IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田島ルーフィング株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ドレン装置 図1
  • 特開-ドレン装置 図2
  • 特開-ドレン装置 図3
  • 特開-ドレン装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009383
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ドレン装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
E04D13/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021112604
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 武文
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 拓人
(57)【要約】
【課題】低コストでありながら取付作業性に優れ、さらにストレーナーが脱落することを有効に抑制できるドレン装置を提供する。
【解決手段】ドレン装置10は、排水管3に接続される円管13dと、前記円管13dが接続される円形開口13cが形成された平板部13aと、前記円形開口13cに掛け渡されるように配設された梁部13eとを備えたドレン本体13と、前記円形開口13cを覆うストレーナー11と、前記ドレン本体13と前記ストレーナー11とを連結する連結装置12と、を有し、前記連結装置12は、前記梁部13eに引っ掛けるフック部12iと、前記フック部12iから前記ストレーナー11の外側まで延在する軸部と、前記軸部の雄ねじ12aに係合するローレットナット12b、12cを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管に接続される筒部と、前記筒部が接続される開口が形成された板部と、前記開口に掛け渡されるように配設された梁部とを備えたドレン本体と、
前記開口を覆うストレーナーと、
前記ドレン本体と前記ストレーナーとを連結する連結装置と、を有し、
前記連結装置は、前記梁部に引っ掛けるフック部と、前記フック部から前記ストレーナーの外側まで延在する軸部と、前記軸部の雄ねじに係合する雌ねじ部材とを有する、
ことを特徴とするドレン装置。
【請求項2】
前記雌ねじ部材は、ローレットナットである、
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン装置。
【請求項3】
前記ローレットナットは、ダブルナットである、
ことを特徴とする請求項2に記載のドレン装置。
【請求項4】
前記ローレットナットは、外径が20mm以下である、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のドレン装置。
【請求項5】
前記梁部は、その中央部が上方に曲がっている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のドレン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋上などには、雨漏りなどを抑制するために防水層が施工されている。また、この防水層上に溜まった雨水や融雪水を排水するために、ドレン装置が設けられている。ドレン装置は、建築物内外に設けた排水管に連結され、防水層上に溜まった水を収集して、排水管を介して雨水枡などに流すように構成されている。ドレン装置には、ごみなどの異物が排水管に進入しないように、一般的にストレーナーが取り付けられている。
【0003】
ところで、防水層は、その防水機能を維持するために、一定期間ごとに改修工事が必要になる。この改修工事の一工法として、既設の防水層を撤去して、新たな防水層を設置する総交換工法がある。
【0004】
一方、総交換工法に比較してより安価な工法として、既設の防水層を残したまま、その上に新たな防水層を設ける重設工法(又はかぶせ工法)がある。重設工法によれば、既設の防水層に新たな防水層を積層することで、更に防水機能を高めることもできる。
【0005】
いずれの工法を用いた場合でも、ドレン装置については、防水層敷設前に新たに設置しなおすことが必要であり、その際には、既設のドレン装置に用いたドレン本体及び排水管を再利用することとなる。
【0006】
そのような場合には、既設のドレン装置を撤去した後に、改修用二重ドレンとして知られる新規なドレン装置を設置して、既設の排水管と接続することが行われる。こうしたことにより、改修工事が簡素化され、工事期間も短くなる。
【0007】
既設のストレーナーは、既設のドレン本体にボルト等で固定されることが多い。改修時には、新規なドレン装置の設置の邪魔にならないよう、該ボルトが撤去されることとなる。かかる場合、ストレーナーを新規なドレン装置にどのように取り付けるかという問題がある。
【0008】
