(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093849
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208942
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】川脇 将吾
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS01
5H730BB26
5H730BB61
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG07
5H730FG22
5H730XX23
5H730XX32
5H730XX42
(57)【要約】
【課題】負荷電流の低下を適切に見極めて出力電圧の上昇を低コストで抑制する。
【解決手段】スイッチング電源装置1は、PFM制御される第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び共振回路により一定の目標電圧Vtargetを出力する電圧変換部2と、電圧変換部2の出力電圧VoutをPFM制御の変調周波数Fmodに変換する周波数制御部4と、変調周波数Fmodに基づいて第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をPFM制御で駆動する駆動回路5と、を備え、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutが共に増加した場合に、駆動回路5のPFM制御を間欠制御する間欠制御回路8と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PFM制御されるスイッチング素子及び共振回路により一定の目標電圧を出力する電圧変換部と、
前記電圧変換部の出力電圧を前記PFM制御の変調周波数に変換する周波数制御部と、
前記変調周波数に基づいて前記スイッチング素子を前記PFM制御で駆動する駆動回路と、を備え、
前記変調周波数及び前記出力電圧が共に増加した場合に、前記駆動回路の前記PFM制御を間欠制御する間欠制御回路と、を備えるスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記変調周波数は、前記PFM制御の上限周波数よりも低く設定される所定の第1周波数閾値に達した場合に増加と判定され、
前記出力電圧は、前記変調周波数が前記上限周波数である場合の電圧よりも低く設定される所定の第1出力電圧閾値に達した場合に増加と判定される、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記間欠制御の開始時において、前記出力電圧が前記第1出力電圧閾値に達するよりも前に、前記変調周波数が前記第1周波数閾値に達するよう設定される、請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記出力電圧が前記目標電圧よりも低い所定の第2出力電圧閾値に低下した場合に前記PFM制御を再開する、請求項1乃至3のいずれかに記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
PFM制御されるスイッチング素子及び共振回路により一定の目標電圧を出力するスイッチング電源装置の制御方法であって、
前記目標電圧として出力される出力電圧を前記PFM制御の変調周波数に変換し、
前記変調周波数に基づいて前記スイッチング素子を前記PFM制御で駆動し、
前記変調周波数及び前記出力電圧が共に増加した場合に、前記PFM制御を間欠制御する、スイッチング電源装置の制御方法。
【請求項6】
前記変調周波数は、前記PFM制御の上限周波数よりも低く設定される所定の第1周波数閾値に達した場合に増加と判定され、
前記出力電圧は、前記変調周波数が前記上限周波数である場合の電圧よりも低く設定される所定の第1出力電圧閾値に達した場合に増加と判定される、請求項5に記載のスイッチング電源装置の制御方法。
【請求項7】
前記間欠制御の開始時において、前記出力電圧が前記第1出力電圧閾値に達するよりも前に、前記変調周波数が前記第1周波数閾値に達するよう設定される、請求項6に記載のスイッチング電源装置の制御方法。
【請求項8】
前記出力電圧が前記目標電圧よりも低い所定の第2出力電圧閾値に低下した場合に前記PFM制御を再開する、請求項5乃至7のいずれかに記載のスイッチング電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング電源装置、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LLC共振回路方式のスイッチング電源装置は、小容量から高容量まで様々な市場ニーズに高効率、低ノイズで対応可能であることから、従来から広く使用されている。このようなスイッチング電源装置は、例えばパルス周波数変調(PFM:Pulse Frequency Modulation)で制御される場合、出力電流が小さくなる軽負荷時にはスイッチング周波数を上昇させ、重負荷時にはスイッチング周波数を低下させることで、出力電圧を一定に制御して負荷装置に安定的な電力を供給する。
