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特開2023-93927点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法
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  • 特開-点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093927
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/38 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
G01N33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209070
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 亮一
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわちコンクリート用粗骨材として利用する材料に対して実際に点載荷強さ試験を行うことなくその点載荷強さを推定することができる点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法を提供することである。
【解決手段】本願発明の点載荷強さ推定装置は、固化体を粉砕して得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを推定する装置であって、点載荷強さ推定式を記憶する推定式記憶手段と、固化体の圧縮強度をオペレータが入力する圧縮強度入力手段、点載荷強さ算出手段を備えたものである。点載荷強さ推定式は、2以上の種類の試験体の圧縮強度試験で得られた圧縮強度を説明変数、それぞれ試験体から得られる試験用砕材の点載荷強さ試験で得られた点載荷強さを目的変数とする回帰分析を行うことで設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化体を粉砕して得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを推定する装置であって、
点載荷強さ推定式を記憶する推定式記憶手段と、
前記固化体の圧縮強度を、オペレータが入力する圧縮強度入力手段と、
前記推定式記憶手段から読み出した前記点載荷強さ推定式と、前記圧縮強度入力手段によって入力された前記固化体の圧縮強度と、によって、該固化体を粉砕して得られる前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを求める点載荷強さ算出手段と、を備え、
前記点載荷強さ推定式は、2以上の種類の試験用の前記固化体に対して圧縮強度試験を行って得られた圧縮強度を説明変数とし、それぞれの試験用の該固化体から得られる試験用の前記コンクリート骨材用破砕材に対して点載荷強さ試験を行って得られる点載荷強さを目的変数とする回帰分析を実行することによって設定される、
ことを特徴とする点載荷強さ推定装置。
【請求項2】
適用範囲テーブルを記憶する適用範囲記憶手段と、
前記点載荷強さ算出手段によって算出された前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さと、前記適用範囲記憶手段から読み出した前記適用範囲テーブルと、によって該コンクリート骨材用破砕材を配合して得られるコンクリートの圧縮強度を推定するコンクリート強度推定手段と、をさらに備え、
前記適用範囲テーブルは、コンクリートの目標圧縮強度を2以上の範囲に分けた圧縮強度レンジごとに、該圧縮強度レンジに係る目標圧縮強度を実現し得る前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さをそれぞれ対応させることによって設定される、
ことを特徴とする請求項1記載の点載荷強さ推定装置。
【請求項3】
固化体を粉砕して得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを推定する方法であって、
点載荷強さ推定式を設定する推定式設定工程と、
前記固化体に対して圧縮強度試験を行う圧縮強度取得工程と、
前記推定式設定工程で設定された前記点載荷強さ推定式と、前記圧縮強度取得工程で取得された前記固化体の圧縮強度と、によって、該固化体を粉砕して得られる前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを求める点載荷強さ算出工程と、を備え、
前記推定式設定工程は、
2以上の種類の試験用の前記固化体に対して圧縮強度試験を行う圧縮試験工程と、
それぞれの試験用の前記固化体を粉砕する試験用粉砕工程と、
前記試験用粉砕工程によって得られるそれぞれの試験用の前記コンクリート骨材用破砕材に対して点載荷強さ試験を行う点載荷強さ試験工程と、を有し、
