(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093842
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】配線シート
(51)【国際特許分類】
H05K 3/36 20060101AFI20230628BHJP
H05K 1/14 20060101ALI20230628BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230628BHJP
C09J 109/00 20060101ALI20230628BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230628BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
H05K3/36 A
H05K1/14 G
C09J7/38
C09J109/00
C09J201/00
C09J11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208933
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔彦
(72)【発明者】
【氏名】桑原 章史
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
5E344
【Fターム(参考)】
4J004AA05
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB02
4J004FA04
4J040CA041
4J040CA091
4J040DF021
4J040EF001
4J040HA066
4J040JA09
4J040JB09
4J040MA02
4J040NA19
5E344AA02
5E344AA12
5E344AA22
5E344BB02
5E344BB05
5E344BB10
5E344CD40
5E344DD06
5E344EE17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡便な方法で印刷によるフレキシブル配線間乃至は印刷によるフレキシブル配線とフレキシブル金属配線間を導電接合すると同時に高い封止性能を同時に発現させるフレキシブル配線シートを提供すること。
【解決手段】シート状基材(1)と、該シート状基材上に配置された第一の印刷導電性配線(2)と、第一の導電性配線を保護するフィルム保護層(3)と、第一の導電性配線(2)に結線された第二の導電性配線(4)とを有する配線シートであって、第一の印刷導電性配線(2)と第二の導電性配線(4)とが、銀またはカーボンを含有する導電性粘着シート(6)で結線され、かつ、結線部が封止粘着シート(7)で封止されてなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状基材(1)と、該シート状基材上に配置された第一の印刷導電性配線(2)と、第一の印刷導電性配線を保護するフィルム保護層(3)と、第一の印刷導電性配線(2)に結線された第二の導電性配線(4)とを有する配線シートであって、第一の印刷導電性配線(2)と第二の導電性配線(4)とが、金属またはカーボンを含有する導電性粘着シート(6)で結線され、かつ、結線部が封止粘着シート(7)で封止されてなることを特徴とする配線シート。
【請求項2】
導電性粘着シート(6)の膜厚が10~50μmである、請求項1に記載の配線シート。
【請求項3】
導電性粘着シート(6)が、導電性粒子(A)と樹脂(B)とを含有し、導電性粒子(A)が、銀またはカーボンを含み、導電性粒子(A)が、下記式(1)を満たす導電性粒子(a1)を含み、導電性粒子(a1)と、樹脂(B)との体積比が、1:99~15:85である請求項1または2に記載の配線シート。
式(1) Z≦Y≦3Z
(式(1)中、Yは導電性粒子(a1)の粒子径を表し、Zは導電性粘着シートの膜厚を表す。)
【請求項4】
導電性粘着シート(6)の粘着力が、第一の印刷導電性配線シート(2)と第二の導電性配線(6)の間で3N/25mm以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の配線シート。
【請求項5】
導電性粘着シート(6)が、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~4いずれか1項に記載の配線シート。
【請求項6】
導電性粘着シート(6)が、スチレン-イソプレン共重合体、水添スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、および水添スチレン-ブタジエン共重体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項5に記載の導配線シート。
【請求項7】
封止粘着シート(7)が、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の配線シート。
【請求項8】
シート状基材(1)が、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、またはPVC(ポリ塩化ビニル)を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の配線シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルな印刷配線が簡便かつ長期信頼性を有する接合方法により接合された配線シート関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の分野では、リジッド配線基板間を接合する方法として内層にフレキシブル基板を組み込むリジッドフレキシブル基板(特許文献1)やコネクタを介しての接続、また配線基板間を異方導電材で接合する工法(特許文献2)などが採用されるが、特許文献1の場合はエッチングによるパターン形成や多層化の為のプリプレグを介した熱圧着工程など 複雑な工程を要し、特許文献2の場合のような異方導電材を介しての接合は、高価でまた生体センサなどの物理的な応力が繰り返しかかる用途では接続強度が不十分である。そうした課題に対しての工法として半田による電極間接合とその間に熱硬化性樹脂を充填させての接合方法(特許文献3)が提案されているが、フレキシブル基材で常に物理的な応力がかかる箇所では半田接合は不十分であり、また印刷での回路形成に適したPET基材のような材料では半田接合時の高温に耐えられない。
【0003】
近年、身体に装着し生体信号を取得するウェアラブルデバイスや屋外で使用されるセンシングデバイスでは、フレキシブル配線とICモジュールのようなリジッド基板を併用するフレキシブルハイブリッド材料が必要とされる。PETのような耐熱性のない基材上の印刷による配線材料とリジッド部材からの配線を如何に接合するかは大きな課題であり、実用に耐える接合信頼性と軽量、簡便性を兼ね備えた接合技術は未だ得られていないのが実情である。
印刷配線との接合法として導電接着剤(特許文献4)があるが、架橋型接着剤接合の場合、印刷配線との界面に硬化時の応力が発生し、高温高湿での長期環境試験や屈曲繰り返しでの接合不良の原因となる。また屋外作業での簡便な接合作業において、液状接着剤を使用する場合、接着剤量を規定することが難しく安定した導電接合が難しい。また室温硬化では長時間(24時間程度)が必要となるため次の工程作業を中断する必要があり簡易施工上大きな問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-114482号
【特許文献2】特開2012-174589号
【特許文献3】特開2014-183087号
