(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093751
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】眼科組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/436 20060101AFI20230627BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230627BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230627BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230627BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20230627BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230627BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230627BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20230627BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20230627BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230627BHJP
A61P 27/14 20060101ALI20230627BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230627BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230627BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230627BHJP
A61K 31/196 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/10 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/07 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/164 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/185 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/7084 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20230627BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230627BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230627BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230627BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230627BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
A61K31/436
A61P27/02
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K47/36
A61K31/197
A61P29/00
A61P37/08
A61P39/06
A61P17/18
A61P3/02 101
A61P27/14
A61K47/10
A61K47/44
A61K47/14
A61K31/196
A61K31/4535
A61K31/352
A61K31/10
A61K31/704
A61K31/14
A61K31/07
A61K31/164
A61K31/185
A61K31/355
A61K31/4415
A61K31/7084
A61K31/714
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/32
A61K47/38
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076026
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2021107617の分割
【原出願日】2016-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2015237854
(32)【優先日】2015-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015170237
(32)【優先日】2015-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(72)【発明者】
【氏名】松村 泰子
(57)【要約】
【課題】ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する濡れが抑制された眼科組成物を提供すること。
【解決手段】(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、ビタミン、アミノ酸類、清涼化剤、抗酸化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼科組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラノプロフェンは、優れた抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を併せ持つ非ステロイド系抗炎症剤として知られており、安全性も高いことから多くの眼科用医薬製剤に配合されている。
【0003】
眼科用医薬製剤を収容する容器として、ポリエチレンテレフタレート製、ポリエチレンナフタレート製、ポリプロピレン製、ポリアリレート製、ポリブチレンテレフタレート製、ポリカーボネート製及びガラス製の容器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、(A)プラノプロフェン又はその塩を含有する眼科用組成物は、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する動的接触角が小さく、濡れやすいという新規の課題を見出した。ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に対して濡れやすいと、液残りが生じたり、液切れが悪くなったりすることから、眼科組成物の品質の低下、及び使用性能の低下が惹起されるおそれがある。
【0006】
本発明は、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する濡れが抑制された眼科組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、ビタミン、アミノ酸類、抗酸化剤、清涼化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上とを組み合わせて含有する眼科組成物は、(A)プラノプロフェン又はその塩を単独で含有する眼科組成物と比較して、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂(以下、「ポリブチレンテレフタレート含有樹脂」又は「PBT含有樹脂」ともいう。)に対する動的接触角が大きくなる(すなわち、濡れが抑制される)ことを見出した。本発明は、この知見に基づくものであり、以下の各発明を提供するものである。
【0008】
[1]
(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、ビタミン、アミノ酸類、抗酸化剤、清涼化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
[2]
上記非イオン性界面活性成分が、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、多価アルコール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記抗アレルギー成分が、トラニラスト、ケトチフェン、クロモグリク酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記抗炎症成分が、アズレンスルホン酸、グリチルリチン酸、イプシロン-アミノカプロン酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記防腐剤が、ベンザルコニウム、ビグアニド化合物、ソルビン酸、クロロブタノール、アルキルポリアミノエチルグリシン、パラオキシ安息香酸エステル、スルファメトキサゾール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記多糖類が、酸性多糖類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記ビニル化合物が、ポリビニルピロリドン及びその塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記ビタミンが、シアノコバラミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、パンテノール、ピリドキシン、レチノール、トコフェロール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記アミノ酸類が、アスパラギン酸、タウリン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記清涼化剤が、メントール、カンフル、ボルネオール及びゲラニオールからなる群より選択される1種以上であり、
上記抗酸化剤が、ブチルヒドロキシアニソール及びその塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記充血除去剤が、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記油分が、植物油からなる群より選択される1種以上であり、かつ
上記無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化亜鉛からなる群より選択される1種以上である、[1]に記載の眼科組成物。
[3]
(C)クロルフェニラミン、エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を更に含有する、[1]又は[2]に記載の眼科組成物。
[4]
眼科組成物に、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、ビタミン、アミノ酸類、清涼化剤、抗酸化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上と、を配合することを含む、該眼科組成物にポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する濡れ抑制作用を付与する方法。
【0009】
本発明はまた、以下の各発明を提供する。
[2-1]
(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-1)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、アミノ酸類、清涼化剤、抗酸化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
[2-2]
上記非イオン性界面活性成分が、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、チロキサポール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記抗アレルギー成分が、トラニラスト、ジフェンヒドラミン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記抗炎症成分が、イプシロン-アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記防腐剤が、クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンゼトニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、パラベン、スルファメトキサゾール、フェニルエチルアルコール、モノエタノールアミン、エタノール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記多糖類が、ジェランガム、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記ビニル化合物が、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記アミノ酸類が、グリシン、グルタミン酸、タウリン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記清涼化剤が、ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上であり、
上記抗酸化剤が、ブチルヒドロキシアニソール及びその塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記充血除去剤が、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、
上記油分が、ゴマ油、ヒマシ油、ワセリン、パラフィン及びラノリンからなる群より選択される1種以上であり、かつ
上記無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛及び硫酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上である、[2-1]に記載の眼科組成物。
[2-3]
眼科組成物の総量を基準として、タウリン又はその塩の総含有量が0.25w/v%以上である、[2-2]に記載の眼科組成物。
[2-4]
(C)クロルフェニラミン、エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を更に含有する、[2-1]~[2-3]のいずれかに記載の眼科組成物。
【0010】
本発明はまた、以下の各発明を提供する。
[3-1]
(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-2)クロモグリク酸、ケトチフェン、トラニラスト及びこれらの塩からなる群より選択される抗アレルギー成分の1種以上と、(C-1)クロルフェニラミン又はその塩と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
[3-2]
(B-3)非イオン性界面活性成分、マンニトール、アズレンスルホン酸、グリチルリチン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、ソルビン酸、クロルヘキシジン、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル及びこれらの塩、並びに(C-2)ポリソルベート80及びその塩からなる群より選択される1種以上を更に含有する、[3-1]に記載の眼科組成物。
[3-3]
