(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093696
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】豆臭が減少した低カロリー豆乳
(51)【国際特許分類】
A23L 11/65 20210101AFI20230627BHJP
A23L 33/20 20160101ALI20230627BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20230627BHJP
【FI】
A23L11/65
A23L33/20
A23L33/125
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072073
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2020572918の分割
【原出願日】2019-03-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0075043
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム,ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボンチャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンイン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イル
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンミ
(72)【発明者】
【氏名】イム,スヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,テチョル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乳化安定性が良く、豆特有の異臭がマスキングされ、嗜好度が高い豆乳、および該豆乳の製造方法を提供する。
【解決手段】豆汁原液、大豆油およびアルロースを含み、1℃~10℃の温度で115時間までの間に乳化安定性が維持される、低カロリー豆乳である。豆汁原液が、全豆乳100重量%ベースで20重量%~79重量%含まれることが好ましい。低カロリー豆乳の製造方法は、大豆油と精製水とを混合する工程と、豆汁原液を添加し混合する工程と、アルロースを添加し混合する工程とを含む。本発明の豆乳は、アルロースを含むことによって、乳化剤を少量添加しても、乳化安定度に優れており、砂糖を用いた既存の製品よりカロリーは低いながら優れたボディ感と味を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆汁原液、大豆油およびアルロースを含み、1℃~10℃の温度で115時間までの間に乳化安定性が維持される、低カロリー豆乳。
【請求項2】
前記豆汁原液が、全豆乳100重量%ベースで20重量%~79重量%含まれる、請求項1に記載の豆乳。
【請求項3】
前記大豆油が、全豆乳100重量%ベースで0.50重量%~2.0重量%含まれる、請求項1に記載の豆乳。
【請求項4】
前記アルロースは、固形分含有量が90%~99.99重量%のアルロース粉末である、請求項1に記載の豆乳。
【請求項5】
前記アルロースが、全豆乳100重量%ベースで1.0~20.0重量%含まれる、請求項1に記載の豆乳。
【請求項6】
前記アルロースが、豆汁原液100重量部ベースで2.0重量部~40重量部を含まれる、請求項1に記載の豆乳。
【請求項7】
前記豆乳が乳化剤を追加的に含むものである、請求項1に記載の豆乳。
【請求項8】
前記乳化剤が、豆乳100重量%ベースで0.01重量%~0.3重量%含まれる、請求項7に記載の豆乳。
【請求項9】
前記豆乳が、100mlベースで10kcal~60kcalの熱量を有するものである、請求項1に記載の豆乳。
【請求項10】
前記全豆乳100重量%ベースで、
