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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093771
(43)【公開日】2023-07-04
(54)【発明の名称】金属成形装置及び支持装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/08 20060101AFI20230627BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
B21D5/08 S
B21D43/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076700
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2019118207の分割
【原出願日】2019-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 廣明
(72)【発明者】
【氏名】樋口 正浩
(72)【発明者】
【氏名】井上 清貴
(57)【要約】
【課題】金属板の幅方向の両端部を成形する際に、金属板にたわみが生じるのを抑えることができる金属成形装置及び支持装置を提供する。
【解決手段】金属成形装置1は、一対の成形機2,3と、距離変更機構と、支持装置5と、を備える。一対の成形機2,3は、金属板の移動方向に直交する幅方向の両端部を成形する。距離変更機構は、一対の成形機2,3の幅方向の距離を変更する。支持装置5は、一対の成形機2,3の間で金属板を支える。支持装置5は、載置部51と、駆動アーム55と、を備える。載置部51は、一対の成形機2,3に対して幅方向に可動であり、金属板が載る。駆動アーム55は、載置部51を一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の移動方向に直交する幅方向の両端部を成形する一対の成形機と、
前記一対の成形機の前記幅方向の距離を変更する距離変更機構と、
前記一対の成形機の間で前記金属板を支える支持装置と、
を備え、
前記支持装置は、
前記一対の成形機に対して前記幅方向に可動であり、前記金属板が載る載置部と、
前記載置部を前記一対の成形機の前記幅方向の中央に位置させる駆動アームと、
を有し、
前記駆動アームは、前記一対の成形機の前記幅方向の距離に応じて、前記幅方向の寸法が変化するリンク機構を有し、
前記リンク機構は、
前記一対の成形機のうちの一方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第一リンクと、
前記一対の第一リンクの各々に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ前記一対の成形機のうちの他方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第二リンクと、
を有し、
前記リンク機構と前記載置部とをつなぐ柱体をさらに備え、
前記柱体は、前記第一リンクに対する前記第二リンクの回転軸に対して回転可能に取り付けられている、
金属成形装置。
【請求項2】
前記載置部は、前記幅方向に沿う回転軸を中心に回転可能な複数の回転体を有する、
請求項1記載の金属成形装置。
【請求項3】
前記距離変更機構は、一対の成形機のうちの一方の成形機のみを移動させる、
請求項1又は請求項2記載の金属成形装置。
【請求項4】
前記リンク機構を複数備え、
前記複数のリンク機構は、前記金属板の移動方向に離れている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の金属成形装置。
【請求項5】
前記支持装置は、前記載置部を前記幅方向に移動可能に支える受け部を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の金属成形装置。
【請求項6】
金属板の移動方向に直交する幅方向の両端部を成形する一対の成形機と、
前記一対の成形機の前記幅方向の距離を変更する距離変更機構と、
を備えた金属成形装置に用いられる支持装置であって、
前記一対の成形機の間において前記幅方向に可動であり、前記金属板が載る載置部と、
前記載置部を前記一対の成形機の前記幅方向の中央に位置させる駆動アームと、
を備え、
前記駆動アームは、前記一対の成形機の前記幅方向の距離に応じて、前記幅方向の寸法が変化するリンク機構を有し、
前記リンク機構は、
前記一対の成形機のうちの一方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第一リンクと、
前記一対の第一リンクの各々に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ前記一対の成形機のうちの他方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第二リンクと、
を有し、
前記リンク機構と前記載置部とをつなぐ柱体をさらに備え、
前記柱体は、前記第一リンクに対する前記第二リンクの回転軸に対して回転可能に取り付けられている、
