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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093821
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】座屈拘束ブレース
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
E04B1/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208889
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】岡本 勇紀
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA33
2E125AC01
2E125AC14
(57)【要約】
【課題】芯材の各面に対向して拘束材が配置される座屈拘束ブレースにおいて、簡単な構造で高い耐力を保持させる。
【解決手段】座屈拘束ブレース1は、細長い板状体21の長手方向の両端側に接合部22を有する芯材2と、この芯材2の各面に対向して配置された一対の拘束材3とを有する。上記拘束材3は、上記芯材2の位置する側に開口を有するとともに上記接合部22と重なる両端側箇所に当該接合部22との干渉を避ける凹入部31bを有する箱状部材31と、上記箱状部材31内に充填されて硬化した硬化部材32と、上記硬化部材32内に配置された金属製補強材33と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い板状体の長手方向の両端側に接合部を有する芯材と、この芯材の各面に対向して配置された一対の拘束材と、を有する座屈拘束ブレースにおいて、
上記拘束材は、
上記芯材の位置する側に形成された開口と、上記接合部と重なる両端側箇所の中央側において当該接合部との干渉を避けるように形成された凹入部と、を有する箱状部材と、
上記箱状部材内に充填されて硬化した硬化部材と、
上記硬化部材内に配置された金属製補強材と、
を備えることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項2】
請求項1に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記金属製補強材は、上記箱状部材の各端側箇所の上記凹入部外に位置する端側補強部と、上記箱状部材の非端側箇所に位置する中央側補強部と、を有することを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項3】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記端側補強部と上記中央側補強部とが一体であることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項4】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記端側補強部と上記中央側補強部とが別体であり、上記端側補強部が上記中央側補強部の側に延設されて互いに重なっていることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項5】
請求項2に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記端側補強部と上記中央側補強部とが同一幅で一体とされた帯状の金属製補強材が2枚隣接して配置されていることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項6】
請求項5に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記箱状部材の非端側箇所で上記帯状の2枚の金属製補強材を跨いで別の金属製補強材が設けられていることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項7】
請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記硬化部材における上記芯材側の表面と上記端側補強部との間隔をD1、上記硬化部材における上記芯材側の表面と上記中央側補強部との間隔をD2とすると、D1<D2であることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項8】
