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特開2023-93801ポリイミド樹脂及びそれを用いた接着剤、積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093801
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】ポリイミド樹脂及びそれを用いた接着剤、積層体
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20230628BHJP
   C09J 179/08 20060101ALI20230628BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230628BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230628BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20230628BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
C08G73/10
C09J179/08
C09J11/06
B32B27/00 D
B32B27/32 D
H05K1/03 610N
H05K1/03 630H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208853
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇佐 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】曽根田 裕士
(72)【発明者】
【氏名】阪口 豪
【テーマコード(参考)】
4F100
4J040
4J043
【Fターム(参考)】
4F100AB17B
4F100AB33B
4F100AK49A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CB00A
4F100GB41
4F100JA05A
4F100JA07A
4F100JG04B
4F100JG05A
4F100JJ03A
4J040EH031
4J040HC08
4J040JA02
4J040JA09
4J040KA14
4J040KA16
4J040MA10
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA17
4J040NA19
4J043PA15
4J043PB17
4J043QB15
4J043QB26
4J043QB31
4J043RA35
4J043RA39
4J043SA06
4J043SA43
4J043SA44
4J043SA54
4J043SA71
4J043SA82
4J043SA83
4J043TA22
4J043UA011
4J043UA022
4J043UA032
4J043UA041
4J043UA052
4J043UA061
4J043UA062
4J043UA081
4J043UA092
4J043UA121
4J043UA122
4J043UA131
4J043UA132
4J043UA141
4J043UA151
4J043UA152
4J043UA241
4J043UA261
4J043UA632
4J043UA662
4J043UA672
4J043UB022
4J043UB062
4J043UB121
4J043UB131
4J043UB132
4J043UB141
4J043UB142
4J043UB151
4J043UB161
4J043UB221
4J043UB231
4J043UB281
4J043UB291
4J043UB301
4J043UB302
4J043UB401
4J043UB402
4J043XA14
4J043XA16
4J043XA18
4J043XA19
4J043XB06
4J043YB02
4J043YB08
4J043YB29
4J043YB35
4J043YB37
4J043ZA02
4J043ZA12
4J043ZA42
4J043ZA43
4J043ZA60
4J043ZB01
4J043ZB50
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、高温下、高湿度での安定性がよく、経時での密着力の低下が少なく、誘電特性が良好な重合体、接着剤及び積層体を提供することにある。
【解決手段】
本発明の課題は、テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)及びダイマージアミン(C)に由来する残基を含むポリイミド(A)と、スルファニル基を有する末端変性剤(D)と、の反応生成物であるスルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂によって解決できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)及びダイマージアミン(C)に由来する残基を含むポリイミド(A)と、スルファニル基を有する末端変性剤(D)と、の反応生成物であるスルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂。
【請求項2】
テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)が脂環構造を有する請求項1に記載のポリイミド樹脂。
【請求項3】
ポリイミド(A)が、さらに芳香族ジアミン(但し、フェノール骨格含有ジアミンを除く)及び/又はフェノール骨格含有ジアミンに由来する残基を含む、請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載のポリイミド樹脂と、架橋剤及び/又は硬化促進剤とを含む接着剤。
【請求項5】
請求項4記載の接着剤からなる接着剤層と、基材とを有する積層体。
【請求項6】
基材が、銅箔及び/又は絶縁層を含んでなる請求項5記載の積層体。
【請求項7】
プリント配線板用である請求項5又は6記載の積層体。









【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド樹脂及びそれを用いた接着剤、積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野の発展が目覚しく、特に電子機器の小型化、軽量化、高密度化が進み、プリント配線板をはじめとする電子材料には、薄型化、多層化、高精細化がますます要求されるようになっている。このような電子材料に用いられる接着剤やコーティング剤として、例えば、具体的には次の(1)~(6)が挙げられる。
【0003】
(1)層間接着剤:回路基板同士を張り合わせるために用いられるもので、直接銅あるいは銀回路に接する。多層基板の層間に使用され、液状やシート状のものがある。
【0004】
(2)カバーレイフィルム用接着剤:カバーレイフィルム(回路の最表面を保護する目的で用いられるポリイミドフィルムなど)と、下地の回路基板と、を張り合わせるために用いられ、あらかじめポリイミドフィルムと、接着剤層とが一体化されているものが多い。
【0005】
(3)銅張フィルム(CCL)用接着剤:ポリイミドフィルムと銅箔とを張り合わせるために用いられる。銅回路形成時にエッチング等の加工が施される。
【0006】
(4)カバーレイ:回路の最表面を保護する目的で用いられ、回路上に印刷したり(印刷カバーレイ)、接着シートを張り合わせたり(フィルムカバーレイ)した後、光(感光性カバーレイ)や熱で、硬化させることで形成される。
【0007】
(5)補強板用接着剤:配線板の機械的強度を補完する目的で、配線板の一部を、金属、ガラスエポキシ、ポリイミド等の補強板に固定するために用いられる。
【0008】
(6)電磁波シールド:主に接着性の導電層と絶縁層からなり、電子回路から発生する電磁ノイズを遮蔽する目的で、フレキシブルプリント配線板に貼着される。
【0009】
これらの形態としては、液状(印刷用にインク化されたもの)やシート状(あらかじめフィルム化されたもの)等があり、用途に応じて適宜形態が選択される。
【0010】
こういった電子材料周辺部材への高い要求に応えるため、様々なポリイミド樹脂の検討が行われている。
【0011】
一方、ポリイミド樹脂は溶剤溶解性が低いことから、取扱いの困難さが課題として挙げられており、近年溶剤溶解性が良く誘電特性も良好なポリイミド樹脂の開発が行われてきた。
【0012】
