置くことにより、経験の浅いユーザについては容易に及び人間工学的に、より年配のユーザについては厳密なやり方で実施される。
【0016】
ユーザは、本発明による塗布部材を使用してスタンプにより化粧用製品を塗布するために異なるジェスチャーを採用してもよい。
【0017】
使用の第1ジェスチャーによると、ユーザは前塗布面全体に化粧用製品を装填し、化粧用製品のラインであってその形状及び輪郭が実質的に前塗布面の形状及び輪郭に対応する化粧用製品のラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために実質的に前塗布面全体を肌と接触させるように置く。
【0018】
したがって、瞼へのアイライナーのラインの塗布であって、その形状及び輪郭が前塗布面のものと実質的に一致する塗布は、アプリケータ部材の横断軸が睫毛の植え込みのラインに実質的に平行に延在し、好ましくはアプリケータ部材の長手方向軸が瞼に実質的に垂直に延在する状態で、製品が装填された前塗布面を睫毛の根元で瞼と接触するように置くことにより、並びに第1及び第2の回転方向に交互に、前後方向軸を中心としたアプリケータ部材の回転により前塗布面を瞼上で転動させることにより達成される。
【0019】
アプリケータ部材を長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見たときの前塗布面の外向きに凸状の形は有利には、前後方向軸の周りでのアプリケータ部材の回転により瞼での前塗布面のこの転動運動を容易にする。
【0020】
使用の第2ジェスチャーによると、ユーザは前塗布面の全て又は一部に化粧用製品を装填し、化粧用製品のラインであって、その形状及び輪郭が前塗布面の、肌と接触させられた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品のラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために、前塗布面の、製品が装填された部分、例えば、前塗布面の中央部又は側方部、特に側方半分のみを肌と接触するように置く。
【0021】
したがって、瞼へのアイライナーのラインの塗布であって、その形状及び輪郭が前塗布面の、肌と接触するように置かれた部分のものに実質的に対応する塗布は、アプリケータ部材の横断軸が睫毛の植え込みのラインに実質的に平行に延在し、特にアプリケータ部材の長手方向軸が瞼に実質的に垂直に延在した状態で、好ましくは瞼上で前面塗布面を転動させること無しに、前塗布面の製品が装填された部分を睫毛の根元で瞼と接触するように置くことにより達成される。
【0022】
アプリケータ部材の寸法が、睫毛の根元での瞼へのアイライナーのフルラインの塗布を達成するのにいくつかの隣接した連続的塗布を要するようなものであり、このラインが目尻から目頭へ延びている場合、第1ジェスチャーにより、ユーザは有利には、第2ジェスチャーに比べて少ない数の連続的塗布でアイライナーのフルラインの塗布を達成し得る。しかしながら、この第1ジェスチャーは、前後方向軸の周りでのアプリケータ部材の回転による瞼での前塗布面の転動を必要とし、このことは、睫毛の根元でアイライナーの完全なラインを形成するために第2ジェスチャーがより多くの数の連続的塗布を必要とするとしても第2ジェスチャーの方を採用することを好むユーザによっては扱いにくい可能性がある。
【0023】
本発明による塗布部材は、ユーザにより取り扱われ得るハンドル、特にハンドルの端部に接続され得る先端の形であり得る。
【0024】
本発明による塗布部材は有利には、ユーザにより使用され得るハンドルの端部で使用される。したがって、塗布部材は、長手方向軸端に沿って、ハンドルに取り付けるための端と前塗布面を担持している反対側の塗布端とを有する。
【0025】
前塗布面についての「横断軸に沿った長尺形状」という用語は、前塗布面が前後方向軸に沿って又は長手方向軸に沿ってよりも、横断軸に沿ってより大きい寸法を有することを意味しているとして理解されるべきである。
【0026】
前塗布面のこのような長尺状の形は、肌にスタンプすることにより、ラインであって、その形状及び輪郭が前塗布面の、肌と接触するように置かれる部分の形状及び輪郭に対応する、したがって長尺状のラインを睫毛の根元で瞼に形成することを可能にする。
【0027】
さらに、「塗布部材が長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見られたときに外向きに凸状である前塗布面」という用語は、前塗布面と長手方向軸及び横断軸により画定されたそれに平行な任意の平面との間の交差部が、塗布部材の外部に向かって凸状である湾曲したセグメント、特に円形のセグメントであることを意味しているとして理解されるべきである。
【0028】
長手方向軸及び横断軸により画定された平面における前塗布面の外向きに凸状のプロファイルは、スタンプすることにより睫毛の根元に、瞼のドーム状部分だけでなく目頭及び目尻の領域に位置する瞼のくぼんだ部分にもアイライナーのラインを塗布することを容易に及び正確に可能にする。
【0029】
さらに、前塗布面のこの外向きに凸状のプロファイルは、上で明らかにされた使用の第1ジェスチャーのフレーム内での前後方向軸の周りでのアプリケータ部材の回転により、瞼での前塗布面の転動運動を促す。
【0030】
本発明の特に有利な条件によると、塗布部材が横断軸及び前後方向軸により画定された平面において見られたときに、前塗布面は凹面を画定する湾曲した輪郭を有する。
【0031】
「塗布部材が横断軸及び前後方向軸により画定された平面において見られたときに凹面を画定する湾曲した輪郭を有する前塗布面」という用語は、前塗布面と横断軸及び前後方向軸により画定されたそれに平行な任意の平面との間の交差部、又は横断軸及び前後方向軸により画定されたそれに平行な平面における前塗布面の横断面が、湾曲した延長部分、特に円弧の軸に沿って延在している特に豆の形状の湾曲した閉輪郭を有することを意味しているとして理解されるべきである。
【0032】
横断軸及び前後方向軸により画定された平面における前塗布面の湾曲した輪郭は、睫毛の根元でのアイライナーのラインのスタンプ塗布の容易さ、人間工学及び精度をさらに向上させることが可能であり、この湾曲した輪郭により画定された凹面は、塗布されたアイライナーのラインが睫毛ラインを可能な限り接近してたどるようにこの睫毛ラインの曲率に適合される。
【0033】
他の有利な態様によると、本発明によるアプリケータは、以下の特徴の1つ又は複数を別個に又は技術的に可能な組合せの全てにより含む、すなわち、
- 前塗布面は、塗布部材が長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見られたときに円形のプロファイルを有し、前記円形のプロファイルは好ましくは60mm以下、とりわけ30mm~50mm、特に約40mmの曲率半径を有する。これらの条件によると、長手方向軸及び横断軸により画定された平面における前塗布面の曲率は、瞼のドーム状部分だけでなく目頭及び目尻の領域に位置する瞼のくぼんだ部分におけるアイライナーの鮮明で厳密な塗布に特に良く適している。さらに、長手方向軸及び横断軸により画定された平面における前塗布面のこのような曲率は、上で明らかにされた使用の第1ジェスチャーのフレーム内での前後方向軸の周りでの塗布部材の回転により瞼での前塗布面の転動運動を容易にする。
- 横断軸及び前後方向軸により画定された平面における前塗布面の湾曲した輪郭は湾曲した軸に沿って延在し、前記湾曲した軸は有利には、好ましくは、30mm~200mm、特に約50mmの曲率半径を有する円弧を形成する。これらの条件によると、横断軸及び前後方向軸により画定された平面における前塗布面の曲率は、睫毛の根元でのアイライナーのラインのスタンプ塗布の容易さ、人間工学及び精度をさらに向上させるのに特に良く適しており、この湾曲した輪郭により画定された凹面は、塗布されたアイライナーのラインがこの睫毛のラインを可能な限り接近してたどるように睫毛ラインの曲率に適合される。
- 前塗布面は、塗布部材が長手方向軸及び前後方向軸により画定された平面において見られたときに実質的に平らである。換言すると、前塗布面と長手方向軸及び前後方向軸により画定されたそれに平行な任意の平面との間の交差部は実質的に直線をなすセグメントである。これらの条件のおかげで、塗布の特定の快適さを保証するアプリケータ部材が提供され、塗布面は、長手方向軸及び前後方向軸により画定された平面において、肌と接触するように置かれたときに何ら不愉快な、さらには潜在的には有害なエッジを有さず、同時に、肌での化粧用製品の、特に、瞼に塗布されたアイライナーラインの制御された、一定の、比較的精密な幅を保証する。
