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▶ ジョビー エアロ,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093759
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】航空機制御システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/26 20060101AFI20230627BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20230627BHJP
   B64C 13/16 20060101ALI20230627BHJP
   B64C 29/02 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B64C27/26
B64C27/08
B64C13/16 Z
B64C29/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076185
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2021532378の分割
【原出願日】2019-12-09
(31)【優先権主張番号】62/776,870
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520437526
【氏名又は名称】ジョビー エアロ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JOBY AERO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】イングリッシュ、ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】ベバート、ジョーベン
(57)【要約】
【課題】新たな有益な航空機制御システム及び方法を提供する。
【解決手段】統合コマンドシステム及び/又は方法は、入力メカニズムと、入力メカニズムから入力を受信し、入力を制御出力に変換するフライトプロセッサと、制御出力に従って作動するエフェクタとを含む。システムは、任意選択的に、1つ又は複数のセンサ、1つ又は複数のセンサからのデータに基づいて、車両状態及び/又は飛行レジームを決定する車両ナビゲーションシステム、および航空機の飛行経路を決定する車両誘導システムを含み得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のためのコマンド方法であって、
前記航空機の飛行レジームを決定するステップであって、一組の飛行レジームから決定される前記飛行レジームが、前進レジーム及びホバリングレジームを含む、前記決定するステップと、
第1の入力メカニズムにおいてユーザから一組の入力コマンドを受信するステップであって、前記一組の入力コマンドが、前記第1の入力メカニズムの第1、第2、及び第3の軸における第1、第2、及び第3の角度位置をそれぞれ含む、前記受信するステップと、
前記航空機の前記飛行レジームに基づいて、前記一組の入力コマンドを所望の一組の航空機応答にマッピングするステップであって、前記第1の角度位置が、前記前進レジームでは、所望のピッチ応答にマッピングされ、前記ホバリングレジームでは、所望の垂直並進応答にマッピングされ、前記第2の角度位置が、前記前進レジームでは、所望の速さ応答にマッピングされ、前記ホバリングレジームでは、所望の縦方向並進応答にマッピングされ、前記第3の角度位置が、前記ホバリングレジームでは、所望の機首方位レート応答にマッピングされ、前記前進レジームでは、所望のロール応答にマッピングされる、前記マッピングするステップと、
前記所望の一組の航空機応答に基づいて、制御出力を決定するステップと、
前記航空機の一組のエフェクタを作動させることによって前記制御出力を実行するステップであって、前記一組のエフェクタが、ロータを含む、前記実行するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記一組の入力コマンドを前記所望の一組の航空機応答にマッピングするステップが、前記所望の一組の航空機応答のうちの所望の航空機応答をトリム調節することであって、前記所望の航空機応答が、一組のロータの作動状態および一組の操縦翼面の状態に依存する、前記トリム調節することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
横方向重量分布が、前記航空機のロール軸の周りの正味モーメントを生成し、前記所望の航空機応答が、ロール角であり、
前記一組のロータが、左ロータ及び右ロータをさらに含み、実行する前記制御出力が、前記ホバリングレジームでは、前記左ロータおよび前記右ロータの異なる推力出力を含んでおり、
前記一組の操縦翼面が、左補助翼及び右補助翼をさらに含み、
前記前進レジームでは、左操縦翼面の角度が、右操縦翼面の角度とは異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所望の航空機応答が、前記航空機が空中に位置する間、前記航空機のデッキ姿勢を含み、前記デッキ姿勢が、地面に対する横方向角度及び前記地面に対する縦方向角度を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記一組のエフェクタが、ブレードピッチメカニズムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記前進レジームにおいて入力メカニズムにてジオグラフィックブレーキ入力を受信するステップと、
前記ジオグラフィックブレーキ入力を受信することに応答して、前記航空機の制御エンジンにジオグラフィックブレーキコマンドを送信するステップとをさらに含み、前記ジオグラフィックブレーキコマンドは、地面に対してゼロ速度への前記航空機の所望の減速に関連付けられている、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
入力メカニズムの前記第1の軸が、第1の角変位範囲及び第2の角変位範囲を定義し、前記第1の角変位範囲が、前記第2の角変位範囲とは区別された及び別個のものであり、
ホバリングレジームでは、前記第1の角変位範囲が、前記航空機の自由度の変化率に変換され、前記第2の角変位範囲が、所望の加速度にマッピングされる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
性能保護エンベロープを計算するステップと、
前記制御出力が前記性能保護エンベロープ外にあると決定するステップと、
前記制御出力を前記性能保護エンベロープにシフトするステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
飛行時間型センサにより前記航空機の高度を検知するステップであって、前記ホバリングレジームでは、前記性能保護エンベロープが、前記航空機の前記高度に基づいて決定される最大垂直降下レートを含む、前記検知するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ホバリングレジームでは、
前記第1の軸上のニュートラル位置に対する前記第1の角度位置の負の値が、地面に向かう高度レートにマッピングされ、
前記第1の軸上のニュートラル位置に対する前記第1の角度位置の正の値が、前記地面から離れる方向への前記高度レートの変化率にマッピングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記一組の飛行レジームが、移行レジームをさらに含み、
前記移行レジームでは、前記第1の角度位置が、所望のピッチ応答及び所望の垂直並進応答にマッピングされ、
前記移行レジームでは、前記第2の角度位置が、所望の対気速度応答及び所望の縦方向並進応答にマッピングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
実行する前記制御出力が、前記ホバリングレジームにおいて前記左ロータおよび前記右ロータの異なる推力出力を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、航空分野に関し、より具体的には、航空分野における新しい有益な統合コマンドシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アーバンエアモビリティの状況では、ティルトスラスト(例えば、ティルトプロペラ、ティルトロータなど)航空機が輸送車両の望ましいクラスとして出現している。そのような航空機は、ホバリングレジーム(例えば、ヘリコプタ飛行に類似する)、飛行機レジーム(例えば、固定翼飛行)を含む、複数の飛行レジーム間で操作することができる。そのようなマルチモーダル航空機は、熟練パイロットにさえも、制御課題を提示する場合が多い。伝統的には、ティルトスラスト航空機は、パイロットが1つ又は複数の傾斜可能な推進ユニットによってコマンドされる傾斜角及び推力全体の手動制御を維持するように制御される。しかしながら、推進ユニットを傾斜することにより、推力の作用が垂直力(例えば、ホバリングレジームにおける)から水平力(例えば、飛行機レジームにおける)に変化し、航空機に対する力及びモーメントの変化により並びに航空機エフェクタがどの軸に影響を及ぼすかにより、パイロットの高い認知的作業負荷が要求される。それに加えて、アーバンエアモビリティの状況では、多くの短時間飛行を含む場合が多く、その飛行は、飛行レジーム間の移行期間(例えば、離陸及び/又は着陸)で不均衡に構成されており、従って、パイロット要求が指数関数的に増加する。
【0003】
従って、航空分野において、新しい有益な統合コマンドシステム及び方法を創出する必要がある。本発明は、そのような新しい有益なシステム及び方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】統合コマンドシステムの概略図である。
図2】統合コマンド方法のフローチャート図である。
図3】統合コマンドシステム及び方法との関連で、航空機操作の様々な飛行レジームを描写する。
図4A】ホバリング飛行レジーム用に構成された統合コマンドシステム及び方法との関連で使用される航空機の例を描写する。
図4B】固定翼飛行レジーム用に構成された統合コマンドシステム及び方法との関連で使用される航空機の例を描写する。
図5A】関連運動軸及びコマンド軸と共に、前進飛行レジーム用に構成された統合コマンドシステム及び方法との関連で使用される航空機の例を描写する。
図5B】関連運動軸及びコマンド軸と共に、ホバリング飛行レジーム用に構成された統合コマンドシステム及び方法との関連で使用される航空機の例を描写する。
図6】統合コマンドシステム及び方法との関連で使用されるインセプタ及び関連コマンド軸の例を描写する。
図7】飛行レジームとインセプタコマンド軸との間のマッピングの例のチャートを描写する。
図8】統合コマンドシステム及び方法との関連で使用される航空機及びそのエフェクタの例を描写する。
図9】統合コマンド方法の変形形態のフローチャート図である。
図10】統合コマンドシステムの変形形態の概略図である。
図11】フライトプロセッサ上で実行するソフトウェアモジュールの例の概略図である。
図12A-12D】図11の例の第1、第2、第3及び第4の変形形態である。
図13A-13C】前進、移行及びホバリングレジームのそれぞれにおけるティルトロータメカニズムの例の側面図である。
図14】翼に対するロータの前進及びホバリング構成の例を描写する。
図15】ホバリング配置における航空機の例を描写する。
図16】前進配置における航空機の例を描写する。
図17A-17B】ホバリング配置及び前進配置のそれぞれにおける、かかった重心の例に関連する主要な航空機軸の例を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、これらの好ましい実施形態に本発明を限定することを意図せず、むしろ、当業者が本発明を創作及び使用できるようにすることを意図する。
【0006】
1.概要
図1に示されるように、統合コマンドシステム100は、入力メカニズム101と、入力メカニズムからコマンド入力104を受信し、入力を制御出力105に変換するフライトプロセッサ102と、制御出力に従って作動するエフェクタ110とを含む。システムは、任意選択的に、1つ又は複数のセンサ、1つ又は複数のセンサ120からのデータに基づいて、車両状態及び/又は飛行レジームを決定する車両ナビゲーションシステム、および航空機の飛行経路を決定する車両誘導システムを含み得る。しかしながら、それに加えて又はその代替として、統合コマンドシステム100は、他の任意の適切なコンポーネントを含み得る。
