(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093828
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】釣り竿のグリップおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A01K 87/08 20060101AFI20230628BHJP
A01K 87/00 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
A01K87/08 A
A01K87/00 630N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208903
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】513231661
【氏名又は名称】株式会社スタジオコンポジット
(74)【代理人】
【識別番号】100166132
【弁理士】
【氏名又は名称】木船 英雄
(72)【発明者】
【氏名】関口 一成
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA06
2B019AA09
2B019AC00
2B019AD04
(57)【要約】
【課題】製造が容易で且つ優れたフィット感と高い滑り止め効果を発揮できる新規な釣り竿のグリップおよびその製造方法の提供。
【解決手段】グリップ本体31と、そのグリップ本体31上に設けられた滑止部32とを有し、滑止部32は、グリップ本体31の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた複数の帯状凸層33と、この帯状凸層33の全体を覆うようにその上に密着して設けられた滑止層34とから構成する。これによって、滑止部32表面に形成された凹凸によって高い滑り止め効果を発揮しつつ、その凸部表面がフラットな帯状となるため、優れたフィット感を得ることができる。また、帯状凸層33は、熱収縮チューブをカットした環状帯部材Rによって簡単に形成できるため、製造も容易となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド上に設けられたグリップ本体と、当該グリップ本体上に設けられた滑止部とを有し、前記滑止部は、前記グリップ本体の当該グリップ本体上にその長手方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた複数の帯状凸層と、当該複数の帯状凸層の全体を覆うようにその上に密着して設けられた滑止層とを備えたことを特徴とする釣り竿用グリップ。
【請求項2】
請求項1に記載の釣り竿用グリップにおいて、
前記複数の帯状凸層は、前記グリップ本体の長手方向の幅が5~20mmの熱収縮リングからなることを特徴とする釣り竿用グリップ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の釣り竿用グリップにおいて、
前記滑止層は、長さが50~500mmの熱収縮チューブからなることを特徴とする釣り竿用グリップ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の釣り竿用グリップにおいて、
前記複数の帯状凸層のうち一部の帯状凸層の厚さが他の帯状凸層よりも大きくなっていることを特徴とする釣り竿用グリップ。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の釣り竿用グリップにおいて、
前記複数の帯状凸層は、その厚さが前記ロッドの先端側に位置する帯状凸層よりも前記ロッドの根元側に位置する帯状凸層のほうが大きくなっていることを特徴とする釣り竿用グリップ。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載の釣り竿用グリップにおいて、
前記複数の帯状凸層は、その厚さが前記ロッドの先端側に位置する帯状凸層よりも前記ロッドの根元側に位置する帯状凸層のほうが小さくなっていることを特徴とする釣り竿用グリップ。
【請求項7】
請求項1に記載の釣り竿用グリップの製造方法であって、
前記グリップ本体に、熱収縮チューブを所定幅にカットしてなる複数の環状帯部材をその長手方向に所定の間隔を隔てて嵌め込んだ後、当該各環状帯部材を加熱、収縮させて前記グリップ本体上に密着させて複数の帯状凸層を形成する帯状凸層形成工程と、
