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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094023
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】シャッター機構およびラベル加熱装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/02 20060101AFI20230628BHJP
【FI】
B65B53/02 Z
B65B53/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209220
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊貴
(57)【要約】
【課題】ラベル加熱装置のシャッター部材を効率良く移動させることが可能なシャッター機構を提供する。
【解決手段】シャッター機構は、ラベル加熱装置の内壁面に対して移動可能なシャッター部材300と、シャッター部材300を、シャッター部材300の第1の孔と内壁面の第2の孔とが重なる第1の位置と、第1の孔と第2の孔とがずれる第2の位置との間で移動させる棒状の操作部材600とを備える。第1の位置では内壁面から熱風が吹き出し、第2の位置では熱風の吹き出しが遮断される。操作部材600は、回転軸を中心として第1の方向と第1の方向とは反対の第2の方向とに回転可能に支持されている。操作部材600を第1の方向に回転させると、シャッター部材300は第1の位置から第2の位置に向かう第3の方向に移動し、操作部材600を第2の方向に回転させると、シャッター部材300は第3の方向とは逆の第4の方向に移動する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル加熱装置の本体部に取り付けられるシャッター機構であって、
第1の孔が形成され、かつ、前記本体部の内壁面に対して移動可能に取り付けられたシャッター部材と、
前記シャッター部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させる棒状の操作部材とを備え、
前記第1の位置では、前記第1の孔と前記内壁面に形成された第2の孔とが重なることにより前記内壁面から熱風が吹き出し、前記第2の位置では、前記第1の孔と前記第2の孔とがずれることにより前記内壁面からの熱風の吹き出しが遮断され、
前記操作部材は、回転軸を中心として第1の方向と前記第1の方向とは反対の第2の方向とに回転可能に支持されており、
前記操作部材を前記第1の方向に回転させると、前記シャッター部材は前記第1の位置から前記第2の位置に向かう第3の方向に移動し、
前記操作部材を前記第2の方向に回転させると、前記シャッター部材は前記第3の方向とは逆の第4の方向に移動する、シャッター機構。
【請求項2】
前記シャッター部材と前記操作部材とは、互いに直交している、請求項1に記載のシャッター機構。
【請求項3】
前記シャッター部材は、前記第1の孔が形成された第1の部位と、前記第1の部位から前記本体部の外部に延びた第2の部位とを含み、
前記第2の部位には、前記操作部材が貫通する第1の開口が形成され、
前記第1の開口の縁部は、前記操作部材を前記第1の方向および前記第2の方向に回転させたときに、前記操作部材と係合する係合面を有し、
前記操作部材と前記係合面との係合により、前記シャッター部材は、前記第3の方向および前記第4の方向のうち、前記操作部材の回転方向に応じた方向に移動する、請求項2に記載のシャッター機構。
【請求項4】
前記縁部は、前記係合面として、
前記操作部材を前記第1の方向に回転させたときに、前記操作部材によって前記第3の方向に力が作用する第1の傾斜面と、
前記操作部材を前記第2の方向に回転させたときに、前記操作部材によって前記第4の方向に力が作用する第2の傾斜面とを有する、請求項3に記載のシャッター機構。
【請求項5】
前記操作部材は、横断面が中空円状の第3の部位と、前記第3の部位よりも前記シャッター部材側に位置し、かつ横断面が円弧状の第4の部位とを含み、
前記第4の部位と、前記第1の傾斜面および前記第2の傾斜面とが係合する、請求項4に記載のシャッター機構。
【請求項6】
前記第4の部位は、内周面と、外周面と、各々が前記内周面と前記外周面とに挟まれた第1の端面および第2の端面とを有し、
前記操作部材を前記第1の方向に回転させると、前記第1の端面と前記第1の傾斜面とが係合し、
前記操作部材を前記第2の方向に回転させると、前記第2の端面と前記第2の傾斜面とが係合する、請求項5に記載のシャッター機構。
【請求項7】
ラベル加熱装置であって、
熱源を有する本体部と、
