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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093691
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】調節可能な脊椎ケージ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20230627BHJP
【FI】
A61F2/44
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071779
(22)【出願日】2023-04-25
(62)【分割の表示】P 2021000102の分割
【原出願日】2016-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】513070381
【氏名又は名称】アピフィックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(72)【発明者】
【氏名】アルニン,ウリ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】拡張可能かつ回転可能な脊椎ケージを提供する。
【解決手段】第2の支持板(14)に枢動可能に接続され、傾斜表面を有する第1の支持板(12)と、第1の支持板(12)と第2の支持板(14)との間に位置し、傾斜表面でスライドするように構成されている板移動機と、を含む。第1の支持板(12)から突出するヒンジハウジングに形成された細長い穴内に軸支されているヒンジ(16)を備える。第1の支持板(12)は、傾斜表面となる複数の内側傾斜路を有し、内側傾斜路のうち1つの内側傾斜路は、ヒンジ(16)および第1の支持板(12)が内側傾斜路のうちの1つの上でスライドすることによって、第1の支持板(12)の傾斜を引き起こすことができるように、別の内側傾斜路とは異なる長さ、高さ、形状または角度を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎ケージ(10)であって、
ヒンジ(16)によって第2の支持板(14)に枢動可能に接続され、傾斜表面(20)を有する第1の支持板(12)と、
アクチュエータ(22)によって作動され、前記第1の支持板(12)と前記第2の支持板(14)との間に位置する板移動機(18)であって、前記板移動機(18)は前記傾斜表面(20)に対向する平面を有し、前記板移動機(18)は、前記第1の支持板(12)の前記傾斜表面(20)に面で接しながらスライドするように構成されている、板移動機(18)と、
を含む、脊椎ケージ(10)であって、
前記第1の支持板(12)から突出するヒンジハウジング(26)に形成された細長い穴(24)内に軸支されており、前記細長い穴(24)内で自由に並進運動および回転することができるヒンジ(16)を備え、
前記第1の支持板(12)は、前記傾斜表面(20)となる複数の内側傾斜路(40)をさらに有し、前記内側傾斜路(40)のうち1つの内側傾斜路(40)は、前記ヒンジ(16)および前記第1の支持板(12)が前記内側傾斜路(40)のうちの1つの上でスライドすることによって、前記第1の支持板(12)の傾斜を引き起こすことができるように、別の内側傾斜路(40)とは異なる長さ、高さ、形状または角度を有する、脊椎ケージ(10)。
【請求項2】
前記ヒンジ(16)および/または前記第1の支持板(12)に向かって付勢される1つまたは複数の支持部材(28)をさらに含む、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の支持部材(28)は、付勢装置(30)によって付勢される、請求項2に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項4】
前記傾斜表面(20)は、その種々の部分に種々の斜面を有する、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項5】
前記板移動機(18)は、その種々の部分に種々の斜面を有する、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項6】
前記第1の支持板(12)および/または前記第2の支持板(14)から延びる1つまたは複数のキール(32)をさらに含む、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項7】
近位漏斗(43)を備えたアプリケーターツール(42)と、前記アプリケーターツール(42)を通過する調節ツール(44)と、をさらに含む、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して脊椎インプラントおよびプロテーゼに関し、特に、例えばスライド可能なヒンジを備えた、拡張可能かつ回転可能な脊椎ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
種々のタイプの脊椎変性が、人口のかなりの部分に影響を与えている。現在の外科的治療は、2つの隣接した椎骨間に設置される椎間ケージの使用を何度も伴う。
解剖学的構造が症例ごとに異なるため、また、小さいインプラントを挿入することは大きいインプラントを設置するより常に容易であるため、小さい構成で椎骨間に挿入され解剖学的構造に適合するようその位置で調節され得るケージが、明らかに必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、例えば、収縮構成で取り付けられた後で2つの椎骨間の前弯角度を制御することができる、改善された拡張可能な脊椎ケージを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態では、拡張可能なケージは、以下でさらに詳細に説明するように、スライド可能に支持されたヒンジを有する。