前記工程で前記グリップ本体上に形成した複数の帯状凸層上に、これら全体を覆うように熱収縮チューブからなる滑止部材を嵌め込んだ後、当該滑止部材を加熱、収縮させて前記グリップ本体上および前記複数の環状帯部材上に密着させて滑止層を形成する滑止層形成工程と、を含むことを特徴とする釣り竿用グリップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にフィッシング用の釣り竿に係り、特にそのグリップおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にフィッシング用の釣り竿のグリップ(握り柄)は、ロッド(竿本体)と連結されたグリップ本体の根元側を太くしたり、その上にゴムやコルクまたはスポンジなどの弾性部材からなるカバーで覆うことで、必要な機械的強度を発揮すると共にフィッシング中に竿が滑り落ちないようにしっかりと把持できるようになっている。また、弾力性や耐久性などを有するEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)や軽量で高強度なカーボン素材を用いたものもある。
【0003】
しかし、フィッシング中に水がかかったり手汗で濡れたりしてしまうと、一気にグリップ表面の摩擦力が低下して竿が滑り落ちてしまうことがある。そのため、市販されているもののなかには、そのグリップ表面にさらに凹凸を形成したり、エンボス加工したりして滑り止め効果をより高める工夫がなされているものもある。
【0004】
また、以下の特許文献1には、グリップ部本体の表面にエンボス形成基材を固定配置した後、その上を熱収縮チューブで被覆し、次いでそのチューブを加熱収縮せしめてチューブの表面に凹凸部を形成させることでグリップ部の滑り止め効果を図ったグリップ構造が提案されている。また、以下の特許文献2には、グリップ基材の外周面に凧糸のような紐状部材を螺旋状に巻き付けて仮固定し、その上に熱収縮性のラバー材料からなるスリーブ状のグリップラバーで覆ってからそのグリップラバーに熱風を吹き付けて熱収縮させることで螺旋状の凹凸を形成することでグリップ部の滑り止め効果を図ったグリップ構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭47-68545号(実開昭49-24852号)のマイクロフィル
【特許文献2】特開2016-111950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記特許文献1や2に示すグリップ構造は、いずれも熱収縮チューブを熱収縮させてグリップ本体に密着させた構造となっているが、その下に配置されるエンボス形成基材や紐状部材を予め接着剤などを用いて適正な位置に適正な間隔で配置して固定しておかなければならないため、製造に手間がかかる。また、いずれも表面の凹凸が線状となっているため、凹凸が急峻となっていてフィット感が乏しい上に、高い滑り止め効果も得られ難い。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するために案出されたものであり、その目的は 製造が容易で且つ優れたフィット感と高い滑り止め効果を発揮できる新規な釣り竿のグリップおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために第1の発明は、ロッド上に設けられたグリップ本体と、当該グリップ本体上に設けられた滑止部とを有し、当該滑止部は、前記グリップ本体の長手方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた複数の帯状凸層と、当該複数の帯状凸層の全体を覆うようにその上に密着して設けられた滑止層とを備えたことを特徴とする釣り竿用グリップである。
【0009】
このような構成によれば、グリップ本体上の滑止部表面に形成された凹凸によって高い滑り止め効果を発揮しつつ、その凸部表面がフラットな帯状となるため、急峻な凹凸がなくなって優れたフィット感を得ることができる。また、後述するように凸部を形成する帯状凸層は、熱収縮チューブをカットした環状帯部材(熱収縮リング)によって簡単に形成できるため、製造も容易となる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記複数の帯状凸層は、前記グリップ本体の長手方向の幅が5~20mmの環状帯部材からなることを特徴とする釣り竿用グリップである。このような構成によれば、グリップ表面の凸部がフラットな帯状となるため、グリップ表面に急峻な凹凸がなくなって優れたフィット感を得ることができる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記滑止層は、長さが50~500mmの熱収縮チューブからなることを特徴とする釣り竿用グリップである。このような構成によれば、少なくとも片手または両手で把持する範囲について優れた滑り止め効果を発揮できる。
