(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093660
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、および、制御装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070590
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2021132125の分割
【原出願日】2017-02-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 好祥
(57)【要約】 (修正有)
【課題】例えば、交通事象に遭遇しそうな状況に対して、事前にできるだけ精度の高い情報を出力する制御装置等を提供する。
【解決手段】車両の周囲状況を示す自車両周囲情報に少なくとも基づいた現在の自車現在情報を取得し(S11)、交通の事象に遭遇した事象遭遇車両の複数について、当該事象に遭遇した所定時間前における当該事象遭遇車両の周囲状況を示す事象遭遇車両周囲情報に少なくとも基づく複数の事象遭遇前情報を取得し(S10)、複数の事象遭遇前情報中に自車現在情報に対して予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両の出力手段を動作させる(S12からS14)。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲状況を示す自車両周囲情報に少なくとも基づいた現在の自車現在情報を取得する第1取得手段と、
交通の事象に遭遇した事象遭遇車両の複数について、当該事象に遭遇した所定時間前における当該事象遭遇車両の周囲状況を示す事象遭遇車両周囲情報に少なくとも基づく複数の事象遭遇前情報を取得する第2取得手段と、
前記複数の事象遭遇前情報中に前記自車現在情報に対して予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、前記車両の出力手段を動作させる制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、制御装置、制御方法、および、制御装置用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
移動体の一例の車両の事故を事前にできるだけ回避するための技術が開発されている。例えば、下記特許文献1には、車両が事故多発地点に接近すると、事故多発地点に接近しつつあることを車載端末へ間欠的に送信し、車載端末は表示器に表示されている地図上に事故多発地点を表示すると共に、音声にて、これを報知する道路状況情報提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
事故等の交通事象には人的要因、車両要因、および、環境要因などが関連するものであり、事故多発地点であっても必ずしも事故のリスクが高い状況とは言えないが、上記特許文献1に記載されている技術では、車両が事故多発地点に接近したときに報知するため、事故のリスクが低い場合でも報知を行ってしまうという問題があった。
【0005】
そこで本願は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、交通事象に遭遇しそうな状況に対して、事前にできるだけ精度の高い情報を出力する制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、車両の周囲状況を示す自車両周囲情報に少なくとも基づいた現在の自車現在情報を取得する第1取得手段と、交通の事象に遭遇した事象遭遇車両の複数について、当該事象に遭遇した所定時間前における当該事象遭遇車両の周囲状況を示す事象遭遇車両周囲情報に少なくとも基づく複数の事象遭遇前情報を取得する第2取得手段と、前記複数の事象遭遇前情報中に前記自車現在情報に対して予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、前記車両の出力手段を動作させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また請求項9に記載の発明は、車両の出力手段を動作させる制御装置が実行する制御方法であって、第1取得手段が、前記車両の周囲状況を示す自車両周囲情報に少なくとも基づいた現在の自車現在情報を取得する第1取得ステップと、第2取得手段が、交通の事象に遭遇した事象遭遇車両の複数について、当該事象に遭遇した所定時間前における当該事象遭遇車両の周囲状況を示す事象遭遇車両周囲情報に少なくとも基づく複数の事象遭遇前情報を取得する第2取得ステップと、制御手段が、前記複数の事象遭遇前情報中に前記自車現在情報に対して予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、前記車両の出力手段を動作させる制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る制御装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施例に係る制御システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図2の車載端末装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図2の情報処理サーバ装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図4の情報処理サーバ装置のデータベースの一例を示す模式図である。
【
図12】事象場面データの生成の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】実施例に係る制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図14】ある周辺状況における自車両の一例を示す模式図である。
【
図15】ある周辺状況における自車両の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態に係る制御装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0010】
図1に示すように、制御装置1は、第1取得手段1aと、第2取得手段1bと、制御手段1cと、を備えて構成されている。ここで、制御装置1の一例として、移動体に搭載されたナビゲーション装置等の車載端末装置、車載端末装置に情報を出力するサーバ装置等が挙げられる。移動体の一例として、例えば、自動車、モータバイク、自転車、人、鉄道、船舶、航空機等が挙げられる。
【0011】
この構成において第1取得手段1aは、車両の周囲状況を示す自車両周囲情報に少なくとも基づいた現在の自車現在情報を取得する。
【0012】
