(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093826
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】オープンシールド機およびオープンシールド工法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/06 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
E21D9/06 331
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208898
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000189903
【氏名又は名称】植村 誠
(71)【出願人】
【識別番号】501200491
【氏名又は名称】植村 賢治郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(74)【代理人】
【識別番号】100186864
【弁理士】
【氏名又は名称】尾関 眞里子
(72)【発明者】
【氏名】植村 誠
(72)【発明者】
【氏名】植村 賢治郎
(72)【発明者】
【氏名】日浦 正一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 直雅
(72)【発明者】
【氏名】中村 仁久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】村澤 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】近田 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 元晶
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC16
(57)【要約】
【課題】オープンシールド機側部に埋め戻し土砂を投入充填して安定してオープンシールド機を推進させることができるとともに、埋め戻し土砂を効率よく埋め戻し箇所に投入できるオープンシールド機およびオープンシールド工法を提供する。
【解決手段】左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機1の前記左右側壁板1aに埋め戻し用シュート部材43を設け、または、埋め戻し用シュート部材43を左右側壁板1aに対向配置した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前記左右側壁板に埋め戻し用シュート部材を設け、または、埋め戻し用シュート部材を左右側壁板に対向配置したことを特徴とするオープンシールド機。
【請求項2】
埋め戻し用シュート部材は、オープンシールド機外側方向に傾斜する傾斜板による請求項1記載のオープンシールド機。
【請求項3】
機体を前後方向でフロント機とテール機に分割し、フロント機の後端にテール機の前端が嵌入して相互の嵌合部で中折れ部を形成して屈曲可能としたオープンシールド機のフロント機の側頂部に埋め戻し用シュート部材を支持枠を介してボルトまたは溶接で固定した請求項1または請求項2記載のオープンシールド機。
【請求項4】
傾斜板はオープンシールド機のフロント機の側頂部に立設する支持壁にクランプにより着脱自在に設ける請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のオープンシールド機。
【請求項5】
傾斜板はホッパーの構成部材であり、埋め戻し用シュート部材をホッパーとした請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオープンシールド機。
【請求項6】
傾斜板は下端を丁番構造で固定し、傾斜角度調整可能とした請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオープンシールド機。
【請求項7】
前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たな敷設コンクリート函体を吊り降して既設敷設コンクリート函体に接合する据え付け工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、