【0003】
ここで、上記のようなスイッチング電源装置は、スイッチング素子が安定的な動作を行うための上限周波数が設定されているため、負荷電流が極端に低い場合や無負荷状態においては出力電圧の上昇を抑制できず、過電圧保護(OVP:Over Voltage Protection)が機能してラッチオフに至る可能性が生じる。
【0004】
このような問題に対し、例えば特許文献1には、負荷電流が所定の閾値以下である場合にアクティブ抵抗を有効にすることでダミー負荷を取るスイッチング電源装置が開示されている。また、特許文献1には、ダミー負荷によっても出力電圧を制御できない場合に、スイッチングの駆動と停止とを繰り返す間欠動作により、出力電圧を所定の範囲に維持する制御態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来技術では、負荷電流を測定するための電流検出抵抗に関し、微小電流を測定するためには抵抗値を高くしなければならない反面、負荷電流が大きい場合の損失増大により電力変換効率が低下する。また、抵抗値が比較的小さい電流検出抵抗で微小な負荷電流を測定するには、高性能の検出用ICが必要となる他、ゼロ電圧付近の動作を確定するためのマイナス電源の構築が必要になるため、コストの上昇を招来する。
【0007】
更に、上記のようなスイッチング電源装置においては、出力電圧の上昇が必ずしも負荷電流の低下に起因しているとは限らず、出力電圧の一時的な上昇時にスイッチングの間欠動作を行うと動作の不安定化を招くことがある。また、出力電圧の上昇が内部故障により生じている場合には、当該間欠動作により制御を無理に継続するよりも、むしろ適切にラッチオフさせることにより制御を停止させる方が好適であることもある。そのため、スイッチングの間欠動作を出力電圧に基づいて制御する上記のような従来技術では、出力電圧の上昇に対して必ずしも適切な制御を行うことが出来ない虞が生じる。
【0008】
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、負荷電流の低下を適切に見極めて出力電圧の上昇を低コストで抑制することができるスイッチング電源装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示のスイッチング電源装置は、PFM制御されるスイッチング素子及び共振回路により一定の目標電圧を出力する電圧変換部と、前記電圧変換部の出力電圧を前記PFM制御の変調周波数に変換する周波数制御部と、前記変調周波数に基づいて前記スイッチング素子を前記PFM制御で駆動する駆動回路と、を備え、前記変調周波数及び前記出力電圧が共に増加した場合に、前記駆動回路の前記PFM制御を間欠制御する間欠制御回路と、を備えるスイッチング電源装置である。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本開示のスイッチング電源装置の制御方法は、PFM制御されるスイッチング素子及び共振回路により一定の目標電圧を出力するスイッチング電源装置の制御方法であって、前記目標電圧として出力される出力電圧を前記PFM制御の変調周波数に変換し、前記変調周波数に基づいて前記スイッチング素子を前記PFM制御で駆動し、前記変調周波数及び前記出力電圧が共に増加した場合に、前記PFM制御を間欠制御する、スイッチング電源装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係るスイッチング電源装置、及びその制御方法によれば、負荷電流の低下を適切に見極めて出力電圧の上昇を低コストで抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】正常動作時及び異常動作時における変調周波数及び出力電圧のそれぞれの電圧変化を示す波形である。
【
図4】負荷電流が低下した場合における従来の電源装置に係る変調周波数及び出力電圧のそれぞれの変化を示す波形である。
【
図5】負荷電流が低下した場合における本実施形態のスイッチング電源装置に係る変調周波数及び出力電圧のそれぞれの変化を示す波形である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ実施形態について詳細に説明する。尚、本開示は、以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0014】
図1は、スイッチング電源装置1の全体構成図である。本実施形態におけるスイッチング電源装置1は、いわゆるLLC共振回路方式の絶縁型DC‐DCコンバータであり、電圧変換部2、及び帰還回路3を備える。そして本実施形態に係るスイッチング電源装置1は、電圧変換部2の一次側に設けられた高電位側入力端子Tin(+)及び低電位側入力端子Tin(-)からなる一対の入力端子に入力される入力電圧Vinを変換し、電圧変換部2の二次側に設けられた高電位側出力端子Tout(+)及び低電位側出力端子Tout(-)からなる一対の出力端子に出力電圧Voutとして出力する。これにより、スイッチング電源装置1は、出力電圧Voutを一定の目標電圧Vtargetとなるよう制御して安定化された電力を出力先の負荷装置(図示せず)に供給する。ここで、本実施形態における低電位側入力端子Tin(-)及び低電位側出力端子Tout(-)は、いずれも接地されているものとする。
