(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093869
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】粘着剤及びそれを用いてなる粘着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 153/00 20060101AFI20230628BHJP
A61L 15/58 20060101ALI20230628BHJP
A61L 15/26 20060101ALI20230628BHJP
A61L 15/20 20060101ALI20230628BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230628BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230628BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230628BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230628BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230628BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20230628BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230628BHJP
【FI】
C09J153/00
A61L15/58 311
A61L15/26 110
A61L15/20 110
A61K8/81
A61K8/02
A61K8/31
A61K9/70 401
A61K47/32
A61K47/06
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021208986
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山野 泰彰
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C083
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC18
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4C081AA03
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4C083AC021
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4C083AD021
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4C083DD12
4C083EE05
4J004AA06
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA04
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
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4J004FA09
4J040DA132
4J040DM001
4J040DM011
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA28
4J040KA29
4J040LA01
4J040NA02
(57)【要約】
【課題】 本発明は、人のかかとに貼付する粘着シートの粘着剤層に適用した場合に、適度な粘着性を有し、長時間貼付しても剥がれにくい粘着剤、及びそれを用いてなる粘着シートを提供することを目的とする。
【解決手段】 ポリスチレンブロックとポリオレフィンブロックとを有し、ポリスチレンブロック含有率が10~50質量%、ジブロックの割合が15~60質量%であるスチレン系ブロック共重合体(A)、流動パラフィン(B)、ポリブテン(C)及び軟化点80~130℃である粘着付与樹脂(D)を含み、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量%中、スチレン系ブロック共重合体(A)が5~40質量%、流動パラフィン(B)が10~50質量%、ポリブテン(C)が5~40質量%(B)及び粘着付与樹脂(D)が5~30質量%である粘着剤。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレンブロックとポリオレフィンブロックとを有し、ポリスチレンブロック含有率が10~50質量%、ジブロックの割合が15~60質量%であるスチレン系ブロック共重合体(A)、流動パラフィン(B)、ポリブテン(C)及び軟化点80~130℃である粘着付与樹脂(D)を含み、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量%中、スチレン系ブロック共重合体(A)が5~40質量%、流動パラフィン(B)10~50質量%、ポリブテン(C)が5~40質量%及び粘着付与樹脂(D)が5~30質量%である粘着剤。
【請求項2】
基材上に請求項1に記載の粘着剤から形成された粘着剤層が設けられた粘着シート。
【請求項3】
皮膚用シートである、請求項2に記載の粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着剤に関する。詳しくは、特に人のかかとに貼付する皮膚用シートに好ましく用いられる粘着剤、及びそれを用いてなる粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の適用部位は多岐にわたり、人のかかとにおける、乾燥によるざらつきやひび割れを抑制するための、かかと用の化粧品が流通しており、クリーム状の化粧料やスティック状の化粧製品が従来知られている。
