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特開2023-93688新規グラフトポリマー、その製造方法及び使用、特に金属捕捉のための使用
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  • 特開-新規グラフトポリマー、その製造方法及び使用、特に金属捕捉のための使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093688
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】新規グラフトポリマー、その製造方法及び使用、特に金属捕捉のための使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 283/02 20060101AFI20230627BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20230627BHJP
   C08F 26/06 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C08F283/02
C08F2/44 C
C08F26/06
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071648
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2020519718の分割
【原出願日】2017-10-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2017年(平成29年)8月15日発行の「Journal of Colloid and Interface Science、第500巻、69~78頁、エルセビア発行」により公開
(71)【出願人】
【識別番号】520115576
【氏名又は名称】ユニベルシテ パリ-サクレー
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE PARIS-SACLAY
【住所又は居所原語表記】15, rue Georges Clemenceau, 91405 ORSAY CEDEX, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ロジェ,フィリップ、ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】マーズ,モハマド
(72)【発明者】
【氏名】ヌスリ,ビラル
(72)【発明者】
【氏名】エルゼイン,タマラ
(72)【発明者】
【氏名】バロッカ,ナディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ルポワットヴァン,ベネディクト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板にグラフトされた新規ポリマー、及び水媒体中の金属の捕捉、具体的には海水中又は原子力発電所からの最終放射性廃棄物中のウランの捕捉のための前記ポリマーの使用を提供する。
【解決手段】1~10,000の重合度nを有し、n個のモノマー単位を含み、支持体にグラフトされた、具体的には共有結合的にグラフトされたポリマーを含んでなる組成物であって、前記モノマー単位が、a)2位及び6位の炭素が次の群の置換基:カルボン酸、1~20炭素のエステルの1つにより置換している4-ビニルピリジン由来モノマー単位であるか、又はb)前記4-ビニルピリジン由来モノマー単位及びコモノマー由来モノマー単位であり、前記ポリマーは、金属と複合体化されていてもよく、直鎖状でも架橋していてもよい、組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~10,000の重合度nを有し、n個のモノマー単位を含み、支持体にグラフトされた、具体的には共有結合的にグラフトされたポリマーを含んでなる組成物であって、前記モノマー単位が
・2位及び6位の炭素が次の群の置換基:カルボン酸、1~20炭素のエステルの1つにより置換している4-ビニルピリジン由来モノマー単位であるか、又は
・前記4-ビニルピリジン由来モノマー単位及びコモノマー由来モノマー単位であり、
但し、前記4-ビニルピリジン由来モノマー単位は重合度nの少なくとも20%を表し、
前記ポリマーは、金属と複合体化していてもよく、
前記ポリマーは直鎖状であるか又は架橋しており、
前記ポリマーは支持体に不可逆的に結合されている、組成物。
【請求項2】
前記ポリマーが式I
【化1】
(式中、
・Suはポリマーがグラフトされた支持体であり、
・Aは重合開始剤に由来する化合物であり、
・Tは、支持体とポリマー開始剤に由来する化合物との間、又は支持体と最初のモノマー単位との間を連結する化合物であり、
・R4は、重合開始剤に由来し又はせずに重合を伝播させる化合物、重合を停止させる化合物、又は移動剤であり、
・t、a及びrは、同一であるか又は異なって、0又は1であり、
・iは1~n(n=1~10,000)の間で変化する正の整数である添数字であり、
各iについて
・Ri,1及びRi,2は、次の群:カルボン酸、1~20炭素のエステルから選択される置換基であり、
・Biは、架橋ブリッジを形成するか又はしないコモノマー由来モノマー単位であり、
・Miは金属カチオンであり、
・niは0超1以下の正数であり、miは0以上1未満の正数であり、
・ni+mi=1、
・xiは0~6の数であり、
・piは-6~+6である金属複合体の電荷であり、
架橋ブリッジを形成するBiが存在しないとき、前記ポリマーは直鎖状であり、
2つの直鎖状ポリマー間に架橋ブリッジを形成するBiが少なくとも1つ存在するとき、前記ポリマーは架橋している)
のものである、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式II
【化2】
(式中、
・Su、Ri,1、Ri,2、T、A、ni、mi、R4、Mi、t、a、r、xi、pi及びiの定義は請求項2に記載のとおりであり、
・Biは、架橋ブリッジを形成しないコモノマー由来モノマー単位である)
のものである、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式III
【化3】
(式中、
・Su、Ri,1、Ri,2、T、A、R4、Mi、t、a、r、xi、pi及びiの定義は請求項2に記載のとおりである)
のものである、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
式IV
【化4】
(式中、
・Su、T、A、R4、Mi、t、a、r、xi、pi及びiの定義は請求項2に記載のとおりであり、
・R1及びR2は、次の群:カルボン酸、1~20炭素のエステルから選択される置換基である)
のものである、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
式V
【化5】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は請求項2に記載のとおりであり、
・nは請求項1に定義したとおりであり、
・Mは金属カチオンであり、
・xは0~6の数であり、
・pは-6~+6である金属複合体の電荷である)
のものである、支持体にグラフトされたホモポリマーを含んでなる請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
式VI
【化6】
(式中、
Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は請求項2に記載のとおりであり、
nは請求項1に定義したとおりである)
のものである、支持体にグラフトされたホモポリマーを含んでなる請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
式XII
【化7】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は請求項2に記載のとおりであり、nは請求項1に定義したとおりである)
のものである、支持体にグラフトされたホモポリマーを含んでなる請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
式XIII
【化8】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は請求項2に記載のとおりであり、
・nは請求項1に定義したとおりであり、
・xUは0~6の数である)
のものである、支持体にグラフトされ、ウランと複合体化されたホモポリマーを含んでなる請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも1つのコモノマー由来モノマー単位を有する、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
コモノマー由来モノマー単位の割合が0%を超え80%以下である、支持体にグラフトされたコポリマーを含んでなる請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
式XVIII
【化9】
(式中、
・Su、T、A、R1、R2、R4、t、a及びrの定義は請求項2に記載のとおりであり、
・R1及びR2は、次の群:カルボン酸、1~20炭素のエステルから選択される置換基であり、
・Bはコモノマー由来モノマー単位であり、
・dは、4-ビニルピリジン由来モノマー単位からなるブロックの重合度であり、dは整数であり、
・cは、コモノマー由来モノマー単位からなるブロックの重合度であり、cは整数であり、
・d+c=n)
のものである、支持体にグラフトされた2ブロックコポリマーを含んでなる請求項10又は11に記載の組成物。
【請求項13】
式XIX
【化10】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は請求項2に記載のとおりであり、
・c及びdの定義は請求項12に記載のとおりである)
のものである、支持体にグラフトされた2ブロックコポリマーを含んでなる請求項10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
式XX
【化11】
(式中、
・Suはポリマーが固定された支持体であり、
・wは、1~添数字0のポリマーと架橋しているポリマーの数(1~1,000)の間で変化する正の整数である添数字であり、
・A0及びAwは、重合開始剤に由来する化合物であり、
・T0及びTwは、支持体と重合開始剤に由来する化合物との間、又は支持体とそれぞれの最初のモノマー単位との間を連結する化合物であり、
・R4,O及びR4,Wは、重合開始剤に由来し又はせずに重合を伝播させる化合物、重合を停止させる化合物、又は移動剤であり、
・t0、a0、r0、tw、aw及びrwは、同一であるか又は異なって、0又は1であり、
・i及びj,wは、それぞれ1~ni及び1~nj,w(ni及びnj,wは1~9999である)の間で変化する正の整数である添数字であり、
・ni+nj,w=nであり、nは3~10,000の範囲であり、
各i及び各j,wについて
・Ri,1、Ri,2、Rj,w,1及びRj,w,2は次の群:カルボン酸、1~20炭素のエステルから選択される置換基であり、
・Bi,j,wはi位のポリマー0とj位の添数字wのポリマーとの間の架橋ブリッジを形成するコモノマー由来モノマー単位であり、
・Ci及びCj,wは、架橋ブリッジを形成しないコモノマー由来モノマー単位であり、
・ni、mi、oi、nj,w、mj,w及びoj,wは0又は1に等しい整数であり、
・ni+mi+oi=1
・nj,w+mj,w+oj,w=1であり、
・oj,wの合計は0ではなく、oiの合計は0ではない)
のものである、支持体にグラフトされた架橋コポリマーを含んでなる請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項15】
式XXI
【化12】
(式中、
・Su、w、T0、Tw、A0、Aw、R4,0、R4,w、t0、a0、i、j、w、ni、mi、oi、nj,w、mj,w、oj,w、r0及びrwの定義は請求項14に記載のとおりである)
のものである、支持体にグラフトされた架橋コポリマーを含んでなる請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
金属と複合体化した、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1~6及び10~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
アクチニド、ランタニド又は遷移金属から選択される金属と複合体化した、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
ウランと複合体化した、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
水溶液中又は海水中で溶媒和する、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
水溶液中で溶媒和するか又はしない、金属と複合体化した、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
金属と複合体化していないとき水溶液中で溶媒和し、金属と複合体化しているとき溶液中で溶媒和しない、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
有機溶媒中で溶媒和する、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
支持体Suがポリ塩化ビニル-ポリ塩化ビニリデン(PVC-co-PVDC)コポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、PET又はSiO2から選択される、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項1~22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
化合物Tがヒドロキシ又は式XXII
【化13】
の化合物から選択される、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項2又は請求項2を引用する請求項3~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
Aが4-(クロロメチル)ベンゾイルクロリド、塩化ベンジル、AIBN、メチル-2-ブロモ-2-メチルプロパノエート又は式XXIII
【化14】
の化合物から選択される重合開始剤に由来する、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項2又は請求項2を引用する請求項3~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
化合物R4が塩素原子又は式XXIV
【化15】
の化合物から選択される、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなる請求項2又は請求項2を引用する請求項3~25のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規グラフトポリマー、その製造方法及び使用、特に金属捕捉のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の方式(採鉱)で確認されているウランは約一世紀で消費される非再生資源である。ウラン不足を克服する方法としては2つの可能性がある
・海水中の溶存ウランから集める
・最終廃棄物による核分裂性物質の損失を減らす使用済み燃料のリサイクル。
海中の推定核燃料量は45兆トン(陸上の約10倍の量)であり、これは千年以上の消費量になり、興味深い資源である。近年、研究が加速して3.3ppbの海水からウランを回収する簡単な方法が発見さている。
【0003】
新素材として一般的にはポリマーが海水ウランの捕捉用に開発されている。このポリマーは海水に浸漬されるとウラン-ポリマー複合体を形成して海水からウランの抽出を可能にする。このポリマーの再処理により水からウランを複合体解離して回収できる。しかしポリマーの毒物の存在は、かかる方法の有効性を低下させる。海水中のバナジウムのウランとの競合に加えて、ウランの代わりに現行のポリマーと複合体化によりポリマーの回収能力が限定される。
原子力発電所からの使用済燃料の再処理はラウンのライフサイクルにすでに組み込まれている。現在のウラン再処理はDIAMEX又はPUREX方法など、複合体生成化合物の存在での液-液抽出法に基づく。この方法は毒性化合物を使用して高コストである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、新規な支持体グラフト化ポリマー(支持体にグラフトされたポリマー)に関し、該ポリマーは、それが見出される媒体の状態に応じて溶媒和され得又は溶媒和され得ず、容易に或る状態から別の状態に移行する。
