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  • 特開-火災感知器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093661
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
G08B17/06 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070602
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2021137284の分割
【原出願日】2018-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】樋口 豊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 浩生
(72)【発明者】
【氏名】楠見 真希
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表示部の視認性を向上させることのできる火災感知器を提供する。
【解決手段】火災感知器は、熱を検出する検出部21と、設置面に設置され、検出部21を設置面と対向する側に露出させて保持する本体部30と、検出部21の周囲に設けられ検出部21を保護するガード支持部33と、ガード支持部33に支持される中央ガード部34からなるガード部と、光による表示を行う表示部22と、を有し、ガード部は、本体部より設置面から離れる側に配置されガード部を構成する外郭部32を有し、外郭部は、設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、表示部は、設置状態における高さ方向において少なくとも一部がガード部の外郭部により覆われる領域に配置されて光による表示をする。外郭部のうち本体部に向かう面である対向面部35に、対向面反射部36が設けられ、対向面反射部と対向する凹部40の底面部43には、底面反射部44が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を検出する検出部と、
設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、
前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、
光による表示を行う表示機構と、を有し、
前記ガード部は、前記本体部より前記設置面から離れる側に配置される外郭部を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、
前記表示機構は、設置状態における高さ方向において少なくとも一部が前記ガード部の外郭部により覆われる領域に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、
前記面状光可視部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記外郭部の開口と対向する領域に位置し、
前記面状光可視部の前記光による表示は、前記外郭部の前記開口を介して視認される火災感知器。
【請求項2】
前記ガード部は、前記外郭部から中央側に向かって延びるガード支持部を有し、
前記面状光可視部の前記光による表示は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記外郭部および前記ガード支持部に重ならず露出する請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記表示機構は、前記凹部の底面部に配置される前記面状光可視部より外周側に配置される発光部と、前記発光部から前記面状光可視部に向けて光を導光する導光部と、を備える請求項1または2に記載の火災感知器。
【請求項4】
前記発光部は、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部より外周側に位置し、
前記導光部は、前記発光部からの光を中央側に向かう方向に導光する請求項3に記載の火災感知器。
【請求項5】
前記ガード部は、光を透過させる材質で形成されている請求項1~4のいずれか1項に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井面などの設置面に固定され、火災発生を検出する火災感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
火災発生を検出する火災感知器は、建物の天井面などの設置面に固定される。火災感知器としては、例えば、火災による熱を検出する熱検出部を有する火災感知器などが挙げられる。この他にも、煙を検出する火災感知器や、ガスを検出する火災感知器、あるいはこれらの機能を組み合わせた火災感知器などが知られている。
【0003】
