(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093603
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】癌を治療するための併用療法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230627BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20230627BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230627BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230627BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/70 20060101ALI20230627BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230627BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/551 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20230627BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230627BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61K45/06
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K48/00
A61K31/70
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/02
A61K31/502
A61K31/551
A61K31/4545
A61K31/407
A61K31/496
A61K31/519
A61K31/5025
A61K31/517
A61K31/454
A61K31/55
A61K31/4184
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067482
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2019561977の分割
【原出願日】2018-05-09
(31)【優先権主張番号】62/503,879
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/508,359
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/556,255
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/634,789
(32)【優先日】2018-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/646,332
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/648,327
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514118169
【氏名又は名称】テサロ, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514186526
【氏名又は名称】メルク シャープ アンド ドーム ベスローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】MERCK SHARP & DOHME B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリ、ボビレフ
(72)【発明者】
【氏名】ブルース、デズブ
(72)【発明者】
【氏名】ペン、サン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、アール.ファーガソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】癌を治療する方法を提供する。
【解決手段】対象において癌を治療する方法であって、前記癌が白金耐性であり、かつ、前記対象がBRCA陰性であり、前記方法が、プログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する療法(「抗PD-1療法」)およびポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する療法(「抗PARP療法」)の一方または両方を、対象が両方の療法による処置を受けるように、対象に投与することを含んでなる、方法を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において癌を治療する方法であって、前記癌が白金耐性であり、かつ、前記対象がBRCA陰性であり、前記方法が、プログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する療法(「抗PD-1療法」)およびポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する療法(「抗PARP療法」)の一方または両方を、対象が両方の療法による処置を受けるように、対象に投与することを含んでなる、方法。
【請求項2】
前記対象がgBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象がtBRCA陰性である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記癌が婦人科癌または乳癌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記癌が卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記癌がPD-L1陰性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗PD-1療法がPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤の投与を含んでなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が抗PD-1抗体薬である、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗PD-1抗体薬がBGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、およびそれらの誘導体からなる群から選択される抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗PD-1抗体がペンブロリズマブまたはその誘導体である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記抗PD-1療法が抗PD-L1/L2薬の投与を含んでなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗PD-L1/L2薬が抗PD-L1抗体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記抗PD-L1抗体薬がアテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、またはそれらの誘導体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗PARP療法がPARPを阻害する薬剤の投与を含んでなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記PARPを阻害する薬剤が小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記PARPを阻害する薬剤がABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 8983、CEP 9722、DR 2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR 3162)、IMP 4297、INO1001、JPI 289、JPI 547、モノクローナル抗体B3-LysPE40コンジュゲート、MP 124、ニラパリブ(ZEJULA)(MK-4827)、NU 1025、NU 1064、NU 1076、NU1085、オラパリブ(AZD2281)、ONO2231、PD 128763、R 503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)(AG-014699、PF-01367338)、SBP 101、SC 101914、シムミパリブ、タラゾパリブ(BMN-673)、ベリパリブ(ABT-888)、WW 46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール、およびそれらの塩または誘導体からなる群から選択される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記PARPを阻害する薬剤が小分子である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記PARPを阻害する薬剤がニラパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、およびベリパリブ、またはそれらの塩もしくは誘導体からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記PARPを阻害する薬剤がニラパリブまたはその塩もしくは誘導体である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗PD-1療法および前記抗PARP療法が少なくとも1回の2~12週治療サイクルを含む投与計画に従って投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗PD-1療法および前記抗PARP療法が21日の反復サイクルで投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗PD-1療法がサイクル1の1日目に投与される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗PD-1療法が後続サイクルの1日目に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記抗PD-1療法が後続サイクルの1~3日前または1日後に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記抗PD-1療法が200mgのペンブロリズマブまたは2mg/kgのペンブロリズマブに相当する用量で投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記抗PD-1療法が静脈内に投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗PD-1療法が3mg/kgまたは240mgのニボルマブに相当する用量で投与される、請求項21および23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記抗PD-1療法が約60分かけて静脈内に投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記抗PARP療法がFDA承認用量より少ない用量で投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
抗PARP療法が1日1回200mgのニラパリブに相当する用量で投与される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗PARP療法が経口投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記処置が患者のパーセンテージにおいて臨床利益に達することが実証されている、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記臨床利益が安定(「SD」)、部分奏効(「PR」)および/または完全奏効(「CR」)である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記癌が白金不応性である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記対象が1以上の異なる癌治療法で従前に処置されている、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記対象が放射線療法、化学療法または免疫療法の1以上で従前に処置されている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記対象が1、2、3、4、または5系統の前療法で処置されている、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記対象が1または2系統の前療法で処置されている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が1系統の前療法で処置されている、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が2系統の前療法で処置されている、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記前療法が細胞傷害療法である、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、前記癌が最終系統の白金に基づく前療法の6か月以内に進行した、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、前記癌が最終系統の白金に基づく前療法の30日以内に進行した、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
抗PD-1療法および抗PARP療法の両方を前記対象に投与することを含んでなる、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
癌を治療する方法であって、前記方法が、プログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する薬剤およびポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する薬剤の一方または両方を、対象が両方による処置を受けるように、対象に投与することを含んでなり、前記PARPを阻害する薬剤が、FDA承認用量より少ない用量で投与される、方法。
【請求項47】
前記PARPを阻害する薬剤が毎日200mgのニラパリブに相当する用量で投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記PARPを阻害する薬剤の用量が経口投与される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記PARPを阻害する薬剤が小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である、請求項46~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記PARPを阻害する薬剤がABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 8983、CEP 9722、DR 2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR 3162)、IMP 4297、INO1001、JPI 289、JPI 547、モノクローナル抗体 B3-LysPE40コンジュゲート、MP 124、ニラパリブ(ZEJULA)(MK-4827)、NU 1025、NU 1064、NU 1076、NU1085、オラパリブ(AZD2281)、ONO2231、PD 128763、R 503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)(AG-014699、PF-01367338)、SBP 101、SC 101914、シムミパリブ、タラゾパリブ(BMN-673)、ベリパリブ(ABT-888)、WW 46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール、およびそれらの塩または誘導体からなる群から選択される、請求項46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記PARPを阻害する薬剤が小分子である、請求項46~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記PARPを阻害する薬剤がニラパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、およびベリパリブ、またはそれらの塩もしくは誘導体からなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記PARPを阻害する薬剤がニラパリブまたはその塩もしくは誘導体である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である、請求項46~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が抗PD-1抗体薬である、請求項46~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、およびそれらの誘導体からなる群から選択される抗PD-1抗体薬である、請求項46~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記抗PD-1抗体がペンブロリズマブまたはその誘導体である、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が抗PD-L1/L2薬である、請求項46~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記抗PD-L1/L2薬が抗PD-L1抗体薬である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤がアテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、およびそれらの誘導体からなる群から選択される抗PD-L1抗体薬である、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤および前記PARPを阻害する薬剤が少なくとも1回の2~12週治療サイクルを含む投与計画に従って投与される、請求項46~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤および前記PARPを阻害する薬剤が21日の反復サイクルで投与される、請求項46~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤がサイクル1の1日目に投与される、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が後続サイクルの1日目に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が後続サイクルの1~3日前または1日後に投与される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が200mgのペンブロリズマブまたは2mg/kgのペンブロリズマブに相当する用量で投与される、請求項46~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が約30分かけて静脈内に投与される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が3mg/kgまたは240mgのニボルマブに相当する用量で投与される、請求項46~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が約60分かけて静脈内に投与される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記治療サイクルが少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間である、請求項21~45および61~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記投与計画が少なくとも3回の治療サイクルを含む、請求項21~45および61~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
1回以上のサイクル中に行われた総ての検査で対象がヘモグロビン≧9g/dL、血小板≧100,000/μLおよび好中球≧1500/μLである場合に、前記PARPを阻害する薬剤の用量が増加される、請求項21~45および61~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記PARPを阻害する薬剤の用量が2回のサイクル後に増加される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記PARPを阻害する薬剤が300mgのニラパリブに相当する増加用量で投与される、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、肛門性器領域の扁平上皮癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺扁平上皮癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、および血液癌からなる群から選択される癌を有する、請求項45~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記癌が卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群から選択される、請求項46~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記癌が白金耐性である、請求項46~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記癌が白金不応性である、請求項46~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記対象がBRCA陰性である、請求項46~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記対象がgBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記対象がtBRCA陰性である、請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
前記癌がPD-L1陰性である、請求項46~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記対象がBRCA陰性であり、かつ、前記癌がPD-L1陰性である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記対象が1以上の異なる癌治療法で従前に処置されている、請求項46~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象が放射線療法、化学療法または免疫療法の1以上で従前に処置されている、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が1、2、3、4、または5系統の前療法で処置されている、請求項84または85に記載の方法。
【請求項87】
前記対象が1または2系統の前療法で処置されている、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記対象が1系統の前療法で処置されている、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記対象が2系統の前療法で処置されている、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記前療法が細胞傷害療法である、請求項86~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記対象が少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、前記癌が最終系統の白金に基づく前療法の6か月以内に進行した、請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記対象が少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、前記癌が最終系統の白金に基づく前療法に30日以内に進行した、請求項86に記載の方法。
【請求項93】
PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤およびPARPを阻害する薬剤の両方を前記対象に投与することを含んでなる、請求項46~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
再発癌を治療する方法であって、
前記方法が、プログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)抗体薬およびニラパリブの一方または両方を、対象が両方による処置を受けるように、対象に投与することを含んでなり、
前記癌が婦人科癌または乳癌であり、
前記処置が患者のパーセンテージにおいて臨床利益に達することが実証されており、前記臨床利益が安定(「SD」)、部分奏効(「PR」)および/または完全奏効(「CR」)であるか、それを含んでなる、方法。
【請求項95】
前記癌が卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群から選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記癌が白金耐性である、請求項94または95に記載の方法。
【請求項97】
前記癌が白金不応性である、請求項94または95に記載の方法。
【請求項98】
前記対象がBRCA陰性である、請求項94~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記対象がgBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記対象がtBRCA陰性である、請求項98または99に記載の方法。
【請求項101】
前記癌がPD-L1陰性である、請求項94~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記対象がBRCA陰性であり、前記癌がPD-L1陰性である、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記投与工程が、ニラパリブを受容した、または受容する予定の対象にPD-1抗体薬を送達する組成物を投与することを含んでなる、請求項94~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記投与工程が、PD-1抗体薬を受容した、または受容する予定の対象にニラパリブを送達する組成物を投与することを含んでなる、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記パーセンテージが少なくとも10%である、請求項94~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記臨床利益がSDであるか、またはSDを含んでなり、かつ、患者の少なくとも10%がSDに達する、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記臨床利益がPRであるか、またはPRを含んでなり、かつ、患者の少なくとも10%が少なくともPRに達する、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記臨床利益がCRであるか、またはCRを含んでなり、患者の少なくとも10%が少なくともCRに達する、請求項105に記載の方法。
【請求項109】
前記パーセンテージが少なくとも20%である、請求項94~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記臨床利益がSDであるか、またはSDを含んでなり、かつ、患者の少なくとも20%がSDに達する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
少なくとも20%の患者が少なくともPRに達する、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記臨床利益が固形癌効果判定基準(RECIST)に従って決定される、請求項94~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
PD-1抗体薬およびニラパリブの両方を前記対象に投与することを含んでなる、請求項94~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
再発婦人科癌または乳癌を治療する方法であって、
プログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)抗体薬およびニラパリブの一方または両方を、対象が両方による処置を受けるように対象に投与すること
を含んでなり、
前記処置は少なくとも30%の全奏効率に達することが実証されている、方法。
【請求項115】
前記奏効が少なくともSDとして評価される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記奏効が血清CA-125濃度の低下として評価される、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記再発癌が卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群から選択される、請求項114~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記再発癌が高悪性度漿液性癌または高悪性度の主として漿液性の組織型を有する再発癌である、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記再発癌が処置の開始時に白金耐性である、請求項117または118に記載の方法。
【請求項120】
前記再発癌が処置の開始時に白金不応性である、請求項117または118に記載の方法。
【請求項121】
前記対象が従前に白金に基づく療法に対して少なくとも6か月持続する奏効を経験した、請求項117~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記再発癌が卵巣癌である、請求項117に記載の方法。
【請求項123】
前記卵巣癌が高悪性度漿液性癌または高悪性度の主として漿液性の組織型を有する卵巣癌である、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記卵巣癌が処置の開始時に白金耐性である、請求項122または123に記載の方法。
【請求項125】
前記卵巣癌が処置の開始時に白金不応性である、請求項122または123に記載の方法。
【請求項126】
前記再発癌がトリプルネガティブ乳癌である、請求項117に記載の方法。
【請求項127】
前記対象がBRCA1および/またはBRCA2に少なくとも1つの突然変異を有する、請求項46~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記対象がBRCA1およびBRCA2に突然変異が存在しないことを特徴とする、請求項46~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記対象がBRCA陰性である、請求項114~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記対象がgBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記対象がtBRCA陰性である、請求項129または130に記載の方法。
【請求項132】
前記癌がPD-L1陰性である、請求項114~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記対象がBRCA陰性であり、かつ、前記癌がPD-L1陰性である、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
PD-1抗体薬およびニラパリブの両方を前記対象に投与することを含んでなる、請求項114~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
癌を治療する方法であって、
治療上有効な量のポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する薬剤およびプログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含んでなり、
前記対象がBRCA陰性でり、かつ、前記癌がPD-L1陰性である、方法。
【請求項136】
癌を治療する方法であって、
治療上有効な量のポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する薬剤およびプログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含んでなり、
前記薬剤が、DNA修復状態とは独立に、および場合により、BRCA状態とは独立に前記対象に投与される、方法。
【請求項137】
癌を治療する方法であって、
治療上有効な量のポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する薬剤およびプログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含んでなり、
前記薬剤の前記対象への投与が前記対象のDNA修復状態または前記対象のBRCA状態の決定の前に開始される、方法。
【請求項138】
癌を治療する方法であって、
治療上有効な量のポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する薬剤およびプログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含んでなり、
前記薬剤の前記対象への投与が前記対象のDNA修復状態または前記対象のBRCA状態の決定無しに開始される、方法。
【請求項139】
対象がgBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である、請求項135~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記対象がtBRCA陰性である、請求項135~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
前記PARPを阻害する薬剤の用量が経口投与される、請求項135~140のいずれか一項に記載の方法。
【請求項142】
前記PARPを阻害する薬剤が小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である、請求項135~141のいずれか一項に記載の方法。
【請求項143】
前記PARPを阻害する薬剤がABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 8983、CEP 9722、DR 2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR 3162)、IMP 4297、INO1001、JPI 289、JPI 547、モノクローナル抗体 B3-LysPE40コンジュゲート、MP 124、ニラパリブ(ZEJULA)(MK-4827)、NU 1025、NU 1064、NU 1076、NU1085、オラパリブ(AZD2281)、ONO2231、PD 128763、R 503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)(AG-014699、PF-01367338)、SBP 101、SC 101914、シムミパリブ、タラゾパリブ(BMN-673)、ベリパリブ(ABT-888)、WW 46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール、およびそれらの塩または誘導体からなる群から選択される、請求項135~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
前記PARPを阻害する薬剤が小分子である、請求項135~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記PARPを阻害する薬剤がニラパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、およびベリパリブ、またはそれらの塩もしくは誘導体からなる群から選択される、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記PARPを阻害する薬剤がニラパリブまたはその塩もしくは誘導体である、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
ニラパリブまたはその塩もしくは誘導体が1日200mgまたは300mgのニラパリブに相当する用量で投与される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である、請求項135~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が抗PD-1抗体薬である、請求項135~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤がBGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、およびそれらの誘導体からなる群から選択される抗PD-1抗体薬である、請求項135~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記抗PD-1抗体薬がペンブロリズマブまたはその誘導体である、請求項149または150に記載の方法。