【0015】
電圧変換部2は、入力コンデンサCin、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、トランスTr、共振コイルLr、共振コンデンサCr、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、及び出力コンデンサCoutを含む。
【0016】
入力コンデンサCinは、一端が高電位側入力端子Tin(+)に接続され、他端が低電位側入力端子Tin(-)に接続されることにより、入力電圧Vinを平滑化する入力フィルタである。
【0017】
第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなるスイッチング素子であり、ゲートに接続された後述する駆動回路5によりPFM制御(Pulse Frequency Modulation)されることで直流の入力電圧Vinを交流電力に変換する。ここで、第1スイッチSW1は、ドレインが高電位側入力端子Tin(+)に接続されると共に、ソースが第2スイッチSW2のドレインに接続されている。また、第2スイッチSW2は、低電位側入力端子Tin(-)に接続されている。尚、各スイッチの端子には電流制限用の抵抗器が適宜接続されている。
【0018】
トランスTrは、一次側コイルL11及び二次側コイルL21、L22を含み、電圧変換部2の一次側回路と二次側回路とを直流的に絶縁しつつ、一次側回路から供給される交流電力を二次側回路に伝達する。ここで、一次側コイルL11の巻き始め端は、共振コイルLrを介して、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との連結点に接続されている。また、一次側コイルL11の巻き終わり端は、共振コンデンサCrを介して、第2スイッチSW2のソースに接続されている。すなわち、共振コイルLr、一次側コイルL11、及び共振コンデンサCrによりLLC共振回路が構成されている。
【0019】
第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2は、例えばショットキーバリアダイオードであり、トランスTrから出力される交流電力を直流電力に変換する整流回路を構成する。ここで、第1ダイオードD1は、アノードが二次側コイルL21の巻き始め端に接続され、カソードが出力コンデンサCoutの一端に接続されている。また、第2ダイオードD2は、アノードが二次側コイルL22の巻き終わり端に接続され、カソードが出力コンデンサCoutの一端に接続されている。そして、二次側コイルL21、L22の連結店は、出力コンデンサCoutの他端に接続されている。
【0020】
出力コンデンサCoutは、一端が高電位側出力端子Tout(+)に接続され、他端が低電位側出力端子Tout(-)に接続されることにより、出力電圧Voutを平滑化する出力フィルタである。
【0021】
これにより、電圧変換部2は、一対の出力端子に安定化された出力電圧Voutを出力する。尚、電圧変換部2は、
図1に示す構成に限定されるものではなく、スイッチング素子及び共振回路を含む様々な形態の電力変換機構を採用することができる。
【0022】
続いて、電圧変換部2を制御するための帰還回路3について具体的に説明する。
図2は、帰還回路3の内部構成を表す回路図である。帰還回路3は、周波数制御部4、駆動回路5、出力電圧検出部6、過電圧保護回路7、及び間欠制御回路8を備える。
【0023】
周波数制御部4は、電圧変換部2から出力される出力電圧Voutを入力値とし、PFM制御のための変調周波数Fmodに変換する回路であり、本実施形態においては当該変調周波数Fmodに相当する周波数制御電圧として駆動回路5に出力する。
【0024】
より具体的には、周波数制御部4は、第1アンプAMP1を含むほか、その増幅率の調整や高周波ノイズの除去のための複数の抵抗器及びコンデンサを適宜備える。第1アンプAMP1は、高電位側出力端子Tout(+)に出力される出力電圧Voutを分圧した電圧が非反転入力として入力され、所定の第1基準電圧Ref1が反転入力として入力されることにより、出力電圧Voutに応じたPFM制御のための周波数制御電圧が出力される。尚、周波数制御部4は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の破損を防止するため、PFM制御の周波数に上限周波数Fmaxが設定されている。
【0025】
駆動回路5は、周波数制御部4が変換した変調周波数Fmodに基づいて、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をPFM制御で駆動するためのドライバであり、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のゲート電圧を当該変調周波数Fmodに応じて交互にON/OFF制御することにより、電圧変換部2の入力電圧Vinや負荷の変動に拘らず、電圧変換部2が出力する出力電圧Voutが目標電圧Vtargetとなるよう制御する。