火災感知器には、火災発報などの動作状態を光で示す表示部が設けられることがある。火災感知器の表示部を構成する発光部として、例えば発光ダイオード(LED)などが用いられる。発光部は、火災感知器の本体内部に設けられ、ライトガイド等により外部に導光される。このような火災感知器としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-215865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の火災感知器は、密閉型であり、その筐体の略全体に渡る導光部を設けることで、光を広い範囲から視認できるようにしている。しかし、サーミスタが露出している火災感知器など、筐体全体に渡る導光部を設けるのが困難な火災感知器もある。このような場合にも、表示部の光を視認しやすい火災感知器が望まれる。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、表示部の視認性を向上させることのできる火災感知器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る火災感知器は、熱を検出する検出部と、設置面に設置され、前記検出部を前記設置面と対向する側に露出させて保持する本体部と、前記検出部の周囲に設けられ前記検出部を保護するガード部と、光による表示を行う表示機構と、を有し、前記ガード部は、前記本体部より前記設置面から離れる側に配置される外郭部を有し、前記外郭部は、前記設置面と対向する側から見た径方向内側に開口を有し、前記表示機構は、設置状態における高さ方向において少なくとも一部が前記ガード部の外郭部により覆われる領域に配置されて前記光による表示をする面状光可視部を有し、前記面状光可視部は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記外郭部の開口と対向する領域に位置し、前記面状光可視部の前記光による表示は、前記外郭部の前記開口を介して視認される。
【0008】
また、本発明に係る火災感知器は、前記ガード部は、前記外郭部から中央側に向かって延びるガード支持部を有し、前記面状光可視部の前記光による表示は、少なくとも一部が、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記外郭部および前記ガード支持部に重ならず露出する。
【0009】
また、本発明に係る火災感知器は、前記表示機構は、前記凹部の底面部に配置される前記面状光可視部より外周側に配置される発光部と、前記発光部から前記面状光可視部に向けて光を導光する導光部と、を備える。
【0010】
また、本発明に係る火災感知器は、前記発光部は、前記設置面と対向する側から見た正面視において、前記ガード部の外郭部より外周側に位置し、前記導光部は、前記発光部からの光を中央側に向かう方向に導光する。
【0011】
また、本発明に係る火災感知器は、前記ガード部は、光を透過させる材質で形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る火災感知器によれば、表示部の視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態における火災感知器の正面側から見た斜視図である。
図2】火災感知器の正面図である。
図3図2のA-A断面のうち、正面部より正面側の断面図である。
図4】表示部が光った際において反射部により光る部位を表した火災感知器の正面図である。
図5】別の形態の表示部の説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。本実施形態の火災感知器10は、建物の天井等の設置面に固定され、火災によって生じた熱を検出するものである。図1には本実施形態における火災感知器10の正面側から見た斜視図を、図2には火災感知器10の正面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態の火災感知器10は、設置面に固定される筐体20と、火災によって生じた熱を検出する熱検出部21とを有している。
【0015】
筐体20は、火災を検出して火災検出信号を送信するための各種部品を配置した基板等を納める本体部30を有する。本体部30は、略円筒状の背面部30aと、背面部30aより径が大きい略円盤形状の正面部30bとを有している。筐体20が設置面に固定されることにより、背面部30aは設置面の奥側に埋設され、正面部30bの正面側のみが露出する。
【0016】
筐体20は、プラスチック等の樹脂材で形成される。ただし、筐体20はそれ以外の材料で形成されていてもよい。
【0017】
熱検出部21は、筐体20の本体部30から高さ方向に突出状に設けられている。熱検出部21は、サーミスタによって構成されており、先端部で熱を検出することができる。
【0018】
