IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社 武藤設計の特許一覧

特開2023-93848切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具
<>
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図1
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図2
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図3
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図4
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図5
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図6
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図7
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図8
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図9
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図10
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図11
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図12
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図13
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図14
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図15
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図16
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図17
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図18
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図19
  • 特開-切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093848
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/00 20060101AFI20230628BHJP
   B23D 79/00 20060101ALI20230628BHJP
   B23D 15/00 20060101ALI20230628BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20230628BHJP
   B26D 5/08 20060101ALI20230628BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20230628BHJP
   B26D 3/00 20060101ALN20230628BHJP
【FI】
B26D5/00 F
B23D79/00 A
B23D15/00 A
B26D7/20
B26D5/08 B
B25J13/00 Z
B26D3/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208941
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】510295550
【氏名又は名称】有限会社 武藤設計
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】武藤 弘己
【テーマコード(参考)】
3C021
3C024
3C039
3C050
3C707
【Fターム(参考)】
3C021GA01
3C024AA01
3C024AA07
3C039AA01
3C039AA23
3C039AB06
3C050FB02
3C050FB08
3C050FB14
3C707AS12
3C707BS10
3C707LV03
(57)【要約】
【課題】
本刃体と受け刃体との剪断作用により被切断物を切断することで、切粉の発生をなくし、しかも切断形状及び被切断物の種類の各制約の少ない幅広い切断を可能とすることである。
【解決手段】
フレームJに対して外部動力により往復直線運動可能に支持された板状の本刃体N1 と、前記フレームJに一体に取付けられて、被切断物Kを支持しながら、当該本刃体N1 による切断時の反力を受ける受け刃体N2 とを備えた切断ユニットU1 であって、前記受け刃体N2 には本刃体挿入孔63が形成され、前記切断ユニットU1 の受け刃体N2 により前記被切断物Kを支持した状態で、当該切断ユニットU1 の全体が被切断物Kの切断予定部に沿って移動しながら、先端部が前記本刃体挿入孔63に挿入された本刃体N1 と前記受け刃体N2 との剪断作用により当該被切断物Kを連続切断する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに対して外部動力により往復直線運動可能に支持された板状の本刃体と、前記フレームに連結部材を介して一体に取付けられて、被切断物を支持しながら、当該本刃体による切断時の反力を受ける受け刃体とを備えた切断ユニットであって、
