(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094054
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】工事費用査定装置、工事費用査定方法及び工事費用査定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230628BHJP
【FI】
G06Q30/06 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209279
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】519040050
【氏名又は名称】株式会社THIRD
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】井上 惇
(72)【発明者】
【氏名】今村 安伸
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 駿介
(72)【発明者】
【氏名】久保田 陸人
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】見積書に記載される金額について査定することが可能な工事費用査定装置、工事費用査定方法及び工事費用査定プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置100において、工事の見積内容の行及び列を認識する認識部112、認識部112によって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定部113、認識部112によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定部114、第1特定部113によって特定される第1の列のうち、第2特定部114によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付け部115及び対応付け部115によって項目内容と内容とを対応付けた結果と、基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定部116を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事の資材、当該資材の基準価格、工事に利用される雑材、当該雑材の基準雑材費、工事を行う際の労務に関する基準労務費、及び、非工事内容に関する基準非工事費に関する基準価格情報を記憶する記憶部と、
工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識部と、
前記認識部によって認識される列のうち、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のうち少なくとも1つが記載される第1の列を特定する第1特定部と、
前記認識部によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定部と、
前記第1特定部によって特定される第1の列のうち、前記第2特定部によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、前記記憶部に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける対応付け部と、
前記対応付け部によって項目内容と資材及び雑材とを対応付けた結果と、前記記憶部に記憶される基準価格情報の資材の基準価格及び雑材の基準雑材費と、資材及び雑材に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第1推定部と、
前記対応付け部によって項目内容と労務及び非工事内容とを対応付けた結果と、前記記憶部に記憶される基準価格情報の基準労務内容及び基準非工事費と、労務及び非工事内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第2推定部と、
前記第1推定部及び前記第2推定部によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御部と、
を備える工事費用査定装置。
【請求項2】
前記認識部は、工事の見積の画像に関する見積画像情報を取得した場合、ピクセル毎に文字付近か、横罫線か及び縦罫線かを学習した学習済モデルと、見積画像情報とに基づいて、見積内容の行及び列を推定する
請求項1に記載の工事費用査定装置。
【請求項3】
前記第1特定部は、全ての列に記載される数値に基づいて、単価、数量及び金額の組み合わせパターンとして当該数値が取り得る組み合わせパターンを複数取得し、複数の組み合わせパターンのうち最も確度の高いパターンに基づいて、単価、数量及び金額のうち少なくとも金額が記載される列を特定する
請求項1又は2に記載の工事費用査定装置。
【請求項4】
前記第2特定部は、前記第1特定部によって特定される列において、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する
請求項3に記載の工事費用査定装置。
【請求項5】
前記対応付け部は、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと一致する場合、一致する項目内容と資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと対付ける
請求項1~4のいずれか1項に記載の工事費用査定装置。
【請求項6】
前記対応付け部は、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のうちいずれかの複数の語を組み合わせた複数語に一致する場合、一致する項目内容と複数語とを対応付ける
請求項1~5のいずれか1項に記載の工事費用査定装置。
【請求項7】
工事の内容の基準価格に関する基準価格情報を記憶する記憶部と、
工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識部と、
前記認識部によって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定部と、
前記認識部によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定部と、
前記第1特定部によって特定される第1の列のうち、前記第2特定部によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、前記記憶部に記憶される基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付け部と、