ここで、自車両周囲情報の一例として、警告等の出力の対象になっている自車両が走行している走行道路に関する道路属性、自車両の現在位置付近の交差点の接続道路に関する道路属性、自車両の現在位置の天気情報(例えば、気温、風速、風向、降水・降雪量等)、時刻等が挙げられる。また、道路属性の一例として、道路の種別、制限速度、車線数、勾配、付近の交差点への進入規制、付近の交差点への接続方向等が挙げられる。なお、交差点には、2本以上の道路が交差する点で、本線の道路に支線の道路が合流する合流点が含まれる。
【0013】
また、道路の種別の一例として、高速道、一般国道、都道府県道、市町村道、農道、林道、その他の道路等が挙げられる。
【0014】
自車両周囲情報に少なくとも基づいた自車現在情報として、出力の対象になっている自車両の現在における自車両周囲情報が挙げられる。
【0015】
制御装置1は、例えば、自車両が搭載したセンサ、カメラ、マイク等の各種機器からの自車両周囲情報を、各種機器から取得したり、車載端末装置から取得したりする。
【0016】
この構成において第2取得手段1bは、交通の事象に遭遇した事象遭遇車両の複数について、当該事象に遭遇した所定時間前における当該事象遭遇車両の周囲状況を示す事象遭遇車両周囲情報に少なくとも基づく複数の事象遭遇前情報を取得する。
【0017】
ここで、交通の事象の一例として、対象物との事故、対象物への接触、対象物への異常接近による急ブレーキ、回避等が挙げられる。対象物として、他の移動体、建物、構造物等が挙げられる。また、交通の事象に遭遇した事象遭遇車両の一例として、対象物と事故を起こした車両、対象物と接触した車両、対象物への異常接近した車両等が挙げられる。また、事象に遭遇した所定時間前の一例として、3秒前、5秒前、7秒前、10秒、15秒前等が挙げられ、事象との因果関係が強い時間ならばよい。
【0018】
また、事象遭遇車両周囲情報の一例として、事象に遭遇した事象遭遇車両が走行していた走行道路に関する道路属性、自車両の現在位置付近の交差点の接続道路に関する道路属性、自車両の現在位置の天気情報、時刻等が挙げられる。
【0019】
また、事象遭遇車両周囲情報に少なくとも基づいた事象遭遇前情報の一例として、事象遭遇車両に対して、事象に遭遇した所定時間前の事象遭遇周囲情報が挙げられる。
【0020】
制御装置1は、例えば、事象遭遇車両が搭載したセンサ、カメラ、マイク等の各種機器からの事象遭遇車両周囲情報を、各種機器から取得したり、車載端末装置から取得したりする。
【0021】
この構成において制御手段1cは、複数の事象遭遇前情報中に自車現在情報に対して予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、前記車両の出力手段を動作させる。
【0022】
ここで、類似の基準の一例として、自車現在情報と事象遭遇前情報との類似が判定できればよく、例えば、算出された類似度が所定値以上であるか否かを判定できればよい。各事象遭遇前情報と自車現在情報との各類似が判定される。複数の事象遭遇前情報のうち、予め設定された類似の基準を満たす情報が、抽出される。
【0023】
また、自車現在情報と事象遭遇前情報との照合結果に基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たすか否かを判定してもよい。ここで、自車現在情報と事象遭遇前情報との照合結果の一例として、自車現在情報および事象遭遇前情報において、情報の同じ項目同士を照合し、一致するか否か、情報の項目の値が同じ範囲内の値に属するか否か等である。また、自車現在情報との類似度は、例えば、照合により一致した項目の数、属した項目の数から計算される。類似度は、例えば、一致した項目の割合、属した項目の割合等である。また、類似度は、各項目に重みを割り当て、計算されてもよい。類似度は、特定の項目のみで照合を行って計算されてもよい。
【0024】
車両の出力手段の一例として、警告等のメッセージを表示するディスプレイ、警告等のメッセージの音声を出力するスピーカ、車両を所定速度に減速させる制御信号およびブレーキをかける準備をさせる制御信号等を出力する駆動制御装置等が挙げられる。
【0025】
また、第1取得手段1aは、自車現在情報として、自車両周囲情報及び車両の現在の走行状況を示す自車両状態情報に少なくとも基づく情報を取得してもよい。
【0026】
ここで、自車両状態情報の一例として、自車両の車種の情報、自車両の走行速度の情報、自車両の加速度の情報、自車両の進行方向の情報、自車両のヘッドライトの状態の情報、自車両の方向指示器の情報、ワイパーの状態、クラクションの状態、自車両の付近の交差点までの距離の情報等が挙げられる。
【0027】
また、第2取得手段1bは、複数の事象遭遇前情報として、事象遭遇車両周囲情報、及び、交通の事象に遭遇した事象遭遇車両の、当該事象に遭遇した所定時間前における走行状況を示す事象遭遇車両状態情報に少なくとも基づく情報を取得してもよい。
【0028】
ここで、事象遭遇車両状態情報の一例として、事象遭遇の車種の情報、事象遭遇の走行速度の情報、事象遭遇の加速度の情報、事象遭遇の進行方向の情報、事象遭遇のヘッドライトの状態の情報、事象遭遇の方向指示器の情報、ワイパーの状態、クラクションの状態、事象遭遇の付近の交差点までの距離の情報、交通規制の違反の種別の情報等が挙げられる。
【0029】
また、自車両状態情報は、車両の走行速度、進行方向、及び、車両の付近の交差点までの距離に関する自車両走行情報を含んでもよい。
【0030】
ここで、自車両走行情報の一例として、自車両が走行している時の車両の情報であり、例えば、自車両の走行速度の情報、自車両の加速度の情報、自車両の進行方向の情報、自車両のヘッドライトの状態の情報、自車両の方向指示器の情報、自車両の付近の交差点までの距離の情報等が挙げられる。
【0031】
事象遭遇車両状態情報は、事象遭遇車両の走行速度、進行方向、及び、前記事象遭遇車両の付近の交差点までの距離に関する事象遭遇車両走行情報を含んでもよい。
【0032】
ここで、事象遭遇車両走行情報の一例として、事象遭遇車両が走行している時の車両の情報であり、例えば、事象遭遇車両の走行速度の情報、事象遭遇車両の加速度の情報、事象遭遇車両の進行方向の情報、事象遭遇車両のヘッドライトの状態の情報、事象遭遇車両の方向指示器の情報、事象遭遇車両の付近の交差点までの距離の情報等が挙げられる。
【0033】
また、制御手段1cは、自車両走行情報と事象遭遇車両走行情報との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両の出力手段を動作させてもよい。
【0034】
ここで、自車両走行情報と事象遭遇車両走行情報との照合結果の一例として、自車両走行情報および事象遭遇車両走行情報において、情報の同じ項目同士を照合し、一致するか否か、情報の項目の値が同じ範囲内の値に属するか否か等である。
【0035】
また、自車両周囲情報は、車両が走行中の道路、及び、車両の付近の交差点に接続する他の道路に関する自車両周囲道路属性を含んでもよい。
【0036】
ここで、自車両周囲道路属性の一例として、自車両が走行中の道路の道路属性、自車両の付近の交差点に接続する他の道路の道路属性が挙げられる。
【0037】
