(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023094074
(43)【公開日】2023-07-05
(54)【発明の名称】吹付材料の吹付方法
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20230628BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20230628BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
E02D17/20 102G
B05D1/02 Z
B05D3/00 D
B05D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021209311
(22)【出願日】2021-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000115463
【氏名又は名称】ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永岡 藤彦
(72)【発明者】
【氏名】北作 雄飛
【テーマコード(参考)】
2D044
4D075
【Fターム(参考)】
2D044DA39
4D075AA02
4D075AA71
4D075AA76
4D075AA81
4D075AA84
4D075BB16X
4D075CA47
4D075CA48
4D075EA10
4D075EB03
(57)【要約】
【課題】熟練オペレータ等の操作を不要、又は減らすことができる吹付材料の吹付工法を提供する。
【解決手段】吹付材料が供給される加圧容器3Bと、この加圧容器3Bに加圧空気を吹き込む空気路2Bと、加圧容器3Bから排出された吹付材料を搬送する1又は2以上の搬送路8とを有し、空気路2B及び搬送路8のそれぞれに、風量計11、圧力計12、及び風量調整手段13が備わる吹付装置1を用いて吹付材料を吹き付ける方法であり、空気路2B及び搬送路8においてはそれぞれ、風量計11の計測値に基づいて風量調整手段13を制御し、空気路2B及び搬送路8の少なくともいずれか一方の圧力計12の計測値が所定値を超えた場合においては吹付材料の吹付けを停止することを特徴とする吹付材料の吹付方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹付材料が供給される加圧容器と、
この加圧容器に加圧空気を吹き込む空気路と、
前記加圧容器から排出された吹付材料を搬送する1又は2以上の搬送路と、を有し、
前記空気路及び前記搬送路のそれぞれに、風量計、圧力計、及び風量調整手段が備わる吹付装置を用いて吹付材料を吹き付ける方法であり、
前記空気路及び前記搬送路においてはそれぞれ、前記風量計の計測値に基づいて前記風量調整手段を制御し、
前記空気路及び前記搬送路の少なくともいずれか一方の圧力計の計測値が所定値を超えた場合においては前記吹付材料の吹付けを停止する、
ことを特徴とする吹付材料の吹付方法。
【請求項2】
前記空気路に備わる圧力計の計測値である第1計測値と、前記搬送路に備わる圧力計の計測値である第2計測値とを比較し、
前記第1計測値/前記第2計測値が1.00~1.25となるように制御する、
請求項1に記載の吹付材料の吹付方法。
【請求項3】
前記加圧容器として、1の容器からなる上段加圧容器又は2以上の容器が直列に連なる上段加圧容器と、この上段加圧容器に連なる下段加圧容器とを有し、前記上段加圧容器内及び前記下段加圧容器内にそれぞれ攪拌手段が備わる吹付装置を用い、
前記上段加圧容器及び前記下段加圧容器においてはそれぞれ、当該加圧容器に対応する風量計及び圧力計の計測値に基づいて当該加圧容器内の攪拌手段を各別に制御する、
請求項1又は請求項2に記載の吹付材料の吹付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹付材料の吹付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モルタルや、コンクリート、緑化基材等の吹付材料を加圧空気によって搬送し、吹き付ける吹付材料の吹付工法が存在する(例えば、特許文献1参照。)。この種の工法においては、例えば、