前記対応付け部によって項目内容と内容とを対応付けた結果と、前記記憶部に記憶される基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定部と、
前記推定部によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御部と、
を備える工事費用査定装置。
【請求項8】
工事の資材、当該資材の基準価格、工事に利用される雑材、当該雑材の基準雑材費、工事を行う際の労務に関する基準労務費、及び、非工事内容に関する基準非工事費に関する基準価格情報を記憶する記憶部と、
工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識部と、
前記認識部によって認識される列のうち、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のうち少なくとも1つが記載される第1の列を特定する第1特定部と、
前記認識部によって認識される行のうち、見積内容となる項目内容の金額が記載される行を特定する第2特定部と、
前記第1特定部によって特定される第1の列のうち、前記第2特定部によって特定される行に記載される項目内容を、前記記憶部に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける対応付け部と、
前記対応付け部によって項目内容と資材及び雑材とを対応付けた結果と、前記記憶部に記憶される基準価格情報の資材の基準価格及び雑材の基準雑材費と、資材及び雑材に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第1推定部と、
前記対応付け部によって項目内容と労務及び非工事内容とを対応付けた結果と、前記記憶部に記憶される基準価格情報の基準労務内容及び基準非工事費と、労務及び非工事内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第2推定部と、
前記第1推定部及び前記第2推定部によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御部と、
を備える工事費用査定装置。
【請求項9】
工事の内容の基準価格に関する基準価格情報を記憶する記憶部を備えるコンピュータが、
工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識ステップと、
前記認識ステップによって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定ステップと、
前記認識ステップによって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定ステップと、
前記第1特定ステップによって特定される第1の列のうち、前記第2特定ステップによって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、前記記憶部に記憶される基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付けステップと、
前記対応付けステップによって項目内容と内容とを対応付けた結果と、前記記憶部に記憶される基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定ステップと、
前記推定ステップによって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御ステップと、
を実行する工事費用査定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
工事の内容の基準価格に関する基準価格情報を記憶する記憶機能と、
工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識機能と、
前記認識機能によって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定機能と、
前記認識機能によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定機能と、
前記第1特定機能によって特定される第1の列のうち、前記第2特定機能によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、前記記憶機能に記憶される基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付け機能と、
前記対応付け機能によって項目内容と内容とを対応付けた結果と、前記記憶機能に記憶される基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定機能と、
前記推定機能によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御機能と、
を実現させる工事費用査定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工事費用査定装置、工事費用査定方法及び工事費用査定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の取引においては見積書を発行する場合がある。特許文献1に記載されるシステムは、見積書を作成する場合、見積に関する見積データと、見積の判断基準となる判断基準データとを比較し、見積書のデータ内容が適正か否かを判定する。この場合、そのシステムは、商品コード、単位及び単価等の各項目が適正か否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
見積書には様々な項目があり、例えば、工事の見積に関しては、資材及び作業の費用等の項目がある。見積書には様々な様式があり、見積書のデータを取得して、コンピュータの処理によって見積額が適正か否かを判定するためには、見積の複数の項目それぞれについて内容を把握する必要があった。
【0005】