左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前記左右側壁板に埋め戻し用シュート部材を設け、または、埋め戻し用シュート部材を左右側壁板に対向配置し、埋め戻し土砂を該埋め戻し用シュート部材投入して、オープンシールド機側部に発生する地山の空隙を充填することを特徴としたオープンシールド工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンシールド機およびオープンシールド工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オープンシールド工法は、開削工法(オープンカット工法)とシールド工法の長所を生かした合理性に富む工法で
図22~
図36にその概略を示す。
【0003】
図中1はオープンシールド機で、
図25、
図26に示すように左右の側壁板1aとこれら側壁板1aに連結する底板1bとからなる前面、後面及び上面を開口したシールド機である。
【0004】
該オープンシールド機1は前記側壁板1aと底板1bの先端を刃口2として形成し、また側壁板1aの中央又は後端近くに推進ジャッキ3を後方に向け上下に並べて配設する。
【0005】
また、オープンシールド機1は機体を前後方向でフロント機22とテール機23に分割し、フロント機22の後端にテール機23の前端が嵌入して相互の嵌合部で中折れ部を形成して屈曲可能とした。この中折れ部には中折ジャッキ23aを配設する。
【0006】
フロント機22は主に掘削部となるものであり、テール機23は推進ジャッキ3を配置し、コンクリート函体の吊り降し設置部としてのテール部23aとなる。
【0007】
図中17はフロント機22の前端に設けたスライド土留板のスライドジャッキ、30はH形鋼材等を用いた押角(プレスバー)である。27はオープンシールド機1の掘進に伴いテール機23から函体4が抜け出たときの土留板であり、この内側で函体4の上部の埋戻しを行う。
【0008】
オープンシールド工法の概略の工程は、まず、第27図に示すように、発進立坑8内でオープンシールド機を所定の位置で組立て、組み立てた後、オープンシールド機1の推進ジャッキ3を伸長して発進立坑内の反力壁9に反力をとってオープンシールド機1を前進させ、地中構造物を形成する第1番目のコンクリート函体4を上方から吊り降し、オープンシールド機1のテール部23a内で縮めた推進ジャッキ3の後方にセットする。
【0009】
発進立坑8内で順次布設する函体4はオープンシールド機1が前方へ推進し、発進立坑8から出た後、所定の距離まで推進しオープンシールド機の推進力が発進立坑8内の反力壁9まで伝達しなくなるまで反力伝達材として仮に布設しておく函体で、反力壁9に推進反力が伝達されなくなった時点で撤去する。
【0010】
また、発進立坑8は土留壁で構成され、オープンシールド機1を発進させるにはこの前面の土留壁の一部鏡切りするが、必要に応じて薬液注入等で発進立坑8の前方部分に地盤改良11を施しておくこともある。
【0011】
次いで、発進立坑8の前面の土留壁の一部を鏡切り後、
図28に示すように、ショベル等の掘削機6でオープンシールド機1の前面の地山を上面から土砂を掘削し排土する。
【0012】
この排土工程と同時に、またはその後に推進ジャッキ3を伸長してオープンシールド機1を前進させる。この前進工程の場合、コンクリート函体4の前にはボックス鋼材又は型鋼を用いた枠体よりなるプレスバー(押角)30(
図25,
図26参照)を配設する。
【0013】
そしてオープンシールド機1が1函体の長さ分、前方に前進後、前記第1番目のコンクリート函体4の前に第2番目のコンクリート函体4を、
図29に示すように揚重機31にてオープンシールド機1のテール部内に吊り降しセットする。
【0014】
以下、同様の掘削・排土工程、前進工程、コンクリート函体4のセット工程を適宜繰返して、順次コンクリート函体4をオープンシールド機1の前進に伴い縦列に地中に残置し、
図30に示すように、このコンクリート函体4の上面に埋戻し5を施し、その表面に舗装12を施す。
【0015】
なお、コンクリート函体4のセット工程ではコンクリート函体4をテール機内にセット後、裏込注入材35を一次注入として、オープンシールド機1の掘削・排土工程、前進工程に伴って地中に発生する空隙に裏込注入材35を二次注入として充填する。
【0016】
