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特開2023-93622少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマー及び少なくとも1種のアミノシリコーンを含む化粧用組成物
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  • 特開-少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマー及び少なくとも1種のアミノシリコーンを含む化粧用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093622
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマー及び少なくとも1種のアミノシリコーンを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20230627BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230627BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/81
A61Q5/12
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068747
(22)【出願日】2023-04-19
(62)【分割の表示】P 2021535912の分割
【原出願日】2019-12-20
(31)【優先権主張番号】1873703
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】オドレイ・コレイア
(72)【発明者】
【氏名】セシル・トゥールーザン
(57)【要約】
【課題】有機溶媒中において、少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマーと、少なくとも1種のアミノシリコーンとの組合せを含む化粧用組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、有機溶媒中において、炭化水素をベースとする樹脂から選択される少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマーと、少なくとも1種のアミノシリコーンとの組合せを含む化粧用組成物に関する。本発明は、前記化粧用組成物を使用して、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための美容的方法にも関する。最後に、本発明は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をコンデイショニングするための、前記化粧用組成物の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用組成物であって、
(a)インデン炭化水素をベースとする樹脂、脂肪族ペンタンジエン樹脂、ペンタンジエン及びインデンの混合樹脂、シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、イソプレンダイマーのジエン樹脂並びにそれらの混合物から選択される1種又は複数の疎水性皮膜形成ポリマー、
(b)1種又は複数のアミノシリコーン、及び
(c)1種又は複数の有機溶媒
を含む化粧用組成物。
【請求項2】
前記疎水性皮膜形成ポリマー(a)は、インデン炭化水素をベースとする樹脂、脂肪族ペンタンジエン樹脂及びそれらの混合物から、好ましくはインデン炭化水素をベースとする樹脂から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記疎水性皮膜形成ポリマー(a)の総含量は、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~20質量%、優先的には1質量%~15質量%、より優先的には2質量%~10質量%、さらにより良好には3質量%~8質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記アミノシリコーン(b)は、
a)式(I):
【化1】
(式中、x’及びy’は、質量平均分子量(Mw)が5000~500000g/molであるような整数である)
に対応するポリシロキサン;
b)式(II):
R’3-a-Si(OSiG-(OSiGR’2-b-O-SiG3-a’-R’a’ (II)
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るGは、水素原子又はフェニル、OH、C~Cアルキル、例えばメチル若しくはC~Cアルコキシ、例えばメトキシ基を示し、
- 同一であるか又は異なり得るa及びa’は、0又は1~3の整数、特に0を示し、ただし、a及びa’のうちの少なくとも1つは、0に等しく、
- bは、0又は1、特に1を示し、
- m及びnは、合計(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲であるような数であり、nは、場合により、0~1999、とりわけ49~149の数を示し、及びmは、場合により、1~2000、とりわけ1~10の数を示し;
- 同一であるか又は異なり得るR’は、式-C2qLの一価基を示し、ここで、qは、2~8の範囲の数であり、及びLは、下記の基:
・-NR’’-Q-N(R’’)
・-N(R’’)
・-N(R’’)
・-NH(R’’)
・-N(R’’)A
・-NR’’-Q-N(R’’)H
・-NR’’-Q-N(R’’)HA、及び
・-NR’’-Q-N(R’’)
(式中、同一であるか又は異なり得るR’’は、水素、フェニル、ベンジル又は飽和の一価の炭化水素をベースとする基、例えばC~C20アルキル基を示し;Qは、式C2rの直鎖状又は分岐状の基を示し、rは、2~6、好ましくは2~4の範囲の整数であり;及びAは、美容的に許容されるアニオン、とりわけハライド、例えばフルオリド、クロリド、ブロミド又はヨージドを表す)
から選択される任意選択で四級化されたアミノ基である)
に対応するアミノシリコーン;
c)式(VIII):
【化2】
(式中、
- Rは、1~18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素をベースとする基、特にC~C18アルキル又はC~C18アルケニル、例えばメチル基を表し;
- Rは、SiC結合を介してSiに接続されている二価炭化水素基、とりわけC~C18アルキレン基又は二価C~C18、例えばC~Cアルキレンオキシ基を表し;
- Qは、アニオン、例えばハライドイオン、とりわけクロリド又は有機酸塩、とりわけアセテートであり;
- rは、2~20、特に2~8の範囲の平均統計値を表し;
- sは、20~200、特に20~50の範囲の平均統計値を表す)
に対応するアミノシリコーン;
d)式(IX):
【化3】
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るRは、1~18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素をベースとする基、特にC~C18アルキル基、C~C18アルケニル基又は5個若しくは6個の炭素原子を含む環、例えばメチルを表し;
- Rは、SiC結合を介してSiに接続されている二価炭化水素基、とりわけC~C18アルキレン基又は二価C~C18、例えばC~Cアルキレンオキシ基を表し;
- 同一であるか又は異なり得るRは、水素原子、1~18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素をベースとする基、特にC~C18アルキル基、C~C18アルケニル置換基又は-R-NHCOR基を表し;
- Xは、アニオン、例えばハライドイオン、とりわけクロリド又は有機酸塩、とりわけアセテートであり;
- rは、2~200、特に5~100の範囲の平均統計値を表す)
の第四級アンモニウムシリコーン;
e)式(X):
【化4】
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るR、R、R及びRは、C~Cアルキル基又はフェニル基を示し、
- Rは、C~Cアルキル基又はヒドロキシル基を示し、
- nは、1~5の範囲の整数であり、
- mは、1~5の範囲の整数であり、
- xは、アミン数が0.01~1meq/gの範囲であるように選択される)
のアミノシリコーン;
f)タイプ(AB)(ここで、Aは、ポリシロキサンブロックであり、及びBは、少なくとも1個のアミン基を含むポリオキシアルキレン化ブロックである)のマルチブロックポリオキシアルキレン化アミノシリコーン、
g)式(XI)及び(XII):
【化5】
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るR、R’及びR’’は、C~Cアルキル基又はヒドロキシル基を示し、
- Aは、Cアルキレン基を示し;及び
- m及びnは、化合物の質量平均分子量が5000~500000であるような数である)、
【化6】
(式中、
- x及びyは、1~5000の範囲の数であり;好ましくは、xは、10~2000、より優先的には100~1000の範囲であり;好ましくは、yは、1~100の範囲であり;
- 同一であるか又は異なり得る、好ましくは同一であるR及びRは、6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子、より優先的には12~20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和のアルキル基を示し;及び
- Aは、2~8個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す)
のアミノシリコーン;
h)1つのみの鎖末端において又は側鎖上において第一級アミン基を含むポリシロキサン、とりわけポリジメチルシロキサン、及び
i)それらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アミノシリコーン(b)は、式(II)及び(XII)のアミノシリコーン並びに式(XVI)
【化7】
のポリシロキサンから選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記アミノシリコーン(b)は、式(XII)のアミノシリコーン及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、前記アミノシリコーン(b)は、ビス-セテアリルアモジメチコンであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
前記アミノシリコーン(b)の含量は、前記組成物の総質量に対して0.05質量%~10質量%、優先的には0.1質量%~5質量%、好ましくは0.2質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記疎水性皮膜形成ポリマー(a)の総含量と、前記アミノシリコーン(b)の総含量との間の質量比(Ra)は、1以上であり、好ましくは2以上であり、より優先的には5~15の範囲であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒は、炭化水素をベースとする油及びそれらの混合物から、好ましくはC~C16分岐状アルカン、C~C16直鎖状アルカン、3~8個の炭素原子を含有する短鎖エステル、植物起源の炭化水素をベースとする油、10~40個の炭素原子を含有する合成エーテル、鉱物又は合成起源の、16個超の炭素原子の直鎖状又は分岐状の炭化水素、合成エステル、12~26個の炭素原子を含有する分岐状及び/又は不飽和の炭素をベースとする鎖を有する、室温で液体である脂肪アルコール並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機溶媒の含量は、前記組成物の総質量に対して10質量%~99質量%、優先的には70質量%~98質量%、好ましくは80質量%~95質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
好ましくは不揮発性であり、より優先的には2個のフェニル基を含む不揮発性シリコーン、3個のフェニル基を含む不揮発性シリコーン、4個のフェニル基を含む不揮発性シリコーン、5個のフェニル基を含む不揮発性シリコーン、6個のフェニル基を含む不揮発性シリコーン及びそれらの混合物から選択される、前記アミノシリコーン(b)以外であり、且つ1個又は複数のフェニル基を含む1種又は複数のシリコーンも含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記アミノシリコーン(b)以外であり、且つ1個又は複数のフェニル基を含む前記シリコーンの含量は、前記組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、優先的には0.2質量%~7質量%、好ましくは0.5質量%~2質量%の範囲であることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記疎水性皮膜形成ポリマー(a)の総含量と、前記アミノシリコーン(b)以外であり、且つ1個又は複数のフェニル基を含む前記シリコーンの総含量との間の質量比(Rb)は、1以上であり、好ましくは2以上であり、より優先的には2~10、さらにより良好には2~5の範囲であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
無水であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
好ましくは顔料及びそれらの混合物から、より優先的には真珠層及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の染料も含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための美容的方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の化粧用組成物の、前記ケラチン繊維への塗布を含む美容的方法。
【請求項17】
ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をコンデイショニングするための、請求項1~15のいずれか一項に記載の化粧用組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶媒中において、少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマーと、少なくとも1種のアミノシリコーンとの組合せを含む化粧用組成物に関する。
【0002】
本発明は、前記化粧用組成物を使用して、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための美容的方法にも関する。
【0003】
最後に、本発明は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をコンデイショニングするための、前記化粧用組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
毛髪は、一般に、外部大気作用物質、例えば光及び悪天候の作用により、且つ機械的又は化学的処理、例えばブラッシング、くしけずり、ヘアダイ、脱色、パーマネントウェーブ及び/又はリラクシングにより損傷されて脆くなる。
【0005】
このように、これらの欠点を是正するために、とりわけ毛髪に艶、軟かさ、しなやかさ、軽やかさ、自然な感触及びもつれを解く特性を与えるために、ヘアケア処理後に毛髪をコンデイショニングすることを可能にするケア組成物の使用が関与するこれらの処理を探究することは、今や一般的な慣行である。
【0006】
これらのヘアケア組成物は、有利には、シャンプー後に塗布される組成物であり得、ジェル、ヘアローション又はある程度濃厚なクリームの形態であり得る。
【0007】
これらの組成物の化粧品特性を改善するために、毛髪繊維がある程度繰り返し曝される様々な処理又は攻撃要因によってもたらされる有害な又は望ましくない効果を修復又は限定することを主に意図する、コンデイショニング剤として公知である化粧剤をその中に導入することは、公知の慣行である。これらのコンデイショニング剤は、当然ながら、天然の毛髪の化粧品挙動も改善し得る。
【0008】
この目的を伴って、満足できる化粧品特性、特に軟かさ、しなやかさ、軽やかさ、自然な感触及びもつれを解く改善された能力を毛髪に与えるために、化粧用ケア組成物、例えばヘアコンディショナーにおけるコンデイショニング剤として美容的活性有機化合物、例えばカチオン性ポリマー及びシリコーンを使用することが既に提案されている。
【0009】
しかし、ケア及び/又はコンデイショニング化粧用組成物におけるこれらの化合物の使用は、完全に満足でき、長続きする化粧品特性を毛髪に与えない。それは、これらの組成物が、一般に、化粧品特性、例えば湿った毛髪及び乾燥した毛髪のもつれを解くこと、しなやかさ、滑らかさ、艶、コーティング及び毛髪の束に個性を与える性質を実現するが、それが依然として不十分であり、標準的なシャンプーで毛髪を洗浄した後に次第に消える傾向を有するからである。
【0010】
通常のヘアケア組成物は、毛髪を重みで押し下げ、且つこれを脆い、きしむ又はぱりぱりする膜で覆う傾向も有する。塗布後、これらの組成物は、ベタベタした粗い感触を残し得、それを消費者は不快に思う。
【0011】
さらに、これらのケア組成物は、毛髪の先端に対して艶を実現することに関して完全に満足できるものではない。
【0012】
さらに、これらのケア組成物は、通常の貯蔵条件下で時間と共に実質的に変化する。これは、組成物の満足できないテクスチャーによって反映される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、上記の欠点を有さず、すなわち同時にケラチン繊維に軽やかさ及び軟かさの感覚(又は流動促進剤の外観)を与える一方、とりわけ艶に関して良好なコンデイショニング特性を与えることができる、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための化粧用組成物を提供することが真に必要とされている。これらの特性は、まさに最初の塗布から満足できるものであるだけでなく、2回のシャンプー洗浄間で持続しなければならない。
【0014】
組成物は、時間と共に安定したままでもなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、少なくとも1種の有機溶媒中において、少なくとも1種の疎水性皮膜形成ポリマーと、少なくとも1種のアミノシリコーンとの特定の組合せを含む組成物は、上記で提示した目的を達成することを可能にすることが見出された。
【0016】
本出願の1つの主題は、したがって、化粧用組成物であって、
a)インデン炭化水素をベースとする樹脂、脂肪族ペンタンジエン樹脂、ペンタンジエン及びインデンの混合樹脂、シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、イソプレンダイマーのジエン樹脂並びにそれらの混合物から選択される1種又は複数の疎水性皮膜形成ポリマー、
b)1種又は複数のアミノシリコーン、及び
c)1種又は複数の有機溶媒
を含む化粧用組成物である。
【0017】
疎水性皮膜形成ポリマーとアミノシリコーンとの組合せは、ケラチン繊維に良好なコンデイショニング特性、とりわけしなやかさ、滑らかさ及び艶を与える一方、同時に流動促進剤コーティングにより、非常に良好なベタベタしない軽い自然な感触をケラチン繊維に与える。このように、本発明による組成物で処理された繊維は、重くなくなり、軽く心地良い感覚を有する。
【0018】
本発明による組成物は、損傷若しくは劣化されたケラチン繊維の天然の艶を修復するか、又はさらに損傷若しくは劣化されていないケラチン繊維の艶を改善することも可能にする。
【0019】
さらに、本発明による組成物は、とりわけ、ヘアドライヤー及び/又はストレートアイロンを用いてもたらされる熱を供給することを伴って又は伴わずに、洗い流しても又は洗い流さなくてよい塗布において、湿った毛髪及び乾燥した毛髪に対してこれらのコンデイショニング特性を与えることができる。
【0020】
さらに、本発明による組成物によって与えられるコンデイショニング特性は、毛髪が曝され得る様々な攻撃要因、例えば光、悪天候、洗浄及び発汗に対する良好な耐性を示す。
【0021】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための美容的方法であって、先に定義されたような無水化粧品組成物の、前記ケラチン繊維への塗布を含む美容的方法でもある。
【0022】
本発明は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をコンデイショニングするための、前記無水化粧品組成物の使用にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による組成物(A1及びA2)で処理された毛髪の房について得られた光沢測定(任意単位で表す)を示し、これらを比較組成物(B1及びB2)で処理された毛髪の房について得られたものと比較する。天然の及び「劣化させた」栗色の毛髪の房上の光沢測定もこの図において示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の他の主題、特徴、態様及び利点は、下記の記載及び実施例を読むことによってさらにより明らかになる。
【0025】
本明細書の下記の文章において、他に示さない限り、値の範囲の限度は、とりわけ、表現「~」及び「...~...の範囲」においてその範囲に含まれる。
【0026】
さらに、本記載において使用される表現「少なくとも1つ」は、表現「1つ又は複数」と均等である。
【0027】
疎水性皮膜形成ポリマー
本発明による組成物は、(a)インデン炭化水素をベースとする樹脂、脂肪族ペンタンジエン樹脂、ペンタンジエン及びインデンの混合樹脂、シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、イソプレンダイマーのジエン樹脂並びにそれらの混合物から選択される1種又は複数の疎水性皮膜形成ポリマーを含む。
【0028】
本特許出願において、用語「皮膜形成ポリマー」は、それ自体で又は補助的皮膜形成剤の存在下において、肉眼的に連続した付着物、好ましくは粘着性付着物、さらにより良好には例えば前記付着物が、非粘着表面、例えばTeflonコーティング又はシリコーンコーティングされた表面上に注ぐことによって調製されるとき、その粘着及び機械的特性が前記付着物を個々に単離及び処置することができるような付着物を形成することができるポリマーを意味する。
【0029】
用語「疎水性」又は「水不溶性」ポリマーは、下記の定義により、ポリマーが水に可溶性ではないことを意味する。
【0030】
用語「水溶性」ポリマーは、ポリマーが、5質量%の固体含量で室温(25℃、1気圧)において、pHの修正を伴わずに、水若しくは水及びエタノールの50/50容量の混合物又は代わりに水及びイソプロパノールの混合物に溶解することを意味する。ポリマーは、溶液中に入れられるとき、肉眼に見える沈殿物又は凝集物を形成しない場合及びその結果透明な溶液を与える場合、可溶性であると考えられる。
【0031】
組成物は、疎水性形成ポリマーとして、インデン炭化水素をベースとする樹脂、脂肪族ペンタンジエン樹脂、ペンタンジエン及びインデンの混合樹脂、シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、イソプレンダイマーのジエン樹脂並びにそれらの混合物から選択される、1種又は複数の炭化水素をベースとする樹脂を含む。
【0032】
本発明の目的のために、用語「炭化水素をベースとする樹脂」は、炭素及び水素原子から専ら形成される樹脂を指す。
【0033】
炭化水素をベースとする樹脂は、有利には、それらが含むモノマーのタイプにより、下記のように分類され得る低分子量ポリマーから選択される。
- インデン炭化水素をベースとする樹脂、好ましくは例えば主な割合のインデンモノマーと、少ない割合のスチレン、メチルインデン及びメチルスチレン並びにそれらの混合物から選択されるモノマーとの重合に由来する樹脂。これらの樹脂は、任意選択で水素化され得る。これらの樹脂は、290~1150g/molの範囲の分子量を有し得る。
言及し得るインデン樹脂の例は、企業Exxon Chem.によって参照Escorez7105として、企業Neville Chem.によってNevchem100及びNevex100として、企業SartomerによってNorsolene S105として、企業HerculesによってPicco6100として且つ企業Resinall Corp.によってResinallとして販売されているもの又は名称Regaliteで企業Eastman Chemicalによって販売されている水素化インデン/メチルスチレン/スチレンコポリマー、特にRegalite R1100、Regalite R1090、Regalite R-7100、Regalite R1010炭化水素樹脂及びRegalite R1125炭化水素樹脂を含む。
- 脂肪族ペンタンジエン樹脂、例えば1,3-ペンタンジエン(trans-又はcis-ピペリレン)モノマー並びにイソプレン、ブテン、2-メチル-2-ブテン、ペンテン及び1,4-ペンタンジエン及びそれらの混合物から選択される微量なモノマーの主要な重合に由来するもの。これらの樹脂は、1000~2500g/molの範囲の分子量を有し得る。
このような1,3-ペンタンジエン樹脂は、例えば、参照Piccotac95で企業Eastman Chemicalにより、Escorez1304で企業Exxon Chemicalsにより、Nevtac100で企業Neville Chem.により又はWingtack95で企業Goodyearにより販売されている。
- 上述したものなどのペンタンジエン及びインデンモノマーの混合物の重合に由来するペンタンジエン及びインデンの混合樹脂、例えば参照Escorez2101で企業Exxon Chemicalsにより、Nevpene9500で企業Neville Chem.により、Hercotac1148で企業Herculesにより、Norsolene A100で企業Sartomerにより、且つWingtack86、Wingtack Extra及びWingtack Plusで企業Goodyearにより販売されている樹脂。
- シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、例えばインデン及びスチレンから選択される第1のモノマーと、シクロペンタンジエンダイマー、例えばジシクロペンタンジエン、メチルジシクロペンタンジエン及び他のペンタンジエンダイマー並びにそれらの混合物から選択される第2のモノマーとの重合に由来するもの。これらの樹脂は、一般に、500~800g/molの範囲の分子量を有する。例えば、企業Arizona Chemical Co.によって参照Betaprene BR100、企業Neville Chem.によってNeville LX-685-125及びNeville LX-1000、企業HerculesによってPiccodiene2215、企業LawterによってPetro-Rez200又は企業Resinall Corp.によってResinall760として販売されているもの。
- イソプレンダイマーのジエン樹脂、例えばα-ピネン、β-ピネン及びリモネン並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーの重合に由来するテルペン樹脂。これらの樹脂は、300~2000g/molの範囲の分子量を有し得る。このような樹脂は、例えば、企業Herculesによって名称Piccolyte A115及びS125又は企業Arizona ChemによってZonarez7100又はZonatac105Liteとして販売されている。
【0034】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素をベースとする樹脂は、室温(20℃)で固体である、炭化水素をベースとする樹脂から選択される。
【0035】
好ましくは、組成物は、少なくとも1種の炭化水素をベースとする樹脂、例えばとりわけインデン炭化水素をベースとする樹脂及び脂肪族ペンタンジエン樹脂並びにそれらの混合物から選択される、先に記載されているものを含む。好ましい一実施形態によれば、炭化水素をベースとする樹脂は、インデン炭化水素をベースとする樹脂から選択される。
【0036】
好ましい一実施形態によれば、樹脂は、水素化インデン/メチルスチレン/スチレンコポリマーから選択される。
【0037】