豆汁原液20~79重量%、
大豆油0.50~2.0重量%、
アルロース1.0~20.0重量%、および
残量の水を含むものである、請求項1に記載の豆乳。
【請求項11】
大豆油と精製水とを混合する工程と、豆汁原液を添加し混合する工程と、アルロースを添加し混合する工程とを含む、低カロリー豆乳の製造方法。
【請求項12】
前記豆乳の乳化安定性が、1℃~10℃の温度で115時間までの間に維持される、請求項11に記載の低カロリー豆乳の製造方法。
【請求項13】
前記製造方法が50℃~90℃で行われるものである、請求項11に記載の低カロリー豆乳の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、豆汁原液、アルロースおよび大豆油を含む低カロリー糖類低減豆乳に関する。本発明による豆乳は、アルロースを含むことによって、砂糖または果糖が含まれている一般的な豆乳製品より糖類含有量およびカロリーは低いながらも優れたボディ感と味を有し、別途の乳化剤の添加なくても乳化安定度に優れている。
【背景技術】
【0002】
豆乳は大豆の消化率とタンパク質利用率を高めた代表的な大豆加工製品であって、消化吸収が良くなり、必須アミノ酸が豊富で、必須脂肪酸が多量含有され、飽和脂肪が少なくコレステロールがなく、鉄分、リン、カリウムなどの無機質が豊富で、動脈硬化、脂質代謝改善、神経機能向上、老化防止とイソフラボン(isoflavone)が乳癌防止に効果的であり、牛乳に類似する安い価格で供給可能でその需要が日増しに増加している。特に、乳糖を含んでおらず、牛乳による乳糖不耐症とアレルギーを起こす乳児のための高タンパク牛乳の代替食品としての価値が認められており、成人病の予防に良い植物性栄養飲料として認識がさらに拡大している。
【0003】
豆乳製品の最も大きい欠点は、青臭さあるいはbeany flavorなどの異臭(off-falvor)である。これによって、消費者の選好度が低下し、豆乳の市場販売拡大阻害の原因とされている。異臭の生成原因は、主に、Lipoxygenaseの不飽和脂肪酸の酸化によって誘発され、Lipoxygenaseの活性を抑制するためにこの酵素が欠如した豆品種が開発されたり、様々な種類の熱処理工程の導入による酵素不活性方法が研究されてきたものの限界があり、このような異味、異臭は豆乳製品に砂糖などを過度に添加して甘味を強化させる原因になっていた。
【0004】
これだけでなく、既存の豆乳製品は、豆汁原液の薄い粘性を改善するために、植物性油をはじめとしてこの油と水とを混合させる乳化剤、粘性を維持させるカラギーナンのような増粘剤を過剰混合することによって消化障害を誘発し、健康に悪影響を及ぼしうるという問題点があった。
【0005】
このような豆乳製品の欠点を補完するために、アルカリイオン水を用いたり(韓国公開特許2006-35841)、乳酸菌を添加して発酵させたり(韓国公開特許2011-94601)、真空脱臭させる工程(韓国登録特許10-1308290)などの多様な技術が提案されている。しかし、豆乳製品の味と栄養を維持しながらも糖類含有量が低減されカロリーが減少しながら、別途の乳化剤なくても乳化安定性が維持される豆乳を提供できる技術は依然として不十分なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、豆汁(ゴ)原液、大豆油およびアルロースを含む低カロリー豆乳であって、乳化安定性に優れた低カロリー豆乳を提供する。
本発明の豆乳は、既存の豆乳より糖類が低減され、アルロースを最適な配合比で含むことによって、乳化安定性が良く、豆特有の異臭がマスキングされ、嗜好度が高い豆乳を製造することができる。また、本発明のアルロースを含む豆乳は、乳化剤を用いなかったり、乳化剤の使用量を低減させるものの、乳化安定性は維持される豆乳を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明について具体的に説明する。一方、以下に開示した一例は、共通した事項
について他の態様の説明および実施形態にも適用可能であり、以下に述べた具体例によって本出願の範囲が制限されるわけではない。