さらに前記推定式設定工程では、前記圧縮試験工程によって得られる2以上の圧縮強度を説明変数とし、前記点載荷強さ試験工程によって得られるそれぞれの点載荷強さを目的変数とする回帰分析を実行することによって、前記点載荷強さ推定式を設定する、
ことを特徴とする点載荷強さ推定方法。
【請求項4】
前記圧縮試験工程では、自然岩石の前記固化体、及びセメント系硬化体の該固化体に対して圧縮強度試験を行い、
前記試験用粉砕工程では、前記自然岩石の前記固化体、及び前記セメント系硬化体の該固化体を粉砕し、
前記推定式設定工程では、前記自然岩石の前記固化体から得られる前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さ、及び前記セメント系硬化体の該固化体から得られる該コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さ、を算出可能な前記点載荷強さ推定式を設定する、
ことを特徴とする請求項3記載の点載荷強さ推定方法。
【請求項5】
前記圧縮試験工程では、セメント系硬化体の前記固化体に対して圧縮強度試験を行い、
前記試験用粉砕工程では、前記セメント系硬化体の前記固化体を粉砕し、
前記推定式設定工程では、前記セメント系硬化体の前記固化体から得られる前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強を、算出可能な前記点載荷強さ推定式を設定する、
ことを特徴とする請求項3記載の点載荷強さ推定方法。
【請求項6】
前記セメント系硬化体は、水、セメント、石炭灰、及び石膏からなる混錬物が硬化して形成される、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の点載荷強さ推定方法。
【請求項7】
水、セメント、石炭灰、及び石膏からなる混錬物を硬化させた前記固化体を生成する固化体生成工程と、
前記固化体生成工程で得られた前記固化体を粉砕する固化体粉砕工程と、
セメントと、水と、前記固化体粉砕工程で得られた前記コンクリート骨材用破砕材と、を含んで配合されたコンクリートを生成するコンクリート生成工程と、をさらに備え、
前記圧縮強度取得工程では、前記固化体生成工程で得られた前記固化体に対して圧縮強度試験を行い、
前記点載荷強さ算出工程では、前記固化体粉砕工程で得られる前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを求める、
ことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の点載荷強さ推定方法。
【請求項8】
前記点載荷強さ算出工程で得られた前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さと、適用範囲テーブルと、によって前記コンクリート生成工程で得られるコンクリートの圧縮強度を推定するコンクリート強度推定工程を、さらに備え、
前記適用範囲テーブルは、コンクリートの目標圧縮強度を2以上の範囲に分けた圧縮強度レンジごとに、該圧縮強度レンジに係る目標圧縮強度を実現し得る前記コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さをそれぞれ対応させることによって設定される、
ことを特徴とする請求項7記載の点載荷強さ推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、コンクリート用の骨材に関する技術であり、より具体的には、コンクリートに配合しようとする材料の物理特性(特に、点載荷強さ)を推定することができる点載荷強さ推定装置と点載荷強さ推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは鋼材とともに最も重要な建設材料のひとつであり、ダム、トンネル、橋梁といった土木構造物や、集合住宅、オフィスビルなどの建築構造物をはじめ、様々な構造物に用いられている。このコンクリート構造物は、あらかじめ工場等で製作されて所定の場所まで運搬されることもあるが、土木構造物や建築構造物など比較的規模が大きな構造物を構築する場合、所定の場所(現場)で直接構築されることが多い。いずれにしろ、まだ固まらない状態のコンクリート(フレッシュコンクリート)を型枠の中に投入し、コンクリートの硬化を待って型枠を外すことでコンクリート構造物は構築される。
【0003】
フレッシュコンクリートは、セメントと水、骨材(細骨材と粗骨材)、混和材や混和剤を練り混ぜることで生成される。このうちセメントは、フレッシュコンクリートの施工性(ワーカビリチー)や、硬化後のコンクリートの強度、耐久性などに多大な影響を与える重要な材料である。一方、セメントがコンクリート全体の容積に占める割合は一般的に10%程度であり、これに対して骨材はおよそ70%を占める。したがって、骨材もやはりコンクリートの性状に対して大きな影響を与える材料といえる。
【0004】