しかしながら、クリーム状やスティック状の製品はべたつきやすく、使用後に裸足で室内を歩いた場合などに適用部位にほこりやごみなどが付着したり、睡眠時に寝具を汚染するなどの問題があった。これらの問題が生じない製品として、基材上に粘着剤層が設けられた化粧シートが上市されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ハイドロゲルと称される、水を含んだポリアクリル酸により粘着剤層が形成されている美白用ゲルシートが開示されている。
また、特許文献2には、スチレン系熱可塑性エラストマーとオイル成分からなる基剤を油性化粧液に浸漬させた美容シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-97217号公報
【特許文献2】特開2012-12374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2に記載されるこれらのシートは粘着性が十分ではなく、かかとに適用した場合、動きの多い部位であるため、使用中に、特に睡眠中に剥がれてしまう虞がある。
本発明は、人のかかとに貼付する粘着シートの粘着剤層に適用した場合に、適度な粘着性を有し、長時間貼付しても剥がれにくい粘着剤、及びそれを用いてなる粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ポリスチレンブロックとポリオレフィンブロックとを有し、ポリスチレンブロック含有率が10~50質量%、ジブロックの割合が15~60質量%であるスチレン系ブロック共重合体(A)、流動パラフィン(B)、ポリブテン(C)及び軟化点80~130℃である粘着付与樹脂(D)を含み、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量%中、スチレン系ブロック共重合体(A)が5~40質量%、流動パラフィン(B)が10~50質量%、ポリブテン(C)が5~40質量%(B)及び粘着付与樹脂(D)が5~30質量%である粘着剤に関する。
【0007】
また、本発明は、基材上に上記の粘着剤から形成された粘着剤層が設けられた粘着シートに関する。
【0008】
さらに、本発明は、皮膚用シートである、上記の粘着シートに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、人のかかとに貼付する粘着シートの粘着剤層に適用した場合に、適度な粘着性を有し、長時間貼付しても剥がれにくい粘着剤、及びそれを用いてなる粘着シートを提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明におけるスチレン系ブロック共重合体(A)について説明する。
スチレン系ブロック共重合体(A)は、ポリスチレンブロックとポリオレフィンブロックとを有するものであり、トリブロック型共重合体(以下、「トリブロック」とも略記する)とジブロック型共重合体(以下、「ジブロック」とも略記する)とがある。
トリブロック型共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」とも略記する)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(以下、「SEBS」とも略記する)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」とも略記する)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(以下、「SEPS」とも略記する)等が挙げられる。
また、ジブロック型共重合体としては、例えば、スチレン-イソプレンブロック共重合体(以下、「SI」とも略記する)等が挙げられる。
【0011】
これらの中でも本発明の粘着シートには、十分な皮膚粘着性及び低皮膚刺激性の両立のほか、皮膚製剤用製品の入手性や取り扱い性の観点から、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体やスチレン-イソプレンブロック共重合体を含む粘着剤が好ましく用いられる。特に、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体とスチレン-イソプレンブロック共重合体との混合物を用いることが、粘着性の観点から好ましい。
【0012】
スチレン系ブロック共重合体(A)はカルボキシル変性されたものであってもよく、さらには、共重合体中のポリスチレンブロックは、スチレンと、α-メチルスチレン等のその他の芳香族系ビニル化合物との共重合部分を含んでいてもよい。さらに、スチレン系ブロック共重合体(A)は、ポリスチレンブロックの比率が共重合体(A)全体の10~50質量%であり、15~30質量%であることが好ましい。ポリスチレンブロックの含有率が10質量%以上であることによって粘着剤層の凝集力を適度に抑制でき、50質量%以下とすることによって粘着剤層の凝集力を大きくすることができる。
【0013】
また、スチレン系ブロック共重合体(A)のジブロックの割合は15~60質量%であり18~50質量%であることが好ましい。15質量%以上であることによって皮膚への密着性が向上する傾向にあり、一方、60質量%以下であることにより粘着剤層の形状を保ち易くなり皮膚に貼付し、剥がした際に皮膚への糊残りが生じ難くなる。
【0014】
またスチレン系ブロック共重合体(A)の200℃-49NにおけるMFRは1.5~45(g/10分)であることが好ましく、7~12(g/10分)がより好ましい。MFRが1.5(g/10分)以上であると、得られる粘着剤層の凝集力を適度に抑制でき皮膚への貼付性を向上できる。MFRが45(g/10分)以下であることによって、塗工し易くなる。スチレン系ブロック共重合体(A)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
なお、本発明におけるMFR値は、JISK7210-1:2014に準拠して測定される値である。
【0015】
本発明においては、スチレン系ブロック共重合体(A)の市販品として、例えば、以下のものが使用可能である。
