(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023093960
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】スマートロック、サーバ装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
E05B49/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209117
(22)【出願日】2021-12-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】稲垣翔平
(72)【発明者】
【氏名】大久保知征
(72)【発明者】
【氏名】森重寿弘
(72)【発明者】
【氏名】松居宏樹
(72)【発明者】
【氏名】海野寛之
(72)【発明者】
【氏名】岩田圭司
(72)【発明者】
【氏名】田島義明
(72)【発明者】
【氏名】船守進一
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA03
2E250AA04
2E250AA05
2E250AA06
2E250AA12
2E250BB08
2E250BB28
2E250BB29
2E250BB65
2E250CC15
2E250CC16
2E250DD06
2E250FF27
2E250FF36
2E250GG06
(57)【要約】
【課題】設定者如何を問わず、スマートロックに対して迅速に鍵情報を設定できること。
【解決手段】建物に設置され、建物の入口を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロックに於いて、前記スマートロックの記憶部に対して、設定業者端末又はユーザー端末のいずれか一方が、通信方式によって、前記鍵情報と、該鍵情報に紐づく物件情報とを与えることを特徴とするスマートロック。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置され、建物の入口を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロックであって、
前記スマートロックの記憶部に対して、設定業者端末又はユーザー端末のいずれか一方が、通信方式によって、少なくとも前記鍵情報に紐づくことが可能な物件情報を与えることを特徴とするスマートロック。
【請求項2】
請求項1のスマートロックに於いて、前記定業者端末又は前記ユーザー端末はネットワークを介して前記物件情報及び鍵情報を保有するサーバに接続可能であり、前記サーバは前記物件情報に紐付け可能な建物の共用部の鍵情報を生成し、前記ネットワークを介して、少なくとも前記設定業者端末又はユーザー端末のいずれかに、前記建物の共用部の鍵情報を与えることを特徴とするスマートロック。
【請求項3】
サーバ装置は、物件としての建物の入口に設置され、前記建物を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロックと通信可能なサーバ装置であって、前記サーバ装置は、設定業者端末に与えることができる建物及び部屋を特定する物件情報又は前記ユーザー端末に与えることができる建物及び部屋を特定する物件情報のいずれか一方と、少なくとも前記物件情報に紐付け可能な鍵情報を自己の記憶部に保有しているサーバ装置。
【請求項4】
請求項3のサーバ装置に於いて、前記サーバ装置は、前記物件情報に紐付け可能な建物の共用部の鍵情報を生成し、前記ネットワークを介して、少なくとも前記設定業者端末又はユーザー端末のいずれかに、前記建物の共用部の鍵情報を与えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
コンピュータに、物件としての建物の入口に設置され、前記建物を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、解錠指令を指示するスマートロックに対して、前記建物の新築時の紐付の際、又は前記建物の既設時の紐付の際、前記スマートロックに対して、少なくとも物件情報を送信する処理を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物に設置されたスマートロック、サーバ装置及びプログラムに関し、特に、建物の新築後又は既設時の紐付の際、スマートロックに鍵情報を迅速に設定することができるスマートロック、サーバ装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の発明の課題は、住宅の専有部のゲート(玄関ドア)と共用部のゲート(エントランスの扉)に対する施解錠キーの登録・抹消作業を簡便化することで、その解決手段は、利用者専用の占有部(専有部のこと)に配設され、装置を特定するシリアル番号と施解錠キー10の登録状況を示すシーケンス情報とを錠前の施解錠に必要な施解錠用情報として予め記憶しており、錠前の施解錠に必要な情報が書き込まれていない施解錠キー(携帯端末も含まれる)10の登録時に、記憶された施解錠用情報を施解錠キー10に書き込む占有部(専有部)側電気錠装置20と、施解錠キー10から読み取った施解錠用情報を占有部側電気錠装置20が配設される部屋番号と関連付けして記憶する共用部側電気錠装置30とを備える。施解錠キー10の再登録時は、占有部側電気錠装置20からシーケンス情報を変更した新たな施解錠用情報を施解錠キー10に書き込み、この施解錠キー10に書き込んだ新たな施解錠用情報を共用部側電気錠装置20に読み取らせ、過去の施解錠用情報を書き換えて記憶させことである。
【0003】
上記構成に於いて、施解錠キー(携帯端末も含まれる)10と共に、ハンディタイプの情報登録装置40を加味し、該情報登録装置40に占有部(専有部)側電気錠装置20側の施解錠情報(第1鍵情報)を登録し、該情報登録装置40を用いて共用部側電気錠装置20の施解錠情報(第2鍵情報)に紐付けする構成を記載されている(第2実施例、
図3)。なお、符号は特許文献1のものである。
【0004】
この特許文献1は、集合住宅等に於いて、専有部と共用部の鍵情報が相違するため、管理者(特に、鍵情報の設定業者)が、鍵情報の設定、書き換え等が非常に面倒であるという視点から生れた発明である。そして、特許文献1は出荷時にスマートロックに予め識別情報を付与している。
【0005】
しかしながら、近年、市場に色々な機能を有するスマートロックが出現し、ユーザは、自己の希望するスマートロックを建物の入口(ゲートや壁も含む)に設置する傾向にある。そこで、特許文献1の如く、スマートロックの出荷時に、予め、その制御部に含まれるファィル装置にスマートロック自体の識別情報(ここでは「鍵情報」という)を記録させいても良いが、例えばスマートロックのファィル装置に何もデータがない場合、或いは物件の立ち上げ時(新築時)、或いは又何らかの理由でスマートロックのファィル装置を初期化した場合には、設定業者端末又はユーザー端末のいずれかに物件情報を持たせても、手軽に、かつ迅速にスマートロックに「鍵情報」を設定することができないという問題点がある。