【請求項152】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が抗PD-L1/L2薬である、請求項135~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記抗PD-L1/L2薬が抗PD-L1抗体薬である、請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤がアテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、およびそれらの誘導体からなる群から選択される抗PD-L1抗体薬である、請求項152または153に記載の方法。
【請求項155】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤および前記PARPを阻害する薬剤が少なくとも1回の2~12週治療サイクルを含む投与計画に従って投与される、請求項135~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤および前記PARPを阻害する薬剤が21日の反復サイクルで投与される、請求項135~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤がサイクル1の1日目に投与される、請求項155または156に記載の方法。
【請求項158】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が後続サイクルの1日目に投与される、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が後続サイクルの1~3日前または1日後に投与される、請求項157に記載の方法。
【請求項160】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が200mgのペンブロリズマブまたは2mg/kgのペンブロリズマブに相当する用量で投与される、請求項135~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が約30分かけて静脈内に投与される、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が3mg/kgまたは240mgのニボルマブに相当する用量で投与される、請求項135~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤が約60分かけて静脈内に投与される、請求項161に記載の方法。
【請求項164】
前記治療サイクルが少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間である、請求項155~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記投与計画が少なくとも3回の治療サイクルを含む、請求項155~164のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
1回以上のサイクル中に行われた総ての検査で対象がヘモグロビン≧9g/dL、血小板≧100,000/μLおよび好中球≧1500/μLである場合に、前記PARPを阻害する薬剤の用量が増加される、請求項155~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
前記PARPを阻害する薬剤の用量が2回のサイクル後に増加される、請求項166に記載の方法。
【請求項168】
前記PARPを阻害する薬剤が300mgのニラパリブに相当する増加用量で投与される、請求項166に記載の方法。
【請求項169】
前記癌が子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、肛門性器領域の扁平上皮癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺扁平上皮癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫、または血液癌から選択される、請求項135~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記癌が卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)からなる群から選択される、請求項135~169のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
前記癌が再発癌である、請求項135~170のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記癌が白金耐性である、請求項135~171のいずれか一項に記載の方法。
【請求項173】
前記癌が白金不応性である、請求項135~171のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
前記対象が1以上の異なる癌治療法で従前に処置されている、請求項135~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記対象が放射線療法、化学療法または免疫療法の1以上で従前に処置されている、請求項174に記載の方法。
【請求項176】
前記対象が1、2、3、4、または5系統の前療法で処置されている、請求項174または175に記載の方法。
【請求項177】
前記対象が1または2系統の前療法で処置されている、請求項176に記載の方法。
【請求項178】
前記対象が1系統の前療法で処置されている、請求項176に記載の方法。
【請求項179】
前記対象が2系統の前療法で処置されている、請求項176に記載の方法。
【請求項180】
前記前療法が細胞傷害療法である、請求項176~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
前記対象が少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、前記癌が最終系統の白金に基づく前療法の6か月以内に進行した、請求項176に記載の方法。
【請求項182】
前記対象が少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、前記癌が最終系統の白金に基づく前療法の30日以内に進行した、請求項176に記載の方法。
【請求項183】
前記対象がヒトである、請求項1~182のいずれか一項に記載の方法。
【請求項184】
前記癌が、以下の癌:
i)高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)を伴う癌、
ii)マイクロサテライト安定性(MSS)である癌、
iii)マイクロサテライト不安定性を特徴とする癌、
iv)高いマイクロサテライト不安定状態(MSI-H)を有する癌、
v)低いマイクロサテライト不安定状態(MSI-L)を有する癌、
vi)高いTMBおよびMSI-Hを伴う癌、
vii)高いTMBおよびMSI-LまたはMSSを伴う癌、
viii)欠陥のあるDNAミスマッチ修復系を有する癌、
ix)DNAミスマッチ修復遺伝子に欠陥を有する癌、
x)高頻度変異癌、
xi)ポリメラーゼδ(POLD)に突然変異を含んでなる癌、
xii)ポリメラーゼε(POLE)に突然変異を含んでなる癌、
xiii)相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を有するまたは相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする癌;
xiv)腺癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、精巣癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、小腸癌、肛門扁平上皮癌、陰茎扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、膣扁平上皮癌、外陰扁平上皮癌、軟組織肉腫、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、メルケル細胞癌、肉腫、膠芽腫、血液癌、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、CNS腫瘍、びまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)、ユーイング肉腫、胎児型横紋筋肉腫、骨肉腫、またはウィルムス腫瘍;あるいは
xv)MSSもしくはMSI-Lであるか、マイクロサテライト不安定性を特徴とするか、MSI-Hであるか、高いTMBを有するか、高いTMBを有しかつMSSもしくはMSI-Lであるか、高いTMBを有しかつMSI-Hであるか、欠陥のあるDNAミスマッチ修復系を有するか、DNAミスマッチ修復遺伝子に欠陥を有するか、高頻度変異癌であるか、HRDもしくはHRR癌であるか、ポリメラーゼδ(POLD)に突然変異を含んでなるか、またはポリメラーゼε(POLE)に突然変異を含んでなる、xiv)の癌
である、請求項1~3、6~74、77~93、135~168、および171~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
前記癌が黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、卵巣癌、またはメルケル細胞癌である、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記癌が非小細胞肺癌、子宮内膜癌、腎細胞癌、子宮頸癌、胃癌、結腸直腸癌、またはトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である、請求項184に記載の方法。
【請求項187】
前記癌が相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を有するかまたは相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする、請求項184に記載の方法。
【請求項188】
前記癌が子宮内膜癌、場合により、MSI-HまたはMSS/MSI-L子宮内膜癌である、請求項184に記載の方法。
【請求項189】
前記癌がPOLEまたはPOLDに突然変異を含んでなるMSI-H癌、場合により、POLEまたはPOLDに突然変異を含んでなるMSI-H非子宮内膜癌である、請求項184に記載の方法。
【請求項190】
前記癌が乳癌、場合により、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)である、請求項184に記載の方法。
【請求項191】
前記癌が卵巣癌、場合により、上皮性卵巣癌である、請求項184に記載の方法。
【請求項192】
前記癌が肺癌、場合により、非小細胞肺癌である、請求項184に記載の方法。
【請求項193】
前記癌が黒色腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項194】
前記癌が結腸直腸癌である、請求項184に記載の方法。
【請求項195】
前記癌が肛門扁平上皮癌、陰茎扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、膣扁平上皮癌、または外陰扁平上皮癌である、請求項184に記載の方法。
【請求項196】
前記癌が急性骨髄性白血病である、請求項184に記載の方法。
【請求項197】
前記癌が急性リンパ芽球性白血病である、請求項184に記載の方法。
【請求項198】
前記癌が非ホジキンリンパ腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項199】
前記癌がホジキンリンパ腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項200】
前記癌が神経芽腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項201】
前記癌がCNS腫瘍である、請求項184に記載の方法。
【請求項202】
前記癌がびまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)である、請求項184に記載の方法。
【請求項203】
前記癌がユーイング肉腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項204】
前記癌が胎児型横紋筋肉腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項205】
前記癌が骨肉腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項206】
前記癌がウィルムス腫瘍である、請求項184に記載の方法。
【請求項207】
前記癌が軟組織肉腫である、請求項184に記載の方法。
【請求項208】
前記癌が平滑筋肉腫である、請求項184に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年5月9日出願の米国仮出願第62/503,879号、2017年5月18日出願の米国仮出願第62/508,359号、2017年9月8日出願の米国仮出願第62/556,255号、2018年2月23日出願の米国仮出願第62/634,789号、2018年3月21日出願の米国仮出願第62/646,332号、および2018年3月26日出願の米国仮出願第62/648,327号の利益を主張するものであり、これらはそれぞれその全内容が引用することにより本明細書の一部とされる。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
以下のASCIIテキストファイルでの提出の内容は、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる:コンピューター読み取り可能な形式(CRF)の配列表(ファイル名:757822000140SEQLIST.TXT、記録日:2018年5月9日、サイズ:10KB)。
【背景技術】
【0003】
背景
癌は重大な公衆衛生問題であり、米国がん協会、Cancer Facts & Figures 2016(http://www.cancer.org/acs/groups/content/@research/documents/document/acspc-047079.pdf)によれば、2016年だけで米国で癌の死者は約595,690人にのぼると思われる。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、プログラム細胞死-1タンパク質(programmed death-1 protein)(PD-1)シグナル伝達を阻害する薬剤とポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する薬剤の併用療法がある種の癌の治療に有用であるという認識を包含する。一つの側面において、本開示は、対象において癌を治療する方法であって、前記癌は白金耐性であり、前記対象は、BRCA陰性であり、PD-1シグナル伝達を阻害する療法(「抗PD-1療法」)およびPARPを阻害する療法(「抗PARP療法」)の一方または両方を、対象が両方による処置を受けるように対象に投与することを含む方法を包含する。
【0005】
とりわけ、本開示は、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤とPARPを阻害する薬剤の両方の併用療法が一方または両方の薬剤の有効用量を低減し得るという洞察を提供する。
【0006】
PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤としては、阻害シグナル伝達を誘発せずにT細胞上のPD-1受容体に結合しそれを遮断するもの、PD-1リガンドに結合してPD-1に対するそれらの結合を妨げる薬剤、その両方を行う薬剤、およびPD-1またはPD-1の天然リガンドのいずれかをコードする遺伝子の発現を妨げる薬剤が含まれる。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、抗体薬である。抗PD-1抗体薬は、特異的結合を付与するのに十分な免疫グロブリン構造要素を含むいずれのポリペプチドまたはポリペプチド複合体も含み得る。例示的抗体薬としては、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fd’フラグメント、Fdフラグメント、および単離されたCDRまたはそれらのサブセット;一本鎖Fvs;ポリペプチド-Fc融合体;シングルドメイン抗体(例えば、サメシングルドメイン抗体、例えば、IgNARまたはそのフラグメント);ラクダ科抗体;マスクド抗体(例えば、Probodies(登録商標));Small Modular ImmunoPharmaceuticals(「SMIPs(商標));一本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));VHHs;Anticalins(登録商標);Nanobodies(登録商標)ミニボディ;BiTE((登録商標));アンキリンリピートタンパク質またはDARPINs(登録商標);Avimers(登録商標);DARTs;TCR様抗体;Adnectins(登録商標);Affilins(登録商標);Trans-bodies(登録商標);Affibodies(登録商標);TrimerX(登録商標);MicroProteins;Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標);およびKALBITOR(登録商標)が含まれる。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する抗体薬は、モノクローナル抗体またはその誘導体である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する抗体薬は、PD-1抗体、PD-L1抗体、またはその誘導体である。PD-1およびPD-L1抗体としては、例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、BGB-A317、BI 754091、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、LY3300054、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PD-L1ミラモレキュール、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、WO2014/179664に開示されている抗体のいずれも、およびそれらの誘導体のいずれもが含まれる。いくつかの特定の実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブまたはその誘導体である。いくつかの特定の実施形態では、薬剤には、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤の組合せが含まれる。
【0007】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤としては、PARP-1および/またはPARP-2を阻害する薬剤が含まれる。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤としては、ABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 8983、CEP 9722、DR 2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR 3162)、IMP 4297、INO1001、JPI 289、JPI 547、モノクローナル抗体B3-LysPE40コンジュゲート、MP 124、ニラパリブ(ZEJULA)(MK-4827)、NU 1025、NU 1064、NU 1076、NU1085、オラパリブ(AZD2281)、ONO2231、PD 128763、R 503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)(AG-014699、PF-01367338)、SBP 101、SC 101914、シムミパリブ(simmiparib)、タラゾパリブ(BMN-673)、ベリパリブ(ABT-888)、WW 46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール、およびそれらの塩または誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、小分子である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、抗体薬である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、ニラパリブ((3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピペリジン)またはその塩もしくは誘導体である。いくつかの特定の実施形態では、薬剤には、PARPを阻害する薬剤の組合せが含まれる。
【0008】
いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、経口的に有効なPARP阻害剤であるニラパリブによる処置を受けている最中、受けていた、または受ける予定の対象に投与される。いくつかの特定の実施形態では、ペンブロリズマブは、ニラパリブによる処置を受けている最中、受けていた、または受ける予定の対象に投与される。いくつかの特定の実施形態では、ニラパリブは、ペンブロリズマブによる処置を受けている最中、受けていた、または受ける予定の対象に投与される。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌としては、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、肛門性器領域の扁平上皮癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺扁平上皮癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、メルケル細胞癌、肉腫、および血液癌、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病が含まれる。本開示の併用療法による治療のための他の癌としては、精巣癌および消化管の癌(すなわち、小腸、直腸癌)を含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌としては、女性生殖系の癌が含まれる。いくつかの実施形態では、女性生殖系の癌としては、限定されるものではないが、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、および乳癌が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記癌は、トリプルネガティブ乳癌である。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金耐性である。いくつかの実施形態では、対象は、BRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、gBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、tBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は白金耐性であり、対象はBRCA陰性である。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、プログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)シグナル伝達を阻害する療法(「抗PD-1療法」)およびポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)を阻害する療法(「抗PARP療法」)の一方または両方を、対象が両方による処置を受けるように対象に投与することを含んでなる。いくつかの実施形態では、治療のための癌は、婦人科癌または乳癌である。いくつかの実施形態では、治療のための癌は、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)から選択される。いくつかの実施形態では、治療のための癌は、PD-L1陰性である。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤の投与を含んでなる。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、抗PD-1抗体薬である。いくつかの特定の実施形態では、抗PD-1抗体薬は、動物対象に投与するためのサロゲート抗PD-1抗体(例えば、マウスまたはラットに投与するためのマウス抗体)。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体薬は、ヒト対象への投与のためのものである。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体薬は、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042およびそれらの誘導体からなる群から選択される抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体薬は、ペンブロリズマブまたはその誘導体である。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、抗PD-L1/L2薬の投与を含んでなる。いくつかの実施形態では、抗PD-L1/L2薬は、抗PD-L1抗体薬である。いくつかの特定の実施形態では、抗PD-L1抗体薬は、動物対象に投与するためのサロゲート抗PD-1抗体(例えば、マウスまたはラットへの投与のためのマウス抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体薬は、ヒト対象への投与のためのものである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体薬は、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、またはそれらの誘導体である。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗PARP療法は、PARPを阻害する薬剤の投与を含んでなる。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、ABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 8983、CEP 9722、DR 2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR 3162)、IMP 4297、INO1001、JPI 289、JPI 547、モノクローナル抗体 B3-LysPE40コンジュゲート、MP 124、ニラパリブ(ZEJULA)(MK-4827)、NU 1025、NU 1064、NU 1076、NU1085、オラパリブ(AZD2281)、ONO2231、PD 128763、R 503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)(AG-014699、PF-01367338)、SBP 101、SC 101914、シムミパリブ、タラゾパリブ(BMN-673)、ベリパリブ(ABT-888)、WW 46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール、および上記のいずれかの塩または誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、小分子である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、抗体薬である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、ニラパリブまたはその塩もしくは誘導体である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、薬剤の組合せである。
【0017】
いくつかの実施形態では、併用療法は、抗PD-1療法および抗PARP療法の一方または両方を、対象が両方を受けるように投与することを含んでなり、抗PD-1療法および抗PARP療法のいずれかまたは両方が少なくとも1回の2~12週治療サイクルを含む投与計画に従って投与される。治療期間は医師により決定されるべきである。実施形態において、治療は疾患進行または毒性が生じるまで続けることができる。いくつかの実施形態では、治療サイクルは2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、または8週間である。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法および抗PARP療法は、21日の反復サイクルで投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、サイクル1の1日目に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、後続サイクルの1日目に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、1~3日前または後続サイクルの1日後に投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、200mgのペンブロリズマブまたは2mg/kgのペンブロリズマブに相当する用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は静脈内に投与される。関連の実施形態では、抗PD-1療法は、約30分かけて静脈内に投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、3mg/kgまたは240mgのニボルマブに相当する用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、静脈内に投与される。関連の実施形態では、抗PD-1療法は、約60分かけて静脈内に投与される。
【0020】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、FDA承認用量より少ない用量で投与される。関連の実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、その薬剤を単剤として使用するためのFDA承認用量より少ない用量で投与され得る。実施形態において、PARPを阻害する薬剤はニラパリブであり、ニラパリブはFDA承認用量より少ない用量で投与される。関連の実施形態では、ニラパリブは、単剤として使用するためのFDA承認用量より少ない用量で投与される。いくつかの実施形態では、ニラパリブは、300mg未満の用量で投与される。
【0021】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、200mgのニラパリブに相当する用量で1日1回投与される。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、経口投与される。いくつかの実施形態では、100mgまたは200mgのニラパリブの用量が1日1回投与される。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法は、対象が両方を受けるような抗PD-1療法および抗PARP療法の一方または両方の投与を含み、1日1回、200mgのニラパリブに相当する用量での処置を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療は、患者のパーセンテージにおいて臨床利益に達することが実証されている。いくつかの実施形態では、本開示の治療は、患者の少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または90%に臨床利益に達することが実証されている。いくつかの実施形態では、本開示の治療は、下限および上限(なお、上限は下限よりも大きい)を限界とする範囲の量で臨床利益に達することが実証されている。いくつかの実施形態では、下限は患者の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、または40%であり得る。いくつかの実施形態では、上限は患者の約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、85%、または90%であり得る。いくつかの実施形態では、臨床利益は、安定(stable disease)(「SD」)、部分奏効(partial response)(「PR」)および/または完全奏効(complete response)(「CR」)である。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示の治療のための癌は、白金不応性である。
【0025】
いくつかの実施形態では、対象は、1以上の異なる癌治療法で従前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、放射線療法、化学療法または免疫療法の1以上で従前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1、2、3、4、または5系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1または2系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、2系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、前療法は、細胞傷害療法である。いくつかの実施形態では、細胞傷害療法は、化学療法を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、癌は、最終系統の白金に基づく前療法の6か月以内に進行した。
【0027】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、癌は最終系統の白金に基づく前療法の30日以内に進行した。
【0028】
いくつかの実施形態では、癌を治療する方法が提供され、その方法は、抗PD-1療法および抗PARP療法の両方を対象に投与することを含む。
【0029】
一つの側面において、本開示は、癌を治療する方法を提供し、その方法は、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤およびPARPを阻害する薬剤の一方または両方を、対象が両方による処置を受けるように対象に投与することを含み、前記対象はPARPを阻害する薬剤による処置を受け、FDA承認用量より少ない用量で投与される。別の側面において、本開示は、癌を治療する方法を提供し、その方法は、治療上有効な量のPARPを阻害する薬剤およびPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含み、前記対象はBRCA陰性であり、前記癌はPD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、再発性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金耐性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金不応性である。
【0030】
一つの側面において、本開示は、癌を治療する方法を提供し、その方法は、治療上有効な量のPARPを阻害する薬剤およびPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含み、前記薬剤は、DNA修復状態とは独立に、および場合により、BRCA状態とは独立に対象に投与される。別の側面において、本開示は、癌を治療する方法を提供し、その方法は、治療上有効な量のPARPを阻害する薬剤およびPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含み、対象への薬剤の投与が対象のDNA修復状態または対象のBRCA状態を決定する前に開始される。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、再発性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金耐性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金不応性である。
【0031】
一つの側面において、本開示は、癌を治療する方法を提供し、その方法は、治療上有効な量のPARPを阻害する薬剤およびPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤を対象に投与することを含み、対象への薬剤の投与が対象のDNA修復状態または対象のBRCA状態の決定無しに開始される。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、再発性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金耐性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金不応性である。
【0032】
