(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093959
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器、及びその排出不良解消方法
(51)【国際特許分類】
E01C 19/10 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
E01C19/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209116
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】垣内 誠士
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓馬
【テーマコード(参考)】
2D052
【Fターム(参考)】
2D052BA10
2D052BA23
2D052DA12
(57)【要約】
【課題】 貯蔵物のアーチングおよび付着・硬化等に起因する排出不良を貯蔵容器の外部から安全かつ効果的に解消できる、再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器、及びその排出不良解消方法を提供する。
【解決手段】 サージビン1の筒状本体2の下部を下方に向けて先細りとして形成した逆円錐部3の側壁に、排出口5に向かって斜め下方向に貫通する中空円筒形状のガイド部8を備え、このガイド部8に前記サージビン1の気密を保持可能に形成した釘状打撃子9を遊嵌する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状本体の下部を下方に向けて先細りとして逆円錐部を形成し、該逆円錐部の下端にゲートを有した排出口を備えた再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器において、前記逆円錐部の側壁に前記排出口に向かって斜め下方向に貫通する中空円筒形状のガイド部を備え、該ガイド部に前記貯蔵容器の気密を保持可能に形成した釘状打撃子を遊嵌したことを特徴とする再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器。
【請求項2】
前記釘状打撃子は前記ガイド部に対して着脱自在とすると共に、前記釘状打撃子を取り外した状態で前記ガイド部の略軸心方向に摺動自在とする棒状突き具を別途備え、該棒状突き具はその先端部が少なくとも前記排出口周縁へと到達可能な長さとしたことを特徴とする請求項1記載の再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器。
【請求項3】
筒状本体の下部を下方に向けて先細りとして逆円錐部を形成し、該逆円錐部の下端にゲートを有した排出口を備えた再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器において、前記逆円錐部の側壁に前記排出口に向かって斜め下方向に貫通する中空円筒形状のガイド部を備え、該ガイド部に釘状打撃子を着脱自在に遊嵌する一方、先端部が少なくとも前記排出口周縁へと到達可能な長さの棒状突き具を別途備えておき、貯蔵物のアーチングまたは付着・硬化による排出不良発生時には、前記釘状打撃子の基端を打撃し、前記打撃の衝撃力によって前記貯蔵容器の前記逆円錐部の側壁を振動させる一方、前記振動が伝わりにくい前記排出口の近傍位置にて排出不良が発生した場合は、前記ガイド部より前記釘状打撃子を取り外し、前記棒状突き具の基端を把持して前記ガイド部に挿入すると共に前記排出口方向に付勢し、前記棒状突き具の先端部を前記排出口の近傍位置にある排出不良の発生箇所に直接突き当てるようにしたことを特徴とする再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器の排出不良解消方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生材(加熱再生した道路舗装廃材)またはアスファルト混合物の貯蔵容器、該貯蔵容器の排出不良解消方法に関する。
【0002】
道路舗装材であるアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントにおいては、道路工事等で掘り起こしたアスファルト舗装の廃材塊を所定粒径に破砕した後、リサイクルドライヤにて加熱再生して再生材と成し、該再生材をサージビンに一時的に貯蔵すると共に、前記再生材と加熱新規骨材等とをミキサで所望配合にて混合して所望のアスファルト混合物を製造している。
【0003】
前記アスファルト混合物は、即時に出荷をする場合は製造後そのまま運搬車両へと払い出す一方、出荷まで時間的に余裕のある場合には、前記アスファルト混合物を保温状態に維持可能な合材サイロへと移し替えて一時的に貯蔵するようにしている。