以上により、オープンシールド機1が到達坑13まで達したならばこれを撤去して工事を完了する。
【0017】
コンクリート函体4は鉄筋コンクリート製で、
図32に示すように左側板4a、右側板4bと上床板4cと下床板4dとからなる一体のもので、図示はしていないが、グラウトホール34が設けてある。前後面は開口として開放されている。
【0018】
前記先行技術は当業者間で一般的に行なわれているものであり、文献公知発明にかかるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
図33~
図36および
図37に示すように、オープンシールド工法では、軟弱粘性土地盤や砂地盤だけでなく、地盤中に玉石55を含んだ砂礫地盤を施工する場合も多い。
【0020】
特に玉石混じり砂礫地盤などで、オープンシールド機1の掘削断面に大きな玉石がかかる場合などでは、玉石を含む部分の地山を掘削して玉石を撤去しながらシールド機1を掘進せざるを得ず、オープンシールド機1の側部を大きく掘削しなければならない。
【0021】
このため、玉石を撤去後オープンシールド機1が掘進すると、玉石除去箇所上部が過掘り状態の空隙となり、地山が崩壊する危険性が大きくなる恐れがある。
【0022】
また、河川や水路の改修工事の場合で、例えば
図38に示すように既設石積開水路54の床を撤去しながらオープンシールド機1を掘進して施工する場合、河川側部部分と河床により安定していた河川構造物が河床の撤去により河川側部が不安定になり、河川側部や背面地山まで緩み、変状をきたす恐れが生じてくる。
【0023】
このため、前記いずれの場合もオープンシールド機側部において土砂、砂等を上部からバックホウにより投入し充填作業を行うが、発生した空隙等の幅が狭い場合には、掘削機のバケット幅が大きく、バケットに積み込んである埋め戻し土砂を空隙箇所に効率よく土砂を投入することができず、周囲に埋め戻し土砂が散乱してしまう。
【0024】
さらに、空隙充填までのタイムラグによる地山の緩みの影響が懸念される。また、周囲に散乱した埋め戻し土砂を投入する為の人力補助作業を要するので、非効率かつ不経済である。
【0025】
本発明の目的は前記不都合を解消し、オープンシールド機側部に埋め戻し土砂を投入充填して安定してオープンシールド機を推進させることができるとともに、埋め戻し土砂を効率よく埋め戻し箇所に投入できるオープンシールド機およびオープンシールド工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記目的を達成するため、本発明はオープンシールド機としては第1に、左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前記左右側壁板に埋め戻し用シュート部材を設け、または、埋め戻し用シュート部材を左右側壁板に対向配置したことを要旨とするものである。
【0027】
第2に、埋め戻し用シュート部材はオープンシールド機外側方向に傾斜する傾斜板によること、第3に、機体を前後方向でフロント機とテール機に分割し、フロント機の後端にテール機の前端が嵌入して相互の嵌合部で中折れ部を形成して屈曲可能としたオープンシールド機のフロント機の側頂部に埋め戻し用シュート部材を支持枠を介してボルトまたは溶接で固定したこと、第4に、傾斜板はオープンシールド機のフロント機の側頂部に立設する支持壁にクランプにより着脱自在に設けること、第5に、傾斜板はホッパーの構成部材であり、埋め戻し用シュート部材をホッパーとしたこと、第6に、傾斜板は下端を丁番構造で固定し、傾斜角度調整可能としたことを要旨とするものである。
【0028】
オープンシールド工法としては、前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たな敷設コンクリート函体を吊り降して既設敷設コンクリート函体に接合する据え付け工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、左右側壁板の内側に推進ジャッキを配設し、前面、後面及び上面を開口したオープンシールド機の前記左右側壁板に埋め戻し用シュート部材を設け、または、埋め戻し用シュート部材を左右側壁板に対向配置し、埋め戻し土砂を該埋め戻し用シュート部材投入して、オープンシールド機側部に発生する地山の空隙を充填することを要旨とするものである。
【0029】