【0008】
本発明の一例によれば、豆汁原液、大豆油およびアルロースを含む低カロリー豆乳であって、1℃~10℃の温度で、少なくとも115時間まで、例えば、0~115時間まで、または24時間~115時間まで、乳化安定性が維持されることを特徴とする、低カロリー豆乳を提供する。
【0009】
一具体例によれば、前記豆汁原液は、豆に水を投入し粉砕して製造した豆乳液または豆からおからを分離した豆汁を意味し、豆汁原液は、豆以外に添加物を含まない。
【0010】
前記豆は、大豆、エンドウ、インゲンマメ、タンキリマメ、アオマメ、クリマメ、シロマメ(ミソマメ)、かて飯用マメ、ナタマメ、クロマメおよびエダマメからなる群より選択される1つ以上であってもよく、具体的には、本出願の豆は、大豆であってもよい。また、本出願の用語「豆」は、豆そのもの、粉砕した豆、加熱した豆、粉砕して加熱した豆を含む意味であり得る。
【0011】
本発明の一具体例によれば、前記豆汁原液は、全豆乳100重量%ベースで、20重量%~79重量%、25重量%~79重量%、30重量%~79重量%、40重量%~79重量%、45重量%~79重量%、50重量%~79重量%、55重量%~79重量%、20重量%~75重量%、25重量%~75重量%、30重量%~75重量%、40重量%~75重量%、45重量%~75重量%、50重量%~75重量%、55重量%~75重量%、20重量%~70重量%、25重量%~70重量%、30重量%~70重量%、35重量%~70重量%、40重量%~70重量%、45重量%~70重量%、50重量%~70重量%、55重量%~70重量%、20重量%~65重量%、25重量%~65重量%、30重量%~65重量%、35重量%~65重量%、40重量%~65重量%、45重量%~65重量%、50重量%~65重量%、55重量%~65重量%、または57重量%~62重量%含まれる。
【0012】
他の具体例によれば、前記大豆油は、大豆から採油される半乾性油を意味する。前記大豆油は、精製した形態で使用されることが好ましい。
【0013】
前記大豆油は、全豆乳100重量%ベースで、0.5重量%~2.0重量%、0.7重量%~2.0重量%、0.9重量%~2.0重量%、1.0重量%~2.0重量%、1.1重量%~2.0重量%、0.5重量%~1.8重量%、0.7重量%~1.8重量%、0.9重量%~1.8重量%、1.0重量%~1.8重量%、1.1重量%~1.8重量%、0.5重量%~1.6重量%、0.7重量%~1.6重量%、0.9重量%~1.6重量%、1.0重量%~1.6重量%、0.5重量%~1.4重量%、0.7重量%~1.4重量%、0.9重量%~1.4重量%、1.0重量%~1.4重量%または1.1重量%~1.4重量%であってもよい。
【0014】
本発明の一具体例によれば、前記豆乳に含まれているアルロースは、化学的合成、またはアルロースエピマー化酵素を用いた生物学的方法で生成されたものであってもよいし、好ましくは、生物学的方法、例えば、微生物または酵素反応で製造される。例えば、前記アルロースは、混合糖またはこれから得られるものであり、前記混合糖は、アルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含むアルロース生産用組成物を果糖-含有原料と反応させて製造された混合糖またはこれから得られるものであってもよい。
【0015】
本発明の果菜ドリンクに含まれるアルロースは、シロップまたは粉末形態であってもよい。前記アルロースシロップは、アルロースを用いて多様な濃度で製造した溶液であってもよい。例えば、前記アルロースシロップ内の固形分アルロースがアルロースシロップの重量100%ベースで10~100重量%含むことができ、好ましくは70~99.99重量%、さらに好ましくは90~99.99重量%混合して製造される。前記アルロース粉末を用いる場合、アルロース粉末固形分は、全組成物粉末、例えば、純度90%以上のアルロース、例えば、アルロースを90~99.99重量%、さらに好ましくは95~99.99重量%含むアルロース粉末を用いることができる。
【0016】