請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の座屈拘束ブレースにおいて、上記中央側補強部は、上記芯材の長手方向に、当該芯材に対して近接と離間を繰り返す波形状を有しており、上記芯材の圧縮による波状変形の振幅の頂部予測位置に対して上記中央側補強部の波形状の振幅の頂部箇所が対向していることを特徴とする座屈拘束ブレース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、細長い板状体の長手方向の両端側に接合部を有する芯材と、この芯材の各面に対向して配置された一対の拘束材と、を有する座屈拘束ブレースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、芯材と、上記芯材の周囲に設けられ、上記芯材との間でアンボンド処理がなされる座屈拘束材としての鉄筋コンクリートと、を具備し、上記鉄筋コンクリートには、帯筋が、上記断面欠損部に対応する位置において、それ以外の部分よりも密に配置される座屈拘束ブレースが開示されている。
【0003】
特許文献2には、芯材と、この芯材の両面に沿って配置した一対の拘束材とを有する座屈拘束ブレースが開示されている。上記一対の拘束材は、それぞれ上記芯材側が開口した溝形鋼材と、この溝形鋼材内に充填したモルタルまたはコンクリートを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-168984号公報
【特許文献2】特開2009-249833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される座屈拘束ブレースでは、芯材の周囲を鉄筋で囲う構造であるため、製作が容易でないという欠点がある。一方、特許文献2に開示される座屈拘束ブレースにおいて、特許文献1に示される補強構造を採用することは困難である。
【0006】
この発明は、芯材の各面に対向して拘束材が配置される座屈拘束ブレースにおいて、簡単な構造で高い耐力を保持させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の座屈拘束ブレースは、細長い板状体の長手方向の両端側に接合部を有する芯材と、この芯材の各面に対向して配置された一対の拘束材と、を有する座屈拘束ブレースにおいて、
上記拘束材は、
上記芯材の位置する側に形成された開口と、上記接合部と重なる両端側箇所の中央側において当該接合部との干渉を避けるように形成された凹入部と、を有する箱状部材と、
上記箱状部材内に充填されて硬化した硬化部材と、
上記硬化部材内に配置された金属製補強材と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、上記硬化部材内に上記金属製補強材が配置されているので、座屈拘束ブレースの耐力を高めることができる。また、芯材の周囲を金属製補強材で囲うのではなく、上記芯材を上記金属製補強材でサンドイッチ状に挟む構造となるので、構造が簡単で製作が容易になる。
【0009】
上記金属製補強材は、上記箱状部材の各端側箇所の上記凹入部外に位置する端側補強部と、上記箱状部材の非端側箇所に位置する中央側補強部と、を有してもよい。これによれば、上記金属製補強材として上記中央側補強部のみを備える形態に比べて、座屈拘束ブレースの搬送時における上記箱状部材の各端側箇所に位置する上記硬化部材の割れを抑制することができる。
【0010】
上記端側補強部と上記中央側補強部とが一体であってもよい。これによれば、例えば、金属製補強材の長手方向の端部の中央側の一部をカットして凹状形とする加工が必要となるものの、当該金属製補強材の各箱状部材への配置が1枚で済むという利点がある。
【0011】
或いは、上記端側補強部と上記中央側補強部とが別体であり、上記端側補強部が上記中央側補強部の側に延設されて互いに重なっていてもよい。これによれば、一定型の四角形の金属製補強材を複数枚組み合わせて上記箱状部材へ配置すればよいので、上記のような金属製補強材の凹状加工が不要になる。
【0012】
或いは、上記端側補強部と上記中央側補強部とが同一幅で一体とされた帯状の金属製補強材が2枚隣接して配置されていてもよい。これによれば、上記のような金属製補強材の凹状加工を不要にでき、しかも1種類の帯状の金属製補強材を2枚上記箱状部材内に配置すればよいので、製作が容易である。
【0013】
上記箱状部材の非端側箇所で上記帯状の2枚の金属製補強材を跨いで別の金属製補強材が設けられていてもよい。これによれば、上記帯状の2枚の金属製補強材が上記別の金属製補強材で継がれるので、拘束材の耐力がより向上する。
【0014】
上記硬化部材における上記芯材側の表面と上記端側補強部との間隔をD1、上記硬化部材における上記芯材側の表面と上記中央側補強部との間隔をD2とすると、D1<D2であってもよい。これによれば、拘束材の中央側での曲げ剛性を向上する一方で、拘束材の各端側において上記硬化部材の破損抑制が図れる。
【0015】
上記中央側補強部が、上記芯材の長手方向に、当該芯材に対して近接と離間を繰り返す波形状を有しており、上記芯材の圧縮による波状変形の振幅の頂部予測位置に対して上記中央側補強部の波形状の振幅の頂部箇所が対向していてもよい。これによれば、上記芯材の上記頂部予測位置に対する上記硬化部材の耐力向上(局部耐力向上)と、上記芯材の上記頂部予測位置以外の個所での曲げ剛性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、座屈拘束ブレースの耐力を向上できる等の諸効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の座屈拘束ブレースの外観を示した斜視図である。