【0007】
統合コマンドシステム100は、ユーザ140(例えば、パイロット、パイロット以外)が、航空機130が動作している飛行レジームとは無関係に、航空機操作の出力変数(例えば、航空機動作、速さ、対気速度(airspeed)、対地速度(groundspeed)、飛行経路など)を制御できるように機能する。また、統合コマンドシステム100は、コマンドモデル310(例えば、統合コマンドモデル)を実装するように、航空機の機体に対する所望の力及びモーメント(例えば、入力メカニズムを介してユーザによって表現されるようなもの)を達成するためにエフェクタ及びエフェクタ状態(例えば、操縦翼面位置、アクチュエータパワーレベル又は位置など)の組合せを選択するように、ユーザの認知的作業負荷を低減するように、飛行レジーム間の一貫した制御マッピングを提供することによってモード混同を防ぐように、並びに/或いは、制御軸を分離するように(例えば、移行レジーム又は他の飛行レジームの間の不所望の相互作用を防ぐため)も機能し得る。しかしながら、それに加えて又はその代替として、統合コマンドシステム100は、航空機操作を容易にする他の任意の適切な機能を有し得る。
【0008】
図2に示されるように、統合コマンド方法200は、入力コマンドを受信すること(S210)と、航空機の飛行レジームを決定すること(S220)と、航空機の飛行レジームに基づいて、入力コマンドを制御出力に変換すること(S230)と、航空機のエフェクタを作動させるために制御出力を実行すること(S240)とを含む。
【0009】
統合コマンド方法200は、統合コマンドモデルに従って、航空機操作の所望の出力変数(例えば、航空機動作、対気速度、対地速度、飛行経路など)に関連するユーザコマンドをエフェクタ状態(例えば、位置、パワーレベルなど)に変換するように機能する。また、統合コマンド方法200は、本明細書で説明される統合コマンドシステム100に類似した統合コマンドシステムの機能性を実行するように、航空機の機体に対する所望の力及びモーメント(例えば、入力メカニズムを介してユーザから受信されるようなもの)を達成するためにエフェクタ及びエフェクタ状態(例えば、操縦翼面位置、アクチュエータパワーレベル又は位置など)の組合せを選択するように、ユーザの認知的作業負荷を低減するように、飛行レジーム間の一貫した制御マッピングを提供することによってモード混同(modal confusion)を防ぐように、並びに/或いは、制御軸を分離するように(例えば、移行レジーム又は他の飛行レジームの間の不所望の相互作用(interplay)を防ぐため)も機能し得る。それに加えて又はその代替として、統合コマンド方法200は、他の任意の適切な機能を有し得る。
【0010】
2.利益
本技術の変更形態は、いくつかの利益及び/又は利点を提供することができる。
第1に、本技術の変更形態は、航空機が動作している飛行レジーム(例えば「モード」)の不完全な又は間違った概念でユーザが航空機へのコマンドを試みる状況を含むモード混同を排除、防止及び/又は緩和することができる。そのような変更形態は、飛行レジームとは無関係に、ユーザ入力(例えば、コマンド、要求など)と所望の航空機応答)(aircraft response)(例えば、飛行経路、ピッチ、ロール、ヨー、姿勢など)との間の一貫したマッピングを提供することによって、ユーザの認知的作業負荷を低減することができ、それは、エフェクタ位置というよりむしろ、航空機応答をユーザがコマンドできるようにすることによって達成することができる。所望の航空機応答を達成するため、システム及び/又は方法は、現在のセンサ測定、車両状態(例えば、現在の飛行レジーム、すべての自由度における航空機位置)、アクチュエータフィードバック及び/又はルールセット(例えば、飛行エンベロープ保護、操作限度、性能保護)に基づいて、アクチュエータ制御命令を自動的に決定することができる。図5A及び図5Bに示されるように、ユーザコマンド(着色矢印によって描写されるようなもの)は、航空機の飛行レジーム(例えば、図5Aに示されるような前進飛行又は図5Bに示されるようなホバリング)にかかわらず、航空機軸及びそれと関連付けられた運動に関連する。本技術の変更形態は、エフェクタ、パワーレベル、トリムレベル及び他の飛行の操作パラメータの組が飛行レジーム間で変化する場合でさえも(例えば、ユーザ制御を指示するようにこれらのパラメータを表面化することなく)、両方の飛行レジームにおいて同じ軸に沿った運動を引き起こすために、ユーザによる同じ制御入力を可能にする。これにより、諸例では、航空機の操作上の安全性を向上させることができ(例えば、ユーザによる危険なモード混同の例を排除又は低減することによって)、それにより、ユーザは、飛行術関連の意思決定に集中し、傾斜、推力及び他のエフェクタ状態を直接管理するという追加の認知的要求度の高いタスクを実行しないようにすることができる。
【0011】
第2に、本技術の変更形態は、適切なレベルのユーザの認知的作業負荷を維持しながら、飛行の間にユーザによって管理される入力メカニズムの数を最小限に抑えることができる。変形形態では、パワー(スロットル、プロペラ制御)、航空機構成(傾斜、フラップ、ランディングギア)、航空機制御(トリム、ラダーペダル、ブレーキペダル)に対して、人間による直接制御が航空機にはない。例えば、ユーザによって管理される入力メカニズムの数を最小限に抑えるシステムの変形形態は、ユーザがコマンドを入力する入力軸を変更することなく、様々な飛行レジームにわたって動作可能な(例えば、飛行レジームに基づく入力軸とエフェクタ状態との間の動的なリマッピングを介して)単一インセプタを含み得る。また、単一インセプタは、有利には、質量及びシステム複雑性を低減することができるとともに、航空機の出入りを支援することもできる。
【0012】
第3に、本技術の変更形態は、複雑な環境及び状況において、シングルユーザ操作を可能にすることができる。統合コマンドシステム及び方法の認知的作業負荷は、特定のタスクに合わせることができ、例えば、作業負荷は、都市環境におけるVTOL可能航空機のシングルユーザ操作に適応させることができる(例えば、過労及び倦怠感/放棄を防ぐために、そのようなタスクの公称作業負荷を大幅に上回ることも大幅に下回ることもなく)。また、認知的作業負荷は、技術関連の意思決定(どの航空機エフェクタがどのエフェクタ状態にあるべきか)の代わりに、飛行術関連の意思決定(例えば、どの航空機動作をコマンドすべきか)に向けることもできる。
【0013】
第4に、本技術の変更形態は、操作エラーを最小限に抑えることができる。コマンドシステム及び/又は方法は、航空機が失速、スピン、コンポーネントへの過応力、危険物(及び/又は地面)との衝突或いは別の望ましくない方法での実行を引き起こさないように、コマンド及び/又は制御スキームに対する保護を適用することができる。変形形態では、性能保護は、1つ又は複数の飛行レジームにおける飛行エンベロープ保護又は他の保護を含み得る。性能保護は、飛行の前進レジームにおける過速度、失速、バンク角及び/又は他の保護、飛行のホバリングレジームにおける垂直降下レート、地面からの高さ(AGL)、サイドスリップ、オーバスイング角保護、飛行の移行レジームにおける失速、構造上の負荷、空力負荷、垂直レート、AGL、及び/又は他の保護、並びに/或いは、他の保護を含み得る。コマンド及び/又は制御保護は、ユーザがこれらの条件を気にせずに航空機の高い性能を引き出せるようにするものであり、それにより、航空機の操作効率を高めることができ、それにより、離着陸や、前進飛行とホバリングとの間の移行を速やかに行うことができる。変更形態では、ジオブレーキは、基準座標系として地面に対するブレーキを可能にすることによって(例えば、航空機が空中に位置する際)、操作エラーをさらに最小限に抑えることができる。このジオブレーキは、地面に対して航空機を減速及び/又は停止できるようにすることによって、望ましくない飛行条件又は地上の危険物への応答に必要なコマンド入力を効率化するため、操作エラーの可能性をさらに低減することができる。変形形態では、ジオブレーキは、ユーザ入力コマンドによって及び/又はユーザ入力とは無関係に(例えば、1つ又は複数のセンサ測定に基づいて自動的に)、起動することができる。変形形態では、ジオブレーキは、航空機が反対方向に進み得るオーバシュートを停止制御で回避する。変形形態では、ジオブレーキは、地面に対する航空機運動をもたらし得る風及び/又は他の大気要因からの回復力を有する。
【0014】
第6に、この技術の変更形態は、乗り心地の改善を提供する。変更形態では、航空機のデッキ姿勢は、ロール軸(地面に対する横方向角度)及び/又はピッチ軸(地面に対する縦方向角度)の周りでトリム調節可能である。これにより、航空機は、荷物、不均等な乗客体重分布、可変大気条件及び/又は他の要因から生じる非対称的な重量分布(例えば、航空機の幾何学的中心からのCoGオフセット)にもかかわらず、乗客にとって安定した及び快適なものにすることができる。重量分布は、好ましくは、搭載航空機の全体的な重量分布(例えば、基準面への航空機の投影に対する、航空機の揚力発生メカニズムによって協働的に定義されるエリアに対する、航空機にわたる揚力分布に対する、縦軸及び横軸によって定義される平面におけるものなど)であるが、それに加えて又はその代替として、航空機内の積み荷の重量分布及び/又は他の任意の適切な重量分布であり得る。非対称CoGの例は、図17A及び図17Bに示される。変形形態では、デッキ姿勢は、地面に対して自動的に及び/又は手動で調整すること(例えば、自動的に水平飛行する)、ユーザ入力コマンドによって制御すること、並びに/或いは、別の方法でコマンドすること/制御することができる。変形形態では、デッキピッチ姿勢は、縦方向制御から分離する(又は部分的に分離する)ことができ(例えば、ホバリング及び/又は移行構成において)、それにより、見せ掛けの「不安定な」ピッチ運動を低減/排除することによって、乗り心地及び質を改善することができる。特定の例では、縦方向制御は、傾斜を調整することによって(例えば、ピッチ姿勢を変更する代わりに)制御することができ、それにより、胴体レベルを既定の姿勢に維持することができる。関連する特定の例では、ピッチは、縦方向制御に対する補助制御手段として使用することができる。変形形態では、航空機は、飛行のホバリングレジームにおける多軸ステップ制御(例えば、速度制御、位置制御)を可能にし、それにより、航空機の向きを合わせることが最も重要である飛行のホバリングレジームにおけるスムーズ且つ効率的な操縦が可能になる。これにより、飛行効率、乗り心地及び飛行間のターンオーバ時間を改善することができる。
【0015】
しかしながら、それに加えて又はその代替として、本技術の変更形態は、他の任意の適切な利益及び/又は利点を提供することができる。
3.システム
3.1 航空機
統合コマンドシステムは、好ましくは、航空機と併せて実装される(例えば、システムは航空機を含み得る、システムは航空機と統合することができるなど)。特に、航空機は、好ましくは、回転翼機であるが、それに加えて又はその代替として、任意の適切な航空機(図14の例に示されるようなティルトウィング航空機131、ジェット機など)を含み得る。回転翼機は、好ましくは、前進配置(図16に例が示される)とホバリング配置(図15に例が示される)との間で動作可能な、複数の航空機推進システム118(例えば、ロータアセンブリ、ロータシステムなど)を有するティルトロータ(又はティルトプロップ)航空機である。しかしながら、その代替として、回転翼機は、他の任意の適切な回転翼機又はロータ推進車両であり得る。回転翼機は、好ましくは、1つ又は複数のロータアセンブリを駆動するために、完全電気パワートレイン(例えば、バッテリ式電動モータ)を含むが、それに加えて又はその代替として、ハイブリッドパワートレイン(例えば、内燃発電機を含むガスと電気のハイブリッド)、内燃パワートレイン(例えば、ガスタービンエンジン、ターボプロップエンジンなどを含む)及び他の任意の適切なパワートレインを含み得る。航空機は、任意の適切な質量分布(又は重量分布)での任意の適切な質量(例えば、非搭載質量、搭載質量、最大離陸質量など)を有し得る。航空機質量は、1kg、5kg、10kg、50kg、100kg、500kg、1000kg、1250kg、1500kg、1750kg、2000kg、2250kg、2500kg、2750kg、3000kg、5000kg、1000kg、20000kg、1500kg未満、1500~2000kg、2000~3000kg、3000~5000kg、5000~10000kg、10000kg超及び/又は他の任意の適切な質量であり得る。
【0016】