例えば、特許文献1にはダイマージアミンをポリイミドに組み込むことで溶剤溶解性が良く、誘電特性が良好なポリイミドが合成できることが開示されている。しかし、特許文献1に記載のポリイミドは、熱分解温度は高いものの、高温下又は高湿下で構造安定性が十分ではなく、経時の接着力維持に課題があった。
【0013】
また、特許文献2にはダイマージアミンとフェニレンジアミン骨格を併用することで軟
化点が向上することが開示されている。
しかしながら、特許文献2記載の発明においても高温、高湿下での安定性は不十分であり、経時の接着力維持に課題がある。加えて、フェニレンジアミン骨格がポリイミド間の相互作用を強くするため、誘電特性等の所物性が低下するといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2018-168369号公報
【特許文献2】特開2020-117631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、高温下、高湿度での安定性がよく、経時での密着力の低下が少なく、誘電特性が良好なポリイミド樹脂、及びそれを用いた接着剤、積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、以下発明〔1〕~〔7〕に関する。
【0017】
〔1〕テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)及びダイマージアミン(C)に由来する残基を含むポリイミド(A)と、スルファニル基を有する末端変性剤(D)と、の反応生成物であるスルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂。
〔2〕テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)が脂環構造を有する〔1〕に記載のポリイミド樹脂。
〔3〕ポリイミド(A)が、さらに芳香族ジアミン(但し、フェノール骨格含有ジアミンを除く)及び/又はフェノール骨格含有ジアミンに由来する残基を含む、〔1〕又は〔2〕に記載のポリイミド樹脂。
〔4〕〔1〕~〔3〕いずれかに記載のポリイミド樹脂と、架橋剤及び/又は硬化促進剤とを含有してなる接着剤。
〔5〕〔4〕記載の接着剤を含んでなる接着剤層と、基材とを有する積層体。
〔6〕基材が、銅箔及び/又は絶縁層を含んでなる〔5〕記載の積層体。
〔7〕プリント配線板用である〔5〕又は〔6〕記載の積層体。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、高温、高湿度下での安定性がよく、経時での密着力の低下が少なく、誘電特性が良好なポリイミド樹脂、接着剤及び積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
【0020】
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
【0021】
本明細書における数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。また、ガラス転移温度は示差走査熱量計により測定した値である。詳細は実施例の欄に記載する。
【0022】
≪スルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂≫
本発明で用いるスルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂(以後、ポリイミド樹脂と略記する場合がある)は、テトラカルボン酸二無水物(B)及びダイマージアミン(C)に由来する残基を含むポリイミド(A)と、スルファニル基を有する末端変性剤(D)と、の反応生成物である。特に合成方法は限定されないが、ポリイミド(A)の末端官能基である酸無水物基又はアミノ基と、スルファニル基を有する末端変性剤(D)に含有されるアミノ基又はカルボキシル基との反応によって得ることができる。合成方法の観点から、末端官能基が酸無水物基であるポリイミド(A)と、アミノ基を含有する末端変性剤との反応が好ましく、簡便な合成方法によりイミド結合又はアミド結合を含む強固な連結部を有するブロックポリマーを得ることができる。
ポリイミド樹脂の数平均分子量(Mn)は、誘電特性と塗工適正の観点から、2,000~100,000であることが好ましい。数平均分子量2,000以上で誘電特性はより良好であり、100,000以下では塗工適正がより良好となる。
ポリイミド樹脂の質量平均分子量(Mw)は、誘電特性と塗工適正の観点から、5,000~200,000であることが好ましい。質量平均分子量5,000以上で誘電特性はより良好であり、200,000以下では塗工適正がより良好となる。
ポリイミド樹脂のガラス転移温度(以下Tgと記載する場合がある)は、接着力と耐熱性の観点から、10~100℃であることが好ましい。10℃以上のTgで高温、高湿度下での安定性はより良好であり、100℃以下では接着力がより良好となる。
【0023】
<ポリイミド(A)>
ポリイミド(A)は、テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)及びダイマージアミン(C)に由来する残基を含む。好ましくは、さらに芳香族ジアミン(但し、フェノール骨格含有ジアミンを除く)及び/又はフェノール骨格含有ジアミンに由来する残基を含む。
【0024】
ポリイミド(A)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンを含むジアミン化合物との反応によって得ることができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の反応は、公知の方法で行うことができる。反応の際に用いる溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、ソルベントナフサなどが挙げられる。
【0025】
<テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)>
テトラカルボン酸二無水物(B)としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’-[プロパン-2,2-ジイルビス(1,4-フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、2,2-ビス(3,3’,4,4’-テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9’-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フルオレン酸二無水物、1’,2’-二無水物;4,4’-[4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノキシ]ジフタル酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物等が例示される。
テトラカルボン酸としては、前記テトラカルボン酸二無水物が加水分解し、ジカルボン酸となった構造体が挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物またはその加水分解体であるテトラカルボン酸は、単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0026】
テトラカルボン酸二無水物は、ジアミンとの相溶性、接着性、及び耐熱性の観点から、酸無水物基に芳香環が隣接したテトラカルボン酸二無水物および、脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