請求項1および請求項7記載の本発明によれば、埋め戻し用シュート部材によりオープンシールド機側部の埋め戻しが必要な箇所に埋め戻しを行うので、土砂が回りに飛散することなく、埋め戻し箇所を効率良く埋め戻すことができる。
【0030】
請求項2記載の本発明によれば、埋め戻し用シュート部材はオープンシールド機外側方向に傾斜する傾斜板によるので、投入する土砂は傾斜板をすべり降りて埋め戻し箇所に効率良く埋め戻される。
【0031】
請求項3記載の本発明によれば、埋め戻し用シュート部材はオープンシールド機のフロント機の側頂部にボルトまたは溶接にて固定するので、土砂投入による衝撃や土砂投入時に埋め戻し重機のバケットが接触しても転倒することがない。
【0032】
また、ボルトの場合は着脱可能となり、オープンシールド機掘進時に埋戻し用シュート部材が一時的に支障となるような場合などでは、一時的に埋戻し用シュート部材を撤去し、その後、再度、固定して埋戻し作業を再開できる。
【0033】
請求項4記載の本発明によれば、埋戻し用シュート部材は傾斜板はオープンシールド機のフロント機の側頂部に立設する支持壁にクランプにより着脱自在に設けたので、着脱が容易であり、オープンシールド機側部の埋戻し作業がない場合やオープンシールド機の掘進時などで支障となることなどがある場合では、一次時的に撤去し、支障がなくなった場合に再度すぐに取り付けが可能である。
【0034】
請求項5記載の本発明によれば、傾斜板はホッパーの構成部材であり、埋め戻し用シュート部材をホッパーとしたので、より土砂の回への飛散を防止でき、また、汎用コンクリート打設用ホッパーを利用でき経済的である。
【0035】
請求項6記載の本発明によれば、傾斜板は下端を丁番構造で固定し、傾斜角度調整可能としたので、、埋め戻す空隙箇所の幅に応じて傾斜板の傾き角度を調整し、縄状部材で固定できるので、オープンシールド機側部の空隙箇所への埋め戻し土砂の飛散を防止できる。また、垂直にしておけば、オープンシールド機の側方に張り出さずに設置でき、オープンシールド機の掘進の邪魔になることもない。
【発明の効果】
【0036】
以上述べたように本発明のオープンシールド機およびオープンシールド工法は、、オープンシールド機側部に埋め戻し土砂を投入充填して安定してオープンシールド機を推進させることができるとともに、埋め戻し土砂を効率よく埋め戻し箇所に投入できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明のオープンシールド工法の1実施形態を示す平面図である。
【
図2】本発明のオープンシールド工法の1実施形態を示す縦断側面図である。
【
図3】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す側面図である。
【
図4】本発明のオープンシールド機の第1実施形態を示す縦断平面図である。
【
図7】本発明のオープンシールド機の第2実施形態を示す平面図である。
【
図10】本発明のオープンシールド機およびオープンシールド工法の第2実施形態を示す平面図である。
【
図12】本発明のオープンシールド機およびオープンシールド工法の第3実施形態を示す平面図である。
【
図15】本発明のオープンシールド機およびオープンシールド工法の第4実施形態を示す平面図である。
【
図18】本発明のオープンシールド機およびオープンシールド工法の第5実施形態を示す平面図である。
【
図20】本発明のオープンシールド機およびオープンシールド工法の第6実施形態を示す平面図である。
【
図22】オープンシールド工法の概要を示す平面図である。
【
図23】オープンシールド工法の概要を示す縦断側面図である。
【
図24】オープンシールド工法の概要を示す函体据え付け時の縦断側面である。
【
図27】オープンシールド工法の第1工程を示す側面図である。
【
図28】オープンシールド工法の第2工程を示す側面図である。
【
図29】オープンシールド工法の第3工程を示す側面図である。
【
図30】オープンシールド工法の第4工程を示す側面図である。
【
図31】オープンシールド工法の施工状況を示す斜視図である。
【
図32】オープンシールド工法に使用する函体図である。
【
図33】オープンシールド工法でオープンシールド機側部地山に発生した空隙の埋め戻し状況を示す側面図である。
【
図34】オープンシールド工法でオープンシールド機側部地山に発生した空隙の埋め戻し状況を示す平面図である。
【