前記アルロースシロップは、前記アルロース単独または混合糖から分離、精製および濃縮工程により得られたものであってもよい。本発明の一例において、分離および精製工程を経たアルロースシロップは、電気伝導度1~50μS/cmであり、無色または微黄色の甘味を有する液状アルロースシロップであってもよい。
【0017】
本発明のアルロース製造のための一例として、アルロースエピマー化酵素を高い発現率と安定性で生産できる発現システム、これを用いたGRAS(Generally recognized as safe)微生物、および前記発現システムを用いた微生物および酵素を含むアルロースの生産方法などは、韓国登録特許第10-1318422号および第10-1656063号などに詳しく記載されている。
【0018】
前記アルロースは、アルロース単独または追加の他の糖類を含む混合糖であってもよいし、混合糖の例は、全混合糖の固形分含有量100重量%ベースで1~99.9重量%のアルロースを含有することができ、追加的に、果糖およびブドウ糖からなる群より選択された1種以上をさらに含んでもよい。アルロース混合糖が果糖および/またはブドウ糖を含む場合、前記混合糖は、果糖1~90重量%および/またはブドウ糖1~50重量%を含むことができる。
【0019】
前記アルロース含有混合糖の具体例は、混合糖の全固形分含有量100重量部ベースで、アルロース5~30重量部、果糖20~50重量部およびブドウ糖20~55重量部、およびオリゴ糖1~10重量部を含むものであってもよいし、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は、好ましくは、いずれもD型-異性体である。
【0020】
本発明の豆乳に含まれるアルロースは、シロップまたは粉末形態であってもよいし、好ましくは、粉末形態であることが適切である。前記アルロース粉末を用いる場合、アルロース粉末固形分は、全組成物粉末、例えば、純度90%以上のアルロース、例えば、アルロースを90~99.99重量%、さらに好ましくは95~99.99重量%含むアルロース粉末を用いることができる。
【0021】
前記アルロースの含有量は、全豆乳100重量%ベースで、1.0重量%~20重量%、1.2重量%~20重量%、1.4重量%~20重量%、1.6重量%~20重量%、1.8重量%~20重量%、2.0重量%~20重量%、2.2重量%~20重量%、2.4重量%~20重量%、1.0重量%~18重量%、1.2重量%~18重量%、1.4重量%~18重量%、1.6重量%~18重量%、1.8重量%~18重量%、2.0重量%~18重量%、2.2重量%~18重量%、1.0重量%~16重量%、1.2重量%~16重量%、1.4重量%~16重量%、1.6重量%~16重量%、1.8重量%~16重量%、2.0重量%~16重量%、2.2重量%~16重量%、1.2重量%~14重量%、1.4重量%~14重量%、1.6重量%~14重量%、1.8重量%~14重量%、2.0重量%~14重量%、2.2重量%~14重量%、1.2重量%~12重量%、1.4重量%~12重量%、1.6重量%~12重量%、1.8重量%~12
重量%、2.0重量%~12重量%、2.2重量%~12重量%、3.0重量%~12重量%、4.0重量%~12重量%、4.0重量%~11重量%または4.2重量%~11重量%であってもよい。
【0022】
本発明の他の例によれば、前記アルロースの含有量は、豆汁原液100重量部ベースで、2.0重量部~40重量部、2.0重量部~38重量部、2.0重量部~36重量部、2.0重量部~34重量部、2.0重量部~32重量部、2.0重量部~30重量部、2.0重量部~28重量部、2.0重量部~26重量部、2.0重量部~24重量部、2.0重量部~22重量部、2.0重量部~20重量部、2.0重量部~18重量部、2.0重量部~17重量部、3.0重量部~40重量部、3.0重量部~38重量部、3.0重量部~36重量部、3.0重量部~34重量部、3.0重量部~32重量部、3.0重量部~30重量部、3.0重量部~28重量部、3.0重量部~26重量部、3.0重量部~24重量部、3.0重量部~22重量部、3.0重量部~20重量部、3.0重量部~18重量部、3.0重量部~17重量部、4.0重量部~40重量部、4.0重量部~38重量部、4.0重量部~36重量部、4.0重量部~34重量部、4.0重量部~32重量部、4.0重量部~30重量部、4.0重量部~28重量部、4.0重量部~26重量部、4.0重量部~24重量部、4.0重量部~22重量部、4.0重量部~20重量部、4.0重量部~18重量部、4.0重量部~17重量部、5.0重量部~17重量部、6.0重量部~17重量部または7.0重量部~17重量部であってもよい。