【0006】
一方、特許文献2の発明の課題は、ユーザの許可が無くても宅配業者等のサービス事業者が扉を解錠可能にするサーバ装置および扉制御装置を提供するもので、その解決手段は、集合住宅の入口に設置された扉の施錠及び解錠を制御する扉制御装置10と通信可能なサーバ装置12を有する扉解錠システム1であって、サーバ装置は、サービス事業者により設定されたサービス番号をユーザ毎に記憶する記憶手段70と、扉制御装置10から、装置ID及びサービス番号を含む解錠要求を受け付ける要求受付手段72と、解錠要求に含まれる情報と、記憶手段70に記憶されている情報に基づき、認証を実行する認証手段74と、認証が成功した場合に、扉制御装置10に解錠指示を送信する解錠指示手段78とを備える。
【0007】
そして、
図1には扉解錠システム1の全体構成の一例を示すブロック図が記載され、明細書の段落0018には、「
図1に示すように、扉解錠システム1は、一又は複数の扉制御装置10と、サーバ装置12と、宅配業者端末14と、ユーザー端末16と、を備える。これらの装置は、インターネットや電話回線等の通信ネットワークNTを介して互いに通信可能となっている」と記載されている。
【0008】
したがって、ユーザー端末(例えば宅配業者等のサービス事業者)に対して、住宅の玄関に設置された扉制御装置10を解錠するための鍵情報を、ネットワークNTを介して、サーバ装置12から貰う技術は公知である(符号は特許文献2のもの)。しかしながら、鍵を配信する従来の特許文献には、前記特許文献2を含め、前記特許文献1の問題点を解消するような提案は、未だに存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009-221670号公報
【特許文献2】特許第6765147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の主たる課題は、設定者如何を問わず、又は設定時期如何を問わず、スマートロックに対して、迅速に、少なくとも鍵情報と、該鍵情報に紐づく物件情報とを与えることである。すなわち、スマートロックのファィル装置に鍵情報、該鍵情報に紐づく物件情報何等のユーザーの認証に必要なデータがない「空っぽ」或いは設定当初から鍵情報のデータに対する初期化をした場合(新築時)、又何らかの理由(二度目の新しい入居者の存在、居住中におけるユーザー端末の紛失等)でスマートロックのファィル装置を初期化した場合に於いて、仮に、設定業者端末又はユーザー端末のいずれかに物件情報を持たせても、所望する時、前記物件情報と該物件情報に紐づく「鍵情報(サーバで生成した鍵データ又は/及び錠前自体の識別情報)」を、通信方式を利用して迅速にスマートロックに与えることにより、特許文献1の問題点を解消することである。
【0011】
また発明の二次的な課題は、物件情報を記録する記憶部を有する第1サーバが、前記物件情報を、ネットワークを介して第2サーバ(望ましくはネットワーク上のクラウド的サーバ)に与え、該第2サーバがスマートロック及びユーザー端末にスマートにユーザーの認証に必要な識別情報を迅速に与えることができるように、該第2サーバの記憶部に登録して集中的に一括管理することである。
【0012】
さらに発明の付随的な課題は、例えば集合住宅の専有部用のゲート用のスマートロックの鍵情報を設定、変更又は削除をすることができる鍵情報設定側の設定業者端末が、物件情報を記録する記憶部を有するサーバから手軽に、かつ迅速に前記スマートロックの鍵情報作成用の物件情報を迅速にもらうことができること、普通一般にエントランスを有する集合住宅、ホテル、各種の施設等の場合に於いて、前記エントランスと専有部のゲートとの鍵情報が異なるという事情に鑑み、一つのユーザー端末が共用部と専有部の両方のゲートに対して使用することができるようにすること等である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
まず本発明のスマートロックは、建物に設置され、建物の入口を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロックであって、前記スマートロックの記憶部に対して、設定業者端末又はユーザー端末のいずれか一方が、通信方式によって、少なくとも前記鍵情報に紐づくことが可能な物件情報を与えることを特徴とする。
【0014】
上記構成に於いて、前記定業者端末又は前記ユーザー端末はネットワークを介して前記物件情報及び鍵情報を保有するサーバに接続可能であり、前記サーバは前記物件情報に紐付け可能な建物の共用部の鍵情報を生成し、前記ネットワークを介して、少なくとも前記設定業者端末又はユーザー端末のいずれかに、前記建物の共用部の鍵情報を与えることを特徴とする。
【0015】
次に本発明のサーバ装置は、物件としての建物の入口に設置され、前記建物を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロックと通信可能なサーバ装置であって、前記サーバ装置は、設定業者端末に与えることができる建物及び部屋を特定する物件情報又は前記ユーザー端末に与えることができる建物及び部屋を特定する物件情報のいずれか一方と、少なくとも前記物件情報に紐付け可能な鍵情報を自己の記憶部に保有していることを特徴とする。そして、前記サーバ装置は、前記物件情報に紐付け可能な建物の共用部の鍵情報を生成し、前記ネットワークを介して、少なくとも前記設定業者端末又はユーザー端末のいずれかに、前記建物の共用部の鍵情報を与えることを特徴とする
さらに、本発明のプログラムは、コンピュータに、物件としての建物の入口に設置され、前記建物を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、解錠指令を指示するスマートロックに対して、前記建物の新築時の紐付の際、又は前記建物の既設時の紐付の際、前記スマートロックに対して、少なくとも物件情報を送信する処理を実行する。
【0016】
ここで、「鍵情報」は、例えばサーバで生成した鍵データ、錠前自体の識別情報(装置ID)等であって、ユーザー端末に登録されている情報に基づいて認証を有効に行うことができるデータをいう。
【0017】
なお、錠前自体の識別情報の一例としては、通称「SerialNo(シリアルNo)」というものがあり、該シリアルNoは、当業者には、製品(錠前)に1個、1個に割り振られる固有の番号のことと理解されている。付言すると、その製品に使用した部品、ファームウェアのバージョン、製造年月日、製品型式や受注No.などの製品情報と対応付けることで、その製品に不具合が発生時したときに製品特定を容易にするなどに利用され、シリアルNo.はQRコード(登録商標)等に印字して製品の表面に張り付けなどすることで、携帯端末から容易に読み取ることができる。
