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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093832
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/32 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
B65D19/32 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208908
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑也
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063BA05
3E063CA01
3E063EE03
3E063EE11
3E063EE13
(57)【要約】
【課題】柱部の剛性を高めることのできるパレットを提供する。
【解決手段】パレット1は、複数の柱部2、3、4と、複数の柱部2、3、4の上下端部間を連結する上デッキ部5、及び、下デッキ部6とを備え、複数の柱部2、3、4の間にフォークを備える運搬手段のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部7が形成され、平面視略矩形状をなしている。各柱部2、3、4の外周面を構成する外周壁部21は、水平断面において所定方向に延びる直線状をなす対象壁部22の中間部を凹状の湾曲部とすることで構成された補強部23を備えている。補強部23は、柱部2、3、4の上端部から下端部に掛けて連続して設けられている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部とを備え、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、平面視略矩形状をなすパレットにおいて、
前記柱部の外周面を構成する外周壁部は、水平断面において所定方向に延びる直線状又は略一定の曲率を有する曲線状をなす対象壁部の中間部を凸状又は凹状の湾曲部又は屈曲部とすることで構成された補強部を備え、
前記補強部は、前記柱部の上端部から下端部に掛けて連続して設けられていることを特徴とするパレット。
【請求項2】
前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部を備え、
前記上デッキ部、及び、前記下デッキ部は、前記パレットの所定の側辺部と平行する方向に延在し、前記柱部の間を連結する連結桟を備え、
少なくとも一部の前記補強部は、前記対象壁部のうち前記上デッキ部及び前記下デッキ部の前記連結桟との連結部位の少なくとも一部を含むようにして形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記補強部は、前記外周壁部の内周側に向けて凹状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用されるパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品の運搬等に使用されるパレットは、複数の柱部と、当該複数の柱部の上端部間、及び、下端部間を連結する上デッキ部、及び、下デッキ部とを備え、柱部間においてフォークリフト等のフォークを挿入可能なフォーク挿入部を有している(例えば、特許文献1、2等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-39966号公報
【特許文献2】特開2000-291064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パレットにおいては、柱部の剛性を効率的に(重量の大幅な増加を招く等することなく)高めることが求められている。例えば、上記特許文献1では、柱部の外周面を構成する壁部の一部を厚肉としたり、上記特許文献2では、柱部の外周面を構成する壁部に対して柱部の上端部から下端部に掛けて延びるリブを連結したりしているが、更なる対策が求められている。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、柱部の剛性を高めることのできるパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.複数の柱部と、前記複数の柱部の上端部間を連結する上デッキ部とを備え、前記複数の柱部の間にフォークを備える運搬手段のフォークを挿入可能とするフォーク挿入部が形成され、平面視略矩形状をなすパレットにおいて、
前記柱部の外周面を構成する外周壁部は、水平断面において所定方向に延びる直線状又は略一定の曲率を有する曲線状をなす対象壁部の中間部を凸状又は凹状の湾曲部又は屈曲部とすることで構成された補強部を備え、
前記補強部は、前記柱部の上端部から下端部に掛けて連続して設けられていることを特徴とするパレット。
【0008】
手段1によれば、パレットの重量の増加を抑制しつつ、効果的に柱部の剛性を高めることができる。結果として、パレットに物品を載置した状態等におけるパレットの撓み変形等をより確実に抑止することができる。さらに、補強部が設けられることで、対象壁部の強度が高められ、フォークが対象壁部に接触した場合に対象壁部が損傷するといった事態をより確実に抑止することができる。