【0004】
ところで、前記サージビンおよび合材サイロ等の貯蔵容器は、筒状本体を垂設し、該筒状本体の下部を下方に向けて先細りとして逆円錐部を形成して成るが、貯蔵物である再生材、アスファルト混合物はいずれも強い粘着性・付着性を有するため、内径の小さくなる前記逆円錐部付近ではアーチングを生じ易く、また前記逆円錐部下端のゲートも固着して動作不良を来し易く、場合によっては排出不良に至ることもある。
【0005】
そして、こうした排出不良に至った場合には、都度作業員が貯蔵容器内部に直接立ち入り、はつり等の除去作業を行う必要があるため、例えば、本出願人は前記貯蔵容器の筒状本体の側壁に開口部を設けることで、アーチングおよび付着・硬化した貯蔵物の除去作業等のために作業員が貯蔵容器内部に安全かつ容易に出入り可能とした貯蔵容器を提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来装置のように作業員が貯蔵容器内部に立ち入ることは、そもそも作業安全上あまり好ましいものではなく、かと言って、貯蔵容器本体側壁を外部から打撃して貯蔵物に間接的に衝撃を与えてアーチングを崩壊させるといった方法も考えられるが、粘着性・付着性の高い再生材、アスファルト混合物の場合、前記方法では十分な効果を得られにくく、ましてや排出口付近で生じたアーチングあるいはゲート固着に対しては一層対応が難しいため、安全性と有効性とを両立可能な貯蔵容器の排出不良の解消方法が望まれる。
【0008】
本発明は上記の点に鑑み、貯蔵物のアーチングおよび付着・硬化等に起因する排出不良を貯蔵容器の外部から安全かつ効果的に解消できる、再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器、及びその排出不良解消方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載の再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器は、筒状本体の下部を下方に向けて先細りとして逆円錐部を形成し、該逆円錐部の下端にゲートを有した排出口を備えた再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器において、前記逆円錐部の側壁に前記排出口に向かって斜め下方向に貫通する中空円筒形状のガイド部を備え、該ガイド部に前記貯蔵容器の気密を保持可能に形成した釘状打撃子を遊嵌したことを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る請求項2記載の再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器は、前記釘状打撃子は前記ガイド部に対して着脱自在とすると共に、前記釘状打撃子を取り外した状態で前記ガイド部の略軸心方向に摺動自在とする棒状突き具を別途備え、該棒状突き具はその先端部が少なくとも前記排出口周縁へと到達可能な長さとしたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る請求項3記載の再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器の排出不良解消方法は、筒状本体の下部を下方に向けて先細りとして逆円錐部を形成し、該逆円錐部の下端にゲートを有した排出口を備えた再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器において、前記逆円錐部の側壁に前記排出口に向かって斜め下方向に貫通する中空円筒形状のガイド部を備え、該ガイド部に釘状打撃子を着脱自在に遊嵌する一方、先端部が少なくとも前記排出口周縁へと到達可能な長さの棒状突き具を別途備えておき、貯蔵物のアーチングまたは付着・硬化による排出不良発生時には、前記釘状打撃子の基端を打撃し、前記打撃の衝撃力によって前記貯蔵容器の前記逆円錐部の側壁を振動させる一方、前記振動の伝わりにくい前記排出口の近傍位置にて排出不良が発生した場合は、前記ガイド部より前記釘状打撃子を取り外し、前記棒状突き具の基端を把持して前記ガイド部に挿入すると共に前記排出口方向に付勢して、前記棒状突き具の先端部を前記排出口の近傍位置にある排出不良の発生箇所に直接突き当てるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る請求項1記載の再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器によれば、前記釘状打撃子の基端に付与した衝撃力を前記貯蔵容器内部の貯蔵物に向けて効果的に伝播できて、アーチングや付着・硬化した貯蔵物を比較的容易に解砕でき、排出不良を貯蔵容器の外部から安全に解消できる。