本発明の別の態様は、金属、特にそれらが見出される媒体中に微量に存在する金属と複合体化することができる新規支持体グラフト化ポリマーに関する。
本発明の別の態様は、金属、特にウラン、特に海水中のウランを捕捉する方法に関する。
本発明の別の態様は、海水中のウランを、高収率で、選択的に捕捉する方法に関する。
本発明の別の態様は、未反応の核分裂性物質の回収を目的とする使用済み核燃料の再処理方法に関する。
本発明の別の態様は、不均一触媒反応における触媒としての、金属と複合体化した、支新規持体グラフト化ポリマーの使用に関する。本発明の別の態様は、バイオメディカル分野における細胞標識のため又は模造品に対抗する分野における贅沢品の標識のための新規支持体グラフト化ポリマーの使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、走査形電子顕微鏡観察により得られた、グラフト前のPVC-co-PDVCファイバ(PVC/PDVC=7/3)の画像を示す。ファイバの平均直径は12μmである。
図2図2は、走査形電子顕微鏡観察により得られた、ポリ(2,6-ジカルボン酸-4-ビニルピリジン)のグラフト後のPVC-co-PDVCファイバ(PVC/PDVC=7/3)の画像を表す。ファイバの平均直径は23μmである。
図3図3Aは、UO2(NO3)2のみを含む中性pHの硝酸ウラニルの溶液を示す。(Cウラニル=1mM、λ=254nm、室温)。図3Bは、UO2(NO3)2及び図2のPVC-co-PDVC支持体にグラフトされたポリ(2,6-ジカルボン酸-4-ビニルピリジン)を含む中性pH溶液中の硝酸ウラニル形態でのウラン取り込み試験を表す。(Cウラニル=1mM、mポリマー=15mg、λ=254nm、室温)。このファイバのグラフト度は40%である。(グラフト度=100×ファイバの質量増加/グラフト前のファイバの質量)。ウランイオンは検出限界(>98%)内で完全に捕捉された。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、支持体にグラフトされたポリマー、具体的には支持体に共有結合的にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる組成物に関し、前記ポリマーは、1~10,000の重合度nを有し、n個のモノマー単位を含み、該モノマー単位が
・2位及び6位の炭素が次の群の置換基:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンの1つにより置換していてもよい4-ビニルピリジン由来モノマー単位(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)であるか、又は
・コモノマー由来モノマー単位であり、
但し、2つの置換基は同時に水素でなく、
但し、4-ビニルピリジン由来モノマー単位は少なくとも20%の重合度nを表し、
前記ポリマーは、金属と複合体化していてもよく、
前記ポリマーは直鎖状であるか又は架橋しており、
前記ポリマーは支持体に不可逆的に連結している。
【0007】
本発明に用いるポリマーは、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基及び当該ポリマーの成分モノマー単位の構成に応じて異なる溶媒和特性を有するという利点がある。例えば、全てのモノマー単位の2位及び6位の置換基がカルボン酸基であるとき、得られる(支持体無しの)ポリマーの溶媒和は、溶液のpHにより変化する。中性又は塩基性媒体中で、ポリマーは水性媒体に溶媒和される。非常に酸性の水性媒体中では、ポリマーはもはや溶媒和され得ない。この特性により、得られたポリマーの溶媒和を容易に変化させることができ、金属の捕捉のためにポリマーの挙動を変更することができる。
本発明のポリマーは、支持体にグラフトされており、このためポリマーを容易に不動化できるという利点を有する。よって、溶液中のポリマーの回収又は反応器中でのその保存が、遊離ポリマーと比較して、不均一触媒反応の場合には特に、容易となる。
本発明のポリマーは、20%を超える、特に30%を超える、特に40%を超える、特に50%を超える、特に60%を超える、特に70%を超える、特に80%を超える、特に90%を超える、特に100%の4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含む。
本発明のポリマーは順応性があり、遭遇する困難に対応して最適化できる。例えば、2位及び6位の置換基が非常に嵩高い場合、スペーサコモノマーを相当な割合(>50%)で添加することができ、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の周りの立体障害を制限する。
【0008】
本発明のポリマーは下に記載のいずれかを含むことができる
a)コモノマー由来モノマー単位を含まない、単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位、この場合、ポリマーはホモポリマーである
b)単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び単一タイプのコモノマー由来モノマー単位、この場合、ポリマーはコポリマーである
c)単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び異なるコモノマーに由来する複数のタイプのモノマー単位、この場合、ポリマーはコポリマーである
d)コモノマー由来モノマー単位を含まない、複数の異なるタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位、
e)複数の異なるタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び単一タイプのコモノマー由来モノマー単位、この場合、ポリマーはコポリマーである
f)異なる4-ビニルピリジンに由来する複数のタイプのモノマー単位及び異なるコモノマーに由来する複数のタイプのモノマー単位、この場合、ポリマーはコポリマーである。
【0009】
本発明のポリマーは、金属と複合体化しているか又はしていない、例えば複合体
【化1】
(各モノマー単位は、互いに独立して、金属と複合体化していてもよいし、複合体化していなくてもよい)
である。
【0010】
本発明によれば、用語「ポリマー」は、モノマー単位の鎖を意味する。本発明のポリマーを形成するモノマー単位の数は1であり得る。よって、支持体にグラフトされたモノマーは、本発明の一部を構成する。下記では、用語 ポリマーは支持体を含まない。
本発明によれば、用語「支持体」は、ポリマーが直接又は間接に結合される物質であって、該ポリマーの不動化を可能にする物質を意味する。支持体は、ポリマーの合成に直接使用可能であるか、又は本発明のポリマーをグラフト可能なように若しくはポリマーの合成に使用可能なように変換することができる。支持体は、保存条件下及びポリマー使用条件下で、安定で不溶である。
本発明によれば、用語「支持体にグラフトされたポリマー」は、ポリマー、該ポリマーが結合した支持体、及び該結合が間接的である場合、前記ポリマーと前記支持体との間の任意成分のリンカーにより形成される組立体を意味する。
【0011】
本発明によれば、用語「ホモポリマー」は、当該ポリマーの全ての成分モノマー単位が同じ式を有するポリマー、換言すれば、全てのモノマー単位が4-ビニルピリジン由来モノマー単位であり、全ての4-ビニルピリジン由来モノマー単位が2位及び6位に同じ置換基を有するポリマーを意味する。モノマー単位に複合体化していてもよい金属は、同一ホモポリマー内で変化することができる。同じ酸-塩基カップルの結合形態はホモポリマーの概念に関しては同一であるとみなす。例えば、第1のモノマー単位にCOOH基を有し、第2のモノマー単位にCOO-基を有するポリマーは、依然としてホモポリマーとみなされる。
本発明によれば、用語「コポリマー」は、少なくとも1つのモノマー単位がコモノマー由来であり、少なくとも1つのモノマー単位が4-ビニルピリジン由来であるポリマーを意味する。
【0012】
本発明によれば、用語「4-ビニルピリジン誘導体」は、式
【化2】
(式中、Ri,1及びRi,2は、次の群の置換基:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンの1つにより置換していてもよい)
の化合物(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)を意味する。
【0013】
本発明によれば、用語「4-ビニルピリジン由来モノマー」は、式
【化3】
(式中、Ri,1及びRi,2の定義は上記のとおりである)
の化合物を意味すると理解される。
【0014】
本発明によれば、用語「コモノマー」は、式
【化4】
(式中、Biは4-ビニルピリジン誘導体とは異なる)
の化合物を意味する。
【0015】
本発明によれば、用語「4-ビニルピリジン由来モノマー単位」は、当該ポリマーを構成する基本構成要素
【化5】
(Ri,1及びRi,2は上記のとおりである)
を意味する。
【0016】
本発明によれば、用語「コモノマー由来モノマー単位」は、当該ポリマーを構成する式
【化6】
(式中、Biは4-ビニルピリジン誘導体とは異なる)
の基本構成要素を意味する。
【0017】
本発明によれば、用語「支持体に不可逆的に結合」は、使用条件下でポリマーが支持体から脱離し得ないことを意味する。
本発明によれば、用語「直鎖状ポリマー」は、全てのモノマー単位が一方向に連結されて、分岐も架橋も無い鎖を形成しているポリマーを意味する。
本発明によれば、用語「架橋ポリマー」は、少なくとも1つの直鎖状ポリマーが少なくとも1つの架橋ブリッジにより連結されているポリマーであって、該架橋ブリッジが2つの直鎖状ポリマーの少なくとも1つに属するコモノマー由来モノマー単位により形成され、該コモノマー由来モノマー単位が別の直鎖状ポリマーの炭素鎖に共有結合しているポリマーを意味する。
【0018】
本発明によれば、用語「炭素鎖」は、当該ポリマーを構成するモノマーの炭素-炭素二重結合による重合の間に形成される線状の炭素配列を意味する。
本発明によれば、用語「1~20炭素のアルキル基」は、1~20炭素を含む、直鎖状又は分岐状の非環式飽和炭素鎖を意味する。1~20炭素のアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。アルキル基内で、1以上の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロ、カルボン酸、カルボン酸エステル、ホスフィン、チオールなどから選択される基により置換され得る。
本発明によれば、用語「2~20炭素のアルケン基」は、2~20炭素原子を含み、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖状又は分岐状の非環式炭素鎖を意味する。2~20炭素のアルケン基の例は、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられる。アルケン基内で、1以上の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロ、カルボン酸、カルボン酸エステル、ホスフィン、チオールなどから選択される基により置換され得る。
【0019】
本発明によれば、用語「2~20炭素のアリール基」は、環中にヘテロ原子が存在しない、少なくとも1つの飽和環又は部分飽和環を含み、2~20炭素原子を含む炭素鎖を意味する。2~20炭素のアリール基の例は、フェニル基、ペンジル基などが挙げられる。アリール基内で、1以上の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロ、カルボン酸、カルボン酸エステル、ホスフィン、チオールなどから選択される基により置換され得る。
本発明によれば、用語「1~5環の複素環」は、1~5の飽和環又は部分飽和環を含み、炭素とは異なる環形成原子を含む少なくとも1つの環を有し、2~20炭素原子を含む炭素鎖を意味する。2~20炭素原子を含む複素環は、ピロリジニル、ピペリジニルなどが挙げられる。複素環内で、1以上の水素は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロ、カルボン酸、カルボン酸エステル、ホスフィン、チオールなどから選択される基により置換され得る。
本発明によれば、用語「1~20炭素のチオール」は、式SR2の、1~20炭素を含む炭素鎖を意味する。
本発明によれば、用語「1~20炭素のホスフィン」は、式PR3の1~20炭素を含む炭素鎖を意味する。
【0020】
特定の実施形態によれば、本発明は、上記のとおり、1~10,000の重合度nを有し、n個のモノマー単位を含み、支持体にグラフトされた、具体的には共有結合的にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなり、前記モノマー単位が
・2位及び6位の炭素が次の群の置換基:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンの1つにより置換していてもよい4-ビニルピリジン由来モノマー単位(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)であるか、又は
・コモノマー由来モノマー単位であり、
但し、選択された置換基の一方が水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基又は1~4炭素のアルケン基を表す場合、他方の置換基は水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基及び1~4炭素のアルケン基のいずれとも異なり、
但し、4-ビニルピリジン由来モノマー単位は少なくとも20%の重合度nを表し、
前記ポリマーは、金属と複合体化していてもよく、
前記ポリマーは直鎖状又は架橋であり、
前記ポリマーは支持体に不可逆的に結合されている。
【0021】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、支持体にグラフトされており、1以上のタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び1以上のタイプのコモノマー由来モノマー単位を有するポリマーであって、1以上の金属と複合体化しているか又はしていないポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0022】
本発明の組成物は、式I
【化7】
(式中、
・Suはポリマーがグラフトされた支持体であり、
・Aは重合開始剤に由来する化合物であり、
・Tは、支持体と、ポリマー開始剤に由来する化合物との間、又は支持体と最初のモノマー単位との間を連結する化合物であり、
・R4は、重合開始剤に由来し又はせずに重合を伝播させる化合物、重合を停止させる化合物、又は移動剤であり、
・t、a及びrは、同一であるか又は異なって、0又は1であり、
・iは1~n(n=1~10,000)の間で変化する正の整数である添数字であり、
各iについて
・Ri,1及びRi,2は、次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)であり、
但し、Ri,1が水素を表すとき、Ri,2は水素とは異なり、Ri,2が水素を表すとき、Ri,1は水素とは異なり、
・Biは、架橋ブリッジを形成するか又はしないコモノマー由来モノマー単位であり、
・Miは金属カチオンであり、
・ni及びmiは0又は1に等しい整数であり、
・ni+mi=1、
・xiは0~6の数であり、
・piは-6~+6である金属複合体の電荷である)
の支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなり、架橋ブリッジを形成するBiが存在しないとき、前記ポリマーは直鎖状であり、2つの直鎖状ポリマー間に架橋ブリッジを形成するBiが少なくとも1つ存在するとき、前記ポリマーは架橋している。
【0023】
この実施形態において、式Iの支持体にグラフトされたポリマーは、例えば、下に記載のとおりであり得る:
・少なくとも1つのタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び少なくとも1つのタイプのコモノマー由来モノマー単位を含むポリマー
・少なくとも2つのタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含み、コモノマー由来モノマー単位を含まないポリマー
・単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含むホモポリマー、
これらポリマーは金属と複合体化しているか、又はしていない。
この実施形態において、式Iの支持体にグラフトされたポリマーは、コポリマーの任意の構成形態、具体的にはランダムポリマー、ブロックコポリマー、周期コポリマー又はランダムコポリマーを取り得る。これらポリマーは、それ自体が直鎖状又は架橋であり得、金属と複合体化していてもよいし、していなくてもよい。
この実施形態において、式Iの支持体にグラフトされたポリマーを形成する各モノマー単位は、該モノマー単位及びそれ自体荷電した複合体化金属の有無に依存して正又は負に荷電し得る。
【0024】
この実施形態において、支持体はポリマーに