支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属成形装置及び支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の金属成形装置が記載されている。特許文献1に記載のロール成形装置は、一対のロール成形機を備える。一対のロール成形機は、近接又は離間できるように、ベース上をローラにより移動可能に構成されている。一対のロール成形機は、金属板の幅方向の両端部を折り曲げ成形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-203227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のロール成形装置では、金属板の幅方向の両端部を加工する際、金属板の幅方向の中央には、自重によってたわみが生じることがある。金属板の幅方向の中央にたわみが生じると、金属板の幅方向の両端部における加工精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、金属板の幅方向の両端部を成形する際に、金属板にたわみが生じるのを抑えることができる金属成形装置及び支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の金属成形装置は、金属板の移動方向に直交する幅方向の両端部を成形する一対の成形機と、前記一対の成形機の前記幅方向の距離を変更する距離変更機構と、前記一対の成形機の間で前記金属板を支える支持装置と、を備える。前記支持装置は、前記一対の成形機に対して前記幅方向に可動であり、前記金属板が載る載置部と、前記載置部を前記一対の成形機の前記幅方向の中央に位置させる駆動アームと、を有する。前記駆動アームは、前記一対の成形機の前記幅方向の距離に応じて、前記幅方向の寸法が変化するリンク機構を有する。前記リンク機構は、前記一対の成形機のうちの一方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第一リンクと、前記一対の第一リンクの各々に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ前記一対の成形機のうちの他方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第二リンクと、を有する。前記リンク機構と前記載置部とをつなぐ柱体をさらに備える。前記柱体は、前記第一リンクに対する前記第二リンクの回転軸に対して回転可能に取り付けられている。
【0007】
本発明に係る一態様の支持装置は、金属板の移動方向に直交する幅方向の両端部を成形する一対の成形機と、前記一対の成形機の前記幅方向の距離を変更する距離変更機構と、を備えた金属成形装置に用いられる支持装置である。前記支持装置は、前記一対の成形機の間において前記幅方向に可動であり、前記金属板が載る載置部と、前記載置部を前記一対の成形機の前記幅方向の中央に位置させる駆動アームと、を備える。前記駆動アームは、前記一対の成形機の前記幅方向の距離に応じて、前記幅方向の寸法が変化するリンク機構を有する。前記リンク機構は、前記一対の成形機のうちの一方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第一リンクと、前記一対の第一リンクの各々に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、かつ前記一対の成形機のうちの他方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸を中心に回転可能に取り付けられた一対の第二リンクと、を有する。前記リンク機構と前記載置部とをつなぐ柱体をさらに備える。前記柱体は、前記第一リンクに対する前記第二リンクの回転軸に対して回転可能に取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る上記態様の金属成形装置及び支持装置は、金属板の幅方向の両端部を成形する際に、金属板にたわみが生じるのを抑えることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る金属成形装置の平面図である。
図2図2は、同上の金属成形装置の支持装置の平面図である。
図3図3Aは、図2のA部分の拡大図である。図3Bは、図2のA部分の正面図である。
図4図4Aは、リンク機構が伸長した状態の図2のA部分の拡大図である。図4Bは、リンク機構が縮小した状態の図2のA部分の拡大図である。
図5図5Aは、図2のB部分の拡大図である。図5Bは、図2のA部分の正面図である。
図6図6Aは、リンク機構が伸長した状態の図2のA部分の拡大図である。図6Bは、リンク機構が縮小した状態の図2のA部分の拡大図である。図6Cは、図2のA部分の正面図である。
図7図7は、図2のA部分の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)実施形態
(1.1)概要
本実施形態に係る金属成形装置1は、金属板8の幅方向の両端部を成形する装置である。本実施形態に係る金属成形装置1は、図1に示すように、ロール成形機であり、金属板8を移動させながら加工を行う。ここで、本開示では、金属板8が移動する一方向を「移動方向」として定義し、金属板8において、移動方向に略平行な方向を「長さ方向」として定義し、長さ方向に直交する方向を「幅方向」として定義する。本開示では、「幅方向」又は「金属板8の幅方向」という記載は、金属成形装置1で金属板8を加工しているときのほか、金属板8を加工していないときの金属成形装置1のみにおける方向の定義としても用いる。
【0011】
金属成形装置1は、図1に示すように、金属板8の幅方向の両端部を成形する一対の成形機2,3と、一対の成形機2,3の幅方向の距離を変更する距離変更機構4と、支持装置5と、を備える。
【0012】