- 前塗布面は長手方向軸に沿った高さにわたって延在し、第1側末端と反対側の第2側末端との間で横断軸に沿って測定される幅と、第1エッジと反対側の第2エッジとの間で前後方向軸に沿って測定される厚さと、横断軸に沿って移動する際に変化するとともに第1側末端及び/又は第2側末端で最小である前塗布面の厚さとを有する。これらの条件によると、スタンプ塗布部材が得られ、その前塗布面は、その側末端の一方又は両方の方向において狭くなっており、このことは瞼に、特に、目頭及び目尻の領域において位置する瞼の端部に狭くなった端でのアイライナーのラインを塗布することを可能にし、このことは結果としてのメーキャップの審美的魅力に貢献する。さらに、側末端で薄くなった塗布部材の前塗布面の形状により、特に2つの隣接するライン間の接合部に、実質的に連続的な輪郭、すなわち実質的に凹部/はっきりとした角度を有しない輪郭を形成するために、隣接するライン間の長手方向軸を中心とした角度シフトで、塗布部材を使用してスタンプすることにより積層された複数の隣接するラインから形成された、睫毛の根元で瞼の曲率をたどるアイライナーの湾曲したラインを塗布することが可能である。変形形態として、前塗布面の厚さは横断軸に沿って移動する際に実質的に一定である。特に、前塗布面が横断軸及び前後方向軸により画定された平面において湾曲した輪郭を有する場合、前記輪郭は円弧を形成する湾曲した軸に沿って延在し、前塗布面の厚さはこの湾曲した軸に沿って移動する際実質的に一定である。これらの条件によると、前塗布面により肌に塗布された化粧用製品のラインは対応してその長さ全体にわたって実質的に一定の厚さを有することになる。横断軸及び前後方向軸により画定された平面において見られたときの前塗布面のこの一定の厚さはまた、この同じ平面における前塗布面の湾曲した輪郭と組み合わされて、有利には、実質的に連続的な輪郭、すなわち、特に2つの隣接するライン間の接合部に、実質的に凹部/はっきりとした角度を有しない輪郭を形成するために、隣接するライン間の長手方向軸を中心とした角度シフトで、塗布部材を使用してスタンプすることにより積層された複数の隣接するラインから形成された、睫毛の根元で瞼の曲率をたどるアイライナーの湾曲したラインを塗布することを可能にする。
- 前塗布面の厚さは第1側末端で及び/又は第2側末端で、最小、特にゼロであり、前塗布面の第1及び第2エッジは第1側末端及び/又は第2側末端で合流する。これらの条件のおかげで、目頭及び目尻に位置するその端部は精密で審美的である瞼でのアイライナーのラインを作るためのアプリケータ部材が提供される。
- 前塗布面の厚さは横断軸に沿って移動する際に連続的に変化し、前記前塗布面は、長手方向軸に垂直な平面に突出して、実質的に卵形、特に楕円形を有する。変形形態として、前塗布面の第1及び第2エッジは、第1側末端及び/又は第2側末端で合流し、丸い形を形成し、前記前塗布面は、横断軸及び前後方向軸により画定された平面に突出して、湾曲した実質的に長楕円の形を有する。そのような形は、瞼にアイライナーの隣接するラインであって、それらの端で部分的に重なり合うことにより連続的に積層されたアイライナーの隣接するラインを、瞼のトポロジーに適合することにより、瞼の長さ全体にわたってアイライナーの連続的なライン、特に湾曲したラインを瞼に一緒に形成するために形成することを可能にするのに特に適している。このような形は特に、アイライナーの湾曲したラインであって、実質的に連続的な曲率の輪郭、すなわち、特に2つの隣接するライン間の接合部に、実質的に凹部/はっきりとした角度を有しない輪郭を形成するために、隣接するライン間の長手方向軸を中心とした角度シフトで、塗布部材を使用してスタンプすることにより積層された複数の隣接するラインから形成された、睫毛の根元で瞼の曲率をたどるアイライナーの湾曲したラインを塗布することを可能にする。
- 前塗布面の最大厚さは、前塗布面の第1及び第2側末端の間の好ましくは真ん中であり、0.5mm~2.5mm、好ましくは約1.3mmである。
- 前塗布面の幅は、有利には10~20、特に約15mmである。
- 前塗布面の第1及び/又は第2エッジは、特に第1及び/又は第2側末端に、長手方向軸に沿って前塗布面から突出するリムを有する。このような突出リムは有利には、前塗布面とこの突出リムとの間に化粧用製品のリザーブを作り出すことを可能にし、したがって、塗布部材が運ぶことができる化粧用製品の量を増大させるとともにその自律性を向上させ、ユーザがそれに製品を装填しなければならない頻度を減らす。
【0034】
有利な条件によると、塗布部材はまた、前塗布面に隣接するとともにそこから実質的に垂直に延在する塗布側面を有し、前記塗布側面は、好ましくは塗布部材が長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見られたとき外向きに凹形である。
【0035】
前塗布面と鋭角を形成するこのような塗布側方面又は塗布側面の実装形態は、前塗布面により積層された製品痕跡と塗布側方面により積層された製品痕跡との間の汚れのリスクを限定するために、特に有利である。
【0036】
さらに、特にハンドルの長手方向軸がアプリケータ部材の長手方向軸と一致した状態で、本発明による塗布部材がハンドルに取り付けられると、そのような塗布側方面の実装形態は、目頭での製品の塗布が前塗布面により達成された場合に起こり得るようなハンドルが鼻梁に当たることを回避しながらの、特に、目頭での製品、特にアイライナーの痕跡の積層のために、使用の人間工学に関して特に便利である。実際、このような場合において、塗布側方面により目頭でアイライナーの痕跡を塗布するときに、ハンドルは、その長手方向軸が瞼に実質的に平行に延在している状態で置かれ、したがって、この塗布の間に鼻梁に衝突するリスクは限られる。
【0037】
「塗布部材が長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見られたとき外向きに凹形である塗布側面」という用語は、塗布側面と長手方向軸及び横断軸により画定されたそれに平行な任意の平面との間の交差部は、塗布部材の外部に向かって凹形である湾曲したセグメント、特に円形のセグメントであることを意味しているとして理解されるべきである。
【0038】
長手方向軸及び横断軸により画定された平面における塗布側面の外向きに凹形のプロファイルは、睫毛の根元に、特に目頭及び目尻の領域に位置する瞼のくぼんだ部分にアイライナーのラインを、スタンプすることにより、塗布することを容易に及び正確に可能にする。
【0039】
好ましくは、塗布側面は、塗布部材が長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見られたときに円形のプロファイルを有し、前記円形のプロファイルは好ましくは140mm~170mm、特に約155mmの曲率半径を有する。これらの条件によると、長手方向軸及び横断軸により画定された平面における塗布側面の曲率は、特に目頭及び目尻の領域において位置する瞼のくぼんだ部分でのアイライナーの鮮明で厳密な塗布のラインに特に良く適している。
【0040】
代替的に、塗布側方面は、アプリケータ部材が長手方向軸及び横断軸により画定された平面において見られたときに平ら又は外向きに凸状である。
【0041】
本発明の有利な条件によると、塗布側面は長手方向軸及び横断軸により画定された平面に刻み目を有する。この刻み目の、好ましくは各塗布側方面にある刻み目の実装形態では、長手方向軸に沿った塗布部材の高さは、その中央部の高さと比較して、その側部において、低下する。塗布部材のこれらの側部であって、それに垂直な刻み目を有する側部は、したがって、特に長手方向軸及び前後方向軸の方向において、塗布部材の中央部よりも、より大きい可撓性を有する。これらの条件は、アイライナーの湾曲したラインであって、塗布部材を使用してスタンプすることにより積層された複数の隣接するラインから形成された、睫毛の根元で瞼の曲率をたどるアイライナーの湾曲したラインを塗布するのに特に有利であり、塗布部材の側部の可撓性は、特に2つの隣接するライン間の接合部に実質的に連続的な輪郭、すなわち実質的に凹部/はっきりとした角度を有しない輪郭を得るために、ユーザが塗布部材の変形を修正することを可能にする。
【0042】
本発明の一実施形態において、塗布部材の少なくとも前塗布面はフロック加工を担持することが想定され得る。そのようなフロック加工は特に、塗布部材の自律性を増大させることが可能である。
【0043】
本発明は、肌にスタンプすることにより化粧用製品を塗布する、特に瞼にアイライナーを塗布するためのアプリケータであって、
- 第1端と反対側の第2端との間で長手方向軸に沿って延在するハンドルと、
- 先に定義されたとおりハンドルの第1端に取り付けられた塗布部材であって、ハンドルの前記長手方向軸が好ましくは塗布部材の長手方向軸と一致する塗布部材と
を含むアプリケータも対象とする。
【0044】
変形形態として、ハンドルの長手方向軸は、塗布部材の長手方向軸に平行であってもよく、又は塗布部材とある角度を形成してもよい。