図2に示すように、コンプレッサー51に空気路52が接続された吹付装置50を用いる。
【0003】
この吹付装置50は、上段スライドバルブ56を介してホッパー55等から吹付材料が供給される上段加圧容器53と、この上段加圧容器53に対し、下段スライドバルブ57を介して連通される下段加圧容器54とを有する。また、この吹付装置50において上段加圧容器53内には上段攪拌手段53Aが備わり、下段加圧容器54内には下段攪拌手段54Aが備わる。この点、この吹付装置50において、上段攪拌手段53A及び下段攪拌手段54Aは、モーター等の駆動源Mによって連動して駆動するように構成されている。また、下段加圧容器54の底面には、吹付材料の排出口59が備わる。この排出口59には空気路52と繋がる搬送路58が接続されており、空気路52内を加圧空気が流れるように構成されている。ちなみに、空気路52は、上段加圧容器53及び下段加圧容器54にも接続されており、上段加圧容器53及び下段加圧容器54にも加圧空気が吹き込まれる。この吹付装置50においては、吹付材料がホッパー55から上段加圧容器53内に供給される。上段加圧容器53内に供給された吹付材料は、上段加圧容器53内において攪拌手段53Aによって攪拌される。
【0004】
上段加圧容器53内において攪拌された吹付材料は、上段加圧容器53内及び下段加圧容器54内が同程度の圧力となっている状態において、下段スライドバルブ57が閉じた状態から開いた状態になると、下段加圧容器54内に移送される。この下段加圧容器54内において攪拌された吹付材料は、下段加圧容器54内において更に攪拌され、下段加圧容器54の底面に備わる排出口59から搬送路58内に排出される。搬送路58内に排出された吹付材料は、搬送路58内を流れる加圧空気によって吹付対象に向かって圧送され、搬送路58の先端部に備わるノズル等から吹付対象に向かって吹き付けられる。
【0005】
この従来の吹付装置50やこの吹付装置50を用いた吹付工法には吹付け品質等の点では何ら問題がないが、操作が煩瑣なものになるとの弱点がある。
すなわち、従来、この種の吹付装置50を用いた吹付工法においては、上段加圧容器53、下段加圧容器54、搬送路58等に送る加圧空気の量(風量)をオペレータが手動で調整していた。例えば、ノズル等から吐出される吹付材料の量が減っている場合は、搬送路58が閉塞しているのではないかと判断し、風量を調整するゲートバルブ等をオペレータが手動で閉じていた。また、このオペレータの判断や操作には、極めて高いスキルが必要であり、特に搬送路58が複数ラインとなる場合は調整が難しいものとなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、熟練オペレータ等の操作を不要、又は減らすことができる吹付材料の吹付工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(請求項1に記載の発明)
吹付材料が供給される加圧容器と、
この加圧容器に加圧空気を吹き込む空気路と、
前記加圧容器から排出された吹付材料を搬送する1又は2以上の搬送路と、を有し、
前記空気路及び前記搬送路のそれぞれに、風量計、圧力計、及び風量調整手段が備わる吹付装置を用いて吹付材料を吹き付ける方法であり、
前記空気路及び前記搬送路においてはそれぞれ、前記風量計の計測値に基づいて前記風量調整手段を制御し、
前記空気路及び前記搬送路の少なくともいずれか一方の圧力計の計測値が所定値を超えた場合においては前記吹付材料の吹付けを停止する、
ことを特徴とする吹付材料の吹付方法。
【0009】
(請求項2に記載の発明)
前記空気路に備わる圧力計の計測値である第1計測値と、前記搬送路に備わる圧力計の計測値である第2計測値とを比較し、
前記第1計測値/前記第2計測値が1.00~1.25となるように制御する、
請求項1に記載の吹付材料の吹付方法。
【0010】
(請求項3に記載の発明)
