(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093809
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/39 20060101AFI20230628BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230628BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230628BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A61K8/39
A61Q5/00
A61Q5/12
A61Q5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208863
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】新藤 葉月
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB051
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC662
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD072
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD282
4C083AD432
4C083AD442
4C083AD452
4C083BB11
4C083BB14
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE28
(57)【要約】
【課題】本発明は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて使用することで、毛髪のコンディショニング性と光沢性を高める効果を有する毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、下記(a)~(d)を必須成分として含み、成分(a)に対する成分(b)の質量比率を0.1~1とすることで、優れたコンディショニング性と光沢性を有する安定な毛髪化粧料を得た。
(a)ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の50~200%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステル
(b)ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~50%未満エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステル
(c)油脂
(d)水
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)~(d)を必須成分として含み、成分(a)に対する成分(b)の質量比率(b)/(a)が0.1~1である毛髪化粧料。
(a)ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の50~200%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステル
(b)ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~50%未満エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステル
(c)油脂
(d)水
【請求項2】
毛髪化粧料全体を100質量%として、成分(a)と成分(b)の総量(a)+(b)が1質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の100~200%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1から2のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
成分(b)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~20%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項2または3に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
成分(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸が、イソステアリン酸又はオレイン酸から選ばれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
成分(b)ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸が、イソステアリン酸又はオレイン酸から選ばれる、請求項1から5のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
成分(c)油脂の90%以上が揮発性油である、請求項1から6のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項8】
シリコーン油を含まないことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項9】
外観が透明であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて使用することで、毛髪のコンディショニング性と光沢性を高める効果を有する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界のパーソナルケア市場ではクリーンビューティが流行しており、植物性の成分を含むナチュラルコンセプトが好まれるようになっている。一般的に、「クリーン」とは製品やサービスがヒトや環境の健康を考えるべきであるということを意味している。これは、水や食料などの資源や動植物の生態系などを配慮してモノを消費する必要があるということである。それは、化粧品を構成する成分をできるだけ環境に優しい成分にすることや、環境への負荷を抑えるために無駄のない使い方を考える必要があるということである。
【0003】
近年、特に日本のヘアケア市場では、「ノンシリコーン」や「ボタニカル」を訴求したナチュラル志向のコンセプト製品が市場に多く発売されるようになり、そのコンセプトが多くの消費者に受け入れられている。さらに、一人ひとりの髪質や悩みに合わせて製品を選択できるパーソナルケア志向のブランドが数多く発売され、ヘアケア製剤の付加価値の向上とともに、製品価格も高価なものが多くなっている。特に、ヘアトリートメントや女性用スカルプケア、ヘアカラー等の製剤の需要が年々上昇している。