支持装置5は、一対の成形機2,3の間で、金属板8を支える。支持装置5は、図2に示すように、載置部51と、駆動アーム55と、を備える。載置部51は、金属板8が載る部分であり、一対の成形機2,3に対して幅方向に可動である。駆動アーム55は、載置部51を一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置させる。ここでいう「載置部51を一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置させる」とは、載置部51の少なくとも一部が、一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置していることを意味する。したがって、「載置部51を一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置させる」ことには、一対の成形機2,3の幅方向の中央と、載置部51の幅方向の中央とが、上下方向にみて一致することだけでなく、一対の成形機2,3の幅方向の中央と、載置部51の一部とが、上下方向にみて重なることも含む。
【0013】
このため、本実施形態に係る金属成形装置1によれば、金属板8の幅方向の両端部を成形する際に、金属板8にたわみが生じるのを抑えることができる。本実施形態に係る金属成形装置1では、一対の成形機2,3の幅方向の距離が可変だが、一対の成形機2,3の幅方向の距離が変わった場合でも、常に、金属板8の幅方向の中央を支えることができる。
【0014】
(1.2)詳細
(1.2.1)全体
以下、本実施形態に係る金属成形装置1について、詳細に説明する。
【0015】
本実施形態に係る金属成形装置1は、金属板8を加工する成形装置であり、具体的には、ロール成形機である。ロール成形機は、金属板8を一方向に移動させながら加工を行う成形機である。
【0016】
本実施形態に係る金属板8は、矩形状に形成された金属板8である。金属成形装置1は、並んで移動する複数の金属板8を、順に加工する。金属板8は、例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標)、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、エスジーエル(登録商標)鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム合金板、チタン板等が挙げられる。
【0017】
本実施形態に係る金属板8は、金属製薄板である。ここでいう「金属製薄板」とは、金属板8の幅方向の両端部を単純支持により支持したときに、10mm以上のたわみ量が生じる金属板8を意味する。本実施形態に係る金属板8は、例えば、幅600mm以上1100mm以下、厚さ1.2mmの塗装鋼板である。
【0018】
ただし、本開示に係る金属板8は、コイル状に巻かれたコイル材(フープ材)から巻き戻される金属板であってもよい。要するに、本開示に係る金属成形装置1は、バッチ式及び連続式のいずれであってもよい。また、金属板8の材質、幅及び厚さは、種々のものが採用できるため、特に制限はない。
【0019】
金属成形装置1は、図1に示すように、一対の成形機2,3と、距離変更機構4と、支持装置5と、を備える。
【0020】
(1.2.2)成形機
一対の成形機2,3は、金属板8の幅方向の両端部の各々を成形する。一対の成形機2,3は、幅方向に離れている。本実施形態に係る金属成形装置1は、一対の成形機2,3として、第一成形機2と、第二成形機3と、を備える。
【0021】
(1.2.2.1)第一成形機
第一成形機2は、金属板8の幅方向の両端部のうちの一方の端部を成形する。第一成形機2は、第一支持台21と、ロール軸231を持つ複数のスタンド22と、複数のフォーミングロール23と、駆動装置24と、を備える。
【0022】
第一支持台21は、スタンド22を支える台である。本実施形態に係る第一支持台21には、スタンド22及び駆動装置24が取り付けられている。第一支持台21は、設置面に対して固定されている。ここでいう「設置面」とは、金属成形装置1が設置される面を意味する。設置面としては、例えば、工場のフロア、倉庫のフロア、屋外の地面、屋内又は屋外のコンクリート面等が挙げられる。本実施形態では、設置面を水平面であるとして説明し、設置面に直交する方向を「上下方向」として説明する。ただし、実際は、設置面は勾配を有していてもよいし、凹凸面を含んでもよい。
【0023】
複数のスタンド22は、フォーミングロール23を回転させる複数のロール軸231を持ち、各ロール軸231に対して、一のフォーミングロール23が回転可能に取り付けられている。各ロール軸231の回転軸(つまり、フォーミングロール23の回転軸)は、金属板8の成形後の形状に応じて適宜決定されるが、金属板8の移動方向に対して略直交している。複数のスタンド22は、第一支持台21において、金属板8の移動方向に沿って一定の間隔で取り付けられている。
【0024】
複数のフォーミングロール23は、金属板8を成形する金型である。各フォーミングロール23は、ロール軸231の回転軸を中心として回転する。本実施形態に係る金属板8は、複数のフォーミングロール23で挟まれることで、幅方向の両端部が支持され、かつ移動方向に沿って送られる。
【0025】
駆動装置24は、ロール軸231を回転させることで、フォーミングロール23を駆動する。本実施形態に係る駆動装置24は、モータ241と、モータ241の回転動力をロール軸231に伝達する伝達機構242と、を備える。モータ241から出力された回転動力は、伝達機構242によってスタンド22に伝わり、ロール軸231を回転させる。これによって、フォーミングロール23は回転する。
【0026】
(1.2.2.2)第二成形機
第二成形機3は、金属板8の幅方向のうちの、第一成形機2側とは反対側の端部を成形する。第二成形機3は、第二支持台31と、ロール軸331を持つ複数のスタンド32と、複数のフォーミングロール33と、駆動装置34と、を備える。第二成形機3の駆動装置34は、本実施形態では、モータ341と、モータ341の回転動力をロール軸331に伝達する伝達機構342と、を備える。本実施形態に係る第二成形機3では、複数のスタンド32、複数のフォーミングロール33及び駆動装置34の構造は、第一成形機2と同じである。