酸無水物基に芳香環が隣接したテトラカルボン酸二無水物としては、2,2-ビス(3,3’,4,4’-テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、9,9’-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸二無水物、1’,2’-二無水物;4,4’-[4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノキシ]ジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-8-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル) -ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、3-オキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’テトラヒドロフラン-2’ ,5’ -ジオン)、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル) -3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,5,6-トリカルボキシ-2-カルボキシメチルノルボルナン-2:3,5:6二無水物、2,4,6,8-テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン-2:4,6:8無水物、4,9-ジオキサトリシクロ[5.3.1.02.6]ウンデカン-3,5,8,10-テトラオン、2’-オキソジスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1’-シクロペンタン-3’ ,2’ ’-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン] -5,6:5’ ’ ,6’ ’-テトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル) -3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
耐湿性、耐熱性の観点から脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。なお、酸無水物基に芳香環が隣接したテトラカルボン酸二無水物が分子中に脂環構造を有する場合は、酸無水物基に芳香環が隣接したテトラカルボン酸二無水物に分類する。
【0027】
テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)中の脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物の含有率は、30~100質量%であることが好ましい。より好ましくは、50~100質量%である。上記範囲内であることで、誘電特性に優れる。
【0028】
<ダイマージアミン(C)>
本明細書においてダイマージアミン(C)とは、不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式のジカルボン酸中の全てのカルボキシル基が一級アミノ基に置換されたものを指す。
ダイマージアミンの市販品は、例えば、クローダジャパン社製の「プリアミン1071」、「プリアミン1073」、「プリアミン1074」、「プリアミン1075」や、BASFジャパン社製の「バーサミン551」等が挙げられる。
ダイマージアミンは、単独又は2種類以上を併用して使用できる。
【0029】
ダイマージアミン(C)の含有量は、全ジアミン化合物中、40~100質量%であることが好ましく、60~100質量%以下であることがより好ましい。上記範囲内であることで、誘電特性と接着性に優れたポリイミド樹脂を得ることができる。
【0030】
<その他ジアミン>
ポリイミド(A)は、ダイマージアミン(C)以外のジアミンに由来する残基を含んでも良い。ダイマージアミン以外のジアミンとして、以下の構造のジアミン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、耐熱性の観点から芳香族ジアミン(但し、フェノール骨格含有ジアミンを除く)やフェノール骨格含有ジアミンが好ましい。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】

(lは1~3の整数である)
【0033】
【化3】
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
芳香族ジアミン(但し、フェノール骨格含有ジアミンを除く)やフェノール骨格含有ジアミンを含む場合、その含有量は全ジアミン化合物中、0.1~60質量%であることが好ましく、0.3~50質量%以下であることがより好ましい。上記範囲内であることで、耐熱性と接着性に優れたポリイミド樹脂を得ることができる。
【0037】
<スルファニル基を有する末端変性剤(D)>
スルファニル基を有する末端変性剤(D)はポリイミド(A)の末端をスルファニル基変性し、スルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂を得るために用いられる。ポリイミド(A)の末端が酸無水物基の場合は、アミノ基を有する末端変性剤(D1)を、ポリイミド(A)の末端がアミノ基の場合は、カルボキシル基を有する末端変性剤(D2)をそれぞれ用いることが好ましい。
アミノ基を有する末端変性剤(D1)としては、以下の例には限定されないが、2-アミノエタンチオール、3-アミノプロピル-1-チオール、1-アミノプロピル-2-チオール、4-アミノ-1-ブタンチオール等のアミノアルカンチオールといったスルファニル基を有する脂肪族アミン;2-アミノベンゼンチオール、3-アミノベンゼンチオール、4-アミノベンゼンチオール等のアミノベンゼンチオールといったスルファニル基を有する芳香族アミンの他、システイン等が挙げられる。
カルボキシル基を有する末端変性剤(D2)としては、以下の例には限定されないが、例えば、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、6,8-ジメルカプト-n-オクタン酸、3-メルカプト-2-メチルプロピオン酸、メルカプト酢酸等のスルファニル基を有するカルボン酸等が挙げられる。
合成法の観点から、アミノ基を有する末端変性剤(D1)を用いることが好ましく、中でも密着力向上の観点から、アミノベンゼンチオール及アミノアルカンチオールが好ましく、2-アミノエタンチオールが特に好ましい。
アミノ基を有する末端変性剤(D1)またはカルボキシル基を有する末端変性剤(D2)は、それぞれ2種以上用いてもよい。
【0038】
スルファニル基を有する末端変性剤(D)は、ポリイミド(A)の末端官能基と末端変性剤(D)の官能基とのモル当量比が、0.1~1.5となるように含むことが好ましい。より好ましくは、0.8~1.0である。上記範囲内であることで、耐熱性と耐湿性に優れたポリイミド樹脂を得ることができる。
【0039】
ポリイミド(A)とスルファニル基を有する末端変性剤の反応は、公知の方法で行うことができる。反応の際に用いる溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、ソルベントナフサなどが挙げられる。
【0040】
≪接着剤≫
本発明の接着剤は、スルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂と、架橋剤及び/又は硬化促進剤とを含む。
【0041】
<架橋剤>
架橋剤としてはエチレン性不飽和結合を含む化合物、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、ベンゾオキサジン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
【0042】
(エチレン性不飽和結合を含む化合物)
エチレン性不飽和結合を含む化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、1分子中に平均2個以上のエチレン性不飽和結合を有するものを好ましく用いることができる。