本開示は、見積書に記載される金額について査定することが可能な工事費用査定装置、工事費用査定方法及び工事費用査定プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の工事費査定装置は、工事の内容の基準価格に関する基準価格情報を記憶する記憶部と、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識部と、認識部によって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定部と、認識部によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定部と、第1特定部によって特定される第1の列のうち、第2特定部によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、記憶部に記憶される基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付け部と、対応付け部によって項目内容と内容とを対応付けた結果と、記憶部に記憶される基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定部と、推定部によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列における列のうち、見積が記載される第1の列を特定し、前述した行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定し、第1の列のうち第2の行を除いた列に記載される項目内容を、基準価格情報に記録される内容に対応付けた結果と、基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムについて説明するための図である。
【
図2】見積書の一例について説明するための図である。
【
図3】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[情報処理システム1の概要]
図1は、一実施形態に係る情報処理システム1について説明するための図である。
図2は、見積書の一例について説明するための図である。
【0011】
情報処理システム1は、例えば、工事の見積額について査定を行う工事費用査定システム等として構成されてもよい。情報処理システム1を構成する情報処理装置100は、例えば、上述したシステムと同様に、工事費用査定装置として構成されてもよい。
【0012】
図1に一例を示すように、情報処理システム1は、例えば、業者端末200及び情報処理装置100等を備える。
【0013】
業者端末200は、例えば、工事を行う業者(工事会社)等の従業員が使用する端末であってもよい。業者端末200は、例えば、従業員等の操作に基づいて、工事の見積書を作成する。
【0014】
情報処理装置100は、例えば、工事を発注するユーザ等が使用する。情報処理装置100は、例えば、サーバ、デスクトップ、ラップトップ及びタブレット等のコンピュータであってもよい。
【0015】
情報処理装置100は、業者端末200から送付される見積書(
図2参照)を受け付けると、見積書に記載される内容(例えば、見積額等)について査定を行う。まず、情報処理装置100は、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する。ここで、見積書には、例えば、資材費、工賃及び雑費等の種々の項目が記載されており、それぞれの項目に応じて単価、数量及び金額等が記載されている。ここでは、例えば、見積書の各行に資材費、工賃及び雑費等のそれぞれが記載され、見積書の列毎に単価、数量及び金額等のそれぞれが記載されている例について説明する(
図2参照)。なお、この一例とは逆に、見積書の各列に資材費、工賃及び雑費等のそれぞれが記載され、見積書の行毎に単価、数量及び金額等のそれぞれが記載されている場合であっても、本開示の一実施形態に含めることが可能である。
【0016】
情報処理装置100は、見積書に記載される複数の列のうち、見積が記載される第1の列11を特定する。ここで、第1の列11の一例は、単価、数量及び金額等であってもよい。また、情報処理装置100は、見積書に記載される複数の行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行12を特定する。ここで、特定項目の一例は、「小計」の項目であってもよい。情報処理装置100は、上記で特定される第1の列11において、上記で特定される第2の行12を除いた列に記載される項目内容を、基準価格情報に記録される内容に対応付ける。すなわち一例として、情報処理装置100は、資材費、工賃及び雑費等を始めとする種々の項目が記載される行から小計の行を除き、資材費、工賃及び雑費等の項目内容と、基準価格情報に記録される内容とを対応付ける。基準価格情報は、例えば、複数の資材、種々の作業及び種々の労務等について基準の価格について記録される情報等であってもよい。具体的な一例として、情報処理装置100は、見積書に記載される資材Aと、基準価格情報に記録される資材Aとを対応付ける。同様に、情報処理装置100は、例えば、資材B、工賃及び雑費のそれぞれについて、見積書の項目と基準価格情報に記録される項目とを対応付けてもよい。
情報処理装置100は、例えば、上記で対応付けた結果と、基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛(値)及び掛率とに基づいて、資材A、資材B、工賃及び雑費等の複数の項目内容の査定額を推定する。
【0017】
[情報処理装置100の詳細]
次に、一実施形態に係る情報処理装置100の詳細について説明する。
図3は、一実施形態に係る情報処理装置100について説明するためのブロック図である。
【0018】
情報処理装置100は、例えば、通信部121、記憶部122、表示部123及び制御部111等を備える。通信部121、記憶部122及び表示部123は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部111は、例えば、認識部112、第1特定部113、第2特定部114、対応付け部115、推定部116(第1推定部1161及び第2推定部1162)、並びに、出力制御部117等を備える。制御部111は、例えば、情報処理装置100の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部111(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部122等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部(例えば、認識部112、第1特定部113、第2特定部114、対応付け部115、推定部116(第1推定部1161及び第2推定部1162)、並びに、出力制御部117等)の機能を実現してもよい。
【0019】
通信部121は、例えば、情報処理装置100の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能である。