前記加圧容器として、1の容器からなる上段加圧容器又は2以上の容器が直列に連なる上段加圧容器と、この上段加圧容器に連なる下段加圧容器とを有し、前記上段加圧容器内及び前記下段加圧容器内にそれぞれ攪拌手段が備わる吹付装置を用い、
前記上段加圧容器及び前記下段加圧容器においてはそれぞれ、当該加圧容器に対応する風量計及び圧力計の計測値に基づいて当該加圧容器内の攪拌手段を各別に制御する、
請求項1又は請求項2に記載の吹付材料の吹付方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、熟練オペレータ等の操作を不要、又は減らすことができる吹付材料の吹付工法となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本形態の吹付装置・吹付方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
【0014】
図1に本形態に係る吹付材料の吹付方法の説明図を示した。
本形態の方法においては、図示しないコンプレッサー等に接続された吹付装置1を用いて吹付けを行う。この吹付装置1は、上段加圧容器3Aと、この上段加圧容器3Aの下方に位置する下段加圧容器3Bとからなる加圧容器を有する。
【0015】
上段加圧容器3Aの天部には上段開閉ゲート4Aが備わり、この上段開閉ゲート4Aを通してホッパー等から上段加圧容器3A内に吹付材料が供給される。また、上段加圧容器3A及び下段加圧容器3Bは下段開閉ゲート4Bを介して連通しており、上段加圧容器3Aから下段加圧容器3B内に吹付材料が移動可能に構成されている。
【0016】
上段加圧容器3A内には吹付材料を攪拌し、必要により混合する上段攪拌手段5Aが備えられ、また、下段加圧容器3B内にも吹付材料を攪拌し、必要により混合する下段攪拌手段5Bが備えられている。上段攪拌手段5Aや下段攪拌手段5Bは、例えば、スクリュー羽根、T型羽根等で構成される。
【0017】
この点、上段攪拌手段5A及び下段攪拌手段5Bは従来の吹付装置におけるように連動するように構成することもできるが、本形態においては、上段攪拌手段5Aはモーター等の駆動源6Aによって駆動し、他方、下段攪拌手段5Bは駆動源6Aとは異なる別のモーター等の駆動源6Bによって駆動するように構成されている。
【0018】
一方、上段加圧容器3Aには空気路2Aを介して加圧空気が吹き込まれ、また、下段加圧容器3Bには空気路2Bを介して加圧空気が吹き込まれる。本形態においては、空気路2A及び空気路2Bが上流において合流(一本化)しておりコンプレッサー等に接続されている。ただし、空気路2A及び空気路2Bが各別にコンプレッサー等に接続されていてもよい。
【0019】
なお、空気路2Aは上段加圧容器3Aに加圧空気を吹き込むための流路であり、上段加圧容器3Aは急速な加圧が必要になることがある。そこで、本形態においては、空気路2Aに、この空気路2Aと並列する急速空気路2Cが備えられている。
【0020】
本形態の吹付装置1は、更に下段加圧容器3Bから排出された吹付材料を搬送する1又は2以上の、本形態では2本の搬送路8を有する。この搬送路8は、下段加圧容器3Bの底部(特に、底面。)に備わる吹付材料の排出口7を介して下段加圧容器3Bと連通している。また、搬送路8は上流において空気路2A及び空気路2Bと合流(一本化)しており、コンプレッサー等からの加圧空気が搬送路8内を流れるように構成されている。この点、搬送路8を空気路2A及び空気路2Bと合流させることなく、空気路2A及び空気路2Bとは別にコンプレッサー等に接続することもできる。
【0021】
空気路2B及び搬送路8のそれぞれには、風量計11、圧力計12、及び風量調整手段13が備わる。また、空気路2A,2B,2C及び搬送路8の全てには、それぞれ手動弁14及び開閉弁15が備わる。
【0022】