前記本刃体の刃部は、前記往復直線運動の方向に対して傾斜して形成され、
前記受け刃体には、前記被切断物の切断時に前記本刃体の先端部を挿入させて前記被切断物を剪断により切断するための本刃体挿入孔が形成され、
前記切断ユニットの受け刃体により前記被切断物を支持した状態で、当該切断ユニットの全体が被切断物の切断予定部に沿って移動しながら、先端部が前記本刃体挿入孔に挿入された本刃体と前記受け刃体との剪断作用により当該被切断物を連続切断することを特徴とする切断ユニット。
【請求項2】
前記本刃体挿入孔の幅は、当該本刃体挿入孔の内側面に前記本刃体が摺接可能な寸法であることを特徴とする請求項1に記載の切断ユニット。
【請求項3】
前記本刃体の刃部は、片刃状であって、切断ユニットのフレームに対して本刃体は、被切断物の本体部の切断端面の側に、当該本刃体の全面が平面となる側が配置されるようにセットされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の切断ユニット。
【請求項4】
フレームに対して外部動力により往復直線運動可能に支持された板状の本刃体と、前記フレームに連結部材を介して一体に取付けられて、被切断物を支持しながら、当該本刃体による切断時の反力を受ける受け刃体とを備えた切断ユニットであって、
前記本刃体の刃部は、前記往復直線運動の方向に対して傾斜して片刃で構成され、
前記受け刃体は、前記本刃体の刃部を含めて全体が平面状となった面が摺接する摺接面が形成され、
前記切断ユニットの受け刃体により前記被切断物を支持した状態で、当該切断ユニットの全体が被切断物の切断予定部に沿って移動しながら、前記本刃体の先端の刃部と前記受け刃体の摺動面との摺接により生ずる剪断作用により当該被切断物を連続切断することを特徴とする切断ユニット。
【請求項5】
前記受け刃体における被切断物を支持する表面には、切断中において、前記被切断物が切断ユニットの進行方向に向けて滑り出るのを防止するのこ刃状滑止め部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の切断ユニット。
【請求項6】
前記本刃体は、被切断物の本体部に対して平行な方向に沿って往復直線運動を行って、当該本体部に垂直又はこれに近い状態で設けられたバリ片を切断することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の切断ユニット。
【請求項7】
ロボットの先端アームの先端部に、請求項1ないし6のいずれかに記載の切断ユニットが装着され、当該ロボットは、前記切断ユニットが、被切断物の切断予定部に沿って移動するように制御され、前記先端アームの移動により前記被切断物を剪断により自動切断することを特徴とする自動切断装置。
【請求項8】
工具本体を人の手で持って、被切断物の切断予定部に沿って移動させることで、当該被切断物を切断する手持式電動切断工具であって、
前記工具本体には、内蔵のモータの動力が伝動機構により伝達されて、当該工具本体から突出した状態で往復直線運動を行う板状の本刃体と、
前記工具本体における前記本刃体が配置されている部分に、当該工具本体に連結部材を介して一体に取付けられて、前記被切断物を支持した状態で、前記本刃体の切断時の反力を受ける受け刃体とを備え、
前記本刃体の刃部は、前記往復直線運動の方向に対して傾斜して形成され、
前記受け刃体には、前記被切断物の切断時に前記本刃体の先端部を挿入させて前記被切断物を剪断により切断するための本刃体挿入孔が形成され、
前記切断ユニットの受け刃体により前記被切断物を支持した状態で、前記工具本体が被切断物の切断予定部に沿って移動しながら、先端部が前記受け刃体の本刃体挿入孔に挿入された本刃体と、当該受け刃体との剪断作用により当該被切断物を連続切断することを特徴とする手持式電動切断工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剪断作用により種々の被切断物を安定して切断できる切断ユニット、自動切断装置及び手持式電動切断工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、平板状の被切断物(ワーク)を任意の形状に切断するには、特許文献1に示されるように、のこ刃状のブレードを備えていて、作業者が工具本体を手で持って操作を行う「電動切断工具」が使用されていた。この「電動切断工具」は、工具本体の下部に設けられたベース体が摺動面となって、当該ベース体に対してブレードが、前記摺動面よりも下方に突出した状態で、往復直線運動を行い、固定台にセットされた被切断物に対して「電動切断工具」を摺動させながら、前記ブレードの往復直線運動により、当該被切断物を切断している。切断時には、前記ブレードの先端は、被切断物の下面よりも大きく下方に突出するため、前記固定台に被切断物をセットした状態では、当該被切断物の下方に前記ブレードが接触しない大きな空間部を確保して切断作業を行っている。
【0003】
このため、上記「電動切断工具」では、切断対象が「平板状」のものに限定され、三次元的に屈曲した形状の部材の切断は、固定台に対する被切断物をセットし直す等の必要があり、効率的に切断は期待できなかった。また、曲線的な切断も可能ではあるが、作業者が被切断物に描かれた罫書き線に沿って「電動切断工具」を曲線移動させる必要がある。