SBSとしては、タフプレンR(旭化成社製)、SEBSとしては、タフテックH、M(クラレ社製)、SISとしては「KRATOND1111」、「KRATOND1163」、「KRATOND1113」、「KRATOND1119」(以上クレイトン・ポリマーズ社製)、「JSR SIS5002」、「JSR SIS5229」、「JSR SIS5403」「JSR SIS5505」(以上、JSR社製)、「Quintac3421」、「Quintac3433N」、「Quintac3520 」、「Quintac3450 」、「Quintac3270 」(以上、日本ゼオン社製)、SEPSとしてはSEPTON2002、SEPTON2004F、SEPTON2005、SEPTON2006、SEPTON2063(以上、クラレ社製)、SEPTON4044、SEEPSとしてはSEPTON4033、SEPTON4055(以上、クラレ社製)等が挙げられる。
これらの市販品は通常、トリブロックとジブロックとの混合物である。
【0016】
スチレン系ブロック共重合体(A)、流動パラフィン(B)、ポリブテン(C)及び粘着付与樹脂(D)の合計100質量%中、スチレン系ブロック共重合体(A)の割合は5~40質量%であり、20~30質量%であることが好ましい。スチレン系ブロック共重合体(A)が5質量%以上であると粘着剤の塗液粘度を適度に高くでき、十分な厚みの粘着剤層を基材上に形成し易くなる。スチレン系ブロック共重合体(A)が40質量%以下であることによって、肌への密着性が向上する。配合量が前記範囲内にあることで得られる粘着剤層の凝集力が向上し、かかと用途に適したシートになる。
【0017】
流動パラフィン(B)は、日本薬局方において粘度の大小によって分類されており、37.8℃におけるウベローデ型粘度計を用いた粘度試験において37mm2/sが境界となっている。37mm2/s未満のものは「軽質流動パラフィン(B)」と称され、一方、37mm2/s以上のものは、本発明においては便宜上「重質流動パラフィン(B)」と表記する。 本発明においては、かかとに貼付するため、密着性を強める観点から「重質流動パラフィン(B)」を使用することが好ましい。
【0018】
スチレン系ブロック共重合体(A)、流動パラフィン(B)、ポリブテン(C)及び粘着付与樹脂(D)の合計100質量%中、流動パラフィン(B)の割合は10~50質量%であり、15~35質量%であることが好ましい。
流動パラフィン(B)が10質量%以上であると、皮膚に対する粘着剤層の密着性を適度に低下することができ、剥がす際に粘着剤層が皮膚に残りにくくなり、50質量%以下にすることによって、かかとの皮膚に対する粘着剤層の密着性を確保でき、また粘着剤の塗液粘度を塗工に適した範囲にでき、粘着シートの作製が安定する。
【0019】
ポリブテン(C)は、イソブテンを主体として一部ノルマルブテンが反応した長鎖状炭化水素の分子構造を持った共重合物であり、粘稠な物質で、本発明において可塑性と皮膚への密着性を付与するために添加される。本発明で使用するポリブテン(C)は数平均分子量が900~2900程度が好ましく、数平均分子量が1400~2000がより好ましい。数平均分子量が900以上であることによって、得られる粘着剤層の弾性を適度に大きくでき、粘着シートを剥がす際、皮膚に粘着剤が残りにくくなる。数平均分子量が2900以下であることによって、得られる粘着剤層の弾性を適度に低下でき、粘着剤層の皮膚への密着性が向上する。
【0020】
スチレン系ブロック共重合体(A)、流動パラフィン(B)、ポリブテン(C)及び粘着付与樹脂(D)の合計100質量%中、ポリブテン(C)の割合は5~40質量%であり、15~30質量%であることが好ましい。ポリブテン(C)が5質量%以上であると、得られる粘着剤層の皮膚への密着性を向上させることができ、40質量%以下であると、得られる粘着剤層の皮膚への密着性を適度に制御できかかとへの貼付に好適である。
【0021】
本発明に用いられる粘着付与樹脂(D)の軟化点は80~130℃であり、好ましくは90~115℃である。粘着付与樹脂(D)の軟化点が80℃以上であることによって、凝集力が向上し、剥離の際の粘着剤層の凝集破壊を抑制・防止でき、軟化点が130℃以下であることによって、低温域においても粘着剤層のタックを発現できる。なお、本発明における軟化点とは、JISK6863に規定される方法により求められる温度である。
【0022】
本発明に用いられる粘着付与樹脂(D)としては、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、石油系樹脂等が挙げられ、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂が好ましい。各樹脂はそれぞれ水素添加されたものでも、水素添加されていないものでもよい。また、粘着付与樹脂(D)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0023】
スチレン系ブロック共重合体(A)、流動パラフィン(B)、ポリブテン(C)及び粘着付与樹脂(D)の合計100質量%中、粘着付与樹脂(D)割合は5~30質量%であり、10~25質量%が好ましい。5質量%以上であると、得られる粘着剤層の皮膚への密着性が向上し、30質量%以下であると、得られる粘着剤層の皮膚への密着性を適度に制御でき、かかとへの貼付に好適である。
【0024】
本発明の粘着剤は、スチレン系ブロック共重合体(A)、粘着付与樹脂(D)、流動パラフィン(B)及びポリブテン(C)を混合することにより得ることができる。
【0025】
本発明の粘着剤には、発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、接着昂進防止剤、光安定剤、抗菌剤、消臭剤、香料、保湿剤、吸水剤、電解質塩、清涼化剤、殺菌剤、美白剤、シワ・くすみ防止剤、油分などの添加剤が添加されていても良い。
【0026】
上記の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0027】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。
