(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094063
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及びコンピュータ可読記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20230628BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209294
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】501300816
【氏名又は名称】日本リスク・データ・バンク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500007325
【氏名又は名称】アットホームホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】松本 崇
(72)【発明者】
【氏名】井上 普
(72)【発明者】
【氏名】清水 吾一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】不動産関連指標の値を求める精度を向上させる技術を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報処理装置は、記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の賃貸物件入居募集に関する値を取得する取得部と、前記対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算する計算部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の賃貸物件入居募集に関する値を取得する取得部と、
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算する計算部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、賃貸物件に対する第1の賃貸物件入居募集に応じた第1の募集情報の第1の公開日と前記賃貸物件に対する第2の賃貸物件入居募集に応じた第2の募集情報の第2の公開日との間の期間の長さに応じて、前記期間における前記賃貸物件の募集状態を募集あり状態又は募集なし状態に設定し、前記期間における前記賃貸物件の募集状態の設定に基づいて前記対象の賃貸物件募集に関する値を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記物件属性情報は、物件特性情報を含み、
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値は、所定期間における前記対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を含み、
前記取得部は、前記物件特性情報の比較に基づいて前記対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を取得する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
築年数毎の前記対象の不動産関連指標の値に基づいて、築年数を入力として不動産関連指標の値を求めるための不動産関連指標値推計モデルを生成する生成部をさらに備える、請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値は、第1の期間における前記対象の第1の募集戸数を含み、
前記対象の賃貸物件募集に関する値は、前記第1の期間よりも前の第2の期間における前記対象の第2の募集戸数を含み、
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値は、前記第1の期間及び前記第2の期間を合わせた第3の期間における前記対象の第3の募集戸数を含み、
前記対象の不動産関連指標の値は、前記対象の新規募集発生率を含み、
前記計算部は、前記対象の第1の募集戸数、前記対象の第2の募集戸数及び前記対象の第3の募集戸数に基づいて前記対象の新規募集発生率を計算する、
請求項1から4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値は、所定期間における前記対象の募集戸数を含み、
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値は、前記対象の総戸数を含み、
前記対象の不動産関連指標の値は、前記対象の空室率を含み、
前記計算部は、前記対象の募集戸数及び前記対象の総戸数に基づいて前記対象の空室率を計算する、
請求項1から4の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記計算部は、前記所定期間における前記1以上の棟のそれぞれの募集状態及び前記1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標の値に応じた前記1以上の棟の分類に基づいて前記対象の募集戸数を調整し、前記対象の調整後の募集戸数及び前記対象の総戸数に基づいて前記対象の空室率を計算する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記計算部は、前記所定期間における前記1以上の棟のそれぞれの募集状態、及び、前記1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標の値が条件を満たすか否かに応じて前記1以上の棟のそれぞれを非調整対象棟又は調整対象棟に分類し、前記調整対象棟の集合の募集戸数の調整に基づいて前記対象の募集戸数を調整する、請求項6又は7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記募集状態は、募集あり状態又は募集なし状態を含み、
前記非調整対象棟は、募集あり状態の第1の非調整対象棟、及び、募集なし状態かつ1以上の分類用指標の値が前記条件を満たす第2の非調整対象棟を含み、
前記調整対象棟は、募集なし状態かつ前記1以上の分類用指標の値が前記条件を満たさない棟を含む、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記計算部は、前記第1の非調整対象棟の集合の募集戸数及び総戸数に基づいて前記第1の非調整対象棟の集合の空室率を計算し、前記調整対象棟の集合の総戸数及び前記第1の非調整対象棟の集合の空室率に基づいて前記調整対象棟の集合の募集戸数を調整する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記1以上の分類用指標の値は、総戸数捕捉率を含み、
前記計算部は、前記1以上の棟のそれぞれの総戸数及び棟特性情報の総戸数捕捉率推計モデルへの入力に基づいて、前記1以上の棟のそれぞれの前記総戸数捕捉率を求める、請求項7乃至10の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の賃貸物件入居募集に関する値を取得することと、
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算することと、
を備える情報処理方法。
【請求項13】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の情報処理装置が備える各部による処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不動産に関連する情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム及びコンピュータ可読記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
不動産を評価するために、種々の不動産関連指標が用いられている。不動産関連指標は、不動産の評価に関わるので、高い精度を求められている。例えば、不動産関連指標には、空室率がある。
【0003】
特許文献1には、回帰モデルを用いて棟の空室率を推計する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、回帰モデルを用いているので、空室率の推計精度は、回帰モデルの生成に用いられた棟の物件特性データに依存する。空室率の推計対象となる棟の物件特性データが回帰モデルの作成に用いられた物件特性データと類似する場合は、空室率の推計精度は高い。空室率の推計対象となる棟の物件特性データが回帰モデルの作成に用いられた物件特性データと類似しない場合は、空室率の推計精度は低い。このように、回帰モデルを用いて棟の空室率を推計する技術では、空室率の推計精度は棟毎にばらつく可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、不動産関連指標の値を求める精度を向上させる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による情報処理装置は、記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の賃貸物件入居募集に関する値を取得する取得部と、前記対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算する計算部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、不動産関連指標の値を求める精度を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るサーバにより実行される不動産関連指標値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るサーバにより実行される募集欠損補完処理の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るサーバにより実行される戸数補完処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係るサーバにより実行される不動産関連指標値推計モデルの生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るサーバにより実行される不動産関連指標値推計モデルに基づく不動産関連指標値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る棟の非調整対象棟又は調整対象棟への分類例について説明する図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係るサーバにより実行される総戸数捕捉率推計モデルの生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るサーバにより実行される空室補完処理を伴う対象の推計空室率の計算処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る空室補完処理を伴う推計空室率を空室補完処理を伴わない推計空室率及び現地調査の空室率と比較した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照していくつかの実施形態を説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
(構成例)
図1は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。
サーバ1は、不動産に関する情報を処理する電子機器である。サーバ1は、ネットワークNWを介して、端末2と通信可能に接続する。サーバ1は、情報処理装置の一例である。ネットワークNWは、インターネット、モバイルネットワーク及びLAN(Local Area Network)等のうちの少なくとも1以上のネットワークを含む。
【0012】
サーバ1は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インタフェース14を備える。プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13及び通信インタフェース14は、バス等を介して、互いに信号を入出力可能に接続されている。
【0013】
プロセッサ11は、サーバ1の中枢部分に相当する。プロセッサ11は、サーバ1のコンピュータを構成する。例えば、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)であるが、これに限定されない。プロセッサ11は、種々の回路で構成されていてもよい。プロセッサ11は、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されている情報処理プログラムをメインメモリ12に展開する。情報処理プログラムは、プロセッサ11によって実現される後述する各部による処理を実行させるプログラムである。プロセッサ11は、メインメモリ12に展開される情報処理プログラムを実行することで、種々の動作を実行する。
【0014】
メインメモリ12は、サーバ1の主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域及び揮発性のメモリ領域を含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はプログラムを記憶する。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。例えば、メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域としてROM(Read Only Memory)を含む。例えば、メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域としてRAM(Random Access Memory)を含む。メインメモリ12は、情報処理プログラムを記憶し得る。