「ロータ」という用語は、本明細書で利用される場合、制御システムとの関連の有無にかかわらず、ロータ、プロペラ及び/又は他の任意の適切な回転式空力アクチュエータ119を指し得る。ロータは、関節型又は半剛性ハブ(例えば、ブレードとハブとの接続は、関節型である、可撓性である、剛性である及び/又は別の方法で接続することができる)を活用する回転式空力アクチュエータを指し得、プロペラは、剛性ハブ(例えば、ブレードとハブとの接続は、関節型である、可撓性である、剛性である及び/又は別の方法で接続することができる)を活用する回転式空力アクチュエータを指し得るが、本明細書で使用される際、そのような区別は、明示的でも黙示的でもなく、「ロータ」の使用は、どちらの構成も指し得、また、関節型若しくは剛性ブレードの他の任意の適切な構成及び/又は中心部材若しくはハブへのブレード接続の他の任意の適切な構成も指し得る。同様に、「プロペラ」の使用は、どちらの構成も指し得、また、関節型若しくは剛性ブレードの他の任意の適切な構成及び/又は中心部材若しくはハブへのブレード接続の他の任意の適切な構成も指し得る。それに従って、ティルトロータ航空機は、ティルトプロペラ航空機、ティルトプロップ航空機、スラストベクタリング航空機と呼ぶこと及び/又は別の方法で適切に言及する若しくは説明することができる。
【0017】
システム100及び方法200は、移行航空機(例えば、ティルトプロップ航空機、ティルトロータ航空機、ティルトスラスト航空機など)の様々な飛行レジームとの関連で使用することができる。各飛行レジームは、航空機に対する力及びモーメントを空気力学的に制御する航空機エフェクタセットと関連付けられ、航空機エフェクタセットは、様々な飛行レジームの間で異なり得る。例えば、飛行機としての前進飛行は、主に、飛行経路ベクタリングタスクであり、飛行機姿勢は、主に、飛行経路と結び付けられるのに対して、ホバリングは、主に、垂直制御成分を有する水平位置決めタスクであり、航空機姿勢は、飛行経路ベクトルと実質的に少なく結び付けられる。システム及び方法は、ユーザによってコマンドされた航空機操縦又は要求された動作と関連付けられたエフェクタ及びエフェクタ状態のセットを自動的に決定するように機能する(その結果、例えば、ユーザは、エフェクタセットを直接識別してコマンドすることに認知的エネルギーを注ぎ込む必要がなくなる)。図3に示されるように、これらの飛行レジームは、航空機ヨーがナセル傾斜を通じて制御され、航空機ロール、ピッチ及び姿勢がプロペラピッチ及びモータRPMを通じて制御される垂直離着陸(VTOL:vertical takeoff and landing)又はホバリングと、航空機ヨー、ロール、ピッチ及び姿勢(例えば、フラップ、ラダーベータ、補助翼、プロペラ推力など)の制御に対して伝統的な動翼が使用される通常離着陸(CTOL:conventional takeoff and landing)及び飛行機と、飛行機飛行とホバリング飛行との間の変換の間に推力(例えば、ブレードピッチ及びモータRPM)、プロペラユニット傾斜角、及び操縦翼面が動的調整方式で使用される移行(例えば、飛行機としての前進飛行とホバリングとの間又はその逆も同様)とを含み得る。
【0018】
第1の変形形態では、航空機は、複数の推進アセンブリがホバリング配置で配置されるホバリングレジームと複数の推進アセンブリが前進配置で配置される前進レジームとの間で動作可能なティルトロータ航空機である。ホバリング配置は、ホバリングレジームにおける航空機操作の間の複数の推進アセンブリのプロペラ同士の互いに対する及び機体に対する複数の推進アセンブリの各プロペラの位置を定義し、同様に、前進配置は、前進レジームの操作の間のプロペラ同士の互いに対する及び機体に対する各プロペラの相対位置を定義する。機体は、左翼、右翼、胴体及び尾部を含み得、左翼及び右翼は、胴体に結合され、尾部の前方の間に位置決めされる。各推進アセンブリは、プロペラ、傾斜メカニズム及び電動モータを含む。各推進アセンブリは、以下でさらに詳細に説明されるように、ホバリング構成と前進構成との間で、好ましくは、各推進アセンブリと関連付けられた傾斜メカニズムによって動作可能であるが、その代替として、他の任意の適切な方法で動作可能である。それに加えて、ティルトロータ航空機は、電源、動翼及びアクチュエータ並びに他の任意の適切なコンポーネントを含み得る。
【0019】
ティルトロータ航空機は、ホバリングレジームで安定し(例えば、最大限に安定している、飛行条件の定義された安定性ウィンドウ又はエンベロープ内で安定している、航空機への様々な制御入力の安定性閾値の大きさまでは安定しているなど)、且つ、前進レジームで効率的な(例えば、空気力学的に効率的な、パワー効率の良い、熱力学的に効率的ななど)航空車両を提供するように機能する。また、ティルトロータ航空機は、乗客及び/又は貨物の空中輸送を提供するように機能することもできる。しかしながら、それに加えて又はその代替として、ティルトロータ航空機は、他の任意の適切な機能を有し得る。
【0020】
ティルトロータ航空機は、重心(CoG:center of gravity)を定義する。重心は、
好ましくは、ティルトロータ航空機100の重量が作用すると考えられる三次元空間のポイントであるが、その代替として、ポイントセットが様々な航空機積載構成におけるCoGを定義する有限ボリュームを有する領域として定義すること及び/又は別の方法で適切に定義することができる。重心は、航空機の質量の状態又は配置(例えば、搭載対空荷、貨物及び/又は乗客の重量分布、プロペラの傾斜構成など)に依存し得、本明細書におけるCoGへの言及は、好ましくは、非搭載状態(例えば、空荷状態)における及び複数のプロペラのホバリング配置における航空機CoGを指すが、それに加えて又はその代替として、搭載状態、前進配置状態、ホバリング配置状態及び他の任意の適切な航空機状態を指し得る。
【0021】
ティルトロータ航空機は、様々な幾何学的特徴を定義する。ティルトロータ航空機は、図17A及び図17Bに示されるように、垂直軸132(例えば、ヨー軸)、縦軸134(例えば、ロール軸)及び横軸136(例えば、ピッチ軸)を含む主要な幾何学的軸を定義する。垂直軸、縦軸及び横軸は、航空機のCoGで交差するように定義することができ、前述の軸のいずれか1つの周りの純モーメントにより、航空機は、垂直軸、縦軸及び横軸のそれぞれの周りを回転する。しかしながら、それに加えて又はその代替として、3つの主要な軸は、CoGを参照するか否かにかかわらず、幾何学的に(例えば、1つ又は複数の次元における航空機の対称線に基づいて、航空機を通る任意の線に基づいてなど)定義することができる。例えば、軸は、航空機の幾何学的中心で交差することができる。
【0022】
ティルトロータ航空機の各プロペラは、プロペラの回転軸を中心とするディスクエリアを定義し、ディスクエリアは、回転軸から離れる方向に拡張する無限のディスク面に含まれる。航空機の変更形態では、複数の推進アセンブリの各推進アセンブリのディスク面は、複数の推進アセンブリの残りの推進アセンブリの任意の適切なサブセットと同一の広がりを有し得る。第1の例では、各ディスク面は、第1の変更形態のホバリング構成においてディスク面同士で互いに同一の広がりを有し得る。第2の例では、各ディスク面は、航空機の縦軸を挟んで対称的な他の1つの推進アセンブリのディスク面と同一の広がりを有し得、推進アセンブリのディスク面同士互いに離れている。しかしながら、複数の推進アセンブリのディスク面は、互いに対して別の方法で適切に配置することができる。
【0023】
ティルトロータ航空機は、ホバリングレジーム(例えば、回転翼モード)と前進レジーム(例えば、固定翼モード)との間で動作可能な航空車両を提供するように機能する。ホバリングレジームは、航空機の垂直離陸、垂直着陸及び/又は実質的に静止状態のホバリングを含み得る。しかしながら、それに加えて又はその代替として、ホバリングレジームは、複数の推進アセンブリの1つ又は複数の推進アセンブリによって垂直に方向付けられた推力が生成される任意の適切な操作レジームを含み得る。前進レジームは、航空機の前進飛行、水平離陸及び/又は水平着陸(例えば、通常離着陸/CTOL)を含み得る。しかしながら、それに加えて又はその代替として、前進レジームは、複数の推進アセンブリの1つ又は複数の推進アセンブリによって水平に方向付けられた推力が生成される任意の適切な操作レジームを含み得る。
【0024】
ティルトロータ航空機は、ホバリングレジーム及び前進レジームを含む複数のレジーム間で操作可能である。ホバリングレジームでは、複数の推進アセンブリは、ホバリング配置で配置することができる。ホバリング配置では、複数のプロペラの各々は、好ましくは、ホバリング構成で配置される。前進レジームでは、複数の推進アセンブリは、前進配置で配置することができる。前進配置では、複数のプロペラの各々は、好ましくは、前進構成で配置される。しかしながら、複数のプロペラの各々は、前進構成とホバリング構成との間で互いに無関係に任意の適切な構成で及び/又は航空機操作のホバリングレジームにおける任意の適切な向きで配置することができる。その上、複数のプロペラの各々は、前進構成とホバリング構成との間で互いに無関係に任意の適切な位置で及び/又は航空機操作の前進レジームにおける任意の適切な向きで配置することができる。その上、ティルトロータ航空機は、ホバリングレジームと前進レジームとの間の任意の適切な移行レジームにおいて操作することができ、1つ又は複数の推進アセンブリによって生成された推力成分は、垂直軸と縦軸(例えば、及び/又は横軸)の両方に沿って方向付けられる。
【0025】
統合コマンドシステム100の第1の特定の例では、システムは、複数の傾斜可能なロータアセンブリ(例えば、6つの傾斜可能なロータアセンブリ)を含む電気ティルトロータ航空機(例えば、図4A及び図4Bに示されるような)を含む。電気ティルトロータ航空機は、固定翼航空機として、回転翼航空機として、及び、固定翼状態と回転翼状態との間の任意の境目の構成で(例えば、複数の傾斜可能なロータアセンブリのうちの1つ又は複数は、部分的に回転した状態に向きが合わせられる)動作することができる。この例での電気ティルトロータ航空機の制御システムは、固定翼配置内、回転翼配置内、及び/又は固定翼配置と回転翼配置との間で、複数の傾斜可能なロータアセンブリにコマンドして制御するように機能し得る。
【0026】
第2の特定の例では、ティルトロータ航空機は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2019年5月10日に出願された米国特許出願第16/409,653号明細書で説明されているティルトロータ航空機である。この例では、システムは、この参考文献で説明されるものと同じ幾何学的配置又は異なる幾何学的配置で構成される、1つ又は複数の傾斜メカニズム、ロータブレード作動メカニズム及び/又はこの参考文献によって説明される他のコンポーネントを含み得る。この例では、ティルトロータ航空機は、機体と、機体に結合された複数の推進アセンブリとを含む。
【0027】
3.2 統合コマンドシステム
図1に示されるように、統合コマンドシステム100は、入力メカニズムと、1つ又は複数のセンサと、入力を制御出力に変換するフライトプロセッサと、制御出力に従って作動するエフェクタとを含む。しかしながら、それに加えて又はその代替として、統合コマンドシステム100は、他の任意の適切なコンポーネントを含み得る。
【0028】
入力メカニズムは、航空機のユーザからコマンド入力(入力コマンド)を受信するように機能する。コマンド入力は、好ましくは、所望の飛行経路を示し、所望の飛行経路の「縦方向」(例えば、X軸、前後など)側面、所望の飛行経路の「横方向」(例えば、Y軸、左右など)側面、及び所望の飛行経路の「垂直方向」又は「法線方向」(例えば、Z軸、上下など)側面に分解される。しかしながら、それに加えて又はその代替として、コマンド入力は、他の任意の適切な航空機動作を示し得る。
【0029】
入力メカニズムは、1つ又は複数のインセプタ、ディスプレイ及び他の任意の適切なインタフェースコンポーネントを含み得る。特定の例では、インセプタは、コックピット又は航空機における唯一の手動制御入力であり得る。しかしながら、航空機には、任意選択的に、他の制御入力(例えば、ペダル、ボタン、二次インセプタなど)を含めることができる。
【0030】
入力メカニズム(及び/又はユーザ)は、航空機に搭載すること、遠隔に位置すること(例えば、遠隔操縦航空機)及び/又は別の方法で実装することができる。
変更形態では、インタフェースコンポーネントは、フィードバック(例えば、航空機の状態、コマンド入力の限度などを示すフィードバック)をユーザに提供することができる。フィードバックは、触力覚的に(例えば、インセプタを通じて、座席などのユーザと接触している他のコンポーネントを通じてなど)、聴覚的に(例えば、音声警報若しくはメッセージを介して)、視覚的に(例えば、警報表示、光などを介して)提供すること及び/又は別の方法で適切に提供することができる。フィードバックは、車両状態、性能保護、航空機のレジーム及び/又は他の任意の適切な情報に関連する情報及び/又は警報を含み得る。