【0018】
ところで、SerialNo(シリアルNo)は、製造時にスマートロックを特定する識別情報に用いることができるが、発明の実施形態では、ゲートの認証用のデータに用いない実施形態もあり得るので、本発明の本質的要件ではない。それ故に、スマートロックの記憶部に格納されている情報を、「スマート情報」ではなく、単に「鍵情報」と表現している。
【発明の効果】
【0019】
スマートロックのファィル装置に何もデータがない「空っぽ」或いは設定当初から鍵情報のデータに対する初期化をした場合(新築時)、又何らかの理由(二度目の新しい入居者の存在、居住中におけるユーザー端末の紛失等)でスマートロックのファィル装置を初期化した場合に於いて、サーバのみならず、仮に、設定業者端末又はユーザー端末のいずれかに物件情報を持たせても、手軽に、かつ迅速にスマートロックに「鍵情報」を設定することができないという、ネットワークを用いない特許文献1の問題点を解消することができる。
【0020】
また実施形態によっては、物件情報を記録する記憶部を有する第1サーバが、前記物件情報を、ネットワークを介して第2サーバ(望ましくはネットワーク上のクラウド的サーバ)に与え、該第2サーバがスマートロック及びユーザー端末に鍵情報作成用の識別情報を迅速に与えることができるように、その記憶部に登録して集中的に一括管理することができる。
【0021】
さらに、例えば集合住宅の専有部用のゲート用のスマートロックの鍵情報を設定、変更又は削除をすることができる鍵情報設定側の設定業者端末が、物件情報を記録する記憶部を有するサーバから手軽に、かつ迅速に前記スマートロックの鍵情報作成用の物件情報を迅速にもらうことができる、一つのユーザー端末が共用部と専有部の両方のゲートに対して使用することができるようにすること等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1乃至
図7は本発明の第1実施形態を示す各説明図。
図8は本発明の第2実施形態を示す説明図。
【
図7】第1実施形態の全体構成のフローチャートを示す概略説明図。
【
図8】第2実施形態の全体構成のフローチャートを示す概略説明図。
【
図9】第1サーバ2の管理対象である物件情報の一例を示すデータ構造図。
【
図10】第1サーバ2が第2サーバに与える物件情報の一例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、全体構成を説明し、次に、スマートロック1、ユーザー端末5、第1サーバ2、第2サーバ3等を図面の順序にしたがって説明する。
【0024】
<全体構成>
図1乃至
図7は本発明の第1実施形態を示す各説明図である。情報処理装置Xは、スマートロックと、該スマートロックと通信可能なサーバ装置と、プログラムを備えている。
図1は、情報処理装置Xの基本的な構成を概略的に示している。
【0025】
図1に於いて、1はスマートロック、2は第1サーバ、3は第2サーバ、4は設定業者端末、5はユーザー端末で、好ましい実施形態では、前記スマートロック1、単数又は複数のサーバ(例えば第1サーバ2及び第2サーバ3)、設定業者端末4及びユーザー端末5はネットワークNにそれぞれ接続している。6は管理対象物としての物件、すなわち建物(例えば集合住宅、ホテル、ビルディング、各種の施設等)である。7は認証を受けたユーザー端末5が出入りすることができる前記建物6のゲートである。
【0026】
本発明は、
図1で示すように、建物に設置され、建物の入口を利用するユーザー端末5から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロック1であって、前記スマートロック1の記憶部に対して、設定業者端末4又はユーザー端末5のいずれか一方が、通信方式によって、鍵情報と、該鍵情報に紐づく物件情報とを与えることを特徴とするが、好ましくは、スマートロック1、前記定業者端末4及び前記ユーザー端末5は、ネットワーク(例えばインターネット)Nを介して、鍵情報、物件情報、集合住宅のエントランスの扉についての共用部の鍵情報等を保有するサーバ(2、3)に接続可能であり、前記建物の新築時等の際の紐付の際、少なくとも前記設定業者端末4が前記スマートロック1に対して前記物件情報を与え、一方、サーバ(2、3)は前記スマートロック1に対して、前記設定業者端末4又は前記ネットワークNのいずれかを介して前記共用部の鍵情報等を与えることを特徴とする。又は前記建物の既設時の紐付の際、前記ユーザー端末5が前記スマートロック1に対して前記物件情報を与え、一方、前記サーバ(2、3)は前記スマートロック1に対して、前記ネットワークNを介して専有部や共用部の鍵情報等を与える。
【0027】
周知の如く、前記ユーザー端末5は、建物6の入口(ゲート7も含む)に設置されたスマートロック(扉制御装置とも言われている)1と電気通信な可能状態なものであり、普通一般に、スマートフォン、タブレット等と称されている。
情報処理装置Xは、一戸建て住宅又は集合住宅などの建物や敷地等の管理対象物6の単数又は複数のゲート7に設置された単数又は複数のスマートロック1と、前記ゲート7に設けられ、かつ前記スマートロック1によって施・解錠状態(施錠と解錠)が制御される単数又は複数の施・解錠装置を有する(
図3)。
【0028】
前記管理対象物6には、例えば第1サーバ2が設置され、この第1サーバ2はネットワークNを介して第2サーバ3に対して該第1サーバ2が保有している物件情報を付与することができる。
【0029】
換言すると、前記第2サーバ3は建物6の専有部側の鍵情報を保有すると共に、前記第1サーバ2から前記物件情報を貰うことができる。それ故に、第2サーバ3はクラウド的な存在であり、第1サーバ2よりも多くの情報を一括的に集中管理するとこができる。
したがって、ユーザー端末5はネットワークNを介して自己のゲート7に設置された単数又は複数のスマートロック1に対して紐付に必要な識別情報を、認証成立を条件として第2サーバ3から貰うことができる。
【0030】
図2は本発明の技術的思想を概略的に示す。この
図2で示す情報処理装置Xは、物件しての建物6に設置され、かつ前記建物の入口7を利用するユーザー端末5から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、ゲート7用の解錠指令を指示するスマートロック1及び該スマートロックと通信可能なサーバ(例えば第1サーバ2及び第2サーバ3)を示している。
【0031】
好ましい実施形態では、前記鍵情報は、設定業者端末4から貰った前記建物及び部屋を特定する物件情報(物件UUID+部屋ID)a、又は前記ユーザー端末5から貰った建物及び部屋を特定する物件情報(物件UUID+部屋ID)aのいずれか一方と、前記物件情報aと紐付可能であり、かつ前記物件情報aを保持するサーバ(好ましくはクラウド的存在の第2サーバ3)からネットワークNを介して貰った鍵情報bを有するスマートロック1、及び該スマートロックと通信可能なサーバ装置(第1サーバ2及び第2サーバ3)を示している。