本体部30には、熱検出部21を保護するためのガード部が設けられる。ガード部は、正面部30bから高さ方向に立ち上がる側柱部31と、側柱部31に支持される外郭部32と、外郭部32から中央側に向かって延びるガード支持部33と、ガード支持部33に支持される中央ガード部34とを有している。
【0019】
側柱部31は、周方向に複数形成され、周方向において均等な間隔で配置されている。側柱部31は、頂部において外郭部32を支持している。外郭部32は、一定の幅を有する円環形状を有し、本体部30からは高さ方向に離隔配置される。
【0020】
外郭部32の周方向3箇所には、当該外郭部32から立ち上がり、その中央側に向かって延びる腕状のガード支持部33が設けられている。ガード支持部33は、中央部において中央ガード部34を支持している。中央ガード部34は、小径の円環形状を有している。熱検出部21は、本体部30の中央部に配置されており、先端が中央ガード部34より低い位置に配置されているので、中央ガード部34によって覆われている。
【0021】
本体部30は、中央ガード部34より外周側の位置に、2つの表示部22を有している。2つの表示部22は、図2において3時と9時の各周方向位置に配置されている。本体部30内には、LEDからなる発光部(図示しない)が設けられており、表示部22は、この発光部からの光を外部に導光する導光体である。発光部が発光することにより、表示部22が光ることができる。
【0022】
本体部30の正面部30bには、凹部40より外周側の正面であって、図2における3時の周方向位置に識別ラベル部50を有している。識別ラベル部50は、本体部30に貼付可能なシール等で形成される。識別ラベル部50には、火災感知器10の種別に応じたマークが印刷されている。火災感知器は、熱を検出する差動式スポット型や定温式スポット型、煙を検出する光電式スポット型や光電式分離型などのように、火災の検出方式により複数の種別に分類される。また、火災感知器は、試験機能の有無などの機能、あるいは火災検出の感度などにおいても異なる種別に分類される。識別ラベル部50のマークは、これら種別毎に異なるデザインとされる。本実施形態の火災感知器10は、差動式スポット型であって、試験機能付の種別に分類されるので、この種別に対応するマークが付されている。このような種別に応じた固有のマークを火災感知器に付すことにより、設置時やメンテナンス時などにおいて、火災感知器の種別を容易に判別でき、作業を迅速かつ確実に行うことができるようにしている。
【0023】
図3には、図2のA-A断面のうち、正面部30bより正面側の断面図を示している。この図に示すように、正面部30bの中央部には、凹部40が形成されている。凹部40は、高さ方向に面する底面部43と、この底面部43から立ち上がる側面部41とを有している。2つの表示部22は、凹部40に配置されている。また、表示部22は、凹部40の深さより大きい高さを有しており、凹部40から高さ方向にやや突出している。
【0024】
凹部40の側面部41には、側面反射部42が設けられている。側面反射部42は、光を反射する反射材を有する薄膜状のシール等で形成される。図2に示すように、側面反射部42は、側面部41のうち、表示部22と対向する部分及びその近傍の領域に渡って設けられる。
【0025】
図3に示すように、ガード部を構成する外郭部32のうち本体部30に向かう面である対向面部35には、対向面反射部36が設けられている。また、対向面反射部36と対向する凹部40の底面部43には、底面反射部44が設けられている。底面反射部36は、熱検出部21の本体部30における露出場所を中心位置とし、この中心位置から表示部22までを半径とする円形状の領域の内側に配置されている。対向面反射部36及び底面反射部44は、側面反射部42と同様、光を反射する反射材を有する薄膜状のシール等で形成することができる。
【0026】
本体部30に設けられる前述の識別ラベル部50は、光を反射する反射部51を有している。反射部51は、識別ラベル部50に反射材を設けることにより形成される。また、識別ラベル部50は、蓄光部52も有している。蓄光部52は、識別ラベル部50に蓄光塗料等を塗布あるいは含ませることにより形成される。
【0027】
表示部22からの光のうち、側面部41に向かう光は、図3に示す光線L1のように、側面反射部42で反射することで、本体部30の高さ方向及び水平方向に角度をなして進むことができる。また、表示部22からの光のうち、外郭部32に向かう光は、図3に示す光線L2のように、外郭部32の対向面反射部36で反射し、さらに本体部30の底面部43に設けられる底面反射部44で反射することで、本体部30の高さ方向及び水平方向に角度をなして進むことができる。
【0028】
表示部22からの光のうち、本体部30の外周側に向かう光の一部は、図3に示す光線L3のように、識別ラベル部50に到達し、識別ラベル部50の反射部51で反射する。これにより、表示部22からの光によって識別ラベル部50を光らせることができる。
【0029】