・直接、又は
・支持体とポリマーとの間を連結する単一化合物Tにより、又は
・重合開始剤に由来し、支持体とポリマーとの間を連結する単一化合物Aにより、又は
・重合開始剤に由来し、支持体とポリマーとの間のリンカーとして働く化合物Aに結合する化合物Tにより
共有結合しており、ポリマーの末端は
・ポリマー鎖の最後の炭素(式Iにおいてr=0を意味する)であるか、又は
・重合を伝播させる化合物、例えば塩素原子Clであるか、又は
・重合を停止させる化合物であるか、又は
・移動剤、例えばベンジルベンゾジチオエートである。
この実施形態において、化合物Tは
・支持体の化合物、及び/又は
・支持体表面を修飾して表面結合性部位を創出する化合物
であり得る。
【0025】
この実施形態において、例えば、支持体がシリカSiO2である場合、支持体の表面は、支持体表面にSiOH部位の形成を可能にするH2SO4/H2O2の混合物で前処理される。この場合、化合物T(ここではSiOH)は支持体に由来する化合物である。
この実施形態において、例えば、支持体がポリエチレンテレフタレート(PET)である場合、支持体表面はポリエチレンイミンで前処理される。この化合物は、支持体表面の結合を開裂して該支持体に結合し、このことにより、前処理された支持体表面に多くのNH2及びNH結合部位が創出される。この場合、化合物Tは、表面を修飾する化合物及び支持体に由来する化合物からなる。
【0026】
本発明によれば、用語「結合(性)部位」は、支持体表面に位置する部位であって、化合物、特に重合開始剤又はモノマー単位又は本発明のポリマーが結合する部位を意味する。
本発明によれば、用語「重合開始剤」は、重合を開始させることができる化合物を意味する。開始後、最終ポリマーを構成するモノマーはこの化合物に対して反応する。
本発明によれば、用語「重合を伝播させる化合物」は、1つのモノマーと反応して、形成されるポリマーの重合度を1だけ増加させることができる化合物を意味する。
本発明によれば、用語「重合を停止させる化合物」は、重合を継続させるようにモノマーと反応することができず、再刺激されない化合物を意味する。
本発明によれば、用語「移動剤」は、単独では重合を継続させるようにモノマーと反応できない化合物であるが、反応媒体中のラジカル化合物により刺激されて、重合を伝播させる化合物となり得る化合物を意味する。RAFT「移動剤」として、例えば、式R-S-C(=S)-Zの化合物(例えばベンジルベンゾジチオエート)に言及し得る。
【0027】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、1以上のタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び1以上のコモノマー由来モノマー単位を有するポリマーであって、支持体にグラフトされた、1以上の金属と複合体化しているか又はしていない非架橋の直鎖状ポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0028】
本発明の組成物は、式II
【化8】
(式中、
・Su、Ri,1、Ri,2、T、A、ni、mi、R4、Mi、t、a、r、xi、pi及びiの定義は式Iに記載のとおりであり、
・Biは、架橋ブリッジを形成しないコモノマー由来モノマー単位である)
の、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、架橋の不在により、ポリマーの溶媒和が増加する。
【0029】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、1以上のタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有し、コモノマー由来モノマー単位を有さないポリマーであって、支持体にグラフトされた、1以上の金属と複合体化しているか又はしていない非架橋の直鎖状ポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0030】
本発明の組成物は、式III
【化9】
(式中、
・Su、Ri,1、Ri,2、T、A、R4、Mi、t、a、r、xi、pi及びiの定義は式Iに記載のとおりである)
の、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる
【0031】
この実施形態において、コポリマーの不在は、支持体にグラフトされたポリマーによる金属捕捉の能力を増加できる。モノマー単位の100%が、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である4-ビニルピリジン由来モノマー単位である場合、金属との複合体化能力は、50%のコポリマー由来モノマー単位を含むポリマーの複合体化能力と比較して二倍になる。
この実施形態において、異なる4-ビニルピリジンに由来する複数のモノマー単位を有することが可能であれば、モノマー単位に応じて異なる金属と複合体化することができるか、又はモノマー単位に応じて同一金属と種々に複合体化することができる。この違いにより、同一ポリマー上に異なる触媒部位が得られ、単一の触媒で複数の異なる触媒部位が要求される触媒反応を実施できる。
【0032】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有し、コモノマー由来モノマー単位を有しないポリマーであって、支持体にグラフトされた、1以上の金属と複合体化しているか又はしていない非架橋の直鎖状ポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0033】
本発明の組成物は、式IV
【化10】
(式中、
・Su、T、A、R4、Mi、t、a、r、xi、pi及びiの定義は式Iに記載のとおりであり、・R1及びR2は次の群:
水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)であり、
但し、R1が水素を表す場合、R2は水素と異なり、R2が水素を表す場合、R1は水素と異なる)
の、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0034】
この実施形態において、式IVの支持体にグラフトされたポリマーはホモポリマーである。
この実施形態において支持体にグラフトされたポリマーは単一作用に最適化され得る。例えば、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である4-ビニルピリジン由来モノマー単位のみを含むポリマーは、水溶液中のウラニルイオン捕捉に最適な活性を示す。
【0035】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有し、コモノマー由来モノマー単位を有しないポリマーであって、支持体にグラフトされた、単一の金属と複合体化しているか又はしていない非架橋の直鎖状ポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0036】
本発明の組成物は、式V
【化11】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は式Iに記載のとおりであり、
・Mは金属カチオンであり、
・xは0~6の数であり、
・pは-6~+6の金属複合体の電荷である)
の、支持体にグラフトされたケリダム酸ホモポリマーを含んでなるか又は該ホモポリマーからなる。
【0037】
この実施形態において、式Vの支持体にグラフトされたポリマーは、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有するホモポリマーである。
この実施形態において、式Vの支持体にグラフトされたポリマーの成分モノマー単位は、全てが同一金属と複合体化しているか、又は全てが複合体化していない。
この実施形態において、式Vの支持体にグラフトされたポリマーの成分モノマー単位は全てが同一電荷を有する。
この実施形態において、式Vの成分ポリマーは、水生媒体のpH条件に依存した溶解性及び溶液中に任意に存在していてもよい金属と複合体化する能力を有して、水性媒体において容易に溶媒和することができるという利点を有する。
【0038】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有し、コモノマー由来モノマー単位を有しないポリマーであって、支持体にグラフトされた、金属と複合体化していない非架橋の直鎖状ポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0039】
本発明の組成物は、式VI
【化12】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は式Iに記載のとおりである)
の、支持体にグラフトされたケリダム酸ホモポリマー、
具体的には、式VII、式VIII、式IX、式X及び式XI
【化13】
【化14】
(式中、
・R4、A、T、a、t及びrの定義は式Iに記載のとおりであり、
・n1、n2及びn3は0又は1に等しい整数であり、
・M及びmは0でない整数であり、
・式VIIIにおいて、n1+n2=n、
・式IXにおいて、n1+n2+n3=n、
・式Xにおいて、n2+n3=n。)
の、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ホモポリマーからなる。
【0040】
この実施形態において、式VIの支持体にグラフトされたポリマーは、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含み、金属と複合体化していないホモポリマーである。
この実施形態において、式VIの支持体にグラフトされたポリマーは、ポリマーが見出される溶液のpHに応じて変化する。よって、式VIの支持体にグラフトされたポリマーは下式の1つである:
・非常に酸性である媒体中で:式VIIの支持体にグラフトされたポリマー
・pHを僅かに増大させると:式VIIIの支持体にグラフトされたポリマー
・pHを増大し続けると:式IXの支持体にグラフトされたポリマー
・pHを更に増大し続けると:式Xの支持体にグラフトされたポリマー
・中性及び塩基性媒体中で:式XIの支持体にグラフトされたポリマー。
この実施形態において、式VIIIの支持体にグラフトされたポリマーの比n1/n2、式IXの支持体にグラフトされたポリマーの比n1/n2及びn1/n3並びに式Xの支持体にグラフトされたポリマーの比n2/n3は、溶液のpHに依存する。式VIII、式IX及び式Xのポリマー中のn1、n2及びn3間の比の変動は、ポリマーの全体電荷、ポリマーの溶媒和能力及びポリマーの金属と複合体化する能力に影響する。
【0041】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、2位及び6位の2つの置換基がメチルエステル基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有し、コモノマー由来モノマー単位を有しない、支持体にグラフトされたポリマーであって、金属と複合体化していない非架橋の直鎖状ポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0042】
本発明の組成物は、式XII
【化15】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は式Iに記載のとおりである)
の、支持体にグラフトされたホモポリマーを含んでなるか又は該ホモポリマーからなる。
【0043】
この実施形態において、式XIIの支持体にグラフトされたホモポリマーは、2位及び6位の2つの置換基がメチルエステル基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有するホモポリマーである。
この実施形態において、式XIIの支持体にグラフトされたポリマーを形成するいずれのモノマー単位も、金属と複合体化していない。
この実施形態において、得られるポリマーは、有機溶液、例えばDMSO及びアセトニトリルにおいて溶媒和される。この特性により、2位及び6位の2つの置換基がメチルエステル基である4-ビニルピリジン由来モノマーの容易な重合が可能になる。
【0044】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有し、コモノマー由来モノマー単位を有しない支持体にグラフトされたポリマーであって、ウランと複合体化した非架橋の直鎖状ポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0045】
本発明の組成物は、式XIII
【化16】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は式Iに記載のとおりであり、
・xUは0~1の数である)
のウランと複合体化した、支持体にグラフトされたケリダム酸ホモポリマー、具体的には式VII、式XIV、式XV、式XVI及び式XVII
【化17】
【化18】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は式Iに記載のとおりであり、
・n1、n2及びn3は0でない整数であり、
・式XIVにおいて、n1+n2=n、
・式XVにおいて、n1+n2+n3=n、
・式XVIにおいて、n2+n3=n)
の支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ホモポリマーからなる。
【0046】
この実施形態において、式XIIIの支持体にグラフトされたポリマーは、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含み、各モノマー単位がウラニルカチオンと複合体を形成してもしなくてもよい支持体にグラフトされたホモポリマーである。
この実施形態において、式XIIIの支持体にグラフトされたポリマーは、ポリマーが見出される溶液のpHに応じて変化する。よって、式XIIIの支持体にグラフトされたポリマーは、下記式の1つを有する:
・非常に酸性である媒体中で:式VIIの支持体にグラフトされたポリマー
・pHを僅かに増大させると:式XIVの支持体にグラフトされたポリマー
・pHを増大し続けると:式XVの支持体にグラフトされたポリマー
・pHを更に増大し続けると:式XVIの支持体にグラフトされたポリマー
・中性及び塩基性媒体中で:式XVIIの支持体にグラフトされたポリマー。
【0047】
この実施形態において、式XIVの支持体にグラフトされたポリマーの比n1/n2、式XVの支持体にグラフトされたポリマーの比n1/n2及びn1/n3並びに式XVIの支持体にグラフトされたポリマーの比n2/n3は溶液のpHに依存する。式XIV、式XV及び式XVIの支持体にグラフトされたポリマー中のn1、n2及びn3間の比の変動は、ポリマーの全体電荷、ポリマーの溶媒和能力及びポリマーの金属と複合体化する能力に影響する。
この実施形態において、例えば、ウラニルイオンを含む中性pH溶液中で、式Vの成分ポリマーは溶媒和して式XIの成分ポリマーになる。このポリマーはウラニルイオンと複合体化して、沈殿する式XVIIのポリマーになる。次に、式XVIIの成分ポリマーを強酸性pHの水溶液中に置く。このポリマーは反応して、ウラニルイオンを放出する一方、式VIIの成分ポリマーになる。式VIIの成分ポリマーはもはや溶媒和せず沈殿する。
【0048】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、少なくとも1つのコモノマー由来モノマー単位、具体的にはスチレン、アクリル酸又はtert-ブチルアクリレート由来のモノマー単位を有する支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、ポリマーは、少なくとも1つのコモノマー由来モノマー単位を含み、具体的にはこのコモノマーはスチレン、アクリル酸又はtert-ブチルアクリレートである。
この実施形態において、コモノマーは、
・複合体化部位への金属のより容易なアクセスを可能にする4-ビニルピリジン由来モノマー単位の周りの立体障害を減少させることによるスペーサとして、又は
・ポリマーの特性、特に放射抵抗性又は熱抵抗性を改変する薬剤として
作用する。
【0049】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、コモノマー由来モノマー単位の割合が0%を超え80%以下である支持体にグラフトされたコポリマーを含んでなるか又は該コポリマーからなる。
この実施形態において、ポリマーは少なくとも1つのコモノマー由来モノマー単位を含むが、コモノマー由来モノマーの割合は、0%を超え80%以下、特に0%を超え10%以下、0%を超え20%以下、0%を超え30%以下、0%を超え40%以下、0%を超え50%以下、0%を超え60%以下、0%を超え70%以下、0%を超え80%以下の全ての値をとり得る。
【0050】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び単一タイプのコモノマー由来モノマー単位を有し、支持体にグラフトされた、金属と複合体化していない非架橋の直鎖状ブロックポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0051】