【0026】
出力電圧検出部6は、出力アンプAMPvを含むほか、その増幅率の調整のための複数の抵抗器を適宜備え、高電位側出力端子Tout(+)及び低電位側出力端子Tout(-)のそれぞれの電圧を入力値として、それらの差から出力電圧Voutを検出する回路である。
【0027】
過電圧保護回路7は、出力電圧検出部6が検出した出力電圧Voutを監視し、出力電圧Voutが上昇して所定の過電圧閾値Vovpに達した場合に、いわゆるラッチオフ状態として駆動回路5の動作を停止させる回路である。より具体的には、過電圧保護回路7は、出力電圧検出部6の出力値を非反転入力とし、所定の第2基準電圧Ref2が反転入力として入力される第2コンパレータCP2と、アノードが抵抗器を介して第1補助電源SP1に接続され、カソードが第2コンパレータCP2の出力端子及び駆動回路5に接続されるラッチオフダイオードDoffとを備える。
【0028】
間欠制御回路8は、周波数制御部4からの変調周波数Fmod、及び出力電圧検出部6からの出力電圧Voutが共に増加した場合に、駆動回路5のPFM制御を間欠制御する回路である。ここで、本実施形態に係る間欠制御回路8は、電圧上昇検出回路8a、電圧判定ダイオードDv、周波数上昇検出回路8b、周波数判定ダイオードDf、及び発振停止回路8cを備える。
【0029】
電圧上昇検出回路8aは、主要構成として、第3コンパレータCP3、第1抵抗器R1、第2抵抗器R2、及び第1履歴ダイオードDaを含む。第3コンパレータCP3は、第1抵抗器R1を介して非反転入力に出力電圧検出部6の出力信号が入力され、反転入力に所定の第3基準電圧Ref3が入力される。また、第1履歴ダイオードDaは、アノードが第2抵抗器R2を介して第3コンパレータCP3の反転入力に接続され、カソードが第3コンパレータCP3の出力側に接続される。これにより、第3コンパレータCP3は、いわゆるヒステリシスコンパレータを構成する。
【0030】
当該構成により第3コンパレータCP3は、出力側の電圧がローレベルである状態では、出力電圧検出部6が検出した出力電圧Voutを第1抵抗器R1及び第2抵抗器R2により分圧した電圧が非反転入力に入力される。そして、第3コンパレータCP3は、当該電圧が第3基準電圧Ref3まで上昇した場合、すなわち出力電圧Voutが第1出力電圧閾値Vth1に達した場合に、出力側の電圧がローレベルからハイレベルに切り替わる。
【0031】
また、第3コンパレータCP3は、出力側の電圧がハイレベルである状態では、出力電圧検出部6から出力される出力電圧Voutが第1抵抗器R1のみを介して非反転入力に入力される。そして、第3コンパレータCP3は、当該電圧が第3基準電圧Ref3まで低下した場合、すなわち出力電圧Voutが第2出力電圧閾値Vth2まで低下した場合に、出力側の電圧がハイレベルからローレベルに切り替わる。
【0032】
ここで、本実施形態における電圧上昇検出回路8aは、出力電圧Voutが目標電圧Vtargetに対して+2%まで上昇した電圧を第1出力電圧閾値Vth1として設定し、出力電圧Voutが目標電圧Vtargetに対して-2%まで下降した電圧を第2出力電圧閾値Vth2として設定する。すなわち、電圧上昇検出回路8aは、出力電圧Voutが目標電圧Vtargetから2%上昇した場合に出力をローレベルからハイレベルに切り替え、出力電圧Voutが目標電圧Vtargetから2%低下した場合に出力をハイレベルからローレベルに切り替える。
【0033】
電圧判定ダイオードDvは、カソードが第3コンパレータCP3の出力側に接続され、電圧上昇検出回路8aがハイレベル信号を出力した場合に逆バイアス状態となる。
【0034】
周波数上昇検出回路8bは、主要構成として、第4コンパレータCP4、第3抵抗器R3、第4抵抗器R4、及び第2履歴ダイオードDbを含む。第4コンパレータCP4は、第3抵抗器R3を介して非反転入力に周波数制御部4の出力信号が入力され、反転入力に所定の第4基準電圧Ref4が入力される。また、第2履歴ダイオードDbは、アノードが第4抵抗器R4を介して第4コンパレータCP4の反転入力に接続され、カソードが第4コンパレータCP4の出力側に接続される。これにより、第4コンパレータCP4は、いわゆるヒステリシスコンパレータを構成する。
【0035】
当該構成により第4コンパレータCP4は、出力側の電圧がローレベルである状態では、周波数制御部4が出力した変調周波数Fmodに相当する周波数制御電圧を第3抵抗器R3及び第4抵抗器R4により分圧した電圧が非反転入力に入力される。そして、第4コンパレータCP4は、当該電圧が第4基準電圧Ref4まで上昇した場合、すなわち変調周波数Fmodが第1周波数閾値Fth1に達した場合に、出力側の電圧がローレベルからハイレベルに切り替わる。
【0036】
また、第4コンパレータCP4は、出力側の電圧がハイレベルである状態では、周波数制御部4から出力される変調周波数Fmodに相当する周波数制御電圧が第3抵抗器R3のみを介して非反転入力に入力される。そして、第4コンパレータCP4は、当該電圧が第4基準電圧Ref4まで低下した場合、すなわち変調周波数Fmodが第2周波数閾値Fth2まで低下した場合に、出力側の電圧がハイレベルからローレベルに切り替わる。