【0013】
また、本発明に係る請求項2記載の再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器によれば、前記釘状打撃子から離間していて衝撃力が伝わりにくい前記貯蔵容器の最下端付近にて生じたアーチングや付着・硬化した貯蔵物に対しても、前記棒状突き具でもって衝撃力を直接付与でき、排出不良を貯蔵容器の外部から安全に解消できる。
【0014】
また、本発明に係る請求項3記載の再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器の排出不良解消方法によれば、排出不良の発生位置・態様に関わらず排出不良を貯蔵容器の外部から安全かつ効果的に解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器の一実施例を示す、一部を切り欠いた正面図である。
【
図2】アーチング発生状態を示す、逆円錐部付近の一部を切り欠いた拡大説明図である。
【
図3】釘状打撃子によるアーチングの除去作業を説明する図である。
【
図4】棒状突き具によるアーチングの除去作業を説明する図である。
【
図5】棒状突き具による付着・硬化した貯蔵物の除去作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る再生材またはアスファルト混合物の貯蔵容器は、筒状本体を垂設し、該筒状本体の下部を下方に向けて先細りとして逆円錐部を形成し、該逆円錐部の下端にゲートを有した排出口を備える。また、前記逆円錐部の側壁に前記排出口に向かって斜め下方向に貫通する中空円筒形状のガイド部を備え、該ガイド部には釘状打撃子を遊嵌する。
【0017】
前記釘状打撃子は、基端に前記ガイド部の外径より大径に形成した頭部を備える一方、前記釘状打撃子の棒状本体(胴部)は前記ガイド部の内径より若干小径に形成して成り、前記胴部を前記ガイド部内に遊挿した際には、前記頭部が前記ガイド部の上端開口部を封止するように冠着する。
【0018】
前記貯蔵容器の貯蔵物である再生材またはアスファルト混合物は、外気に触れると温度低下・酸化劣化を来し、付着・硬化を生じる可能性があるが、前記釘状打撃子が前記ガイド部の上端開口部を封止する構成としたことで前記貯蔵容器内の気密性が保たれる結果、上記不具合の発生を抑制可能としている。
【0019】
また、好ましくは、前記釘状打撃子の頭部裏側と前記ガイド部の上端開口部上端縁との当接箇所に緩衝部材を更に備えるとよい。なお、前記緩衝部材としては、例えば、ゴム、樹脂、その他の高分子弾性材料等からなる弾性体を好適に採用することができる。これによって前記釘状打撃子とガイド部との密着性を高めて前記貯蔵容器内の気密性を一層高められる結果、前記貯蔵容器の逆円錐部の側壁に中空円筒形状のガイド部を貫通させたことに伴う貯蔵物の無用な温度低下並びに酸化劣化による付着・硬化を抑制できると共に、前記釘状打撃子を打撃操作した際の前記ガイド部の破損・摩耗等の不具合を軽減できる。
【0020】
また、より好ましくは、前記釘状打撃子を前記ガイド部に遊嵌した際に、前記釘状打撃子の胴部先端部が少なくとも前記ガイド部の下端開口部から突出する構成とするとよい。これによって前記貯蔵容器内部に貯蔵物が貯蔵されている場合に、前記ガイド部の下端開口部より前記ガイド部内方へと貯蔵物が流入するのを制限して、前記ガイド部が硬化した貯蔵物で閉塞する等の不具合を抑制できる。また、前記釘状打撃子の胴部先端部と前記貯蔵容器内部の貯蔵物とを直接接触させることができる結果、前記釘状打撃子を打撃した際の衝撃力を、前記貯蔵容器の逆円錐部の側壁に対してだけでなく、貯蔵容器内部の貯蔵物に対しても効果的に伝播しやすく、貯蔵容器外部から容器内部のアーチングや付着・硬化した貯蔵物を比較的容易に解砕できて排出不良を解消するにあたって一層有利なものとなる。
【0021】
また、更に好ましくは、前記釘状打撃子は前記ガイド部に対して着脱自在とすると共に、前記釘状打撃子を取り外した状態で円筒形状の前記ガイド部の略軸心方向に摺動自在とする棒状突き具を別途備え、該棒状突き具は先端部が少なくとも前記排出口周縁へと到達可能な長さとするとよい。
【0022】
なお、前記棒状突き具はその先端部が前記排出口周縁と接触した状態で、その基端が前記ガイド部の上端開口部より上方(容器外方)に幾分か(作業者が両手で把持可能な程度)突出する長さに形成するとより好ましく、これによって作業員は前記貯蔵容器外部から前記棒状突き具を両手で把持しながら排出口付近のアーチングや付着・硬化した貯蔵物を比較的容易に突き崩して解砕することができるものとなる。
【0023】