図2図1の座屈拘束ブレースの概略の断面図である。
図3図1の座屈拘束ブレースの分解説明図である。
図4図1の座屈拘束ブレースの拘束材の製作過程の一部を示した説明図である。
図5図1の座屈拘束ブレースの変形例を示した分解説明図である。
図6】同図(A)は、図5の座屈拘束ブレースの端部側の概略の断面図であり、同図(B)は、同座屈拘束ブレースの中央側の概略の断面図である。
図7】他の実施形態の座屈拘束ブレースの分解説明図である。
図8図7の座屈拘束ブレースの変形例を示した分解説明図である。
図9】他の実施形態の座屈拘束ブレースの分解説明図である。
図10図9の座屈拘束ブレースの変形例を示した分解説明図である。
図11】他の実施形態の座屈拘束ブレースを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。この実施形態の座屈拘束ブレース1は、図1および図2に示すように、芯材2と、この芯材2を挟み込むように配置された一対の拘束材3と、を有する。
【0019】
芯材2は、細長い形状の鋼製の板状体21と、この板状体21の両端側に位置する接合部22とを有しており、上記接合部22に形成されているボルト挿通孔に通したボルトによって建物の躯体に固定される。上記接合部22は、上記板状体21の両端から延設された延設部分22aに対して直交配置で板片部22bが溶接固定されることで断面略十字形をなしている。そして、上記ボルト挿通孔が形成されない上記板片部22bにおける上記板状体21の中心方向に延びている部分は、当該板片部22bにおける上記ボルト挿通孔が形成されている部分の突出高さよりも低くされている。
【0020】
各拘束材3は、図3にも示すように、上記芯材2の上記板状体21の両面にそれぞれ対向して配置される。各拘束材3は、箱状部材31と、硬化部材32と、金属製補強材33と、を備える。なお、金属製補強材33は、図2に示したように、箱状部材31内で硬化部材32によって埋設されるが、図3では、便宜上、箱状部材31から金属製補強材33を抜き出して二点鎖線で示している。他の実施形態の説明においても同様に作図した図面を用いる。
【0021】
各箱状部材31は、一対の対向面部と当該対向面部を繋ぐ繋ぎ面部とを有する溝形鋼状に折り曲げ加工された鋼板からなり、上記芯材2側に開口が位置している。上記箱状部材31における上記対向面部の一方側は、他方側よりも高さが高くされている。そして、一方の箱状部材31における高い側の対向面部は、他方の箱状部材31における低い側の対向面部の外側に重なっており、この重なりの個所が溶接されることで、上記一対の拘束材3が互いに固定される。また、各箱状部材31の高い側の対向面部の内面における芯材2の配置される高さ相当位置には、当該箱状部材31の長手方向に長い棒状スペーサ35が溶接等により固定されている。上記棒状スペーサ35が介在することで、上記芯材2の幅方向のずれ動きが規制される。
【0022】
また、上記箱状部材31の両端箇所には、当該箱状部材31の端部形状を形成する壁部31aが溶接固定されている。上記壁部31aの高さは、箱状部材31の低い側の対向面部の高さと同じである。上記壁部31aの中央には、上記接合部22の板片部22bにおける上記の高さが低くされた部分との干渉を避けるように凹むことで凹入部31bが形成されている。
【0023】
上記硬化部材32は、上記箱状部材31内に充填されて硬化したものであり、例えば、モルタルまたはコンクリートである。
【0024】
上記金属製補強材33は、上記硬化部材32内に埋設されており、硬化した硬化部材32と一体化している。また、上記金属製補強材33は、上記箱状部材31の各端側箇所の上記凹入部31b外に位置する端側補強部33aと、上記箱状部材31の非端側箇所に位置する中央側補強部33bと、を一体的に備える。上記金属製補強材33は、例えば、溶接金網または鉄筋格子である。ただし、編み上げられた製品としての鉄筋格子等を利用することに限らず、拘束材3の作製工程上で鋼棒等を縦横に組んで金属製補強材33を得るようにしてもよい。
【0025】
各端側補強部33aの幅は、上記箱状部材31の縁と上記凹入部31bとの間の幅程度とされる。また、各端側補強部33aの長さは、上記凹入部31bの入り込み長さよりも長くされる。中央側補強部33bの幅は、上記箱状部材31の内幅と同程度の幅とされる。なお、上記金属製補強材33は、拘束部材3の形状に合った細長い四角形の溶接金網等を用いる場合、当該溶接金網等の端部中央側を、上記凹入部31bの形状に合わせて切断加工することにより作製することができる。
【0026】
上記芯材2の中央箇所には、当該芯材2の両面から突出するピン状のずれ止め突起が設けられている一方、上記箱状部材31の内面側には、上記ずれ止め突起を受ける受金物が固定されている。上記金属製補強材33である溶接金網等における網目の大きさは、上記受金物よりも大きくされる。