特に、水素化インデン/メチルスチレン/スチレンコポリマー、例えば企業Eastman Chemicalによって名称Regaliteとして販売されているもの、例えばRegalite R1100CG炭化水素樹脂、Regalite R1100、Regalite R1090、Regalite R-7100、Regalite R1010炭化水素樹脂及びRegalite R1125炭化水素樹脂を使用し得る。
【0038】
好ましくは、炭化水素をベースとする樹脂(a)は、インデン炭化水素をベースとする樹脂、脂肪族ペンタンジエン樹脂及びそれらの混合物から、さらにより良好にはインデン炭化水素をベースとする樹脂から選択される。
【0039】
本発明による組成物中に存在する前記疎水性皮膜形成ポリマー(a)の総含量は、組成物の総質量に対して好ましくは0.1質量%~20質量%、優先的には1質量%~15質量%、より優先的には2質量%~10質量%、さらにより良好には3質量%~8質量%の範囲である。
【0040】
本発明の別の対象は、
a’)炭化水素をベースとするブロックコポリマーから選択される1種又は複数の疎水性皮膜形成ポリマー、
b)1種又は複数のアミノシリコーン、及び
c)1種又は複数の有機溶媒
を含む化粧用組成物に関する。
【0041】
用語「ブロック」ポリマーは、少なくとも2種の異なるブロック、好ましくは少なくとも3種の異なるブロックを含むポリマーを意味する。
【0042】
この実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも1種の炭化水素をベースとするブロックコポリマー、好ましくは液体脂肪相中で可溶性又は分散性であるブロックコポリマーを含む。
【0043】
炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、とりわけ、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、ラジアル若しくはスターコポリマー又はそれらの混合物であり得る。
【0044】
本発明の目的のために、用語「炭化水素をベースとするポリマー」は、炭素及び水素原子から専ら形成されるポリマーを指す。
【0045】
このような炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、米国特許出願公開第2002/005562号明細書及び米国特許第5221534号明細書に記載されている。
【0046】
コポリマーは、そのガラス転移温度が好ましくは20℃未満、好ましくは0℃以下、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下である少なくとも1種のブロックを含有し得る。前記ブロックのガラス転移温度は、-150℃~20℃、とりわけ100℃~0℃であり得る。
【0047】
本発明による組成物中に存在する炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、オレフィンの重合によって形成されるコポリマーである。オレフィンは、とりわけ、エチレン性不飽和モノマーであり得る。
【0048】
言及し得るオレフィンの例は、とりわけ、1個又は2個のエチレン性不飽和を含有し、且つ2~5個の炭素原子を含有するエチレン性炭化物モノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン又はペンタジエンを含む。
【0049】
有利には、炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、スチレン及びオレフィンのブロックコポリマーである。
【0050】
少なくとも1種のスチレンブロック並びにブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン及びイソプレン又はそれらの混合物から選択される単位を含む少なくとも1種のブロックを含むブロックコポリマーがとりわけ好ましい。
【0051】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、水素化され、モノマーの重合後に残留するエチレン性不飽和を低減させる。
【0052】
特に、炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、スチレンブロック及びエチレン/C~Cアルキレンブロックを含有する、任意選択で水素化されたコポリマーである。
【0053】
言及し得る好ましくは水素化されているジブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエンコポリマー及びスチレン-エチレン/ブチレンコポリマーを含む。ジブロックポリマーは、とりわけ、名称Kraton(登録商標)G1701Eで企業Kraton Polymersによって販売されている。言及し得る好ましくは水素化されているトリブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー及びスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーを含む。トリブロックポリマーは、とりわけ、名称Kraton(登録商標)G1650、Kraton(登録商標)G1652、Kraton(登録商標)D1101、Kraton(登録商標)D1102及びKraton(登録商標)D1160で企業Kraton Polymersによって販売されている。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマー、とりわけ例えば名称Kraton(登録商標)G1701Eで企業Kraton Polymersによって販売されているジブロックポリマーである。
【0055】
組成物が上記のような1種又は複数の炭化水素をベースとするブロックコポリマー(a’)を含むとき、本発明による組成物中に存在する前記炭化水素をベースとするブロックコポリマー(a’)の総含量は、組成物の総質量に対して好ましくは0.1質量%~20質量%、優先的には1質量%~15質量%、より優先的には2質量%~10質量%、さらにより良好には3質量%~8質量%の範囲である。
【0056】
アミノシリコーン
本発明による組成物は、(b)1種又は複数のアミノシリコーンも含む。
【0057】
用語「アミノシリコーン」は、少なくとも1個の第一級、第二級若しくは第三級アミン又は第四級アンモニウム基を含む任意のシリコーンを示す。
【0058】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量は、ポリスチレン当量として室温(25℃)でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定され得る。使用したカラムは、μ styragelカラムである。溶離液は、THFであり、流量は、1ml/分である。THF中の200μlの0.5質量%溶液のシリコーンを注入する。屈折計及びUV測定法によって検出を行う。
【0059】
本明細書の下記の文章を通して、用語「シリコーン」は、一般に受け入れられるものに従い、適切に官能化されたシランの重合及び/又は重縮合によって得られ、且つ主要単位の反復から本質的に形成される、可変の分子量の直鎖状又は環状、分岐状又は架橋構造の任意の有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーを示すことを意図し、ここで、ケイ素原子は、酸素原子を介して一緒に連結されており(シロキサン結合-Si-O-Si-)、任意選択で置換されている炭化水素をベースとする基は、炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接的に連結されている。最も一般である炭化水素をベースとする基は、アルキル基、とりわけC~C10アルキル基、特にメチル、フルオロアルキル基であり、そのアルキル部分は、C~C10及びアリール基、特にフェニルである。
【0060】
本発明によって使用され得る適当なアミノシリコーンは、これらに限定されないが、25℃で5×10-6~2.5m/s、例えば1×10-5~1m/sの範囲の粘度を有する揮発性及び不揮発性の環状、直鎖状及び分岐状のアミノシリコーンを含む。
【0061】
好ましくは、アミノシリコーンは、下記から選択される。
a)式(I):
【化1】
(式中、x’及びy’は、質量平均分子量(Mw)が5000~500000g/molであるような整数である)
に対応するポリシロキサン。
【0062】
b)式(II):
R’3-a-Si(OSiG-(OSiGR’2-b-O-SiG3-a’-R’a’ (II)
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るGは、水素原子又はフェニル、OH、C~Cアルキル、例えばメチル若しくはC~Cアルコキシ、例えばメトキシ基を示し、
- 同一であるか又は異なり得るa及びa’は、0又は1~3の整数、特に0を示し、ただし、a及びa’のうちの少なくとも1つは、0に等しく、
- bは、0又は1、特に1を示し、
- m及びnは、合計(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲であるような数であり、nは、場合により、0~1999、とりわけ49~149の数を示し、及びmは、場合により、1~2000、とりわけ1~10の数を示し;
- 同一であるか又は異なり得るR’は、式-C2qLの一価基を示し、ここで、qは、2~8の範囲の数であり、及びLは、下記の基:
・-NR’’-Q-N(R’’)
・-N(R’’)
・-N(R’’)
・-NH(R’’)
・-N(R’’)A
・-NR’’-Q-N(R’’)H
・-NR’’-Q-N(R’’)HA、及び
・-NR’’-Q-N(R’’)
(式中、同一であるか又は異なり得るR’’は、水素、フェニル、ベンジル又は飽和の一価の炭化水素をベースとする基、例えばC~C20アルキル基を示し;Qは、式C2rの直鎖状又は分岐状の基を示し、rは、2~6、好ましくは2~4の範囲の整数であり;及びAは、美容的に許容されるアニオン、とりわけハライド、例えばフルオリド、クロリド、ブロミド又はヨージドを表す)
から選択される任意選択で四級化されたアミノ基である)
に対応するアミノシリコーン。
【0063】
第1の実施形態によれば、式(II)に対応するアミノシリコーンは、式(III):
【化2】
(式中、m及びnは、合計(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲であるような数であり、nは、場合により、0~1999、とりわけ49~149の数を示し、及びmは、場合により、1~2000、とりわけ1~10の数を示す)
に対応する、「トリメチルシリルアモジメチコン」として公知であるシリコーンから選択される。
【0064】
第2の実施形態によれば、式(II)に対応するアミノシリコーンは、下記の式(IV):
【化3】
(式中、
- m及びnは、合計(n+m)が1~1000、とりわけ50~250、より特定すると100~200の範囲であるような数であり;nは、0~999、とりわけ49~249、より特定すると125~175の数を示し、及びmは、1~1000、とりわけ1~10、より特定すると1~5の数を示し;及び
- 同一であるか又は異なり得るR、R及びRは、ヒドロキシル又はC~Cアルコキシ基を表し、基R~Rの少なくとも1つは、アルコキシ基を示す)
のシリコーンから選択される。
【0065】
好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ基である。
【0066】
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、好ましくは、0.2:1~0.4:1、好ましくは0.25:1~0.35:1の範囲であり、より特定すると0.3:1に等しい。
【0067】
これらのシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~1000000g/mol、より特定すると3500~200000g/molの範囲である。
【0068】
第3の実施形態によれば、式(II)に対応するアミノシリコーンは、下記の式(V):
【化4】
(式中、
- p及びqは、合計(p+q)が1~1000、特に50~350、より特定すると150~250の範囲であるような数であり;pは、0~999、とりわけ49~349、より特定すると159~239の数を示し、及びqは、1~1000、とりわけ1~10、より特定すると1~5の数を示し;及び
- 異なるR及びRは、ヒドロキシル又はC~Cアルコキシ基を表し、基R又はRの少なくとも1つは、アルコキシ基を示す)
のシリコーンから選択される。
【0069】
好ましくは、アルコキシ基は、メトキシ基である。
【0070】
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は、一般に、1:0.8~1:1.1、好ましくは1:0.9~1:1の範囲であり、より特定すると1:0.95に等しい。
【0071】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~200000g/mol、より優先的には5000~100000g/mol、特に10000~50000g/molの範囲である。
【0072】
構造(IV)又は(V)のシリコーンを含む市販の製品は、それらの組成物中に1種又は複数の他のアミノシリコーンを含み得、その構造は、式(IV)又は(V)と異なる。
【0073】
構造(IV)のアミノシリコーンを含有する製品は、企業Wackerによって名称Belsil(登録商標)ADM652で販売されている。
【0074】
構造(V)のアミノシリコーンを含有する製品は、企業Wackerによって名称Fluid WR1300(登録商標)で販売されている。構造(IV)のアミノシリコーンを含有する別の製品は、Wackerによって名称Belsil ADM LOG1(登録商標)で販売されている。
【0075】
これらのアミノシリコーンが使用されるとき、1つの特に有利な実施形態は、これらを水中油型エマルジョンの形態で使用することを含む。水中油型エマルジョンは、1種又は複数の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、任意の性質のものであり得るが、好ましくはカチオン性及び/又は非イオン性である。エマルジョン中のシリコーン粒子の数平均粒度は、一般に、3nm~500ナノメートルの範囲である。好ましくは、とりわけ式(V)のアミノシリコーンとして、平均粒径は、5nm~60nm(限界値を含む)、より特定すると10nm~50nm(限界値を含む)の範囲であるマイクロエマルジョンが使用される。このように、本発明により、名称Finish CT96E(登録商標)又はSLM28020(登録商標)で企業Wackerによって販売されている式(V)のアミノシリコーンマイクロエマルジョンを使用し得る。