非イオン性界面活性成分が、プロピレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はこれらの塩である、[3-2]に記載の眼科組成物。
[3-4]
眼科組成物の総量を基準として、アスパラギン酸又はその塩の総含有量が0.25w/v%以上である、[3-2]又は[3-3]に記載の眼科組成物。
[3-5]
ポリソルベート80を少なくとも含み、
更に(B-4)ピリドキシン、ポリヘキサメチレンビグアニド及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[3-2]~[3-4]のいずれかに記載の眼科組成物。
[3-6]
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び酢酸トコフェロールを少なくとも含む、[3-2]~[3-4]のいずれかに記載の眼科組成物。
[3-7]
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも含み、
更に(B-5)コンドロイチン硫酸、メントール、ベンザルコニウム及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[3-2]~[3-4]のいずれかに記載の眼科組成物。
[3-8]
眼科組成物の総量を基準として、コンドロイチン硫酸又はその塩の総含有量が0.25w/v%以上である、[3-7]に記載の眼科組成物。
[3-9]
(B-2)成分が、トラニラスト又はその塩を少なくとも含み、
更に、(B-6)非イオン性界面活性成分、マンニトール、アズレンスルホン酸、グリチルリチン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、ソルビン酸、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、メントール、カンフル、ベンザルコニウム及びこれらの塩、並びに(C-3)エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びその塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[3-1]に記載の眼科組成物。
[3-10]
非イオン性界面活性成分が、プロピレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はこれらの塩である、[3-9]に記載の眼科組成物。
【0011】
本発明はまた、以下の各発明を提供する。
[4-1]
(A)プラノプロフェン又はその塩と、(C-1)クロルフェニラミン又はその塩と、を含有する眼科組成物であって、
眼科組成物の総量を基準として、クロルフェニラミン又はその塩の総含有量が0.02w/v%以上であり、
該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
[4-2]
(B-7)プロピレングリコール、グリセリン、アズレンスルホン酸、ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マンニトール、グリチルリチン酸、アラントイン、クロルヘキシジン、パラベン、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ピリドキシン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を更に含有する、[4-1]に記載の眼科組成物。
[4-3]
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも含み、
更に(B-8)コンドロイチン硫酸、ベンザルコニウム、メントール及びこれらの塩、並びに(C-4)エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[4-2]に記載の眼科組成物。
【0012】
本発明はまた、以下の各発明を提供する。
[5-1]
(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-9)グリチルリチン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸及びこれらの塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
[5-2]
グリチルリチン酸及びその塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上を少なくとも含み、
更に、(B-10)ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン、パラベン、ベンザルコニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マンニトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ピリドキシン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル、メントール、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの塩、並びに(C-5)クロルフェニラミン、エデト酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[5-1]に記載の眼科組成物。
[5-3]
アラントイン及びその塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上を少なくとも含み、
更に、(B-11)ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン、パラベン、ベンザルコニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マンニトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、ピリドキシン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル、メントール、プロピレングリコール、グリセリン、メチル硫酸ネオスチグミン及びこれらの塩、並びに(C-5)クロルフェニラミン、エデト酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[5-1]に記載の眼科組成物。
[5-4]
アズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上を少なくとも含み、
更に、(B-12)ソルビン酸、クロルヘキシジン、ベンザルコニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルギン酸、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、カンフル、プロピレングリコール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[5-1]に記載の眼科組成物。
[5-5]
更に(B-13)ポリヘキサメチレンビグアニド、コンドロイチン硫酸、ピリドキシン、タウリン、アスパラギン酸、メントール、メチル硫酸ネオスチグミン及びこれらの塩、並びに(C)クロルフェニラミン、エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[5-4]に記載の眼科組成物。
[5-6]
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも含む、[5-5]に記載の眼科組成物。
【0013】
本発明はまた、以下の各発明を提供する。
[6-1]
(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-14)ピリドキシン、トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチド、レチノール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩からなる群より選択される1種以上と、(B-15)タウリン、アスパラギン酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
[6-2]
(B-15)成分が、タウリン、アスパラギン酸及びこれらの塩からなる群より選択される2種以上を含む、[6-1]に記載の眼科組成物。
[6-3]
更に、(B-16)クロモグリク酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、カンフル、ソルビン酸、クロルヘキシジン、パラベン、ベンザルコニウム、マンニトール、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[6-1]又は[6-2]に記載の眼科組成物。
[6-4]
アスパラギン酸又はその塩を少なくとも含み、
眼科組成物の総量を基準として、アスパラギン酸又はその塩の総含有量が0.3w/v%以上であり、
更に、(B-17)クロモグリク酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、カンフル及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[6-1]~[6-3]のいずれかに記載の眼科組成物。
[6-5]
(B-14)成分が、ピリドキシン、トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチド、レチノール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩からなる群より選択される2種以上を含む、[6-1]~[6-4]のいずれかに記載の眼科組成物。
[6-6]
更に、(B-17)クロモグリク酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、カンフル及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[6-5]に記載の眼科組成物。
【0014】
本発明はまた、以下の各発明を提供する。
[7-1]
(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-18)コンドロイチン硫酸又はその塩と、(B-19)タウリン、シアノコバラミン、パンテノール、ポリヘキサメチレンビグアニド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、
眼科組成物の総量を基準として、コンドロイチン硫酸又はその塩の総含有量が0.35w/v%以上であり、
該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物。
[7-2]
更に、(B-20)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、酢酸トコフェロール、ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有する、[7-1]に記載の眼科組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明の眼科組成物は、(A)成分と(B)成分を組み合わせて含有しているため、(A)成分を単独で含有する眼科組成物と比較して、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する動的接触角が大きくなる(濡れが抑制される)という効果を奏する。これにより、眼科組成物と接する面の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容した場合でも、液残りが抑制され、液切れが向上するという効果を奏する。またこれにより、眼科組成物の品質の低下、及び使用性能の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0017】
本明細書において、特に記載のない限り、含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。本明細書において、特に記載のない限り、略号「POE」はポリオキシエチレンを意味し、略号「POP」はポリオキシプロピレンを意味する。
【0018】
〔1.眼科組成物〕
本実施形態に係る眼科組成物は、(A)プラノプロフェン又はその塩(単に「(A)成分」とも表記する。)と、(B)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、ビタミン、アミノ酸類、清涼化剤、抗酸化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上(単に「(B)成分」とも表記する。)と、を含有する。
【0019】
<(A)成分>
プラノプロフェンは、(2RS)-2-(10H-9-オキサ-1-アザアントラセン-6-イル)-プロパン酸、又はα-メチル-5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-b]ピリジン-7-酢酸とも称される公知化合物であり、公知の方法により合成したものを用いてもよく、市販品として入手することも可能である。
【0020】
プラノプロフェンの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような塩として、具体的には、例えば、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩]、有機塩基との塩[例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩]が挙げられる。プラノプロフェン又はその塩には、水和物の形態のものも含まれる。
【0021】
プラノプロフェン又はその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分の含有量は特に限定されず、(A)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(A)成分の総含有量が、0.0001~0.4w/v%であることが好ましく、0.0005~0.3w/v%であることがより好ましく、0.001~0.2w/v%であることが更に好ましく、0.01~0.1w/v%であることが特に好ましい。
【0023】
<(B)成分>
(B)成分は、非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、ビタミン、アミノ酸類、清涼化剤、抗酸化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上である。(B)成分は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
【0024】
(B)成分である非イオン性界面活性成分は、非イオン界面活性剤、及び多価アルコールを含む(但し、(C)成分であるポリソルベート80を除く。)。非イオン性界面活性成分は、公知の非イオン性界面活性成分から適宜選択して用いることができる。
【0025】