コンクリート用の骨材は、粒径5mm未満の細骨材(通常は砂)と、粒径5mm以上の粗骨材に大別され、このうち粗骨材はセメントとともに硬化後のコンクリートの圧縮強度に細骨材よりも多くの影響を与えることが知られている。換言すれば、粗骨材はコンクリートの強度を決定するための重要な材料であり、そのため「コンクリート標準示方書[施工編](公益社団法人土木学会)」やJISA5308でもコンクリートに配合する粗骨材に対して絶対密度や吸水率、安定性、すり減へり減量といった物理性状で規定している。また、通常の粗骨材は川砂利や砕石が利用されるが、特別な材料がコンクリート用の粗骨材として利用されるときは、候補となる材料に対して「点載荷強さ」や「破砕値」を確認するための試験が行われることもある。
【0005】
ところで、川砂利をはじめとする良質な粗骨材の調達が難しくなったといわれて久しい。もちろん、今後も良質な粗骨材が得られる展望を期待することも難しい。そこで、まだ本格化はしていないものの、新たに採取される川砂利や砕石以外の材料を粗骨材として利用する取り組みも徐々に進められているところである。例えば特許文献1では、老朽化するコンクリート構造物の取り壊しに伴って多くのコンクリート塊が発生していることを背景とし、その取り壊されたコンクリート塊から取り出した粗骨材をいわゆる再生粗骨材として利用する技術について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-151536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で開示される技術によれば、原粗骨材の欠損を抑制しつつ、モルタルが付着しない粗骨材を得ることができる。しかしながら特許文献1の技術は、当然ながら既に完成したコンクリート(しかも、粗骨材を含む)が必要であり、換言すれば粗骨材を取り出すためのいわば原材料となるコンクリート(以下、便宜上「原料コンクリート」という。)を調達する必要がある。そのため、既設コンクリート構造物を取り壊して原料コンクリートを獲得することが求められ、また得られた原料コンクリートを使用場所まで輸送しなければならない。さらに、特許文献1の技術によって再生骨材を得るためには、原料コンクリートを篩にかけたうえで、凍結融解処理を繰り返すという一連の作業も必要となる。このように、再生骨材を得るまでには多くの作業が強いられ、すなわち多くの労力と時間、コストを要することとなり、しかも既にある材料(粗骨材)を繰り返し使用することから大幅な需要の増大には応えられないといった問題を抱えていた。
【0008】
既にある原料コンクリートから取り出した粗骨材を利用しないとすれば、一般的な川砂利や砕石とは異なる新たな材料、あるいはこれまであまり利用されなかった材料(例えば、従来材料よりも著しく高強度な砕石など)をコンクリート用の粗骨材として利用することが考えられる。ところが、このような材料は、上記したとおり「点載荷強さ」を確認するための試験が求められることが多い。この点載荷強さ試験は、試験結果にバラツキが生じやすいことが知られており、そのため様々な形状や大きさ(粒度)の試験体を用意する必要があり、しかもそれぞれ多数の試験体で試験を行わなければならない。
【0009】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわちコンクリート用粗骨材として利用する材料に対して実際に点載荷強さ試験を行うことなくその点載荷強さを推定することができる点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、事前に試験を行うことによって点載荷強さ推定式を設定し、この点載荷強さ推定式と、コンクリート骨材用破砕材の原材料である固化体の圧縮強度とに基づいてコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを推定する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
【0011】
本願発明の点載荷強さ推定装置は、固化体を粉砕して得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを推定する装置であって、点載荷強さ推定式を記憶する推定式記憶手段と、固化体の圧縮強度をオペレータが入力する圧縮強度入力手段、点載荷強さ算出手段を備えたものである。この点載荷強さ算出手段は、推定式記憶手段から読み出した点載荷強さ推定式と、圧縮強度入力手段によって入力された固化体の圧縮強度と、によって固化体を粉砕して得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを求める手段である。なお点載荷強さ推定式は、2以上の種類の試験用の固化体に対して圧縮強度試験を行って得られた圧縮強度を説明変数とし、それぞれの試験用の固化体から得られる試験用のコンクリート骨材用破砕材に対して点載荷強さ試験を行って得られる点載荷強さを目的変数とする回帰分析を実行することによって設定される。
【0012】