【0027】
次に、上記座屈拘束ブレース1における拘束材3の作製方法を簡単に説明する。図4(A)に示すように、上記箱状部材31を、その開口側を上に向けて配置し、上記金属製補強材33を上記箱状部材31内にセットする。このとき、上記箱状部材31内に、当該箱状部材31の繋ぎ面部の内面からの上記金属製補強材33の離間距離を規定する寸法を有するモルタルスペーサー(モルタルサイコロ)等を配置し、この上に上記金属製補強材33を置く。そして、図4(B)に示すように、上記硬化部材32であるモルタル等を、上記箱状部材31内に投入し、硬化させる。なお、上記金属製補強材33上には、上記硬化部材32を、所定のかぶり厚で存在させるようにする。
【0028】
上記の構成であれば、上記硬化部材32内に上記金属製補強材33が配置されているので、座屈拘束ブレース1の耐力を高めることができる。また、芯材の周囲を金属製補強材で囲うのではなく、上記芯材2を上記金属製補強材33でサンドイッチ状に挟む構造となるので、構造が簡単で製作が容易になる。
【0029】
また、この実施形態では、上記金属製補強材33が、上記箱状部材31の各端側箇所に位置する端側補強部33aと、上記箱状部材31の非端側箇所に位置する中央側補強部33bと、を有する。これにより、上記金属製補強材33として上記中央側補強部33bのみを備える構成に比べて、当該座屈拘束ブレース1の搬送時における上記箱状部材31の各端側に位置する硬化部材32の割れを抑制することができる。
【0030】
さらに、この実施形態では、上記端側補強部33aと上記中央側補強部33bとが一体であるため、上記のように、上記金属製補強材33の長手方向の端部の中央側の一部をカットして凹状形に加工することが必要となるものの、各箱状部材31において当該金属製補強材33を1枚配置すれば済むため、上記箱状部材31への配置作業が簡単に行える利点がある。
【0031】
ここで、図2に示したように、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記金属製補強材33との間隔をD0とした場合、この間隔D0が大きいと、拘束材3の曲げ剛性を向上させることができる。一方、上記間隔D0が小さいと、芯材2の圧縮時の局部変形に対す拘束材3の耐力向上および上記硬化部材32の割れの抑制を図ることができる。なお、上記間隔D0を小さくする場合でも、上記金属製補強材33に対する上記硬化部材32のかぶり厚を確保する。
【0032】
次に、実施形態1の変形例を、図5図6(A)および図6(B)に基づいて説明する。この変形例に係る座屈拘束ブレース1の金属製補強材33においては、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記端側補強部33aとの間隔をD1、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記中央側補強部33bとの間隔をD2とすると、これらD1とD2を相違させている。特に、この変形例では、D1<D2であり、端側補強部33aは芯材2の近くに位置しており、中央側補強部33bは芯材2から遠く離れて位置する。
【0033】
上記金属製補強材33が芯材2の近くに位置する領域となる端側補強部33aの配置領域では、上記硬化部材32の割れの抑制に優位となる。すなわち、上記硬化部材32の割れは、上記凹入部31bの近傍で生じ易く、上記端側補強部33aが芯材2に近づいて位置することで、上記割れの抑制が図れる。一方、金属製補強材33が芯材2から遠くに位置する中央側補強部33bの配置領域では、拘束材3の曲げ剛性が向上する。
【0034】
なお、この実施形態1の変形例では、上記金属製補強材33が略台形状に曲げ形成されたが、これに限らず、上記金属製補強材33は略三角形状(山形状)に曲げ形成されてもよい。
【0035】
(実施形態2)
以下、この発明の他の実施の形態を図7に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。この実施形態の座屈拘束ブレース1における金属製補強材33においては、端側補強部33aと中央側補強部33bとが別体である。
【0036】
上記中央側補強部33bの長さは、上記箱状部材31の非端側箇所内で上記凹入部31bに重ならない長さである。そして、上記端側補強部33aの長さは、上記壁部31aの端から凹入部31bの深さよりも幾分長くされている。すなわち、上記端側補強部33aが上記中央側補強部33bの方向に延設されてこれらが略同一平面内において互いに重なっている。
【0037】
この実施形態2の座屈拘束ブレース1であれば、上記金属製補強材33は、定型の4枚の小さな長方形状の端側補強部33aと、1枚の大きな長方形状の中央側補強部33bとから構成されるので、実施形態1で示したような切断加工が不要になる利点がある。
【0038】