非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル;POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)、POE(100)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100)等のPOE硬化ヒマシ油等のPOEヒマシ油誘導体;POE(3)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油3)、POE(10)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油10)、POE(35)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油35)、POE(70)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油70)等のPOEヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル;POE(20)POP(20)グリコール(プルロニックL44)、POE(54)POP(39)グリコール(プルロニックP85)、POE(120)POP(40)グリコール(プルロニックF87)、POE(160)POP(30)グリコール(ポロクサマー188、プルロニックF68)、POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニックF127)、POE(200)POP(70)グリコール(Lutrol F127)等のPOE・POPブロックコポリマー;ステアリン酸ポリオキシル10、ステアリン酸ポリオキシル40等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール、チロキサポール等が挙げられる。なお、上記で例示する化合物において、括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0026】
多価アルコールとしては、分子内に水酸基を2個以上有するアルコール、及びその塩が挙げられる。多価アルコールの具体例としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びポリエチレングリコール(300、400、4000、6000)等の脂肪族多価アルコール(分子内に水酸基を2個以上有する脂肪族アルコール)、グルコース、ラクトース、マルトース、フルクトース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、及びトレハロース等の糖アルコール、並びにこれらの塩が挙げられる。
【0027】
非イオン性界面活性成分としては、POE・POPブロックコポリマー、POEヒマシ油誘導体、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、チロキサポール及び多価アルコールが好ましく、POE・POPブロックコポリマー、POEヒマシ油誘導体、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、チロキサポール、脂肪族多価アルコール及び糖アルコールがより好ましく、ポロクサマー188、ポロクサマー407、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル、チロキサポール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(特に400、4000、6000)、グリセリン、ソルビトール及びキシリトールが更に好ましい。
【0028】
非イオン性界面活性成分は、市販のものを用いることもできる。非イオン性界面活性成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
(B)成分である抗アレルギー成分は、抗アレルギー作用を有する化合物、及びその塩である(但し、(C)成分であるクロルフェニラミン及びその塩を除く。)。抗アレルギー成分は、例えば、ケミカルメディエーター遊離抑制薬及びヒスタミン受容体拮抗薬等の公知の抗アレルギー成分から適宜選択して用いることができる。
【0030】
抗アレルギー成分の具体例としては、例えば、トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、クロモグリク酸、ペミロラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、アシタザノラスト、レボカバスチン及びこれらの塩が挙げられる。
【0031】
抗アレルギー成分としては、トラニラスト、ケトチフェン、ジフェンヒドラミン、クロモグリク酸及びこれらの塩が好ましく、トラニラスト、フマル酸ケトチフェン、塩酸ジフェンヒドラミン及びクロモグリク酸ナトリウムがより好ましい。
【0032】
抗アレルギー成分は、市販のものを用いることもできる。抗アレルギー成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
(B)成分である抗炎症成分は、抗炎症作用又は消炎作用を有する化合物、及びその塩である(但し、(A)成分であるプラノプロフェン及びその塩を除く。)。抗炎症成分は、公知の抗炎症成分から適宜選択して用いることができる。
【0034】
抗炎症成分の具体例としては、例えば、ベルベリン、アズレン類(アズレン、アズレンスルホン酸、カマアズレン、グアイアズレン等)、アラントイン、硫酸亜鉛、リゾチーム、グリチルリチン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、セレコキシブ、ロフェコキシブ、インドメタシン、ジクロフェナク、ブロムフェナク、ピロキシカム、メロキシカム、サリチル酸メチル、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ケトプロフェン、フェルビナク、及びこれらの塩が挙げられる。
【0035】
抗炎症成分としては、ベルベリン、アズレンスルホン酸、リゾチーム、グリチルリチン酸、イプシロン-アミノカプロン酸及びこれらの塩が好ましく、ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、リゾチーム、グリチルリチン酸二カリウム及びイプシロン-アミノカプロン酸がより好ましい。
【0036】
抗炎症成分は、市販のものを用いることもできる。抗炎症成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
(B)成分である防腐剤は、殺菌作用又は静菌作用を有する化合物、及びその塩である。防腐剤は、公知の防腐剤又は抗菌剤から適宜選択して用いることができる。
【0038】
防腐剤の具体例としては、例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン、安息香酸、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロロブタノール、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、パラベン(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル及びパラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル)、オキシキノリン、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(例えば、ビグアニド、クロルヘキシジン、ポリヘキサニド及びポリヘキサメチレンビグアニド)、ポリクオタニウム類、グローキル(ローディア社製、商品名)、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、モノエタノールアミン、エタノール並びにこれらの塩が挙げられる。防腐剤の塩の具体例としては、例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、硫酸オキシキノリン、塩酸ポリヘキサニド、及びスルファメトキサゾールナトリウムが挙げられる。
【0039】
防腐剤としては、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、ビグアニド化合物、ソルビン酸、クロロブタノール、アルキルポリアミノエチルグリシン、パラベン(特に、パラオキシ安息香酸エステル)、スルファメトキサゾール、フェニルエチルアルコール、モノエタノールアミン、エタノール及びこれらの塩が好ましく、ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ソルビン酸カリウム、クロロブタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クロロブタノール、パラベン(特に、パラオキシ安息香酸プロピル又はパラオキシ安息香酸メチル)、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化ベンザルコニウム、スルファメトキサゾールナトリウム、フェニルエチルアルコール、モノエタノールアミン及びエタノールがより好ましい。
【0040】
防腐剤は、市販のものを用いることもできる。防腐剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
(B)成分である多糖類は、デキストラン、酸性多糖類、セルロース系高分子化合物及びこれらの塩を含む。多糖類は、公知の多糖類から適宜選択して用いることができる。
【0042】
デキストランの具体例としては、例えば、デキストラン40及びデキストラン70が挙げられる。
【0043】
酸性多糖類は、酸性基を有する多糖類である。酸性多糖類の具体例としては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサン、ヘパリン、ヘパラン、アルギン酸、及びこれらの誘導体(例えば、アセチル化体)等の酸性ムコ多糖類、キサンタンガム並びにジェランガムが挙げられる。
【0044】
セルロース系高分子化合物としては、セルロース、及びセルロースのヒドロキシル基が他の官能基で置換された高分子化合物を用いることができる。セルロースのヒドロキシル基を置換する官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、カルボキシメトキシ基及びカルボキシエトキシ基が挙げられる。セルロース系高分子化合物の具体例としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロースが挙げられる。
【0045】
多糖類としては、デキストラン、酸性多糖類、セルロース系高分子化合物及びこれらの塩が好ましく、デキストラン、酸性多糖類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの塩がより好ましく、デキストラン、酸性ムコ多糖類、キサンタンガム、ジェランガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの塩が更に好ましく、デキストラン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、キサンタンガム、ジェランガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの塩が特に好ましい。
【0046】
多糖類は、市販のものを用いることもできる。糖類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
(B)成分であるビニル化合物は、ビニル系高分子化合物及びこれらの塩を含む。ビニル化合物は、公知のビニル化合物から適宜選択して用いることができる。
【0048】
ビニル化合物の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)等のビニルアルコール系高分子、ポリビニルピロリドン等のビニルピロリドン系高分子及びカルボキシビニルポリマー、並びにこれらの塩が挙げられる。
【0049】
ビニル化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー及びこれらの塩が好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー及びその塩がより好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90、カルボキシビニルポリマー及びこれらの塩が更に好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90、カルボキシビニルポリマー及びその塩が特に好ましい。
【0050】
ビニル化合物は、市販のものを用いることもできる。ビニル化合物は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0051】
(B)成分であるビタミンは、公知のビタミンから適宜選択して用いることができる。
【0052】
ビタミンの具体例としては、例えば、ビタミンE類(d-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール等)、ビタミンA類(レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン等)及びこれらの誘導体、及びこれらの塩等の脂溶性ビタミン、並びにビタミンB1、ビタミンB2(フラビンアデニンジヌクレオチド)、ナイアシン(ニコチン酸及びニコチン酸アミド)、パントテン酸、パンテノール、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール及びピリドキサミン)、ビオチン、葉酸及びビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メチルコバラミン及びアデノシルコバラミン)及びこれらの塩等の水溶性ビタミンが挙げられる。ビタミンの塩の具体例としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、パントテン酸カルシウム及びパントテン酸ナトリウム等が挙げられる。ビタミンの誘導体の具体例としては、例えば、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール及びパルミチン酸レチノールが挙げられる。
【0053】
ビタミンとしては、シアノコバラミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、パンテノール、ピリドキシン、レチノール、トコフェロール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩が好ましく、シアノコバラミン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、パンテノール、塩酸ピリドキシン、パルミチン酸レチノール及び酢酸トコフェロールがより好ましい。
【0054】
ビタミンは、市販のものを用いることもできる。ビタミンは、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
(B)成分であるアミノ酸類は、分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物、及びその誘導体、並びにこれらの塩である。アミノ酸類は、公知のアミノ酸類から適宜選択して用いることができる。
【0056】
アミノ酸類としては、例えば、アミノ酸及びその塩、並びにアミノ酸誘導体及びその塩が挙げられる。アミノ酸及びその塩の具体例としては、例えば、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、及びアミノ吉草酸等のモノアミノモノカルボン酸、アスパラギン酸、及びグルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸、アルギニン、及びリジン等のジアミノモノカルボン酸、並びにこれらの塩が挙げられる。アミノ酸誘導体及びその塩の具体例としては、例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)等のアミノ酸誘導体及びその塩が挙げられる。アミノ酸類は、D体、L体、DL体のいずれでもよい。
【0057】