例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアクリレート、1H-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,6-ジブロモ-4-ブチルフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェノール3EO付加アクリレート、2-メチルオキシエチルアクリレート、1,3-ブチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ブチルオキシエチルアクリレート、メチルオキシトリエチレングリコールアクリレート、メチルオキシポリエチレングリコール#400アクリレート、メチルオキシジプロピレングリコールアクリレート、メチルオキシトリプロピレングリコールアクリレート、メチルオキシポリプロピレングリコールアクリレート、エチルオキシジエチレングリコールアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、クレジルポリエチレングリコールアクリレート、p-ノニルフェノキシエチルアクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、こはく酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート、モルホリノエチルアクリレート、トリメチルシロキシエチルアクリレート、ジフェニル-2-アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性-2-アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピルメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、2,6-ジブロモ-4-ブチルフェニルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェノール3EO付加メタクリレート、2-メチルオキシエチルメタクリレート、1,3-ブチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ブチルオキシエチルメタクリレート、メチルオキシトリエチレングリコールメタクリレート、メチルオキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、メチルオキシジプロピレングリコールメタクリレート、メチルオキシトリプロピレングリコールメタクリレート、メチルオキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エチルオキシジエチレングリコールメタクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、クレジルポリエチレングリコールメタクリレート、p-ノニルフェノキシエチルメタクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性-2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、アリルグリシジルエーテル、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、p-メチルスチレン、p-メチルオキシスチレン、p-t-ブチルオキシスチレン、p-t-ブチルオキシカルボニルスチレン、p-t-ブチルオキシカルボニルオキシスチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#300ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールビス(2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノベンゾエート、ビスフェノールAジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、水素化ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、PO変性ビスフェノールFジアクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、グリセリンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε-カプロラクトン変性トリアクリレート、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレートトリプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルテトラアクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)ホスフェート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#300ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールビス(2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピル)エーテル、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノベンゾエート、2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性ビスフェノールAジメタクリレート、水素化ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性ビスフェノールFジメタクリレート、PO変性ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジメタクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジメタクリロキシプロパン、グリセリンPO
変性トリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε-カプロラクトン変性トリメタクリレート、1,3,5-トリメタクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレートトリプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、オリゴエステルテトラメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシ)ホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルアジペート、ジアリルフタレート、テトラアリルピロメリテート、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、ソルビトールジアリルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、1,4-ジヒドロキシルシクロヘキサンジビニルエーテル、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサンジビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ハイドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性レゾルシンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジペンタエリスリトールポリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテル等が挙げられる。
【0043】
(エポキシ基含有化合物)
エポキシ基含有化合物としては、エポキシ基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有するものを好ましく用いることができる。エポキシ基有化合物としては、例えば、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、又は環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂を用いることができる。
【0044】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリグリシジルエステル、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸トリグリシジルエステル、1,1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸テトラグリシジルエステル、トリ(カルボキシエチル)イソシアヌレートトリグリシジルエステル、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸トリグリシジルエステル、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸トリグリシジルエステル、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸トリグリシジルエステル、2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸テトラグリシジルエステル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、又はジグリシジルテトラヒドロフタレート、3’,4’ -エポキシシクロへキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどが挙げられる。