そこで、新規なドレン装置の接続管に挿入可能な板バネをストレーナーに設け、接続管の内壁面に板バネがその弾発力をもって接することにより発生する摩擦力で、ストレーナーをドレンに固定する構造が提案されている。
【0009】
しかし、このような構造を持つストレーナーにおいては、板バネと接続管との摩擦力により新規なドレン装置に固定されているのみである。したがって、かかる摩擦力は接続管の内壁に水が付着した場合など低下し、加えて強い風に曝された場合など、ストレーナーを引き抜く方向の力に摩擦力が抗しきれず、ドレンからストレーナーが抜けてしまうおそれがある。
【0010】
これに対し、特許文献1には、ストレーナーとしてのドレンキャップ本体を改修用二重ドレンに固定する固定金具が、支柱部材と、弾性を有する可撓性の線状又は板状の部材から構成される連結部材とを備えて構成され、前記連結部材は、前記ドレンキャップ本体の内部に向かって凸になるように湾曲しつつ、その両端が改修用二重ドレンに係止される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第6712690号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1の構成によれば、ドレンキャップに連結された高さ調整用ねじに対してねじ連結する枠材と、連結部材とが、離脱手段を介して連結されている。ドレンキャップ取り付け時に、連結部材の端部を改修用二重ドレンの連結用突起に取り付けたうえで、離脱手段を介して枠材と連結手段とを連結し、さらにドレンキャップを回転させることにより、ドレンキャップを改修用二重ドレンに固定している。
【0013】
このようにして改修用二重ドレンに取り付けられたドレンキャップは、離脱手段が枠材と連結部材とを離脱させる構成となっているため、たとえば強風が吹いた時など所定の荷重が作用すると、ドレンキャップが飛散する可能性がある。また、風にあおられることによる振動などにより、高さ調整用ねじと枠材とのねじ連結にゆるみが生じる恐れがある。
【0014】
加えて、特許文献1の構成では、部品点数が多く、部品管理が必要になり、またコストがかかるという問題もある。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みて、低コストでありながら取付作業性に優れ、さらにストレーナーが脱落することを有効に抑制できるドレン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために代表的な本発明のドレン装置の一つは、
排水管に接続される筒部と、前記筒部が接続される開口が形成された板部と、前記開口に掛け渡されるように配設された梁部とを備えたドレン本体と、
前記開口を覆うストレーナーと、
前記ドレン本体と前記ストレーナーとを連結する連結装置と、を有し、
前記連結装置は、前記梁部に引っ掛けるフック部と、前記フック部から前記ストレーナーの外側まで延在する軸部と、前記軸部の雄ねじに係合する雌ねじ部材とを有する、
ことにより達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低コストでありながら取付作業性に優れ、さらにストレーナーが脱落することを有効に抑制できるドレン装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1の実施形態のドレン装置を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態のドレン装置を分解した状態で示す斜視図である。
図3図3は、第2の実施形態のドレン装置を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。
図4図4は、第2の実施形態のドレン装置を分解してストレーナー側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施形態のドレン装置を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。図2は、第1の実施形態のドレン装置を分解した状態で示す斜視図である。
【0020】
(ドレン装置の構成)
まず、図2を参照して、縦引き用である本実施形態のドレン装置10の構成を説明する。
図2において、ドレン装置10は、ストレーナー11と、連結装置12と、ドレン本体13とを有する。
【0021】
ストレーナー11は、頂部11aと、軸線に対して等角度で頂部11aから下方に延在し且つ所定間隔で周方向に配設された複数の縦柱部11bと、隣接する縦柱部11bの中間を連結する中間連結部11cと、隣接する縦柱部11bの下端近傍を連結する下端連結部11dとを連設してなる。頂部11aには、開口11eが形成されている。
【0022】
連結装置12は、雄ねじ12aと、外周にローレット目が形成された円筒状のローレットナット12b、12cと、平ワッシャー12dと、スプリングワッシャー12eと、連結軸体12fと、フック部材12gとを有する。フック部材12gは、上端側に雄ねじ部12hを配設し、また下端側に鈎状のフック部12iを配設している。円筒状の連結軸体12fは、雄ねじ12aに係合する雌ねじ穴12jを上端に有し、またフック部材12gの雄ねじ部12hに係合する雌ねじ穴12kを下端に有する。雄ねじ12aと、連結軸体12fと、フック部材12gとにより軸部を構成する。