【0032】
さらに
図2を参照にして説明すると、まずサーバ装置を構成する第1サーバ2は、図示しない制御部及び入力部を有し、さらにデータ入力機能、アプリケーション等を有する物件情報生成部2aと、第1記憶部2bと、送信部2cとを備えている。
前記物件情報生成部2aは、好ましくは、少なくとも物件UUIDと、部屋ID、所番地等の識別情報に基づき物件情報aを生成する。また前記第1記憶部2bは、例えば前記物件情報a、共用部鍵情報や鍵情報(例えばサーバで生成した鍵データ、錠前自体の識別情報)等を記録する。そして、前記送信部2cはネットワークNを介して、サーバ装置を構成する第2サーバ3に前記物件情報aを送信する。
【0033】
次に第2サーバ3は、図示しない制御部の他、受信部3aと、第2記憶部3bと、送信手段3cとを備えている。前記受信部3aはネットワークNを介して第1サーバ2から前記物件情報a、鍵情報等を貰う(受信する)。また前記第2記憶部3bは前記物件情報a、鍵情報等を記録(保有)する。そして、前記送信手段3cはネットワークNを介して、少なくとも自己が保有している鍵情報bをスマートロック1に送信する。なお、前記鍵情報bは、少なくとも「サーバで生成した鍵データ」を含み、実施形態如何によっては「シリアルNo」も含む。但し、前記シリアルNoは、前述したように本発明の本質的要件ではない。
【0034】
次にスマートロック1は、ネットワークNを介して鍵情報bを貰う(受信)する第2通信部1aと、前記第2通信部1aが受信した前記鍵情報bを記録する自己の記憶部1b等を有する。なお、スマートロック1については後述する。
【0035】
実施形態では、設定業者端末4は前記クラウド的存在の第2サーバ3からネットワークNを介して鍵情報bを貰う(受信)ことができない。
しかしながら、第1サーバ2(物理的に別個な端末も含む)が保有している物件UUID等で生成した二次元コードを、該第1サーバ2からネットワークNを介して貰う(受信)ことができる。
【0036】
したがって、設定業者端末4を所持する業者(例えばSD店)は、例えば建物のゲート付近で、スマートロック1の記憶部1bに格納されている物件情報aと鍵情報bとを現場で紐付するとこができる。その際、前記、設定業者端末4は、情報処理装置Xの管理端末から貰ったアプリケーションを利用するのが望ましい。
【0037】
<スマートロック1>
図3はスマートロック(扉制御装置)1の一例を示す。普通一般的に、スマートロック1の概念は、既存の錠をなんらかの手法により、電気通信可能な状態とし、スマートフォン等と称される機器を用いて認証を行い、ゲートの開閉及び管理を行うことができる機器及びシステムの総称と言われているが、近年、スマートロックも、「鍵情報作成のデータが少ない」とか、「鍵情報作成のデータが空っぽ」であるというようなものが登場している。
【0038】
さて、
図3の、例えば二点鎖線で大きく囲んだスマートロック1は、スマートロックシステム或いは認証システムということもできる。ここでは単に「スマートロック」という。なお、
図3に於いて、入力部を含む出力部側と監視判定部を含む受信部側を別個のハードウェアにしても良い。
【0039】
この
図3に於いて、左側に、「機械的キーK」と、例えばスマホやタブレットと称される「ユーザー端末5」が描かれている。ユーザー端末5はスマホやタブレットに限定するものではなく、多機能であれば、いわゆるガラケーやスマートウオッチ、スマートグラスなどウェアラブルデバイスを含む。好ましくはスマホである。
【0040】
しかして、このスマートロック1は、一戸建て住宅又は集合住宅の専有部のゲート(例えば玄関扉)7に設置された第1入力部としての施解錠機構(施・解錠装置ともいう)11と、第2力部としての無線通信手段12とを有している。前記無線通信手段12は、ユーザー端末5の無線通信手段(後述の第2通信部37)とやりとりする近距離通信部であるから、その機能を実現することができるならば、ゲート7自体に設置しても良いし、ゲート付近の壁部、壁部付近のスタンド、敷地内等に設置しても良い。
【0041】
ここで、まず、ゲート7及び第1入力部(施・解錠装置)11について説明する。周知の如く、前記ゲート7の取付け基端部は、上下の蝶番を介して扉枠に取付けられている。一方、ゲート7の自由端部の中央部等には、第1入力部(施・解錠装置)11が設けられている。ここでの「第1入力部5」には、例えばシリンダー装置、ハンドル装置、サムターン装置、トリガー装置、ロッキング手段、受け具に設けた検知器、ゲート開閉装置等のいずれか一つ含まれる。なお、シリンダー装置、ハンドル装置、サムターン装置等の機械的構造は周知事項なので、詳細な説明及び図面は割愛する。また、ここでは第1入力部としての施・解錠装置5の一例として「電気錠」を取り上げる。もちろん、普通一般の「機械的錠前」に制御部、駆動モータ、検知器等を後付けし、電気錠の機能を有る錠前にしても良い。
【0042】
さて、施・解錠装置5は建物の用途や機能に対応して色々な装置が組み合わされて設置されているが、普通一般に一戸建て住宅や集合住宅の場合には、
図3で示すように、専有部のゲート7の壁部7aの外壁面からは、シリンダー装置11aのシリンダーを構成する外筒と内筒の前面が見え、前記内筒には、機械的キーK(図面左)を差し込むことができる鍵穴が設けられている。
【0043】
また前記内筒に機械的キーKを差し込み、多数のタンブラーや可動障害子が解錠ラインに整列した場合には、該機械的キーKの操作によりデッドボルトを錠箱内に後退させることができ、又はロッキング手段のロックが解かれる錠前の場合には、ハンドル装置11bのハンドルを、例えば下方へと操作して仮施錠片としてのラッチボルトを錠箱内に後退させることができる。
【0044】
ところで、前記ゲート7には、単数又は複数個のスイッチ手段13が適宜に用いられている。スイッチ手段13は第1入力部としての施・解錠装置11の作動に連動するスイッチであり、例えば可動接片と固定接片を有するマイクロスイッチ、磁気感応型スイッチ等が適宜に用いられている。ここでは特に図示しないが、連動部材としてのスイッチ手段13は、シリンダー装置(例えば可動障害子)に連動する第1スイッチング手段、ハンドル装置(例えばハンドル)に連動する第2スイッチング手段、施錠片としてのデッドボルト又はラッチボルトに連動する第3スイッチング手段(例えば施錠片に位置を検出する検出器)等がある。
【0045】
前記施・解錠装置11の作動(例えば解錠に関する作用)に関連する単数又は複数個のスイッチ手段13の作動信号を、ここでは「第1解錠情報」といい、この第1解錠情報は、ユーザー端末5との無線通信以外から得た識別情報であり、いわば施・解錠装置11が、少なくとも解錠された情報である。付言すると、必ずしも第1解錠情報は施錠及び解錠の両方を含む識別情報ではない。この第1解錠情報Aは、有線又は無線方式により出力部15により、後述の認証側の受信部(通信部)16に送られる。