【0045】
有利には、横断軸及び前後方向軸により画定された平面におけるハンドルの断面は凹面を画定する湾曲した輪郭を有し、前記凹面は好ましくは、横断軸及び前後方向軸により画定された平面における前塗布面の湾曲した輪郭により画定された凹面と同じ向きを有する。
【0046】
好ましくは、横断軸及び前後方向軸により画定された平面における塗布部材に属する前塗布面の湾曲した輪郭、及び/又は、この同じ平面におけるハンドルの断面図の湾曲した輪郭は、長手方向軸及び前後方向軸により画定された平面に対して対称的である。
【0047】
これらの条件によると、本発明によるアプリケータのハンドル及び塗布部材は両方共、横断軸及び前後方向軸により画定された平面において長手方向軸に沿って同じ向きの凹形を有し、その結果、ユーザは、彼女の瞼に対して適切に、すなわちメークアップされるべき目の方向において塗布部材の前塗布面の凹面を方向付けるために、アプリケータをどのように保持するか直観的及び人間工学的に決定する。
【0048】
好ましくは、横断軸及び前後方向軸により画定された平面におけるハンドルの断面の湾曲した輪郭は、湾曲した軸に沿って延在し、前記湾曲した軸は有利には、好ましくは10mm~35mm、特に約15mmの曲率半径を有する円弧を形成する。
【0049】
横断軸及び前後方向軸により画定された平面におけるハンドルの曲率は、したがって、この同じ平面における前塗布面の曲率よりはっきりとしてい得る。換言すると、横断軸及び前後方向軸により画定された平面におけるハンドルの曲率半径は、したがって、この同じ平面における前塗布面の曲線半径より小さくてもよい。これは、前塗布面の曲率が睫毛ラインの曲率に適合される限りにおいて特に有利であり、ユーザにとって比較的小さい(比較的大きい曲率半径)場合があるとともに、ユーザが、彼女がアプリケータを適切な向きにおいて保持及び操作するために、見つけることが難しい場合がある。横断軸及び前後方向軸により画定された平面におけるハンドルのよりはっきりとした曲率は、アプリケータを取扱い操作するための適切な向きをユーザにより明らかに示す。
【0050】
有利な条件によると、ハンドルの第2端は、補助塗布面であって、補助塗布面を化粧用製品と接触するように置くことにより化粧用製品を装填するのに、並びに、化粧用製品のラインであって、その形状及び輪郭が補助塗布面の形状及び輪郭に実質的に対応するラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために肌と接触するように置かれるのに好適な塗布面を有する補助塗布部材を備え、補助塗布面は特に、ハンドルの長手方向軸とある角度を形成する平面において延在し、好ましくは三角形又は滴形の外輪郭を有する。
【0051】
睫毛の根元に瞼に沿ってアイライナーのラインを、及び目尻に三角形又は滴の形のアイライナーの跳ね上げを、スタンプすることにより、同時に塗布することを可能とするアプリケータがこのようにして得られる。
【0052】
本発明の一実施形態において、補助塗布部材の少なくとも補助塗布面がフロック加工を担持することが想定され得る。そのようなフロック加工は、特に、補助塗布部材の自律性を高めることを可能にする。
【0053】
本発明の優先的な実施形態によると、塗布部材及び/又は補助塗布部材は、オーバーモールドによりハンドルの第1端及び/又は第2端に取り付けられる。このような条件は、アプリケータの製造を単純化させること、及びそのコストを抑えること、及びまた単一の物体という形においてその使用を円滑にすることを可能にする。
【0054】
この目的のために、ハンドルの第1及び第2端は、有利には、塗布部材及び/又は補助塗布部材のハンドルへのオーバーモールドによる取付けを促す中空部分を画定する突出部を有する。
【0055】
変形形態として、塗布部材及び/又は補助塗布部材はハンドルと共注入される。
【0056】
好ましくは、ハンドルは、比較的剛性のプラスチック、特に熱可塑性材料、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)などでできている。このような比較的剛性のプラスチックは、例えば80ショアDより大きいショア硬さを有し得る。
【0057】
好ましくは、塗布部材及び/又は補助塗布部材は、比較的可撓性のあるプラスチック、例えばシリコーン、ゴム又は熱可塑性エラストマー(TPE)でできている。このような比較的可撓性のあるプラスチックは、例えば20ショアA~80ショアDのショア硬さを有し得る。
【0058】
「比較的剛性」という用語は、ハンドルを作る材料となるプラスチックが塗布部材及び/又は補助塗布部材を作る材料となるプラスチックより大きい剛性を有することを意味しているとして理解されるべきである。同様に、「比較的可撓性」という用語は、塗布部材及び補助塗布部材を作る材料となるプラスチックがハンドルを作る材料となるプラスチックより大きい可撓性を有することを意味しているとして理解されるべきである。
【0059】
有利には、ハンドルを作る材料及び塗布部材を作る材料は、少なくとも10ショア単位、なおより良好には少なくとも20ショア単位の硬さにおける差を有する。
【0060】
本発明はまた、化粧用製品の、特にアイライナーの、梱包及びスタンプ塗布のための組立体であって、
- 塗布されることになる化粧用製品を含む容器と、
- 先に説明されたアプリケータと
を含む組立体に関する。
【0061】
本発明の別の態様によると、肌に化粧用製品を塗布する、特に瞼にアイライナーを塗布するための方法であって、
- 上述のとおりの梱包及び塗布組立体を提供するステップと、
- 塗布されることになる化粧製品を前塗布面の少なくとも一部に、前塗布面の前記一部を容器に含まれる化粧用製品と接触するように置くことにより装填するステップと、
- 化粧用製品のラインであって、その形状及び輪郭が前塗布面の、肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応するラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために、前塗布面に装填された化粧用製品を、肌と接触するように置くことにより、肌に塗布するステップであって、塗布部材の長手方向軸が好ましくは肌の表面に実質的に垂直に配置され、適切な場合、前塗布面の凹面が目の方向に方向付けられるステップと
であるステップを含む方法が提案される。
【0062】
有利な条件によると、本発明による方法は、前塗布面に装填された化粧用製品を肌に塗布する複数の連続的なステップであって、肌の上に連続的に積層された化粧用製品のラインが、一緒に肌に化粧用製品の連続的なライン、特に連続的な湾曲したラインを形成するために、互いに隣接し、好ましくは部分的に重なり合っているステップを含む。
【0063】
側末端で薄くなっている塗布部材の前塗布面の形状により、実質的に連続的な曲率の輪郭、すなわち、特に2つの隣接するライン間の接合部に、実質的に凹部/はっきりとした角度を有しない輪郭を形成するために、隣接するライン間の長手方向軸を中心とした角度シフトで、塗布部材を使用してスタンプすることにより積層された複数の隣接するラインから形成された、睫毛の根元で瞼の曲率をたどるアイライナーの湾曲したラインを塗布することが可能である。
【0064】
有利には、肌の上に連続的に積層された化粧用製品の2つの隣接するラインは、0.5mm~5mm、好ましくは1~3mm、特に約2mmの長さにわたって重なり合う。
【0065】
上述のとおりの塗布側面を含む塗布部材を使用する場合、本発明による方法は、有利には以下の追加的なステップ、すなわち、
- 塗布されることになる化粧用製品を塗布側面に、塗布側面を容器に含まれる化粧用製品と接触するように置くことにより装填するステップと、
- 化粧用製品のラインであって、その形状及び輪郭が塗布側面の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品のラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために、塗布側面に装填された化粧用製品を、肌と接触するように置くことにより、特に瞼の内側の角で、肌に塗布するステップであって、塗布部材の長手方向軸が好ましくは肌の表面に実質的に平行に配置され、特に、塗布側面により積層された前記ラインが隣接しているとともに前塗布面により積層された化粧用製品のラインと部分的に重なり合っているステップと
を含む。
【0066】
上述のとおりの補助塗布部材が設けられたアプリケータを使用する場合、本発明による方法は、有利には以下の追加的なステップ、すなわち、
- 塗布されることになる化粧用製品を補助塗布面に、補助塗布面を容器に含まれる化粧用製品と接触するように置くことにより装填するステップと、