本願発明の点載荷強さ推定装置は、適用範囲テーブルを記憶する適用範囲記憶手段とコンクリート強度推定手段をさらに備えたものとすることもできる。このコンクリート強度推定手段は、点載荷強さ算出手段によって算出されたコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さと、適用範囲記憶手段から読み出した適用範囲テーブルと、によってコンクリート骨材用破砕材を配合して得られるコンクリートの圧縮強度を推定する手段である。なお適用範囲テーブルは、コンクリートの目標圧縮強度を2以上の範囲に分けた圧縮強度レンジごとに、圧縮強度レンジに係る目標圧縮強度を実現し得るコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さをそれぞれ対応させることによって設定される。
【0013】
本願発明の点載荷強さ推定方法は、固化体を粉砕して得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを推定する方法であって、点載荷強さ推定式を設定する推定式設定工程と、固化体に対して圧縮強度試験を行う圧縮強度取得工程、点載荷強さ算出工程を備えた方法である。この点載荷強さ算出工程では、推定式設定工程で設定された点載荷強さ推定式と、圧縮強度取得工程で取得された固化体の圧縮強度と、によって固化体を粉砕して得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを求める。なお推定式設定工程は、2以上の種類の試験用の固化体に対して圧縮強度試験を行う圧縮試験工程と、それぞれの試験用の固化体を粉砕する試験用粉砕工程、試験用粉砕工程によって得られるそれぞれの試験用のコンクリート骨材用破砕材に対して点載荷強さ試験を行う点載荷強さ試験工程が含まれる。また推定式設定工程では、圧縮試験工程によって得られる2以上の圧縮強度を説明変数とし、点載荷強さ試験工程によって得られるそれぞれの点載荷強さを目的変数とする回帰分析を実行することによって、点載荷強さ推定式を設定する。
【0014】
本願発明の点載荷強さ推定方法は、自然岩石のコア試験体(固化体)とセメント系硬化体の固化体に対して圧縮強度試験を行う方法とすることもできる。この場合、試験用粉砕工程では、自然岩石の固化体とセメント系硬化体のコア試験体をそれぞれ粉砕し、また推定式設定工程では、自然岩石のコア試験体から得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さと、セメント系硬化体の固化体から得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さと、を算出することができる点載荷強さ推定式を設定する。
【0015】
本願発明の点載荷強さ推定方法は、セメント系硬化体の固化体に対して圧縮強度試験を行う方法とすることもできる。この場合、試験用粉砕工程では、セメント系硬化体の固化体を粉砕し、また推定式設定工程では、セメント系硬化体の固化体から得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを算出することができる点載荷強さ推定式を設定する。
【0016】
本願発明の点載荷強さ推定方法は、水とセメント、石炭灰、石膏からなる混錬物が硬化して形成されるセメント系硬化体を使用する方法とすることもできる。
【0017】
本願発明の点載荷強さ推定方法は、水とセメント、石炭灰、石膏からなる混錬物を硬化させた固化体を生成する固化体生成工程と、固化体生成工程で得られた固化体を粉砕する固化体粉砕工程、セメントと水、固化体粉砕工程で得られたコンクリート骨材用破砕材を含んで配合されたコンクリートを生成するコンクリート生成工程をさらに備えた方法とすることもできる。この場合、圧縮強度取得工程では、固化体生成工程で得られた固化体に対して圧縮強度試験を行い、また点載荷強さ算出工程では、固化体粉砕工程で得られるコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを求める。
【0018】
本願発明の点載荷強さ推定方法は、コンクリート強度推定工程をさらに備えた方法とすることもできる。このコンクリート強度推定工程では、点載荷強さ算出工程で得られたコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さと、適用範囲テーブルと、によってコンクリート生成工程で得られるコンクリートの圧縮強度を推定する。なお適用範囲テーブルは、コンクリートの目標圧縮強度を2以上の範囲に分けた圧縮強度レンジごとに、圧縮強度レンジに係る目標圧縮強度を実現し得るコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さをそれぞれ対応させることによって設定される。
【発明の効果】
【0019】
本願発明の点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法には、次のような効果がある。
(1)比較的実施が容易な圧縮強度試験を行うだけで、コンクリート用粗骨材として利用しようとする材料の点載荷強さを推定することができる。その結果、短時間かつ低コストで点載荷強さを把握することができ、その材料を粗骨材として配合したコンクリートの圧縮強度も併せて推定することができる。