【0012】
第4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の釣り竿用グリップにおいて、前記複数の帯状凸層のうち一部の帯状凸層の厚さが他の帯状凸層よりも大きくなっていることを特徴とする釣り竿用グリップである。このような構成によれば、グリップの径やその形状を部分的に変えることができる。
【0013】
第5の発明は、第1乃至第3の発明において、前記複数の環状凸層は、その厚さが前記ロッドの先端側に位置する帯状凸層よりも前記ロッドの根元側に位置する帯状凸層のほうが大きくなっていることを特徴とする釣り竿用グリップである。このような構成によれば、グリップの外径がロッドの先端側よりも根元側を太くできるため、ロッドを引っ張ったときや強く振り抜いたときにグリップから手が抜け落ちるのを防止することができる。
【0014】
第6の発明は、第1乃至第3の発明において、前記複数の帯状凸層は、その厚さが前記ロッドの先端側に位置する帯状凸層よりも前記ロッドの根元側に位置する帯状凸層のほうが小さくなっていることを特徴とする釣り竿用グリップである。このような構成によれば、グリップの外径がロッドの先端側よりも根元側を細くできるため、グリップを握ったときの手のひらの形状と一致するため、セパレートタイプのセンターグリップなどに適用すればよりフィット感が向上する。
【0015】
第7の発明は、第1の発明の釣り竿用グリップの製造方法であって、前記グリップ本体に、熱収縮チューブを所定幅にカットしてなる複数の環状帯部材をその長手方向に所定の間隔を隔てて嵌め込んだ後、当該各環状帯部材を加熱、収縮させて前記グリップ本体上に密着させて複数の帯状凸層を形成する帯状凸層形成工程と、前記工程で前記グリップ本体上に形成した複数の帯状凸層上に、これら全体を覆うように熱収縮チューブからなる滑止部材を嵌め込んだ後、当該滑止部材を加熱、収縮させて前記グリップ本体上および前記複数の環状帯部材上に密着させて滑止層を形成する滑止層形成工程と、を含むことを特徴とする釣り竿用グリップの製造方法である。このような製造方法によれば、第1の発明の釣り竿用グリップを容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、グリップ表面に形成された凹凸によって高い滑り止め効果を発揮しつつ、その凸部表面がフラットな帯状となるため、急峻な凹凸がなくなって優れたフィット感を得ることができる。また、この帯状凸層は、熱収縮チューブをカットした環状帯部材(熱収縮リング)によって比較的簡単に形成できるため、製造も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る釣り竿100のグリップ30の実施の一形態を示す側面図である。
【
図4】本発明に係る釣り竿100のグリップ30の製造方法を示す説明図である。
【
図5】本発明に係る釣り竿100のグリップ30の他の実施の一形態を示す側面図である。
【
図6】本発明のグリップ30を適用可能な他の釣り竿の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るグリップ30を備えた釣り竿100の実施の一形態を示したものであり、一般にベイトロッドと称されるストレートグリップタイプの釣り竿である。図示するようにこの釣り竿100は、竿本体を構成するロッド10上に、リールシート20と、本発明に係るグリップ30とを一体的に取り付けた構造となっている。
【0019】
ロッド10は、ガラス繊維(Glass Fiber)や炭素繊維(Carbon Fiber)などの強化繊維プラスチック(FRP)からなる中空パイプ体であり、その外径φは8~20mm程度のロッドティップ(竿先)側に向かって径が緩やかに小さくなるテーパー状となっている。なお、このロッド10上にはラインを案内するための環状のガイド(図示せず)がその長手方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられている。
【0020】
リールシート20は、ベイトリールやスピニングリールなどのリール50を着脱自在に取り付けるためのものであり、その本体21にロッド10を挿通する貫通孔Hを有する筒状体となっている。このリールシート20はベイトリールを取り付けるためのものであり、その本体21の側面(図中上方)にはリール取付面22が設けられている共に、その反対側(図中下方)には指をかけるためのトリガーハンドル23が設けられている。さらに、このリール取付面22の一端には固定フード24が設けられていると共にその他端にはテーパー状に広がった環状の移動フード25が近接離間移動自在に嵌合している。