- 化粧用製品のラインであって、その形状及び輪郭が補助塗布面の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品のラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために肌と接触するように置くことにより、補助塗布面に装填された化粧用製品を、特に瞼の外側の角で、肌に塗布するステップであって、補助塗布面により積層された前記ラインが好ましくは、前塗布面により積層された化粧用製品のラインに接続されるステップと
を含む。
【発明の効果】
【0067】
本発明による方法により、目は、連続的なスタンプ操作により、目頭と目尻との間で睫毛の根元で瞼にわたって延在するライン、及びまた目尻に位置する跳ね上げを含むアイライナー組成物により、容易に、人間工学的に、正確に完全にメーキャップされ得る。
【0068】
本発明は、添付図面を参照してその非限定的な実装形態の例の以下の説明を読むとより明らかに理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】本発明の第1実施形態による塗布部材を使用した第1実施形態における化粧用製品のスタンプ塗布のためのアプリケータを斜視図で示す。
【
図3】
図1及び2のアプリケータの長手方向断面における図である。
【
図5】使用の第1ジェスチャーによる、
図1~4のアプリケータを使用したアイライナーの3つのラインの連続的スタンプ塗布を示す概略図である。
【
図6】本発明の第2実施形態による塗布部材を使用した、第1実施形態における化粧用製品のスタンプ塗布のためのアプリケータの分解斜視図における部分図である。
【
図7】
図6のアプリケータの長手方向断面における部分図である。
【
図8】本発明による化粧用製品の梱包及びスタンプ塗布のための組立体を斜視図で示す。
【
図9】本発明による化粧用製品の梱包及びスタンプ塗布のための組立体のアプリケータを備えた塗布部材の前塗布面によるユーザの瞼へのアイライナーのラインのスタンプ塗布のステップを示す。
【
図10】本発明による化粧用製品の梱包及びスタンプ塗布のための組立体に属するアプリケータの補助塗布部材によるユーザの目尻へのアイライナーの跳ね上げのスタンプ塗布のステップを示す。
【
図11】本発明による化粧用製品の梱包及びスタンプ塗布のための組立体のアプリケータを備えた塗布部材の塗布側面によるユーザの目頭での瞼へのアイライナーのラインのスタンプ塗布のステップを示す。
【
図12】本発明による塗布部材の使用の第1ジェスチャーを示す。
【
図13】本発明による塗布部材の使用の第2ジェスチャーを示す。
【
図14】第2実施形態における化粧用製品のスタンプ塗布のためのアプリケータを斜視図で示す。
【
図17】
図15のラインXVII-XVIIに沿った断面における図である。
【
図18】
図15のラインXVIII-XVIIIに沿った断面における図である。
【
図19】第2実施形態における化粧用製品のスタンプ塗布のためのアプリケータの変形形態を斜視図で示す。
【
図21】使用の第1ジェスチャーによる
図14~20のアプリケータを使用するアイライナーの3つのラインの連続的スタンプ塗布を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1~4は、本発明の第1実施形態による塗布部材を使用した、第1実施形態における、肌への化粧用製品Pのスタンプ塗布のための、特に瞼へのアイライナーの塗布のためのアプリケータ1を示す。
【0071】
図1~3において見られ得るとおり、アプリケータ1は、第1端21と反対側の第2端22との間で長手方向軸X’に沿って延在するハンドル2を含む。
【0072】
本明細書において以下でより詳細に見られるとおり、ハンドル2の第1端21は塗布部材3又は主塗布部材を備え、ハンドル2の第2端22は補助塗布部材4を備える。
【0073】
主塗布部材3は、ユーザにより取り扱われ得るハンドル2の第1端21に接続された先端の形である。
【0074】
肌への化粧用製品Pのスタンプ塗布のため、特に瞼へのアイライナーの塗布のために提供された主塗布部材3は、長手方向軸X、長手方向軸Xに垂直な横断軸Y、長手方向軸X、及び横断軸Yに垂直な前後方向軸Zを画定する。
【0075】
図示の実施形態において、塗布部材3がハンドル2の第1端21に取り付けられたとき、主塗布部材3の長手方向軸Xはハンドル2の長手方向軸X’と一致する。
【0076】
図示されていない変形形態として、塗布部材3の長手方向軸Xは、塗布部材3がハンドル2の第1端21に取り付けられたとき、ハンドル2の長手方向軸X’に平行であってもハンドル2の長手方向軸Xとある角度を形成してもよく、オフセット又は偏位アームが、例えば塗布部材3をハンドル2の第1端21に接続することができる。
【0077】
図1~4において見られるとおり、主塗布部材3は、前塗布面30であって、前塗布面30を化粧用製品Pと接触するように置くことにより塗布されることになる化粧用製品P、本発明の場合においてはアイライナー組成物を装填するのに、並びに、製品Pのラインであってその形状及び輪郭が前塗布面30の、肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する製品Pのラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために、少なくとも部分的に肌、本発明の場合においては瞼、特に睫毛の根元と接触するように置かれるのに好適な前塗布面30を有する。
【0078】
主塗布部材3は、長手方向軸Xに沿って、ハンドル2に取り付けるための端を構成する第1端37と前塗布面30を担持する反対側の第2端38と有する。
【0079】
本発明によると、並びに特に
図3及び4において明らかであるとおり、前塗布面30は、横断軸Yに沿って長尺形状を有し、これは、塗布部材3が長手方向軸X及び横断軸Yにより画定された平面において見られたときに外向きに凸状である。
【0080】
「横断軸Yに沿って長尺形状」という用語は、前塗布面がこの横断軸Yに沿ってより大きい寸法を有すること、並びに長手方向軸Xに沿った及び前後方向軸Zに沿ったその寸法が横断軸Yに沿った寸法未満であることを意味しているとして理解されるべきである。
【0081】
さらに、及び
図3においてより具体的に見られるとおり、前塗布面30は有利には円形のプロファイルを有し、換言すると、前塗布面30は、主塗布部材3が長手方向軸X及び横断軸Yにより画定された平面すなわち平面X、Yにおいて見られたときに円弧に沿って延在する。
【0082】
したがって、「塗布部材が長手方向軸X及び横断軸Yにより画定された平面において見られたときに外向きに凸状である前塗布面30」という用語は、前塗布面30と、長手方向軸X及び横断軸Yにより画定されるそれに平行な任意の平面との間の交差部が、主塗布部材3の外部に向かって凸状である湾曲したセグメント、特に円形のセグメントであることを意味しているとして理解されるべきである。
【0083】
有利には、平面X、Yにおける前塗布面30の円形のプロファイルは、60mm以下、とりわけ30mm~50mm、特に約40mmの曲率半径を有する。このような曲率は、アイライナー組成物のラインを、瞼のドーム状部分のみならず、特に目頭及び目尻の領域における瞼の端の瞼のくぼんだ部分にも容易に及び正確に塗布することを可能にするために特に有利である。
【0084】
さらに、
図1~4において見られ得るとおり、前塗布面30は、主塗布部材3が長手方向軸X及び前後方向軸Zにより画定された平面すなわち平面X、Zにおいて見られたときに実質的に平らである。換言すると、前塗布面30と平面X、Zに平行な任意の平面との間の交差部は実質的に直線をなすセグメントである。
【0085】
変形形態として、主塗布部材3が長手方向軸X及び前後方向軸Zにより画定された平面すなわち平面X、Zにおいて見られたときに、前塗布面30が外向きに凸状となることが想定され得る。したがって、この変形形態において、前塗布面30と平面X、Zに平行な任意の平面との間の交差部は実質的に湾曲したセグメント、特に円形のセグメントである。
【0086】
特に、
図3及び4において見られるとおり、前塗布面30は、ハンドルに取り付けるためのその第1端37と前塗布面30を担持するその第2端38との間で長手方向軸Xに沿って高さhにわたって延在する。
【0087】
前塗布面30はさらに第1側末端31と反対側の第2側末端32との間で横断軸Yに沿って測定された幅lを有する。
【0088】
前塗布面30の幅lは有利には、10mm~20mm、特に約15mmである。
【0089】
最後に、前塗布面30は、第1エッジ33と反対側の第2エッジ34との間で前後方向軸に沿って測定される厚さを有する。
【0090】
本発明の有利な条件によると、前塗布面30の厚さeは横断軸Yに沿って移動する際に変化し、第1側末端31及び第2側末端32で最小である。