(2)実際に点載荷強さ試験を行うことなくその材料の点載荷強さを推定することができることから、多点数の試験体を用意する手間から解放されるとともに、バラツキなく、つまり誤差が低減されたうえで点載荷強さを推定することができる。
(3)コンクリート(粗骨材を含まない)を粉砕した材料や、従来材料よりも著しく高強度な砕石などの点載荷強さも推定することができる。したがって、将来粗骨材の需要が大幅に増大したとしても、これに応えるだけの粗骨材を提供することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願発明の点載荷強さ推定装置の主な構成を示すブロック図。
図2】点載荷強さ推定式を設定する主な手順の流れを示すフロー図。
図3】点載荷強さ推定装置の主な処理の流れを示すフロー図。
図4】本願発明の点載荷強さ推定方法の主な工程を示すフロー図。
図5】(a)は4種類のセメント系硬化体の配合を示すテーブル図、(b)は試験固化体と各強度との関係を示すテーブル図。
図6】(a)は実験の結果設定された回帰式と4つの実測データ(セメント系破砕材のみ)との相関を示すグラフ図、(b)は実験の結果設定された回帰式と7つの実測データ(セメント系破砕材と自然砕石を含む)との相関を示すグラフ図。
図7】実験の結果設定された適用範囲テーブルを示すテーブル図。
図8】実験の結果設定された適用範囲テーブルを示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願発明の点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法の実施形態の例を図に基づいて説明する。
【0022】
1.点載荷強さ推定装置
はじめに本願発明の点載荷強さ推定装置について詳しく説明する。なお本願発明の点載荷強さ推定方法は、本願発明の点載荷強さ推定装置を用いて破砕材の点載荷強さを推定する方法である。したがって、まずは本願発明の点載荷強さ推定装置について説明し、その後に本願発明の点載荷強さ推定方法について説明することとする。
【0023】
図1は、本願発明の点載荷強さ推定装置100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本願発明の点載荷強さ推定装置100は、圧縮強度入力手段101と点載荷強さ算出手段102、推定式記憶手段105を含んで構成され、さらにコンクリート強度推定手段103や推定式設定手段104、適用範囲記憶手段106などを含んで構成することもできる。
【0024】
点載荷強さ推定装置100を構成する主な要素のうち圧縮強度入力手段101と点載荷強さ算出手段102、コンクリート強度推定手段103、推定式設定手段104は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、マウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを具備するもので、パーソナルコンピュータ(PC)や、iPad(登録商標)といったタブレット型PC、スマートフォンを含む携帯端末などによって構成することができる。
【0025】
推定式記憶手段105や適用範囲記憶手段106は、汎用的コンピュータの記憶装置を利用することもできるし、データベースサーバに構築することもできる。データベースサーバに構築する場合、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由で保存するクラウドサーバとすることもできる。
【0026】
本願発明の点載荷強さ推定装置100は、コンクリートに配合される粗骨材(以下、「コンクリート用粗骨材」という。)の点載荷強さを推定するものであり、特にある程度の大きさの塊(一般的なコンクリート用粗骨材よりも大きな塊状体)である「固化体」を粉砕して得られる材料(以下、「コンクリート骨材用破砕材」という。)の点載荷強さを推定するものである。いわばコンクリート骨材用破砕材の原材料となる固化体は、通常のコンクリート(細骨材や粗骨材を含むコンクリート)の塊状体(例えば、コア試験体)や、骨材が配合されていないコンクリートの塊状体を利用することもできるし、あるいは自然岩石などを利用することもできる。
【0027】
また点載荷強さ推定装置100は、事前に設定される「点載荷強さ推定式」を用いてコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さを推定することを特徴の一つとしている。この点載荷強さ推定式は、固化体の圧縮強度(特に、1軸圧縮強度)と、コンクリート骨材用破砕材の点載荷強さとの関係を表す関数(特に、1次関数)であり、つまり固化体の圧縮強度を入力するとコンクリート骨材用破砕材の点載荷強さが得られる数式である。後述するように点載荷強さ推定式は、試験体としての固化体を粉砕した材料の点載荷強さを用いた解析を行うことで設定される。そこで、試験における固化体を「試験固化体」、実際に使用する固化体を「使用固化体」として区別することとし、同様に、試験固化体を粉砕して得られる材料を「試験破砕材」、使用固化体を粉砕して得られる材料(つまり、コンクリート骨材用破砕材)を「使用破砕材」として区別することとする。