【0023】
本発明の一例によれば、本発明の豆汁原液、大豆油およびアルロースを含む低カロリー豆乳は、1℃~10℃の温度で、90時間まで、例えば、95時間まで、100時間まで、110時間まで、または115時間までの間に乳化安定性を維持することができ、好ましくは、115時間まで乳化安定性が維持される。あるいは、乳化安定性が維持される時間は、12時間以上、24時間以上、36時間以上、または48時間以上であってもよいし、例えば、0~90時間まで、12時間~90時間、24時間~90時間、36時間~90時間、0~95時間まで、12時間~95時間、24時間~95時間、36時間~95時間、0~100時間まで、12時間~100時間、24時間~100時間、36時間~100時間、0~110時間まで、12時間~110時間、24時間~110時間、36時間~110時間、0~115時間まで、12時間~115時間、24時間~115時間、または36時間~115時間であってもよい。0時間は、乳化安定性試験を開始時点とするので、0時間を超えていてもよい。
【0024】
具体的には、本発明の豆乳は、1℃~10℃で、さらに好ましくは115時間未満の間保管した時、水分と油分の相分離が起こらずに乳化安定性が維持できる。
【0025】
前記乳化安定性とは、互いに混合されない2つの液体が他の液体中に微粒子状に分散して乳化した形態で2つの液体が分離されずに混合状態が維持される状態を意味する。本発明の一具体例によれば、前記保管温度は、1℃~10℃、2℃~8℃、3℃~7℃または3℃~6℃、例えば、4℃であってもよい。
【0026】
具体的には、本発明のアルロース含有豆乳を約4℃で5日間保管しながら乳化安定性を測定した結果、保管開始日から120時間(5日間)相分離が起こらなかった。特に、乳化剤を全く含まないアルロース含有豆乳は、120時間(5日間)保管後にも、乳化剤を含む他の豆乳と比較して類似する程度の乳化安定度が維持された。つまり、本発明のアルロース含有豆乳は、乳化剤を別途に含まなくても乳化安定度が維持され、乳化剤の使用量を減少させることができる。
【0027】
本発明の豆乳は、乳化剤を含まなくてもよいし、乳化剤を少量含んでもよい。
【0028】
本発明の一具体例によれば、豆乳に乳化剤を含む場合、前記乳化剤は、豆乳100重量%ベースで、0.01%~0.3%、0.01%~0.2%、0.01%~0.1%、0.05%~0.3%、0.05%~0.2%、0.05%~0.1%、0.07%~0.3%、0.07%~0.2%、0.07%~0.1%、0.08%~0.3%、0.08%~0.2%、0.08%~0.1%、0.09%~0.3%、0.09%~0.2%または0.09%~0.1%を含むことができる。
【0029】
既存の豆乳製品は、豆汁原液の薄い粘性を改善するために、植物性油をはじめとしてこの油と水とを混合させる乳化剤などを過剰混合して用いることで豆乳の乳化安定性を維持していたが、本発明のアルロース含有豆乳は、乳化剤を全く含まなかったり、少量の乳化剤だけを含んでいても乳化安定性が維持される。したがって、本発明は、豆乳におけるアルロースの乳化作用を新たに究明したものであり、豆乳における乳化剤の使用を減少させ、より健康で高品質の豆乳を提供することができる。
【0030】
本発明の一例によれば、低カロリー豆乳を提供することができる。本発明の豆乳は、100mlベースで、60kcal以下、55kcal以下、または50kcal以下であってもよいし、例えば、10kcal~60kcal、10~55kcal、好ましくは10kcal~50kcal、さらに好ましくは10kcal~45kcalの熱量を有する。