【0031】
変更形態では、それに加えて又はその代替として、入力メカニズムは、航空機オートパイロット160を自動的に接続及び/又は切断することができる。第1の例では、オートパイロットは、入力メカニズムがユーザ入力を受信することに応答して自動的に切断される。第2の例では、オートパイロットは、入力メカニズムがニュートラルに位置決めされること(及び/又は閾値時間の間のユーザ入力の欠如)に応答して自動的に連動される。第3の例では、オートパイロットは、入力メカニズムによる指定入力の受信(例えば、オートパイロットボタンを押すこと)によって連動される。
【0032】
入力メカニズムは、ユーザがエフェクタの主制御を利用できないように(例えば、すべての直接的なエフェクタ制御は、入力メカニズムからコマンド入力を受信することに応答して、フライトプロセッサによって生成される)、間接的に「フライバイワイヤ」方式でフライトプロセッサに結合することができる。或いは、入力メカニズムは、1つ又は複数のエフェクタとの直接接続(例えば、主制御)並びに/或いは直接及び間接接続の任意の適切な組合せを含み得る。
【0033】
インセプタは、インセプタ位置のニュートラル位置からの物理的な離脱の形態のコマンド入力を受信するように機能する。
インセプタの1つ又は複数の軸/入力は、デッドゾーンを含み得、デッドゾーンは、ニュートラル位置からのわずかな離脱(例えば、機械又はセンサバイアスに関連する)の処理を回避するように機能する。デッドゾーンは、ニュートラル位置の周りの対称又は非対称範囲であり得る。デッドゾーンは、事前に決定すること、動的に決定すること、ユーザ/パイロットが構成すること、及び/又は別の方法で実装することができる。デッドゾーンは、各軸の0.5%、1%、5%、10%、30%、50%又は任意の適切な割合であり得る。
【0034】
インセプタポーズの物理的な離脱(例えば、ニュートラルポーズからの、以前のポーズからの)は、好ましくは、入力コマンドにマッピングされる。インセプタポーズの1つ又は複数の物理的な離脱パラメータ(例えば、距離、角度オフセット、変化率、加速度など)は、好ましくは、軸ごとに入力コマンドにマッピングされるが、それに加えて又はその代替として、軸の組合せに基づいてマッピングするか、又は別の方法でマッピングすることができる。
【0035】
インセプタは、セルフセンタリング型(デフォルトでニュートラル位置に戻る)、非セルフセンタリング型(離脱した位置にとどまる)であるか又は別の方法で適切に実装することができる。インセプタは、力フィードバックを提供すること(例えば、1つ又は複数の軸における運動に動的に抵抗する、振動するなど)、力フィードバックをしないこと、力フィードバックを提供するように構成可能なものであること(例えば、ユーザ/パイロットによって)、又は別の方法で動作することが可能である。
【0036】
インセプタの物理的な離脱は、図6の例によって示されるように、空間において、X軸401運動と、Y軸402運動と、Z軸403運動と、A軸404運動との間で分解することができる。しかしながら、ニュートラル位置からの物理的な離脱は、別の方法で適切に分解することができる。インセプタとフライトプロセッサ(例えば、フライトプロセッサ経由でのエフェクタ)との間のフライバイワイヤ結合により、インセプタと航空機エフェクタとの間の複雑な機械飛行制御連結部(例えば、各インセプタが実際に制御できる航空機運動軸及び関連エフェクタの数を制限し得る)なしで、2つ以上の独立した軸を有するインセプタを使用することができる。
【0037】
変更形態では、入力メカニズムは、2つのインセプタを含み得る(例えば、ヘリコプタに類似した動作は、右手インセプタと関連付けられ、飛行機に類似した動作は、左手インセプタと関連付けられるなど、逆も同様である)。別の例では、システムは、2つのインセプタを含み得、第1のインセプタは、第1の飛行レジーム(例えば、ホバリング)において動作可能であり、第2のインセプタは、第2の飛行レジーム(例えば、飛行機)において動作可能であり、両方のインセプタは、移行飛行レジームにおいて動作可能である(例えば、冗長方式で、非冗長方式でなど)。追加の又は代替の変更形態では、統合コマンドシステムは、単一インセプタを有し得る。しかしながら、それに加えて又はその代替として、入力メカニズムは、任意の適切な数のインセプタを含み得る。
【0038】
インセプタ(単数または複数)は、左利き用に(例えば、ユーザの左手と連動するように設計される、ユーザの左側に位置決めされる)、右利き用に、両手用に、対称的に(例えば、どちらかの手で操作される)及び/又は別の方法で構成することができる。
【0039】
変形形態では、ディスプレイは、車両状態に関連するフィードバック及び/又は他の情報をユーザに提供するように機能する。ディスプレイは、タッチスクリーンディスプレイ、LCD、LED、HUD、及び/又は他のディスプレイであり得る。タッチスクリーンディスプレイを含む変形形態では、タッチスクリーンは、任意選択的に、1つ又は複数の入力軸(例えば、タッチ操作式スライドスケール)、ボタン又は他の入力を含む入力メカニズムの一部として動作することができる。
【0040】
入力メカニズムは、バイナリ入力、入力軸、口頭入力、及び/又は他の入力メカニズムなど、1つ又は複数の航空機コマンド機能性に関連する入力の役割を果たす他の追加のインタフェースコンポーネントを含み得る。バイナリ入力は、押しボタン、スイッチ、及び/又は他の入力であり得る。入力軸(例えば、A軸、推力軸)は、トリガ、サムホイール、ローラ、ジョイスティック、レバー、足踏みペダル、スライダ、及び/又は他の入力軸であり得る。口頭入力の例は、「サンノゼアプローチに調整して待機」、「パロアルトの気象をチェック」、「MFDホーム」、「オートパイロットで水平飛行」、航空管制通信、場所情報要求、気象情報要求、表示要求、オートパイロット要求、テレコミュニケーション要求、及び/又は他のタイプの要求を含む。追加のインタフェースコンポーネントは、航空機の周りの任意の適切な位置に位置し得る。
【0041】
好ましくは、追加のインタフェースコンポーネントは、インセプタ上及び/又はタッチスクリーンディスプレイ上に位置するが、任意の適切な面又は表面に位置し得る。第1の変形形態では、追加のインタフェースコンポーネントは、インセプタ(単数または複数)の上部/側面に位置するか又は1つ若しくは複数の飛行レジームの間にタッチスクリーン上に永続的に存在する(例えば、すべての飛行レジームで、ホバリングのみで、前進のみで、タキシング(taxiing)のみでアクセス可能である)。或いは、追加のインタフェースコンポーネントは、インセプタとは反対側のユーザの側(例えば、右手インセプタでは左手側、左手インセプタでは右手側)、インセプタと同じ側、ユーザの頭上、足下空間(例えば、ペダル、5%の身長女性の足の最も近く、95%の身長男性の足の最も近く)、コパイロット側のみ、パイロット側のみ、ダッシュボード上、1つ又は複数の助手席(操縦席に対して)の最も近く及び/又は別の場所に位置し得る。
【0042】
第1の例では、ボタンセットは、インセプタ上にDパッド配置で位置する。
第2の例では、追加のインタフェースコンポーネントは、航空機のデッキ姿勢をロール軸(地面に対する横方向角度)及び/又はピッチ軸(地面に対する縦方向角度)の周りでトリム調節するようにコマンドする。
【0043】
第3の例では、追加のインタフェースコンポーネントは、ジオブレーキをコマンドする。
第4の例では、追加のインタフェースコンポーネントは、航空機に対するステップ入力をコマンドする。ステップ入力は、任意の適切な飛行レジーム(前進、ホバリング、移行、及び/又はタキシング)における横方向ステップ及び/又は縦方向ステップであり得る。ステップ入力をコマンドする追加のインタフェースコンポーネントは、Dパッドスタイルボタンとすることが可能であり、かつ/又は別の方法で構成することが可能である。
【0044】
第5の例では、追加のインタフェースコンポーネントは、タキシングに対する動力供給(例えば、ロータ若しくはホイールを介して)、タキシングステアリング、ランディングギア展開、テレコミュニケーションリンクを開くこと、及び/又は別の操作などの地上操作に関連し得る。
【0045】
フライトプロセッサは、入力メカニズムから及び任意選択的に1つ又は複数のセンサからコマンド入力を受信するように機能し、航空機の1つ又は複数のエフェクタの状態に影響を及ぼすため(例えば、航空機に対する空気力学的力及び/又はモーメントを制御するため)に制御出力を生成するように機能する。また、フライトプロセッサは、航空機が動作している飛行レジーム107に基づいて、入力を所望の航空機応答106に変換する統合コマンドモデルを実装するようにも機能し(図10に例が示される)、所望の航空機応答106は、制御出力を決定するために使用することができる。また、フライトプロセッサは、所望の航空機応答及び車両状態に基づいて制御出力を生成するための制御エンジン320を実装するようにも機能する。また、フライトプロセッサは、車両ナビゲーションシステム150から入力(例えば、車両状態108、飛行レジーム107、エフェクタ状態、航空機に現存する力、及び/又はモーメント)を受信するようにも機能し得る。フライトプロセッサは、任意選択的に、航空機が動作している飛行レジームを決定するように機能し得る(例えば、受信した車両状態に基づいて、既定のレジーム選択に基づいて、飛行計画の現在の部分に基づいてなど)。或いは、飛行レジームは、車両ナビゲーションシステムによって決定することができるとともに、フライトプロセッサにおいて車両ナビゲーションシステムから受信される入力に含めることができる。
【0046】
フライトプロセッサへの入力は、ユーザ入力(例えば、コマンド入力)、車両状態変数(例えば、航空機位置、航空機位置変化率、航空機に対する力、航空機に対するモーメント、速さ、対気速度、対地速度など)、誘導入力(例えば、オートパイロットコマンド、ウェイポイント(waypoints)、軌道計画、飛行経路など)、現在の飛行レジーム及び他の任意の適切な入力を含み得る。フライトプロセッサからの出力(制御出力)は、ターゲットエフェクタ位置(例えば、操縦翼面の角度位置、エフェクタアクチュエータの駆動力、エフェクタアクチュエータのエンコーダ状態など)及び他の任意の適切な出力を含み得る。入力は、フライトプロセッサで実行しているコマンドモデル及び制御エンジンによって、集合的に出力に変換される。
【0047】
システムの変形形態は、複数のフライトプロセッサを含み得る。第1の例では、システム(例えば、航空機)は、3つ以上のフライトプロセッサを含み、各フライトプロセッサは、コマンドモデル及び制御エンジンを実行する。第2の例では、コマンドモデルは、第1の組のフライトプロセッサ上で実行され、制御エンジンは、第2の組のフライトプロセッサ上で実行される。フライトプロセッサ(単数または複数)は、航空機の周りで任意の適切な方法で集合又は分散した複数の処理要素を含み得る。
【0048】
フライトプロセッサは、現在の飛行レジーム107に基づいて、コマンド入力を所望の航空機応答106に変換するように機能する(図10に例が示される)。
コマンド入力は、所望の航空機応答を伝達するように機能する。コマンド入力は、好ましくは、入力メカニズムにおいてユーザから受信されるが、それに加えて又はその代替として、自律エージェント又は他の任意の適切な供給源から受信することができる。
【0049】
コマンド入力は、好ましくは、制御軸と関連付けられた入力パラメータを含むが、それに加えて又はその代替として、ボタン押し、口頭コマンド又は他の任意の適切な入力であり得る。
【0050】
入力パラメータは、制御軸に沿った位置、制御軸に沿った変化率、制御軸に沿った加速度、制御軸に沿った方向(例えば、正の方向、負の方向など)、及び/又は他の任意の適切なパラメータであり得る。
【0051】
システムは、好ましくは、一組の制御軸(例えば、インセプタセット)を含む。一組の制御軸(例えば、インセプタセット)は、2軸、3軸、4軸、4軸超、及び/又は任意の適切な数の制御軸を含み得る。制御軸は、異なるインセプタ、手(ユーザの)、ユーザ(例えば、ユーザの左手と右手との間で分散される)にわたって分散すること、及び/又は別の方法で適切に分散することができる。一例では、すべての制御軸(例えば、インセプタセット)は、同じインセプタに位置し得る。
【0052】