本発明の組成物は、式XVIII
【化19】
(式中、
・Su、T、A、R1、R2、R4、t、a及びrの定義は式IVに記載のとおりであり、
・Bはコモノマー由来モノマー単位であり、
・dは、4-ビニルピリジン由来モノマー単位からなるブロックの重合度であり、dは整数であり、
・cはコモノマー由来モノマー単位からなるブロックの重合度であり、cは整数であり、・c+d=n)
の2ブロックコポリマーを含んでなるか又は該2ブロックコポリマーからなる。
【0052】
本発明によれば、用語「ブロックコポリマー」は、少なくとも1つのモノマー単位がコモノマー由来であり、同じ式のモノマー単位が互いに連結しているポリマーを意味する。
この実施形態において、ポリマーは、第1のブロックは全てがコポリマー由来モノマー単位を含み、第2のブロックは全てが4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含むブロック形態で重合されている。
この実施形態において、ポリマーは、各ブロックの特徴及び特性を有する。支持体が水中で安定でないが、グラフトされたポリマーを水性媒体中で用いなければならない場合、支持体近傍の疎水性ブロックにより水の作用から支持体を保護することができる一方、外側のブロックが水性媒体中で活性であり得る。特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、下記の支持体にグラフトされたポリマーのいずれかを含むか又は該ポリマーからなる:
・2位及び6位の2つの置換基がメチルエステル基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び単一タイプのコモノマー(スチレン)由来のモノマー単位を有し、金属と複合体化していない非架橋の直鎖状ブロックポリマー、又は
・2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び単一タイプのコモノマー(スチレン)由来のモノマー単位を有し、金属と複合体化していない非架橋の直鎖状ブロックポリマー。
【0053】
本発明の組成物は、式XIXa及びXIXb
【化20】
(式中、
・Su、T、A、R4、t、a及びrの定義は式Iに記載のとおりであり、
・c及びdの定義は式XVIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされた2ブロックコポリマーを含んでなるか又は該2ブロックコポリマーからなる。
【0054】
この実施形態において、ポリマーは、第1のブロックがスチレン由来モノマー単位のみを含み、第2のブロックが全て4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含むブロック形態で重合されている。
この実施形態において、式XIXbの支持体にグラフトされたポリマーは水性媒体において溶媒和されない。スチレン由来モノマー単位からなるブロックは疎水性である。2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である4-ビニルピリジン由来モノマー単位からなるブロックは親水性である。よって、支持体が水中で安定でない場合、ポリスチレンブロックが支持体と水との接触を制限する一方、4-ビニルピリジン由来モノマー単位のブロックは水性媒体中で活性であり得る。
【0055】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、1以上のタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び1以上のコモノマー由来モノマー単位を有する、支持体にグラフトされたコポリマーであって、1以上の金属と複合体化しているか又はしていない、非直鎖状であり、少なくとも1つの別のポリマーに架橋したコポリマーを含んでなるか又は該コポリマーからなる。
【0056】
本発明の組成物は、式XX
【化21】
(式中、
・Suはポリマーが固定された支持体であり、
・wは、1~添数字0のポリマーと架橋しているポリマーの数(1~1,000)の間で変化する正の整数である添数字であり、
・A0及びAwは、重合開始剤に由来する化合物であり、
・T0及びTwは、支持体と任意成分である重合開始剤由来化合物との間、又は支持体と最初のモノマー単位との間を連結する化合物であり、
・R4,O及びR4,Wは、重合開始剤に由来し又はせずに重合を伝播させる化合物、重合を停止させる化合物、又は移動剤であり、
・t0、a0、r0、tw、aw及びrwは、同一であるか又は異なって、0又は1であり、
・i及びj,wは、それぞれ1~ni及び1~nj,w(ni及びnj,wは1~9999である)の間で変化する正の整数である添数字であり、
・ni+nj,w=nであり、nは3~10,000の範囲であり、
各i及び各j,wについて
・Ri,1、Ri,2、Rj,w,1及びRj,w,2は次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)であり、
但し、Ri,1又はRi,2が水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基又は1~4炭素のアルケン基を表す場合、それぞれRi,2又はRi,1は水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基及び1~4炭素のアルケン基のいずれとも異なり、
但し、Ri,1が水素を表すとき、Ri,2は水素と異なり、Ri,2が水素を表すとき、Ri,1は水素と異なり、
但し、Rj,w,1が水素を表すとき、Rj,w,2は水素と異なり、Rj,w,2が水素を表すとき、Rj,w,1は水素と異なり、
・Bi,j,wはi位のポリマー0とj位の添数字wのポリマーとの間の架橋ブリッジを形成するコモノマー由来モノマー単位であり、
・Ci及びCj,wは、架橋ブリッジを形成しないコモノマー由来モノマー単位であり、
・ni、mi、oi、nj,w、mj,w及びoj,wは0又は1に等しい整数であり、
・ni+mi+oi=1
・nj,w+mj,w+oj,w=1
・oj,wの合計は0でなく、oiの合計は0でない)
のものである、支持体にグラフトされた架橋コポリマーを含んでなるか又は該コポリマーからなる。
【0057】
この実施形態において、式XXの支持体上にグラフトしたポリマーは、架橋ブリッジがコモノマー由来モノマー単位にのみ形成されている、支持体にグラフトされた架橋コポリマーである。
この実施形態において、式XXの支持体上にグラフトしたポリマーは、架橋ブリッジを形成しないコモノマー由来モノマー単位を含んでもよい。
この実施形態において、ポリマーはヒドロゲルを形成できる。支持体表面のヒドロゲルは、ポリマー組立体及び支持体の機械的安定性を向上させ得る。
【0058】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、1以上のタイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び1以上のタイプのコモノマー由来モノマー単位を有するコポリマーであって、1以上の金属と複合体化しているか又はしていない、非直鎖状であり、少なくとも1つの別のポリマーに架橋した、支持体にグラフトされたコポリマーを含んでなるか又は該コポリマーからなる。
【0059】
本発明の組成物は、式XX
【化22】
(式中、
・Suはポリマーが固定された支持体であり、
・wは、1~添数字0のポリマーと架橋しているポリマーの数(1~1,000)の間で変化する正の整数である添数字であり、
・A0及びAwは、重合開始剤に由来する化合物であり、
・T0及びTwは、支持体と任意成分である重合開始剤由来化合物との間、又は支持体と最初のモノマー単位との間を連結する化合物であり、
・R4,O及びR4,Wは、重合開始剤に由来し又はせずに重合を伝播させる化合物、重合を停止させる化合物、又は移動剤であり、
・t0、a0、r0、tw、aw及びrwは、同一であるか又は異なって、0又は1であり、
・i及びj,wは、それぞれ1~ni及び1~nj,w(ni及びnj,wは1~9999である)の間で変化する正の整数である添数字であり、
・ni+nj,w=nであり、nは3~10,000の範囲であり、
各i及び各j,wについて
・Ri,1、Ri,2、Rj,w,1及びRj,w,2は次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)であり、
但し、Ri,1又はRi,2が水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基又は1~4炭素のアルケン基を表す場合、それぞれRi,2又はRi,1は水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基及び1~4炭素のアルケン基のいずれとも異なり、
但し、Ri,1又はRi,2が水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基又は1~4炭素のアルケン基を表す場合、それぞれRi,2又はRi,1は水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基及び1~4炭素のアルケン基のいずれとも異なり、
但し、Rj,w,1(或いはRj,w,2)が水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基又は1~4炭素のアルケン基を表す場合、Rj,w,2(或いはRj,w,1)は水素、1~4炭素のアルキル基、1~4炭素のアリール基及び1~4炭素のアルケン基のいずれとも異なり、
・Bi,j,wはi位のポリマー0とj位の添数字wのポリマーとの間の架橋ブリッジを形成するコモノマー由来モノマー単位であり、
・Ci及びCj,wは、架橋ブリッジを形成しないコモノマー由来モノマー単位であり、
・ni、mi、oi、nj,w、mj,w及びoj,wは0又は1に等しい整数であり、
・ni+mi+oi=1
・nj,w+mj,w+oj,w=1
・oj,wの合計は0でなく、oiの合計は0でない)
のものである、支持体にグラフトされた架橋コポリマーを含んでなるか又は該コポリマーからなる。
【0060】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び単一タイプのコモノマー(1,4-ジビニルベンゼン)由来モノマー単位を有する支持体にグラフトされたコモノマーであって、金属と複合体化しておらず、非直鎖状であり、少なくとも1つの別のポリマーに架橋したコポリマーを含んでなるか又は該コポリマーからなる。
【0061】
本発明の組成物は、式XXI
【化23】
(式中、
・Su、w、T0、Tw、A0、Aw、R4,0、R4,w、t0、a0、i、j,w、ni、mi、oi、nj,w、mj,w、oj,w、r0及びrwの定義は式XXに記載のとおりである)
のものである、支持体にグラフトされた架橋コポリマーを含んでなるか又は該コポリマーからなる。
【0062】
この実施形態において、式XXIの支持体にグラフトされたポリマーは、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位及び単一タイプのコモノマー(1,4-ジビニルベンゼン)由来モノマー単位を含む架橋コポリマーである。
この実施形態において、式XXIの支持体にグラフトされたポリマーの1,4-ジビニルベンゼン由来モノマー単位は、架橋ブリッジを形成していてもよいし、していなくてもよい。少なくとも1つの架橋ブリッジが式XXIの支持体にグラフトされたポリマーに形成される。
【0063】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、金属と複合体化した、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、ポリマーは、特にキレート剤又は触媒としての使用のためには、少なくとも1つの金属原子と複合体化している。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、アクチニド、ランタニド又は遷移金属から選択される金属と複合体化する支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、ポリマーは、特定のファミリーの金属に複合体化する。
【0064】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、ウランと複合体化する支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、支持体にグラフトされたポリマーはウランとのみ複合体化する。このポリマーは、海水又は使用済み核燃料からウランを回収するために有用である。このポリマーはまた、反応、例えば、気相における揮発性有機化合物の分解又はメタンからメタノールへの酸化を触媒するウランベース触媒の製造を可能にする。
【0065】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、水溶液、特に海水において溶媒和される支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、支持体を備えないポリマーは、水溶液中、特に海水において溶媒和される。このことは、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である4-ビニルピリジン由来モノマー単位を有するホモポリマーに特に当てはまる。カルボン酸基は、海水中のように、中性又は塩基性pH条件下でポリマーの溶媒和を容易にする。
【0066】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、水溶液において溶媒和されるか又は溶媒和されない、金属と複合体化した、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、ポリマーは、金属と複合体化しているとき、該ポリマーが見出される状態に応じて溶媒和されるか又は溶媒和されない。
【0067】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、金属と複合体化していないとき、溶媒和され、金属、特にウランと複合体化しているとき、溶媒和されない、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、ポリマーは水溶液において溶媒和され、ポリマーと金属とが複合体化すると、ポリマーは金属とともに沈殿する。このことは、式VIの支持体にグラフトされたポリマーに特に当てはまり、このポリマーは、中性pHで水において溶媒和され、ウランと複合体化すると式XIIIとなり中性pHで沈殿する。
【0068】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、特にアセトニトリル及びジメチルスルホキシド(DMSO)などの有機溶媒において溶媒和される、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、ポリマーはアセトニトリルなどの有機溶媒において溶媒和され、このことは、2位及び6位の2つの置換基がメチルエステル基である4-ビニルピリジン由来モノマー単位を含むホモポリマーに特に当てはまる。
【0069】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、式Iの支持体Suがポリ塩化ビニル-ポリ塩化ビニリデン(PVC-co-PVDC)コポリマー、ポリ塩化ビニル(PVC)、PET又はSiO2から選択され、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
この実施形態において、本発明のポリマーは、PVCなどのようなポリマー又はシリカなどのような基材をベースにする種々の支持体にグラフトすることができる。
【0070】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、式Iの化合物TがSiOH又は式XXII
【化24】
の化合物から選択される、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0071】
この実施形態において、ポリマーと支持体との間の連結は、支持体に由来する化合物T又は支持体表面を修飾する化合物を含むか又は該化合物からなり、当該化合物が支持体と任意成分である重合開始剤又はポリマーとの間のリンカーとして働く。
この実施形態において、支持体とポリマーの間のリンカーは、化合物Tのみからなるか、又は化合物Aに連結した化合物Tからなる。
【0072】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、式IのAが、4-(クロロメチル)ベンゾイルクロリド、塩化ベンジル、AIBN、メチル-2-ブロモ-2-メチルプロパノエート又は式XXIII
【化25】
の化合物から選択される重合開始剤に由来する、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0073】
この実施形態において、重合開始剤の一部分は、ポリマーを化合物Tと結合させるか、又は支持体と直接結合させる。全てを網羅するものではなく、ラジカル重合に用いることができる重合開始剤を含む。