【0031】
本発明の具体的な一例によれば、本発明のアルロース含有豆乳は、10~20bx、好ましくは10~18bx、さらに好ましくは10~17bxの糖度を有する。
【0032】
本発明の一例によれば、本発明は、全豆乳100重量%ベースで、豆汁原液20~79重量%、大豆油0.50~2.0重量%、アルロース1.0~20.0重量%、および残量の水を含む豆乳を提供する。
【0033】
前記豆汁原液、大豆油およびアルロース構成の好ましい含有量範囲は、上述した通りである。
【0034】
既存の豆乳製品は、豆特有の異味、異臭をマスキングするために砂糖などを過度に添加して甘味を強化させ、その結果、異味異臭を一部マスキングしてもカロリーが高いという問題点があった。しかし、本発明の豆乳は、砂糖、概してアルロースを含有し最適比率の豆汁原液と大豆油を含有することによって、豆特有の異味、異臭をマスキングすると同時に、適切な糖度を維持して優れた甘味を有して消費者の官能嗜好度に優れ、カロリーが市中製品より顕著に低い。
【0035】
本発明の一例によれば、本発明の豆乳は、アルロースを含有することによって、色差分析の結果、黄色度が高い濃黄色の豆乳を提供することができる(実験例3参照)。本発明の豆乳にアルロースの含有量が増加するにつれ、L値(lightness)、赤色度(-)および緑色度(+)を示すa値(Redness)、黄色度を示すb(Yellowness)値が全体的に増加し、本発明の豆乳は、色差のΔE(E*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2)値が98以上、好ましくは98.3以上、さらに好ましくは98.4以上の値を有する。
【0036】
また、本発明の一例によれば、追加的にガム類を含むことができ、前記ガム類は、薄い豆汁原液の粘度を上昇させる役割を果たす。前記ガム類は、市中で飲料食品に一般に使用されるガム類であればその種類を特に限定せずに使用することができるが、好ましくは、キサンタンガムまたはカラギーナンまたはこれら2つの混合物を使用することが適切である。さらに好ましくは、タンパク質の凝固を防止するためにカラギーナンを使用すること
が好ましい。
【0037】
さらに、本発明は、必要に応じて、香味剤、栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤有機酸またはその塩、pH調整剤、安定化剤などを単独または組み合わせて追加してもよい。この時、このような香味剤、栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤有機酸またはその塩、pH調整剤、安定化剤などは、当業者が適宜選択して実施可能である。
【0038】
本発明の一具体例は、大豆油と精製水とを混合する段階と、豆汁原液を添加し混合する段階と、アルロースを添加し混合する段階とを含む、低カロリー豆乳の製造方法を提供する。
【0039】
前記大豆油と精製水とを混合する段階には、追加的に、ガム類または/および乳化剤を添加することができ、50℃~90℃、好ましくは60℃~80℃、例えば、70℃~75℃で混合し、均質化(250、50bar)することが好ましい。
【0040】
前記豆汁原液を添加し混合する段階およびアルロースを添加し混合する段階も、50℃~90℃、好ましくは60℃~80℃、例えば、70℃~75℃で混合することが好ましい。
【0041】
以後、追加的に殺菌過程を経ることができ、殺菌温度は、90℃~110℃、好ましくは90℃~100℃、さらに好ましくは95℃~100℃で、10分~20分間、好ましくは15分~20分間殺菌することが適切である。前記殺菌は、HTST殺菌過程を経ることができる。
【0042】
したがって、本発明のアルロース含有低カロリー豆乳は、既存の豆乳より低容量の乳化剤を含有しても乳化安定性が維持され、例えば、1℃~10℃の温度で115時間乳化安定性が維持される。
【0043】
また、本発明の豆乳は、豆の異味異臭をマスキングして優れた味と香りを有する濃黄色豆乳であり、カロリーが低くて消費者の健康と嗜好度に符合する。