【0027】
第二支持台31は、スタンド32を支える台である。本実施形態に係る第二支持台31には、スタンド32及び駆動装置34が取り付けられている。第二支持台31は、設置面に設けられた複数のレール41に対して取り付けられている。複数のレール41は、幅方向に延びている。第二支持台31は、設置面に対し、レール41を介して取り付けられており、レール41の長手方向に沿って移動可能に取り付けられている。要するに、第二支持台31は、設置面上において、幅方向に可動である。第二支持台31は、距離変更機構4によって、動かされる。
【0028】
(1.2.3)距離変更機構
距離変更機構4は、一対の成形機2,3の幅方向の距離を変更する。本実施形態に係る距離変更機構4は、第二支持台31をレール41に沿って移動させることで、一対の成形機2,3の幅方向の距離を変更する。要するに、本実施形態に係る距離変更機構4は、一対の成形機2,3のうちの一方の成形機のみを移動させる。本実施形態に係る距離変更機構4は、電動モータ42を駆動源とし、例えば、ボールねじによって第二支持台31を移動させる。ただし、本開示では、距離変更機構4の構造については、特に制限はなく、油圧モータ、油圧シリンダ、リニアモータ、リニアアクチュエータ等が用いられてもよいし、作業者がハンドルを操作することで、第二支持台31を移動させてもよい。
【0029】
(1.2.4)支持装置
支持装置5は、一対の成形機2,3の間で金属板8を支える装置である。支持装置5によれば、一対の成形機2,3によって金属板8の幅方向の両端部を加工しているときに、金属板8の幅方向の中央部にたわみが生じるのを抑えることができる。支持装置5は、図2に示すように、載置部51と、複数の駆動アーム55と、複数の受け部7と、を備える。
【0030】
(1.2.4.1)載置部
載置部51は、金属板8が載る部分である。載置部51は、一対の成形機2,3の間において、金属板8の幅方向に可動である。載置部51は、金属板8の移動方向に沿って延びている。本実施形態に係る載置部51は、図1に示すように、少なくとも一対の成形機2,3がある範囲において、金属板8の移動方向の全長にわたって形成されている。載置部51は、図3Aに示すように、フレーム52と、複数の回転体53と、を備える。
【0031】
フレーム52は、複数の回転体53を支える骨組みである。フレーム52は、幅方向に離れた一対の枠材521と、一対の枠材521同士をつなぐ連結体522と、を備える。各枠材521は、金属板8の移動方向に沿って延びる。各枠材521としては、例えば、C形鋼、溝形鋼、角形鋼管、L形鋼等が挙げられる。連結体522は、一対の枠材521の下面に取り付けられている。本実施形態に係る連結体522は、金属板であり、一対の枠材521に対して固定されている。ただし、本開示に係る連結体522は、金属板に限らず、C形鋼、溝形鋼、角形鋼管、L形鋼、棒体等であってもよい。連結体522と一対の枠材521との固定は、溶接、ねじ止め、嵌め込み、リベット止め等により実現される。
【0032】
複数の回転体53は、フレーム52に対して回転可能に取り付けられている。各回転体53の回転軸は、幅方向に沿って延びている。本実施形態に係る回転体53は、円柱状に形成されており、回転体53の中心軸が回転軸と一致する。複数の回転体53の上端は、一の仮想平面に含まれる。仮想平面は、設置面に略平行であり、フレーム52の上端よりも上方に位置する。
【0033】
載置部51は、複数の駆動アーム55によって支えられている。本実施形態に係る載置部51は、駆動アーム55によって、一対の成形機2,3の幅方向の動きに連動して、一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置する。載置部51の移動は、本実施形態では、平行移動である。
【0034】
(1.2.4.2)駆動アーム
駆動アーム55は、載置部51を一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置させる。駆動アーム55は、複数(ここでは四つ)の取付け部56と、複数(ここでは二つ)のリンク機構57と、複数(ここでは二つ)の柱体58と、を備える。
【0035】
取付け部56は、図3Bに示すように、各リンク機構57の端部を、一対の成形機2,3のいずれかに取り付けるための部分である。本実施形態に係る駆動アーム55は、複数の取付け部56として、第一支持台21に取り付けられた取付け部56と、第二支持台31に取り付けられた取付け部56と、を備える。第一支持台21に取り付けられた取付け部56と、第二支持台31に取り付けられた取付け部56とは同じであるため、主に第一支持台21に取り付けられた取付け部56について説明する。
【0036】
第一支持台21には取付け座211が固定されている。取付け座211には、複数のねじ孔(不図示)が形成されている。取付け部56は、ねじ孔に対してねじ込まれる複数の固着具によって、取付け座211に取り付けられている。取付け部56は、取付け座211に対して、上下方向に沿って高さ調整可能に取り付けられている。
【0037】
取付け部56は、軸部561を有する。軸部561には、リンク機構57における一の端部が、回転可能に取り付けられる。リンク機構57の一端部の回転軸は、上下方向に沿って延びている。
【0038】
リンク機構57は、一対の成形機2,3の間の距離に応じて、幅方向に沿った寸法が変化する。本実施形態に係るリンク機構57は、フォーミングロール23,33よりも下方に位置する。リンク機構57は、図3Aに示すように、一対の第一リンク571と、一対の第二リンク572と、一対の第三リンク573と、を備える。
【0039】