図4には、表示部22が光っている状態における火災感知器10の正面図を示している。この図に示すように、表示部22が光ることにより、表示部22だけではなく、側面部41の側面反射部42が設けられた部分や、底面部43の底面反射部44が設けられた部分、及び識別ラベル部50が、反射光によって光った状態となる。側面反射部42や底面反射部44で反射した光は、本体部30の水平方向にも角度をなして進むので、火災感知器10が建物の天井面に設置されている場合において、火災感知器10の斜め下方からでも光っていることを容易に視認できる。このため、表示部22による表示を、広い範囲から視認できる。
【0030】
また、識別ラベル部50が表示部22からの光によって光ることで、火災感知器10の設置時やメンテナンス時に表示部22を光らせることで、識別ラベル部50の視認性を向上させ、火災感知器10の種別を容易に視認できる。特に、火災感知器10が暗い場所に設置される場合などに、識別ラベル部50が光ることで、作業を容易にすることができる。
【0031】
また、識別ラベル部50は、表示部22からの光を受けることにより蓄光する蓄光部52を有するので、表示部22の光が消えた後も、しばらく継続して光ることができる。これにより、火災感知器10が暗所に設置される場合などにおいて、識別ラベル部50をより確実に視認でき、作業性をより向上できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用され得る。
【0033】
上述の実施形態における火災感知器10は、小型埋込み型であるが、これ以外のタイプの火災感知器にも、本発明を適用することができる。例えば、設置面に対して取付基部を介して固定される露出型の火災感知器に対しても、本発明を適用できる。また、上述の実施形態の火災感知器10は、熱を検出することで火災を検出するが、煙やガスを検出、あるいはこれらの組み合わせによる火災感知器であってもよく、種別は問わない。
【0034】
また、本体部30において、反射部は表示部22からの光を反射できる位置であれば、上述の実施形態の他にも任意に配置することができる。例えば、本体部30から立ち上がる側柱部31に反射部を設けてもよい。また、ガード部を構成する中央ガード部34のうち、本体部30側に向かう面に反射部を設けてもよい。また、表示部22の本体部30における位置及び数についても、任意に設定でき、それに応じて表示部22からの光を反射できる位置に反射部を設けることができる。
【0035】
また、上述の実施形態では、側面部41に側面反射部42を設け、外郭部32に対向面反射部36を、底面部43に底面反射部44を、それぞれ設け、識別ラベル部50に反射部51を設けているが、側面反射部42のみ、あるいは対向面反射部36と底面反射部44のみ、若しくは識別ラベル部50の反射部51のみ、設けてもよいし、これらのうち2つの反射部を設けてもよい。
【0036】
また、上述の実施形態では、各反射部は本体部30に貼付されるシールに設けているが、本体部30自体が反射材を有していてもよいし、本体部30に反射材を有する塗料を塗布するなど、その他の手法で反射部を設けてもよい。
【0037】
また、上述の実施形態では、凹部40の底面部43に底面反射部44を設けているが、火災感知器10の正面の各部材、例えば、側柱部31、外郭部32、ガード支持部33、中央ガード部34を透明の材質で形成し、本体部30内の発光部からの光を透過させるようにして、火災感知器10の正面側を光らせるようにしてもよい。
【0038】
また、上述の実施形態では、底面反射部44には、表示部22からの光の反射光が入射され、それを底面反射部44で反射しているが、表示部22からの光が底面反射部44に対し直接入射されるようにしてもよい。上述の実施形態において、表示部22は、本体部の正面側に向かって導光する正面側導光部と、側面反射部42に向かって導光する側面側導光部として機能する。図5には、別の形態の表示部22の説明断面図を示している。この図に示すように、表示部22の内部に屈折率の異なる導光路を設けることで、光を底面部43側の方向に直接向かわせることができる。表示部22には、両端部がそれぞれ発光部23側と底面反射部44側を向く湾曲状の底面側導光部22cが、導光路として設けられる。発光部23からの光の一部は、底面側導光部22cによって、底面部43側に出射され、底面反射部44で反射される。正面側及び側面側に対しては、導光路を経ることなく直接出射される。したがって、表示部22の正面側の面は、正面側導光部22aであり、表示部22の側面側の面は、側面側導光部22bである。このように、底面反射部44に向かって導光する底面側導光部22cを設けることにより、表示部22からの光が直接、底面反射部44に向かうようにすることができる。
【符号の説明】
【0039】
10 火災感知器
20 筐体
21 熱検出部
22 表示部
30 本体部
30a 背面部
30b 正面部
31 側柱部
32 外郭部
33 ガード支持部
34 中央ガード部
35 対向面部
36 対向面反射部
40 凹部
41 側面部
42 側面反射部
43 底面部
44 底面反射部
50 識別ラベル部
51 反射部
52 蓄光部
図1
図2
図3
図4
図5