【0076】
第4の実施形態によれば、式(II)に対応するアミノシリコーンは、下記の式(VI):
【化5】
(式中、
- m及びnは、合計(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲であるような数であり、nは、0~1999、とりわけ49~149の数を示し、及びmは、1~2000、とりわけ1~10の数を示し;及び
- Aは、4~8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。この基は、好ましくは、直鎖状である)
のシリコーンから選択される。
【0077】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、2000~1000000g/mol、より特定すると3500~200000g/molの範囲である。
【0078】
この式に対応するシリコーンは、例えば、Dow CorningからのXiameter MEM 8299Emulsionである。
【0079】
第5の実施形態によれば、式(II)に対応するアミノシリコーンは、下記の式(VII):
【化6】
(式中、
- m及びnは、合計(n+m)が1~2000、特に50~150の範囲であるような数であり、nは、場合により、0~1999、とりわけ49~149の数を示し、及びmは、場合により、1~2000、とりわけ1~10の数を示し;及び
- Aは、4~8個の炭素原子、好ましくは4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。この基は、好ましくは、分岐状である)
のシリコーンから選択される。
【0080】
これらのアミノシリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、500~1000000g/mol、より特定すると1000~200000g/molの範囲である。
【0081】
この式に対応するシリコーンは、例えば、Dow CorningからのDC2-8566Amino Fluidである。
【0082】
c)式(VIII):
【化7】
(式中、
- Rは、1~18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素をベースとする基、特にC~C18アルキル又はC~C18アルケニル、例えばメチル基を表し;
- Rは、SiC結合を介してSiに接続されている二価炭化水素基、とりわけC~C18アルキレン基又は二価C~C18、例えばC~Cアルキレンオキシ基を表し;
- Qは、アニオン、例えばハライドイオン、とりわけクロリド又は有機酸塩、とりわけアセテートであり;
- rは、2~20、特に2~8の範囲の平均統計値を表し;及び
- sは、20~200、特に20~50の範囲の平均統計値を表す)
に対応するアミノシリコーン。
【0083】
このようなアミノシリコーンは、とりわけ、米国特許第4185087号明細書に記載されている。
【0084】
d)式(IX):
【化8】
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るRは、1~18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素をベースとする基、特にC~C18アルキル基、C~C18アルケニル基又は5個又は6個の炭素原子を含む環、例えばメチルを表し;
- Rは、SiC結合を介してSiに接続されている二価炭化水素基、とりわけC~C18アルキレン基又は二価C~C18、例えばC~Cアルキレンオキシ基を表し;
- 同一であるか又は異なり得るRは、水素原子、1~18個の炭素原子を含有する一価の炭化水素をベースとする基、特にC~C18アルキル基、C~C18アルケニル置換基又は-R-NHCOR基を表し;
- Xは、アニオン、例えばハライドイオン、とりわけクロリド又は有機酸塩、とりわけアセテートであり;及び
- rは、2~200、特に5~100の範囲の平均統計値を表す)
の第四級アンモニウムシリコーン。
【0085】
このようなアミノシリコーンは、とりわけ、欧州特許出願公開第A0530974号明細書に記載されている。
【0086】
e)式(X):
【化9】
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るR、R、R及びRは、C~Cアルキル基又はフェニル基を示し、
- Rは、C~Cアルキル基又はヒドロキシル基を示し、
- nは、1~5の範囲の整数であり、
- mは、1~5の範囲の整数であり、及び
- xは、アミン数が0.01~1meq/gの範囲であるように選択される)
のアミノシリコーン。
【0087】
f)タイプ(AB)(ここで、Aは、ポリシロキサンブロックであり、及びBは、少なくとも1個のアミン基を含むポリオキシアルキレン化ブロックである)のマルチブロックポリオキシアルキレン化アミノシリコーン。
【0088】
前記シリコーンは、好ましくは、下記の一般式:
[-(SiMeO)SiMe-R-N(R’’)-R’-O(CO)(CO)-R’-N(H)-R-]、又は代わりに、
[-(SiMeO)SiMe-R-N(R’’)-R’-O(CO)(CO)-]
(式中、
- aは、1以上であり、好ましくは5~200の範囲、より特定すると10~100の範囲の整数であり;
- bは、0~200、好ましくは4~100、より特定すると5~30の範囲の整数であり;
- xは、1~10000、より特定すると10~5000の範囲の整数であり;
- R’’は、水素原子又はメチルであり;
- 同一であるか又は異なり得るRは、1個又は複数のヘテロ原子、例えば酸素を任意選択で含む直鎖状又は分岐状の二価のC~C12炭化水素をベースとする基を表し;好ましくは、同一であるか又は異なり得るRは、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基、直鎖状若しくは分岐状のブチレン基又はCHCHCHOCHCH(OH)CH-基を示し;優先的には、Rは、CHCHCHOCHCH(OH)CH-基を示し;及び
- 同一であるか又は異なり得るR’は、1個又は複数のヘテロ原子、例えば酸素を任意選択で含む直鎖状又は分岐状の二価のC~C12炭化水素をベースとする基を表し;好ましくは、同一であるか又は異なり得るR’は、エチレン基、直鎖状若しくは分岐状のプロピレン基、直鎖状若しくは分岐状のブチレン基又はCHCHCHOCHCH(OH)CH-基を示し;優先的には、R’は、-CH(CH)-CH-を示す)
を有する繰り返し単位から形成される。
【0089】
シロキサンブロックは、好ましくは、シリコーンの総質量に対して50mol%~95mol%、より特定すると70mol%~85mol%を表す。
【0090】
アミン含量は、好ましくは、ジプロピレングリコール中の30%溶液中のコポリマーの0.02~0.5meq/g、より特定すると0.05~0.2である。
【0091】
シリコーンの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは、5000~1000000g/mol、より特定すると10000~200000g/molである。
【0092】
とりわけ、名称Silsoft A-843又はSilsoft A+でMomentiveによって販売されているシリコーンについて言及し得る。
【0093】
g)式(XI)及び(XII):
【化10】
(式中、
- 同一であるか又は異なり得るR、R’及びR’’は、C~Cアルキル基又はヒドロキシル基を示し、
- Aは、Cアルキレン基を示し;及び
- m及びnは、化合物の質量平均分子量が5000~500000であるような数である)、
【化11】
(式中、
- x及びyは、1~5000の範囲の数であり;好ましくは、xは、10~2000、より優先的には100~1000の範囲であり;好ましくは、yは、1~100の範囲であり;
- 同一であるか又は異なり得る、好ましくは同一であるR及びRは、6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子、より優先的には12~20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和のアルキル基を示し;及び
- Aは、2~8個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す)
のアミノシリコーン。
【0094】
好ましくは、Aは、3~6個の炭素原子、より優先的には4個の炭素原子を含み;好ましくは、Aは、分岐状である。
【0095】
特に、下記の二価基:
-CHCHCH-及び-CHCH(CH)CH
について言及し得る。
【0096】
好ましくは、R及びRは、6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子、特に12~20個の炭素原子を含む独立した飽和直鎖状アルキル基であり;特にドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル基について言及し得;優先的には、同一であるか又は異なり得るR及びRは、ヘキサデシル(セチル)及びオクタデシル(ステアリル)基から選択される。
【0097】
アミノシリコーンは、好ましくは、式(XII)のものであり、
- xは、10~2000、特に100~1000の範囲であり;
- yは、1~100の範囲であり;
- Aは、3~6個の炭素原子、とりわけ4個の炭素原子を含み;好ましくは、Aは、分岐状であり;より特定すると、Aは、下記の二価基:-CHCHCH-及び-CHCH(CH)CH-から選択され;及び
- R及びRは、とりわけ、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル及びエイコシル基から選択される、独立に6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子、特に12~20個の炭素原子を含む飽和直鎖状アルキル基であり;優先的には、同一であるか又は異なり得るR及びRは、ヘキサデシル(セチル)及びオクタデシル(ステアリル)基から選択される。
【0098】
好ましい式(XII)のシリコーンは、ビス-セテアリルアモジメチコンである。特に、名称Silsoft AXでMomentiveによって販売されているアミノシリコーンについて言及し得る。
【0099】
h)1つのみの鎖末端において又は側鎖上において第一級アミン基を含むポリシロキサン、とりわけポリジメチルシロキサン、例えば式(XIV)、(XV)又は(XVI):
【化12】
のもの。
【0100】
式(XIV)において、n及びmの値は、アミノシリコーンの質量平均分子量が1000~55000であるようなものである。
【0101】
式(XIV)のアミノシリコーンの例として、名称AMS-132、AMS-152、AMS-162、AMS-163、AMS-191及びAMS-1203で企業Gelestにより、且つKF-8015で企業信越化学工業により販売されている製品について言及し得る。
【0102】
式(XV)において、n及びmの値は、アミノシリコーンの質量平均分子量が500~3000であるようなものである。
【0103】
式(XV)のアミノシリコーンの例として、名称MCR-A11及びMCR-A12で企業Gelestによって販売されている製品について言及し得る。
【0104】
式(XVI)において、n及びmの値は、アミノシリコーンの質量平均分子量が500~50000であるようなものである。
【0105】
式(XVI)のアミノシリコーンの例として、名称DC2-2078Fluidで企業Dow Corningによって販売されているアミノプロピルフェニルトリメチコンについて言及し得る。
【0106】
i)並びにそれらの混合物。
【0107】
好ましくは、アミノシリコーン(b)は、式(II)、(XII)及び(XVI)のアミノシリコーン並びにそれらの混合物、より優先的には式(XII)のアミノシリコーン及びそれらの混合物から選択され、さらにより良好には、アミノシリコーン(b)は、ビス-セテアリルアモジメチコンである。
【0108】
本発明による組成物中に存在するアミノシリコーン(b)の含量は、組成物の総質量に対して好ましくは0.05質量%~10質量%、優先的には0.1質量%~5質量%、より優先的には0.2質量%~2質量%の範囲である。
【0109】
前記疎水性皮膜形成ポリマー(a)の総含量と、アミノシリコーン(b)の総含量との間の質量比(Ra)は、好ましくは、1以上であり、より優先的には2以上であり、さらにより良好には、この質量比(Ra)は、5~15の範囲である。
【0110】
本発明の別の実施形態では、組成物が1種又は複数の炭化水素をベースとするブロックコポリマー(a’)を含むとき、前記炭化水素をベースとするブロックコポリマー(a’)の総含量と、アミノシリコーン(b)の含量との間の質量比(Ra’)は、好ましくは、1以上であり、より優先的には2以上であり、さらにより良好には、この質量比(Ra’)は、5~15の範囲である。
【0111】
有機溶媒
本発明による組成物は、(c)1種又は複数の有機溶媒も含む。
【0112】
本発明による有機溶媒は、C~Cアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール、ポリオール及びポリオールエーテル、例えばグリセロール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、芳香族アルコール又はエーテル、例えばベンジルアルコール及びフェノキシエタノール、炭化水素をベースとする油及びそれらの混合物から選択され得る。
【0113】
好ましくは、有機溶媒(c)は、炭化水素をベースとする油から選択される。換言すると、本発明による組成物は、1種又は複数の炭化水素をベースとする油を含む。
【0114】
この油は、揮発性(25℃で測定して0.13Pa以上の蒸気圧)又は不揮発性(25℃で測定して0.13Pa未満の蒸気圧)であり得る。
【0115】
好ましくは、炭化水素をベースとする油は、揮発性である。
【0116】
炭化水素をベースとする油は、室温(25℃)及び大気圧で液体である油(非水性化合物)である。
【0117】
用語「炭化水素をベースとする油」は、炭素及び水素原子並びに任意選択で酸素及び窒素原子から本質的に形成されるか又はさらにそれらからなり、且つケイ素又はフッ素原子を含有しない油を意味する。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有し得る。