【0037】
周波数判定ダイオードDfは、カソードが第4コンパレータCP4の出力側に接続され、周波数上昇検出回路8bがハイレベル信号を出力した場合に逆バイアス状態となる。
【0038】
発振停止回路8cは、主要構成として、第5コンパレータCP5、第5抵抗器R5、及び第6抵抗器R6を含む。第5コンパレータCP5は、第2補助電源SP2が第5抵抗器R5及び第6抵抗器R6を介して非反転入力に接続され、反転入力が所定の第5基準電圧Ref5に接続され、出力側が駆動回路5に接続されている。また、第5抵抗器R5及び第6抵抗器R6の連結点が電圧判定ダイオードDv及び周波数判定ダイオードDfのそれぞれのアノードに接続されている。
【0039】
そして、第5コンパレータCP5は、電圧判定ダイオードDv及び周波数判定ダイオードDfの少なくとも一方が順バイアス状態である場合には非反転入力がローレベルであり、共に逆バイアス状態になった場合に非反転入力がハイレベルに切り替わる。このとき、第5コンパレータCP5は、PFM制御を一時的に中断する制御信号を駆動回路5へ出力する。また、第5コンパレータCP5は、電圧判定ダイオードDv及び周波数判定ダイオードDfの少なくとも一方が順バイアス状態に復帰すると、PFM制御を中断する制御信号を停止することにより駆動回路5のPFM制御を再開させる。すなわち、間欠制御回路8は、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutが共に増加した場合に、駆動回路5のPFM制御を間欠制御し、出力電圧Voutの変動を抑制する。
【0040】
次に、負荷電流Iloadが十分大きい場合におけるスイッチング電源装置1の各部の動作について説明する。
図3は、正常動作時及び異常動作時における変調周波数Fmod及び出力電圧Voutのそれぞれの電圧変化を示す波形である。ここで、横軸は時間の経過を表し、縦軸は周波数及び電圧のそれぞれの大きさを表している。また、過電圧保護回路7の出力レベルをOVPとして表している。
【0041】
図3のタイミングT0からタイミングT1までの期間に示すように、スイッチング電源装置1が定常状態で動作している場合には、出力電圧Voutが本実施形態の目標電圧Vtargetである54Vとなっており、これに伴い変調周波数Fmodも一定の定常周波数Fsに維持されている。
【0042】
ここで、スイッチング電源装置1は、タイミングT1からタイミングT2までの期間に示すように、例えば電圧変換部2への入力電圧Vin、又は負荷電流Iloadが変動することがある。このような場合であっても、周波数制御部4は、出力電圧Voutが破線P1で示すような変動を受けないよう、これに合わせて変調周波数FmodをP2のように調整する。このため、出力電圧Voutは、タイミングT1からタイミングT2までの期間においても、目標電圧Vtargetの54Vを維持することができる。すなわち、スイッチング電源装置1は、タイミングT0からタイミングT3までの期間に示すように、入力変動及び負荷変動に対しても正常動作時であれば一定の安定した出力電圧Voutを負荷装置に供給することができる。
【0043】
一方、スイッチング電源装置1の異常動作時には、タイミングT3に示すように、出力電圧Voutが上昇を開始しているにも拘らず変調周波数Fmodが低下し、出力電圧Voutの変動を抑制することができない状態となってしまう。例えば、周波数制御部4において、第1アンプAMP1に内部故障が発生した場合や、一定であるはずの第1基準電圧Ref1が既定値とは異なる電圧となってしまう場合に、出力電圧Voutの上昇を招くことがある。尚、出力電圧Voutが上昇し且つ変調周波数Fmodが定常周波数Fsに維持される場合にも、出力電圧Voutの変動を抑制することができない異常動作となる。
【0044】
このような場合には、過電圧保護回路7は、出力電圧Voutが上昇して所定の過電圧閾値Vovpに達するタイミングT4において、OVPとしてハイレベル信号を出力して駆動回路5の動作を停止させ、スイッチング電源装置1を適切にラッチオフさせる。これによりスイッチング電源装置1は、タイミングT5に示すように、出力電圧Vout及び変調周波数Fmodを0にして過電圧に対する安全性を確保する。尚、本実施形態においては、出力電圧Voutが目標電圧Vtargetに対して10%上昇した電圧を過電圧閾値Vovpとして設定している。
【0045】
ここで、スイッチング電源装置1の異常動作時であっても、上記したように第1基準電圧Ref1が既定値とは異なる電圧となる場合には、ラッチオフに至る前に正常動作に復帰することがある。例えば、異常動作時において第1基準電圧Ref1が徐々に既定値に復帰する場合、出力電圧Vout及び変調周波数Fmodは、
図3のP3及びP4に示す破線のように定常状態に復帰する。この場合には、スイッチング電源装置1は、タイミングT4以降においてもラッチオフに至ることなく正常に動作を継続することができる。尚、このような定常状態への復帰は、第1基準電圧Ref1が急激に復帰した場合には瞬間的に完了することもある。
【0046】