【0021】
グリップ30は、
図1に示すようにこのリールシート20からロッド10の根元側まで覆うグリップ本体31と、このグリップ本体31上に設けられた滑止部32、32とから構成されている。なお、図の例においては、滑止部32、32は、グリップ本体31のリールシート20側とグリップ本体31の根元側との2箇所にそれぞれ分かれて設けられているが、グリップ本体31全体に亘って設けられていてもよい。また、この滑止部32、32はいずれも同じ構造・機能であるため、以下はロッド10の根元側(グリップエンドe側)の滑止部32についてのみ説明する。
【0022】
このグリップ本体31は、ロッド10と同じくガラス繊維(Glass Fiber)や炭素繊維(Carbon Fiber)などの強化繊維プラスチック(FRP)の単層または2層あるいは3層を積層した高強度のモノコック構造となっており、釣り人の握力に対して十分な強度を発揮するようになっている。なお、このグリップ本体31の大きさとしては特に限定されるものではないが、φ20~30mmのものが多用される。
【0023】
一方、滑止部32は、
図2および
図3に示すように、グリップ本体31上に所定の間隔を隔てて位置する5つの帯状凸層33、33,33,33、33と、その上を一体的に覆うように位置する滑止層34とから構成されている。帯状凸層33は、その大きさは特に限定されないが、例えば幅5~20mm、好ましくは10~15mm,厚さ0.3~1.5mm、好ましくは0.5~1.0mmとなっており、グリップ本体31の周方向にそれぞれ環状に形成されている。また、隣接する帯状凸層33、33間の距離も特に限定されないが、例えば5~20mm、好ましくは5~10mmである。
【0024】
滑止層34は、この5つの帯状凸層33、33,33,33、33の全体を覆うと共に、これら帯状凸層33、33,33,33、33の表面およびグリップ本体31表面に密着して設けられている。滑止層34の大きさは、帯状凸層33、33,33,33、33の全体を覆う長さであれば、特に限定されるものではないが、既存の釣り竿のハンドル本体の長さは50~500mmと様々であるため、それに対応した長さにすることが望ましい。また、その厚さなども特に限定されるものではなく、0.3~1.5mm、好ましくは0.5~1.0mmである。
【0025】
図4は、このような構成をしたグリップ30の製造方法の一例を示したものである。本発明に係るグリップ30を製造するには、まず同図(A)に示すように、予め厚さ0.5mm程度の熱収縮チューブを所定幅、例えば10mm幅にカットしてなる環状帯部材(熱収縮リング)Rを複数用意し、それぞれ図示するようにグリップ本体31上にその根元(グリップエンドe)側から順番にはめ入れる(本実施の形態では5つ)。なお、このとき各環状帯部材R、R、R、R、Rの内側には予め接着剤を塗布しておくか、あるいは市販品のなかには内側に予め接着剤付きのものもあるため、それを用いることが望ましい。また、この環状帯部材Rはそれ自体拡縮できるが、少なくともその内径はグリップエンドの外径よりも大きいことが望ましい。
【0026】
次に、はめ入れた5つの環状帯部材R、R、R、R、Rを同図(B)に示すように一定の間隔、例えば5mmの間隔を隔てて並べ、ヒートガン(図示せず)などを用いてその周囲から各環状帯部材R、R、R、R、Rを均一に加熱する。すると、加熱された各環状帯部材R、R、R、R、Rがその位置で収縮してグリップ本体31表面に密着すると共に、その内側に塗布された接着剤によってそのままそのグリップ本体31表面に強く接着する。これによって、各環状帯部材R、R、R、R、Rが前述した滑止部32の帯状凸層33、33,33,33、33となる(帯状凸層形成工程)。ここで、この環状帯部材Rを得るための熱収縮チューブとしては、特に限定されないが、従来から様々な分野で利用されているゴム製の熱収縮チューブを用いることが望ましい。
【0027】
このようにして環状帯部材R、R、R、R、Rを固定して帯状凸層33、33,33,33、33を形成したならば、次に同図(C)に示すように、この帯状凸層33、33,33,33、33の全体を覆うことができる長さの熱収縮チューブ、例えば100~150mm長の熱収縮チューブからなる滑止部材Cを用意し、これを同じくそのグリップエンドe側からそのグリップ本体31にはめ込み、帯状凸層33、33,33,33、33の全体を覆うように位置させる。
【0028】
