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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093931
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】回転体
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
F16F15/134 Z
F16F15/134 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209076
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】吉川 直孝
(57)【要約】
【課題】エストラマー部材の破損を抑制する。
【解決手段】回転体3は、第1回転部材5と、第2回転部材6と、エラストマー部材8と、第1逃がし空間10とを備える。第1回転部材5は、第1歯53を有する。第2回転部材6は、第1回転部材5と相対回転可能に配置される。第2回転部材6は、第2歯63を有する。第2歯63は、周方向において第1歯53と間隔をあけて対向する。エラストマー部材8は、周方向において第1歯53と対向する。エラストマー部材8は、第2回転部材6とともに回転する。エラストマー部材8は、第2歯63に対して第1歯53側に突出する。第1逃がし空間10は、第2歯63の第1歯53側の端部と、エラストマー部材8との間に形成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1歯を有し、回転可能に配置される第1回転部材と、
周方向において前記第1歯と間隔をあけて対向する第2歯を有し、前記第1回転部材と相対回転可能に配置される第2回転部材と、
周方向において前記第1歯と対向し、前記第2回転部材とともに回転するように配置され、前記第2歯に対して前記第1歯側に突出するエラストマー部材と、
前記第2歯の前記第1歯側の端部と前記エラストマー部材との間に形成される第1逃がし空間と、
を備える回転体。
【請求項2】
前記エラストマー部材は、前記第2歯から離れるように延びる第1テーパ面を有し、
前記第1逃がし空間は、前記第1テーパ面と前記第2歯とによって画定される、
請求項1に記載の回転体。
【請求項3】
前記エラストマー部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記エラストマー部材は、前記支持部材と前記第2歯との間に配置される、
請求項1又は2に記載の回転体。
【請求項4】
第2逃がし空間をさらに備え、
前記エラストマー部材は、第1方向において、前記支持部材と前記第2歯との間に配置され、
前記第2逃がし空間は、前記支持部材と前記エラストマー部材との間に配置され、前記第1方向視において、前記第1逃がし空間と重複する、
請求項3に記載の回転体。
【請求項5】
前記エラストマー部材は、前記支持部材から離れるように延びる第2テーパ面を有し、
前記第2逃がし空間は、前記第2テーパ面と前記支持部材とによって画定される、
請求項4に記載の回転体。
【請求項6】
前記第2逃がし空間は、前記第1逃がし空間よりも大きい、
請求項4又は5に記載の回転体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンパ装置は、入力回転体と、出力回転体とを有している。出力回転体は、ハブと、フランジプレートとに分かれている。ハブ及びフランジプレートはそれぞれ、互いに噛み合う歯を有している。具体的には、ハブは外歯を有し、フランジプレートは内歯を有している。フランジプレートからハブにトルクが伝達される際に、フランジプレートの歯がハブの歯と衝突し、衝突音が発生する。
【0003】
この衝突音を抑制するために、例えば、特許文献1では、出力回転体がゴム部材を有している。このゴム部材は、フランジプレートの歯がハブの歯に当たる前に、ハブの歯に当接する。そして、フランジプレートの歯は、ゴム部材が当たった後に、ハブの歯に当接する。このため、上記衝突音の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新案第203685979号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなダンパ装置では、フランジプレートの歯とハブの歯との間にゴム部材が挟まれて、ゴム部材が破損するおそれがある。そこで、本発明の課題は、エストラマー部材の破損を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある側面に係る回転体は、第1回転部材と、第2回転部材と、エラストマー部材と、第1逃がし空間とを備える。第1回転部材は、第1歯を有する。第1回転部材は、回転可能に配置される。第2回転部材は、第1回転部材と相対回転可能に配置される。第2回転部材は、第2歯を有する。第2歯は、周方向において第1歯と間隔をあけて対向する。エラストマー部材は、周方向において第1歯と対向する。エラストマー部材は、第2回転部材とともに回転するように配置される。エラストマー部材は、第2歯に対して第1歯側に突出する。第1逃がし空間は、第2歯の第1歯側の端部と、エラストマー部材との間に形成される。