【0015】
補助記憶デバイス13は、サーバ1の補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス13は、EEPROM(登録商標)(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等である。補助記憶デバイス13は、上述の情報処理プログラム、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ及びプロセッサ11での処理によって生成されるデータを記憶し得る。
補助記憶デバイス13は、募集履歴記憶領域131、計算結果記憶領域132及び推計モデル記憶領域133を含む。
【0016】
募集履歴記憶領域131は、募集履歴データを記憶する領域である。募集履歴データは、賃貸物件入居募集毎の募集情報を含む。募集履歴データは、募集情報の追加に応じて更新され得る。募集履歴データは、ネットワークNWを介して公衆に閲覧可能となるように募集情報を提供するサーバに記憶されたデータを連携したものであってもよい。募集履歴記憶領域131は、記憶部の一例である。
【0017】
賃貸物件入居募集は、空室の賃貸物件に対する入居の募集である。賃貸物件は、マンション、アパート及び戸建等の種々の棟の賃貸用の物件である。棟は、建物ともいう。賃貸物件は、当初から賃貸用として利用されている物件だけでなく、分譲された売買物件を賃貸用にした物件を含んでもよい。
【0018】
募集情報は、空室の賃貸物件に対する入居を募集するための情報である。募集情報は、ネットワークNWを介して公衆に閲覧可能な情報を含む。募集情報は、公衆に閲覧可能ではない情報を含んでもよい。例えば、募集情報は、登録日、公開日、棟ID及び物件属性情報を含む。公開日、及び物件属性情報は、公衆に閲覧可能な情報であり得る。登録日及び棟IDは、公衆に閲覧可能ではない情報であってもよいし、公衆に閲覧可能な情報であってもよい。募集情報は、不動産会社等によって登録され得る。
【0019】
登録日は、募集情報を公開するために登録された日である。募集情報の登録は、不動産会社等によって任意のタイミングに行われてもいいし、不動産会社等によって設定された自動更新に基づいて一月毎に自動で行われてもよい。公開日は、ネットワークNWを介して公衆に閲覧可能となるように募集情報が公開された日である。公開日は、募集情報の登録日に基づいて決まる日である。棟IDは、棟を一意に識別可能な棟識別情報である。
【0020】
物件属性情報は、賃貸物件に紐づく物件属性に関する情報である。物件属性情報は、物件識別情報、物件費用情報及び物件特性情報を含む。物件識別情報は、賃貸物件を一意に識別可能な情報である。物件識別情報は、「101」等の部屋番号であるが、これに限定されない。
【0021】
物件費用情報は、賃貸物件の費用に関する情報である。以下では、賃貸物件の費用は、賃貸物件費用ともいう。物件費用情報は、以下に例示する賃貸物件費用を示す情報を含んでもよい。物件費用情報は、賃貸物件の賃料を示す情報を含んでもよい。物件費用情報は、賃貸物件の敷金を示す情報を含んでもよい。物件費用情報は、賃貸物件の礼金を示す情報を含んでもよい。物件費用情報は、賃貸物件の管理費を示す情報を含んでもよい。物件費用情報は、賃貸物件の共益費を示す情報を含んでもよい。物件費用情報は、賃貸物件の更新料の月数を示す情報を含んでもよい。なお、これらの賃貸物件費用は例示であり、物件費用情報は、これら以外の種々の賃貸物件費用を示す情報を含み得る。
【0022】
物件特性情報は、賃貸物件の特性に関する情報である。以下では、賃貸物件の特性は、賃貸物件特性ともいう。物件特性情報は、以下に例示する賃貸物件特性を示す情報を含んでもよい。物件特性情報は、賃貸物件の専有面積を示す情報を含んでもよい。物件特性情報は、賃貸物件のバルコニー面積を示す情報を含んでもよい。物件特性情報は、賃貸物件に存在する部屋数を示す情報を含んでもよい。物件特性情報は、棟特性情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の特性に関する情報である。以下では、棟の特性は、棟特性ともいう。なお、これらの賃貸物件特性は例示であり、物件特性情報は、これら以外の種々の賃貸物件特性を示す情報を含み得る。
【0023】
棟特性情報は、以下に例示する情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の棟種別を示す情報を含んでもよい。棟種別は、アパート、マンション、分譲マンション及び戸建等である。棟特性情報は、賃貸物件の棟構造を示す情報を含んでもよい。棟構造は、木造、S造、RC造又はSRC造等である。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の地上階数を示す情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の地下階数を示す情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟のうちの賃貸物件の存在する所在階を示す情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の総戸数を示す情報を含んでもよい。棟の総戸数は、棟のうち賃貸物件として使われている物件の総戸数であってもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の販売戸数を示す情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の築年を示す情報を含んでもよい。築年は、賃貸物件の存在する棟が建築された年である。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の築月を示す情報を含んでもよい。築月は、賃貸物件の存在する棟が建築された月である。棟特性情報は、賃貸物件の所在地を示す情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の築年数を示す情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の最寄駅又は最寄バス停を示す情報を含んでもよい。棟特性情報は、賃貸物件の存在する棟の最寄駅又は最寄りバス停から賃貸物件の存在する棟までの徒歩距離又は徒歩時間を示す情報を含んでもよい。なお、これらの棟特性は例示であり、棟特性情報は、これら以外の種々の棟特性を示す情報を含み得る。
【0024】
なお、募集情報は不動産会社によって登録されるので、物件属性情報は、物件識別情報を含まないこともある。物件属性情報は、物件費用情報のうちの一部の賃貸物件費用を示す情報を含まないこともある。物件属性情報は、物件特性情報のうちの一部の物件特性を示す情報を含まないこともある。物件特性情報は、棟特性情報のうちの一部の棟特性を示す情報を含まないこともある。
【0025】
計算結果記憶領域132は、プロセッサ11により計算された計算結果を記憶する。計算結果は、第1の計算結果及び第2の計算結果を含む。計算結果記憶領域132は、記憶部の一例である。
【0026】
第1の計算結果は、プロセッサ11により対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて計算された対象の不動産関連指標の値である。以下では、不動産関連指標の値は、不動産関連指標値ともいう。対象は、1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む。
【0027】
対象が1つの棟を含む場合、対象は1つの棟を指す。対象が複数の棟を含む場合、対象は複数の棟を含む範囲を指す。対象となる範囲は、エリア及び1以上の棟特性を有する棟への限定のうちの少なくとも何れか一方であってもよい。エリアは、町丁目のエリアであってもいいし、町丁目よりも広い市区町村等のエリアであってもいいし、任意のエリアであってもよい。1以上の棟特性を有する棟への限定は、対象が含む複数の棟を、指定された1以上の棟特性を有する棟に限定することである。例えば、対象が含む複数の棟は、指定された築年数を有する棟に限定されてもよい。例えば、対象が含む複数の棟は、指定された棟種別及び築年数を有する棟に限定されてもよい。
【0028】
対象が1つの賃貸物件を含む場合、対象は1つの賃貸物件を指す。対象が複数の賃貸物件を含む場合、対象は、複数の賃貸物件を含む範囲を指す。対象となる範囲は、エリア及び1以上の棟特性を有する棟に属する賃貸物件への限定のうちの少なくとも何れか一方であってもよい。1以上の棟特性を有する棟に属する賃貸物件への限定は、対象が含む複数の賃貸物件を、指定された1以上の棟特性を有する棟に属する賃貸物件に限定することである。例えば、対象が含む複数の賃貸物件は、指定された築年数を有する棟に属する賃貸物件に限定されてもよい。例えば、対象が含む複数の賃貸物件は、指定された棟種別及び築年数を有する棟に属する賃貸物件に限定されてもよい。
【0029】
賃貸物件入居募集に関する値は、賃貸物件入居募集に応じた募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて得られる値である。以下では、賃貸物件入居募集に関する値は、募集に関する値ともいう。募集に関する値は、物件属性情報で示される物件属性の値であってもよい。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。物件属性情報で示される物件属性の値は、賃料の値であってもよい。募集に関する値は、物件属性情報で示される物件属性の値から求まる値であってもよい。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。
【0030】
募集に関する値は、属性情報に基づいてカウントされる値であってもよい。この例は、対象が1以上の棟を含む場合に想定され得る。属性情報に基づいてカウントされる値は、所定期間における対象の募集戸数を含んでもよい。以下では、属性情報に基づいてカウントされる募集戸数は、推計募集戸数ともいう。ここでは、所定期間は、各月の一ヶ月間であるものとして説明するが、これに限定されない。対象の推計募集戸数は、対象に含まれる1以上の棟のうち、所定期間において募集状態が募集あり状態の賃貸物件の数である。募集状態は、賃貸物件に対する入居の募集に関する状態である。募集状態は、募集あり状態又は募集なし状態を含む。募集あり状態は、賃貸物件に対する入居の募集をしている状態である。募集あり状態の賃貸物件は、空室の賃貸物件と想定される。募集なし状態は、賃貸物件に対する入居の募集をしていない状態である。対象の推計募集戸数は、対象の空室戸数に対応する。対象の推計募集戸数のカウント例については後述する。
【0031】
属性情報に基づいてカウントされる値は、第1の期間における対象の第1の推計募集戸数を含んでもよい。第1の期間の長さは所定期間と同じである。対象の第1の推計募集戸数は、対象に含まれる1以上の棟のうち、第1の期間において募集状態が募集あり状態の賃貸物件の数である。
【0032】
属性情報に基づいてカウントされる値は、第2の期間における対象の第2の推計募集戸数を含んでもよい。第2の期間は、第1の期間よりも前の期間である。第2の期間は、第1の期間に連続する期間であってもよい。第2の期間の長さは所定期間と同じである。対象の第2の推計募集戸数は、第2の期間において対象に含まれる1以上の棟のうち募集状態が募集あり状態の賃貸物件の数である。
【0033】
属性情報に基づいてカウントされる値は、第3の期間における対象の第3の推計募集戸数を含んでもよい。第3の期間は、第1の期間及び第2の期間を合わせた期間である。第3の期間の長さは、所定期間の2倍の長さである。対象の第3の推計募集戸数は、第3の期間において対象に含まれる1以上の棟のうち募集状態が募集あり状態の賃貸物件の数である。例えば、対象の第3の推計募集戸数は、対象に含まれる1以上の棟のうち、第1の期間及び第2の期間の少なくとも何れか一方の期間において募集状態が募集あり状態の賃貸物件の数である。
【0034】
属性情報に基づいてカウントされる値は、対象の総戸数を含んでもよい。以下では、属性情報に基づいてカウントされる総戸数は、推計総戸数ともいう。対象の推計総戸数は、対象に含まれる1以上の棟に属する賃貸物件の総数である。対象の推計総戸数は、対象に含まれる1以上の棟において過去に募集あり状態になったことのある賃貸物件の総数と想定される。対象の推計総戸数のカウント例については後述する。
【0035】
不動産関連指標値は、不動産に関連する指標の値である。典型例では、不動産関連指標値は、賃貸物件に関連する指標の値である。不動産関連指標値は、以下に例示する指標値を含んでもよい。なお、以下に例示する指標値は、値を意図するが、不動産関連指標を指すこともある。
【0036】
不動産関連指標値は、空室率を含んでもよい。この例は、対象が1以上の棟を含む場合に想定され得る。以下では、プロセッサ11により計算される空室率は、推計空室率ともいう。推計空室率は、推計総戸数に対する所定期間における推計募集戸数の割合を示す指標値である。対象の推計空室率は、所定期間における対象の推計募集戸数及び対象の推計総戸数に基づいて得られる。例えば、2021年8月における対象の推計空室率は、2021年8月における対象の推計募集戸数を対象の推計総戸数で割って得られる割合である。
【0037】
不動産関連指標値は、新規募集発生率を含んでもよい。この例は、対象が1以上の棟を含む場合に想定され得る。新規募集発生率は、第1の期間における第1の推計募集戸数のうち第1の期間において募集あり状態となった賃貸物件の数の割合を示す指標値である。
