(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093858
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】コントローラおよびIOモジュール
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20230628BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20230628BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
H02J50/12
H02J50/40
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208967
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄三
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】現場での設置作業や製造時の検査を容易にする。
【解決手段】コントローラ1は、IOモジュール2-1~2-3への給電とIOモジュール2-1~2-3との通信をワイヤレスで行うワイヤレス受給電通信部10を備える。IOモジュール2-1~2-3は、コントローラ1または他のIOモジュールからの受電と、コントローラ1または他のIOモジュールとの通信を、ワイヤレスで行うワイヤレス受給電通信部20-1と、ワイヤレス受給電通信部20-1から電力供給を受けて、他のIOモジュールへの給電と他のIOモジュールとの通信を、ワイヤレスで行うワイヤレス受給電通信部20-2とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムのIOモジュールと組み合わせて使用されるコントローラにおいて、
前記IOモジュールへの給電と前記IOモジュールとの通信をワイヤレスで行うように構成されたワイヤレス受給電通信部と、
前記IOモジュールに接続された機器の制御のための制御部とを備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
請求項1記載のコントローラにおいて、
前記ワイヤレス受給電通信部を複数備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項3】
制御システムのコントローラと組み合わせて使用されるIOモジュールにおいて、
前記コントローラまたは他のIOモジュールからの受電と、前記コントローラまたは他のIOモジュールとの通信を、ワイヤレスで行うように構成された第1のワイヤレス受給電通信部と、
前記第1のワイヤレス受給電通信部から電力供給を受けて、他のIOモジュールへの給電と他のIOモジュールとの通信を、ワイヤレスで行うように構成された第2のワイヤレス受給電通信部と、
自装置と接続された機器との通信のための入出力部とを備えることを特徴とするIOモジュール。
【請求項4】
請求項3記載のIOモジュールにおいて、
2次電池と、
自装置内の消費電流が電流閾値以下の場合に、前記第1のワイヤレス受給電通信部から電力供給を受けて前記2次電池を充電するように構成された充電部と、
前記第1のワイヤレス受給電通信部から供給される電圧が停電閾値以下の場合に、停電検出信号を出力するように構成された停電検出部と、
前記停電検出信号が出力されていないときは、前記第1のワイヤレス受給電通信部が受電した電力を前記入出力部と前記第2のワイヤレス受給電通信部とに供給し、前記停電検出信号が出力されたときは、前記2次電池から供給される電力を前記入出力部と前記第1、第2のワイヤレス受給電通信部とに供給するように構成された電源切替部とをさらに備えることを特徴とするIOモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラとIOモジュールとを組み合わせて構成される制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調制御用コントローラやPLC(Programmable Logic Controller)は、電源およびメイン制御部を含む本体と、IO(Input Output)等を担当するIOモジュールとが結合されて空調装置等を制御している(特許文献1参照)。
【0003】
IOモジュールには、信号の種類によってAIO(Analog Input Output),DIO(Digital Input Output)など数種類が存在し、センサーやリレー等が接続され、センサーやリレー等から入力される情報を基に本体が空調装置等を制御している。これらIOモジュールは、本体と電線あるいはコネクタを介して結合され、本体からの電源供給と、本体との間での信号のやりとりが行われている。
【0004】
従来の構成では、
図4に示すように、コントローラ100とIOモジュール101との間、およびIOモジュール101間をそれぞれコネクタ102で連結する必要があった。あるいは、
図5に示すように、コントローラ100とIOモジュール101との間、およびIOモジュール101間を信号ケーブル103で連結する必要があった。さらに、