前記本体部に取り付けられるシャッター機構とを備え、
前記シャッター機構は、
第1の孔が形成され、かつ、前記本体部の内壁面に対して移動可能に取り付けられたシャッター部材と、
前記シャッター部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させる棒状の操作部材とを備え、
前記第1の位置では、前記第1の孔と前記内壁面に形成された第2の孔とが重なることにより前記内壁面から熱風が吹き出し、前記第2の位置では、前記第1の孔と前記第2の孔とがずれることにより前記内壁面からの熱風の吹き出しが遮断され、
前記操作部材は、回転軸を中心として第1の方向と前記第1の方向とは反対の第2の方向とに回転可能に支持されており、
前記操作部材を前記第1の方向に回転させると、前記シャッター部材は前記第1の位置から前記第2の位置に向かう第3の方向に移動し、
前記操作部材を前記第2の方向に回転させると、前記シャッター部材は前記第3の方向とは逆の第4の方向に移動する、ラベル加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シャッター機構およびラベル加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱により容器の外周面に熱収縮ラベルを密着させるラベル加熱装置が知られている。たとえば、実開平6-57807号公報(特許文献1)には、このようなラベル加熱装置として、風量調節が可能な熱収縮フィルム式包装機が開示されている。
【0003】
当該熱収縮フィルム式包装機は、内壁に熱風吹出口を有する加熱収縮処理トンネルと、内壁にスライド自在に設けられ熱風吹出口の開口広さを規制する風量調節用シャッターとを備えている。当該熱収縮フィルム式包装機では、風量調節用シャッターの少なくとも一方の外端部が、加熱収縮処理トンネル外へ延ばして設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6-57807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される風量調節用シャッターは、熱風により加熱される。その結果、風量調節用シャッターの温度は上昇する。それゆえ、少なくとも熱風が熱風吹出口から吹き出しているときには、風量調節用シャッターをスライドさせるためには操作器具を用いる必要がある。具体的には、風量調節用シャッターの外部端に対して、操作器具によりスライド方向の力を作用させる必要がある。
【0006】
本開示は、ラベル加熱装置のシャッター部材を効率良く移動させることが可能なシャッター機構、および、当該シャッター機構を備えたラベル加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、シャッター機構は、ラベル加熱装置の本体部に取り付けられる。シャッター機構は、第1の孔が形成され、かつ、本体部の内壁面に対して移動可能に取り付けられたシャッター部材と、シャッター部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させる棒状の操作部材とを備える。第1の位置では、第1の孔と内壁面に形成された第2の孔とが重なることにより内壁面から熱風が吹き出す。第2の位置では、第1の孔と第2の孔とがずれることにより内壁面からの熱風の吹き出しが遮断される。操作部材は、回転軸を中心として第1の方向と第1の方向とは反対の第2の方向とに回転可能に支持されている。操作部材を第1の方向に回転させると、シャッター部材は第1の位置から第2の位置に向かう第3の方向に移動する。操作部材を第2の方向に回転させると、シャッター部材は第3の方向とは逆の第4の方向に移動する。
【0008】
本開示の他の局面に従うと、ラベル加熱装置は、熱源を有する本体部と、本体部に取り付けられるシャッター機構とを備える。シャッター機構は、第1の孔が形成され、かつ、本体部の内壁面に対して移動可能に取り付けられたシャッター部材と、シャッター部材を第1の位置と第2の位置との間で移動させる棒状の操作部材とを備える。第1の位置では、第1の孔と内壁面に形成された第2の孔とが重なることにより内壁面から熱風が吹き出す。第2の位置では、第1の孔と第2の孔とがずれることにより内壁面からの熱風の吹き出しが遮断される。操作部材は、回転軸を中心として第1の方向と第1の方向とは反対の第2の方向とに回転可能に支持されている。操作部材を第1の方向に回転させると、シャッター部材は第1の位置から第2の位置に向かう第3の方向に移動する。操作部材を第2の方向に回転させると、シャッター部材は第3の方向とは逆の第4の方向に移動する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ラベル加熱装置のシャッター部材を効率良く移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ラベル加熱装置を説明するための断面図である。