続いて、軽負荷又は無負荷におけるスイッチング電源装置1の動作及び制御方法について説明する。共振回路方式の一般的な電源装置においては、負荷電流Iloadが低下して軽負荷又は無負荷の状態になると、出力電圧Vout及び変調周波数Fmodの安定化が困難になり、共に上昇することになる。以下では、本実施形態に係るスイッチング電源装置1の効果について、上記した間欠制御回路8を備えない従来の電源装置と比較して説明する。
【0047】
図4は、負荷電流Iloadが低下した場合における従来の電源装置に係る変調周波数Fmod及び出力電圧Voutのそれぞれの変化を示す波形である。尚、負荷電流Iloadの定格が0.1A以上であるものとする。
【0048】
図4に示すように、従来の電源装置は、負荷電流Iloadが定格電流以上である期間では、変調周波数Fmodが定常周波数Fs、出力電圧Voutが54Vで一定の出力を維持しているものの、タイミングT6のように負荷電流Iloadが定格電流未満に低下した場合には、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutの上昇を抑制することができなくなる。
【0049】
また、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutが上昇を続けると、タイミングT7において変周波数Fmodが上限周波数Fmaxに達して頭打ちとなる。これにより、出力電圧Voutは、更に上昇してタイミングT8において過電圧閾値Vovp(すなわち+10%)に達し、過電圧保護回路7の出力信号がローレベルからハイレベルに切り替わることによりラッチオフに至るため駆動回路5がPFM制御を停止する。
【0050】
そして、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutは、やがてタイミングT9において共に0となる。これによりスイッチング電源装置1は、出力電圧Voutの過剰な上昇に対する過電圧保護が機能して動作を停止することができる反面、故障ではない負荷電流Iloadの低下に起因して動作の継続が妨げられてしまうことになる。
【0051】
このような課題に対し、出力電圧Voutの上昇を検出して一時的に駆動回路5のPWM制御を停止して間欠動作をさせる手段も考えられるが、このような手段では、
図3のタイミングT3からタイミングT4までの期間のように、内部故障に起因して出力電圧Voutが上昇した場合であっても間欠動作により無理に制御を継続させることになるため、事態の悪化を招く虞も生じる。
【0052】
そこで、本実施形態のスイッチング電源装置1は、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutが共に増加した場合に、駆動回路5のPFM制御を間欠制御する間欠制御回路8を備えることにより、出力電圧Voutの上昇が負荷電流Iloadの低下に起因するか否かを判断し、出力電圧Voutの上昇を適切な手段により抑制する。
【0053】
図5は、負荷電流Iloadが低下した場合における本実施形態のスイッチング電源装置1に係る変調周波数Fmod及び出力電圧Voutのそれぞれの変化を示す波形である。
図5に示すように、本実施形態に係るスイッチング電源装置1においても、タイミングT10のように負荷電流Iloadが定格電流以下に低下すると、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutが上昇する。
【0054】
しかしながら、タイミングT11に示すように、変調周波数Fmodが第1周波数閾値Fth1以上まで上昇し、且つ出力電圧Voutが第1出力電圧閾値Vth1以上まで上昇した場合、
図2に示す電圧判定ダイオードDv及び周波数判定ダイオードDfが共に逆バイアス状態になる。このため、間欠制御回路8は、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutが共に増加した場合に、第5コンパレータCP5の出力をローレベルからハイレベルへ切換え、駆動回路5のPFM制御を一時的に停止させる制御を行う。これにより、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutは、タイミングT11からタイミングT12までの期間として示されるように共に低下していくことになる。
【0055】
ここで、第1周波数閾値Fth1は、
図5に示されるようにPFM制御の上限周波数Fmaxよりも低い周波数に設定されている。また、第1出力電圧閾値Vth1は、変調周波数Fmodが上限周波数Fmaxに一致するときの出力電圧Voutの電圧値、すなわち本実施形態においては+5%のラインよりも低い電圧に設定されている。そして、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutは、それぞれの閾値に達した場合に増加したと判定されることでPFM制御の間欠制御が開始される。これにより、スイッチング電源装置1は、変調周波数Fmodが上限周波数Fmaxに達する前の段階において確実に間欠制御を開始することができる。
【0056】
尚、