【0038】
対象の新規募集発生率は、対象の第1の推計募集戸数、対象の第2の推計募集戸数及び対象の第3の推計募集戸数に基づいて得られる。ここでは、対象の第1の推計募集戸数をC1とし、対象の第2の推計募集戸数をC2とし、対象の第3の推計募集戸数をC3とする。対象の新規募集発生率は、1-(C1+C2-C3)/C1で得られる割合である。例えば、2021年8月における対象の新規募集発生率の値は、1-(2021年8月における対象の第1の推計募集戸数+2021年7月における対象の第2の推計募集戸数-2021年7月から8月の二ヶ月間における対象の第3の推計募集戸数)/2021年8月における対象の第1の推計募集戸数で得られる割合である。新規募集発生率が高い場合、賃貸市場が活発であると考えられる。
【0039】
不動産関連指標値は、最終募集賃料を含む。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。最終募集賃料は、対象に含まれる賃貸物件の募集あり状態の終了月の賃料を示す指標値である。例えば、対象に含まれる賃貸物件について、2021年6月が募集あり状態の開始月であるものとする。2021年7月は、募集あり状態であるものとする。2021年8月は、募集あり状態の終了月であるものとする。対象の最終募集賃料は、2021年8月の対象に含まれる賃貸物件の賃料である。最終募集賃料は、成約価格に限りなく近い値であると考えられる。
【0040】
不動産関連指標値は、賃料下方修正確率を含む。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。賃料下方修正確率は、ある月で募集あり状態の終了する賃貸物件のうち、今回募集の最終募集賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して下落した賃貸物件の割合を示す指標値である。今回募集及び前回募集は、賃貸物件の募集あり状態が一ヶ月以上連続する一纏まりの期間であって、募集あり状態の開始月から募集あり状態の終了月までの期間である。前回募集は、今回募集と重複しない今回募集よりも前の期間である。今回募集と前回募集との間は、少なくとも賃貸物件の募集なし状態の月を少なくとも一ヶ月以上挟む。例えば、対象に含まれる賃貸物件のうち2021年8月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数をX1とする。X1のうち、今回募集の最終募集賃料である2021年8月の賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して下落した賃貸物件の数をX2とする。2021年8月における対象の賃料下方修正確率は、X2をX1で割って得られる割合である。
【0041】
不動産関連指標値は、賃料維持率を含む。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。賃料維持率は、ある月で募集あり状態の終了する賃貸物件のうち、今回募集の最終募集賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して同額の賃貸物件の割合を示す指標値である。例えば、対象に含まれる賃貸物件のうち2021年8月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数をX1とする。X1のうち、今回募集の最終募集賃料である2021年8月の賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して同額の賃貸物件の数をX3とする。2021年8月における対象の賃料維持率は、X3をX1で割って得られる割合である。
【0042】
不動産関連指標は、賃料上方修正確率を含む。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。賃料上方修正確率は、ある月で募集あり状態の終了する賃貸物件のうち、今回募集の最終募集賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して上昇した賃貸物件の割合を示す指標値である。例えば、対象に含まれる賃貸物件のうち2021年8月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数をX1とする。X1のうち、今回募集の最終募集賃料である2021年8月の賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して上昇した賃貸物件の数をX4とする。2021年8月における対象の賃料上方修正確率は、X4をX1で割って得られる割合である。
【0043】
不動産関連指標は、賃料変動額を含む。賃料変動額は、ある月で募集あり状態の終了する賃貸物件であって、今回募集の最終募集賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して変動した賃貸物件における変動額を示す指標値である。賃料変動額は、今回募集の最終募集賃料から前回募集の最終募集賃料を引いて得られる値であってもよい。賃料変動額は、今回募集の最終募集賃料から前回募集の最終募集賃料を引いて得られる値を1年あたりの変動額に換算した値であってもよい。
【0044】
賃料変動額は、賃料下方修正額を含む。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。賃料下方修正額は、ある月で募集あり状態の終了する賃貸物件であって、今回募集の最終募集賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して下落した賃貸物件における下落額を示す指標値である。例えば、対象に含まれる賃貸物件について、今回募集の最終募集賃料を2021年8月の賃料Y1であるものとする。この賃貸物件について、前回募集の最終募集賃料を2020年5月の賃料Y2であるものとする。賃料Y1は、賃料Y2よりも下落しているものとする。対象の賃料下方修正額は、賃料Y1から賃料Y2を引いて得られる負の値である。対象の賃料下方修正額は、賃料Y1から賃料Y2を引いて得られる負の値を1年あたりの値に換算した負の値であってもよい。
【0045】
賃料変動額は、賃料上方修正額を含む。この例は、対象が1以上の賃貸物件を含む場合に想定され得る。賃料上方修正額は、ある月で募集あり状態の終了する賃貸物件であって、今回募集の最終募集賃料が前回募集の最終募集賃料と比較して上昇した賃貸物件における上昇額を示す指標値である。例えば、対象に含まれる賃貸物件について、今回募集の最終募集賃料を2021年8月の賃料Y3であるものとする。この賃貸物件について、前回募集の最終募集賃料を2020年5月の賃料Y4であるものとする。賃料Y3は、賃料Y4よりも上昇しているものとする。賃料上方修正額は、賃料Y3から賃料Y4を引いて得られる正の値である。対象の賃料上昇修正額は、賃料Y3から賃料Y4を引いて得られる正の値を1年あたりの値に換算した正の値であってもよい。
【0046】
第2の計算結果は、プロセッサ11により不動産関連指標値推計モデルに基づいて計算された対象の不動産関連指標値である。不動産関連指標値推計モデルの説明変数は、築年数である。不動産関連指標値推計モデルの目的変数は、不動産関連指標値である。不動産関連指標値推計モデルは、築年数を入力として不動産関連指標値を求めるための推計モデルである。例えば、不動産関連指標値推計モデルは、築年数毎の第1の推計結果に基づいて生成される線形回帰モデルである。不動産関連指標値推計モデルは、線形回帰モデルに限定されず、非線形回帰モデルであってもよい。
【0047】
推計モデル記憶領域133は、推計モデルを記憶する。例えば、推計モデル記憶領域133は、種々の不動産関連指標値推計モデルを記憶する。推計モデル記憶領域133は、上述の種々の不動産関連指標値に関する不動産関連指標値推計モデルを記憶してもよい。推計モデル記憶領域133は、対象毎の不動産関連指標値推計モデルを記憶してもよい。不動産関連指標値推計モデルは、適宜更新され得る。推計モデル記憶領域133は、記憶部の一例である。
【0048】
通信インタフェース14は、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用してサーバ1を他の電子機器と通信可能に接続する種々のインタフェースを含む。
【0049】
なお、サーバ1のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。サーバ1は、適宜、上述の構成要素の省略及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。
【0050】
プロセッサ11よって実現される各部について説明する。
プロセッサ11は、取得部111、計算部112、出力部113及び生成部114を実現する。プロセッサ11によって実現される各部は、各機能ということもできる。プロセッサ11によって実現される各部は、プロセッサ11及びメインメモリ12を含む制御部によって実現されるということもできる。
【0051】
取得部111は、募集履歴記憶領域131に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて対象の募集に関する値を取得する。
計算部112は、対象の不動産関連指標値を計算する。一例では、計算部112は、対象の募集に関する値に基づいて対象の不動産関連指標値を計算する。別の例では、計算部112は、不動産関連指標値推計モデルに基づいて対象の不動産関連指標値を計算する。
出力部113は、計算部112による計算結果を出力する。一例では、出力部113は、第1の計算結果を出力する。別の例では、出力部113は、第2の計算結果を出力する。
生成部114は、推計モデルを生成する。例えば、生成部114は、不動産関連指標値推計モデルを生成する。
【0052】
端末2は、ネットワークNWを介したサーバ1と通信可能な電子機器である。例えば、端末2は、PC(Personal Computer)、スマートフォン又はタブレット端末等である。
【0053】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ1の動作例を説明する。
なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0054】
図2は、サーバ1により実行される不動産関連指標値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
サーバ1は、各月の設定されたタイミングで不動産関連指標値の計算処理を開始してもよい。サーバ1は、端末2を介してユーザにより入力された開始指示に基づいて不動産関連指標値の計算処理を開始してもよい。サーバ1は、不動産関連指標値の計算処理を実行する月の不動産関連指標値を求めてもよい。サーバ1は、不動産関連指標値の計算処理を実行する月よりも前の月の不動産関連指標値を求めてもよい。
【0055】
取得部111は、募集履歴記憶領域131に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて対象の募集に関する値を取得する(ステップS1)。ステップS1における取得部111の処理については、不動産関連指標値毎に説明する。
【0056】
対象の不動産関連指標値が対象の推計空室率を含む例について説明する。
対象の募集に関する値は、所定期間における対象の推計募集戸数を含む。取得部111は、以下に例示するように、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて所定期間における対象の推計募集戸数を取得する。対象の推計募集戸数は、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計募集戸数を含む。例えば、取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、所定期間における対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計募集戸数を取得する。取得部111は、所定期間における1以上の棟のそれぞれの推計募集戸数の合計に基づいて、所定期間における対象の推計募集戸数を取得する。
【0057】
この例では、取得部111は、募集情報に含まれる棟IDに基づいて、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれに関連する募集情報を募集履歴データから抽出してもよい。取得部111は、募集情報に含まれる公開日に基づいて、所定期間における賃貸物件の募集状態を設定してもよい。取得部111は、賃貸物件を特定する募集情報に含まれる公開日を有する月について、賃貸物件の募集状態を募集あり状態に設定してもよい。取得部111は、賃貸物件を特定する募集情報に含まれる公開日を有しない月について、賃貸物件の募集状態を募集なし状態に設定してもよい。取得部111は、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれについて、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、所定期間において募集あり状態の賃貸物件をユニークにカウントしてもよい。例えば、取得部111は、物件属性情報に含まれる物件識別情報の比較に基づいて、所定期間において募集あり状態の賃貸物件をユニークにカウントする。取得部111は、共通の物件識別情報を有する複数の募集情報を、募集あり状態の1つの賃貸物件としてカウントすることができる。取得部111は、所定期間において募集あり状態のユニークな賃貸物件のカウントに基づいて、所定期間における対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計募集戸数を取得してもよい。なお、取得部111は、推計募集戸数の取得のためにユニークにカウントした賃貸物件に関する複数の募集情報に含まれる各項目のデータを代表値に集約してもよい。代表値は、平均値、中央値又は最頻値等であってもよく、これらに限定されない。項目に対するデータが値である場合、代表値は、平均値、中央値又は最頻値であってもよい。項目に対するデータが文字列である場合、代表値は、最頻値であってもよい。