【0020】
記憶部122は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部122の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。
また、記憶部122は、基準価格情報を記憶する。基準価格情報は、例えば、工事に関する種々の内容の基準価格の情報であってもよい。種々の内容の基準価格は、例えば、資材費、工賃及び雑費等の基準となる価格であってもよい。具体的な一例として、記憶部122は、工事の資材、その資材の基準価格、工事に利用される雑材、その雑材の基準雑材費、工事を行う際の労務に関する基準労務費、及び、非工事内容に関する基準非工事費に関する基準価格情報を記憶してもよい。資材の基準価格及び基準雑材費は、例えば、資材及び雑材の卸値又は販売価格等であってもよい。資材の基準価格及び基準雑材費は、例えば、資材及び雑材の複数の販売価格を平均した価格であってもよい。基準労務費は、例えば、労務に関しての妥当と考えられる予め設定される費用であってもよく、労務に関して複数の費用を平均した費用であってもよい。
なお、基準価格情報は、上述した複数の内容のグループから選択される少なくとも1つの内容を記録した情報であってもよく、上述した内容に加えて他の種々の内容(他の基準価格等)を記録した情報であってもよい。
【0021】
表示部123は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能である。
【0022】
まず、認識部112は、工事の見積書を種々のデータ形式で取得する。ここで一例として、認識部112は、ユーザが紙の見積書を受け取った場合には、複合機及びカメラ等により見積書を撮像することにより生成される種々の形式の情報を取得してもよい。種々の形式の情報は、例えば、画像情報、表計算ソフトウェアで利用される形式の表計算情報、文章作成ソフトウェアで利用される形式の文章情報、及び、プレゼンテーション用のスライド作成ソフトウェアで利用される形式のスライド情報等を始めとする種々の情報であってもよい。認識部112は、例えば、上述したような種々のデータ形式で記録される見積書に関する見積情報を取得すると、見積情報に記載される見積内容を認識する。
【0023】
すなわち、認識部112は、例えば、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識してもよい。認識部112は、見積書に記載される項目の行及び列を認識する。認識部112は、例えば、見積書に記載される項目(見積内容)を行毎及び列毎に認識してもよい。認識部112は、例えば、資材費、工賃及び雑費等の項目内容、単価、数量、並びに、金額等の見積内容が記載される行及び列を認識してもよい。
【0024】
ここで、認識部112は、例えば、工事の見積書の画像情報(工事の見積の画像に関する見積画像情報)を取得した場合、学習済モデルと、見積画像情報とに基づいて、見積内容の行及び列を推定してもよい。学習済モデルは、例えば、ピクセル毎に文字付近か、横罫線か及び縦罫線かを学習することにより生成されるモデル等であってもよい。認識部112は、画像情報(見積画像情報)に基づいて、行及び列の推定を行うと、推定した結果をシート形式の情報として出力してもよい。シート形式の情報は、表計算ソフトウェアで利用される形式の表計算情報、文章作成ソフトウェアで利用される形式の文章情報、及び、プレゼンテーション用のスライド作成ソフトウェアで利用される形式のスライド情報等を始めとする種々の情報であってもよい。
【0025】
すなわち、認識部112は、例えば、ピクセル毎に文字付近か、横罫線か及び縦罫線かを記録したOCRセマンティック表に基づいて、見積画像情報の各ピクセルに質問を投げ、学習済モデルに答えさせてもよい。上述した「文字付近」は、OCRセマンティック表で定義される。
より具体的な一例として、認識部112は、文字付近と回答のあった箇所を隣接同士で繋げて1文字として扱ってもよい。ここで、認識部112は、例えば、左右に「右」「左」と並ぶ箇所は隣接とみなさなくてもよく、上下に「下」「上」と並ぶ箇所は隣接とみなさなくてもよい。
また、より具体的な一例として、認識部112は、横罫線と回答のあった箇所をハフ変換し、横罫線として扱ってもよい。同様な一例として、認識部112は、縦罫線と回答のあった箇所をハフ変換し、縦罫線として扱ってもよい。
認識部112は、横罫線及び縦罫線で分断されない文字同士を繋げてセルとしてもよい。なお、認識部112は、例えば、横罫線で分断されていなくとも、縦軸の距離が一定開く場合には分断されているとみなしてもよい。また同様に、認識部112は、縦罫線で分断されていなくとも、横軸の距離が一定開く場合には分断されているとみなしてもよい。
認識部112は、例えば、縦罫線を基準に列を割り振り、横罫線を基準に行を割り振ってもよい。
【0026】
第1特定部113は、認識部112によって認識される列のうち、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のうち少なくとも1つが記載される第1の列11を特定する。第1の列11は、「特定列」と言ってもよい。すなわち、第1特定部113は、認識部112によって認識される複数の列のうち、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のグループから選択される少なくとも1つが記載される列(第1の列11)を特定する。一例として、第1特定部113は、認識部112によって認識される複数の列において、各列に記載される数値の取りうる項目(例えば、見積の単価、見積の数量及び見積の金額)として可能性のある複数のパターンを検討し、列に記載される数値の比較により最も可能性が高いものを見積の単価、見積の数量及び見積の金額それぞれの列として推定する。この場合、第1特定部113は、例えば、見積の単価、見積の数量及び見積の金額として最も可能性が高いもの、すなわち、見積の単価の列、見積の数量の列及び見積の金額の列として全ての組み合わせを処理して、可能性が高いものに対して投票を行うことにより、第1の列11を特定してもよい。第1特定部113は、例えば、単価及び数量については、金額の条件を満たす列候補へ投票を行ってもよい。また同様に、第1特定部113は、例えば、単価については、金額の条件を満たす列候補へ投票を行ってもよい。第1特定部113は、例えば、列毎に集計を行い、投票数の多い連続する区間を、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のグループから選択される少なくとも1つの列として扱ってもよい。換言すると、第1特定部113は、全ての列に記載される数値に基づいて、単価、数量及び金額の組み合わせパターンとして当該数値が取り得る組み合わせパターンを複数取得し、複数の組み合わせパターンのうち最も確度の高いパターンに基づいて、単価、数量及び金額のうち少なくとも金額が記載される列を特定してもよい。