また、事象遭遇車両周囲情報は、事象遭遇車両が走行していた道路、及び、事象遭遇車両の付近の交差点に接続する他の道路に関する事象遭遇車両周囲道路属性を含んでもよい。
【0038】
ここで、事象遭遇車両周囲道路属性の一例として、事象遭遇車両が走行中の道路の道路属性、事象遭遇車両の付近の交差点に接続する他の道路の道路属性が挙げられる。
【0039】
また、制御手段1cは、自車両周囲道路属性と事象遭遇車両周囲道路属性との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両の出力手段を動作させてもよい。
【0040】
ここで、自車両周囲道路属性と事象遭遇車両周囲道路属性との照合結果の一例として、自車両周囲道路属性および事象遭遇車両周囲道路属性において、情報の同じ項目同士を照合し、一致するか否か、情報の項目の値が同じ範囲内の値に属するか否か等である。
【0041】
また、自車両周囲情報は、車両の付近の交差点に接近する対象物の属性、及び、当該対象物の当該交差点までの距離に関する自車両対象物情報を含んでもよい。
【0042】
ここで、車両の付近の交差点に接近する対象物の一例として、自車両の周辺に存在する移動体等の周辺対象物、自車両の付近の交差点に接近する移動体が挙げられる。周辺対象物は、例えば、周辺移動体、車両の場合、周辺車両である。車両の付近の交差点に接近する対象物の数は、状況によって複数でも、ゼロでもよい。対象物の属性の一例として、対象物の種別、対象物の走行速度、対象物の加速度、対象物の進行方向等が挙げられる。対象物の種別は、例えば、車両の種別、人等が挙げられる。車両の種別は、例えば、大型車、中型車、小型車、二輪車等が挙げられる。対象物が車両の場合、対象物の属性の一例として、周辺車両のヘッドライトの状態の情報、周辺車両の方向指示器の情報、周辺車両の交通規則違反に関する情報が挙げられる。交通規則違反に関する情報の一例として、違反なし、速度オーバー、一時停止違反等が挙げられる。
【0043】
また、事象遭遇車両周囲情報は、事象遭遇車両の付近の交差点に接近する対象物の属性、及び、当該対象物の当該交差点までの距離に関する事象遭遇車両対象物情報を含んでもよい。
【0044】
ここで、事象遭遇車両対象物情報の一例として、事象遭遇車両の周辺に存在する移動体等の周辺対象物、事象遭遇車両の付近の交差点に接近する移動体が挙げられる。
【0045】
また、制御手段1cは、自車両対象物情報と事象遭遇車両対象物情報との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両の出力手段を動作させてもよい。
【0046】
ここで、自車両対象物情報と事象遭遇車両対象物情報との照合結果の一例として、自車両対象物情報および事象遭遇車両対象物情報において、情報の同じ項目同士を照合し、一致するか否か、情報の項目の値が同じ範囲内の値に属するか否か等である。
【0047】
また、第1取得手段1aは、自車現在情報として、車両のドライバの運転傾向に関する自車両運転傾向情報をさらに取得してもよい。
【0048】
ここで、車両のドライバの運転傾向の一例として、ドライバの運転の加速傾向(例えば、単位距離当たりの急加速数)、ドライバの運転の減速傾向(例えば、単位距離当りの急減速数)、ドライバの運転のステアリングの操作傾向(例えば、単位距離当たりの急減速数)、ドライバの運転の連続運転時間(例えば、走行開始からの運転継続時間)、ドライバの運転の速度傾向(例えば、法定速度に対する平均速度比)、ドライバの運転の一時停止違反度(例えば、一時停止に違反する割合)、ドライバの運転の直線安定性(例えば、直進道路における左右ゆれの大きさ)、ドライバの運転のコーナリング安定性(例えば、カーブでの速度、左右ゆれの大きさ)、ドライバの運転の車間距離(例えば、カメラ画像に基づく平均車間距離)、ドライバの運転の車線またぎの頻度(例えば、単位距離当たりの車線またぎ回数)、ドライバの運転の信号機通過特性(例えば、黄色信号で止まらず通過する頻度)等が挙げられる。
【0049】
また、第2取得手段1bは、事象遭遇前情報として、事象遭遇車両のドライバの運転傾向に関する事象遭遇車両運転傾向情報をさらに取得してもよい。
【0050】
ここで、事象遭遇車両のドライバの運転傾向の一例として、事象遭遇車両のドライバの運転の加速傾向等が挙げられる。
【0051】
また、制御手段1cは、自車両運転傾向情報と事象遭遇車両運転傾向情報との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両の出力手段を動作させてもよい。
【0052】
ここで、自車両運転傾向情報と事象遭遇車両運転傾向情報との照合結果の一例として、自車両運転傾向情報および事象遭遇車両運転傾向情報において、情報の同じ項目同士を照合し、一致するか否か、情報の項目の値が同じ範囲内の値に属するか否か等である。
【0053】
また、第2取得手段1bは、事象遭遇前情報に対応する事象の種別に関する事象種別情報をさらに取得してもよい。
【0054】
ここで、交通の事象種別情報の一例として、人対車両、車両単独、(車両相互)正面衝突、追突、出会い頭、左折時、右折時等の対象物との事故、対象物への接触、対象物への異常接近による急ブレーキ、回避等が挙げられる。
【0055】
また、制御手段1cは、複数の事象遭遇前情報中に自車現在情報に対して予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、自車現在情報との類似度が最も高い事象遭遇前情報に対応する前記事象種別情報に基づく警告を、車両の報知手段より報知させてもよい。
【0056】
予め設定された類似の基準を満たす少なくとも1つの事象遭遇前情報のうち、類似度が最も高い事象遭遇前情報に対応する事象種別情報が選択される。例えば、事象種別情報に基づく警告の一例として、選択された事象種別情報を知らせる内容である。車両の出力手段の一例の報知手段は、例えば、自車両の搭載されたディスプレイ、スピーカ等が挙げられる。
【0057】
また、制御手段1cは、複数の事象遭遇前情報の一部の情報と、当該対応する自車現在情報の一部の情報が予め設定された類似の基準を満たす場合に、車両の出力手段を動作させてもよい。
【0058】
複数の事象遭遇前情報の一部の情報の一例として、事象遭遇前情報の項目の所定の項目が挙げられる。対応する自車現在情報の一部の情報の一例として、事象遭遇前情報の所定の情報の項目に対応する情報の項目が挙げられる。
【0059】
以上説明したように、実施形態に係る制御装置1の動作によれば、自車現在情報に類似した事象遭遇前情報が存在する際に、車両の出力手段を動作させるので、類似した交通事象に遭遇しそうな状況に対して、事前にできるだけ精度の高い情報を出力できる。
【実施例0060】
[1.制御システムの構成および機能概要]
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、情報処理サーバ装置または車載端末装置に対して、本願を適用した場合の実施例である。
【0061】