第一リンク571は、第一成形機2に対し、取付け部56を介して回転可能に取り付けられている。この取付け部56に対する第一リンク571の回転軸(第一回転軸61)は、上述の通り軸部561の中心軸であり、上下方向に沿って延びている。一対の第一リンク571は、本実施形態では、長円状の板体であり、少なくとも一部が互いに上下方向に重なっている。ただし、本開示に係る第一リンク571は、長円状の板体に限らず、例えば、矩形状、円板状、帯状等に形成されてもよい。
【0040】
各第二リンク572は、各第一リンク571における第一回転軸61から離れた位置に対して、回転可能に取り付けられている。本実施形態に係る第二リンク572は、第一リンク571の長手方向において、第一回転軸61とは反対側の端部に対して、回転可能に取り付けられている。第一リンク571に対する第二リンク572の回転軸(第二回転軸62)は、上下方向に沿って延びている。本実施形態に係る第二リンク572は、第一リンク571と同様、長円状の板体であるが、本開示に係る第二リンク572は、例えば、矩形状、円板状、帯状等に形成されてもよい。
【0041】
一対の第二リンク572は、長さ方向の中央部において上下方向にみて(以下、平面視)重なる。一対の第二リンク572同士は、本実施形態では、長さ方向の中央部で互いに回転可能に接続されている。この第二リンク572同士の回転軸(第三回転軸63)は、上下方向に沿って延びている。一対の第二リンク572は、本実施形態では、図3Aに示すように、略X字状に形成されている。
【0042】
ここでいう「長さ方向」とは、第二リンク572において、第二回転軸62から第三回転軸63を通り、後述の第三リンク573に対する回転軸(第四回転軸64)まで至る直線に平行な方向を意味する。本実施形態では、第二リンク572の長手方向と長さ方向とは一致するが、本開示では、第二リンク572の長さ方向は、必ずしも長手方向でなくてもよい。
【0043】
各第三リンク573は、各第二リンク572における第二回転軸62及び第三回転軸63から離れた位置に対して、回転可能に取り付けられている。第二リンク572に対する第三リンク573の回転軸(第四回転軸64)は、上下方向に沿って延びている。本実施形態に係る第三リンク573は、第一リンク571と同じ形状である。
【0044】
第三リンク573は、第二成形機3に対し、取付け部56を介して回転可能に取り付けられている。この取付け部56対する第三リンク573の回転軸(第五回転軸65)は、軸部561の中心軸であり、上下方向に沿って延びている。一対の第三リンク573は、少なくとも一部が互いに上下方向に重なっている。
【0045】
柱体58は、リンク機構57と、載置部51とをつなぐ。柱体58は、第二リンク572の中央部に対し、回転可能に取り付けられている。柱体58の回転軸は、第三回転軸63と同じである。本実施形態に係る柱体58の長手方向は、上下方向に平行である。本実施形態に係る柱体58は、円柱状であるが、本開示では、例えば、四角柱状、三角柱状、五角柱状、円錐台状等であってもよい。また、柱体58として、複数の棒体で構成されてもよい。
【0046】
載置部51は、柱体58に対して回転可能に取り付けられている。すなわち、本実施形態に係る載置部51は、柱体58を介して第二リンク572に回転可能に取り付けられている。載置部51の回転軸は、柱体58の回転軸と同じであり、要するに、第三回転軸63と同じである。載置部51と柱体58との取付けは、本実施形態では、柱体58に対して連結体522をねじ止めすることで実現されている。
【0047】
なお、本実施形態では、第二リンク572に対して柱体58が回転可能に取り付けられ、柱体58に対して載置部51が回転可能に取り付けられたが、載置部51が柱体58に対して固定されていてもよいし、柱体58が第二リンク572に対して固定されていてもよい。要するに、載置部51は、第二リンク572の中央部に対して、上下方向に沿った回転軸を中心に回転できればよい。
【0048】
図4A図4Bに示すように、第二成形機3が、幅方向において第一成形機2側に移動すると、第一リンク571が第一回転軸61を中心に回転し、第三リンク573が第五回転軸65を中心に回転する。同時に、第二リンク572は、第一リンク571に対して第二回転軸62を中心に回転し、第三リンク573に対して第四回転軸64を中心に回転する。これによって、リンク機構57は、幅方向の寸法が小さくなる(縮小する(図4A図4B))。
【0049】
第二成形機3が、幅方向において第一成形機2とは反対側に移動すると、第一リンク571が第一回転軸61を中心に回転し、第三リンク573が第五回転軸65を中心に回転する。同時に、第二リンク572は、第一リンク571に対して第二回転軸62を中心に回転し、第三リンク573に対して第四回転軸64を中心に回転する。これによって、リンク機構57は、幅方向の寸法が大きくなる(伸長する(図4B図4A))。
【0050】
このように、リンク機構57の幅方向の寸法は、一対の成形機2,3の幅方向の距離に応じて変化する。このとき、載置部51は、常に、一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置するように移動する。
【0051】
複数のリンク機構57は、図2に示すように、金属板8の移動方向に離れている。複数のリンク機構57は、一対の成形機2,3の幅方向の距離に応じて動作するため、幅方向の端部から中央部(柱体58がある位置)までの寸法が、複数のリンク機構57同士で常に同じ寸法を保ちながら動く。このため、載置部51は、一対の成形機2,3に対して、平行移動させることができる。本実施形態に係る駆動アーム55は、リンク機構57を二つ備えるが、三つ以上備えてもよい。
【0052】