【0004】
一般的に、毛髪のコンディショニング効果や保湿効果を高めるには、シリコーン油や植物油などのオイル成分を用いることが多く、それら成分が毛髪に吸着し、毛髪のコンディショニング効果を向上させている。現在、その多くは、オイル成分を多量に含むヘアトリートメントやヘアミルク、ヘアオイルに依存している。さらに、ナチュラルコンセプトの流行によって、消費者の心理が動かされ、スタイリング剤でカチッと固めるヘアスタイルよりも、ヘアミルクやヘアオイルなどのアウトバストリートメント製剤でナチュラルな髪流れとまとまり感のあるヘアスタイルを好む消費者が増えてきた。
【0005】
ヘアオイルは、主に2つの種類があり、一つは大部分が揮発性油で構成された処方設計であり、ドライヤー等の熱によって揮発性油を蒸発させ、高重合度シリコーンやフェニル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、植物油などの不揮発性油を毛髪表面に残し、コンディショニング性や光沢性を付与するもの、もう一つは大部分が不揮発性油で構成された処方設計であり、少量で毛髪に束感やセット性を付与するものである。
【0006】
近年では、ナチュラルコンセプトの流行により、生分解性が高く、再生可能な植物性の油脂で構成されたヘアオイルが開発されている。例えば、特許文献1には、揮発性炭化水素油としてドデカンまたはイソドデカンと不乾性の植物油として植物性スクワランと、ノニオン界面活性剤を含有する毛髪化粧料が開示されており、この毛髪化粧料を毛髪に処理すると、自然なツヤおよびまとまりを与えながら、ベタつきを生じることなく、指通りのよい軽い感触を付与することができると記載されている。しかしながら、揮発性炭化水素油と不乾性の植物油、1%以下のノニオン界面活性剤を組み合わせて配合するだけでは、十分なコンディショニング性や光沢性を付与することができない。環境配慮の観点から、生分解性に乏しいシリコーン油を配合することなく、高重合度シリコーンのような高いコンディショニング性とフェニル変性シリコーンのような高い光沢性を付与できる、ナチュラルコンセプトに合致した新しい処方設計が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて使用することで、毛髪のコンディショニング性と光沢性を高める効果を有する、透明な毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を鋭意検討したところ、下記(a)~(d)を必須成分として含み、成分(a)に対する成分(b)の質量比率(b)/(a)を0.1~1とすることで、優れたコンディショニング性と光沢性を有する、透明で安定な毛髪化粧料を得た。
(a)ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の50~200%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステル
(b)ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~50%未満エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステル
(c)油脂
(d)水
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記の配合成分と配合比とを有していることで、毛髪乾燥後のしっとり感と柔らかさに加えて、光沢性の向上を達成することができ、透明な外観を持つ安定な毛髪化粧料を得ることができる。
【0011】
本発明における成分(a)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の50~200%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルであり、より好ましくは、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の100~200%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルである。
例えば、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2であれば、ポリグリセリンの平均重合度(n)が2、エステル結合した脂肪酸が4となり、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対する脂肪酸は、4/2=200%と計算される。
さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸が、イソステアリン酸又はオレイン酸であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0012】
具体的には、デカカプリル酸ポリグリセリル-10、デカカプリン酸ポリグリセリル-10、デカラウリン酸ポリグリセリル-10、デカミリスチン酸ポリグリセリル-10、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、デカマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、ペンタカプリル酸ポリグリセリル-10、ペンタカプリン酸ポリグリセリル-10、ペンタラウリン酸ポリグリセリル-10、ペンタミリスチン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、テトラカプリル酸ポリグリセリル-2、テトラカプリン酸ポリグリセリル-2、テトララウリン酸ポリグリセリル-2、テトラミリスチン酸ポリグリセリル-2、テトラステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトラオレイン酸ポリグリセリル-2、テトラマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-2、トリカプリル酸ポリグリセリル-2、トリカプリン酸ポリグリセリル-2、トリラウリン酸ポリグリセリル-2、トリミリスチン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、トリマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-2、ジカプリル酸ポリグリセリル-2、ジカプリン酸ポリグリセリル-2、ジラウリン酸ポリグリセリル-2、ジミリスチン酸ポリグリセリル-2、ジステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジオレイン酸ポリグリセリル-2、ジマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-2、カプリル酸ポリグリセリル-2、カプリン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸ポリグリセリル-2、ミリスチン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-2、マカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-2等が挙げられる。