【0023】
ドレン本体13は、比較的薄い金属板(たとえば銅板)から形成された平板部13aと、平板部13aの中央に形成された凹部13bと、凹部13bの中央に形成された円形開口13cに接続された円管(筒部)13dとを連設してなる。また円形開口13cに掛け渡されるように、円形開口13cの径方向にわたって梁部13eが配設されている。
【0024】
梁部13eは、ドレン本体13と同種の金属線材から形成されており、その両端が円形開口13cの近傍の凹部13bにロウ付けまたは溶接等により固定されている。梁部13eは、中央部が円形開口13cから離間するようにU字状に曲がっている。
【0025】
ストレーナー11に、あらかじめ連結装置12が組付けられていると好ましい。具体的に組付け態様を説明すると、連結軸体12fの雌ねじ穴12kにフック部材12gの雄ねじ部12hを係合させて、これらをストレーナー11の内部に配置する。さらに、雄ねじ12aに、ローレットナット12b、12c、平ワッシャー12d、スプリングワッシャー12eをこの順序で係合させた状態で、その下端からストレーナー11の開口11eに挿通し、雄ねじ12aの下端をストレーナー11の内部に配置した連結軸体12fの雌ねじ穴12jに係合させる。なお、ローレットナット12b、12cを、雄ねじ12aの頭部側に近接する位置まで螺動させておくと好ましい。
【0026】
(ドレン装置の設置)
次に、図1を参照して、本実施形態のドレン装置10の設置態様を説明する。
本実施形態のドレン装置10は、例えば防水構造の改修のため、それまで使用していた既存のドレン装置の少なくとも一部を撤去して、新たに設置される。前準備として、既存のドレン装置におけるストレーナー、防水層おさえ、また必要に応じて周囲防水層を撤去する。
【0027】
このとき、図1に示すように、建物の屋上に配置された防水下地(RC,PC,ALC,W等)1には、中央に穴2aを配設した浅皿状のドレン基部2と、ドレン基部2の穴2aに連結されて、防水下地1の縦開口1aから下方へ延在する排水管3が残存することとなる。このため、既設のドレン装置を考慮して、新たなドレン装置を組み付ける必要がある。
【0028】
まず、ドレン本体13を単独で、既存のドレン基部2に取り付ける。ここで、ドレン本体13の円管13dは、排水管3の内径より小さい外径を有するため、円管13dを排水管3の内側に挿通して接続することができる。円管13dを排水管3の内側に挿通すると、ドレン本体13の凹部13bが、ドレン基部2の上方に位置する。
【0029】
凹部13bは、浅皿状のドレン基部2の形状に合わせて形成されている。
【0030】
一方、ドレン本体13の平板部13aは、ドレン基部2の周囲の防水下地1の上面に位置する。このとき、平板部13aの下面と防水下地1の上面とを、粘着シート、あるいは耐風圧性や納まり性の確保等を考慮してアンカーなどを用いて固定することが望ましい。また、平板部13aは、比較的薄い金属板であるため、たとえ防水下地1の上面に多少の凹凸があった場合でも、平板部13aを上方から叩くことで、その上面になじませることができ、それにより密着度が高まる。既存の防水層を符号4で示す。
【0031】
さらに、ドレン本体13の平板部13a及び凹部13bの上面にかけて円形開口13cの縁近傍まで、防水層5を敷設する。防水層5としては、アスファルト防水層、シート防水層、塗膜防水層などがあるが、これに限られない。防水層5の厚みは、材料や工法によって異なるが、1mm~15mm程度である。
【0032】
防水層5を設置した後、連結装置12を組み込んだストレーナー11を設置する。作業者は、雄ねじ12aを把持しつつ、縦柱部11bの下端を防水層5上に当接させてストレーナー11を立設させ、さらにフック部材12gのフック部12iを、ドレン本体13の梁部13eの中央に引っ掛ける。
【0033】
かかる状態では、平ワッシャー12d及びスプリングワッシャー12eは、自重により雄ねじ12aに沿って落下し、ストレーナー11の頂部11aに近接するが、ローレットナット12b、12cとストレーナー11との間に距離がある。そこで、作業者は、自身の指でローレットナット12b、12cを把持して雄ねじ12aの回りに回転させ、頂部11aに向かって螺動させる。
【0034】
作業者は、下方のローレットナット12cが平ワッシャー12dに到達したのち、スプリングワッシャー12eが所定量圧縮されるまでローレットナット12cを回転させ、その後、上方のローレットナット12bを同方向に回転させて、ローレットナット12cに当接させて固定する。
【0035】
これにより頂部11aからフック部材12gの下端までの軸部長さが定まり、梁部13eからフック部12iが脱落することが阻止される。また、ローレットナット12b、12cの外径を、20mm以下とすることにより、作業者が指で回したときにローレットナット12b、12cに生じるトルクが大きくなりすぎることがなく、それにより梁部13eの損傷等を抑制できる。
【0036】
