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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093806
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】全館空調ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20230628BHJP
   F24F 1/0018 20190101ALI20230628BHJP
【FI】
F24F1/0007
F24F1/0018
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208860
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】勝又 慎介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
(72)【発明者】
【氏名】中曽根 孝昭
【テーマコード(参考)】
3L049
【Fターム(参考)】
3L049BD05
(57)【要約】
【課題】全館空調ユニットにおける圧力損失の増加を抑制する技術を提供する。
【解決手段】空気調和機200は、ユニット本体100に取り込んだ空気を第1吸込口202から吸い込んでから空調を行い、空調を行った空調空気を第1吹出口204から床面方向に吹き出し、第2送風機300bは、空調空気を第2吸込口302から吸い込み、空調空気を第2吹出口304から天井方向に向けてユニット本体100外へ送風する。ユニット本体100の内部には、第1吹出口204から第2吸込口302までつながる空調空気風路700であって、かつ空調空気を床面方向から天井方向に偏曲させるための曲部710を含む空調空気風路700が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を空調するための全館空調ユニットであって、
前記全館空調ユニットの外郭を形成するユニット本体と、
前記ユニット本体の内部に配置される空気調和機と、
前記ユニット本体の内部において、前記空気調和機の上方に配置される送風機と、
を備え、
前記空気調和機は、前記ユニット本体に取り込んだ空気を第1吸込口から吸い込んでから空調を行い、空調を行った空調空気を第1吹出口から床面方向に吹き出し、
前記送風機は、前記空調空気を第2吸込口から吸い込み、前記空調空気を第2吹出口から天井方向に向けて前記ユニット本体外へ送風し、
前記ユニット本体の内部には、前記第1吹出口から前記第2吸込口までつながる空調空気風路であって、かつ前記空調空気を前記床面方向から前記天井方向に偏曲させるための曲部を含む空調空気風路が形成される全館空調ユニット。
【請求項2】
前記送風機は、一定の高さを有し、
前記送風機は、上面図視点において前記第1吸込口に少なくとも一部が重なるように配置される請求項1に記載の全館空調ユニット。
【請求項3】
前記第2吸込口は、前記送風機の背面側に向けられる請求項1または2に記載の全館空調ユニット。
【請求項4】
前記空調空気風路は、前記空気調和機の背面側に形成される請求項1から3までのいずれか1項に記載の全館空調ユニット。
【請求項5】
前記空調空気風路は、前記空気調和機の正面側に形成される請求項1から3までのいずれか1項に記載の全館空調ユニット。
【請求項6】
前記空調空気風路は、前記空気調和機の側面側に形成される請求項1から5までのいずれか1項に記載の全館空調ユニット。
【請求項7】
前記送風機を第1送風機と呼ぶ場合、前記第1送風機とは異なる第2送風機をさらに備え、
前記第2送風機は、前記ユニット本体の内部において、前記空気調和機の下方に配置され、
前記第2送風機は、前記空調空気を第3吸込口から吸い込み、前記空調空気を第3吹出口から床面方向に向けて前記ユニット本体外へ送風する請求項1から6のいずれか1項に記載の全館空調ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和技術に関し、特に空間の空気調和を制御する全館空調ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