【0009】
手段2.前記複数の柱部の下端部間を連結する下デッキ部を備え、
前記上デッキ部、及び、前記下デッキ部は、前記パレットの所定の側辺部と平行する方向に延在し、前記柱部の間を連結する連結桟を備え、
少なくとも一部の前記補強部は、前記対象壁部のうち前記上デッキ部及び前記下デッキ部の前記連結桟との連結部位の少なくとも一部を含むようにして形成されていることを特徴とする手段1に記載のパレット。
【0010】
手段2によれば、連結桟に生じた変形が柱部のうち連結桟との連結部位を変形させ、パレット全体として比較的大きな変形となって表れてしまうといった事態を防止することができる。
【0011】
手段3.前記補強部は、前記外周壁部の内周側に向けて凹状に設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載のパレット。
【0012】
手段3によれば、フォーク挿入部にフォークを挿入する際に、フォークが補強部に接触するといった事態を回避することができる。従って、フォークのフォーク挿入部への挿入作業をよりスムースに行うことができる上、フォークとの接触により補強部が損傷する等の事態を防止することができる。また、例えば、パレットが、パレットの上側部分と、下側部分とを別々に形成してから互いに溶着することにより構成される場合に、溶着により発生する余剰樹脂を削る作業が、補強部の存在によって難しくなるといった事態を回避することができる(補強部が凸状の場合には、凸面に沿って余剰樹脂を削る作業が必須となるが、補強部が凹状の場合には、補強部に収まっている(はみ出していない)余剰樹脂を除去する必要がなく、また、余剰樹脂が補強部からはみ出していたとしても、対象壁部の外面に沿って余剰樹脂を削る作業を行うだけで済む)。結果として、パレットの生産性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パレットの上面側を示す斜視図である。
図2】パレットの下面側を示す斜視図である。
図3】パレットの水平断面を含む斜視図である。
図4】パレットの部分拡大水平断面図である。
図5】パレットの鉛直断面を含む斜視図である。
図6】パレットの鉛直断面を含む斜視図である。
図7】別の実施形態における中央柱部等を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図3等に示すように、パレット1は、平面視略矩形状をなしている。また、パレット1は、パレット1の4隅に設けられる4本の隅柱部2と、パレット1の各側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部2の中間部位に設けられる中間柱部3と、パレット1の中央部に設けられる中央柱部4と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部間を連結する上デッキ部5と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下端部間を連結する下デッキ部6とを備えている。各隅柱部2と中間柱部3との間には、運搬手段としてのフォークリフトやハンドリフト等のフォークを挿入可能なフォーク挿入部7が形成されている。本実施形態のパレット1は、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを挿入可能な4方差しタイプのパレットとなっている。また、パレット1は、ポリプロピレンによってその全体が一体的に形成(一体成形)されている。さらに、本実施形態では、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、上デッキ部5の上面によって物品を載置可能な「載置面8」が構成され、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、下デッキ部6の下面によって、パレット1が設置される床面等の設置面に接地する「接地面9」が構成されている(図2等参照)。
【0015】
図1図5図6に示すように、上デッキ部5は、パレット1の所定の側辺部と平行する方向に延在し、隅柱部2と中間柱部3との間、及び、中央柱部4と中間柱部3との間をそれぞれ連結する上連結桟11と、上連結桟11同士の間を連結する補助連結部12とを備えている。図5に示すように、中央柱部4と中間柱部3との間を連結する上連結桟11は、当該上連結桟11の延在方向に対して直交する断面において下方に開口する略コ字状をなし、互いに所定距離を隔てて3列で設けられる上部柱部間連結部13を備えている。
【0016】
図2図3図5に示すように、下デッキ部6は、パレット1の所定の側辺部と平行する方向に延在し、隅柱部2と中間柱部3との間、及び、中央柱部4と中間柱部3との間をそれぞれ連結する下連結桟14を備えている。但し、下デッキ部6には、下連結桟14同士の間を連結する補助連結部は設けられておらず、下連結桟14で囲まれる領域が開口している。すなわち、下デッキ部6には、フォーク挿入部7が交差する範囲において、ハンドリフトのフォークの下面側に取付けられたキャスターを接地可能とするキャスター用開口部15が設けられている。