本形態の吹付装置1においては、まず、モルタルや、コンクリート、緑化基材等の吹付材料がホッパー等から上段加圧容器3A内に供給される。上段加圧容器3A内に供給された吹付材料は、上段加圧容器3A内において攪拌手段5Aによって攪拌され、必要により混合される。上段加圧容器3A内において攪拌された吹付材料は、上段加圧容器3A内及び下段加圧容器3B内が同程度の圧力(例えば、0.40~0.65MPa。)となっている状態において、下段開閉ゲート4Bが閉じた状態から開いた状態に切り替わると、下段加圧容器3B内に移動する。この下段加圧容器3B内に移動した吹付材料は、下段加圧容器3B内において更に攪拌・混合され、下段加圧容器3Bの底部に備わる排出口7から搬送路8内に排出される。この排出は、空気路2Bから下段加圧容器3B内に吹き込まれる加圧空気の圧力によって促進される。搬送路8内に排出された吹付材料は、搬送路8内を流れる加圧空気によって吹付対象に向かって圧送され、搬送路8の先端部に備わる図示しないノズル等から吹付対象に向かって吹き付けられる。
【0023】
本形態においては、以上のように空気路2Bからの加圧空気や搬送路8内を流れる加圧空気によって吹付材料の移動が進められるが、空気路2B及び搬送路8においてはそれぞれ、風量計11の計測値に基づいて風量調整手段13が自動制御される。したがって、本形態の吹付装置1によると、熟練オペレータ等による風量制御の必要がない。また、空気路2B及び搬送路8の少なくともいずれか一方、好ましくは両方の圧力計12の計測値が所定値を超えた場合においては吹付材料の吹付けを自動停止する。この点でも、本形態の吹付装置1においては、熟練オペレータ等による制御の必要がなく、安全性も高い。
【0024】
なお、所定値とは、搬送路8やノズル等が閉塞した場合に予想される予め設定した圧力であり、例えば、0.69~0.70MPaである。
【0025】
また、より好ましくは、空気路2Bに備わる圧力計12の計測値である第1計測値と、搬送路8に備わる圧力計12の計測値である第2計測値とを比較し、第1計測値/第2計測値が1.00~1.25となるように、好ましくは1.00~1.20となるように制御する。この形態によると、下段加圧容器3B内から搬送路8への吹付材料の排出が確実に行われ、逆流等が生じる可能性がなく、しかも、搬送路8の閉塞が見過ごされる可能性もない。
【0026】
本形態においては、加圧容器として、1の容器からなる上段加圧容器3Aと、この上段加圧容器3Aと連通する下段加圧容器3Bとが備わる。ただし、加圧容器を下段加圧容器3Bのみとすることや、上段加圧容器3Aを2以上の複数とすることもできる。
【0027】
また、本形態にように加圧容器を複数の加圧容器3A,3Bで構成する場合は、各加圧容器に対応する風量計11及び圧力計12の計測値に基づいて当該加圧容器内の攪拌手段5A,5Bを各別に制御すると好適である。この形態によると、各加圧容器における攪拌を確実なものとすることができる。この点、このような配慮は従来の手動による制御では難しく、本形態の方法における特有のものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
モルタルや、コンクリート、緑化基材等の吹付材料の吹付方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 吹付装置
2A,2B,2C 空気路
3A,3B 加圧容器
4A,4B 開閉ゲート
5A,5B 攪拌手段
6A,6B 駆動源
8 搬送路
11 風量計
12 圧力計
13 風量調整手段
14 手動弁
15 開閉弁
【手続補正書】
【提出日】2022-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吹付材料の吹付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モルタルや、コンクリート、緑化基材等の吹付材料を加圧空気によって搬送し、吹き付ける吹付材料の吹付工法が存在する(例えば、特許文献1参照。)。この種の工法においては、例えば、
図2に示すように、コンプレッサー51に空気路52が接続された吹付装置50を用いる。
【0003】