【0074】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、式Iの化合物R4が塩素原子又は式XXIV
【化26】
の化合物から選択される、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0075】
この実施形態において、ポリマーの末端は、ポリマー鎖中の最後の炭素ではあり得ない。上記のリストは完全なものではなく、いわゆる制御ラジカル重合に用いることができる移動剤を含む。
【0076】
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、上記のとおり、式XXV、式XXVI、式XXVII、式XXVIII、式XXIX又は式XXX
【化27】
【化28】
【化29】
の、支持体にグラフトされたポリマーを含んでなるか又は該ポリマーからなる。
【0077】
この実施形態において、式XXV~式XXXIXのポリマーは
・4-ビニルピリジンに由来し、式XXVI、式XXVIII及び式XXXの支持体にグラフトされたポリマーのために、2つのカルボン酸基で置換されたモノマー単位からなるホモポリマー、・4-ビニルピリジンに由来し、式XXV、式XXVII及び式XXIXの支持体にグラフトされたポリマーのために、2つのメチルエステル基で置換されたモノマー単位からなるホモポリマーである。
式XXV及び式XXVIの支持体にグラフトされたポリマーは、シリカ支持体に担持される。式XXVII及び式XXVIIIの支持体にグラフトされたポリマーは、PETファイバに担持される。式XXIX及び式XXXの支持体にグラフトされたポリマーは、PVC-co-PDVCファイバに担持される。
【0078】
本発明は、上記の、支持体にグラフトされた、特に支持体に共有結合的にグラフトされたポリマーの製造方法であって、グラフト法(「grafted to」又は「grafted from」法術)により実行される方法に関する。
本発明によれば、用語「にグラフトする」とは、重合ステップ終時のポリマーが支持体にグラフトされておらず、遊離状態である重合法を意味する。支持体へグラフトするステップは重合の後である。
本発明によれば、用語「からグラフトする」とは、重合の刺激(開始)が支持体に共有結合した化合物又は直接支持体に対してなされる重合法を意味する。その後、モノマーが支持体に対して反応してポリマー鎖を形成する。支持体にグラフトされたポリマーは、この技法に従って支持体から成長する。
【0079】
本発明は更に、次の製造ステップ:
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は物理的前処理により支持体を前処理するステップであって、前処理されていてもよい支持体を得るための任意付加ステップ
b.前処理されていてもよい支持体と重合開始剤との接触による、前処理されていてもよい支持体上での予備グラフトステップであって、前処理されていてもよく、必要に応じて予備グラフトされた支持体を得るための任意付加ステップ
c.必要に応じて前処理され、場合により予備グラフトされた支持体の刺激により開始して、必要に応じて前処理され、場合により予備グラフトされた支持体を、
・2位及び6位の炭素が次の群の置換基:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンの1つにより置換していてもよい、少なくとも1つの4-ビニルピリジン由来モノマー(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)、及び
・任意に、少なくとも1つのコモノマーと
架橋させつつ又は架橋させずに接触させて、支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
d.支持体にグラフトされたポリマーを、前記置換基の少なくとも1つを修飾する薬剤と接触させて、支持体にグラフトされた、修飾されていてもよいポリマーを取得する、任意付加の修飾ステップ
e.支持体にグラフトされた、修飾されていてもよいポリマーを金属カチオンと接触させて、支持体にグラフトされた、修飾されていてもよく、複合体化していてもよいポリマーを取得する、任意付加の複合体化ステップ
を含んでなる、上記の支持体にグラフトされたポリマー、特に支持体に共有結合的にグラフトされたポリマーの製造方法に関する。
【0080】
本発明の、支持体にグラフトされたポリマーの製造方法は、「からグラフトする」方法である。
本発明のポリマー合成法は、モノマー単位を形成するモノマーが溶媒和されない溶液中で重合ステップを実施できるという利点がある。修飾ステップの存在により、2位及び6位に最終の基とは異なる基を有するモノマーを重合することができる。例えば、2位及び6位の2つの置換基がカルボン酸基である4-ビニルピリジン由来モノマーは、有機溶液中で溶媒和されない。そのため、このモノマーを有機溶液中で重合することは非常に困難である。他方、2位及び6位の2つの置換基がメチルエステル基ある4-ビニルピリジン由来モノマーは有機媒体中で溶媒和される。その結果、2位及び6位の2つの置換基がメチルエステル基である4-ビニルピリジン由来モノマーの重合は可能であり、続く修飾ステップによりエステル官能基を酸官能基に加水分解できる。こうして得られる、酸官能基を有するポリマーは有機媒体中で溶媒和されない。
【0081】
本発明のポリマー合成法は、重合ステップを容易に制御できるという利点がある。修飾ステップは、4-ビニルピリジン由来モノマーの2つの基を保護できる。実際、2位及び6位の基が非常に反応性である場合(COOH、NH2など)、これら基は重合ステップ中に反応する可能性が高い。このことは、無制御の分岐形成及び/又は特定の基の喪失に繋がり得る。重合後修飾ステップにより、後の修飾ステップで取り除かれる保護基にを用いて重合を開始できる。RAFT又はATRP重合などの制御可能なラジカル重合法の使用は、重合に対する制御を向上させる。
本発明のポリマー合成法は、4-ビニルピリジン由来モノマーの製造ステップを更に含む。
本発明によれば、用語「ラジカル重合」は、モノマーを重合でき、重合の伝播がラジカルの存在により確保される重合技法を意味する。ラジカル重合の例は、いわゆる古典的ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ニトロキシド重合(NMP)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、活性剤及び還元剤追加原子移動ラジカル重合(SARA ATRP)を含む。
本発明によれば、用語「必要に応じて前処理され、場合により予備グラフトされた支持体の刺激」は、重合を開始させることができるステップを意味する。例えば、ラジカル重合の場合、このステップは、物理的又は化学的手段により、前処理されていてもよく、場合により予備グラフトされた支持体にラジカルを生成することができ、該支持体に対してモノマー単位が反応する。
【0082】
特定の実施形態によれば、式I
【化30】
(式中、
・Suはポリマーがグラフトされた支持体であり、
・Aは重合開始剤に由来する化合物であり、
・Tは、支持体と、ポリマー開始剤に由来する化合物との間、又は支持体と最初のモノマー単位との間を連結する化合物であり、
・R4は、重合開始剤に由来し又はせずに重合を伝播させる化合物、重合を停止させる化合物、又は移動剤であり、
・t、a及びrは、同一であるか又は異なって、0又は1であり、
・iは1~n(n=1~10,000)の間で変化する正の整数である添数字であり、
各iについて
・Ri,1及びRi,2は、次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)であり、
但し、Ri,1が水素を表すとき、Ri,2は水素とは異なり、Ri,2が水素を表すとき、Ri,1は水素とは異なり、
・Biは、架橋ブリッジを形成するか又はしないコモノマー由来モノマー単位であり、
・Miは金属カチオンであり、
・ni及びmiは0又は1に等しい整数であり、
・ni+mi=1、
・xiは0~6の数であり、
・piは-6~+6である金属複合体の電荷である)
の支持体にグラフトされたポリマーであって、
架橋ブリッジを形成するBiが存在しないとき、直鎖状であり、2つの直鎖状ポリマー間に架橋ブリッジを形成するBiが少なくとも1つ存在するとき、架橋している、本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体への物理的前処理の作用により支持体を前処理するステップであって、式XXXI
【化31】
(式中、
・T'は、支持体の一部、前処理剤の一部又はその両方を含む、支持体Suの前処理から生じる化合物であり、
・tは0又は1に等しい整数である)
で前処理されていてもよい支持体を得るための任意付加ステップ
b.前処理されていてもよい式XXXIの支持体と重合開始剤との接触による、前処理されていてもよい式XXXIの支持体の予備グラフトステップであって、前処理されていてもよく、必要に応じて予備グラフトされた式XXXII
【化32】
(式中、
・A'は、重合開始剤の一部を含む、支持体の予備グラフトステップから生じる化合物であり、
・aは0又は1に等しい整数である)
の支持体を得るための任意付加ステップ
c.必要に応じて前処理され、場合により予備グラフトされた式XXXIIの支持体の刺激により開始して、必要に応じて前処理され、場合により予備グラフトされた支持体を、式XXXIII
【化33】
(式中、
・Zi,1及びZi,2は次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)である)
の4-ビニルピリジン誘導体、及び
・任意に、少なくとも1つのコモノマーと
架橋させつつ又は架橋させずに接触させて、式XXXIV
【化34】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
d.式XXXIVのポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、前記置換基Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて修飾して、式XXXV
【化35】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ
e.式XXXVの支持体にグラフトされたポリマーを、少なくとも1つの金属カチオンと複合体化するステップであって、式Iの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、任意付加の複合体化ステップ
を含む。
【0083】
この実施形態において、式Iの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、
・支持体の表面が結合性部位を有さない場合、支持体を前処理するステップ、又は
・支持体の表面が結合性部位を有するが、これら結合性部位はラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができない場合、支持体を予備グラフトするステップ、又は
・支持体の表面が結合性部位を有し、これら結合性部位がラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができる場合、ラジカル重合ステップ
により開始する。
この実施形態において、式Iの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
【0084】
式Iの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、
・支持体が前処理されており、前処理された支持体はラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができない場合、支持体を予備グラフトするステップ(このケースでは、合成は、前処理され予備グラフトされた支持体を重合開始剤として用いるラジカル重合ステップにより継続される)、又は
・支持体が前処理されており、前処理された支持体はラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができる場合、前処理された支持体を重合開始剤として用いるラジカル重合ステップ、又は
・支持体が前処理されておらず、予備グラフトされている場合、予備グラフトされた支持体を重合開始剤として用いるラジカル重合ステップ
により継続される。
重合して式XXXIVの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式I及び式XXXIVで異なる場合、修飾ステップを行って、式Iのものと異なる式XXXIVの置換基を反応させ、式XXXVの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式Iの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式Iの支持体にグラフトされたポリマーを取得するためには、式XXXVの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化するステップが必要である。
この実施形態において、本合成法の重合ステップにより、コモノマーも異なるタイプの4-ビニルピリジン由来モノマーも重合できる。重合ステップの間に、架橋ブリッジを形成することができる。
【0085】
特定の実施形態によれば、Ri,1及びRi,2の定義が式IIに記載のとおりである式IIの支持体にグラフトされた本発明のポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体への物理的前処理の作用により支持体を前処理するステップであって、式XXXIの前処理された支持体を得るステップ、
b.式XXXIの前処理された支持体と重合開始剤との接触による、前処理された式XXXIの支持体を予備グラフトするステップであって、式XXXIIの前処理され必要に応じて予備グラフトされた支持体を得るための任意付加ステップ
c.式XXXIIの必要に応じて前処理され、場合により予備グラフトされた支持体の刺激により開始して、必要に応じて前処理され、場合により予備グラフトされた支持体を、式XXXIIIの4-ビニルピリジン誘導体、及び、任意に、少なくとも1つのコモノマーと、架橋させつつ又は架橋させずに接触させて、式XXXIV
【化36】
(式中、
・A、R4、Bi、ni、mi、r、a及びiの定義は式IIに記載のとおりであり、
・Zi,1及びZi,2の定義は式XXXIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、

d.式XXXIVの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なる
とき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、前記置換基Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて修飾して、式XXXVII
【化37】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ、
e.式XXXVIIの支持体にグラフトされたポリマーを、少なくとも1つの金属カチオンと複合体化するステップであって、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、任意付加の複合体化ステップ。
【0086】
この実施形態において、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、式XXXVIの支持体にグラフトされたポリマーを形成するモノマーのラジカル重合から開始する。これらモノマーは、式IIに存在する4-ビニルピリジン由来モノマーと同じ置換基を有しなくてもよい4-ビニルピリジン由来モノマーと、任意付加成分であるコモノマーとからなる。コモノマーは、架橋ブリッジを形成しないように選択されるか、又は存在しない。
重合して式XXXVIの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式II及び式XXXVIで異なる場合、修飾ステップを行って、式IIのものと異なる式XXXVIの置換基を反応させ、式XXXVIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式IIの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式XXXVIIの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化するステップを実施して、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
【0087】
特定の実施形態によれば、t=1であり、Ri,1及びRi,2の定義が式IIに記載のとおりである式IIの本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は物理的前処理の作用により支持体を前処理して、式XXXVIII
【化38】
(式中、
・Su及びT'の定義は式XXXIに記載のとおりである)
の前処理された支持体を取得するステップ、
b.