いくつかの実施形態では、対象はBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、gBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、tBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、治療のための癌は、PD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、BRCA陰性であり、併用療法による治療のための癌はPD-L1陰性である。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象は、1以上の異なる癌治療法で従前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、放射線療法、化学療法または免疫療法の1以上で従前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1、2、3、4、または5系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1または2系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、2系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、前療法は、細胞傷害療法である。いくつかの実施形態では、細胞傷害療法は、化学療法を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、癌は最終系統の白金に基づく前療法の6か月以内に進行した。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、癌は、最終系統の白金に基づく前療法の30日以内に進行した。
【0035】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、毎日、200mgのニラパリブに相当する用量で投与される。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は経口投与される。
【0036】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、ABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 8983、CEP 9722、DR 2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR 3162)、IMP 4297、INO1001、JPI 289、JPI 547、モノクローナル抗体B3-LysPE40コンジュゲート、MP 124、ニラパリブ(ZEJULA)(MK-4827)、NU 1025、NU 1064、NU 1076、NU1085、オラパリブ(AZD2281)、ONO2231、PD 128763、R 503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)(AG-014699、PF-01367338)、SBP 101、SC 101914、シムミパリブ、タラゾパリブ(BMN-673)、ベリパリブ(ABT-888)、WW 46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール、および上記のいずれかの塩または誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、小分子である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する小分子の薬剤は、ニラパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、およびそれらの塩または誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、ニラパリブまたはその塩もしくは誘導体である。
【0037】
いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、小分子、核酸、ポリペプチド(例えば、抗体)、炭水化物、脂質、金属、または毒素である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、抗PD-1抗体薬である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、BGB-A317、BI 754091、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、およびそれらの誘導体からなる群から選択される抗PD-1抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブまたはその誘導体である。
【0038】
いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、抗PD-L1/L2薬の投与を含んでなる。いくつかの実施形態では、抗PD-L1/L2薬は、抗PD-L1抗体薬である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体薬は、アテゾリズマブ、アベルマブ、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、LY3300054、PD-L1ミラモレキュール、またはそれらの誘導体である。
【0039】
いくつかの実施形態では、併用療法は、抗PD-1療法および抗PARP療法の一方または両方を、対象が療法を受けるように投与することを含んでなり、抗PD-1療法および抗PARP療法のいずれかまたは両方が、少なくとも1回の2~12週治療サイクルを含む投与計画に従って投与される。治療期間は、医師により決定されるべきである。実施形態において、治療は疾患進行または毒性が生じるまで続けることができる。いくつかの実施形態では、治療サイクルは2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、または8週間である。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法および抗PARP療法は、21日の反復サイクルで投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、サイクル1の1日目に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、後続サイクルの1日目に投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、1~3日前または後続サイクルの1日後に投与される。
【0040】
いくつかの実施形態では、治療サイクルは、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間である。いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも3、4、5、6回、またはそれを超える治療サイクルを含む。いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも3回の治療サイクルを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、200mgのペンブロリズマブまたは2mg/kgのペンブロリズマブに相当する用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は静脈内に投与される。関連の実施形態では、抗PD-1療法は、約30分かけて静脈内に投与される。
【0042】
いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、3mg/kgまたは240mgのニボルマブに相当する用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法は、静脈内に投与される。関連の実施形態では、抗PD-1療法は、約60分かけて静脈内に投与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、併用療法は、1回以上のサイクル中に行われた総ての検査で対象がヘモグロビン≧9g/dL、血小板≧100,000/μLおよび好中球≧1500/μLである場合に、対象がPARPを阻害する薬剤の増加用量を受容するような処置を含む。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は2サイクルの後に増加される。いくつかの関連の実施形態では、PARPを阻害する薬剤の増加用量は、FDA承認用量である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤の増加用量は、単剤として薬剤を使用するためのFDA承認用量である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤の増加用量は、300mgのニラパリブに相当する。
【0044】
いくつかの実施形態では、併用療法は、対象が毎日100mg、200mgまたは300mgのニラパリブに相当する用量を受容するような処置を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法により治療される対象は、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、結腸癌、肛門性器領域の扁平上皮癌、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺扁平上皮癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、メルケル細胞癌、肉腫、および血液癌、例えば、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、および慢性骨髄性白血病から選択される癌を有する。他の癌は、精巣癌および消化管の癌(すなわち、小腸、直腸癌)を含み得る。いくつかの実施形態では、治療のための癌は、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)から選択される。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、再発性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金耐性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための癌は、白金不応性である。
【0046】
いくつかの実施形態では、対象は、BRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、gBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、tBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、治療のための癌は、PD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、BRCA陰性であり、併用療法による治療のための癌は、PD-L1陰性である。
【0047】
いくつかの実施形態では、対象は、1以上の異なる癌治療法で従前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、放射線療法、化学療法または免疫療法の1以上で従前に処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1、2、3、4、または5系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1または2系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、1系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、対象は、2系統の前療法で処置されている。いくつかの実施形態では、前療法は、細胞傷害療法である。いくつかの実施形態では、細胞傷害療法は化学療法を含む。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、癌は最終系統の白金に基づく前療法の6か月以内で進行した。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2系統の白金に基づく前療法で処置されており、癌は最終系統の白金に基づく前療法の3か月以内に進行した。
【0048】
いくつかの実施形態では、癌を治療する方法が提供され、その方法は、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤およびPARPを阻害する薬剤の両方を前記対象に投与することを含む。
【0049】
一つの側面において、本開示は、再発癌を治療する方法を提供し、その方法は、PD-1抗体薬およびニラパリブの一方または両方による処置を、対象が両方を受容するように対象に投与することを含んでなり、前記癌が婦人科癌または乳癌であり、前記処置は、患者のパーセンテージにおいて臨床利益に達することが実証されており、臨床利益は、安定(「SD」)、部分奏効(「PR」)および/または完全奏効(「CR」)であるか、またはそれを含んでなる。いくつかの実施形態では、治療のための再発癌は、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、原発性腹膜癌、およびトリプルネガティブ乳癌(TNBC)から選択される。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための再発癌は、白金耐性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための再発癌は、白金不応性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための対象は、BRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、gBRCA陰性、tBRCA陰性、またはsBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、対象は、tBRCA陰性である。いくつかの実施形態では、治療のための再発癌は、PD-L1陰性である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法による治療のための対象は、BRCA陰性であり、併用療法による治療のための再発癌は、PD-L1陰性である。
【0050】
いくつかの実施形態では、再発癌を治療する方法は、ニラパリブを受容した、または受容する予定の対象にPD-1抗体薬を送達する組成物を投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、投与工程は、PD-1抗体薬を受容した、または受容する予定の対象にニラパリブを送達する組成物を投与することを含んでなる。いくつかの実施形態では、臨床利益は、患者の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%で実証されている。いくつかの実施形態では、臨床利益は、患者の10%で実証されている。いくつかの実施形態では、臨床利益は、SDであるか、またはSDを含んでなり、患者の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%がSDに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、SDであるか、またはSDを含んでなり、患者の少なくとも10%がSDに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、PRであるか、またはPRを含んでなり、患者の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%が少なくともPRに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、PRであるか、またはPRを含んでなり、患者の10%が少なくともPRに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、CRであるか、またはCRを含んでなり、患者の少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%が少なくともCRに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、CRであるか、またはCRを含んでなり、患者の10%が少なくともCRに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、患者の20%で実証されている。いくつかの実施形態では、臨床利益は、SRであるか、またはSRを含んでなり、患者の少なくとも20%がSDに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、PRであるか、またはPRを含んでなり、患者の20%が少なくともPRに達する。いくつかの実施形態では、臨床利益は、固形癌効果判定基準(RECIST)に従って決定される。
【0051】
いくつかの実施形態では、再発癌を治療する方法は、PD-1抗体およびニラパリブの両方を前記対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、再発婦人科癌または乳癌を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、処置は、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%または60%の全奏効率に達することが実証されている。いくつかの実施形態では、処置は、少なくとも30%の全奏効率に達することが実証されている。
【0052】
一つの側面において、本開示は、プログラム細胞死-1タンパク質(PD-1)抗体薬およびニラパリブの一方または両方を、対象が両方による処置を受けるように対象に投与することを含む再発婦人科癌または乳癌を治療する方法を提供し、処置は、少なくとも30%の全奏効率に達することが実証されている。いくつかの実施形態では、奏効は、少なくともSDとして評価される。いくつかの実施形態では、奏効は、血清CA-125濃度の低下として評価される。いくつかの実施形態では、再発癌は、卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌またはトリプルネガティブ乳癌から選択される。いくつかの実施形態では、再発癌は、高悪性度漿液癌または高悪性度の主として漿液性の組織型を有する再発癌である。いくつかの実施形態では、再発癌は、処置の開始時に白金耐性である。いくつかの実施形態では、再発癌は、処置の開始時に白金不応性である。いくつかの実施形態では、対象は、従前に白金に基づく療法に対して少なくとも6か月持続する奏効を経験した。いくつかの実施形態では、再発癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、高悪性度漿液癌または高悪性度の主として漿液性の組織型を有する卵巣癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、処置の開始時に白金耐性である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、処置の開始時に白金不応性である。いくつかの実施形態では、再発癌は、トリプルネガティブ乳癌である。
【0053】
いくつかの実施形態では、本開示のいずれかにより治療される対象は、BRCA1および/またはBRCA2に少なくとも1つの突然変異を有する。いくつかの実施形態では、本開示のいずれかにより治療される対象は、BRCA1およびBRCA2に突然変異が存在しないことを特徴とする。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示のいずれかにより治療される対象は、ヒトである。
【0055】
いくつかの実施形態では、癌は、i)高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)を伴う癌;ii)マイクロサテライト安定性(MSS)である癌;iii)マイクロサテライト不安定性を特徴とする癌;iv)高いマイクロサテライト不安定状態(MSI-H)を有する癌;v)低いマイクロサテライト不安定状態(MSI-L)を有する癌;vi)高いTMBおよびMSI-Hを伴う癌;vii)高いTMBおよびMSI-LまたはMSSを伴う癌;viii)欠陥のあるDNAミスマッチ修復系を有する癌;ix)DNAミスマッチ修復遺伝子に欠陥を有する癌;x)高頻度変異癌;xi)ポリメラーゼδ(POLD)に突然変異を含んでなる癌;xii)ポリメラーゼε(POLE)に突然変異を含んでなる癌;xiii)相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を有するまたは相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする癌;xiv)腺癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、精巣癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、小腸癌、肛門扁平上皮癌、陰茎扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、膣扁平上皮癌、外陰扁平上皮癌、軟組織肉腫、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、メルケル細胞癌、肉腫、膠芽腫、血液癌、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、CNS腫瘍、びまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)、ユーイング肉腫、胎児型横紋筋肉腫、骨肉腫、またはウィルムス腫瘍;あるいはxv)MSSもしくはMSI-Lであるか、マイクロサテライト不安定性を特徴とするか、MSI-Hであるか、高いTMBを有するか、高いTMBを有しかつMSSもしくはMSI-Lであるか、高いTMBを有しかつMSI-Hであるか、欠陥のあるDNAミスマッチ修復系を有するか、DNAミスマッチ修復遺伝子に欠陥を有するか、高頻度変異癌であるか、HRDもしくはHRR癌であるか、ポリメラーゼδ(POLD)に突然変異を含んでなるか、またはポリメラーゼε(POLE)に突然変異を含んでなるxiv)の癌である。いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、子宮内膜癌、卵巣癌、またはメルケル細胞癌である。いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、子宮内膜癌、腎細胞癌、子宮頸癌、胃癌、結腸直腸癌、またはトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。いくつかの実施形態では、癌は、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を有するか、または相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする癌である。いくつかの実施形態では、癌は、子宮内膜癌、場合により、MSI-HまたはMSS/MSI-L子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、癌は、POLEまたはPOLDに突然変異を含んでなるMSI-H癌、場合により、POLEまたはPOLDに突然変異を含んでなるMSI-H非子宮内膜癌である。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、場合により、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。いくつかの実施形態では、癌は、卵巣癌、場合により、上皮性卵巣癌である。いくつかの実施形態では、癌は、肺癌、場合により、非小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫である。いくつかの実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、癌は、肛門扁平上皮癌、陰茎扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、膣扁平上皮癌、または外陰扁平上皮癌である。いくつかの実施形態では、癌は、急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態では、癌は、急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、癌は、非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌は、ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、癌は、神経芽腫である。いくつかの実施形態では、癌は、CNS腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、びまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)である。いくつかの実施形態では、癌は、ユーイング肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、胎児型横紋筋肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、骨肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、ウィルムス腫瘍である。いくつかの実施形態では、癌は、軟組織肉腫である。いくつかの実施形態では、癌は、平滑筋肉腫である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、ビヒクル、抗PD-1(5mg/kg、BIW)、ニラパリブ(50mg/kg、QD)、または抗PD-1(5mg/kg、BIW)と組み合わせたニラパリブ(50mg/kg、QD)で処置したマウスの腫瘍成長曲線を示す図である。組合せの評価項目(endpoint)を矢印で示す。
【
図2】
図2は、ビヒクル、抗PD-1(5mg/kg、BIW)、ニラパリブ(25mg/kg、QD)、または抗PD-1(5mg/kg、BIW)と組み合わせたニラパリブ(25mg/kg、QD)で処置したマウスの腫瘍成長曲線を示す図である。組合せの評価項目を矢印で示す。
【
図4】
図4は、臨床試験の第1相に登録された患者の病変サイズの最良の変化パーセンテージを示す図である。
【
図5A】
図5Aは、第2相に登録されたそれぞれ再発白金耐性卵巣癌(OC)および進行または転移トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有する患者の病変サイズの最良に次ぐ変化パーセンテージを示す図である。
【
図5B】
図5Bは、第2相に登録されたそれぞれ再発白金耐性卵巣癌(OC)および進行または転移トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有する患者の病変サイズの最良に次ぐ変化パーセンテージを示す図である。
【
図6】
図6は、直近の系統の白金に基づく療法からの白金フリー期間(platinum free interval)(PFI)に基づく患者白金応答性状態を示す図である。
【
図7】
図7は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、または安定を示す患者の処置期間を示す図である。
【
図8】
図8は、バイオマーカーの状態により分類した卵巣癌を有する患者に見られた治療反応を示す図である。
【
図9】
図9は、各白金耐性患者に見られた治療反応を示す図である。
【
図10】
図10は、最後の(直近の)の白金に基づく療法の30日以内に疾患の進行を示す各患者に見られた治療反応(白金不応性)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
特定の実施形態の詳細な説明
定義
本明細書で使用する場合、用語「投与」は一般に、対象または系への組成物の投与を意味する。当業者ならば、適当な状況で対象、例えば、対象(例えば、ヒト対象)への投与に使用され得る様々な経路に想到するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、投与は眼内、経口、非経口、局所などであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、気管支(例えば、気管支点滴)、口内、皮膚(例えば、真皮への局所、皮内(intradermal)、皮内(interdermal)、経皮などの1以上であり得るか、またはそれを含んでなり得る)、経腸、動脈内、皮膚内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、くも膜下腔内、静脈内、脳室内、特定の器官内(例えば、肝内)、経粘膜、鼻腔、経口、直腸、皮下、舌下、局所、気管(例えば、気管内点滴による)、膣、硝子体投与などであり得る。いくつかの実施形態では、投与は、間欠的(例えば、複数の用量の時間があけられている)および/または周期的(例えば、個々の用量が共通の期間によりあけられている)な投与を含み得る。いくつかの実施形態では、投与は、少なくともある選択された期間の持続的投与(例えば、灌流)を含み得る。
【0058】
本明細書で使用する場合、用語「投与形」または「単位投与形」は、対象への投与のための有効薬(例えば、治療薬または診断薬)の物理的に別個の単位を意味する。一般に、このような各単位は、所定量の有効薬を含有する。いくつかの実施形態では、このような量は、関連集団に投与された際に所望のまたは有益な転帰に相関すると判定された投与計画に(すなわち、治療投与計画に)従って投与するのに適当な単位用量(またはその全画分)である。当業者には、特定の対象に投与される治療組成物または薬剤の総量は1名または複数の主治医によって決定され、複数の投与形の投与を含み得ることが認識される。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「投与計画」は、一般に1以上の期間離された、対象に個々に投与される1セットの単位用量(一般に、2つ以上)を意味する。いくつかの実施形態では、所与の治療薬は、1以上の用量を含み得る投与計画に従って投与される。いくつかの実施形態では、投与計画は複数の用量を含んでなり、そのそれぞれは、他の用量と時間が離される。いくつかの実施形態では、個々の用量は、同じ長さの期間、互いに離され、いくつかの実施形態では、投与計画は複数の用量を含んでなり、それらの用量は異なる長さの期間離される。いくつかの実施形態では、投与計画は、同量の用量を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、異なる量の用量を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも一用量を含んでなり、その用量は、一単位用量の治療薬を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも一用量を含んでなり、その用量は、2以上の単位用量の治療薬を含んでなる。例えば、250mgの用量は、単一の250mg単位用量または2回の125mg単位用量として投与することができる。いくつかの実施形態では、投与計画は、関連集団に投与される場合に所望のまたは有益な転帰と相関するか、またはそのような転帰をもたらす(すなわち、治療投与計画である)。
【0060】
本明細書で使用する場合、「FDA承認用量」という句は、米国食品医薬品局(U.S. Food & Drug Administration)(「FDA」)が販売承認のFDA要件を満たす十分な安全性および有効性が実証されたと判定した薬剤の用量または投与計画を意味する。いくつかの実施形態では、薬剤の用量または投与計画の安全性および有効性は、1以上の臨床試験を実施することによって評価されたものである。いくつかの実施形態では、FDA販売承認は、1以上の適応症のための薬剤に対して発行されたものである。いくつかの特定の実施形態では、FDA販売承認は、癌の治療のための薬剤に対して発行されたものである。
【0061】
本明細書で使用する場合、用語「患者」、「対象」、または「試験対象」は、本明細書に記載の1または複数の化合物が本発明に従って、例えば、試験目的、診断目的、予防目的、および/または治療目的で投与されるいずれの生物も意味する。例示的対象は、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、シカ、非ヒト霊長類、およびヒトなどの哺乳動物;昆虫;蠕虫;鳥類;爬虫類;両生類など)を含む。好ましい実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、および/または病態(例えば、癌)に罹患している可能性がある、および/または感受性があり得る。いくつかの実施形態では、患者は、癌を有すると診断されたヒトである。いくつかの実施形態では、患者は、1以上の雌性生殖器官を有するヒトである。いくつかの実施形態では、患者は、婦人科癌または乳癌(例えば、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌および乳癌などの癌)を有すると診断されたヒト雌(すなわち、女性)である。本明細書で使用する場合、「患者集団」または「対象集団」は、複数の患者または対象を意味する。
【0062】
本明細書で使用する場合、「治療上有効な量」は、それがそのために投与される所望の効果をもたらす治療薬の量を意味する。いくつかの実施形態では、この用語は、投与計画に従って疾患、障害、および/または病態に罹患している、および/または感受性がある集団に投与された場合に、その疾患、障害、および/または病態を治療するのに十分な量を意味する。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は、その疾患、障害、および/もしくは病態の1以上の症状の罹患率および/もしくは重篤度を軽減する、および/またはその発症を回避するもしくは遅延させるものである。当業者は、用語「治療上有効な量」は、実際には、その疾患、障害、および/または病態が特定の個体で消散されることを必要としないことを認識するであろう。むしろ、治療上有効な量は、そのような処置を必要とする患者に投与された際に有意な数の対象に特定の所望の薬理学的応答をもたらす量であり得る。いくつかの実施形態では、治療上有効な量という場合、1以上の特定の組織(例えば、その疾患、障害、および/または病態に侵された組織)または体液(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙、尿など)で測定されるような量を指し得る。当業者は、いくつかの実施形態で、治療上有効な量の特定の薬剤または療法が単一の用量で調剤および/または投与され得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、治療上有効な薬剤は、複数の用量で、例えば、投与計画の一部として調剤および/または投与され得る。いくつかの実施形態では、抗PD-1療法と抗PARP療法の組合せは、治療上有効である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤とPARPを阻害する薬剤の組合せは、治療上有効である。
【0063】
本明細書で使用する場合、「CA-125」は、癌抗原125を意味する。CA-125検査は、患者の血中のタンパク質CA-125の量を測定するために使用される。CA-125検査は、無増悪生存期間の延長を評価するための使用を含め、処置中および処置後に特定の癌を経過観察するために使用することができる。いくつかの場合、CA-125検査は、その疾患の極めて高いリスクがある女性の卵巣癌の初期徴候を見出すために使用することができる。
【0064】
本明細書で使用する場合、「化学療法薬」は、癌細胞の増殖、成長、寿命および/または転移活性を阻害する化学剤を意味する。化学療法薬の例としては、チオテパおよびCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド(cyclosphosphamide)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドーパなどのアジリジン;エチレンイミンおよびメチラメラミン(methylamelamines)(例えば、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド(triethiylenethiophosphoramide)およびトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine));アセトゲニン;δ-9-テトラヒドロカンナビノール(例えば、ドロナビノール、MARINOL(登録商標));β-ラパコン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成類似体であるトポテカン(HYCAMTIN(登録商標))、CPT-11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、アセチルカンプトテシン、スコポレクチン(scopolectin)、および9-アミノカンプトテシンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);ポドフィロトキシン;ポドフィリン酸;テニポシド;クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体であるKW-2189およびCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチイン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド酸塩、メルファラン、ノブエンビキン(novembichin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチン(ranimnustine)などのニトロソ尿素(nitrosureas);エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン;ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連の色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの抗代謝産物;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗アドレナリン作用薬;フォリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジコン;エルフォルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシンおよびアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、ユージーン、オレゴン州);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(例えば、T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアングイジン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標))ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology、プリンストン、ニュージャージー州)、ABRAXANE(商標)クレモフォールフリー、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、シャンバーグ、イリノイ州)、およびTAXOTERE(登録商標)ドキセタキセル(Rhone-Poulenc Rorer、アントニー、フランス);クロラムブシル(chloranbucil);ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));白金;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標));オキサリプラチン;ロイコボビン(leucovovin);ビノレルビン(NAVELBIN(登録商標));ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロン酸;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;上記のいずれかの薬学上許容可能な塩、酸または誘導体;ならびにCHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾンの合剤療法の略)およびFOLFOX(5-FUおよびロイコボビン(leucovovin)と組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))による投与計画の略)などの上記の2以上の組合せが含まれる。