図2は、実施例に係る制御システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【0062】
図2に示すように、実施形態に係る制御システムSは、車両5(移動体の一例)および車両7(移動体の一例)に搭載された車載端末装置10(制御装置1の一例)と、車載端末装置10から車両5、7の情報を収集して情報処理結果を提供する情報処理サーバ装置20と、情報処理サーバ装置20に気象情報や交通情報等を提供する外部サーバ装置SVと、を備えている。ここで、車載端末装置10は、制御装置1の一例である。情報処理サーバ装置20は、制御装置1の一例である。
【0063】
車両5は、移動体の一例で事象遭遇車両の一例である。車両7は、移動体の一例で自車両の一例である。なお、便宜的に車両5および車両7に分類している。情報処理サーバ装置20は、これら複数の車両5および車両7と通信を行う。
【0064】
車両5が交通の事象に遭遇した際に、車両5の車載端末装置10は、事象遭遇前情報を情報処理サーバ装置20に送信する。
【0065】
車両7の車載端末装置10は、自車現在情報を情報処理サーバ装置20に送信し、情報処理サーバ装置20から情報処理結果を受信する。また、車載端末装置10は、ナビゲーション機能を有してもよい。車載端末装置10は、無線基地局を有するネットワークNWと無線で通信を行う。
【0066】
情報処理サーバ装置20は、車両5の車載端末装置10から、事象遭遇前情報を収集してデータベースを更新する。情報処理サーバ装置20は、車両7の車載端末装置10から、自車現在情報を取得して、自車現在情報と複数の事象遭遇前情報とを照合して、情報処理結果を車両7の車載端末装置10に出力する。
【0067】
情報処理サーバ装置20は、外部サーバ装置SVから、車両5および車両7の現在位置の気象情報および各道路の最新の交通情報等を、取得する。情報処理サーバ装置20は、事象に遭遇した車両5の位置座標、事象の日時に基づき、外部サーバ装置SVから、事象現場の天気(例えば、気温、風速、風向、降水・降雪量等)に関する情報を取得する。
【0068】
外部サーバ装置SVは、VICS(登録商標)の各道路の交通情報、他の車両の車載端末装置10から収集した交通情報等を、情報処理サーバ装置20に提供する。例えば、情報処理サーバ装置20は、リアルタイムに交通情報を外部サーバ装置SVから取得する。情報処理サーバ装置20は、所定の時間間隔(例えば、0.1秒単位、秒単位等)で交通情報を取得してもよい。
【0069】
車載端末装置10、情報処理サーバ装置20、および、外部サーバ装置SVは、ネットワークNWを介して、例えば、通信プロトコルにTCP/IP等を用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワークNWは、例えば、インターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、およびゲートウェイ等により構築されている。
【0070】
[2.各装置の構成および機能]
(2.1 車載端末装置10の構成および機能)
次に、車載端末装置10の構成および機能について、
図3を用いて説明する。
【0071】
図3は、車載端末装置10の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0072】
図3に示すように、コンピュータとして機能する車載端末装置10は、通信部11と、表示部12と、カメラ部13と、記憶部14と、センサ部15と、操作部16と、スピーカ部17と、マイク部18と、制御部19を有する。
【0073】
通信部11は、無線通信機能を有する。通信部11は、ネットワークNWの移動体通信網に接続して情報処理サーバ装置20等との通信状態を制御する。通信部11は、情報処理サーバ装置20との通信のため、電波による無線通信による通信を行う。
【0074】
表示部12は、例えば、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成されている。表示部12には、地図情報、案内情報、警告情報等が表示される。表示部12は、出力手段および報知手段の一例である。
【0075】
カメラ部13は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮影素子を有する
カラーのデジタルカメラである。カメラ部13は、静止画または動画を撮影する。カメラ部13は、車両5および車両7の周囲状況を撮影する。カメラ部13は、例えば、前方、後方、側方の様子を撮影する。
【0076】
記憶部14は、例えば、シリコンディスクドライブやハードディスクドライブ等からなる。記憶部14は、車載端末装置10を制御するための各種プログラム等を記憶したりする。各種プログラムは、オペレーティングシステム、ナビゲーションや、音楽再生用のアプリケーションソフト等が挙げられる。記憶部14は、ナビゲーション用の地図情報や音楽データを記憶してもよい。また、記憶部14は、車載端末装置10を搭載している自車両に関する情報(例えば、車種、排気量等)を記憶してもよい。なお、ナビゲーション用の地図情報、音楽データ、車載端末装置10を搭載している自車両に関する情報の一部または全部は、通信部11を介して通信接続される図示しない外部の記憶装置に記憶する構成としてもよい。
【0077】
また、記憶部14には、ドライバの運転傾向を算出するため、センサ部15からの各種データに基づき、ドライバの運転傾向が蓄積されている。
【0078】
なお、各種プログラムは、例えば、無線通信網等のネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0079】
センサ部15は、車両5に備え付けられたGPSセンサ、方位センサ、速度センサ、高度センサ、タイマーから、車両の位置情報(緯度・経度情報)、移動方向の情報、速度情報、高度情報、現在時刻等の情報を取得する。
【0080】
操作部16は、機械式の電源ボタン、音量ボタン等の各種ボタンや、表示部12がタッチパネルのようなタッチスイッチ方式の表示パネルである。
【0081】
スピーカ部17は、例えば、警告情報、案内情報や、楽曲や、音声等の音等を出力する。スピーカ部17は、出力手段および報知手段の一例である。
【0082】
マイク部18は、車両自体の音、車両の周囲の音を集音する。
【0083】
制御部19は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を有する。制御部19は、CPUが、
ROMや、RAMや、記憶部14に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。車載端末装置10の各部の動作を制御する。
【0084】
制御部19は、カメラ部13からの画像データに対して、画像解析を行う。制御部19は、センサ部からの各種データに対して、解析を行う。制御部19は、マイク部18からの音データに対して、音解析を行う。なお、これらの画像解析および音解析は、カメラ部13からの画像データ、およびマイク部18からの音データを、図示しない外部の解析装置に通信部11を介して送信し、該解析装置による解析結果を、通信部11を介して受信するように構成してもよい。