【0046】
次に第2入力部としての無線通信手段(近距離通信部)12を説明する。ユーザー端末5も無線通信手段(近距離通信部)を有している。近距離通信部の具体的構成(リーダ/ライタ等)は周知技術なので、ここでの詳細な説明は割愛する。ここでは、ユーザー端末5との無線方式によりスマートロック1の施・解錠装置11が解錠された信号を「第2解錠情報」という。
【0047】
したがって、施錠片を有する施・解錠装置11は、合計2個あるのではなく、第1入力部の施・解錠装置11と第2入力部12の施・解錠装置は共用である。付言すると、認証側の第1判定部18aと第2判定部18bを有する監視判定部18の判定の結果、錠制御部、駆動モータ、動力伝達手段等によってロック状態が解錠状態にされるもの(施・解錠装置)は、第1入力部11と同一である。なお、
図3では複雑となるので、それを避け、錠制御部、駆動モータ、動力伝達手段、記憶部等による施・解錠装置5の解錠態様については便宜上省略している。
【0048】
次に、認証側の主要部を説明する。符号17は受信部16から、少なくとも「第1解錠情報」と「第2解錠情報」の両方の解錠情報を受け取る制御部である。もちろん、制御部17は、実施形態によっては、「第1施錠情報」と「第2施錠情報」の両方の施錠情報を受け取ることもできる。この制御部17は、前記両方の解錠情報を履歴情報として記憶部1bに記録する。その際、「第1解錠情報」と「第2解錠情報」は関連付けて格納される。また制御部17は、クラウド的なサーバ3とネットワークNを介して鍵情報bを第2通信部1aで貰い(受信)、該鍵情報bを記憶部1bに記録する。さらに制御部17は、ユーザー端末5の識別情報(固有のID)を記憶部1bに記録する。
【0049】
ところで、制御部17の記憶部1bは、識別情報の適宜設定時期、管理者との契約で権原を付与された設定業者端末、スマートロック鍵情報を設定するためのアプリケーションソフト(以下、「アプリ」ともいう)を記録している。
【0050】
実施形態では、例えば(a)設定業者端末4によって設定された当該建物自体の物件UUID或いは棟のID及び部屋IDを含む物件情報a、(b)スマートロックの識別データbの他、(c)設定業者端末の識別情報、(d)ユーザー端末5の識別情報、(e)部屋データの枝番データ、(f)サーバ3が記録しているアプリと同一のアプリ、サーバ3からの識別情報、(g)サーバ2からの識別情報、その他、好ましい制御装置ID或いはシステムにするための、管理者の識別データ、退出者識別データ、入居回数の枝番、退出回数の枝番、所定期間内の入退出情報の有無等のシーケンス情報を適宜に紐付して格納している。
【0051】
しかして、スマートロック1は、前出したように、第1判定部18aと第2判定部18bを有する監視判定部18を備え、前記監視判定部18は、前述した第1解錠情報、第2解錠情報、実施形態によっては第1施錠情報、第2施錠情報等を監視する。
この監視判定部18の監視について付言すると、前記第1判定部18aは機械的キーKの操作に基づき、施・解錠装置11が解錠されたか否かを判定し、一方、前記第2判定部18bは、ユーザー端末5から無線で受け取った鍵情報が記憶部1bに格納されている鍵情報と適合するか否かを監視判定するものである。
【0052】
<ユーザー端末5>
図4はユーザー端末5の構成を示すブロック図である。ユーザー端末5は、セキュリティーゾーンのゲートを通過する人(例えば建物の入居者、入居者から鍵情報を付与された者など)が所持し、専有部のゲート用の施・解錠装置11を作動(解錠、施錠、開閉)させるために用いられるスマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイスなどの携帯情報処理端末である。
【0053】
したがって、ユーザー端末5は、端末制御部31、操作部及び表示部としてのタッチパネル32、前述した鍵情報Aを記録する記憶部33、鍵情報Aの新規登録・更新登録・変更登録・抹消登録をするためのモード切替え機能を有する登録部34、記憶部に記録されている鍵情報のコピーを抽出する鍵情報特定部35、鍵情報を受信・送信する第1通信部36及びユーザー端末5の識別情報を送信する第2通信部37、図示しない各種のスイッチ、カメラ機能などを有する。
【0054】
しかして、端末制御部31には、その記憶部33にゲート開閉用の鍵情報A(電子キーの権限)が記録されている。また第1通信部36は、実施形態ではネットワークNを介して第2サーバ3から鍵情報Aを取得し、かつ登録部34に該鍵情報Aを渡す鍵情報受信手段36aを備え、一方、第2通信部37は、鍵情報特定部35を介して、論理的に適宜に紐付けされた前述の各データを含む鍵情報Aを送信する鍵情報送信手段37aを備えている。
【0055】
したがって、ユーザー端末5は、複数の識別データが適宜に紐付けされた前記鍵情報Aを用いて、スマートロック1に対して施・解錠装置11の作動(例えば解錠)を要求することができる。
【0056】
なお、端末制御部31はプログラムに基づいてユーザー端末5の動作を制御し、またタッチパネル32は多数のアイコン等を表示し、各アイコンにタッチ操作すると、各種の画面が現れる。なお、前記第2通信部37の通信方式は、例えばブルートゥース、NFCなどの近距離通信部である。ユーザー端末5は、例えばファイブジー(5G)のような高性能・多機能のスマートフォンが望ましい。
【0057】
<第1サーバ2>
サーバ装置は、例えば
図7で示すように、例えば物件UUID、部屋ID等を利用して生成した物件情報aを第1記憶部2bに記録する共用部側の第1サーバ2と、この第1サーバとネットワークNを介して連携して前記物件情報aを取得する専用部側の第2サーバ3とから構成され、前記第2サーバ3が、少なくともユーザー認証用の鍵情報bをスマートロック1に付与することができる。
【0058】
図5は、サーバ装置を構成する第1サーバ2の一例を示すブロック図である。この第1サーバ2は、例えばユーザー端末5と無線方式により、通信可能な共用部側電気錠装置25と接続している。
【0059】
さて、
図5に於いて、21は物件情報入力部で、この物件情報入力部21は、例えば神奈川県横浜市の某団地に合計10棟の低層・中層・高層の各マンションが存在する場合には、某団地の標識的な建物の名称又はその所在地(例えば横浜市00区0丁目1番)、某団地に属する10個の棟番或いは番地(0号)、各棟の共用部のゲート(位置情報)、各棟の専有部或いは部屋(101号、102号等の位置情報)等の初期的な物件情報を入力する。
【0060】
2aは物件情報生成部で、この物件情報生成部2aは、前記初期的な物件情報の中で、少なくとも物件UUID、部屋ID等に基づき、例えば1番の建物+1番の建物に含まれる1号棟+1号棟に含まれる101号の専有部、或いは某団地+1号棟+101号の部屋、何々区+某団地+1号棟+101号の部屋、何々市+何々区+某団地+1号棟+101号の部屋、何々県+何々市+何々区+某団地+1号棟+101号の部屋等の物件に関する複数個のIDが関連付けられた物件情報aを生成する(