【0017】
図5に示すように、中央柱部4と中間柱部3との間を連結する下連結桟14は、当該上連結桟11の延在方向に対して直交する断面において上方に開口する略コ字状をなす下部連結部17を具備し、互いに所定距離を隔てて2列で設けられる下部柱部間連結部16を備えている。各下部柱部間連結部16は、下部連結部17の上端部から下連結桟14の横幅方向の側方に向けて下方傾斜し、ハンドリフトのキャスターを下連結桟14に乗上げ易くするための乗上げ案内部18を備えている。
【0018】
尚、上記のように、本実施形態では、全体が一体的に形成されるパレット1であり、基本的には、上下方向に相対変位する上型と、下型とで成形される一方で、隅柱部2と中間柱部3と上連結桟11と下連結桟14とで囲まれる部位に関しては、パレット1の内外周方向にスライドする金型により成形される。また、中央柱部4と、中間柱部3との間を連結する上連結桟11及び下連結桟14に関し、上部柱部間連結部13と、下部柱部間連結部16とは、平面視で重複しないように構成されており、当該上連結桟11及び下連結桟14は、中央柱部4及び中間柱部3の外周面等とともに、上型及び下型によって成形される。
【0019】
さて、図3図4等に示すように、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4は、それぞれの外周面を構成する上下方向に延びる略四角筒状の外周壁部21を備えている。外周壁部21は、水平断面において所定方向に延びる直線状をなす対象壁部22の中間部を外周壁部21の内周側に向けて凹状となる湾曲部(水平断面略円弧状)とすることで構成された補強部23を備えている。各補強部23は、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部から下端部に掛けて連続して設けられている(隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の高さ方向全域に延在する。図5図6等参照)。
【0020】
より具体的に説明すると、隅柱部2の外周壁部21は、パレット1の外周面を構成する外壁構成部24と、中間柱部3と対向し、フォーク挿入部7の横幅を画定する内壁第1構成部25と、内壁第1構成部25同士の境界部において、内壁第1構成部25に対して45度~50度傾斜した角度で内壁第1構成部25同士の端部間を連結するコーナー壁部26とを備えている。外壁構成部24は、パレット1の各側辺部と略平行して(又は、略直交して)延在している。内壁第1構成部25は、フォーク挿入部7の横幅をフォーク挿入部7の奥側から入口側に向けて次第に広げるようにして、コーナー壁部26との連結部からフォーク挿入部7の入口側に向けて、適宜、傾斜及び湾曲している。内壁第1構成部25は、上デッキ部5の上連結桟11、及び、下デッキ部6の下連結桟14と連結され、コーナー壁部26は、上デッキ部5の補助連結部12と連結されている。隅柱部2の内側には、外壁構成部24と、内壁第1構成部25との間を連結し、隅柱部2の上端部から下端部にかけて連続する柱内全高リブ27が設けられている。本実施形態では、各隅柱部2においてコーナー壁部26が対象壁部22とされ、コーナー壁部26の横幅方向中央部の1箇所に補強部23が設けられている。
【0021】
中間柱部3の外周壁部21は、パレット1の外周面を構成する外壁構成部24と、隅柱部2と対向し、フォーク挿入部7の横幅を画定する内壁第1構成部25と、中央柱部4と対向し、フォーク挿入部7の横幅を画定する内壁第2構成部28と、各内壁第1構成部25と内壁第2構成部28との境界部において、内壁第1構成部25に対して30度~40度傾斜した角度で内壁第1構成部25と内壁第2構成部28との端部間を連結するコーナー壁部26とを備えている。外壁構成部24、及び、内壁第2構成部28は、パレット1の各側辺部と略平行して(又は、略直交して)延在している。内壁第1構成部25は、フォーク挿入部7の横幅をフォーク挿入部7の奥側から入口側に向けて次第に広げるようにして、コーナー壁部26との連結部からフォーク挿入部7の入口側に向けて、適宜、傾斜及び湾曲している。内壁第1構成部25、及び、内壁第2構成部28は、上デッキ部5の上連結桟11、及び、下デッキ部6の下連結桟14と連結され、コーナー壁部26は、上デッキ部5の補助連結部12と連結されている。中間柱部3の内側には、外壁構成部24と、内壁第1構成部25と、内壁第2構成部28との間を連結し、中間柱部3の上端部から下端部にかけて連続する柱内全高リブ27が設けられている。本実施形態では、各中間柱部3において、各コーナー壁部26、及び、内壁第2構成部28が対象壁部22とされている。
【0022】
内壁第2構成部28には、内壁第2構成部28の両側部から離間し、かつ、内壁第2構成部28の横幅方向中央部を中心とした対称位置であって互いに離間した2箇所に補強部23が設けられている。また、内壁第2構成部28の補強部23は、内壁第2構成部28のうち下デッキ部6の下連結桟14との連結部位の少なくとも一部を含むようにして形成されている。特に、本実施形態では、中央柱部4と中間柱部3との間を連結する下連結桟14の各下部柱部間連結部16は、内壁第2構成部28のうち、補強部23以外の部位である一般部29と、補強部23とにかけて連結されている(所定の補強部23の一側方側の一般部29から、前記所定の補強部23の他側方側の一般部29にかけて連結されている。)。尚、中間柱部3においても、コーナー壁部26には、横幅方向中央部の1箇所に補強部23が設けられている。