【0058】
対象の募集に関する値は、対象の推計総戸数を含む。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて対象の推計総戸数を取得する。対象の推計総戸数は、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計総戸数を含む。例えば、取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計総戸数を取得する。取得部111は、1以上の棟のそれぞれの推計総戸数の合計に基づいて、対象の推計総戸数を取得する。
【0059】
この例では、取得部111は、募集情報に含まれる棟IDに基づいて、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれに関連する募集情報を募集履歴データから抽出してもよい。取得部111は、募集履歴データの全期間から募集情報を抽出してもいいし、全期間よりも短い期間から募集情報を抽出してもよい。取得部111は、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれについて、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、賃貸物件をユニークにカウントしてもよい。取得部111によりユニークにカウントされる賃貸物件は、過去に一度でも募集された賃貸物件である。取得部111は、ユニークな賃貸物件のカウントに基づいて、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計総戸数を取得してもよい。なお、取得部111は、推計募集戸数の例と同様に、推計総戸数の取得のためにユニークにカウントした賃貸物件に関する複数の募集情報に含まれる各項目のデータを代表値に集約してもよい。
【0060】
対象の不動産関連指標値が対象の新規募集発生率を含む例について説明する。
対象の募集に関する値は、第1の期間における対象の第1の推計募集戸数を含む。取得部111は、上述の所定期間における対象の推計募集戸数の取得例と同様に、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて第1の期間における対象の第1の推計募集戸数を取得し得る。対象の募集に関する値は、第2の期間における対象の第2の推計募集戸数を含む。取得部111は、上述の所定期間における対象の推計募集戸数の取得例と同様に、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて第2の期間における対象の第2の推計募集戸数を取得し得る。対象の募集に関する値は、第3の期間における対象の第3の推計募集戸数を含む。取得部111は、上述の所定期間における対象の推計募集戸数の取得例と同様に、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて第3の期間における対象の第3の推計募集戸数を取得し得る。
【0061】
対象の不動産関連指標値が対象の最終募集賃料を含む例について説明する。
対象の募集に関する値は、対象に含まれる賃貸物件の募集あり状態の終了月の賃料を含む。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、対象に含まれる賃貸物件の募集あり状態の終了月の賃料を取得する。この例では、取得部111は、募集あり状態の終了月の公開日を含む募集情報を抽出してもよい。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報から、対象に含まれる賃貸物件の募集あり状態の終了月の賃料を取得してもよい。なお、対象に含まれる賃貸物件について、募集あり状態の終了月の公開日を含む募集情報が複数の不動産会社によって登録されている場合もあり得る。取得部111は、共通の物件識別情報を有する複数の募集情報を、募集あり状態の1つの賃貸物件としてカウントすることができる。取得部111は、複数の不動産会社による複数の賃料に基づいて、対象に含まれる賃貸物件の募集あり状態の終了月の賃料を取得してもよい。募集あり状態の終了月の賃料は、複数の賃料の平均値、中央値又は最頻値等であってもよく、これらに限定されない。
【0062】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料下方修正確率を含む例について説明する。
対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数を含む。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、ある月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数を取得する。この例では、取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、ある月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数をユニークにカウントしてもよい。取得部111は、ある月に募集あり状態の終了するユニークな賃貸物件のカウントに基づいて、ある月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数を取得してもよい。
【0063】
対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料を取得する。
【0064】
対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料を取得する。
【0065】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料維持率を含む例について説明する。
対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数を含む。対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。
【0066】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料上方修正確率を含む例について説明する。
対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数を含む。対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。対象の募集に関する値は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。
【0067】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料変動額を含む例について説明する。
対象の募集に関する値は、対象に含まれる賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、対象となる賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料を取得する。対象の募集に関する値は、対象に含まれる賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料を含む。取得部111は、募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、対象に含まれる賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料を取得する。
【0068】
計算部112は、対象の募集に関する値に基づいて対象の不動産関連指標値を計算する(ステップS2)。ステップS2における計算部112の処理については、不動産関連指標値毎に説明する。
【0069】
対象の不動産関連指標値が対象の推計空室率を含む例について説明する。
計算部112は、対象の推計募集戸数及び対象の推計総戸数に基づいて対象の推計空室率を計算する。この例では、計算部112は、対象の推計募集戸数を対象の推計総戸数で割ることにより、対象の推計空室率を計算する。
【0070】
対象の不動産関連指標値が対象の新規募集発生率を含む例について説明する。
計算部112は、対象の第1の推計募集戸数、対象の第2の推計募集戸数及び対象の第3の推計募集戸数に基づいて対象の新規募集発生率を計算する。この例では、計算部112は、1-(C1+C2-C3)/C1により、対象の新規募集発生率を計算する。なお、1-(C1+C2-C3)/C1は、(C3-C2)/C1と変換可能である。そのため、計算部112は、(C3-C2)/C1により、対象の新規募集発生率を計算してもよい。計算部112は、対象の第1の推計募集戸数、対象の第2の推計募集戸数及び対象の第3の推計募集戸数に基づいて対象の新規募集発生率を計算すればよく、計算式は限定されない。
【0071】
対象の不動産関連指標値が対象の最終募集賃料を含む例について説明する。
計算部112は、対象に含まれる賃貸物件の募集あり状態の終了月の賃料に基づいて対象の最終募集賃料を計算する。この例では、計算部112は、対象に含まれる賃貸物件の募集あり状態の終了月の賃料を対象の最終募集賃料として求める。
【0072】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料下方修正確率を含む例について説明する。
計算部112は、以下の3つの事項に基づいて、対象の賃料下方修正確率を計算する。1つ目は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する賃貸物件の数である。2つ目は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料である。3つ目は、対象に含まれる1以上の賃貸物件のうち、ある月に募集あり状態の終了する各賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料である。この例では、計算部112は、各賃貸物件について、今回募集における募集あり状態の終了月の賃料と前回募集における募集あり状態の終了月の賃料とを比較する。計算部112は、比較結果に基づいて、今回募集における募集あり状態の終了月の賃料が前回募集における募集あり状態の終了月の賃料と比較して下落した賃貸物件の数を求める。計算部112は、下落した賃貸物件の数を募集あり状態の終了する賃貸物件の数で割ることにより、対象の賃料下方修正確率を計算する。
【0073】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料維持率を含む例について説明する。
計算部112は、上述の賃料下方修正確率の例と同様の3つの事項に基づいて、対象の賃料下方修正確率を計算する。この例では、計算部112は、各賃貸物件について、今回募集における募集あり状態の終了月の賃料と前回募集における募集あり状態の終了月の賃料とを比較する。計算部112は、比較結果に基づいて、今回募集における募集あり状態の終了月の賃料が前回募集における募集あり状態の終了月の賃料と比較して同額の賃貸物件の数を求める。計算部112は、同額の賃貸物件の数を募集あり状態の終了する賃貸物件の数で割ることにより、対象の賃料維持率を計算する。
【0074】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料上方修正確率を含む例について説明する。
計算部112は、上述の賃料下方修正確率の例と同様の3つの事項に基づいて、対象の賃料上方修正確率を計算する。この例では、計算部112は、各賃貸物件について、今回募集における募集あり状態の終了月の賃料と前回募集における募集あり状態の終了月の賃料とを比較する。計算部112は、比較結果に基づいて、今回募集における募集あり状態の終了月の賃料が前回募集における募集あり状態の終了月の賃料と比較して上昇した賃貸物件の数を求める。計算部112は、上昇した賃貸物件の数を募集あり状態の終了する賃貸物件の数で割ることにより、対象の賃料上方修正確率を計算する。
【0075】
対象の不動産関連指標値が対象の賃料変動額を含む例について説明する。
計算部112は、対象に含まれる賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月の賃料及び対象に含まれる賃貸物件の前回募集における募集あり状態の終了月の賃料に基づいて対象の賃料変動額を計算する。計算部112は、今回募集における募集あり状態の終了月の賃料から前回募集における募集あり状態の終了月の賃料を引くことにより、賃料変動額を計算する。
【0076】
今回募集における募集あり状態の終了月の賃料が前回募集における募集あり状態の終了月の賃料よりも下落している場合、賃料変動額は、負の値であり、賃料下方修正額に相当する。
今回募集における募集あり状態の終了月の賃料が前回募集における募集あり状態の終了月の賃料よりも上昇している場合、賃料変動額は、正の値であり、賃料上方修正額に相当する。
【0077】
計算部112は、対象の不動産関連指標値を示す第1の計算結果を計算結果記憶領域132に保存する(ステップS3)。
【0078】