アミノ酸類としては、モノアミノジカルボン酸、アミノ酸誘導体、及びこれらの塩が好ましく、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、タウリン及びこれらの塩がより好ましく、グリシン、アスパラギン酸カリウム、グルタミン酸ナトリウム、アルギニン及びタウリンが更に好ましい。
【0058】
アミノ酸類は、市販のものを用いることもできる。アミノ酸類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0059】
(B)成分である清涼化剤は、眼に清涼感又は冷感を与える作用を有する化合物、及びその塩である。清涼化剤は、公知の清涼化剤を適宜選択して用いることができる。
【0060】
清涼化剤としては、例えば、テルペノイド、及びテルペノイドを含有する精油が挙げられる。テルペノイドとしては、例えば、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール(リュウノウ)、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール及び酢酸リナリルが挙げられる。テルペノイドを含有する精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ローズ油、ケイヒ油、スペアミント油、樟脳油、クールミント及びハッカ油が挙げられる。テルペノイドはd体、l体及びdl体のいずれであってもよく、l-メントール、d-メントール、dl-メントール、dl-カンフル、d-カンフル、dl-ボルネオール、d-ボルネオールが例示される。ただし、ゲラニオール及びシネオール等のようにテルペノイドによっては光学異性体が存在しない場合もある。
【0061】
清涼化剤としては、メントール、カンフル、ボルネオール及びゲラニオール、並びにこれらのいずれかを含有する精油が好ましく、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油及びベルガモット油がより好ましい。
【0062】
清涼化剤は、市販のものを用いることもできる。清涼化剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0063】
(B)成分である抗酸化剤は、酸素が関与する有害な反応を抑制する化合物、及びその塩である(但し、(C)成分であるジブチルヒドロキシトルエン及びその塩を除く。)。抗酸化剤は、公知の抗酸化剤を適宜選択して用いることができる。
【0064】
抗酸化剤の具体例としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸及びこれらの塩が挙げられる。
【0065】
抗酸化剤としては、ブチルヒドロキシアニソール及びその塩が好ましく、ブチルヒドロキシアニソールがより好ましい。
【0066】
抗酸化剤は、市販のものを用いることもできる。抗酸化剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0067】
(B)成分である充血除去剤は、充血を抑制する作用を有する化合物、及びその塩である。充血除去剤は、例えば、イミダゾリン系充血除去薬等の公知の充血除去剤を適宜選択して用いることができる。
【0068】
充血除去剤の具体例としては、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、及びこれらの塩が挙げられる。
【0069】
充血除去剤としては、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、及びこれらの塩が好ましく、塩酸ナファゾリン及び塩酸テトラヒドロゾリンがより好ましい。
【0070】
充血除去剤は、市販のものを用いることもできる。充血除去剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0071】
(B)成分である油分は、植物由来の植物油、動物由来の動物油、及び天然又は合成の鉱物油を含む。油分は、公知の油分を適宜選択して用いることができる。
【0072】
油分の具体例としては、例えば、大豆油、米油、菜種油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、アーモンド油、ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヒマワリ油、パーム油、アマ油、シソ油、シア油、ヤシ油、ホホバ油、グレープシード油、及びアボガド油等の植物油、ラノリン(精製ラノリン等)、オレンジラフィー油、スクワラン及び馬油等の動物油、並びにワセリン(白色ワセリン及び黄色ワセリン等)及び流動パラフィン等の鉱物油が挙げられる。
【0073】
油分としては、植物油、動物油及び鉱物油が好ましく、ゴマ油、ヒマシ油、ラノリン、ワセリン及び流動パラフィンがより好ましい。
【0074】
油分は、市販のものを用いることもできる。油分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0075】
(B)成分である無機塩は、無機酸由来の陰イオンと無機塩基由来の陽イオンがイオン結合したものである。無機塩は、公知の無機塩から適宜選択して用いることができる。
【0076】
無機塩の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム及び塩化亜鉛等の金属の塩化物、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び硫酸アンモニウム等の金属の硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸ナトリウム等の金属の亜硫酸塩、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウム等の金属の炭酸塩、並びにリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸二水素カリウム等の金属のリン酸塩が挙げられる。
【0077】
無機塩としては、金属の塩化物、及び金属の硫酸塩が好ましく、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛及び硫酸マグネシウムがより好ましく、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛及び硫酸マグネシウムが更に好ましい。
【0078】
無機塩は、市販のものを用いることもできる。無機塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0079】
(B)成分における「塩」としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。具体的には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機塩基との塩、有機塩基との塩等の塩基性塩があり、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。また、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;リジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩等であってもよい。さらに、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸、グルコン酸、パルミチン酸等の有機酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩であってもよい。(B)成分における「塩」には、塩の溶媒和物及び水和物が含まれる。
【0080】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)成分の含有量は特に限定されず、(B)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(B)成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(B)成分の総含有量が、0.00001~10w/v%であることが好ましく、0.00005~8w/v%であることがより好ましく、0.0001~7w/v%であることが更に好ましく、0.0001~6w/v%であることが特に好ましい。
【0081】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)非イオン性界面活性成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00005~10w/v%であることが好ましく、0.0001~8w/v%であることがより好ましく、0.0001~5w/v%であることが更に好ましく、0.005~5w/v%であることが特に好ましい。
【0082】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)抗アレルギー成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~6w/v%であることが好ましく、0.0005~4w/v%であることがより好ましく、0.0005~2w/v%であることが更に好ましく、0.005~2w/v%であることが特に好ましい。
【0083】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)抗炎症成分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~3w/v%であることが好ましく、0.00005~1.5w/v%であることがより好ましく、0.0001~1.0w/v%であることが更に好ましく、0.0001~0.6w/v%であることが特に好ましい。
【0084】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)防腐剤の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~6w/v%であることが好ましく、0.00005~6w/v%であることがより好ましく、0.00005~5w/v%であることが更に好ましく、0.0001~5w/v%であることが特に好ましい。
【0085】
(B)成分としてポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩を使用する場合、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩の含有量としては、本発明による効果をより一層顕著に発揮することから、例えば、眼科組成物の総量を基準として、ポリヘキサメチレンビグアニド又はその塩の総含有量が、0.0000001~0.001w/v%であることが好ましく、0.000001~0.0005w/v%であることがより好ましく、0.00001~0.0005w/v%であることが更に好ましく、0.00001~0.0002w/v%であることが特に好ましい。
【0086】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)多糖類の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.0001~6w/v%であることが好ましく、0.0005~5w/v%であることがより好ましく、0.001~4w/v%であることが更に好ましく、0.001~3w/v%であることが特に好ましい。
【0087】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)ビニル化合物の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.0005~10w/v%であることが好ましく、0.0005~5w/v%であることがより好ましく、0.001~5w/v%であることが更に好ましく、0.001~3w/v%であることが特に好ましい。
【0088】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)ビタミンの総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~1.6w/v%であることが好ましく、0.0005~0.8w/v%であることがより好ましく、0.0005~0.4w/v%であることが更に好ましく、0.0005~0.3w/v%であることが特に好ましい。
【0089】
(B)成分としてレチノール若しくはその誘導体、又はこれらの塩を使用する場合、レチノール若しくはその誘導体、又はこれらの塩の含有量としては、例えば、眼科組成物の総量を基準として、レチノール若しくはその誘導体、又はこれらの塩の総含有量が、1~50万I.U./100mLであることが好ましく、50~30万I.U./100mLであることがより好ましく、100~30万I.U./100mLであることが更に好ましく、500~20万I.U./100mLであることが特に好ましい。なお、I.U.とは、第十六改正日本薬局方ビタミンA定量法等に記載の手法により求められる国際単位を意味する。
【0090】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)アミノ酸類の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.0001~5w/v%であることが好ましく、0.0005~3w/v%であることがより好ましく、0.001~3w/v%であることが更に好ましく、0.001~2w/v%であることが特に好ましい。
【0091】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)清涼化剤の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~0.8w/v%であることが好ましく、0.00005~0.7w/v%であることがより好ましく、0.0001~0.6w/v%であることが更に好ましく、0.0001~0.5w/v%であることが特に好ましい。
【0092】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)充血除去剤の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.0001~0.1w/v%であることが好ましく、0.0001~0.08w/v%であることがより好ましく、0.0005~0.08w/v%であることが更に好ましく、0.0005~0.05w/v%であることが特に好ましい。
【0093】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)油分の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~6w/v%であることが好ましく、0.00005~3w/v%であることがより好ましく、0.0001~1w/v%であることが更に好ましく、0.0001~0.5w/v%であることが特に好ましい。
【0094】
本実施形態に係る眼科組成物における(B)無機塩の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~5w/v%であることが好ましく、0.00005~3w/v%であることがより好ましく、0.0001~3w/v%であることが更に好ましく、0.0001~2w/v%であることが特に好ましい。
【0095】
本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する(B)成分の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び(B)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する(B)成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.0001~10000質量部であることが好ましく、0.0001~1000重量部であることがより好ましく、0.0005~500重量部であることが更に好ましく、0.001~200質量部であることが特に好ましい。