【0085】
制御部19は、出力手段の一例として、車両の駆動装置を制御してもよい。駆動装置は、アクセル量を制御して、車両の速度および加速度を制御する。駆動装置は、操舵角度を制御して、車両の進行方向を変更する。駆動装置は、ブレーキ量を制御して、車両を減速および停止させる。また、駆動装置は、ライト、方向指示器等も制御する。
【0086】
(2.2 情報処理サーバ装置20の構成および機能)
次に、情報処理サーバ装置20の構成および機能について、
図4から
図11を用いて説明する。
【0087】
図4は、情報処理サーバ装置20の概要構成の一例を示すブロック図である。
図5は、情報処理サーバ装置20のデータベースの一例を示す模式図である。
図6から
図11は、交通の事象の一例を示す模式図である。
【0088】
図4に示すように、コンピュータとして機能する情報処理サーバ装置20は、通信部21と、記憶部22と、表示部23と、操作部24と、制御部25と、を有する。
【0089】
通信部21は、ネットワークNWに接続して、車載端末装置10および外部サーバ装置SVとの通信状態を制御するようになっている。
【0090】
記憶部22は、例えば、ハードディスクドライブ、シリコンディスクドライブ等により構成されている。記憶部22は、データベース22aを有する。
【0091】
データベース22aには、発生した事象毎に、事象遭遇前情報を事象場面データとして記憶する。例えば、
図5に示すように、発生した事象の事象番号に関連付けて、事象種別の情報(事象種別情報の一例)、事象遭遇車両の周囲環境の情報(事象遭遇車両周囲情報の一例)、事象遭遇車両の周囲対象物の情報(事象遭遇車両周囲情報の一例および事象遭遇車両対象物情報の一例)、事象遭遇車両の車両状態の情報(事象遭遇車両状態情報の一例)、事象遭遇車両のドライバの運転傾向の情報(事象遭遇車両運転傾向情報の一例)等が記憶されている。
【0092】
データベース22aの交通の事象種別の項目には、人対車両、車両単独、正面衝突、追突、出会い頭、左折時、右折時、その他等の情報が記憶される。
【0093】
周囲環境には、事象遭遇車両(例えば、車両5)が走行していた走行道路に関する道路情報、事象遭遇車両が事象に遭遇した位置付近の交差点における各接続道路に関する道路情報、事象遭遇車両が事象に遭遇した位置付近の気象情報、事象が発生した時刻等が含まれる。
【0094】
さらに、道路情報において、項目として、道路の種別、制限速度、車線数、勾配、付近の交差点への進入規制、付近の交差点への接続方向等が挙げられる。
【0095】
データベース22aの道路の種別の項目には、例えば、高速道、一般国道、都道府県道、市町村道、農道、林道、その他の道路であるかの情報が記憶されている。データベース22aの制限速度の項目には、道路の制限速度の値や範囲が記憶されている。データベース22aの車線数の項目には、道路の車線数が記憶されている。データベース22aの勾配の項目には、道路の勾配情報が記憶されている。データベース22aにおいて、付近の交差点への進入規制の項目には、赤信号、一時停止、規制無し等の情報が記憶されている。データベース22aにおいて、付近の交差点への接続方向の項目には、北、北東、東、南東、南、南西、西、または、北西等の方角の情報が記憶されている。
【0096】
周囲対象物は、事象遭遇車両(例えば、車両5)が、交通の事象に関係した対象物の一例である移動体の種別、移動体の走行速度の情報、移動体の加速度の情報、移動体の進行方向の情報、移動体が車両の場合、車両のヘッドライトの状態の情報、車両の方向指示器の情報、移動体の付近の交差点までの距離、交通規制の違反の種別の情報等を含む。
【0097】
データベース22aの移動体の種別の項目には、例えば、大型車、中型車、小型車、二輪車、自転車、人等であるかの情報が記憶される。データベース22aの移動体の走行速度の項目には、移動体の走行速度の値や範囲が記憶されている。例えば、移動体の走行速度の数値例として、80キロ超/80~60/60~40/40~20/20キロ未満等が挙げられる。
【0098】
データベース22aの移動体の加速度の項目には、移動体の加速度の値や範囲が記憶されている。例えば、移動体の加速度の数値例として、0.5G超/0.4~0.2G/0.2~0G/0~-0.2G/-0.2~-0.4G/-0.4未満等が挙げられる。
【0099】
データベース22aの移動体の進行方向の項目には、北、北東、東、南東、南、南西、西、または、北西等の方角の情報が記憶されている。
【0100】
データベース22aの車両のヘッドライトの項目には、事象遭遇車両が移動体に遭遇時における対象物の車両のヘッドライトの状態等が記憶されている。ヘッドライトの状態の一例として、ハイビーム点灯/ロービーム点灯/スモールライト点灯/点灯なし等が挙げられる。
【0101】
データベース22aの車両の方向指示器の項目には、事象遭遇車両が移動体に遭遇時における対象物の車両の方向指示器の状態等が記憶されている。方向指示器の状態の一例として、左作動/右作動/作動なし等が挙げられる。
【0102】
データベース22aの移動体の付近の交差点までの距離の項目には、100m超、100m程、50mから100m、50m未満等の該当する距離の情報が記憶されている。データベース22aの移動体の交通規制の違反の種別の項目には、違反なし、速度オーバー、一時停止違反、信号無視等の情報が記憶されている。
【0103】
車両状態は、事象遭遇車両の車種の情報、事象遭遇車両の走行速度の情報、事象遭遇車両の加速度の情報、事象遭遇車両の進行方向の情報、事象遭遇車両のヘッドライトの状態の情報、事象遭遇車両の方向指示器の情報、事象遭遇車両の付近の交差点までの距離等を含む。
【0104】
運転傾向は、加速傾向、減速傾向、ステアリング操作傾向、連続運転時間、速度傾向、一時停止違反度、直線安定性、コーナリング安定性、車間距離、車線またぎ頻度、信号機通過特性等を含む。
【0105】
データベース22aの加速傾向の項目には、急加速傾向が高い、普通、低い等の情報が記憶される。
【0106】
図6に示すように、交差点c1において、道路r1上の車両5と道路r3上の対象物の車両T1との出会い頭の衝突の場合、交差点c1が付近の交差点である。破線で示した道路r1上の車両5が、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置を示している。交差点c1は、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置から前方の交差点である。車両5が所定時間前に走行していた道路r1の車線数の項目の値”2”、道路r1のこの交差点c1への接続方向の項目の値”北”等の道路情報が、データベース22aに記憶される。この交差点c1に接続している各道路r2、r3、r4に対する、車線数、接続方向等の道路情報が、データベース22aに記憶される。
【0107】