図2】シャッター機構の上面図である。
図3図2のIII線矢視図である。
図4】フレーム部材の正面図である。
図5図4のV線矢視図である。
図6図4のVI線矢視図である。
図7】操作部材の上面図である。
図8図7のVIII線矢視図である。
図9図7のIX線矢視図である。
図10】係合部材の正面図である。
図11図10のXI線矢視図である。
図12図10のXII線矢視図である。
図13】操作部材によるシャッター部材の開閉操作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
以下では、ラベル加熱装置として、容器の外周面に装着された熱収縮ラベル(シュリンクラベル)を加熱することにより、容器に熱収縮ラベルを固定するラベル加熱装置を例に挙げて説明する。また、以下では、「上流側」と「下流側」との用語は、容器の搬送方向を基準とした用語である。
【0013】
<A.ラベル加熱装置>
図1は、本実施の形態のラベル加熱装置を説明するための断面図である。図1に示されるように、ラベル加熱装置1は、コンベヤ装置10と、本体部20と、複数のシャッター機構30A,30B,30C,30Dとを備える。
【0014】
各シャッター機構30A,30B,30C,30Dは、シャッター部材300と、操作部材600と、支持部材802とを含む。シャッター部材300は、第1の部品としてのフレーム部材500を有する。各シャッター機構30A,30B,30C,30Dは、本体部20に取り付けられている。以下では、説明の便宜上、複数のシャッター機構30A,30B,30C,30Dのうちの任意の一つのシャッター機構を、「シャッター機構30」とも称する。
【0015】
コンベヤ装置10は、本体部20に取り付けられている。コンベヤ装置10は、本体部20の内部空間(トンネル)を貫くように設置されている。コンベヤ装置10は、ラベル95が装着された容器90を搬送する。コンベヤ装置10は、本体部20の入口から出口の方向(X軸の正方向)に複数の容器90を順次搬送する。
【0016】
本体部20は、内壁面21と、複数のガイド部材22と、熱源(図示せず)とを備える。熱源は、本体部20内に設置されている。
【0017】
内壁面21には、複数の吹出口(第2の孔)220がマトリクス状に形成されている。具体的には、内壁面21には、各ガイド部材22に沿って水平方向(X軸方向,横方向)に一定間隔で、所定数の吹出口220が形成されている。本例では、横方向に12個、縦方向(Z軸方向)に4個の計48個の吹出口220が、内壁面21に形成されている。
【0018】
内壁面21には、シャッター機構30の移動範囲を制限する凸部230が、シャッター機構30毎に2つ形成されている。本例では、X軸方向に並んだ12個の吹出口220を挟む位置に、1組の凸部230(2つの凸部230)が形成されている。
【0019】
各ガイド部材22は、内壁面21に設置されている。各ガイド部材22は、シャッター機構30をスライド可能に支持する。複数のガイド部材22は、上下方向に、互いに平行に配置されている。各ガイド部材22にも、熱風を通過させるため、吹出口220に対応する位置に開口(図示せず)が形成されている。
【0020】
各フレーム部材500は、内壁面21に対して移動可能に取り付けられている。各フレーム部材500は、長手方向において、端部581,582を有する。端部581は、容器90の搬送経路の下流側の端部である。端部582は、容器90の搬送経路の上流側の端部である。フレーム部材500は、端部582側において本体部20の外部(トンネルの外側)に延びている。本例では、フレーム部材500は、搬送経路の上流側に位置する部分が本体部20の外部に延びている。
【0021】
各フレーム部材500には、複数の孔(第1の孔)520と、2つの開口530とが形成されている。具体的には、各フレーム部材500には、複数の吹出口220の間隔(ピッチ)と同じ間隔で、複数の孔520がX軸方向に形成されている。本例では、各フレーム部材500には、12個の孔520が形成されている。開口530には、内壁面21に形成された凸部230が係合する。これにより、フレーム部材500のX軸方向への移動が凸部230によって規制される。
【0022】
シャッター機構30C,30Dのように、フレーム部材500の端部582が位置Poにある場合には、孔520と内壁面21に形成された吹出口220とが重なる。それゆえ、熱源によって加熱された本体部20内の空気(熱風)は、内壁面21からトンネル内に吹き出す。これにより、容器90のラベル95は熱せられる。その結果、ラベル95は収縮する。
【0023】