この吹付装置50は、上段スライドバルブ56を介してホッパー55等から吹付材料が供給される上段加圧容器53と、この上段加圧容器53に対し、下段スライドバルブ57を介して連通される下段加圧容器54とを有する。また、この吹付装置50において上段加圧容器53内には上段攪拌手段53Aが備わり、下段加圧容器54内には下段攪拌手段54Aが備わる。この点、この吹付装置50において、上段攪拌手段53A及び下段攪拌手段54Aは、モーター等の駆動源Mによって連動して駆動するように構成されている。また、下段加圧容器54の底面には、吹付材料の排出口59が備わる。この排出口59には空気路52と繋がる搬送路58が接続されており、空気路52内を加圧空気が流れるように構成されている。ちなみに、空気路52は、上段加圧容器53及び下段加圧容器54にも接続されており、上段加圧容器53及び下段加圧容器54にも加圧空気が吹き込まれる。この吹付装置50においては、吹付材料がホッパー55から上段加圧容器53内に供給される。上段加圧容器53内に供給された吹付材料は、上段加圧容器53内において攪拌手段53Aによって攪拌される。
【0004】
上段加圧容器53内において攪拌された吹付材料は、上段加圧容器53内及び下段加圧容器54内が同程度の圧力となっている状態において、下段スライドバルブ57が閉じた状態から開いた状態になると、下段加圧容器54内に移送される。この下段加圧容器54内において攪拌された吹付材料は、下段加圧容器54内において更に攪拌され、下段加圧容器54の底面に備わる排出口59から搬送路58内に排出される。搬送路58内に排出された吹付材料は、搬送路58内を流れる加圧空気によって吹付対象に向かって圧送され、搬送路58の先端部に備わるノズル等から吹付対象に向かって吹き付けられる。
【0005】
この従来の吹付装置50やこの吹付装置50を用いた吹付工法には吹付け品質等の点では何ら問題がないが、操作が煩瑣なものになるとの弱点がある。
すなわち、従来、この種の吹付装置50を用いた吹付工法においては、上段加圧容器53、下段加圧容器54、搬送路58等に送る加圧空気の量(風量)をオペレータが手動で調整していた。例えば、ノズル等から吐出される吹付材料の量が減っている場合は、搬送路58が閉塞しているのではないかと判断し、風量を調整するゲートバルブ等をオペレータが手動で閉じていた。また、このオペレータの判断や操作には、極めて高いスキルが必要であり、特に搬送路58が複数ラインとなる場合は調整が難しいものとなった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、熟練オペレータ等の操作を不要、又は減らすことができる吹付材料の吹付工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(請求項1に記載の発明)
吹付材料が供給される加圧容器と、
この加圧容器に加圧空気を吹き込む空気路と、
前記加圧容器から排出された吹付材料を搬送する1又は2以上の搬送路と、を有し、
前記空気路及び前記搬送路のそれぞれに、風量計、圧力計、及び風量調整手段が備わる吹付装置を用いて吹付材料を吹き付ける方法であり、
前記空気路に備わる圧力計の計測値である第1計測値と、前記搬送路に備わる圧力計の計測値である第2計測値とを比較し、
前記第1計測値/前記第2計測値が1.00~1.25となるように制御する、
ことを特徴とする吹付材料の吹付方法。
【0009】
(請求項2に記載の発明)
前記空気路及び前記搬送路においてはそれぞれ、前記風量計の計測値に基づいて前記風量調整手段を制御し、
前記空気路及び前記搬送路の少なくともいずれか一方の圧力計の計測値が所定値を超えた場合においては前記吹付材料の吹付けを停止する、
請求項1に記載の吹付材料の吹付方法。
【0010】
(請求項3に記載の発明)
前記加圧容器として、1の容器からなる上段加圧容器又は2以上の容器が直列に連なる上段加圧容器と、この上段加圧容器に連なる下段加圧容器とを有し、前記上段加圧容器内及び前記下段加圧容器内にそれぞれ攪拌手段が備わる吹付装置を用い、
前記上段加圧容器及び前記下段加圧容器においてはそれぞれ、当該加圧容器に対応する風量計及び圧力計の計測値に基づいて当該加圧容器内の攪拌手段を各別に制御する、