よって、本発明の非限定的な実施形態によると、ヒンジによって第2の支持板に枢動可能に接続された第1の支持板と、アクチュエータによって作動され、第1の支持板と第2の支持板との間に位置する板移動機であって、第1の支持板上の傾斜表面に接してスライドするように構成されている、板移動機と、第1の支持板から突出するヒンジハウジングに形成された細長い穴内に軸支されており、細長い穴内で自由に並進運動および回転することができるヒンジと、を含む、脊椎ケージが提供される。
【0005】
本発明のある実施形態によると、1つまたは複数の支持部材が、ヒンジおよび/または第1の支持板に向かって付勢される。1つまたは複数の支持部材は、付勢装置によって付勢され得る。
【0006】
本発明のある実施形態によると、傾斜表面は、その種々の部分に種々の斜面を有する。
本発明のある実施形態によると、板移動機は、その種々の部分に種々の斜面を有する。
本発明のある実施形態によると、1つまたは複数のキールが第1の支持板および/または第2の支持板から延びる。
【0007】
本発明のある実施形態によると、内側傾斜路が設けられ、その上を第1の支持板が移動する。
本発明は、図面と併せて理解される以下の詳細な説明からさらに十分に理解および認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の非限定的な実施形態に従って構築され動作可能である、初期の収縮構成にある脊椎ケージを絵で表す簡略図である。
図2】ケージが(例えば、所望の高さおよび前弯角度を達成するために)新たな高さおよび傾斜角まで持ち上げられ傾斜されている、拡張構成にある図1のケージを絵で表す簡略図である。
図3】ケージが(例えば、所望の高さおよび前弯角度を達成するために)新たな高さおよび傾斜角まで持ち上げられ傾斜されている、拡張構成にある図1のケージの簡略端面図である。
図4】本発明の別の非限定的な実施形態に従って構築され動作可能である、初期の収縮構成にある脊椎ケージを絵で表す簡略図である。
図5】収縮構成にある図4のケージの簡略端面図である。
図6】高さが拡張した構成にある図4のケージの簡略端面図である。
図7】高さが拡張したことに加えて傾斜した構成にある図4のケージの簡略端面図である。
図8】板が互いに対して傾斜および移動する様式を決定する、ケージ内の内側傾斜路を絵で表す簡略図である。
図9】板が互いに対して傾斜および移動する様式を決定する、ケージ内の内側傾斜路の簡略側面図である。
図10】本発明の非限定的な実施形態に従って構築され動作可能である、脊椎ケージを取り付けるためのアプリケーターツールおよび調節ツールを絵で表す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の非限定的な実施形態に従って構築され動作可能である脊椎ケージ10を示す、図1図3を参照する。
脊椎ケージ10は、第1の支持板12および第2の支持板14を含み、これらは、最初は互いに平行であってよい(しかし必ずしもそうでなくてもよい)。第1の支持板12は、ヒンジ16によって第2の支持板14に枢動可能に接続される。板移動機18が、第1の支持板12と第2の支持板14との間に位置する。板移動機18は、傾斜表面、または平坦であるかもしくは湾曲していてよい(任意の幾何学的形状)他の適切な押圧構造体を備えた楔であってよい。板移動機18は、第1の支持板12(例えばその下側)における(任意の幾何学的形状を有する)傾斜表面20に接してスライドするように構成される。以下で説明するように、板移動機18が傾斜表面20に接してスライドする動作により、第1の支持板12は、第2の支持板14に対して持ち上げられ、かつ/または傾斜される。
【0010】
傾斜表面20(ならびに板移動機18)は、その長さまたは幅に沿った種々の部分に(深さ、角度、長さ、形状、サイズ等の点で)種々の斜面を有し得る。
板移動機18は、リニアアクチュエータ(例えば、第2の支持板14から突出する突起の中を通り抜ける制御ねじ)などのアクチュエータ22によって作動され得る。アクチュエータ22は、(例えば、制御ねじの頭部と噛み合う適切なねじ回しを回すことによって)手で操作されるか、または、自動で操作され得る(例えば、アクチュエータ22は、制御ループにおけるセンサーからのフィードバックなどにより、制御ねじを回す、局所的もしくは遠隔的に操作されるモーターであってよい)。
【0011】
ヒンジ16は、第1の支持板12から突出するヒンジハウジング26に形成された細長い穴24(例えば、卵形または楕円形の穴)内に軸支される。ヒンジ16は、細長い穴24内で自由に並進運動および回転することができる。
【0012】
本発明の非限定的な実施形態によると、1つまたは複数の支持部材28が、ヒンジ16および/または第1の支持板12に向かって付勢され得る。支持部材28は、可撓性材料で作られてよく、または、付勢装置30(例えば、板ばねもしくはコイルばね)によって押され得る。最初は、脊椎ケージ10がその収縮構成にあるとき、支持部材28は、単にヒンジ16および/または第1の支持板12に当接する。第1の支持板12が第2の支持板14に対して持ち上げられ、かつ/または傾斜された後、隙間がヒンジ16と第2の支持板14との間および/または第1の支持板12と第2の支持板14との間に形成され、支持部材28は、付勢力によってこの隙間内へと押し込まれる。このように、支持部材28は、第1の支持板12を(持ち上げられ、かつ/または傾斜された)その拡張構成に支持および維持する。1つまたは複数の支持部材28は、(例えば、ピボットを中心として)並進運動および/または回転して移動し得る。
【0013】