【0027】
第2特定部114は、例えば、認識部112によって認識される複数の行を処理し、1行毎にシート形式の情報に変換してもよい。この場合、第2特定部114は、認識部112によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行12を特定する。すなわち、第2特定部114は、例えば、「小計」等の行を除くため、第2の行12を特定する。
【0028】
第2特定部114は、例えば、全ての複数の行を全体の集合体として考えた際の各部分の集合に対して、金額の累計値を求め、最も見積総額らしいものを判定して採用する。ここで、見積総額の候補は、例えば、見積総額が単独で帳票内の他の箇所に存在しているとする。
第2特定部114は、第1特定部113によって特定される列に記載される金額の累計値を算出して、金額の累計の組み合わせパターンを複数取得し、複数のパターンのうち「小計」の項目が記載される第2の行12を除いた見積内容(項目内容)が記載される行を特定してもよい。この場合、第2特定部114は、例えば、見積の各項目(資材、雑費、労務及び非工事内容)の候補の中から、最もそれらしい部分集合に属する各行へフラグを付けてもよい。「最もそれらしい」とは、例えば、少しでも多くの行からなることを主な基準としてもよい。
又は、第2特定部114は、第1特定部113によって特定される複数のパターンの列のうち最も高い確度のパターンの列において、特定項目の金額が記載される第2の行12を特定してもよい。この場合、第2特定部114は、例えば、第2の行12の候補の中から、最もそれらしい部分集合に属する各行へフラグを付けてもよい。「最もそれらしい」とは、例えば、少しでも少ない行からなることを主な基準としてもよい。すなわち、第2特定部114は、例えば、最も高い確度のパターンの列として金額が記載される列が特定される場合には、その特定される列のうち、特定項目の金額が記載される第2の行12を特定してもよい。
【0029】
対応付け部115は、第1特定部113によって特定される第1の列11のうち、第2特定部114によって特定される項目内容を、記憶部122に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける。又は、対応付け部115は、第1特定部113によって特定される第1の列11のうち、第2特定部114によって特定される第2の行12を除いた列に記載される項目内容を、記憶部122に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける。すなわち、対応付け部115は、認識部112によって認識される複数の行のうち、第2特定部114によって特定される行を除いた行に記載される項目内容を、記憶部122に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける。具体的な一例として、対応付け部115は、複数の行のいずれかに記載される資材の型番と、基準価格情報の資材の型番とが一致する(略一致する)場合、行に記載される項目内容(資材)と基準価格情報の内容(資材)とを対応付ける。この場合、対応付け部115は、例えば、行に記載される項目内容と、基準価格情報に記録される内容との一致する度合い(一例として、型番の長さ及び文言の揺らぎの度合い等)に応じて得点を算出し、対応付ける候補として抽出してもよい。対応付け部115は、例えば、上述したように抽出される候補が1つでも有る場合、最も得点の高い候補で確定してもよい。
【0030】
対応付け部115は、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと一致する場合、一致する項目内容と資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと対応付けてもよい。ここで、対応付け部115は、例えば、資材等の型番を登録した型番辞書を有していてもよい。また、対応付け部115は、例えば、資材等の型番から少なくとも1文字を取り除いた文字列を登録した予備型番辞書を有していてもよい。また、型番辞書及び予備型番辞書は、例えば、基準価格情報に含まれていてもよい。対応付け部115は、例えば、型番辞書及び予備型番辞書を参照し、項目内容に記載される文字列を、資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと対応付けてもよい。対応付け部115は、見積書に記載される項目内容の文字列のうち、少なくとも1文字を除いた文字列を、型番辞書及び予備型番辞書を参照して、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容に対応付けてもよい。
【0031】
対応付け部115は、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のうちいずれかの複数の語を組み合わせた複数語に一致する場合、一致する項目内容と複数語とを対応付けてもよい。ここで、対応付け部115は、例えば、項目内容及び型番等の文字列で想定されるゆらぎ文字列(ゆらぎキーワード)を登録したキーワード群を有していてもよい。キーワード群は、例えば、基準価格情報に含まれてもよい。対応付け部115は、例えば、キーワード群を参照し、複数の行の項目内容(文字列)に対して、キーワードの存在の有無を調べ、AND及びORの論理演算結果が真となった資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと対応付けてもよい。
【0032】
第1推定部1161は、対応付け部115によって項目内容と資材及び雑材とを対応付けた結果と、記憶部122に記憶される基準価格情報の資材の基準価格及び雑材の基準雑材費と、資材及び雑材に応じて予め設定される歩掛及び掛率(予め設定される値)とに基づいて、項目内容の査定額、及び、それに関連する労務費を推定する。具体的な一例として、第1推定部1161は、見積書に記載される項目内容によって資材Zを特定した場合、基準価格情報に記録される資材Zの基準価格と、その資材Zについての歩掛及び掛率とに基づいて、資材Zの査定額、及び、それに関連する労務費を推定する。すなわち、第1推定部1161は、例えば、資材Zの基準価格に掛率を乗算して、資材Zの査定額を推定する。第1推定部1161は、例えば、上述した場合と同様に、各資材及び各雑材についての査定額を推定する。歩掛及び掛率は、例えば、業者が価格に対して上乗せする額として妥当と推定される値が設定されてもよい。妥当と推定される値は、例えば、資材の購入、保管及び運搬、並びに、工事の手間、時間及び工事の管理等の種々の要因を考慮して適宜設定される値(例えば、利益として得る額等)であってもよい。