上記のフェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、より優れたものとなる。
【0028】
上記の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0029】
上記の接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学工業社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。これらの接着昂進防止剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0030】
上記の光安定剤としては、ヒンダードアミン系等の通常使用されるものが挙げられる。
【0031】
上記の抗菌剤としては、ブテナフィン及びその塩等のベンジルアミン系抗菌剤、ビフォナゾール、ネチコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール及びこれらの塩等のイミダゾール系抗菌剤、テルビナフィン及びその塩などのアリルアミン系抗菌剤、アモロルフィン及びその塩等のモルホリン系抗菌剤、リラナフタート、トルナフテート及びトルシクラート等のチオカルバミン酸系抗菌剤、ナイスタチン、トリコマイシン、バリオチン、シッカニン、ピロールニトリン等の抗生物質等の抗菌剤などが挙げられる。さらに熊笹エキス、茶カテキンなども挙げられる。これらの抗菌剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0032】
上記の消臭剤としては、消臭効果を有するものであれば特に限定はないが、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、シトロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類、ピルビン酸エステル類、2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛などが挙げられる。これらの消臭剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0033】
上記の香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β-フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ-ブチルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料などが挙げられる。これらの香料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0034】
上記の保湿剤としては、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、マルチトール、ソルビトール、トレハロースなどの多価アルコール、ピロリドンカルボン酸、乳酸、尿素、アミノ酸などのNMF成分、ヘパリン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、アルギン酸ナトリウム、アロエ、ペクチンなどの多糖類、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、ゼラチン、カゼイン、シルク、小麦プロテイン、ワセリン、大豆プロテイン、DNAなどのペブチド類及びその加水分解物、塩化ナトリウム、海水などのミネラル類、セラミド、コレステロールエステル等が挙げられる。これらの保湿剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記の美白剤としては特に限定されず、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン 誘導体、コウジ酸及びその誘導体、動物胎盤抽出物、植物抽出物等が挙げられる。
【0036】
上記のシワ・くすみ防止剤としては特に限定されず、各種合成ビタミン、天然ビタミン及びそれらの誘導体、アミノ酸及びその誘導体などが使用できる。これらのシワ・くすみ防 止剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記の油分としては、化粧料や美容料の原料として用いられる油分であれば特に限定されず、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、スクワラン、ワセリン、イソパラフィン、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、及び N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、セラミド、コレステロール、フィトステロール、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)等が挙げられる。これらの油分は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
これらの添加剤は、粘着剤層からのブリードアウトを抑制するという点から、(A)、(B)、(C)及び(D)の合計100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは18質量部以下である。
【0039】
本発明の粘着剤は有機溶剤を含んでいても良い。有機溶剤としては、酢酸プロピル、トルエン等が好ましく用いられる。配合量は粘着剤の全量を100質量%としたときに20~50質量%であることが好ましく、より好ましくは30~45質量%である。上記範囲とすることによって塗工性の良好な粘度の粘着剤を得ることができ、目標の厚さの粘着剤層を安定して形成し易くなる。
【0040】
本発明の粘着剤を、基材上に、または剥離シート上に、塗工し、必要に応じて乾燥した後、形成された粘着剤層に剥離シートを、または基材を貼り合わせることにより粘着シートを得ることができる。この粘着シートは皮膚用シートとして好適であり、特に顔への貼付用として好ましく用いることができる。