【0028】
以下、点載荷強さ推定装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0029】
(推定式設定手段)
推定式設定手段104は、「点載荷強さ推定式」を設定する手段である。以下、図2を参照しながらこの点載荷強さ推定式を設定する手順について説明する。点載荷強さ推定式は試験を行うことで設定される。そこでまずは、それぞれ圧縮強度(特に、1軸圧縮強度)が異なる複数種類の試験固化体を用意する。既述したように試験固化体は、セメント系材料などを用いて製作する(図2のStep301)こともできるし、自然岩石など既にあるものを利用することもできる。例えば、水とセメント、石灰石、石膏を配合した「アッシュクリート(登録商標)」の硬化体を試験固化体として利用することができる。また、複数種類の試験固化体を用意すると説明したが、セメント系硬化体(例えば、アッシュクリートなど)のみによって試験固化体を用意することもできるし、セメント系硬化体の試験固化体と自然岩石の試験固化体が混在するように用意することもできる。
【0030】
複数種類(図2ではN種類)の試験固化体を用意すると、試験固化体の圧縮強度(特に、1軸圧縮強度)を測定し(図2のStep302)、その後、試験固化体を粉砕して試験破砕材を得る(図2のStep303)。試験破砕材が得られると、その試験破砕材に対して実際に点載荷強さ試験を行うことで点載荷強さを測定する(図2のStep304)。そして、ここまでの一連の手順(図2のStep301~Step304)をN種類の試験固化体について繰り返し行い、すなわちN種類の「試験固化体の圧縮強度,試験破砕材の点載荷強さ」からなる組み合わせを得る。
【0031】
N種類の「試験固化体の圧縮強度,試験破砕材の点載荷強さ」の組み合わせが得られると、「試験固化体の圧縮強度」を説明変数、「試験破砕材の点載荷強さ」を目的とする回帰分析(特に、単回帰分析)を行うことで回帰式を求める(図2のStep305)。この回帰式は、「試験固化体の圧縮強度」と「試験破砕材の点載荷強さ」の関係を表す関数(特に、1次関数)であり、そのまま「使用固化体の圧縮強度」と「使用破砕材の点載荷強さ」の関係を表す関数として適用することができ、すなわち「点載荷強さ推定式」として利用することができるわけである。ここで設定された点載荷強さ推定式は、推定式記憶手段105に記憶される(図1)。
【0032】
(圧縮強度入力手段)
圧縮強度入力手段101は、使用固化体の圧縮強度(特に、1軸圧縮強度)を入力するためにオペレータが使用する手段であり、圧縮強度入力手段101として例えばポインティングデバイス(マウスやタッチパネル、ペンタブレット、タッチパッド、トラックパッド、トラックボールなど)やキーボード等を利用することができる。
【0033】
(点載荷強さ算出手段)
点載荷強さ算出手段102は、使用固化体の圧縮強度に基づいて使用破砕材材の点載荷強さを算出する手段である。より具体的には点載荷強さ算出手段102が、推定式記憶手段105から点載荷強さ推定式を読み出すとともに、圧縮強度入力手段101によって入力された使用固化体の圧縮強度を載荷強さ推定式に入力することによって、その使用固化体から得られる使用破砕材材の点載荷強さを算出する(図1)。
【0034】
(適用範囲記憶手段)
適用範囲記憶手段106は、「適用範囲テーブル」を記憶する手段である。この適用範囲テーブルは、点載荷強さ推定式と同様、試験を行うことで設定される。以下、適用範囲テーブルを設定する手順について説明する。まずは、それぞれ点載荷強さが異なる複数種類の試験破砕材を用意する。このとき、セメント系材料(例えば、アッシュクリートなど)からなる試験固化体を粉砕した試験破砕材や、自然岩石からなる試験固化体を粉砕した試験破砕材を用いることができる。
【0035】
複数種類の試験破砕材を用意すると、その試験破砕材の点載荷強さを把握する。このとき、その試験破砕材に対して実際に点載荷強さ試験を行うことで点載荷強さを測定することもできるし、その試験破砕材の元となる試験固化体の圧縮強度と点載荷強さ推定式とに基づいて点載荷強さを推定することもできる。そして、それぞれ試験破砕材をコンクリート用粗骨材として配合した複数種類のコンクリートを生成し、これらを硬化させて複数種類のテストピースを得る。複数種類のテストピースが得られると、それぞれ試験を行うことで圧縮強度(特に、1軸圧縮強度)を測定し、すなわち複数種類の「試験破砕材の点載荷強さ,テストピースの圧縮強度」の組み合わせを把握する。
【0036】
複数種類の「試験破砕材の点載荷強さ,テストピースの圧縮強度」の組み合わせが得られると、測定されたテストピースの圧縮強度の範囲(最小度~最大強度)を複数段階のレンジ(以下、「圧縮強度レンジ」という。)に分けるとともに、それぞれの圧縮強度レンジに試験破砕材の点載荷強さを対応させることで、試験破砕材の点載荷強さと圧縮強度レンジとの関係を示す対応表、すなわち「適用範囲テーブル」を設定する。この適用範囲テーブルは、試験破砕材の点載荷強さからコンクリートの圧縮強度を推定することができるもので、換言すれば、コンクリートの目標圧縮強度を設定するとそのコンクリートに配合すべき試験破砕材の点載荷強さを示すものである。なお適用範囲テーブルは、圧縮強度レンジに対して試験破砕材の点載荷強さを対応させるとともに、使用固化体の試験破砕材の点載荷強さを対応させたものとすることもできる。ここで設定された適用範囲テーブルは、適用範囲記憶手段106に記憶される(図1)。