本実施の形態によれば、雄ねじ12aとローレットナット12b、12cの相対位置は、防水層5の厚みによって変わりうる。換言すれば、防水層5の厚みに関わらず、ストレーナー11を容易に取り付けることができ、また改修用ドレン装置の排水口径によらず、同一のストレーナー11を用いることができるため、部品の共通化を図れる。
【0037】
図1で明らかなように、既存の防水層4上に設置された防水層5は、平板部13a及び凹部13bの上面に設置された防水層5よりも高くなっている。このため、防水層5上に落滴した雨水は、円形開口13cに向かって流れることとなり、水だまりを形成することがない。さらにストレーナー11の縦柱部11b間等の隙間を通過した雨水は、円形開口13cに進入した後、排水管3を介して排水される。このとき、雨水中のゴミなどは、ストレーナー11により捕獲される。また、比較的小さなゴミがストレーナーを通過したとしても、梁部13eの中央部が上方にU字状に曲がっているため、引っかかって流れをせき止めるおそれが少ない。
【0038】
本実施の形態によれば、例えばストレーナー11が強風に曝された場合でも、フック部12iが梁部13eから係脱せず、連結装置12により防水層5に直立固定された状態が維持される。特に、ローレットナット12b、12cがダブルナット機能により当接しあうため、風による振動などが生じた場合にも、ローレットナット12b、12cの緩みが防止され、長期間にわたって安定してストレーナー11を立脚させることができる。
【0039】
[第2の実施形態]
図3は、第2の実施形態のドレン装置20を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。図4は、第2の実施形態のドレン装置20を分解してストレーナー側から見た斜視図である。
【0040】
(ドレン装置の構成)
まず、図3,4を参照して、横引き用である本実施形態のドレン装置20の構成を説明する。
図3,4において、ドレン装置20は、ストレーナー21と、連結装置12と、ドレン本体23とを有する。
【0041】
ストレーナー21は、一対のストレーナー部材21a,21bと、この一対のストレーナー部材21a,21bを回動自在に連結する枢支部21cを備えている。
【0042】
ストレーナー部材21a,21bは、例えば鋳型によって成形され、それぞれ略矩形状のグレーチング部21d、21eと、グレーチング部21d、21eの両側から直角に延在する櫛歯部21f、21gとを有する。
【0043】
グレーチング部21d、21eには、等間隔に複数の桟が形成されており、櫛歯部21f、21gに形成された複数の櫛歯も等間隔に形成され、これにより異物の通過を阻止することができる。また、櫛歯部21f、21gに形成された複数の櫛歯のグレーチング部21d、21eからの長さは、枢支部21c側に近づくに従って漸次長くなっている。
【0044】
ストレーナー部材21a,21bの対向する側縁には、それぞれ複数の短歯部21h,21iが交互に対向して植設されている。
【0045】
連結装置12は、第1の実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複する説明を省略する。すなわち、縦引き用のドレン装置10と、横引き用のドレン装置20とで、連結装置12を共通化することによりコストを低減できる。
【0046】
ドレン本体23は、比較的薄い金属板から形成された垂直平板部23a及び水平平板部23bと、垂直平板部23aの下端に形成された円形開口23cに接続された円管(筒部)23dとを連設してなる。また円形開口23cに掛け渡されるように、円形開口23cの径方向にわたって梁部23eが水平に配設されている。
【0047】
本実施形態の梁部23eは棒状であって、その両端が円形開口23cの近傍の垂直平板部23aにロウ付けまたは溶接等により固定されている。梁部23eは、円形開口23cの中心よりも上方に配置されると好ましい。
【0048】
(ドレン装置の設置)
次に、図3を参照して、本実施形態のドレン装置20の設置態様を説明する。
本実施形態のドレン装置20は、例えば防水構造の改修のため、それまで使用していた既存のドレン装置の少なくとも一部を撤去して、新たに設置される。前準備として、既存のドレン装置におけるストレーナー、防水層おさえ、また必要に応じて周囲防水層を撤去する。
【0049】
このとき、図3に示すように、建物の屋上の側壁に配置された防水下地(RC,PC,ALC,W等)1には、穴2aを配設したドレン基部2と、ドレン基部2の穴2aに連結されて、防水下地1の横開口1aから側壁を貫通した後に下方へ延在する排水管3が残存することとなる。このため、既設のドレン装置を考慮して、新たなドレン装置を組み付ける必要がある。
【0050】
まず、ドレン本体23を単独で、既存のドレン基部2に取り付ける。ここで、ドレン本体23の円管23dは、排水管3の内径より小さい外径を有するため、円管23dを排水管3の内側に挿通して接続することができる。円管23dを排水管3の内側に挿通すると、ドレン本体23の垂直平板部23aがドレン基部2の周囲の防水下地1の側面に位置し、水平平板部23bがドレン基部2の周囲の防水下地1の上面に位置する。
【0051】