本実施形態に係るリンク機構57は、フォーミングロール23,33の下方に位置する。このため、例えば、金属板8の移動方向におけるフォーミングロール23,33の間のスペースを利用する場合に比べて、フォーミングロール23,33のピッチが小さい成形機に対しても適用でき、設計上の自由度が向上する。つまり本実施形態に係る支持装置5は、金属板8の移動方向におけるフォーミングロール23,33のピッチに影響を受けずに、成形機2,3に対して設置することができる。
【0053】
(1.2.4.3)受け部
受け部7は、図2に示すように、載置部51を幅方向に移動可能に支える。本実施形態に係る複数の受け部7は、一のリンク機構57に対して、金属板の移動方向の両側に配置されている。受け部7は、図5A図5Bに示すように、受け本体部71と、フランジ部72と、を備える。
【0054】
受け本体部71は、受け部7の主体を構成する。本実施形態に係る受け本体部71は、移動方向に沿って見て略L字状に形成されている。受け本体部71の天面には載置部51が載る。受け本体部71の天面は、摩擦を低減させるスリップ材等が設けられることが好ましい。スリップ材としては、例えば、MCナイロン(登録商標)等の樹脂プレート、ポリエチレンテープ、テフロン(登録商標)テープ、金属テープ等が挙げられる。
【0055】
載置部51は、受け本体部71の側面に接触する位置に複数のローラ54を有してもよい。ローラ54の回転軸は、上下方向に沿って延びている。複数のローラ54は、幅方向に離れている。本実施形態に係るローラ54は、受け部7の側面のうち、一のリンク機構57に対向する側とは反対側にある。このため、ローラ54は、載置部51が、金属板8の移動方向に沿って移動するのを抑えることができ、かつ載置部51の幅方向の移動を妨げない。なお、複数のローラ54は、一の受け部7に対して、金属板8の移動方向の両側にあってもよい。また、複数のローラ54は無くてもよい。
【0056】
フランジ部72は、受け本体部71を一対の成形機2,3のいずれかに対して取り付けるための部分である。本実施形態に係る第一支持台21には取付け座211が固定されている。フランジ部72は、ねじ孔に対してねじ込まれる複数の固着具によって、取付け座211に取り付けられている。フランジ部72は、取付け座211に対して、上下方向に沿って高さ調整可能に取り付けられている。
【0057】
本実施形態に係る受け部7は、第一成形機2に取り付けられているが、第二成形機3に取り付けられてもよい。要するに、本実施形態に係る受け部7は、一対の成形機2,3のいずれか一方に取り付けられている。
【0058】
(1.3)動作
本実施形態に係る金属成形装置1の動作について説明する。成形する金属板8に合わせて、一対の成形機2,3の幅方向の位置を決定する。本実施形態に係る金属成形装置1では、距離変更機構4によって、第二成形機3を動かし、第二成形機3の位置を決める。このとき、第二成形機3の移動に応じて、載置部51が金属板8の移動方向に対して平行な状態を保ったまま移動する。載置部51は、一対の成形機2,3の幅方向の中央の位置を保ちながら移動する。
【0059】
次に、金属板8を一対の成形機2,3に向かって移動させ、金属板8の成形を始める。金属板8の幅方向の両端部は、一対の成形機2,3で加工されながら移動する。このとき、金属板8の幅方向の中央は、載置部51によって下から支えられる。したがって、金属板8の幅方向の中央部には、たわみが生じにくい。
【0060】
このままロール成形による加工が行われながら、金属板8は移動方向に沿って移動する。移動の際、金属板8は載置部51に載るが、回転体53の回転によってスムーズに移動する。
【0061】
(2)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0062】
上記実施形態では、第一成形機2が固定型であり、第二成形機3が可動型であるが、本開示では、第一成形機2及び第二成形機3の両方が可動型である一対の成形機に対しても、支持装置5を適用することができる。この場合、支持装置5を、移動量が互いに異なる第一成形機2及び第二成形機3に対して適用してもよいし、移動量が互いに同じである第一成形機2及び第二成形機3に対して適用してもよい。
【0063】
上記実施形態では、リンク機構57は、一対の第一リンク571と、一対の第二リンク572と、一対の第三リンク573と、を備えているが、これに限られない。図6A図6Cに示す変形例では、リンク機構57は、一対の第一リンク591と、一対の第二リンク592と、を備えており、第三リンクは備えていない。
【0064】
一対の第一リンク591は、第一成形機2に対し、取付け部56を介して回転可能に取り付けられている。この取付け部56に対する第一リンク591の回転軸(第一回転軸593)は、上述の通り軸部561の中心軸であり、上下方向に沿って延びている。一対の第一リンク591は、長円状の板体であり、少なくとも一部が互いに上下方向に重なっている。第一リンク591は、長円状の板体に限らず、例えば、矩形状、円板状、帯状等に形成されてもよい。
【0065】
一対の第二リンク592は、第二成形機3に対し、取付け部56を介して回転可能に取り付けられている。この取付け部56対する第二リンク592の回転軸(第二回転軸594)は、上述の通り軸部561の中心軸であり、上下方向に沿って延びている。一対の第二リンク592は、少なくとも一部が互いに上下方向に重なっている。第二リンク592は、第二リンク592の長手方向において、第三回転軸595とは反対側の端部に対して、取付け部56に回転可能に取り付けられている。第二リンク592は、第一リンク591と同じ形状である。
【0066】
一対の第二リンク592は、第一リンク592における第一回転軸593から離れた位置に対して、回転可能に取り付けられている。各第一リンク591に対する各第二リンク592の回転軸(第三回転軸595)は、各々、上下方向に沿って延びている。各第二リンク592は、各第一リンク591の長手方向において、第一回転軸593とは反対側の端部に対して、各々、回転可能に取り付けられている。
