(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093799
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】電源装置、蓄電池箱、直流電源装置、及び取付方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20230628BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20230628BHJP
【FI】
H05K7/12 S
H01M50/244 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208845
(22)【出願日】2021-12-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 克文
(72)【発明者】
【氏名】鯨井 良和
【テーマコード(参考)】
4E353
5H040
【Fターム(参考)】
4E353AA09
4E353AA21
4E353BB06
4E353CC02
4E353CC12
4E353CC18
4E353DD01
4E353DR32
4E353DR49
4E353GG21
5H040AA03
5H040AA07
5H040AS01
5H040AS11
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC13
5H040CC16
5H040CC59
5H040FF02
5H040LL01
5H040NN03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】携帯電話基地局において、電柱やビル屋上などの屋外、かつ、高所に取り付ける取付性が良好な電源装置、蓄電池箱、直流電源装置及びそれらの取付方法を提供する。
【解決手段】電源装置30は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具10及び第二金具20に取り付けられる。電源装置30は、その背面に配置されて第一金具10及び第二金具20に架け渡される背面金具40と、背面金具40に対して固定される装置筐体31と、を備える。背面金具40は、上部に配置されて第一金具10に引っ掛かる第一フック41と、下部に配置されて第二金具20に引っ掛かる第二フック42と、第一フック41と第二フック42との間に位置して第二金具20の上壁に設けられた位置決め穴25に挿入される位置決め突起43と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる電源装置であって、
前記電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、
前記背面金具に対して固定される装置筐体と、を備え、
前記背面金具は、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
電源装置。
【請求項2】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる蓄電池箱であって、
前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、
前記背面金具に対して固定される筐体と、を備え、
前記背面金具は、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
蓄電池箱。
【請求項3】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具と、
交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置と、
非常時に直流電力を出力する蓄電池箱と、を備え、
前記電源装置は、
前記電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第一背面金具と、
前記第一背面金具に対して固定される装置筐体と、を有し、
前記蓄電池箱は、
前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第二背面金具と、
前記第二背面金具に対して固定される筐体と、を有し、
前記第一背面金具および前記第二背面金具は、それぞれ、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
直流電源装置。
【請求項4】
前記第一背面金具および前記第二背面金具は、それぞれ、
上下方向に延びて前記第一金具の一方の側壁に沿って配置される背板と、
前記背板の上部で前記第一金具の上壁に沿って配置される天板と、を有し、
前記第一フックは、前記天板の先端に設けられて、前記第一金具の他方の側壁に沿って配置される
請求項3に記載の直流電源装置。
【請求項5】
前記天板が、前記第一金具の前記上壁に固定される
請求項4に記載の直流電源装置。
【請求項6】
前記第二金具には、一または複数の前記電源装置と、ゼロまたは複数の前記蓄電池箱とからなる複数の組合せに対応した複数の位置決め穴が形成されている、請求項3に記載の直流電源装置。