1台の空気調和機で空調された空気を複数の空間に供給することによって、複数の空間を空調するための全館空調システムが提案されている。全館空調システムでは、空調室に空気調和機が配置され、空調室内の空気が送風機によりダクトを介して空間に供給される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送風機の下流に配置されるダクトに天井または床面方向への曲部が含まれる場合、ダクト内の風速が高いままで空調空気を湾曲させると、圧力損失が大きくなる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、全館空調ユニットにおける圧力損失の増加を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の全館空調ユニットは、空間を空調するための全館空調ユニットであって、全館空調ユニットの外郭を形成するユニット本体と、ユニット本体の内部に配置される空気調和機と、ユニット本体の内部において、空気調和機の上方に配置される送風機と、を備える。空気調和機は、ユニット本体に取り込んだ空気を第1吸込口から吸い込んでから空調を行い、空調を行った空調空気を第1吹出口から床面方向に吹き出し、送風機は、空調空気を第2吸込口から吸い込み、空調空気を第2吹出口から天井方向に向けてユニット本体外へ送風し、ユニット本体の内部には、第1吹出口から第2吸込口までつながる空調空気風路であって、かつ空調空気を床面方向から天井方向に偏曲させるための曲部を含む空調空気風路が形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、全館空調ユニットにおける圧力損失の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1(a)-(e)は、本実施例1に係る全館空調ユニットの構造を示す図である。
図2図2(a)-(b)は、図1(b)-(e)の加湿器による効果を示す図である。
図3図3(a)-(b)は、図1(d)-(e)のフィルタによる効果を示す図である。
図4図4(a)-(d)は、本実施例2に係る全館空調ユニットの構造を示す図である。
図5図5(a)-(e)は、本実施例3に係る全館空調ユニットの構造を示す図である。
図6図6(a)-(e)は、本実施例4に係る全館空調ユニットの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施例を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。本実施例は、住宅等の施設に設けられ、施設に対する全館空調を実行する全館空調システムにおける全館空調ユニットに関する。全館空調ユニットは、空気調和機、フィルタ、送風機を含む。空気調和機は、施設の外部の空気(以下、「外気」という)と施設の内部の空気(以下、「内気」という)を吸引し、空調制御がなされた空気を吹き出す。フィルタは、空気調和機から吹き出された空調空気を清浄する。送風機は、フィルタにおいて清浄された空調空気をダクト経由で各部屋に搬送する。
【0010】
各部屋の実際の温度とユーザの設定温度との乖離量が大きいほど、全館空調ユニットに対して必要とされる空調空気の風量が大きくなる。送風機の下流に配置されるダクトが天井あるいは床面方向への曲部を有する場合、ダクト内の風速が高いままで空調空気が湾曲される。風速が高いままで空調空気を湾曲させると、圧力損失が増加する。各部屋に搬送すべき空調空気の風量を大きくするためには、空気調和機と送風機が高回転で稼働しなければならない。高回転での稼働により、空気調和機と送風機の騒音が大きくなり、全館空調ユニットの騒音が大きくなる。本実施例では、圧力損失が低い全館空調ユニットを提供することを目的とする。また、静音性が高い全館空調ユニットを提供することを目的としてもよい。
【0011】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
図1(a)-(e)は、全館空調ユニット1000の構造を示す。図1(a)は、全館空調ユニット1000の構造を示す斜視図である。図1(a)に示すように、x軸、y軸、z軸を含む直交座標系が規定される。x軸とy軸とは、水平面内において互いに直交する。z軸は、x軸及びy軸に垂直であり、高さ(垂直)方向に延びる。また、x軸、y軸、及びz軸のそれぞれの正の方向は、図1(a)における矢印の方向に規定され、負の方向は、矢印と逆向きの方向に規定される。また、x軸の正方向側を「前側」又は「正面側」、x軸の負方向側を「後側」又は「背面側」、y軸の正方向側を「右側」又は「側面側」、y軸の負方向側を「左側」又は「側面側」、z軸の正方向側を「上側」又は「天井方向」、z軸の負方向側を「下側」又は「床面方向」ということもある。そのため、z軸は上下方向に延びる軸であり、x軸は前後方向に延びる軸であり、y軸は左右方向に延びる軸である。