シャッター機構30A,30Bのように、フレーム部材500の端部582が位置Pcにある場合には、孔520と内壁面21に形成された吹出口220とがずれる。それゆえ、フレーム部材500によって、内壁面21からの熱風の吹き出しが遮断される。
【0024】
以下では、説明の便宜上、シャッター機構30におけるシャッターの開閉状態に関し、フレーム部材500の端部582が位置Poに位置する状態を、「開状態」とも称する。フレーム部材500の端部582が位置Pcに位置する状態を、「閉状態」とも称する。また、フレーム部材500の端部582が位置Poにあるときを、「シャッターが開状態となる位置」(第1の位置)とも称する。フレーム部材500の端部582が位置Pcにあるときを、「シャッターが閉状態となる位置」(第2の位置)とも称する。シャッター部材300は、位置Pcと位置Poとの間の距離LだけX軸方向に移動可能である。
【0025】
詳細については、後述するが、ラベル加熱装置1のオペレータが操作部材600を操作することにより、シャッター部材300は、シャッターが開状態となる位置とシャッターが開状態となる位置との間で移動する。
【0026】
<B.シャッター機構>
図2は、シャッター機構30の上面図である。図3は、図2のIII線矢視図である。なお、図2および図3では、フレーム部材500の端部582が、図1で示した位置Pcと位置Poとの中間に位置する場合を示している。
【0027】
図2および図3に示されるように、シャッター機構30は、シャッター部材300と、操作部材600と、支持部材802とに加えて、支持部材801をさらに備える。シャッター部材300は、フレーム部材500に加えて、第2の部品としての係合部材700をさらに有する。シャッター部材300と操作部材600とは、互いに直交している。
【0028】
本例では、フレーム部材500は、横断面がコの字状(U字状)を有する。フレーム部材500は、金属の板状部材(プレート)をコの字状にプレスするプレス加工、複数の孔520と2つの開口530とを開ける切削加工等により形成される。
【0029】
シャッター部材300は、複数の孔520が形成された下流側部位(第1の部位)301と、下流側部位301から本体部20の上流側かつ外部に延びた上流側部位(第2の部位)302とを含む。本例では、下流側部位301は、フレーム部材500の下流側の部位である。上流側部位302は、フレーム部材500の上流側の部位と、係合部材700とを合わせた部位である。
【0030】
係合部材700は、フレーム部材500に固定した状態で取り付けられている。詳しくは、図3に示すように、係合部材700は、フレーム部材500に嵌め込まれた状態でフレーム部材500に取り付けられている。係合部材700は、フレーム部材500の端部582側に取り付けられている。詳細については後述するが、係合部材700は、操作部材600と係合する。
【0031】
操作部材600は、棒状の部材である。操作部材600は、ハンドルシャフトである。操作部材600は、パイプの一部を加工したものである。詳しくは、操作部材600は、横断面が中空円状の手元側部位601と、手元側部位601よりもシャッター部材300側に位置し、かつ横断面が円弧状の先端側部位602とを含む。手元側部位601は、ユーザが操作部材600を把持するための把持部601aを有する。
【0032】
操作部材600は、ラベル加熱装置1のオペレータによって操作される。操作部材600は、回転軸Axを中心に回転する。操作部材600は、シャッター部材300をシャッターが開状態となる位置(フレーム部材500の端部582が位置Po(図1)となる位置)とシャッターが閉状態となる位置(端部582が位置Pcとなる位置)との間で移動させる。
【0033】
支持部材801,802は、操作部材600を回転可能に支持する。詳しくは、支持部材801,802には、操作部材600の横断面よりも大きな開口(図示せず)が形成されている。操作部材600は、当該開口を貫通した状態で設置されている。
【0034】
詳しくは、操作部材600は、回転軸Axを中心として、Y軸の負側からY軸の正側の方を見て時計周りの方向(図1の矢印901の方向,第1の方向)と、Y軸の負側からY軸の正側の方を見て反時計周りの方向(図1において矢印902の方向,第2の方向)とに回転可能に支持されている。
【0035】
再び、図1を参照して、オペレータが操作部材600を矢印901の方向に回転させると、シャッター部材300は、閉状態の位置から開状態の位置に向かう方向(X軸の正方向,第3の方向)に移動する。すなわち、シャッター部材300は、下流側(図1において右側)に移動する。
【0036】
オペレータが操作部材600を矢印902の方向に回転させると、シャッター部材300は、開状態の位置から閉状態の位置に向かう方向(X軸の負方向,第4の方向)に移動する。すなわち、シャッター部材300は、上流側(図1において左側)に移動する。