【0118】
用語「炭化水素」は、炭素及び水素原子から専ら形成される化合物を意味する。
【0119】
炭化水素をベースとする油は、好ましくは、下記から選択される。
- 分岐状C~C16アルカン、例えば石油起源のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても公知である)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても公知である)、イソデカン、イソヘキサデカン及び例えば商品名Isopar又はPermethylで販売されている油;
- 直鎖状C~C16アルカン、例えばSasolによって参照、それぞれParafol12-97及びParafol14-97並びにまたそれらの混合物で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、ウンデカン-トリデカン混合物、国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1及び2において得られる企業Cognisからのn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物並びにそれらの混合物;
- 短鎖エステル(3~8の総炭素数を含有する)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル又はn-ブチルアセテート;
- 植物起源の炭化水素をベースとする油、例えばグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド(その脂肪酸は、C~C24の範囲の鎖長を有し得、これらの鎖は、場合により、直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和である);これらの油は、とりわけ、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド又は代わりにコムギ胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ種子油、トウモロコシ油、アンズ油、ヒマシ油、シア油、アボガド油、オリーブ油、ダイズ油、甘扁桃油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、マロー油、クロフサスグリ油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、サフラワー油、ククイ油、トケイソウ油又はジャコウバラ油;シアバター;又は他にカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば企業Stearinerie Duboisによって販売されているもの又は企業Dynamit Nobelによって名称Miglyol810、812及び818として販売されているものである;
- 10~40個の炭素原子を含有する合成エーテル;
- 鉱物又は合成起源の、16個超の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、スクアラン及び流動パラフィン並びにそれらの混合物;
- 合成エステル、例えば式RCOORの油(ここで、R+R≧10であることを前提として、Rは、1~40個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の脂肪酸残基を表し、Rは、とりわけ、1~40個の炭素原子を含有する分岐状の炭化水素をベースとする鎖を表す)、例えばピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C12~C15安息香酸アルキル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、アルコール又は多価アルコールヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート又はリシノレエート、例えばジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル及び2-乳酸オクチルドデシル;ポリオールエステル及びペンタエリトリトールエステル;
- 12~26個の炭素原子を含有する分岐状及び/又は不飽和の炭素をベースとする鎖を有する、室温で液体である脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール及び2-ウンデシルペンタデカノール;及び
- それらの混合物。
【0120】
有利には、炭化水素をベースとする油は、無極性(したがって炭素及び水素原子から専ら形成される)であり、さらにより良好には、これは、炭化水素から選択される。
【0121】
炭化水素をベースとする油は、好ましくは、8~16個の炭素原子、より優先的には10~16個の炭素原子を含有する炭化水素をベースとする油、さらにより良好には無極性油から選択される。
【0122】
優先的には、炭化水素をベースとする油は、C~C16、好ましくはC10~C16の直鎖状又は分岐状のアルカン、より優先的にはC~C16、好ましくはC10~C16の分岐状アルカンから選択される。特に好ましくは、炭化水素をベースとする油は、イソドデカン、ウンデカン及びトリデカン並びにそれらの混合物から選択される。より優先的には、本発明による組成物は、イソドデカンを含む。
【0123】
好ましくは、組成物が1種又は複数の炭化水素をベースとする油を含むとき、これらの油は、組成物の唯一の油を構成するか、又は組成物中に存在し得るさらなる油に対して主な含量で存在する。
【0124】
本発明による組成物中に存在する有機溶媒(c)の総含量は、組成物の総質量に対して好ましくは10質量%~99質量%、優先的には70質量%~98質量%、より優先的には80質量%~95質量%の範囲である。
【0125】
本発明による組成物は、水性又は無水であり得る。
【0126】
好ましい実施形態では、組成物は、無水である。本発明の目的のために、用語「無水組成物」は、組成物の総質量に対して1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、さらにより優先的には0.1質量%以下の含水量を含む組成物を意味する。さらにより良好には、本発明による無水組成物は、完全に水を非含有(0%)である。
【0127】
別の好ましい実施形態では、組成物は、水性である。本発明の目的のために、用語「水性組成物」は、組成物の総質量に対して好ましくは50質量%~99質量%、より優先的には60質量%~95質量%、さらにより優先的には65質量%~90質量%の範囲の含量で水を含む組成物を意味する。
【0128】
本発明の特定の一実施形態では、組成物は、少なくとも2つの別個の相を含み得、とりわけ二重相、とりわけ水性相及び無水相を含む二重相の形態であり得、2つの別個の相は、好ましくは、一方が他方の上にあり;特に、水性相は、無水相の下にある。
【0129】
フェニルシリコーン
本発明による組成物は、アミノシリコーン(b)以外であり、且つそれらの構造中において、1個又は複数の任意選択で置換されているフェニル基を含む1種又は複数のシリコーン、すなわち1種又は複数のフェニルシリコーンも任意選択で含み得る。
【0130】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、アミノシリコーン(b)以外であり、且つそれらの構造中において、1個又は複数の任意選択で置換されているフェニル基を含む1種又は複数のシリコーンも含む。
【0131】
好ましくは、アミノシリコーン(b)以外であり、且つ1個又は複数のフェニル基を含むシリコーンは、不揮発性である。これらは、優先的には、2個のフェニル基を含むシリコーン、3個のフェニル基を含むシリコーン、4個のフェニル基を含むシリコーン、5個のフェニル基を含むシリコーン、6個のフェニル基を含むシリコーン及びそれらの混合物から選択される。
【0132】
特に好ましい1個又は複数のフェニル基を含むシリコーンは、名称トリメチルペンタフェニルトリシロキサンでも公知であるペンタフェニルジメチコン、例えば商品名Dow Corning PH-1555HRI Cosmetic Fluid(登録商標)でDow Corningによって販売されている製品である。
【0133】
使用し得る1個又は複数のフェニル基を含む他のシリコーンは、好ましくは、
- 特にEvonik Goldschmidtによって商品名Abil AV350(300±30cSt)及びAbil AV1000(925~1075cSt)で販売されており、且つまたDow Corningからブランド名Dow Corning DC1-0648(少なくとも5000cSt)で市販されているフェニルトリメチコン、
- 特に企業Wackerによってブランド名Wacker-Belsil PDM1000(925~1075cSt)で販売されているトリメチルシロキシフェニルジメチコン、及び
- 特に企業Faconnierによって販売されているジフェニルシロキシフェニルトリメチコン
など、少なくとも3000Daの分子量及び/又は少なくとも100cStの粘度を有するフェニルトリメチコン及びポリフェニルトリメチコンである。
【0134】
アミノシリコーン(b)以外であり、且つ1個又は複数のフェニル基を含むシリコーンの総含量は、これらが本発明による組成物中に存在するとき、好ましくは組成物の総質量に対して0.1質量%~10質量%、優先的には0.2質量%~7質量%、より優先的には0.5質量%~2質量%の範囲である。
【0135】
前記疎水性皮膜形成ポリマー(a)の総含量と、アミノシリコーン(b)以外であり、且つ1個又は複数のフェニル基を含むシリコーンの総含量との間の質量比(Rb)は、好ましくは、1以上であり、より優先的には2以上であり、さらにより良好には、この質量比(Rb)は、2~10、さらにより優先的には2~5の範囲である。
【0136】
本発明の別の実施形態では、組成物が1種又は複数の炭化水素をベースとするブロックコポリマー(a’)を含むとき、前記炭化水素をベースとするブロックコポリマー(a’)の総含量と、アミノシリコーン(b)以外であり、且つ1個又は複数のフェニル基を含むシリコーンの総含量との間の質量比(Rb’)は、好ましくは、1以上であり、より優先的には2以上であり、さらにより良好には、この質量比(Rb’)は、2~10、さらにより優先的には2~5の範囲である。
【0137】
染料
本発明による組成物は、任意選択で、好ましくは顔料から選択される1種又は複数の染料も含み得る。
【0138】
用語「顔料」は、化粧品中に通常用いられる親水性及び親油性液相中で天然に不溶性であるか、又は適切な場合にはレーキの形態での形成によって不溶性とされる白色又は有色の固体粒子を示すことを意図する。より特定すると、顔料は、水性-アルコール性媒体中で溶解性を殆ど有さないか又は有さない。
【0139】
言及し得る顔料は、有機及び鉱物顔料、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry“Pigment organics”,2005 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim 10.1002/14356007.a20 371及び同書、“Pigments,Inorganic,1 General”2009 Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA,Weinheim10.1002/14356007.a20_243.pub3において定義及び説明されているものを含む。
【0140】
とりわけ、1個又は複数のアゾ基A-N=N-Bを含有するアゾ顔料について言及し得、Aは、任意選択で置換されている(ヘテロ)アリールを表し、Bは、任意選択で置換されている(ヘテロ)アリール又は-CH[C(O)-R]-C(O)-X-A’を表し、A’は、任意選択で置換されている(ヘテロ)アリールを表し、Rは、水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、(ヘテロ)アリール基A、A’及びBは、任意の可溶化基、例えば-SOH又は-COOHを含有しない。
【0141】
これらは、特に、β-ナフトール、モノアゾピロロン顔料又はベンゾイミダゾロン顔料を含めたモノアゾ顔料;ジアゾ顔料、例えばジアゾジアリーリド顔料及びビス(N-アセトアセタリリド)顔料又はトリアゾ若しくはテトラアゾ顔料であり得る。
【0142】
アゾ金属錯体顔料についても言及し得る。
【0143】
他の顔料、すなわちイソインドリノン及びイソインドリン顔料、フタロシアニン顔料;キナクリドン顔料;ペリノン顔料;ペリレン顔料;アントラキノン顔料、例えばヒドロキシアントラキノン顔料;アシルアミノアントラキノン及びアゾアントラキノン顔料を含めたアミノアントラキノン顔料;複素環式アントラキノン;ポリ炭素環式アントラキノン顔料、ピラントロン顔料;アントラントロン顔料;ジケトピロロピロール(DPP)顔料;チオインジゴ顔料;ジオキサジン顔料;トリフェニルメタン顔料;キノフタロン顔料;及び蛍光顔料も有利である。
【0144】
色素が1個又は複数の可溶化基、例えば-SOH又は-COOHを含むとき、これらの色素は、不溶性とされ、結果的に、レーキの形成により、すなわち塩化(例えば、Na、Ca、St、Baなど)により顔料、β-ナフトール及び2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸顔料「(BON)顔料レーキ」に主に分割される。
【0145】
本発明に関連して、顔料は、少なくとも部分的に有機であり得る。
【0146】
本発明の一実施形態によれば、顔料は、有機顔料である。
【0147】
本発明の別の実施形態によれば、顔料は、鉱物顔料である。
【0148】
本発明によるマイクロカプセルは、ポリマーマトリックスの質量に対して80質量%以下の顔料を含む。特に、これらは、ポリマーマトリックスの質量に対して0.5質量%~75質量%、例えば1質量%~70質量%、とりわけ20質量%~65質量%又はさらに30質量%~60質量%の顔料を含み得る。
【0149】
言うまでもなく、カプセル化の程度は、色調の望ましい修正によって決まり、このように得ることが望ましい効果によってかなり変化し得る。
【0150】