【発明の効果】
【0044】
本発明のアルロースを含む低カロリー豆乳は、糖類含有量およびカロリーが低く、アルロースの最適な配合比で豆特有の生臭さがマスキングされ、嗜好度が高い豆乳を提供する。また、乳化剤の使用を低減させながらも乳化安定性が維持される豆乳を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】比較例3(#3-0)および実施例3-1(#3-1)~3-5(#3-5)で製造した豆乳で実施した乳化安定度実験の結果を示す。
【
図2】
図1の結果中、5日目になる日に測定した各試料の相分離の程度を拡大して示す図である。
【
図3】比較例6(#比較区)、比較例3(#3-0)および実施例3-1(#3-1)~3-5(#3-5)の色価分析実験で測定したL値をグラフで示す図である。
【
図4】比較例6(#比較区)、比較例3(#3-0)および実施例3-1(#3-1)~3-5(#3-5)の色価分析実験で測定したa値をグラフで示す図である。
【
図5】比較例6(#比較区)、比較例3(#3-0)および実施例3-1(#3-1)~3-5(#3-5)の色価分析実験で測定したb値をグラフで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、実施例および実験例を通じて本発明をより詳しく説明する。しかし、これらの実
施例および実験例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの記載によって限定されるものではない。
【実施例0047】
製造例1: 豆乳の成分および豆汁原液の組成
(1)豆乳の原料成分
以下は豆乳の基本配合比を示した。アルロース粉末は固形分ベースでアルロースの含有量が98%以上の製品を使用した。
【0048】
【0049】
【0050】
(2)アルロース粉末の添加量によるアルロース%含有量範囲の設定
下記表3にアルロース粉末(固形分含有量98%)の添加量による実際のアルロースの添加量を示した。
【0051】
【0052】
実施例1および比較例1: 豆汁原液を30%含む豆乳の製造
表4に示すように、共通して、豆汁原液を30%含み、砂糖を含有する比較例1、砂糖の代わりにアルロース粉末を含む実施例1-1~実施例1-4の豆乳を製造した。
具体的には、大豆油、ガム類、乳化剤および精製水を撹拌機に投入した後、70℃で十分に撹拌して混合し均質化(250、50bar)した。次に、均質化まで完了した混合液に豆汁原液を投入し撹拌した後、糖類を添加し、70℃で撹拌混合した。以後、95℃で15分間HTST殺菌過程を経た後、Aseptic petに充填した。
【0053】
【0054】
実施例2および比較例2: 豆汁原液を50%含む豆乳の製造
下記表5に示すように、共通して、豆汁原液を50%含み、砂糖を含有する比較例2、砂糖、概してアルロース粉末を含む実施例2-1~実施例2-4の豆乳を製造した。製造方法は実施例1と同一である。
【0055】
【0056】
実施例3および比較例3: 豆汁原液を60%含む豆乳の製造
下記表6に示すように、共通して、豆汁原液を60%含み、砂糖を含有する比較例3、砂糖、概してアルロース粉末を含む実施例3-1~実施例3-5の豆乳を製造した。実施例3-5は乳化剤(Almax2700、P-1670)を含まない。製造方法は実施例1と同一である。
【0057】
【0058】
実施例4および比較例4: 豆汁原液を75%含む豆乳の製造
共通して、豆汁原液を75%含み、砂糖を含有する比較例4、砂糖、概してアルロース粉末を含む実施例4-1~実施例4-4の豆乳を製造した。
【0059】
【0060】
実験例1: 豆乳のPHおよびbxの測定
市販の豆乳製品である比較例5(Vegemil、Dr. Chung’s Food)、比較例3および実施例3-1~実施例3-5で製造した豆乳のpHおよび糖度を測定した。具体的には、pHはpH meter(Methrom 780pH meter、Switzerland)を用いて測定し、糖度はAtago table brixmeter(20℃サンプル分析)を用いて測定した。