【0013】
好ましくは、デカカプリル酸ポリグリセリル-10、デカカプリン酸ポリグリセリル-10、デカラウリン酸ポリグリセリル-10、デカミリスチン酸ポリグリセリル-10、デカステアリン酸ポリグリセリル-10、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、デカマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、テトラカプリル酸ポリグリセリル-2、テトラカプリン酸ポリグリセリル-2、テトララウリン酸ポリグリセリル-2、テトラミリスチン酸ポリグリセリル-2、テトラステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトラオレイン酸ポリグリセリル-2、テトラマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-2、トリカプリル酸ポリグリセリル-2、トリカプリン酸ポリグリセリル-2、トリラウリン酸ポリグリセリル-2、トリミリスチン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、トリマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-2、ジカプリル酸ポリグリセリル-2、ジカプリン酸ポリグリセリル-2、ジラウリン酸ポリグリセリル-2、ジミリスチン酸ポリグリセリル-2、ジステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジオレイン酸ポリグリセリル-2、ジマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-2である。
【0014】
より好ましくは、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトラオレイン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリオレイン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジオレイン酸ポリグリセリル-2である。これらは、ポリグリセリンの平均重合度や脂肪酸の種類を問わず、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の毛髪化粧料における、成分(a)の配合量は、0.1~20.0質量%、好ましくは0.5~10.0質量%である。成分(a)の脂肪酸が、イソステアリン酸又はオレイン酸であることが好ましく、毛髪乾燥後のしっとり感と柔らかさに加えて、光沢性の向上を達成することができ、透明な外観を持つ安定な毛髪化粧料を得ることができる。
【0015】
本発明における成分(b)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~50%未満エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルであり、より好ましくは、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~20%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルである。
例えば、ジカプリル酸ポリグリセリル-10であれば、ポリグリセリンの平均重合度(n)が10、エステル結合した脂肪酸が2となり、ポリグリセリンの平均重合度(n)に対する脂肪酸は、2/10=20%と計算される。
【0016】
具体的には例えば、ジカプリル酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル-10、ジラウリン酸ポリグリセリル-10、ジミリスチン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ジマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、カプリル酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、マカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、マカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-6、カプリル酸ポリグリセリル-4、カプリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ポリグリセリル-4、ミリスチン酸ポリグリセリル-4、ステアリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリグリセリル-4、マカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-4等が挙げられる。
【0017】
好ましくは、ジカプリル酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル-10、ジラウリン酸ポリグリセリル-10、ジミリスチン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、ジマカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、カプリル酸ポリグリセリル-10、カプリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、マカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-10、カプリル酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、マカデミアナッツ脂肪酸ポリグリセリル-6である。
【0018】