【0067】
柱体58は、リンク機構57と、載置部51とをつなぐ。柱体58は、二つの第三回転軸595に対し、回転可能に取り付けられている。柱体58の回転軸は、第三回転軸595と同じである。柱体58の長手方向は、上下方向に平行である。柱体58は、円柱状であるが、本開示では、例えば、四角柱状、三角柱状、五角柱状、円錐台状等であってもよい。また、柱体58として、複数の棒体で構成されてもよい。
【0068】
載置部51は、柱体58に対して回転可能に取り付けられている。すなわち、載置部51は、柱体58を介して第二リンク592に回転可能に取り付けられている。載置部51の回転軸は、柱体58の回転軸と同じであり、要するに、第三回転軸595と同じである。
【0069】
リンク機構57の下方には、保持プレート70が配置されている。また保持プレート70は第一成形機2と第二成形機3との間(中間)に配置されている。保持プレート70は、金属板8の移動方向に延びる板材である。保持プレート70には複数(この例では二つ)の差し込み孔71が形成されている。各差し込み孔71は金属板8の移動方向に延びている。各差し込み孔71は保持プレート70を厚み方向に貫通している。複数の差し込み孔71は金属板8の移動方向に並んでいる。
【0070】
そして、差し込み孔71には第三回転軸595の下部が上方から差し込まれている。各差し込み孔71には第二回転軸595が一つずつ差し込まれている。第三回転軸595は差し込み孔71に差し込まれた状態で金属板8の長さ方向に移動可能である。すなわち、第三回転軸595は差し込み孔71に沿って移動可能である。
【0071】
金属板8の移動方向における保持プレート70の端部は、ズレ止めプレート72に接触している。ズレ止めプレート72は第一成形機2から第二成形機3の方に向かって突出している。保持プレート70は、ズレ止めプレート72に接触して、金属板8の移動方向に対する移動は規制されている。しかし、保持プレート70は、ズレ止めプレート72に対してリンク機構57の幅方向には移動可能である。言い換えると、ズレ止めプレート72は、保持プレート70に対してリンク機構57の幅方向に移動可能である。
【0072】
図6A図6Bに示すように、第一成形機2及び第二成形機3が、幅方向において、互いに近づくように移動すると、第一リンク591が第一回転軸593を中心に回転し、第二リンク592が第二回転軸594を中心に回転する。同時に、第一リンク591及び第二リンク592は、第三回転軸595を中心に回転する。さらに、二つの第三回転軸595は、各々、差し込み孔71内を移動する。このとき、二つの第三回転軸597は金属板8の移動方向で互いに離れる方向に移動する。これによって、リンク機構57は、幅方向の寸法が小さくなる(縮小する(図6A図6B))。
【0073】
第一成形機2及び第二成形機3が、幅方向において、互いに離れるように移動すると、第一リンク591が第一回転軸593を中心に回転し、第二リンク592が第二回転軸594を中心に回転する。同時に、第一リンク591及び第二リンク592は、第三回転軸595を中心に回転する。さらに、二つの第三回転軸595は、各々、差し込み孔71内を移動する。このとき、二つの第三回転軸595は金属板8の移動方向で互いに近づく方向に移動する。これによって、リンク機構57は、幅方向の寸法が大きくなる(伸長する(図6B図6A))。
【0074】
このように、リンク機構57の幅方向の寸法は、一対の成形機2,3の幅方向の距離に応じて変化する。このとき、載置部51及び保持プレート70は、常に、一対の成形機2,3の幅方向の中央に位置するように移動する。
【0075】
上記実施形態では、回転体53は、円柱状に形成されたが、本開示に係る回転体53は、円柱状に限らず、例えば、球状、円板状、車輪状、円錐状、円錐台状、長球状等であってもよい。
【0076】
上記実施形態では、駆動アーム55は複数のリンク機構57を備えたが、本開示に係る駆動アーム55は、リンク機構57に代えて、例えば、シリンダ装置を備えてもよいし、複数のテレスコピックパイプ及び伸縮駆動部を備えてもよい。
【0077】
上記実施形態に係る駆動アーム55では、第一リンク571は、第一成形機2に固定された取付け部56に取り付けられ、第三リンク573は、第二成形機3に固定された取付け部56に取り付けられたが、第一リンク571が、第二成形機3に固定された取付け部56に取り付けられ、かつ第三リンク573が、第一成形機2に固定された取付け部56に取り付けられてもよい。
【0078】
上記実施形態に係る金属成形装置1は、複数のリンク機構57を備えたが、本開示では、一つであってもよい。この場合、載置部51は、受け部7によって向きを保ちながら平行移動するように構成されればよい。また、上記実施形態では、受け部7はなくてもよい。
【0079】
上記実施形態に係る金属成形装置1では、第二成形機3は、レール41を介して設置面に取り付けられ、これによって第一成形機2との間の距離が可変となっていたが、本開示では、第二成形機3は、設置面上を移動するための複数の車輪を有してもよい。
【0080】
図5Bに示す実施形態では、載置部51は、受け本体部71の側面に接触する位置に複数のローラ(ベアリング)54を有している形態を示したが、これに限られない、例えば、図7に示すように、載置部51は、受け本体部71の上面に接触する位置に複数のローラ54を有していてもよい。この場合、ローラ54の回転軸は長さ方向に延びている。
【0081】
本開示にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数%程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0082】
また、本開示において「端部」などのように、「…端部」と「…端」とで区別した表現が用いられている。例えば、「左端部」とは、「左端」を含む一定の範囲を持つ部分を意味する。他の「…端部」を伴った表現についても同様である。