【0045】
(イソシアネート基含有化合物)
イソシアネート基含有化合物としては、イソシアネート基を分子内に有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。
1分子中にイソシアネート基を1個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、n-ブチルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-ビス[(メタ)アクリロイルオキシメチル]エチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
また、1,6-ジイソシアナトヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸4,4’-ジフェニルメタン、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸トルエン、2,4-ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4-メチル-m-フェニレン、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、P-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のジイソシアン酸エステル化合物と水酸基又はカルボキシル基又はアミド基含有ビニルモノマーとを等モルで反応せしめた化合物もイソシアン酸エステル化合物として使用することができる。
【0046】
1分子中にイソシアネート基を2個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、
トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、
ω,ω’-ジイソシアネート-1,3-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、
3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート[別名:イソホロンジイソシアネート]、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネートが挙げられる。
【0047】
また、1分子中にイソシアネート基を3個有するイソシアネート基含有化合物としては、具体的には、芳香族ポリイソシアネート、リジントリイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられ、前記で説明したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
【0048】
イソシアネート基含有化合物としては、例示した種々のイソシアネート基含有化合物中のイソシアネート基がε-カプロラクタムやメチルエチルケトン(以下、MEK)オキシム等で保護されたブロック化イソシアネート基含有化合物も用いることができる。
具体的には、前記イソシアネート基含有化合物のイソシアネート基を、ε-カプロラクタム、MEKオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピラゾール、フェノール等でブロックしたものなどが挙げられる。特に、イソシアヌレート環を有し、MEKオキシムやピラゾールでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体は、本発明に使用した場合、ポリイミドや銅に対する接着強度や耐熱性に優れるため、非常に好ましい。
【0049】
(ベンゾオキサジン樹脂)
ベンゾオキサジン樹脂としては、例えば、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-フェニル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)、6,6-(1-メチルエチリデン)ビス(3,4-ジヒドロ-3-メチル-2H-1,3-ベンゾオキサジン)等が挙げられる。なお、オキサジン環の窒素にはフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等が結合していてもよい。また、市販品としては例えば、四国化成工業(株)社製の「ベンゾオキサジンF-a型」や「ベンゾオキサジンP-d型」、エア・ウォーター社製の「RLV-100」等が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせてもよい。
【0050】
(ビスマレイミド樹脂)
ビスマレイミド樹脂としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6’-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド等が挙げられる。また、市販品としては例えば、JFEケミカル(株)社製の「BAF-BMI」等が挙げられ、これらは2種以上を組み合わせてもよい。
【0051】
(シアネートエステル樹脂)
シアネートエステル樹脂としては、例えば、2-アリルフェノールシアネートエステル、4-メトキシフェノールシアネートエステル、2,2-ビス(4-シアナトフェノール)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4-フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1-トリス(4-シアナトフェニル)エタン、4-クミルフェノールシアネートエステル、1,1-ビス(4-シアナトフェニル)エタン、4,4’-ビスフェノールシアネートエステル、及び2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパン等が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせてもよい。
【0052】
架橋剤の含有量は成形性、耐久性、接着性の観点から、スルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂100質量部に対して、0.1~30質量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。
【0053】
<硬化促進剤>
硬化促進剤はアミン触媒や、ラジカル発生する化合物が好ましい。例えば、アミン触媒としてはジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルフォリン、N-エチルモルフォリン、N-ジメチルベンジルアミン等の非反応型モノアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、テトラメチルプロパンジアミン、ジメチルアミノエチルモルフォリン、テトラメチルエチレンジアミン、ジアゾビシクロウンデセン、2-メチル-1,4-ジアゾ[2.2.2]ビシクロオクタン等の非反応型ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン等の非反応型トリアミン、ジメチルエタノールアミン、N-トリオキシエチレン-N,N-ジメチルアミン、N,N-ジメチル-N-ヘキサノールアミン等の反応型アミン、等が挙げられる。
ラジカル発生する化合物としてはベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパ-オキシビバレート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等の有機過酸化物や、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリック酸)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]等のアゾ系化合物が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
硬化促進剤の含有量は硬化性、耐久性、接着性の観点から、スルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂100質量部に対して、0.5~30質量部含有することが好ましく、より好ましくは0.5~10質量部である。