より好ましくは、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6である。これらは、ポリグリセリンの平均重合度や脂肪酸の種類を問わず、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の毛髪化粧料における、成分(b)の配合量は、0.1~20.0質量%、好ましくは0.5~10.0質量%である。成分(b)の脂肪酸が、イソステアリン酸又はオレイン酸であることが好ましく、毛髪乾燥後のしっとり感と柔らかさに加えて、光沢性の向上を達成することができ、透明な外観を持つ安定な毛髪化粧料を得ることができる。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(a)ポリグリセリンの平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の50~200%エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルに対する成分(b)ポリグリセリン平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~50%未満エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルの質量比率(b)/(a)は0.1~1であり、好ましくは0.2~0.5であり、より好ましくは0.25~0.4である。質量比率(b)/(a)が0.1を割る場合には、成分(b)の割合が少なくなるため、毛髪表面の光沢性が劣る。質量比率(b)/(a)が1を超える場合には、成分(b)の割合が多くなるため、毛髪乾燥後の感触が劣る。具体的には、指通りが悪く、べたつく状態である。成分(a)と成分(b)の質量比率(b)/(a)を0.1~1とすることで、毛髪乾燥後の感触を向上させることができる。本発明の毛髪化粧料における、成分(a)と成分(b)の総量(a)+(b)は0.2質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
【0020】
本発明における成分(c)油脂としては、特に限定されない。例えば、ローズ油やラベンダー油等の天然由来の精油、オリーブ油やホホバ油等の植物油脂や動物油脂等の油脂類、ラウリン酸メチルヘプチル(製品名:NIKKOL GS-HML、日光ケミカルズ社製)等のエステル油、スクワラン(製品名:NIKKOL シュガースクワラン、日光ケミカルズ社製)や水添ファルネセン(製品名:NEOSSANCE HEMISQUALANE HF、日光ケミカルズ社製)等の炭化水素油、イソドデカンや水添ポリイソブテンなどの揮発性炭化水素油、香料等が挙げられる。シア脂やマンゴー種子脂等の固体または半固体の油脂類は、他の液状油と混合溶解または加温溶解して使用することができる。これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の毛髪化粧料における、成分(c)の配合量は、1.0~98.0質量%、好ましくは5.0~95.0質量%である。
【0021】
本発明の成分(c)油脂は、配合する油脂の種類によって毛髪乾燥後の感触が異なり、例えば水添ポリイソブテンやイソドデカンなどの揮発性炭化水素油はドライヤーで加熱すると毛髪表面から蒸発するため、他の油脂やポリグリセリン脂肪酸エステルの効果を高めることができる。また、アボカド油やヒマワリ油などの植物油、スクワランやミネラルオイルなどの炭化水素油は揮発性がないため、毛髪に束感やセット性を付与することができる。油脂が未配合の場合に比べ、油脂を配合した場合に、毛髪乾燥後の感触が良好であることから、適度な配合量で様々な感触を実現することができる。
【0022】
本発明の成分(c)油脂は、90%以上が揮発性油であるであることが好ましく、揮発性油がドライヤーなどの熱によって揮発させた後に、成分(a)や成分(b)が均一に毛髪表面に残ることで、コンディショニング性と光沢性を付与できる処方設計に適している。さらに、揮発性油以外の油脂は、再生可能な植物性の成分を積極的に配合することで、ヒトや環境の健康を配慮した製剤開発に応用することができる。
【0023】
本発明の毛髪化粧料は、シリコーン油を含まないことが好ましい。シリコーン油は、毛髪乾燥後の感触を滑らかにする、汎用性の高い液状油の一つであるが、環状性シリコーン化合物(シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン)の使用規制が強化されており、EUでは「使用後に水で洗い流される化粧品」の販売が禁止された。今後、ますます他の成分に代替される可能性が高いため、本発明の毛髪化粧料においては、再生可能な植物性の液状油を配合することが好ましい。
【0024】
本発明における成分(d)水としては、特に限定されず、精製水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料における、成分(d)の配合量は、0.01~95.0質量%、好ましくは0.2~90.0質量%である。
本発明の成分(d)水は、成分(b)ポリグリセリン平均重合度(n)に対して脂肪酸が(n)の10~50%未満エステル結合したポリグリセリン脂肪酸エステルによる白濁または沈殿を抑えるために配合される。
【0025】
本発明の毛髪化粧料は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて使用することで、毛髪乾燥後のしっとり感と柔らかさに加えて、光沢性の向上を達成することができる。
【0026】
さらに、本発明の毛髪化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲において、ヘアトリートメントなどの毛髪化粧料に含まれる汎用性の高い成分を添加することができる。例えば、水添レシチン(製品名:NIKKOL レシノール S-10M PLUS、日光ケミカルズ社製)などのレシチン誘導体、ステアリン酸グリセリル(製品名:NIKKOL MGS-AV、日光ケミカルズ社製)などのグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ソルビタン(製品名:NIKKOL SI-10RV、日光ケミカルズ社製)などのソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート80(製品名:NIKKOL TO-10V、日光ケミカルズ社製)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、PEG-30フィトステロール(製品名:NIKKOL BPS-30、日光ケミカルズ社製)などのポリオキシアルキレンステロール、ベヘネスー30(製品名:NIKKOL BB-30、日光ケミカルズ社製)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル、リン酸セチル(製品名:NIKKOL ピュアフォスα、日光ケミカルズ社製)などのモノアルキルリン酸、グリセリンやDPGなどのポリオール類、ポリクオタニウム-10やグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性高分子、クエン酸やアルギニンなどのpH緩衝剤、安息香酸Naやフェノキシエタノールなどの防腐剤、加水分解タンパク、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0027】