図9を参照)。
【0061】
この物件情報生成部2aで生成された物件情報は、例えば何々市の某団地に関する第1テーブルT1、某団地の各棟番に関する第2テーブルT2、各号の専有部や部屋に関する第2テーブルT3、その他管理室等に関するnテーブルTnの如く管理されている。
23は制御部で、 制御部23は、周知の如く、CPU(Central Processing Unit)が、メモリ、第1記憶部2b等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能を発揮する。この機能手段については周知技術なので、ここでは可能な限り簡単に説明する。
【0062】
前記第1記憶部2bは物件情報生成部2aで生成した物件情報aを記録する。24は物件情報出力部で、ネットワークを介して第2サーバ3に前記物件情報aを与える(送信)。この物件情報出力部24と前述した物件情報入力部21は、いわゆる通信装置を構成するものであるから、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置21、24は、前記第2サーバ3のみだけではなく、前述した設定業者端末4やユーザー端末5との間で各種情報又は各種データを送受信することもできる。
【0063】
ところで、実施形態では、第1記憶部2bは、主として共用部の施・解錠装置用のデータを保有するものなので、第2サーバ3の如く、鍵情報を保有せず、該鍵情報は前記第2サーバ3に保有させ、第2サーバ3との間で物件情報、該鍵情報の保有に関して互いに連携させている。
【0064】
したがって、第1サーバが停電、事故、設定業者端末或いはユーザー端末からの要求等により必要な場合には、第2サーバ3から前記鍵情報を貰う(受信)こともできる。
【0065】
なお、第1記憶部2bは、ハードディスク等で構成され、制御部23における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報及び処理結果の情報を記憶する。また第1サーバ2は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができる。第1サーバ2は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、又は設置型の第1サーバと携帯型の第1サーバの組み合わせ等複数の情報処理装置により構成しても良い(実施形態ではノートパソコンが物件情報生成部である)。その他第1サーバ2は、当然、出力部としての表示出力部、音声出力部等を備えるもことができる。
【0066】
ここでは、特に図示しないが、特許文献1と同様に、第1サーバ2は共用部側電気錠装置25と有線又は無線で接続する。共用部側電気錠装置25は、公知技術であり、建物6のエントランス(例えばマンションの入口)などの共用部に配設され、情報読書部、記憶部、錠制御部、共用部のゲート用施・解錠装置、電源部等を備えている。前記各部の機能は周知技術なので、ここでは割愛する(特許文献1の段落0028、0029、0030等を参照)。
【0067】
<第2サーバ3>
図6は第2サーバ3のブロック図である。第2サーバ3も、第1サーバ2と同様の通信部(3a、3c)、制御装置27、第2記憶部3b等のハードウェアを備えている。したがって、前記通信部、制御部の説明は第1サーバ2のそれらの説明を援用し、ここでは各部の構成を簡単に図示する。
【0068】
図6に於いて、3aは物件情報を受付ける物件情報受信部(入力部)、この物件情報受信部3aはネットワークNを介して第1サーバ2からの物件情報aを受付ける。好ましい実施形態では、物件情受信部報3aは、少なくとも物件UUIDと部屋IDを含む「物件情報」aと、共用部鍵情報(ここでは、便宜上、「論理ID」とも言う)を同時又は異時に受付ける。27は制御装置である。この制御装置27の機能は第1サーバ2の制御部23と同様である。
【0069】
3bは第2記憶部である。この第2記憶部3bは「物件情報a」、「論理IDc」、「認証に必要な鍵情報b」、その他、第1サーバ2、ユーザー端末5、自己の識別情報等のその他の識別情報d等を有する。
【0070】
なお、前記認証に必要な鍵情報bは、管理者が所持する携帯端末(例えばノートパソコン、スマートフォン等)28からネットワークNを介して貰うことができる。その他、特に図示しないが、前記各情報は、第1サーバ2と同様に、乱数や変数を用いてテーブル化され、かつ管理されている。
【0071】
29は認証手段で、この認証手段29は、例えばユーザー端末5から通信により「物件情報a」、「鍵情報b」、「論理IDc」等の要求があった場合には、ユーザー端末5の端末情報と前述したユーザー端末5の登録済み識別情報とが適合するか否かを判定するものである。
【0072】
3cは識別情報等の送信手段で、この送信手段3cは、例えば建物6の新築時、設定業者端末4又はスマートロック1に対して、少なくとも鍵情報bを送信する。この点について付言すると、設定業者側は、第2サーバ3から前記設定業者端末4に直接又はスマートロック1を介して前記鍵情報bを貰った場合、施工現場で前記設定業者端末4を用いてスマートロック1に対して物件情報aと鍵情報bを与える。例えば典型的には無線方式で送信する態様である。現場で具体的に紐付する場合、設定業者端末4を用いて適宜に実行する他、設定業者がスマートロック1に対して物件情報aと鍵情報bを施工により与えることもできる。例えばスマートロック1の適宜箇所に埋め込み方式で設置する態様である。この態様は、設定用スマホの表示画面から物件UUIDと部屋ID等を入力し、近距離無線通信(Bluetoothなど)によって、スマートロック1側の書き込み可能なメモリに書き込むことである。
【0073】
さらに、実施形態如何によっては、第2サーバ3側で既に物件情報aに鍵情報bを紐付し、それを適宜時期にスマートロック1に与えることもできる。なので、物件情報aと鍵情報bを紐付する時期、場所、権原を有する者等は任意に選択可能である。
【0074】
なお、前記紐付をする際又は建物6の入口7にスマートロック1を設置した際、第1サーバ2から又はスマートロック1或いは又設定業者端末5からの要求により、適宜時期にスマートロック1に送信する。なお、前記物件情報受信部3aと識別情報等の送信手段3cは、第1サーバ2の通信装置の機能と同様である。
【0075】
<新築時の紐付>
新築時の紐付は、設定業者(例えば権原を有するSD店)が行う。この第1実施形態では、建物の新築時の紐付の際、設定業者端末4がスマートロック1に対して物件情報を与える。
【0076】
後述の第2実施形態では、クラウド的な第2サーバが前記スマートロック1に対して、少なくとも鍵情報bを与える。
【0077】
以下、