【特許文献4】特開2020-64889号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、印刷によるフレキシブル配線間乃至は印刷によるフレキシブル配線とフレキシブル金属配線間を簡便に導電接合すると同時に高い屈曲耐性と高温高湿環境に耐える封止安定性を発現させるフレキシブル配線シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は前記課題を解決すべき鋭意検討を重ねた結果、フレキシブル回路間を導電性粘着シートで導電接合し、かつその周辺部を粘着シートにより封止する簡便かつ安定的な導電接合を発現する配線シートの完成に至った。
【0007】
本発明は、印刷によるフレキシブル印刷配線間または印刷フレキシブル配線とフレキシブル金属配線間を導電性粘着シートで接合すると同時にその周囲を粘着シート組成物で封止し、接合箇所を現場作業でも簡便に物理的な応力に対する耐性を発現させると同時に高温高湿環境下でも高い封止性を発現させることで配線の長期信頼性を確保するものである。
【0008】
すなわち、本発明は、シート状基材(1)と、該シート状基材上に配置された印刷による第一の導電性配線(2)と、第一の導電性配線を保護するフィルム保護層(3)と、第一の導電性配線(2)に結線された第二の導電性配線(4)とを有する配線シートであって、第一の導電性配線(2)と第二の導電性配線(4)とが、銀またはカーボンを含有する導電性粘着シート(6)で結線され、かつ、結線部が封止粘着シート(7)で封止されてなることを特徴とする配線シートに関する。
【0009】
また本発明は、導電性粘着シート(6)の膜厚が10~50μmのシート型粘着材である前記の配線シートに関する。
【0010】
また本発明は、導電性粘着シート(6)が、導電性粒子(A)と樹脂(B)とを含有し、導電性粒子(A)が、銀またはカーボンを含み、導電性粒子(A)が、下記式(1)を満たす導電性粒子(a1)を含み、導電性粒子(a1)と、樹脂(B)との体積比が、1:99~15:85である前記の配線シートに関する。
式(1) Z≦Y≦3Z
(式(1)中、Yは導電性粒子(a1)の粒子径を表し、Zは導電性粘着シートの膜厚
を表す。)
【0011】
また本発明は、導電性粘着シート(6)の粘着力が、第一の印刷導電性配線シート(2)と第二の導電性配線(6)の間で3N/25mm以上である前記の配線シートに関する。
【0012】
また本発明は、導電性粘着シート(6)がスチレン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記の配線シートに関する。
【0013】
また本発明は、導電性粘着シート(6)のスチレン系樹脂が、スチレン-イソプレン共重合体、水添スチレン-イプレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、および水添スチレン-ブタジエン共重体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記の配線シートに関する。
【0014】
また本発明は、封止粘着シート(7)が、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、およびポリアミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む前記の配線シートに関する。
【0015】
また本発明は、シート状基材(1)が、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)またはPVC(ポリ塩化ビニル)であることを特徴とする前記の配線シートに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、印刷されたフレキシブル導電性配線間、または印刷されたフレキシブル導電性配線とフレキシブル金属配線間を簡便に接合することが出来、かつ使用時に可動させても導電接合部が破断することなく強固で長期信頼性のある結合配線を達成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】は、実施例中の「導電性試験」におけるサンプルシートの作成方法を示す。
【
図3】は、実施例中の「屈曲性試験1」におけるサンプルシートの作成方法を示す。
【
図4】は、実施例中の「屈曲性試験1」における伸縮試験方法を示す。
【
図5】は、実施例中の「屈強性試験2」及び実施例4「長期信頼性試験」におけるサンプルシートの作成方法を示す。
【
図6】は、実施例中の「屈曲性試験2」における伸縮試験方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の配線シートは、シート状基材(1)に印刷された第一の導電性配線(2)と第一の導電性配線を保護するフィルム保護層(3)が、前記(2)の導電性配線を露出させる第1の開口部を有し、前期導電性粘着シート(6)が、前記1の開口部に配置され、前記封止粘着シートが、前記第1の開口部の周辺部に配置されており、第一の導電性配線(2)と第二の導電性配線(4)間が前記導電性粘着シート(6)によって結線され、結線部周辺部の第一のフィルム保護層(3)と第二の導電性配線が封止粘着シート(7)によって接合される。導電性粘着シート(6)は、液状の導電接着剤のような塗布、接合後に規定の接合強度を発現させるための長時間(通常24時間)の待ち時間を必要とせず、また、簡便かつ短時間の接合により安定した接合を確保出来る(
図1)。
【0019】
<導電性粘着シート(6)>
本発明に用いる導電性粘着シートは、上記第一の印刷導電性配線(2)と第二の導電性配線(4)を接合するために用いる。また、導電性粘着シートは、導電性粘着剤組成物をシート化することで得ることができ、導電性粘着剤組成物は、導電性粒子(以下、導電性フィラーと記載することもある)を粘着性組成物中に分散することで作成される。導電性粘着剤組成物は、シート化前の段階では、溶剤を使用しないホットメルト型の導電粘着組成物または溶剤を使用する溶剤型粘着組成物を経てシートが製造される。
【0020】
導電性粘着シートは、導電性粘着剤組成物を製造し、その後のシート化工程によって製造することができる。この場合に用いる、導電性粘着剤組成物は、シート化工程によってその製造法が異なる。シート化工程にはホットメルト法と印刷法があり、ホットメルト法では、無溶剤で粘着性組成物に導電性フィラーを分散して導電粘着性組成物を作成し、この導電性粘着剤組成物を熱溶融して熱塗工をおこない、導電性粘着シートを製造する。印刷法では、粘着剤組成物を溶剤に溶解させ、溶剤型粘着性組成物として導電性フィラーを混合分散させ、印刷とその後の溶剤乾燥工程を通じて導電性粘着シートを製造する。
【0021】
導電性フィラーとしては、金属またはカーボンであり、銀またはカーボンが好ましく、銀については銀、銀メッキ金属、無機乃至は有機粒子、カーボンについてはカーボンブラック、黒鉛、グラフェン、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化グラフェン、アセチレンブラックなどカーボン系が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、好ましくは、黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン、さらに好ましくは、黒鉛(グラファイト)、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、および酸化グラフェンである。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。好ましくは抵抗値の低い銀乃至は銀をメッキした銅などの金属、無機乃至は有機粒子を使用すると良い。
【0022】
導電性フィラーである銀紛体乃至はカーボン紛体の形状に関しては、フレーク状(鱗片状)、球状、針状、繊維状、樹枝状が挙げられるが、これらに限定されるものではないが、塗膜の膜厚方向に導電粒子が配向しやすい球状乃至は樹枝状が好ましい。