出力部113は、第1の計算結果を出力する(ステップS4)。ステップS4では、例えば、出力部113は、第1の計算結果を端末2に出力する。出力部113は、開始指示に対する応答として第1の計算結果を端末2に出力してもよい。出力部113は、端末2を介してユーザにより入力された出力指示に基づいて第1の計算結果を端末2に出力してもよい。第1の計算結果のデータ形式は適宜設定可能である。
【0079】
図3は、サーバ1により実行される募集欠損補完処理の一例を示す図である。
募集欠損補完処理は、賃貸物件に関する隣り合う公開日間の期間の長さに応じて、この期間におけるこの賃貸物件の募集状態を設定する処理である。
【0080】
ここでは、第1の公開日と第2の公開日は賃貸物件に関する隣り合う公開日とする。第1の公開日は、賃貸物件に対する第1の賃貸物件入居募集に応じた第1の募集情報に含まれる公開日である。第1の公開日を有する月の賃貸物件の募集状態は、上述のように募集あり状態である。第2の公開日は、賃貸物件に対する第2の賃貸物件入居募集に応じた第2の募集情報の公開日である。第2の公開日は、第1の公開日よりも後の日である。第2の公開日を有する月の賃貸物件の募集状態は、上述のように募集あり状態である。以下では、第1の公開日と第2の公開日との間の期間は、期間Aともいう。
【0081】
取得部111は、賃貸物件に関する第1の公開日と第2の公開日との間の期間Aの長さに応じて、期間Aにおけるこの賃貸物件の募集状態を募集あり状態又は募集なし状態に設定する。賃貸物件の募集状態を募集あり状態又は募集なし状態に設定するための閾値は、所定日数である。
【0082】
所定日数は、一回の募集に応じた募集情報の公開が公開日から自動で落ちる日までの日数に、自動で落ちたことに気づくと想定される日数を加えた日数であってもよい。例えば、一回の募集に応じた募集情報の公開が公開日から自動で落ちる日までの日数を45日とする。自動で落ちたことに気づくと想定される日数を2週間程度とする。ここでは、所定日数が60日であるものとして説明するが、これに限定されない。所定日数は、任意の長さの日数であってもよい。
【0083】
期間Aの長さが所定日数以上である場合、取得部111は、期間Aにおける賃貸物件の募集状態を募集なし状態に設定する。例えば、取得部111は、期間Aにおける第1の公開日を有する月と第2の公開日を有する月との間の1以上の月のそれぞれについて、賃貸物件の募集状態を募集なし状態に設定する。つまり、取得部111は、公開日を有しない1以上の月のそれぞれについて、賃貸物件の募集状態を募集なし状態に設定する。これは、公開日間の期間の長さが所定日数以上の場合、この期間中に少なくとも1回は賃貸物件の入退去が発生したと考えられるからである。そのため、この期間は、賃貸物件が空室ではなかったと考えられる。
【0084】
期間Aの長さが所定日数未満である場合、取得部111は、期間Aにおける賃貸物件の募集状態を募集あり状態に設定する。例えば、取得部111は、期間Aにおける第1の公開日を有する月と第2の公開日を有する月との間の1以上の月のそれぞれについて、賃貸物件の募集状態を募集あり状態に設定する。つまり、取得部111は、公開日を有しない1以上の月のそれぞれについて、賃貸物件の募集状態を募集あり状態に設定する。これは、公開日間の期間の長さが所定日数未満の場合、先の公開日に関する募集の公開が自動で落ちたことに気づいた後に、後の公開日に関する募集を登録し直したと考えられるからである。そのため、この期間は、賃貸物件が空室で維持されたと考えられる。
【0085】
取得部111は、期間Aにおける賃貸物件の募集状態の設定に基づいて対象の募集に関する値を取得する。取得部111は、公開日に応じて設定された賃貸物件の募集状態に加えて、募集欠損補完処理に応じて設定された賃貸物件の募集状態に基づいて対象の募集に関する値を取得することができる。
【0086】
図3を例にして募集欠損補完処理について説明する。「空室」の表記は、募集あり状態に対応する。「入居」の表記は、募集なし状態に対応する。2021年6月は公開日を有する月であるので、賃貸物件の募集状態は、募集あり状態である。2021年7月は公開日を有する月であるので、賃貸物件の募集状態は、募集あり状態である。2021年9月は公開日を有する月であるので、賃貸物件の募集状態は、募集あり状態である。公開日(2021年7月4日)と公開日(2021年9月dd日)との間の期間Aの長さが60日以上である場合、公開日を有しない2021年8月の賃貸物件の募集状態は、募集なし状態である。公開日(2021年7月4日)と公開日(2021年9月dd日)との間の期間Aの長さが60日未満である場合、公開日を有しない2021年8月の賃貸物件の募集状態は、募集あり状態である。
【0087】
図4は、サーバ1により実行される戸数補完処理の一例を示す図である。
戸数補完処理は、物件特性情報の比較に基づいて賃貸物件をユニークにカウントする処理である。
【0088】
取得部111は、物件特性情報の比較に基づいて対象の募集に関する値を取得する。取得部111は、共通の物件特性情報を有する複数の募集情報を、募集あり状態の1つの賃貸物件としてカウントしてもよい。取得部111は、募集あり状態のユニークな賃貸物件のカウントに基づいて対象の募集に関する値を取得してもよい。
【0089】
対象の募集に関する値は上述の種々の値を含む。例えば、対象の募集に関する値は、所定期間における対象の推計募集戸数を含む。取得部111は、物件特性情報の比較に基づいて、対象の推計募集戸数を取得する。例えば、対象の募集に関する値は、対象の推計総戸数を含む。取得部111は、物件特性情報の比較に基づいて、対象の推計総戸数を取得する。
【0090】
図4を例にして、所定期間における対象に含まれる棟の推計募集戸数に関する戸数補完処理について説明する。
左列の番号の項目は、説明の都合上、募集情報に対応する各レコードに便宜的に付した番号を示す。「キー」項目、「所在階」項目、「部屋数」項目及び「専有面積」項目は、募集情報に含まれる物件属性情報に対応する。典型例では、「所在階」項目、「部屋数」項目及び「専有面積」項目は、物件属性情報に含まれる物件特性情報に対応する。「欠損」は、募集情報における情報の欠損を示す。
【0091】
「キー」項目は、物件属性情報に含まれる物件識別情報に対応する。「所在階」項目は、物件特性情報に含まれる所在階を示す情報に対応する。「部屋数」項目は、物件特性情報に含まれる部屋数を示す情報に対応する。「専有面積」項目は、物件特性情報に含まれる専有面積を示す情報に対応する。
【0092】
「戸数」項目は、番号順にユニークに賃貸物件をカウントした累積の推計募集戸数を示す。「重複」は、募集情報に対応するレコードの賃貸物件が、推計募集戸数としてすでにカウントされている別の募集情報に対応するレコードの賃貸物件と重複する同一物件であることを示す。取得部111は、共通の物件特性情報を有する複数の募集情報を、募集あり状態の1つの賃貸物件としてカウントしてもよい。取得部111は、募集あり状態のユニークな賃貸物件のカウントに基づいて、所定期間における対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計募集戸数を取得してもよい。
【0093】
「(1)」の募集情報の賃貸物件は、取得部111により物件識別情報の比較に基づいてユニークにカウントされた募集あり状態の賃貸物件である。
「(2)」の募集情報の賃貸物件は、取得部111により物件識別情報の比較に基づいてユニークにカウントされた募集あり状態の賃貸物件である。
「(3)」の募集情報は、物件識別情報を欠損している。「(3)」の募集情報に含まれる所在階、部屋数及び専有面積は、「(1)」又は「(2)」のそれぞれの募集情報に含まれる所在階、部屋数及び専有面積と完全に一致する。「(3)」の募集情報の賃貸物件は、推計募集戸数としてカウントされた「(1)」又は「(2)」の募集情報の賃貸物件と重複する同一物件である。「(3)」の募集情報の賃貸物件は、取得部111により物件特性情報の比較に基づいて募集あり状態の賃貸物件として新たにカウントされない。
【0094】
「(4)」の募集情報は、物件識別情報を欠損している。「(4)」の募集情報に含まれる所在階、部屋数及び専有面積は、「(1)」又は「(2)」のそれぞれの募集情報に含まれる所在階、部屋数及び専有面積と完全に一致しない。「(4)」の募集情報に含まれる専有面積は、「(1)」及び「(2)」のそれぞれの募集情報に含まれる専有面積と異なる。「(4)」の募集情報の賃貸物件は、取得部111により物件特性情報の比較に基づいてユニークにカウントされた募集あり状態の賃貸物件である。
「(5)」の募集情報の賃貸物件は、推計募集戸数としてカウントされた「(4)」の募集情報の賃貸物件と重複する同一物件である。
【0095】
「(6)」の募集情報は、物件識別情報及び部屋数を示す情報を欠損している。「(6)」の募集情報に含まれる所在階及び専有面積は、「(1)」又は「(2)」のそれぞれの募集情報に含まれる所在階及び専有面積と完全に一致する。「(6)」の募集情報の賃貸物件は、推計募集戸数としてカウントされた「(1)」又は「(2)」の募集情報の賃貸物件と重複する同一物件である。「(6)」の募集情報の賃貸物件は、取得部111により物件特性情報の比較に基づいて募集あり状態の賃貸物件として新たにカウントされない。
【0096】
「(7)」の募集情報の賃貸物件は、推計募集戸数としてカウントされた「(4)」の募集情報の賃貸物件と重複する同一物件である。
「(8)」の募集情報の賃貸物件は、取得部111により物件識別情報の比較に基づいてユニークにカウントされた募集あり状態の賃貸物件である。
「(9)」の募集情報の賃貸物件は、推計募集戸数としてカウントされた「(8)」の募集情報の賃貸物件と重複する同一物件である。
「(10)」の募集情報の賃貸物件は、取得部111により物件識別情報の比較に基づいてユニークにカウントされた募集あり状態の賃貸物件である。
【0097】
なお、取得部111が所在階を示す情報、部屋数を示す情報及び専有面積を示す情報を用いて物件特性情報を比較する例について説明したが、これに限定されない。取得部111は、物件特性情報に含まれる任意の1以上の項目を示す情報を用いて物件特性情報を比較してもよい。
【0098】
なお、取得部111による推計総戸数の戸数補完処理は、上述の取得部111による推計募集戸数の戸数補完処理と同様であってもよい。
【0099】
図5は、サーバ1により実行される不動産関連指標値推計モデルの生成処理の一例を示すフローチャートである。
サーバ1は、設定されたタイミングで不動産関連指標値推計モデルの生成処理を開始してもよい。サーバ1は、端末2を介してユーザにより入力された開始指示に基づいて不動産関連指標値推計モデルの生成処理を開始してもよい。
【0100】
生成部114は、築年数毎の第1の推計結果を計算結果記憶領域132から取得する(ステップS11)。ステップS11では、例えば、生成部114は、築年数毎の対象の不動産関連指標値を計算結果記憶領域132から取得する。推計空室率を例にすると、生成部114は、築年数毎の対象の推計空室率を計算結果記憶領域132から取得する。
【0101】
生成部114は、築年数毎の第1の推計結果に基づいて不動産関連指標値推計モデルを生成する(ステップS12)。ステップS12では、例えば、生成部114は、築年数毎の対象の不動産関連指標値に基づいて不動産関連指標値推計モデルを生成する。推計空室率を例にすると、生成部114は、築年数毎の対象の推計空室率に基づいて、築年数を入力として対象の推計空室率を求める不動産関連指標値推計モデルを生成する。不動産関連指標値推計モデルを生成することは、不動産関連指標値推計モデルを新たに生成することだけでなく、不動産関連指標値推計モデルを更新することも含む。
【0102】
生成部114は、不動産関連指標値推計モデルを推計モデル記憶領域133に保存する(ステップS13)。
【0103】
図6は、サーバ1により実行される不動産関連指標値推計モデルに基づく不動産関連指標値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
サーバ1は、設定されたタイミングで不動産関連指標値推計モデルに基づく不動産関連指標値の計算処理を開始してもよい。サーバ1は、端末2を介してユーザにより入力された開始指示に基づいて不動産関連指標値推計モデルに基づく不動産関連指標値の計算処理を開始してもよい。
ここでは、対象を○〇区とし、不動産関連指標値推計モデルに基づいて築年数Z年における○〇区の推計空室率を計算する例について説明する。
【0104】
計算部112は、築年数を取得する(ステップS21)。ステップS21では、例えば、計算部112は、不動産関連指標値推計モデルに基づいて、対象の推定空室率を求めるための築年数Zを取得する。築年数Zは、設定された値であってもいいし、端末2を介してユーザにより入力された値であってもよい。
【0105】
計算部112は、不動産関連指標値推計モデルに基づいて不動産関連指標値を計算する(ステップS22)。ステップS22では、例えば、計算部112は、推計モデル記憶領域133に記憶されている対象の推計空室率に関する不動産関連指標値推計モデルを用いる。計算部112は、取得した築年数Zを対象の推計空室率に関する不動産関連指標値推計モデルに入力する。計算部112は、対象の推計空室率に関する不動産関連指標値推計モデルから、入力した築年数Zに対応する対象の推計空室率を取得する。
【0106】
計算部112は、築年数に対応する対象の推計空室率を示す第2の計算結果を計算結果記憶領域132に保存する(ステップS23)。
【0107】
出力部113は、第2の計算結果を出力する(ステップS24)。ステップS24では、例えば、出力部113は、第2の計算結果を端末2に出力する。出力部113は、開始指示に対する応答として第2の計算結果を端末2に出力してもよい。出力部113は、端末2を介してユーザにより入力された出力指示に基づいて第2の計算結果を端末2に出力してもよい。第2の計算結果のデータ形式は適宜設定可能である。
【0108】
(効果)