【0023】
中央柱部4の外周壁部21は、中間柱部3と対向し、フォーク挿入部7の横幅を画定する内壁第2構成部28と、内壁第2構成部28同士の境界部において、内壁第2構成部28に対して約45度傾斜した角度で内壁第2構成部28同士の端部間を連結するコーナー壁部26とを備えている。内壁第2構成部28は、パレット1の各側辺部と略平行して(又は、略直交して)延在している。内壁第2構成部28は、上デッキ部5の上連結桟11、及び、下デッキ部6の下連結桟14と連結され、コーナー壁部26は、上デッキ部5の補助連結部12と連結されている。中央柱部4の内側には、内壁第2構成部28の間を連結し、中央柱部4の上端部から下端部にかけて連続する柱内全高リブ27が設けられている。本実施形態では、中央柱部4の各内壁第2構成部28が対象壁部22とされている。中央柱部4の内壁第2構成部28においても、中間柱部3の内壁第2構成部28と同様に、補強部23が左右一対で設けられ、補強部23は、下デッキ部6の下連結桟14の下部柱部間連結部16との連結部位の少なくとも一部を含むようにして形成されている。尚、中央柱部4のコーナー壁部26には補強部23は形成されていない。
【0024】
また、図1図2等に示すように、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部、及び、下端部の一部は閉塞され、補強が図られている。さらに、図3図4図6に示すように、中央柱部4の内側には、各内壁第2補強部23の一対の補強部23のうち一方の補強部23(中央柱部4の水平断面を平面視した場合に時計回り方向先方側に位置する方の補強部23)の横幅方向中央部から中央柱部4の内周側に向けて、対応する内壁第2構成部28に対して略直交する方向に延びる補強リブ31が設けられている。補強リブ31は、中央柱部4の上端部から下端部に掛けて連続して設けられ、その上部、及び、下部が、介在リブ32を介して、柱内全高リブ27、及び、外周壁部21(内壁第2構成部28)と連結されている。
【0025】
以上詳述したように、本実施形態によれば、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の外周壁部21は、水平断面において所定方向に延びる直線状をなす対象壁部22の中間部を凹状の湾曲部とすることで構成された補強部23を備え、補強部23は、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部から下端部に掛けて連続して設けられている。このため、例えば、外周壁部21に対してリブを連結することのみにより隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4に対して同程度の剛性を持たせる場合に比べてパレット1の重量の増加を抑制しつつ、効果的に隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の剛性を高めることができる。結果として、パレット1に物品を載置した状態等におけるパレット1の撓み変形等をより確実に抑止することができる。さらに、補強部23が設けられることで、対象壁部22の強度が高められ、フォークが対象壁部22に接触した場合に対象壁部22が損傷するといった事態をより確実に抑止することができる。
【0026】
また、中間柱部3、及び、中央柱部4の内壁第2構成部28に設けられる補強部23は、当該内壁第2構成部28のうち下デッキ部6の下連結桟14の下部柱部間連結部16との連結部位の少なくとも一部を含むようにして形成されている。このため、下連結桟14に生じた変形が中間柱部3、及び、中央柱部4のうち下連結桟14との連結部位を変形させ、パレット1全体として比較的大きな変形となって表れてしまう(例えば、パレット1の下面のうち相対する一対の側辺部のみが支持された状態において、パレット1の中央部側の自重により下連結桟14に変形が生じた場合に、中間柱部3、及び、中央柱部4のうち下連結桟14との連結部位にも変形が生じる場合には、下連結桟14の全体が下方に変位する格好となり、パレット1全体として中央部側がより大きく下方に撓むことになる)といった事態を防止することができる。
【0027】
特に、本実施形態では、中間柱部3と中央柱部4との間を連結する下連結桟14は、対象壁部22のうち、補強部23以外の部位である一般部29と、補強部23とにかけて連結されている。つまり、水平断面において面変化が生じている部位、特に、比較的大きな面変化が生じている部位に関し、上下方向の圧縮荷重に対する剛性が高くなることから、一般部29と補強部23との境界部を含むようにして下連結桟14が連結されることにより、下連結桟14に生じた応力が中間柱部3、及び、中央柱部4に影響して中間柱部3、及び、中央柱部4が変形することをより効果的に抑止することができる。
【0028】
さらに、補強部23は、外周壁部21の内周側に向けて凹状に設けられている。このため、フォーク挿入部7にフォークを挿入する際に、フォークが補強部23に接触するといった事態を回避することができる。従って、フォークのフォーク挿入部7への挿入作業をよりスムースに行うことができる上、フォークとの接触により補強部23が損傷する等の事態を防止することができる。