【0004】
また、前記ブレードはのこ刃であるために、切断により不可避的に切粉が発生して周辺に飛散し、作業環境が悪くなるのに加えて、作業後には、飛散した切粉の回収が不可欠となる。また、のこ刃状のブレードによる切断は、当該ブレードの往復直線運動時において被切断物に対して引切り力を作用させるため、被切断物は、当該力に対しても変形しないことが必要であり、薄いビニルシート等の可撓性を有する被切断物の切断は不能であって、切断可能な被切断物の種類にも制限がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-111181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、本刃体と受け刃体との剪断作用により被切断物を切断することで、切粉の発生をなくし、しかも切断形状及び被切断物の種類の各制約の少ない幅広い切断を可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、フレームに対して外部動力により往復直線運動可能に支持された板状の本刃体と、前記フレームに連結部材を介して一体に取付けられて、被切断物を支持しながら、当該本刃体による切断時の反力を受ける受け刃体とを備えた切断ユニットであって、
前記本刃体の刃部は、前記往復直線運動の方向に対して傾斜して形成され、
前記受け刃体には、前記被切断物の切断時に前記本刃体の先端部を挿入させて前記被切断物を剪断により切断するための本刃体挿入孔が形成され、
前記切断ユニットの受け刃体により前記被切断物を支持した状態で、当該切断ユニットの全体が被切断物の切断予定部に沿って移動しながら、先端部が前記本刃体挿入孔に挿入された本刃体と前記受け刃体との剪断作用により当該被切断物を連続切断することを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明によれば、切断ユニットの受け刃体により被切断物を支持した状態で、当該切断ユニットの全体を被切断物の切断予定部に沿って移動させると、自身の先端部の刃部が往復直線運動の方向に対して傾斜した刃部を備えていて、受け刃体の本刃体挿入孔に断続的に入り込んだ状態で往復直線運動を行う本刃体と、前記受け刃体との剪断作用により、前記被切断物は連続して切断される。被切断物は、本刃体と受け刃体との剪断作用により切断されるので、切粉類の発生がないと共に、可撓性を有する被切断物の切断も可能となる。更に、切断時において本刃体の先端部は、受け刃体の本刃体挿入孔に挿入されて、被切断物における切断ユニットが配置された側と反対の側には、当該受け刃体が支障なく進行できる空間が存在すれば、切断可能であるので、被切断物のセットに関する切断条件も緩和される。なお、本刃体の先端部は、受け刃体の本刃体挿入孔に挿入され、本刃体の突出長が大きい場合でも、当該受け刃体を超えて突出しないようにできるので、作業時及び非作業時の双方において、安全である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記本刃体挿入孔の幅は、当該本刃体挿入孔の内側面に前記本刃体が摺接可能な寸法であることを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、本刃体の刃部と、受け刃体に形成された本刃体挿入孔の内側面との間隔を皆無又は最少にできるので、本刃体と受け刃体とによる剪断作用が最も効果的に奏されて、効率的に切断できる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記本刃体の刃部は、片刃状であって、切断ユニットのフレームに対して本刃体は、被切断物の本体部の切断端面の側に、当該本刃体の全面が平面となる側が配置されるようにセットされていることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明によれば、切断により不用部が除去された本体部の切断端面は、刃部が片刃状の本刃体における全面が平面となった部分が接触して形成されるので、当該切断端面が綺麗になる。また、切断時において、本刃体の刃部の先端は、受け刃体に形成された本刃体挿入孔の内側端面に近接又は摺接するので、本刃体と受け刃体とによる剪断作用が最も効果的に奏される。この結果、布地、ビニルシート等のような可撓性を有する被切断物の切断も可能となる。
【0013】
請求項4の発明は、フレームに対して外部動力により往復直線運動可能に支持された板状の本刃体と、前記フレームに連結部材を介して一体に取付けられて、被切断物を支持しながら、当該本刃体による切断時の反力を受ける受け刃体とを備えた切断ユニットであって、
前記本刃体の刃部は、前記往復直線運動の方向に対して傾斜して片刃で構成され、
前記受け刃体は、前記本刃体の刃部を含めて全体が平面状となった面が摺接する摺接面が形成され、