【0013】
全館空調ユニット1000のユニット本体100は、全館空調ユニット1000の外郭を形成し、箱形形状を有する。ユニット本体100の前側、後側、左側、右側、上側、及び下側には、前面102、後面104、左面106、右面108、上面110、及び下面112がそれぞれ配置される。前面102から下面112はそれぞれ矩形状を有するが、上面110には開口120が設けられる。また、上面110には、ダクト150と総称される第1ダクト150a及び第2ダクト150bが接続される。ダクト150の数は、「2」に限定されない。
【0014】
全館空調ユニット1000は、住宅又は非住宅を含む施設に設置され、施設は複数の空間(部屋)を含む。部屋には、例えば、リビングルーム、ダイニングルーム、又はキッチンが含まれてもよい。全館空調ユニット1000の開口120には、外気と内気の混合空気(以下、単に「空気」ともいう)が流入される。全館空調ユニット1000は、流入した空気に対して空調を実行し、空調空気をダクト150に吹き出す。ダクト150は、施設の天井裏を通って部屋まで延びており、空調空気を部屋に供給される。これにより、全館空調ユニット1000は、部屋を空調する。
【0015】
図1(b)は、図1(a)の前面102から下面112を透明にした全館空調ユニット1000の斜視図であり、図1(c)は、全館空調ユニット1000の正面図である。図1(d)は、図1(c)のA-A’断面図であり、図1(e)は、図1(c)のB-B’断面図である。
【0016】
上面110に設けられた開口120は、ユニット本体100内の空調スペース600につながる。空調スペース600はユニット本体100の前側の部分を占め、空調スペース600内には空気調和機200が配置される。空気調和機200の上側の面には第1吸込口202が設けられ、空気調和機200の下側の面には第1吹出口204が設けられる。空気調和機200は、開口120から空調スペース600に取り込んだ空気を第1吸込口202から吸い込み、空調を行う。例えば、空気調和機200は、設定した温度に近づくように、取り込んだ空気の温度を調節する。空気調和機200は、空調を行った空調空気を第1吹出口204から床面方向に吹き出す。
【0017】
空調スペース600における空気調和機200の下側の部分は、第1フィルタ500aと第2フィルタ500bにより区切られる。第1フィルタ500aはx-y平面に沿って配置され、第2フィルタ500bはy-z平面に沿って配置される。第1フィルタ500aと第2フィルタ500bは、空気調和機310において空調がなされた空気中からゴミ及び塵埃などを取り除く。第1フィルタ500aと第2フィルタ500bによって空調スペース600と区切られた部分、つまりユニット本体100における空調スペース600の下側及び後側の部分(以下、「誘導部分」という)には、第1誘導スペース604と第2誘導スペース606が配置される。第1誘導スペース604と第2誘導スペース606は、z-x平面に沿って広がる遮蔽板130により誘導部分を左右に分割したスペースである。第1誘導スペース604が左側に配置され、第2誘導スペース606が右側に配置される。第1フィルタ500aと第2フィルタ500bを通過した空調空気は、第1誘導スペース604と第2誘導スペース606とに吹き込まれる。
【0018】
第1誘導スペース604と第2誘導スペース606との下側には、加湿器400が配置される。加湿器400は、第1誘導スペース604と第2誘導スペース606内の空調空気の湿度を上昇させる。加湿器400は、第1誘導スペース604と第2誘導スペース606のそれぞれに対応した吹出口404を有する。第2誘導スペース606は、空調スペース600の下側から後側を通って、ユニット本体100の上側端まで上側に向かう。
【0019】