【0029】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0030】
(a)上記実施形態では、補強部23が設けられる対象壁部22が水平断面において直線状とされているが、例えば、水平断面において略一定の曲率を有する曲線状をなす対象壁部の中間部に補強部23を設けることとしてもよい。また、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4において対象壁部22とされる壁部についても特に限定されるものではなく、例えば、隅柱部2の内壁第1構成部25を対象壁部としてもよいし、中間柱部3の外壁構成部24を対象壁部としてもよいし、図7のように、中央柱部4の(下連結桟14と連結されていない)コーナー壁部26に補強部23を設けることとしてもよい。
【0031】
また、所定の対象壁部22に設けられる補強部23の数や形成位置等は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、図7のように、中央柱部4の内壁第2構成部28に3つの補強部23(1つでもよいし、4つ以上でもよい)を設けることとしてもよい。さらに、図7のように、補強部23が湾曲部により構成されるのではなく、断面略コ字状の屈曲部により補強部41を構成することとしてもよい(断面略V字状でもよい)。加えて、図7に示すように、補強部23を外周壁部21の内周側に向けて凹状に設けるのではなく、外周壁部21の外周側に向けて凸状となる断面略V字状の補強部42や、断面略円弧状の補強部43を設けることとしてもよい。尚、外周壁部21の外周側に突出する当該補強部42、補強部43は、フォーク挿入部7に挿入される際のフォークと接触しても、自身の傾斜面や湾曲面によって、接触の衝撃を緩和しつつ、フォークをフォーク挿入部7の横幅方向中央部側に案内することができる。但し、補強部23を外周壁部21の内周側に向けて凹状に設けることで、補強部23とフォークとの接触自体を回避することができる。
【0032】
(b)上記実施形態において、中間柱部3及び中央柱部4の内壁第2構成部28に設けられる補強部23に関し、内壁第2構成部28のうち上連結桟11の上部柱部間連結部13との連結部位の少なくとも一部を含むようにして形成することとしてもよい。また、中間柱部3と中央柱部4との間を連結する下連結桟14の下部柱部間連結部16は、内壁第2構成部28のうち補強部23のみと連結される構成であってもよいし、内壁第2構成部28のうち補強部23の一部と、一般部29とに掛けて連結される構成としてもよい。
【0033】
(c)上記実施形態では、全体が一体的に形成される(一体成形の)パレット1に具体化されているが、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上側部分と、上デッキ部5とを具備する上構成部と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下側部分と、下デッキ部6とを具備する下構成部とをそれぞれポリプロピレンにより一体的に形成し、上構成部の下縁部と、下構成部の上縁部とを溶着(例えば、熱溶着、振動溶着)させることにより、上構成部と下構成部とが一体化されてなるパレットに適用することも可能である。ここで、補強部23が外周壁部21の内周側に向けて凹状に設けられることにより、溶着により発生する余剰樹脂を削る作業が、補強部23の存在によって難しくなるといった事態を回避することができる。つまり、補強部23が、例えば、凸状の場合には、凸面に沿って余剰樹脂を削る作業が必須となるが、補強部23が凹状の場合には、補強部23に収まっている(はみ出していない)余剰樹脂を除去する必要がなく、また、余剰樹脂が補強部23からはみ出していたとしても、対象壁部22の外面に沿って余剰樹脂を削る作業を行うだけで済む。結果として、パレット1の生産性の向上等を図ることができる。
【0034】
尚、上構成部及び下構成部によりパレットを構成する場合には、水平方向において上デッキ部5の上連結桟11の上部柱部間連結部13と、下デッキ部6の下連結桟14の下部柱部間連結部16との位置をずらさなくても(上下対称形状としても)、外周壁部21のうち上連結桟11、及び、下連結桟14との連結部位を含むようにして補強部23を設けることが可能となる。
【0035】
(d)上記実施形態では、パレット1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを挿入可能な4方差しタイプのパレットとなっているが、2つの側面からフォークを挿入可能な2方差しタイプのパレットに適応することも可能である。さらに、例えば、下デッキ部6が省略されたパレットに具体化することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1…パレット、2…隅柱部、3…中間柱部、4…中央柱部、5…上デッキ部、6…下デッキ部、7…フォーク挿入部、11…上連結桟、13…上部柱部間連結部、14…下連結桟、17…下部柱部間連結部、21…外周壁部、22…対象壁部、23…補強部、25…内壁第1構成部、26…コーナー壁部、28…内壁第2構成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7