このとき、垂直平板部23a及び水平平板部23bと防水下地とを、粘着シート、あるいは耐風圧性や納まり性確保等を考慮してアンカーなどを用いて固定することが望ましい。また、垂直平板部23a及び水平平板部23bは、比較的薄い金属板であるため、たとえ防水下地1の上面に多少の凹凸があった場合でも、あるいは防水下地1が直角に形成されていない場合でも、垂直平板部23a及び水平平板部23bを表面側から叩くことで、防水下地1になじませることができ、それにより密着度が高まる。既存の防水層を符号4で示す。
【0052】
さらに、ドレン本体23の垂直平板部23a及び水平平板部23bの表面にかけて円形開口23cの縁近傍まで、防水層5を敷設する。防水層5としては、アスファルト防水層、シート防水層、塗膜防水層などがあるが、これに限られない。防水層5の厚みは、材料や工法によって異なるが、1mm~15mm程度である。
【0053】
防水層5を設置した後、連結装置12を組付けたストレーナー21を取り付ける。なお、本実施の形態においては、雄ねじ12aは、あらかじめストレーナー部材21a,21bの間に配設した中央の短歯部21h,21i間の隙間に挿通され、連結軸体12f及びフック部材12gと結合されている。平ワッシャー12d及びスプリングワッシャー12eは、短歯部21h,21iの隙間を通過できないため、短歯部21h,21iの外側に位置する。
【0054】
作業者は、設置すべき防水層5にストレーナー21を接近させ、その垂直面及び水平面の角度に対応するように、枢支部21cを介してストレーナー部材21a,21bを相対的に回動させて、櫛歯部21f及び櫛歯部21gを、ドレン本体23の垂直平板部23a及び水平平板部23b上の防水層5に当接させる。
【0055】
その後、作業者は、雄ねじ12aを把持しつつ、フック部材12gのフック部12iを、ドレン本体23の梁部23eに引っ掛ける。かかる状態では、平ワッシャー12d及びスプリングワッシャー12eは、自重により雄ねじ12aに沿って下方に移動し、短歯部21h,21iに近接するが、ローレットナット12b、12cと短歯部21h,21iとの間に距離がある。そこで、作業者は、自身の指でローレットナット12b、12cを把持して雄ねじ12aの回りに回転させ、短歯部21h,21iに向かって螺動させる。
【0056】
作業者は、下方のローレットナット12cが平ワッシャー12dに到達したのち、スプリングワッシャー12eが所定量圧縮されるまでローレットナット12cを回転させ、その後、上方のローレットナット12bを回転させて、ローレットナット12cに当接させて固定する。
【0057】
これにより短歯部21h,21iからフック部材12gの下端までの軸部長さが定まり、梁部23eからフック部12iが脱落することが阻止される。本実施形態によれば、枢支部21cを中心にストレーナー部材21a、21bが回動可能であるため、たとえ防水下地1が直角に形成されていない場合でも、ローレットナット12cを回転させてフック部材12gに軸力を付与することで、垂直方向及び水平方向の防水層5にそれぞれ櫛歯部21f、21gの端部が密着するようになり、異物の通過を許容する隙間を極力なくすことができる。なお、ストレーナー11から露出した雄ねじ12a全体を、樹脂製のキャップで覆うようにしてもよい。
【0058】
図3で明らかなように、既存の防水層4上に設置された防水層5は、垂直平板部23aの上面に設置された防水層5よりも高くなっている。このため、防水層5上に落滴した雨水は、円形開口23cに向かって流れることとなり、水だまりを形成することがない。さらにストレーナー21のグレーチング部21d、21e、または櫛歯部21f、21g等の隙間を通過した雨水は、円形開口23cに進入した後、排水管3を介して排水される。このとき、雨水中のゴミなどは、ストレーナー21により捕獲され、排水管3に進入しない。
【0059】
本実施の形態によれば、例えばストレーナー21が強風に曝された場合でも、フック部12iが梁部23eから係脱せず、連結装置12により防水層5に固定された状態が維持される。
【0060】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変を施すことができる。例えば、本実施形態のドレン装置10は、改修時に設置するものとして説明したが、
新築時から設置することもできる。また、連結装置12の連結軸体12fは必須ではなく、フック部材12gの雄ねじ部12hを延長して、雄ねじ12aと一体化することもできる。かかる場合、雄ねじは頭部を有さず、ストレーナーの内側から雄ねじ部12hを挿通して、外部に露出した雄ねじ部12hに、スプリングワッシャー12eと、平ワッシャー12dと、ローレットナット12b、12cとをこの順序で係合させる。
【0061】
以上の実施形態では、雌ねじ部材としてローレットナットを用いたが、トルク管理が可能であれば、雌ねじ部材として、例えばローレット処理のない丸ナットのほか、蝶ナット、六角ナットなども用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 防水下地
2 ドレン基部
3 排水管
4 既存の防水層
5 防水層
10、20 ドレン装置
11、21 ストレーナー
12 連結装置
13、23 ドレン本体
図1
図2
図3
図4