図7のフローチャートを参照にして新築時の紐付について説明する。新築時、つまり、物件の立ち上げ時は、インターネットを含むネットワークNの回線がないため、ローカル的な第1サーバ2を利用して物件作成を行う。なお、第1サーバ2は、例えば出願人が製造した「VERSA2Manager」である。
【0078】
(ステップSP1)
実施形態の第1サーバ2は、前述したように、物理的に設置型第1サーバ2aと携帯型第1サーバ2bに区分けされている。前記携帯型第1サーバ2bは、例えばノートパソコンであり、建物に関する物件情報を入力する。前記物件情報aは、例えば適宜なソフトウェアを利用して生成される。生成された物件情報aは携帯型第1サーバ2bの表示部に、例えば二次元コードとして表示することができる。
【0079】
(ステップSP2)
通信端末である設定業者端末4は、実施形態では前記携帯型第1サーバ2b(実施形態如何によっては携帯型第1サーバ2bからでも良い)から二次元コードを直接又はネットワークNを介して間接的に取得する。例えば設定業者端末4が携帯型第1サーバ2bの表示部から前記二次元コードを読み取ると、前記携帯型第1サーバ2bはWeb上の情報に瞬時にアクセスすることができる。それ故に、実施形態如何によっては、設定業者端末4は「シリアルNo」も製品や包装箱、用紙等から読み取ることもできる。
そこで、設定業者は所持している設定業者端末4を操作して携帯型の第1サーバ2b側の物件情報aを取り組むことができる。
【0080】
(ステップSP3)
物件情報等を取り組んだ設定業者端末4は、少なくとも物件情報aを、設定業者端末4の通信手段を利用してスマートロック1に対して前記物件情報aを与える。これにより、データが空っぽのスマートロック1は、記憶部1bに前記物件情報aを記録することができる。なお、実施形態如何によって、設定業者端末4は通信手段を問わず、論理ID、鍵情報等を取得し、スマートロック1にこれらの情報も与えることも可能である。
【0081】
(ステップSP4)
ステップSP4は、携帯型第1サーバ2bから直接(例えば差込型の記憶媒体を利用)又は間接的(例えば通信を利用)に前記物件情報aを据え置き型の第1サーバ2aに対してアプロードする。換言すると、携帯型第1サーバ2bは、据え置き型の第1サーバ2aに前記物件情報aを与える(記憶媒体を差し込む又は送信する)。
【0082】
(ステップSP5)
ステップSP5は、第1サーバ2と第2サーバ3との連携である。実施形態では第1サーバ2と第2サーバ3の連携は、ネットワークNを介して行われる。しかして、第1サーバ2が保有している物件情報a、さらに、実施形態如何によっては「論理ID」cを、物件情報出力部24から第2サーバ3の物件情報受信部3aに送信する。これにより、前記第2サーバ3は、自己が保有している鍵情報bに加えて前記「物件情報」aと共に、「論理ID」cを保有する。
【0083】
なお、他の実施形態では、物件情報aと論理ID(例えば共用部鍵情報)と、鍵情報bを与える(送信する)が、本発明の付随的な発明の課題との関係では、他の実施形態のように、物件情報aと論理ID(例えば共用部鍵情報)cに加え、認証用の鍵情報bを送信するのが望ましい。このように第1サーバ2aと第2サーバ3は、物件情報a、論理ID、鍵情報b等の識別情報を互いに与える、貰う態様で連携することが可能になる。
【0084】
(ステップSP6)
ステップSP6は、前記物件情報aと紐付可能な又は紐付されたいずれか一方の前記鍵情報bを、ネットワークNを介してスマートロック1に送信する。
【0085】
この場合、新築時の紐付は、例えば(イ)設定業者を含む設定業者端末4が紐付作業をする態様と、(ロ)クラウド的な第2サーバ3の制御装置27が第2記憶部3bの記憶情報に基づいて物件情報aに鍵情報bを紐付する態様がある。
【0086】
本実施形態では、前記(イ)又は前記(ロ)がいずれか一方が適宜に採用される。前者の態様の場合、設定業者(SD店)だけで、例えば物件情報aと鍵情報b、又は物件情報aと鍵情報bと論理IDcの紐付が現場で可能となる。
【0087】
なお、付随的な発明の課題、例えばユーザー端末5が共用部と専有部の両方のゲートで使えるようにするという目的の関係では、スマートロック1に「論理ID」cも鍵情報bと共に送信するのが望ましい。
【0088】
ところで、好ましい実施形態では、このステップSP6で、スマートロック1の初期化を行う。この初期化作業は、第2サーバ3とスマートロック1とを確実に連携させるためである。その理由は、実務的な話ではあるが、色々な機種のスマートロック1が市場に存在するので、スマートロック1を購入したユーザー端末(顧客)との間で契約を種別にする必要性があるからである。
【0089】
(ステップSP7)
最後に、ステップSP7は、建物6に入居する入居者、建物を管理する管理者等正当な権原を有するユーザー端末5に「鍵情報」を与える。付言すると、ユーザー端末5は、ネットワークNを介して第2サーバ3から自己の建物6の共用部の鍵情報を貰い、第2サーバ3は、前記ユーザー端末5がアクセスした場合、当該ユーザー端末5の識別情報とサーバに登録されている端末識別情報に基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、前記ネットワークNを介して、前記ユーザー端末にスマートロック1の「鍵情報(専有部の鍵情報)のみならず、前記建物6の共用部の鍵情報(論理ID)も与えることができ、これにより、ユーザー端末5は共用部電気装置25とスマートロック1の両方に対して使用が可能になる。
【0090】
図8は第2実施形態の全体構成のフローチャートを示す概略説明図である。なお、第2実施形態は、分割出願等を視野に入れたもので、本件明細書に簡単に記載し、第1実施形態と主要部が共通する範囲でクレームする。また第1実施形態と同一部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略(援用)する。
【0091】
この第2実施形態の情報処理装置X1が前記情報処理装置Xと異なる点は、前記情報処理装置Xの鍵情報の設定は、建物の新築時の話であるのに対して、この情報処理装置X1は、新築後の既設時の紐付の際の話である。従って、設定業者端末ではなく、ユーザー端末5がスマートロック1に対してa物件情報を与えることができる。
【0092】
(ステップSP1、ステップSP2)
ユーザー端末5は、第1認証装置40に対して物理KEY(いわゆる機械的な差込キーのこと)の認証をしてもらい(ステップSP1)、該認証が成立したならば「ID」を、第1認証装置40から取得する段階である。
【0093】
(ステップSP3、ステップSP4)
ステップSP3は、前記「ID」を保有するユーザー端末5は、ネットワークNを介して第1サーバ2に問い合わせ(物件UUID、物件情報等の要求)する。ステップSP4は前記「ID」の認証を実行し、認証が正当ならば、物件UUID、物件情報等をユーザー端末5に与える。
【0094】
(ステップSP3A)