【請求項7】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に、背面金具と筐体とを有する、電源装置または蓄電池箱を取り付ける方法であって、
前記筐体に固定された前記背面金具の下部に配置された第二フックを、前記第二金具に引っ掛け、
前記背面金具の上部に配置された第一フックを、前記第一金具に引っ掛け、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置する位置決め突起を、前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入し、
前記第一金具の上方から、前記背面金具を前記第一金具に固定する
取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、電源装置、蓄電池箱、直流電源装置、及びそれらの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、屋外に設置される電源装置用キャビネットを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話基地局には、交流入力電力から整流した直流電力を、負荷としての無線機へ供給する直流電源装置が用いられる。こうした基地局を、電柱やビル屋上などの屋外かつ高所に取り付ける場合、直流電源装置の取付性が良好であることが求められる。第5世代移動通信システム(いわゆる「5G」)においては、多くの基地局が高所に設置されることが見込まれている。
【0005】
電源装置を取り付ける際の作業員の負担軽減、個々の作業員による工事品質のバラツキ低減の観点で、改善の余地があった。
【0006】
本発明の一態様は、取付性が良好な電源装置、蓄電池箱、直流電源装置、及びそれらの取付方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電源装置は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる。電源装置は、電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、前記背面金具に対して固定される装置筐体と、を備える。前記背面金具は、上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、取付性が良好な電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】電源装置の取付状態の詳細を示す斜視図である。
【
図5】蓄電池箱の取付状態の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、本発明の実施形態に係る電源装置、蓄電池箱、直流電源装置、及びそれらの取付方法の、概要を説明する。
【0011】
電源装置は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる。電源装置は、電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、前記背面金具に対して固定される装置筐体と、を備える。前記背面金具は、上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する。第二フックは、第二金具の下壁または側壁に引っ掛かってもよい。
【0012】
電柱などの高所に電源装置を取り付ける作業は、作業員一人で実施されることが望まれる。立ち位置や動作が制限された状態で作業を行う作業員でも、安全・確実に取り付けられるような良好な取付性が電源装置には求められる。作業員は、電柱に対向した立ち位置で、電柱に取り付けられた第一金具および第二金具に対し、電源装置の背面を取り付ける。その際、作業員にとって、電源装置の背面は視認しにくいこと、手が届かないこと、などの作業上の課題が想定される。
【0013】
上記構成の電源装置によれば、電源装置が有する背面金具の第二フックを下側の第二金具に引っ掛け、第一フックを上側の第一金具に引っ掛けることで、電源装置の上下方向の位置が定まり、かつ、電源装置が落下する可能性を低減できる。さらに作業員が、第一および第二金具上で電源装置をスライドさせて水平方向の位置を微調整することで、背面金具の位置決め突起が第二金具の位置決め穴に挿入されて、電源装置の水平方向の位置も定まる。作業員は、位置決め突起や位置決め穴を視認できなくても、微調整(例えば、感覚による微調整)を行い、電源装置が水平方向に動かなくなることにより位置決め突起が位置決め穴に挿入されたことを認識できる。このように、上記構成の電源装置は、立ち位置や動作が制限された作業員にとって取付性が良好である。なお、電源装置は、直流電力を出力するものであってもよいし、交流電力を出力するものであってもよい。
【0014】
蓄電池箱は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる。蓄電池箱は、前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、前記背面金具に対して固定される筐体と、を備える。前記背面金具は、上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する。第二フックは、第二金具の下壁または側壁に引っ掛かってもよい。