本発明において使用され得る顔料の例示として、カーボンブラック、酸化チタン、酸化クロム、D&C又はFD&Cタイプの顔料及びそのレーキ、とりわけ名称D&C青色4号、D&C茶色1号、FD&C緑色3号、D&C緑色5号、D&C緑色6号、FD&C緑色8号、D&Cオレンジ色4号、D&Cオレンジ色5号、D&Cオレンジ色10号、D&Cオレンジ色11号、FD&C赤色4号、D&C赤色6号、D&C赤色7号(CI15850)、D&C赤色17号、D&C赤色21号、D&C赤色22号、D&C赤色27号、D&C赤色28号、D&C赤色30号、D&C赤色31号、D&C赤色33号、D&C赤色34号、D&C赤色36号、FD&C赤色40号、FD&C赤色40号レーキ、D&Cスミレ色2号、Ext.D&Cスミレ色2号、FD&C青色1号、D&C黄色6号、FD&C黄色6号、D&C黄色7号、25Ext.D&C黄色7号、D&C黄色8号、D&C黄色10号又はD&C黄色11号で公知であるものについて言及し得、前記顔料が化粧品において通常使用される親水性及び親油性相中で天然に不溶性でないとき、先に説明したように、これは、対応するレーキの形態で使用されることが理解される。
【0151】
とりわけ、言及し得るレーキの例は、バリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウム又は代わりにジケトピロロピロールをベースとするレーキを含む。
【0152】
本発明において使用され得る顔料のさらなる例として、とりわけ任意選択で表面処理され、且つ/又はコーティングされた鉱物顔料、とりわけ二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム及びまた酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物及びフェリックブルー又は代わりに金属粉末、例えばアルミニウム粉末、銅粉、金粉及び銀粉について言及し得る。
【0153】
光学効果を有する顔料、例えば天然又は合成の有機又は鉱物基材、例えばガラス、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、セラミック又はアルミナを含む粒子についても言及し得、前記基材は、任意選択で、金属物質、例えばアルミニウム、金、銀、白金、銅若しくは青銅又は金属酸化物、例えば二酸化チタン、酸化鉄又は酸化クロムで覆われている。
【0154】
これらは、真珠層でもあり得る。
【0155】
用語「真珠層」は、とりわけ、特定の軟体動物によってそれらの殻において生成されるか又は代わりに合成された虹色顔料を意味する。
【0156】
真珠箔は、チタン又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされている雲母、酸化鉄でコーティングされている雲母チタン、とりわけフェリックブルー又は酸化クロムでコーティングされている雲母チタン、上記のタイプの有機顔料でコーティングされている雲母チタン及びまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠箔から選択され得る。干渉顔料、とりわけ液晶又は多層顔料も使用され得る。
【0157】
これらは、例えば、絹雲母/茶色酸化鉄/二酸化チタン/シリカタイプのものであり得る構造を有する顔料でもあり得る。
【0158】
これらは、例えば、酸化鉄を含有するシリカミクロスフィアタイプのものであり得る構造を有する顔料でもあり得る。
【0159】
本発明中での使用に最も特に適した顔料の例として、とりわけD&C赤色7号、酸化チタン、酸化クロム、上記のD&C及びFD&Cタイプの顔料のレーキ、とりわけD&C赤色22号レーキ、黄色6号レーキ及びFD&C青色1号レーキについて言及し得る。
【0160】
本発明による顔料は、顔料の粉末又はペーストの形態であり得る。これらは、コーティングされても又はされなくてもよい。
【0161】
本発明による顔料は、例えば、白色又は有色の顔料、レーキ、特殊効果を有する顔料、例えば真珠層又はグリッターフレーク及びそれらの混合物から選択され得る。
【0162】
言及し得る白色又は有色の鉱物顔料の例は、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、酸化クロム、マンガンバイオレット、群青、クロム水和物及びフェリックブルーを含む。
【0163】
言及し得る白色又は有色の有機顔料の例は、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン及びフタロシアニン化合物、金属錯体タイプの化合物並びにイソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物を含む。
【0164】
特に、白色又は有色の有機顔料は、カルミン、カーボンブラック、例えば黒色2、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照CI42090、69800、69825、73000、74100、74160として色指数において分類されている青色顔料、参照CI11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000、47005として色指数において分類されている黄色顔料、参照CI61565、61570、74260として色指数において分類されている緑色顔料、参照CI11725、15510、45370、71105として色指数において分類されているオレンジ色顔料、参照CI12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915、75470として色指数において分類されている赤色顔料、仏国特許第2679771号明細書に記載されているようなインドール又はフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択され得る。
【0165】
好ましくは、カーボンブラック、例えば黒色2号又はレーキ、例えばD&C赤色7号が選択される。
【0166】
有機顔料の顔料ペースト、例えば名称:
- Cosmenyl黄色IOG:黄色3号顔料(CI11710);
- Cosmenyl黄色G:黄色1号顔料(CI11680);
- Cosmenylオレンジ色GR:オレンジ色43号顔料(CI71105);
- Cosmenyl赤色R:赤色4号顔料(CI12085);
- CosmenylカルミンFB:赤色5号顔料(CI12490);
- Cosmenylスミレ色RL:スミレ色23号顔料(CI51319);
- Cosmenyl青色A2R:青色15.1号顔料(CI74160);
- Cosmenyl緑色GG:緑色7号顔料(CI74260);
- Cosmenyl黒色R:黒色7号顔料(CI77266)
で企業Hoechstによって販売されている製品を使用し得る。
【0167】
本発明による顔料は、欧州特許第1184426号明細書に記載されているような複合顔料の形態でもあり得る。これらの複合顔料は、とりわけ、
- 鉱物コア、
- 有機顔料をコアに固着させるための少なくとも1種の結合剤、及び
- コアを少なくとも部分的に覆う少なくとも1種の有機顔料
を含む粒子から構成され得る。
【0168】
用語「レーキ」は、不溶性粒子上に吸着される色素を指し、このように得られた集合体は、使用中に不溶性のままである。その上に色素が吸着される鉱物基材は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸カルシウムナトリウム又はホウケイ酸カルシウムアルミニウム及びアルミニウムである。有機色素のうち、コチニールカルミンについて言及し得る。
【0169】
言及し得るレーキの例は、下記の名称:D&C赤色21号(CI45380)、D&Cオレンジ色5号(CI45370)、D&C赤色27号(CI45410)、D&Cオレンジ色10号(CI45425)、D&C赤色3号(CI45430)、D&C赤色7号(CI15850:1)、D&C赤色4号(CI15510)、D&C赤色33号(CI17200)、D&C黄色5号(CI19140)、D&C黄色6号(CI15985)、D&C緑色(CI61570)、D&C黄色10号(CI77002)、D&C緑色3号(CI42053)又はD&C青色1号(CI42090)で公知である製品を含む。
【0170】
用語「特殊効果を有する顔料」は、非均一であり、且つ観察の条件(光、温度、観測角度など)に応じて変化する有色の外観(特定の色調、特定の輝き及び特定のレベルの輝度によって特徴付けられる)を一般に生じさせる顔料を指す。それにより、これらは、標準的な均一な不透明、半透明又は透明な色調を与える白色又は有色の顔料と異なる。
【0171】
言及し得る特殊効果を有する顔料の例は、チタン又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされている白色真珠箔、例えば雲母、チタン及び酸化鉄でコーティングされている有色の真珠箔、例えば雲母、チタン、とりわけフェリックブルー又は酸化クロムでコーティングされている雲母、チタン及び先に定義されたような有機顔料でコーティングされている雲母並びにまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠箔を含む。
【0172】
基材、例えば液晶(WackerからのHelicones HC)又は干渉ホログラフィーグリッターフレーク(Geometric Pigments又はSpectratekからのSpectra f/x)に付着していない干渉効果を有する顔料についても言及し得る。特殊効果を有する顔料は、蛍光顔料(これらは、日光下で蛍光性であるか又は紫外線蛍光を生じさせる物質である)、リン光性顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料及び例えば企業Quantum Dots Corporationによって販売されている量子ドットも含む。
【0173】
量子ドットは、光励起下において、400nm~700nmの波長を有する放射線を発することができる発光半導体ナノ粒子である。これらのナノ粒子は、文献から公知である。特に、これらは、例えば、米国特許第6225198号明細書又は米国特許第5990479号明細書において、それらの中で引用されている公開資料において且つまた下記の公開資料:Dabboussi B.O.et al.,“(CdSe)ZnS core-shell quantum dots:synthesis and characterisation of a size series of highly luminescent nanocrystallites”,Journal of Physical Chemistry B,vol.101,1997,pages 9463-9475及びPeng,Xiaogang et al.“Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility”,Journal of the American Chemical Society vol.119,No.30,pages 7019-7029において記載されている方法によって製造され得る。
【0174】
本発明による顔料は、好ましくは、有色の顔料である。
【0175】
使用される種類豊富な顔料は、広範囲の色及びまた特定の光学効果、例えば金属効果又は干渉効果を得ることを可能にする。
【0176】
溶液中の真珠層以外の顔料の粒度は、一般に、10nm~10μm、好ましくは50nm~5μm、さらにより優先的には100nm~3μmである。溶液中の真珠層の粒度は、一般に、1~200μm、好ましくは1~80μm、さらにより優先的には1~50μmである。
【0177】
鉱物顔料のうち、言及し得る例は、任意選択で表面処理され、且つ参照CI77891として色指数において分類されている二酸化チタン(ルチル又はアナターゼ);参照CI77499、77492及び77491として分類されている黒色、黄色、赤色及び茶色酸化鉄;マンガンバイオレット(CI77742);群青(CI77007);水和酸化クロム(CI77289);フェリックブルー(CI77510)を含む。
【0178】
言及し得る有機顔料のうち、例えば、とりわけ商品名Jaune Covanor W1603で企業Wackherrによって販売されている顔料黄色3号(CI17710)、D&C赤色19号(CI45170)、D&C赤色9号(CI15585)、D&C赤色21号(CI45380)、D&Cオレンジ色4号(CI15510)、D&Cオレンジ色5号(CI45370)、D&C赤色27号(CI45410)、D&C赤色13号(CI15630)、D&C赤色7号(CI15850-1)、D&C赤色6号(CI15850-2)、D&C黄色5号(CI19140)、D&C赤色36号(CI12085)、D&Cオレンジ色10号(CI45425)、D&C黄色6号(CI15985)、D&C赤色30号(CI73360)、D&C赤色3号(CI45430)、カーボンブラック(CI77266)及びコチニールカルミンをベースとするレーキ(CI75470)がある。
【0179】
とりわけ、白色の真珠箔、例えば酸化チタン又は酸化ビスマスでコーティングされている雲母;有色の真珠箔、例えば酸化鉄を有する雲母チタン、フェリックブルー又は酸化クロムを有する雲母チタン、上記のタイプの有機顔料を有する雲母チタン及びまたオキシ塩化ビスマスをベースとするものから選択され得る真珠箔を使用することも可能である。
【0180】
有機顔料の顔料ペースト、より特定すると、例えば名称:
- Cosmenyl黄色1OG:黄色3号顔料(CI11710)、
- Cosmenyl黄色G:黄色1号顔料(CI11680)、
- Cosmenylオレンジ色GR:オレンジ色43号顔料(CI71105)、
- Cosmenyl赤色R:赤色4号顔料(CI12085)、
- CosmenylカルミンFB:赤色5号顔料(CI12490)、
- Cosmenylスミレ色RL:スミレ色23号顔料(CI51319)
- Cosmenyl青色A2R:青色15.1号顔料(CI74260)
- Cosmenyl緑色GG:緑色7号顔料(CI74260)
- Cosmenyl黒色R:黒色7号顔料(CI77266)
で企業Hoechstによって販売されている製品が使用される。
【0181】
染料は、有利には、顔料及びそれらの混合物、好ましくは真珠層及びそれらの混合物から選択される。
【0182】
染料の総含量は、本発明による組成物中に存在する場合、組成物の総質量に対して好ましくは0.1質量%~15質量%、より優先的には0.5質量%~10質量%、さらにより良好には1質量%~5質量%の範囲である。
【0183】
ポリマー粒子
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種の表面安定化されたポリマーの球状である粒子も任意選択で含み得る。
【0184】