前記切断ユニットの受け刃体により前記被切断物を支持した状態で、当該切断ユニットの全体が被切断物の切断予定部に沿って移動しながら、前記本刃体の先端の刃部と前記受け刃体の摺動面との摺接により生ずる剪断作用により当該被切断物を連続切断することを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明は、前記本刃体の刃部は、前記往復直線運動の方向に対して傾斜して片刃で構成されていると共に、前記受け刃体は、前記本刃体の刃部を含めて全体が平面状となった面が摺接する摺接面が形成され、前記切断ユニットの受け刃体により前記被切断物を支持した状態で、当該切断ユニットの全体が被切断物の切断予定部に沿って移動しながら、前記本刃体の先端の刃部と前記受け刃体の摺動面との摺接により生ずる剪断作用により当該被切断物を連続切断でき、剪断作用が最も効果的に発生した状態で被切断物が切断される。また、受け刃体には、本刃体の刃部を含めて全体が平面状となった面が摺接する摺接面を設けるのみで、孔状の部分を設ける必要がないので、受け刃体の加工も容易となる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記受け刃体における被切断物を支持する表面には、切断中において、前記被切断物が切断ユニットの進行方向に向けて滑り出るのを防止するのこ刃状滑止め部が形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項5の発明によれば、受け刃体の表面に形成されたのこ刃状滑止め部の存在により、本刃体による切断中において、当該受け刃体の表面で支持される被切断物の切断予定部が、当該受け刃体に対して切断ユニットの進行方向に滑り出るのが防止されることで、被切断物の切断予定部は、常に受け刃体の表面に支持配置されるので、本刃体と受け刃体とによる被切断物の切断を安定して行える。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記本刃体は、被切断物の本体部に対して平行な方向に沿って往復直線運動を行って、当該本体部に垂直又はこれに近い状態で設けられたバリ片を切断することを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明によれば、本刃体を被切断物の本体部に対して平行な方向に沿って往復直線運動させることで、当該本体部に垂直又はこれに近い状態で設けられたバリ片の切断が可能となる。
【0019】
請求項7の発明は、ロボットの先端アームの先端部に、請求項1ないし6のいずれかに記載の切断ユニットが装着され、当該ロボットは、前記切断ユニットが、被切断物の切断予定部に沿って移動するように制御され、前記先端アームの移動により前記被切断物を剪断により自動切断することを特徴としている。
【0020】
請求項7の発明によれば、ロボットの先端アームの先端部の移動軌跡が、被切断物の切断予定部の全体形状と合致するように制御することで、当該アームの先端部に装着された切断ユニットにより、被切断物は、その切断予定部に沿って切断される。よって、被切断物は、三次元形状、わん曲形状等を含む任意の形状に正確に切断できる。
【0021】
請求項8の発明は、工具本体を人の手で持って、被切断物の切断予定部に沿って移動させることで、当該被切断物を切断する手持式電動切断工具であって、
前記工具本体には、内蔵のモータの動力が伝動機構により伝達されて、当該工具本体から突出した状態で往復直線運動を行う板状の本刃体と、
前記工具本体における前記本刃体が配置されている部分に、当該工具本体に連結部材を介して一体に取付けられて、前記被切断物を支持した状態で、前記本刃体の切断時の反力を受ける受け刃体とを備え、
前記本刃体の刃部は、前記往復直線運動の方向に対して傾斜して形成され、
前記受け刃体には、前記被切断物の切断時に前記本刃体の先端部を挿入させて前記被切断物を剪断により切断するための本刃体挿入孔が形成され、
前記切断ユニットの受け刃体により前記被切断物を支持した状態で、前記工具本体が被切断物の切断予定部に沿って移動しながら、先端部が前記受け刃体の本刃体挿入孔に挿入された本刃体と、当該受け刃体との剪断作用により当該被切断物を連続切断することを特徴としている。
【0022】
請求項8の発明は、手持式の電動切断工具に対して請求項1の発明の技術的思想を適用したものであって、人が工具本体を手で持って、被切断物の切断予定部に沿って移動させることで、往復直線運動を行う本刃体と受け刃体との剪断作用により、切粉を発生させることなく、当該被切断物を切断するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、切断ユニットの受け刃体により被切断物を支持した状態で、当該切断ユニットの全体を被切断物の切断予定部に沿って移動させると、自身の先端部が受け刃体の本刃体挿入孔に断続的に入り込む状態で往復直線運動を行う本刃体と、前記受け刃体との剪断作用により、前記被切断物は連続して切断される。被切断物は、本刃体と受け刃体との剪断作用により切断されるので、切粉類の発生がないと共に、可撓性を有する被切断物の切断も可能となる。更に、切断時において本刃体の先端部は、受け刃体の本刃体挿入孔に挿入されて、被切断物における切断ユニットが配置された側と反対の側には、当該受け刃体が支障なく進行できる空間が存在すれば、切断可能であるので、被切断物のセットに関する切断条件も緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の切断ユニットU1 を斜上方から見た斜視図である。
図2】同じく斜下方から見た斜視図である。
図3】同じく背面側から見た斜視図である。
図4】切断ユニットU1 の側面断面図である。
図5】同じく正面断面図である。
図6】切断ユニットU1 を構成する本刃体N1 、受け刃体N2 、揺動体5及び本刃体取付けロッド6の分解斜視図である。
図7図3のG-G線断面図である。
図8】(a),(b)は、それぞれ本刃体N1 の正面図及び中央縦断面図である。
図9】(a),(b)は、被動軸3に対して揺動体5が連結ピン7を支点として揺動することで、本刃体N1 が往復直線運動することを示す図である。