なお、接着力を強固にするために導電性フィラーの添加量を減らしたい場合は、導電紛の粒度分布において接合する配線間の導通性に寄与しない10μm以下の粒子を篩に掛けて除去することが好ましい。
【0023】
導電粒子の添加量は、樹脂の体積比1~15%が好ましい。15%以下であれば、3N以上の粘着性が確保出来るためである。
【0024】
また、導電性粒子は、下記式(1)を満たす導電性粒子(a1)を含み、導電性粒子(a1)と、樹脂(B)との体積比が、1:99~15:85であることが好ましい。
式(1) Z≦Y≦3Z
(式(1)中、Yは導電性粒子(a1)の粒子径を表し、Zは導電性粘着シートの膜厚を表す。)
導電性粘着シートの膜厚以上かつ膜厚の3倍以下の粒子径を有する導電性粒子が全固形分中の体積比1%以上より好ましくは3以上さらに好ましくは5%以上含むことで接合部の良好な導電接合が得られる。導電粒子径が膜厚の3倍を超える場合、導電性粘着シート製造時に導電紛の偏りが生じ、均一な導電性を発現出来ず、安定した製造物が得られない可能性がある。
【0025】
導電性粘着剤組成物は、樹脂として熱可塑性樹脂を含むことができる。熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系、アクリロニトリル系、ジエン系、アクリル系、ブタジエン系、ポリアミド系、ポリビニルブチラール系、オレフィン系、イソプレン系、ブタジエン系、クロロプレン系、アクリロニトリル系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、スチレン系、エチレン-酢酸ビニル系、フッ素系、シリコーン系およびそれらの共重合体を含む樹脂等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。ただし、これらの樹脂に限定されるわけではない。熱可塑性樹脂は、耐久性、耐候性、耐熱性と接着力の観点から、より好ましくは、スチレン系の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂は1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。さらに熱可塑性樹脂は異なるモノマーが連結することによって形成される共重合体を用いても良い。
同熱可塑性樹脂は、保持力を発現させるためにシート化する工程において粘着性を損なわない範囲で微架橋させることも有効である。
【0026】
スチレン系の熱可塑性樹脂、より具体的にはスチレン系エラストマーは、一般的にポリスチレンブロックとゴム中間ブロックとを有し、ポリスチレン部分が物理的架橋(ドメイン)を形成して橋掛け点となり、中間のゴムブロックは製品にゴム弾性を与える。中間のソフトセグメントにはポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)及びポリオレフィンエラストマー(エチレン・プロピレン、EP)があり、ハードセグメントのポリスチレン(S)との配列の様式によって、直鎖状(リニアタイプ)及び放射状(ラジカルタイプ)とに分かれる。前記した好ましいスチレン系エラストマーの中でも、本発明ではより具体的にスチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEPS)、スチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)、スチレン・ブタジエン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SBIS)またはスチレン・ブタジエン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEEPS)、水素化スチレンブロックコポリマ-(HSBC)、強化ゴムセグメント(ERS)からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。ただし、これらの樹脂に限定されるわけではない。
【0027】
本発明の導電性粘着剤組成物は、さらに粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、その他必要に応じて用いることができる。
【0028】
粘着付与樹脂とは、粘着性の乏しい熱可塑性樹脂に配合することで粘着性を向上させる樹脂成分である。
【0029】
粘着付与樹脂としては、例えば、水素添加されたテルペン系樹脂、テルペン系樹脂、水素添加されたロジン系樹脂、ロジン系樹脂、水素添加された炭化水素系樹脂、エポキシ系樹脂、水素添加されたエポキシ系樹脂、ケトン系樹脂、水素添加されたケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、水素添加されたポリアミド系樹脂、エラストマー系樹脂、水素添加されたエラストマー系樹脂、フェノール系樹脂、水素添加されたフェノール系樹脂、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂、スチレン系樹脂および水素添加されたスチレン系樹脂などが挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、単独または2種以上使用できる。これらの中でも耐久性の観点から、水素添加された炭化水素系樹脂が好ましい。水素添加することで分子内構造に共役二重結合を持たなくなるので、粘着付与樹脂を含む粘着着剤が被着体へ長期接着する際に光または熱による劣化が起こりにくいため10年以上の接着力保持が可能になる。
【0030】
熱可塑性樹脂と粘着付与樹脂との配合比としては、熱可塑性樹脂を30~100重量%、粘着付与樹脂を0~70重量%が好ましく、より好ましくは、熱可塑性樹脂を30~50重量%、粘着付与樹脂を50~70重量%範囲である。
【0031】
軟化剤は、粘着性を付与する場合に必要に応じて用いる。軟化剤としては、例えば、ワセリン、鉱物油、植物性油脂、動物性油脂などが挙げられる。鉱物油としては、流動パラフィン、パラフィン、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるパラフィン系鉱物油、ナフテン環炭素数が全炭素数の30~40重量%を占めるナフテン系鉱物油、および芳香族炭素数が全炭素数の30重量%以上を占める芳香族系鉱物油等を挙げることができる。植物性油脂:オリーブ油、カルナウバロウ、米胚芽油、コーン油、サザンカ油、ツバキ油、ヒマシ油、ホホバ種子油、ミンク油、ユーカリ葉油などを挙げることができる。動物性油脂:ミツロウ、スクワラン、はちみつを挙げることができる。その他、ミスチル酸、オレイン酸、ミスチル酸イソプロピル、ミスチル酸亜鉛、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリイソオクタン酸グリセリン、オクチルドデカノール、
キシルデカノール、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、ステアリン酸、イソステアリン酸、クロタミトン、中鎖脂肪酸トリグリセリト、サリチル酸エチレングリコール、エチルヘキサン酸セチル、ジステアリン酸グリコール、セテアリルアルコール、セタノール、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ベヘニルアルコール等も軟化剤として挙げられる。これらの軟化剤は、単独または2種以上使用できる。
【0032】
酸化防止剤は、粘着剤組成物の製造時の加熱や導電粘着材として使用しての経時で酸化が進行しないために用いられる。酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。 フェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましく、リン系酸化防止剤は、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトが好ましい。