【0007】
上述したように構成された回転体は、第2歯の端部とエラストマー部材との間に第1逃がし空間を有している。このため、エラストマー部材のうち第1歯と当接することによって変形した部分は、第1逃がし部分に移動することができる。すなわち、エラストマー部材の変形部分が第1歯と第2歯との間に移動することを抑制することができる。この結果、エラストマー部材が第1歯と第2歯とによって挟まれて破損することを抑制することができる。
【0008】
好ましくは、エラストマー部材は、第2歯から離れるように延びる第1テーパ面を有する。第1逃がし空間は、第1テーパ面と第2歯とによって画定される。
【0009】
好ましくは、回転体は、エラストマー部材を支持する支持部材をさらに備える。エラストマー部材は、支持部材と第2歯との間に配置される。
【0010】
好ましくは、回転体は、第2逃がし空間をさらに備える。エラストマー部材は、第1方向において、支持部材と第2歯との間に配置される。第2逃がし空間は、支持部材とエラストマー部材との間に配置され、第1方向視において、第1逃がし空間と重複する。
【0011】
好ましくは、エラストマー部材は、支持部材から離れるように延びる第2テーパ面を有する。第2逃がし空間は、第2テーパ面と支持部材とによって画定される。
【0012】
好ましくは、第2逃がし空間は、第1逃がし空間よりも大きい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エラストマー部材の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ダンパ装置の正面図。
図2図1のII-II線断面図。
図3】ハブフランジの正面図。
図4図3のIV-IV線断面図。
図5】フランジプレートを取り除いたハブフランジの正面図。
図6】第1及び第2逃がし空間の詳細図。
図7】第1及び第2逃がし空間の詳細図。
図8】変形後のエラストマー部材を示す詳細図。
図9】変形例に係る第1及び第2逃がし空間の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係るハブフランジを有するダンパ装置について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、ハブフランジの回転軸が延びる方向である。また、周方向とは、回転軸を中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸を中心とした円の径方向である。
【0016】
図1及び図2に示すように、ダンパ装置100は、図示しないフライホイールと駆動ユニットの入力シャフトとの間に設けられている。ダンパ装置100は、エンジンの回転変動を減衰するように構成されている。ダンパ装置100は、クラッチディスク1と、入力回転体2と、ハブフランジ3(回転体の一例)と、弾性部材4と、を有している。
【0017】
[クラッチディスク]
クラッチディスク1は、入力回転体2の外周端部に取り付けられている。クラッチディスク1は、環状のクッショニングプレート11と、第1及び第2フェーシングディスク12a、12bと、を有している。クッショニングプレート11は、入力回転体2の外周端部に取り付けられる。詳細には、クッショニングプレート11は、第1入力プレート21の外周端部に取り付けられている。
【0018】
<入力回転体2>
入力回転体2は、回転可能に配置されている。入力回転体2は、第1入力プレート21と第2入力プレート22とを有している。第1入力プレート21及び第2入力プレート22は、ともに中心孔を有する環状の部材である。なお、第1入力プレート21と第2入力プレート22とは実質的に同じ構成である。
【0019】
第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、複数のストップピン23によって、軸方向に所定の間隔をあけて互いに固定されている。したがって、第1入力プレート21と第2入力プレート22とは、軸方向及び回転方向に相対的に移動不能である。
【0020】