情報処理装置は、記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の賃貸物件入居募集に関する値を取得する取得部を備える。情報処理装置は、対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて対象の不動産関連指標の値を計算する計算部を備える。
これにより、情報処理装置は、賃貸物件入居募集毎の募集情報といった共通のデータを用いることで、対象によらず不動産関連指標の値を計算することができる。そのため、情報処理装置は、不動産関連指標の値を求める精度を向上させることができる。
【0109】
取得部は、賃貸物件に対する第1の賃貸物件入居募集に応じた第1の募集情報の第1の公開日と賃貸物件に対する第2の賃貸物件入居募集に応じた第2の募集情報の第2の公開日との間の期間の長さに応じて、期間における賃貸物件の募集状態を募集あり状態又は募集なし状態に設定する。取得部は、期間における賃貸物件の募集状態の設定に基づいて対象の賃貸物件募集に関する値を取得する。
これにより、情報処理装置は、募集情報の公開されていない月についても、賃貸物件の募集状態を、想定される実際の募集状態に合わせるように設定することができる。そのため、情報処理装置は、不動産関連指標の値を求める精度を向上させることができる。
【0110】
物件属性情報は、物件特性情報を含む。対象の賃貸物件入居募集に関する値は、所定期間における対象の募集戸数及び対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を含む。取得部は、物件特性情報の比較に基づいて対象の募集戸数及び対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を取得する。
これにより、情報処理装置は、複数の不動産会社によって募集された同じ賃貸物件を一つの賃貸物件としてカウントすることができる。そのため、情報処理装置は、対象の募集戸数及び対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を求める精度を向上させることができる。
【0111】
情報処理装置は、築年数毎の対象の不動産関連指標の値に基づいて、築年数を入力として不動産関連指標の値を求めるための不動産関連指標値推計モデルを生成する生成部をさらに備える。
これにより、情報処理装置は、築年数によらず不動産関連指標の値を推計することが可能な不動産関連指標値推計モデルを生成することができる。そのため、情報処理装置は、築年数の古い賃貸物件の募集情報が少ない場合であっても、古い築年数の対象の不動産関連指標の値を求めることができる。
【0112】
対象の賃貸物件入居募集に関する値は、第1の期間における対象の第1の募集戸数を含む。対象の賃貸物件募集に関する値は、第1の期間よりも前の第2の期間における対象の第2の募集戸数を含む。対象の賃貸物件入居募集に関する値は、第1の期間及び第2の期間を合わせた第3の期間における対象の第3の募集戸数を含む。対象の不動産関連指標の値は、対象の新規募集発生率を含む。計算部は、対象の第1の募集戸数、対象の第2の募集戸数及び対象の第3の募集戸数に基づいて対象の新規募集発生率を計算する。
これにより、情報処理装置は、賃貸物件入居募集毎の募集情報といった共通のデータを用いることで、対象によらず対象の新規募集発生率を計算することができる。そのため、情報処理装置は、対象の新規募集発生率を求める精度を向上させることができる。
【0113】
対象の賃貸物件入居募集に関する値は、所定期間における対象の募集戸数を含む。対象の賃貸物件入居募集に関する値は、対象の総戸数を含む。対象の不動産関連指標の値は、対象の空室率を含む。計算部は、対象の募集戸数及び対象の総戸数に基づいて対象の空室率を計算する。
これにより、情報処理装置は、賃貸物件入居募集毎の募集情報といった共通のデータを用いることで、対象によらず対象の空室率を計算することができる。情報処理装置は、賃貸物件入居募集毎の募集情報を用いることで、各棟に存在する物件のうち賃貸物件として利用されている物件に限って各棟の総戸数を取得し、対象の総戸数を取得することができる。そのため、情報処理装置は、対象の空室率を求める精度を向上させることができる。
【0114】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。第2の実施形態では、主として、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0115】
第2の実施形態は、対象の推計空室率を対象の真の空室率に近づけるための空室補完処理に関する実施形態である。
空室補完処理は、対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの募集状態及び1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標の値に応じて1以上の棟のそれぞれを非調整対象棟又は調整対象棟に分類し、対象の推計募集戸数を調整する処理である。以下では、分類用指標の値は、分類用指標値ともいう。棟の募集状態は、棟に含まれる全ての賃貸物件に対する入居の募集に関する状態である。棟の募集状態は、募集あり状態又は募集なし状態を含む。募集あり状態は、棟に含まれる全ての賃貸物件のうちの少なくとも1つの賃貸物件に対する入居の募集をしている状態である。募集なし状態は、棟に含まれる全ての賃貸物件に対する入居の募集をしていない状態である。非調整対象棟は、推計募集戸数を調整する対象とはならない棟である。調整対象棟は、推計募集戸数を調整する対象となる棟である。
【0116】
空室補完処理を行うのは、以下の理由による。
所定期間において少なくとも1つの賃貸物件の募集情報の出ている棟については、このような棟をある程度の数まとめた集合の推計空室率は、現地調査の空室率と同程度となった。所定期間において募集情報の出ていない棟については、半数以上の棟は、現地調査でも満室稼働が確認された。他方、所定期間において募集情報の出ていない棟であっても現地調査では空室の存在する棟は一定数存在した。対象の推計募集戸数は、実際には空室が存在するが募集情報の出ていない棟の影響により、実際の空室数よりも少なくなる。そのため、対象の推計空室率は、対象の真の空室率よりも下がることがある。なお、空室ではない物件の募集情報が出ることはないことを想定するので、対象の推計空室率が対象の真の空室率よりも上がることはないものとする。
【0117】
棟の1以上の分類用指標値は、募集情報が1件も出ていない棟を実際も満室稼働と想定される非調整対象棟又は実際は空室が存在すると想定される調整対象棟に分類するための指標値である。棟の1以上の分類用指標値が棟の推計募集戸数及び棟の総戸数捕捉率を含む例について説明する。棟の総戸数捕捉率は、棟の推計総戸数が棟の真の総戸数のどの程度を捕捉することができているのかを示す値である。例えば、棟の推計総戸数が4戸であり、棟の真の総戸数が8戸であるとする。棟の総戸数捕捉率は、棟の推計総戸数を棟の真の総戸数で割って得られる割合50%である。なお、棟の1以上の分類用指標値は棟の推計募集戸数及び棟の総戸数捕捉率を含むことに限定されない。棟の1以上の分類用指標値は、棟の推計募集戸数及び棟の総戸数捕捉率のうちの何れか一方を含んでもよい。棟の1以上の分類用指標値は、これら以外の1以上の指標値を含んでもよい。なお、棟の推計募集戸数及び棟の総戸数捕捉率は、値を意図するが、分類用指標を指すこともある。
【0118】
図7は、棟の非調整対象棟又は調整対象棟への分類例について説明する図である。
非調整対象棟は、第1の非調整対象棟及び第2の非調整対象棟を含む。第1の非調整対象棟は、所定期間における棟の募集状態が募集あり状態の棟である。第1の非調整対象棟は、1以上の分類用指標値が条件を満たすか否かを問わない。所定期間において募集情報が1件でも出ている棟は、第1の非調整対象棟に分類される。第1の非調整対象棟の集合の推計空室率は、調整対象棟の推計募集戸数の調整に用いられる。
【0119】
第2の非調整対象棟は、所定期間における棟の募集状態が募集なし状態かつ1以上の分類用指標値が条件を満たす棟である。所定期間において募集情報が1件も出ていない棟であって、1以上の分類用指標値が条件を満たす棟は、第2の非調整対象棟に分類される。第2の非調整対象棟は、実際も満室稼働と想定される棟である。
【0120】
棟の1以上の分類用指標値が棟の推計総戸数及び棟の総戸数捕捉率を含む場合、棟の1以上の分類用指標値が条件を満たすことは、棟の総戸数捕捉率が第1の閾値以上かつ棟の推計総戸数が第2の閾値未満であることを含む。例えば、第1の閾値は、50%であるが、これに限定されない。第1の閾値は、適宜設定可能である。例えば、第2の閾値は、8戸であるが、これに限定されない。第2の閾値は、適宜設定可能である。棟の総戸数捕捉率が第1の閾値以上かつ棟の推計総戸数が第2の閾値未満である場合、棟は、実際も満室稼働と想定される。
【0121】
調整対象棟は、所定期間における棟の募集状態が募集なし状態かつ1以上の分類用指標値が条件を満たさない棟を含む。所定期間において募集情報が1件も出ていない棟であって、1以上の分類用指標値が条件を満たさない棟は、調整対象棟に分類される。調整対象棟は、実際は空室が存在すると想定される棟である。
【0122】
棟の1以上の分類用指標値が棟の推計総戸数及び棟の総戸数捕捉率を含む場合、棟の1以上の分類用指標値が条件を満たさないことは、棟の総戸数捕捉率が第1の閾値未満、又は棟の推計総戸数が第2の閾値以上であることを含む。棟の総戸数捕捉率が第1の閾値未満である場合、棟は、募集履歴データから総戸数を補足できない状況からすると当月も空室を捕捉できていない可能性が高いと考えられるので、実際は空室が存在すると想定される。棟の推計総戸数が第2の閾値以上である場合、棟は、推計総戸数が多いため、満室稼働ではない可能性が高く、実際は空室が存在すると想定される。さらに、推計総戸数の多い棟は、対象の空室率に与える影響が大きい。
【0123】
(構成)
生成部114は、総戸数捕捉率推計モデルを生成する。
推計モデル記憶領域133は、総戸数捕捉率推計モデルを記憶する。
【0124】
総戸数捕捉率推計モデルの説明変数は、推計総捕捉率に影響を与える要素である。説明変数は、棟の推計総戸数及び棟の棟特性情報を含む。説明変数となる棟特性情報は、棟種別、棟構造、地上階数及び所在地を示す情報を含んでもいいし、これらの棟特性のうちの一部を示す情報を含んでもよい。説明変数となる棟特性情報は、これらの棟特性以外の1以上の棟特性を示す情報を含んでもよい。説明変数は、棟の推計総戸数及び棟の棟特性情報に加えて、棟の観測月数及び棟の初出時築年数のうちの少なくとも何れか一方を含んでもよい。棟の観測月数は、過去に棟に含まれる賃貸物件の募集が出ている延べ月数である。棟の初出時築年数は、棟に含まれる賃貸物件について初めて募集情報が出た時点の棟の築年数である。総戸数捕捉率推計モデルの目的変数は、総戸数捕捉率である。総戸数捕捉率推計モデルは、棟の推計総戸数及び棟の棟特性情報を入力として棟の総戸数捕捉率を求めるための推計モデルである。以下では、プロセッサ11により求められた棟の総戸数捕捉率は、棟の推計総戸数捕捉率ともいう。総戸数捕捉率推計モデルは、棟の推計総戸数、棟の棟特性情報並びに棟の観測月数及び棟の初出時築年数のうちの少なくとも何れか一方を入力として棟の推計総戸数捕捉率を求めるための推計モデルであってもよい。
【0125】
例えば、総戸数捕捉率推計モデルは、総戸数捕捉率推計モデル生成用データに基づいて生成される線形回帰モデルである。総戸数捕捉率推計モデル生成用データは、複数の棟の総戸数捕捉率、推計総戸数及び棟特性情報を含む。総戸数捕捉率推計モデル生成用データは、複数の棟の総戸数捕捉率、推計総戸数及び棟特性情報に加えて、複数の棟の観測月数及び複数の棟の初出時築年数のうちの少なくとも何れか一方を含んでもよい。総戸数捕捉率推計モデルは、線形回帰モデルに限定されず、非線形回帰モデルであってもよい。総戸数捕捉率推計モデルは、適宜更新され得る。
【0126】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ1の動作例を説明する。
なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0127】
図8は、サーバ1により実行される総戸数捕捉率推計モデルの生成処理の一例を示すフローチャートである。
サーバ1は、設定されたタイミングで総戸数捕捉率推計モデルの生成処理を開始してもよい。サーバ1は、端末2を介してユーザにより入力された開始指示に基づいて総戸数捕捉率推計モデルの生成処理を開始してもよい。
【0128】
生成部114は、総戸数捕捉率推計モデル生成用データを取得する(ステップS31)。ステップS31では、例えば、生成部114は、複数の棟の総戸数捕捉率を取得する。複数の棟の総戸数捕捉率は、複数の棟のそれぞれの総戸数捕捉率を含む。複数の棟は、総戸数捕捉率推計モデルの生成に用いられるデータの対象となる任意に選択された棟であってもよい。この例では、生成部114は、第1の実施形態で説明した取得部111による対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計総戸数の取得例と同様に、複数の棟のそれぞれの推計総戸数を取得してもよい。生成部114は、複数の棟のそれぞれの棟IDを参照し、募集情報から複数の棟のそれぞれの総戸数を真の総戸数として取得してもよい。これに代えて、生成部114は、実測された複数の棟のそれぞれの真の総戸数を取得してもよい。実測された複数の棟のそれぞれの真の総戸数は、補助記憶デバイス13に記憶されていてもよい。生成部114は、複数の棟のそれぞれについて棟の推計総戸数を棟の真の総戸数で割って得られる割合を、複数の棟のそれぞれの総戸数捕捉率として取得する。
【0129】