【0033】
導電性粘着剤組成物は、本発明による効果を損なわない範囲であれば、各種添加剤を適宜配合することも可能である。例えば、硬化収縮率低減、熱膨張率低減、寸法安定性向上、弾性率向上、粘度調整、強度向上および靭性向上等の観点から、有機又は無機の充填剤を配合することができる。このような充填剤は、ポリマー、セラミックス、金属酸化物、金属塩、および染顔料等の材料から構成されるものであってよい。また、その形状については、特に限定されず、例えば、粒子状および繊維状等であってよい。
また、基材とのレベリング性、塗工性の調整や接着性の向上のために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、難燃化剤、保存安定剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、チキソトロピー付与剤、レベリング剤、消泡剤、分散安定剤、流動性付与剤、消泡剤および色材等も添加することができる。また、流動性を向上させるために溶剤を含ませてもよい。
【0034】
<ホットメルト型導電性粘着シート>
ホットメルト型導電性粘着シートに用いる導電性粘着剤組成物は、熱可塑性エラストマー樹脂と粘着性付与樹脂を主要成分とし、更に必要に応じて、軟化剤、粘着付与罪、酸化防止剤およびその他の成分を配合後、導電フィラーを均一に分散することで製造することができる。配合物を熱三本ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、撹拌機を備えた溶融釜、または一軸または二軸の押し出し機などを用いて加熱混合してホットメルト型の導電性粘着剤組成物を製造する。
【0035】
ホットメルト型導電性粘着シートは、ホットメルトガンにより室温で固体状のホットメルト導電性粘着着剤を加熱溶融させ、直接配線シートの基材上に塗布されても良いが、後述する方法によって離型フィルム上乃至は基材フィルムに膜状に塗工・印刷され、更に離型フィルムでサンドイッチする形の導電性粘着シートとして製造する事が出来る。
ホットメルト型導電性粘着剤組成物の塗工・印刷方法は、特に限定されることはない。塗工方法としてはスロットスプレー塗工法、オメガ塗工法、スパイラル塗工法、コントロールシーム塗工法、スロットスプレー塗工法、ドット塗工法、ホットメルトアプリケーター塗工法、ホットメルトコーター塗工法、ブレードコート塗工法、ディップ塗工法、グラビアコート塗工法、カーテンスプレー塗工法、ビード塗工法、ホットメル
トロールコータースピンコート塗工法が挙げられる。ホットメルト導電粘着組成物の厚みは、10~50μmが好ましい。厚すぎると膜厚調整が難しく、導電性が不安定となり薄すぎると粘着強度が得られない。
【0036】
<溶剤型導電性粘着シート>
溶剤型導電性粘着シートに用いる溶剤型導電性粘着剤組成物は、粘着剤組成物を溶剤に溶解し、これを撹拌混合することによって均一な溶剤型粘着剤組成物を得る。使用する溶剤は熱可塑性樹脂および粘着着剤組成物を溶かすものであれば特に制限されない。熱可塑性エラストマーのうち、200℃まで加熱しても粘着性付与剤や他の成分と溶融混合出来ない場合はシート化適性がないとした。
【0037】
溶剤型導電性粘着剤組成物は、導電フィラーと粘着剤組成物とを混合撹拌した後、3本ロールやサンドミル分散機により導電フィラーを粘着剤組成物と均一に混合、分散させることで得られる。
【0038】
本発明の溶剤型導電性粘着シートは、溶剤型導電性粘着剤組成物を、スクリーン印刷等によって配線シートの基材上、乃至は離形シート上に塗布され、規定温度で溶剤を除去した後、塗膜面を離形シートでラミネートすることで導電性粘着シートとして製造出来る。溶剤型導電性粘着剤の塗工、印刷方法は、特に限定されることはない。塗工方法としてはインクジェット印刷法、スプレー印刷法、ロールコート印刷法、ドクターロール印刷法、ドクターブレード印刷法、カーテンコート印刷法、スリットコート印刷法、スクリーン印刷法、反転印刷法、プッシュコート印刷法、スリットコーター印刷法等を挙げることができる。乾燥条件は、特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。
乾燥条件としては、膜厚や選択した有機溶剤にもよるが、通常60~130℃程度の熱風加熱が用いられる。導電性粘着材組成物の厚みは、10~50μmが好ましい。薄すぎると接着強度が得られず、厚すぎると溶剤が残留し塗膜特性低下の原因となる。
【0039】
<封止粘着シート(7)>
本発明に用いる封止粘着シートは、上記第一の印刷導電性配線(2)と第二の導電性配線(4)を導電接合する導電性粘着シート(6)を保護する形で周囲に粘着接合させる。封止粘着シートは、粘着剤組成物をシート化することで得ることで作成される。
【0040】
封止粘着シートは、粘着組成物を製造し、その後のシート化工程によって製造される。粘着組成物は、シート化工程によってその製造法が異なる。シート化工程にはホットメルト法と印刷法があり、ホットメルト法では、無溶剤で粘着性組成物を作成し、この粘着組成物を熱溶融した熱塗工により封止粘着シートを製造する。印刷法では、粘着剤組成物を溶剤に溶解させ、溶剤型粘着性組成物として、印刷とその後の溶剤乾燥工程を通じて封止粘着シートを製造する。
【0041】
粘着組成物の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系、アクリロニトリル系、ジエン系、アクリル系、ブタジエン系、ポリアミド系、ポリビニルブチラール系、オレフィン系、イソプレン系、ブタジエン系、クロロプレン系、アクリロニトリル系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、スチレン系、エチレン-酢酸ビニル系、フッ素系、シリコーン系およびそれらの共重合体を含む樹脂等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。ただし、これらの樹脂に限定されるわけではない。熱可塑性樹脂は、耐久性、耐候性、耐熱性と接着力の観点から、より好ましくは、スチレン系の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂は1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。さらに熱可塑性樹脂は異なるモノマーが連結することによって形成される共重合体を用いても良い。
この熱可塑性樹脂は、保持力を発現させるためにシート化する工程において粘着性を損なわない範囲で微架橋させることも有効である。
【0042】
本発明の粘着剤組成物は、熱可塑性樹脂、粘着付与樹脂と軟化剤、酸化防止剤とその他必要に応じて用いられる任意成分から構成される。
【0043】
スチレン系の熱可塑性樹脂、より具体的にはスチレン系エラストマーは、一般的にポリスチレンブロックとゴム中間ブロックとを有し、ポリスチレン部分が物理的架橋(ドメイン)を形成して橋掛け点となり、中間のゴムブロックは製品にゴム弾性を与える。中間のソフトセグメントにはポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)及びポリオレ
ィンエラストマー(エチレン・プロピレン、EP)があり、ハードセグメントのポリスチレン(S)との配列の様式によって、直鎖状(リニアタイプ)及び放射状(ラジカルタイプ)とに分かれる。前記した好ましいスチレン系エラストマーの中でも、本発明ではより具体的にスチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEPS)、スチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)、スチレン・ブタジエン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SBIS)またはスチレン・ブタジエン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEEPS)、水素化スチレンブロックコポリマ-(HSBC)、強化ゴムセグメント(ERS)からなる群から選ばれる1種以上を含