請求項1又は請求項2に記載の吹付材料の吹付方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、熟練オペレータ等の操作を不要、又は減らすことができる吹付材料の吹付工法となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本形態の吹付装置・吹付方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明を実施するための形態を説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
【0014】
図1に本形態に係る吹付材料の吹付方法の説明図を示した。
本形態の方法においては、図示しないコンプレッサー等に接続された吹付装置1を用いて吹付けを行う。この吹付装置1は、上段加圧容器3Aと、この上段加圧容器3Aの下方に位置する下段加圧容器3Bとからなる加圧容器を有する。
【0015】
上段加圧容器3Aの天部には上段開閉ゲート4Aが備わり、この上段開閉ゲート4Aを通してホッパー等から上段加圧容器3A内に吹付材料が供給される。また、上段加圧容器3A及び下段加圧容器3Bは下段開閉ゲート4Bを介して連通しており、上段加圧容器3Aから下段加圧容器3B内に吹付材料が移動可能に構成されている。
【0016】
上段加圧容器3A内には吹付材料を攪拌し、必要により混合する上段攪拌手段5Aが備えられ、また、下段加圧容器3B内にも吹付材料を攪拌し、必要により混合する下段攪拌手段5Bが備えられている。上段攪拌手段5Aや下段攪拌手段5Bは、例えば、スクリュー羽根、T型羽根等で構成される。
【0017】
この点、上段攪拌手段5A及び下段攪拌手段5Bは従来の吹付装置におけるように連動するように構成することもできるが、本形態においては、上段攪拌手段5Aはモーター等の駆動源6Aによって駆動し、他方、下段攪拌手段5Bは駆動源6Aとは異なる別のモーター等の駆動源6Bによって駆動するように構成されている。
【0018】
一方、上段加圧容器3Aには空気路2Aを介して加圧空気が吹き込まれ、また、下段加圧容器3Bには空気路2Bを介して加圧空気が吹き込まれる。本形態においては、空気路2A及び空気路2Bが上流において合流(一本化)しておりコンプレッサー等に接続されている。ただし、空気路2A及び空気路2Bが各別にコンプレッサー等に接続されていてもよい。
【0019】
なお、空気路2Aは上段加圧容器3Aに加圧空気を吹き込むための流路であり、上段加圧容器3Aは急速な加圧が必要になることがある。そこで、本形態においては、空気路2Aに、この空気路2Aと並列する急速空気路2Cが備えられている。
【0020】
本形態の吹付装置1は、更に下段加圧容器3Bから排出された吹付材料を搬送する1又は2以上の、本形態では2本の搬送路8を有する。この搬送路8は、下段加圧容器3Bの底部(特に、底面。)に備わる吹付材料の排出口7を介して下段加圧容器3Bと連通している。また、搬送路8は上流において空気路2A及び空気路2Bと合流(一本化)しており、コンプレッサー等からの加圧空気が搬送路8内を流れるように構成されている。この点、搬送路8を空気路2A及び空気路2Bと合流させることなく、空気路2A及び空気路2Bとは別にコンプレッサー等に接続することもできる。
【0021】
空気路2B及び搬送路8のそれぞれには、風量計11、圧力計12、及び風量調整手段13が備わる。また、空気路2A,2B,2C及び搬送路8の全てには、それぞれ手動弁14及び開閉弁15が備わる。
【0022】
本形態の吹付装置1においては、まず、モルタルや、コンクリート、緑化基材等の吹付材料がホッパー等から上段加圧容器3A内に供給される。上段加圧容器3A内に供給された吹付材料は、上段加圧容器3A内において攪拌手段5Aによって攪拌され、必要により混合される。上段加圧容器3A内において攪拌された吹付材料は、上段加圧容器3A内及び下段加圧容器3B内が同程度の圧力(例えば、0.40~0.65MPa。)となっている状態において、下段開閉ゲート4Bが閉じた状態から開いた状態に切り替わると、下段加圧容器3B内に移動する。この下段加圧容器3B内に移動した吹付材料は、下段加圧容器3B内において更に攪拌・混合され、下段加圧容器3Bの底部に備わる排出口7から搬送路8内に排出される。この排出は、空気路2Bから下段加圧容器3B内に吹き込まれる加圧空気の圧力によって促進される。搬送路8内に排出された吹付材料は、搬送路8内を流れる加圧空気によって吹付対象に向かって圧送され、搬送路8の先端部に備わる図示しないノズル等から吹付対象に向かって吹き付けられる。