図5においては、変調周波数Fmodが第1周波数閾値Fth1に達するタイミングと、出力電圧Voutが第1電圧閾値Vth1である+2%に達するタイミングとが同時であるものとして示している。ただし、これらのタイミングは必ずしも同時である必要は無い。例えば、間欠制御が開始されるタイミングT11付近において、出力電圧Voutが第1出力電圧閾値Vth1に達するよりも前に、変調周波数Fmodが第1周波数閾値Fth1に達するよう両者の閾値を設定してもよい。この場合には、出力電圧Voutが第1電圧閾値Vth1である+2%に上昇した時点で間欠制御が開始されることになるため、負荷電流Iloadが低下した場合における出力電圧Voutの上限値を、任意の設定値(ここでは+2%)で制限することができる。
【0057】
そして、タイミングT12に示すように、変調周波数Fmodが第2周波数閾値Fth2まで低下し、又は出力電圧Voutが第2出力電圧閾値Vth2である-2%まで低下した場合、
図2に示す電圧判定ダイオードDv又は周波数判定ダイオードDfが順バイアス状態になる。このため、間欠制御回路8は、変調周波数Fmod又は出力電圧Voutの少なくとも一方が低下した場合に、第5コンパレータCP5の出力をハイレベルからローレベルへ切換え、駆動回路5のPFM制御を再開させる制御を行う。
【0058】
これにより、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutは、タイミングT12からタイミングT13までの期間として示されるように共に再び増加していくことになる。しかし、スイッチング電源装置1は、軽負荷状態又は無負荷状態である期間においては、例えばタイミングT13及び14のようにPFM制御の停止及び再開を繰り返す間欠制御により出力電圧Voutを±2%の範囲に制限することができる。
【0059】
ここで、第2出力電圧閾値Vth2は、-2%に限定されるものではないが、少なくとも目標電圧Vtargetよりも低く設定されることにより、間欠動作中の出力電圧Voutが目標電圧Vtargetを跨ぐまでPFM制御の停止期間を確保し、間欠制御における動作効率の低下を抑制することができる。
【0060】
そして、タイミングT15に示すように負荷電流Iloadが定格の0.1A以上まで回復すると、変調周波数Fmod及び出力電圧Voutが定常周波数Fs及び目標電圧Vtargetにそれぞれ復帰して定常動作が継続される。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るスイッチング電源装置1は、共振回路を介して一定の出力電圧Voutを供給する電圧変換部2のPFM制御において、出力電圧VoutとPFM制御の変調周波数Fmodとが共に増加した場合に、PFM制御の停止と再会を繰り返す間欠制御を行う。これによりスイッチング電源装置1は、例えば軽負荷状態又は無負荷状態により変調周波数Fmodの調整だけでは出力電圧Voutの上昇を抑制することができない場合であっても、所定の電圧範囲内で出力電圧Voutを制御することができる。このとき、スイッチング電源装置1は、出力電圧Voutの上昇のみならず変調周波数Fmodの上昇も併せて監視することにより、出力電圧Voutの上昇が負荷電流Iloadの低下又は内部故障等のいずれに起因するかを判断することができるため、内部故障時の適切なラッチオフを妨げることなく、負荷電流Iloadの低下を適切に見極めて出力電圧Voutの上昇を低コストで抑制することができる。
【0062】
<実施態様>
本開示の第1の実施態様は、PFM制御されるスイッチング素子及び共振回路により一定の目標電圧を出力する電圧変換部と、前記電圧変換部の出力電圧を前記PFM制御の変調周波数に変換する周波数制御部と、前記変調周波数に基づいて前記スイッチング素子を前記PFM制御で駆動する駆動回路と、を備え、前記変調周波数及び前記出力電圧が共に増加した場合に、前記駆動回路の前記PFM制御を間欠制御する間欠制御回路と、を備えるスイッチング電源装置である。
【0063】
第1の実施態様に係るスイッチング電源装置は、共振回路を介して一定の出力電圧を供給する電圧変換部のPFM制御において、当該出力電圧とPFM制御の変調周波数とが共に増加した場合に、当該PFM制御の停止と再会を繰り返す間欠制御を行う。これによりスイッチング電源装置は、例えば軽負荷状態又は無負荷状態により変調周波数の調整だけでは出力電圧の上昇を抑制することができない場合であっても、所定の電圧範囲内で出力電圧を制御することができる。このとき、スイッチング電源装置は、出力電圧の上昇のみならず変調周波数の上昇も併せて監視することにより、出力電圧の上昇が負荷電流の低下又は内部故障等のいずれに起因するかを判断することができるため、内部故障時の適切なラッチオフを妨げることなく、負荷電流の低下を適切に見極めて出力電圧の上昇を低コストで抑制することができる。
【0064】
本開示の第2の実施態様は、上記した第1の実施態様において、前記変調周波数は、前記PFM制御の上限周波数よりも低く設定される所定の第1周波数閾値に達した場合に増加と判定され、前記出力電圧は、前記変調周波数が前記上限周波数である場合の電圧よりも低く設定される所定の第1出力電圧閾値に達した場合に増加と判定される、スイッチング電源装置である。
【0065】
第2の実施態様によれば、負荷電流が低下した場合に、変調周波数がPFM制御の上限周波数に達する前に間欠制御が開始されるよう、変調周波数及び出力電圧の増加を検出する閾値が設定されているため、出力上昇の制御が可能な段階で確実に出力電圧を抑制することができる。