むことができる。ただし、これらの樹脂に限定されるわけではない。
【0044】
粘着付与樹脂とは、粘着性の乏しい熱可塑性樹脂に配合することで粘着性を向上させる樹脂成分である。
【0045】
粘着付与樹脂としては、例えば、水素添加されたテルペン系樹脂、テルペン系樹脂、水素添加されたロジン系樹脂、ロジン系樹脂、水素添加された炭化水素系樹脂、エポキシ系樹脂、水素添加されたエポキシ系樹脂、ケトン系樹脂、水素添加されたケトン系樹脂、ポリアミド系樹脂、水素添加されたポリアミド系樹脂、エラストマー系樹脂、水素添加されたエラストマー系樹脂、フェノール系樹脂、水素添加されたフェノール系樹脂、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂、スチレン系樹脂および水素添加されたスチレン系樹脂などが挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、単独または2種以上使用できる。
これらの中でも耐久性の観点から、水素添加された炭化水素系樹脂が好ましい。水素添加することで分子内構造に共役二重結合を持たなくなるので、粘着付与樹脂を含む粘着着剤が被着体へ長期接着する際に光または熱による劣化が起こりにくいため10年以上の接着力保持が可能になる。
【0046】
本発明は、前記熱可塑性樹脂を30~100重量%、粘着付与樹脂を0~70重量%含む。好ましくは、熱可塑性樹脂を30~50重量%、粘着付与樹脂を50~70重量%範囲である。
【0047】
軟化剤は、粘着性を付与する場合に必要に応じて用いる。軟化剤としては、例えば、ワセリン、鉱物油、植物性油脂、動物性油脂などが挙げられる。鉱物油としては、流動パラフィン、パラフィン、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるパラフィン系鉱物油、ナフテン環炭素数が全炭素数の30~40重量%を占めるナフテン系鉱物油、および芳香族炭素数が全炭素数の30重量%以上を占める芳香族系鉱物油等を挙げることができる。植物性油脂:オリーブ油、カルナウバロウ、米胚芽油、コーン油、サザンカ油、ツバキ油、ヒマシ油、ホホバ種子油、ミンク油、ユーカリ葉油などを挙げることができる。動物性油脂:ミツロウ、スクワラン、はちみつを挙げることができる。その他、ミスチル酸、オレイン酸、ミスチル酸イソプロピル、ミスチル酸亜鉛、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリイソオクタン酸グリセリン、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、ステアリン酸、イソステアリン酸、クロタミトン、中鎖脂肪酸トリグリセリト、サリチル酸エチレングリコール、エチルヘキサン酸セチル、ジステアリン酸グリコール、セテアリルアルコール、セタノール、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ベヘニルアルコール等も軟化剤として挙げられる。これらの軟化剤は、単独または2種以上使用できる。
【0048】
酸化防止剤は、粘着剤組成物の製造時の加熱や導電粘着材として使用しての経時で酸化が進行しないために用いられる。酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。 フェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましく、リン系酸化防止剤は、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトが好ましい。
【0049】
本発明の粘着剤組成物は、本発明による効果を損なわない範囲であれば、各種添加剤を適宜配合することも可能である。例えば、硬化収縮率低減、熱膨張率低減、寸法安定性向上、弾性率向上、粘度調整、強度向上および靭性向上等の観点から、有機又は無機の充填剤を配合することができる。このような充填剤は、ポリマー、セラミックス、金属、金属酸化物、金属塩、および染顔料等の材料から構成されるものであってよい。また、その形状については、特に限定されず、例えば、粒子状および繊維状等であってよい。また、基材とのレベリング性、塗工性の調整や接着性の向上のために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、難燃化剤、保存安定剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、紫外線吸収剤、チキソトロピー付与剤、レベリング剤、消泡剤、分散安定剤、流動性付与剤、消泡剤および色材等も添加することができる。また、流動性を向上させるために溶剤を含ませてもよい。
【0050】
<ホットメルト型封止粘着シート>
ホットメルト型封止粘着シートに用いる粘着剤組成物は、上記、熱可塑性エラストマー樹脂と粘着性付与樹脂を主要成分とし、更に必要に応じて、軟化剤、粘着付与罪、酸化防止剤およびその他の成分を配合後、熱三本ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、撹拌機を備えた溶融釜、または一軸または二軸の押し出し機などを用いてホットメルト型の封止粘着剤を製造する。
【0051】
ホットメルト型封止粘着シートは、ホットメルトガンにより室温で固体状のホットメルト封止粘着着剤を加熱溶融させ、直接配線シートの基材上に塗布されても良いが、後述する方法によって離型フィルム上乃至は基材フィルムに膜状に塗工・印刷され、更に離型フィルムでサンドイッチする形の封止粘着シートとして製造する事が出来る。ホットメルト封止粘着剤組成物の塗工・印刷方法は、特に限定されることはない。塗工方法としてはスロットスプレー塗工法、オメガ塗工法、スパイラル塗工法、コントロールシーム塗工法、スロットスプレー塗工法、ドット塗工法、ホットメルトアプリケーター塗工法、ホットメルトコーター塗工法、ブレードコート塗工法、ディップ塗工法、グラビアコート塗工法、カーテンスプレー塗工法、ビード塗工法、ホットメルトロールコータースピンコート塗工法が挙げられる。ホットメルト導電粘着組成物の厚みは、10~100μmが好ましい。
【0052】
<溶剤型封止粘着シート>
溶剤型封止粘着シートに用いる溶剤型粘着剤は、粘着剤組成物を溶剤に溶解し、これを撹拌混合することによって均一な溶剤型粘着剤組成物を得る。使用する溶剤は熱可塑性樹脂および粘着着剤組成物を溶かすものであれば特に制限されない。熱可塑性エラストマーのうち、200℃まで加熱しても粘着性付与剤や他の成分と溶融混合出来ない場合はシート化適性がないとした。
【0053】
溶剤型封止粘着剤は、印刷適正を付与するために無機フィラーや有機系のチキソ性付与剤、消泡剤などを添加してもよい。
【0054】
無機フィラーとしては、印刷工程での適切なレオロジー特性を発現すものとしてケイ酸、タルク、沈降性硫酸バリウムなどが用いられるが、これに限定させることはなくスクリーン印刷等で安定した均一な塗膜を形成するものであればよい。
【0055】
溶剤型粘着剤組成物は、各成分を混合撹拌した後、3本ロールやサンドミル分散機により配合成分を粘着剤組成物として均一に混合、分散させる。
【0056】
本発明の溶剤型封止粘着シートは、溶剤型封止粘着剤をスクリーン印刷等によって配線シートの基材上、乃至は離形シート上に塗布され、規定温度で溶剤を除去した後、塗膜面を離形シートでラミネートすることで封止粘着シートとして製造出来る。溶剤型封止粘着剤の塗工、印刷方法は、特に限定されることはない。塗工方法としてはインクジェット印刷法、スプレー印刷法、ロールコート印刷法、ドクターロール印刷法、ドクターブレード印刷法、カーテンコート印刷法、スリットコート印刷法、スクリーン印刷法、反転印刷法、プッシュコート印刷法、スリットコーター印刷法等を挙げることができる。乾燥条件は特