【0091】
したがって、主スタンプ塗布部材3が得られ、主スタンプ塗布部材3の前塗布面30はその側末端31、32の方向において狭くなっており、このことは、瞼、特に目頭及び目尻の領域に位置する瞼の端に、より狭い端でアイライナーのラインを塗布することを可能にし、このことは結果としてのメーキャップの審美的魅力に寄与する。
【0092】
さらに、本発明の説明の残りの部分でより詳細に提示されるとおり、側末端31、32で薄くなっている主塗布部材3の前塗布面30の形状により、実質的に連続的な曲率の輪郭、すなわち、特に2つの隣接するライン間の接合部に、実質的に凹部/はっきりとした角度を有しない輪郭を形成するために、隣接するライン間の長手方向軸Xを中心とした角度シフトで、塗布部材3を使用してスタンプすることにより積層された複数の隣接するラインから形成された、睫毛の根元で瞼の曲率をたどるアイライナーの湾曲したラインを塗布することが可能である。
【0093】
より具体的には、図示の実施形態において、前塗布面30の厚さeは第1及び第2側末端31、32でゼロであり、前塗布面30の第1及び第2エッジ33、34はこれらの第1及び第2側末端31、32で合流する。
【0094】
なおより具体的には、
図1~11において示された実施形態において、及び特に
図4において見られ得るとおり、前塗布面30の厚さeは、横断軸Yに沿って移動する際に連続的に変化し、前記前塗布面30は、長手方向軸Xに垂直な平面に突出して、実質的に楕円の形、特に楕円形を有する。
【0095】
前塗布面の最大厚さは、図示の実施形態においては、前塗布面30の第1及び第2側末端31、32の間の半分のところであり、0.5mm~2.5mm、好ましくは約1.3mmである。
【0096】
本発明の有利な条件によると、主塗布部材3の前塗布面30は、前塗布面30に実質的に垂直に延在する塗布側面35、36により側方に長くなっている。
【0097】
前塗布面30の方式において、塗布側面35、36は、塗布側面35、36を化粧用製品Pと接触するように置くことにより化粧用製品Pを装填するのに、並びに、化粧用製品Pのラインであってその形状及び輪郭が塗布側面35、36の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品Pのラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために肌と接触するように置かれるのに好適である。
【0098】
有利には、塗布側面35、36は塗布部材が平面X、Yにおいて見られたときに外向きに凹形である。
【0099】
「塗布部材が平面X、Yにおいて見られたときに外向きに凹形」という用語は、塗布側面35、36と平面X、Yに平行な任意の平面との間の交差部が、主塗布部材3の外部に向かって凹形である湾曲したセグメント、特に円形のセグメントであることを意味しているとして理解されるべきである。
【0100】
本明細書において以下で説明されるとおり、平面X、Yにおける塗布側面35、36の外向きに凹形のプロファイルは、スタンプすることにより、アイライナーのラインを睫毛の根元に、特に目頭及び目尻の領域に位置する瞼のくぼんだ部分に塗布することを容易に及び正確に可能にする。
【0101】
好ましくは、塗布側面35、36は主塗布部材3が平面X、Yにおいて見られたときに円形のプロファイルを有し、前記円形のプロファイルは好ましくは140mm~170mm、特に約155mmの曲率半径を有する。これらの条件により、平面X、Yにおける塗布側面35、36の曲率は、特に、目頭及び目尻の領域において位置する瞼のくぼんだ部分でのアイライナーのラインの鮮明で厳密な塗布に特に良く適している。
【0102】
図6及び7は、本発明の第2実施形態による塗布部材を使用する化粧用製品のスタンプ塗布のためのアプリケータを示す。本発明のこの第2実施形態は、塗布側面35、36が長手方向軸Xに沿ってより大きい寸法を有するという点で第1のものと異なっている。
【0103】
したがって、第1実施形態において、主塗布部材3は、長手方向軸Xに沿って、3mm~6mm、例えば約4.5mmの高さを有し、第2実施形態において、主塗布部材3は、長手方向軸Xに沿って、10mm~20mm、例えば約15mmの高さhを有する。
【0104】
さらに、特に
図1~3において見られ得るとおり、ハンドル2の第2端22は補助塗布部材4を備えている。
【0105】
この補助塗布部材4は、補助塗布面40であって、補助塗布面40を化粧用製品Pと接触するように置くことにより化粧用製品Pを装填するのに、並びに、化粧用製品Pのラインtsであって、その形状及び輪郭が補助塗布面40の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品Pのラインtsをスタンプすることにより肌に積層するために肌と接触するように置かれるのに好適な補助塗布面40を有する。
【0106】
補助塗布面40は、ハンドル2の長手方向軸X’とある角度を形成する平面において延在するとともに三角形又は滴形の外輪郭を有する。
【0107】
この補助塗布部材4は目尻へのアイライナーの跳ね上げのスタンプ塗布を可能にする。
【0108】
アプリケータ1がしたがって得られ、このアプリケータ1は、主塗布部材3に属する前塗布面30及び塗布側面35、36を使用した睫毛の根元での、瞼に沿ったアイライナーのラインのスタンプ塗布、並びに補助塗布部材4に属する補助塗布面40を使用した目尻へのアイライナーの跳ね上げのスタンプ塗布の両方を可能にする。
【0109】
好ましくは、アプリケータのハンドル2並びに主及び補助塗布部材3、4はプラスチックでできている。
【0110】
より正確には、ハンドル2は有利には、比較的剛性のプラスチック、特に熱可塑性材料、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)などでできている。このような比較的剛性のプラスチックは、例えば80ショアDより大きいショア硬さを有し得る。
【0111】
さらに、主塗布部材3及び補助塗布部材4は、比較的可撓性のあるプラスチック、例えばシリコーン、ゴム又は熱可塑性エラストマー(TPE)でできている。このような比較的可撓性のあるプラスチックは、例えば20ショアA~80ショアDのショア硬さを有し得る。
【0112】
「比較的剛性」という用語は、ハンドル2を作る材料となるプラスチックが、主塗布部材3及び補助塗布部材4を作る材料となるものより大きい剛性を有することを意味しているとして理解されるべきである。同様に、「比較的可撓性」という用語は、主塗布部材3及び補助塗布部材4を作る材料となるプラスチックはハンドル2を作る材料となるものより大きい可撓性を有することを意味しているとして理解されるべきである。
【0113】
有利には、ハンドル2を作る材料並びに主塗布部材3及び補助塗布部材4を作る材料は、少なくとも10ショア単位、なおより良好には少なくとも20ショア単位の固さの違いを有する。
【0114】
有利には、主塗布部材3及び補助塗布部材4は、オーバーモールドによりアプリケータ1のハンドル2に組み付けられる。
【0115】
この目的のために、ハンドル2の第1及び第2端21、22は有利には、ハンドル2への主塗布部材3及び補助塗布部材4のオーバーモールドによる取付けを促すための中空部分を画定する突出部を有する。
【0116】
主塗布部材3を受けているハンドル2の第1端21はしたがって、ハンドル2の本体と中空を画定する弧210を有し、この中空には、主塗布部材3の構成要素材料がハンドル2への主塗布部材3のオーバーモールド中に貫入する。
【0117】
補助塗布部材4を受けているハンドル2の第2端22はしたがって、ハンドル2の第2端22上へのオーバーモールドによる補助塗布部材の取付けを促すためのリリーフを画定することを可能にする任意選択的に半径方向溝が設けられたスタッド220を有する。
【0118】
変形形態として、スタッドは、補助塗布部材4に提供された相補的ハウジング内部に把持により挿入されるよう適合される。
【0119】
なお別の変形形態によると、主塗布部材3及び/又は補助塗布部材4はハンドル2と共注入される。
【0120】
本発明はまた、
図8に示された組立体であって、先に説明されたアプリケータ1と、アプリケータを使用して塗布されることになる製品Pを含む容器5と、本発明の場合においては、瞼に塗布されることになるアイライナー組成物とを含む組立体に関する。
【0121】
先に説明されたアプリケータを使用した瞼へのアイライナー組成物のスタンプ塗布のための本発明による方法がここで、
図5及び8~11に関連して説明される。
【0122】
本発明による方法の第1ステップにおいて、先に説明され
図8において見られる化粧用製品の梱包及び塗布のための組立体が提供される。
【0123】