【0015】
直流電源装置は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具と、交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置と、非常時に直流電力を出力する蓄電池箱と、を備える。前記電源装置は、前記電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第一背面金具と、前記第一背面金具に対して固定される装置筐体と、を有する。前記蓄電池箱は、前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第二背面金具と、前記第二背面金具に対して固定される筐体と、を有する。前記第一背面金具および前記第二背面金具は、それぞれ、上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する。第二フックは、第二金具の下壁または側壁に引っ掛かってもよい。
【0016】
携帯電話基地局の無線機など、重要な負荷向けの直流電源装置には、停電時などの非常時にも負荷(無線機など)にバックアップ電力を供給できるよう、蓄電池が用いられる。蓄電池は、平常時は負荷と並列に電源装置に接続されて電源装置を介してフロート充電され、非常時に放電して負荷に直流電力を供給する。上記構成の直流電源装置は、電源装置と蓄電池箱に、同じコンセプトの背面金具を適用して、第一金具および第二金具への作業員による取付性を向上している。作業員は、電源装置を取り付けるときも、蓄電池箱を取り付けるときも、それらの前面側の立ち位置から、背面側にある第一金具および第二金具に、安全にかつ水平方向の適正な位置に取り付けることができる。また、位置決め突起が位置決め穴に挿入されることで、風や地震により電源装置や蓄電池箱の下側が水平方向に振動ないし揺動することが抑制される。
【0017】
取付方法は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に、背面金具と筐体とを有する、電源装置または蓄電池箱を取り付ける。取付方法は、前記筐体に固定された前記背面金具の下部に配置された第二フックを、前記第二金具に引っ掛け、前記背面金具の上部に配置された第一フックを、前記第一金具に引っ掛け、前記第一フックと前記第二フックとの間に位置する位置決め突起を、前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入し、前記第一金具の上方から、前記背面金具を前記第一金具に固定する。
【0018】
上記の取付方法によれば、電源装置や蓄電池箱が有する背面金具の第二フックを下側の第二金具に引っ掛け、第一フックを上側の第一金具に引っ掛けることで、電源装置や蓄電池箱が落下する可能性を低減できる。この時点で、位置決め突起が位置決め穴に挿入されていない場合、作業員は、微調整を行って、電源装置が水平方向に動かなくなることにより位置決め突起が位置決め穴に挿入されたことを認識できる。こうして、上下方向と水平方向の適正な位置に電源装置や蓄電池箱を配置した状態で、作業員は、第一金具の上方から、背面金具を第一金具に固定(例えば、ねじ止め)する。電源装置や蓄電池箱の前面側に立つ作業員にとって、それらの筐体の背面側は手が届きにくいが、上面側には手が届きやすく、固定作業のためのスペースも確保しやすい。そのため、作業員の負担が軽減される。また、位置決め突起を位置決め穴に挿入するという作業ステップを経ることで、電源装置や蓄電池箱の水平方向の取付位置が個々の作業員によって異なったり、第一金具および第二金具の長さの範囲に所定の数の筐体が収まらなかったり、といったことを未然に防止できる。そのため、取付作業の効率が良好となる。
【0019】
以下、図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。
図1は、携帯電話基地局向けの直流電源装置100を前面から見た図、
図2は、直流電源装置100を背面から見た図である。
【0020】
図1に示すように、直流電源装置100は、上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具10および第二金具20と、交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置30と、非常時に電源装置30に代わって直流電力を出力する蓄電池箱50と、を備える。第一金具10および第二金具20は、電柱などのポールに取り付けられてもよいし、無線機架台に取り付けられてもよい。本明細書における「水平方向」は、完全な水平方向からやや傾いた方向もその意味に含む。
【0021】
電源装置30は、装置筐体31内に、AC/DCコンバータ部を収納している。電源装置30は、商用交流電源を受け無線機等の負荷設備に対し、直流電力を供給する。本実施形態では、並列冗長運転ができるように、2台の電源装置30が用いられている。平常時は、2台の電源装置30で負荷への電力供給を分担し、いずれか一方が故障した際は、他方で負荷への電力供給を担う。電源装置30の台数は、後述するように、2台に限定はされない。