次に、実施形態2の変形例を、図8に基づいて説明する。この変形例の座屈拘束ブレース1の金属製補強材33において、端側補強部33aの配置の高さ位置と中央側補強部33bの配置の高さ位置とが相違し、端側補強部33aと中央側補強部33bは立体的に一部が重なっている。すなわち、図6に示したのと同様に、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記端側補強部33aとの間隔をD1、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記中央側補強部33bとの間隔をD2とすると、これらD1とD2が相違している。特に、この変形例では、D1<D2であり、端側補強部33aは芯材2の近くに位置しており、中央側補強部33bは芯材2の遠くに位置している。
【0039】
なお、この変形例の座屈拘束ブレース1では、端側補強部33aと中央側補強部33bとは立体交差状に配置されて空き重ね継手となるので、金属製補強材33は丸鋼ではなく、異形鉄筋で作製されるのがよい。
【0040】
(実施形態3)
以下、この発明の他の実施の形態を図9に基づいて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0041】
この実施形態の座屈拘束ブレース1においては、端側補強部33aと中央側補強部33bとが同一幅(箱状部材31の縁と上記凹入部31bとの間の幅程度)で一体とされた帯状の金属製補強材33Aが2枚隣接して配置されている。上記2枚の金属製補強材33Aの間には、凹入部31bの幅と略同幅の隙間が生じるが、金属製補強材が全く配置されない構造に比べ、硬化部材32の割れ抑制や拘束材3の曲げ剛性の向上に寄与することができる。また、この実施形態の座屈拘束ブレース1であれば、金属製補強材に対する凹状形の加工が不要であり、1種類の帯状の2枚の金属製補強材33を箱状部材31内に配置する作業となるので、拘束材3の作製が容易になる。
【0042】
なお、この実施形態3の座屈拘束ブレース1においても実施形態1の変形例と同様、各金属製補強材33Aにおいて、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記端側補強部33aとの間隔と、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記中央側補強部33bとの間隔が相違するように、端側補強部33aを中央側補強部33bに対して折り曲げる加工を施してもよい。
【0043】
次に、実施形態3の変形例を、図10に基づいて説明する。この変形例の座屈拘束ブレース1においては、中央側補強部33bと略同じ長さの別の金属製補強材33Bが、上記箱状部材31の非端側箇所で上記2枚の金属製補強材33Aを当該金属製補強材33Aの配置平面と略同一の平面内で跨いで設けられている。これによれば、上記2枚の金属製補強材33Aが上記別の金属製補強材33Bで継がれるので、補強力が向上する。
【0044】
なお、この変形例の座屈拘束ブレース1において、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記金属製補強材33Aとの間隔をD3、上記硬化部材32における上記芯材2側の表面と上記別の金属製補強材33Bとの間隔をD4とすると、これらD3とD4とを相違させてもよい。例えば、D3<D4とし、上記金属製補強材33Aを芯材2の近くに位置させ、上記別の金属製補強材33Bを芯材2から遠くに離して位置させてもよい。
【0045】
(実施形態4)
以下、この発明の他の実施の形態を図11に基づいて説明する。なお、この実施形態の座屈拘束ブレース1の全体構成は、実施形態1等の座屈拘束ブレース1と同様である。相違点は、金属製補強材33(33A)の中央側補強部33bが、芯材2の長手方向に、当該芯材2に対して近接と離間を繰り返す一定波長の波形状を有している点である。具体的には、各中央側補強部33bにおける上記波形状の芯材2側の頂部箇所は、当該芯材2が圧縮力を受けて波形に変形する際の当該芯材2の頂部予測位置に対向する。このように、中央側補強部33bが一定波長の波形状を有することで、上記芯材2の上記頂部予測位置に対する上記硬化部材32の耐力向上(局部耐力向上)と、上記芯材2の上記頂部予測位置以外の個所での曲げ剛性の向上を図ることができる。
【0046】
なお、上記芯材2側の圧縮時の頂部予測位置(波長)は、当該芯材2の板厚等の設計値に基づいて計算をすることで得ることができる。
【0047】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 :座屈拘束ブレース
2 :芯材
3 :拘束材
21 :板状体
22 :接合部
22a :延設部分
22b :板片部
31 :箱状部材
31a :壁部
31b :凹入部
32 :硬化部材
33 :金属製補強材
33A :金属製補強材
33B :金属製補強材
33a :端側補強部
33b :中央側補強部
35 :棒状スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11