第2誘導スペース606の上側端の前側、つまりユニット本体100の内部における空気調和機200の上方には、第2送風機300bが配置される。特に、第2送風機300bは、一定の高さを有し、上面図視点において第1吸込口202に少なくとも一部が重なるように配置される。第2送風機300bの後側の面には第2吸込口302が設けられ、第2送風機300bの上側の面には第2吹出口304が設けられる。第2吹出口304には第2ダクト150bが接続される。第2送風機300bは、空調空気を第2吸込口302から吸い込み、空調空気を第2吹出口304から天井方向に向けてユニット本体100外へ送風する。ユニット本体100の内部の第2誘導スペース606は、空気調和機200の第1吹出口204から第2送風機300bの第2吸込口302まで、空気調和機200の後側を通ってつながる空調空気風路700を形成する。空調空気風路700は、空調空気を床面方向から天井方向に偏曲させるための曲部710を含む。第1ダクト150a、第1送風機300a、及び第1誘導スペース604は、第2ダクト150b、第2送風機300b、及び第2誘導スペース606と同様である。なお、以下では、第1送風機300a及び第2送風機300bを総称して送風機300と呼ぶこともある。
【0020】
図2(a)-(b)は、加湿器400による効果を示す。図2(a)は、加湿器400が備えられていない全館空調ユニット1000の構造を示し、図1(e)と同様に示される。空気調和機200の第1吹出口204からの空調空気は風速が高いので、当該空調空気が前面102の内側面に衝突すると、圧力損失が大きくなる。図2(b)は、加湿器400が備えられたユニット本体100の構造を示し、図1(e)と同様に示される。加湿器400の第1吹出口204から上側に向かう噴出により、空調空気の誘引がなされると、前面102の内側面に衝突する空調空気の風速が低くなる。空調空気の風速が低くなることによって、圧力損失が小さくなる。
【0021】
図3(a)-(b)は、フィルタ500による効果を示す。図3(a)は、フィルタ500が備えられていない全館空調ユニット1000の構造を示し、図1(e)及び図2(a)と同様に示される。空気調和機200の第1吹出口204から吹き出された空調空気には、下向きから上向きへの高風速での偏向がなされる。その結果、圧力損失が大きくなる。図3(b)は、加湿器400が備えられたユニット本体100の構造を示し、図1(e)及び図2(b)と同様に示される。フィルタ500は整流格子の役割も有する。そのため、迂路向きから上向きへの低風速での偏向がなされる。その結果、圧力損失が小さくなる。
【0022】
本実施例によれば、送風機300よりも上流側のユニット本体100内部の空調空気風路700に曲部710を設けるので、通風面積を増加できる。また、通風面積が増加するので、風速を低下できる。また、風速が低下するので、圧力損失の増加を抑制できる。また、上方の送風機300が、空気調和機200の第1吸込口202に重なるように配置されるので、空気調和機200の騒音が伝播される場所の1つである第1吸込口202からの騒音を送風機300によって低減できる。また、送風機300には電動機が備えられるので、送風機300の密度を高く、かつ質量を重くできる。また、送風機300の密度が高く、かつ質量が重くなるので、遮音効果を向上できる。
【0023】
また、送風機300の第2吸込口302から騒音が伝播されて第2吸込口302の正面の騒音が大きくなるが、第2吸込口302を背面側に向けるので、全館空調ユニット1000の正面への騒音の漏れを低減できる。また、空調空気が充満するユニット本体100内の断熱性を高めるためにユニット本体100には断熱材が敷かれているが、この断熱材は一定の吸音効果を有するので、騒音がユニット本体100内部を伝播する間に吸音できる。また、空調空気風路700をユニット本体100の背面側、つまり曲部710をユニット本体100の背面側に設けるので、曲部710の曲率半径を大きくできる。また、曲部710の曲率半径が大きくなるので、圧力損失を抑制できる。
【0024】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の全館空調ユニット(1000)は、空間を空調するための全館空調ユニット(1000)であって、全館空調ユニット(1000)の外郭を形成するユニット本体(100)と、ユニット本体(100)の内部に配置される空気調和機(200)と、ユニット本体(100)の内部において、空気調和機(200)の上方に配置される送風機(300)と、を備える。空気調和機(200)は、ユニット本体(100)に取り込んだ空気を第1吸込口(202)から吸い込んでから空調を行い、空調を行った空調空気を第1吹出口(204)から床面方向に吹き出し、送風機(300)は、空調空気を第2吸込口(302)から吸い込み、空調空気を第2吹出口から天井方向に向けてユニット本体(100)外へ送風し、ユニット本体(100)の内部には、第1吹出口(204)から第2吸込口(302)までつながる空調空気風路(700)であって、かつ空調空気を床面方向から天井方向に偏曲させるための曲部(710)を含む空調空気風路(700)が形成される。