【0033】
第2推定部1162は、対応付け部115によって項目内容と労務及び非工事内容とを対応付けた結果と、記憶部122に記憶される基準価格情報の基準労務内容及び基準非工事費と、労務及び非工事内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率(予め設定される値)とに基づいて、項目内容の査定額を推定する。歩掛及び掛率は、例えば、業者が価格に対して上乗せする額として妥当と推定される値が設定されてもよい。妥当と推定される値は、例えば、資材の購入、保管及び運搬、並びに、工事の手間、時間及び工事の管理等の種々の要因を考慮して適宜設定される値(例えば、利益として得る額等)であってもよい。第2推定部1162は、例えば、上述した第1推定部1161と同様に、労務及び非工事内容それぞれの基準価格に同じ見積書内の資材に紐づく歩掛の累積を乗算して、労務及び非工事内容それぞれの査定額を推定してもよい。
【0034】
なお、上述した第1推定部1161及び第2推定部1162は、例えば、まとめて「推定部116」として1つの機能ブロックを構成してもよい。
【0035】
出力制御部117は、第1推定部1161及び第2推定部1162によって推定される各査定額を出力するよう出力部を制御する。出力部は、例えば、通信部121、記憶部122及び表示部123等であってもよい。
すなわち、出力制御部117は、例えば、第1推定部1161及び第2推定部1162によって推定される各査定額に関する情報を外部(外部装置)に送信するよう通信部121を制御してもよい。外部装置は、例えば、ユーザが使用する端末(一例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等)(図示せず)であってもよく、サーバ(図示せず)であってもよい。
また、出力制御部117は、例えば、第1推定部1161及び第2推定部1162によって推定される各査定額に関する情報を記憶するよう記憶部122を制御してもよい。
また、出力制御部117は、例えば、第1推定部1161及び第2推定部1162によって推定される各査定額に関する情報を表示するよう表示部123を制御してもよい。
【0036】
[情報処理方法]
図4は、一実施形態に係る情報処理方法について説明するためのフローチャートである。
【0037】
ステップST101において、認識部112は、工事の見積書についての見積情報を取得すると、その見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する。認識部112は、例えば、工事の見積書の画像情報(工事の見積の画像に関する見積画像情報)を取得した場合、学習済モデルと、見積画像情報とに基づいて、見積内容の行及び列を推定してもよい。学習済モデルは、例えば、ピクセル毎に文字付近か、どの文字であるか、横罫線か及び縦罫線かを学習することにより生成されるモデル等であってもよい。
【0038】
ステップST102において、第1特定部113は、ステップST101で認識される列のうち、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のうち少なくとも1つが記載される第1の列11を特定する。この場合、第1特定部113は、例えば、全ての列に記載される数値に基づいて、単価、数量及び金額の組み合わせパターンとしてその数値が取り得る組み合わせパターンを複数取得し、複数の組み合わせパターンのうち最も確度の高いパターンに基づいて、単価、数量及び金額のうち少なくとも金額が記載される列を特定してもよい。
【0039】
ステップST103において、第2特定部114は、ステップST101で認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行12を特定する。第2特定部114は、ステップST101で特定される複数のパターンの列のうち最も高い確度のパターンの列のうち、特定項目の金額が記載される第2の行12を特定してもよい。
【0040】
ステップST104において、対応付け部115は、ステップST102で特定される第1の列11のうち、ステップST103で特定される第2の行12を除いた列に記載される項目内容を、記憶部122に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける。この場合、対応付け部115は、例えば、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと一致する場合、一致する項目内容と資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと対応付けてもよい。また、対応付け部115は、例えば、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のうちいずれかの複数の語を組み合わせた複数語に一致する場合、一致する項目内容と複数語とを対応付けてもよい。
【0041】
ステップST105において、第1推定部1161は、ステップST104で項目内容と資材及び雑材とを対応付けた結果と、記憶部122に記憶される基準価格情報の資材の基準価格及び雑材の基準雑材費と、資材及び雑材に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する。
また、第2推定部1162は、ステップST104で項目内容と労務及び非工事内容とを対応付けた結果と、記憶部122に記憶される基準価格情報の基準労務内容及び基準非工事費と、労務及び非工事内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する。
【0042】
ステップST106において、出力制御部117は、ステップST105で推定される各査定額を出力するよう出力部を制御する。ここで、出力部は、例えば、通信部121、記憶部122及び表示部123等であってもよい。
【0043】
上述した情報処理装置100の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置100の認識部112、第1特定部113、第2特定部114、対応付け部115、推定部116(第1推定部1161及び第2推定部1162)並びに出力制御部117(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等による認識機能、第1特定機能、第2特定機能、対応付け機能、推定機能(第1推定機能及び第2推定機能)並びに出力制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されていてもよい。