図37】オープンシールド機側部地山の空隙発生状態を示す縦断正面図である。
【
図38】既設水路改修でオープンシールド機を用いて施工する現況を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のオープンシールド工法の1実施形態を示す平面図、
図2は同上縦断側面図で、前記従来例を示す
図22~
図36と同一構成要素には同一参照符号を付したものである。
【0039】
図中1はオープンシールド機1で、前記
図25、
図26で説明した通り、左右の側壁板1aとこれら側壁板1aに連結する底板1bとからなる前面、後面及び上面を開口したもので、機体を前後方向で複数に分割し、フロント機22の後端にテール機23の前端が嵌入して相互の嵌合部で中折れ部56を形成して屈曲可能としている。
【0040】
フロント機22の前記側壁板1aと底板1bの先端を刃口2として形成し、またテール機23の中折れ部56側に推進ジャッキ3を後方に向け、左右によせて、また上下複数段に配設した。
【0041】
フロント機22は主として掘削を行うもので、前端と上面を開放面としてあり、機体内で後部に後方へ向けて中折ジャッキ24を左右によせて、また上下複数段に配設した。
【0042】
オープンシールド機1を使用して施工するオープンシールド工法は、図示は省略するが、発進坑内にこのオープンシールド機1を設置して、シールド機1の推進ジャッキ3を伸長して発進坑内の反力壁に反力をとってシールド機1を前進させ、地下構造物を形成する第1番目のコンクリート函体4を上方から吊り降し、シールド機1のテール部内で縮めた推進ジャッキ3の後方にセットする。
【0043】
ショベル等の掘削機でオープンシールド機1の前面又は上面から土砂を掘削しかつ排土する。この排土工程と同時またはその後に推進ジャッキ3を伸長してオープンシールド機1を前進させる。
【0044】
そして前記第1番目のコンクリート函体4の前に第2番目のコンクリート函体4をシールド機1のテール部23a内に吊り降す。以下、同様の排土工程、前進工程、コンクリート函体4のセット工程を適宜繰返して、順次コンクリート函体4をオープンシールド機1の前進に伴い縦列に地中に残置し、オープンシールド機1のテール部23aの後方の土留め板27内にあるコンクリート函体4の上面に埋戻土を入れる。
【0045】
以上は、前記のオープンシールド工法の概略の工程を
図27~
図30で概説したとおりである。
【0046】
このようにして、オープンシールド機1が到達坑まで達したならばこれを撤去して工事を完了する。
【0047】
本発明は、オープンシールド機1の左右側壁板1aに埋め戻し用シュート部材43を設けた。
図5に示すように、埋め戻し用シュート部材43はオープンシールド機1の外側方向に傾斜する鋼製板材の傾斜板43aによるものである。
【0048】
この傾斜板43aは板材で鉛直方向にコの字に囲ってホッパー形式としてもよい。
【0049】
図8、
図9に示すように、傾斜板43aは鋼製のアングル状の支持枠45を介してオープンシールド機1のフロント機22側頂部にボルトまたは溶接にて固定する。
図9はボルトによる例、
図11は溶接による例を示す。
【0050】
図12~
図14はクランプ47により傾斜板43aをオープンシールド機1のフロント機22の側頂部に立設する支持壁46に着脱自在に設ける場合であり、該埋戻し用シュート部材43は支持壁46にクランプ47で取り付けられているので着脱が容易であり、オープンシールド機側部の埋戻し作業がない場合やオープンシールド機1の掘進時などで支障となることなどがある場合では、支持壁46だけを残して一次時的に撤去し、支障がなくなった場合に再度すぐに取り付けが可能である。
【0051】
本発明はオープンシールド機1の側部の地山の空隙または埋め戻しが必要な箇所に埋戻し用シュート部材43を設けるものであり、前記前面又は上面開口より前方の土砂を掘削排土する工程と、推進ジャッキを伸長してコンクリート函体を反力にしてシールド機を前進させる工程と、シールド機のテール部内で縮めた推進ジャッキの後方に新たな敷設コンクリート函体を吊り降して既設敷設コンクリート函体に接合する据え付け工程とを適宜繰り返して順次コンクリート函体を縦列に埋設するオープンシールド工法において、掘削機6のバケットに積み込んだ埋め戻し土砂を該埋め戻し用シュート部材43の直上から埋め戻し土砂を投入して、該シュート部材43内に投入された土砂は該シュート部材43内に設置されている傾斜板43aに沿って空隙箇所へ落とし込まれるので、オープンシールド機1内や周囲に飛散することなく埋め戻しを行える。