【0037】
(コンクリート強度推定手段)
コンクリート強度推定手段103は、使用砕材の点載荷強さ(あるいは、使用固化体の圧縮強度)に基づいて、コンクリート用粗骨材としてその使用破砕材が配合されたコンクリートの圧縮強度を出力する手段である。より具体的にはコンクリート強度推定手段103が、適用範囲記憶手段106から適用範囲テーブルを読み出すとともに、使用砕材の点載荷強さ(あるいは、使用固化体の圧縮強度)と適用範囲テーブルを照らし合わせることによって対応する圧縮強度レンジを出力する(図1)。
【0038】
(処理の流れ)
図3を参照しながら本願発明の点載荷強さ推定装置100を使用したときの主な処理の流れについて説明する。図3は、点載荷強さ推定装置100の主な処理の流れを示すフロー図であり、中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な入力情報を、右列にはその処理から生まれる出力情報を示している。なお、破線で示した処理(図3のStep306~Step308)は、いわば事前準備として実施される工程であり、点載荷強さ推定装置100を直接使用する処理ではない。
【0039】
点載荷強さ推定式を設定するために、まずはそれぞれ圧縮強度が異なる複数種類の試験固化体を製作する(図2のStep301)。既述したとおりこの試験固化体は、骨材が配合された通常のコンクリートによって製作することもできるし、骨材が配合されないセメント系硬化体(例えば、アッシュクリート)によって製作することもできる。あるいは、試験固化体を製作することなく、自然岩石など既にあるものを利用することもできるし、セメント系硬化体の試験固化体と自然岩石の試験固化体が混在するように用意することもできる。数種類(図2ではN種類)の試験固化体を用意すると、試験固化体の圧縮強度を測定し(図2のStep302)、その後、試験固化体を粉砕して試験破砕材を得る(図2のStep303)とともに、試験破砕材の点載荷強さを測定する(図2のStep304)。そして、N種類の「試験固化体の圧縮強度,試験破砕材の点載荷強さ」の組み合わせに基づいて「点載荷強さ推定式」を設定する(図2のStep305)。
【0040】
点載荷強さ推定式が設定されると、図3に示すように実際に使用固化体を製作する(図3のStep306)。この使用固化体も、試験固化体と同様、通常のコンクリートによって製作することもできるし、セメント系硬化体(例えば、アッシュクリート)によって製作することもできる。あるいは、試験固化体を製作することなく、自然岩石など既にあるものを利用することもできる。使用固化体が得られると、使用固化体の圧縮強度を測定し(図3のStep307)、その後、使用固化体を粉砕して使用破砕材を得る(図3のStep308)。
【0041】
そして、オペレータが圧縮強度入力手段101を用いて使用固化体の圧縮強度を入力すると、点載荷強さ算出手段102が使用固化体の点載荷強さを算出し(図3のStep201)、コンクリート強度推定手段103がその使用砕材がコンクリート用粗骨材として配合されたコンクリートの圧縮強度を出力する(図3のStep202)。
【0042】
2.点載荷強さ推定方法
続いて本願発明の点載荷強さ推定方法について図4を参照しながら説明する。なお、本願発明の点載荷強さ推定方法は、ここまで説明した点載荷強さ推定装置100を用いて破砕材の点載荷強さを推定する方法であり、したがって点載荷強さ推定装置100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の点載荷強さ推定方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.点載荷強さ推定装置」で説明したものと同様である。
【0043】
図4は、本願発明の点載荷強さ推定方法の主な工程を示すフロー図である。この図に示すように本願発明の点載荷強さ推定方法は、破線で囲まれた「試験工程」と「コンクリート生成工程」に大別することができる。このうち試験工程は、点載荷強さ推定式を設定する工程である。以下、試験工程について詳しく説明する。
【0044】
既述したとおり、まずはそれぞれ圧縮強度が異なる複数種類の試験固化体を製作し(図4のStep301)、それぞれ試験固化体の圧縮強度を測定する(図4のStep302)。その後、試験固化体を粉砕して試験破砕材を得る(図4のStep303)とともに、試験破砕材の点載荷強さを測定する(図4のStep304)。なお、既述したとおりこの試験固化体は、骨材が配合された通常のコンクリートによって製作することも、骨材が配合されないセメント系硬化体(例えば、アッシュクリート)によって製作することもできるし、あるいは試験固化体を製作することなく自然岩石など既にあるものを利用することもでき、またセメント系硬化体の試験固化体と自然岩石の試験固化体が混在するように用意することができることは既述したとおりである。そして、ここまでの一連の手順(図4のStep301~Step304)を繰り返し行い、複数種類(図4ではN種類)の「試験固化体の圧縮強度,試験破砕材の点載荷強さ」からなる組み合わせを得ると、「点載荷強さ推定式」を設定する(図4のStep305)。