【0065】
また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害する働きをする抗ホルモン薬、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、キオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびフェアストン(登録商標)トレミフェンを含む抗エストロゲン作用薬および選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM);酵素アロマターゼを阻害し、副腎でエストロゲン産生を調節するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGACE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、およびアリミデックス(登録商標)アナストロゾール;および抗アンドロゲン作用薬、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリン;ならびにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシド シトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な(abherant)細胞増殖に関連付けられているシグナル伝達経路の遺伝子(例えば、PKC-α、Raf、H-Ras、および上皮細胞増殖因子受容体(EGF-R))の発現を阻害するもの;ワクチン、例えば、遺伝子療法ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;PROLEUKIN(登録商標)rIL-2;ルルトテカン(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;アバレリクス(登録商標)rmRH;および上記のいずれかの薬学上許容可能な塩、酸または誘導体も含まれる。
【0066】
「代謝拮抗物質化学療法薬」は、代謝産物に構造的に類似するが、生産的な様式では身体が使用できない薬剤である。多くの代謝拮抗物質化学療法薬は、核酸、RNAおよびDNAの生産に干渉する。代謝拮抗物質化学療法薬の例としては、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン(XELODA(商標))、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、6-チオグアニン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、アラビノシルシトシンARA-Cシタラビン(CYTOSAR-U(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-DOMED)、アゾシトシン、デオキシシトシン、ピリドミデン(pyridmidene)、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))、クラドラビン(cladrabine)、2-デオキシ-D-グルコースなどが含まれる。いくつかの実施形態では、代謝拮抗物質化学療法薬は、ゲムシタビンである。ゲムシタビンHClは、商標GEMZAR(登録商標)としてイーライリリー社により販売されている。
【0067】
本明細書で使用する場合、「白金に基づく化学療法薬」は、分子の必須要素として白金を含有する有機化合物を含んでなる化学療法薬である。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、白金剤である。このようないくつかの実施形態では、白金剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンである。
【0068】
本明細書で使用する場合、「BRCA突然変異」または「BRCAの突然変異」は、適当な参照配列(例えば、野生型参照および/またはその対象の非癌細胞に存在する配列)と比較して、少なくとも1コピーのBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子のいずれかまたは両方の配列の変化または違いを意味する。BRCA1/2遺伝子の突然変異はBRCA1/2欠失を生じる可能性があり、これは例えば、BRCA遺伝子および/またはコードされているタンパク質の発現または機能の欠損または低下を含み得る。このような突然変異はまた、「有害突然変異」としても呼ばれることがあり、または有害突然変異であることが疑われ得る。BRCA突然変異は、「生殖細胞系BRCA突然変異」であり得、これはそれが片親または両親から遺伝したことを示す。生殖細胞系突然変異は、生物の全細胞に影響を及ぼし、後代に受け渡される。BRCA突然変異はまた、その生涯に獲得されてもよく、すなわち、患者の生涯のいずれの時点に身体(「soma」)のいずれの細胞に自発的に生じてもよく(すなわち、非遺伝性)、これは本明細書では互換的に「散発性BRCA突然変異」または「体細胞BRCA突然変異」と呼ばれる。遺伝子検査が利用可能であり、当業者に知られている。例えば、BRACAnalysis CDx(登録商標)キットは、生殖細胞系BRCA1/2変異体の検出および分類のためのin vitro診断薬である。単離されたゲノムDNAを用い、BRACAnalysis CDxは、BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子のタンパク質コード領域およびイントロン/エキソン境界の突然変異を特定する。一塩基変異体および小さな挿入および欠失(indel)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびヌクレオチドシークエンシングによって特定され得る。BRCA1およびBRCA2の大きな欠失および倍加は、マルチプレックスPCRを用いて検出され得る。「BRCA状態」の表示は、少なくとも一部の場合、BRCA1またはBRCA2のいずれかの少なくとも1コピーに突然変異が存在するかどうかを指す。いくつかの実施形態では、BRCA状態の表示は、BRCA1およびBRCA2のいずれかまたは両方のmRNA発現レベル、メチル化レベルまたは他のエピジェネティック修飾を指し得る。いくつかの実施形態では、「陽性BRCA状態」、「BRCA+」または「BRCA突然変異」を有する患者は、サンプルがBRCA1および/またはBRCA2に突然変異を含むことが証明された患者を指す。いくつかの実施形態では、「陽性BRCA状態」を有する患者は、サンプルがBRCA1および/またはBRCA2の発現が低下していることが証明された患者を指す。いくつかの実施形態では、「陰性BRCA状態」、「BRCA-」、「BRCA野生型」を有する患者は、サンプルが野生型BRCA1および/またはBRCA2配列(例えば、BRCAwt)を有することが証明された患者を指す。いくつかの実施形態では、BRCA状態は、生殖細胞系BRCA突然変異(例えば、gBRCAmut)が存在するかどうか判定される。いくつかの実施形態では、BRCA状態は、循環腫瘍DNA BRCA突然変異(例えば、ctBRCAmut)および/または無細胞DNA BRCA突然変異(例えば、cfBRCAmut)が存在するかどうか判定される。いくつかの実施形態では、BRCA変異状態は、対象の血液サンプルで行われる。いくつかの実施形態では、BRCA状態は、体細胞BRCA突然変異(sBRCAmut)および/または腫瘍BRCA突然変異(tBRCAmut)が存在するかどうか判定される。いくつかの実施形態では、BRCA状態は、sBRCAmut、tBRCAmut、gBRCAmut ctBRCAmut、およびcfBRCAmutの1以上が存在するかどうか判定される。
【0069】
本明細書で使用する場合、用語「無増悪生存期間」は、疾患(例えば、癌)を有する対象が病状の有意な増悪なく生存する期間を意味する。無増悪生存期間は、腫瘍成長の進行がない、かつ/または患者の病状が進行性の疾患であると判断されない期間として評価され得る。いくつかの実施形態では、癌を有する対象の無増悪生存期間は、腫瘍(病変)サイズ、腫瘍(病変)数、および/または転移を評価することによって評価される。
【0070】
腫瘍成長の「進行」(“progression” of tumor growth)または「疾患の進行(progressive disease)」(PD)という用語は、癌の状態に関して本明細書で使用する場合、標的病変(腫瘍)の直径の合計の増加を示す。いくつかの実施形態では、腫瘍成長の進行は、試験の最小合計(これは、試験での最小であればベースライン合計を示す)を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも20%増を意味する。いくつかの実施形態では、20%の相対的増加に加え、標的病変の直径の合計は、少なくとも5mmの絶対的増加も示すはずである。また、1以上の新たな病変の出現も、腫瘍成長の進行の判定の因子となり得る。また、無増悪生存期間を判定する目的で、以下の判定基準のうち少なくとも1つを満たす場合に進行と判定することもできる:1)CT/MRIによる腫瘍評価がRECIST 1.1判定基準に従って明白な進行を示す;または2)さらなる診断検査(例えば、組織診/細胞診、超音波技術、内視鏡、陽電子放出断層撮影法)が新たな病変を特定するか、または既存の病変をGynecologic Cancer Intergroup(GCIG)判定基準(全内容が本明細書の一部とされるRustin et al.,Int J Gynecol Cancer 2011;21:419-423参照)に従って明白な進行およびCA-125進行に適格であると判定する;3)非悪性または医原性原因([i]難治性の癌関連疼痛;[ii]悪性腸閉塞/増悪機能不全;または[iii]腹水または胸腔滲出の明白な症候性増悪)に無関連のPDの確定的な臨床徴候および症状ならびにGCIG-判定基準に従うCA-125進行。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「部分奏効」または「PR」は、ベースライン合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の減少で示されるような対象における腫瘍進行の低下を意味する。いくつかの実施形態では、PRは、ベースライン合計直径を参照として、合計直径または標的病変の少なくとも30%の減少を意味する。部分奏効を評価するための例示的方法は、RECISTガイドラインによって特定される。E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:Revised RECIST guideline(version 1.1.),”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)参照。
【0072】
本明細書で使用する場合、腫瘍成長の「安定化」または「安定」(SD)は、PRに適格となるほど十分な退縮もPDに適格となるほど十分な増大もないことを意味する。いくつかの実施形態では、安定化は、ベースライン合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の30%、25%、20%、15%、10%または5%未満の変化(増加または減少)を意味する。腫瘍成長の安定化または安定を評価するための例示的方法は、RECISTガイドラインにより特定される。E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:Revised RECIST guideline(version 1.1.),”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)参照。
【0073】
本明細書で使用する場合、用語「完全奏効」または「CR」は、総てまたは実質的に総ての標的病変の消失を意味する。いくつかの実施形態では、CRは、ベースライン合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の減少(すなわち、病変の減少)を意味する。いくつかの実施形態では、CRは、処置後に全病変直径の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれより小さな割合未満がそのままであることを示す。完全奏効を評価するための例示的方法は、RECISTガイドラインにより特定される。E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:Revised RECIST guideline(version 1.1.),”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)参照。
【0074】
本明細書で使用する場合、「ハザード比」は、処置群に見られるイベントのハザードまたは変化を対照群に見られるイベントの比率として表したものである。ハザード比は、当技術分野で公知のいずれかの方法、例えば、生存データの回帰法であるCoxモデルによって決定することができ、これによりハザード比の推定値とその信頼区間が得られる。ハザード比は、処置群と対照群のハザード率の比の推定値である。ハザード率は、対象とするイベントがまだ起こっていない場合に、次の期間にそれが起こる確率をその期間の長さで割ったものである。比例ハザード回帰の仮定は、ハザード比は時間が経っても一定であるというものである。
【0075】
本明細書で使用する場合、用語「処置」は(「処置する」または「処置すること」も)、特定の疾患、障害、および/または病態の1以上の症状、特徴、および/または原因を部分的にまたは完全に緩和する、改善する、軽減、阻害する、その発症を遅延させる、その重篤度を軽減する、および/またはその罹患率を低減する療法のいずれの投与も意味する。いくつかの実施形態では、このような処置は、関連の疾患、障害および/もしくは病態の徴候を示さない対象ならびに/または疾患、障害、および/または病態の初期徴候のみを示す対象の処置であり得る。その代わりに、またはそれに加えて、このような処置は、関連の疾患、障害および/または病態の1以上の確立された徴候を示す対象の処置であり得る。いくつかの実施形態では、処置は、関連の疾患、障害、および/または病態に罹患していると診断された対象の処置であり得る。いくつかの実施形態では、処置は、関連の疾患、障害、および/または病態の発生の高いリスクと統計的に相関が見られる1以上の感受性因子を有することが知られた対象の処置であり得る。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語「多形体」は、化合物の結晶構造を意味する。本明細書で使用する場合、用語「溶媒和物」は、化学量論量または非化学量論量の溶媒が結晶構造に組み込まれている結晶形を意味する。同様に、用語「水和物」は、化学量論量または非化学量論量の水が結晶構造に組み込まれている結晶形を意味する。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「薬学上許容可能な塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激作用、アレルギー反応などなくヒトおよびより下等な動物の組織と接触させるために使用するのに好適であり、かつ、妥当な利益/リスク比に見合う塩を意味する。薬学上許容可能な塩は当技術分野で周知である。例えば、S.M.Berge et al.は、引用することにより本明細書の一部とされるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19に薬学上許容可能な塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学上許容可能な塩には、好適な無機および有機酸および塩基から誘導されるものが含まれる。薬学上許容可能な無毒な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸を伴って形成される、あるいはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学上許容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。
【0078】
適当な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN+(C1ー4アルキル)4塩が含まれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学上許容可能な塩としては、適当であれば、ハロゲン化合物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級スルホン酸アルキル、およびアリールスルホン酸塩など、対イオンを用いて形成される無毒なアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミン陽イオンが含まれる。
【0079】
本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」は、有効薬が1以上の薬学上許容可能な担体とともに調剤される組成物を意味する。いくつかの実施形態では、有効薬は、関連集団に投与された際に所定の治療効果を達成する統計的に有意な確率を示す治療投与計画で投与するのに適当な単位用量で存在する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、経口投与に適合したもの、例えば、水剤(水溶液または非水溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、口内、舌下、および全身吸収を目的とするもの、ボーラス剤、散剤、顆粒剤、舌に適用するためのペーストを含む、固体形態または液体形態で投与するために特に調剤することができる。医薬組成物は、医薬(medicament)も意味し得る。
【0080】
本明細書で使用する場合、用語「抗体」は、特定の標的抗原に対する特異的結合を付与するのに十分なカノニカルな免疫グロブリン配列要素を含むポリペプチドを意味する。当技術分野で公知のように、天然に生成される無傷抗体は、互いに会合して一般に「Y型」構造と称されるものになる2つの同一の重鎖ポリペプチド(各約50kD)と2つの同一の軽鎖ポリペプチド(各約25kD)から構成されるおよそ150kDの四量体因子である。各重鎖は少なくとも4つのドメイン(各約110アミノ酸長)、すなわち、アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の端部に位置する)とその後の3つの定常ドメイン:CH1、CH2、およびカルボキシ末端CH3(Yのステムの基部に位置する)から構成される。「スイッチ」として知られる短い領域が重鎖可変領域と定常領域をつないでいる。「ヒンジ」はCH2およびCH3ドメインと抗体の残りの部分とをつないでいる。このヒンジ領域の2つジスルフィド結合は、無傷抗体において2つの重鎖ポリペプチドを互いにつないでいる。各軽鎖は、2つのドメイン、すなわち、別の「スイッチ」で互いから分離されている、アミノ末端可変(VL)ドメインとその後のカルボキシ末端定常(CL)ドメインから構成される。当業者は抗体構造および配列要素を熟知し、示された配列において「可変」領域と「定常」領域を認識し、このようなドメイン間の「境界」の画定に、同じ抗体鎖配列の異なる表現が例えば同じ抗体鎖配列の異なる表現に比べて1または数残基移動した位置にこのような境界を示すというように、いくらかの柔軟性があり得ることを理解している。無傷抗体四量体は、2つの重鎖-軽鎖二量体から構成され、この重鎖と軽鎖は単一のジスルフィド結合によって互いに連結され、他の2つのジスルフィド結合は重鎖ヒンジ領域を互いにつなぎ、これにより、それらの二量体が互いにつながり、四量体が形成される。天然に産生された抗体はまた、一般にCH2ドメインでグリコシル化されている。天然抗体の各ドメインは、圧縮された逆平行βバレルに互いに対してパッキングされた2つのβシート(例えば、3-、4-、または5-ストランドシート)から形成される「免疫グロブリンフォールド」を特徴とする構造を有する。各可変ドメインは、「相補性決定領域」として知られる3つの超可変ループ(CDR1、CDR2、およびCDR3)と4つのいくらか不変の「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)を含む。天然抗体が折り畳まれると、FR領域はβシートを形成してこれらのドメインに構造的フレームワークを提供し、重鎖と軽鎖両方のCDRループ領域は三次元空間で一緒になって、Y構造の端部に位置する単一の超可変抗原結合部位を作り出す。天然抗体のFc領域は補体系の要素に、また、例えば、細胞傷害性を媒介するエフェクター細胞を含むエフェクター細胞上の受容体にも結合する。当技術分野で公知のように、Fc受容体に対するFc領域の親和性および/またはその他の結合属性は、グリコシル化またはその他の修飾によって調節され得る。いくつかの実施形態では、本発明で産生および/または使用される抗体には、グリコシル化されたFcドメインを含み、このようなグリコシル化が修飾または操作されたFcドメインも含む。本発明の目的で、特定の実施形態において、天然抗体中に見られるような十分な免疫グロブリンドメイン配列を含むいずれのポリペプチドまたはポリペプチド複合体も、そのようなポリペプチドが天然に産生(例えば、抗原と反応して生物体により生成)されたものであれ、あるいは組換え操作、化学合成、または人工的なシステムもしくは方法によって生産されたものであれ、「抗体」として呼称および/または使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体はポリクローナルであり、いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナルである。いくつかの実施形態では、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体の特徴である定常領域配列を有する。いくつかの実施形態では、抗体配列要素は、当技術分野で公知のように、ヒト化型、霊長類化型、キメラなどである。さらに、用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、適当な実施形態において(そうではないことが述べられない限り、または文脈から明らかでない限り)、技術分野で既知のもしくは開発された構築物または別の表現で抗体の構造的および機能的特徴を利用するための形式のいずれもを意味し得る。例えば、実施形態として、本発明に従って利用される抗体は、限定されるものではないが、無傷のIgA、IgG、IgEまたはIgM抗体;二重または多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など);抗体フラグメント、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fd’フラグメント、Fdフラグメント、および単離されたCDRまたはそれらのセット;一本鎖Fvs;ポリペプチド-Fc融合体;シングルドメイン抗体(例えば、サメシングルドメイン抗体、例えば、IgNARまたはそのフラグメント);ラクダ科抗体;マスクド抗体(例えば、Probodies(登録商標));Small Modular ImmunoPharmaceuticals(「SMIPs(商標)」);一本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));VHHs;Anticalins(登録商標);Nanobodies(登録商標)ミニボディ;BiTE(登録商標);アンキリンリピートタンパク質またはDARPINs(登録商標);Avimers(登録商標);DARTs;TCR様抗体;Adnectins(登録商標);Affilins(登録商標);Trans-bodies(登録商標);Affibodies(登録商標);TrimerX(登録商標);MicroProteins;Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標);およびKALBITOR(登録商標)から選択される形式である。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に産生された場合には有するであろう共有結合的修飾(例えば、グリカンの付着)を欠く場合がある。いくつかの実施形態では、抗体は、共有結合的修飾(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能部分、治療用成分、触媒部分など]、またはその他の懸垂基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の付着)を含み得る。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語「抗体薬」は、特定の抗原と特異的に結合する薬剤を意味する。いくつかの実施形態では、用語は、特異的結合を付与するのに十分な免疫グロブリン構造要素を含むいずれのポリペプチドまたはポリペプチド複合体も包含する。例示的抗体薬としては、限定されるものではないが、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が含まれる。いくつかの実施形態では、抗体薬は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体に特徴的な1以上の定常領域配列を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体薬は、当技術分野で公知のように、ヒト化、霊長類化、キメラなどである1以上の配列要素を含み得る。多くの実施形態では、用語「抗体薬」は、技術分野で既知のもしくは開発された構築物または別の表現で抗体の構造的および機能的特徴を利用するための形式の1以上を意味して使用される。例えば、実施形態として、本発明に従って利用される抗体薬は、限定されるものではないが、無傷のIgA、IgG、IgEまたはIgM抗体;二重または多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など);抗体フラグメント、例えば、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fd’フラグメント、Fdフラグメント、および単離されたCDRまたはそれらのセット;一本鎖Fvs;ポリペプチド-Fc融合体;シングルドメイン抗体(例えば、サメシングルドメイン抗体、例えば、IgNARまたはそのフラグメント);ラクダ科抗体;マスクド抗体(例えば、Probodies(登録商標));Small Modular ImmunoPharmaceuticals(「SMIPs(商標)」);一本鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));VHHs;Anticalins(登録商標);Nanobodies(登録商標)ミニボディ;BiTE(登録商標);アンキリンリピートタンパク質またはDARPINs(登録商標);Avimers(登録商標);DARTs;TCR様抗体;Adnectins(登録商標);Affilins(登録商標);Trans-bodies(登録商標);Affibodies(登録商標);TrimerX(登録商標);MicroProteins;Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標);およびKALBITOR(登録商標)から選択される形式である。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に産生された場合には有するであろう共有結合的修飾(例えば、グリカンの付着)を欠く場合がある。いくつかの実施形態では、抗体は、共有結合的修飾(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能部分、治療用成分、触媒部分など]、またはその他の懸垂基[例えば、ポリエチレングリコールなど]の付着)を含み得る。多くの実施形態では、抗体薬は、アミノ酸配列が当業者により相補性決定領域(CDR)として認識されている1以上の構造要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含んでなり;いくつかの実施形態では、抗体薬は、アミノ酸配列が、参照抗体に見られるものと実質的に同一である少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDRおよび/または少なくとも1つの軽鎖CDR)を含むポリペプチドであるか、またはそれを含んでなる。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRに比べて配列が同一であるか、または1~5個のアミノ酸の置換を含むという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、それが参照CDRと少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、それが参照CDRと少なくとも96%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を示すという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRに比べて含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が欠失、付加、または置換しているが、その含まれるCDRはそれ以外では参照CDRと同一のアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRに比べて含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が欠失、付加、または置換しているが、その含まれるCDRはそれ以外では参照CDRと同一のアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRに比べて含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が置換しているが、その含まれるCDRはそれ以外では参照CDRと同一であるアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRに比べて含まれるCDR内の1~5個のアミノ酸が欠失、付加、または置換しているが、その含まれるCDRはそれ以外では参照CDRと同一のアミノ酸配列を有するという点で参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、抗体薬は、アミノ酸配列が当業者により免疫グロブリン可変ドメインとして認識されている構造要素を含むポリペプチドであるか、またはそれを含んでなる。いくつかの実施形態では、抗体薬は、免疫グロブリン結合ドメインと相同であるか、または概ね相同である結合ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。
【0082】
本明細書で使用する場合、用語「相同性」は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子および/もしくはRNA分子)間ならびに/またはポリペプチド分子間の全体的な関係を意味する。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一である場合に互いに「相同」と見なされる。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%類似する(例えば、対応する位置に関連の化学特性を有する残基を含む)場合に互いに「相同」と見なされる。例えば、当業者に周知のように、特定のアミノ酸が一般に、「疎水性」または「親水性」アミノ酸として、および/または「極性」または「非極性」側鎖を有するとして互いに類似すると分類される。あるアミノ酸の同種の別のアミノ酸での置換は多くの場合、「相同」置換と見なすことができる。
【0083】
当業者により理解されているように、異なる配列においてどの残基が互いに「対応する」かを考える場合に、ある配列において示された長さのギャップを別の配列に対して許容することによるなど、それらの相同性の程度を決定するために配列比較を可能とする様々なアルゴリズムが利用可能である。2つの核酸配列間の相同性パーセントの計算は、例えば、最適な比較のために2配列をアラインすることによって行うことができる(例えば、最適なアラインメントのために第1の配列および第2の核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、かつ、比較のために対応しない配列を無視することができる)。特定の実施形態では、比較のためにアラインされた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的に100%である。次に、対応するヌクレオチド位置のヌクレオチドを比較する。第1の配列の位置が第2の配列の対応する位置と同じヌクレオチドで占められている場合、それらの分子はその位置において同一であり、第1の配列の位置が第2の配列の対応する位置と類似するヌクレオチドで占められている場合、それらの分子はその位置で類似である。2配列間の相同性パーセントは、それらの配列により共有される同一および類似の位置の数の関数であり、2配列の最適アラインメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮する。2つのヌクレオチド配列間の相同性パーセントを決定するのに有用な代表的なアルゴリズムおよびコンピュータープログラムとしては、例えば、MeyersおよびMillerのアルゴリズム(CABIOS,1989,4:11-17)が含まれ、これはALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれており、PAM120ウエイト・レシジュ・テーブル、ギャップ・レングス・ペナルティー12およびギャップ・ペナルティー4を用いる。あるいは、2つのヌクレオチド配列間の相同性パーセントは、例えば、NWSgapdna.CMP matrixを使用するGCGソフトウエアパッケージのGAPプログラムを用いて決定することができる。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「併用療法」は、対象が2以上の治療計画(例えば、2以上の治療薬)に同時に曝される臨床介入を意味する。いくつかの実施形態では、2以上の治療計画は、同時に投与され得る。いくつかの実施形態では、2以上の治療計画は、逐次投与され得る(例えば、第1の計画が、いずれの用量であれ第2の計画の投与の前に投与される)。いくつかの実施形態では、2以上の治療計画が重複する投与計画において投与される。いくつかの実施形態では、併用療法の投与は、他の薬剤または療法を受けている対象への1以上の治療薬または療法の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、併用療法は、必ずしも、個々の薬剤が単一の組成物で一緒に投与される必要はない(または、必ずしも、同時に投与される必要さえない)。いくつかの実施形態では、併用療法の2以上の治療薬または療法が、対象に別個に、例えば、別個の組成物で、別個の投与経路で(例えば、1つの薬剤は経口で、別の薬剤は静脈内)、および/または異なる時点で投与される。いくつかの実施形態では、2以上の治療薬が一緒に、組合せ組成物で、またはさらには組合せ化合物で(例えば、単一の化学複合体または共有結合的実体の一部として)、同じ投与経路で、および/または同時に投与され得る。
【0085】
癌
癌は、制御されない様式で増殖する、場合によっては転移(拡散する)傾向にある細胞の異常な成長である。癌は1つの疾患ではない。癌には100を超える異なる明確な疾患群がある。癌は、身体のいずれの組織も含む可能性があり、各身体領域で多くの異なる形態を有する。ほとんどの癌は、それらが始まる細胞または器官の種類で命名される。腫瘍は癌性または良性であり得る。良性腫瘍は、腫瘍が成長するが拡散しないことを意味する。癌性腫瘍は悪性であり、それが成長し、身体の他の部分へ拡散可能であることを意味する。癌が拡散(転移)すれば、新たな腫瘍は元の(原発)腫瘍と同じ名称を有する。特定の癌の頻度は性によって異なり得る。皮膚癌は男性および女性の両方で最も多い悪性種であり、2番目に多い種類は、男性では前立腺癌であり、女性では乳癌である。
【0086】