図5に示すように、コントローラ100とIOモジュール101との間、およびIOモジュール101間を電源線104で連結するか、コントローラ100と各IOモジュール101にそれぞれ電源線を接続する必要があった。このため、従来の構成では、現場での結線作業や製造時の検査工程に時間がかかるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、現場での設置作業や製造時の検査を容易に行うことができるコントローラおよびIOモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、制御システムのIOモジュールと組み合わせて使用されるコントローラにおいて、前記IOモジュールへの給電と前記IOモジュールとの通信をワイヤレスで行うように構成されたワイヤレス受給電通信部と、前記IOモジュールに接続された機器の制御のための制御部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のコントローラの1構成例は、前記ワイヤレス受給電通信部を複数備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明は、制御システムのコントローラと組み合わせて使用されるIOモジュールにおいて、前記コントローラまたは他のIOモジュールからの受電と、前記コントローラまたは他のIOモジュールとの通信を、ワイヤレスで行うように構成された第1のワイヤレス受給電通信部と、前記第1のワイヤレス受給電通信部から電力供給を受けて、他のIOモジュールへの給電と他のIOモジュールとの通信を、ワイヤレスで行うように構成された第2のワイヤレス受給電通信部と、自装置と接続された機器との通信のための入出力部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明のIOモジュールの1構成例は、2次電池と、自装置内の消費電流が電流閾値以下の場合に、前記第1のワイヤレス受給電通信部から電力供給を受けて前記2次電池を充電するように構成された充電部と、前記第1のワイヤレス受給電通信部から供給される電圧が停電閾値以下の場合に、停電検出信号を出力するように構成された停電検出部と、前記停電検出信号が出力されていないときは、前記第1のワイヤレス受給電通信部が受電した電力を前記入出力部と前記第2のワイヤレス受給電通信部とに供給し、前記停電検出信号が出力されたときは、前記2次電池から供給される電力を前記入出力部と前記第1、第2のワイヤレス受給電通信部とに供給するように構成された電源切替部とをさらに備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コントローラとIOモジュールにワイヤレス受給電通信部を実装することで、コントローラとIOモジュールとの間、およびIOモジュール間でワイヤレスで給電と通信とを行い、自由にIOモジュールを増設することができる。本発明では、現場での盤内の設置が容易になるばかりでなく、製造時の検査工程においても電源線、信号線を接続することなく検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施例に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施例に係る制御システムの他の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施例に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、従来のコントローラとIOモジュールの接続形態の1例を示す図である。
【
図5】
図5は、従来のコントローラとIOモジュールの接続形態の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[発明の原理]
本発明は、コントローラとIOモジュールのそれぞれにワイヤレス受給電通信部を実装することで、コントローラとIOモジュールとの間、およびIOモジュール間でワイヤレスで給電と通信とを行い、自由にIOモジュールを増設することができることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、現場での盤内の設置が容易になるばかりでなく、製造時の検査工程においても電源線、信号線を接続することなく検査を行うことができる。本発明では、ワイヤレス受給電通信部を2セット、IOモジュールに搭載することで、コントローラまたは他のIOモジュールから電力と信号をワイヤレスで受け取り、さらに別のIOモジュールに電力と信号をワイヤレスで伝達することが可能となる。
【0013】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る制御システムの構成を示すブロック図である。制御システムは、コントローラ1と、入出力機器(センサ、圧力計、流量計、スイッチ、表示器、バルブ又はポンプ等)とのインタフェース処理を行うIOモジュール2-1~2-3とを備えている。
【0014】
コントローラ1は、現場に設置された入力機器(センサ、圧力計、流量計等)からの入力信号をIOモジュール2-1~2-3を介して収集し、この入力信号を基に制御演算を実行する。そして、コントローラ1は、現場に設置された出力機器(スイッチ、表示器、バルブ又はポンプ等)へIOモジュール2-1~2-3を介して制御信号を出力する。こうして、データ収集及び制御が行われる。
本実施例の制御システムは、例えば建物の空調設備の制御や、熱源設備の制御など、様々な対象の制御に適用が可能である。
【0015】
コントローラ1は、ワイヤレス受給電通信部10と、制御部11とを備えている。各IOモジュール2-1~2-3は、ワイヤレス受給電通信部20-1,20-2と、入出力部21とを備えている。
【0016】
コントローラ1のワイヤレス受給電通信部10と制御部11とは、外部から電源線で供給される電力によって動作する。ワイヤレス受給電通信部10は、隣接するIOモジュール2-1~2-3への給電と隣接するIOモジュール2-1~2-3との通信をワイヤレスで行い、制御部11との通信を有線で行う。
【0017】