【0061】
【0062】
その結果、市販の豆乳のpHは6.0~8.0と中性水準で、本発明の実施例3-1~3-5による豆乳も類似するpHを有することを確認した。
【0063】
実験例2: 豆乳の乳化安定度実験
比較例3および実施例3-1~実施例3-5で製造した豆乳を4℃で5日間冷蔵保管した後、相分離の程度を肉眼で比較し、その結果を
図1および
図2に示した。
図1および
図2に示すように、保管5日目になる日に、実施例3-1で製造した豆乳の上部分のみ若干の相分離が起こっただけで、実施例3-2~実施例3-5による豆乳では保管開始日から5日間相分離が起こらなかった。
また、本発明の実施例3-5のアルロースを含む豆乳は乳化剤を含まないものの、乳化剤を含むアルロース豆乳(実施例3-3)および乳化剤と砂糖を含む比較例3による豆乳と同じく、保管後5日後にも相分離が起こらず、類似する程度の乳化安定度を有することを確認することができた。
【0064】
実験例3: 豆乳の色価分析実験
アルロースの含有量による豆乳の色の変化を確認するために、色価分析実験を行った。
市販のVegemil(Dr.Chung’s Food)である比較例6、比較例3、実施例3-1~実施例3-5による豆乳試料の色度を色差計(CM-3500d、Konica Minolta、Osaka、Japan)を用いて測定し、それによるΔEを計算した。
具体的には、色度分析に際して、明度を示すL値(lightness)、赤色度(-)および緑色度(+)を示すa値(Redness)、黄色度を示すb(Yellown
ess)、色差のΔE(ΔE*ab=[(ΔL*)
2+(Δa*)
2+(Δb*)
2]
1/2)を1次、2次、3次測定して平均を測定し、その結果を下記表9に示した。L値の変化は
図3、a値の変化は
図4、b値の変化は
図5に示した。
図3~
図5によれば、アルロースの含有量が増加するにつれ、L、a、b値が全体的に増加する様相を示し、これはアルロースの褐変効果によることを確認した。色価比較の結果、豆乳にアルロースの含有量が高くなるほど、黄色度が高くて濃い豆乳色を付与できることが分かった。特に、実施例3-5の豆乳が比較例6の豆乳とほぼ類似する黄色度を示した。
【0065】
【0066】
実験例4: 官能評価
比較例3および実施例3-1~実施例3-5で製造した豆乳の官能評価を実施した。色満足度、ボディ感(薄い-とろみあり)、食感満足度、味満足度、全般満足度の評価項目について下記の評価基準により評価し、その評価結果を下記表10に示した。具体的には、20~50代の成人男女パネル20人を対象に5点尺度法で官能評価を行った。
[評価基準]
色満足度: 色が薄い(1点)-色が濃い(5点)
ボディ感: ボディ感が全くなく薄い(1点)-ボディ感が極めて大きくとろみがある(5点)
食感満足度: 食感が極めて悪い(1点)-食感が極めて良い(5点)
味満足度: 味が極めて悪い(1点)-味が極めて良い(5点)
全般満足度: 全般的な豆乳の味が極めて悪い(1点)-全般的な豆乳の味が極めて良
い(5点)
具体的には、前記色満足度は、試料豆乳を肉眼で観察した時、色の濃薄の程度を意味し、ボディ感は、試料が口の中で重みの感じられる程度を意味し、食感満足度は、口の中で感じられる食感の満足の程度を意味し、味満足度は、口の中で感じられる味の満足の程度を意味し、全般満足度は、製品の全般的な官能満足の程度を意味する。
【0067】
【0068】
表10に示すように、砂糖を含む比較例3による豆乳に比べて、アルロースを含む実施例3-1~3-5による豆乳の全般満足度が高くなり、具体的には、比較例1に比べて、実施例3-1~3-5の豆乳の色満足度、ボディ感、食感満足度、および味満足度のすべてにおいて優れていた。
【0069】
実験例5: 糖類低減効果の比較
本発明の豆乳の糖類低減効果を確認するために、比較例3、実施例3-1~実施例3-5による豆乳のカロリーを測定して、下記表11に示した。
【0070】
【表11】
表11に示すように、砂糖を含む比較例3の豆乳に比べて、アルロースを含む実施例3-1~実施例3-5による豆乳のカロリーが顕著に低いことを確認することができた。