また、耐久性、接着性、硬化性の観点から、架橋剤と硬化促進剤を併用することが好ましい。
【0055】
<有機溶剤>
本発明の接着剤は有機溶剤を更に含んでもよい。有機溶剤は以下の例には限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、アニソール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ビニルピロリドン、N-メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、m-クレゾール、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等が挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
<その他添加剤>
本発明の接着剤は、その他添加剤として、フィラー、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、防黴剤、増粘剤、可塑剤、顔料、充填剤等の添加剤を必要に応じて含有してもよく、硬化反応を調節するため公知の触媒等を含有してもよい。
【0057】
≪積層体≫
本発明の積層体は、本発明の接着剤からなる接着剤層と、基材とを有する。例えば、本発明の接着剤を第1の基材に接着剤層を形成したもの、あるいは、さらに、接着剤層に第2の基材を重ね合わせたものである。基材は、特に限定されず、例えば、シート状又は板状であり、従来公知のプラスチックフィルム、金属箔等が挙げられ、2つの基材を用いたときは、同種のものでも異種のものでも良い。接着剤層の厚みは、3μm以上40μm以下程度が好ましい。
【0058】
本発明の積層体は、接着剤を繊維基材に含浸させ、加熱等により半硬化(Bステージ化)状態にした後、金属箔やプラスチックフィルムへと積層、硬化させて得ることもできる。繊維基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Sガラス、低誘電ガラス、Qガラス等の無機物繊維;低誘電ガラスポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維;並びにそれらの混合物などが挙げられる。特に、誘電特性の観点から、無機物繊維が好ましく、低誘電ガラス、Qガラスがより好ましい。
本発明の積層体は、接着剤を支持フィルムである繊維基材に含侵させた場合、接着剤は連続した接着剤層を形成するので、接着剤層内に基材を有する形態となるが、本発明の積層体の使用形態のひとつである。
【0059】
<接着シート>
支持フィルムと接着剤の積層体を接着シートともいう。なお、前述した、接着剤が支持フィルム内部に含浸して積層構造がないもの、あるいは、接着剤が支持フィルムなしでもシート形状を維持できる場合も、接着性のあるシートであれば、接着シートということがある。
本発明の接着シートは、例えば、以下のようにして得ることができる。
溶液ないし分散液状態の熱硬化性接着剤を、支持フィルムの少なくとも片面に、塗布後、通常40~150℃で乾燥することにより、未硬化状態(いわゆるBステージ状態)の熱硬化性接着シートに支持フィルムの付いたものを得ることができる。次いで熱硬化性接着シートの他方の面を他の支持フィルムで覆うことにより、本発明の支持フィルム付き熱硬化性接着シートを得ることができる。
用いる支持フィルムの少なくとも一方は、剥離性の支持フィルムであることが好ましい。すなわち、剥離性の支持フィルムに、溶液ないし分散液状態の熱硬化性接着剤を塗布・乾燥し、熱硬化性接着シートを形成し、次いで熱硬化性接着シートの他方の面を他の剥離性の支持フィルムで覆うこともできるし、被着体となる剥離性のない支持フィルムで覆うこともできる。
【0060】
接着剤が、熱硬化性である場合、これを用いた接着シートを熱硬化性接着シートともいう。また、当該接着剤からなる層を、熱硬化性接着剤層という。熱硬化は、40~200℃程度の温度で硬化することをいう。
【0061】
熱硬化性接着シートの片面を剥離性基材が覆い、他方の面をシート状基材(例えば、ポリイミドフィルムやポリエステルフィルム)が覆っている剥離性基材付き熱硬化性接着シートを用いる場合について説明する。剥離性基材付き熱硬化性接着シートから剥離性基材を剥がす。露出した熱硬化性接着剤層に被着体(例えば、導電性回路を有するプリント配線板の前記回路面側)を重ねる。次いで、加熱・加圧することによって、シート状基材と被着体に挟まれた熱硬化性接着剤層を熱硬化して、熱硬化性接着剤層は、シート状硬化物となる。
このようにすれば、シート状硬化物を介して、導電性回路を有するプリント配線板の前
記回路面が、シート状基材(保護シート)で保護されてなる、保護シート付きプリント配線板を得ることができる。用いる支持フィルムの少なくとも一方は、剥離性の支持フィルムであることが好ましい。すなわち、剥離性の支持フィルムに、溶液ないし分散液状態の熱硬化性接着剤を塗布・乾燥し、熱硬化性接着シートを形成し、次いで熱硬化性接着シートの他方の面を他の剥離性の支持フィルムで覆うこともできるし、被着体となる剥離性のない支持フィルムで覆うこともできる。あるいは、被着体となる剥離性のない支持フィルムに、溶液ないし分散液状態の熱硬化性接着剤を塗布・乾燥し、熱硬化性接着シートを形成し、次いで熱硬化性接着シートの他方の面を他の剥離性のシート状基材で覆うこともできる。
【0062】
熱硬化性接着シートの乾燥膜厚は、充分な接着性、ハンダ耐熱性を発揮させる為、また取り扱い易さの点から、5~500μmであることが好ましく、更に好ましくは10~100μmである。 塗布方法としては、例えば、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート、ロールコート、カーテンコート、バーコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等が挙げられる。
【0063】
<絶縁層>
用いられる絶縁層は耐熱クラスと呼称される材料が挙げられる。
例えば、綿、紙、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリウレタンフィルム、マイカ、石綿、ガラス繊維等の無機材料、マイカ、磁器等が挙げられる。
用いられる支持フィルムのうち剥離性のあるものとしては、各種プラスチックフィルムに剥離処理をしたものや、紙に剥離処理をしたもの等が挙げられる。剥離処理の対象とされる各種プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルムが挙げられる。
【0064】
次に、熱硬化性接着シートの両面を2つの剥離性基材がそれぞれ覆っている剥離性基材付き熱硬化性接着シートを用いる場合について説明する。
剥離性基材付き熱硬化性接着シートから一方の剥離性基材を剥がす。露出した熱硬化性接着剤層に被着体(例えば、ポリイミドフィルムやポリエステルフィルム)を重ねる。熱硬化性接着剤層の他方の面を覆っていた他の剥離性基材を剥がす。露出した熱硬化性接着剤層に他の被着体(例えば、導電性回路を有するプリント配線板の前記回路面側)を重ねる。次いで、加熱・加圧することによって、両被着体に挟まれた熱硬化性接着剤層を熱硬化する。剥離性基材を最初に剥がした面に、導電性回路を有するプリント配線板の前記回路面側を重ねた後、熱硬化性接着剤層の他方の面にポリイミドフィルムやポリエステルフィルムを重ねることもできる。
【0065】
導電性回路を有するプリント配線板積層体(以下配線板ともいう)としては、ポリエステルやポリイミド等の可とう性、絶縁性のあるプラスチックフィルム上に、導電性回路を形成したフレキシブルプリント配線板が挙げられる。
導電性回路を設ける方法としては、例えば、接着剤層を介して又は介さずにベースフィルム上に銅箔を設けてなるフレキシブル銅張板の銅箔上に感光性エッチングレジスト層を形成し、回路パターンを持つマスクフィルムを通して露光させて、露光部のみを硬化させ、次いで未露光部の銅箔をエッチングにより除去した後、残っているレジスト層を剥離するなどして、銅箔から導電性回路を形成することができる。
あるいは、ベースフィルム上にスパッタリングやめっき等の手段で必要な回路のみを設ける方法も挙げられる。
あるいは、銀や銅の粒子を含有する導電性インキを用い、プリント技術によってベースフィルム上に導電性回路を形成する方法も挙げられる。
【0066】
<複数のフレキシブルプリント配線の多層化>
本発明の熱硬化性接着シートは、保護シート付きプリント配線板の製造に好適に用いられる他、以下のように用いることもできる。
複数のフレキシブルプリント配線の間に、本発明の熱硬化性接着シートを挟み、加熱・加圧することによって、熱硬化性接着シートを硬化させ、多層フレキシブルプリント配線板を得ることもできる。