に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては、膜厚や選択した有機溶剤にもよるが、通常60~130℃程度の熱風加熱が用いられる。封止粘着材組成物の厚みは、10~100μmが好ましい。薄すぎると接着強度が得られず、厚すぎると溶剤が残留し塗膜特性低下の原因となる。
【0057】
<シート状基材(1)>
本発明の配線シートは、フレキシブルな配線基材が求められる身体の生体信号を取得するためのウェアラブルセンシング配線などに適している。心電図を数日から一ヶ月レベルで計測するような用途での使用も可能である。また簡便に装着出来、数回の計測で廃棄するような用途では各種構成部材を安価に設計する事が必要である。
【0058】
基材は、樹脂シートより選ばれる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの樹脂から形成される樹脂シートが挙げられる。また、基材が熱で変形する高温処理プロセスが必要とされる場合があるため、ポリイミド(PI)シート、ポリナフタレンシート、プロピレンシート、シリコーン樹脂シートなどの耐熱性が高い基材もしくはフィラー充填により耐熱性が向上した基材も使用可能であるが、安価な用途ではPET,PEN、PVCが好ましい。その場合は130℃以下の低温接合が必要である。
【0059】
<導電性配線(2)>
本発明で使用される第一の導電性配線(2)としては、シート状基材(1)に金属、乃至はカーボンの導電性インキで前述のシート状基材上に導電回路を印刷し作成される。
【0060】
(導電性インキ)
導電性インキの導電材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等炭素材料の他、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ等の金属粉末を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することが出来る。
【0061】
導電性インキに導電性付与剤を分散させるためのバインダー樹脂は、ポリウレタン系、ポリアミド系、アクリロニトリル系、アクリル系、ブタジエン系、ポリビニルブチラール系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリスチレン系、EVA系、フッ素系(ポリフッ化ビニリデン系等)及びシリコン系樹脂等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。ただし、これらの樹脂に限定されるわけではない。バインダー樹脂は1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。特にバインダー樹脂が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、およびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含むことが好ましい。
バインダー樹脂は、バインダー樹脂が基材に適用された後に、硬化(架橋)反応を受ける、硬化性樹脂とすることもできる。
つまり、バインダー樹脂は、自己硬化性のものを選択したり架橋剤と組み合わせたりして、導電性組成物を基材上に印刷したり塗工したりした後、硬化(架橋)させることができる。
【0062】
(導電性インキの製法)
導電性インキは、上記導電材料とバインダー樹脂及びその他必要に応じて無機充填剤、流動性調整剤、溶剤、消泡剤等の成分をプレミックスしたのち、分散処理を行うことで製造する事が出来る。分散方法は特に制約はないが具体的には、3ロールミル、サンドミルなどで、構成成分が均一に混ざり合い、導電材料や無機充填材料などの紛体成分が一定の粒径以下にまで粉砕され、後述の印刷工程での印刷適性、乾燥時の乾燥性を付与すると同時に、印刷後の導電性配線としての性能を発現させる。
【0063】
(導電性インキの印刷方法)
シート状基材上に導電性組成物を塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
【0064】
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。
【0065】
<フィルム保護層(3)>
前述のシート状基材に第一の導電性配線(2)を印刷した配線シートは、絶縁性のフィルムで被覆され、第一の導電性配線の保護層としての導電性配線が直接外気接するのを防ぐ役割を果たす。フィルム保護層の基材は、樹脂シート選ばれる。例えば、樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポオリノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂などの樹脂から形成される樹脂シートが挙げられる。また、基材が熱で変形する高温処理プロセスが必要とされる場合があるため、ポリイミド(PI)シート、ポリナフタレンシート、プロピレンシート、シリコーン樹脂シートなどの耐熱性が高い基材もしくはフィラー充填により耐熱性が向上した基材も使用可能であるが、安価な用途ではPET,PEN、PVCが好ましい。その場合は130℃以下の低温接合が必要である。
【0066】
フィルム保護層には、片面に粘着乃至は接着層が形成されており、第一の導電性配線(2)を形成したシート状基材(1)上にラミネートされる。粘着剤はアクリル系やウレタン系の粘着剤を適宜用いることが出来る。接着剤は押出しラミネート用のオレフィン系、ゴム系、ポリアミド系のホットメルト接着剤やポリエステル系、アクリル系、エポキシ系のドライラミネート用の接着剤等を適宜用いることが出来る。
【0067】
<導電性配線(4)>
本発明で使用される第二の導電性配線(4)としては、上記導電性配線シート(1)を併用する場合のほか、PET、PIなどのシート状基材に銅やアルミなどを金属エッチング法で回路形成される金属配線シートやシート状基材に片面粘着加工した金属箔を粘着接合した金属配線シートのほか、銅やアルミなどの金属線を絶縁樹脂で被覆した配線コードなども使用される。
【0068】
<導電粘着、封止粘着シートの接合>
シート状基材(1)に印刷された第一の導電性配線と第一の導電性配線を保護するフィルム保護層(3)をラミネートして作成した第一の印刷導電性配線(2)において、導電性配線を露出させる開口部に、導電性粘着シート(6)が設置される。次に封止粘着シート(7)が、前記第1の開口部の周辺部に配置され、第二の導電性配線(4)の配線部を圧着、必要に応じて熱圧着されることによって、第一の印刷導電配線と第二の導電性配線が導電結合すると同時に周辺部は封止粘着シートによって封止結合される。
【0069】
導電性粘着シートと導電性配線が圧着のみで3N以上の接着強度を発現する場合は熱圧着を必要としない。封止粘着シートと基材の接合は、特に限定されないが室温での圧着のみで10Nの接着強度を発現する場合は熱圧着を必要としない。微粘着性で圧着での接着強度が10N未満の場合は、熱ゴテやIH加熱装置などを用いて、封止材と被着体を接合させることで製造することができる。
【0070】
本発明は、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPVC(ポリ塩化ビニル)などの耐熱性のないフィルム基材にも使用することが出来る。これらのフィルムの耐熱温度は130℃以下であり、それ以上の温度ではフィルムが熱で収縮する。このため印刷配線の印刷、導電性粘着シートの直接の加熱温度は130℃以下、好ましくは100℃以下である事が好ましい。
【実施例0071】
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、表中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」をそれぞれ表すものとする。