【0025】
送風機(300)は、一定の高さを有してもよい。送風機(300)は、上面図視点において第1吸込口(202)に少なくとも一部が重なるように配置されてもよい。
【0026】
第2吸込口(302)は、送風機(300)の背面側に向けられてもよい。
【0027】
空調空気風路(700)は、空気調和機(200)の背面側に形成されてもよい。
【0028】
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、全館空調システムにおける全館空調ユニット1000に関する。実施例1の全館空調ユニット1000では、ユニット本体100の上面110に第1ダクト150aと第2ダクト150bが接続されている。一方、実施例2の全館空調ユニット1000では、ユニット本体100の上面110に第1ダクト150aが接続され、ユニット本体100の下面112に第2ダクト150bが接続される。ここでは、実施例1との差異を中心に説明する。
【0029】
図4(a)-(d)は、全館空調ユニット1000の構造を示す。図4(a)は、前面102から下面112を透明にした全館空調ユニット1000の斜視図であり、図1(b)と同様に示される。図4(b)は、全館空調ユニット1000の正面図であり、図1(c)と同様に示される。図4(c)は、図4(b)のA-A’断面図であり、図4(d)は、図4(b)のB-B’断面図である。
【0030】
全館空調ユニット1000のユニット本体100の上面110には第1ダクト150aが接続され、下面112には第2ダクト150bが接続される。上面110に設けられた開口120は、ユニット本体100内の空調スペース600につながる。空調スペース600はユニット本体100の前側の部分を占め、空調スペース600内には空気調和機200が配置される。空気調和機200の上側の面には第1吸込口202が設けられ、空気調和機200の下側の面には第1吹出口204が設けられる。空気調和機200は、開口120から空調スペース600に取り込んだ空気を第1吸込口202から吸い込み、空調を行う。空気調和機200は、空調を行った空調空気を第1吹出口204から床面方向に吹き出す。
【0031】
空調スペース600における空気調和機200の下側の部分は、第1フィルタ500aと第2フィルタ500bにより区切られる。第1フィルタ500aはx-y平面に沿って配置され、第2フィルタ500bはy-z平面に沿って配置される。第1フィルタ500aと第2フィルタ500bによって空調スペース600と区切られた部分、つまりユニット本体100における空調スペース600の下側及び後側の部分は、実施例1と同様に誘導部分である。誘導部分のうち、第2フィルタ500bの上側端よりも下側には、z-x平面に沿って広がる遮蔽板132が配置される。誘導部分のうち、第2フィルタ500bの上側端よりも下側かつ、右側の部分が第2誘導スペース610である。また、誘導部分のうち、第2誘導スペース610以外の部分が第1誘導スペース608である。第1フィルタ500aと第2フィルタ500bを通過した空調空気は、第1誘導スペース608と第2誘導スペース610とに吹き込まれる。
【0032】
第2誘導スペース610の下側端、つまりユニット本体100の内部における空気調和機200の下方には、第2送風機300bが配置される。第2送風機300bの後側の面には第3吸込口312が設けられ、第2送風機300bの下側の面には第3吹出口314が設けられる。第3吹出口314には第2ダクト150bが接続される。第2送風機300bは、空調空気を第3吸込口312から吸い込み、空調空気を第3吹出口314から床面方向に向けてユニット本体100外へ送風する。ユニット本体100の内部の第2誘導スペース610は、空気調和機200の第1吹出口204から第2送風機300bの第3吸込口312まで、空気調和機200の下側を通ってつながる空調空気風路720を形成する。第1ダクト150a、第1送風機300a、及び第1誘導スペース608は、実施例1と同様である。なお、以下では、実施例1と同じく、第1送風機300a及び第2送風機300bを総称して送風機300と呼ぶこともある。
【0033】