第2ステップにおいて、前塗布面30の少なくとも一部に、前塗布面30の前記部分を容器5に含まれる化粧用製品Pと接触するように置くことにより、塗布されることになる化粧用製品P、本発明の場合においてはアイライナー組成物が装填される。
【0124】
使用の第1ジェスチャーによると、ユーザは、前塗布面30全体を容器5に含まれる化粧用製品Pと接触させることにより、前塗布面30全体に塗布されることになる化粧用製品P、この場合はアイライナー組成物を装填する。
【0125】
使用の第2ジェスチャーによると、ユーザは、前塗布面30全体又は前塗布面の一部のみを容器5に含まれる化粧用製品Pと接触させることにより、前塗布面30全体又は前塗布面30の一部のみ、例えば前塗布面の中央部若しくは側部、特に側方半分に、塗布されることになる化粧用製品P、この場合はアイライナー組成物を装填することができる。
【0126】
第3ステップにおいて、
図9において見られ得るとおり、化粧用製品Pのラインtであって、その形状及び輪郭が前塗布面30の、瞼と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品Pのラインtを、スタンプすることにより肌に堆積させるために、前塗布面30に装填された化粧用製品Pは、前塗布面30を瞼に接触させることにより瞼に塗布され、塗布部材3の横断軸Yは好ましくは睫毛の植え込みのラインに実質的に平行に延在し、塗布部材3の長手方向軸Xは好ましくは瞼の表面に実質的に垂直に配置される。
【0127】
使用の第1ジェスチャーによると、ユーザは、化粧用製品Pの痕跡であって、その形状及び輪郭が前塗布面30の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品Pの痕跡を、スタンプすることにより肌に堆積させるために、実質的に全ての前塗布面30を肌と接触させるように置く。
【0128】
したがって、使用のこの第1ジェスチャーによると、アイライナーの痕跡tであって、その形状及び輪郭が前塗布面30のものに実質的に対応するアイライナーの痕跡tの瞼への塗布は、アプリケータ部材3の横断軸Yが睫毛の植え込みのラインに実質的に平行に延在し、アプリケータ部材3の長手方向軸Xが好ましくは瞼に実質的に垂直に延在する状態で、製品が装填された前塗布面30を睫毛の根元で瞼と接触するように置くことにより、並びに、
図12に示されるとおり、第1及び第2の回転方向に交互の、前後方向軸Zの周りでのアプリケータ部材3の回転により、前塗布面30を瞼上で転動させることにより達成される。
【0129】
この
図12において、アプリケータ1は、使用の第1ジェスチャーにより瞼にアイライナーの完全なラインを作ることを可能にするスタンプ塗布の3つの連続的な位置において示されており、長手方向軸X1、X2、X3は、睫毛植え込みラインに沿って、瞼上の3つの連続的な位置を占めているとともに、各場合において瞼に実質的に垂直に延在しており、前塗布面30はこのとき、
図12において両矢印によって示されているとおり、第1及び第2の回転方向に交互の、前後方向軸Zの周りでのアプリケータ部材3の回転により、瞼の上を転動するようになされている。
【0130】
長手方向軸X及び横断軸Yにより画定された平面においてアプリケータ部材3を見たときの前塗布面30の外向きに凸状の形は、有利には、前後方向軸Zの周りでのアプリケータ部材3の回転により、瞼での前塗布面30のこの転動運動を容易にする。
【0131】
使用の第2ジェスチャーによると、ユーザは前塗布面30の全て又は一部に化粧用製品を装填するとともに、化粧用製品の痕跡であって、その形状及び輪郭が、前塗布面30の、肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する化粧用製品の痕跡を、スタンプすることにより肌に堆積させるために、製品が装填された表面30の一部のみ、例えば前塗布面30の中央部又は側部、特に側方半分を、肌と接触するように置く。
【0132】
したがって、使用のこの第2ジェスチャーによると、アイライナー痕跡であって、その形状及び輪郭が、前塗布面30の、瞼と接触するように置かれた部分のものに実質的に対応するアイライナー痕跡の瞼への塗布は、
図13に示されるとおり、アプリケータ部材3の横断軸Yが睫毛植え込みラインに実質的に平行に延在し、特にアプリケータ部材3の長手方向軸Xが瞼に実質的に垂直に延在し、好ましくは前塗布面30が瞼上で転動することが無い状態で、製品が装填された前塗布面30の一部を睫毛の根元で瞼と接触するように置くことにより実施される。
【0133】
この
図13において、アプリケータ1は、使用の第2ジェスチャーにより瞼にアイライナーの完全なラインを作ることを可能にするスタンプ塗布の5つの連続的な位置において示されており、長手方向軸X1、X2、X3、X4、X5は睫毛の植え込みのラインに沿って瞼上の5つの連続的な位置を占めており、毎回瞼に実質的に垂直に延在する。使用の第1ジェスチャーとは異なり、使用の第2ジェスチャーにおいては、アプリケータは前後方向軸の周りでうずかず(tingled)、ユーザは軽い接触により製品を瞼に塗布し、瞼に垂直にアプリケータを動かす。
【0134】
本発明による方法の有利な条件によると、前塗布面30上に装填されたアイライナー組成物Pの瞼への塗布の複数の連続的なステップは、
図11において見られ得るとおり、目頭C1及び目尻C2の領域に位置する瞼の端の間で、睫毛の根元で、瞼の長さ全体に沿って、アイライナーのラインを瞼に形成するために実施される。
【0135】
この
図11において見られ得るとおり、肌に連続的に積層されたアイライナー組成物Pのラインは、互いに隣接しているとともに、部分的に重なり合って、目頭C1及び目尻C2の領域に位置する瞼の端の間で、睫毛の根元で、瞼のトポロジーをたどる連続的な湾曲したラインTを肌に一緒に形成する。
【0136】
図5は、使用の第1ジェスチャーによる、
図1~4のアプリケータによるアイライナーの3つの痕跡t1、t2、t3のスタンプによる連続的塗布を示し、ここでは、ユーザは前塗布面全体に製品Pを装填するとともに、塗布部材3の横断軸Y1、Y2、Y3が睫毛の植え込みのラインに実質的に平行に延在し、好ましくは、アプリケータ部材3の長手方向軸X1、X2、X3が瞼に実質的に垂直に延在する状態で、
図12に示されるとおり第1及び第2の回転方向に交互に前後方向軸の周りでのアプリケータ部材3の回転により、前塗布面30を瞼上で転動させて、前塗布面30全体を睫毛の根元で瞼に接触させることにより装填された製品を瞼に塗布する。
【0137】
使用の第1又は第2ジェスチャーによる本発明による方法の有利な条件によると、及び
図5に表されたとおり、肌に連続的に積層されたアイライナー組成物Pの2つの隣接するラインt1、t2、t3は、0.5mm~5mm、好ましくは1~3mm、特に約2mmの長さLsp1、Lsp2にわたって重なり合う。
【0138】
第1及び第2の隣接するラインt1、t2及びt2、t3のこの重ね合わせ長さLsp1、Lsp2は、塗布された第2ラインt2、t3の横断軸Y2、Y3に沿って測定される。
【0139】
したがって、
図5において示された実施形態において、第1ラインt1と第2ラインt2との間の重ね合わせ長さLsp1は、第2ラインt2の横断軸Y2に沿って測定され、第2ラインt2と第3ラインt3との間の重ね合わせ長さLsp2は、第3ラインt3の横断軸Y3に沿って測定される。
【0140】
さらに、及び本発明による方法の別の有利な条件によると、前塗布面30を使用してアイライナー組成物Pを塗布する連続的ステップは、アイライナー組成物の第1ラインtnと隣接するラインtn+1との間に長手方向軸Xを中心とした角度シフトα1、α2を与えることにより実施される。
【0141】
したがって、及び
図5において見られ得るとおり、アイライナー組成物Pの第1ラインt1は、瞼の、アイライナー組成物Pの第1ラインt1を塗布することが望ましい場所に適合されることを意図した長手方向軸Xを中心とした第1角度方向で横断軸Y1を置くことにより瞼に積層される。
【0142】
第2ラインt2が次いで、塗布部材をその長手方向軸Xを中心として角度α1だけ角度シフトさせることにより、及び第2ラインt2を第1ラインt1と重ね合わせ長さLsp1にわたって部分的に重ね合わせることにより塗布される。
【0143】
第3ラインt3が次いで、塗布部材をその長手方向軸Xを中心として角度α2だけ角度シフトさせることにより、及び第3ラインt3を第2ラインt2と重ね合わせ長さLsp2にわたって部分的に重ね合わせることにより塗布される。
【0144】
図示の実施形態において、一方の第1及び第2ラインt1、t2の間、他方の第2及び第3ラインt2、t3間の重ね合わせ長さLsp1、Lsp2は等しい。
【0145】
しかしながら、これらの重ね合わせ長さLsp1、Lsp2は本発明の趣旨から逸脱すること無しに異なってもよく、本質的な特徴は、ラインの全てが、目頭C1及び目尻C2の領域に位置する瞼の端の間で、睫毛の根元で瞼のトポロジーをたどる連続的な湾曲したラインTを形成するという点である。