第1入力プレート21は、複数の窓部211を有している。各窓部211は周方向に配列されている。窓部211は、第1入力プレート21を切り起こして形成されている。第2入力プレート22は、第1入力プレート21の窓部211と同様の複数の窓部221を有している。
【0021】
<ハブフランジ3>
ハブフランジ3は、入力回転体2からのトルクを出力側の装置に伝達するための部材である。ハブフランジ3は、ハブ5(第1回転部材の一例)と、フランジプレート6(第2回転部材の一例)と、支持部材7と、複数のエラストマー部材8と、複数のコイルばね9を有している。
【0022】
ハブ5は、回転可能に配置されている。ハブ5は、筒状の部材である。詳細には、ハブ5は、筒状部51と、フランジ部52と、複数の第1歯53とを有している。
【0023】
筒状部51は、軸方向に延びている。筒状部51は、第1入力プレート21及び第2入力プレート22の中心孔内に配置されている。筒状部51は、軸方向に延びるスプライン孔511を有している。このスプライン孔511に出力側の部材がスプライン嵌合可能である。例えば、トランスミッションの入力シャフトなどがスプライン嵌合する。
【0024】
フランジ部52は、筒状部51の外周面から径方向外側に延びている。フランジ部52は環状である。フランジ部52は、軸方向において、第1入力プレート21と第2入力プレート22との間に配置されている。
【0025】
図3に示すように、ハブ5は、その外周部に、複数の第1歯53を有している。本実施形態では、ハブ5は、4個の第1歯53を有している。第1歯53は、フランジ部52から径方向外側に突出している。すなわち、第1歯53は外歯である。第1歯53は、周方向に配列されている。
【0026】
ハブ5は、1対の第1収容凹部54を有している。第1収容凹部54は、フランジ部52に形成されている。詳細には、第1収容凹部54は、フランジ部52の外周面から径方向内側に凹んだ部分である。第1収容凹部54は、周方向に延びている。一対の第1収容凹部54は、周方向において、互いに反対側に配置されている。一対の第1収容凹部54の間には、2つの第1歯53が配置されている。
【0027】
図2に示すように、フランジプレート6は、回転可能に配置されている。フランジプレート6は、ハブ5に対して所定の角度範囲内において相対回転可能に配置されている。フランジプレート6は、円板状である。フランジプレート6は、軸方向において、第1入力プレート21と第2入力プレート22との間に配置されている。フランジプレート6は、その中央部において、開口部61を有している。この開口部61内にハブ5が配置されている。すなわち、フランジプレート6は、ハブ5に対して、径方向外側に配置されている。
【0028】
図3に示すように、フランジプレート6は、その外周部において、複数の収容孔62を有している。なお、本実施形態では、フランジプレート6は、その外周部において、4つの収容孔62を有している。各収容孔62は、周方向に配列されている。収容孔62は、周方向に延びている。収容孔62は、フランジプレート6を軸方向に貫通している。収容孔62内には、弾性部材4が収容される。
【0029】
フランジプレート6は、複数の第2歯63を有している。第2歯63は、フランジプレート6の内周面から径方向内側に延びている。すなわち、第2歯63は内歯である。第2歯63は、第1歯53と噛み合うように構成されている。第1歯53と第2歯63とが噛み合うことによって、ハブ5とフランジプレート6との間でトルクが伝達される。
【0030】
第2歯63は、周方向において、第1歯53と間隔をあけて対向している。詳細には、駆動源(例えばエンジン又は電気モータなど)からのトルクが伝達されることによってハブフランジ3が第1回転方向(図3の反時計回り方向)R1に回転する場合、第2歯63は、第1回転方向R1において第1歯53と間隔をあけている。第2歯63は、第1歯53に対して、第2回転方向R2側に配置されている。
【0031】
図4は、図3のIV-IV線断面図である。図4に示すように、第2歯63は、周方向において、第1歯53と対向している。第2歯63は、周方向において、第1歯53と間隔をあけて配置されている。第2歯63の歯幅は、第1歯53の歯幅よりも小さい。なお、各歯53,63の歯幅とは、軸方向の寸法を意味する。
【0032】
図3に示すように、フランジプレート6は、一対の第2収容凹部64を有している。第2収容凹部64は、第1収容凹部54と協働して、コイルばね9を収容している。1対のコイルばね9は、回転軸Oを挟んで互いに反対側に配置されている。一対のコイルばね9は、ハブ5とフランジプレート6とを回転方向に弾性的に連結している。
【0033】
コイルばね9は、周方向に延びている。コイルばね9の一方の端面は、第1収容凹部54の周方向端面と、第2収容凹部64の周方向端面との両方に当接するように配置されている。また、コイルばね9の他方の端面も、第1収容凹部54の周方向端面と、第2収容凹部64の周方向端面との両方に当接するように配置されている。