【0037】
以下、操作部材600の回転によってシャッター部材300を移動させる具体的な機構について説明する。
【0038】
<C.フレーム部材>
図4は、フレーム部材500の正面図である。図5は、図4のV線矢視図である。図6は、図4のVI線矢視図である。
【0039】
図4図6に示されるように、フレーム部材500には、複数の孔520と、2つの開口530とに加えて、開口(第2の開口)540が形成されている。フレーム部材500は、各々がX軸方向に伸びた、壁部511と、上端部512と、下端部513とを有する。壁部511は、法線がY軸方向に平行である。壁部511は、上端部512と、下端部513とにつながっている。なお、上端部512と下端部513との各々の法線は、Z軸に平行である。
【0040】
開口540は、端部582側に形成されている。開口540は、壁部511に形成されている。操作部材600は、開口540を貫通する。詳しくは、操作部材600の先端側部位602(図2図3)が開口540を貫通する。開口540は、後述する係合部材700の開口701よりも大きい。
【0041】
<D.操作部材>
図7は、操作部材600の上面図である。図8は、図7のVIII線矢視図である。図9は、図7のIX線矢視図である。
【0042】
図7図9に示すように、操作部材600は、長手方向において端部681,682を有する。端部681は、オペレータの手元側の端部である。端部682は、先端側の端部である。先端側部位602は、内周面621と、外周面622と、各々が内周面621と外周面622とに挟まれた端面(第1の端面)623および端面(第2の端面)624とを有する。
【0043】
内周面621は、外部に露出している。内周面621の回転軸Axに垂直な断面は、図9に示すように円弧上である。本例では、円弧の中心角は約180度である。端面623と端面624とは、平行であり、かつ、回転軸Axを含む同一の平面に含まれる。
【0044】
<E.係合部材>
図10は、係合部材700の正面図である。図11は、図10のXI線矢視図である。図12は、図10のXII線矢視図である。
【0045】
図10図12に示されるように、係合部材700は、X軸方向において、端部781と端部782とを有する。端部781は、端部782よりも本体部20側である。係合部材700には、係合部材700をフレーム部材500に固定するためのボルト穴751,752が形成されている。ボルト穴751は、端部781側に形成されている。ボルト穴752は、端部782側に形成されている。
【0046】
係合部材700には、操作部材600が貫通する開口(第1の開口)701が形成されている。開口701の縁部710は、操作部材600を矢印901(図1参照)および矢印902の方向に回転させたときに、操作部材600と係合する係合面730を有する。縁部710は、操作部材600の先端側部位602(図7)と係合する。詳細については後述するが、縁部710の係合面730と、操作部材600の先端側部位602との係合により、シャッター部材300は、X軸の正方向およびX軸の負方向のうち、操作部材600の回転方向に応じた方向に移動する。
【0047】
縁部710は、係合面730として、操作部材600を矢印901の方向に回転させたときに、操作部材600によってX軸の正方向に力が作用する傾斜面(第1の傾斜面)716と、操作部材600を矢印902の方向に回転させたときに、操作部材600によってX軸の負方向に力が作用する傾斜面(第2の傾斜面)717とを有する。縁部710は、係合面730として、互いに平行であって、かつ、鉛直方向(Z軸方向)に延びた壁面(第1の壁面)714と壁面(第2の壁面)715とを有する。このように、係合面730は、壁面714,715と、傾斜面716,717とを含む。縁部710は、下端面711と、側面(第1の側面)712と、側面(第2の側面)713とをさらに有する。
【0048】
本例では、傾斜面716と傾斜面717とは、傾斜面716の下端と傾斜面717の下端とで繋がっている。傾斜面716と傾斜面717とは、開口701の正面視において、左右対称である。図10に示すように、係合部材700では、傾斜面716と傾斜面717とにより、先端部719が形成されている。先端部719は、下方に尖っている。
【0049】
壁面714は、側面712と傾斜面716との間に位置する。壁面715は、側面713と傾斜面717との間に位置する。側面712は、下端面711と壁面714との間に位置する。側面713は、下端面711と壁面715との間に位置する。側面712および側面713は、操作部材600の延伸方向(Y軸方向)に垂直な断面が、円弧状である。
【0050】
開口701は、フレーム部材500の開口540(図4)よりも小さい。係合部材700とフレーム部材500とは、係合部材700の開口701の全てが開口540に重なるように、互いに接触した状態で組み合わされる。