【0067】
<フレキシブルプリント配線板用のベースフィルムと銅箔との貼り合わせ>
例えば、ポリイミドフィルムと銅箔との間に、本発明の熱硬化性接着シートを挟み、加熱・加圧することによって、熱硬化性接着シートを硬化させることもできる。
【0068】
<導電接着シート>
本発明の熱硬化性接着シートは、ポリイミド樹脂、硬化剤、特定量のアルカリ金属化合物の他に、銅や銀などの導電性金属フィラー、カーボンなどの導電性フィラーを配合し、分散してなる熱硬化性組成物をシート状にした導電性の熱硬化性接着シートとして用いることができる。
【0069】
<電磁波シールド>
さらに本発明の熱硬化性接着シートは、上記で作製した導電性の熱硬化性接着シートを用いて絶縁層との多層構成とすることで、電磁波シールドとしても用いることができる。また、導電層部分だけでなく、本発明の熱硬化性接着シートは絶縁層としても用いることができる。
【0070】
<熱伝導接着シート>
さらに本発明の熱硬化性接着シートは、ポリイミド樹脂、硬化剤、特定量のアルカリ金属化合物の他に、熱伝導性のある無機フィラー、金属フィラーなどを分散して配合し、分散してなる熱硬化性組成物をシート状にした熱伝導性の熱硬化性接着シートとして用いることができる。
【実施例0071】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例中の部、%は、特に指定がない場合は、それぞれ質量部、質量%を意味する。
【0072】
実施例中で使用する材料とその略称は、次の通りである。
<ダイマージアミン(C)>
DA1:プリアミン1075(クローダジャパン社製)アミン価209
DA2:プリアミン1074(クローダジャパン社製)アミン価204
<その他ジアミン>
DA3:3,3’-ジヒドロキシベンジジン
DA4:1,4-ビス(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン
DA5:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(2-アミノフェノール)
<テトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸(B)>
MA1:ヘキサフルオロプロパン二無水物
MA2:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
MA3:1’,2’-二無水物;4,4’-[4,4’-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノキシ]ジフタル酸二無水物
MA4:ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸
MA5:1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン
MA6:2’-オキソジスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1’-シクロペンタン-3’ ,2’ ’-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン] -5,6:5’ ’,6’ ’-テトラカルボン酸二無水物
MA7:5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物
<架橋剤>
XA1: N,N’-[1,3-フェニレンビス(メチレン)]ビス[ビス(オキシラン-2-イルメチル)アミン]
XA2:2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン
<硬化促進剤>
CA1:ジクミルパーオキサイド
【0073】
(実施例1)ポリイミド樹脂(PI-1)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、N,Nージメチルホルムアミド 1186部、ヘキサフルオロプロパン二無水物590部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら100℃まで昇温した。プリアミン1075 596部を1時間かけて滴下した後、2-アミノエタンチオールを37部滴下し、140℃に昇温して14時間脱水反応を行い、溶剤を抜きながら200℃まで昇温を行った後、トルエンを1175部加えて固形分濃度を50%に調整した。Mn8,239、Mw16,915のスルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂(PI-1)の樹脂溶液を得た。
【0074】
(実施例2~17)ポリイミド樹脂(PI-2~PI-17)の製造
表1に従って材料の種類と配合量を変更した以外は、実施例1と同様の方法でスルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂(PI-2~PI-17)を得た。表1中、数値は特に断りのない限り部を表し、空欄は配合していないことを表す。
【0075】
(比較例1)ポリイミド(A-1)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、N,N-ジメチルホルムアミド 1186部、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン399部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら100℃まで昇温した。プリアミン1074 699部を1時間かけて滴下した後、140℃に昇温して14時間脱水反応を行い、溶剤を抜きながら200℃まで昇温を行った後、トルエンを1045部加えて固形分濃度を50%に調整した。Mn20,891、Mw48,049のポリイミド(A-1)の樹脂溶液を得た。
【0076】
得られたポリイミド樹脂(PI-1~PI-17)およびポリイミド(A-1)のMn、Mw、酸価及びTgを下記の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0077】
<数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)の測定>
Mn、Mwの測定は、東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC-8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「LF-604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続し、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で行った。Mn、Mwは、ポリスチレン換算の値である。
【0078】
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ブレードコーターを用いて、剥離処理されたポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が50μmとなるように樹脂溶液を均一に塗工して100℃で20分間プレ乾燥を行った後、乾燥後ポリエステルフィルムを剥離して固形樹脂を得た。
株式会社島津製作所製「示差走査熱量計DSC-60 PLUS」を用いて、開始温度25℃、終了温度250℃、昇温速度10.0℃/minの条件にて、上記で得られた固形樹脂10mgを用いて、1回目の昇温後に開始温度まで急冷し、同条件で2サイクル目に測定した時のピーク値をTgとした。
【0079】
<酸価の測定方法>
共栓三角フラスコ中に樹脂溶液約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解し、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、次式により酸価を求めた。
(式1) 酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/(S×b)
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:試料の固形分(%)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液のファクター
【0080】
<200℃耐熱性>