図10】(a),(b)は、揺動体5の揺動により、受け刃体N2 の本刃体挿入孔63に先端部が挿入された本刃体N1 が、それぞれ上昇端及び下降端に達した状態の一部を破断した側面図であり、(c)は、(b)のH-H線拡大断面図である。
図11】(a),(b)は、それぞれ両刃及び片刃の刃部52,35を有する本刃体N1 , N11と受け刃体N2 との剪断作用を示す断面図であり、(c)は、本刃体N11と受け刃体N32との剪断作用を示す断面図である。
図12】ロボットRの先端アームA2 の先端部に切断ユニットU1 が装着された自動切断装置T1 により被切断物Kを切断する状態を示す側面図である。
図13】同様の状態の切断ユニットU1 の部分の斜視図である。
図14】切断ユニットU1 が傾斜姿勢で被切断物であるバリ片82を切断する状態の模式的斜視図である。
図15】(a),(b)は、それぞれ数値制御(NC)自動切断装置T2 の平面図及び正面図である。
図16】(a),(b)は、それぞれ手持式電動切断工具Bを斜上方及び斜下方から見た斜視図である。
図17】手持式電動切断工具Bの切断ユニットU2 の部分の側面図である。
図18】同様の斜視図である。
図19】(a),(b)は、切断時における本刃体N11と受け刃体N12との正面断面図及び平面断面図である。
図20】(a)は、本刃体N21と受け刃体N22とから成る切断ユニットU3 により、被切断物Kの本体部86に対して垂直に突出しているバリ片87を切断する原理斜視図であり、(b)は、(a)のL-L線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、最良の複数の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例0026】
最初に、図1図14を参照して、本発明の実施例1について説明する。切断ユニットU1 は、図12に示されるように、ロボットRの先端アームA2 の先端部に装着されて、被切断物Kを切断するものである。図1図6に示されるように、フレームJは、前面に駆動モータMが一体に取付けられた厚板状の奥側フレーム部J1 の前面に、当該駆動モータMの配置スペースを確保するために、側面視で屈曲した前側フレーム部J2 が一体に組み付けられた形状であって、前側フレーム部J2 の上端部に、前記駆動モータMの駆動軸1の動力が、当該駆動軸1及び後述の被動軸3に取付けられた各タイミング歯車1a,3a及びタイミングベルト2を介して伝達される被動軸3が水平に支持され、当該被動軸3の先端部に偏心軸4が各軸心の平行を維持して一体に連結され、当該偏心軸4に揺動体5が相互に回転可能となって装着されている。即ち、駆動モータMの駆動軸1の回転が減速されて被動軸3に伝達されて、当該被動軸3の先端部に一体に連結された偏心軸4が偏心量eで偏心回転すると、後述の本刃体取付けロッド6の上端部に連結ピン7を介して連結された前記揺動体5は、当該連結ピン7を揺動中心として、上下及び左右に、それぞれ最大揺動量2eで揺動する。なお、偏心量eは、被動軸3及び偏心軸4の各軸心C1 ,C2 のずれ量である。
【0027】
本刃体N1 は、図6及び図8に示されるように、細長比の大きな長方形板状の刃体本体51の下端部に両刃状の刃部52が長手方向に対して傾斜して形成されることで、刃部52は、往復直線運動の方向に対して傾斜して形成され、当該刃部52の先端の先鋭部が、切断ユニットU1 の進行方向P〔図10(a),(b)参照〕に対して後方に配置される。刃体本体51の上端部には、当該本刃体N1 を後述の本刃体取付けロッド6に対して軸方向にずれることなく連結するための方形状の切欠き53が形成されている。
【0028】
本刃体取付けロッド6の上端部の厚板状に形成された挿入部6aが、前記揺動体5の下端部に形成された挿入溝5aに挿入されることで、当該本刃体取付けロッド6は連結ピン7を介して前記揺動体5が連結されている。当該本刃体取付けロッド6の中間部は、前側フレーム部J2 の前側に最も突出しているロッド支持部71に上下方向に摺動可能に挿通支持され、当該本刃体取付けロッド6の下端部に軸方向に形成されたスリット溝8に板状の本刃体N1 の上端部が挿入されて、前記ロッド支持部71の下方に配置される連結ブロック体9を介して当該本刃体取付けロッド6の下端部に本刃体N1 が一体に取付けられる。即ち、短四角柱状の連結ブロック体9に当該四角柱の高さ方向に形成されたロッド挿通孔10に、前記本刃体取付けロッド6の下端部が突出することなく挿入される。
【0029】
当該本刃体取付けロッド6の下端部が前記連結ブロック体9に挿入された状態では、そのスリット孔8に板状の本刃体N1 の上端部が挿入され、当該本刃体取付けロッド6の下端部における前記スリット溝8と位相が90°異なる部分に形成された廻止め孔11に、前記連結ブロック体9を貫通して螺合された廻止めボルト12の先端部が挿入されると共に、当該廻止めボルト12の先端部が本刃体N1 の一側面に押圧されることで、前記連結ブロック体9と前記本刃体取付けロッド6との相対回動を防止して、当該本刃体取付けロッド6と本刃体N1 とを一体化させている。
【0030】
本刃体取付けロッド6の下端部におけるスリット溝8が形成された部分であって、しかも当該本刃体取付けロッド6のスリット溝8に上端部が挿入された本刃体N1 の前記切欠き53が配置される部分に、当該本刃体取付けロッド6の軸方向に沿って本刃体N1 がずれるのを防止するずれ防止ボルト13の先端の小径部13aを挿入する挿入孔14が形成されている。前記連結ブロック体9を螺合貫通させた前記ずれ防止ボルト13の先端の小径部13aを、本刃体取付けロッド6の前記挿入孔14に挿入させると、当該小径部13aは、本刃体N1 の切欠き53に入り込むことで、本刃体取付けロッド6に対して本刃体N1 が当該本刃体取付けロッド6の軸方向にずれなくなる。