任意に、

式XXXVIIIの前処理された支持体と重合開始剤との接触による、前処理された支持体上での予備グラフトステップであって、式XXXIX
【化39】
(式中、
・T、A'及びaの定義は式XXXIIに記載のとおりである)
の前処理され、場合により予備グラフトされた支持体を得るための任意付加ステップ、
c.式XXXIXの前処理され、場合により予備グラフトされた支持体の刺激により開始して、前処理され、場合により予備グラフトされた支持体を、式XXXIIIの4-ビニルピリジン誘導体、及び、任意に、少なくとも1つのコモノマーと、架橋させつつ又は架橋させずに接触させて、式XL
【化40】
(式中、
・A、R4、Bi、ni、mi、r、a及びiの定義は式IIに記載のとおりであり、
・Zi,1及びZi,2の定義は式XXXIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
d.式XLの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて修飾して、式XLI
【化41】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ、
e.式XLIの支持体にグラフトされたポリマーを、少なくとも1つの金属カチオンと複合体化するステップであって、t=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する任意付加ステップ。
【0088】
この実施形態において、t=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、t=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、支持体を前処理して、前処理されたポリマーを取得するステップから開始する。
t=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、
・前処理された支持体の表面結合部位がラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができない場合、前処理され予備グラフトされた支持体を得る予備グラフトステップ、続く、前処理され予備グラフトされた支持体を開始剤として用いるラジカル重合ステップ、又は
・前処理された支持体の表面結合部位がラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができる場合、前処理された支持体を重合開始剤として用いる重合ステップ
により継続される。
重合して式XLの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式II及び式XLで異なる場合、修飾ステップを行って、式IIのものと異なる式XLの置換基を反応させ、式XLIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式IIの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式XLIの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化ステップを実施して、t=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
【0089】
特定の実施形態によれば、Ri,1及びRi,2の定義が式IIに記載のとおりであり、t=1及びa=1である式IIの支持体にグラフトされた本発明のポリマーの上記製造方法は、次のステップを含む:
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体への物理的前処理の作用により支持体を前処理して、式XXXVIII
【化42】
(式中、
・Su及びT'の定義は式XXXIに記載のとおりである)
の前処理された支持体を取得するステップ、
b.式XXXVIIIの前処理された支持体と重合開始剤との接触による、式XXXVIIIの前処理された支持体予備グラフトして、式XLII
【化43】
(式中、
・T及びA'の定義は式XXXIIに記載のとおりである)
の前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ、
c.式XLIIの前処理され予備グラフトされた支持体の刺激により開始して、前処理され予備グラフトされた支持体を、式XXXIIIの4-ビニルピリジン誘導体と、任意に少なくとも1つのコモノマーと接触させて、式XLIII
【化44】
(式中、
・A、R4、Bi、ni、mi、r及びiの定義は式IIに記載のとおりであり、
・Zi,1及びZi,2の定義は式XXXIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ、
d.式XLIIIの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて修飾して、式XLIV
【化45】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ、
e.式XLIVの支持体にグラフトされたポリマーを、少なくとも1つの金属カチオンと複合体化するステップであって、t=1及びa=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する任意付加の複合体化ステップ。
【0090】
この実施形態において、t=1及びa=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、t=1及びa=1である式IIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップを含む:
・支持体を前処理して、前処理されたポリマーを取得するステップ
・予備グラフトして、前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ
・前処理され予備グラフトされた支持体を開始剤として用いるラジカル重合ステップ。
重合して式XLIIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式II及び式XLIIIで異なる場合、修飾ステップを行って、式IIのものと異なる式XLIIIの置換基を反応させ、式XLIVの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式IIの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式XLIVの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化するステップを実施して、t=1及びa=3である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
【0091】
特定の実施形態によれば、t=0及びa=0であり、Ri,1及びRi,2の定義が式IIに記載のとおりである式IIの本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、前処理ステップも刺激ステップも含まず、次のステップを含む:
a.支持体の刺激により開始して、次いで、支持体を式XXXIIIの4-ビニルピリジン誘導体及び任意に少なくとも1つのコモノマーと架橋させつつ又は架橋させずに接触させて、式XLV
【化46】
(式中、
・Su、R4、Bi、ni、mi、r及びiの定義は式IIに記載のとおりであり、
・Zi,1及びZi,2の定義は式XXXIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
b.式XLVの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて修飾して、式XLVI
【化47】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ
c.式XLVIの支持体にグラフトされたポリマーを、少なくとも1つの金属カチオンと複合体化するステップであって、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、任意付加の複合体化ステップ。
【0092】
この実施形態において、t=0及びa=0である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、t=0及びa=0である式IIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、前処理ステップも予備グラフトステップも含まない。支持体の表面は、刺激を受けてラジカル重合を開始させることができる結合部位を有する。本方法は、支持体を重合開始剤として用いるラジカル重合により行われる。
重合して式XLVの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式II及び式XLVで異なる場合、修飾ステップを行って、式IIのものと異なる式XLVの置換基を反応させ、式XLVIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式IIの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式XLVIの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化するステップを実施して、t=0及びa=0である式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
【0093】
特定の実施形態によれば、t=1及びa=1であり、Ri,1及びRi,2の定義が式IIIに記載のとおりである式IIIの本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体への物理的前処理の作用により支持体を前処理して、式XXXVIIIの前処理された支持体を取得するステップ
b.式XXXVIIIの前処理された支持体と重合開始剤との接触により式XXXVIIIの前処理された支持体を予備グラフトして、式XLIIの前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ、
c.式XLIIの前処理され予備グラフトされた支持体の刺激により開始して、前処理され予備グラフトされた支持体を、式XXXIIIの4-ビニルピリジン誘導体と接触させて、式XLVII
【化48】
(式中、
・T、A、R4、r及びiの定義は式IIIに記載のとおりであり、
・Zi,1及びZi,2の定義は式XXXIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
d.式XLVIIの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて修飾して、式XLVIII
【化49】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ
e.式XLVIIIの支持体にグラフトされたポリマーを、少なくとも1つの金属カチオンと複合体化するステップであって、t=1及びa=1である式IIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、任意付加の複合体化ステップ。
【0094】
この実施形態において、t=1及びa=1である式IIIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。この実施形態において、t=1及びa=1である式IIIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップを含む:
・支持体を前処理して、前処理されたポリマーを取得するステップ
・予備グラフトして、前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ
・前処理され予備グラフトされた支持体を開始剤として用いるラジカル重合ステップ。
重合して式XLVIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式III及び式XLVIIで異なる場合、修飾ステップを行って、式IIIのものと異なる式XLVIIの置換基を反応させ、式XLVIIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式IIIの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式XLVIIIの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化するステップを実施して、t=1及びa=1である式IIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
【0095】
特定の実施形態によれば、t=1及びa=1でありR1及びR2の定義が式IVに記載のとおりである式IVの本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体への物理的前処理の作用により支持体を前処理して、式XXXVIIIの前処理された支持体を取得するステップ
b.式XXXVIIIの前処理された支持体と重合開始剤との接触による、式XXXVIIIの前処理された支持体を予備グラフトして、式XLIIの前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ
c.式XLIIの前処理され予備グラフトされた支持体の刺激により開始して、前処理され予備グラフトされた支持体を、式XLIX
【化50】
(式中、
・Z1及びZ2は次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)である)
の4-ビニルピリジン誘導体と接触させて、式L
【化51】
(式中、
・T、A、R4、r及びiの定義は式IVに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
d.式Lの支持体にグラフトされたポリマーのZ1がR1と異なるとき、又はZ2がR2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、前記置換基Z1及びZ2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて式LI
【化52】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得する修飾ステップ、
e.式LIの支持体にグラフトされたポリマーを、少なくとも1つの金属カチオンと複合体化するステップであって、t=1及びa=1である式IVの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、任意付加の複合体化ステップ。
【0096】
この実施形態において、t=1及びa=1である式IVの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、t=1及びa=1である式IVの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップを含む:
・支持体を前処理して、前処理されたポリマーを取得するステップ
・予備グラフトして、前処理され予備グラフトされた支持体を得るステップ
・前処理され予備グラフトされた支持体を開始剤として用いるラジカル重合ステップ。
重合して式Lの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式IV及び式Lで異なる場合、修飾ステップを行って、式IVのものと異なる式Lの置換基を反応させ、式LIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式IVの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式LIの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化するステップを実施して、t=1及びa=1である式IVの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
【0097】
特定の実施形態によれば、Rj,w,1、Rj,w,2、Ri,1及びRi,2の定義が式XXに記載のとおりである式XXの本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.支持体と前処理剤との接触により支持体を前処理して、式LII
【化53】
(式中、
・T'及びTw'は、支持体の一部、前処理剤の一部、又は支持体の一部及び前処理剤の一部を含む支持体Suの前処理から生じる化合物であり、
・t及びtwは0又は1に等しい整数である)
の前処理された支持体を取得するステップ
b.式LIIの前処理されていてもよい支持体と重合開始剤との接触による、式LIIの前処理されていてもよい支持体の予備グラフトステップであって、式LIII
【化54】
(式中、
・A'及びAw'は、重合開始剤の一部を含む、支持体の予備グラフトステップから生じる化合物であり、
・a及びawは0又は1に等しい整数である)
の前処理されていてもよい、場合により予備グラフトされた支持体を取得する任意付加のステップ、
c.式IIIの前処理され予備グラフトされた支持体の刺激により開始して、前処理され予備グラフトされた支持体を、式XXXIII及び式LIV
【化55】
(式中、
・Zj,w,1及びZj,w,2は次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)である)
の4-ビニルピリジン誘導体、及び
・任意に、少なくとも1つのコモノマーと
・架橋させつつ又は架橋させずに接触させて、式LV
【化56】
(式中、
・Zi,1、Zi,2、Su、w、T0、Tw、A0、Aw、Bi,j,w、Ci、Cj,w、R4,0、R4,w、t0、tw、a0、aw、ni、mi、oi、nj,w、mj,w、oj,w、r0及びrwの定義は式XXに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
d.式LVの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、又はZj,w,1の少なくとも1つがRj,w,1と異なるとき、又はZj,w,2の少なくとも1つがRj,w,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて修飾して、式LVI
【化57】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ、
e.式LVIの支持体にグラフトされたポリマーを少なくとも1つの金属カチオンと複合体化して式XXの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
【0098】
この実施形態において、式XXの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、式XXの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップにより開始する:
・支持体の表面が結合部位を有さない場合、支持体を前処理するステップ、又は
・支持体の表面が結合部位を有するが、これら結合部位はラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができない場合、支持体を予備グラフトするステップ、又は
・支持体の表面が結合部位を有し、これら結合部位はラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができる場合、ラジカル重合ステップ。
【0099】
式XXの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップにより継続される:・支持体が前処理されており、前処理された支持体はラジカル重合を開始させるように刺激をうけることができない場合、支持体を予備グラフトするステップ(このケースでは、合成は、前処理され予備グラフトされた支持体を重合開始剤として用いるラジカル重合ステップにより継続される)、又は
・支持体が前処理されており、前処理された支持体はラジカル重合を開始させるように刺激を受けることができる場合、前処理された支持体を重合開始剤として用いるラジカル重合ステップ、又は
・支持体が前処理されておらず、予備グラフト化されている場合、予備グラフトされた支持体を重合開始剤として用いるラジカル重合ステップ。
重合ステップは、支持体を、架橋ブリッジ形成することができるコモノマー、架橋ブリッジを形成することができないコモノマー及び4-ビニルピリジン由来モノマーと接触させて、全ての架橋ポリマーを同時に重合する。
重合して式LVの支持体にグラフトされたポリマーを取得した後、4-ビニルピリジン由来モノマー単位の置換基が式XX及び式LVで異なる場合、修飾ステップを行って、式XXのものと異なる式LVの置換基を反応させ、式LVLの支持体にグラフトされたポリマーを取得する。
式XXの支持体にグラフトされたポリマーが金属と複合体化している場合、式XXの支持体にグラフトされたポリマーを取得するためには、式LVIの支持体にグラフトされたポリマーを複合体化するステップが必要である。
【0100】
本発明は更に、支持体にグラフトされたポリマー、具体的には支持体に共有結合的にグラフトされたポリマーの製造方法に関し、該方法は、次の製造ステップを含む:
a.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体に対する物理的前処理の作用により支持体を前処理するステップであって、前処理されていてもよい支持体を取得する任意付加ステップ、
b.