【0146】
同様に、図示の実施形態において、一方の第1及び第2ラインt1、t2の横断軸と、他方の第2及び第3ラインt2、t3の横断軸との間の長手方向軸Xを中心としたシフト角度α1、α2は、同一である。
【0147】
しかしながら、シフト角度α1、α2は本発明の趣旨から逸脱すること無しに異なってもよく、本質的な特徴は、ラインの全てが、目頭C1及び目尻C2の領域に位置する瞼の端の間で、睫毛の根元で瞼のトポロジーをたどる連続的な湾曲したラインTを形成するという点である。
【0148】
さらに、図示の実施形態において、3つのラインt1、t2、t3は、一緒に、目頭C1及び目尻C2の領域に位置する瞼の端の間で、睫毛の根元で瞼のトポロジーをたどる連続的な湾曲したラインTを形成するように塗布されるが、このラインTは3つを超える又は3つ未満のラインで作られ得る。
【0149】
特に、及び
図13において見られるとおり、本発明によるアプリケータ部材の使用の第2ジェスチャーは、使用の第1ジェスチャーのように睫毛の根元にアイライナーの完全なラインを形成するのにより多くの数の連続的塗布を課す。
【0150】
図示の例示的実施形態において、目頭C1から目尻C2への睫毛の根元のアイライナーの完全なラインは、ユーザが
図12において見られる使用の第1ジェスチャーを採用する場合は3つの連続的塗布で、ユーザが
図13に示される使用の第2ジェスチャーを採用する場合は5つの連続的塗布で作られる。
【0151】
図5において見られ得るとおり、2つの隣接するラインt1、t2、t3の部分的な重なり合いと組み合わされた平面Y、Zに突出する前塗布面の楕円形は、結果としてのラインTであって、その輪郭が湾曲しているとともに連続的な、すなわち特に2つの隣接するライン間の接合部に本質的に凹部/はっきりとした角度の無い、結果としてのラインTを作ることを可能にする。
【0152】
有利な条件によると、及び
図11に示されるとおり、本発明による方法は、追加的なステップであって、
- 塗布側面35、36を容器5に含まれるアイライナー組成物Pと接触するように置くことにより、塗布されることになるアイライナー組成物Pを塗布側面35、36に装填するステップと、
- アイライナー組成物Pのラインであって、その形状及び輪郭が塗布側面35、36の形状及び輪郭に実質的に対応するアイライナー組成物Pのラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために、塗布側面35、36上に装填されたアイライナー組成物Pを、肌と接触するように置くことにより、特に瞼の内側の角C1で肌に塗布するステップであって、塗布部材3の長手方向軸Xが好ましくは肌の表面に実質的に平行に配置され、塗布側面35、36により積層された前記ラインが隣接しているとともに、前塗布面30により積層されたアイライナー組成物Pのラインtと部分的に重なり合っているステップと
である追加的なステップを含み得る。
【0153】
最後に、本発明による方法は、
図10及び11に示されるとおり目尻C2に跳ね上げVを形成することである瞼へのアイライナー組成物の塗布を仕上げるステップを有利には含み得る。
【0154】
したがって、本発明による方法は、有利には、追加的なステップであって、
- 補助塗布面40を容器5に含まれるアイライナー組成物Pと接触するように置くことにより、塗布されることになるアイライナー組成物Pを補助塗布部材4の補助塗布面40に装填するステップと、
- アイライナー組成物Pのラインtsであって、その形状及び輪郭が補助塗布面40の形状及び輪郭に実質的に対応するアイライナー組成物Pのラインtsをスタンプすることにより肌に堆積させるために、肌と接触するように置くことにより、補助塗布面40上に装填されたアイライナー組成物Pを特に瞼の外側の角C2で肌に塗布するステップであって、補助塗布面40により積層された前記ラインtssが前塗布面30により積層されたアイライナー組成物Pのラインtに隣接しているステップと
である追加的なステップを含む。
【0155】
したがって、本発明による塗布部材3、アプリケータ1及び方法により、スタンプすることにより瞼に、目頭C1及び目尻C2の領域に位置する瞼の端の間で、睫毛の根元で瞼のトポロジーをたどるラインTを塗布することが可能であり、ラインTの輪郭は湾曲しているとともに連続的であり、すなわち2つの連続的に積層された隣接するライン間の接合部に凹部/はっきりとした角度を実質的に有しない。
【0156】
本発明による方法により、目は、連続的なスタンプ操作により、目頭C1及び目尻C2の間で睫毛の根元で瞼にわたって延在するラインT、及びまた目尻に位置する跳ね上げVを含むアイライナー組成物により、容易に、人間工学的に、正確に完全にメーキャップされ得る。
【0157】
図14~21は、第2実施形態における、肌への化粧用製品Pのスタンプ塗布のための、特に瞼へのアイライナーの塗布のためのアプリケータ1’を示す。
【0158】
これらの図において、アプリケータの第1実施形態と同一又は同様の要素は、句読点’が追加された同じ参照符号により示されている。
【0159】
本発明によるアプリケータ第1及び第2実施形態の間で共通のこれらの要素は、再度詳細に説明されることはなく、第2実施形態を第1実施形態から区別する要素のみが以下の詳細な説明の対象となる。
【0160】
特に
図14、15、19及び20において見られ得るとおり、アプリケータ1’は、第1端21’と反対側の第2端22’との間で長手方向軸X’に沿って延在するハンドル2’を含む。
【0161】
ハンドル2’の第1端21’は塗布部材3’又は主塗布部材を備えており、ハンドル2’の第2端22’は補助塗布部材4’を備えている。
【0162】
これらの
図14、15、19及び20に示された実装例において、この補助塗布部材4’は本発明によるアプリケータの第1実施形態に関連して説明されたものと同一である。
【0163】
変形形態として、ハンドル2’の第2端22’には、アイライナー塗布ニブ、例えば繊維状材料、例えばフェルトでできているニブ又はエラストマーでできているニブが提供され得る。このようなアイライナー塗布ニブは有利には、特に毛細管作用又は流動によりアイライナーが供給されるように、ハンドル2’において一体化されたアイライナー貯蔵器に流体接続される。
【0164】
主塗布部材3’は、ユーザにより取り扱われ得るハンドル2’の第1端21’に接続された先端の形である。
【0165】
肌への化粧用製品Pのスタンプ塗布のために、特に瞼へのアイライナーの塗布のために提供された主塗布部材3’は、長手方向軸X、長手方向軸Xに垂直な横断軸Y、並びに長手方向軸X及び横断軸Yに垂直な前後方向軸Zを画定する。
【0166】
図14、15、19及び20において見られ得るとおり、塗布部材3’がハンドル2’の第1端21’に取り付けられると、主塗布部材3’の長手方向軸Xはハンドル2’の長手方向軸X’と一致する。
【0167】
これらの図において見られるとおり、主塗布部材3’は、前塗布面30’であって、前塗布面30’の少なくとも一部を化粧用製品Pと接触するように置くことにより、塗布されることになる化粧用製品P、本発明の場合においてはアイライナー組成物を装填するのに、並びに、製品Pのラインであって、その形状及び輪郭が前塗布面30’の、肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する製品Pのラインをスタンプすることにより肌に堆積させるために、肌、本発明の場合においては、特に睫毛の根元で瞼と接触するように置かれるのに好適な前塗布面30’を有する。
【0168】
主塗布部材3’は、長手方向軸Xに沿って、ハンドル2’に取り付けるための端を構成する第1端37’と前塗布面30’を担持する反対側の第2端38’とを有する。
【0169】
本発明によるアプリケータ1の第1実施形態との関連において説明されたとおり、前塗布面30’は、横断軸Yに沿って、塗布部材3’が長手方向軸X及び横断軸Yにより画定された平面において見られたときに外向きに凸状である長尺形状を有する。
【0170】
同様に、前塗布面30’はさらに、第1側末端31’と反対側の第2側末端32’との間で横断軸Yに沿って測定される幅l’を有する。
【0171】
前塗布面30’の幅l’は、有利には10~20、特に約15mmである。
【0172】
さらに、
図16においても見られ得るとおり、本発明の第2実施形態によるアプリケータ1’に属する塗布部材3’の前塗布面30’は、塗布部材3’が横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面において見られたときに凹面Cを画定する湾曲した輪郭を有する。
【0173】