得られた実施例1~17および比較例1の樹脂溶液を、ブレードコーターを用いて剥離処理されたポリエステルフィルム上に、乾燥後の膜厚が50μmとなるように均一に塗工して100℃で20分プレ乾燥を行った後、乾燥後ポリエステルフィルムを剥離して樹脂シートを得た。得られたシートを200℃のオーブンで2時間経時させた。経時したシートをTHFに溶解させGPCで質量平均分子量を測定し、次式により分子量変化率を求めた。
(式2)分子量変化率(%)=(経時前分子量-経時後分子量)/経時前分子量
この試験は、加熱使用時における樹脂の耐熱性を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
◎:分子量変化率5%未満(非常に良好)
〇:分子量変化率5%以上10%未満(良好)
△:分子量変化率10%以上30%未満(使用可能)
×:分子量変化率30%以上(使用不可)
【0081】
<260℃耐熱性>
200℃耐熱性試験と同様にして樹脂シートを作成し、得られたシートを260℃のオーブンで2時間経時させた。経時したシートをTHFに溶解させGPCで重量平均分子量を測定し、前記式(2)により分子量変化率を求めた。
この試験は、加熱使用時における樹脂の耐熱性を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
◎:分子量変化率5%未満(非常に良好)
〇:分子量変化率5%以上10%未満(良好)
△:分子量変化率10%以上30%未満(使用可能)
×:分子量変化率30%以上(使用不可)
【0082】
<20℃60%RH耐湿性>
200℃耐熱性試験と同様にして樹脂シートを作成し、得られたシートを20℃、相対湿度60%(以下60%RH)の条件で2週間経時させた。経時したシートをTHFに溶解させ酸価を測定し、次式により酸価変化率を求めた。
(式3)酸価変化率(%)=(経時後酸価-経時前酸価)/経時前酸価
この試験は、加熱使用時における樹脂の耐熱性を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
〇:酸価変化率5%未満(良好)
△:酸価変化率5%以上50%未満(使用可能)
×:酸価変化率50%以上(使用不可)
【0083】
[実施例18]
重合体(PI-1)溶液30部(固形分濃度50%)、架橋剤としてN,N’-[1,3-フェニレンビス(メチレン)]ビス[ビス(オキシラン-2-イルメチル)アミン]0.6部をマヨネーズ瓶に仕込み、室温でミックスローターを用いて30分混合して実施例18の接着剤を得た。
【0084】
[実施例19~38、比較例2、3]
表2記載の材料及び配合量に変更した以外は、実施例18と同様にして実施例19~38、比較例2、3の接着剤を得た。
【0085】
(ポリイミドフィルム基材付き接着シートの作製)
実施例18~38、比較例2、3の接着剤をそれぞれ、厚さが75μmのポリイミドフィルム[東レ・デュポン(株)製「カプトン(登録商標)300H」の上に乾燥後の厚みが30μmとなるようブレードコーターにて塗布し、接着剤面に剥離処理されたポリエステルフィルムを重ね、真空プレス成型機にて真空下、80℃で1分加熱することによりポリイミドフィルム基材付き接着シートを得た。
【0086】
[実施例39]積層体の作製
実施例18の接着剤からなる接着剤層を有するポリイミドフィルム基材付き接着シートの接着剤面に、電解銅箔(F2-WS)の表面粗化処理された面を重ね合わせた後、80℃でラミネートし、続いて真空プレス機にて200℃、1.0MPaの条件で2時間圧着処理することにより実施例39の積層体を作製した。
【0087】
[実施例40~59、比較例4~5]
実施例19~38、比較例2~3の接着剤からなる接着剤層を有するポリイミドフィルム基材付き接着シートに変更した以外は、実施例39と同様にして、実施例40~59、比較例4~5の積層体を作製した。
【0088】
(試験片の作製)
前記作製した積層体から、幅10mm、長さ65mmの試験片を切り出し、試験片とした。得られた試験片を用いて、接着性、耐熱接着性、および誘電特性(比誘電率と誘電正接)の評価を行った。
【0089】
<接着性>
試験片を23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、引張り速度300mm/分でTピール剥離試験を行い、接着強度(N/cm)を測定した。この試験は、常温使用時における接着剤層の接着強度を評価するものであり、結果を次の基準で判断した。
◎:接着強度8.0N/3mm以上(非常に良好)
○:接着強度6.0N/3mm以上8.0N/3mm未満(良好)
△:接着強度4.0N/3mm以上6.0N/3mm未満(使用可能)
×:接着強度4.0N/3mm未満(使用不可)
【0090】
<耐熱接着性>
試験片を、150℃の空気雰囲気下で1000時間保管し、取り出した後、上記と同様に接着強度を測定し、次式により接着力低下率を求めた。
(式4)接着力低下率(%)=(経時前接着力-経時後接着力)/経時前接着力
上記<接着性>で測定された接着強度に対する接着強度の低下率を以下の基準で判断した。
◎・・・低下率が20%未満(非常に良好)
○・・・低下率が20%以上50%未満(良好)
△・・・低下率が50%以上80%未満(使用可能)
×・・・低下率が80%以上(使用不可)
【0091】
<誘電特性>
(比誘電率)
エー・イー・ティー社製の比誘電率測定装置「ADMS01Oc」に、試験片を3つセットし、空洞共振器法により、測定温度23℃、測定周波数が10GHzにおける比誘電率を求め、以下の基準にて評価した。
◎:比誘電率2.5未満(非常に良好)
○:比誘電率2.5以上2.6未満(良好)
△:比誘電率2.6以上2.7未満(使用可能)
×:比誘電率2.7以上(使用不可)
【0092】
(誘電正接)
エー・イー・ティー社製の比誘電率測定装置「ADMS01Oc」に、試験片を3つセットし、空洞共振器法により、測定温度23℃、測定周波数が10GHzにおける誘電正接を求め、以下の基準にて評価した。
◎:誘電正接0.002未満(非常に良好)
○:誘電正接0.002以上0.003未満(良好)
△:誘電正接0.003以上0.005未満(使用可能)
×:誘電正接0.005以上(使用不可)
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
表1に示すように、本発明のスルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂は末端が酸無水物である比較例1と比べて200℃及び260℃の耐熱性と20℃60%RHの耐湿性に優れている。特に脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含有している実施例3、4、6~14、16は200℃の耐熱性に優れており、その中でも芳香族ジアミン(但し、フェノール骨格含有ジアミンを除く)を含有する実施例9、13とフェノール基を有するジアミンを含有する実施例8、10、12、14は260℃の耐熱性にも優れている。
また、本発明の熱硬化性組成物から得られた接着剤は、比較例2、3と比べて比誘電率、誘電正接等の誘電特性に優れ、且つ高い接着性と耐熱接着性を有している。
特に、脂環構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含有する、スルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂を含む、実施例20、21、23~31、33~37は優れた耐熱接着性を有しており、その中でも芳香族ジアミン(但し、フェノール骨格含有ジアミンを除く)を含有する実施例26、30とフェノール基を有するジアミンを含有する、スルファニル基を末端に有するポリイミド樹脂を含む実施例25、27、29、31、36は特に優れた耐熱接着性を有している。その中でも架橋剤としてマレイミド、硬化促進剤として過酸化物を用いた実施例36は特に優れた誘電特性を示した。
【0096】
(プリント配線板の作製)
実施例18の接着剤を、カプトン(R)Hタイプに乾燥後の厚みが30μmとなるようブレードコーターにて塗布し、100℃で3分間乾燥させることによって、接着シートを得た。次いで、該接着シートの接着剤面に前記電解銅箔(F2-WS)の処理面を重ね合わせ、100℃のラミネートロールで圧着した後、真空プレス成型機にて真空下、150℃,30分間処理することによって積層体を得た。この積層体の銅表面をソフトエッチング処理し、銅回路を形成し、その上にさらに前記方法で得た基材つき接着シートの接着樹脂面を重ねあわせ、真空プレス成型機にて真空下、圧力10MPa、180℃及び1分間の条件で加熱プレスした後、更に200℃で2時間加熱することにより、フレキシブルプリント配線板を作製することができた。また、他の実施例の接着剤組成物についても同様にしてフレキシブルプリント配線板を作製できたことを確認した。