そして、上記構成の貯蔵容器内部にて貯蔵物のアーチングまたは付着・硬化した貯蔵物による排出不良が発生した場合には、作業員は、例えばハンマー等の打撃手段にて、前記貯蔵容器外部から前記釘状打撃子の基端(頭部)を打撃して衝撃力を与え、前記釘状打撃子とガイド部を介して隣接する前記貯蔵容器の逆円錐部の側壁を振動させると共に、打撃を加えた前記釘状打撃子の胴部先端部と接触している貯蔵容器内部の貯蔵物にも前記衝撃力を直接付与する。
【0024】
このとき、前記貯蔵容器内部の貯蔵物には前記各衝撃力等(側壁の振動及び釘状打撃子の胴部先端部からの衝撃力)が相まって付与されることになると共に、前記釘状打撃子は貯蔵容器の排出口に向けて備えた前記ガイド部に遊嵌していることから、前記釘状打撃子に打撃を加えた際にその胴部先端部から伝播される衝撃力は、アーチング等が形成されやすい貯蔵容器の排出口方向へと付与できる結果、効果的に前記アーチング並びに付着・硬化した貯蔵物を崩落・解砕して排出不良を解消することができる。
【0025】
一方、前記釘状打撃子から離間していて前記振動や衝撃力が伝わりにくい、例えば、前記排出口の近傍位置(ゲート付近)にて排出不良が発生した場合は、作業員は、前記同様に貯蔵容器の外部に居ながら、先ず、前記ガイド部より前記釘状打撃子を取り外し(抜き取り)、円筒形状の前記ガイド部の上端開口部を開放状態とする。次いで、別途用意しておいた前記棒状突き具の基端を把持して前記ガイド部の上端開口部より棒状突き具の先端側を貯蔵容器内部へ挿入すると共に、前記排出口方向に付勢操作し、前記棒状突き具の先端部を前記排出口の近傍位置にある排出不良の発生箇所(アーチングや付着・硬化した貯蔵物)に直接突き当てていく。
【0026】
このとき、前記棒状突き具は前記ガイド部に沿って摺動するよう挿入されるので、作業員は前記棒状突き具を前記ガイド部の内壁面にあずけるようにしながら、前記棒状突き具自体の重みを有効に利用しつつ、前記ガイド部の略軸心方向に位置する前記排出口周縁や前記ゲートといった排出不良の生じやすい箇所に先端部を突き当てるといった操作を比較的容易に行え、貯蔵容器内下方部のアーチングまたは付着・硬化した貯蔵物をピンポイントで効果的かつ安全に除去することができる。
【0027】
このように、本発明に係る貯蔵容器によれば、貯蔵物のアーチングおよび付着・硬化の発生位置、態様等に合わせて、作業員は前記釘状打撃子および前記棒状突き具を適宜選択でき、例えば、前記排出口の比較的上方位置にて生じたアーチングに対しては勿論、排出口の近傍位置でアーチングが生じた場合や、貯蔵物の付着・硬化が進行してゲートを閉塞させた場合等、従来は前記貯蔵容器内部への立ち入りを余儀なくされていた排出不良の発生時においても、作業員は前記貯蔵容器の外部に居ながら、これら排出不良の発生箇所に直接衝撃を与えて効果的かつ安全に除去可能となる。
【実施例0028】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0029】
図中の1は本発明に係る再生材Rの貯蔵容器であるサージビンであって、筒状本体2を垂設し、該筒状本体2の下部を下方に向けて先細りとして逆円錐部3を形成して成り、前記筒状本体2の上端に投入口4を、前記逆円錐部3の下端に排出口5をそれぞれ備えると共に、該排出口5には両開きのゲート6を備え、該ゲート6の開閉駆動用のシリンダ7を前記逆円錐部3の側壁に備えている。
【0030】
前記逆円錐部3の側壁には、少なくとも1つ以上の中空円筒形状のガイド部8を斜め下方のゲート6方向へと貫通させていると共に、前記ガイド部8には断面略T字形状の釘状打撃子9を着脱可能に遊嵌している。前記釘状打撃子9は、基端に前記ガイド部8の外径より大径に形成した頭部10を備えていると共に、前記釘状打撃子9の棒状本体である胴部11は前記ガイド部8の内径より若干小径に形成して成り、前記胴部11を前記ガイド部8内に遊挿した際には、前記頭部10が前記ガイド部8の上端開口部を封止するように冠着する構成としている。
【0031】
前記釘状打撃子9の頭部10は、その裏面(ガイド部8上端縁との当接箇所)にゴム製の環状の緩衝部材12を備えており、これによって前記釘状打撃子9とガイド部8との密着性を高めて前記サージビン1内の気密性を高めている。なお、図示はしていないが、前記釘状打撃子9の頭部10とガイド部8の上端部とは、ボルト・ナット等の締結手段にて締結固定する構成としており、この締結操作を加えることで前記緩衝部材12を押圧してサージビン1内の気密性を一層高めている。
【0032】
また、前記ガイド部8の軸心(図中の一点鎖線)方向には排出口5(ゲート6)が位置し、前記ガイド部8に遊嵌した前記釘状打撃子9の胴部11の先端部11aも同様に、前記排出口5(ゲート6)方向に向く構成としている。また、前記釘状打撃子9を前記ガイド部8に遊嵌した際には、前記釘状打撃子9の胴部11の先端部11aが、少なくとも前記ガイド部8の下端開口部から下方(サージビン1の逆円錐部3内方)に突出する構成としている。なお、図中の13は耐摩耗用のライナーである。