制御軸は、線形、弓形(例えば、球形軸)、上記の組合せ、及び/又は別の方法で定義されたものであり得る。異なる制御軸の例は、横軸、縦軸、垂直軸、ピッチ軸、ヨー軸、ロール軸、極軸、方位角軸、及び/又は他の任意の適切な制御軸を含む。制御軸は、入力メカニズム、車両(例えば、航空機)に対して定義することができるか、又は別の方法で定義することができる。弓形制御軸は、好ましくは、回転ポイント又は回転軸に対して定義され、インセプタセットが複数の弓形制御軸を含む際、回転軸は、共有しても、異なるものであってもよい。
【0053】
制御軸は、好ましくは、インセプタの作動軸(例えば、インセプタの物理的な離脱軸)であるが、その代替として、仮想制御軸(例えば、デジタルスライダのスライド軸)又は他の任意の適切な軸であり得る。
【0054】
インセプタの異なる作動軸(例えば、異なる自由度)は、好ましくは、異なる制御軸にマッピングされる(例えば、インセプタの異なる物理的な離脱は、好ましくは、異なる制御軸を取り扱う)が、その代替として、同じ制御軸にマッピングすることができる。例えば、インセプタのx軸、y軸及びz軸インセプタはそれぞれ、第1、第2及び第3の制御軸にマッピングすることができる一方で、サムホイール及びトリガ作動はそれぞれ、第4及び第5の制御軸にマッピングすることができる。第2の例では、インセプタのx軸及びy軸は、第1の制御軸にマッピングすることができる。第3の例では、インセプタのx軸は、第1の制御軸と第2の制御軸の両方にマッピングされる(例えば、同時に、異なる飛行レジームにおいてなど)。しかしながら、異なる制御軸は、別の方法で異なる入力メカニズムの自由度と関連付けることができる。制御軸と作動軸のマッピングは、好ましくは、静的に決定されるが、その代替として、動的に決定することができる(例えば、飛行レジーム、車両状態などに基づいて)。
【0055】
所望の航空機応答は、入力をエフェクタレベルの制御出力に変換するための中間パラメータとして機能する。所望の航空機応答は、好ましくは、コマンドモデルによって生成され(出力)、制御エンジンに対する入力として使用されるが、別の方法で生成すること、及び/又は取り込むことができる。所望の航空機応答は、航空機の1つ又は複数の自由度における航空機運動を指定することができる。所望の航空機応答は、航空機の回転又は線形自由度におけるものであり得る。航空機応答は、垂直方向、縦方向、横方向、ピッチ方向、ヨー方向、ロール方向、それらの任意の組合せ、及び/又は任意の適切な方向におけるもの若しくは任意の回転軸の周りにおけるものであり得る。
【0056】
所望の航空機応答は、位置(若しくは飛行経路)制御、レート(若しくは速度)制御、加速度制御、及び/又はそれらの組合せにおける航空機応答であり得る。位置(又は飛行経路)制御は、ピッチ角、ロール角、機首方位(ヨー角)、高度(若しくはAGL)、緯度、経度、GPS座標位置、今後のウェイポイント位置、及び/又は他の任意の適切な角度若しくは線形位置制御を指し得る。レート(又は速度)制御は、機首方位レート(ヨーレート)、垂直レート、横方向並進レート、対気速度(若しくは速さ)レート、縦方向並進レート、ロールレート、ピッチレート、サイドスリップレート、荷重倍数レート、及び/又は他の任意の適切なレートを指し得る。加速度制御は、任意のレート制御パラメータの変化率を指し得る。
【0057】
所望の航空機応答は、バイナリ(例えば、セットレートで加速するか若しくは全く加速しない)、連続的(例えば、所望の航空機応答は、既定の連続に沿った一組の値のうちの1つを有し得る)、離散的(例えば、一組の既定の値のうちの1つ)であるか又は別の方法で特徴付けることができる。
【0058】
任意の自由度における所望の航空機応答は、任意の適切な均整又は関係で合成することができる。合成均整は、事前に決定すること、車両状態及び飛行レジーム(例えば、移行レジーム)に基づいて動的に決定すること、トリム調節すること、性能保護(例えば、飛行エンベロープ保護)に基づいて決定すること、及び/又は別の方法で決定することができる。所望の航空機応答は、好ましくは、異なる飛行レジームにおいて同じであるが、その代替として、異なる飛行レジームにおいて異なり得る。
【0059】
所望の航空機応答は、好ましくは、コマンド入力及び現在の飛行レジームに基づいて決定されるが、それに加えて又はその代替として、現在の若しくは予測された車両状態、上記の組合せ、及び/又は他の任意の適切な入力に基づいて決定することができる。
【0060】
異なるコマンド入力(例えば、異なる制御軸と関連付けられる)は、好ましくは、異なる所望の航空機応答(又はそのクラス)にマッピングされるが、同じ制御軸を異なる所望の航空機応答にマッピングすること(例えば、異なる入力パラメータが異なる航空機応答にマッピングされる、同じ入力パラメータが異なる飛行レジームにわたって異なる航空機応答にマッピングされるなど)、又は、異なる制御軸によって同じ所望の航空機応答をコマンドすることができる。しかしながら、所望の航空機応答は、異なるコマンド入力によって別の方法でコマンドすることができる。
【0061】
制御軸は、好ましくは、同様の軸パラメータを有する所望の航空機応答にマッピングされる(例えば、線形制御軸は線形の所望の航空機応答にマッピングされる、回転制御軸は回転の所望の航空機応答にマッピングされる、制御軸は自車両(ego-vehicle)と同様の関係を有する所望の航空機応答にマッピングされるなど)が、それに加えて又はその代替として、全く異なる軸パラメータを有する所望の航空機応答にマッピングすることができる。例えば、横方向制御軸に沿って受信されたコマンド入力は、横方向航空機応答と関連付けることができる。
【0062】
同じコマンド入力は、好ましくは、異なる飛行レジームにわたって同じ所望の航空機応答にマッピングされるが、その代替として、異なる飛行レジームにわたって異なる所望の航空機応答にマッピングすることができる。
【0063】
所望の航空機応答は、選択すること(例えば、ルックアップテーブル、データベースなどから)、計算すること、又は別の方法で決定することができる。第1の例では、航空機応答を決定することは、飛行レジーム及びコマンド入力(例えば、コマンド入力の制御軸、コマンド入力の入力パラメータなど)に基づいて、航空機応答クラス(例えば、位置制御、レート制御、加速度制御など)を決定することを含む。第2の例では、航空機応答を決定することは、コマンド入力の入力パラメータ値に基づいて、飛行レジーム及びコマンド入力の制御軸と関連付けられた所望の航空機応答に対する所望の航空機応答値を計算するか、又は選択することを含む。第2の例の例証的な例では、所望の垂直又は上昇レート(所望の航空機応答)は、インセプタのx軸(制御軸)に沿ったインセプタの変位量(入力パラメータ)に基づいて決定することができる。所望の航空機応答値を計算するために使用される方程式は、一般的なもの、所望の航空機応答に特有のもの、飛行レジームと制御軸の組合せに特有のものとすることが可能であり、かつ/又は別の方法で決定することが可能である。第3の例では、航空機応答を決定することは、飛行レジーム、入力パラメータ値及びコマンド入力の制御軸に基づいて、所望の航空機応答値を選択すること(例えば、ルックアップテーブルから)を含む。しかしながら、所望の航空機応答は、別の方法で決定することができる。
【0064】
コマンド入力(例えば、入力パラメータ値)及び/又は所望の航空機応答は、任意選択的に、現在の若しくは予測された車両状態、ルールセット、静的若しくは動的に決定された限度若しくは保護のセット、及び/又は他の任意の適切な情報に基づいて、上限を定めること、スケーリングすること又は別の方法で調整することができる。コマンド入力及び/又は所望の航空機応答は、線形関数、非線形関数、対数関数、指数関数、及び/又は他の適切な関数によってなど、任意の適切な方法でスケーリングすることができる。入力コマンドは、異なる側の閾値(加速度ウェル(acceleration well)閾値、ニュートラル位置など)において異なる方法でスケーリングすることができる。入力コマンドスケーリングは、事前に決定することができ、動的に決定することができ、ユーザ/パイロットによって構成可能であり、かつ/又は別の方法で決定することができる。
【0065】
統合コマンドモデルの変更形態は、単一インセプタの4軸コマンドモデルを含む。この変更形態の例では、統合コマンドモデルは、前進飛行の飛行機と関連付けられたコマンドマッピングに類似した「フロントサイド」コマンド特性を含み得る。しかしながら、代替の例では、コマンドモデルは、ホバリング飛行のヘリコプタと関連付けられたコマンドマッピングに類似した「バックサイド」コマンド特性を有し得る。
【0066】
単一インセプタコマンドモデルを使用する前進飛行(例えば、飛行機レジーム)における航空機操作との関連で、縦方向インセプタ運動(例えば、X軸に沿った)は、飛行経路姿勢を維持しながら、ピッチレート(例えば、荷重倍数制御(load factor control))によって飛行経路をコマンドする。いくつかの事例では、コマンドされたピッチレートは、全操縦桿操作量(full stick deflection)が合理的な正常な荷重倍数にマッピングさ
れるように(例えば、全操縦桿操作量の忠実度を維持するため)、対気速度で自動的にスケーリングすることができる(例えば、フライトプロセッサによって)。そのような事例では、要求される荷重倍数を達成する前に失速が起こり得る対気速度の範囲では、制御マッピングは、「アルファ最大」値までの、「アルファ保護」値を上回る同等のアルファ(例えば、荷重倍数)制御に自動的に変更することができる。また、前進飛行との関連で、横方向インセプタ運動(例えば、Y軸に沿った)は、ロールレートをコマンドすることができ、従って、コマンドされる旋回は、自動調整及び自動補償することができる(例えば、フライトプロセッサは、水平旋回するために正しい荷重倍数の増加を適用する)。
【0067】
また、単一インセプタコマンドモデルにおける前進飛行との関連で、単一インセプタへのツイスト(例えば、Z軸に沿った)入力は、サイドスリップをコマンドする。Zツイストインセプタ入力は、航空機の機首をインセプタツイストの方向に指し向けることによって、航空機サイドスリップをコマンドすることができる。フライトプロセッサはバンク旋回を防ぐために必要な相殺バンクを引き起こすようにエフェクタの組合せを作動させることによってサイドスリップを自動的に補償することを理由に、そのようなサイドスリップコマンドは、飛行経路方向を変更することなく、航空機の機首方位を変更することができる。特定の変形形態では、Zツイストインセプタ入力は、閾値対気速度を下回るサイドスリップをコマンドすることができる。閾値対気速度を上回る場合は、Zツイストインセプタ入力は、無視するか又は制御出力を生成するように別の方法で適切に使用することができる。
【0068】
単一インセプタコマンドモデルにおけるホバリング飛行との関連で、縦方向インセプタ運動(例えば、X軸に沿った)は、垂直運動レートをコマンドすることができる。高さ(例えば、高度)データが利用可能である事例では、垂直レートコマンドは、航空機の高さ変化率をスケジューリングすることができる。インセプタのツイスト(例えば、Z軸に沿った)運動は、機首方位レートをコマンドする。コマンドされた機首方位は、インセプタがニュートラル位置に戻った時点で保持することができるが、その代替として、インセプタがニュートラル位置に戻った時点で、コマンドされた機首方位レートでドリフトし得る。
【0069】
また、単一インセプタコマンドモデルにおけるホバリング飛行との関連で、縦方向(例えば、X軸)対地速度は、A軸インセプタ運動(例えば、図6に示されるようなホイールなどのインセプタ上の単軸アクチュエータ)を介してコマンドすることができる。A軸作動は、航空機速度と加速度との間で動的にマッピングすることができる(例えば、A軸は、航空機がゼロに近い速度で移動している際は速度制御をコマンドし、ゼロ速度ポイントからさらに離れている際は加速度制御をコマンドする)。横方向(例えば、Y軸)対地速度は、単一インセプタコマンドモデルを使用するホバリング飛行において、横方向(例えば、Y軸)インセプタ操作量で制御することができる。
【0070】
単一インセプタコマンドモデルにおける移行飛行レジームとの関連で、4つの独立した軸に沿ったインセプタの運動は、制御する航空機姿勢及び運動の異なる態様間で合成される。特定の例では、縦方向インセプタ運動(例えば、X軸に沿った)は、コマンドする垂直レート(例えば、ホバリングにおける)とコマンドする飛行経路レート(例えば、前進飛行における)との間で合成される。同様に、インセプタのツイスト(例えば、Zツイスト)運動は、コマンドする機首方位レート(例えば、ホバリングにおける)とサイドスリップ制御(例えば、前進飛行における)との間で合成される。同様に、インセプタの横方向(例えば、Y軸)運動は、コマンドする横方向並進(例えば、ホバリングにおける)と調整旋回(例えば、前進飛行における)との間で合成される。A軸インセプタ運動は、コマンドする対地速度(例えば、ホバリングにおける)と対気速度加速度制御(例えば、前進飛行における)との間で合成される。航空機のピッチ姿勢は、航空機が前進飛行からホバリングに減速するにつれて、飛行経路制御から徐々に分離することができる。前述のコマンド軸の各々の合成は、好ましくは、航空機の対気速度に対してスケジューリングされる(例えば、コマンドは、実質的にゼロに等しい対気速度ではホバリング挙動に完全にマッピングされ、最小失速速度より大きな対気速度では飛行機挙動に完全にマッピングされ、ゼロと最小失速速度との間の対気速度に準じてフライトプロセッサによって移行制御出力にマッピングされる)が、別の方法で適切にスケジューリングすることができる。