【0031】
なお、図4及び図6において、前記連結ピン7における手前側に突出する部分には、軸直角方向に抜止め溝部7aが形成され、前記揺動体5の前面に一対の固定ボルト15を介して固定される薄板状の抜止め板16の下端部が、前記連結ピン7の抜止め溝部7aに挿入されることで、当該連結ピン7が振動等により抜け出るのを防止している。図6において、連結ブロック体9に螺合される廻止め及びずれ防止の各ボルト12,13は、それぞれ緩止めナット17,18で、その緩みが防止される。
【0032】
前記本刃体N1 と協働して剪断作用を果す受け刃体N2 は、図4及び図6に示されるように、ブロック状の取付け体61の下端部に、板状の当該本刃体N1 と同等の板厚を有する薄板状の連結板部62を介して一体に連結されている。即ち、受け刃体N2 は、切断ユニットU1 の進行方向Pに沿って長辺を有する長方形ブロック状をなしていて、その幅方向の中央部に長手方向に沿って前記本刃体N1 の刃部52の下端部に挿入される本刃体挿入孔63が貫通して形成されている。当該本刃体挿入孔63は、前記連結板部62の前端面62aの部分まで形成されており、当該連結板部62の板厚は、当該本刃体挿入孔63の幅W〔図10(c)参照〕と同等となっている。当該本刃体挿入孔63の幅Wは、本刃体N1 が挿入可能なように、当該本刃体N1 の板厚よりも僅かに大きいか、或いは上下方向に往復直線運動を行う本刃体N1 は、その下降端位置において刃部52の下端部が当該本刃体挿入孔63に挿入されているので、当該本刃体N1 が本刃体挿入孔63の内側面63aに摺接して上下動する程度の寸法であってもよい。特に、被切断物Kがビニルシートのように可撓性を有する場合には、本刃体N1 と受け刃体N2 との剪断作用を高めて切断を確実にするには、後者の寸法設定が好ましい。
【0033】
ブロック状の受け刃体N2 の上端面は、被切断物Kの切断部を部分的に支持する部分であって、当該被切断物Kが当該受け刃体N2 に対して引込み方向と反対方向に滑り出るのを防止するためののこ刃状滑止め部64が形成されており、被切断物Kの切断中において、その切断予定部が前記受け刃体N2 の表面から切断ユニットU1 の進行方向Pに滑り出て、当該切断予定部が存在しなくなる不具合が防止されて、安定して切断できるようにしてある。当該受け刃体N2 は、図1図5に示されるように、取付け体61を介して前側フレーム部J2 のロッド支持部71の下端面に固定ボルト65を介して一体に取付けられている。
【0034】
ここで、被切断物Kの切断時において、本刃体N1 は、その後端面が本刃体挿入孔63の内後端面63b〔図10(c)参照〕及び前記連結板部62の前端面62aに摺接した状態で、上下方向に沿って、前記偏心量eの2倍のストローク2eでもって往復直線運動を行う。このため、ブロック状の取付け体61の先端突出部61aにも、本刃体挿入孔66が形成されている。
【0035】
また、本刃体N1 の刃部52は、その上昇端位置においても、その下端部が受け刃体N2 の本刃体挿入孔63に挿入されていて、当該刃部52の残りの部分は露出しているので、刃部52の露出部は、前記取付け体61に取付けられたカバー体21により覆われており、奥側フレーム部J1 の背面側に配置された各タイミング歯車1a,3a及びタイミングベルト2の部分は、箱状のカバー体22で覆われている。なお、図1図3において、23は、切断ユニットU1 をロボットRの先端アームA2 の先端部に装着するために、前側フレーム部J2 に一体に取付けられたブラケットを示し、20は、切断ユニットU1 の本刃体N1 を直線運動させる機構の前面部を覆うカバーを示す。
【0036】
また、図12図14に示される被切断物の自動切断装置T1 を構成するロボットRは、基端アームA1 と先端アームA2 とを備えており、上記した切断ユニットU1 は、そのブラケット23の部分が、先端アームA2 の先端部に連結されている。先端アームA2 の先端部は、回動可能な構造になっていて、当該切断ユニットU1 の全体を傾斜させて切断することを可能にしてある。被切断物Kは、樹脂成形品の本体部81の全周縁にバリ片82が張り出していて、前記切断ユニットU1 により当該バリ片82を切断しようとするものである。当該被切断物Kは、箱台83の上面の支持台84に水平にセットされている。ロボットRの先端アームA2 の先端部に装着された切断ユニットU1 の移動軌跡が、被切断物Kの本体部81の周縁形状となるように、当該ロボットRの先端アームA2 の先端部の移動が制御されている。よって、ロボットRを作動させると、図14に示されるように、切断ユニットU1 を構成する受け刃体N2 の上面ののこ刃状滑止め部64に前記バリ片82が載せられて支持された状態で、当該切断ユニットU1 が本体部81の周縁部に沿って、矢印Pで示される方向に移動しながら、駆動モータMの動力の伝達により、本刃体N1 が上下方向にストローク2eで往復直線運動を行うと、図10に示されるように、前記本体部81の周縁部、即ち、前記バリ片82の基端部は、本刃体N1 の下降移動時に、本刃体N1 と受け刃体N2 との剪断作用により連続して押切りにより切断され、本刃体N1 の上昇移動時には、単に次の剪断に備えて上昇するのみで、剪断作用は生じない。
【0037】