本開示の方法は、当技術分野で公知のいずれの種類の癌を治療するためにも使用可能である。本開示の方法により治療される癌の限定されない例としては、黒色腫(例えば、転移悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば、明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺上皮内腫瘍)、膵臓腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、食道癌、扁平上皮癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、甲状腺癌、膠芽腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫、中皮腫、肉腫および他の新生物悪性腫瘍が含まれる。加えて、本発明は、本発明の方法を用いて成長が阻害され得る難治性または再発性悪性腫瘍を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法により治療される癌としては、例えば、癌腫、扁平上皮癌(例えば、子宮頸管、眼瞼、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、頭頸部、舌、喉頭、および食道)、および腺癌(例えば、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頸管、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳腺、および卵巣)が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の方法により治療される癌としてはさらに、肉腫(例えば、筋原性肉腫)、白血病、神経腫、黒色腫、およびリンパ腫が含まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法で治療される患者または患者集団は、固形腫瘍を有する。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、肉腫またはメルケル細胞癌である。いくつかの実施形態では、本開示の併用療法で治療される患者または患者集団は、血液癌を有する。いくつかの実施形態では、患者は、びまん性大B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、ホジキンリンパ腫(「HL」)、非ホジキンリンパ腫(「NHL」)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、急性骨髄性白血病(「AML」)、または多発性骨髄腫(「MM」)などの血液癌を有する。
【0088】
実施形態において、癌は進行癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージII、ステージIIIまたはステージIVの癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージIIの癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージIIIの癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージIVの癌である。
【0089】
実施形態において、癌は、転移癌である。
【0090】
実施形態において、本明細書に記載の方法は、対象において腫瘍を減少させるまたは腫瘍細胞の成長を阻害するために有用である。
【0091】
実施形態において、癌は、再発癌である。
【0092】
本明細書に記載の方法で治療可能な癌としてはまた、高い腫瘍遺伝子変異量(TMB)を伴う癌、マイクロサテライト安定性(MSS)がある癌、マイクロサテライト不安定性を特徴とする癌、高いマイクロサテライト不安定状態(MSI-H)を有する癌、低いマイクロサテライト不安定状態(MSI-L)を有する癌、高いTMBおよびMSI-Hを伴う癌、高いTMBおよびMSI-LまたはMSSを伴う癌、欠陥のあるDNAミスマッチ修復系を有する癌、DNAミスマッチ修復遺伝子に欠陥を有する癌、高頻度変異癌、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を有するまたは相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする癌、ポリメラーゼδ(POLD)に突然変異を含んでなる癌、およびポリメラーゼε(POLE)に突然変異を含んでなる癌が含まれる。実施形態において、癌は、相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失、DNA損傷修復(DDR)経路の突然変異、BRCA欠損、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)突然変異、および/または染色体転座を特徴とする癌である。実施形態において、癌は、高頻度変異癌、MSI-H癌、MSI-L癌、またはMSS癌である。実施形態において、癌は、これらの特徴のうち1以上を特徴とする。
【0093】
いくつかの実施形態では、治療される腫瘍は、マイクロサテライト不安定性を特徴とする。いくつかの実施形態では、腫瘍は、マイクロサテライト不安定性が高い状態(MSI-H)を特徴とする。マイクロサテライト不安定性(「MSI」)は、マイクロサテライトの反復(DNAの短い反復配列)の数が、それが受け継がれたDNAに含まれていた反復の数とは異なるという、特定の細胞(例えば、腫瘍細胞)のDNAにおける変化であるか、またはそれを含んでなる。散発性結腸直腸癌(CRC)の約15%が、マイクロサテライト不安定性(MSI)として知られるマイクロサテライト(MS)配列の長さの幅広い変化を有している(Boland and Goel,2010)。散発性MSI CRC腫瘍は、2倍体に近い核型、高齢集団および女性で高頻度、およびより良好な予後を含む独特な臨床病理的特徴を示す(de la Chapelle and Hampel,2010;Popat et al.,2005)。MSIは、最も多い婦人科悪性腫瘍である子宮内膜癌(EC)の場合など、他の腫瘍においても存在する(Duggan et al.,1994)。遺伝性疾患(リンチ症候群)を検査するために最初に開発された同じ参照であるベセスダパネル(Umar et al.,2004)は、MSIをCRCおよびECに関して検査するために現在適用されている。しかしながら、CRCゲノム内でMSIにより頻繁に標的とされる遺伝子がECゲノムにDNAスリページイベント(DNA slippage events)を有することはまれである(Gurin et al.,1999)。
【0094】
マイクロサテライト不安定性は、欠陥のあるDNAミスマッチ修復(MMR)系のために複製関連エラーを修復できないことから生じる。この不全はゲノム全体にわたって、しかしながら特にマイクロサテライトとして知られる反復DNAの領域でミスマッチ突然変異の持続を可能とし、突然変異荷重の増大に至る。MSI-Hを特徴とする少なくとも一部の腫瘍は特定のPD-1剤に対する応答が改善されていることが実証されている(Le et al.,(2015)N.Engl.J.Med.372(26):2509-2520;Westdorp et al.,(2016)Cancer Immunol.Immunother.65(10):1249-1259)。いくつかの実施形態では、癌は、高いマイクロサテライト不安定性のマイクロサテライト不安定性(例えば、MSI-H状態)を有する。いくつかの実施形態では、癌は、低いマイクロサテライト不安定性のマイクロサテライト不安定状態(例えば、MSI-Low)を有する。いくつかの実施形態では、癌は、マイクロサテライト安定性のマイクロサテライト不安定状態(例えば、MSS状態)を有する。いくつかの実施形態では、マイクロサテライト不安定状態は、次世代シークエンシング(NGS)に基づくアッセイ、免疫組織化学(IHC)に基づくアッセイ、および/またはPCRに基づくアッセイによって評価される。いくつかの実施形態では、マイクロサテライト不安定性は、NGSにより検出される。いくつかの実施形態では、マイクロサテライト不安定性は、IHCにより検出される。いくつかの実施形態では、マイクロサテライト不安定性は、PCRにより検出される。
【0095】
実施形態において、患者は、MSI-L癌を有する。
【0096】
実施形態において、患者は、MSI-H癌を有する。いくつかの実施形態では、患者は、MSI-H固形腫瘍を有する。実施形態において、MSI-H癌は、MSI-H子宮内膜癌である。実施形態において、MSI-H癌は、固形腫瘍である。実施形態において、MSI-H癌は、転移腫瘍である。実施形態において、MSI-H癌は、子宮内膜癌である。実施形態において、MSI-H癌は、非子宮内膜癌である。実施形態において、MSI-H癌は、結腸直腸癌である。
【0097】
実施形態において、患者は、MSS癌である。実施形態において、MSS癌は、MSS子宮内膜癌である。
【0098】
実施形態において、癌は、POLE(DNAポリメラーゼε)突然変異を伴う(すなわち、癌はPOLE変異癌である)。実施形態において、POLE突然変異は、エキソヌクレアーゼドメインにおける突然変異である。実施形態において、POLE突然変異は、生殖細胞系突然変異である。実施形態において、POLE突然変異は、散発性突然変異である。実施形態において、MSI癌はまた、POLE突然変異も伴う。実施形態において、MSS癌はまた、POLE突然変異も伴う。実施形態において、POLE突然変異は、シークエンシングを用いて同定される。実施形態において、POLE変異癌は、子宮内膜癌である。実施形態において、POLE変異癌は、結腸癌である。実施形態において、POLE変異癌は、膵臓癌、卵巣癌、または小腸の癌である。
【0099】
実施形態において、癌は、POLD(DNAポリメラーゼδ)突然変異を伴う(すなわち、癌はPOLD変異癌である)。実施形態において、POLD突然変異は、エキソヌクレアーゼドメインにおける突然変異である。実施形態において、POLD突然変異は、体細胞突然変異である。実施形態において、POLD突然変異は、生殖細胞系突然変異である。実施形態において、POLD変異癌は、シークエンシングを用いて同定される。実施形態において、POLD変異癌は、子宮内膜癌である。実施形態において、POLD変異癌は、結腸直腸癌である。実施形態において、POLD変異癌は、脳癌である。
【0100】
実施形態において、癌は、欠陥のあるDNAミスマッチ修復系を有する(例えば、ミスマッチ修復欠陥(MMRd)癌である)。実施形態において、癌は、DNAミスマッチ修復遺伝子に欠陥を有する。いくつかの実施形態では、患者は、ミスマッチ修復欠陥癌を有する。
【0101】
実施形態において、MMRd癌は、結腸直腸癌である。
【0102】
実施形態において、癌は、高頻度変異癌である。
【0103】
実施形態において、癌は、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を有するか、または相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする。
【0104】
実施形態において、癌(例えば、MMRd癌)は、高い腫瘍遺伝子変異量を特徴とする(すなわち、癌は高TMB癌である)。いくつかの実施形態では、癌は、高いTMBおよびMSI-Hを伴う。いくつかの実施形態では、癌は、高いTMBおよびMSI-LまたはMSSを伴う。いくつかの実施形態では、癌は、高いTMBを伴う子宮内膜癌である。いくつかの関連の実施形態では、子宮内膜癌は、高いTMBおよびMSI-Hを伴う。いくつかの関連の実施形態では、子宮内膜癌は、高いTMBおよびMSI-LまたはMSSを伴う。実施形態において、高TMB癌は、結腸直腸癌である。実施形態において、高TMB癌は、肺癌(例えば、小細胞肺癌(SCLC)または非小細胞肺癌(NSCLC)(例えば、扁平上皮NSCLCまたは非扁平上皮NSCLC))である。実施形態において、高TMB癌は、黒色腫である。実施形態において、高TMB癌は、尿路上皮癌である。
【0105】
実施形態において、患者は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の発現の上昇を伴う癌であり、すなわち、患者は、高TIL癌を有する。実施形態において、高TIL癌は、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)またはHER2陽性乳癌)である。実施形態において、高TIL癌は、転移癌(例えば、転移乳癌)である。
【0106】
本開示の方法によって治療される癌の限定されない例は、黒色腫(例えば、転移悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば、明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺上皮内腫瘍)、膵臓腺癌、乳癌、結腸癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、食道癌、頭頸部癌、扁平上皮癌、肝臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、甲状腺癌、膠芽腫、神経膠腫、白血病、リンパ腫、中皮腫、肉腫およびその他の新生物悪性腫瘍を含み得る。加えて、本発明は、本発明の方法を用いて成長が阻害され得る難治性または再発性悪性腫瘍を含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって治療される癌としては、例えば、癌腫、扁平上皮癌(例えば、子宮頸管、眼瞼、結膜、膣、肺、口腔、皮膚、膀胱、頭頸部、舌、喉頭、および食道)、および腺癌(例えば、前立腺、小腸、子宮内膜、子宮頸管、大腸、肺、膵臓、食道、直腸、子宮、胃、乳腺、および卵巣)が含まれる。いくつかの実施形態では、本開示の方法によって治療される癌としてはさらに、肉腫(例えば、筋原性肉腫)、白血病、神経腫、黒色腫、およびリンパ腫が含まれる。いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、またはメルケル細胞癌である(例えば、Bhatia et al,Curr.Oncol.Rep.,13(6):488-497(2011)参照)。
【0107】
実施形態において、癌は、急性骨髄性白血病(「AML」)、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、腺癌、肺腺癌、副腎皮質癌、肛門癌(例えば、肛門扁平上皮癌)、虫垂癌、B細胞由来白血病、B細胞由来リンパ腫、膀胱癌、脳癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)または非トリプルネガティブ乳癌)、卵管癌、精巣癌、脳癌、子宮頸癌(例えば、子宮頸部扁平上皮癌)、胆管癌、絨毛癌、慢性骨髄性白血病、CNS腫瘍、結腸腺癌、結腸癌または結腸直腸癌(例えば、結腸腺癌)、びまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、胎児型横紋筋肉腫(ERMS)、子宮内膜癌、上皮癌、食道癌(例えば、食道扁平上皮癌)、ユーイング肉腫、眼癌(例えば、ブドウ膜黒色腫)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、胆嚢癌、胃癌、消化管癌、多形性膠芽腫、神経膠腫(例えば、低悪性度神経膠腫)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌(SCHNC))、血液癌、肝細胞癌、ホジキンリンパ腫(HL)/原発性縦隔B細胞リンパ腫、腎臓癌(例えば、腎明細胞癌、腎乳頭状癌、または腎色素嫌性癌)、大細胞型B細胞リンパ腫、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、または肺扁平上皮癌)、リンパ腫、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、単球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄腫、神経芽細胞由来CNS腫瘍(例えば、神経芽腫(NB))、非ホジキンリンパ腫(NHL)、非小細胞肺癌(NSCLC)、口腔癌、骨肉腫、卵巣癌、卵巣癌、膵臓癌、腹膜癌、褐色細胞腫、原発性腹膜癌、前立腺癌、再発性または難治性古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、直腸癌(直腸癌)、唾液腺癌(例えば、唾液腺腫瘍)、肉腫、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、陰茎扁平上皮癌、軟組織肉腫、食道扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(SCHNC)、肺扁平上皮癌、胃癌、T細胞由来白血病、T細胞由来リンパ腫、精巣腫瘍、胸腺癌、胸腺腫、甲状腺癌(甲状腺癌)、ブドウ膜黒色腫、尿路上皮細胞癌、子宮癌(例えば、子宮内膜癌または子宮肉腫、例えば、子宮癌肉腫)、膣癌(例えば、膣扁平上皮癌)、外陰癌(例えば、外陰扁平上皮癌)、またはウィルムス腫瘍である。
【0108】
実施形態において、癌は、腺癌、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、卵管癌、精巣癌、原発性腹膜癌、結腸癌、結腸直腸癌、胃癌、小腸癌、肛門扁平上皮癌、陰茎扁平上皮癌、子宮頸部扁平上皮癌、膣扁平上皮癌、外陰扁平上皮癌、軟組織肉腫、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、胃癌、膀胱癌、胆嚢癌、肝臓癌、甲状腺癌、喉頭癌、唾液腺癌、食道癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、中皮腫、メルケル細胞癌、肉腫、膠芽腫、血液癌、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/原発性縦隔B細胞リンパ腫、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、非ホジキンリンパ腫、神経芽腫、CNS腫瘍、びまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)、ユーイング肉腫、胎児型横紋筋肉腫、骨肉腫、またはウィルムス腫瘍である。実施形態において、癌は、MSSまたはMSI-Lであるか、マイクロサテライト不安定性を特徴とするか、MSI-Hであるか、高いTMBを有するか、高いTMBを有しかつMSSもしくはMSI-Lであるか、高いTMBを有しかつMSI-Hであるか、欠陥のあるDNAミスマッチ修復系を有するか、DNAミスマッチ修復遺伝子に欠陥を有するか、高頻度変異癌であるか、HRDもしくはHRR癌であるか、ポリメラーゼδ(POLD)に突然変異を含んでなるか、またはポリメラーゼε(POLE)に突然変異を含んでなる。
【0109】
実施形態において、癌は、大細胞型B細胞リンパ腫、胸腺腫、急性骨髄性白血病、精巣腫瘍、肺腺癌、非小細胞肺癌、腎明細胞癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、非トリプルネガティブ乳癌(非TNBC)、胃癌、肺扁平上皮細胞癌、中皮腫、膵臓癌、子宮頸癌、頭頸部癌、黒色腫、肝細胞癌、鼻咽頭癌、食道癌、結腸腺癌、結腸直腸癌、直腸癌、胆管癌、子宮内膜癌、肉腫、膀胱癌、甲状腺癌、腎乳頭状癌、多形性膠芽腫、肝臓癌、子宮癌肉腫、褐色細胞腫、低悪性度神経膠腫、腎色素嫌性癌、副腎皮質癌、またはブドウ膜黒色腫である。
【0110】
他の実施形態では、癌は、頭頸部癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、腎臓癌、膀胱癌、黒色腫、メルケル細胞癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、卵管癌、乳癌、前立腺癌、唾液腺腫瘍、胸腺腫、副腎皮質癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、虫垂癌、尿路上皮細胞癌、または扁平上皮癌(例えば、肺の;肛門、陰茎、子宮頸部、膣、もしくは外陰を含む肛門性器領域の;または食道の)である。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示に関する治療のための癌は、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、またはメルケル細胞癌である。
【0112】
実施形態において、癌は、リンパ腫、例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症、H鎖病および真性赤血球増加症である。
【0113】
実施形態において、癌は、扁平上皮癌である。実施形態において、癌は、肺扁平上皮癌である。実施形態において、癌は、食道扁平上皮癌である。実施形態において、癌は、肛門性器領域(例えば、肛門、陰茎、子宮頸部、膣、または外陰)の扁平上皮癌である。実施形態において、癌は、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)である。
【0114】
実施形態において、癌は、膀胱癌、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(TNBC))、卵管癌、胆管癌、結腸腺癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫、胃癌、腎明細胞癌、肺癌(例えば、肺腺癌または肺扁平上皮細胞癌)、中皮腫、卵巣癌、膵臓癌、腹膜癌、前立腺癌、子宮内膜癌、またはブドウ膜黒色腫である。実施形態において、癌は、卵巣癌、卵管癌、または腹膜癌である。実施形態において、癌は、乳癌(例えば、TNBC)である。実施形態において、癌は、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)である。実施形態において、癌は、前立腺癌である。
【0115】
実施形態において、癌は、CNSまたは脳癌、例えば、神経芽腫(NB)、神経膠腫、びまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)、毛様細胞性星状細胞腫、星状細胞腫、退形成性星状細胞腫、多形性膠芽腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、脳室上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、前庭神経鞘腫、腺腫、転移脳腫瘍、髄膜腫、脊髄腫瘍、または髄芽細胞腫である。実施形態において、癌は、CNS腫瘍である。
【0116】
他の実施形態では、癌は、黒色腫、腎細胞癌、肺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、胆嚢癌、喉頭癌、肝臓癌、甲状腺癌、胃癌、唾液腺癌、前立腺癌、膵臓癌、またはメルケル細胞癌である(例えば、Bhatia et al.,Curr.Oncol.Rep.,13(6):488-497(2011)参照)。
【0117】
いくつかの実施形態では、患者または患者集団は血液癌を有する。いくつかの実施形態では、患者は、血液癌、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(「DLBCL」)、ホジキンリンパ腫(「HL」)、非ホジキンリンパ腫(「NHL」)、濾胞性リンパ腫(「FL」)、急性骨髄性白血病(「AML」)、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、または多発性骨髄腫(「MM」)である。実施形態において、癌は、血液由来癌、例えば、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、急性リンパ芽球性B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病(「AML」)、急性リンパ芽球性白血病(「ALL」)、急性前骨髄球性白血病(「APL」)、急性単芽球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ性白血病、急性未分化型白血病、慢性骨髄球性白血病(「CML」)、慢性リンパ球性白血病(「CLL」)、有毛細胞白血病および多発性骨髄腫;急性および慢性白血病、例えば、リンパ芽球性、骨髄性、リンパ球性、および骨髄球性白血病である。実施形態において、血液癌は、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫(例えば、再発性または難治性古典的ホジキンリンパ腫(cHL)、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、または前駆Tリンパ芽球性リンパ腫)、リンパ上皮癌、または悪性組織球症である。
【0118】
いくつかの実施形態では、患者または患者集団は固形腫瘍を有する。実施形態において、癌は、固形腫瘍、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、膵臓癌、骨癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、口腔癌、鼻癌、咽喉癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原生癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、膀胱癌、肺癌、上皮癌、皮膚癌、黒色腫、神経芽腫(NB)、または網膜芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、進行期固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、転移固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、患者は、MSI-H固形腫瘍を有する。実施形態において、固形腫瘍は、MSS固形腫瘍である。実施形態において、固形腫瘍は、POLE変異固形腫瘍である。実施形態において、固形腫瘍は、MSS固形腫瘍である。実施形態において、固形腫瘍は、POLD変異固形腫瘍である。
【0119】
いくつかの実施形態では、本発明の方法によって治療される患者または患者集団は、癌、例えば、頭頸部癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC))、腎臓癌、膀胱癌、黒色腫、メルケル細胞癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、子宮癌、子宮内膜癌、卵巣癌、卵管癌、乳癌、前立腺癌、唾液腺腫瘍、胸腺腫、副腎皮質癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、虫垂癌、尿路上皮細胞癌、または扁平上皮癌(例えば、肺の;肛門、陰茎、子宮頸部、膣、もしくは外陰を含む肛門性器領域の;または食道の)を有するか、またはそれに感受性がある。いくつかの実施形態では、本発明の方法によって治療される患者または患者集団は、肺癌(例えば、NSCLC)、腎臓癌、黒色腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、または子宮内膜癌(例えば、MSS子宮内膜癌またはMSI-H子宮内膜癌)を有するか、またはそれに感受性がある。
【0120】
いくつかの実施形態では、本発明の方法によって治療される患者または患者集団は、非小細胞肺癌(NSCLC)、肝細胞癌、腎臓癌、黒色腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、肛門性器領域の扁平上皮癌(例えば、肛門、陰茎、子宮頸部、膣、または外陰の扁平上皮癌)、頭頸部癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌または子宮内膜癌を有するか、またはそれに感受性がある。いくつかの実施形態では、患者は、進行期固形腫瘍、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、肝細胞癌、腎臓癌、黒色腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、肛門性器領域の扁平上皮癌(例えば、肛門、陰茎、子宮頸部、膣、または外陰の扁平上皮癌)、頭頸部癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌または子宮内膜癌を有する。いくつかの実施形態では、患者は、マイクロサテライト不安定性を有する進行期固形腫瘍を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、癌は、婦人科癌(すなわち、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、子宮癌、または原発性腹膜癌、または乳癌などの女性生殖系の癌)である。いくつかの実施形態では、女性生殖系の癌としては、限定されるものではないが、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌、および乳癌が含まれる。
【0122】
実施形態において、癌は、卵巣癌(例えば、漿液性または明細胞卵巣癌)である。実施形態において、癌は、卵管癌(例えば、漿液性または明細胞卵管癌)である。実施形態において、癌は、原発性腹膜癌(例えば、漿液性または明細胞原発性腹膜癌)である。
【0123】
いくつかの実施形態では、卵巣癌は、上皮癌である。上皮癌は、卵巣癌の85%~90%を占める。歴史的には卵巣の表面で始まると見なされているが、新たな証拠は、少なくとも一部の卵巣癌が卵管部分の特定の細胞に始まることを示唆する。卵管は、女性の卵巣と子宮をつなぐ小さな管であり、これらも女性生殖系の一部である。正常な女性生殖系では、2本の卵管があり、子宮の各側に1本が位置する。卵管に始まる癌細胞は、早期に卵巣の表面に移行し得る。用語「卵巣癌」は、多くの場合、卵巣、卵管に、および腹膜と呼ばれる腹腔の内面から始まる上皮癌を表すために用いられる。いくつかの実施形態では、癌は、生殖細胞腫瘍であるか、またはそれを含んでなる。生殖細胞腫瘍は、卵巣の卵産生細胞に生じる卵巣癌の一種である。いくつかの実施形態では、癌は、間質腫瘍であるか、またはそれを含んでなる。間質腫瘍は、卵巣を一緒に保持する結合組織の細胞に生じ、この結合組織は時にはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを生成する組織である。いくつかの実施形態では、癌は、顆粒膜細胞腫瘍であるか、またはそれを含んでなる。顆粒膜細胞腫瘍は、エストロゲンを分泌し、診断時に不正膣出血を生じていることがある。いくつかの実施形態では、婦人科癌は、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)、相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失、および/またはBRCA1/2突然変異を伴う。いくつかの実施形態では、婦人科癌は、白金感受性である。いくつかの実施形態では、婦人科癌は、白金に基づく療法に奏効している。いくつかの実施形態では、婦人科癌は、白金に基づく療法に対して耐性を発達させている。いくつかの実施形態では、婦人科癌は、白金に基づく療法に一度、部分奏効または完全奏効(例えば、最後の白金に基づく療法または最後から2番目の白金に基づく療法に対する部分奏効または完全奏効)を示している。いくつかの実施形態では、婦人科癌は、白金に基づく療法に現在耐性がある。
【0124】
実施形態において、癌は、乳癌である。通常、乳癌は、小葉として知られる泌乳腺の細胞に、または乳管に始まる。多くはないが、乳癌は間質組織に始まる場合もある。これらには、乳房の脂肪性および線維性の結合組織が含まれる。乳癌細胞は経時的に、転移として知られるプロセスで、腋窩リンパ節または肺などの近傍組織に浸潤し得る。乳癌のステージ、腫瘍のサイズおよびその増殖速度は総て、提供される治療の種類を決定する因子である。治療選択肢としては、腫瘍を除去するための手術、化学療法およびホルモン療法を含む薬物治療、放射線療法および免疫療法が含まれる。予後および生存率は幅広く異なり、5年相対生存率は存在する乳癌の種類によって98%から23%まで異なる。乳癌は、世界で2番目に多い癌であり、2012年ではおよそ170万の新症例があり、癌による死因の第5位であり、およそ521,000人の死亡例がある。これらの症例のうちおよそ15%が、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体(PR)またはHER2を発現しないトリプルネガティブである。いくつかの実施形態では、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体発現陰性(細胞の<1%)、プロゲステロン受容体発現陰性(細胞の<1%)、およびHER2陰性である乳癌細胞として特徴付けられる。
【0125】
実施形態において、癌は、ER陽性乳癌、ER陰性乳癌、PR陽性乳癌、PR陰性乳癌、HER2陽性乳癌、HER2陰性乳癌、BRCA1/2陽性乳癌、BRCA1/2陰性癌、またはトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。実施形態において、癌は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。いくつかの実施形態では、乳癌は、転移乳癌である。いくつかの実施形態では、乳癌は、進行乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージII、ステージIIIまたはステージIV乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージIV乳癌である。いくつかの実施形態では、乳癌は、トリプルネガティブ乳癌である。実施形態において、乳癌は、転移乳癌である。実施形態において、乳癌は、MSI-H乳癌である。実施形態において、乳癌は、MSS乳癌である。実施形態において、乳癌は、POLE変異乳癌である。実施形態において、乳癌は、POLD変異乳癌である。実施形態において、乳癌は、高TMB乳癌である。実施形態において、乳癌は、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を伴うか、または相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示の方法によって治療される患者または患者集団は、子宮内膜癌(「EC」)を有するか、またはそれに感受性がある。子宮内膜癌は、100,000人年に10~20人を占める女性生殖管の最も多い癌である。世界の子宮内膜癌(EC)の年間新症例数は、約32万5千人と推計される。さらに、ECは、閉経後の女性に最も多い癌である。子宮内膜癌症例の約53%が先進国に見られる。2015年に、米国ではおよそ55,000症例のECが診断され、ECに使用するために現在承認されている標的療法はない。1Lおよび2L状況で、進行ECおよび再発ECの生存率を改善する薬剤および投与計画の必要がある。2016年に、米国では、およそ10,170人がECから死に至ると予想される。最も多い組織学的形態は類内膜腺癌であり、診断症例の約75~80%に相当する。他の組織学的形態としては、子宮乳頭状漿液性(10%未満)、明細胞4%、粘液性1%、扁平上皮1%未満および混合型約10%が含まれる。
【0127】
病因的観点から、ECは2つの異なるタイプ、いわゆる、I型とII型に分けられる。I型腫瘍は、低悪性度であり、エストロゲン関連類内膜癌(EEC)であり、II型は非類内膜(NEEC)(主として、漿液性および明細胞)癌である。世界保健機関は、ECの病理学的分類を最近更新し、ECには9つの異なるサブタイプを認識しているが、EECおよび漿液性癌(SC)が症例の大部分を占める。EECは、周閉経期の患者に見られるエストロゲン関連癌であり、前駆病変(子宮内膜の肥厚/類内膜上皮内新生物)が先行する。顕微鏡的に、低悪性度EEC(EEC1~2)は、増殖性の子宮内膜にいく分類似する管状腺を含み、腺と篩状構造の融合を伴った構造的複雑性を有する。高悪性度EECは、充実型の増殖パターンを示す。対照的に、SCは、高エストロゲン症が存在しない閉経後の患者に見られる。顕微鏡では、SCは、腫瘍細胞の顕著な重層化を伴う厚い、線維性のまたは水腫状の乳頭突起、細胞の出芽、および大きな好酸性の細胞質を有する未分化細胞を示す。大多数のEECは、低悪性度腫瘍(グレード1および2)であり、子宮に制限されている場合には良好な予後を伴う。グレード3 EEC(EEC3)は、高頻度のリンパ節転移を伴う侵襲性腫瘍である。SCは、極めて侵襲性が高く、エストロゲン刺激に無関係で、主として高齢女性に見られる。EEC3およびSCは、高悪性度腫瘍と見なされる。SCおよびEEC3は、1988~2001年のsurveillance,epidemiology and End Results(SEER)プログラムデータを用いて比較されている。それらはそれぞれECの10%および15%に相当し、それぞれ癌の脂肪の39%および27%を占める。子宮内膜癌はまた、4つの分子サブグループに分類することができる:(1)超変異/POLE変異体;(2)高頻度変異MSI+(例えば、MSI-HまたはMSI-L);(3)低コピー数/マイクロサテライト安定(MSS);および(4)高コピー数/漿液型様。症例のおよそ28%がMSI-highである(Murali,Lancet Oncol. (2014))。いくつかの実施形態では、患者は、2L子宮内膜癌のミスマッチ修復欠陥サブセットを有する。実施形態において、子宮内膜癌は、転移子宮内膜癌である。実施形態において、患者は、MSS子宮内膜癌を有する。実施形態において、患者は、MSI-H子宮内膜癌を有する。実施形態において、子宮内膜癌は、MSI-L子宮内膜癌である。実施形態において、子宮内膜癌は、MSS子宮内膜癌である。実施形態において、子宮内膜癌は、POLE変異子宮内膜癌(例えば、POLE突然変異を含んでなるMSI-H子宮内膜癌)である。実施形態において、子宮内膜癌は、POLD変異子宮内膜癌(例えば、POLD突然変異を含んでなるMSI-H子宮内膜癌)である。実施形態において、子宮内膜癌は、高TMB子宮内膜癌である。実施形態において、子宮内膜癌は、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を伴うか、または相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする。
【0128】
実施形態において、癌は、性腺腫瘍である。
【0129】
実施形態において、癌は、非子宮内膜癌(例えば、非子宮内膜固形腫瘍)である。実施形態において、非子宮内膜癌は、進行癌である。実施形態において、非子宮内膜癌は、転移癌である。実施形態において、非子宮内膜癌は、MSI-H癌である。実施形態において、非子宮内膜癌は、MSI-L子宮内膜癌である。実施形態において、非子宮内膜癌は、MSS癌である。実施形態において、非子宮内膜癌は、POLE変異癌(例えば、POLE突然変異を含んでなるMSI-H非子宮内膜癌)である。実施形態において、非子宮内膜癌は、POLD変異癌(例えば、POLD突然変異を含んでなるMSI-H非子宮内膜癌)である。実施形態において、非子宮内膜癌は、固形腫瘍(例えば、MSS固形腫瘍、MSI-H固形腫瘍、POLD変異固形腫瘍、またはPOLE変異固形腫瘍)である。実施形態において、非子宮内膜癌は、高TMB癌である。実施形態において、非子宮内膜癌は、相同組換え修復欠陥/相同修復欠陥(「HRD」)を伴うか、または相同組換え修復(HRR)遺伝子突然変異もしくは欠失を特徴とする。
【0130】