ステップSP3Aは、ユーザー端末5が保有している前記物件UUID、物件情報等をスマートロック1に対して与える。前述したように、スマートロック1は初期化されており、物件UUID、物件情報等を覚えていない「空っぽ」の装置である。「前記与える」は、第1実施形態と同様に、スマートロック1に対するユーザー端末5の通信手段を利用してスマートロック1に対して、少なくとも前記「二つの情報」を与える。
【0095】
なお、ステップSP5、ステップSP6及びステップSP7は、第1実施形態と同じである。従って、この第2実施形態も、発明の主たる課題を達成することができると共に、二次的には、建物6に入居する入居者、建物を管理する管理者等正当な権原を有するユーザー端末5に「鍵情報」を与えることができる。そして、ユーザー端末5は、ネットワークNを介して第2サーバ3から自己の建物6の共用部の鍵情報を貰い、第2サーバ3は、前記ユーザー端末5がアクセスした場合、当該ユーザー端末5の識別情報とサーバに登録されている端末識別情報に基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、前記ネットワークNを介して、前記ユーザー端末にスマートロック1の認証用鍵情報bのみならず、前記建物6の共用部の鍵情報(論理ID)cも与えることができ、これにより、ユーザー端末5は共用部電気装置25とスマートロック1の両方に対して使用が可能になる。
【0096】
<付記1>
サーバ装置の視点から本発明を把握した場合、物件としての建物の入口に設置され、前記建物を利用するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロックと通信可能なサーバ装置であって、前記サーバ装置は、設定業者端末28に与えることができる建物及び部屋を特定する物件情報a又は前記ユーザー端末5に与えることができる建物及び部屋を特定する物件情報aのいずれか一方と、少なくとも前記物件情報aに紐付け可能な鍵情報bを自己の記憶部に保有している。そして、前記サーバ装置は、前記物件情報aに紐付け可能な建物の共用部の鍵情報cを生成(建物の共用部の鍵情報生成手段)し、前記ネットワークを介して、少なくとも前記設定業者端末28又はユーザー端末5のいずれかに、前記建物の共用部の鍵情報cを与える(建物の共用部の鍵情報送信手段)ことを特徴とする。
【0097】
そして、上記構成に於いて、前記サーバ装置は、第1サーバ2と、この第1サーバと連携する第2サーバ3とを備え、前記第1サーバ2は物件情報aを記憶する第1記憶部2b(物件情報記憶手段)を有し、一方、前記第2サーバ3は前記第1サーバから貰った前記物件情報aを記憶する第2記憶部3bを有し、前記第2サーバ3が前記スマートロック1に、少なくとも鍵情報bを送信する(鍵情報送信手段)。
【0098】
付言すると、前記第1サーバ2は、前記第1記憶部2bに前記建物の共用部の入口の共用部鍵情報を記録し(建物の部屋の共用部鍵情報記録手段)、一方、前記第2サーバ3は前記第2記憶部3bに前記建物の部屋の専有鍵情報を記録(建物の部屋の専有鍵情報記録手段)し、前記第1サーバは、前記共用部鍵情報を前記第2サーバに前記ネットワークNを介して与える。そして、前記第2サーバは、前述し如く、ユーザー端末5に前記建物の部屋の専有鍵情報のみならず、共用部鍵情報を与える(鍵情報送信手段)ことができる。
【0099】
<付記2>
プログラムの視点から本発明を把握した場合、プログラムは、コンピュータに、物件しての建物の入口に設置され、前記建物を利用するユーザー端末5から送信される鍵情報と自己の記憶部1bに登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、解錠指令を指示するスマートロック1に対して、前記建物の新築時の紐付の際、又は前記建物の新築後の既設時の紐付の際、前記スマートロック1に対して、少なくとも鍵情報を送信するか否かを認証手段29で判定する処理を実行する物の発明である。
【0100】
<付記3>
情報処理方法の視点から本発明を把握した場合、情報処理方法は、物件しての建物に設置され、前記建物の入口を利用する正当な権原を有するユーザー端末から送信される鍵情報と自己の記憶部に登録されている鍵情報とに基づき認証を実行し、前記認証が成功した場合に、ゲート用の解錠指令を指示するスマートロックに対する前記鍵情報を設定する情報処理方法であって、前記情報処理方法には、前記スマートロックとネットワークを介して連携するサーバ装置を含み、前記サーバ装置は、物件情報を生成し、かつ該物件情報を第1サーバの第1記録部に記録するステップと、前記ネットワークを介して連携する第2サーバに前記物件情報を与えるステップと、前記第2サーバから、前記スマートロックに対して前記物件情報に紐付可能な、又は前記物件情報に紐付されたいずれか一方の鍵情報を送信するステップを含む。
【0101】
そして、前記情報処理方法に於いて、前記鍵情報を設定するに際に、前記建物の新築時、前記サーバ装置から前記物件情報を貰った設定業者端末が関与し、該設定業者端末は前記物件情報を前記スマートロックに付与するステップを含むことを特徴とする。又は、前記鍵情報を設定するに際に、前記建物の新築後における既成設定時、前記サーバ装置から前記物件情報を貰ったユーザー端末関与し、該ユーザー端末は前記物件情報を前記スマートロックに付与するステップを含むことを特徴とする。
【0102】
<付記4>
スマートロック1に対する初期化作業時は、(イ)サーバ又はユーザー端末で鍵情報を生成してスマートロックに付与するパターンと、(ロ)錠毎にユニークなIDを割り振り工場出荷時に錠に登録させて、サーバにも同一のIDを記録させて、初期化作業時にユーザー端末を介してスマートロックとサーバとの連携をとるパターンがある。
【0103】
<付記5>
好ましい実施形態では、設定業者端末4またはユーザー端末5は、スマートロック1に付与された物件情報aを読み取り、サーバに保存されている物件情報と照合して対応する論理ID(共用部鍵情報)をスマートロック1及びユーザー端末5に付与する。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、スマートロックを設置する建具の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0105】
X、X1…情報処理装置、
1…スマートロック、
1b…スマートロックの記憶部、
17…スマートロックの制御部、
2…第1サーバ、
2a…物件情報生成部、
2b…物件情報の第1記憶部、
3…第2サーバ、
3a…物件情報受信部、
3b…物件情報の第2記憶部、
3c…第2サーバの識別情報等の送信手段、
6…建物、
7…入口(ゲート)、
21…第1サーバの物件情報入力部
23…第1サーバの制御部、
24…第1サーバの物件情報出力部、
27…第2サーバの制御装置、
29…第2サーバの認証手段、
4…設定業者端末、
5…ユーザー端末、
32…ユーザー端末の記憶部、
N…ネットワーク、
a…物件情報、
b…鍵情報、
c…論理ID(共用部の鍵情報)、
d…その他の識別情報。