また、被切断物Kの切断除去部であるバリ片82の部分が傾斜している場合には、図14に示されるように、ロボットRの先端アームA2 の先端部を回動させることで、切断ユニットU1 の全体を傾斜させ、この傾斜姿勢で当該バリ片82を切断することもできる。
【0038】
ここで、図11を参照して、本刃体N1 と受け刃体N2 との剪断作用について詳述する。上記のように、本刃体N1 の刃部52が両刃の場合には、図11(a)に示されるように、本刃体N1 の剪断力Fは、受け刃体N2 における本刃体挿入孔63の両側部に、それぞれ反力(F/ 2)を発生させた状態で、本刃体N1 及び受け刃体N2 で挟まれた被切断物Kは、本刃体N1 及び受け刃体N2 の剪断作用により切断される。このため、本刃体N1 の両側面と、受け刃体N2 の本刃体挿入孔63の内側面63aとの間隔は、小さい程、剪断作用が効果的に奏されるので、本刃体N1 の両側面と、受け刃体N2 の本刃体挿入孔63の内側面63aとは、摺接させると、剪断効果が最大となる。この点において、本発明の本刃体N1 と受け刃体N2 との剪断による切断は、受け刃体を必要とせずに、のこ刃状のブレードの引切りを主体にした単純な切断とは、本質的に異なる。
【0039】
本刃体の刃部は、両刃よりも片刃の方が剪断作用が高まる。図11(b)は、片刃の刃部35を有する本刃体N11と受け刃体N2 による剪断作用を示している、片刃の刃部35の場合には、本刃体N11における刃部35を含めて全体が平面状となったフラット面67と、受け刃体N2 の本刃体挿入孔63の一方の内側面63aとの間隔が両刃の場合に比較して小さくできるか、或いは刃部35の部分までもが当該一方の内側面63aに摺接させることとが可能となる。この結果、受け刃体N2 の本刃体挿入孔63の両側部が受ける剪断力Fの各反力F1 ,F2 に大きさの差が生じ、はさみによる剪断に近い状態が実現されて、剪断作用が一層効果的に奏される。図11(b)に示されるように、受け刃体N2 における本刃体挿入孔63に臨む部分に作用する各反力をF1 ,F2 と定めると、以下の式が成立する。
F=F1 +F2 ,F1 >F2
【0040】
更に、図11(c)は、片刃状の刃部35を有する本刃体N11と、受け刃体N32との剪断作用による切断原理を示している。受け刃体N32は、前記受け刃体N2 と異なって本刃体挿入孔63は形成されておらず、本刃体N11における刃部35を含めて全面が平面状となっているフラット面67が摺接する摺接面68となっていて、本刃体N11の前記フラット面67と、受け刃体N32の摺接面68との摺接により、被切断物Kが切断される。よって、受け刃体N32に孔部を設ける必要がないため、その製作が容易となる。なお、上記摺接面68は、受け刃体N32の側面に、当該側面が開口面となる横断面がコの字形の溝状の本刃体挿入孔を形成し、当該本刃体挿入孔の底面を摺接面として、当該本刃体挿入孔に、片刃状の本刃体N11を挿入して摺接させる構成にしてもよい。
【0041】
なお、上記実施例1では、ロボットRは、床面に設置したものであるが、天井面に設置したロボットを使用すると、ロボットの設置による床面の側の制約空間が少なくなって、切断作業に使用できる空間が広くなるので、切断作業の能率が高められる。
【実施例0042】
また、図15に示される被切断物Kの数値制御(NC)自動切断装置T2 は、互いに直交する方向の二種類の直線移動を組み合わせることで、平面内に配置される被切断物Kを任意の形状に切断する装置であって、Y方向に直線移動可能な移動バー24に、当該移動バー24の長手方向であるX方向に直線移動可能に前記切断ユニットU1 が取付けされた構成である。テーブル25には、その幅方向であるX方向の両端部にガイドレール26がY方向に沿って設けられ、移動バー24の長手方向の両端部には、それぞれ移動体27が取着され、各移動体27が前記各ガイドレール26に沿ってY方向に直線移動可能になっている。なお、切断ユニットU1 は、自身に備え付けの制御モータ(図示せず)によりラックピニオン機構(図示せず)を作動させることで、X方向への移動量を制御可能になっていると共に、前記した一対の移動体27の一方は、同様の機構により、当該移動体27は、Y方向への移動量を制御可能になっている。
【0043】
このため、切断ユニットU1 は、X方向及びY方向への移動量を制御する前記各制御モータにより、XY平面上において、予め設定された任意の軌跡で移動できるので、被切断物Kを設定された任意の形状に切断できる。
【実施例0044】
次に、図16図19を参照して、手持式電動切断工具Bについて説明する。手持式電動切断工具Bは、モータを内蔵した工具本体31の下面に対して所定間隔をおいてベース板32が一体に設けられ、当該ベース板32の刃体開口32aを通して、上下方向に往復直線運動を行うのこ刃状のブレード(図示せず)が出入りすることで、被切断物を切断する従来構成の「ジグソー」と称される切断工具の当該ブレードを、本発明に係る切断ユニットU2 に変更したものである。
【0045】
工具本体31の内部には、上下方向に往復直線運動を行う本刃体取付けロッド33が配置されて、その下端部が当該工具本体31から所定長だけ突出していて、本刃体取付けロッド33の当該突出部に、前記連結ブロック体9と同一構造の別の連結ブロック体34を介して片刃状の刃部35を有する本刃体N11が一体に連結されている。
【0046】