生成部114は、複数の棟の推計総戸数を取得する。複数の棟の推計総戸数は、複数の棟のそれぞれの推計総戸数を含む。この例では、生成部114は、第1の実施形態で説明した取得部111による対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの推計総戸数の取得例と同様に、複数の棟のそれぞれの推計総戸数を取得してもよい。
【0130】
生成部114は、複数の棟の棟特性情報を取得する。複数の棟の棟特性情報は、複数の棟のそれぞれの棟特性情報を含む。この例では、生成部114は、複数の棟のそれぞれの棟IDを参照し、募集情報から複数の棟のそれぞれの棟特性情報を取得してもよい。
【0131】
生成部114は、複数の棟の観測月数を取得することもあり得る。複数の棟の観測月数は、複数の棟のそれぞれの観測月数を含む。この例では、生成部114は、複数の棟のそれぞれの棟IDを参照し、募集情報に含まれる登録日又は公開日に基づいて、複数の棟のそれぞれの観測月数を取得してもよい。
【0132】
生成部114は、複数の棟の初出時築年数を取得することもあり得る。複数の棟の初出時築年数は、複数の棟のそれぞれの初出時築年数を含む。生成部114は、複数の棟のそれぞれの棟IDを参照し、募集情報に含まれる登録日又は公開日及び募集情報に含まれる築年又は築年数を示す情報に基づいて、複数の棟のそれぞれの初出時築年数を取得してもよい。
【0133】
生成部114は、総戸数捕捉率推計モデル生成用データに基づいて総戸数捕捉率推計モデルを生成する(ステップS32)。総戸数捕捉率推計モデルを生成することは、総戸数捕捉率推計モデルを新たに生成することだけでなく、総戸数捕捉率推計モデルを更新することも含む。
【0134】
生成部114は、総戸数捕捉率推計モデルを推計モデル記憶領域133に保存する(ステップS33)。
【0135】
図9は、サーバ1により実行される空室補完処理を伴う対象の推計空室率の計算処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示す処理は、第1の実施形態で説明したステップS2の処理の典型例である。以下の説明における「1以上の棟」の表記は、対象に含まれる1以上の棟を指す。
【0136】
計算部112は、所定期間における1以上の棟のそれぞれの募集状態及び1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標値に応じて1以上の棟を分類する(ステップS41)。ステップS41では、例えば、計算部112は、所定期間における1以上の棟のそれぞれの募集状態を取得する。この例では、計算部112は、第1の実施形態で説明したように取得部111により取得される1以上の棟のそれぞれの推計募集戸数に基づいて、1以上の棟のそれぞれの募集状態を取得してもよい。計算部112は、推計募集戸数が1以上の棟の募集状態を募集あり状態として取得してもよい。計算部112は、推計募集戸数が0の棟の募集状態を募集なし状態として取得してもよい。
【0137】
例えば、計算部112は、1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標値を取得する。棟の1以上の分類用指標値は、棟の推計募集戸数及び棟の推計総戸数捕捉率を含むものとする。この例では、計算部112は、第1の実施形態で説明したように取得部111により取得される1以上の棟のそれぞれの推計募集戸数を取得してもよい。計算部112は、第1の実施形態で説明したように取得部111により取得される1以上の棟のそれぞれの推計総戸数を取得してもよい。計算部112は、1以上の棟のそれぞれの棟IDを参照し、募集情報から1以上の棟のそれぞれの棟特性情報を取得してもよい。計算部112は、1以上の棟のそれぞれの棟IDを参照し、募集情報に含まれる登録日又は公開日に基づいて、1以上の棟のそれぞれの観測月数を取得してもよい。計算部112は、1以上の棟のそれぞれの棟IDを参照し、募集情報に含まれる登録日又は公開日及び募集情報に含まれる築年又は築年数を示す情報に基づいて、1以上の棟のそれぞれの初出時築年数を取得してもよい。計算部112は、1以上の棟のそれぞれの推計総戸数、棟特性情報並びに観測月数及び初出時築年数のうちの少なくとも何れか一方の総戸数捕捉率推計モデルへの入力に基づいて、1以上の棟のそれぞれの推計総戸数捕捉率を求めてもよい。計算部112は、総戸数捕捉率推計モデルに基づいて、1以上の棟のうちの一部の棟の推計総戸数捕捉率を求めてもよい。計算部112は、1以上の棟のそれぞれの推計総戸数及び真の総戸数に基づいて1以上の棟のそれぞれの推計総戸数捕捉率を求めてもよい。計算部112は、1以上の棟のうちの一部の棟の推計総戸数及び真の総戸数に基づいて1以上の棟のうちの一部の棟の推計総戸数捕捉率を求めてもよい。
【0138】
計算部112は、所定期間における1以上の棟のそれぞれの募集状態、及び、1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標値が条件を満たすか否かに応じて1以上の棟のそれぞれを非調整対象棟又は調整対象棟に分類する。この例では、計算部112は、1以上の棟のそれぞれを第1の非調整対象棟、第2の非調整対象棟又は調整対象棟に分類する。第1の非調整対象棟の数は、1以上であることもあり得るし、0であることもあり得る。第2の非調整対象棟の数は、1以上であることもあり得るし、0であることもあり得る。調整対象棟の数は、1以上であることもあり得るし、0であることもあり得る。
【0139】
計算部112は、所定期間における1以上の棟のそれぞれの募集状態及び1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標値に応じた1以上の棟の分類に基づいて対象の推計募集戸数を調整する(ステップS42)。ステップS42では、例えば、計算部112は、調整対象棟の集合の推計募集戸数の調整に基づいて対象の推計募集戸数を調整する。この例では、計算部112は、調整対象棟のそれぞれの推計募集戸数を取得してもよい。計算部112は、調整対象棟のそれぞれの推計募集戸数の合計に基づいて調整対象棟の集合の推計募集戸数を取得してもよい。
【0140】
計算部112は、第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数及び推計総戸数に基づいて第1の非調整対象棟の集合の推計空室率を計算する。この例では、計算部112は、第1の非調整対象棟のそれぞれの推計募集戸数を取得してもよい。計算部112は、第1の非調整対象棟のそれぞれの推計募集戸数の合計に基づいて第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数を取得してもよい。計算部112は、第1の非調整対象棟のそれぞれの推計総戸数を取得してもよい。計算部112は、第1の非調整対象棟のそれぞれの推計総戸数の合計に基づいて第1の非調整対象棟の集合の推計総戸数を取得してもよい。計算部112は、第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数を第1の非調整対象棟の集合の推計総戸数で割ることにより、第1の非調整対象棟の集合の推計空室率を計算してもよい。
【0141】
計算部112は、調整対象棟の集合の推計総戸数及び第1の非調整対象棟の集合の推計空室率に基づいて調整対象棟の集合の推計募集戸数を調整する。第1の非調整対象棟の集合の推計空室率を用いるのは、調整対象棟の集合の推計空室率が調整対象棟の集合と同じ範囲に属する第1の非調整対象棟の集合の推計空室率とほぼ同じと想定されるからである。この例では、計算部112は、調整対象棟の集合の推計総戸数と第1の非調整対象棟の集合の推計空室率との積により得られる値を、調整対象棟の集合の調整後の推計募集戸数として取得してもよい。
【0142】
計算部112は、第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数及び調整対象棟の集合の調整後の推計募集戸数に基づいて対象の推計募集戸数を調整する。この例では、計算部112は、第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数及び調整対象棟の集合の調整後の推計募集戸数の合計を、対象の調整後の推計募集戸数として取得してもよい。なお、第2の非調整対象棟の集合の推計募集戸数は0なので、計算部112は、対象の推計募集戸数の調整処理に第2の非調整対象棟の集合の推計募集戸数を用いる必要はない。
【0143】
計算部112は、対象の調整後の推計募集戸数及び対象の推計総戸数に基づいて対象の推計空室率を計算する(ステップS43)。ステップS43では、例えば、計算部112は、対象の調整後の推計募集戸数を対象の推計総戸数で割ることにより、対象の推計空室率を計算する。
【0144】
なお、上述の例は、対象に含まれる1以上の棟が複数の棟である場合であっても、対象に含まれる1以上の棟が1つの棟である場合であっても適用可能である。対象に含まれる1以上の棟が1つの棟である場合、計算部112は、1つの棟を調整対象棟に分類することもあり得る。この場合、計算部112は、対象と同じ範囲に含まれる第1の非調整対象棟の集合の空室率に基づいて1つの棟の募集戸数を調整してもよい。
【0145】
図10は、空室補完処理を伴う推計空室率を空室補完処理を伴わない推計空室率及び現地調査の空室率と比較した例を示す図である。
一つの対象は、B市に存在し、棟種別をアパートとする棟であるものとする。
上述の空室補完処理を伴う対象の推計空室率の計算処理例について、具体例について説明する。
【0146】
対象の推計募集戸数は、82戸である。対象の推計総戸数は、670戸である。
第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数は、82戸である。第1の非調整対象棟の集合の推計総戸数は、297戸である。第1の非調整対象棟の集合の推計空室率は、第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数(82戸)を第1の非調整対象棟の集合の推計総戸数(297戸)で割って得られる割合27.6%である。
第2の非調整対象棟の集合の推計募集戸数は、0戸である。第2の非調整対象棟の集合の推計総戸数は、227戸である。
調整対象棟の集合の推計募集戸数は、0戸である。調整対象棟の集合の推計総戸数は、146戸である。調整対象棟の集合の調整後の推計募集戸数は、調整対象棟の集合の推計総戸数(146戸)と第1の非調整対象棟の集合の推計空室率(27.6%)との積により得られる40戸(小数点以下切り捨て)である。
【0147】
対象の調整後の推計募集戸数は、第1の非調整対象棟の集合の推計募集戸数(82戸)及び調整対象棟の集合の調整後の推計募集戸数(40戸)を合計した122戸である。
空室補完処理を伴う対象の推計空室率は、対象の調整後の推計募集戸数(122戸)を対象の推計総戸数(670戸)で割って得られる割合18.2%である。
【0148】
比較例として、空室補完処理を伴わない対象の推計空室率は、対象の推計募集戸数(82戸)を対象の推計総戸数(670戸)で割って得られる割合12.2%である。
対象の現地調査の空室率は、18.4%である。
【0149】
このように、空室補完処理を伴う対象の推計空室率(18.2%)は、空室補完処理を伴わない対象の推計空室率(12.2%)よりも、対象の真の空室率となり得る対象の現地調査の空室率(18.4%)に近づく。
【0150】
もう一つの対象は、B市に存在し、棟種別をマンションとする棟であるものとする。
この例でも、空室補完処理を伴う対象の推計空室率(15.9%)は、空室補完処理を伴わない対象の推計空室率(9.6%)よりも、対象の真の空室率となり得る対象の現地調査の空室率(15.7%)に近づく。
【0151】
(効果)
計算部は、所定期間における1以上の棟のそれぞれの募集状態及び1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標の値に応じた1以上の棟の分類に基づいて対象の募集戸数を調整する。計算部は、対象の調整後の募集戸数及び対象の総戸数に基づいて対象の空室率を計算する。
これにより、情報処理装置は、募集情報が1件も出ていない棟であっても実際は空室が存在すると想定される棟を分類することができるので、対象の募集戸数を調整することができる。そのため、情報処理装置は、対象の募集戸数の調整により、空室率を求める精度を向上させることができる。
【0152】
計算部は、所定期間における1以上の棟のそれぞれの募集状態、及び、1以上の棟のそれぞれの1以上の分類用指標の値が条件を満たすか否かに応じて1以上の棟のそれぞれを非調整対象棟又は調整対象棟に分類する。計算部は、調整対象棟の集合の募集戸数の調整に基づいて対象の募集戸数を調整する。
これにより、情報処理装置は、1以上の棟のそれぞれを、募集戸数を調整する対象とはならない棟又は募集戸数を調整する対象となる棟に分類することができる。そのため、情報処理装置は、このような分類により、対象の募集戸数を調整する精度を向上させることができる。
【0153】
募集状態は、募集あり状態又は募集なし状態を含む。非調整対象棟は、募集あり状態の第1の非調整対象棟、及び、募集なし状態かつ1以上の分類用指標の値が条件を満たす第2の非調整対象棟を含む。調整対象棟は、募集なし状態かつ1以上の分類用指標の値が条件を満たさない棟を含む。
これにより、情報処理装置は、募集情報が1件も出ていない棟を実際も満室稼働と想定される第2の非調整対象棟又は実際は空室が存在すると想定される調整対象棟に分類することができる。そのため、情報処理装置は、このような分類により、対象の募集戸数を調整する精度を向上させることができる。
【0154】
計算部は、第1の非調整対象棟の集合の募集戸数及び総戸数に基づいて第1の非調整対象棟の集合の空室率を計算する。計算部は、調整対象棟の集合の総戸数及び第1の非調整対象棟の集合の空室率に基づいて調整対象棟の集合の募集戸数を調整する。