好ましくは、粒子は、一般に、有利には先に定義されたような少なくとも1種の炭化水素をベースとする油を含有する油性媒体中における、少なくとも1種の表面安定化されたポリマーの球状である粒子の分散物の形態で組成物中に導入される。
【0185】
粒子のポリマーは、好ましくは、C~C(メタ)アクリル酸アルキルから選択されるモノマーから得られるポリマーである。これは、1種のみ又はいくつかの異なるモノマーの重合から得られるホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0186】
~C(メタ)アクリル酸アルキルモノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート及びtert-ブチル(メタ)アクリレートから選択され得る。
【0187】
~Cアルキルアクリレートモノマーが有利に使用される。優先的には、粒子のポリマーは、アクリル酸メチル及び/又はアクリル酸エチルから得られる。
【0188】
粒子のポリマーは、とりわけ、少なくとも1種のカルボン酸、リン酸又はスルホン酸官能基、例えばクロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸又はアクリルアミドグリコール酸及びそれらの塩を含むエチレン性不飽和酸モノマーから選択されるエチレン性不飽和酸モノマー又はその無水物も含み得る。
【0189】
エチレン性不飽和酸モノマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される。
【0190】
塩は、アルカリ金属、例えばナトリウム又はカリウムの塩;アルカリ土類金属、例えばカルシウム、マグネシウム又はストロンチウムの塩;金属塩、例えば亜鉛、アルミニウム、マンガン又は銅;式NH のアンモニウム塩;第四級アンモニウム塩;有機アミンの塩、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン又はトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンの塩;リシン又はアルギニン塩から選択され得る。
【0191】
粒子のポリマーは、このように、ポリマーの総質量に対して80質量%~100質量%のC~C(メタ)アクリル酸アルキル及び0~20質量%のエチレン性不飽和酸モノマーを含むか又はそれらから本質的になり得る。
【0192】
本発明の第1の実施形態によれば、ポリマーは、C~C(メタ)アクリル酸アルキルから選択される1種又は複数のモノマーから得られるポリマーから本質的になる。
【0193】
本発明の第2の実施形態によれば、ポリマーは、C~C(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸のコポリマーから本質的になる。
【0194】
粒子のポリマーは、
- アクリル酸メチルホモポリマー、
- アクリル酸エチルホモポリマー、
- アクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマー、
- アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸コポリマー、
- アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/無水マレイン酸コポリマー、
- アクリル酸メチル/アクリル酸コポリマー、
- アクリル酸エチル/アクリル酸コポリマー、
- アクリル酸メチル/無水マレイン酸コポリマー、及び
- アクリル酸エチル/無水マレイン酸コポリマー
から選択され得る。
【0195】
粒子のポリマーは、アリール(メタ)アクリレート、より特定するとベンジルアクリレートから選択されるモノマーから得られるポリマーでもあり得る。
【0196】
有利には、粒子のポリマーは、非架橋のポリマーである。
【0197】
粒子のポリマーは、好ましくは、2000~10000000の範囲、好ましくは150000~500000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0198】
粒子分散物の場合、粒子のポリマーは、好ましくは、分散物の総質量に対して20質量%~60質量%、より優先的には21質量%~58.5質量%、さらにより良好には30質量%~50質量%、よりさらにより良好には36質量%~42質量%の範囲の含量で分散物中に存在し得る。
【0199】
ポリマーは、例えば、好ましくはとりわけイソボルニル(メタ)アクリレートから得られ、さらにより良好にはイソボルニル(メタ)アクリレートホモポリマー並びに4超、好ましくは4.5超、さらにより有利には5以上である、イソボルニル(メタ)アクリレート/C~C(メタ)アクリル酸アルキルの質量比で存在する、イソボルニル(メタ)アクリレート及びC~C(メタ)アクリル酸アルキルの統計コポリマーから選択されるホモポリマー又はコポリマーである安定剤を使用して表面安定化されている。有利には、前記質量比は、4.5~19、好ましくは5~19、より特定すると5~12の範囲である。
【0200】
特定の実施形態によれば、安定剤は、5以上である、イソボルニル(メタ)アクリレート/C~C(メタ)アクリル酸アルキルの質量比で存在する、イソボルニル(メタ)アクリレート及びC~C(メタ)アクリル酸アルキルの統計コポリマーである。
【0201】
有利には、安定剤は、先に記載された質量比での、
- アクリル酸イソボルニルホモポリマー、
- アクリル酸イソボルニル/アクリル酸メチルの統計コポリマー、
- アクリル酸イソボルニル/アクリル酸メチル/アクリル酸エチルの統計コポリマー、及び
- メタクリル酸イソボルニル/アクリル酸メチルの統計コポリマー
から選択される。
【0202】
安定剤は、好ましくは、10000~400000の範囲、好ましくは20000~200000の範囲の数平均分子量(Mn)を有する。
【0203】
安定剤をポリマー粒子の表面と接触させ、このように特に分散物の非水性媒体中の分散物中にこれらの粒子を保持するために、これらの粒子を表面において安定化させることを可能にする。
【0204】
有利には、特に、分散物中に存在する安定剤+粒子のポリマーの組合せは、安定剤+粒子のポリマーの組合せの総質量に対して全部で10質量%~50質量%の重合されたイソボルニル(メタ)アクリレート及び50質量%~90質量%の重合されたC~C(メタ)アクリル酸アルキルを含む。
【0205】
優先的には、特に、分散物中に存在する安定剤+粒子のポリマーの組合せは、安定剤+粒子のポリマーの組合せの総質量に対して全部で15質量%~30質量%の重合されたイソボルニル(メタ)アクリレート及び70質量%~85質量%の重合されたC~C(メタ)アクリル酸アルキルを含む。
【0206】
好ましくは、安定剤は、先に定義されたような炭化水素をベースとする油、特にイソドデカン中で可溶性である。
【0207】
ポリマー粒子が、事前に調製された分散物の形態において組成物中で提供されるとき、このポリマー分散物の油性媒体は、先に定義されたような少なくとも1種の炭化水素をベースとする油を含む。
【0208】
有利には、炭化水素をベースとする油は、無極性であり、好ましくは8~16個の炭素原子を含有する炭化水素をベースとする油、特に先に記載された無極性油から選択される。
【0209】
優先的には、炭化水素をベースとする油は、イソドデカンである。
【0210】
特に、分散物中のポリマー粒子は、好ましくは、50~500nmの範囲、とりわけ75~400nmの範囲、さらにより良好には100~250nmの範囲の平均粒度、とりわけ数平均粒度を有する。
【0211】
一般に、本発明中での使用に適したポリマー粒子の分散物は、下記の様式で調製され得、これを一例として示す。
【0212】
重合は、すなわち、形成中のポリマーの沈殿によって分散物中で行われ得、形成された粒子を安定剤で保護する。
【0213】
第1のステップにおいて、安定化ポリマーは、合成溶媒として公知の溶媒中で安定化ポリマーの構成物モノマーとラジカル開始剤とを混合し、これらのモノマーを重合することによって調製される。第2のステップにおいて、粒子のポリマーの構成物モノマーを形成された安定化ポリマーに加え、これらの加えられたモノマーの重合をラジカル開始剤の存在下で行う。
【0214】
非水性媒体が不揮発性の炭化水素をベースとする油であるとき、重合は、無極性有機溶媒(合成溶媒)中で行われ得、それに続いて不揮発性の炭化水素をベースとする油(前記合成溶媒と混和性であるべきである)を加え、合成溶媒を選択的に留去する。
【0215】
安定化ポリマーのモノマー及びラジカル開始剤がその中で可溶性であり、得られるポリマー粒子がその中で不溶性であり、その結果、ポリマー粒子がそれらの形成中にその中で沈殿するような合成溶媒がしたがって選択される。
【0216】
特に、合成溶媒は、アルカン、例えばヘプタン又はシクロヘキサンから選択され得る。
【0217】
非水性媒体が、揮発性の炭化水素をベースとする油であるとき、重合は、合成溶媒としての役割を果たす前記油中でも直接的に行われ得る。ラジカル開始剤と同様に、モノマーは、その中で可溶性でもあるはずであり、得られる粒子のポリマーは、その中で不溶性であるはずである。
【0218】
モノマーは、好ましくは、5質量%~20質量%の割合で重合前に合成溶媒中に存在する。モノマーの総量は、反応の開始前に溶媒中に存在し得るか、又はモノマーの一部を重合反応が進行するにつれて徐々に加えられ得る。
【0219】
ラジカル開始剤は、とりわけ、アゾビスイソブチロニトリル又はtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートであり得る。
【0220】
重合は、70~110℃の範囲の温度で行われ得る。
【0221】
安定剤を用いてポリマー粒子が重合中に形成されるとき、ポリマー粒子は、表面安定化されている。
【0222】
安定化は、任意の公知の手段、特に重合中の安定剤の直接添加によって行われ得る。
【0223】
安定剤は、好ましくは、粒子のポリマーのモノマーの重合前にも混合物中に存在する。しかし、とりわけ、粒子のポリマーのモノマーも連続的に加えられるとき、安定剤を連続的に加えることも可能である。
【0224】
10質量%~30質量%の安定剤を、使用するモノマーの総質量に対して使用し得る。
【0225】
さらなる非アミノシリコーン
本発明による組成物は、1種又は複数のさらなる非アミノ及び非フェニルシリコーンも任意選択で含み得る。
【0226】
用語「非アミノシリコーン」は、任意の第一級、第二級、第三級又は第四級アミン基を含まない任意のシリコーン、すなわち上記のアミノシリコーン(b)以外の任意のシリコーンを意味する。
【0227】
本発明による組成物中に使用され得るさらなる非アミノ、非フェニルシリコーンは、特に、ポリオルガノシロキサンであり、これは、水溶液の形態、すなわち溶解しているか、又は任意選択で分散物若しくはミクロ分散物又は水性エマルジョンの形態であり得る。ポリオルガノシロキサンは、油、ワックス又はガムの形態でもあり得る。
【0228】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll’s Chemistry and Technology of Silicones(1968),Academic Pressにより詳細に定義されている。
【0229】
さらなる非アミノ、非フェニルシリコーンは、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0230】
これらが揮発性であるとき、非アミノシリコーンは、より特定すると、60℃~260℃の沸点を有するものから、さらにより特定すると、
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状シリコーン
から選択される。
【0231】
これらは、例えば、とりわけ名称Volatile Silicone7207で企業Union Carbideにより又はSilbione70045V2で企業Rhodiaにより販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、名称Volatile Silicone7158で企業Union Carbideにより、且つSilbione70045V5で企業Rhodiaにより販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン並びにそれらの混合物である。
【0232】
ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンタイプのシクロコポリマー、例えば化学構造:
【化13】
の企業Union Carbideによって販売されているVolatile Silicone FZ3109についても言及し得る。
【0233】
環状シリコーンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラトリメチルシリルペンタエリトリトールの混合物(50/50)並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びオキシ-1,1’-ビス[2,2,2’,2’,3,3’-ヘキサ(トリメチルシリルオキシ)ネオペンタン]の混合物についても言及し得る。
【0234】
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、且つ25℃で5×10-6/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性シリコーン。一例は、とりわけ、名称SH200で企業Toray Siliconeによって販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーの範囲に入るシリコーンは、Cosmetics and Toiletries,Vol.91,Jan.76,pages 27-32-Todd&Byers Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて発表されている論文にも記載されている。
【0235】
非アミノ、非フェニルシリコーンが不揮発性であるとき、好ましくはポリアルキルシロキサン、シリコーンゴム及び有機官能基で修飾されているポリオルガノシロキサン並びにそれらの混合物が使用される。
【0236】
これらの非アミノシリコーンは、より特定すると、ポリアルキルシロキサンから選択され、これらのうち、主に25℃で5×10-6~2.5m/s、好ましくは1×10-5~1m/sの粘度を有するトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサン(CTFA名によるジメチコン)について言及し得る。シリコーンの粘度は、例えば、25℃で標準ASTM445付録Cによって測定される。