【0071】
変更形態では、単一インセプタコマンドモデルは、別の方法で適切に、インセプタの軸を様々な飛行レジーム及び/又は地上操作における航空機動作にマッピングすることができる(例えば、図7の例によって示されるように)。
【0072】
統合コマンドモデルの代替の変更形態は、縦方向、横方向及び垂直方向制御の2軸インセプタマッピングを含み得る。そのような変更形態では、各インセプタ軸は、縦方向(例えば、X軸)マッピング及び横方向(例えば、Y軸)マッピングを定義し、モデルは、前進飛行(例えば、飛行機)レジームとホバリングレジームとの間の混合領域(例えば、移行レジーム)を含む。縦方向マッピングに関し、第1のインセプタ(例えば、「ピッチインセプタ」)は、航空機が前進飛行状態である際は、航空機ピッチ(例えば、飛行経路の垂直成分)を制御することができ、航空機がホバリング状態である際は、垂直運動レートを制御することができる。第2のインセプタ(例えば、「スロットルインセプタ」)は、航空機が前進飛行状態である際は、対気速度/速さを制御し(例えば、推力変調を介して)、航空機がホバリング状態である際は、縦方向における並進運動(例えば、速さ、対気速度、対地速度など)を制御する。横方向制御マッピングに関し、第1のインセプタ(例えば、「ロールインセプタ」)は、航空機が前進飛行状態である際は、調整旋回(例えば、バンク旋回)をコマンドすることができ、航空機がホバリング状態である際は、ヨー(例えば、機首方位)制御をコマンドすることができる。第2のインセプタ(例えば、「ヨーインセプタ」)は、航空機が前進飛行状態である際は、コマンドをサイドスリップ(例えば、調整外の機首方位調整)にマッピングすることができ、ホバリング状態である際は、コマンドを横方向(例えば、左右)並進制御にマッピングすることができる。しかしながら、2軸インセプタマッピングを含む変更形態は、別の方法で適切に実装することができる。
【0073】
第1の特定の変形形態では、コマンドモデルは、4つの入力軸を含む。好ましくは、4つのすべての入力軸は、単一インセプタ上に位置するが、その代替として、複数のインセプタ間で分散すること、及び/又は入力メカニズムの一部として別の方法で含めることができる。第1の入力軸は、前進レジームでは、所望のピッチ応答にマッピングされ、ホバリングレジームでは、所望の垂直並進応答にマッピングされ、移行レジームでは、ピッチ及び垂直並進の合成応答にマッピングされる。好ましくは、第1の入力軸は、インセプタのX軸であるが、他の任意の適切なインセプタ作動軸であり得る。第2の入力軸は、前進レジームでは、所望のロール応答にマッピングされ、ホバリングレジームでは、所望の横方向並進応答にマッピングされ、移行レジームでは、ロール及び横方向並進の合成応答にマッピングされる。所望のロール応答は、好ましくは、ロールレートであるが、それに加えて又はその代替として、飛行経路応答及び/又は他の応答を含み得る。好ましくは、第2の入力軸は、インセプタのY軸であるが、他の任意の適切なインセプタ作動軸であり得る。第3の入力軸は、前進レジームでは、所望のサイドスリップ応答にマッピングされ、ホバリングレジームでは、所望の垂直ヨー応答にマッピングされ、移行レジームでは、サイドスリップ及びヨーの合成応答にマッピングされる。また、第3の入力軸は、任意選択的に、地上操作(タキシング)の間、ステアリングにもマッピングされる。好ましくは、ヨー応答は、機首方位レート(ヨーレート)応答である。サイドスリップ応答は、任意選択的に、サイドスリップ閾値対気速度を上回ると、段階的に停止することができ、それにより、嫌悪される空力負荷及び非効率性を回避することができる。サイドスリップ閾値対気速度は<25.7222m/s(50kts)、10.288m/s(20kts)、15.433m/s(30kts)、20.577m/s(40kts)、25.7222m/s(50kts)、30.866m/s(60kts)、36.011m/s(70kts)、41.155m/s(80kts)、46.299m/s(90kts)、51.444m/s(100kts)、56.588m/s(110kts)、64.305m/s(125kts)、77.166m/s(150kts)、25.7222~77.166m/s(50~150kts)、>77.166m/s(150kts)、及び/又は他の任意の適切な対気速度であり得る。好ましくは、第3の入力軸は、インセプタのZ軸であるが、他の任意の適切なインセプタ作動軸であり得る。第4の入力軸は、前進レジームでは、所望の対気速度応答にマッピングされ、ホバリングレジームでは、所望の縦方向並進応答にマッピングされ、移行レジームでは、対気速度及び縦方向並進の合成応答にマッピングされる。また、第4の入力軸は、任意選択的に、地上操作(タキシング)の間、前進推力/ホイールパワーにもマッピングされる。縦方向並進は、レート、及び/又は加速度応答を含み得るが、任意の適切なタイプの応答を含み得、任意選択的に、加速度ウェル(例えば、閾値を下回るレート制御、閾値を上回る加速度制御)を含み得る。対気速度(又は速さ)は、好ましくは、レート応答であるが、任意の適切なタイプの応答であり得る。好ましくは、第4の入力軸は、インセプタのA軸であるが、他の任意の適切なインセプタ作動軸であり得る。
【0074】
第1の特定の変形形態の代替のバージョンでは、第2の入力軸と第3の入力軸は、異なる所望の応答への異なるマッピングを有する。第2の入力軸は、前進レジームでは、ロールレート、機首方位レート及び飛行経路の合成応答にマッピングされ、ホバリングレジームでは、所望の機首方位レート(ヨーレート)応答にマッピングされ、移行レジームでは、ロール、機首方位及び飛行経路の合成応答にマッピングされる。第3の入力軸は、前進レジームでは、所望のサイドスリップ応答にマッピングされ、ホバリングレジームでは、所望の横方向並進応答にマッピングされ(加速度ウェルで採用することができる)、移行レジームでは、サイドスリップ及び横方向並進の合成応答にマッピングされる。また、第3の入力軸は、任意選択的に、地上操作(タキシング)の間、ステアリングにもマッピングされる。サイドスリップ応答は、任意選択的に、サイドスリップ閾値対気速度(又は速さ)を上回ると、段階的に停止することができ、それにより、嫌悪される空力負荷及び非効率性を回避することができる。サイドスリップ閾値対気速度は<25.7222m/s(50kts)、10.288m/s(20kts)、15.433m/s(30kts)、20.577m/s(40kts)、25.7222m/s(50kts)、30.866m/s(60kts)、36.011m/s(70kts)、41.155m/s(80kts)、46.299m/s(90kts)、51.444m/s(100kts)、56.588m/s(110kts)、64.305m/s(125kts)、77.166m/s(150kts)、25.7222~77.166m/s(50~150kts)、>77.166m/s(150kts)、及び/又は他の任意の適切な対気速度であり得る。
【0075】
フライトプロセッサによって実装される統合コマンドモデルは、変更形態では、異なる入力範囲に対して異なるパラメータを制御することができる。第1の変形形態では、インセプタ位置のニュートラル位置からの正の方向における物理的な離脱及びインセプタ位置のニュートラル位置からの負の方向における物理的な離脱は、同じ所望の航空機応答又は異なる所望の航空機応答と関連付けることができる。例では、垂直並進と関連付けられた入力は、垂直上向き方向における加速度(インセプタ位置のニュートラル位置からの正の方向における物理的な離脱の場合)及び垂直下向き方向における速度(インセプタ位置のニュートラル位置からの負の方向における物理的な離脱の場合)にマッピングされる。第2の変形形態では、コマンドモデルは、加速度ウェルを含む。閾値より小さなインセプタ位置の物理的な離脱は、速度制御にマッピングされ、閾値より大きなインセプタ位置の物理的な離脱は、速度制御にマッピングされる。閾値は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は他の任意の適切なパーセンテージなど、ニュートラル位置からの最大離脱パーセンテージであり得る。好ましくは、垂直方向及び/又は縦方向に加速度ウェルが存在するが、それに加えて又はその代替として、横方向に、航空機の任意の回転軸の周りに及び/又は他の任意の航空機応答と関係して、加速度ウェルが存在し得る。加速度ウェルは、ホバリングレジーム、移行レジーム、及び/又は前進レジームにおいて存在し得る。
【0076】
フライトプロセッサは、変更形態では、保護エンジン330を含み得、図11の例に示されるように、保護エンジン330は、航空機に対する性能保護(エンベロープ保護など)を強要するために制御出力を自動的に制限するように機能する。性能保護は、飛行中に航空機が起こせる動作に対する制約セットを定義する航空機の操作限度をユーザが超えないように機能する。また、性能保護は、航空機制御不能及び航空機の操縦中の地表への衝突事故(controlled flight into terrain)を含めて、一般的な航空事故の発生源を排除するように機能することもできる。また、性能保護は、航空機の要求可能な性能を最大化するように機能することもできる(例えば、ユーザは、コマンドモデルによって自動的に強要される構造上の限度を超えることなく、入力を提供することができる)。
【0077】
性能保護は、エンベロープ限度(例えば、航空機構造完全性を維持するため)、コントローラ限度(例えば、制御不能を防止するため)、保護機能(例えば、制御不能を防止するため)、コマンドモデル限度(例えば、操縦性を維持するため、ユーザ経験を制御するためなど)、及び/又は他の任意の適切な保護を含み得る。限度は、閾値、範囲の限界(例えば、性能保護レジーム)であり得るか、又は別の方法で定義することができる。性能保護の各セットは、コマンド入力(例えば、制御軸、入力パラメータ)、所望の航空機応答、制御出力、及び/又は他の任意の適切なパラメータのうちの1つ又は複数に対する1つ又は複数の限度を含み得る。限度は、ハードリミット(例えば、決して超えてはならない)、ソフトリミット(例えば、持続的なコマンド入力、車両状態、飛行レジームなどに基づいて、選択的に超えることができる)であり得る、かつ/又は別の方法で特徴付けることができる。限度は、静的、動的に決定することができるか(例えば、飛行計画、車両状態、飛行レジーム、エフェクタ状態などに基づいて)、又は別の方法で決定することができる。
【0078】
第1の例では、保護エンジンは、ユーザ入力がコマンドモデルによって解釈される前に、ユーザ入力(例えば、コマンド入力)に対する性能保護を強要する(図12Aに例が示される)。第2の例では、保護エンジンは、所望の航空機応答が制御エンジンによって解釈される前に、所望の航空機応答に対する性能保護を強要する(図12Bに例が示される)。第3の例では、保護エンジンは、制御出力に対する性能保護を強要する(図12Cに例が示される)。第4の例では、制御エンジンは、保護エンジンからの入力に基づいて制御出力を生成する(図12Dに例が示される)。しかしながら、保護エンジンは、他の任意の適切な方法で性能保護を強要することができる。
【0079】
変更形態では、保護エンジンは、空気力学的な逆効果(例えば、失速、ボルテックスリング状態/VRSなど)から航空機を保護することができ、それは、車両状態を決定し、ユーザ入力が原因で航空機が空気力学的な逆効果を伴う車両状態に移行するのを防ぐことによって行うことができる。例えば、保護エンジンは、航空機が失速条件に入らないようにピッチ制御を自動的に制限し、失速条件が自動的に回避されるように対気速度に基づいて限度を調整することができる。別の例では、バンク角は、航空機が閾値角度を超えてローリングしないように自動的に制限することができ、閾値より大きなバンク角に相当するユーザ入力を効果的に無視することができる。しかしながら、フライトプロセッサは、エンベロープ保護を別の方法で適切に実施することができる。
【0080】
特定の例では、フライトプロセッサは、S230を実行し、S230は、コマンドモデルの実行S232、制御エンジンの実行S234、及び保護エンジンの実行S236を含む(図9に例が示される)。