【0083】
本開示において「…方向に沿って延びる」と表現されている場合があるが、これは「長手方向が…方向に略平行である」と同じ意味である。
【0084】
(3)態様
以上説明したように、第1の態様に係る金属成形装置(1)は、一対の成形機(2)(3)と、距離変更機構(4)と、支持装置(5)と、を備える。一対の成形機(2)(3)は、金属板(8)の移動方向に直交する幅方向の両端部を成形する。距離変更機構(4)は、一対の成形機(2)(3)の幅方向の距離を変更する。支持装置(5)は、一対の成形機(2)(3)の間で金属板(8)を支える。支持装置(5)は、載置部(51)と、駆動アーム(55)と、を備える。載置部(51)は、一対の成形機(2)(3)に対して幅方向に可動であり、金属板(8)が載る。駆動アーム(55)は、載置部(51)を一対の成形機(2)(3)の幅方向の中央に位置させる。
【0085】
この態様によれば、載置部(51)を常に一対の成形機(2)(3)の間に配置できるため、金属板(8)の幅方向の両端部を成形する際に、金属板(8)にたわみが生じるのを抑えることができる。この態様に係る金属成形装置(1)では、一対の成形機(2)(3)の幅方向の距離が可変だが、一対の成形機(2)(3)の幅方向の距離が変わった場合でも、常に、金属板(8)の幅方向の中央を支えることができる。
【0086】
第2の態様に係る金属成形装置(1)では、第1の態様において、載置部(51)は、幅方向に沿う回転軸を中心に回転可能な複数の回転体(53)を有する。
【0087】
この態様によれば、金属板(8)をスムーズに移動させることができる。
【0088】
第3の態様に係る金属成形装置(1)では、第1又は第2の態様において、距離変更機構(4)は、一対の成形機(2)(3)のうちの一方の成形機のみを移動させる。
【0089】
この態様によれば、必ずしも成形機の両側に移動用のスペースを確保しなくてもよく、限られた設置スペースであっても、金属成形装置(1)の設置が可能となる。
【0090】
第4の態様に係る金属成形装置(1)では、第1~第3のいずれか一つの態様において、駆動アーム(55)は、一対の成形機(2)(3)の幅方向の距離に応じて、幅方向の寸法が変化するリンク機構(57)を有する。
【0091】
この態様によれば、電気、油圧、エア等の駆動源を用いることなく、リンク機構(57)で駆動アーム(55)を実現できる。
【0092】
第5の態様に係る金属成形装置(1)では、第4の態様において、リンク機構(57)は、一対の第一リンク(571)と、一対の第二リンク(572)と、一対の第三リンク(573)と、を備える。一対の第一リンク(571)は、一対の成形機(2)(3)のうちの一方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸(第一回転軸61)を中心に回転可能に取り付けられる。一対の第二リンク(572)は、一対の第一リンク(571)の各々に対し、上下方向に沿った回転軸(第二回転軸62)を中心に回転可能に取り付けられ、かつ長さ方向の中央部において平面視で重なる。一対の第三リンク(573)は、一対の第二リンク(572)の各々に対し、上下方向に沿った回転軸(第四回転軸64)を中心に回転可能に取り付けられ、かつ一対の成形機(2)(3)のうちの他方の成形機に対し、上下方向に沿った回転軸(第五回転軸65)を中心に回転可能に取り付けられる。載置部(51)は、第二リンク(572)の中央部に対して上下方向に沿った回転軸(第三回転軸63)を中心に回転可能に取り付けられている。
【0093】
この態様によれば、成形機の移動に連動して、載置部(51)を移動させることができる。
【0094】
第6の態様に係る金属成形装置(1)では、第4又は第5の態様において、リンク機構(57)を複数備える。複数のリンク機構(57)は、金属板(8)の移動方向に離れている。
【0095】
この態様によれば、リンク機構(57)の動きで、載置部(51)を平行移動させることができる。
【0096】
第7の態様に係る金属成形装置(1)では、第1~第6のいずれか一つの態様において、支持装置(5)は、載置部(51)を幅方向に移動可能に支える受け部(7)を有する。
【0097】
この態様によれば、金属板(8)から載置部(51)に荷重が掛かっても、荷重を適切に受けることができる。
【0098】
第8の態様に係る支持装置(5)は、金属板(8)の移動方向に直交する幅方向の両端部を成形する一対の成形機(2)(3)と、一対の成形機(2)(3)の幅方向の距離を変更する距離変更機構(4)と、を備えた金属成形装置(1)に用いられる。支持装置(5)は、載置部(51)と、駆動アーム(55)と、を備える。載置部(51)は、一対の成形機(2)(3)の間において幅方向に可動であり、金属板(8)が載る。駆動アーム(55)は、載置部(51)を一対の成形機(2)(3)の幅方向の中央に位置させる。
【0099】
この態様によれば、載置部(51)を常に一対の成形機(2)(3)の幅方向の中央に配置できるため、金属板(8)の幅方向の両端部を成形する際に、金属板(8)にたわみが生じるのを抑えることができる。
【0100】
第2~第7の態様に係る構成については、金属成形装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 金属成形装置
2 第一成形機(成形機)
3 第二成形機(成形機)
4 距離変更機構
5 支持装置
51 載置部
55 駆動アーム
57 リンク機構
58 柱体
591 第一リンク
592 第二リンク
593 第一回転軸
594 第二回転軸
595 第三回転軸
7 受け部
8 金属板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7