【0237】
これらのポリアルキルシロキサンのうち、非限定的な様式において、下記の市販の製品:
- 企業Rhodiaによって販売されている47及び70047シリーズのSilbione油又はMirasil油、例えば油70047V500000、
- 企業Rhodiaによって販売されているMirasilシリーズの油、
- 企業Dow Corningからの200シリーズの油、例えばより特定すると60000cStの粘度を有するDC200、
- 企業General ElectricからのViscasil油及び企業General ElectricからのSFシリーズの特定の油(SF96、SF18)
について言及し得る。
【0238】
α,ω-オメガシラノール基を含有するポリジメチルシロキサン(CTFA名によるジメチコノール)、例えば企業Rhodiaからの48シリーズの油についても言及し得る。
【0239】
ポリアルキルシロキサンのこのカテゴリーにおいて、ポリ(C~C20)アルキルシロキサンである、名称Abil Wax9800及び9801で企業Goldschmidtによって販売されている製品についても言及し得る。
【0240】
本発明による組成物中に存在し得るシリコーンゴムは、とりわけ、単独で又は溶媒中の混合物として使用される、200000~1000000の高い数平均分子質量を有するポリジオルガノシロキサンである。この溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン及びトリデカン又はそれらの混合物から選択され得る。
【0241】
より特定すると、下記の生成物:
- ポリジメチルシロキサンガム、
- ポリジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンガム、
- ポリジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサンガム、
- ポリジメチルシロキサン/フェニルメチルシロキサンガム、
- ポリジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサンガム
について言及し得る。
【0242】
使用し得る製品は、より特定すると、下記の混合物である。
- 鎖の末端においてヒドロキシル化されているポリジメチルシロキサン(CTFA辞書の命名法によってジメチコノールとして公知である)から及び環状ポリジメチルシロキサン(CTFA辞書の命名法によってシクロメチコンとして公知である)から形成される混合物、例えば企業Dow Corningによって販売されている製品Q2 1401、
- 環状シリコーンと共にポリジメチルシロキサンガムから形成される混合物、例えば企業General Electricからの製品SF1214Silicone Fluid(この製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに対応する油SF1202Silicone Fluidに溶解した500000の数平均分子量を有するジメチコンに対応するSF30ガムである)、
- 異なる粘度を有する2つのPDMS、より特定するとPDMSガム及びPDMS油の混合物、例えば企業General Electricからの製品SF1236。製品SF1236は、20m/sの粘度を有する上記で定義したガムSE30及び5×10-6/sの粘度を有する油SF96の混合物である。この製品は、好ましくは、15%のガムSE30及び85%の油SF96を含む。
【0243】
本発明による組成物中に任意選択で存在するオルガノ修飾非アミノシリコーンは、先に定義され、且つそれらの構造において、炭化水素をベースとする基を介して付着している1個又は複数の有機官能基を含む非アミノシリコーンである。
【0244】
オルガノ修飾非アミノシリコーンのうち、下記を含めたポリオルガノシロキサンについて言及し得る。
- 任意選択でC~C24アルキル基を含むポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基、例えば企業Dow Corningによって名称DC1248で販売されているジメチコンコポリオールとして公知である製品又は企業Union Carbideからの油Silwet L722、L7500、L77及びL711並びに企業Dow Corningによって名称Q2 5200で販売されている(C12)アルキルメチコンコポリオール、
- チオール基、例えば名称GP72A及びGP71で企業Geneseeから販売されている製品、
- アルコキシル化基、例えば名称Silicone Copolymer F-755でSWS Siliconesにより、且つAbil Wax2428、2434及び2440で企業Goldschmidtにより販売されている製品、
- ヒドロキシル化基、例えば仏国特許出願公開第2589476号明細書に記載されているヒドロキシアルキル官能基を含有するポリオルガノシロキサン、
- アシルオキシアルキル基、例えば米国特許第4957732号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン、
- 例えば、企業Chisso Corporationからの欧州特許第186507号明細書に記載されている製品におけるカルボキシルタイプのアニオン基又はアルキルカルボキシルタイプのアニオン基、例えば企業信越化学工業からの製品X-22-3701E中に存在するもの;2-ヒドロキシアルキルスルホネート;2-ヒドロキシアルキルチオスルフェート、例えば企業Goldschmidtによって名称Abil S201及びAbil S255で販売されている製品、
- ヒドロキシアシルアミノ基、例えば欧州特許出願公開第342834号明細書に記載されているポリオルガノシロキサン。例えば、企業Dow Corningからの製品Q2-8413について言及し得る。
【0245】
好ましくは、さらなるシリコーンは、特に、トリメチルオキシ末端基を担持するポリジメチルシロキサン(INCI名:ジメチコン)から選択される。
【0246】
非アミノ、非フェニルシリコーンが不揮発性であるとき、これらは、シリコーン樹脂からも選択され得る。
【0247】
言及し得る例は、
- 式[(CHXSiXO]X(SiO4/2(MQ単位)のトリメチルシロキシシリケートであり得るシロキシシリケート(ここで、x及びyは、50~80の範囲の整数である)、
- 式(CHSiO3/2(T単位)のポリシルセスキオキサン(ここで、xは、100超であり、これらのメチル基の少なくとも1つは、上記に定義されているようなR基で置換され得る)、
- メチル基のいずれも別の基で置換されていないポリシルセスキオキサンであるポリメチルシルセスキオキサンを含む。このようなポリメチルシルセスキオキサンは、その内容が参照により組み込まれている米国特許第5246694号明細書に記載されている。
【0248】
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、
- 企業Wackerによって参照樹脂MK、例えばBelsil PMS MK:CHSiO3/2繰り返し単位(T単位)を含むポリマー(また1質量%までの(CHSiO2/2単位(D単位)を含み、且つ約10000の平均分子量を有し得る)において、
- 企業信越化学工業によって参照KR-220L(式CHSiO3/2のT単位から構成され、Si-OH(シラノール)末端基を含有する)で、参照KR-242A(98%のT単位及び2%のジメチルD単位を含み、且つSi-OH末端基を含有する)又は他に参照KR-251(88%のT単位及び12%のジメチルD単位を含み、且つSi-OH末端基を含有する)において、
- 企業Dow Corningによって参照Dow Corning680ID Fluidにおいて
販売されているものについて言及し得る。
【0249】
言及し得るシロキシシリケート樹脂は、任意選択で粉末の形態のトリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂を含む。このような樹脂は、参照SR1000で企業General Electricにより又は参照TMS803で企業Wackerにより販売されている。溶媒、例えばシクロメチコン中で販売されており、名称KF-7312Jで企業信越化学工業により又はDC749及びDC593で企業Dow Corningにより販売されているトリメチルシロキシシリケート樹脂についても言及し得る。
【0250】
本発明による組成物は、1種又は複数のさらなる化合物も含み得る。
【0251】
とりわけ、化粧品の分野において通常使用され、このように本発明によって使用され得るさらなる化合物として、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性ポリマー及びそれらの混合物、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤並びにそれらの混合物、抗フケ剤、抗脂漏剤、脱毛を防止し、且つ/又は毛髪の再成長を促進するための薬剤、炭化水素をベースとする油以外の脂肪物質及び上記で定義したシリコーン、ビタミン及びパンテノールを含めたプロビタミン、日焼け止め剤、金属イオン封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、抗酸化剤、オキシ酸、香料、保存料並びにセラミドについて言及し得る。
【0252】
言うまでもなく、本発明による組成物と本質的に関連する有利な特性が、予想する添加によって悪影響を受けないか又は実質的に受けないように、当業者は、これ又はこれらの任意選択のさらなる化合物を慎重に選択する。
【0253】
上記の添加物は、一般に、これらのそれぞれについて、組成物の総質量に対して0~20質量%の量で存在し得る。
【0254】
ケラチン繊維の化粧処理
本発明の主題は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を処理するための美容的方法であって、先に定義されたような化粧用組成物の、前記ケラチン繊維への塗布を含む美容的方法でもある。
【0255】
組成物は、シャンプーにより任意選択で洗浄されている乾燥した又は湿ったケラチン繊維に塗布され得る。好ましくは、本発明による組成物は、湿ったケラチン繊維に塗布される。
【0256】
化粧処理が完了すると、任意選択でケラチン繊維を水ですすぎ、シャンプーにより任意選択で洗浄し、次いで水ですすぎ、その後、乾燥させるか又は放置して乾燥させる。
【0257】
本発明による組成物は、1~15分、好ましくは2~10分の範囲であり得る、洗い流さない時間を伴って塗布される。
【0258】
組成物が二重相(すなわち、これは、互いに別個である2つの相を含有する)の形態であるとき、それは、塗布の直前の2つの相の即時の混合を行うために機械的に撹拌される。
【0259】
使用
本発明は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をコンデイショニングするための、先に定義されたような化粧用組成物の使用にも関する。
【0260】
下記の実施例は、本発明を例示する役割を果たすが、しかし、性質上、限定的であることを伴わない。
【実施例0261】
下記の実施例において、全ての量は、他に示さない限り、組成物の総質量に対する活性材料の質量パーセントとして示す。
【0262】
実施例1
a)試験組成物
本発明による組成物(A1)及び(A2)並びに下記の比較組成物(B1)及び(B2)は、それらの含量を下記の表において組成物の総質量に対する出発材料の質量パーセントとして示す成分から調製した。
【0263】
【表1】
【0264】
b)手順
天然の栗色の毛髪の房は、毛髪の劣化をシミュレートするために色を変えずに予備的なリラクシング処理を受け、その後、シャンプーで洗浄し、次いですすいだ。
【0265】
すすぎが完了すると、上記の組成物(A1)、(A2)、(B1)及び(B2)を、1グラムの房当たり0.15gの組成物の割合で「劣化させた」湿った毛髪の房に塗布した。
【0266】
このように処理された房を、中間のすすぎを伴わずにヘアドライヤーで直接乾燥させた。
【0267】
房のそれぞれの艶並びにまた天然の毛髪及び「劣化させた」毛髪、すなわちリラクシング処理を受けたが、本発明によって処理されていない毛髪の房の艶を、偏光源、偏光カメラ及び円筒型の房のホルダーから構成されるSamba設備(Bossa Nova Technologies)を使用して測定した。ソフトウェアは、システムによって測定したパラメーターを任意の光沢単位(BNT)に翻訳する。
【0268】
c)結果
本発明による組成物(A1)及び(A2)並びに比較組成物(B1)及び(B2)で処理した房のそれぞれについて得た光沢測定の結果並びにまた天然の及び劣化させた房について得た結果を図1において示す。
【0269】
得られた結果は、炭化水素をベースとする樹脂及びアミノシリコーンの組合せを含む本発明による組成物(A1)及び(A2)が、この特定の組合せを含まない比較組成物(B1)及び(B2)よりも多くの艶を毛髪に与えることを示す。
【0270】
組成物(A1)及び(A2)は、劣化させた毛髪の艶をかなり改善する。組成物(A1)は、さらに、天然の毛髪の艶と同等のレベルの艶を修復することを可能にするか又はさらに艶を改善する。
【0271】
実施例2
a)試験組成物
本発明による組成物(A3)及び下記の比較組成物(B3)は、組成物の総質量に対して、含量を下記の表において活性材料の質量パーセントとして示す成分から調製した。
【0272】
【表2】
【0273】
b)手順
上記の組成物(A3)及び(B3)のそれぞれを、1グラムの房当たり0.4gの組成物の割合で感受性が増した湿った茶色の毛髪(HT4)の房に塗布した。
【0274】
次いで、このように処理された房を水ですすぎ、ヘアドライヤーでブラッシングによって乾燥させた。
【0275】
房のそれぞれの艶及びまた天然の毛髪、すなわち感受性が増しているが、本発明によって処理されていない毛髪の房の艶を、偏光源、偏光カメラ及び円筒型の房のホルダーから構成されるSamba設備(Bossa Nova Technologies)を使用して測定した。ソフトウェアは、システムによって測定したパラメーターを任意の光沢単位(BNT)に翻訳する。
【0276】
c)結果
処理前及び後の房のそれぞれについて得た光沢測定を下記の表3において表す(任意の光沢単位(BNT))。
【0277】
【表3】
【0278】
このように得られた結果は、特許請求される組成物(A3)が比較組成物(B3)より多くの艶を毛髪に与えることを示す。
図1
【外国語明細書】