【0081】
統合コマンドモデルの実装形態との関連で、バンク角は、横方向インセプタ運動にマルチモーダルマッピングすることができ、バンク角は、その現在の状態に応じて異なる方法で制御される。例えば、バンク角が水平状態から5度に近く、インセプタがデフォルト位置を中心とする場合は、航空機は、水平飛行に自動的に安定させることができるのに対して、バンク角が5~35度である場合は、インセプタがデフォルト位置を中心とする際は、バンク角を自動的に維持することができる。別の例では、ユーザは、横方向操縦桿入力を継続して、バンク角が35度を超えて最大で65度になるようにコマンドすることができるが、インセプタがデフォルト位置に戻ると、航空機は、固定された35度のバンクに戻る。しかしながら、バンク角コマンドは、他の任意の適切なマッピングを有し得る(例えば、異なる閾値角度を有するマルチモーダル、ユニモーダルなど)。
【0082】
エフェクタは、フライトプロセッサから受信された制御出力(例えば、ユーザから受信された入力に基づいて、統合コマンドモデルに従って生成される)に応答して、航空機に対する空気力及び/又はモーメントを生成する、かつ/又は調整するように機能する。エフェクタは、補助翼111、ラダーベータ113、フラップ112、推進ユニット118(例えば、可変ブレードピッチを有する傾斜可能なプロペラ、図13A図13Cに例が示される)並びに他の任意の適切な操縦翼面及び/又は航空機の飛行に影響を及ぼし得る作動可能メカニズムを含み得る。また、エフェクタは、ブレードピッチメカニズム114、傾斜メカニズム115、モータ116(RPMを変化させることによる)、及び/又は他の適切なアクチュエータのうちの1つ又は複数など、エフェクタの操縦翼面を作動させるアクチュエータも含み得る。
【0083】
図8に示されるように、特定の例では、システムのエフェクタは、補助翼(例えば、航空機の両側に2つずつ)、ラダーベータ(例えば、航空機の両側に3つずつ)、フラップ(例えば、航空機の両側に2つずつ)、及び推進ユニット関連エフェクタ(例えば、6つのナセル傾斜アクチュエータ、調整可能なRPMを有するモータ、可変ピッチを有するプロペラブレード)を含む。各エフェクタは、好ましくは、フライトプロセッサから制御出力を受信することに応答してエフェクタを位置決めする(又はモータの事例のように他のエフェクタに伝達される回転電力を増大する)単一のアクチュエータ(例えば、作動操縦翼面のヒンジ線上にマウントされた回転式アクチュエータ、可変ピッチ連結アクチュエータなど)と関連付けられ、かつ結合される。しかしながら、それに加えて又はその代替として、各エフェクタは、任意の適切な数のアクチュエータと関連付けることができる。
【0084】
その代替として、エフェクタの異なる組合せ及び/又は副組合せは、フライトプロセッサによって、航空機が動作している飛行レジームに応じて、様々な軸の周りの航空機運動を制御するように制御することができる。例えば、前進飛行では、補助翼を使用して航空機をローリングし、ラダーベータを使用して航空機をピッチング及びヨーイングし、フラップを使用して揚力及び/又は抗力曲線調整を行い、モータRPMを調整して全体的な推力(例えば、モータは集合的に調整される)及びヨー(例えば、モータは航空機の縦方向中線にわたって別個に調整される)を制御し、プロペラのブレードピッチを使用して推力(例えば、すべての推進ユニットのブレードピッチは集合的に調整される)及びヨー(例えば、推進ユニットのブレードピッチは航空機の縦方向中線にわたって別個に調整される)を調整することができる。対照的に、ホバリング飛行では、例えば、補助翼、ラダーベータ及びフラップは効果的ではなく、モータRPM及びプロペラブレードピッチは、揚力、ピッチ、及びロールを制御するために、集合的に及び/又は別個に(例えば、適切に)変化させることができ、推進ユニット傾斜連結部は、航空機の並進及び/又はヨーを制御するように作動することができる。しかしながら、エフェクタの異なる組合せ及び/又は副組合せは、様々な飛行レジームにおける航空機制御に影響を及ぼすため、別の方法で適切に使用することができる。特定の変形形態では、航空機は、移行(及び/又はホバリング)レジームにおいて、ブレードピッチ及び/又はモータRPMを制御することによって、一定のピッチ姿勢を可能にすることができる。
【0085】
システムは、車両状態及び/又は飛行レジームを決定するために使用することができる航空機パラメータを測定するために、1つ又は複数のセンサを含み得る。センサは、任意の適切なタイプのセンサであり得、位置、速さ、速度、加速度、角速さ、角速度、角加速度、圧力、温度、力、トルク、重量、重量分布、及び/又は他の任意の適切なパラメータの絶対値又は相対値を測定することができる。測定は、航空機(若しくは航空機のコンポーネント)、大気、地面、及び/又は他の任意の適切な基準に対して相対的に行うことができる。センサは、飛行時間型センサ、レーダセンサ、ライダセンサ、空間センサ(例えば、慣性測定センサ、加速度計、ジャイロスコープ、高度計、磁力計、AGLセンサなど)、場所センサ(例えば、GPS、GNSS、三角測量、三辺測量など)、力センサ(例えば、歪みゲージメータ、ロードセル)、エアフロメータ、近接センサ、及び/又は他の任意の適切なセンサのうちの1つ又は複数であり得る。
【0086】
好ましい実施形態及びその変更形態のシステムは、コンピュータ可読命令を格納するコンピュータ可読媒体を受け入れるように構成された機械として少なくとも部分的に具体化すること及び/又は実装することができる。好ましくは、命令は、好ましくは、システムと統合された及び/又はシステムの一部である、コンピュータ実行可能コンポーネントによって実行される。コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM、光学デバイス(CD若しくはDVD)、ハードドライブ、フロッピー(登録商標)ドライブ又は任意の適切なデバイスなどの任意の適切なコンピュータ可読媒体上に格納することができる。コンピュータ実行可能コンポーネントは、好ましくは、汎用又は特定用途向けプロセッサであるが、その代替として又はそれに加えて、任意の適切な専用ハードウェア又はハードウェアとファームウェアを組み合わせたデバイスが命令を実行することができる。
【0087】
4.方法
図2に示されるように、統合コマンド方法200は、入力コマンドを受信すること(S210)と、航空機の飛行レジームを決定するステップ(S220)と、航空機の飛行レジームに基づいて、入力コマンドを制御出力に変換するステップ(S230)と、制御出力を実行するステップ(S240)とを含む。S230は、入力コマンド及び飛行レジームに基づいて、所望の航空機応答を決定するサブステップ(S232)と、車両状態及び所望の航空機応答に基づいて、制御出力を決定するサブステップ(S236)とをさらに含み得る。S230は、任意選択的に、車両状態に基づいて、性能保護レジームを計算するサブステップ(S234)を含み得る。方法200は、任意選択的に、航空機の飛行レジームを決定するサブステップ(S215)を含み得る。
【0088】
統合コマンド方法200は、好ましくは、複数の推進ユニットを含むティルトスラスト航空機(例えば、6つの電動推進ユニットを含むティルトプロップ航空機)と併せて、上記で説明される統合コマンドシステム100に類似したシステムを使用して実施される。しかしながら、それに加えて又はその代替として、統合コマンド方法200は、他の任意の適切な航空機と併せて、他の任意の適切な航空機制御システムを使用して実施することができる。
【0089】
ブロックS210は、入力コマンドを受信することを含む。ブロックS210は、ユーザの意図を決定し、ユーザの意図を制御出力(例えば、航空機エフェクタを作動させるための)に処理することができる(例えば、フライトプロセッサによって)入力に変換するように機能する。ブロックS210は、好ましくは、システム100との関連で上記で説明されるように実質的に入力メカニズム(例えば、インセプタ、1対のインセプタなど)を使用して実行されるが、それに加えて又はその代替として、入力を得るための任意の適切な手段(例えば、音声コマンド、ユーザの頭部及び/又は目の追跡など)を使用して実行することができる。
【0090】
入力コマンドは、好ましくは、所望の航空機応答に対応し、所望の航空機応答は、航空機の1つ又は複数の自由度と関連付けられる軌道、飛行経路、並進、回転であり得る。それに加えて又はその代替として、入力コマンドは、車両状態、所望のエフェクタ作動(ランディングギアの展開など)の所望の変更に対応し得る及び/又は他の任意の適切な入力コマンドを含み得る。第1の変形形態では、ユーザ入力は、所望の飛行経路に対応する。第2の変形形態では、ユーザ入力は、航空機の所望の運動(特定の変位、速度又は加速度での並進及び/又は回転)に対応する。第3の変形形態では、ユーザ入力は、所望のデッキ姿勢(ピッチ角及び/又はロール角、地面に対する横方向角度、地面に対する縦方向角度)に対応する。第4の変形形態では、ユーザ入力は、ジオブレーキユーザ入力である。或いは、入力コマンドは、性能保護(例えば、飛行エンベロープ)及び/又は航空機上の1つ若しくは複数のセンサに基づいて自動的に受信すること或いは別の方法で受信することができる。
【0091】
任意選択的なブロックS215は、航空機の車両状態を決定することを含み、航空機の車両状態は、航空機の飛行レジームを決定するため及び/又は制御出力を決定するために使用することができる。車両状態は、航空機の現在の操作状態を特徴付けるように機能し、好ましくは、センサ出力に基づいて決定される。車両状態は、センサフュージョン、センサ故障検出/拒絶によって決定するか、又は別の方法で決定することができる。車両状態は、好ましくは、状態ベクトルであるが、それに加えて又はその代替として、車両状態のスカラ値、分類又は他の任意の適切な特徴付けであり得る。車両状態は、大気圧、静的気圧、動的気圧、迎角、サイドスリップ角、静的気温、力測定、トルク測定、角度測定、線形位置(例えば、GPS位置)、線形速度、線形加速度、角度位置、角速度、角加速度、並びに/或いは、航空機の任意の適切な位置/軸における他の任意の適切な車両状態パラメータを含み得る。
【0092】
ブロックS220は、航空機の飛行レジームを決定することを含む。ブロックS220は、航空機が前進飛行(例えば、飛行機レジーム)、ホバリング及び/又は移行レジームにあるかどうかを判断するように機能する(例えば、フライトプロセッサに提供するため及び/又はブロックS230に従って入力コマンドを制御出力に変換することを可能にするため)。ブロックS220は、対気速度、対地速度、傾斜連結位置(例えば、推進ユニットの各々の)及び/又は前述のベースの任意の適切な組合せに基づいて飛行レジームを決定することを含み得る。それに加えて又はその代替として、ブロックS220は、他の任意の適切な方法で航空機の飛行レジームを決定することを含み得る。ブロックS220は、飛行レジームを直接測定する1つ又は複数のセンサ(例えば、対気速度センサ、対地速度及び/又は地理的位置センサ、アクチュエータ状態センサ及び/又はエンコーダなど)を使用して自動的に実行することができ、かつ/又は任意の適切な入力を使用して別の方法で適切に実行することができる。
【0093】
ブロックS220はS215とは無関係に起こること、ブロックS220はS215に依存して起こること、S215はS220に部分的に/完全に依存すること、S215とS220は1つ若しくは複数のセンサ測定に共依存すること、及び/又は別の方法で適切に実施することが可能である。ブロックS220は、フライトプロセッサ及び/又は車両ナビゲーションシステムにおいて並びに/或いは別のエンドポイントにおいて実行することができる。第1の例では、フライトプロセッサは、車両ナビゲーションシステムから車両状態を受信し、車両状態に基づいて飛行レジームを決定する。第2の例では、フライトプロセッサは、車両ナビゲーションシステムから飛行レジームを受信する。第3の例では、フライトプロセッサは、飛行レジームを決定する。
【0094】
ブロックS230は、航空機の飛行レジーム(例えば、ブロックS220で決定されたもの)及びコマンドモデルに基づいて、入力コマンドを制御出力に変換することを含む。ブロックS230は、ユーザによってフライバイワイヤ航空機制御を実施するように機能し、また、飛行レジームから制御可能な軸を自動的に分離し(例えば、フライトプロセッサ及び航空機エフェクタを使用して)、所望の航空機動作(例えば、エフェクタ位置の代わりに)に関連する入力をユーザが提供できるようにすることによって、ユーザの認知的作業負荷を低減するように機能する。
【0095】