【0051】
<F.動作>
図13は、操作部材600によるシャッター部材300の開閉操作を説明するための図である。
【0052】
図13に示されるように、状態(A)は、操作部材600が図2に示した位置にあるときを示している。この場合、操作部材600の先端側部位602の外周面622と、縁部710の下端面711とが線接触している。先端側部位602は、外周面622以外、縁部710とは接触していない。
【0053】
状態(A)において、オペレータが矢印902の方向に操作部材600を回転させると、シャッター機構30の状態は、状態(A)から状態(B)に遷移する。すなわち、オペレータが、オペレータから見て反時計回りの方向に、回転軸Ax(図2)を回転中心として操作部材600を回転させると、シャッター機構30の状態は状態(A)から状態(B)に遷移する。
【0054】
状態(B)では、操作部材600の先端側部位602の端面623と、係合部材700の縁部710の傾斜面717とが係合する。オペレータが、状態(B)からさらに操作部材600を反時計回りに回転させると、シャッター部材300は、オペレータから見て左方向(X軸の負方向)への移動を開始する。詳しくは、係合部材700の左方向への移動とともに、係合部材700が取り付けられたフレーム部材500が左方向に移動する。
【0055】
操作部材600を反時計回りに回転させ続けると、状態(C)に示すように、端面623と傾斜面717との係合がなくなり、端面623は、壁面715と係合する。操作部材600の外周面622は、縁部710の側面713に当接する。シャッター機構30の状態が状態(C)に遷移すると、シャッターが閉状態となる。
【0056】
なお、シャッター機構30の移動範囲を制限する凸部230(図1)により、シャッター部材300は、状態(C)に示した位置よりも左方向に移動しない。つまり、オペレータは、操作部材600を反時計回りにさらに回転させることはできない。
【0057】
次に、状態(C)において、矢印901の方向に操作部材600を回転させると、シャッター機構30の状態は、状態(C)から状態(D)に遷移する。すなわち、オペレータが、オペレータから見て時計回りの方向に、回転軸Ax(図2)を回転中心として操作部材600を回転させると、シャッター機構30の状態は状態(C)から状態(D)に遷移する。状態(D)では、操作部材600の端面624と、先端部719とが接触する。
【0058】
状態(D)において、矢印901の方向に操作部材600をさらに回転させると、操作部材600の端面624と、傾斜面716とが係合する。この状態から、矢印901の方向に操作部材600をさらに回転させると、シャッター部材300は、オペレータから見て右方向(X軸の正方向)への移動を開始する。詳しくは、係合部材700の右方向への移動とともに、係合部材700が取り付けられたフレーム部材500が右方向に移動する。
【0059】
このような操作部材600の回転により、シャッター機構30の状態は、状態(D)から状態(E)に遷移する。
【0060】
状態(E)から操作部材600を時計回りに回転させ続けると、状態(F)に示すように、端面624と傾斜面716との係合がなくなり、端面624は、壁面714と係合する。操作部材600の外周面622は、縁部710の側面712に当接する。シャッター機構30の状態が状態(F)に遷移すると、シャッターが開状態となる。
【0061】
なお、シャッター機構30の移動範囲を制限する凸部230(図1)により、シャッター部材300は、状態(F)に示した位置よりも右方向に移動しない。つまり、オペレータは、操作部材600を時計回りにさらに回転させることはできない。
【0062】
<G.小括>
(1)以上のように、オペレータが、回転軸Axを中心として操作部材600を矢印901の方向(オペレータから見て時計回りの方向)に回転させると、シャッター部材300は、シャッターが閉状態となる位置からシャッターが開状態となる位置に向かう方向(X軸の正方向)に移動する。オペレータが、回転軸Axを中心として操作部材600を矢印902の方向(反時計回りの方向)に回転させると、シャッター部材300は、シャッターが開状態となる位置からシャッターが閉状態となる位置に向かう方向(X軸の負方向)に移動する。
【0063】
このような構成によれば、オペレータは、回転軸Axを中心に操作部材600を回転させることにより、シャッターを開状態または閉状態とすることができる。つまり、操作部材600の回転により、シャッター部材300を開状態または閉状態にする力をシャッター部材300に作用させることができる。
【0064】
それゆえ、オペレータが操作器具を所定の方向(図1のX軸方向)に移動させることによってシャッターを操作器具と同じ方向に移動(スライド)させるような構成(以下、「比較例」と称する)に比べて、オペレータの力の伝達のロスが低減可能となる。