本発明の毛髪化粧料の剤形は特に限定されるものではないが、ヘアオイルが好ましい。その他に、シャンプーやコンディショナーなどのインバス製剤、ヘアクリームやヘアジェル、ヘアミストなどのアウトバス製剤、染毛剤、縮毛矯正剤、多剤式トリートメント製剤などの毛髪化粧料に応用することができる。
【0028】
さらに、本発明の毛髪化粧料は、透明な外観を安定に維持することができる。本発明の透明とは、試料調整翌日の外観性状を目視で観察し、白濁や沈殿を生じることなく、均一に透明であること。さらに、紫外可視分光光度計(製品名:Jasco V-650、日本分光社製)を用いて、室温で固定波長測定(620nm)を行い、透過率が99.5%以上を「透明」とする。
【0029】
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の例において、配合量の記載は特に断りのない限り質量%を意味する。
【実施例0030】
1.試料の調製
表1および2に示される発明品および比較品をそれぞれ調製し、各評価を実施した。
A相およびB相をそれぞれ均一に混合し、B相をA相に加え、均一に混合し、本発明品及び比較品とした。
【0031】
成分(a)として、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 10-ISV、日光ケミカルズ社製)、デカオレイン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 10-OV、日光ケミカルズ社製)、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Hexaglyn 5-ISV、日光ケミカルズ社製)、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Hexaglyn 5-OV、日光ケミカルズ社製)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(製品名:NIKKOL DGTIS、日光ケミカルズ社製)、イソステアリン酸ポリグリセリル-2(製品名:NIKKOL DGMIS、日光ケミカルズ社製)をそれぞれB相に配合した。
【0032】
成分(b)として、イソステアリン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 1-ISV、日光ケミカルズ社製)、オレイン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 1-OV、日光ケミカルズ社製)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 2-ISV、日光ケミカルズ社製)、トリオレイン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 3-OV、日光ケミカルズ社製)、オレイン酸ポリグリセリル-6(製品名:NIKKOL Hexaglyn 1-OV、日光ケミカルズ社製)、オレイン酸ポリグリセリル-4(製品名:NIKKOL Tetraglyn 1-OV、日光ケミカルズ社製)をそれぞれA相に配合した。
【0033】
成分(c)として、スクワラン(製品名:NIKKOL シュガースクワラン、日光ケミカルズ社製)、イソドデカン(製品名:パーメチル99A、日本光研工業社製)をB相に配合した。
【0034】
2.透明性評価
上記1.で調製した試料を用い、透明性を評価した。溶解性は、試料調製の翌日の溶液の外観を目視で観察し、均一に透明であるものを〇、白濁または沈殿が生じたものを×とした。さらに、紫外可視分光光度計(製品名:Jasco V-650、日本分光社製)を用いて、室温で固定波長測定(620nm)を行い、透過率が99.5%以上を「透明」とした。結果を表1および2に示した。
【0035】
3.使用感評価
上記1.で調製した試料を用い、その使用感を評価した。
専門の官能評価者による評価を行った結果、良好なものを〇、良好ではないものを×とした。結果を表1および2に示した。
評価項目:
(1)毛髪乾燥後のしっとり感
(2)毛髪乾燥後の柔らかさ
(3)毛髪乾燥後の光沢性
【0036】
4.結果
表1および2より、成分(a)に対する成分(b)の質量比率が0.1~1の範囲において、透明性、使用感の全てにおいて優れた結果を示した。
【0037】
【0038】
【0039】
以下に、本発明の応用例を示す。配合量は質量%である。処方例1~3は、実施例に記載の方法にて評価を行い、透明性及び使用感において優れた結果を得た。
【0040】
処方例1:ヘアオイル
(A)ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10 1.00(質量%)
加水分解コラーゲン 0.04
水 0.16
(B)イソドデカン 残余(合計100へ)
アボカド油 5.00
デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10 2.00
香料 0.50
調製方法:室温でA相およびB相をそれぞれ均一に混合し、B相をA相に加え、均一に混合する。
【0041】
処方例2:ヘアジェル
(A)エタノール 10.0(質量%)
プロパンジオール 5.0
(ビニルピロリドン/VA)コポリマー 1.8
ヒドロキシエチルセルロース 0.9
ポリクオタニウム-11 0.4
加水分解シルク 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸Na 0.1
フェノキシエタノール 0.5
水 残余(合計100へ)
(B)ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10 0.5
オレイン酸ポリグリセリル-6 0.5
香料 0.1
調製方法:室温でA相およびB相をそれぞれ均一に混合し、B相をA相に加え、均一に混合する。
粘度:9,220mPa・s
pH:5.56
【0042】
処方例3:シャンプー
(A)ポリクオタニウム-10 0.50(質量%)
コカミドプロピルベタイン 5.00
ラウリルベタイン 1.50
加水分解ケラチン 0.20
クエン酸 0.10
クエン酸ナトリウム 0.01
フェノキシエタノール 0.50
水 残余(合計100へ)
(B)ココイルメチルタウリンNa 5.00
ラウロイルメチルアラニンNa 1.50
(カプリリル/カプリル)グルコシド 0.50
(C)ラウリン酸PG 2.00
ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10 0.50
オレイン酸ポリグリセリル-4 0.50
香料 0.60
調製方法:80℃でA相を均一に混合し、B相をA相に添加し、50℃以下でC相を添加後、均一になるまで混合する。
粘度:2,100mPa・s
pH:6.45
本発明によれば、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて使用することで、毛髪乾燥後のしっとり感と柔らかさに加えて、光沢性の向上を達成することができるのでいろいろなタイプの毛髪化粧料への利用が可能である。