【0022】
蓄電池箱50は、筐体51内に、複数の単電池を直列ないし並列に接続した組電池を収納している。本実施形態では、単電池として、リチウムイオン電池セルが用いられ、組電池はそれら複数のリチウムイオン電池セルを管理する電池管理システム(BMS)を有して電池パックとして構成されている。
【0023】
なお本明細書において、電源装置30や蓄電池箱50の、第一金具10および第二金具20に近い面(対向する面)を背面と呼び、背面の反対側の面を前面と呼ぶ。
【0024】
図2に示すように、電源装置30は、その背面に配置されて第一金具10および第二金具20に架け渡される第一背面金具40を有する。第一背面金具40に、装置筐体31は固定されている。
【0025】
蓄電池箱50は、その背面に配置されて第一金具10および第二金具20に架け渡される第二背面金具60を有する。第二背面金具60に、筐体51は固定されている。
【0026】
第一背面金具40および第二背面金具60は、同じコンセプトの形状を有している(横幅などのサイズは異なってもよい)。第一背面金具40は、第一金具10に引っ掛かる第一フック41と、第二金具20の下壁または側壁に引っ掛かる第二フック42(
図3参照)と、第一フック41と第二フック42との間(上下方向の間)に位置して第二金具20の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起43とを有する。第二背面金具60は、第一金具10に引っ掛かる第一フック61と、第二金具20の下壁または側壁に引っ掛かる第二フック62と、第一フック61と第二フック62との間(上下方向の間)に位置して第二金具20の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起63とを有する。
【0027】
図3に示すように、第一背面金具40は、上下方向に延びる背板45と、背板45の上部に設けられて電源装置30から離れるように延びた天板44とを有する。天板44の先端に、第一フック41が設けられている。本実施形態では、第一フック41は、天板44の端部を折り曲げたような形状を有し、天板44から下方に向かって延びている。天板44には、固定ボルト46が貫通する貫通孔が設けられ、天板44の下側には、ボルト固定板47が配置される。作業員は、一方の手で固定ボルト46を天板44に貫通させるとともに、他方の手で天板44の下側に配置したボルト固定板47を押さえて、固定ボルト46の先端をボルト固定板47にかすかにねじ込む。
【0028】
背板45の下部に、第二フック42が設けられている。本実施形態では、電源装置30から離れる方向に突出するように、背板45の下部かつ幅方向の両端に、第二フック42が設けられている。背板45の幅方向の両端には、電源装置30に向かって突出して背板45の剛性を高める補強部45aが、上下方向に延びている。
【0029】
背板45に固定された、上面視ほぼL字形のアーム金具48に、2台の電源装置30が、それらのラジエータ面(放熱フィンが設けられた面)を対向させた姿勢で取り付けられている。このように装置筐体31と第一背面金具40とが固定された状態で、電源装置30は第一金具10と第二金具20とに取り付けられる。
【0030】
図4は、2台の電源装置30を、第一金具10および第二金具20に取り付ける場合を示している。
図4に示すように、第一金具10および第二金具20として、断面ほぼ四角形状の棒状の部材を用いることができ、本実施形態ではダクターチャンネルが用いられている。
【0031】
第一金具10は、底壁11と、底壁11から立ち上がる一対の側壁12と、底壁11に対向する上壁13とを有する。上壁13には長手方向に延びるスリットが形成されている。第一背面金具40の天板44は、第一金具10の上壁13に沿って配置され、第一背面金具40の第一フック41は、第一金具10の側壁(電源装置30から遠いほうの側壁)12の外面に引っ掛かる。
【0032】
第二金具20は、底壁21と、底壁21から立ち上がる一対の側壁22と、底壁21に対向する上壁23とを有する。一方の(背面金具40に対向する)側壁22には、長手方向に延びるスリットが形成されている。
図4左下の拡大断面図に示すように、電源装置30に近いほうの側壁22のスリットを介して、第一背面金具40の第二フック42が第二金具20内に挿入される。第二フック42は、第二金具20の側壁22の内面に引っ掛かる。図示しないが、第二フック42は、第二金具20の底壁21に引っ掛かってもよい。
【0033】
このように第一フック41が第一金具10に引っ掛かり、第二フック42が第二金具20に引っ掛かることで、電源装置30の上下方向の位置が定まる。本実施形態では、この状態で作業員が手を離しても電源装置30が落下しないように、各部材の寸法が設定されている。
【0034】
第二金具20は、その上壁23に、複数の位置決め穴25が形成されている。本実施形態では、位置決め穴25として貫通孔が用いられているが、それに限定はされず、凹部や受け部であってもよい。本実施形態では、7個の位置決め穴25が設けられている。
【0035】