本実施例によれば、床面方向に送風を実行するので、床下空間で空調空気を搬送できる。また、冬季においては、温度の高い空調空気を床下空間に搬送できる。また、温度の高い空調空気が床下空間に搬送されるので、温まった床面からの輻射熱によって空間を暖めることができる。また、温まった床面からの輻射熱によって空間が暖められるので、空間内の上下の温度差を小さくできる。また、空調空気を空間内に吹き出さないゆえに人間の不快要因の1つである気流によるドラフト感を低減するので、空間の在室者の快適性を高めることができる。また、2階以上のフロアにユニット本体100を設置した場合でも、設置階下の空間にも空調空気を搬送できる。
【0034】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。送風機(300)を第1送風機(300)と呼ぶ場合、第1送風機(300)とは異なる第2送風機(300)をさらに備えてもよい。第2送風機(300)は、ユニット本体(100)の内部において、空気調和機(200)の下方に配置され、第2送風機(300)は、空調空気を第3吸込口(312)から吸い込み、空調空気を第3吹出口(314)から床面方向に向けてユニット本体(100)外へ送風してもよい。
【0035】
(実施例3)
次に実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、全館空調システムにおける全館空調ユニット1000に関する。実施例1の全館空調ユニット1000では、空気調和機200の後側に空調空気風路700が形成される。一方、実施例3の全館空調ユニット1000では、空気調和機200の左側と右側にも空調空気風路700が形成される。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0036】
図5(a)-(e)は、全館空調ユニット1000の構造を示す。図5(a)は、前面102から下面112を透明にした全館空調ユニット1000の斜視図であり、図1(b)と同様に示される。図5(b)は、全館空調ユニット1000の正面図であり、図1(c)と同様に示される。図5(c)は、図5(b)のA-A’断面図であり、図5(d)は、図5(b)のB-B’断面図であり、図5(e)は、図5(b)のC-C’断面図である。
【0037】
第2誘導スペース610は、空気調和機200及び送風機300の後側だけではなく右側にも配置される。そのため、空気調和機200及び送風機300の後側に空調空気風路700が形成されるとともに、空気調和機200及び送風機300の右側にも空調空気風路700が形成される。
【0038】
第1誘導スペース608は、第2誘導スペース610と左右対称の構造を有するので、空気調和機200及び送風機300の後側だけではなく左側にも配置される。そのため、空気調和機200及び送風機300の後側に空調空気風路700が形成されるとともに、空気調和機200及び送風機300の左側にも空調空気風路700が形成される。
【0039】
本実施例によれば、空気調和機200の側面側にも空調空気風路700が形成されるので、ユニット本体100のサイズ制約がある条件下においても、空調空気の通風面積を増加できる。また、空調空気の通風面積が増加するので、風速を低下させ、圧力損失を低下できる。
【0040】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。空調空気風路(700)は、空気調和機(200)の側面側に形成されてもよい。
【0041】
(実施例4)
次に実施例4を説明する。実施例4は、これまでと同様に、全館空調システムにおける全館空調ユニット1000に関する。実施例1の全館空調ユニット1000では、空気調和機200の後側に空調空気風路700が形成される。一方、実施例4の全館空調ユニット1000では、空気調和機200の前側に空調空気風路700が形成される。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0042】
図6(a)-(e)は、全館空調ユニット1000の構造を示す。図6(a)は、前面102から下面112を透明にした全館空調ユニット1000の斜視図であり、図1(b)と同様に示される。図6(b)は、全館空調ユニット1000の正面図であり、図1(c)と同様に示される。図6(c)は、図6(b)のA-A’断面図であり、図6(d)は、図6(b)のB-B’断面図であり、図6(e)は、図6(b)のC-C’断面図である。
【0043】