【0023】
本形態においては、以上のように空気路2Bからの加圧空気や搬送路8内を流れる加圧空気によって吹付材料の移動が進められるが、空気路2B及び搬送路8においてはそれぞれ、風量計11の計測値に基づいて風量調整手段13が自動制御される。したがって、本形態の吹付装置1によると、熟練オペレータ等による風量制御の必要がない。また、空気路2B及び搬送路8の少なくともいずれか一方、好ましくは両方の圧力計12の計測値が所定値を超えた場合においては吹付材料の吹付けを自動停止する。この点でも、本形態の吹付装置1においては、熟練オペレータ等による制御の必要がなく、安全性も高い。
【0024】
なお、所定値とは、搬送路8やノズル等が閉塞した場合に予想される予め設定した圧力であり、例えば、0.69~0.70MPaである。
【0025】
また、より好ましくは、空気路2Bに備わる圧力計12の計測値である第1計測値と、搬送路8に備わる圧力計12の計測値である第2計測値とを比較し、第1計測値/第2計測値が1.00~1.25となるように、好ましくは1.00~1.20となるように制御する。この形態によると、下段加圧容器3B内から搬送路8への吹付材料の排出が確実に行われ、逆流等が生じる可能性がなく、しかも、搬送路8の閉塞が見過ごされる可能性もない。
【0026】
本形態においては、加圧容器として、1の容器からなる上段加圧容器3Aと、この上段加圧容器3Aと連通する下段加圧容器3Bとが備わる。ただし、加圧容器を下段加圧容器3Bのみとすることや、上段加圧容器3Aを2以上の複数とすることもできる。
【0027】
また、本形態にように加圧容器を複数の加圧容器3A,3Bで構成する場合は、各加圧容器に対応する風量計11及び圧力計12の計測値に基づいて当該加圧容器内の攪拌手段5A,5Bを各別に制御すると好適である。この形態によると、各加圧容器における攪拌を確実なものとすることができる。この点、このような配慮は従来の手動による制御では難しく、本形態の方法における特有のものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
モルタルや、コンクリート、緑化基材等の吹付材料の吹付方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 吹付装置
2A,2B,2C 空気路
3A,3B 加圧容器
4A,4B 開閉ゲート
5A,5B 攪拌手段
6A,6B 駆動源
8 搬送路
11 風量計
12 圧力計
13 風量調整手段
14 手動弁
15 開閉弁
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹付材料が供給される加圧容器と、
この加圧容器に加圧空気を吹き込む空気路と、
前記加圧容器から排出された吹付材料を搬送する1又は2以上の搬送路と、を有し、
前記空気路及び前記搬送路のそれぞれに、風量計、圧力計、及び風量調整手段が備わる吹付装置を用いて吹付材料を吹き付ける方法であり、
前記空気路に備わる圧力計の計測値である第1計測値と、前記搬送路に備わる圧力計の計測値である第2計測値とを比較し、
前記第1計測値/前記第2計測値が1.00~1.25となるように制御する、
ことを特徴とする吹付材料の吹付方法。
【請求項2】
前記空気路及び前記搬送路においてはそれぞれ、前記風量計の計測値に基づいて前記風量調整手段を制御し、
前記空気路及び前記搬送路の少なくともいずれか一方の圧力計の計測値が所定値を超えた場合においては前記吹付材料の吹付けを停止する、
請求項1に記載の吹付材料の吹付方法。
【請求項3】
前記加圧容器として、1の容器からなる上段加圧容器又は2以上の容器が直列に連なる上段加圧容器と、この上段加圧容器に連なる下段加圧容器とを有し、前記上段加圧容器内及び前記下段加圧容器内にそれぞれ攪拌手段が備わる吹付装置を用い、
前記上段加圧容器及び前記下段加圧容器においてはそれぞれ、当該加圧容器に対応する風量計及び圧力計の計測値に基づいて当該加圧容器内の攪拌手段を各別に制御する、
請求項1又は請求項2に記載の吹付材料の吹付方法。