【0096】
<(C)成分>
本実施形態に係る眼科組成物は、更に(C)クロルフェニラミン、エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上(単に「(C)成分」とも表記する。)を含有してもよい。眼科組成物が(C)成分を更に含有することで、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れ抑制効果がより顕著に奏される。
【0097】
(C)成分における「塩」としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。具体的には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機塩基との塩、有機塩基との塩等の塩基性塩があり、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、又はジエタノールアミン、エチレンジアミン等との塩が挙げられる。また、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;リジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩等であってもよい。さらに、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸、グルコン酸、パルミチン酸等の有機酸との塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との塩であってもよい。(C)成分における「塩」には、塩の溶媒和物及び水和物が含まれる。
【0098】
(C)成分の具体例としては、クロルフェニラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、、エデト酸、エデト酸ナトリウム及びその水和物、ジブチルヒドロキシトルエン並びにポリソルベート80が挙げられる。これらの中でも、マレイン酸クロルフェニラミン、エデト酸ナトリウム水和物、ジブチルヒドロキシトルエン及びポリソルベート80が好ましい。
【0099】
本実施形態に係る眼科組成物における(C)成分の含有量は特に限定されず、(C)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(C)成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(C)成分の総含有量が、0.00001~3w/v%であることが好ましく、0.00005~2w/v%であることがより好ましく、0.0001~1.5w/v%であることが更に好ましく、0.0001~1w/v%であることが特に好ましい。
【0100】
本実施形態に係る眼科組成物における(C)クロルフェニラミン又はその塩の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~0.5w/v%であることが好ましく、0.0005~0.1w/v%であることがより好ましく、0.0005~0.08w/v%であることが更に好ましく、0.0005~0.05w/v%であることが特に好ましい。
【0101】
本実施形態に係る眼科組成物における(C)エデト酸又はその塩の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~1w/v%であることが好ましく、0.0005~0.6w/v%であることがより好ましく、0.001~0.6w/v%であることが更に好ましく、0.001~0.5w/v%であることが特に好ましい。
【0102】
本実施形態に係る眼科組成物における(C)ジブチルヒドロキシトルエン又はその塩の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~0.01w/v%であることが好ましく、0.00005~0.005w/v%であることがより好ましく、0.00005~0.001w/v%であることが更に好ましく、0.0001~0.001w/v%であることが特に好ましい。
【0103】
本実施形態に係る眼科組成物における(C)ポリソルベート80又はその塩の総含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、0.00001~2w/v%であることが好ましく、0.0001~1.5w/v%であることがより好ましく、0.001~1w/v%であることが更に好ましく、0.005~1w/v%であることが特に好ましい。
【0104】
本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する(C)成分の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び(C)成分の種類等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する(C)成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が、0.0001~10000質量部であることが好ましく、0.0005~1000重量部であることがより好ましく、0.001~500重量部であることが更に好ましく、0.01~200質量部であることが特に好ましい。
【0105】
本実施形態に係る眼科組成物のpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物のpHとしては、例えば、4.0~9.5であってよく、4.0~9.0であることが好ましく、4.5~9.0であることがより好ましく、4.5~8.5であることが更に好ましく、5.0~8.5であることが更により好ましい。
【0106】
本実施形態に係る眼科組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は、眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され得るが、例えば、0.4~5.0とすることができ、0.6~3.0とすることが好ましく、0.8~2.2とすることがより好ましく、0.8~2.0とすることが更に好ましい。浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500~650℃で40~50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
【0107】
本実施形態に係る眼科組成物の粘度は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物の粘度としては、例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東産業社製、ローター;1°34‘×R24)で測定した20℃における粘度が0.01~10000mPa・sであることが好ましく、0.05~8000mPa・sであることがより好ましく、0.1~1000mPa・sであることが更に好ましい。
【0108】
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分の他に種々の薬理活性成分及び生理活性成分から選択される成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。当該成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。眼科用薬において用いられる成分として、具体的には、例えば、次のような成分が挙げられる。
【0109】
ステロイド剤:例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド等。
収斂剤:亜鉛華、乳酸亜鉛等。
局所麻酔剤:例えば、リドカイン、プロカイン等。
その他:例えば、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン及びそれらの塩等。
【0110】
本実施形態に係る眼科組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途及び製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。このような添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
安定化剤:ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン等。
陰イオン界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、N-アシルタウリン塩等。
両性界面活性剤:ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等。
【0111】
本実施形態に係る眼科組成物に用いられる水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水及び注射用蒸留水等を挙げることができる。これらの定義は第十六改正日本薬局方に基づく。
【0112】
本実施形態に係る眼科組成物は、所望量の(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて他の成分を所望の濃度となるように添加及び混和することにより調製することができる。例えば、精製水でこれらの成分を溶解又は分散させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
【0113】
本実施形態に係る眼科組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。製剤形態として、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。
【0114】
本実施形態に係る眼科組成物は、例えば、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう。また、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)、人工涙液、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬ともいう。また、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む。)、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等]として用いることができる。なお、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。
【0115】
本実施形態に係る眼科組成物は、プラノプロフェン又はその塩を含有するため、目の充血、目のかゆみ、目のかすみ、目の疲れ等の予防に有効である。
【0116】
本実施形態に係る眼科組成物が点眼剤である場合、その用法・用量としては、効果を奏し、副作用の少ない用法・用量であれば特に限定されないが、例えば成人(15歳以上)及び7歳以上の小児の場合、1回1~2滴、1日4回点眼して用いる方法、1回2~3滴、1日5~6回点眼して用いる方法を例示できる。
【0117】
<容器>
本実施形態に係る眼科組成物は、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器(「PBT含有樹脂容器」ともいう。)に収容されていることが好ましい。
【0118】
PBT含有樹脂は、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールを重縮合させたポリマーのみを含有するものであってもよく、テレフタル酸のエステル形成性誘導体と1,4-ブタンジオールを重縮合させたポリマーを含有していてもよい。テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸ジメチルが挙げられる。テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と1,4-ブタンジオールとを重縮合させたポリマーには、当該ポリマーの構成成分として他のモノマーが含まれていてもよい。
【0119】
また、PBT含有樹脂には、例えば、ポリカーボネート、(メタ)アクリル酸系重合体、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリアリレート及びポリプロピレン(PP)等の他のポリマーが含まれていてもよい。
【0120】
本実施形態に係るPBT含有樹脂は、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体と1,4-ブタンジオールとを重縮合させたポリマーの含有量が、PBT含有樹脂に含まれるポリマー全量を基準として、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
【0121】
PBT含有樹脂は、安定化剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、PBT含有樹脂は、ガラス繊維などの補強剤を含んで強化したものであってもよい。
【0122】
PBT含有樹脂は、市販されているものを特に制限なく用いることができる。市販品としては、例えば、ノバデュラン(登録商標)5010R5(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)、バロックス(登録商標)315(SABICジャパン合同会社)及びバロックス(登録商標)195(SABICジャパン合同会社)が挙げられる。
【0123】
眼科組成物を収容する容器としては、例えば、点眼容器、洗眼液容器、コンタクトレンズ装着液収容容器、コンタクトレンズケア用液収容容器(コンタクトレンズ洗浄液収容容器、コンタクトレンズ保存液収容容器、コンタクトレンズ消毒液収容容器、コンタクトレンズマルチパーパスソリューション収容容器等が含まれる)等がある。眼科組成物を収容する容器のうち眼科組成物と接する部分は、例えば、中栓、穴あき中栓、容器内面(容器が複数の層からなる構造の場合、最も内側の層)が挙げられる。
【0124】
本実施形態に係るPBT含有樹脂容器は、眼科組成物と接する部分の一部又は全部がPBT含有樹脂で形成されている。例えば、PBT含有樹脂容器が穴あき中栓(ノズル)を有する容器の場合、穴あき中栓部分のみがPBT含有樹脂で形成されていてもよく、穴あき中栓以外の収容部分等がPBT含有樹脂で形成されていてもよく、また、容器全体がPBT含有樹脂で形成されていてもよい。
【0125】
PBT含有樹脂容器は、眼科組成物と接する部分の一部がPBT含有樹脂で形成されていればよいが、本発明による効果をより一層顕著に奏するという観点から、眼科組成物と接する部分の全部がPBT含有樹脂で形成されていることが好ましい。容器の一部がPBT含有樹脂で形成されている場合、他の部分を形成する樹脂の種類については特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル、エチレン酢酸ビニル共重合体及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される1種以上のポリマーが構成成分として含まれていてもよい。
【0126】
PBT含有樹脂容器の形状及び容量は特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。例えば、PBT含有樹脂容器が、点眼剤又はコンタクトレンズ装着液を収容する容器の場合、例えば、容量が0.1mL以上50mL以下であってよく、2mL以上40mL以下であることが好ましく、4mL以上25mL以下であることがより好ましい。またPBT含有樹脂容器が、洗眼剤又はコンタクトレンズケア用液を収容する容器であれば、例えば、容量が40mL以上600mL以下であってよい。