また、上述したように、情報処理装置100の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置100の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置100の認識部112、第1特定部113、第2特定部114、対応付け部115、推定部116(第1推定部1161及び第2推定部1162)並びに出力制御部117(制御部111)は、コンピュータの演算処理装置等を構成する認識回路、第1特定回路、第2特定回路、対応付け回路、推定回路(第1推定回路及び第2推定回路)並びに出力制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、情報処理装置100の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されもよい。また、情報処理装置100の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、情報処理装置100の通信部121、記憶部122及び表示部123(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0044】
情報処理装置100は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0045】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。
【0046】
(態様1)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)は、工事の資材、その資材の基準価格、工事に利用される雑材、その雑材の基準雑材費、工事を行う際の労務に関する基準労務費、及び、非工事内容に関する基準非工事費に関する基準価格情報を記憶する記憶部と、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識部と、認識部によって認識される列のうち、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のうち少なくとも1つが記載される第1の列を特定する第1特定部と、認識部によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定部と、第1特定部によって特定される第1の列のうち、第2特定部によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、記憶部に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける対応付け部と、対応付け部によって項目内容と資材及び雑材とを対応付けた結果と、記憶部に記憶される基準価格情報の資材の基準価格及び雑材の基準雑材費と、資材及び雑材に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第1推定部と、対応付け部によって項目内容と労務及び非工事内容とを対応付けた結果と、記憶部に記憶される基準価格情報の基準労務内容及び基準非工事費と、労務及び非工事内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第2推定部と、第1推定部及び第2推定部によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
これにより、工事費用査定装置は、見積書に記載される複数の項目毎に見積の査定を行うことができる。すなわち、工事費用査定装置は、見積書に記載される金額について査定することができる。工事費用査定装置は、見積書に記載される各項目の金額が妥当か否かをユーザに提供することができる。
【0047】
(態様2)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)では、認識部は、工事の見積の画像に関する見積画像情報を取得した場合、ピクセル毎に文字付近か、横罫線か及び縦罫線かを学習した学習済モデルと、見積画像情報とに基づいて、見積内容の行及び列を推定することとしてもよい。
これにより、工事費用査定装置は、見積書を適切に認識することができる。
【0048】
(態様3)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)では、第1特定部は、全ての列に記載される数値に基づいて、単価、数量及び金額の組み合わせパターンとしてその数値が取り得る組み合わせパターンを複数取得し、複数の組み合わせパターンのうち最も確度の高いパターンに基づいて、単価、数量及び金額のうち少なくとも金額が記載される列を特定することとしてもよい。
これにより、工事費用査定装置は、見積書に記載される、単価、数量及び金額が記載される列を特定することができる。
【0049】
(態様4)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)では、第2特定部は、前記第1特定部によって特定される列において、特定項目の金額が記載される第2の行を特定することとしてもよい。
これにより、工事費用査定装置は、見積の査定に必要となる可能性が低い項目、すなわち一例として、「小計」等の項目を特定し、その特定した項目を除いて見積の査定を行うことができる。
【0050】
(態様5)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)では、対応付け部は、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと一致する場合、一致する項目内容と資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかと対付けることとしてもよい。
これにより、工事費用査定装置は、見積書に記載される項目内容(例えば、文字列)と、基準価格情報に記録される内容とが完全に一致しなくとも、見積書に記載される項目内容(例えば、文字列)と、基準価格情報に記録される内容とを対応付けることができる。
【0051】
(態様6)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)では、対応付け部は、項目内容の少なくとも一部が、基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のうちいずれかの複数の語を組み合わせた複数語に一致する場合、一致する項目内容と複数語とを対応付けることとしてもよい。