これにより、情報処理装置は、調整対象棟の集合と同じ範囲に属する第1の非調整対象棟の集合の推計空室率を用いることで、調整対象棟の集合の募集戸数を調整する精度を向上させることができる。そのため、情報処理装置は、このような調整対象棟の集合の募集戸数の調整により、対象の募集戸数を調整する精度を向上させることができる。
【0155】
1以上の分類用指標の値は、総戸数捕捉率を含む。計算部は、1以上の棟のそれぞれの総戸数及び棟特性情報の総戸数捕捉率推計モデルへの入力に基づいて、1以上の棟のそれぞれの総戸数捕捉率を求める。
これにより、情報処理装置は、真の総戸数を取得することが難しい棟であっても、総戸数捕捉率を求めることができる。
【0156】
[その他の実施形態]
対象の不動産関連指標値は、対象の募集期間を含んでもよい。
この例では、対象の募集に関する値は、対象に含まれる賃貸物件の今回募集における募集あり状態の開始月を含む。取得部111は、募集情報に含まれる公開日に基づいて、募集あり状態の開始月を取得する。対象の募集に関する値は、対象に含まれる賃貸物件の今回募集における募集あり状態の終了月を含む。取得部111は、募集情報に含まれる公開日に基づいて、募集あり状態の終了月を取得する。計算部112は、募集あり状態の開始月から募集あり状態の終了月までの月数のカウントに基づいて、対象に含まれる賃貸物件の募集期間を計算する。
【0157】
対象の不動産関連指標値は、対象の借主変更回数期待値を含んでもよい。
借主変更回数期待値は、単位期間の中で空室が発生して借主が入れ替わる回数の期待値である。ここでは、一年を単位期間の例として説明するが、単位期間は一年に限定されるものではない。借主変更回数期待値は、(単位期間の推計空室率×12)/募集期間で得られる値である。計算部112は、単位期間の推計空室率及び募集期間に基づいて対象の借主変更回数期待値を計算する。この例では、計算部112は、(単位期間の推計空室率×12)/募集期間により、借主変更回数期待値を計算する。例えば、年間の推計空室率は約8.3%とする。年間の推計空室率が約8.3%であることは、年換算で1ヶ月程度が空室であることを意味する。募集期間は、2ヶ月とする。この場合、借主変更回数期待値は、0.083×12/2≒0.5である。借主変更回数期待値が0.5であることは、2年で1回程度借主が入れ替わることを意味する。
【0158】
情報処理装置は、上記の例で説明したサーバ1と同様の機能を備える端末2で実現されてもよい。情報処理装置は、上記の例で説明したサーバ1のような1つの装置で実現されてもよいし、機能を分散させた複数の装置で実現されてもよい。サーバ1の補助記憶デバイス13が種々のデータを記憶する例を説明したが、サーバ1とは異なるサーバがサーバ1に代えて種々のデータを記憶してもよい。サーバ1とは異なる複数のサーバがサーバ1に代えて種々のデータを分散して記憶してもよい。
【0159】
プログラムは、電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記録媒体に記録された状態で譲渡されてもよい。記録媒体は、非一時的な有形の媒体である。記録媒体は、コンピュータ可読媒体である。記録媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0160】
要するにこの発明は、本実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、本実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、本実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0161】
1…サーバ、2…端末、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…通信インタフェース、111…取得部、112…計算部、113…出力部、114…生成部、131…募集履歴記憶領域、132…計算結果記憶領域、133…推計モデル記憶領域、NW…ネットワーク。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、所定期間における対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの募集戸数及び前記1以上の棟のそれぞれの総戸数を取得する取得部と、
前記取得部により取得される前記1以上の棟のそれぞれの募集戸数に基づいて前記1以上の棟のそれぞれの募集状態を取得し、前記1以上の棟のそれぞれの募集状態及び前記1以上の棟のそれぞれの分類用指標の値が条件を満たすか否かに応じて前記1以上の棟のそれぞれを非調整対象棟又は調整対象棟に分類し、前記調整対象棟の集合の募集戸数の調整に基づいて前記対象の募集戸数を調整し、前記対象の調整後の募集戸数及び前記対象の総戸数に基づいて前記対象の空室率を計算する計算部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記分類用指標の値は、前記取得部により取得される棟の総戸数が棟の真の総戸数のどの程度を捕捉することができているのかを示す総戸数捕捉率を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記分類用指標の値は、前記取得部により取得される棟の総戸数を含む、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記募集状態は、募集あり状態又は募集なし状態を含み、
前記非調整対象棟は、募集あり状態の第1の非調整対象棟、及び、募集なし状態かつ前記分類用指標の値が前記条件を満たす第2の非調整対象棟を含み、
前記調整対象棟は、募集なし状態かつ前記分類用指標の値が前記条件を満たさない棟を含み、
前記分類用指標の値が前記条件を満たすことは、前記総戸数捕捉率が第1の閾値以上かつ前記取得部により取得される棟の総戸数が第2の閾値未満であることを含み、
前記分類用指標の値が前記条件を満たさないことは、前記総戸数捕捉率が前記第1の閾値未満、又は、前記取得部により取得される棟の総戸数が前記第2の閾値以上であることを含む、
請求項2を引用する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記計算部は、前記第1の非調整対象棟の集合の募集戸数及び総戸数に基づいて前記第1の非調整対象棟の集合の空室率を計算し、前記調整対象棟の集合の総戸数及び前記第1の非調整対象棟の集合の空室率に基づいて前記調整対象棟の集合の募集戸数を調整する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記計算部は、前記1以上の棟のそれぞれの総戸数及び棟特性情報の総戸数捕捉率推計モデルへの入力に基づいて、前記1以上の棟のそれぞれの前記総戸数捕捉率を求める、請求項2、請求項2を引用する請求項3、請求項4又は請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
築年数毎の前記対象の空室率に基づいて、築年数を入力として空室率を求めるための不動産関連指標値推計モデルを生成する生成部をさらに備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、所定期間における1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を取得する取得部と、
前記対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算する計算部と、
を備え、
前記物件属性情報は、物件特性情報を含み、
前記物件特性情報は、所在階を示す情報、部屋数を示す情報及び専有面積を示す情報のうちの1つ以上を含み、
前記取得部は、前記物件特性情報に含まれる前記所在階を示す情報、前記部屋数を示す情報及び前記専有面積を示す情報のうちの1つ以上の比較に基づいて賃貸物件をユニークにカウントすることにより、前記対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を取得する、
情報処理装置。
【請求項9】
前記物件属性情報は、物件識別情報を含み、
前記取得部は、前記物件識別情報の比較に基づいて賃貸物件をユニークにカウントし、前記物件識別情報を欠損している募集情報の賃貸物件について前記物件特性情報に含まれる前記所在階を示す情報、前記部屋数を示す情報及び前記専有面積を示す情報のうちの1つ以上の比較に基づいて賃貸物件をユニークにカウントする、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、第1の期間における1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の第1の募集戸数、前記第1の期間よりも前の第2の期間における前記対象の第2の募集戸数、並びに、前記第1の期間及び前記第2の期間を合わせた第3の期間における前記対象の第3の募集戸数を取得する取得部と、
1-(前記対象の第1の募集戸数+前記対象の第2の募集戸数-前記対象の第3の募集戸数)/前記対象の第1の募集戸数により、前記対象の新規募集発生率を計算する計算部と、
を備える情報処理装置。
【請求項11】
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の賃貸物件入居募集に関する値を取得する取得部と、
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算する計算部と、
を備え、
前記取得部は、賃貸物件に対する第1の賃貸物件入居募集に応じた第1の募集情報の第1の公開日と前記賃貸物件に対する第2の賃貸物件入居募集に応じた第2の募集情報の第2の公開日との間の期間の長さが所定日数未満である場合、前記期間における前記賃貸物件の募集状態を募集あり状態に設定し、前記期間の長さが前記所定日数以上である場合、前記期間における前記賃貸物件の募集状態を募集なし状態に設定し、前記期間における前記賃貸物件の募集状態の設定に基づいて前記対象の賃貸物件募集に関する値を取得する、
情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、所定期間における対象に含まれる1以上の棟のそれぞれの募集戸数及び前記1以上の棟のそれぞれの総戸数を取得することと、
取得される前記1以上の棟のそれぞれの募集戸数に基づいて前記1以上の棟のそれぞれの募集状態を取得し、前記1以上の棟のそれぞれの募集状態及び前記1以上の棟のそれぞれの分類用指標の値が条件を満たすか否かに応じて前記1以上の棟のそれぞれを非調整対象棟又は調整対象棟に分類し、前記調整対象棟の集合の募集戸数の調整に基づいて前記対象の募集戸数を調整し、前記対象の調整後の募集戸数及び前記対象の総戸数に基づいて前記対象の空室率を計算することと、
を備える情報処理方法。
【請求項13】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、所定期間における1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を取得することと、
前記対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算することと、
を備え、
前記物件属性情報は、物件特性情報を含み、
前記物件特性情報は、所在階を示す情報、部屋数を示す情報及び専有面積を示す情報のうちの1つ以上を含み、
前記取得することは、前記物件特性情報に含まれる前記所在階を示す情報、前記部屋数を示す情報及び前記専有面積を示す情報のうちの1つ以上の比較に基づいて賃貸物件をユニークにカウントすることにより、前記対象の募集戸数及び前記対象の総戸数のうちの少なくとも何れか一方を取得する、ことを含む、
情報処理方法。
【請求項14】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて、第1の期間における1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の第1の募集戸数、前記第1の期間よりも前の第2の期間における前記対象の第2の募集戸数、並びに、前記第1の期間及び前記第2の期間を合わせた第3の期間における前記対象の第3の募集戸数を取得することと、
1-(前記対象の第1の募集戸数+前記対象の第2の募集戸数-前記対象の第3の募集戸数)/前記対象の第1の募集戸数により、前記対象の新規募集発生率を計算することと、
を備える情報処理方法。
【請求項15】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
記憶部に記憶された賃貸物件入居募集毎の募集情報に含まれる物件属性情報に基づいて1以上の棟又は1以上の賃貸物件を含む対象の賃貸物件入居募集に関する値を取得することと、
前記対象の賃貸物件入居募集に関する値に基づいて前記対象の不動産関連指標の値を計算することと、
を備え、
前記取得することは、賃貸物件に対する第1の賃貸物件入居募集に応じた第1の募集情報の第1の公開日と前記賃貸物件に対する第2の賃貸物件入居募集に応じた第2の募集情報の第2の公開日との間の期間の長さが所定日数未満である場合、前記期間における前記賃貸物件の募集状態を募集あり状態に設定し、前記期間の長さが前記所定日数以上である場合、前記期間における前記賃貸物件の募集状態を募集なし状態に設定し、前記期間における前記賃貸物件の募集状態の設定に基づいて前記対象の賃貸物件募集に関する値を取得する、ことを含む、
情報処理方法。
【請求項16】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の情報処理装置が備える各部による処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の情報処理プログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体。