実施形態において、癌は、肺癌である。実施形態において、肺癌は、肺扁平上皮癌である。実施形態において、肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)である。実施形態において、肺癌は、扁平上皮NSCLCなどの非小細胞肺癌(NSCLC)である。実施形態において、肺癌は、ALK転座肺癌(例えば、ALK転座NSCLC)である。実施形態において、癌は、ALK転座が同定されたNSCLCである。実施形態において、肺癌は、EGFR変異肺癌(例えば、EGFR変異NSCLC)である。実施形態において、癌は、EGFR変異が同定されたNSCLCである。
【0131】
実施形態において、癌は、結腸直腸(CRC)癌(例えば、固形腫瘍)である。実施形態において、結腸直腸癌は、進行結腸直腸癌である。実施形態において、結腸直腸癌は、転移結腸直腸癌である。実施形態において、結腸直腸癌は、MSI-H結腸直腸癌である。実施形態において、結腸直腸癌は、MSS結腸直腸癌である。実施形態において、結腸直腸癌は、POLE変異結腸直腸癌である。実施形態において、結腸直腸癌は、POLD変異結腸直腸癌である。実施形態において、結腸直腸癌は、高TMB結腸直腸癌である。
【0132】
実施形態において、癌は、黒色腫である。実施形態において、黒色腫は、進行黒色腫である。実施形態において、黒色腫は、転移黒色腫である。実施形態において、黒色腫は、MSI-H黒色腫である。実施形態において、黒色腫は、MSS黒色腫である。実施形態において、黒色腫は、POLE変異黒色腫である。実施形態において、黒色腫は、POLD変異黒色腫である。実施形態において、黒色腫は、高TMB黒色腫である。
【0133】
実施形態において、癌は、再発癌(例えば、再発上皮性卵巣癌、再発卵管癌、再発原発性腹膜癌、または再発子宮内膜癌などの再発婦人科癌)である。
【0134】
婦人科癌
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、卵巣癌、卵管癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、子宮癌、または原発性腹膜癌などの婦人科癌を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、上皮癌である。上皮癌は、卵巣癌の85%~90%を占める。歴史的には卵巣の表面で始まると見なされているが、新たな証拠は、少なくとも一部の卵巣癌が卵管部分の特定の細胞に始まることを示唆する。卵管は、女性の卵巣と子宮をつなぐ小さな管であり、これらも女性生殖系の一部である。正常な女性生殖系では、2本の卵管があり、子宮の各側に1本が位置する。卵管に始まる癌細胞は、早期に卵巣の表面に移行し得る。用語「卵巣癌」は、多くの場合、卵巣、卵管に、および腹膜と呼ばれる腹腔の内面から始まる上皮癌を表すために用いられる。いくつかの実施形態では、癌は、生殖細胞腫瘍であるか、またはそれを含んでなる。生殖細胞腫瘍は、卵巣の卵産生細胞に生じる卵巣癌の一種である。いくつかの実施形態では、癌は、間質腫瘍であるか、またはそれを含んでなる。間質腫瘍は、卵巣を一緒に保持する結合組織の細胞に生じ、この結合組織は時にはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンを生成する組織である。いくつかの実施形態では、癌は、顆粒膜細胞腫瘍であるか、またはそれを含んでなる。顆粒膜細胞腫瘍は、エストロゲンを分泌し、診断時に不正膣出血を生じていることがある。
【0135】
いくつかの実施形態では、婦人科癌(例えば、卵巣癌)は転移性である。いくつかの実施形態では、婦人科癌(例えば、卵巣癌)は、進行婦人科癌(例えば、卵巣癌)である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージII、ステージIIIまたはステージIVの婦人科癌(例えば、卵巣癌)である。
【0136】
2012年の米国の女性の上皮性卵巣癌の予想発生はおよそ22,280人(死者15,500人)であり、2012年に欧州では65,538人の症例(死者42,704人)と推計された。診断時に、ほとんどの女性は進行した疾患を呈し、これが高い死亡率を説明する。進行卵巣癌の標準療法は一般に、外科的切除による腫瘍容積の減少法および化学療法計画からなる。初期化学療法は、タキサンまたは白金いずれかの化学療法、またはそれらの組合せからなる。患者は初期にフロントライン療法に奏効したと報告されているが、それらの初期に奏効した患者の多くが1~3年以内に最終的に再発する。再発後、その後の化学療法に対する患者の奏効は中等度であるかまたは低い。加えて、継続的治療の過程で蓄積毒性のリスクが増すので、白金薬に対する不耐性が臨床上の懸念となる。初期の高い奏効率にもかかわらず、高い再発率のために重要なアンメットニーズがある。標準的な二剤化学療法(カルボプラチンおよびパクリタキセル)を、第3の細胞傷害薬(トポテカン、ゲムシタビン、またはドキシル)を加えることによって改善する試みは成功しなかった(du Bois et al,2006 and Pfisterer et al,2006)。
【0137】
乳癌
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、乳癌を治療するために使用することができる。通常、乳癌は、小葉として知られる泌乳腺の細胞に、または乳管に始まる。多くはないが、乳癌は間質組織に始まる場合もある。これらには、乳房の脂肪性および線維性の結合組織が含まれる。乳癌細胞は経時的に、転移として知られるプロセスで、腋窩リンパ節または肺などの近傍組織に浸潤し得る。乳癌のステージ、腫瘍のサイズおよびその増殖速度は総て、提供される治療の種類を決定する因子である。治療選択肢としては、腫瘍を除去するための手術、化学療法およびホルモン療法を含む薬物治療、放射線療法および免疫療法が含まれる。予後および生存率は幅広く異なり、5年相対生存率は存在する乳癌の種類によって98%から23%まで異なる。乳癌は、世界で2番目に多い癌であり、2012年ではおよそ170万の新症例があり、癌による死因の第5位であり、およそ521,000人の死亡例がある。これらの症例のうちおよそ15%が、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体(PR)またはHER2を発現しないトリプルネガティブである。いくつかの実施形態では、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、エストロゲン受容体発現陰性(細胞の<1%)、プロゲステロン受容体発現陰性(細胞の<1%)、およびHER2陰性である乳癌細胞として特徴付けられる。
【0138】
いくつかの実施形態では、乳癌は、転移乳癌である。いくつかの実施形態では、乳癌は、進行乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージII、ステージIIIまたはステージIVの乳癌である。いくつかの実施形態では、癌は、ステージIVの乳癌である。いくつかの実施形態では、乳癌は、トリプルネガティブ乳癌である。
【0139】
再発癌
いくつかの実施形態では、患者は、化学療法で従前に処置されていた再発癌を有する。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、白金薬である。このようないくつかの実施形態では、白金薬は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンから選択される。
【0140】
いくつかの実施形態では、癌は、「白金耐性」として特徴付けられる。いくつかの実施形態では、白金耐性癌は、白金に基づく化学療法計画完了の後に3年以内(例えば、30か月以内、24か月以内、18か月以内、12か月以内、6か月以内)に進行した癌である。いくつかの実施形態では、白金耐性癌は、患者が白金に基づく化学療法を受けている間に進行した癌である(すなわち、患者は「白金不応性」である)。いくつかの実施形態では、癌は、「白金不応性」として特徴付けられる。
【0141】
いくつかの実施形態では、白金に基づく化学療法で従前に処置されていた再発癌を有する患者は、白金に基づく療法に対して少なくとも6か月(例えば、少なくとも6か月、8か月、10か月、12か月、14か月、16か月、18か月、24か月)持続する奏効を経験したことがある。いくつかの実施形態では、患者は、第一選択の白金に基づく療法に対して少なくとも6か月持続する奏効を経験したことがあるが、現時点では白金耐性と見なされる。いくつかの実施形態では、再発癌を有する患者は、1、2、3、4、または5系統の前化学療法で処置されている。いくつかの実施形態では、患者は、再発高悪性漿液性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有し、かつ、進行/転移疾患に対する化学療法で従前に処置されており、かつ、第一選択の白金の基づく療法に対して少なくとも6か月持続する奏効を経験したことがあるが、現時点では白金耐性と見なされる。
【0142】
いくつかの実施形態では、癌を有する患者は、補助療法を受けていた。いくつかの実施形態では、補助療法は、一次治療の後に癌が復活するリスクを軽減するために与えられる付加的な癌治療である。補助療法としては、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的療法または生物学的療法を含み得る。いくつかの実施形態では、癌を有する患者は、進行/転移疾患に対する少なくとも1回の前投与計画で処置されており、補助化学療法の完了から1か月でまたはそれ以内で再発/進行した。いくつかの実施形態では、再発癌を有する患者は、1、2、3、4、または5系統の前化学療法で処置されていた。いくつかの実施形態では、患者は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有し、進行/転移疾患に対する少なくとも1回の前投与計画で処置されており、補助化学療法の完了から1か月でまたはそれ以内で再発/進行した。
【0143】
いくつかの実施形態では、患者は、最後(直近)の系統の白金に基づく療法の6か月以内に疾患の進行を示し、「白金耐性」であるといえる。いくつかの実施形態では、患者は、最後(直近)の系統の白金に基づく療法の30日以内に疾患の進行を示し、「白金不応性」であるといえる。このようないくつかの実施形態では、患者は、第一選択の白金に基づく療法に対して少なくとも6か月持続する奏効を経験した。
【0144】
BRCA
いくつかの実施形態では、癌は、BRCA突然変異などのDNA修復の欠陥を特徴とする。BRCA 1および2は、欠損した場合にある特定の悪性腫瘍の頻度上昇と関連があった腫瘍サプレッサー遺伝子として最初に同定された。いくつかの実施形態では、癌は、生殖細胞系BRCA突然変異、散発性BRCA突然変異およびBRCAプロモーターの高メチル化のうち1以上を有する。いくつかの実施形態では、癌は、生殖細胞系BRCA突然変異、散発性BRCA突然変異およびBRCAプロモーターの高メチル化の2以上の組合せを有する。BRCA-1およびBRCA-2遺伝子の生殖細胞系突然変異は、遺伝性の乳癌または卵巣癌を有する患者の大部分に見出される。体細胞BRCA-1/2突然変異および/またはプロモーターの高メチル化による遺伝子サイレンシングを含む、他の機構によるBRCA-1またはBRCA-2遺伝子の不活性化も、数種の散発性癌の相当な部分に見られる。特に、卵巣癌では、体細胞BRCA-1またはBRCA-2突然変異が総ての上皮卵巣癌(EOC)の10%~15%に見られ、BRCA-1発現の著しい低下が散発性卵巣癌のかなりの部分に見られた。
【0145】
BRCAは、相同組換えを含むDNA修復に重要な役割を果たす。高悪性度漿液性卵巣癌の半数を超えるものがDNA修復の欠陥に曝されていると推測される。BRCA欠損を有する腫瘍細胞は、DNA修復経路を阻害し、癌治療の合成致死機構を利用する薬剤による治療介入の機会を提供し得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、本開示の方法により治療される対象は、「陽性BRCA状態」、「BRCA+」または「BRCA突然変異体」を特徴とする。いくつかの実施形態では、「陽性BRCA状態」を有する患者は、サンプルがBRCA1および/またはBRCA2の発現が低下していると判定された患者を意味する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示の方法により治療される対象は、「陰性BRCA状態」、「BRCA-」または「BRCA野生型」を特徴とする。いくつかの実施形態では、陰性BRCA状態は、サンプルが野生型BRCA1および/またはBRCA2配列(例えば、BRCAwt)を判定された患者を意味する。
【0148】
相同組換え欠陥
いくつかの側面およびいくつかの実施形態では、相同組換え欠陥(HRD)の状態は、本開示の方法により治療される対象または対象の癌で評価され得る。いくつかの実施形態では、HRDは、以下の染色体マーカーを用いて評価され得る:LOH(異型接合性の消失(loss of heterozygosity))、LST(大規模な遷移(large-scale state transitions))、およびTAI(テロメアアレルの不均衡(telomeric allelic imbalance))。
【0149】
相同組換えは、特に二本鎖DNA切断を再対合する場合のDNA修復に不可欠な経路である。相同組換えの欠陥は、非相同末端結合(non-homologous end-joining)(NHEJ)などのDNA修復のための他の経路の利用をもたらし得る。しかしながら、NHEJは、DNA修復において相同組換えよりもエラーを起こしやすく、より多数の突然変異を生じ、従って、染色体不安定性および腫瘍悪性化のリスクが高まる。
【0150】
本開示のいくつかの実施形態では、患者は、HRD陰性であり得る。当業者により理解されているように、HRD陰性状態を有する対象は、対象からの生体サンプルのアッセイに従って相同組換え欠陥のない対象を意味する。本開示のいくつかの実施形態では、患者は、HRD陽性であり得る。当業者により理解されているように、HRD陽性状態を有する対象は、対象からの生体サンプルのアッセイに従って欠陥のある相同組換えを有する対象を意味する。
【0151】
PD-L1陰性癌
本開示のいくつかの側面およびいくつかの実施形態では、癌は、PD-L1陰性である。当業者により理解されているように、PD-L1陰性である癌を有する対象は、その対象の癌細胞においてPD-L1の発現が低下しているか、または存在しないことを意味する。PD-L1発現は、当業者に公知のいずれの方法によって測定されてもよい。例えば、PD-L1発現は、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx(Agilent、カーピンテリア、CA、USA)を用いた免疫組織化学(IHC)によって測定され得る。いくつかの実施形態では、癌は、IHCにより免疫細胞に比べて癌細胞での発現が1%以下であればPD-L1陰性である。
【0152】
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の役割
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、NAD+を切断し、ニコチンアミドを放出し、ADP-リボース単位を連続的に付加してADP-リボースポリマーを形成する酵素の一ファミリーである。従って、PARP酵素の活性化は、細胞NAD+レベルの枯渇(例えば、NAD+消費体としてのPARP)をもたらし、下流標的のADP-リボシル化を介して細胞シグナル伝達を媒介し得る。PARP-1は、DNA二本鎖または一本鎖切断の結合によって活性化されるジンクフィンガーDNA結合酵素である。抗アルキル化剤が腫瘍細胞のNAD+含量を枯渇させ得ることが知られており、PARPの発見がこの現象を説明した(Parp Inhibitors and Cancer Therapy.Curtin N.in Poly ADP Ribosylation.Alexander Burke編,Lands Bioscience and Springer Bioscience,2006:218-233)。抗アルキル化剤は、DNA鎖の切断を誘発し、これがDNA修復経路の一部であるPARP-1を活性化する。PARP-1による核タンパク質のポリADP-リボシル化は、DNA損傷を、DNA修復を活性化する(例えば、塩基除去修復(BER)経路による)か、または広範囲すぎて効率的に修復できないDNA損傷が存在する場合には細胞死を誘導する細胞内シグナルに変換する。
【0153】
PARP-2は触媒ドメインを含み、ポリ(ADP-リボシル)化反応を触媒することができる。PARP-2は、PARP-1と同様の自己修飾特性を示す。タンパク質はin vivoでは核に局在し、アルキル化剤または過酸化水素で処理されたPARP-1欠損細胞に見られる残存ポリ(ADP-リボース)合成を説明し得る。PARPを阻害するいくつかの薬剤(例えば、主としてPARP-1の阻害を目的とする薬剤)はまた、PARP-2も阻害し得る(例えば、ニラパリブ)。
【0154】
DNA損傷応答(例えば、遺伝毒性ストレスに応答したDNA修復)におけるPARP酵素の役割は、PARP阻害剤は有用な抗癌薬となり得るという説得力のある示唆をもたらした。PARP阻害剤は、BRCA-1および/またはBRCA-2欠損癌などの相同組換えDNA修復経路における生殖細胞系のまたは散発性の欠損から生じる癌の治療に特に有効であり得る。
【0155】
前臨床ex vivoおよびin vivo試験は、PARP阻害剤がBRCA-1および/またはBRCA-2遺伝子の同型接合性の不活性化を有する腫瘍に対して選択的に細胞傷害性となることを示唆し、これは相同組換え(HR)DNA修復経路に重要であることが知られている。BRCA-1および/またはBRCA-2に欠損を有する癌におけるPARP阻害剤の単剤としての使用の生物学的基礎は、傷害を受けたDNAの塩基除去修復(BER)にPARP-1およびPARP-2が必要であるということである。一本鎖DNA切断の形成時に、PARP-1およびPARP-2は損傷部位に結合し、活性化され、ヒストン、PARP自体、および種々のDNA修復タンパク質を含む、クロマチンと会合したいくつかのタンパク質へのADP-リボースの長いポリマー(PAR鎖)の付加を触媒する。これはクロマチンの弛緩およびDNA切断に接近してそれを修復するDNA修復因子の迅速な動員をもたらす。正常な細胞は、1日に最大10,000のDNA欠陥を修復し、一本鎖切断がDNA損傷の最も多い形態である。BER経路に欠陥を有する細胞は、未修復の一本鎖切断を有してS期に入る。既存の一本鎖切断は、複製装置がその切断を通過するので二本鎖切断に変換される。S期に存在する二本鎖切断は、エラーのないHR経路によって優先的に修復される。BRCA-1および/またはBRCA-2などのHRに必要な遺伝子が不活性化した細胞は、S期に停止した複製フォークを蓄積し、傷害を受けたDNAを修復するためにエラーを起こしやすい非相同末端結合(NHEJ)を使用し得る。S期が完了できないこと(停止した複製フォークのため)およびNHEJによるエラーを起こしやすい修復の両方が細胞死に寄与すると考えられる。
【0156】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、PARP阻害剤による処置は、DNA修復経路の欠陥(例えば、BRCA-1および/またはBRCA-2の不活性化)を有する癌細胞のサブセットを選択的に死滅させ得るという仮説が立てられる。例えば、生殖細胞系BRCA突然変異を有する患者に生じる腫瘍は、欠陥のある相同組換えDNA修復経路を有し、ゲノムの完全性の維持のために、PARP阻害剤により遮断される経路であるBERに依存度を増すことになる。相補的DNA修復経路に既存の欠陥を有する腫瘍において一つのDNA修復経路を遮断するためにPARP阻害剤の使用によって細胞死を誘導するというこの概念は、合成致死と呼ばれる。
【0157】
PARP阻害剤の治療力は、PARP阻害剤はHR欠陥腫瘍において単剤療法活性を有するだけでなく、前臨床モデルにおいて、シスプラチン、カルボプラチン、アルキル化薬、メチル化薬、放射線療法、およびトポイソメラーゼI阻害剤などの他の薬剤と組み合わせた場合にも有効であるという所見によってさらに拡大される。HR欠陥癌における(内因性のDNA損傷による)細胞死にはPARP阻害だけで十分であるという単剤療法の原理に対して、PARPは、標準的な細胞傷害性化学療法によって誘導されたDNA損傷の修復に必要とされる。いくつかの場合、PARPの特定の役割は知られていないが、PARPは、DNAから捕捉されているトポイソメラーゼI/イリノテカン複合体を遊離させるのに必要とされることが知られている。テモゾロミドにより誘導されたDNA損傷はBER経路によって修復され、これには修復タンパク質を動員するためにPARPを必要とする。毒性を有意に高めずに癌療法を増強または相乗作用を与える併用療法は、卵巣癌患者を含む癌患者に実質的な利益を提供するであろう。
【0158】
PARP阻害剤
特定の理論に縛られることを望むものではないが、PARP阻害剤(例えば、PARP-1/2阻害剤)による処置は、DNA修復におけるそれらの欠陥を利用することにより癌細胞種のサブセットを選択的に死滅させ得ると考えられる。ヒト癌はゲノムの不安定性と基礎にあるDNA修復の欠陥のために高い突然変異率生を示す。これらの欠陥は、癌細胞の、残っているDNA修復経路への依存度を増し、これらの経路の標的化は、正常細胞よりも腫瘍細胞の生存にずっと大きな影響を持つと思われる。
【0159】
いくつかの実施形態では、PARP阻害剤は、ABT-767、AZD 2461、BGB-290、BGP 15、CEP 8983、CEP 9722、DR 2313、E7016、E7449、フルゾパリブ(SHR 3162)、IMP 4297、INO1001、JPI 289、JPI 547、モノクローナル抗体 B3-LysPE40コンジュゲート、MP 124、ニラパリブ(ZEJULA)(MK-4827)、NU 1025、NU 1064、NU 1076、NU1085、オラパリブ(AZD2281)、ONO2231、PD 128763、R 503、R554、ルカパリブ(RUBRACA)(AG-014699、PF-01367338)、SBP 101、SC 101914、シムミパリブ、タラゾパリブ(BMN-673)、ベリパリブ(ABT-888)、WW 46、2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-7,8-ジヒドロ-5H-チオピラノ[4,3-d]ピリミジン-4-オール(それらのいずれの塩または誘導体も含む)である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、小分子である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、抗体薬である。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤は、薬剤の組合せである。いくつかの特定の実施形態では、PARP阻害剤は、ニラパリブ、オラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、またはそれらのいずれかの組合せである。いくつかの実施形態では、PARP阻害剤は、薬学上許容可能な塩として調製することができる。当業者は、このような塩形態が溶媒和または水和多形体として存在し得ることを認識するであろう。
【0160】
標的会合もまた、腫瘍異種移植試験からの腫瘍ホモジネート中のPARP活性を測定することによって示されている。ニラパリブは、細胞周期の停止、特に、細胞周期のG2/M期での停止を誘導することが示されている。よって、いくつかの実施形態では、本発明は、腫瘍細胞の細胞周期停止を誘導する方法を提供し、その方法は、それを必要とする患者にニラパリブを投与することを含んでなる。いくつかの実施形態では、本発明は、腫瘍細胞の細胞周期のG2/M期の停止を誘導する方法を提供し、その方法は、それを必要とする患者にニラパリブ投与することを含んでなる。いくつかの実施形態では、本発明は、BRCA-1および/またはBRCA-2欠損細胞の細胞周期のG2/M期の停止を誘導する方法を提供し、その方法は、それを必要とする患者にニラパリブ投与することを含んでなる。
【0161】
卵巣癌の診断時に、ほとんどの女性は進行した疾患を呈し、これが高い死亡率を説明する。ステージ2、3または4の疾患を有する患者は、その疾患が潜在的に摘出可能であれば腫瘍縮小手術を受け、その後に4~8サイクルの化学療法を受けてもよい。最初の化学療法は、IV化学療法またはIVと腹腔内(IP)化学療法の組合せからなり得る。IV化学療法は通常、タキサン(パクリタキセルまたはドセタキセル)および白金(シスプラチンまたはカルボプラチン)からなる。患者のおよそ75%フロントライン療法に奏効し、白金感受性と見なされ、標準的には、処置後最低6か月の期間、再発または疾患の進行が無いと定義される。しかしながら、患者の最大70%がやがて1~3年以内に再発する。無進行生存期間または全生存期間のいずれかに影響を与えるために、標準的な白金に基づく二剤化学療法を、第3の細胞傷害薬を加えることによって改善する試みは成功せず、有害作用を増大させる結果となった(du Bois et al,2006 and Pfisterer,2006 et al)。初期の高い奏効率の後であっても高い再発率のために大きなアンメットニーズが存在する。
【0162】
ニラパリブ
ニラパリブ、(3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピペリジンは、経口使用可能な、強力なポリ(アデノシン二リン酸[ADP]-リボース)ポリメラーゼ(PARP)-1および-2阻害剤である。それぞれ引用することによりその全内容が本明細書の一部とされるWO2008/084261(2008年7月17日公開)およびWO2009/087381(2009年7月16日公開)参照。ニラパリブは、WO2008/084261のスキーム1に従って製造することができる。本明細書で使用する場合、用語「ニラパリブ」は、遊離塩基化合物((3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピペリジン)、(3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピペリジン(例えば、トシル酸(3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピペリジン)の薬学上許容可能な塩を含む塩形態、またはその溶媒和物または水和物形態(例えば、トシル酸(3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピペリジン一水和物)を意味する。いくつかの実施形態では、このような形態は、個々にそれぞれ「ニラパリブ遊離塩基」、「トシル酸ニラパリブ」および「トシル酸ニラパリブ一水和物」と呼ぶことができる。特に断りのない限り、用語「ニラパリブ」は、化合物(3S)-3-[4-{7-(アミノカルボニル)-2H-インダゾール-2-イル}フェニル]ピペリジンのあらゆる形態を含む。
【0163】
いくつかの実施形態では、ニラパリブは、薬学上許容可能な塩として製造することができる。当業者は、このような塩が溶媒和または水和多形体として存在し得ることを認識するであろう。いくつかの実施形態では、ニラパリブは、水和物の形態で製造される。
【0164】
特定の実施形態では、ニラパリブは、トシル酸塩の形態で製造される。いくつかの実施形態では、ニラパリブは、トシル酸塩一水和物の形態で製造される。
【0165】
ニラパリブの結晶性トシル酸一水和物塩は、相同組換え(HR)デオキシリボ核酸(DNA)修復経路に欠陥を有する腫瘍の単剤療法薬として、また、細胞傷害性薬剤および放射線療法と組み合わせた増感剤として開発されている。
【0166】
ニラパリブは、強力かつ選択的なPARP-1およびPARP-2阻害剤であり、対照の50%阻害濃度(IC50)はそれぞれ3.8および2.1nMであり、他のPARP-ファミリーメンバーの少なくとも100倍の選択性がある。ニラパリブは、種々の細胞株で過酸化水素の添加により生じるDNA損傷の結果として刺激されたPARP活性を、それぞれ約4および50nMのIC50および対照の90%阻害濃度(IC90)で阻害する。
【0167】
ニラパリブは、BRCA-1またはBRCA-2がサイレンシングされている、またはそれらの野生型対応物に比べてBRCA-1またはBRCA-2突然変異を有する癌細胞株に対して選択的な抗増殖活性を示す。BRCA欠損細胞に対するニラパリブの抗増殖活性は、G2/M細胞周期停止とその後のアポトーシスの結果である。ニラパリブはまた、選択されたユーイング肉腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、非小細胞肺癌(NSCLC)、および小細胞肺癌(SCLC)細胞株、ならびにATM遺伝子の同型接合不活性化を有する腫瘍細胞株に選択的細胞傷害性である。ニラパリブは、正常ヒト細胞に対しては弱い活性を示す。in vivo試験は、マウスにおいてBRCA-1変異乳癌(MDA-MB-436)、BRCA-2変異膵臓癌(CAPAN-1)、ATM変異マントル細胞リンパ腫(GRANTA-519)、漿液性卵巣癌(OVCAR3)、結腸直腸癌(HT29およびDLD-1)、患者由来ユーイング肉腫、およびTNBC異種移植モデルで強い抗腫瘍活性を示した。
【0168】
プログラム細胞死1(PD-1)
プログラム細胞死1(Programmed Death 1)(PD-1)(プログラム細胞死1(Programmed Cell Death 1)としても知られる)(遺伝子Pdcd1によりコードされる)は、最初にアポトーシスを受けているマウスT細胞株のサブトラクティブハイブリダイゼーションによって同定された268アミノ酸のI型膜貫通タンパク質である(Ishida et al.,Embo J.,11:3887-95(1992))。健康な状態で活性化されたT細胞の細胞表面に発現されたPD-1の通常の機能は、自己免疫反応を含む望ましくないまたは過度の免疫応答を下方調節することである。
【0169】
PD-1は、T細胞レギュレーターのCD28/CTLA-4ファミリーのメンバーであり、活性化されたT細胞、B細胞、および骨髄系譜細胞上で発現される(Greenwald et al.,Annu.Rev.Immunol.,23:515-548(2005);およびSharpe et al.,Nat.Immunol.,8:239-245(2007))。PD-1は、CD28、CTLA-4、ICOSおよびBTLAも含む受容体のCD28ファミリーの阻害メンバーである。PD-1は、活性化されたB細胞、T細胞、および骨髄細胞上で発現される(Agata et al.,前掲;Okazaki et al.(2002)Curr.Opin.Immunol 14:391779-82;Bennett et al.(2003)J.Immunol.170:711-8)。
【0170】
PD-1に対する2つのリガンド、PDリガンド1(PD-L1)およびPDリガンド2(PD-L2)が同定されており、両方ともB7タンパク質スーパーファミリーに属す(Greenwald et al,前掲)。PD-1は、そのリガンド(PD-L1および/またはPD-L2)の会合時に抗原受容体シグナル伝達に負の調節を行うことが示されている。
【0171】
PD-Llは、肺、心臓、胸腺、脾臓、および腎臓の細胞を含む様々な細胞種で発現される(例えば、Freeman et al.,J.Exp.Med.,192(7):1027-1034(2000);and Yamazaki et al.,J.Immunol.,169(10):5538-5545(2002)参照)。PD-L1発現は、リポ多糖類(LPS)およびGM-CSF処置に応答してマクロファージおよび樹状細胞(DC)上で、また、T細胞およびB細胞受容体を介したシグナル伝達時にT細胞およびB細胞上で上方調節される。PD-L1はまた、様々なマウス腫瘍細胞株で発現される(例えば、Iwai et al.,Proc.Nat.l Acad.Sci.USA,99(9):12293-12297(2002);およびBlank et al.,Cancer Res.,64(3):1140-1145(2004)参照)。対照的に、PD-L2は、より制限された発現パターンを示し、主として抗原提示細胞(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)、およびいくつかの腫瘍細胞株によって発現される(例えば、Latchman et al.,Nat.Immunol.,2(3):261-238(2001)参照)。腫瘍細胞であれ、腫瘍微小環境内の間質または他の細胞であれ、腫瘍における高いPD-L1発現は、腫瘍において主としてエフェクターT細胞を阻害すること、および制御性T細胞(Treg)を上方調節することによって不良な臨床予後に関連する。
【0172】
PD-1およびファミリーメンバーは、リガンド結合を担うIg可変型(V型)ドメインとシグナル伝達分子の結合を担う細胞質テールを含むI型膜貫通糖タンパク質である。PD-1の細胞質テールは、2つのチロシンに基づくシグナル伝達モチーフ、免疫受容体チロシン依存性抑制モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibition motif)(ITIM)および免疫受容体チロシン依存性スイッチモチーフ(immunoreceptor tyrosine-based switch motif)(ITSM)を含む。PD-1はT細胞の活性化に負の調節を行い、この阻害機能は、細胞質ドメインのITSMに結びついている(例えば、Greenwald et al.,前掲;およびParry et al.,Mol.Cell.Biol.,25:9543-9553(2005)参照)。T細胞刺激の後、PD-1は、チロシンホスファターゼSHP-1およびSHP-2をその細胞質テール内のITSMモチーフに動員して、CD3 T細胞シグナル伝達カスケードに関与する、CD3ζ、PKCθおよびZAP70などのエフェクター分子の脱リン酸化に至る。PD-1がT細胞応答を下方調整する機構は、CTLA-4の場合と類似しているが異なる。PD-1は、末梢CD4+およびCD8+ T細胞、B細胞、Treg、およびナチュラルキラー細胞を含む活性化リンパ球で発現されることが示されている。発現は、胸腺発生中にCD4-/CD8-(ダブルネガティブ)T細胞、ならびにマクロファージおよび樹状細胞のサブセット上にも示されている。PD-1のリガンド(PD-L1およびPD-L2)は構成的に発現されるか、または様々な細胞種で誘導され得る。PD-L1は、様々な非造血組織、とりわけ、血管内皮に低レベルで発現されるが、PD-L2タンパク質は、主としてリンパ系組織または慢性炎症環境に見られる抗原提示細胞で発現される。両リガンドとも、細胞外領域のIgVおよびIgC様ドメインと未知のシグナル伝達モチーフを有する短い細胞質領域の両方を含むI型膜貫通型受容体である。PD-1へのいずれかのPD-1リガンドの結合は、T細胞受容体を介して誘導されるT細胞の活性化を阻害する。PD-L2は、リンパ器官において免疫T細胞の活性化を制御すると思われるが、PD-L1は、末梢組織における不適切なT細胞機能を低下させる働きをする。健康な器官はPD-L1を(発現したとしても)ほとんど発現しないが、様々な癌が豊富なレベルのこのT細胞阻害因子を発現することが示され、これは腫瘍特異的T細胞上のPD-1受容体とのその相互作用を介して、腫瘍による免疫回避に重要な役割を果たす。
【0173】
PD-1欠損は、自己免疫をもたらし得る。例えば、C57BL/6 PD-1ノックアウトマウスは、狼瘡様症候群を発症することが示されている(例えば、Nishimura et al.,Immunity,11:141-1151(1999)参照)。ヒトでは、PD-1遺伝子における一塩基多型が全身性紅斑性狼瘡、1型糖尿病、関節リウマチのより高い罹患率、および多発性硬化症の進行に関連している(例えば、Nielsen et al.,Tissue Antigens,62(6):492-497(2003);Bertsias et al.,Arthritis Rheum.,60(1):207-218(2009);Ni et al,Hum.Genet.,121(2):223-232(2007);Tahoori et al.,Clin.Exp.Rheumatol.,29(5):763-767(2011);およびKroner et al.,Ann.Neurol.,58(1):50-57(2005)参照)。異常なPD-1発現はまた、腫瘍免疫回避および慢性ウイルス感染などのいくつかの病理におけるT細胞機能不全に関連付けられている(例えば、Barber et al.,Nature,439:682-687(2006);およびSharpe et al.,前掲参照)。PD-1は、様々な癌で異常な発現を示し(例えば、Brown et al,J.Immunol.,170:1257-1266(2003);およびFlies et.al,Yale Journal of Biology and Medicine,84:409-421(2011)参照)、一部の腎細胞癌患者におけるPD-L1発現は、腫瘍の悪性度と相関がある。
【0174】
最近の研究では、PD-1によって誘導されるT細胞抑制も抗腫瘍免疫の抑制に役割を果たすことを示されている。例えば、PD-L1は、様々なヒトおよびマウス腫瘍で発現され、腫瘍上のPD-L1へのPD-1の結合は、T細胞の抑制および腫瘍の免疫回避および保護をもたらす(Dong et al.,Nat.Med.,8:793-800(2002))。腫瘍細胞によるPD-L1の発現は、in vitroにおける抗腫瘍T細胞による溶解に対するそれらの耐性に直接関連付けられている(Dong et al.,前掲;およびBlank et al.,Cancer Res.,64:1140-1145(2004))。PD-1ノックアウトマウスは、腫瘍投与に耐性があり(Iwai et al.,Int.Immunol.,17:133-144(2005))、およびPD-1ノックアウトマウス由来のT細胞は、担癌マウスに養子導入された際の腫瘍拒絶に極めて有効である(Blank et al.,前掲)。モノクローナル抗体を用いたPD-1阻害シグナルの遮断は、マウスにおいて宿主の抗腫瘍免疫を増強することができ(Iwai et al.,前掲;およびHirano et al.,Cancer Res.,65:1089-1096(2005))、腫瘍における高レベルのPD-L1発現は多くのヒト癌種の不良な予後に関連する(Hamanishi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,104:3360-335(2007),Brown et al,J.Immunol.,170:1257-1266(2003);およびFlies et al.,Yale Journal of Biology and Medicine,84(4):409-421(2011))。
【0175】