これにより、工事費用査定装置は、見積書に記載される項目内容(例えば、文字列)と、基準価格情報に記録される内容とが完全に一致しなくとも、見積書に記載される項目内容(例えば、文字列)と、基準価格情報に記録される内容とを対応付けることができる。
【0052】
(態様7)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)は、工事の内容の基準価格に関する基準価格情報を記憶する記憶部と、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識部と、認識部によって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定部と、認識部によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定部と、第1特定部によって特定される第1の列のうち、第2特定部によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、記憶部に記憶される基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付け部と、対応付け部によって項目内容と内容とを対応付けた結果と、記憶部に記憶される基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定部と、推定部によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
これにより、工事費用査定装置は、上述した一態様の工事費用査定装置と同様の効果を奏することができる。
【0053】
(態様8)
一態様の情報処理装置(例えば、工事費用査定装置等)は、工事の資材、その資材の基準価格、工事に利用される雑材、その雑材の基準雑材費、工事を行う際の労務に関する基準労務費、及び、非工事内容に関する基準非工事費に関する基準価格情報を記憶する記憶部と、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識部と、認識部によって認識される列のうち、見積の単価、見積の数量及び見積の金額のうち少なくとも1つが記載される第1の列を特定する第1特定部と、認識部によって認識される行のうち、見積内容となる項目内容の金額が記載される行を特定する第2特定部と、第1特定部によって特定される第1の列のうち、第2特定部によって特定される行に記載される項目内容を、記憶部に記憶される基準価格情報の資材、雑材、労務及び非工事内容のいずれかに対応付ける対応付け部と、対応付け部によって項目内容と資材及び雑材とを対応付けた結果と、記憶部に記憶される基準価格情報の資材の基準価格及び雑材の基準雑材費と、資材及び雑材に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第1推定部と、対応付け部によって項目内容と労務及び非工事内容とを対応付けた結果と、記憶部に記憶される基準価格情報の基準労務内容及び基準非工事費と、労務及び非工事内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する第2推定部と、第1推定部及び第2推定部によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御部と、を備える。
これにより、工事費用査定装置は、上述した一態様の工事費用査定装置と同様の効果を奏することができる。
【0054】
(態様9)
一態様の情報処理方法(例えば、工事費用査定方法等)では、工事の内容の基準価格に関する基準価格情報を記憶する記憶部を備えるコンピュータが、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識ステップと、認識ステップによって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定ステップと、認識ステップによって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定ステップと、第1特定ステップによって特定される第1の列のうち、第2特定ステップによって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、記憶部に記憶される基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付けステップと、対応付けステップによって項目内容と内容とを対応付けた結果と、記憶部に記憶される基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定ステップと、推定ステップによって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御ステップと、を実行する。
これにより、工事費用査定方法は、上述した一態様の工事費用査定装置と同様の効果を奏することができる。
【0055】
(態様10)
一態様の情報処理プログラム(例えば、工事費用査定プログラム等)は、コンピュータに、工事の内容の基準価格に関する基準価格情報を記憶する記憶機能と、工事の見積に関する見積情報に記録される見積内容の行及び列を認識する認識機能と、認識機能によって認識される列のうち、見積が記載される第1の列を特定する第1特定機能と、認識機能によって認識される行のうち、特定項目の金額が記載される第2の行を特定する第2特定機能と、第1特定機能によって特定される第1の列のうち、第2特定機能によって特定される第2の行を除いた列に記載される項目内容を、記憶機能に記憶される基準価格情報に記録される内容に対応付ける対応付け機能と、対応付け機能によって項目内容と内容とを対応付けた結果と、記憶機能に記憶される基準価格情報の基準価格と、工事の内容に応じて予め設定される歩掛及び掛率とに基づいて、項目内容の査定額を推定する推定機能と、推定機能によって推定される各査定額を出力するよう制御する出力制御機能と、を実現させる。
これにより、工事費用査定プログラムは、上述した一態様の工事費用査定装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 情報処理システム
100 情報処理装置(工事費用査定装置)
111 制御部
112 認識部
113 第1特定部
114 第2特定部
115 対応付け部
116 推定部
1161 第1推定部
1162 第2推定部
117 出力制御部
121 通信部
122 記憶部
123 表示部