【0127】
PBT含有樹脂容器の種類としては、眼科分野で一般的に使用されている容器であってよく、具体的には、例えば、点眼容器、洗眼液容器、コンタクトレンズ装着液収容容器、コンタクトレンズケア用液収容容器(コンタクトレンズ洗浄液収容容器、コンタクトレンズ保存液収容容器、コンタクトレンズ消毒液収容容器、コンタクトレンズマルチパーパスソリューション収容容器等が含まれる)であってよい。PBT含有樹脂容器の種類は、点眼容器、コンタクトレンズ装着液収容容器、コンタクトレンズケア用液収容容器であることが好ましい。なお、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。
【0128】
PBT含有樹脂容器は、複数回の使用量が収容されるマルチドーズ型であってもよく、単回の使用量が収容されるユニットドーズ型であってもよい。
【0129】
本実施形態に係る眼科組成物は、PBT含有樹脂容器入り眼科組成物としても提供され得る。本発明はまた、PBT含有樹脂容器に本発明の眼科組成物が収容された眼科用製品(点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ関連製品等)と捉えることもできる。
【0130】
本実施形態に係る眼科組成物は、上述の各種成分等を任意に組み合わせた眼科組成物であってよい。以下、本実施形態に係る眼科組成物に配合される成分の特に好ましい組み合わせを例示する。なお、以下に特記しない事項については、上述した各実施形態を適用できる。
【0131】
一実施形態に係る眼科組成物(以下、「第1の眼科組成物」ともいう。)は、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-1)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、アミノ酸類、清涼化剤、抗酸化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物である。
【0132】
第1の眼科組成物において、上記非イオン性界面活性成分が、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、チロキサポール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、上記抗アレルギー成分が、トラニラスト、ジフェンヒドラミン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、上記抗炎症成分が、イプシロン-アミノカプロン酸、ベルベリン、リゾチーム及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、上記防腐剤が、クロルヘキシジン、クロロブタノール、ベンゼトニウム、アルキルポリアミノエチルグリシン、パラベン、スルファメトキサゾール、フェニルエチルアルコール、モノエタノールアミン、エタノール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、上記多糖類が、ジェランガム、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、上記ビニル化合物が、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー及びこれら塩からなる群より選択される1種以上であり、上記アミノ酸類が、グリシン、グルタミン酸、タウリン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、上記清涼化剤が、ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油及びベルガモット油からなる群より選択される1種以上であり、上記抗酸化剤が、ブチルヒドロキシアニソール及びその塩からなる群より選択される1種以上であり、上記充血除去剤が、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上であり、上記油分が、ゴマ油、ヒマシ油、ワセリン、パラフィン及びラノリンからなる群より選択される1種以上であり、かつ上記無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛及び硫酸マグネシウムからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0133】
第1の眼科組成物において、(B-1)成分としてタウリン又はその塩を使用する場合、タウリン又はその塩の含有量としては、(B)アミノ酸類で例示した範囲に加えて、例えば、眼科組成物の総量を基準として、タウリン又はその塩の総含有量が、0.25w/v%以上であることが好ましく、0.25~5w/v%であることがより好ましく、0.25~3w/v%であることが更に好ましく、0.25~2w/v%であることが更により好ましく、0.25~1w/v%であることが特に好ましい。
【0134】
第1の眼科組成物は、(C)クロルフェニラミン、エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を更に含有することが好ましい。
【0135】
一実施形態に係る眼科組成物(以下、「第2の眼科組成物」ともいう。)は、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-2)クロモグリク酸、ケトチフェン、トラニラスト及びこれらの塩からなる群より選択される抗アレルギー成分の1種以上と、(C-1)クロルフェニラミン又はその塩と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物である。
【0136】
第2の眼科組成物は、(B-3)非イオン性界面活性成分、マンニトール、アズレンスルホン酸、グリチルリチン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、ソルビン酸、クロルヘキシジン、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル及びこれらの塩、並びに(C-2)ポリソルベート80及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を更に含有することが好ましい。
【0137】
第2の眼科組成物は、非イオン性界面活性成分が、プロピレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はこれらの塩であることが好ましい。
【0138】
第2の眼科組成物において、(B-3)成分としてアスパラギン酸又はその塩を使用する場合、アスパラギン酸又はその塩の含有量としては、(B)アミノ酸類で例示した範囲に加えて、例えば、眼科組成物の総量を基準として、アスパラギン酸又はその塩の総含有量が、0.25w/v%以上であることが好ましく、0.25~5w/v%であることがより好ましく、0.25~3w/v%であることがより好ましく、0.25~2w/v%であることが更により好ましく、0.25~1w/v%であることが特に好ましい。
【0139】
第2の眼科組成物は、(C-2)成分としてポリソルベート80を少なくとも含み(なお、この場合において、第2の眼科組成物は、その他の(B-3)成分及び(C-2)成分を含んでいてもよい。)、更に(B-4)ピリドキシン、ポリヘキサメチレンビグアニド及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0140】
第2の眼科組成物はまた、(B-3)成分としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び酢酸トコフェロールを少なくとも含むものであることが好ましい。なお、この場合において、第2の眼科組成物は、その他の(B-3)成分及び(C-2)成分を含んでいてもよい。
【0141】
第2の眼科組成物はまた、(B-3)成分としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも含み(なお、この場合において、第2の眼科組成物は、その他の(B-3)成分及び(C-2)成分を含んでいてもよい。)、更に(B-5)コンドロイチン硫酸、メントール、ベンザルコニウム及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0142】
第2の眼科組成物において、(B-3)成分としてコンドロイチン硫酸又はその塩を使用する場合、コンドロイチン硫酸又はその塩の含有量としては、(B)多糖類で例示した範囲に加えて、例えば、眼科組成物の総量を基準として、コンドロイチン硫酸又はその塩の総含有量が、0.25w/v%以上であることが好ましく、0.25~6w/v%であることがより好ましく、0.25~5w/v%であることがより好ましく、0.25~4w/v%であることが更に好ましく、0.25~3w/v%であることが更により好ましく、0.25~0.5w/v%であることが特に好ましい。
【0143】
第2の眼科組成物は、(B-2)成分として、トラニラスト又はその塩を少なくとも含み(なお、この場合において、第2の眼科組成物は、その他の(B-2)成分を含んでいてもよい。)、更に、(B-6)非イオン性界面活性成分、マンニトール、アズレンスルホン酸、グリチルリチン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、アラントイン、ソルビン酸、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、メントール、カンフル、ベンザルコニウム及びこれらの塩、並びに(C-3)エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びその塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0144】
一実施形態に係る眼科組成物(以下、「第3の眼科組成物」ともいう。)は、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(C-1)クロルフェニラミン又はその塩と、を含有する眼科組成物であって、眼科組成物の総量を基準として、クロルフェニラミン又はその塩の総含有量が0.02w/v%以上であり、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物である。
【0145】
第3の眼科組成物における(C-1)クロルフェニラミン又はその塩の含有量は、(C)クロルフェニラミン又はその塩で例示した範囲に加えて、例えば、眼科組成物の総量を基準として、クロルフェニラミン又はその塩の総含有量が、0.02w/v%以上であることが好ましく、0.02~0.5w/v%であることがより好ましく、0.02~0.3w/v%であることがより好ましく、0.02~0.1w/v%であることが更に好ましく、0.02~0.08w/v%であることが更により好ましく、0.02~0.05w/v%であることが更によりまた好ましく、0.02~0.03w/v%であることが特に好ましい。
【0146】
第3の眼科組成物は、(B-7)プロピレングリコール、グリセリン、アズレンスルホン酸、ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マンニトール、グリチルリチン酸、アラントイン、クロルヘキシジン、パラベン、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ピリドキシン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を更に含有することが好ましい。
【0147】
第3の眼科組成物は、(B-7)成分として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも含み(なお、この場合において、第3の眼科組成物は、その他の(B-7)成分を含んでいてもよい。)、更に(B-8)コンドロイチン硫酸、ベンザルコニウム、メントール及びこれらの塩、並びに(C-4)エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0148】
一実施形態に係る眼科組成物(以下、「第4の眼科組成物」ともいう。)は、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-9)グリチルリチン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸及びこれらの塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物である。
【0149】
第4の眼科組成物は、(B-9)成分としてグリチルリチン酸及びその塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上を含む場合、更に、(B-10)ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン、パラベン、ベンザルコニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マンニトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ピリドキシン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル、メントール、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの塩、並びに(C-5)クロルフェニラミン、エデト酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい(第4-1の眼科組成物)。
【0150】
第4の眼科組成物は、(B-9)成分としてアラントイン及びその塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上を少なくとも含む場合、更に、(B-11)ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグアニド、クロルヘキシジン、パラベン、ベンザルコニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、マンニトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、ピリドキシン、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、タウリン、アスパラギン酸、カンフル、メントール、プロピレングリコール、グリセリン、メチル硫酸ネオスチグミン及びこれらの塩、並びに(C-5)クロルフェニラミン、エデト酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい(第4-2の眼科組成物)。
【0151】
第4の眼科組成物は、(B-9)成分としてアズレンスルホン酸及びその塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上を含む場合、更に、(B-12)ソルビン酸、クロルヘキシジン、ベンザルコニウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルギン酸、酢酸トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、カンフル、プロピレングリコール及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい(第4-3の眼科組成物)。
【0152】