図7に示すように、道路r1から道路r4に右折した車両5と、道路r4上の対象物の車両T1とが正面衝突した場合、交差点c1が付近の交差点である。破線で示した道路r1上の車両5が、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置を示している。交差点c1は、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置から前方の交差点である。交差点c1には、道路r1、r2、r3、r4が接続している。車両5が所定時間前に走行していた道路r1の車線数の項目の値”1”、道路r1のこの交差点c1への接続方向の項目の値”北西”等の道路情報が、データベース22aに記憶される。この交差点c1に接続している各道路r2、r3、r4に対する、車線数、接続方向等の道路情報が、データベース22aに記憶される。
【0108】
図8に示すように、側道の道路r3から出て来た車両T1と、本線の道路r1を走行していた車両5と出会い頭に衝突した場合、交差点c1が付近の交差点である。破線で示した道路r1上の車両5が、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置を示している。交差点c1は、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置から前方の交差点である。交差点c1には、道路r1、r2、r3が接続している。
【0109】
図9に示すように、道路r1の交差点c1で停止していた車両5に車両T1が追突した場合、交差点c1が付近の交差点である。交差点c1には、2車線の道路r1、r2、r3、r4が接続している。
【0110】
図10に示すように、5差路の交差点c1において、車両5と対象物の車両T1との出会い頭の衝突の場合、交差点c1が付近の交差点である。破線で示した道路r5上の車両5が、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置を示している。交差点c1は、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置から前方の交差点である。交差点c1には、道路r1、r2、r3、r4、r5が接続している。
【0111】
図11に示すように、合流点の交差点c1において、車両5と車両T1とが接触した場合、合流点の交差点c1が付近の交差点である。交差点c1は、事象遭遇車両である車両5の所定時間前の位置から前方の交差点である。交差点c1で、片側2車線の道路r1、r2と、道路r3とが接続している。
【0112】
また、記憶部22には、地図情報、外部サーバ装置SVから取得した交通情報、気象情報等が記憶されていている。
【0113】
また、記憶部22は、オペレーティングシステムおよびサーバプログラム等の各種プログラム等を記憶する。なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークNWを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0114】
表示部23は、例えば、液晶表示素子またはEL素子等によって構成されている。
【0115】
操作部24は、例えば、キーボードおよびマウス等によって構成されている。
【0116】
制御部25は、例えば、CPU、ROM、RAM等を有する。制御部25は、情報処理サーバ装置20の各部の動作を制御する。制御部25は、記憶部22に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより、各種処理等を実行する。制御部25は、出力手段および報知手段の一例である。
【0117】
[3.案内システムの動作]
次に、実施例に係る制御システムSの動作について
図12から
図15を用いて説明する。
(3.1 事象場面データの生成の動作)
制御システムSは、事象に遭遇した各車両(例えば、各車両5)の車載端末装置10から事象遭遇前情報を収集して、事象場面データを生成する動作について、
図12を用いて説明する。なお、車両7が事象に遭遇した場合も、車両7の車載端末装置10が、事象遭遇前情報を送信してもよいが、ここでは、便宜的に、車両5の車載端末装置10について説明する。
【0118】
図12は、事象場面データの生成の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0119】
車両5が道路を走行しながら、車両5の車載端末装置10が、事象遭遇車両周囲情報、および、事象遭遇車両走行情報のための各種データ等を取得している。例えば、事象遭遇車両周囲情報の収集のために、カメラ部13が周囲の画像を動画で撮像し、マイク部18が音を集音している。また、事象遭遇車両走行情報の収集のために、センサ部15が、車両5の位置情報、走行速度、加速度、進行方向等の各種データを計測している。
【0120】
なお、動画、センサの各種データ、および音データは、現在時刻から所定時間(3秒前、5秒前、7秒前、10秒、15秒前等)よりも長い時間、記憶部14等に記録されている。車両5が他の車両等の対象物に衝突、接触等して事象が発生したとする。
【0121】
図12に示すように、制御システムSは、事象を検知する(ステップS1)。具体的には、車両5における車載端末装置10の制御部19が、センサ部15の加速度センサから加速度のデータを取得し、所定値以上の場合、衝撃があったとして、事象に遭遇したと検知する。なお、制御部19が、マイク部18から衝撃音等の音データを取得して、クラクション音のような所定の波形に類似した場合、周辺環境音の音量が所定値以上の場合、事象に遭遇したと検知してもよい。また、制御部19が、カメラ部13からの動画を画像解析して、事象に遭遇した否かを判定してもよい。
【0122】
次に、制御システムSは、所定時間前の動画等の情報を取得する(ステップS2)。具体的には、制御部19が、事象に遭遇した時刻から所定時間前の車両5からの情報を記憶部14等から取得する。さらに具体的には、制御部19が、事象に遭遇した時刻から所定時間前を含む所定時間内の、カメラ部13のからの動画、センサ部15からの車両走行情報のデータ、マイク部18からの音データを、記憶部14等から取得する。制御部19が、センサ部15のセンサ自体にメモリがある場合、各センサのメモリから取得してもよい。
【0123】
また、制御部19が、記憶部14を参照して、車両5の車種の情報および、車両5のドライバの運転傾向の情報を取得する。
【0124】
次に、制御システムSは、取得した情報を情報処理サーバ装置20に送信する(ステップS3)。具体的には、車両5における車載端末装置10の制御部19が、通信部11を通して、事象に遭遇した場所の位置情報、事象に遭遇した時刻、動画、音情報、車両走行情報、車両5の車種の情報、運転傾向の情報等の、取得した情報を、車両IDと共に情報処理サーバ装置20に送信する。
【0125】
次に、制御システムSは、車載端末装置10からの情報を受信する(ステップS4)。具体的には、情報処理サーバ装置20の制御部25が、通信部21を通して、車両5における車載端末装置10から、事象に遭遇した場所の位置情報、事象に遭遇した時刻、動画、音情報、車両走行情報、車両5の車種の情報、運転傾向の情報等の、取得した情報を受信する。