制御部11は、ワイヤレス受給電通信部10を介してIOモジュール2-1~2-3から受信した入力信号に基づいて制御演算を行い、演算結果の制御信号をワイヤレス受給電通信部10を介してIOモジュール2-1~2-3へ送信する。
【0018】
各IOモジュール2-1~2-3のワイヤレス受給電通信部20-1は、隣接するコントローラ1または隣接する他のIOモジュールからの受電と、隣接するコントローラ1または隣接する他のIOモジュールとの通信をワイヤレスで行う。また、ワイヤレス受給電通信部20-1は、ワイヤレス受給電通信部20-2および入出力部21との通信を有線で行う。
【0019】
各IOモジュール2-1~2-3のワイヤレス受給電通信部20-2は、ワイヤレス受給電通信部20-1から電力供給を受けて、隣接する他のIOモジュールへの給電と、隣接する他のIOモジュールとの通信をワイヤレスで行う。また、ワイヤレス受給電通信部20-2は、ワイヤレス受給電通信部20-1および入出力部21との通信を有線で行う。
【0020】
各IOモジュール2-1~2-3の入出力部21は、ワイヤレス受給電通信部20-1から供給される電力によって動作する。入出力部21は、自装置と接続された入力機器(不図示)から受信した信号をワイヤレス受給電通信部20-1,20-2を介してコントローラ1へ送信し、ワイヤレス受給電通信部20-1,20-2を介してコントローラ1から受信した信号を、自装置と接続された出力機器(不図示)へ送信する。
【0021】
例えばコントローラ1からIOモジュール2-2に信号を送信する場合、コントローラ1の制御部11→コントローラ1のワイヤレス受給電通信部10→IOモジュール2-1のワイヤレス受給電通信部20-1→IOモジュール2-1のワイヤレス受給電通信部20-2→IOモジュール2-2のワイヤレス受給電通信部20-1→IOモジュール2-2の入出力部21という経路で信号が送信される。IOモジュール2-2からコントローラ1に信号を送信する場合には、逆の経路で信号が送信される。
【0022】
ワイヤレス受給電通信部10,20-1,20-2のワイヤレス受給電機能は、例えばQiなどの技術によって実現できる。
また、ワイヤレス受給電通信部10,20-1,20-2のワイヤレス通信機能は、例えばNFC(Near Field Communication)またはBluetooth(登録商標)などの技術によって実現できる。
【0023】
ただし、以上の技術では近距離受給電、近距離通信のため、隣接するコントローラ1とIOモジュール2-1間、または隣接するIOモジュール間でのみ受給電と通信が可能であるが、受給電距離と通信距離が長い技術を採用すれば、
図2に示すようなコントローラ1とIOモジュール2-1~2-7とからなる制御システムのメッシュネットワーク化が可能となり、製品の拡張が可能となる。
【0024】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図3は本発明の第2の実施例に係る制御システムの構成を示すブロック図である。本実施例の制御システムは、コントローラ1aと、IOモジュール2a-1~2a-n(nは1以上の整数)とから構成される。
【0025】
コントローラ1aは、ワイヤレス受給電通信部10-1,10-2と、制御部11とを備えている。
各IOモジュール2a-1~2a-nは、ワイヤレス受給電通信部20-1,20-2と、入出力部21と、充電部22と、2次電池23と、停電検出部24と、電源切替部25とを備えている。
【0026】
各IOモジュール2a-1~2a-nの充電部22は、自装置内の消費電流(ワイヤレス受給電通信部20-2による他のIOモジュールへの給電による消費電流を含む)が所定の電流閾値以下の場合に、ワイヤレス受給電通信部20-1から電力供給を受けて2次電池23を充電する。
【0027】
各IOモジュール2a-1~2a-nの停電検出部24は、ワイヤレス受給電通信部20-1から供給される電圧が所定の停電閾値以下の場合に、停電検出信号を出力する。
【0028】
各IOモジュール2a-1~2a-nの電源切替部25は、停電検出部24から停電検出信号が出力されていないときは、ワイヤレス受給電通信部20-1が受電した電力を入出力部21とワイヤレス受給電通信部20-2とに供給し、停電検出部24から停電検出信号が出力されたときは、2次電池23から供給される電力を入出力部21とワイヤレス受給電通信部20-1,20-2とに供給する。
【0029】
ただし、2次電池23から電源切替部25を介してワイヤレス受給電通信部20-1,20-2に電力を供給する場合には、ワイヤレス受給電通信部20-1,20-2の通信機能部にのみ電力が供給され、ワイヤレス受給電通信部20-1,20-2のワイヤレス受給電機能部には電力が供給されない回路構成となっている。
【0030】
こうして、本実施例では、各IOモジュール2a-1~2a-nが予め2次電池23を充電しておくことにより、ワイヤレス受給電の効率が悪化した場合でも、2次電池23に充電された電力を使用して通信を行うことが可能になる。
【0031】
また、本実施例では、コントローラ1aに、2つのワイヤレス受給電通信部10-1,10-2を実装することで、コントローラ1aの1つのワイヤレス受給電通信部に接続されるIOモジュールの台数を減らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、制御システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1,1a…コントローラ、2-1~2-7,2a-1~2a-n…IOモジュール、10,10-1,10-2,20-1,20-2…ワイヤレス受給電通信部、11…制御部、21…入出力部、22…充電部、23…2次電池、24…停電検出部、25…電源切替部。