【0066】
本開示の第3の実施態様は、上記した第2の実施態様において、前記間欠制御の開始時において、前記出力電圧が前記第1出力電圧閾値に達するよりも前に、前記変調周波数が前記第1周波数閾値に達するよう設定される、スイッチング電源装置である。
【0067】
第3の実施態様によれば、負荷電流が低下した場合に、先に変調周波数が第1周波数閾値に達し、その後に出力電圧が第1出力電圧閾値に達した時点でPFM制御の間欠制御が開始されるため、当該間欠制御における出力電圧を任意に設定した電圧範囲に制限することができる。
【0068】
本開示の第4の実施態様は、上記した第1乃至3のいずれかの実施態様において、前記駆動回路は、前記出力電圧が前記目標電圧よりも低い所定の第2出力電圧閾値に低下した場合に前記PFM制御を再開する、スイッチング電源装置である。
【0069】
第4の実施態様によれば、PFM制御の間欠動作において、PFM制御を一時的に停止した後、出力電圧が目標電圧を跨ぐまでPFM制御の再開を保留して停止期間を確保することにより、間欠制御における動作効率の低下を抑制することができる。
【0070】
本開示の第5の実施態様は、PFM制御されるスイッチング素子及び共振回路により一定の目標電圧を出力するスイッチング電源装置の制御方法であって、前記目標電圧として出力される出力電圧を前記PFM制御の変調周波数に変換し、前記変調周波数に基づいて前記スイッチング素子を前記PFM制御で駆動し、前記変調周波数及び前記出力電圧が共に増加した場合に、前記PFM制御を間欠制御する、スイッチング電源装置の制御方法である。
【0071】
第5の実施態様に係るスイッチング電源装置の制御方法は、共振回路を介して一定の出力電圧を供給する電圧変換部のPFM制御において、当該出力電圧とPFM制御の変調周波数とが共に増加した場合に、当該PFM制御の停止と再会を繰り返す間欠制御を行う。これによりスイッチング電源装置の制御方法によれば、例えば軽負荷状態又は無負荷状態により変調周波数の調整だけでは出力電圧の上昇を抑制することができない場合であっても、所定の電圧範囲内で出力電圧を制御することができる。このとき、スイッチング電源装置は、出力電圧の上昇のみならず変調周波数の上昇も併せて監視することにより、出力電圧の上昇が負荷電流の低下又は内部故障等のいずれに起因するかを判断することができるため、内部故障時の適切なラッチオフを妨げることなく、負荷電流の低下を適切に見極めて出力電圧の上昇を低コストで抑制することができる。
【0072】
本開示の第6の実施態様は、上記した第5の実施態様において、前記変調周波数は、前記PFM制御の上限周波数よりも低く設定される所定の第1周波数閾値に達した場合に増加と判定され、前記出力電圧は、前記変調周波数が前記上限周波数である場合の電圧よりも低く設定される所定の第1出力電圧閾値に達した場合に増加と判定される、スイッチング電源装置の制御方法である。
【0073】
第6の実施態様によれば、負荷電流が低下した場合に、変調周波数がPFM制御の上限周波数に達する前に間欠制御が開始されるよう、変調周波数及び出力電圧の増加を検出する閾値が設定されているため、出力上昇の制御が可能な段階で確実に出力電圧を抑制することができる。
【0074】
本開示の第7の実施態様は、上記した第6の実施態様において、前記間欠制御の開始時において、前記出力電圧が前記第1出力電圧閾値に達するよりも前に、前記変調周波数が前記第1周波数閾値に達するよう設定される、スイッチング電源装置の制御方法である。
【0075】
第7の実施態様によれば、負荷電流が低下した場合に、先に変調周波数が第1周波数閾値に達し、その後に出力電圧が第1出力電圧閾値に達した時点でPFM制御の間欠制御が開始されるため、当該間欠制御における出力電圧を任意に設定した電圧範囲に制限することができる。
【0076】
本開示の第8の実施態様は、上記した第5乃至7のいずれかの実施態様において、前記出力電圧が前記目標電圧よりも低い所定の第2出力電圧閾値に低下した場合に前記PFM制御を再開する、スイッチング電源装置の制御方法である。
【0077】
第8の実施態様によれば、PFM制御の間欠動作において、PFM制御を一時的に停止した後、出力電圧が目標電圧を跨ぐまでPFM制御の再開を保留して停止期間を確保することにより、間欠制御における動作効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 スイッチング電源装置
2 電圧変換部
3 帰還回路
4 周波数制御部
5 駆動回路
6 出力電圧検出部
7 過電圧保護回路
8 間欠制御回路
8a 電圧上昇検出回路
8b 周波数上昇検出回路
8c 発振停止回路
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
Tr トランス
Lr 共振コイル
Cr 共振コンデンサ
Dv 電圧判定ダイオード
Df 周波数判定ダイオード
AMP1、AMPv 第1アンプ、出力アンプ
CP2~CP5 第2コンパレータ~第5コンパレータ
Ref1~Ref5 第1基準電圧~第5基準電圧
R1~R6 第1抵抗器~第6抵抗器