【0126】
次に、制御システムSは、外部サーバ装置SVから、事象遭遇時の場所および時刻における天候、気温、降水量等の気象情報を取得する(ステップS5)。具体的には、制御部25が、事象に遭遇した場所の位置情報、事象に遭遇した時刻に基づき、外部サーバ装置SVから、事象遭遇時の場所および時刻における天候、気温、降水量等の気象情報を取得する。
【0127】
次に、制御システムSは、車載端末装置10からの情報と、外部サーバ装置SVからの情報とを分析して、事象遭遇前情報を生成する(ステップS6)。具体的には、車両5の周囲環境の情報の場合、制御部25が、事象に遭遇した位置情報から所定時間前の車両5の位置を特定し、さらに記憶部22の地図情報を参照して、所定時間前の車両5の位置の付近の交差点を特定する。この特定された交差点の一例として、所定時間前の車両5の位置に最も近い交差点、所定時間前の車両5の位置の前方の交差点等が挙げられる。
【0128】
制御部25が、特定された交差点と地図情報とに基づき、交差点に接続する各道路に関して、道路の種別、制限速度、車線数、勾配、付近の交差点への進入規制、付近の交差点への接続方向等の道路情報を抽出して事象遭遇前情報を生成する。
【0129】
また、制御部25が、周囲環境の情報の一例として、事象に遭遇した時刻から所定時間前の時刻を計算して事象遭遇前情報を生成する。
【0130】
車両5の周辺対象物の情報の場合、制御部25が、事象に遭遇した時刻から所定時間を含む時間において、動画を画像解析して、対象物を抽出して、車両5の周辺の各対象物を特定する。制御部25が、画像解析して、特定した対象物の種別、対象物までの距離、速度、加速度、進行方向、ヘッドライトの点等の有無、方向指示器の有無、特定した交差点までの距離等を算出して事象遭遇前情報を生成する。
【0131】
また、制御部25が、動画を画像解析して、乾燥、湿潤、凍結、積雪等の路面の状態を推定して事象遭遇前情報を生成する。
【0132】
車両5の車両情報の場合、制御部25が、センサ部15からの車両走行情報のデータに基づき、車両5の走行速度、車両5の加速度、車両5の進行方向、車両5のヘッドライトの状態、車両5の方向指示器の状態、車両5の付近の交差点までの距離を算出する。
【0133】
車両5が遭遇した事象の種別は、例えば、制御部19が、カメラ部13の動画を画像解析して、対象物との衝突方向等から、算出される。
【0134】
また、制御部19が、気象情報をデータベース22a用に加工する。
【0135】
次に、制御システムSは、照合用の事象場面データとして保存する(ステップS7)。具体的には、制御部25が、生成された事象遭遇前情報を、事象番号に関連付けて、データベース22aに追加して記憶する。
【0136】
(3.2 自車現在情報の判定の動作)
次に、車両7の自車現在情報の判定の動作について、
図13から
図15を用いて説明する。
【0137】
図13は、実施例に係る制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図14および
図15は、ある周辺状況における自車両の一例を示す模式図である。
【0138】
図13に示すように、制御システムSは、判定用事象場面データを情報処理サーバ装置20から取得する(ステップS10)。具体的には、車両7の車載端末装置10の制御部19が、データベース22aに記憶されている、各事象遭遇前情報を示す判定用事象場面データを、情報処理サーバ装置20から取得する。
【0139】
次に、制御システムSは、動画等の情報を取得する(ステップS11)。具体的には、車両7の車載端末装置10の制御部19が、ステップS2のように、車両7の車載端末装置10の現在時刻における動画等の情報を取得する。ここで、ステップS2と異なり、現在時刻から所定期間の、カメラ部13、センサ部15およびマイク部18からのデータを取得する。
【0140】
次に、制御システムSは、自車現在情報を生成する(ステップS12)。具体的には、車両7の車載端末装置10の制御部19が、ステップS6のように、事象遭遇前情報の代わりに、車両7からの動画、車両7の位置情報、車両7走行状況等の情報に基づき、自車現在情報を生成する。
【0141】
図14に示すように、車両7が道路r10を走行し、交差点c2に近づいた場合、制御部19が、走行している道路r10の自車両周囲道路属性、および、車両7の前方の交差点c2に接続する道路r11、r12、r13の自車両周囲道路属性を生成する。動画に対象物の車両T2が写っていたら、制御部19が、交差点c2に接近する対象物の属性を生成する。
【0142】
図15に示すように、車両7が道路r10を走行し、交差点c2に近づいた場合、制御部19が、走行している道路r10の自車両周囲道路属性、および、車両7の前方の交差点c2に接続する道路r11、r12の自車両周囲道路属性を生成する。
【0143】
なお、制御部19が、ステップS11で取得した動画等の情報を、情報処理サーバ装置20に送信して、情報処理サーバ装置20が、自車現在情報を生成してもよい。ここで、自車現在情報の各項目と事象遭遇前情報の各項目とは、事象種別の項目以外、同じである。
【0144】
なお、車両7のドライバの運転傾向に関して、車両7の車載端末装置10の制御部19が、車両7の車両IDまたは車両7のドライバのユーザID共に、運転傾向の取得の要求を情報処理サーバ装置20にして、車両7のドライバの運転傾向の情報を、情報処理サーバ装置20から取得してもよい。制御部19が、気象情報を、情報処理サーバ装置20から取得してもよいし、外部サーバ装置SVから取得してもよいし、カメラ部13の画像から天気や路面の状態を判定してもよい。
【0145】
次に、制御システムSは、判定用事象場面データの各象遭遇前情報と自車現在情報との類似度を計算する(ステップS13)。具体的には、制御部19が、自車現在情報の各項目の値と、対応する判定用事象場面データの事象番号の事象遭遇前情報毎に、事象遭遇前情報の各項目の値とを照合して、一致した項目の数を算出し、項目数で割った値を類似度として計算する。なお、類似度の算出に使用する項目は、一部の項目でもよい。また、事象種別に応じて、類似度の算出に使用する項目を変えてもよい。
【0146】
次に、制御システムSは、類似度が閾値以上か否かを判定する(ステップS14)。具体的には、制御部19が、一致する項目の割合が、所定値(例えば、70%、80%、85%)以上か否かを判定する。
【0147】
類似度が閾値以上の場合(ステップS14;YES)、制御システムSは、警告を出力する(ステップS15)。具体的には、制御部19が、類似度が閾値以上の事象遭遇前情報の中から、類似度が最大の事象遭遇前情報を抽出する。制御部19が、類似度が最大の事象遭遇前情報の事象種別情報を求める。制御部19が、事象種別に基づいた内容の警告を生成し、スピーカ部17および表示部12に出力する。例えば、警告内容「この先、出会い頭事故のおそれがあります。速度を落とし、右から飛び出す車両に注意しましょう。」が出力される。
【0148】
類似度が閾値未満の場合(ステップS14;NO)、制御システムSは、ステップS11の処理に戻る。
【0149】