【0052】
なお、埋め戻し用シュート部材43は、オープンシールド機1のフロント機22側頂部に設けることで、オープンシールド機1の刃口で生じる空隙を優先して埋め戻すことができる。
【0053】
図15~
図17は傾斜板43aを傾斜角度調整可能とした場合であり、オープンシールド機1のフロント機22の側頂部に支柱49を設け、この支柱49の下端部に傾斜板43a下端を丁番構造で固定する。
【0054】
また、傾斜板43a上端はワイヤーやチェーン等の索条50で長さ調節可能に連結すれば、この索条50の長さを変更することで、傾斜板43aの角度は変わる。
【0055】
このようにして傾斜板43aの傾き角度を調節できるので、埋戻しを行う空隙箇所の幅が大きい場合は傾斜板43aを概ね鉛直にしてオープンシールド機1側へ埋戻し土砂が飛散しないようにできる。
【0056】
また、空隙幅が狭い場合は、該傾斜板43aの傾き角度を鉛直に対して大きくとるようにして固定すればよい。
【0057】
さらに、
図18,
図19に示すように埋め戻し用シュート部材43はオープンシールド機1の左右側壁板1aに対向配置ししてもよい。
【0058】
この場合埋め戻し用シュート部材43は、オープンシールド機1の左右側壁板1aの側部地山に直置となり、埋め戻し空隙箇所の長手方向の長さに応じて単独または少なくとも2つ以上を並べる。
【0059】
特に
図38に示すような既設水路改修箇所などで、埋め戻しする空隙箇所が長い場合などで、埋め戻し箇所側部に埋め戻し用バックホウが配置できる場合などで、迅速に埋め戻し作業ができる。
【0060】
また、このような施工条件の場合、埋め戻しが迅速に十分に行われていないと、オープンシールド機1の掘進に伴って行われる裏込注入材による二次注入により、裏込注入材が埋め戻し土と存置する河川側部との界面にそって前方へ流れ出てしまうおそれがある。
【0061】
特に、河川が曲線の場合、オープンシールド機1は曲線掘進を行うため、オープンシールド機1の中折れ部56を屈曲させる必要があるので、裏込注入材が該中折れ部56へ流れて流入し固化してしまうと中折れ部56が機能しなくなるおそれでてくる。
【0062】
前記傾斜板43aは板材で鉛直方向にコの字に囲ってホッパー形式としてもよいとしたが、
図20,
図21に示すように、既成の汎用コンクリートホッパー52を埋め戻し用シュート部材43として用いることも可能である。
【0063】
汎用コンクリートホッパー52は傾斜板43aを有する。
【0064】
支持枠等を介して汎用コンクリートホッパー52をオープンシールド機1のフロント機22の側頂部にボルトまたは溶接で取り付けるものであり、汎用コンクリートホッパー52は該ホッパーの下部に設けてある吐出口の開口の大きさハンドルにて調節できる。
【0065】
したがって、埋戻し箇所の空隙へ投入する土砂の量を調節しながら投入できるので、空隙幅が狭い場合に埋め戻し土を周囲に飛散させることなく効率よく埋め戻しができる。
【0066】
なお、以上の実施形態で、オープンシールド機側部に発生する地山の空隙箇所の幅や長さ、該空隙箇所の状況に応じて、2つ以上組み合わせて使用し埋め戻しを行うこともできる。
【符号の説明】
【0067】
1…オープンシールド機
1a…側壁板 1b…底板
2…刃口 3…推進ジャッキ(シールドジャッキ)
4…コンクリート函体 4a…左側板
4b…右側板 4c…上床板
4d…下床板 5…埋戻し
6…掘削機 7…残土搬出用ダンプトラック
8…発進立坑 9…反力壁
10…埋め戻し用バックホウ 11…地盤改良
12…舗装 13…到達坑
14…PC鋼棒 15…PC鋼線
16…可動分割刃口 17…スライドジャッキ
22…フロント機 23…テール機
23a…テール部 24…中折ジャッキ
25…裏込め注入プラント 26…グラウト配管
27…土留板 29…隔壁
30…プレスバー(押角) 31…揚重機
34…グラウトホール 35…裏込注入材
38…けん引ジャッキ 39…覆工板
40…埋め戻し用ダンプトラック 41…掘削機バケット
42…オープンシールド機側部地山の空隙発生箇所
43…埋め戻し用シュート部材 43a…傾斜板
44…ボルト 45…支持枠
46…支持壁 47…クランプ
49…支柱 50…索条
52…汎用コンクリートホッパー 54…既設石積開水路
55…玉石 56…中折れ部