横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面における前塗布面30’の湾曲した輪郭は湾曲した軸Acに沿って延在する。
【0174】
この湾曲した軸Acは有利には、60mm以下、とりわけ30mm~200mmの曲率半径Rを有する円弧を形成する。
【0175】
図14~21において示された実装例において、特に
図17において見られ得るとおり、湾曲した軸Acの曲率半径Rは約50mmである。
【0176】
平面Y、Zにおいて前塗布面30’の湾曲した輪郭により画定された凹面Cは有利にはZ軸に沿って0.2mm~1.5mmの奥行pを有する。特に
図17において示された実装例において、この奥行pは約0.7mmである。
【0177】
これらの条件によると、横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面における前塗布面30’の曲率は、睫毛の根元でのアイライナーのラインのスタンプ塗布の容易さ、人間工学及び精度を高めるのに特に良く適しており、この湾曲した輪郭により画定された凹面Cは、アイライナーの塗布されたラインがこの睫毛のラインを可能な限り接近してたどるように睫毛のラインの曲率に適合される。
【0178】
有利には、
図14~21において示された実装例において、横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面におけるハンドル2’の断面もまた、凹面C’を画定する湾曲した輪郭を有する。この凹面C’は、横断軸及び前後方向軸により画定されたこの同じ平面における前塗布面30’の湾曲した輪郭により画定された凹面Cと同じ向きを有する。
【0179】
横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面における塗布部材3’に属する前塗布面30’の湾曲した輪郭並びにこの同じ平面におけるハンドル2’の断面の湾曲した輪郭は、長手方向軸X及び前後方向軸Yにより画定された平面に対して対称的である。換言すると、横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面における塗布部材3’に属する前塗布面30’の湾曲した輪郭並びにこの同じ平面におけるハンドル2’の断面の湾曲した輪郭は、軸Y、Z上で互いに対して中心に置かれる。好ましくは、これらの2つの湾曲した輪郭はまた、長手方向軸X上で互いに対して中心に置かれる。
【0180】
これらの条件によると、アプリケータ1’のハンドル2’及び塗布部材3’は両方共横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面において長手方向軸Xに沿って同じ向きの凹形を有し、その結果ユーザは、塗布部材3’の前塗布面30’の凹面Cを彼女の瞼に対して適切に、すなわちメークアップされることになる目の方向に方向付けるためにどのようにアプリケータ1’を保持するのか直観的及び人間工学的に決定する。
【0181】
横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面におけるハンドル2’の断面の湾曲した輪郭は有利には湾曲した軸Ac’に沿って延在する。
【0182】
この湾曲した軸Ac’は、有利には、10mm~35mmの曲率半径R’を好ましくは有する円弧を形成する。
【0183】
図14~21において示された実装例において、特に
図18において見られ得るとおり、湾曲した軸Ac’の曲率半径R’は約15mmである。
【0184】
平面Y、Zにおけるハンドル2’の断面の湾曲した輪郭により画定された凹面C’は、有利にはZ軸に沿って0.4mm~3mmの奥行p’を有する。特に
図17に示された実装例において、この奥行p’は約0.9mmである。
【0185】
横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面におけるハンドル2’の曲率は、したがって、この同じ平面における前塗布面30’の曲率よりもはっきりとしている。
【0186】
換言すると、横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面におけるハンドル2’の曲率半径R’は、この同じ平面における前塗布面30’の曲率半径Rより小さい。
【0187】
横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面におけるハンドル2’のよりはっきりとした曲率は、アプリケータ1’を取扱い操作するための適切な向きをユーザに明らかに示す。
【0188】
特に
図16において見られるとおり、前塗布面30’の厚さeは、湾曲した軸Acをたどって横断軸Yに沿って移動する際に実質的に一定である。
【0189】
前塗布面30’の第1及び第2エッジ33’、34’は第1側末端31’及び第2側末端32’で合流し、丸い形を形成する。
【0190】
前塗布面30’は、横断軸Y及び前後方向軸Zにより画定された平面上に突出して、湾曲した実質的に長楕円の形を有する。
【0191】
有利な条件によると、前塗布面30’の第1エッジ33’及び第2エッジ34’は、特に第1側末端31’及び第2側末端32’に、長手方向軸に沿って前塗布面30’から突出するリムを有する。
【0192】
このようなリムであって、前塗布面30’に対する長手方向軸Xに沿ったその突出距離が例えば0.05mm~1mm、又はさらには1.5mmであり得るリムは、有利には、前塗布面30’とこの突出リムとの間に化粧用製品のリザーブを作り出すことを可能にし、したがって、塗布部材3’上に担持され得る化粧用製品の量を増加させるとともにその自律性を高め、ユーザがそれに製品を装填しなければならなくなる頻度を低くする。
【0193】
有利な条件によると、
図19及び20において見られ得るとおり、塗布側面35’、36’は各々長手方向軸X及び横断軸Yにより画定された平面において刻み目350’、360’を有する。
【0194】
長手方向軸Xに沿った塗布部材3’の高さhfは、したがって、その中央部の高さhと比べてその側部において減少する。塗布部材3’のこれらの側部であって、それに垂直な刻み目350’、360’を有する塗布部材3’のこれらの側部は、したがって、塗布部材3’の中央部よりも特に長手方向軸X及び前後方向軸Zの方向においてより大きい可撓性を有する。
【0195】
図5と同様に、塗布部材3’であって、その前塗布面30’が平面X、Yにおいて見られたときに外向きに凸状であり、また平面Y、Zにおいて見られたときに凹面Cを画定する湾曲した輪郭を有する塗布部材3’の、使用の第1ジェスチャーによる使用によるアイライナーの3つのラインt1’、t2’、t3’の連続的塗布の後に得られたアイライナーのラインT’を示す
図21において明らかに見られ得るとおり、比較的はっきりとした曲率で、瞼であってアイライナーが睫毛の根元に塗布される瞼のトポロジーをたどる連続的な、鋭く凹部の無いラインT’が作られ得る。
【0196】
本発明の一実装形態において、塗布部材3、3’若しくは塗布部材3、3’の少なくとも前塗布面30、30’、及び/又は補助塗布部材4、4’若しくは少なくとも補助塗布面40、40’はフロック加工を有するようになっている。
【0197】
第1及び第2実施形態による塗布部材3、3’は、使用の第1又は第2ジェスチャーと共に使用され得る。
【符号の説明】
【0198】
1 アプリケータ
1’ アプリケータ
2 ハンドル
2’ ハンドル
3 塗布部材
3 補助塗布部材
3’ 塗布部材
4 補助塗布部材
4’ 補助塗布部材
5 容器
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌への化粧用製品(P)のスタンプ塗布のため、特に瞼へのアイライナーの塗布のための塗布部材(3、3’)であって、長手方向軸(X)、前記長手方向軸(X)に垂直な横断軸(Y)、並びに前記長手方向軸(X)及び前記横断軸(Y)に垂直な前後方向軸(Z)を画定し、前塗布面(30、30’)であって、前記前塗布面(30、30’)を前記化粧用製品(P)と接触するように置くことにより前記化粧用製品(P)を装填するのに、並びに、化粧用製品(P)のライン(t、t’)であって、その形状及び輪郭が、前記前塗布面(30、30’)の、前記肌と接触するように置かれた部分の形状及び輪郭に実質的に対応する前記化粧用製品(P)のライン(t、t’)をスタンプすることにより前記肌に堆積させるために、少なくとも部分的に前記肌と接触するように置かれるのに好適な前塗布面(30、30’)を有する塗布部材(3、3’)において、
前記前塗布面(30、30’)が、前記横断軸(Y)に沿って長尺形状を有し、前記塗布部材(3、3’)が前記長手方向軸(X)及び前記横断軸(Y)により画定された平面において見られたときに、前記前塗布面(30、30’)が外向きに凸状であることを特徴とする、塗布部材(3、3’)。
【外国語明細書】