【0034】
コイルばね9は、例えば、圧縮された状態で配置されている。フランジプレート6の第2歯63がハブ5の第1歯53と当接するまでは、コイルばね9が作動する。なお、コイルばね9は、弾性部材4と比較して、低剛性である。したがって、入力回転体2とハブフランジ3との捩り角度の小さい領域では、コイルばね9が作動し、その作動が停止したあとの捩り角度の大きい領域において、弾性部材4が作動する。
【0035】
図4に示すように、支持部材7は、フランジプレート6に取り付けられている。例えば、支持部材7は、複数の凸部71を有しており、フランジプレート6は、複数の孔65を有している(図3参照)。そして、支持部材7の各凸部がフランジプレート6の孔に嵌合することによって、支持部材7がフランジプレート6に取り付けられている。このため、支持部材7はフランジプレート6と一体的に回転する。
【0036】
図2に示すように、支持部材7は、中央に開口部72を有している。支持部材7の内周面は、ハブ5の筒状部51の外周面と当接している。支持部材7は、軸方向において、第1入力プレート21とフランジプレート6との間に配置されている。
【0037】
図4及び図5に示すように、支持部材7は、外周部73と内周部74とを有している。外周部73は、フランジプレート6と接触している。一方、内周部74は、軸方向において、フランジプレート6と間隔をあけて配置されている。また、内周部74は、軸方向において、第1歯53と隙間をあけて配置されている。
【0038】
支持部材7は、内周部74からフランジプレート6に向かって軸方向に延びる突出部75を有している。
【0039】
エラストマー部材8は、例えば、ゴムによって構成されている。エラストマー部材8は、支持部材7に支持されている。詳細には、エラストマー部材8は、支持部材7の突出部75に取り付けられている。エラストマー部材8は、中央に軸方向に延びる貫通孔が形成されており、この貫通孔内に突出部75が嵌合している。
【0040】
エラストマー部材8は、支持部材7と一体的に回転する。このため、エラストマー部材8は、フランジプレート6と一体的に回転する。エラストマー部材8は、軸方向において、第2歯63と隣り合っている。エラストマー部材8は、第2歯63と接していてもよいし、接していなくてもよい。
【0041】
エラストマー部材8は、軸方向(第1方向の一例)において、支持部材7とフランジプレート6との間に配置されている。詳細には、エラストマー部材8は、支持部材7の内周部74と、フランジプレート6の第2歯63との間に配置されている。
【0042】
エラストマー部材8は、周方向において第1歯53と対向するように配置されている。詳細には、エラストマー部材8は、第1回転方向R1において、第1歯53と間隔をあけて配置されている。なお、エラストマー部材8は、第1歯53と接触していてもよい。
【0043】
エラストマー部材8は、第2歯63に対して、第1歯53側に突出している。すなわち、周方向において、エラストマー部材8と第1歯53との距離は、第2歯63と第1歯53との距離よりも短い。図3に示すように、エラストマー部材8の先端部83は、軸方向視において、第2歯63と重複していない。このため、フランジプレート6が第1回転方向R1に回転すると、第2歯63が第1歯53と接触する前に、エラストマー部材8が第1歯53と接触する。
【0044】
図6は、図4の一部拡大図である。図6に示すように、第2歯63の第1歯53側の端部631、すなわち、第2歯63の第1回転方向R1側の端部631とエラストマー部材8との間には、第1逃がし空間10が形成されている。
【0045】
詳細には、エラストマー部材8は、第1テーパ面81を有している。第1テーパ面81は、軸方向において第2歯63と対向している。第1テーパ面81は、第1歯53に近付くにつれて第2歯63から離れるように延びている。この第1テーパ面81によって、エラストマー部材8は、第1回転方向R1側に向かって徐々に薄くなっている。なお、エラストマー部材8の厚さ方向は、軸方向に沿っている。
【0046】
第1テーパ面81を形成することによって、エラストマー部材8と第2歯63との間に空間が形成される。この第1テーパ面81と第2歯63とによって画定される空間が、第1逃がし空間10である。
【0047】
図7に示すように、第1逃がし空間10は、例えば、エラストマー部材8の先端部83を二等分した部分83aの体積と同じ大きさ、又は、先端部83を二等分した部分83aの体積よりも大きくすることができる。なお、先端部83の二等分した部分83aは、先端部83を軸方向に二等分して出来た2つの部分の内、第2歯63側の部分である。
【0048】