第4-3の眼科組成物は、更に(B-13)ポリヘキサメチレンビグアニド、コンドロイチン硫酸、ピリドキシン、タウリン、アスパラギン酸、メントール、メチル硫酸ネオスチグミン及びこれらの塩、並びに(C)クロルフェニラミン、エデト酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ポリソルベート80及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。第4-3の眼科組成物が、これらの追加成分を含む場合、(B-12)成分として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を少なくとも含むことが好ましい(なお、この場合において、第4-3の眼科組成物は、その他の(B-12)成分を含んでいてもよい。)。
【0153】
一実施形態に係る眼科組成物(以下、「第5の眼科組成物」ともいう。)は、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-14)ピリドキシン、トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチド、レチノール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩からなる群より選択される1種以上と、(B-15)タウリン、アスパラギン酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物である。
【0154】
第5の眼科組成物において、(B-15)成分が、タウリン、アスパラギン酸及びこれらの塩からなる群より選択される2種以上を含むことが好ましい。
【0155】
第5の眼科組成物は、更に(B-16)クロモグリク酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、カンフル、ソルビン酸、クロルヘキシジン、パラベン、ベンザルコニウム、マンニトール、ヒアルロン酸、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0156】
第5の眼科組成物は、(B-15)成分として、アスパラギン酸又はその塩を少なくとも含み(なお、この場合において、第5の眼科組成物は、その他の(B-15)成分を含んでいてもよい。)、かつ眼科組成物の総量を基準として、アスパラギン酸又はその塩の総含有量が0.3w/v%以上であり、更に、(B-17)クロモグリク酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、カンフル及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有するものであることが好ましい。
【0157】
第5の眼科組成物において、(B-15)成分としてアスパラギン酸又はその塩を使用する場合、アスパラギン酸又はその塩の含有量としては、(B)アミノ酸類で例示した範囲に加えて、例えば、眼科組成物の総量を基準として、アスパラギン酸又はその塩の総含有量が、0.3w/v%以上であることが好ましく、0.3~5w/v%であることがより好ましく、0.3~3w/v%であることがより好ましく、0.3~2w/v%であることが更により好ましく、0.3~1w/v%であることが特に好ましい。
【0158】
第5の眼科組成物は、(B-14)成分が、ピリドキシン、トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチド、レチノール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩からなる群より選択される2種以上を含むことが好ましい。
【0159】
第5の眼科組成物は、更に(B-17)クロモグリク酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、カンフル及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0160】
一実施形態に係る眼科組成物(以下、「第6の眼科組成物」ともいう。)は、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B-18)コンドロイチン硫酸又はその塩と、(B-19)タウリン、シアノコバラミン、パンテノール、ポリヘキサメチレンビグアニド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上と、を含有する眼科組成物であって、眼科組成物の総量を基準として、コンドロイチン硫酸又はその塩の総含有量が0.35w/v%以上であり、該眼科組成物と接する部分の一部又は全部がポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂で形成された容器に収容してなる眼科組成物である。
【0161】
第6の眼科組成物は、更に、(B-20)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、酢酸トコフェロール、ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましい。
【0162】
〔2.PBT含有樹脂に対する濡れの抑制〕
本実施形態に係る眼科組成物は、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する濡れが抑制されている。したがって、本発明の一実施形態として、眼科組成物に、(A)プラノプロフェン又はその塩と、(B)非イオン性界面活性成分、抗アレルギー成分、抗炎症成分、防腐剤、多糖類、ビニル化合物、ビタミン、アミノ酸類、清涼化剤、充血除去剤、油分、及び無機塩からなる群より選択される1種以上と、を配合することを含む、該眼科組成物にポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する濡れ抑制作用を付与する方法が提供される。
【0163】
なお、本実施形態における、(A)成分及び(B)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、眼科組成物の製剤形態及び用途等については、〔1.眼科組成物〕で説明したとおりである。
【実施例0164】
以下、試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0165】
〔試験方法:動的接触角(前進角)の測定方法〕
接触角計DM-501(協和界面科学株式会社製)を用いて、同接触角計の拡張/収縮法の測定手順に従い、各試験液の動的接触角(前進角)を測定した。動的接触角(前進角)は、固体と液体の界面が運動する際の接触角である。
【0166】
具体的には、板状(1辺50mmで厚さ約2mmの正四角柱)のPBT含有樹脂(製品名:PBTナチュラル、アラム社製)を接触角計のステージの上に置き、試験液をディスペンサにセットした。室温下で試験液の液滴1μLをPBT含有樹脂板上に滴下して半球状に着滴させた。次に、速やかに、半球上部にディスペンサの液吐出部の先端を着液させた。その状態で、試験液を吐出速度6μL/秒で連続的に吐出し、液滴の形状を側面から0.1秒毎に15回撮影した。測定条件を合せるため、動的接触角の変化率を算出する際に対にする試験液は、同一のPBT含有樹脂板を使用して同一の温度条件下(室温下)で続けて測定した。
【0167】
次に、同接触角計の解析ソフトFAMASを用いて、各画像ごとに左右の接触角を求めた。ここで接触角は、PBT含有樹脂板の表面、試験液及び空気の接触点Pから試験液に引いた接線と、PBT含有樹脂板の表面に引いた接線のなす角のうち、試験液を含む側の角を意味する。接触点Pは、各液滴について左右の2点存在する。試験液の吐出に従い液滴が拡張するにつれて、接触角は変化し、次いでほぼ一定になる挙動を示した。そこで、各画像ごとに左右の接触角の平均値を算出し、画像を撮影した順番に当該平均値を並べて連続した5つを選択したとき、当該5つの平均値の標準偏差が最初に2.5°以下になったときの最初の平均値(5つの平均値のうち最も先に撮影した画像における左右の接触角の平均値)を、同測定における動的接触角の測定値とした。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.5°以下となった以降に、2.5°より大きい標準偏差は認められなかった。液滴が拡張する過程で接触角が変化しなかった場合も、上記基準に従い動的接触角の測定値を得た。
【0168】
各試験液について、上記操作を3回繰り返し行い、得られた3つの測定値の平均値をその試験液の動的接触角とした。3つの測定値の標準偏差は、全ての試験液で2.0°以下であった。
【0169】
〔試験例1:(A)成分のみ含有する処方の動的接触角(前進角)の評価〕
表1に示す各処方((A)成分液及び(B)成分液)を常法により調製し、試験液とした。表1における含有量の単位はw/v%である。なお、各試験における(A)成分液は、表1に示す(A)成分を表1に示す含有量で含有し、塩酸及び水酸化ナトリウム適量により表1に示すpHに調整した処方である(残部は精製水)。同様に、(B)成分液は、表1に示す(B)成分を表1に示す含有量で含有し、塩酸及び水酸化ナトリウム適量により表1に示すpHに調整した処方である(残部は精製水)。
【0170】
上記の試験方法に示した手順に従い、各試験液の動的接触角を求めた(3つの測定値の平均値)。次いで、下記[式1]により、(B)成分液に対する(A)成分液の動的接触角の変化率を算出した。算出した結果は、表1に示す。
[式1]動的接触角の変化率(%)={(各(A)成分液の動的接触角/対応する(B)成分液の動的接触角)-1}×100
なお、対応する(B)成分液とは、表1の同一の試験No.欄に記載された(B)成分液である。
【0171】
また、試験No.2、No.15及びNo.26は、(A)成分液及び(B)成分液共に熱処理を行った後、動的接触角の測定に供した。熱処理は、試験液を調製後に10mL容量ガラス製ヘッドスペースバイアルに5mLずつ充填し、60℃で7日間静置することを意味し、室温で約3年間保管した場合に相当する。他の試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【0172】
【0173】
表1に示すとおり、条件が異なるいずれの試験においても(A)成分液の動的接触角は(B)成分液よりも小さくなっていることが分かる。すなわち、(A)プラノプロフェンを含有する組成物は、ポリブチレンテレフタレートを含有する樹脂に対する動的接触角が小さく、濡れやすいという課題があることが明らかとなった。
【0174】
〔試験例2:動的接触角(前進角)の評価〕
表2~6に示す各眼科組成物、及び各眼科組成物に対応する(A)成分液を常法により調製し、試験液とした。表2~6における各成分の単位はw/v%である。なお、対応する(A)成分液とは、各試験液の処方から(A)成分以外の成分を除き、塩酸及び水酸化ナトリウム適量によりpHを調整した処方である(残部は精製水)。例えば、実施例1-1の試験液に対応する(A)成分液は、(A)プラノプロフェンを0.05w/v%含有するpH7.5の処方である。
【0175】
上記の試験方法に示した手順に従い、各試験液の動的接触角を求めた(3つの測定値の平均値)。次いで、下記[式2]により、対応する(A)成分液に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式2]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/対応する(A)成分液の動的接触角)-1}×100
【0176】
また、実施例2-1~2-3、実施例15及び実施例26は、対応する(A)成分液と共に熱処理を行った後、動的接触角の測定に供した。熱処理は、試験液を調製後に10mL容量ガラス製ヘッドスペースバイアルに5mLずつ充填し、60℃で7日間静置することを意味し、室温で約3年間保管した場合に相当する。他の試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【表2】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
表2~6に示すとおり、(A)成分のみを含有する(A)成分液と比べて、(A)成分に(B)成分を組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角が大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れを抑制できる。また、表2~4に示すとおり、(A)成分と(B)成分に加えて更に(C)成分を含有する眼科組成物は、動的接触角が更に大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れを一段と抑制できる。さらに、熱処理を行った眼科組成物でも動的接触角が大きくなっており、長期に亘り保管した場合でも、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れを抑制できる。
【0182】
〔試験例3:動的接触角(前進角)の評価〕
表7~10に示す各眼科組成物を常法により調製し、試験液とした。表7~10における各成分の単位はw/v%である。動的接触角の測定方法は、各画像ごとに左右の接触角の平均値を算出し、画像を撮影した順番に当該平均値を並べて連続した5つを選択したとき、当該5つの平均値の標準偏差が最初に2.0°以下になったときの最初の平均値(5つの平均値のうち最も先に撮影した画像における左右の接触角の平均値)を、同測定における動的接触角の測定値としたこと以外は、上記の試験方法に示した手順に従った。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.0°以下となった以降に、2.0°より大きい標準偏差は認められなかった。
【0183】
得られた各試験液の動的接触角(3つの測定値の平均値)から、下記[式3]により、対応する試験液(表7中の試験液1又は試験液2)に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式3]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/試験液1又は試験液2の動的接触角)-1}×100
【0184】
なお、対応する試験液とは、各試験液の処方から(A)成分以外の成分を除き、塩酸及び水酸化ナトリウム適量により同pHに調整した処方であり(残部は精製水)、表7~10中、実施例37~39及び42は、試験液2が対応する試験液であり、その他の実施例は、試験液1が対応する試験液である。
【0185】
また、実施例44は、対応する試験液(試験液1)と共に熱処理を行った後、動的接触角の測定に供した。熱処理は、試験液を調製後に10mL容量ガラス製ヘッドスペースバイアルに5mLずつ充填し、60℃で7日間静置することを意味し、室温で約3年間保管した場合に相当する。他の試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
表7~10に示すとおり、(A)成分のみを含有する試験液と比べて、(A)成分に(B)成分及び/又は(C)成分を組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角が大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れを抑制できる。また、熱処理を行った眼科組成物でも動的接触角が大きくなっており、長期に亘り保管した場合でも、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れを抑制できる。
【0191】
〔試験例4:動的接触角(前進角)の評価〕
表11~17に示す各眼科組成物を常法により調製し、試験液とした。表11~17における各成分の単位はw/v%である。動的接触角の測定方法は、試験例3と同様である。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.0°以下となった以降に、2.0°より大きい標準偏差は認められなかった。