【0045】
点載荷強さ推定式を設定することで試験工程が完了すると、コンクリート生成工程が行われる。このコンクリート生成工程では、図4に示すようにまずは実際に使用固化体を製作する(図4のStep306)。使用固化体が得られると、使用固化体の圧縮強度を測定し(図4のStep307)、その後、使用固化体を粉砕して使用破砕材を得る(図4のStep308)。
【0046】
そして、オペレータが圧縮強度入力手段101を用いて使用固化体の圧縮強度を入力すると、点載荷強さ算出手段102によって使用固化体の点載荷強さが算出され(図4のStep309)、その使用砕材がコンクリート用粗骨材として配合されたコンクリートの圧縮強度がコンクリート強度推定手段103によって出力される。その使用砕材が配合されたコンクリートの圧縮強度が推定できると、計画した(目標とする)コンクリート圧縮強度を実現することができるか否かを判定する(図4のStep310)。実現できると判定した場合、その使用砕材をコンクリート用粗骨材として配合したコンクリートを生成し(図4のStep311)、一方、実現できないと判定した場合は、他の使用固化体を製作したうえで一連の手順(図4のStep301~Step310)を繰り返し行う。
【0047】
3.実験結果
以下、本願発明の実用性を検証するために本願発明の発明者が実施した実験結果について説明する。
【0048】
この実験では、4種類の試験固化体を製作して点載荷強さ推定式を設定した。具体的には、図5(a)に示すように4種類の配合(実施例A~実施例D)でセメント系硬化体(例えば、アッシュクリート)を製作している。そして、それぞれの試験固化体の1軸圧縮強度を測定するとともに、試験固化体から得られた試験破砕材の点載荷強さを測定した。また、ここで得られた試験破砕材を配合したコンクリートのテストピースを製作し、その1軸圧縮強度も測定している。これらの結果を図5(b)に示す。
【0049】
ここまでの処理で、4種類の「試験固化体の圧縮強度,試験破砕材の点載荷強さ」の組み合わせが得られており、これらのデータを用いた回帰分析単回帰分析を行うことで回帰式(つまり、点載荷強さ推定式)を求めた。この回帰式は、図6(a)に示すように4つの実測データとの相関が極めて高いことが認められる。またこれとは別に、上記した4種類のセメント系硬化体に加え、3種類の自然岩石(従来材料よりも高強度な自然岩石)を試験固化体として用いた実験も行った。すなわち、セメント系硬化体の試験固化体から得られた4種類の試験破砕材(図6(b)では、「セメント系破砕材」)と、自然岩石の試験固化体から得られた3種類の試験破砕材(図6(b)では、「自然破砕材」)の7データを用いた回帰式を求めた。この結果得られた回帰式も、やはり図6(b)に示すように7つの実測データとの相関が極めて高いことが認められる。このように、本願発明が十分に実用可能であることが検証された。
【0050】
またこの実験の結果、図7図8に示すように「適用範囲テーブル」を設定することができる。このケースでは、4段階の「圧縮強度レンジ(レンジ1~4)」で分類したうえで、使用固化体の圧縮強度(コア強度)と、使用砕材の点載荷強さ、その使用破砕材を配合したコンクリートの圧縮強度(適用可能強度)の関係が示されている。この適用範囲テーブルを利用することで、例えば38N/mmの圧縮強度が得られるコンクリートを生成しようとする際に、「レンジ3」である4.0~5.5MN/mの点載荷強さを持つ使用破砕材を使用すればよいことが分かり、あるいは52.5~73.4N/mmの1軸圧縮強度を有する使用固化体を粉砕した使用破砕材を使用すればよいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願発明の点載荷強さ推定装置、及び点載荷強さ推定方法は、ダム、トンネル、橋梁といった土木構造物や、集合住宅、オフィスビルなどの建築構造物のほか、様々なコンクリート構造物で利用することができる。本願発明が、川砂利の減少など良質な自然材料の枯渇化という喫緊の課題を解決し得ることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0052】
100 本願発明の点載荷強さ推定装置
101 (点載荷強さ推定装置の)圧縮強度入力手段
102 (点載荷強さ推定装置の)点載荷強さ算出手段
103 (点載荷強さ推定装置の)コンクリート強度推定手段
104 (点載荷強さ推定装置の)推定式設定手段
105 (点載荷強さ推定装置の)推定式記憶手段
106 (点載荷強さ推定装置の)適用範囲記憶手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8