・刺激された重合開始剤を、
・2位及び6位の炭素が次の群の置換基:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンの1つにより置換していてもよい、少なくとも1つの4-ビニルピリジン由来モノマー(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)、及び
・任意に、少なくとも1つのコモノマーと
接触させて、遊離ポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
c.必要に応じて前処理された支持体と遊離ポリマーとの接触により、必要に応じて前処理された支持体を予備グラフトして、支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ、
d.支持体にグラフトされたポリマーと前記置換基Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤とを接触させることにより、支持体にグラフトされ、必要に応じて修飾されていてもよいポリマーを取得する任意付加のステップ、
e.支持体にグラフトされ、必要に応じて修飾されていてもよいポリマーを金属カチオンと接触させることにより、支持体にグラフトされ、必要に応じて修飾され、場合により複合体化されていてもよいポリマーを取得する任意付加の複合体化ステップ。
本方法のステップは、任意の順序であり得るが、但し、
- ステップaはステップcの前であり、
- ステップbはステップcの前であり、
- ステップbはステップdの前であり、
- ステップdはステップeの前であり、
具体的には、次の順序である:abcde、abdce、abdec、bacde、badce、badec、bdace、bdaec、deac。
【0101】
本発明の支持体にグラフトされたポリマーの合成方法は、「にグラフトする」方法であり得る。
本発明のポリマー合成法は、フレキシブルであるという利点がある。本方法のステップは異なる順序であり得る。尊重されるべき制約は下記のとおりである:
・任意付加の前処理ステップはグラフトステップの前であり、
・重合ステップはグラフトステップの前であり、
・重合ステップは修飾ステップの前であり、
・修飾ステップは複合体化ステップの前である。
望ましいステップ順序は、下記のとおりである:
・前処理、重合、グラフト、修飾、複合体化
・前処理、重合、修飾、グラフト、複合体化
・前処理、重合、修飾、複合体化、グラフト
・重合、前処理、グラフト、修飾、複合体化
・重合、前処理、修飾、グラフト、複合体化
・重合、前処理、修飾、複合体化、グラフト
・重合、修飾、前処理、グラフト、複合体化
・重合、修飾、前処理、複合体化、グラフト
・重合、修飾、複合体化、前処理、グラフト。
本発明のポリマーの合成法は、4-ビニルピリジン由来モノマーを製造する付加的なステップを含み得る。
【0102】
本発明によれば、用語「刺激された重合開始剤」は、刺激相を経て、モノマーに結合して最初のモノマー単位を形成することができる重合開始剤を意味する。特定の実施形態によれば、R1及びR2の定義が式IIに記載のとおりである式IIの本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.刺激された重合開始剤を式XXXIII
【化58】
(式中、
・Zi,1及びZi,2は次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)である)
の4-ビニルピリジン誘導体と、任意に少なくとも1つのコモノマーと接触させて、式LVII
【化59】
(式中、
・R4、Bi、ni、mi、r、a及びiの定義は式IIに記載のとおりであり、
・A"は重合開始剤由来の化合物である)
の遊離ポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
b.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体に対する物理的前処理の作用により支持体を前処理して、式XXXIの前処理されていてもよい支持体を取得する任意付加のステップ、
c.前処理されていてもよい支持体と式LVIIの遊離ポリマーとの接触により式XXXIの前処理されていてもよい支持体にグラフトして、式XXXIV
【化60】
(式中、
・Aは重合開始剤由来の化合物である)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得する任意付加のステップ、
d.式XXXIVの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、前記置換基Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて、式XXXV
【化61】
の支持体にグラフトされたポリマーを取得する修飾ステップ、
e.式XXXVの支持体にグラフトされたポリマーを少なくとも1つの金属カチオンと複合体化して、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する任意付加のステップ。
【0103】
この実施形態において、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、次のステップ:重合、修飾、複合体化、前処理、グラフトを含む。
この実施形態において、式IIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、「にグラフトする」技法に従う重合である。
【0104】
特定の実施形態によれば、Ri,1及びRi,2の定義が式IIに記載のとおりである式IIの本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.刺激された重合開始剤を、式XXXIIIの4-ビニルピリジン誘導体と、任意に少なくとも1つのコモノマーと接触させて、式LVII
【化62】
(式中、
・R4、Bi、ni、mi、r、a及びiの定義は式IIに記載のとおりであり、
・Zi,1及びZi,2の定義は式XXXIIIに記載のとおりであり、
・A"の定義は式LVIIに記載のとおりである)
の遊離ポリマーを取得するラジカル重合ステップ、
b.式LVIIの支持体にグラフトされたポリマーのZi,1の少なくとも1つがRi,1と異なるとき、又はZi,2の少なくとも1つがRi,2と異なるとき、水酸化物、カルボネート又はホスフェートアニオンを含む、前記置換基Zi,1及びZi,2の少なくとも1つを修飾する薬剤を用いて、式LVIII
【化63】
の遊離ポリマーを取得する修飾ステップ、
c.式LVIIIの遊離ポリマーを少なくとも1つの金属カチオンと複合体化して、式LIX
【化64】
(式中、
・Mi、xi及びpiの定義は式IIに記載のとおりである)
の遊離ポリマーを取得する任意付加の複合体化ステップ、
d.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体に対する物理的前処理の作用により支持体を前処理して、式XXXI
【化65】
(式中、
・T'は、支持体の一部、前処理剤の一部又は支持体の一部及び前処理剤の一部を含む支持体Suの前処理から生じる化合物であり、
・tは0又は1に等しい整数である)
の全体的に前処理された支持体を取得する任意付加の前処理ステップ、
e.式XXXIの前処理されていてもよい支持体と式LIXの遊離ポリマーとの接触による式XXXIの前処理されていてもよい支持体にグラフトして、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
【0105】
この実施形態において、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、重合、修飾、複合体化、前処理、グラフトの形態である。
この実施形態において、式IIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「にグラフトする」技法に従う重合である。
【0106】
特定の実施形態によれば、本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法の重合ステップは、式XLIX
【化66】
(式中、
・Z1及びZ2は次の群:水素、1~20炭素のアルキル基、1~20炭素のアルケン基、1~20炭素のアリール基、1~20炭素のカルボン酸、1~20炭素のアルコール、1~20炭素のエーテル、1~20炭素のエステル、1~20炭素のアミン、ヘテロ原子が窒素、酸素、硫黄又はリンである1~5環の複素環、1~20炭素のアミド、1~20炭素のチオール、1~20炭素のホスフィンから選択される置換基(ここで、前記置換基は一緒になって環を形成していてもよく、硫黄又はリン原子を含んでいてもよい)である)
の4-ビニルピリジン誘導体を、式LX
【化67】
(式中、
・Su、A、T、B、R4、r、a、t及びcの定義は式XVIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーと接触させて、式LXI
【化68】
(式中、
・dの定義は式XVIIIに記載のとおりである)
の支持体にグラフトされたポリマーを取得することによる。
【0107】
この実施形態において、式XVIIIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法の重合ステップは、式LXの支持体にグラフトされたポリマーの刺激により開始するブロック重合である。この刺激により、4-ビニルピリジン由来モノマーのラジカル重合ステップを開始させることができる。この重合により、用いた重合開始剤に予め存在する最初のブロックに続くブロックを形成することができる。
この実施形態において、式XVIIIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法の重合ステップは、「からグラフトする」技法である。
【0108】
特定の実施形態によれば、本発明のポリマーの上記製造方法は、次のステップを含む:a.支持体と前処理剤との接触及び/又は支持体に対する物理的前処理の作用により支持体を前処理して、式XXXIの前処理された支持体を取得するステップ、
b.式XXXIの前処理された支持体と重合開始剤との接触により式XXXIの前処理された支持体を予備グラフトして、式XXXIIの前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ、
c.式XXXIIの前処理され予備グラフトされた支持体と式LXII
【化69】
(式中、Bの定義は式XVIIIに記載のとおりである)
のコモノマーとの接触により、式LXのポリマーを取得するラジカル重合ステップ、及びその後の、式XXXIIIの4-ビニルピリジン由来モノマーと式LXの支持体にグラフトされたポリマーとの接触によるラジカル重合ステップ。
【0109】
この実施形態において、式XVIIIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、式LXの支持体にグラフトされたポリマーの合成を可能にするコモノマーの重合から開始する。次いで、この支持体にグラフトされたポリマーが、重合開始剤として用いられる。
【0110】
特定の実施形態によれば、本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法の重合ステップは、刺激された重合開始剤を式XXXIIIの4-ビニルピリジン誘導体と接触させて、式LXIII
【化70】
(式中、
・R4、r、a及びiの定義は式IIに記載のとおりであり、
・Zi,1及びZi,2の定義は式XXXIIIに記載のとおりであり、
・A"の定義は式LVIIに記載のとおりである)
の遊離ポリマーを取得して開始する。
【0111】
この実施形態において、式IIIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法の重合ステップにより、4-ビニルピリジン由来モノマーのみを重合して、4-ビニルピリジン由来モノマー単位のみを含む遊離ポリマーを取得することができる。
この実施形態において、式IIIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法の重合ステップのみが、「にグラフトする」技法に組み込むことができる。
【0112】
特定の実施形態によれば、本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法の重合ステップは、刺激された重合開始剤を式XLIXの4-ビニルピリジン誘導体と接触させて、式LXIV
【化71】
(式中、
・A"、Z1、Z2、R4、r、a及びiの定義は式IVに記載のとおりである)
の遊離ポリマーを取得することから開始する。
【0113】
この実施形態において、式IVの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法の重合ステップにより、単一タイプの4-ビニルピリジン由来モノマー単位を重合して、4-ビニルピリジン由来モノマー単位のみを含む遊離ホモポリマーを取得することができる。
この実施形態において、式IVの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法の重合ステップのみが、「にグラフトする」技法に組み込むことができる。
【0114】
特定の実施形態によれば、ポリマーが式XXVIIIのものであり、支持体がPETから作製されている本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.PET支持体とポリエチレンイミンとの接触によりPET支持体を前処理して、式LXV
【化72】
(式中、T'は式LXVI
【化73】
の化合物を表す)
の前処理された支持体を取得するステップ、
b.式LXVの前処理された支持体と4-(クロロメチル)ベンゾイルクロリドとの接触により式LXVの前処理された支持体に予備グラフトして、式LXVII
【化74】
(式中、Tは式XXIIの化合物を表し、X'は式LXVIII
【化75】
の化合物を表す)
の前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ、
c.式LXVIIの前処理され予備グラフトされた支持体を、式LXIX
【化76】
の4-ビニルピリジン誘導体並びにCuCl2、TPMA及び金属銅と反応させて、Xが式LXX
【化77】
の化合物を表し、R4が塩素原子を表す式XXVIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、前記支持体への前記4-ビニルピリジン誘導体のラジカル重合ステップ
d.式XXVIIの支持体にグラフトされたポリマーを塩基で修飾して、式XXVIIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
【0115】
この実施形態において、式XXVIIIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、式XXVIIIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップを含む:
・支持体を前処理して、式LXVの前処理された支持体を取得するステップ
・式LXVIIの前処理され予備グラフトされた支持体を取得する予備グラフトステップ
・前処理され予備グラフトされた支持体を開始剤として用いて、式XXVIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ
・式XXVIIの支持体にグラフトされたポリマーを用いて修飾して、式XXVIIIの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
この実施形態において、ポリマーがグラフトされている支持体は、PETから作製される。
【0116】
特定の実施形態によれば、ポリマーが式XXXVのものであり、支持体がシリカである本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.シリカ支持体と酸との接触により該支持体を前処理して、式LXXI
【化78】
(式中、T'はSi-OHを表す)
の前処理された支持体を取得するステップ