上面110に設けられた開口120は、ユニット本体100内の空調スペース600につながる。空調スペース600は、第1送風機300aと第2送風機300bの前側、かつ第1誘導スペース612と第2誘導スペース614の後側の部分を占め、空調スペース600内には空気調和機200が配置される。空気調和機200は、開口120から空調スペース600に取り込んだ空気を第1吸込口202から吸い込み、空調を行う。空気調和機200は、空調を行った空調空気を第1吹出口204から床面方向に吹き出す。
【0044】
空調スペース600における空気調和機200の下側の部分は、第1フィルタ500aと第2フィルタ500bにより区切られる。第1フィルタ500aはx-y平面に沿って配置され、第2フィルタ500bはy-z平面に沿って配置される。第1フィルタ500aと第2フィルタ500bによって空調スペース600と区切られた部分、つまりユニット本体100における空調スペース600の下側、前側、左側、及び右側の部分(以下、これもまた「誘導部分」という)には、第1誘導スペース612と第2誘導スペース614が配置される。第1誘導スペース612と第2誘導スペース614は、z-x平面に沿って広がる遮蔽板134により誘導部分を左右に分割したスペースである。第1誘導スペース612が左側に配置され、第2誘導スペース614が右側に配置される。第1フィルタ500aと第2フィルタ500bを通過した空調空気は、第1誘導スペース612と第2誘導スペース614とに吹き込まれる。
【0045】
第1誘導スペース612と第2誘導スペース614との下側には、加湿器400が配置される。加湿器400は、第1誘導スペース612と第2誘導スペース614内の空調空気の湿度を上昇させる。加湿器400は、第1誘導スペース612に対応した第1吹出口404aと第2誘導スペース614に対応した第2吹出口404bを有する。第2誘導スペース614は、空調スペース600の下側から後側と右側を通って、ユニット本体100の上側端まで上側に向かう。
【0046】
第2誘導スペース614の上側端の後側、つまりユニット本体100の内部における空気調和機200の上方には、第2送風機300bが配置される。第2送風機300bの右側の面には第2吸込口302が設けられ、第2送風機300bの上側の面には第2吹出口304が設けられる。第2吹出口304には第2ダクト150bが接続される。第2送風機300bは、空調空気を第2吸込口302から吸い込み、空調空気を第2吹出口304から天井方向に向けてユニット本体100外へ送風する。ユニット本体100の内部の第2誘導スペース614は、空気調和機200の第1吹出口204から第2送風機300bの第2吸込口302まで、空気調和機200の前側を通ってつながる空調空気風路700を形成する。第1ダクト150a、第1送風機300a、及び第1誘導スペース612は、第2ダクト150b、第2送風機300b、及び第2誘導スペース614と同様である。なお、以下では、実施例1と同じく、第1送風機300a及び第2送風機300bを総称して送風機300と呼ぶこともある。
【0047】
本実施例によれば、空気調和機200から吹き出された空調空気が再び空気調和機200に吸い込まれる流れが発生している空気調和機200の正面空間を空調空気風路700とするので、空気調和機200の省エネ性を向上できる。
【0048】
また、送風機300の第2吸込口302から騒音が伝播されて第2吸込口302の正面の騒音が大きくなるが、第2吸込口302を側面側に向けるので、全館空調ユニット1000の正面への騒音の漏れを低減できる。
【0049】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。空調空気風路(700)は、空気調和機(200)の正面側に形成されてもよい。
【0050】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0051】
100 ユニット本体、 102 前面、 104 後面、 106 左面、 108 右面、 110 上面、 112 下面、 120 開口、 130,132,134 遮蔽板、 150 ダクト、 200 空気調和機、 202 第1吸込口、 204 第1吹出口、 300 送風機、 302 第2吸込口、 304 第2吹出口、 400 加湿器、 404 吹出口、 500 フィルタ、 600 空調スペース、 604 第1誘導スペース、 606 第2誘導スペース、 700 空調空気風路、 710 曲部、 1000 全館空調ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6