前記に鑑みて、様々な種類の癌を治療するためにPD-1活性を阻害する戦略、および免疫増強(例えば、感染性疾患を治療するため)のための戦略が開発された(例えば、Ascierto et al., Clin. Cancer. Res.,19(5):1009-1020(2013)参照)。これに関して、PD-1を標的とするモノクローナル抗体が癌の治療のために開発された(例えば、Weber,Semin.Oncol.,37(5):430-4309(2010);およびTang et al.,Current Oncology Reports,15(2):98-104(2013)参照)。例えば、ニボルマブ(BMS-936558としても知られる)は、第I相臨床試験で非小細胞肺癌、黒色腫、および腎細胞癌において完全奏効または部分奏効をもたらし(例えば、Topalian,New England J.Med.,366:2443-2454(2012)参照)、現在、第III相臨床試験にある。MK-3575は、第I相臨床試験において抗腫瘍活性のエビデンスを示したPD-1に対するヒト化モノクローナル抗体である(例えば、Patnaik et al.,2012 American Society of Clinical Oncology(ASCO)Annual Meeting,Abstract #2512参照)。加えて、最近のエビデンスは、PD-1を標的とする療法がHIVなどの病原体に対する免疫応答を増強し得ることを示唆する(例えば、Porichis et al., Curr.HIV/AIDS Rep.,9(1):81-90(2012)参照)。しかしながら、これらの利点にもかかわらず、ヒトにおいて有効な療法および投与計画を開発する必要がなおある。
【0176】
PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤
本開示の併用療法において使用するためのPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤としては、阻害的シグナル伝達を惹起することなく、T細胞上のPD-1受容体に結合してそれを遮断するもの、PD-1リガンドに結合してそれらのPD-1への結合を妨げる薬剤、その両方を行う薬剤、およびPD-1またはPD-1の天然リガンドいずれかをコードする遺伝子の発現を妨げる薬剤が含まれる。PD-1の天然リガンドに結合する化合物としては、PD-1自体だけではなく、PD-1の活性フラグメント、およびB7-H1リガンドの場合には、B7.1タンパク質およびフラグメントも含まれる。このような拮抗薬としては、タンパク質、抗体、アンチセンス分子および小有機物質が含まれる。
【0177】
いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、ヒトPD-1に結合する。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、ヒトPD-L1に結合する。
【0178】
いくつかの実施形態では、本開示の併用療法に使用するためのPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、抗体薬である。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬はPD-1のエピトープに結合し、これがその推定リガンドのいずれか1以上へのPD-1の結合を遮断する。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬はPD-1のエピトープに結合し、これがその推定リガンドの2つ以上へのPD-1の結合を遮断する。好ましい実施形態では、PD-1抗体薬はPD-1タンパク質のエピトープに結合し、これがPD-Llおよび/またはPD-L2へのPD-1の結合を遮断する。本開示のPD-1抗体薬は、いずれの好適なクラスの重鎖定常領域(Fc)を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、野生型IgGl、IgG2、もしくはIgG4抗体、またはそれらの変異体に基づく重鎖定常領域を含んでなる。
【0179】
いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、モノクローナル抗体、またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する抗体薬は、PD-1抗体またはそのフラグメントである。PD-1を標的とするモノクローナル抗体は、臨床試験で試験され、及び/又は米国で販売承認を受けた。PD-1シグナル伝達を標的とする抗体薬の例としては、例えば、下表1に上げられている抗体薬のいずれもを含む。
【0180】
【0181】
いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する抗体薬は、アテゾリズマブ、アベルマブ、BGB-A317、BI 754091、CX-072、デュルバルマブ、FAZ053、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、TSR-042、WO2014/179664に開示されている抗体のいずれも、またはそれらの誘導体である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する抗体薬は、BGB-A317、BI 754091、CX-072、FAZ053、IBI308、INCSHR-1210、JNJ-63723283、JS-001、LY3300054、MEDI-0680、MGA-012、ニボルマブ、PD-L1ミラモレキュール、PDR001、ペンブロリズマブ、PF-06801591、REGN-2810、およびTSR-042からなる群から選択されるPD-1抗体である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する抗体薬は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびTSR-042からなる群から選択されるPD-1抗体である。
【0182】
いくつかの実施形態では、PD-1結合剤は、TSR-042、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、PDR-001、チスレリズマブ(tislelizumab)(BGB-A317)、セミプリマブ(cemiplimab)(REGN2810)、LY-3300054、JNJ-63723283、MGA012、BI-754091、IBI-308、カムレリズマブ(camrelizumab)(HR-301210)、BCD-100、JS-001、CX-072、BGB-A333、AMP-514(MEDI-0680)、AGEN-2034、CS1001、Sym-021、SHR-1316、PF-06801591、LZM009、KN-035、AB122、ゲノリムズマブ(genolimzumab)(CBT-501)、FAZ-053、CK-301、AK 104、またはGLS-010、またはWO2014/179664に開示されているPD-1抗体のいずれもである。実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤である。実施形態において、PD-1阻害剤は、PD-1結合剤(例えば、抗体、抗体複合体、またはその抗原結合フラグメント)である。実施形態において、PD-1阻害剤はPD-L1またはPD-L2結合剤であり、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BGB-A333、SHR-1316、FAZ-053、CK-301、PD-L1ミラモレキュール、またはそれらの誘導体である。
【0183】
いくつかの実施形態では、PD-1抗体は、ペンブロリズマブである。
【0184】
ペンブロリズマブは、抗PD-1モノクローナル抗体(「mAb」)(MK-3475、SCH 9000475、キートルーダとしても知られる)である。ペンブロリズマブは、免疫グロブリンG4/κアイソタイプヒト化mAbである。ペンブロリズマブの機構は、リンパ球のPD-1受容体へのmAbの結合による、PD-1と、特定の癌の腫瘍細胞を含む身体の他の細胞により産生されたPD-L1およびPD-L2リガンドとの相互作用の遮断からなる。
【0185】
いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、配列番号1と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である重鎖、またはそのフラグメントを含んでなる。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、配列番号2と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である軽鎖可変ドメイン、またはそのフラグメントを含んでなる。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、配列番号1と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である重鎖可変ドメインと配列番号2と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である軽鎖可変ドメインを含んでなる。
【0186】
【0187】
【0188】
ペンブロリズマブと同様に、ニボルマブ(BMS-936558、オプジーボとしても知られる)は、外科的に摘出できないか、または適当であればイピリムマブおよびBRAF阻害剤により処置の後に転移した黒色腫を処置するために2014年にFDAにより最初に承認された。
【0189】
いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、その全内容が本明細書の一部とされる国際特許出願公開第WO2014/179664号に開示されている通りである。実施形態において、PD-1抗体薬は、その全内容が本明細書の一部とされる国際特許出願第PCT/US18/13029号に開示されている通りである。実施形態において、PD-1抗体薬は、その全内容が本明細書の一部とされる国際特許出願第PCT/US17/59618号に開示されている通りである。
【0190】
いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、配列番号3と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である重鎖可変ドメインを含んでなる。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、配列番号4と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である軽鎖可変ドメインを含んでなる。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、配列番号3と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である重鎖可変ドメインおよび配列番号4と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である軽鎖可変ドメインを含んでなる。
【0191】
配列番号3-PD-1抗体薬重鎖可変ドメイン
【化3】
【0192】
配列番号4-PD-1抗体薬軽鎖可変ドメイン
【化4】
【0193】
いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、全内容が本明細書の一部とされる特許出願公開第WO2014/179664号に開示されているようなCDR配列を1以上含んでなる。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、下記と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である1以上のCDR配列を含んでなる。
【0194】
【0195】
いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、上記に一覧化されたCDR配列と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である1つ、2つまたは3つの重鎖CDR配列を含んでなる。いくつかの実施形態では、PD-1抗体薬は、上記に一覧化されたCDR配列と90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である1つ、2つまたは3つの軽鎖CDR配列を含んでなる。
【0196】
治療応答の評価
腫瘍応答は、例えば、RECIST v 1.1ガイドラインによって測定することができる。このガイドラインは、引用することによりその全内容が本明細書の一部とされる、E.A.Eisenhauer,et al.,“New response evaluation criteria in solid tumors:Revised RECIST guideline(version 1.1.),”Eur.J.of Cancer,45:228-247(2009)によって提供されている。RECISTは、処置に対する腫瘍応答、疾患進行日のうち1以上を評価するため、および病状に関する総てのプロトコールガイドラインの基礎として使用することができる。RECISTガイドラインは、まずベースライン時に全腫瘍量の評価を要し、これがその後の測定に比較対象として使用される。いくつかの実施形態では、患者のスクリーニング段階の初期腫瘍イメージングを、試験処置の最初の投与日前21日以内に行う。腫瘍は例えばCTスキャン、またはX線などの当技術分野で公知のいずれかのイメージングシステムの使用によって測定することができる。磁気共鳴画像法(MRI)は、例えば、CTが否定される場合に、または脳のイメージングに使用可能である。CTイメージングは好ましいイメージング技術である。いくつかの実施形態では、試験全体で患者には同じイメージング技術を使用する。
【0197】
いくつかの実施形態では、測定可能な疾患が、少なくとも1つの測定可能な病変の存在によって定義される。いくつかの実施形態では、2以上の測定可能な病変がベースライン時に存在する場合、総ての関与器官に代表的な全部で最大5つの病変(各器官につき最大2つの病変)の総ての病変が標的病変として特定されるべきであり、ベースライン時に記録および測定される(これは、患者が1または2つの関与器官部位のみを有する場合に、それぞれ最大2つおよび4つの病変が記録されることを意味する)。
【0198】
いくつかの実施形態では、標的病変は、総ての関与器官に代表的となるようにそれらのサイズ(最長径を有する病変)、および/またはそれら自体を再現性のある反復測定とする病変の選択に基づいて選択される。
【0199】
リンパ節は、腫瘍が関与しないとしてもイメージングによって可視化され得る正常な解剖学的構造であるので特記に値する。測定可能として定義される病的リンパ節は、標的病変がCTスキャンによって短軸>15mmを有する場合に識別される。いくつかの実施形態では、これらのリンパ節の短軸だけがベースライン合計に寄与する。リンパ節の短軸は、リンパ節に固形腫瘍が関与しているかどうかを判断するために放射線学によって通常使用される直径である。リンパ節のサイズは通常、画像が得られる平面の2寸法として報告される(CTスキャンの場合には、これはほぼ常に軸平面であり、MRIの場合には、取得面は、体軸断面、矢状断面または冠状断面であり得る)。これらの測定値が小さいほど、軸は短い。
【0200】
例えば、20mm・30mmであると報告された腹部リンパ節は、20mmの短軸を有し、悪性の測定可能リンパ節と見なされる。この例では、リンパ節測定値として20mmと記録されるべきである。他の総ての病的リンパ節(短軸>10mmであるが<15mmのもの)は、非標的病変と見なされるべきである。短軸が<10mmのリンパ節は非病的と見なされ、記録または追跡されない。
【0201】
総ての標的病変の直径の合計(非リンパ節病変では最長、リンパ節病変では短軸)がベースライン合計直径として計算され報告される。リンパ節が合計に含まれる場合には、上記のように、短軸だけが合計に加算される。ベースライン合計直径は、いずれの対象腫瘍の、疾患の測定可能な寸法における退縮もさらに特徴付けるために参照として使用される。
【0202】
病的リンパ節を含む他の総ての病変(または疾患部位)は非標的病変と識別されるべきであり、ベースライン時に記録もされるべきである。測定は必要なく、これらの病変は「存在」、「不在」、またはまれな場合では、「明確な進行」として追跡されるべきである。加えて、症例記録書式の単一項目と同じ器官に関与する複数の非標的病変(例えば、「複数の腫脹骨盤リンパ節」または「複数の肝臓転移」)も記録することができる。
【0203】
いくつかの実施形態では、最初の試験中イメージング評価は、試験処置の最初の投与日から9週間(63日±7日)で実施すべきである。いくつかの実施形態では、進行(PD)の場合には、4週間(91日±7日)後に確認画像を必要とする。
【0204】
いくつかの実施形態では、その後のイメージングは、9週間(63日±7日)毎または疾患進行が疑われる時点で臨床的に指示される場合には、より頻繁に実施すべきである。
【0205】
いくつかの実施形態では、ラジオグラフィー評価の1年後に、患者は12週間(84日±7日)毎に実施されるイメージングを受ける。
【0206】
いくつかの実施形態では、イメージングは、以下のうち1つが起こるまで実施が継続される:新たな癌処置の開始、患者が同意を撤回する、患者が死亡する、または試験の終了に達した際。
【0207】
いくつかの実施形態では、PD以外の理由で試験処置を中止する患者は、疾患が進行するか、患者が試験外の新たな処置を開始するか、患者が同意を撤回するか、患者が追跡調査に来なくなるか、患者が死亡するか、または試験の終了に達するまで、その試験による処置の長さに応じて、9週間(63日±7日)毎の病状の追跡調査のための処置後イメージング試験を続ける。
【0208】
いくつかの実施形態では、疾患進行の場合、ペンブロリズマブによる処置中に見られる独特な腫瘍特徴を説明するため、および進行が確認されるまで臨床上安定な患者における処置の継続を評価するためにirRECISTガイドラインも組み込まれる。いくつかの実施形態では、RECIST v1.1は、免疫療法治験においてRECIST v1.1だけを用いるとあまりにも早く進行(PD)の宣言に至るので、これらの特殊なガイドラインを組み込むのに適合される。PD-1シグナル伝達を阻害する抗体薬(例えば、ペンブロリズマブ)は、内因性の癌特異的免疫応答を増強することにより抗腫瘍効果をもたらし得る。この種のアプローチを用いた応答パターンは、細胞傷害性薬剤を用いた場合に見られる応答の典型的な経時的推移を超えて拡大する傾向があり、腫瘍量の初期増大または新たな病変の出現後に臨床応答を呈することができる。
【0209】
よって、いくつかの実施形態では、反復イメージングが、(1)最下点、安定、または従前に示された新たな病変の改善(初期PDの原因として特定されている場合)、および(2)非標的疾患の安定/改善(初期PDの原因として特定されている場合)、と比較して腫瘍量に<20%の増大を示す場合、処置は継続または再開してよく、次のイメージングは、9週間(63日±7日)または処置の開始(最初のラジオグラフィー画像取得)以来1年が経過している場合には、12週間(84日±7日)の上記プロトコールスケジュールに従って行うべきである。
【0210】
いくつかの実施形態では、RECIST v1.1とirRESIST v1.1ガイドラインの両方を組み込んだ場合、反復イメージングが以下のいずれかのためにPDを確認すれば、患者は試験を中断する:最下点に比べて腫瘍量が≧20%を維持および腫瘍サイズの少なくとも5mmの絶対増大、初期PDを生じた非標的疾患が増悪する、初期PDを生じた新たな病変が増悪する、最後の評価以来、付加的な新病変が出現する、最後の評価以来、付加的な新たな非標的進行が見られる。
【0211】
いくつかの実施形態では、RECIST v1.1とirRESIST v1.1ガイドラインの両方を組み込んだ場合、患者が臨床上安定であれば(これは、患者が検査値の悪化を含む疾患の臨床上有意な進行を示す徴候および症状が存在しないこと、患者がECOG状態(0=無症候~5=死亡)の低下を示されないこと、患者に疾患の急速な進行がないこと、および患者が重要な解剖学的部位に進行腫瘍を持たないことを意味する)、PDの確認を待ちつつ、その患者はペンブロリズマブを続けてよい。免疫療法中の患者は、処置の最初の数ヶ月に一過性の腫瘍発赤を持つことがあるが、その後は疾患応答を示す。よって、可能である場合にはPDの確認を待ちつつ、患者にその処置を続けることが最良である。
【0212】
いくつかの実施形態では、試験の主要有効性評価項目は、RECIST v1.1により評価されるようなCRまたはPRを達成する患者の割合と定義される客観的奏効率(objective response rate)(ORR)である。irRESISTによるORRは、副次的評価項目としても評価される。さらなる抗癌療法の開始後の腫瘍評価は、最良総合効果の評価では除外される。
【0213】
いくつかの実施形態では、奏効期間(duration of response)(DOR)は、副次的評価項目として評価される。いくつかの実施形態では、DORは、RESIST v1.1ガイドラインによるCRまたはPRの最初の報告から、(1)RESIST v1.1に従って最初の疾患進行の報告時まで、および(2)irRESISTに従って最初の疾患進行の報告時までの時間と定義される。いくつかの実施形態では、OCを有する患者において、試験委員会により判断されるように、臨床判定基準がより早期の進行を示せば、RESIST v1.1またはirRESISTに基づく進行日を上書きしてもよい。
【0214】
いくつかの実施形態では、疾病制御率(disease control rate)(DCR)は、副次的評価項目として評価され、RESIST v1.1およびirRESISTにより評価されるようなCR、PR、またはSDを達成する患者の割合と定義される。
【0215】
いくつかの実施形態では、無進行生存(progression-free survival)(PFS)は、副次的評価項目として評価され、登録から、(1)RESIST v1.1に従う最初の疾患進行の報告時、および(2)irRESISTに従う最初の疾患進行の報告時に基づく進行が存在しない場合の、何らかの原因による進行または死亡の評価のより早い日までの時間と定義される。いくつかの実施形態では、OCを有する患者において、試験委員会により判断されるように、臨床判定基準がより早期の進行を示せば、RESIST v1.1またはirRESISTに基づく進行日を上書きしてもよい。
【0216】
いくつかの実施形態では、全生存率期間(overall survival)(OS)は、副次的評価項目として評価され、試験処置の最初の投与日から何らかの原因による死亡の日までの期間として定義される。新規な悪性情報もこの評価の一部として収集される。
【0217】
いくつかの実施形態では、腫瘍マーカー(CA-125)は、客観的な応答または疾患進行を定義するために使用されるのではなく、臨床判断に使用することができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、臨床判定基準GCIGは、疾患進行のラジオグラフィーの根拠のない(without radiographic evidence)臨床イベント(例えば、ニラパリブ腸閉塞)を伴うOC患者の管理のために使用される。
【0219】
いくつかの実施形態では、本開示は、2以上の薬剤、実体、状況、条件セット、集団などに関して達成された結果の比較を含む。当業者により理解されているように、このような薬剤、実体、状況、条件セット、集団などは、それらが同一ではないが、見られた差異または類似性に基づいて結論が合理的に引き出せるようにそれらの間の比較を可能とするに十分に類似している場合に、互いに「比較可能」と見なすことができる。いくつかの実施形態では、条件、状況、個体、または集団の比較可能なセットは、複数の実質的に同一の特徴および1または少数の異なる特徴によって特徴付けられる。当業者には、文脈において、任意の所与の状況で、比較可能と見なされる2以上のこのような薬剤、実体、状況、条件セットにどの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者ならば、異なるセットの状況下、個体、または集団で得られた結果または見られた現象の差異が変化のあるそれらの特徴の変動によって引き起こされる、またはそれらの指標となるという合理的結論を保証するのに十分な数および種類の実質的に同一の特徴により特徴付けられる場合に、それらの状況、個体、または集団のセットは互いに比較可能であることを認識するであろう。
【0220】
本明細書に記載されるような比較は、多くの場合、適当な「参照」に対して行われる。本明細書で使用する場合、用語「参照」は、比較が行われる標準または対照を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、対象とする薬剤、動物、個体、集団、サンプル、配列、または値が、参照または対照薬剤、動物、個体、集団、サンプル、配列、または値と比較される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、対象とする試験または判定で実質的に同時に試験および/または判定される。いくつかの実施形態では、参照または対照は、場合により、実体のある媒体に包埋された組織学的(historical)参照または対照である。一般に、当業者により理解されるように、参照または対照は、評価下のものと比較可能な条件または状況下で判定または特徴付けがなされる。当業者ならば、特定の可能性のある参照または対照に対する信頼および/またはそれとの比較を正当化するのに十分な類似性が存在することを認識するであろう。
【0221】
薬物動態
いくつかの実施形態では、患者は、薬物動態学的情報に関して評価することができる。薬物動態データは、所与の薬物(すなわち、治療薬)の投与から、ヒト身体からの排出までの運命に関する洞察を提供することができる。
【0222】
薬物動態データは、当技術分野で公知の技術によって得ることができる。ヒト対象における薬物代謝の薬物動態的および薬力学的パラメーターの固有の変動によって、特定の組成物を表す適当な薬物動態学的および薬力学的プロファイル成分が異なり得る。一般に、薬物動態学的および薬力学的プロファイルは、対象群の平均パラメーターの決定に基づく。対象群は、代表的平均値を決定するために好適な任意の妥当な対象数、例えば、5対象、10対象、16対象、20対象、25対象、30対象、35対象、またはそれを超える対象を含む。平均値は、測定される各パラメーターに関する全対象の測定値の平均を計算することによって決定される。
【0223】
いくつかの実施形態では、患者集団は、転移疾患に罹患している1人以上の対象(「対象集団」)を含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、患者集団には、癌に罹患しているまたは感受性のある1人以上の対象を含む。いくつかの実施形態では、患者集団は、癌に罹患している1人以上の対象を含む(例えば、対象を含んでなる、または対象からなる)。例えば、いくつかの実施形態では、癌に罹患している患者集団は、前療法、例えば、放射線および/または化学療法で従前に処置されていてもよい。
【0225】
いくつかの実施形態では、薬物動態パラメーターは、本組成物を表すのに好適ないずれのパラメーターであってもよい。
【0226】
投与のための一般プロトコール
本明細書に記載されるように、提供される方法は、無増悪生存期間の延長;疾患進行もしくは死亡のハザード比の低減;および/または全生存期間の延長もしくは正の全奏効率のうちいずれか1つまたはそれらの組合せを達成する投与計画に従って患者、対象、または対象集団に、PARPを阻害する療法とPD-1シグナル伝達を阻害する療法を組み合わせて投与することを含んでなる。
【0227】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)が、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤と組み合わせて(例えば、同時にまたは逐次に)投与される。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、PD-1シグナル伝達のタンパク質、抗体、アンチセンス分子または小有機分子阻害剤である。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、PD-1に結合する。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤は、PD-1抗体薬(例えば、ペンブロリズマブ)である。
【0228】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)が、免疫療法(例えば、PD-1抗体薬)と組み合わせて(例えば、同時にまたは逐次に)投与される。いくつかの実施形態では、免疫療法は、特定の抗原(例えば、PD-1)を標的とする薬剤の投与であるか、またはそれを含んでなり;いくつかの実施形態では、免疫療法は、PD-1を標的とする抗体薬(例えば、ペンブロリズマブ)の投与であるか、またはそれを含んでなる。
【0229】
いくつかの実施形態では、1用量以上のPARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)が1用量以上のPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)の投与前、投与中、または投与後に投与される。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)およびPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)が重複する投与計画で投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも1サイクルのPARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)が、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)による療法の開始前に投与される。いくつかの実施形態では、「組合せ」投与は、PARPを阻害する薬剤の投与(例えば、ニラパリブ)と、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブなどの抗体薬)を同時または逐次に投与することを含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)の特定の用量またはサイクルの投与は、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)の特定の用量またはサイクルと、例えば、1分、5分、30分、1時間、2時間、5時間、10時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、またはそれを超える期間であり得る長さを有する期間、時間が離される。いくつかの実施形態では、範囲は下限および上限を限界としてよく、上限は下限よりも大きい。いくつかの実施形態では、下限は、約1分、約5分、約15分、約30分、約45分、約1時間、約2時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約48時間、約72時間、約96時間、または約1週間であり得る。いくつかの実施形態では、上限は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約8週間、または約12週間であり得る。いくつかの実施形態では、特定の用量のPARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)の投与は、特定の用量のPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)と約1分~約12週間の範囲内の期間、時間が離される。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約8週間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約6週間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約4週間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約2週間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約1週間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は約1分~約96時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約72時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約48時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約24時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約12時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約8時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約4時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約2時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約1時間であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約1分~約11分であり得る。
【0231】
いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)およびPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)による併用療法は、前療法に対して奏効を示した患者または対象集団に投与される。いくつかの実施形態では、患者または対象集団は、化学療法薬による前療法に奏効を示している。このようないくつかの実施形態では、化学療法薬は、白金薬である。いくつかの実施形態では、白金に基づく薬剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、またはサトラプラチンから選択される。
【0232】
いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも1経口用量のPARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、複数の経口用量を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、1日1回(QD)投与を含んでなる。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)は、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)の注入の完了時に21日サイクルの1日目に投与される。いくつかの実施形態では、PARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)は、投与計画サイクル中、毎日同じ時間に投与される。いくつかの実施形態では、毎日同じ時間とは、好ましくは、午前中である。
【0233】
いくつかの実施形態では、投与計画は、投与計画サイクル当たり1回の注入のPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、投与計画サイクル当たり1回の30分注入のPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、各投与計画サイクルの1日目に1回の30分注入のPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)を含んでなる。
【0234】
いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも1回の2週~8週サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、複数回の2週~8週サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、1回の2週~8週サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、2回の2週~8週サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、3回以上の2週~8週サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、連続的な2週~8週サイクルを含んでなる。
【0235】
いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも1回の28日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、複数回の28日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、1回の28日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、2回の28日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、3回以上の28日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、連続的な28日サイクルを含んでなる。
【0236】
いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも1回の21日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、複数回の21日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、1回の21日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、2回の21日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、3回以上の21日サイクルを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、連続的な21日サイクルを含んでなる。
【0237】