【0041】
本発明において、基材は特に限定されず、皮膚貼付用粘着シート等に汎用されるものを使用することができる。例えば、コットン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の伸縮性又は非伸縮性の織布又は不織布;
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等のフィルム;
あるいはポリオレフィン、ポリウレタン等の発泡性基材が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、複数種が積層されたものを使用してもよい。
【0042】
粘着剤の塗工には、ロールコーター、ダイコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、コンマコーター、スプレーコーター等の慣用のコーターを用いることができる。
また、前記粘着剤の乾燥は、加熱下にて、40℃~100℃ 程度の温度で行うことが好ましく、使用する溶媒や使用量によって、乾燥温度や乾燥時間を調整すればよい。乾燥後の粘着剤層については、必要とする皮膚密着性等を考慮に入れ単位面積当たりの質量を調整すればよい。皮膚粘着性が得られ、かつ製造可能な範囲としては、乾燥後の粘着剤層が、好ましくは10g/m2~300g/m2であり、より好ましくは20g/m2~250g/m2、さらに好ましくは30g/m2~200g/m2である。
【実施例0043】
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の
一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、例中、特に断りのない限り「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ表すものとする。
【0044】
(製造例)
表1に記載した原料をそれぞれの例に示す組成に従い配合し、酢酸プロピル又はトルエンを加え70℃で均一になるまで撹拌し、粘着剤を得た。
【0045】
粘着剤を、乾燥後塗布量200g/m2になるように剥離シート上にコンマコーターで塗工し100℃で8分間乾燥させた粘着剤層を不織布「EW2010S」(日本バイリーン社製)と貼り合わせ、「不織布/粘着剤層/離型性シート」という構成の剥離シート付きの粘着シートを得、後述する方法従い、皮膚貼付性(睡眠中、起床中)、睡眠後の剥離性、睡眠後の肌の状態、睡眠後の粘着剤層の皮膚への残り方を評価し、結果を表1に示す。
【0046】
[1.睡眠中の皮膚貼付性の評価]
長さ10cm、幅6cmに切り取った剥離シート付きの粘着シートから離型性シートを剥離し、被験者10人の両足のかかとに8時間粘着シートを貼付し、貼付状態について評価した。粘着シートを貼付している間の被験者の行動は睡眠時とした。
[判定基準]
〇:シートは8時間脱落せず、端部のメクレも発生しなかった。
△:シートは8時間脱落しなかったが、端部のメクレが発生した。
×:シートは8時間以内に脱落した。
〇、△を使用可能と判断する。
【0047】
[2.起床中の一般生活下での皮膚貼付性の評価]
長さ10cm、幅6cmに切り取った剥離シート付きの粘着シートから離型性シートを剥離し、被験者10人の両足のかかとに8時間貼付し、貼付状態について評価した。粘着シートを貼付している間の被験者の行動は起床中の一般生活下とした。ここで表記した一般生活下とは自宅で日常生活をしたものとする。
[判定基準]
〇:シートは8時間脱落せず、端部のメクレも発生しなかった。
△:シートは8時間脱落しなかったが、端部のメクレが発生した。
×:シートは8時間以内に脱落した。
〇、△を使用可能と判断する。
【0048】
[3.睡眠後の粘着剤層の剥離性]
上記[1]の評価の後、被験者10人のかかとから粘着シートを剥離した際の感覚について評価した。
[判定基準]
○:剥離時に皮膚を引っ張らない程度の密着感があり、抵抗なく剥離できる。
△:剥離時に若干皮膚を引っ張る程度の密着感があり、抵抗を感じる。
×:剥離時に皮膚を強く引っ張る密着感があるが、痛みは感じない。
××:剥離時に皮膚を強く引っ張り痛みを伴う。
○、△を使用可能と判断する。
【0049】
[4.睡眠後の肌の状態]
上記[3]の評価の後、肌の状態を評価した。
[判定基準]
○:貼付していない部位に比べて、貼付部位は潤っているように感じ、ベタつかない。
△:貼付していない部位に比べて、貼付部位は潤っているが、若干ベタつきを感じる。
×:貼付していない部位に比べて潤っているように感じられず、しかも貼付部位がベタついている。
○、△を使用可能と判断する。
[5.睡眠後の粘着剤層の皮膚への残り方]
【0050】
上記[3]の評価の後、粘着剤層の皮膚への残り方を評価した。粘着シートを貼付している間の被験者の行動は睡眠時とした。
[判定基準]
○:粘着剤層が皮膚へ残らなかった。
×:粘着剤層が凝集破壊を起こし、粘着剤層の一部が皮膚へ残った。
○を使用可能と判断する。
【0051】
【0052】
なお、表1に記載の原料の内容は以下のとおりである。
SIS5505:JSR社製のSIS「JSR SIS5505」、スチレン/イソプレン=16/84(%)、MFR値8.1g/10分〔200℃-49.0N〕、ジブロック含有量50%
SIS5229:JSR社製のSIS「JSR SIS5229」、スチレン/イソプレン=15/85(%)、MFR値9.5g/10分〔200℃-49.0N〕、ジブロック含有量20%
KAYDOL:SONEBONE社製の重質流動パラフィン(B)「KAYDOL」ウベローデ型粘度76.3mm2/s(37.8℃)
HV-300F:ENEOS社製「日石ポリブテン(C)HV-300F」数平均分子量1400
YSレジンPX1150N:ヤスハラケミカル社製のテルペン樹脂、「YSレジンPX1150N」、軟化点115℃
KE-311:荒川化学社製のロジン樹脂「KE-311」、軟化点95℃
オパノールB50SF:BASF社製ポリイソブチレン「オパノールB50SF」粘度平均分子量400,000