以上説明したように、実施例に係る動作によれば、車両7の自車現在情報に類似した事象遭遇前情報が存在する際に、車両7の出力手段を動作させるので、類似した交通事象に遭遇しそうな状況に対して、事前にできるだけ精度の高い情報を出力できる。このため、事象が起こったことがない場所においても、警告等を通知できる。実際に過去に発生した事故等の事象に対して、車両7の車両状態および周囲状況等との自車現在情報が、類似の基準を満たした場合、車両7に対して事象の発生を判断できる。つまり、同一の場所で生じた事象と比較する場合よりも、事象の母データを増やすことができるため、より高精度に、事象の発生具合を判定することができる。
【0150】
また、事象に遭遇した所定時間前における事象遭遇前情報を収集しているので、事前に事象の発生具合を判定することができる。
【0151】
また、自車現在情報として、自車両周囲情報及び車両7の現在の走行状況を示す自車両状態情報に少なくとも基づく情報を取得し、複数の事象遭遇前情報として、事象遭遇車両周囲情報、及び、交通の事象に遭遇した車両5の、当該事象に遭遇した所定時間前における走行状況を示す事象遭遇車両状態情報に少なくとも基づく情報を取得する場合、自車両状態情報および事象遭遇車両状態情報が増えることにより、類似判定する情報が増えて、より精度の高い情報を出力できる。
【0152】
また、自車両状態情報は、車両7の走行速度、進行方向、及び、車両7の付近の交差点c2までの距離に関する自車両走行情報を含み、事象遭遇車両状態情報は、車両5の走行速度、進行方向、及び、事象遭遇車両の付近の交差点c1までの距離に関する事象遭遇車両走行情報を含み、自車両走行情報と事象遭遇車両走行情報との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両7の出力手段を動作させる場合、類似判定する情報が増えて、より精度の高い情報を出力できる。また、自車前情報および事象遭遇前情報の各項目を照合することにより、類似度が高精度に算出することができる。
【0153】
また、自車両周囲情報は、車両7が走行中の道路、及び、車両7の付近の交差点c2に接続する他の道路に関する自車両周囲道路属性を含み、事象遭遇車両周囲情報は、事象遭遇車両5が走行していた道路、及び、事象遭遇車両5の付近の交差点c1に接続する他の道路に関する事象遭遇車両周囲道路属性を含み、自車両周囲道路属性と前記事象遭遇車両周囲道路属性との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両7の出力手段を動作させる場合、類似判定する情報が増えて、より精度の高い情報を出力できる。
【0154】
また、自車両周囲情報は、車両7の付近の交差点c2に接近する対象物(例えば、車両T2)の属性、及び、当該対象物の当該交差点c2までの距離に関する自車両対象物情報を含み、事象遭遇車両周囲情報は、事象遭遇車両5の付近の交差点に接近する対象物の属性、及び、当該対象物(例えば、車両T1)の当該交差点までの距離に関する事象遭遇車両対象物情報を含み、自車両対象物情報と事象遭遇車両対象物情報との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両7の出力手段を動作させる場合、類似判定する情報が増えて、より精度の高い情報を出力できる。
【0155】
また、自車現在情報として、車両7のドライバの運転傾向に関する自車両運転傾向情報をさらに取得し、事象遭遇前情報として、事象遭遇車両5のドライバの運転傾向に関する事象遭遇車両運転傾向情報をさらに取得し、自車両運転傾向情報と事象遭遇車両運転傾向情報との照合結果に少なくとも基づいて自車現在情報との類似度を算出して、予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、車両7の出力手段を動作させる場合、類似判定する情報が増えて、より精度の高い情報を出力できる。
【0156】
また、事象遭遇前情報に対応する事象の種別に関する事象種別情報をさらに取得し、複数の事象遭遇前情報中に自車現在情報に対して予め設定された類似の基準を満たす情報が存在する際に、自車現在情報との類似度が最も高い事象遭遇前情報に対応する事象種別情報に基づく警告を、車両7の報知手段(車両7の表示部12、スピーカ部17)より報知させる場合、車両7が遭遇しそうな事象の情報を事前に知らせることができる。このように、類似度のスコアが所定値以上の事象の事例の有無を判断することで、現在の自車両7の状態および周囲状況等の自車現在情報との類似度が高い事象事例が存在する場合に、ドライバに事象に遭遇しそうな状態を通知できる。
【0157】
また、複数の事象遭遇前情報の一部の情報と、当該対応する自車現在情報の一部の情報が予め設定された類似の基準を満たす場合に、車両7の出力手段を動作させる場合、照合する項目数を絞ることができて、照合の処理速度が向上する。類似の基準を満たすか否かの判定を高速に行うため、項目はより絞ったものとしてもよい。例えば、周囲環境の項目のみで、事象場面の判定を行えば、前方道路の種別や配置が似たケースの事象事例を基づき、事象の発生具合を報知することができる。
【0158】
判断処理を高速化するために、特定の要素の一致を必須条件にして、更に、事象事例をフィルタリングしたうえで、類似の基準を満たすか否かの判定を行ってもよい。照合する事象が削減できるので、より高速に判定できる。
【0159】
なお、判定用事象場面データは、予め車載端末装置10に記憶しておいてもよい。これにより、情報処理サーバ装置20と通信せずとも、単独で事象遭遇の判定を行うことができる。
【0160】
また、データベース22aが事象事例に対して、人間が目視等により各種項目の分類づけすることにより、生成した判定用事象場面データを、記憶してもよい。
【0161】
また、車両7の車載端末装置10が、現在の自車両の車両状態情報、周囲状況情報等に基づいて自車現在情報を作成し、これを情報処理サーバ装置20に常時送信し、情報処理サーバ装置20が、判定用事象場面データと自車現在情報とを照合して、類似の基準を満たすか否かの判定を行ってもよい。情報処理サーバ装置20が、類似度が所定値以上の事象事例が存在する場合に、当該事象事例に対応する事象の種別に基づく警告メッセージを生成し、車両7の車載端末装置10に送信する。情報処理サーバ装置20が、この警告メッセージを表示部12およびスピーカ部17から出力させるための制御信号を車載機に車載端末装置10送信する。この場合、車載端末装置10の処理負荷を軽減できる。
【0162】
また、車載端末装置10は、カメラ部13の画像と、センサ部15の各種センサが出力する情報を常時サーバに送信し、情報処理サーバ装置20が、これらの情報に基づいて道路属性と周辺対象物を検出した後、自車現在情報を作成し、判定用事象場面データと自車現在情報を照合して、類似の基準を満たすか否かの判定を行ってもよい。この場合、さらに車載端末装置10の処理負荷を軽減することができる。
【0163】
なお、車載カーナビゲーションシステムの他に、車載ドライブレコーダー、車両の運行管理システム、車両のテレマティクス保険等に利用してもよい。