いくつかの実施形態では、投与計画は、疾患進行または許容されない毒性が生じるまで、有効用量のPARPを阻害する薬剤(例えば、ニラパリブ)を毎日投与することを含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、疾患進行または許容されない毒性が生じるまで投与される1日当たり100mg、200mg、300mgまたはそれを超えるPARP阻害剤(例えば、ニラパリブ)の一日用量を含んでなる。いくつかの実施形態では、その範囲は下限および上限を限界としてよく、上限は下限よりも大きい。いくつかの実施形態では、下限は、約10mg、約25mg、約50mg、または約100mgであり得る。いくつかの実施形態では、上限は、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mgまたは約500mgであり得る。いくつかの実施形態では、経口用量は、約10mg~約500mgの範囲内のPARP阻害剤(例えば、ニラパリブ)量である。いくつかの実施形態では、用量は、約25mg~約400mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、用量は、約50mg~約300mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、用量は、約150mg~約350mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、用量は、約50mg~約250mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、用量は、約50mg~約200mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、用量は、約50mg~約100mgの範囲内である。いくつかの実施形態では、用量は、約100mg~約300mgの範囲内である。
【0238】
いくつかの実施形態では、経口用量のニラパリブが1以上の単位投与形で投与される。いくつかの実施形態では、1以上の単位投与形はカプセル剤である。いくつかの実施形態では、各単位投与形は、約100mgのPARP阻害剤(例えば、ニラパリブ)を含んでなる。単位投与形のいずれの組合せも1日1回(QD)用量を形成するために組み合わせることができると理解される。例えば、300mgのPARP阻害剤(例えば、ニラパリブ)が1日1回投与されるように、3個の100mg単位投与形を1日1回服用することができる。いくつかの実施形態では、200mgのPARP阻害剤(例えば、ニラパリブ)が1日1回投与されるように、2個の100mg単位投与形を1日1回服用することができる。いくつかの実施形態では、100mgのPARP阻害剤(例えば、ニラパリブ)が1日1回投与されるように、1個の100mg単位投与形を1日1回服用することができる。
【0239】
いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも200mgのPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)の単回注入を含んでなる。いくつかの実施形態では、投与計画は、少なくとも25分、30分、35分、40分、またはそれを超える時間にわたるPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)の単回注入を含んでなる。いくつかの実施形態では、その範囲は下限および上限を限界としてよく、上限は下限よりも大きい。いくつかの実施形態では、下限は、約25分、または約30分であり得る。いくつかの実施形態では、上限は、約35分または約40分であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約25分~約40分であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約25分~約35分であり得る。いくつかの実施形態では、その範囲は、約25分~約30分であり得る。いくつかの実施形態では、PD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)は、静脈内(IV)注入によって投与される。いくつかの実施形態では、静脈内用量のPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤(例えば、ペンブロリズマブ)は、1以上の単位投与形で投与される。
【実施例0240】
以下の実施例は、特許請求される発明を例示するために示されるものであり、限定されない。
【0241】
実施例1-低用量のPARPを阻害する薬剤とPD-1シグナル伝達を阻害する薬剤の組合せは相乗作用的抗腫瘍活性を誘導する
腫瘍接種および処置スケジュール
腫瘍発生のために、C57BL/6マウスの右側腹部の皮下に、ApcMin/J異型接合性バックグラウンドから発生させた原発マウス皮膚癌モデルmSK6005断片(R2P4、2~4mm径)を接種した。マウスを無作為化し、平均腫瘍サイズが148mm3に達した際に処置を開始した。
【0242】
マウスを6群に分け、ニラパリブ、抗PD-1(Bio X Cell、ニューハンプシャー州)、ビヒクル(0.5%メチルセルロースを含んでなる)、またはPD-1アイソタイプ(Bio X Cell、ニューハンプシャー州)で処置した。具体的には、各群の処置スケジュールを表2に記載する。
【0243】
【0244】
本研究の動物の取り扱い、管理、および処置に関連する手順は総て、実験動物管理評価・認定協会(Association for Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care)(AAALAC)のガイドラインに従って動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)により承認されたガイドラインに従って行った。通常の経過観察時に動物の運動、食物および水の消費(目視のみによる)、体重増加/減少、眼/体毛のつやのなさおよび他のいずれかの異常な影響など、正常な挙動に対する腫瘍成長のいずれの影響についても確認した。見られた臨床徴候を各サブセット内の動物の数に基づいて記録した。
【0245】
腫瘍サイズは週2回、ノギスを用いて測定した。
図1に示されるように、高用量ニラパリブ(50mg/kg、QD)と抗PD-1(5mg/kg、BIW)の組合せは、相乗作用または相加作用を示さなかった。これに対し、
図2に示されるように、低用量ニラパリブ(25mg/kg、QD)と抗PD-1(5mg/kg、BIW)の組合せは相乗作用的抗腫瘍活性を誘導した。
【0246】
実施例2-PARP阻害剤と抗PD-1薬の組合せによる癌の処置
本実施例は、PARP阻害剤(ニラパリブ)と抗PD-1薬(ペンブロリズマブ)の組合せによる併用処置の安全性および有効性を評価する多施設共同、非盲検、単一群第1/2相試験を記載する。
【0247】
選択基準
本件に適格であるためには、患者は組織学的に明らかな進行(切除不能)、転移癌を持たなければならなかった。具体的には、例示的婦人科癌である高悪性度漿液性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する、再発疾患を有し、かつ、進行/転移疾患に関して従前に処置を受けており、かつ、第一選択の白金に基づく療法に少なくとも6か月持続する奏効を経験したが、現在は白金耐性と見なされる患者が、本明細書に記載の併用療法処置に適格であった。
【0248】
例示的なPARPを阻害する薬剤の投与
ニラパリブは100mgカプセル剤として供給し、サイクル1/1日目に開始し、継続的に1日1回(QD)経口投与した。各日に投与される一日用量は試験の相、および第1相ではコホートの割り付けによって異なった。ニラパリブの一日用量は経口で200mg/日または300mg/日(300mgは3×100mgカプセル剤または200mgは2×100mgカプセル剤)とした。
【0249】
ニラパリブによる処置は、いずれの処置関連の非血液性CTCAEグレード3または4イベントについても中断した。グレード≦1に消散すれば、用量レベルを減らして患者にニラパリブによる処置を再開してよい。
【0250】
例示的なPD-1を阻害する薬剤の投与
ペンブロリズマブは、総ての手順および評価が完了した後、各21日治療サイクルの1日目に試験部位に投与した。ペンブロリズマブは、投与上の理由で、サイクル2の後の各サイクルに予定された1日目の前後3日以内に投与した。
【0251】
ペンブロリズマブは、30分のIV注入を用いて200mgIVの用量で投与した。しかしながら、部位から部位への注入ポンプの変動を考えれば、-5分~+10分の枠が許容される。
【0252】
結果
本治験の第I相部分でこれまでに合計9名の卵巣癌患者を評価し、固形癌効果判定基準(RECIST)v1.1結果を表3に示す。これらの結果に基づき、第2相用量(RP2D)およびスケジュールは、1~21日に経口でニラパリブ200mg/日および各21日サイクルの1日目の静脈内にペンブロリズマブ200mgとすると決定した。ただし、1回以上のサイクル中に行った総ての検査でヘモグロビン≧9g/dL、血小板≧100,000/μLおよび好中球≧1500/μLであれば、ニラパリブ用量を1日200mgから1日300mgに引き上げてもよい。
【0253】
【0254】
実施例1に記載したデータと一致して、この臨床試験は、低用量PARP阻害剤(例えば、ニラパリブ)は、PD-1シグナル伝達(例えば、ペンブロリズマブ)を阻害するための薬剤と組み合わせて使用する場合に有効であることを実証した。加えて、本試験は、驚くことに、PARP阻害とPD-1シグナル伝達の阻害の組合せが、白金耐性であり、婦人科癌を有するBRCA野生型患者を治療するのに有効であることを実証した。以前の試験は、BRCA1/2突然変異を有する白金感受性、再発漿液性卵巣癌を有する患者の無進行生存期間の改善を示したが、BRCA1/2突然変異の無い白金耐性コホートには利益は見られなかった(NCT00753545;D0810C00019;Study 19参照)。従って、本出願人らは、高いアンメットメディカルニーズを満たし、白金耐性のBRCA野生型患者に有効である併用療法を見出した。
【0255】
実施例3-癌治療のためのPARP阻害剤および抗PD-1薬の臨床用量設定組合せ試験 以下の実施例は、ニラパリブと抗PD-1薬(ペンブロリズマブ)による併用処置を評価するために計画された臨床試験の第1相からの所見および第2相(TOPACIO;NCT02657889)からの暫定的所見を記載する。
【0256】
バックグラウンド
進行もしくは転移トリプルネガティブ乳癌(TNBC)または再発白金耐性卵巣癌(OC)を有する患者の治療選択肢は限られている。PARP阻害剤はBRCA野生型TNBC(客観的奏効率(ORR):0%)および白金耐性OC(ORR:≦16%)、また、抗PD-1薬は従前に処置したTNBC(ペンブロリズマブORR:4.7%)およびOC(ニボルマブORR:15%)というように、単剤活性は大きくない(Gelmon KA,et al.Lancet Oncol.2011;12:852-861;Sandhu SK,et al.Lancet Oncol.2013;14:882-892;Adams S,et al.J Clin Oncol.2017:35(suppl 15):1008;Hamanishi J,et al.J Clin Oncol.2015;33:4015-4022)。
【0257】
PARP阻害は、次にインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)経路を介してT細胞を活性化するサイトゾルDNAの生成によって、抗PD-1療法で処置された腫瘍の免疫応答を増強し、浸潤リンパ球の増加を伴って腫瘍を免疫学的に「ホット」にし得る(Erdal E,et al.Genes Dev.2017;31:353-369;Mouw KW,et al.Cancer Discov.2017;7:675-693)。前臨床データは、OCおよびTNBCにおけるPARP阻害剤とPD-1阻害剤の間の治療的相乗効果を示唆している(Higuchi T,et al.Cancer Immunol Res.2015;3:1257-1268;Huang J,et al.Biochem Biophys Res Commun.2015;463:551-556;Jiao S,et al.Clin Cancer Res.2017;23:3711-3720)。
【0258】
臨床試験目的
本臨床試験の第1相の主要な目的は、ニラパリブおよび抗PD-1薬による併用処置の用量制限毒性(dose-limiting toxicities)(DLT)を評価し、抗PD-1薬とともに投与されるニラパリブの推奨第2相用量(recommended phase 2 dose)(RP2D)を設定することであった。第2相の目的は、ニラパリブと抗PD-1薬による併用処置の臨床活性を、転移TNBCを有する患者および再発白金耐性OCを有する患者で個別に評価することであった。両相の第2の目的は、併用処置の安全性および忍容性の評価ならびに第2相の併用処置に対する奏効期間の評価を含んだ。
【0259】
方法
選択基準
本試験に適格とするために、進行(切除不能)もしくは転移乳癌または卵巣癌を有する患者に以下の判定基準を適用した。第1相集団には、エストロゲン受容体発現陰性(細胞の<1%)、プロゲステロン受容体発現陰性(細胞の<1%)、およびHER2陰性(すなわち、TNBC)であった進行または転移乳癌を有する患者を包含した。最大4系統の細胞傷害療法を許容した。第1相にはまた、白金耐性疾患または白金不応性疾患と見なされたことがあるが、第一選択の白金に基づく療法の結果として少なくとも6か月持続する奏効を経験した上皮卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者も包含した。最大5系統の細胞傷害療法を受けた患者を包含した。
【0260】
第2相集団には、従前に最大2系統の細胞傷害療法を受けた進行または転移TNBCを有する患者を包含した。補助療法および/または術前補助療法は療法の系統数に計上しなかった。転移状況において従前に白金化学療法を受けた患者は、最後の白金投与日から8週間の時点またはそれ以内に進行が無かったならば試験に登録を許容した。加えて、白金耐性疾患を有すると見なされた高悪性度漿液性または類内膜卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者も包含した。最大2系統の細胞傷害療法を許容した。
【0261】
本試験の他の重要な選択基準としては、RECIST v1.1による測定可能な病変および米国東海岸がん臨床試験グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)パフォーマンススコア0または1を含んだ。
【0262】
除外基準
第一選択白金療法の6か月の時点またはそれ以内に疾患の進行などの一次白金不応性OCを有する患者は試験から除外される。加えて、抗PD-1、抗PD-L1、もしくは抗PD-L2薬または既知のPARP阻害剤による前処置を受けた患者は試験への組み入れに不適格であった。
【0263】
臨床試験計画
第1相では、DLTを6+6用量漸増計画で評価した(
図3)。用量レベル1は、1日当たり200mg経口ニラパリブおよび各21日サイクルの1日目の200mg静脈内(IV)ペンブロリズマブを含んだ。用量レベル2は、1日当たり300mg経口ニラパリブおよび各21日サイクルの1日目の200mgIVペンブロリズマブを含んだ。RP2Dは以下に基づいて決定した:初回およびその後の処置サイクルのDLT率、非DLT有害事象(AE)率、用量変更、薬物動態、ニラパリブ用量強度、および臨床有効性の徴候。腫瘍BRCA(tBRCA)変異状態は、Myriad Geneticsリサーチ相同組換え欠陥アッセイを用いて評価した。PD-L1発現を評価し、TNBCおよびOC両方のPD-L1状態を、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx(Agilent、カーピンテリア、CA、USA)の治験バージョンを用いた免疫組織化学(IHC)により、1%暫定的カットオフを用いて決定した。「複合陽性スコア(combined positive score)」は、腫瘍細胞の総数に対する染色された腫瘍および免疫細胞の数として定義される。
【0264】
第2相では、進行TNBCまたはOCを有する患者の2つのコホートを、200mgニラパリブのRP2D(
図3)を用いて評価した。重大な血液毒性を示さなかった患者では、途中、2サイクルの後に300mgへのニラパリブ増量させるように試験を修正した。試験中の評価のスケジュールは次の通りとした。最初のスキャンは9週(±7日)目に行った。疾患の進行が出現した場合、確認スキャンを4週間後に行った。その後のスキャンは9週間毎および進行時に行った。完全奏効(CR)または部分奏効(PR)が見られた場合には、奏効を反復イメージングにより確認した。第2相は、2段階計画(各腫瘍コホートにつき合計n=24+24)を含んだ。有効集団は、少なくとも1つの評価可能なベースライン後腫瘍スキャンを有する、任意の量の試験薬を受容した患者を含んだ。
【0265】
結果
患者-第1相
表4に示されるように、14名の患者を第1相試験に登録した(TNBC、n=5;OC、n=9)。第1相でのOC患者に対する最も多い前処置は、白金に基づく療法(総ての患者が受容)およびタキサン(患者の89%が受容)であった。転移TNBCの最も多い前処置は、タキサンとシクロホスファミド(総ての患者が受容)およびアントラサイクリン(患者の60%が受容)であった。
【0266】
【0267】
安全性-第1相
用量レベル1を投与した7名の患者のうち、1名の患者はDLT(好中球減少症、貧血、および血小板減少症)を有しており、ニラパリブは中断したが、ペンブロリズマブは継続した。用量レベル2を投与した7名の患者のうち、1名の患者はDLTを有し、1名はDLT相当であり(両方とも血小板減少);ニラパリブの中断後、両患者は、200mgのニラパリブを再開し、ペンブロリズマブは終始継続した。
【0268】
RP2Dは、1日当たり200mgの経口ニラパリブおよび各21日サイクルの1日目のペンブロリズマブ200mgIVと決定された。
【0269】
グレード3以上の治療下発現有害事象(treatment-emergent adverse events)(TEAE)は、用量レベル1では、7名のうち6名の患者(85.7%)で、また、用量レベル2では、7名総ての患者で報告された。少なくとも2名の患者で報告された最も多い治療関連の(treatment related)有害事象(adverse events)(AE)を表5に示す。
【0270】
【0271】
有効性-第1相
少なくとも1回のスキャンを行ったOCと評価された患者9名のうち5名で部分奏効(PR)または完全奏効(CR)が見られ、3名の奏効者が野生型tBRCA1/2と判定された腫瘍を有し、3名の奏効者がPD-L1陰性(<1%)と判定された腫瘍を有していた(
図4)。残りのOC患者のうち4名は安定した疾患を有していた。データ収集時に、処置は2名の患者で進行中であった(それぞれ試験の48週目および54週目)。
【0272】
少なくとも1回のスキャンを行った4名のTNBC患者のうち、3名の患者は安定であった(
図4)。さらに1名のTNBC患者が臨床的進行のために最初の試験スキャンから外れた。
【0273】
患者-第2相
データ収集時に、36名のOCを有する患者および47名のTNBCを有する患者が第2相に登録された。TNBCでは、27名の患者が少なくとも1回のスキャンを受け、8名の患者が少なくとも2回のスキャンを受けた。OCでは、29名の患者が少なくとも1回のスキャンを受け、13名の患者が少なくとも2回のスキャンを受けた。総ての患者が女性であった。人口統計およびベースライン特徴を表6に示す。
【0274】
【0275】
安全性および有効性-第2相
第2相では、新たな安全性シグナルは見られなかった。加えて、第2相患者の7%未満が初回の治療サイクル中にグレード≧3の血小板減少を受けた。第2相に登録された30名の患者(36.1%)が治療関連グレード≧3AEを報告した(表7)。
【0276】
プロトコール補正に続き、2サイクル後に200mgから300mgニラパリブへ増量した2名の患者にはグレード≧3のイベントは見られなかった。
【0277】
【0278】
図5Aに示されるように、OC患者には安定、部分奏効(PR)、および完全奏効(CR)が見られた。野生型tBRCA1/2およびPD-L1陰性と判定された患者には奏効が見られた。
【0279】
図5Bに示されるように、TNBC患者には安定、部分奏効(PR)、および完全奏効(CR)が見られた。野生型tBRCA1/2およびPD-L1陰性と判定された患者には奏効が見られた。
【0280】
結論
ニラパリブの推奨第2相用量は、1日1回200mg経口ニラパリブ(重大な血液毒性のなかった患者にはサイクル2の後に300mgに増量)と各21日サイクルの1日目の200mgIVペンブロリズマブの組合せとして設定した。加えて、新たな安全性シグナルは特定されなかった。
【0281】
全体的に見れば、卵巣癌およびトリプルネガティブ乳癌の両方においてBRCA野生型腫瘍およびPD-L1陰性腫瘍を有する患者に治療反応が見られた。これらの所見は、抗PD-1療法に感受性のある他の腫瘍において併用療法としてニラパリブおよびペンブロリズマブの適用可能性を裏づける。
【0282】
実施例4-TOPACIO臨床用量設定併用試験(TOPACIO clinical dose-finding combination study)における追跡調査所見
以下の実施例は、卵巣癌(OC)を有する患者においてニラパリブと抗PD-1薬(ペンブロリズマブ)の併用処置を評価するために計画された上記の臨床研究の第1相および第2相(TOPACIO;NCT02657889)の追跡調査所見を記載する。
【0283】
臨床試験目的
実施例3に記載されるように、この臨床試験の第1相の主要な目的は、ニラパリブと抗PD-1薬の併用処置の用量制限毒性(DLT)を評価すること、および抗PD-1薬とともに投与されるニラパリブの推奨第2相用量(RP2D)を設定することであった。第2相の目的は、再発白金耐性OCを有する患者に対するニラパリブと抗PD-1薬の併用処置の臨床活性を評価することであった。第2相の第2の目的には、患者の白金応答性の状態および併用処置に対する奏効期間の評価を含んだ。
【0284】
方法
選択基準
本試験に適格とするために、卵巣癌を有する患者に以下の判定基準を適用した。第1相および第2相集団では、白金耐性疾患を有すると見なされ、かつ、第一選択の白金に基づく療法の結果として少なくとも6か月持続する奏効を経験した、上皮卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌を有する患者を包含した。最大5系統の細胞傷害療法を受けた患者を包含した。
【0285】
本試験の重要な他の選択基準としては、RECIST v1.1による測定可能な病変および米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンススコア0または1を含んだ。
【0286】
除外基準
第一選択白金療法の30日の時点またはそれ以内に疾患の進行などの一次白金不応性OCを有する患者は試験から除外される。加えて、抗PD-1、抗PD-L1、もしくは抗PD-L2薬または既知のPARP阻害剤による前処置を受けた患者は試験への組み入れに不適格であった。
【0287】
臨床試験計画
実施例3に記載されるように、用量制限毒性(DLT)は、6+6用量漸増計画で評価した(
図3)。推奨第2相用量(RP2D)は、以下に基づいて決定した:初回およびその後の処置サイクルのDLT率、非DLT有害事象(AE)率、用量変更、薬物動態、ニラパリブ用量強度、および臨床有効性の徴候。実施例3に記載されるように、RP2Dは、1日当たり200mgニラパリブ経口および21日サイクルの1日目のペンブロリズマブ200mg IVと決定された。腫瘍BRCA(tBRCA)の変異状態は、Myriad Geneticsリサーチ相同組換え欠陥アッセイを用いて評価した。相同組換え欠陥(HRD)状態は、以下の染色体マーカーを用いて評価した:LOH(異型接合性の消失)、LST(大規模な遷移)、およびTAI(テロメアアレルの不均衡)。PD-L1発現を評価し、PD-L1状態を、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx(Agilent、カーピンテリア、CA、USA)の治験バージョンを用いた免疫組織化学(IHC)により、1%暫定的カットオフを用いて決定した。「複合陽性スコア」は、腫瘍細胞の総数に対する染色された腫瘍および免疫細胞の数として定義した。
【0288】
第2相では、OCを有する患者を、1日当たり200mgニラパリブ経口および各21日サイクルの1日目の200mg静脈内(IV)ペンブロリズマブというRP2Dを用いて評価した。重大な血液毒性を示さなかった患者では、途中、2サイクルの後に300mgへのニラパリブ増量させるように試験を修正した。試験中の評価のスケジュールは次の通りとした。最初のスキャンは9週(±7日)目に行った。疾患の進行が出現した場合、確認スキャンを4週間後に行った。その後のスキャンは9週間毎および進行時に行った。完全奏効(CR)または部分奏効(PR)が見られた場合には、奏効を反復イメージングにより確認した。OC患者では、第2相中に、tBRCA、HRD、およびPD-L1の状態を含むバイオマーカープロファイルを確定した。
【0289】
結果
患者-第1相および第2相
14名のOC患者を試験の第1相に登録し、9名の患者を評価した。データ収集時には、第2相で53名のOC患者が登録され、有効集団はそれらの9週目のスキャンを受けた患者(N=51)を含んだ。第1相および第2相の組合せに関する患者の人口統計およびベースライン特徴を表8に示す。
【0290】
【0291】
OC患者の最も多い前処置は、白金に基づく療法(患者の98%が受容)およびパクリタキセル(患者の97%が受容)であった。第1相および第2相の組合せでは、患者の年齢中央値はおよそ60歳であった。前化学療法の系統数の中央値は2であり、患者の18%が1系統の前化学療法を受け、患者の37%が2系統の前化学療法を受け、患者の45%が少なくとも3系統の前化学療法を受けていた(表8)。ECOGパフォーマンスステータスに関しては、第1相および第2相患者のおよそ71%がスコア0を有し、患者のおよそ29%がスコア1を有した。
【0292】
加えて、第1相および第2相患者の白金応答性状態を評価した(
図6)。第1相および第2相患者の48%は白金耐性であることが判明し、最後(直近)の系統の白金に基づく前療法から6か月未満の白金フリー期間(PFI)を有し、この期間内に腫瘍進行を示した。患者の29%は白金不応性であることが判明し、最後(直近)の系統の白金に基づく前療法から30日未満のPFIを有し、この期間内に腫瘍進行を示した。患者の23%は、白金不適格であることが判明し、最後(直近)の系統の白金に基づく前療法から少なくとも6か月の白金フリー期間(PFI)を有するが、その患者は他の理由で白金処置から外された。
【0293】
第1相および第2相患者の組合せに関してバイオマーカープロファイルを評価し、その結果を表9に示す。
【0294】
【0295】
第1相および第2相患者のおよそ73%がBRCA1/2野生型腫瘍を有することが判明し、患者18%がBRCA1またはBRCA1に突然変異を有する腫瘍を有していた(表9)。第1相および第2相患者のおよそ50%が、野生型状態を示すHRD陰性であることが判明し、患者の35%が、相同組換えの欠陥を示すHRD陽性であった。第1相および第2相患者のおよそ53%がPD-L1陽性腫瘍を有することが判明し、患者の34%がPD-L1陰性腫瘍を有していた。
【0296】
患者の少なくとも10%に見られる治療下発現有害事象(TEAE)も、第1相および第2相の両方で報告された(表10)。グレードによらず最も多いTEAEは、疲労(第1相および第2相患者の45%)、次いで、悪心(患者の42%)であることが判明した。グレード3以上の最も多いTEAEは、貧血事象(第1相および第2相患者の19%)、次いで、血小板減少事象(患者の15%)(85.7%)であると報告された。
【0297】
【0298】
患者奏効
データ収集時の第1相および第2相患者の併用療法の有効性を表11に示す。完全奏効(CR)または部分奏効(PR)を示す患者を含む客観的奏効率(ORR)は、25%であることが判明した。部分奏効、完全奏効、または安定を示す患者を考慮すると、全疾病制御率は68%であると決定された。
図7に示されるように、患者の18%が少なくとも6か月の処置を受けているデータ収集時点で、第1相および第2相患者全体のおよそ33%が併用処置に留まっていた。加えて、部分奏効または完全奏効を示す第1相および第2相患者のおよそ60%(9/15)がデータ収集時点で併用処置に留まっていた。第1相および第2相患者で奏効期間の中央値はおよそ9.3か月であり、無進行生存期間の中央値はおよそ3.5か月であった(データは示されていない)。
【0299】
【0300】
加えて、特定のバイオマーカー状態を有する第1相および第2相患者における併用療法の有効性を評価し、結果を表12に示す。
【0301】
【0302】
第1相および第2相患者では、tBRCAおよびHRDバイオマーカー状態ならびに白金応答性にかかわらず奏効が見られた(
図8および表12)。一般に、BRCA野生型腫瘍を有する患者は、23%の客観的奏効率(ORR)および66%の疾病制御率を示した。HRD陰性状態を有する患者は、24%のORRおよび61%のDCRを有することが判明した。
【0303】
白金耐性集団および白金不応性集団を合わせた場合のより密接な評価は、BRCA野生型腫瘍を有する患者が26%のORRおよび68%のDCRを示すことを示唆したが、HRD陰性状態の患者はそれぞれ29%および63%のORRおよびDCRを有することが判明した。
【0304】
白金耐性集団単独の分析は、患者がバイオマーカーの状態にかかわらずに24%のORRおよび72%のDCRを有したことを明らかにした(
図9)。さらに、BRCA野生型腫瘍を有する白金耐性患者は、29%のORRおよび76%のDCRを有した。同様に、HRD陰性状態を有する白金耐性患者は、それぞれ31%および69%のORRおよびDCRを有することが判明した。白金耐性第1相および第2相患者の部分奏効または完全奏効を示すおよそ57%がデータ収集時点で併用処置に留まっていた。
【0305】
白金不応性集団内で、患者はバイオマーカーの状態にかかわらずに24%のORRおよび59%のDCRを有していた(
図10)。白金不応性患者のおよそ12%がBRCA1またはBRCA2に突然変異を有する腫瘍を有していたことが判明した。最後に、白金不応性患者の65%が、少なくとも3系統の前療法を受けており、白金不応性患者のおよそ35%が少なくとも6か月の併用処置を受けていた。
【0306】
結論
ニラパリブの推奨第2相用量は、1日1回200mg経口ニラパリブと各21日サイクルの1日目に200mg IVペンブロリズマブの組合せと設定された。場合により、重大な血液毒性のなかった患者では、サイクル2の後にニラパリブ用量を300mgに増量できることが実証された。加えて、新たな安全性シグナルは特定されなかった。
【0307】
全体的に見れば、ニラパリブとペンブロリズマブの併用処置を受けている卵巣癌患者では、BRCA突然変異またはPD-L1レベルにかかわらずに、永続的な腫瘍退縮および安定化が見られた。バイオマーカーの状態にかかわらずに白金耐性患者または白金不応性患者でのニラパリブとペンブロリズマブの組合せの有効性は、その組合せが、治療が困難な患者に利益を与えることを示す。さらに、ニラパリブとPD-1阻害剤の組合せは、長期間の治療(少なくとも18か月まで)が見られたことから、化学療法に代わり得るものとなる。第1相および第2相データは、このアンメットニーズの高い患者集団に対するニラパリブとPD-1阻害剤の組合せの利益を実証する。
【0308】
実施例5-進行または転移トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有する患者に対するTOPACIO臨床用量設定併用研究における追跡調査所見
以下の実施例は、進行または転移トリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有する患者においてニラパリブと抗PD-1薬(ペンブロリズマブ)の併用処置を評価するために計画された上記臨床試験の第1相および第2相(TOPACIO;NCT02657889)からの追跡調査所見を記載する。
【0309】
臨床試験目的
実施例3に記載されるように、この臨床試験の第1相の主要な目的は、ニラパリブと抗PD-1薬の併用処置の用量制限毒性(DLT)を評価すること、および抗PD-1薬とともに投与されるニラパリブの推奨第2相用量(RP2D)を設定することであった。第2相の目的は、進行または転移TNBCを有する患者に対するニラパリブと抗PD-1薬の併用処置の臨床活性を評価することであった。第2相の第2の目的には、併用処置に対する奏効期間の評価を含んだ。併用処置を受けている進行または転移TNBCを有する患者に関して無進行生存期間も評価した。
【0310】
方法
選択基準
本試験に適格とするために、TNBCを有する患者に以下の判定基準を適用した。エストロゲン受容体発現陰性(細胞の<1%)、プロゲステロン受容体発現陰性(細胞の<1%)、およびHER2陰性(すなわち、TNBC)であった進行または転移乳癌を有する患者を包含した。加えて、術前補助および/または補助療法後に疾患の再発または進行を示した患者も包含した。最大2系統の前細胞傷害療法が本治験の第2相中に許容された。補助療法および/または術前補助療法は療法の系統数に計上しなかった。転移状況において従前に白金化学療法を受けた患者は、最後の白金投与日から8週間の時点またはそれ以内に進行が無かったならば試験に登録を許容した。
【0311】
除外基準
抗PD-1、抗PD-L1、もしくは抗PD-L2薬または既知のPARP阻害剤によって前処置を受けた進行または転移TNBCを有する患者は、本試験への組み入れに不適格とした。
【0312】
臨床試験計画
実施例3に記載されるように、用量制限毒性(DLT)は、6+6用量漸増計画で評価した(
図3)。推奨第2相用量(RP2D)は、以下に基づいて決定した:初回およびその後の処置サイクルのDLT率、非DLT有害事象(AE)率、用量変更、薬物動態、ニラパリブ用量強度、および臨床有効性の徴候。実施例3に記載されるように、RP2Dは、1日当たり200mgニラパリブ経口と21日サイクルの1日目のペンブロリズマブ200mg IVの組合せであると決定された。腫瘍BRCA(tBRCA)の変異状態は、Myriad Geneticsリサーチ相同組換え欠陥アッセイを用いて評価した。相同組換え欠陥(HRD)状態は、以下の染色体マーカーを用いて評価した:LOH(異型接合性の消失)、LST(大規模な遷移)、およびTAI(テロメアアレルの不均衡)。PD-L1発現を評価し、PD-L1状態を、PD-L1 IHC 22C3 pharmDx(Agilent、カーピンテリア、CA、USA)の治験バージョンを用いた免疫組織化学(IHC)により、1%暫定的カットオフを用いて決定した。「複合陽性スコア」は、腫瘍細胞の総数に対する染色された腫瘍および免疫細胞の数として定義した。
【0313】
第2相では、TNBCを有する患者を、1日1回200mgニラパリブ経口と21日サイクルの1日目の200mg静脈内(IV)ペンブロリズマブの組合せというRP2Dを用いて評価した。重大な血液毒性を示さなかった患者では、途中、2サイクルの後に300mgへのニラパリブ増量させるように試験を修正した。試験中の評価のスケジュールは次の通りとした。最初のスキャンは、最初の処置の投与日から9週(±7日)目に行った。疾患の進行が出現した場合、確認スキャンを4週間後に行うことができる。その後のスキャンは初年の間は9週間毎に、その後は12週間毎、および進行時に行った。完全奏効(CR)または部分奏効(PR)が見られた場合には、奏効を反復イメージングにより確認した。TNBC患者に関して、第2相中にtBRCA、HRD、およびPD-L1の状態を含むバイオマーカープロファイルを確定した。有効集団は、少なくとも1つの評価可能なベースライン後腫瘍スキャンを有する、任意の量の試験薬を受容した患者を含んだ。
【0314】
結論
ニラパリブの推奨第2相用量は、1日1回200mg経口ニラパリブと各21日サイクルの1日目の200mg IVペンブロリズマブの組合せと設定された。場合により、重大な血液毒性のなかった患者では、サイクル2の後にニラパリブ用量を300mgに増量できることが実証された。加えて、新たな安全性シグナルは特定されなかった。
【0315】
全体的に見れば、ニラパリブとペンブロリズマブの併用処置を受けている進行または転移TNBCを有する患者では、BRCA突然変異、PD-L1レベル、または前白金曝露にかかわらずに、永続的な腫瘍退縮および安定化が見られた。BRCA変異を有するTNBCを有する患者で、完全奏効または部分奏効、ならびに無進行生存期間の両方を含む最高の客観的奏効率が見られた。バイオマーカーの状態にかかわらずに白金耐性または白金不応性患者でのニラパリブとペンブロリズマブの組合せの有効性は、その組合せが、治療が困難な患者に利益を与えることを示す。さらに、ニラパリブとPD-1阻害剤の組合せは、長期間の治療(少なくとも12か月まで)が見られたことから、化学療法に代わり得るものとなる。第1相および第2相データは、このアンメットニーズの高い患者集団に対するニラパリブとPD-1阻害剤の組合せの利益を実証する。
【0316】
均等論
冠詞「a」および「an」は、本明細書で使用する場合、本明細書および特許請求の範囲において、特に断りのない限り、複数の指示物を含むと理解されるべきである。2以上のグループメンバーに「または(or)」を含む特許請求の範囲または明細書は、そのグループメンバーの1つ、2以上、または総てが特に断りのない限り、またはそうでなければ文脈から明らかでない限り、所与の生成物または工程に存在する、使用されている、またはそうでなければ関連があるならば、満たされると考えられる。本発明は、そのグループの正確に1つのメンバーが、所与の生成物または工程に存在する、使用されている、またはそうでなければ関連がある実施形態を含む。本発明がまた、2つ以上または総てのグループメンバーが、所与の生成物または工程に存在する、使用されている、またはそうでなければ関連がある実施形態も含む。さらに、特に断りのない限りまたは矛盾もしくは不一致が生じることが当業者に明らかとならない限り本発明は挙げられているクレームの1以上から1以上の制限、要素、条項、記述用語が同じ基本クレームに従属する別のクレーム(または、関連があれば、他のいずれかのクレーム)に導入される、総ての変形、組合せ、および順列を包含すると理解されるべきである。要素が一覧として(例えば、マーカッシュ群または類似の形式で)提供される場合、それらの要素の各サブグループも開示され、かつ、その群からいずれの要素の除去も可能であると理解されるべきである。一般に、本発明、または本発明の側面が、特定の要素、特徴などを含んでなることが言及される場合、本発明の特定の実施形態または本発明の側面はこのような要素、特徴などからなる、またはから本質的になると理解されるべきである。簡素化のために、これらの実施形態は、いずれの場合にも、本明細書ではあまり多くの言葉で具体的に示されていない。また、本発明のいずれの実施形態または側面も、具体的な除外が本明細書に挙げられているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲から明示的に除外され得ると理解されるべきである。発明の背景を記載し、また、その実施に関するさらなる詳細を提供するために本明細書に引用される刊行物、ウェブサイトおよびその他の参照材料は、引用することにより本明細書の一部とされる。