【0065】
詳しくは、比較例では、操作器具のうちオペレータが把持する部位とシャッターとがある程度離間しているため、シャッター開閉の際にオペレータが操作器具に加える力が、把持する部位を中心とする回転モーメントとなってしまう。このため、比較例では、力の伝達のロスが大きくなる。その結果、比較例では、シャッターをスライドさせるには、大きな力が必要となる。
【0066】
その一方、本実施の形態のシャッター機構30によれば、回転軸Axを中心に操作部材600を回転させることによりシャッター部材300を移動させるため、上記のようなロスが生じない。それゆえ、シャッター機構30によれば、オペレータは、比較例に比べて少ない労力で、シャッターを開閉することができる。このように、シャッター機構30によれば、ラベル加熱装置1のシャッター部材300を効率良く移動させることが可能となる。
【0067】
さらに、シャッター機構30においては、シャッター部材300と、操作部材600とが別部材である。それゆえ、シャッターと操作器具とが一体となっているようなシャッター機構に比べて、シャッター部材300から操作部材600への熱伝導を抑えられる。それゆえ、シャッター機構30によれば、操作部材600が高温となってしまうことを防止できる。したがって、シャッター機構30によれば、操作性に優れる。
【0068】
(2)シャッター部材300と操作部材600とは、互いに直交している。このような構成によれば、シャッター部材300と操作部材600とが互いに直交していない構成に比べて、少ない労力でシャッターを開閉することができる。
【0069】
(3)係合部材700に形成された開口701の縁部710は、操作部材600をシャッターが閉状態となる位置からシャッターが開状態となる位置に向かう方向(X軸の正方向)およびシャッターが開状態となる位置からシャッターが閉状態となる位置に向かう方向(X軸の負方向)に回転させたときに、操作部材600と係合する係合面730を有する。操作部材600と縁部710の係合面730との係合により、シャッター部材300は、X軸の正方向およびX軸の負方向のうち、操作部材600の回転方向に応じた方向に移動する。
【0070】
このような構成によれば、オペレータは、操作部材600を回転させて、操作部材600と縁部710と係合させることにより、操作部材600の回転方向に応じた方向にシャッター部材300を移動させることができる。
【0071】
(4)縁部710は、係合面730として、操作部材600を矢印901の方向に回転させたときに、操作部材600によってX軸の正方向に力が作用する傾斜面716と、操作部材600を矢印902の方向に回転させたときに、操作部材600によってX軸の負方向に力が作用する傾斜面717とを有する。
【0072】
このような構成によれば、係合部材700に2つの傾斜面716,717を設けることにより、オペレータは、シャッター部材300を、シャッターが開状態となる位置、およびシャッターが閉状態となる位置に移動させることができる。
【0073】
(5)操作部材600は、横断面が中空円状の手元側部位601と、手元側部位601よりもシャッター部材300側に位置し、かつ横断面が円弧状の先端側部位602とを含む。操作部材600の先端側部位602と、傾斜面716および傾斜面717とが係合する。
【0074】
このような構成によれば、操作部材600と、傾斜面716,717とが係合可能となるとともに、オペレータが手元側部位601を把持することにより、把持する箇所とシャッター部材300との距離を十分に確保できる。
【0075】
(6)操作部材600の先端側部位602は、内周面621と、外周面622と、各々が内周面621と外周面622とに挟まれた端面623,624とを有する。オペレータが、操作部材600を矢印901の方向に回転させると、端面624と傾斜面716とが係合する。オペレータが、操作部材600を矢印902の方向に回転させると、端面623と傾斜面717とが係合する。
【0076】
このような構成によれば、操作部材600の2つの方向の回転力の各々を、係合部材700に伝達することができる。これにより、係合部材700を含むシャッター部材300を移動させることができる。
【0077】
(7)オペレータが、操作部材600を矢印901の方向に回転させるときに、縁部710の側面712と操作部材600の外周面622とが接触する。オペレータが、操作部材600を矢印902の方向に回転させるときに、縁部710の側面713と操作部材600の外周面622とが接触する。このような構成によれば、操作部材600を滑らかに回転させることが可能となる。
【0078】
<H.変形例>