図4右下の拡大斜視図に示すように、第一背面金具40の位置決め突起43の先端が、位置決め穴25に挿入されることで、電源装置30の水平方向の位置が定まる。本実施形態では、位置決め突起43が、切り起し部、すなわち背板45から切り起されて板状に形成されている。位置決め突起43は、電源装置30から離れる方向かつ下向きに傾斜して背板45から突出している。
【0036】
電源装置30を、第一金具10および第二金具20に取り付ける方法は、以下のとおりである。
(1)装置筐体31に固定された第一背面金具40の下部に配置された第二フック42を、第二金具20の下壁21または側壁22に引っ掛ける。
(2)第一背面金具40の上部に配置された第一フック41を、第一金具10に引っ掛ける。
(3)第一フック41と第二フック42との間に位置する位置決め突起43を、第二金具20の上壁23に設けられた位置決め穴25に挿入する。
(4)第一金具10の上方から、第一背面金具40を第一金具10にねじ止めする。
【0037】
上記のステップ(3)は、ステップ(2)と同時に行われることもある。すなわち、作業員が水平方向の位置を微調整せずとも、位置決め突起43が位置決め穴25に挿入されることもある。
【0038】
本実施形態では、上記のステップ(4)において、作業員は第一金具10の上方に一方の手を伸ばして、工具で固定ボルト46の頭部を回転させる。ボルト固定板47(
図3参照)は、固定ボルト46とともにかすかに連れ回るが、ボルト固定板47の端部が第一金具10の側壁12に当接すると、それ以降は固定ボルト46とともに回らなくなる。作業員が、固定ボルト46の頭部をさらに回転させることで、天板44とボルト固定板47とで第一金具10の上壁13を挟むようになり、これにより第一背面金具40が第一金具10に対して固定される。
【0039】
この取付方法では、ねじ止め(ボルト止め)が必要なのは1箇所のみであり、作業時間が短縮される。第二フック42と第一フック41とを引っ掛けた時点で、電源装置30が落下する可能性が低減されるため、作業の安全性が高い。そのように安全性を確保した状態で、作業員は、必要に応じて水平方向の位置を微調整する。位置決め突起43と位置決め穴25とを視認しなくても、感覚的に作業できるため、作業員の負担が軽減される。
【0040】
図4に示すように2台の電源装置30のみを取り付ける場合は、第一背面金具40の位置決め突起43を、
図4における右から2番目の位置決め穴25に挿入する。図示しないが、3台の電源装置30のみを取り付ける場合は、2個の第一背面金具40の位置決め突起43を、
図4における右から2番目と5番目の位置決め穴25に挿入する。
図2に示すように2台の電源装置30と2台の蓄電池箱50を取り付ける場合は、第一背面金具40の位置決め突起43を、
図2における右から1番目の位置決め穴25に挿入する。図示しないが、3台の電源装置30と1台の蓄電池箱50を取り付ける場合は、2個の第一背面金具40の位置決め突起43を、
図4における右から1番目と3番目の位置決め穴25に挿入する。
【0041】
上述のように、第二金具20には、一または複数の電源装置30と、ゼロまたは複数の蓄電池箱50とからなる複数の組合せに対応した複数の位置決め穴25が形成されている。どの組合せのときに、どの位置決め突起23を何番目の位置決め穴25に挿入するか、などをマニュアル化しておくことで、作業員が現場で迷うことなく作業を進めることができる。
【0042】
図5は、1台の蓄電池箱50を、第一金具10および第二金具20に取り付ける場合を示している。第二背面金具60は、上下方向に延びる背板65と、背板65の上部に設けられて蓄電池箱50から離れるように延びた天板64とを有する。天板64の先端に、第一フック61が設けられている。本実施形態では、第一フック61は、天板64の端部を折り曲げたような形状を有し、天板64から下方に向かって延びている。天板64には、固定ボルト46が貫通する貫通孔が設けられ、天板64の下側には、ボルト固定板47(
図3参照)が配置される。
【0043】
背板65の下部に、第二フック62が設けられている。本実施形態では、蓄電池箱50から離れる方向に突出するように、背板65の下部かつ幅方向の両端に、第二フック62が設けられている。
【0044】
図5左下の拡大断面図に示すように、第二金具20の側壁22のスリットを介して、第二背面金具60の第二フック62が第二金具20内に挿入される。第二フック62は、第二金具20の側壁22に引っ掛かる。図示しないが、第二フック62は、第二金具20の底壁21に引っ掛かってもよい。
【0045】
このように第一フック61が第一金具10に引っ掛かり、第二フック62が第二金具20に引っ掛かることで、蓄電池箱50の上下方向の位置が定まる。本実施形態では、この状態で作業員が手を離しても蓄電池箱50が落下しないように、各部材の寸法が設定されている。
【0046】
右下の拡大斜視図に示すように、第二背面金具60の位置決め突起63の先端が、位置決め穴25に挿入されることで、蓄電池箱50の水平方向の位置が定まる。本実施形態では、位置決め突起63が、切り起し部、すなわち背板65から切り起されて板状に形成されている。位置決め突起63は、蓄電池箱50から離れる方向かつ下向きに傾斜して背板65から突出している。
【0047】
このように構成された蓄電池箱50は、電源装置30のときと同様の方法で、第一金具10および第二金具20に取り付けることができる。
【0048】