b.式LXXIの前処理された支持体と式XXIIIのAPTES-CMBとの接触により該支持体を予備グラフトして、式LXXII
【化79】
(式中、Tは-O-を表し、X'は式LXXIII
【化80】
の化合物を表す)
の前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ
c.式LXXIIの前処理され予備グラフトされた支持体を、式LXIXの4-ビニルピリジン誘導体並びにCuCl2、TPMA及び金属銅と反応させて、Xが式LXXIV
【化81】
の化合物を表し、R4が塩素原子を表す式XXVの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、前記支持体への前記4-ビニルピリジン誘導体のラジカル重合ステップ
d.式XXVの支持体にグラフトされたポリマーを塩基で修飾して、式XXVIの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
【0117】
この実施形態において、式XXVIの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法を用いる重合である。
この実施形態において、式XXVIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップを含む:
・支持体を前処理して、式LXXIの前処理された支持体を取得するステップ
・予備グラフトして、式LXVIIの前処理され予備グラフトされた支持体を取得するステップ
・前処理され予備グラフトされた支持体を開始剤として用いて、式XXVの支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ
・式XXVの支持体にグラフトされたポリマーを用いて修飾して、式XXVIの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
この実施形態において、ポリマーがグラフトされた支持体はSiO2である。
【0118】
特定の実施形態によれば、ポリマーが式XXXのものであり、支持体がPVC及びPVDCを含む本発明の支持体にグラフトされたポリマーに関する上記製造方法は、次のステップを含む:
a.前記支持体を、式LXIXの4-ビニルピリジン誘導体並びにCuCl2、TPMA及び金属銅と反応させて、R4が塩素原子を表す式XXIXの支持体にグラフトされたポリマーを取得する、前記支持体への前記4-ビニルピリジン誘導体の重合ステップ
b.式XXIXのポリマーを塩基で修飾して、式XXXの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
この実施形態において、式XXXの支持体にグラフトされたポリマーを合成する方法は、「からグラフトする」技法に従う重合である。
この実施形態において、式XXVIの支持体にグラフトされたポリマーの合成法は、次のステップを含む:
・支持体を開始剤として直接用いて、式XXIXの支持体にグラフトされたポリマーを取得するラジカル重合ステップ
・式XXVの支持体にグラフトされたポリマーを用いて修飾して、式XXXの支持体にグラフトされたポリマーを取得するステップ。
【0119】
この実施形態において、ポリマーがグラフトされた支持体は、PVC-co-PDVCである。
【0120】
特定の実施形態によれば、上記製造方法のラジカル重合ステップは、NMP、RAFT、ATRPタイプの重合又は従来のラジカル重合である。
【0121】
特定の実施形態によれば、式XXXの本発明のポリマーの製造方法は、次のステップを含む:
a.式LXXV
【化82】
の化合物をPhPOCl2及びメタノールと接触させて、式LXXVI
【化83】
の化合物を合成する第1の反応ステップ、
b.式LXXVIの化合物をNaI、MeCN及びMeCOClと接触させて、式LXXVII
【化84】
の化合物を合成する第2の反応ステップ、
c.式LXXVIIの化合物をCH2=CHBF3K、Cs2CO3、PPh3及びPd(OAc)2と接触させて、式LXXVIII
【化85】
の化合物を合成する第3の反応ステップ、
d.式LXXVIIIの化合物をPVC-co-PDVCの支持体、CuCl2及び金属銅と接触させて、式XXIXの化合物を合成する第4の反応ステップ、
e.式XXIXの化合物を水酸化ナトリウムと接触させて、式XXX
【化86】
の化合物を取得する第5の反応ステップ。
【0122】
本発明は更に、金属の捕捉及び金属の回収、均一又は不均一触媒、有機及び/又は無機表面の標識、生体分子の蛍光標識を含む群から選択される本発明の組成物の使用に関する。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、海水中の金属の吸着剤、具体的にはアクチニド及びランタニドの吸着剤、より具体的にはウランの吸着剤、更により具体的にはバナジウムよりウランの選択的吸着剤として使用することができる。
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、金属で汚染された排出物、具体的には放射性排出物、特に原子力発電所の核廃棄物の処理剤として使用することができる。
【実施例0123】
実施例
実施例1:モノマー ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレートの合成
a.4-ヒドロキシピリジン-2,6-カルボン酸の合成
【化87】
この反応は先行技術、特にRSC Adv., 2014, 4, 25486において公知である。
【0124】
b.ジメチル 4-クロロピリジン-2,6-ジカルボキシレートの合成
【化88】
この反応は先行技術、特にJ. Chem. Soc, Dalton Trans., 2000, 2031-2043において公知である。
【0125】
c.ジメチル 4-ヨードピリジン-2,6-ジカルボキシレートの合成
【化89】
この反応は先行技術、特にTetrahedron, 2008, 64, 399-411において公知である。
【0126】
d.ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレートの合成
【化90】
ジメチル 4-ヨードピリジン-2,6-ジカルボキシレート(6.2mmol)を11mmolのトリフェニルホスフィン及び0.33mmolの酢酸パラジウム(II)を含むフラスコに添加した。これら化合物を20mLのTHF/水の溶液(比9/1)に溶解した。この混合物に、炭酸セシウム(III)(1mmol)及びカリウムビニルトリフルオロボラート(7.5mmol)を添加した。媒体を攪拌しながら85℃に8時間加温し、その後冷却し、最後に濾過した。得られた白色残渣を酢酸エチルで洗浄後、濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルで精製した。石油エーテルと酢酸エチル(比3/1)の混合物を用いて溶出し、ジクロロメタンと石油エーテル(比1/10)の混合物から再結晶して、ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレートを1グラムの白色固体として78質量%で取得した。
【0127】
実施例2:支持体の製造
a.プレ-ポリ(エチレン テレフタレート)(PET)支持体の製造
【化91】
PETファイバを、5~10mol%のポリエチレンイミンとジメチルスルホキシドの溶液中50℃にて6時間アミノリシスに供した。次いで、ファイバを水で洗浄し、乾燥した。これにより、前処理されたPET支持体を得た。次いで、前処理された支持体を、エチルアミンの存在下にてジエチルエーテル中4-(クロロメチル)ベンゾイルクロリド溶液に一晩添加した。得られたファイバをジクロロメタンで洗浄後、乾燥してた。これにより、予備グラフトされた支持体を得た。
【0128】
b.予備グラフトされたシリカ支持体の製造
【化92】
開始剤(APTES-CMB)は、不活性雰囲気下、4.5mLのトリエチルアミンの存在下にて、6.2mLの3-アミノプロピルトリエトキシシランと5.5gの4-(クロロメチル)ベンゾイルクロリドとの反応(全体を20mLのジクロロメタン中に溶解)により得た。
【化93】
シリカ表面を、ピラニア溶液(硫酸と過酸化水素の混合液、容量比7/3)で処理し、前処理されたシリカ支持体を得た。前処理されたシリカを無水トルエンにAPTES-CMBを含む溶液中に置いた。この混合物を70℃に1時間加温した後、トルエンで洗浄し、次いで水で洗浄した。得られた物を100℃で15分間アニールした。得られた固体が予備グラフトされたシリカ支持体である。
【0129】
実施例3:「からグラフトする」技法による、PET支持体にグラフトされたポリ(ジメチル
4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)の合成
【化94】
ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート(1.5mmol)を、3mlの有機溶媒(アセトニトリル)に溶解した。この溶液に、CuCl2(0.15μmol)を0.6μmolのTPMAと3cmの銅線(直径1mm)と共に添加した。この溶液に、予備グラフトされたPET支持体の2cm×1cmプレートを加えた。反応器を、所望するポリマー層の厚さに比例する時間(数時間~数日間)、室温に放置した。次いで、プレートをアセトニトリルで洗浄後、乾燥させた。
【0130】
実施例4:「からグラフトする」技法による、PET支持体にグラフトされたポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)の製造
先に得られたPET支持体プレートにグラフトされたポリ(ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)を、3mLの1M NaOHに浸漬した。プレートを2M塩酸で洗浄し、次いで蒸留水で洗浄した。その後、PET支持体上のポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)を回収した。
【0131】
実施例5:「からグラフトする」技法による、シリカ支持体にグラフトされたポリ(ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)の製造
ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート(1.5mmol)を、3mLの有機溶媒(アセトニトリル)に溶解した。この溶液に、CuCl2(0.15μmol)を0.6μmolのTPMAと3cmの銅線(直径1mm)と共に添加した。この溶液に、予備グラフトされたシリカ支持体の2cm×1cmプレートを加えた。反応器を、所望するポリマー層の厚さに比例する時間(数時間~数日間)、室温に放置した。次いで、プレートをアセトニトリルで洗浄後、乾燥させた。
【0132】
実施例6:「からグラフトする」技法による、シリカ支持体にグラフトされたポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)の製造
先に得られたシリカ支持体プレートにグラフトされたポリ(ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)を、3mLの1M NaOHに浸漬した。プレートを2M塩酸で洗浄し、次いで蒸留水で洗浄した。その後、シリカ支持体上のポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)を回収した。
【0133】
実施例7:「からグラフトする」技法による、PVC-co-PVDC支持体にグラフトされたポリ(ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)の製造
ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート(1.5mmol)を、3mLの有機溶媒(アセトニトリル)に溶解した。この溶液に、CuCl2(0.15μmol)を0.6μmolのTPMAと3cmの銅線(直径1mm)と共に添加した。この溶液に、PVC-co-PVDCファイバ(50mg)を加えた。反応器を、所望するポリマー層の厚さに比例する時間(数時間~数日間)、室温に放置した。次いで、ファイバをアセトニトリルで洗浄後、乾燥させた。
【0134】
実施例8:「からグラフトする」技法による、PVC-co-PVDC支持体にグラフトされたポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)の製造
先に得られたPVC-co-PVDC支持体にグラフトされたポリ(ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)を、3mLの1M NaOHに浸漬した。プレートを2M塩酸で洗浄し、次いで蒸留水で洗浄した。その後、PVC-co-PVDC支持体上のポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)を回収した。
【0135】
実施例9:PET支持体にグラフトされた架橋ポリ(ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)の製造
ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート(1.5mmol)を、3mLの有機溶媒(アセトニトリル)に、15μmonlの1,3-ジビニルベンゼンと共に溶解する。この溶液に、CuCl2(0.15μmol)を0.6μmolのTPMAと3cmの銅線(直径1mm)と共に添加する。この溶液に、予備グラフトされたPET支持体の2cm×1cmプレートを加える。反応器を、所望するポリマー層の厚さに比例する時間(数時間~数日間)、室温に放置する。次いで、プレートをアセトニトリルで洗浄後、乾燥させる。
【0136】
実施例10:PET支持体にグラフトされた、ブロックを有するポリ(ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート)の製造
スチレン(1mL)を1mlのスルホラン溶媒に溶解する。この溶液に、塩化銅(II)(0.25mg)を、5mgのトリ-(2-ピコリル)アミンと溶液1ミリリットル当たり1cmの銅線(直径1mm)と共に添加する。予備グラフトされたPETプレートを浸漬する。反応器を閉じて攪拌しながら60℃で10時間加温する。その後、スチレンが重合したPETプレートをスルホランで洗浄し、次いで水で、更にアセトンで洗浄した後、乾燥させる。
ジメチル 4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボキシレート(1.5mmol)を、3mLの有機溶媒(アセトニトリル)に溶解する。この溶液に、CuCl2(0.15μmol)を0.6μmolのTPMAと3cmの銅線(直径1mm)と共に添加する。この溶液に、スチレンが重合したPETプレートを加える。反応器を、所望するポリマー層の厚さに比例する時間(数時間~数日間)、室温に放置する。次いで、プレートをアセトニトリルで洗浄後、乾燥させる。
【0137】
実施例11:真水におけるウラン捕捉
PET支持体にグラフトされたポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)を、中性pHの蒸留水中1mMの硝酸ウラニルUO2(NO3)2溶液中に置く。室温にて5分後、修飾された支持体を取り出し、水で洗浄し、UVランプ(254nm)下で蛍光を調べる。
【0138】
実施例12:模擬海水におけるウラン捕捉
40%のグラフト度までPVC-co-PVDC支持体にグラフトされたポリ(4-ビニルピリジン-2,6-ジカルボン酸)(15mg)を、模擬海水(初期pH8、初期イオン強度:0.44)中1mMの硝酸ウラニルUO2(NO3)2溶液中に置く。室温にて5分後、修飾された支持体を取り出し、水で洗浄し、UVランプ(254nm)下で蛍光を調べる。ウラン取り込みは、蛍光で観察される、溶液中のウラン消失によっても確証される。
ウラン取り込みは98%(検出限界)以上である。
また、ウラン取り込みは、、
支持体にグラフトされたポリマーが175%のグラフト度を有する場合(導入質量3mg)の合計である。
グラフト度は、グラフトの間に増加したファイバ質量とグラフトされていないファイバの質量との比である。
図1
図2
図3