(1)上記においては、フレーム部材500と係合部材700とが別々の部品として構成される例を説明した。詳しくは、フレーム部材500の厚み(薄さ)を考慮して、フレーム部材500に係合部材700の開口701のような開口を直接形成せずに、係合部材700をフレーム部材500に組み合わせた。すなわち、フレーム部材500の強度の観点から、係合部材700をフレーム部材500に組み合わせた。しかしながら、これに限定されず。フレーム部材500の厚みを厚くする場合には、開口701と同じ形状の開口をフレーム部材500に直接設けてもよい。
【0079】
(2)操作部材600と係合部材700とが、本体部20の下流側に設置されるように、ラベル加熱装置1を構成してもよい。
【0080】
(3)操作部材600は、中空状の棒状部材に限定されない。操作部材600は、中空状でなくてもよい。
【0081】
(4)シャッター部材300と操作部材600とは互いに直交しているが、これに限定されない。シャッター部材300と操作部材600とが、交差していればよい。
【0082】
(5)上記においては、シャッター部材300を図1のX軸の正方向に移動させると、シャッターが開状態となる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されるもものではない。シャッター部材300を図1のX軸の正方向に移動させるとシャッターが閉状態となるように、ラベル加熱装置1を構成してもよい。
【0083】
(6)支持部材801,802による操作部材600の支持箇所、および支持部材801,802の大きさは、特に限定されるものではない。上記では2つの支持部材801,802を用いて操作部材600を回転可能に支持したが、1つの支持部材で操作部材600を回転可能に支持してもよい。
【0084】
(7)操作部材600とシャッター部材300とを、1つの部材で構成してもよい。操作部材の回転に連動してシャッター部材が移動する構成であればよい。
【0085】
<I.付記>
(1)前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面とは、前記第1の開口の正面視において鉛直線に対して線対称である。
【0086】
(2)前記縁部は、互いに平行であって、かつ、鉛直方向に延びた第1の壁面と第2の壁面とをさらに有し、前記縁部は、第1の側面と、第2の側面とをさらに有し、前記第1の壁面は、前記第1の側面と前記第1の傾斜面との間に位置し、前記第2の壁面は、前記第2の側面と前記第2の傾斜面との間に位置する。
【0087】
(3)前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面とは、前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面との下端部で繋がっている。
【0088】
(4)前記第1の開口の縁部は、下端面をさらに有し、前記第1の側面は、前記下端面と前記第1の壁面との間に位置し、前記第2の側面は、前記下端面と前記第2の壁面との間に位置し、前記第1の側面および前記第2の側面は、前記操作部材の延伸方向に垂直な断面が、円弧状であり、前記操作部材を前記第1の方向に回転させるときに、前記第1の側面と前記操作部材の前記外周面とが接触し、前記操作部材を前記第2の方向に回転させるときに、前記第2の側面と前記操作部材の前記外周面とが接触する。
【0089】
(5)前記シャッター部材は、前記第1の孔が形成された第1の部品と、前記第1の開口が形成された第2の部品とを含んで構成され、前記第1の部品には、前記第1の開口よりも大きい第2の開口が形成されており、前記第1の部品と前記第2の部品とは、前記第1の開口の全てが前記第2の開口に重なるように、互いに接触した状態で組み合わされている。
【0090】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1 ラベル加熱装置、10 コンベヤ装置、20 本体部、21 内壁面、22 ガイド部材、30,30A,30B,30C,30D シャッター機構、90 容器、95 ラベル、220 吹出口、230 凸部、300 シャッター部材、500 フレーム部材、501 下流側部位、502 上流側部位、511 壁部、512 上端部、513 下端部、520 孔、530,540,701 開口、581,582,681,682,781,782 端部、600 操作部材、601 手元側部位,602 先端側部位、621 内周面、622 外周面、623,624 端面、700 係合部材、710 縁部、711 下端面、712,713 側面、714,715 壁面、716,717 傾斜面、730 係合面、751,752 ボルト穴、801,802 支持部材、901,902 矢印、Ax 回転軸、Pc,Po 位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13