図5に示すように1台の蓄電池箱50のみを取り付ける場合は、第二背面金具60の位置決め突起63を、
図5における左から3番目の位置決め穴25に挿入する。
図2に示すように2台の電源装置30と2台の蓄電池箱50を取り付ける場合は、第二背面金具60の位置決め突起63を、
図2における左から1番目と4番目の位置決め穴25に挿入する。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
実施形態では、携帯電話基地局向けの直流電源装置を説明したが、その他の用途の電源装置、蓄電池箱、直流電源装置にも、本発明を適用して取付作業を効率化できる。特に、多くの台数の電源装置や蓄電池箱を各所に設置するような用途に、本発明を適用することが好ましい。
【0050】
実施形態では、
図4および
図5のように、1本の第二金具20の下壁21または側壁22に第二フック42,62を引っ掛け、その第二金具20の上壁23に設けられた位置決め穴25に位置決め突起43,63を挿入する例を説明した。代替的に、第二金具20を上下方向に間隔をあけて複数本設けて、下側の第二金具に第二フック42,62を引っ掛け、上側の第二金具に設けられた位置決め穴25に位置決め突起43,63を挿入する構成を採用してもよい。
【0051】
実施形態では、第一金具10と第二金具とが離れている例を説明したが、代替的に、第一金具と第二金具との間が接続されていてもよい。
【0052】
実施形態では、背面金具40,60が筐体31,51とは別体である例を説明したが、代替的に、背面金具が筐体の一部を構成してもよいし、筐体に一体化されていてもよい。
【0053】
実施形態では、背面金具40,60の天板44,64を、第一金具10の上壁13にねじ止めする例を説明したが、代替的に、リベット止めなどの他の固定手段が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 第一金具
20 第二金具
25 位置決め穴
30 電源装置
31 装置筐体(筐体)
40 第一背面金具(背面金具)
41 第一フック
42 第二フック
43 位置決め突起
50 蓄電池箱
51 筐体
60 第二背面金具(背面金具)
【手続補正書】
【提出日】2022-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる電源装置であって、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
電源装置。
【請求項2】
前記電源装置は、前記電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、
前記背面金具に対して固定される装置筐体と、を備え、
前記背面金具は、前記第一フック、前記第二フック、及び前記位置決め突起を有する
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる蓄電池箱であって、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
蓄電池箱。
【請求項4】
前記蓄電池箱は、前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、
前記背面金具に対して固定される装置筐体と、を備え、
前記背面金具は、前記第一フック、前記第二フック、及び前記位置決め突起を有する
請求項3に記載の蓄電池箱。
【請求項5】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具と、
交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置と、
非常時に直流電力を出力する蓄電池箱と、を備える直流電源装置であって、
前記電源装置および前記蓄電池箱は、それぞれ、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
直流電源装置。
【請求項6】
前記電源装置は、
前記電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第一背面金具と、
前記第一背面金具に対して固定される装置筐体と、を有し、
前記蓄電池箱は、
前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第二背面金具と、
前記第二背面金具に対して固定される筐体と、を有し、
前記第一背面金具および前記第二背面金具は、それぞれ、前記第一フック、前記第二フック、及び前記位置決め突起を有する、
請求項5に記載の直流電源装置。
【請求項7】
前記第一背面金具および前記第二背面金具は、それぞれ、
上下方向に延びて前記第一金具の一方の側壁に沿って配置される背板と、
前記背板の上部で前記第一金具の上壁に沿って配置される天板と、を有し、
前記第一フックは、前記天板の先端に設けられて、前記第一金具の他方の側壁に沿って配置される
請求項6に記載の直流電源装置。
【請求項8】
前記天板が、前記第一金具の前記上壁に固定される
請求項7に記載の直流電源装置。
【請求項9】
前記第二金具には、一または複数の前記電源装置と、ゼロまたは複数の前記蓄電池箱とからなる複数の組合せに対応した複数の位置決め穴が形成されている、請求項5に記載の直流電源装置。