【0192】
得られた各試験液の動的接触角(3つの測定値の平均値)から、下記[式4]により、対応する試験液に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式4]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/対応する試験液の動的接触角)-1}×100
【0193】
なお、対応する試験液とは、実施例10-1、10-3及び10-9は、試験液10-1であり、実施例10-2、10-4~10-8及び10-10~10-11は、試験液10-2であり(表11)、実施例10-12~10-21は、試験液10-2であり(表12)、実施例10-24は、試験液10-1であり、実施例10-22及び10-23は、試験液10-2であり、実施例10-25~10~27は、試験液10-3であり(表13)、実施例10-28及び10-29は、試験液10-2であり、実施例10-30及び10-31は、試験液10-4であり(表14)、実施例10-32~10-37は、試験液10-5であり、実施例10-38~10-42は、試験液10-6であり(表15)、実施例11-1~11-11は、試験液10-7であり(表16)、実施例11-12~11-16は、試験液10-7である(表17)。各試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
表11~17に示すとおり、(A)成分に(B-2)クロモグリク酸、トラニラスト及びこれらの塩からなる群より選択される抗アレルギー成分の1種以上と、(C-1)クロルフェニラミン又はその塩を組み合わせて含有する試験液に対し、種々の(B)成分及び/又は(C)成分を組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角がより一層顕著に大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れをより一層抑制できる。
【0202】
〔試験例5:動的接触角(前進角)の評価〕
表18~22に示す各眼科組成物を常法により調製し、試験液とした。表18~22における各成分の単位はw/v%である。動的接触角の測定方法は、試験例3と同様である。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.0°以下となった以降に、2.0°より大きい標準偏差は認められなかった。
【0203】
得られた各試験液の動的接触角(3つの測定値の平均値)から、下記[式5]により、対応する試験液に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式5]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/対応する試験液の動的接触角)-1}×100
【0204】
なお、対応する試験液とは、実施例20-A~20-Dは、試験液20-Aであり(表18)、実施例20-1及び20-3は、試験液20-1であり、実施例20-2及び20-4~20-7は、試験液20-2であり(表19)、実施例20-8~20-10、20-13~20-15及び20-17~20-18は、試験液20-1であり、20-11~20-12及び20-16は、試験液20-2であり(表20)、実施例20-19~20-29は、試験液20-1であり(表21)、実施例20-30~20-34は、試験液20-3である(表22)。各試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
表18~21に示すとおり、(A)成分のみを含有する試験液と比べて、(A)成分に種々の(B)成分及び(C)クロルフェニラミン又はその塩を組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角が大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れを抑制できる。また、表22に示すとおり、(A)成分及び(C)クロルフェニラミン又はその塩を含有する試験液と比べて、更にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と種々の(B)成分を組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角が大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れを抑制できる。
【0211】
〔試験例6:動的接触角(前進角)の評価〕
表23~30に示す各眼科組成物を常法により調製し、試験液とした。表23~30における各成分の単位はw/v%である。動的接触角の測定方法は、試験例3と同様である。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.0°以下となった以降に、2.0°より大きい標準偏差は認められなかった。
【0212】
得られた各試験液の動的接触角(3つの測定値の平均値)から、下記[式6]により、対応する試験液に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式6]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/対応する試験液の動的接触角)-1}×100
【0213】
なお、対応する試験液とは、実施例30-1~30-2、30-4~30-8及び30-10~30-11は、試験液30-1であり、実施例30-3及び30-9は、試験液30-2であり(表23)、実施例30-12~30-16及び30-18~30-21は、試験液30-1であり、実施例30-17は、試験液30-2であり(表24)、実施例30-22~30-27は、試験液30-1であり、実施例30-28~30-32は、試験液30-3であり(表25)、実施例30-33~30-34、30-36~30-40及び30-42~30-43は、試験液30-3であり、実施例30-35及び30-41は、試験液30-4であり(表26)、実施例30-44~30-53は、試験液30-3であり(表27)、実施例30-54は、試験液30-5であり、実施例30-55は、試験液30-6であり(表28)、実施例30-56~30-62及び30-64~30-65は、試験液30-7であり、実施例30-63は、試験液30-8であり(表29)、実施例30-66~30-76は、試験液30-9である(表30)。
各試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【0214】
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
表22~30に示すとおり、(A)成分に(B-9)グリチルリチン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸及びこれらの塩からなる群より選択される抗炎症成分の1種以上を組み合わせて含有する試験液に対し、種々の(B)成分及び/又は(C)成分を組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角がより一層顕著に大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れをより一層抑制できる。
【0223】
〔試験例7:動的接触角(前進角)の評価〕
表31~40に示す各眼科組成物を常法により調製し、試験液とした。表31~40における各成分の単位はw/v%である。動的接触角の測定方法は、試験例3と同様である。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.0°以下となった以降に、2.0°より大きい標準偏差は認められなかった。
【0224】
得られた各試験液の動的接触角(3つの測定値の平均値)から、下記[式7]により、対応する試験液に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式7]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/対応する試験液の動的接触角)-1}×100
【0225】
なお、対応する試験液とは、実施例40-1~40-2及び40-4~40-8は、試験液40-1であり、実施例40-3は、試験液40-2であり、実施例40-9及び40-10は、試験液40-3であり(表31)、実施例40-11~40-12及び40-15~40-19は、試験液40-4であり、実施例40-13~40-14は、試験液40-5であり(表32)、実施例40-20~40-21及び40-24~40-27は、試験液40-6であり、実施例40-22~40-23は、試験液40-7であり、実施例40-28~40-29は、試験液40-8であり(表33)、実施例40-30~40-34は、試験液40-9であり(表34)、実施例40-35~40-39は、試験液40-10であり、実施例40-40~40-41は、試験液40-11であり、実施例40-42は、試験液40-12であり(表35)、実施例40-43~40-46は、試験液40-13であり、実施例40-47~40-51は、試験液40-14であり(表36)、実施例40-52~40-55は、試験液40-15であり、実施例40-56~40-59は、試験液40-16であり(表37)、実施例40-60~40-62は、試験液40-17であり、実施例40-63~40-65は、試験液40-18であり(表38)、実施例40-66~40-70は、試験液40-19であり、実施例40-71~40-73は、試験液40-20であり(表39)、実施例40-74~40-75は、試験液40-21であり、実施例40-76~40-77は、試験液40-22であり、実施例40-78~40-79は、試験液40-23である(表40)。各試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
表31~40に示すとおり、(A)成分に(B-14)ピリドキシン、トコフェロール、シアノコバラミン、パンテノール、フラビンアデニンジヌクレオチド、レチノール及びこれらの誘導体、並びにこれらの塩からなる群より選択される1種以上と、(B-15)タウリン、アスパラギン酸及びこれらの塩からなる群より選択される1種以上とを組み合わせて含有する試験液に対し、種々の(B)成分及び/又は(C)成分を組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角がより一層顕著に大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れをより一層抑制できる。
【0237】
〔試験例8:動的接触角(前進角)の評価〕
表41~42に示す各眼科組成物を常法により調製し、試験液とした。表41~42における各成分の単位はw/v%である。動的接触角の測定方法は、試験例3と同様である。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.0°以下となった以降に、2.0°より大きい標準偏差は認められなかった。
【0238】
得られた各試験液の動的接触角(3つの測定値の平均値)から、下記[式8]により、対応する試験液に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式8]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/対応する試験液の動的接触角)-1}×100
【0239】
なお、対応する試験液とは、実施例50-1~50-3及び50-6~50-7は、試験液50-1であり、実施例50-4~50-5は、試験液50-2であり(表41)、実施例50-8~50-17は、試験液50-3であり、実施例50-18~50-19は、試験液50-4である(表42)。各試験液は調製した後、直ちに試験を行なった。
【0240】
【0241】
【0242】
表41~42に示すとおり、(A)成分と(B)コンドロイチン硫酸又はその塩とを組み合わせて含有する試験液に対し、種々の(B)成分を更に組み合わせて含有する眼科組成物は、動的接触角がより一層顕著に大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れをより一層抑制できる。
【0243】
〔試験例9:点眼試験〕
表43に示す各処方を常法により調製し、内容積14.2mLのポリエチレンテレフタレート製点眼容器に13mL充填した(表43における各成分の単位はw/v%である。)。充填後、点眼容器にポリブチレンテレフタレート製ノズルを装着した。各試験液は調製した後、直ちに点眼試験を行なった。表43に示す症状をもつ被験者4名の裸眼に対して、対応する点眼剤の片方を右眼に、もう片方の点眼剤を左眼にそれぞれ点眼するか、対応する点眼剤の片方を右眼に、もう片方の点眼剤を左眼にそれぞれ点眼することで、各症状の評価を行った。点眼は、1日4回実施し、点眼量は片眼につき1回1滴とした。各症状に関する点眼後の実効感の評価は、4回目の点眼から1時間後に、Visual Analog Scale法(VAS法)で行った。より詳細には、横直線の左端を0%(症状を全く感じない状態)、右端を100%(過去に経験した症状で最も強い状態)とし、各被験者が感じた症状の強さを示す点を直線状に記してもらい、左端からその点までの長さを測定することで、パーセンテージ(VASスコア)を評価した。表43に示す評価項目である滴下しやすさは、試験液を点眼容器から眼へ滴下させる操作を容易に行えたと感じた場合に0%とし、操作が困難であったと感じた場合に100%とした。操作が困難であるとは、例えば、試験液の容器からの液切れが悪いため、眼へ滴下するまで時間が長くかかると感じたり、過度に握力が必要であると感じたり、又は、眼内への滴下に失敗すること等である。
【0244】
表43中のVAS値変化率は、以下の式によって算出した。
VAS値変化率(%)={(各試験液のVASスコア-対応する試験液のVASスコア)/対応する試験液のVASスコア}×100
対応する試験液は、小文字のアルファベットで示された試験液である。例えば、試験液Aの対応する試験液は、試験液aである。
【0245】
表43に示すとおり、対応する試験液に比べて、(A)成分に各成分を組み合わせて含有する眼科組成物は、VAS値変化率が大きく、各症状の改善が認められた。また、点眼容器から滴下しやすいことも認められた。
【表43】
【0246】
〔試験例10:動的接触角(前進角)の評価〕
表44~48に示す各眼科組成物を常法により調製し、試験液とした。表44~48における各成分の単位はw/v%である。動的接触角の測定方法は、試験例3と同様である。なお、全ての試験液について、標準偏差が最初に2.0°以下となった以降に、2.0°より大きい標準偏差は認められなかった。
【0247】
得られた各試験液の動的接触角(3つの測定値の平均値)から、下記[式9]により、対応する試験液に対する各試験液の動的接触角の変化率を算出した。
[式9]動的接触角の変化率(%)={(各試験液の動的接触角/対応する試験液の動的接触角)-1}×100
なお、対応する試験液とは、同一の表中に記載された「対応する試験例」である。
【0248】
また、各試験液の浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試験液の浸透圧の比として求めた。具体的には、日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)に基づいて測定した。浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いた。
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
表44~48に示すように、本発明の眼科組成物は、浸透圧比が0.8~2.2の範囲にあるときに、動的接触角がより一層顕著に大きくなっており、ポリブチレンテレフタレート含有樹脂に対する濡れをより一層抑制できる。