受け刃体N12は、同一サイズの2枚の第1板体36の間に、切断ユニットU2 の進行方向Pに沿って所定の間隔を設けて配置された第2及び第3の各板体37,38を挟むように配置して、計4枚の各板体36,37,38を複数のボルト39で一体化させることで、当該計4枚の各板体36,37,38の間に、前記進行方向Pに長辺を有する長方形状の本刃体挿入孔41が形成される。前記第3板体38は、第1及び第2の各板体36,37の各上面よりも上方に突出した突出部38aを備え、当該突出部38aを挟むようにして、その両側に、断面L字状の一対の固定ブラケット42が配置されて、当該突出部38aと、一対の固定ブラケット42とは、ボルト45により一体化され、当該一対の固定ブラケット42を介して前記ベース板32の裏面に、受け刃体N12が一体に取付けられることで、前記刃体開口32aの直下に所定間隔をおいて当該受け刃体N12が配置されている。受け刃体N12の上面には、被切断物Kの切断予定部が切断ユニットU2 の進行方向Pに沿って滑り出て、当該受け刃体N12の上面に被切断物Kの切断予定部が存在しなくなる不具合を防止するのこ刃状滑止め部43が形成されている。
【0047】
また、受け刃体N12の直上であって、前記ベース板32の下方の部分には、切断中における被切断物Kが当該受け刃体N12から大きく離間するのを防止して、切断を円滑に行うためのバネ線材からなる被切断物押圧部材44が配置されている。当該被切断物押圧部材44は、1本のバネ線材を屈曲させて、受け刃体N12の直上に、手持式電動切断工具Bの移動方向Pと直交する方向に所定間隔をおいて当該移動方向Pに沿って配置される2本の押圧部44aは、その先端部が、前記ベース板32における刃体開口32aの両側の部分にボルト45で固定支持されることで、当該2本の押圧部44aは、被切断物Kの種々の厚さに対応して変形可能なように片持支持されている。
【0048】
なお、上記の受け刃体N12は、複数枚の板体を組み合わせて、本刃体挿入孔41を形成しているが、例えば、ワイヤーカット加工等により、一体物に対して本刃体挿入孔41を貫通形成することも可能である。
【0049】
これにより、本刃体N11の先端部は、その上昇端位置において、受け刃体N12の本刃体挿入孔41に入り込んでいて、この状態から、所定のストロークで下降端位置まで下降して、再度上昇する往復直線運動を行う。工具本体31を手で持って、当該工具本体31を所定速度で移動させると、本刃体N11の往復直線運動により、被切断物Kは、本刃体N11と受け刃体N12との剪断作用により連続的に切断される。
【実施例0050】
次に、図20を参照して、被切断物Kの本体部86に対して垂直に設けられたバリ片87を切断する切断ユニットU3 について説明する。切断ユニットU3 は、片刃状の刃部91を有する本刃体N21と、当該本刃体N21の刃部91が挿入される本刃体挿入孔92を有する受け刃体N22とから成り、当該本刃体N21と受け刃体N22とは、前記バリ片87を挟んで、当該本刃体N21は、被切断物Kの本体部86と平行に配置された状態で、往復直線運動を行う。
【0051】
受け刃体N22は、前記切断ユニットU1 の受け刃体N2 に近似した構成であるが、本刃体挿入孔92が厚さ方向における被切断物Kの本体部86に近い側に偏在して配置されている点のみが異なり、受け刃体N22におけるバリ片87と接触する面には、のこ刃状滑止め部93が形成されている。このため、受け刃体N22本刃体挿入孔92の周縁部における切断状態で被切断物Kの本体部86と対向する部分は、薄板部94が形成され、当該薄板部94の内側面には、片刃状の刃部91を有する本刃体N21のフラット面95が摺接する構造となっている。受け刃体N22は、連結板部06を介して前記本刃体N21を往復直線運動可能に支持しているフレーム(図示せず)に固定されている。前記薄板部94の肉厚は、切断残部の高さを可能な限り短くするために、0 .3 ~0 .5mmが望ましい。
【0052】
このため、被切断物Kの本体部86に対して本刃体N21を平行に配置すると共に、当該本刃体N21と受け刃体N22とで前記バリ片87を両側から挟んだ状態に配置した状態で、切断ユニットU3 をバリ片87に沿った矢印P方向に移動させながら、前記本刃体N21を往復直線運動させると、当該バリ片87の基端部が、本刃体N21と受け刃体N22との剪断作用により連続して切断される。
【0053】
また、被切断物Kの剪断による切断時においては、切粉は発生しないが、当該被切断物Kが脆い材質の場合には、切断端面から紙粉類、樹脂粉類等が崩れ出ることがある。この場合において、受け刃体N2 ,N12, N22に形成された各本刃体挿入孔41,63は、貫通孔になっているため、上記の紙粉類、樹脂粉類等は、本刃体挿入孔41,63に滞留することなく排出される利点がある。しかし、本発明の請求項1等で定義される「本刃体挿入孔」は、貫通孔のみならず、閉塞孔も含むものである。
【0054】
また、請求項1等で定義される本刃体の「往復直線運動」とは、厳格な「往復直線運動」に限定されず、受け刃体との協働により被切断物を押切りによる剪断により切断可能であれば、本刃体は、「近似往復直線運動」であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
2 :ロボットの先端アーム
e:被動軸と偏心軸との偏心量
F:剪断力
1,F2 :剪断力の反力
J:フレーム
K:被切断物
1,N11, N21:本刃体
2,N12, N22, N32:受け刃体
P:切断ユニットの移動方向
R:ロボット
1,T2 :自動切断装置
1,U2,U3 :切断ユニット
W:本刃体挿入孔の幅
35:本刃体の片刃状の刃部
52:本刃体の両刃状の刃部
41,63,92:本刃体挿入孔
43,64,93:のこ刃状滑止め部
68:受け刃体の摺接面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20