【0072】
<導電性粘着シートの製造例>
〔製造例1~5:導電性粘着シート1~5〕
トーヨーケム製ホットメルト型粘着剤トヨメルトP804Gをソルベッソ100溶剤に溶解して、50%ワニスを作成し樹脂ワニス1とした。樹脂ワニス1:10部に導電粉1として福田金属粉工業株式会社製銀メッキ導電紛FCC115:6部を添加し軽く撹拌後、遊星撹拌装置にて3分間分散し導電粘着剤組成物とした。本組成物を各種アプリケーターで離形PETフィルムに塗布し130℃30分乾燥して、表1に記載の膜厚になるように導電性粘着シート1~5を作成した。
【0073】
[製造例6~9]
導電紛1の添加量を7.5部にした以外は製造例1と同様の方法で膜厚の異なる導電性粘
着シート6~9を作成した。
【0074】
[製造例10~14:導電性粘着シート10~14]
導電紛1を目開き20μmの650ステンレスメッシュにてろ過し、残差成分を集めて
導電紛2とした。同紛体を導電性粘着シート1と同様の方法で作成し、塗工、乾燥して膜厚の異なる導電性粘着シート10~14を作成した。
【0075】
[製造例15~19:導電性粘着シート15~19]
導電紛1を目開き30μmの400ステンレスメッシュでろ過し、残差成分を集めて導電紛3とした。同紛体を導電性粘着シート1と同様の方法で導電粘着剤組成物を作成し、塗工、乾燥して膜厚の異なる導電性粘着シート15~19を作成した。
【0076】
[製造例20~21:導電性粘着シート20~21]
トーヨーケム製ホットメルト型粘着剤トヨメルトP804Gをソルベッソ100溶剤に溶解し50%ワニスを作成し樹脂ワニス1とした。樹脂ワニス1:10部に導電粉4としてDOWAエレクトロニクス株式会社製銀メッキ導電紛AOP-RCE-43:6部添加し軽く撹拌後、遊星撹拌装置にて3分間分散し導電粘着剤組成物とした。本組成物を各種アプリケーターで離形PETフィルムに塗布し、130℃30分乾燥して膜厚の異なる導電性粘着シート20~21を作成した。
【0077】
[製造例22~23:導電性粘着シート22~23]
導電紛4を目開き20μmの650ステンレスメッシュにてろ過し残差成分を集めて導電紛5とした。同紛体を導電性粘着シート1と同様の方法で導電粘着剤組成物を作成し、導電性粘着シート1と同様の方法で塗工、乾燥し膜厚の異なる導電性粘着シート22~23を作成した。
【0078】
製造した導電性粘着シートを表1に示した。表中の導電紛体積%は、重量添加量に対して樹脂比重1.2、導電体比重10.5として示した。また塗膜厚以上塗膜厚の3倍以下の導電紛体積%は各タイプの導電紛の粒度分布から、作成したシート膜厚以上の導電紛の全体導電紛体積量に対する体積%を示した。
【0079】
【0080】
封止粘着シートの製造例
[製造例24]
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、熱可塑性樹脂としてクレイトン株式会社製SEBS G1726:40部と、粘着付与剤として荒川化学製アルコンP-100:50部、軟化剤として出光興産株式会社製ダイアナプロセスオイルN90:10部と、必要に応じて酸化防止剤を投入し、150℃の温度で加熱して溶融した。その後、攪拌を行って、均一溶融溶液を得た。均一分散されたホットメルト接着剤組成物1を離型フィルムに挟み、テスター産業製卓上テストプレス機にて100℃100kgf/cm2で30秒間熱プレスをおこない膜厚50~100μmのシート状に加工し封止粘着シート1とした。
【0081】
[製造例25]
可塑性樹脂をクレイトン株式会社製ERS G1642に変更した以外は同様の方法で封止材シートを作成し封止粘着シート2を作成した。
【0082】
【0083】
〔実施例〕
導電性試験
[サンプルシートの作成]
厚さ50μm、50×150mmのPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)のシート基材に巾10mm、配線間隔10mmで長さ100mmの二本の印刷導電性配線(2)を印刷し、130℃30分乾燥させた。作成した二本の印刷配線に跨る形で巾40mm長さ20mmにカットした製造例1の導電性粘着シートを貼り、その上から同様の導体サイズを有する印刷配線シート(4)を貼り合せて指圧にて圧着接合させ1時間以上室温に静置させ、サンプルシート1を作成した。(
図2)
【0084】
製造例2~23の導電性粘着シートを使用し、サンプルシート1と同様の方法でサンプルシート2~23を作成した。
【0085】
サンプルシート1~23において、縦方向導通試験として第一の印刷導電性配線(2)と第二の印刷導電性配線(4)間の導電性を測定した。
測定の結果として、抵抗値が20Ω以下の場合を〇、20Ω以上100Ω以下を△、抵抗値が安定しない乃至は導通しない場合を×とした。
また、横方向導通試験として二本の印刷導電性配線(2)間の導通性を測定した。この場合は導通しない場合を〇、導通する場合は×とした。
【0086】
2.剥離強度試験
[サンプルシートの作成]
厚さ50μmのPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)のシート基材に、炭素インキを幅25mmで印刷、乾燥させ、25mm×150mmサイズにカットして剥離試験シートとした。この剥離試験シートに25mm×100mmの製造例1の導電性粘着シートを貼り、もう一つの剥離試験シートを貼り合せて接着サンプルシート1とした。
【0087】
製造例2~23について、接着サンプルシート1と同様の方法で接着サンプルシート2~23を作成した。
【0088】
接着サンプルシート1~23について、島津製作所製引張試験機AGS-Xにて90°剥離強度を測定した。
剥離強度が3N/25mm以上の場合を〇、1~3Nの場合を△、1N以下を×とした。
【0089】
結果を表3に示した。
【0090】
【0091】
表3の結果から固形分中の導電粒子の体積%が15%以上では剥離強度が低下する。また、粒径が塗膜厚以上の導電粒子が固形分体積比で1~15%含有したものは貼り合わせた導体間の縦方向の導通性を発現させ、一方で隣り合う配線間の横方向の導電性はなく絶縁性が維持させるため、施工時の横配線の一括接合に有効である。塗膜厚以上の導電粒子が固形分体積比で1%を下回ると安定した縦方向の導通性は示さない。
【0092】
3.屈曲試験1
[印刷サンプルシートの作成]
厚さ125μm、25mm×100mmのPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)に幅10mm長さ100mmの炭素配線を印刷し130℃30分乾燥させた。その上にアクリル粘着加工した厚さ125μmのPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)保護層を端部から両サイド10mmの空間を設けてラミネートして屈曲試験用の印刷炭素配線サンプルシートとした。この配線シートを第一の印刷導電配線シートとして使用する場合を印刷サンプルシート1(
図3(a))、第二の導電性配線シートとして使用する場合を印刷サンプルシート2(
図3(b))とした。
【0093】
[銅サンプルシートの作成]
厚さ125mm、25mm×100mmのPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)のシート基材に幅10mmの寺岡製作所製の銅箔テープ長さ100mmを貼り、アクリル系粘着剤加工した125μmPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)のフィルム保護層を端部から両サイド5mmの空間を設けてラミネートして第二の導電性配線シートとして銅サンプルシート1(
図3(c))とした。
【0094】
[導電性粘着シート]
製造例1で作成した膜厚10μmの導電性粘着シートを導電性粘着シート1とした。
製造例12で作成した膜厚32μmの導電性粘着シートを導電性粘着シート2とした。