ブロックS230は、好ましくは、入力コマンドに基づいて、所望の航空機応答を決定するサブステップ(S232)と、所望の航空機応答に基づいて、制御出力を決定するサブステップ(S326)と、任意選択的に、車両状態に基づいて、性能保護レジームを計算するサブステップ(S234)とを含む。
【0096】
入力コマンドに基づいて、所望の航空機応答を決定すること(S232)は、任意選択的に、飛行レジームに基づき得、入力を航空機応答にマッピングするように機能する。S232は、入力として、入力メカニズム位置(例えば、角度、線形、パーセント変位など)及び任意選択的に飛行レジームを取り入れる。コマンドモデルに従って、入力は、所望の航空機応答出力(例えば、対気速度、ピッチレートなどの車両状態パラメータセットの所望の変更)にマッピングされる。
【0097】
コマンドモデルは、好ましくは、統合コマンドモデル(例えば、完全なエンベロープ保護を含むフロントサイド統合縦方向制御コマンドモデル)であるが、それに加えて又はその代替として、他の任意の適切なコマンドモデルを含み得る。特定の例では、ブロックS230は、以下の通り、飛行レジームに応じて、統合コマンドモデルに従って、受信入力(例えば、ブロックS210に従って受信されたもの)を変換することを含む。すなわち、X軸インセプタ運動は、垂直レート制御(例えば、ホバリングレジームにおける)並びに荷重倍数及び飛行経路維持制御(例えば、前進飛行レジームにおける)に変換され、A軸インセプタ運動は、X並進レート制御(例えば、ホバリングレジームにおける)並びにX加速度及び対気速度(又は速さ)維持制御(例えば、前進飛行レジームにおける)に変換され、Y軸インセプタ運動は、Y並進レート制御(例えば、ホバリングレジームにおける)並びにロールレート及びバンク角維持(例えば、前進飛行レジームにおける)に変換され、Z軸インセプタ運動は、機首方位レート及び維持制御(例えば、ホバリングレジームにおける)並びにサイドスリップ角制御(例えば、前進飛行レジームにおける)に変換される。ブロックS230は、回転翼(例えば、ホバリング)レジームと固定翼(例えば、飛行機)レジームとの間で航空機の「旋回」挙動を制御する入力動作を同じにする統合横方向コマンドモデルに従って、入力を出力に変換することを含み得る。しかしながら、それに加えて又はその代替として、ブロックS230は、他の任意の適切なコマンドモデルに従って、ユーザ入力を制御出力に変換することを含み得る。
【0098】
所望の航空機応答に基づいて、制御出力を決定すること(S236)は、任意選択的に、車両状態及び/又はアクチュエータフィードバックに基づき得、航空機応答を生成する(例えば、車両状態を変更する)ために実行することができる制御出力に所望の航空機応答を変換するように機能する。S236は、好ましくは、入力として、所望の航空機応答及び任意選択的に車両状態(例えば、受信された、測定された、格納された又は別の方法で決定されたもの)を取り入れるが、他の任意の適切な入力セットを受け入れることができる。第1の変形形態では、制御出力は、一組の所定の車両状態パラメータに対するルックアップテーブルによって決定することができる。
【0099】
第2の変形形態では、制御出力は、既定の車両モデル(モデル予測制御)、フィードフォワード制御、フィードバック制御、開ループ制御及び/又は他の技法を使用して、車両状態に基づいて動的に計算される。この変形形態では、システムは、制御出力決定のための単一のモデル、複数のモデル(例えば、異なる所望の航空機応答に対する異なるモデル、異なるエフェクタに対する異なるモデルなど)及び/又は他の任意の適切な数のモデルを含み得る。第2の変形形態の例では、制御出力を決定することは、一次エフェクタ又はアクチュエータ動力学を想定し、フィードバック(例えば、閉ループフィードバック)に基づいて高次動力学を制御することを含む。特定の例では、フィードバックに基づいて高次動力学を制御することは、所望の航空機応答並びに現在の車両及び/又はエフェクタ若しくはアクチュエータ状態に基づいて、エフェクタ又はアクチュエータに対する制御出力を決定することと、制御出力に基づいてエフェクタ又はアクチュエータを制御することと、所望の航空機応答並びに更新された車両及び/又はエフェクタ若しくはアクチュエータ状態に基づいて、新しい制御出力を生成することとを含む。
【0100】
ブロックS230は、任意選択的に、車両状態に基づいて、性能保護レジームを計算するサブステップ(S234)を含み得、それにより、制御出力が保護限度内にあることを保証することができる。保護限度は、垂直レート(降下レート)、迎角(失速限度)、高度(AGL限度)、空力負荷(推力/揚力限度)、対気速度(過速度限度)、構造(荷重制限)、及び/又は他の航空機パラメータなどの異なる航空機パラメータに適用することができる。性能保護レジームは、飛行保護エンベロープ、規制制限、及び/又は他の制限を含み得る。性能保護レジームの保護限度は、動的に、ルックアップテーブルによって、事前に訓練されたニューラルネットワーク又は他の車両モデルを通じて車両状態(及び/又は他のパラメータ)を渡すことによって、一組の機能によって決定することができ、かつ/或いは別の方法で決定することができる。各飛行レジームは、飛行エンベロープ(構造完全性を確保する)、コントローラ限度(制御不能を防止する)、保護機能(制御不能を防止する)、コマンドモデル限度(操縦性を確保する)、及び/又は他の考慮事項などの1つ又は複数の考慮事項に基づいて決定された1つ又は複数の保護パラメータセットと関連付けることができる。保護パラメータは、保護考慮事項優先度に基づいて(例えば、保護考慮事項は、ランクの高いものから順に、飛行エンベロープ限度、コントローラ限度、保護機能、コマンドモデル限度を含み得る)、総体的に使用するか若しくは満たすことができるか、又は使用のために別の方法で選択することができる。S236は、単独又は組合せの1つ又は複数のパラメータに対する超えてはならない絶対閾値として機能する絶対制限機能や、普通ではない姿勢をもたらすか又は性能/取扱い限度近くで動作するソフト閾値として機能する保護又は認識機能を適用することができる。
【0101】
第1の特定の例では、ピッチは、-10度、+30度、+3.1Nz及び-1.0Nzの限度を有し、+20度及び-5度で保護機能を採用する(それを超えて保持するには、インセプタ変位の増加が必要とされる)。第2の特定の例では、ロールレート(又は調整旋回)は、+/-67度のバンク角の限度を有し、33度のバンク角を超えると保護機能を採用する(保持するには、インセプタ変位の増加が必要とされる)。第3の特定の例では、サイドスリップ角(例えば、20度)は、対気速度(又は速さ)の増加と共に減少する限度を有する。第4の特定の例では、対気速度レートは、+5.144m/s(+10kts/sec)及び-10.288m/s(-20kts/sec)の限度を有する。第5の例では、垂直レートは、+5.08m/s(+1000fpm)及び-2.54m/s(-500fpm)の限度を有し、AGL高度と共に減少する最大降下レートに対する保護機能を有する。第6の特定の例では、保護は、FAR23.337、FAR23.335、FAR23.2405、及び/又はFAR23.441に準拠する。
【0102】
絶対限度及び/又は保護限度を超えたことに応答して、S230は、修正された入力で制御を再計算し、限度内(例えば、保護レジーム内)に制御出力を調整/シフトし、ユーザに通知し(例えば、ディスプレイ、触力覚フィードバックを介して)、入力コマンドを無視し、入力コマンドをスケーリングし、パラメータ及び/又は限度優先度に基づいて動作(無視する、通知する、調整する及び/又は再計算する)を決定することができる。
【0103】
ブロックS230(例えば、サブステップ236及び/又はサブステップ234で)は、要求の優先順位付けに従って、利用可能な航空機応答(例えば、制御権限、推力利用可能性、エンベロープ限度、構造限度、地形限度など)に基づいて、ユーザ要求に応答して、制御出力生成の優先順位を付けることを含み得る。これは、エフェクタ制御の優先順位を下げる必要がある動作をユーザが要求する(例えば、入力を提供する)事例でさえも、規定の要求の優先順位付けに基づいて、エフェクタを優先的に制御することを含み得る。例えば、ホバリングレジームでは、姿勢制御は、速度(例えば、推力)又は加速度より優先させることができ、移行レジームでは、垂直推力成分は、水平成分より優先させることができ、前進飛行レジームでは、構造限度は、ユーザによるレート要求及び/又は対気速度要求より優先させることができる。しかしながら、それに加えて又はその代替として、ブロックS230は、他の任意の適切な要求優先度付けを実施することを含み得る。
【0104】
ブロックS230は、動的セットポイント(例えば、ユーザがセットポイントを提供する、ユーザの入力なしでセットポイントが自動的に決定されるなど)に従って制御出力を自動的に調整することを含み得る。例えば、速度関連の制御出力は、「加速度ウェル」に基づいて制御することができ、対地速度は、航空機が閾値対気速度を下回って移動している際(例えば、ホバリングレジームにおいて)は、入力をさらに制御することなく(例えば、ドリフト又は能動的なトリム要件を防止するため)、自動的に徐々にゼロに低減する。
【0105】
ブロックS230は、任意選択的に、センサ読取値、車両状態パラメータセット、飛行レジーム、保護制限、保護限度/閾値への接近/超過、過速度警報、構造警報、OEI警報、AGL警報、垂直降下レート警報、空力負荷警報、燃料レベル(若しくはバッテリ充電レベル)警報をユーザに通知するため及び/又は別の方法でユーザに通知するために、コマンド入力及び/又は航空機の飛行レジームに基づいて通知を送信することを含み得る。その例は、ディスプレイに送信すること、触力覚フィードバックデバイスに送信することを含む。通知は、有線及び/又は無線通信を介してユーザ及び/又は第三者に送信すること並びに/或いは別の方法で適切な優先度で送信することができる。
【0106】
ブロックS240は、制御出力(例えば、ブロックS230に従って生成されたもの)を実行することを含む。ブロックS240は、変換されたユーザ入力に基づいて(例えば、間接的に)、エフェクタ(例えば、エフェクタ位置、エフェクタ状態など)を直接制御するように機能する。ブロックS240は、好ましくは、上記で説明されるものに類似した1つ又は複数のエフェクタ(及び関連アクチュエータ)を使用して実行されるが、それに加えて又はその代替として、飛行中の航空機に対する力及び/又はモーメントに影響を及ぼすことができる他の任意の適切な作動可能メカニズム及び/又は操縦翼面を使用して実行することができる。
【0107】
変更形態では、ブロックS240は、航空機の飛行レジームの変更をもたらし得、従って、航空機の飛行レジームに少なくとも部分的に基づくユーザ入力の変換(例えば、ブロックS230)にフィードバックすることができる。例えば、コマンド方法200は、「ジオグラフィックブレーキ」特徴を含み得、航空機は、陸上車両がブレーキを適用する方法に類似した方法で、地上位置に対して減速して停止することができる。これは、航空機が失速速度を下回って減速する際に、ユーザが同じコマンド入力(例えば、インセプタを引き戻す、インセプタを前方に押す、ブレーキペダルを踏むなど)を維持する場合でさえも、前進飛行レジームとホバリングレジームとの間で自動的に移行することを含む。
【0108】
さらなる変更形態では、ブロックS240は、車両状態変数をブロックS230において実行されたコマンドモデルにフィードバックすることを含み得る。例えば、ブロックS240は、航空機のランディングギアに適用される地面への力(例えば、ランディングギアと統合された1つ又は複数のロードセルを使用して測定される)に等しい量だけ、制御された揚力を低減すること(例えば、ホバリングにおいて)を含み得、それにより、航空機が着陸車両状態と空中車両状態との間にある時間を最小限に抑えることができる。
【0109】
システム及び/又は方法の実施形態は、様々なシステムコンポーネント及び様々な方法プロセスのあらゆる組合せ及び並べ替えを含み得、本明細書で説明される方法及び/又はプロセスの1つ又は複数の例は、本明細書で説明されるシステム、要素及び/又はエンティティの1つ又は複数の例によって並びに/或いはそれらの1つ又は複数の例を使用して、非同期的に(例えば、順次に)、同時に(例えば、並行して)又は他の任意の適切な順番で実行することができる。
【0110】
当業者であれば前の詳細な説明から並びに図及び特許請求の範囲から認識されるように、以下の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対する修正及び変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A-12D】
図13A-13C】
図14
図15
図16
図17A-17B】