次に、第1の支持板12および/または第2の支持板14から(例えば、直角に)延びる1つまたは複数のキール32を備えた脊椎ケージ10を示す、図4図7を参照する。キール32は、脊椎構造内でのケージの適切な取り付け向きを確実にするために使用され得る。図5図7は、それぞれ、収縮構成、高さが拡張した構成、および高さが拡張したことに加え傾斜した構成にある、ケージ10を示す。
【0014】
次に、板12および14が互いに対して傾斜および移動する様式を決定する、第1の支持板12が上を移動するケージ10内の1つまたは複数の内側傾斜路40を示す、図8および図9を参照する。傾斜路40は、傾斜表面20として役立つか、または、別の傾斜表面に加えるものであってよい。例示された実施形態に見られるように、傾斜路のうちの1つの傾斜部分は、傾斜路のうちの別のものとは異なる長さ、高さ、形状または角度を有し得る。ヒンジおよび第1の支持板は、ヒンジが細長い穴内でその最高位置に到達するまで、傾斜路のうちの1つの上で上方にスライドし得る。その後、スライドは、その他の1つまたは複数の傾斜路上で続けられ、第1の支持板の傾斜を引き起こす。よって、傾斜路は、所望の前弯角度を達成するのに役立つ。
【0015】
次に、本発明の非限定的な実施形態に従って構築され動作可能である、脊椎ケージを取り付けるためのアプリケーターツール42および調節ツール44を絵で表す簡略図である図10を参照する。
【0016】
アプリケーターツール42は、近位漏斗43を備えた管であってよい。調節ツール44は、例えばアクチュエータを回すためのねじ回しであってよい。ケージ10は、(雄雌接続、ねじ接続、または任意の他の適切な接続によるなどして)アプリケーターツール42の遠位部分に取り付けられ得る。アプリケーターツール42は、椎間板腔または他の構造への挿入中にケージ10を把持する。調節ツール44は、アプリケーターツール42の管を通って挿入されてアクチュエータに到達することができる。ケージ10がその位置で拡張した後、調節ツール44は取り外される。第1の支持板を持ち上げるか、または傾斜させた後、骨グラフト、コラーゲン、または他の材料が、脊椎ケージ内に、第1の支持板の下などで加えられ得る。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支持板(12)と、
ここで、前記第1の支持板(12)は、前記第1の支持板(12)から突出するヒンジハウジング(26)を有し、かつ、少なくとも2つの内側傾斜路(40)を有し、
前記ヒンジハウジング(26)には、細長い穴(24)が形成されており、
第1の前記内側傾斜路(40)は、第2の前記内側傾斜路(40)とは異なる長さ、高さ、形状または角度を有し、
第2の支持板(14)と、
前記細長い穴(24)内に軸支され、前記細長い穴(24)内で自由に並進運動および回転することができ、かつ、前記第1の支持板(12)を前記第2の支持板(14)につなぐヒンジ(16)と、
前記第1の支持板(12)と前記第2の支持板(14)との間に位置し、前記内側傾斜路(40)のうち少なくとも1つの内側傾斜路(40)に対してスライドする面を有する板移動機(18)と
を備え、
前記板移動機(18)を前記第1の前記内側傾斜路(40)に対してスライドさせると、前記第1の支持板(12)が前記第2の支持板(14)に対して持ち上げられ、かつ、前記板移動機(18)を前記第2の前記内側傾斜路(40)に対してスライドさせると、前記第1の支持板(12)が前記第2の支持板(14)に対して傾斜する、脊椎ケージ(10)。
【請求項2】
前記ヒンジ(16)および/または前記第1の支持板(12)に向かって付勢され、前記第1の支持板(12)の前記持ち上げまたは前記傾斜を支持および維持する、1または複数の支持部材(28)をさらに備える、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項3】
前記1または複数の支持部材(28)を付勢する付勢装置(30)をさらに備える、請求項2に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項4】
前記第1の前記内側傾斜路(40)は、第1の傾斜表面を有し、前記第2の前記内側傾斜路(40)は、前記第1の傾斜表面とは異なる第2の傾斜表面を有する、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項5】
前記板移動機(18)は、第1の傾斜表面を有する第1の部分を有し、前記板移動機(18)は、前記第1の傾斜表面とは異なる第2の傾斜表面を有する第2の部分を有する、
請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項6】
前記第1の前記内側傾斜路(40)は、第1の傾斜表面を有し、前記第2の前記内側傾斜路(40)は、前記第1の傾斜表面とは異なる第2の傾斜表面を有する、請求項5に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項7】
前記第1の支持板(12)および/または前記第2の支持板(14)から延びる1つまたは複数のキール(32)をさらに含む、請求項1に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項8】
前記板移動機(18)に接続されるアクチュエータ(22)をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項9】
前記アクチュエータ(22)は、制御ねじを含む、請求項8に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項10】
前記アクチュエータ(22)は、モーターを含む、請求項8に記載の脊椎ケージ(10)。
【請求項11】
前記モーターは、遠隔的に操作可能に構成されている、請求項10に記載の脊椎ケージ(10)。