製造例19で作成した膜厚50μmの導電性粘着シートを導電性粘着シート3とした。
【0095】
[導電性接着剤]
Chemtronics社製CONDUCTIVE EPOXY CW2460のA剤とB剤を同量配合、混合し導電性接着剤1とした。
三菱ケミカル製エポキシ樹脂JER827 10部に対し、福田金属粉工業株式会社製ナノメルトXF301Sを20部添加して撹拌後、3本ロールにて分散し導電性接着剤2の主剤とした。
三菱ケミカル製エポキシ硬化剤YN100 10部に対し、ナノメルトXF301Sを20部添加して軽く撹拌後、3本ロールにて分散し導電性接着剤2の硬化剤とした。
主剤と硬化剤を100対45で配合し導電性接着剤2とした。
【0096】
[試験サンプルの作成]
実施例1の導電性粘着シート1を10mm×10mmサイズにカットし、第一の導電性配線の印刷サンプルシート1(
図3)(a)の炭素配線が露出した10mm×10mmの箇所に貼付けた。その箇所に第二の導電性配線である銅サンプルシート1(
図3)(c)の導電部を貼合わせ、指圧接合して実施例24の屈曲試験1の試験サンプルとした。
【0097】
導電性粘着シートを2及び3に変えた以外は同様の方法で実施例25、26の試験サンプルを作成した。
【0098】
実施例1の第二の導電性配線を印刷サンプルシート2(
図3)(b)とした以外は実施例24~26と同様の方法で実施例27~29の試験サンプルを作成した。
【0099】
比較試験用として、第一の導電性配線である印刷サンプルシート1(
図3)(a)の炭素配線が露出した10mm×10mmの箇所に導電性接着剤1を塗布し、第二の導電性配線である銅サンプルシート1(
図3)(c)を貼り合せ、室温にて24時間硬化させて比較例1の屈曲試験1の試験サンプルとした。
【0100】
比較例1の導電性接着剤1を導電性接着剤2に変えた以外は同様の方法で比較例2の屈曲試験1の試験サンプルを作成した。
【0101】
比較例1、2の第二の導電性配線の銅サンプルシート1(
図3)(c)を印刷サンプルシート2(
図3)(b)に変えた以外は同様の方法で比較例3,4の屈曲試験1のサンプルを作成した。
【0102】
実施例24~29および比較例1~4のサンプルシートにおいて、ユアサシステム機器株式会社の多機能版小型卓上型耐久試験機DLDM111LHを使用し屈曲試験をおこなった。
【0103】
具体的には、配線シートの両端部、第一の導電性配線端部と第二の導電性配線の端部間の抵抗値を測定した後、測定サンプルをユアサシステム機器製耐久試験機にU字に曲げた状態でセットし、間隔70mm~20mm、30rpmの伸縮試験を行い、試験後に配線間の抵抗値により接合部の破断の有無を評価した。(
図4)
◎:伸縮回数1000回で抵抗値変動±10%以下
○:伸縮回数100回~1000回未満で抵抗値変動±10%以下
×:伸縮回数100回未満で破断乃至は抵抗値が±10%以上
【0104】
結果を表4に示す。
【0105】
【0106】
表4の結果から、比較例が示すように印刷配線を使用する鵜配線接合に導電性接着剤を使用すると配線の凝集破壊が発生し屈曲耐性を付与できないが、導電性粘着シートを使用する事で高い屈曲耐性を有する。
【0107】
4.屈曲試験2
屈曲性試験1の結果を得て、更に導電接合材の周囲に封止粘着シートによる封止層を設けることでの屈曲耐性を屈曲試験2で確認した。
[印刷サンプルシートの作成]
125μm厚み、25mm×100mmのPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)のシート基材に導電性カーボンインキで10mm×100mmの導電性配線を印刷し130℃30分乾燥させた。アクリル粘着加工した125μmPETフィルム(東レ製ルミナーX10S)を端部から10mmの箇所に10mm×10mmの大きさで開口したのち、導電性配線を印刷したPETフィルムのカーボン導電配線が露出するよう開口部の位置合わせをおこない、またシートの逆サイドは抵抗値測定のため炭素配線が露出するようにしてフィルム保護層をラミネートした。この配線シートを第一の導電性配線シートとして使用する場合を印刷サンプルシート3、第二の導電性配線シートとして使用する場合を印刷サンプルシート4とした。(
図5)
【0108】
[試験サンプルの作成]
製造例1で作成した導電性粘着シート1を、10mm×10mmサイズにカットし、印刷サンプルシート3の炭素配線が露出した10mm×10mmの箇所に貼付けた。その周囲導電接合部の10mm×10mmの大きさに開口した30mm×30mmの製造例24のSEBS G1726系粘着封止シート1を貼り付け、開口部が重なるように印刷サンプルシート4を重ねて指圧により接合して実施例30の屈曲試験2のサンプルシートとした。
【0109】
導電性粘着シート1を導電性粘着シート2,3に変えた以外は同様の方法で実施例31、32の屈曲試験2のサンプルシートを作成した。
【0110】
実施例30~32の封止粘着シートを製造例25のERS G1642系粘着封止シート2に変えた以外は同様の方法で実施例39~41の屈曲試験2のサンプルシートを作成した。
【0111】
比較試験用として、印刷サンプルシートの炭素配線が露出した10mm×10mmの箇所に導電性接着剤1を塗布し、その周囲導電接合部の10mm×10mmの大きさに開口した30mm×30mmに粘着封止シート1を貼り付け、更に第二の導電性配線である印刷サンプルシート4を貼り合せ、封止粘着シートを指圧接合した後、導電性接着剤1を室温にて24時間硬化させて比較例5の屈曲試験2のサンプルとした。
【0112】
比較例5の導電性接着剤1を導電性接着剤2に変えた以外は同様の方法で比較例6の屈曲試験2のサンプルを作成した。
【0113】
比較例5,6の封止粘着シート1を封止粘着シート2に変えた以外は同様の方法で比較例7,8の屈曲試験2のサンプルを作成した。
【0114】
屈曲試験2
実施例30~35および比較例5~8において、ユアサシステム機器株式会社の多機能版小型卓上型耐久試験機DLDM111LHを使用して屈曲性試験をおこなった。
【0115】
具体的には、配線シートの両端部、第一の導電性配線端部と第二の導電性配線の端部間の抵抗値を測定した後、測定サンプルをユアサシステム機器製耐久試験機にU字に曲げた状態でセットし、間隔70mm~20mm、30rpmの伸縮試験を行い、試験後に配線間の抵抗値により接合部の破断の有無を評価した。(
図6)
〇:伸縮回数10000回で抵抗値変動±10%以下
△:伸縮回数1000回~10000回未満で抵抗値変動±10%以下
×:伸縮回数1000回未満で破断乃至は抵抗値が±10%以上
【0116】
結果を表5に示す。
【0117】
【0118】
表5の結果から封止粘着シートで補強した場合でも導電性粘着シートで接合した配線は、導電接着剤接合した場合と比較して、良好な屈曲試験結果が得られた。
【0119】
5.長期信頼性試験
屈曲試験2における実施例30~35、比較例5~8のサンプルにおいて、以下の手順で長期信頼性試験を行った。(
図5)
【0120】
試験サンプルにおいて、印刷サンプルシート3と印刷サンプルシート4の両端部での導電性配線間の抵抗値を測定して初期抵抗とし、ESPEC CORP社製MODEL PL-1KPH環境試験機にて60℃90%RHの環境下1000時間放置した後、再度両端部の抵抗値を測定した。更に継続して2000時間、3000時間での抵抗値を測定した。
試験の結果は以下の方法でおこなった。
○:封止材の外観変化、封止材で被覆された導電材の外観変化がなく抵抗値変動が
初期抵抗の±10%以下
×:封止材の流動などの外観変化、封止材で被覆された導電材の腐食等の外観変化などが見られる乃至は抵抗値変動が初期抵抗の±10%を超えている。
【0121】
結果を表6に示す。
【0122】
【0123】
表6の結果から導電性粘着シートを使用した接合では、安定した高温恒湿耐性を示している。接着剤接合の場合、1000時間までは安定しているが1000時間を超えると抵抵抗値が変動し安定性が確保できない。