そして、同図(D)に示すようにその滑止部材Cを同じくヒートガン(図示せず)などを用いてその周囲から均一に加熱する。すると、加熱された滑止部材Cがその位置で収縮して帯状凸層33、33,33,33、33の表面はもちろん、その間のグリップ本体31表面にも強く密着して固定される。これによって、熱収縮チューブが滑止部材Cが前述した滑止部32の滑止層34となる(滑止層形成工程)。なお、この滑止部材Cとなる熱収縮チューブとしては、同じく表面の摩擦力が高いものであれば特に限定されないが、従来から様々な分野で利用されているゴム製の熱収縮チューブを用いることが望ましい。
【0029】
このようにして製造された本発明のグリップ30は、
図3に示すようにその表面に凹部Dと凸部Uが交互に形成された凹凸によって高い滑り止め効果を発揮しつつ、その凸部Uがフラットな帯状となって急峻な凹凸がなくなるため、優れたフィット感を得ることができる。そして、特にこの凸部Uとなる帯状凸層33は、熱収縮チューブをカットした環状帯部材R(熱収縮リング)によって比較的簡単に形成できるため、製造も容易となる。
【0030】
また、この滑止部32を構成する帯状凸層33や滑止層34の厚さを変えることで、グリップ本体31の太さを変えることなく、グリップ30の太さを自由に調整できる。例えば、手が小さい人や細いグリップが好みの人向けには、その帯状凸層33や滑止層34を構成する部材の厚さを薄くし、反対に太めのグリップが好みの人向けには、その帯状凸層33や滑止層34を構成する部材の厚さを大きくすることで簡単に対応することができる。また、手の大きい人の場合は、外径をより大きくすることでリールをホールドしたときの手のひらとグリップ間の間隙を狭めることにより、よりグリップ力を向上することができる。
【0031】
図5は本発明の他の実施の形態を示したものであり、グリップ表面の環状凸部を形成する各帯状凸層33,33,33、33の厚さを適宜変化させたものである。すなわち、同図に示すように、各帯状凸層33,33,33、33の厚さを、ロッド10の先端側に位置する帯状凸層33よりもロッドの根元側(グリップエンドe)に位置する帯状凸層33のほうをより大きくしたものである。これによって、グリップ30の外径がロッド10の先端側よりも根元側を太くして全体をテーパー状に形成できるため、例えばロッド10を引っ張ったときや強く振り抜いたときにグリップ30から手が抜け落ちるのを確実に防止することができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、
図1に示すようにこのリールシート20からロッド10の端部まで覆うストレートタイプのグリップ30の例で説明したが、他のあらゆる形態の釣り竿のグリップに適用できる。例えば、
図6に示すようセパレートグリップ(センターグリップ、リアグリップ)やフライロッドのシングルグリップやダブルグリップ、延べ竿のグリップなどはもちろん、ライディングネットのグリップなどにも適用することができる。
【0033】
また、セパレートグリップのセンターグリップの場合は、グリップ30から手が抜け落ちるおそれは低く、むしろ手の甲に収まるように竿先側が太く、根元側が細くなるという逆テーパー型が望ましい。そのため、センターグリップの場合は、
図5とは逆にロッド10の先端側に位置する帯状凸層33のほうがロッドの根元側(グリップエンドe)に位置する帯状凸層33よりも大きくすることになる。
【0034】
また、このように帯状凸層33の厚さを部分的に厚くすれば、グリップの形状をテーパー状にできる他に、グリップ本体31の中央部分を太くしたり、あるいはグリップ本体31の両端を太くしたり、さらには任意の部位のみを太くするなど様々な形状を容易に得ることができる。また、グリップ本体31は前記のように強化繊維プラスチック(FRP)の他に、弾力性や耐久性などを有するEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)やコルクなどの従来から多く用いられている他の素材のものも同様に使用できる。
【0035】
また、長さが300mmを超えるような長尺のグリップ本体31の場合は、相応の長さの熱収縮チューブを用意するほかに、短い(例えば100mm程度)熱収縮チューブを複数用い、それらをつなぐように取り付けるようにすれば、そのグリップ本体31の長さに応じた滑止層34を容易に形成することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…ロッド
20…リールシート
30…グリップ
31…グリップ本体
32…滑止部
33…帯状凸層
34…滑止層
100…釣り竿
C…滑止部材
D…凹部
R…環状帯部材
U…凸部
e…グリップエンド