【0033】
図2は、前記サージビン1の逆円錐部3内方のうち、特に前記排出口5から上方に若干離間した位置に再生材のアーチングAが発生した状態を示している。この場合、作業員は、
図3に示すように、サージビン1外部から適宜の打撃手段、例えばハンマーHにて、ガイド部8に遊嵌した状態の釘状打撃子9の頭部10を打撃して衝撃力を与え、前記釘状打撃子9とガイド部8を介して隣接する前記サージビン1の逆円錐部3の側壁を振動させると共に、打撃を加えた前記釘状打撃子9の胴部11の先端部11aと接触している逆円錐部3内方のアーチングAにも前記衝撃力を直接付与する。
【0034】
このとき、前記逆円錐部3の上部側に形成されるアーチングAには、前記各衝撃力等(逆円錐部3の側壁からの振動、及び釘状打撃子9の胴部11の先端部11aからの衝撃力)が相まって付与されることになるが、前記逆円錐部3の上部側はガイド部8からの距離も近くて前記衝撃力等があまり弱まらずに伝わりやすい上、逆円錐部3の上部側は下部側の排出口5付近と比べて内径が大きいため、形成されるアーチングAは極端な圧密とはなり難くて若干脆い傾向にあり、上記各衝撃力等の付与によって比較的容易に解砕され、崩落・除去されていく。
【0035】
一方、
図4に示すように、アーチングA’が前記サージビン1の逆円錐部3内方のうち、特に前記排出口5の近傍位置にて生じた場合、ガイド部8から離間した位置にあることから、例え前記釘状打撃子9に打撃を加えてもその衝撃力等が伝わりにくい(弱まり易い)上、逆円錐部3の下部側は内径が小さいため、形成されるアーチングA’は圧密となり易くて若干硬い傾向にあり、上記衝撃力等の付与によってもあまり効果的に解砕することは難しい状態にある。
【0036】
この場合、作業員は、先ず、サージビン1の外部に居ながら、ボルト等の締結を緩めて前記釘状打撃子9をガイド部8から取り外し(抜き取り)、前記ガイド部8の上端開口部を開放状態とする。次いで、別途用意しておいた鋼製の棒状突き具Lの基端を把持してガイド部8の上端開口部より棒状突き具Lの先端側をサージビン1内部へ挿入すると共に、前記排出口5方向に付勢操作し、前記棒状突き具Lの先端部Laを前記排出口5の近傍位置に形成されたアーチングA’に直接突き当てて解砕し、崩落・除去していく。
【0037】
さらに、
図5に示すように、サージビン1内に貯蔵する再生材Rの一部が付着・硬化して排出口5の周縁に固形物R’としてこびりつき、前記ゲート6が固着して動作不良(開放不能)となった場合にあっても、作業員は、前記同様にサージビン1の外部に居ながら、前記棒状突き具Lをガイド部8の上端開口部より挿入すると共に、前記棒状突き具Lの先端部Laを、より下方部のゲート6周縁に付着・硬化した固形物R’に直接突き当てて解砕し、剥離・除去していく。
【0038】
上記
図4、
図5に示した何れの場合であっても、作業員はサージビン1の外部に居ながらにして、かつ把持操作する前記棒状突き具Lは、前記ガイド部8の内壁面にあずけるようにしながら、前記棒状突き具L自体の重みを有効に利用しつつ、前記ガイド部8の略軸心方向に位置する前記排出口5周縁、あるいは前記ゲート6付近といった排出不良の生じやすい箇所に先端部Laを突き当てるといった操作を容易に行え、サージビン1の逆円錐部3下方部で形成されるアーチングA’や付着・硬化した固形物R’をピンポイントで効果的かつ安全に除去することができる。
【0039】
以上述べたように本発明によれば、貯蔵容器であるサージビン1の排出不良の解消にあたって、作業員は原則としてサージビン1の外部に居ながら作業を行える結果、サージビン1内部への立ち入り機会を減らせて作業員の安全面において好適であると共に、サージビン1の外部からの作業であるにもかかわらず効果的に排出不良を解消でき、安全性と有効性とを両立可能な貯蔵容器の排出不良の解消方法を提供できるものとなる。
【0040】
なお、上記実施例は再生材の貯蔵容器であるサージビンについて説明したが、アスファルト混合物貯蔵用の合材サイロに関しても本発明は同様に適用される。
【0041】
また、上記実施例は本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、例えば、ガイド部8と排出口5(ゲート6)との位置関係は本実施例の構成に限定されない。本実施例に挙げた排出口5近傍位置は排出不良の生じやすい箇所の一例であるが、貯蔵容器の形状に応じた排出不良の発生頻出箇所に釘状打撃子9の胴部11の先端部11a、棒状突き具Lの先端部Laを案内できるようガイド部8の軸心方向及び長さ等を適宜設計すると良い。また、ガイド部8の個数、ゲート6の個数は特に限定されない。
本発明は、サージビン、合材サイロの他、アスファルト混合物の中間貯蔵設備であるサテライトサイロ等、アスファルトプラント付帯設備において粘着性・付着性を有する貯蔵物を貯蔵する各種設備に対して広く適用することができる。