図6に示すように、支持部材7とエラストマー部材8との間に第2逃がし空間20が形成されている。第2逃がし空間20は、軸方向視において、第1逃がし空間10と重複する。
【0049】
詳細には、エラストマー部材8は、第2テーパ面82を有している。第2テーパ面82は、軸方向において、第1テーパ面81と反対側を向いている。第2テーパ面82は、第1歯53に近付くにつれて支持部材7から離れるように延びている。すなわち、第2テーパ面82は、第1回転方向R1側に向かって、第1テーパ面81と徐々に近づくように延びている。この第2テーパ面82によって、エラストマー部材8は、第1回転方向R1側に向かって徐々に薄くなっている。
【0050】
このように第2テーパ面82を形成することによって、エラストマー部材8と支持部材7との間に空間が形成される。この第2テーパ面82と支持部材7とによって画定される空間が第2逃がし空間20である。詳細には、第2逃がし空間20は、第2テーパ面82と支持部材7とによって画定される空間のうち、第2歯63と軸方向視において重複する部分である。
【0051】
図7に示すように、第2逃がし空間20は、エラストマー部材8の先端部83を二等分した部分83bの体積と同じ大きさ、又は、先端部83を二等分した部分83bの体積よりも大きくすることができる。なお、第2逃がし空間20は、第1逃がし空間10よりも大きくてもよいし、第1逃がし空間10と同じ大きさであってもよい。先端部83の二等分した部分83bは、先端部83を軸方向に二等分して出来た2つの部分の内、支持部材7側の部分である。
【0052】
このように構成されたハブフランジ3の動作について説明する。まず、フランジプレート6にトルクが伝達されることで、フランジプレート6は第1回転方向R1に回転する。これにより、エラストマー部材8が第1歯53に当接する。そして、エラストマー部材8に荷重が掛かり、図8に示すように、第1及び第2逃がし空間10,20内を埋めるようにエラストマー部材8が変形する。この結果、第2歯63が第1歯53に当接し、トルクがハブ5に伝達される。そして、エラストマー部材8は変形して第1歯53と第2歯63との間に挟まれることがないため、エラストマー部材8の破損を防止できる。
【0053】
<弾性部材4>
図1に示すように、弾性部材4は、入力回転体2とハブフランジ3とを回転方向に弾性的に連結している。弾性部材4は、例えばコイルスプリングである。弾性部材4はフランジプレート6の収容孔62に収容されている。また、弾性部材4は、第1入力プレート21及び第2入力プレート22の各窓部211,221によって、軸方向及び径方向に支持されている。
【0054】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0055】
(a)上記実施形態では、エラストマー部材8は、支持部材7に支持されているが、これに限定されない。例えば、エラストマー部材8は、フランジプレート6に支持されていてもよい。具体的には、支持部材7に形成された突出部75の代わりに、フランジプレート6が軸方向において支持部材7に向かって延びる突出部を有していてもよい。そして、このフランジプレート6の突出部にエラストマー部材8が取り付けられていてもよい。
【0056】
(b)上記実施形態では、エラストマー部材8に第1テーパ面81を形成することによって、第1逃がし空間10及び第2逃がし空間20を形成しているが、第1逃がし空間10及び第2逃がし空間20の形成方法はこれに限定されない。例えば、図9に示すように、エラストマー部材8を段階的に薄くすることによって第1逃がし空間10及び第2逃がし空間20を形成してもよい。
【0057】
(c)上記実施形態では、第2歯63とエラストマー部材8とは、互いに軸方向において配列されているが、ハブフランジ3の構成はこれに限定されない。例えば、第2歯63とエラストマー部材8とは、径方向において配列されていてもよい。この場合、エラストマー部材8は、径方向において、支持部材7と第2歯との間に配置される。そして、第1逃がし空間10は、径方向において、エラストマー部材8と第2歯63との間に配置される。また、第2逃がし空間20は、支持部材7とエラストマー部材8との間に配置され、径方向視において、第1逃がし空間10と重複する。
【0058】
(d)上記実施形態では、本発明の回転体をフランジプレート6に適用しているが、本発明の回転体は、フランジプレート6以外にも適用可能である。
【符号の説明】
【0059】
3 :ハブフランジ
5 :ハブ
53 :第1歯
6 :フランジプレート
63 :第2歯
7 :支持部材
8 :エラストマー部材
81 :第1テーパ面
82 :第2テーパ面
10 :第1逃がし空間
20 :第2逃がし空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9