【請求項10】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に、電源装置または蓄電池箱を取り付ける方法であって、
前記電源装置または前記蓄電池箱の下部に配置された第二フックを、前記第二金具に引っ掛け、
前記電源装置または前記蓄電池箱の上部に配置された第一フックを、前記第一金具に引っ掛け、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置する位置決め突起を、前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入し、
前記第一金具の上方から、背面金具を前記第一金具に固定する
取付方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる電源装置であって、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
電源装置。
【請求項2】
前記電源装置は、前記電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、
前記背面金具に対して固定される装置筐体と、を備え、
前記背面金具は、前記第一フック、前記第二フック、及び前記位置決め突起を有する
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に取り付けられる蓄電池箱であって、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
蓄電池箱。
【請求項4】
前記蓄電池箱は、前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される背面金具と、
前記背面金具に対して固定される装置筐体と、を備え、
前記背面金具は、前記第一フック、前記第二フック、及び前記位置決め突起を有する
請求項3に記載の蓄電池箱。
【請求項5】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具と、
交流入力電力を整流して直流電力を出力する電源装置と、
非常時に直流電力を出力する蓄電池箱と、を備える直流電源装置であって、
前記電源装置および前記蓄電池箱は、それぞれ、
上部に配置されて前記第一金具に引っ掛かる第一フックと、
下部に配置されて前記第二金具に引っ掛かる第二フックと、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置して前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入される位置決め突起と、を有する
直流電源装置。
【請求項6】
前記電源装置は、
前記電源装置の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第一背面金具と、
前記第一背面金具に対して固定される装置筐体と、を有し、
前記蓄電池箱は、
前記蓄電池箱の背面に配置されて前記第一金具および前記第二金具に架け渡される第二背面金具と、
前記第二背面金具に対して固定される筐体と、を有し、
前記第一背面金具および前記第二背面金具は、それぞれ、前記第一フック、前記第二フック、及び前記位置決め突起を有する、
請求項5に記載の直流電源装置。
【請求項7】
前記第一背面金具および前記第二背面金具は、それぞれ、
上下方向に延びて前記第一金具の一方の側壁に沿って配置される背板と、
前記背板の上部で前記第一金具の上壁に沿って配置される天板と、を有し、
前記第一フックは、前記天板の先端に設けられて、前記第一金具の他方の側壁に沿って配置される
請求項6に記載の直流電源装置。
【請求項8】
前記天板が、前記第一金具の前記上壁に固定される
請求項7に記載の直流電源装置。
【請求項9】
前記第二金具には、一または複数の前記電源装置と、ゼロまたは一以上の前記蓄電池箱とからなる複数の組合せに対応した複数の位置決め穴が形成されている、請求項5に記載の直流電源装置。
【請求項10】
上下方向に間隔をあけて配置されてそれぞれ水平方向に延びる第一金具および第二金具に、電源装置または蓄電池箱を取り付ける方法であって、
前記電源装置または前記蓄電池箱の下部に配置された第二フックを、前記第二金具に引っ掛け、
前記電源装置または前記蓄電池箱の上部に配置された第一フックを、前記第一金具に引っ掛け、
前記第一フックと前記第二フックとの間に位置する位置決め突起を、前記第二金具の上壁に設けられた位置決め穴に挿入し、
前記電源装置または前記蓄電池箱の背面に配置され、前記第一フック、前記第二フック、および前記位置決め突起を有する背面金具を、前記第一金具の上方から、前記第一金具に固定する
取付方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
上述のように、第二金具20には、一または複数の電源装置30と、ゼロまたは一以上の蓄電池箱50とからなる複数の組合せに対応した複数の位置決め穴25が形成されている。どの組合せのときに、どの位置決め突起23を何番目の位置決め穴25に挿入するか、などをマニュアル化しておくことで、作業員が現場で迷うことなく作業を進めることができる。